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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】タオル
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/02 20060101AFI20230516BHJP
【FI】
A47K10/02 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022134282
(22)【出願日】2022-08-25
【審査請求日】2022-09-02
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(74)【代理人】
【識別番号】100223424
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 雄二
(72)【発明者】
【氏名】石井 まさみ
(72)【発明者】
【氏名】比護 咲
(72)【発明者】
【氏名】島田 隆志
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0222775(US,A1)
【文献】登録実用新案第3214650(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/00-10/14
10/18-10/48
A42B 1/00、1/04
A45D 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の身体を拭くタオルであって、
吸水性を有する材料によって構成されると共に、線状に延在する複数の吸水性線状部と、
複数の前記吸水性線状部が固定された固定部と、
を備え、
前記固定部は、複数の前記吸水性線状部に交差する交差方向に延在すると共に前記使用者の頭部を覆うバンド部であり、
前記バンド部は、前記交差方向である第1方向に延在する一対の長辺と、前記第1方向に交差し且つ前記吸水性線状部が延在する方向である第2方向に延在する一対の短辺とを有し、
複数の前記吸水性線状部は、複数の第1吸水性線状部と、前記第1吸水性線状部より短い複数の第2吸水性線状部とを含
前記タオルが前記使用者の頭部に装着された状態において、複数の前記第2吸水性線状部は前記使用者の後頭部の左右方向中央に位置し、複数の前記第1吸水性線状部は前記使用者の前記後頭部の左右方向両端側に位置し、
複数の前記吸水性線状部のそれぞれの一端は、固定手段を介して前記固定部に固定されている、
タオル。
【請求項2】
複数の前記吸水性線状部のそれぞれは、各前記吸水性線状部に沿って延在する中空部を有する、
請求項1に記載のタオル。
【請求項3】
前記バンド部は、前記バンド部の前記交差方向の一端側に位置する被取付部と、前記バンド部の前記交差方向の他端側に位置すると共に前記被取付部に着脱可能に取り付けられる取付部と、を有し、
前記バンド部は、前記頭部を覆った状態で前記被取付部に前記取付部が取り付けられることによって前記頭部に固定される、
請求項1又は2に記載のタオル。
【請求項4】
前記バンド部は、前記バンド部の他の部分と比較して伸縮性が高い生地によって構成された伸縮部を有する、
請求項1又は2に記載のタオル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、使用者の身体を拭くタオルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ヘアドライタオルが記載されている。ヘアドライタオルは、一方向に延びる帯状とされており、部分的に細くなった複数のくびれ部を有する。ヘアドライタオルは、使用者の頭部の髪を縛る部分と、垂らした髪をらせん状に巻く部分とを有する。ヘアドライタオルでは、首から頭頂部へ回して髪を縛る部分のタオル生地と、垂らした髪をらせん状に巻く部分のタオル生地とが合わされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-30996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したヘアドライタオルは、頭部の髪を縛る部分と、垂らした髪をらせん状に巻く部分とを有する。しかしながら、前述したヘアドライタオルは、一方向に延びる帯状とされているので、結局一枚のタオルを髪に巻き付けているだけの状態になる。一枚のタオルで使用者の身体を拭く場合には、身体の水分を十分に拭き取るのに時間を要するという現状がある。従って、水分を短時間で十分に拭き取ることが求められうる。
【0005】
本開示は、水分を短時間で十分に拭き取ることができるタオルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るタオルは、(1)使用者の身体を拭くタオルである。タオルは、吸水性を有する材料によって構成されると共に、線状に延在する複数の吸水性線状部と、複数の吸水性線状部が固定された固定部と、を備え、固定部は、複数の吸水性線状部に交差する交差方向に延在すると共に使用者の頭部を覆うバンド部であり、バンド部は、当該交差方向である第1方向に延在すると共に、第1方向に交差し且つ吸水性線状部が延在する方向である第2方向に並ぶ一対の長辺と、第2方向に延在すると共に第1方向に並ぶ一対の短辺とを有し、複数の吸水性線状部は、複数の第1吸水性線状部と、第1吸水性線状部より短い複数の第2吸水性線状部とを含み、タオルが使用者の頭部に装着された状態において、複数の第2吸水性線状部は使用者の後頭部の左右方向中央に位置し、複数の第1吸水性線状部は使用者の後頭部の左右方向両端側に位置し、複数の吸水性線状部のそれぞれの一端は、固定手段を介して固定部に固定されている。
【0007】
このタオルは、複数の吸水性線状部と、複数の吸水性線状部が固定された固定部とを備える。従って、固定部から複数の吸水性線状部が簾状に延在するので、簾状に延びる複数の吸水性線状部の間に使用者の身体を入れて当該身体を拭くことができる。複数の吸水性線状部の間に身体を入れて当該身体を拭くことによって、当該身体に対する吸水性線状部の接触面積を広くすることができるので、複数の吸水性線状部の吸水によって身体の水分を短時間で十分に拭き取ることができる。例えば、使用者の髪の毛又は指を複数の吸水性線状部の間に入れて各吸水性線状部に吸水させることにより、髪の毛又は指を短時間で拭くことができる。
【0008】
(2)上記(1)において、複数の前記吸水性線状部のそれぞれは、各前記吸水性線状部に沿って延在する中空部を有してもよい。この場合、複数の吸水性線状部のそれぞれが中空部を有することにより、軽量化できると共に各吸水性線状部の吸水性を一層高めることができる。従って、使用者の身体をより短時間で効率よく拭くことができる。
【0009】
前述したように、バンド部を使用者の頭部に固定させた状態で複数の吸水性線状部によって使用者の髪の毛の水分が吸収される。従って、バンド部に安定させた状態で複数の吸水性線状部が髪の毛の水分を吸収するので、髪の毛をより短時間で効率よく乾かすことができる。
【0010】
(4)上記(3)において、バンド部は、バンド部の交差方向の一端側に位置する被取付部と、バンド部の交差方向の他端側に位置すると共に被取付部に着脱可能に取り付けられる取付部と、を有してもよい。バンド部は、頭部を覆った状態で被取付部に取付部が取り付けられることによって頭部に固定されてもよい。この場合、バンド部の一端側に位置する被取付部にバンド部の他端側に位置する取付部を取り付けることによって、バンド部を使用者の頭部に固定させることができる。そして、この状態で複数の吸水性線状部によって使用者の髪の毛の水分を拭き取ることができるので、安定した状態で効率よく髪の毛を乾かすことができる。また、被取付部に対して取付部は着脱可能とされているので、使用者の頭部に対するタオルの着脱を容易に行うことができる。
【0011】
(5)上記(3)又は(4)において、バンド部は、バンド部の他の部分と比較して伸縮性が高い生地によって構成された伸縮部を有してもよい。この場合、バンド部が伸縮部を有することによってバンド部を伸縮させることができるので、使用者の頭部に対するバンド部の着脱を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、水分を短時間で十分に拭き取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係るタオルが容器に収容された状態の例を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係るタオルを示す斜視図である。
図3図2のタオルが使用者に装着された状態を示す斜視図である。
図4】第1実施形態に係るタオルを広げた状態を示す図である。
図5】変形例に係るタオルを広げた状態を示す図である。
図6】第1実施形態に係るタオルの吸水性線状部の中空部を示す図である。
図7】(a)、(b)及び(c)は、使用者にタオルを装着する装着手順を示す図である。
図8】(a)及び(b)は、第2実施形態に係るタオルを示す斜視図である。
図9】第2実施形態に係るタオルが使用者に装着された状態を示す斜視図である。
図10】第3実施形態に係るタオルが使用者に装着された状態を示す斜視図である。
図11】(a)は、第4実施形態に係るタオルを示す図である。(b)は、図11(a)のタオルが使用者に装着された状態を示す図である。
図12】第5実施形態に係るタオルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、図面を参照しながら本開示に係るタオルの実施形態について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0015】
本開示において、「タオル」は、使用者の身体を拭くために当該身体に当てられる繊維製品である。「タオル」は、複数の吸水性線状部と、複数の吸水性線状部を固定する固定部とを備える。「吸水性線状部」とは、吸水性を有する素材によって構成された線状を成す部分を示している。「吸水性線状部」については後に詳述する。
【0016】
「使用者」は、タオルを使用する人である。「使用」は、タオルを人の身体に当てて当該身体を拭くことを示している。例えば、「使用者」は、自らの身体にタオルを当てて当該身体に付着した水分を拭き取る人である。「身体」は、人の身体を示している。「身体」は、例えば、使用者の体の線状部分を示している。「体の線状部分」とは、線状又は棒状とされた体の一部を示している。「体の線状部分」は、例えば、髪の毛又は指である。体の線状部分がタオルの複数の吸水性線状部で拭かれることによって、当該線状部分の水分を速やかに除去して乾かすことができる。
【0017】
「吸水性線状部」は、吸水性を有する材料によって構成されると共に線状に形成された部材又は部分を示している。「吸水性を有する」とは、水分を吸収する性質を有することを示している。本実施形態において、複数の吸水性線状部は、一般的なタオルよりも高い吸水性を有する。
【0018】
「線状」とは一方向に長く延びる状態を示しており、「線状部」は線状とされた部分を示している。本実施形態において、吸水性線状部の長さは、使用者の体の線状部分(例えば髪の毛又は指)の長さよりも長い。この場合、体の線状部分を複数の吸水性線状部の間に通して拭くことにより、体の線状部分をより迅速に乾かすことが可能となる。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るタオル1が容器Cに収容された状態を示している。図2は、タオル1を示す斜視図である。図3は、タオル1が使用者Mに装着された状態を示す斜視図である。図1図3に示されるように、タオル1は、複数の吸水性線状部2と、複数の吸水性線状部2が固定された固定部3とを備える。タオル1は使用者Mの頭部M3に装着される。吸水性線状部2は、例えば、棒状を呈しており且つ変形自在とされている。
【0020】
例えば、タオル1は洗濯可能とされている。タオル1は、使用者Mの身体を拭くタオルである。使用者Mは、例えば、髪の毛M1が首M2より下方まで延びている人である。このように、髪の毛M1が長い使用者Mに対してもタオル1では効率よく髪の毛M1の水分を吸収して髪の毛M1を乾かすことができる。しかしながら、使用者Mの種類は特に限定されない。
【0021】
本実施形態では、使用者Mの髪の毛M1を拭くタオル1について説明する。例えば、使用前の状態において、タオル1は、容器Cに収容されている。容器Cは、一例として、透明な容器である。この場合、容器Cの外部から容器Cの内部に収容された吸水性線状部2を視認できる。よって、パスタの容器を見ているかのような美観を感じさせることが可能となる。
【0022】
容器Cは、例えば、自立可能な柱状を呈する。一例として、容器Cは、円柱状を呈する。容器Cの内部に保持部材(不図示)が設けられていてもよく、当該保持部材によってタオル1が保持された状態でタオル1が容器Cに収容されていてもよい。この場合、容器Cの内部においてタオル1を安定させることができる。
【0023】
例えば、吸水性線状部2はコットンによって構成されている。一例として、吸水性線状部2はオーガニックコットンによって構成されている。また、吸水性線状部2は、綿(一例としてインド長綿)によって構成されていてもよい。吸水性線状部2は、マイクロファイバーによって構成されていてもよい。具体例として、吸水性線状部2は、吸水マイクロファイバーによって構成されている。また、吸水性線状部2は、モール糸(又はモール状繊維)によって構成されていてもよい。
【0024】
吸水性線状部2は、吸水性素材によって構成されている。吸水性線状部2の吸水性素材は、例えば、コットン、リネン、絹、羊毛、レーヨン、ナイロン、及びキュプラの少なくともいずれかを含む。吸水性線状部2は、ポリエステルによって構成されていてもよい。このように、吸水性線状部2の材料は、吸水性素材であれば適宜変更可能である。
【0025】
複数の吸水性線状部2のそれぞれの一端2bは固定部3に固定されている。例えば、各吸水性線状部2の一端2bは固定部3に縫製されている。しかしながら、固定部3への吸水性線状部2の固定手段は、縫製に限られず、適宜変更可能である。固定部3は、複数の吸水性線状部2に交差する方向D1(交差方向)に延在する。
【0026】
一例として、固定部3は樹脂製である。例えば、固定部3は、使用者Mの頭部M3を覆うバンド部3Aである。バンド部3Aは、バンド部3Aの一端側に位置する被取付部3bと、バンド部3Aの他端側に位置する取付部3cとを有する。被取付部3bは、例えば、バンド部3Aの一端3dに設けられ、取付部3cはバンド部3Aの他端3fに設けられる。
【0027】
バンド部3Aは、一端3d及び他端3fが互いに接近するように環状とされた状態で被取付部3bに取付部3cが取り付けられることにより、使用者Mの頭部M3が入り込む頭部収容領域3gを画成する。一例として、バンド部3Aは、使用者Mの後頭部M5及び前頭部M6(又は頭頂部)に巻き付けられるように頭部M3の一部を覆った状態で頭部M3に固定される。
【0028】
固定部3が頭部M3に固定された状態において、複数の吸水性線状部2は、例えば、固定部3から使用者Mの後頭部M5に向けて垂れ下がった状態となる。例えば、この状態で複数の吸水性線状部2が複数の髪の毛M1の間に入り込むことにより髪の毛M1の水分が複数の吸水性線状部2によって吸収される。
【0029】
図4は、被取付部3bから取付部3cが外されてバンド部3Aが展開されたタオル1を示す図である。図2図4に示されるように、一例として、被取付部3bは繊維によって構成された環状部材であり、取付部3cは被取付部3bに通されて被取付部3bに止められるくるみボタンである。
【0030】
一例として、取付部3cは固定部3の共生地である。しかしながら、被取付部3b及び取付部3cの種類は、上記の環状部材及びくるみボタンに限定されない。例えば、被取付部3b及び取付部3cは、ホック(一例としてアメリカンホック)によって構成されていてもよいし、ボタン(一例としてスナップボタン)によって構成されていてもよい。
【0031】
被取付部3b及び取付部3cは、面ファスナーによって構成されていてもよい。被取付部3b及び取付部3cの少なくともいずれかが方向D1に延びる面ファスナーであってもよい。また、被取付部3bに対する取付部3cの方向D1の取付位置が変更可能であってもよい。この場合、バンド部3Aの頭部M3を覆う部分の長さを調整可能となる。また、被取付部3b及び取付部3cは、一対の紐によって構成されていてもよい。この場合、一対の紐の一方に他方が縛り付けられることによって被取付部3bに取付部3cが取り付けられる。このように、被取付部3b及び取付部3cの構成は適宜変更可能である。
【0032】
バンド部3Aは、例えば、メッシュ生地によって構成されている。この場合、バンド部3Aの通気性を高めることができるので、バンド部3Aの内側における蒸れを低減できる。例えば、バンド部3Aは、伸縮部3hを有する。伸縮部3hは、バンド部3Aの他の部分と比較して伸縮性が高い生地によって構成されている。一例として、伸縮部3hは、バンド部3Aの方向D1の端部に設けられる。しかしながら、伸縮部3hの場所は、特に限定されない。また、バンド部3Aの全体が伸縮性素材によって構成されていてもよい。例えば、伸縮部3hは、バンド部3Aの方向D2の両端のそれぞれに内蔵されており方向D1に沿って延在する一対のゴムを有していてもよい。
【0033】
例えば、バンド部3Aは、方向D1に延在すると共に方向D1に交差(一例として直交)する方向D2(吸水性線状部2の延在方向)に並ぶ一対の長辺3pと、方向D2に延在すると共に方向D1に並ぶ一対の短辺3qとを有する。一例として、バンド部3Aは、方向D1に延びる長辺3pを有する長方形状を呈する。
【0034】
例えば、バンド部3Aの長さA1は、30cm以上且つ100cm以下(一例として50cm)である。バンド部3Aの幅B1は、例えば、1cm以上且つ10cm以下(一例として5cm)である。しかしながら、バンド部3Aの各部の長さは、これらの例に限られず適宜変更可能である。
【0035】
固定部3(バンド部3A)において、複数の吸水性線状部2は方向D1に沿って並んでいる。固定部3に固定された吸水性線状部2の数は、例えば、5以上且つ40以下である。吸水性線状部2の数は、7以上、10以上、又は15以上であってもよいし、35以下、30以下、又は25以下であってもよい。図4の例では、吸水性線状部2の数は25である。
【0036】
例えば、複数の吸水性線状部2は、複数の第1吸水性線状部2Aと、第1吸水性線状部2Aより短い複数の第2吸水性線状部2Bとを含む。一例として、複数の第2吸水性線状部2Bは、バンド部3Aの方向D1の中央を含む領域において方向D1に沿って並んでいる。複数の第1吸水性線状部2Aは、複数の第2吸水性線状部2Bの方向D1の両端側のそれぞれに配置されている。
【0037】
複数の第2吸水性線状部2Bは、複数の第1吸水性線状部2Aによって方向D1の両側から挟み込まれている。例えば、複数の第2吸水性線状部2Bは使用者Mの後頭部M5の左右方向中央に位置し、複数の第1吸水性線状部2Aは使用者Mの後頭部M5の左右方向両端側に位置する。
【0038】
第1吸水性線状部2Aの数は、例えば、6以上且つ30以下である。第1吸水性線状部2Aの数は、10以上、14以上、又は18以上であってもよいし、28以下又は24以下であってもよい。一例として、第1吸水性線状部2Aの数は16である。第2吸水性線状部2Bの数は、例えば、2以上且つ15以下である。第2吸水性線状部2Bの数は、3以上、又は5以上であってもよいし、12以下、10以下、又は8以下であってもよい。一例として、第2吸水性線状部2Bの数は9である。
【0039】
例えば、吸水性線状部2の長さは、使用者の体の線状部分(例えば髪の毛又は指)の長さよりも長い。第1吸水性線状部2Aの長さは、例えば、30cm以上且つ60cm以下(一例として45cm)である。第2吸水性線状部2Bの長さは、20cm以上且つ40cm以下(一例として30cm)である。以上、第1吸水性線状部2A及び第2吸水性線状部2Bの数及び長さの例について説明した。しかしながら、第1吸水性線状部2A及び第2吸水性線状部2Bの数及び長さは、上記の例に限られず、適宜変更可能である。
【0040】
例えば、複数の第1吸水性線状部2Aのそれぞれは固定部3の一方の長辺3pに固定されており、複数の第2吸水性線状部2Bのそれぞれは他方の長辺3p(上記一方の長辺3pとは異なる長辺3p)に配置されている。しかしながら、図5に示されるように、複数の第1吸水性線状部2A、及び複数の第2吸水性線状部2Bが共に一方の長辺3pに固定されていてもよい。このように、複数の第1吸水性線状部2A、及び複数の第2吸水性線状部2Bの配置態様は適宜変更可能である。
【0041】
図6は、方向D2に直交する平面に沿って吸水性線状部2を切断したときにおける吸水性線状部2の断面図である。図6に示されるように、例えば、吸水性線状部2は、吸水性線状部2に沿って延在する中空部2dを有する。一例として、方向D2に直交する平面に沿って吸水性線状部2を切断したときの断面において、中空部2dは円形状を呈する。
【0042】
吸水性線状部2は、例えば、吸水性素材(一例としてマイクロファイバー)からなる生地2fが丸められ、丸められた生地2fの周方向の一端部2g及び他端部2hが互いに縫製されることによって形成されている。この場合、吸水性線状部2は、中空部2dに突出する縫製部2jを有する。生地2fは、例えば、パイル生地である。この場合、吸水性線状部2の吸水性を一層高めることが可能となる。
【0043】
図6の例とは異なり、吸水性線状部2は中空部2dを有しなくてもよい。この場合、例えば、吸水性線状部2は、方向D2に沿って延びる芯(不図示)を有する。吸水性線状部2は、当該芯を囲むように当該芯に生地2fが縫い付けられることによって形成される。この芯は、例えば、複数の糸が撚り合わされて形成された糸製の芯である。なお、当該芯及び生地2fは一体成形によって形成されてもよい。
【0044】
次に、使用者Mへのタオル1の装着手順の例について図7(a)、図7(b)及び図7(c)を参照しながら説明する。まず、図7(a)に示されるように、使用者Mの首M2の後ろにタオル1のバンド部3Aの方向D1の中央部分を接触させ、バンド部3Aを使用者Mの肩M4にかける。
【0045】
図7(b)に示されるように、バンド部3Aを方向D1に伸ばしてバンド部3Aの一端3d及び他端3fのそれぞれを使用者Mの前頭部M6(又は頭頂部)まで左右両側のそれぞれから引き上げる。そして、図7(c)に示されるように、使用者Mの前頭部M6(又は頭頂部)において被取付部3bに取付部3cを取り付けることによって使用者Mにタオル1が装着される。
【0046】
以上のように、タオル1では、使用者Mへの装着を容易に行うことができる。使用者Mにタオル1を装着した後には、複数の吸水性線状部2が使用者Mの髪の毛M1の水分を拭き取る。このとき、複数の吸水性線状部2が髪の毛M1に押し当てられながら髪の毛M1の水分を吸収してもよいし、複数の吸水性線状部2が髪の毛M1に揉み込まれながら髪の毛M1の水分を吸収してもよい。
【0047】
複数の吸水性線状部2のそれぞれは複数の髪の毛M1の間に入り込んだ状態で水分を吸収するので、複数の吸水性線状部2によって髪の毛M1の水分を効率よく拭き取ることができる。更に、ヘアドライヤーが用いられてもよく、この場合、複数の吸水性線状部2が髪の毛M1の水分を吸収すると共にヘアドライヤーからの温風が髪の毛M1に当てられることにより、髪の毛M1をより短時間で乾かすことができる。
【0048】
次に、本実施形態に係るタオルから得られる作用効果についてより詳細に説明する。タオル1は、複数の吸水性線状部2と、複数の吸水性線状部2が固定された固定部3とを備える。従って、固定部3から複数の吸水性線状部2が簾状に延在するので、簾状に延びる複数の吸水性線状部2の間に使用者Mの身体を入れて当該身体を拭くことができる。
【0049】
複数の吸水性線状部2の間に身体を入れて当該身体を拭くことによって、当該身体に対する吸水性線状部2の接触面積を広くすることができるので、複数の吸水性線状部2の吸水によって身体の水分を短時間で十分に拭き取ることができる。例えば、使用者Mの髪の毛M1を複数の吸水性線状部2の間に入れて各吸水性線状部2が吸水を行うことにより、髪の毛M1を短時間で乾かすことができる。なお、吸水性線状部2の太さについては、吸水性線状部2をより細くすることによって頭皮により近い部分の水分も効率よく吸収できると考えられる。
【0050】
図6に示されるように、本実施形態において、複数の吸水性線状部2のそれぞれは、各吸水性線状部2に沿って延在する中空部2dを有する。この場合、複数の吸水性線状部2のそれぞれが中空部2dを有することにより、各吸水性線状部2を軽量化できると共に各吸水性線状部2の吸水性を一層高めることができる。従って、使用者Mの身体をより短時間で効率よく拭くことができる。
【0051】
図3及び図4に示されるように、本実施形態において、固定部3は、複数の吸水性線状部2に交差する方向D1に延在すると共に使用者Mの頭部M3を覆うバンド部3Aである。よって、バンド部3Aを使用者Mの頭部M3に固定させた状態で複数の吸水性線状部2によって使用者Mの髪の毛M1の水分が吸収される。従って、バンド部3Aに安定させた状態で複数の吸水性線状部2が髪の毛M1の水分を吸収するので、髪の毛M1をより短時間で効率よく乾かすことができる。
【0052】
本実施形態において、バンド部3Aは、バンド部3Aの方向D1の一端3d側に位置する被取付部3bと、バンド部3Aの方向D1の他端3f側に位置すると共に被取付部3bに着脱可能に取り付けられる取付部3cと、を有する。バンド部3Aは、頭部M3を覆った状態で被取付部3bに取付部3cが取り付けられることによって頭部M3に固定される。従って、バンド部3Aの一端3d側に位置する被取付部3bにバンド部3Aの他端3f側に位置する取付部3cを取り付けることによって、バンド部3Aを使用者Mの頭部M3に固定させることができる。
【0053】
そして、この状態で複数の吸水性線状部2によって使用者Mの髪の毛M1の水分を拭き取ることができるので、安定した状態で効率よく髪の毛M1を乾かすことができる。また、被取付部3bに対して取付部3cは着脱可能とされているので、使用者Mの頭部M3に対するタオル1の着脱を容易に行うことができる。
【0054】
本実施形態において、バンド部3Aは、バンド部3Aの他の部分と比較して伸縮性が高い生地によって構成された伸縮部3hを有する。従って、バンド部3Aが伸縮部3hを有することによってバンド部3Aを伸縮させることができるので、使用者Mの頭部M3に対するバンド部3Aの着脱を容易に行うことができる。
【0055】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るタオル11について図8(a)、図8(b)及び図9を参照しながら説明する。タオル11は、前述した被取付部3b及び取付部3cを有しておらず、バンド部3Aに代えて頭部収容部14を備える点においてタオル1とは異なっている。タオル11の一部の構成は、前述したタオル1の一部の構成と同一である。従って、以降の説明では、タオル1と重複する説明を同一の符号を付す等して適宜省略する。
【0056】
タオル11は、複数の吸水性線状部2が固定された固定部13を備える。固定部13は、使用者Mの頭部M3が収容される布製の頭部収容部14を有する。頭部収容部14は、頭部M3が入り込む開口14bを有し、開口14bが広げられた状態で頭部収容部14の内部に頭部M3が収容される。例えば、頭部収容部14は、伸縮可能な生地によって構成されている。一例として、頭部収容部14は、メッシュ生地によって構成されている。
【0057】
頭部収容部14の開口14bの一部から複数の第1吸水性線状部2Aが延び出しており、頭部収容部14の開口14bの残部から複数の第2吸水性線状部2Bが第1吸水性線状部2Aとは反対方向に延在する。固定部13は、複数の第1吸水性線状部2Aの端部を頭部収容部14に固定する第1固定部13bと、複数の第1吸水性線状部2Aの途中部分を頭部収容部14に固定する第2固定部13cとを有する。
【0058】
よって、各第1吸水性線状部2Aは2箇所で頭部収容部14に固定されるので、複数の第1吸水性線状部2Aをより強固に頭部収容部14に固定させることができる。例えば、固定部13は、複数の第2吸水性線状部2Bの端部を頭部収容部14に固定する第3固定部13dを有する。第1固定部13b及び第3固定部13dは、例えば、頭部収容部14の開口14bに設けられる。
【0059】
次に、使用者Mへのタオル11の装着方法について説明する。まず、開口14bの第2吸水性線状部2Bが延び出す部分14cを使用者Mの首M2の後ろに当てて開口14bを広げ、広げた開口14bに頭部M3を入れる。そして、複数の第1吸水性線状部2Aを頭部M3の後方及び側方に延ばして下方に垂らすことにより、使用者Mへのタオル11の装着が完了する。装着完了後には、タオル1の場合と同様に、複数の吸水性線状部2によって髪の毛M1の水分が拭き取られる。
【0060】
以上、第2実施形態に係るタオル11では、固定部13から複数の吸水性線状部2が簾状に延在するので、簾状に延びる複数の吸水性線状部2の間に使用者Mの身体を入れて当該身体を拭くことができる。従って、当該身体に対する吸水性線状部2の接触面積を広くすることができるので、複数の吸水性線状部2の吸水によって身体の水分を短時間で十分に拭き取ることができる。よって、タオル11からはタオル1と同様の効果が得られる。
【0061】
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態に係るタオル21について図10を参照しながら説明する。図10に示されるように、タオル21は、使用者Mの頭部M3に巻き付けられるバンド部23Aを備え、バンド部23Aの構成が前述したバンド部3Aの構成とは異なっている。図4及び図10に示されるように、タオル1のバンド部3Aは、方向D2への長さ(幅)が一定である。
【0062】
これに対し、タオル21のバンド部23Aでは、使用者Mの後頭部M5に接する部分23bの太さ(幅)が当該部分23b以外の部分23cよりも細くなっている。すなわち、バンド部23Aでは、方向D1の中央を含む部分23bの幅が当該部分23b以外の部分23cの幅よりも狭い。例えば、複数の第2吸水性線状部2Bが延び出すバンド部23Aの部分は、複数の第1吸水性線状部2Aが延び出すバンド部23Aの部分よりも細い。
【0063】
以上、第3実施形態に係るタオル21では、バンド部23Aの後頭部M5に接する部分23bの太さがバンド部23Aの後頭部M5に接しない部分23cの太さよりも細い。従って、タオル21の装着時に後頭部M5にかかる力を低減させることができるので、より装着しやすいタオル21とすることができる。
【0064】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係るタオル31について図11(a)及び図11(b)を参照しながら説明する。例えば、タオル31は、帽子型とされており、被ることが可能とされている。タオル31は、複数の吸水性線状部2を束ねる固定部33を有する。一例として、固定部33は輪状を呈する。この場合、固定部33をフックに引っ掛けることが可能となる。例えば、固定部33は複数の吸水性線状部2の一端部を束ねており、複数の吸水性線状部2は固定部33から簾状に延在する。例えば、複数の吸水性線状部2のそれぞれの長さは、タオル31を装着する使用者Mの首M2より下方に延びる長さとされている。
【0065】
タオル31では、固定部33から複数の吸水性線状部2が簾状に垂れ下がるので、複数の吸水性線状部2の間に使用者Mの髪の毛M1を入れて髪の毛M1を拭くことができる。従って、髪の毛M1に対する吸水性線状部2の接触面積を広くすることができるので、複数の吸水性線状部2の吸水によって髪の毛M1の水分を短時間で十分に拭き取ることができる。よって、タオル31からは、前述したタオル1等と同様の効果が得られる。
【0066】
(第5実施形態)
続いて、第5実施形態に係るタオル41について図12を参照しながら説明する。例えば、タオル41は使用者Mの手を拭く手拭きタオル(ハンドタオル)である。タオル41は、複数の吸水性線状部2が固定された固定部43を有する。固定部43は、例えば、環状を呈する。一例として、タオル41は、固定部43がフックに引っ掛けられた状態で用いられてもよい。例えば、複数の吸水性線状部2は固定部43の周方向に沿って並んでいる。複数の吸水性線状部2のそれぞれの長さは指の長さより長い。
【0067】
タオル41では、固定部43から複数の吸水性線状部2が簾状に延在するので、簾状に延びる複数の吸水性線状部2の間に使用者Mの指を入れて手を拭くことができる。複数の吸水性線状部2の間に指を入れて手を拭くことによって、手指に対する吸水性線状部2の接触面積を広くすることができるので、複数の吸水性線状部2の吸水によって手指の水分を短時間で十分に拭き取ることができる。従って、タオル41からは、前述したタオル1等と同様の効果が得られる。
【0068】
以上、本開示に係るタオルの種々の実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、前述した各実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨の範囲内において適宜変更可能である。すなわち、タオルの各部の形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、上記の要旨の範囲内において適宜変更可能である。
【0069】
例えば、前述の実施形態では、棒状を呈しており且つ変形自在とされている吸水性線状部2について説明した。しかしながら、吸水性線状部は、例えば、撚糸によって構成されていてもよく、吸水性線状部の形状は適宜変更可能である。前述の実施形態では、伸縮部3hを有するバンド部3Aを備えるタオル1について説明した。しかしながら、バンド部は伸縮部を有しないものであってもよく、バンド部の材料は適宜変更可能である。
【0070】
前述の実施形態では、被取付部3bに取付部3cが取り付けられることによって使用者Mの頭部M3に巻き付けられるタオル1について説明した。しかしながら、頭部M3に固定部を固定する手段は、被取付部3b及び取付部3cに限られず、適宜変更可能である。例えば、タオルは、複数の吸水性線状部2の端部が固定されたカチューシャ(一例としてワイヤカチューシャ)を備え、当該カチューシャが頭部M3に固定されてもよい。この場合、カチューシャを複数の吸水性線状部2が固定される固定部として有効利用することができる。
【0071】
前述の実施形態では、使用者Mの髪の毛M1を拭くタオル1、及び使用者Mの手指を拭くタオル41について説明した。しかしながら、本開示に係るタオルは、髪の毛又は手指以外の箇所を拭くタオルであってもよい。この場合も、複数の吸水性線状部が使用者の身体の水分を効率的に吸収するので、前述した各実施形態と同様の作用効果が得られる。
【符号の説明】
【0072】
1…タオル、2…吸水性線状部、2A…第1吸水性線状部、2b…一端、2B…第2吸水性線状部、2d…中空部、2f…生地、2g…一端部、2h…他端部、2j…縫製部、3…固定部、3A…バンド部、3b…被取付部、3c…取付部、3d…一端、3f…他端、3g…頭部収容領域、3h…伸縮部、3p…長辺、3q…短辺、11…タオル、13…固定部、13b…第1固定部、13c…第2固定部、13d…第3固定部、14…頭部収容部、14b…開口、14c…部分、21…タオル、23A…バンド部、23b,23c…部分、31…タオル、33…固定部、41…タオル、43…固定部、B1…幅、C…容器、D1…方向(交差方向)、D2…方向、M…使用者、M1…髪の毛、M2…首、M3…頭部、M4…肩、M5…後頭部、M6…前頭部。

【要約】
【課題】水分を短時間で十分に拭き取ることができるタオルを提供する。
【解決手段】一実施形態に係るタオルは、使用者Mの身体を拭くタオル1である。タオル1は、吸水性を有する材料によって構成されると共に、線状に延在する複数の吸水性線状部2と、複数の吸水性線状部2が固定された固定部3と、を備える。
【選択図】図3

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12