(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】樹脂成形体
(51)【国際特許分類】
H05K 9/00 20060101AFI20230516BHJP
B32B 7/025 20190101ALI20230516BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20230516BHJP
B29C 45/13 20060101ALI20230516BHJP
B29C 45/14 20060101ALI20230516BHJP
B29C 45/16 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
H05K9/00 W
B32B7/025
B32B27/18 H
B32B27/18 J
B29C45/13
B29C45/14
B29C45/16
(21)【出願番号】P 2019049820
(22)【出願日】2019-03-18
【審査請求日】2021-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2018058152
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390033112
【氏名又は名称】積水テクノ成型株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松村 龍志
(72)【発明者】
【氏名】末永 祐介
(72)【発明者】
【氏名】桝田 拓哉
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-009396(JP,A)
【文献】特開2016-111172(JP,A)
【文献】特開2005-184012(JP,A)
【文献】特開2012-151242(JP,A)
【文献】特開2016-225038(JP,A)
【文献】特開2007-335680(JP,A)
【文献】特表2010-513653(JP,A)
【文献】国際公開第2008/126690(WO,A1)
【文献】特許第2518626(JP,B2)
【文献】特開2010-153542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
B32B 7/025
B32B 27/18
B29C 45/13
B29C 45/14
B29C 45/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の層と、前記第1の層上に積層された第2の層とを備える、樹脂成形体であって、
前記第1の層が、第1の熱可塑性樹脂と、磁性材料とを含み、
前記第1の熱可塑性樹脂100重量部に対する前記磁性材料の含有量が、100重量部以上、300重量部以下であり、
前記磁性材料が、軟磁性を有する材料であり、
前記第2の層が、第2の熱可塑性樹脂と、前記磁性材料とは異なる導電性材料とを含み、
前記第2の熱可塑性樹脂100重量部に対する前記導電性材料の含有量が、100重量部以上、300重量部以下であり、
前記導電性材料が、黒鉛を含み、
前記第2の熱可塑性樹脂100重量部に対する前記黒鉛の含有量が、90重量部以上、200重量部以下であり、
前記樹脂成形体の周波数1MHz~100MHzにおける磁界シールド性能が6dB以上であり、
前記樹脂成形体の周波数0.1GHz~10GHzにおける電界シールド性能が20dB以上である、樹脂成形体。
【請求項2】
前記第1の層の周波数10MHzにおける複素比透磁率の実数部μ’が、3以上である、請求項1に記載の樹脂成形体。
【請求項3】
前記第2の層の表面抵抗率が、10
2Ω/sq未満である、請求項1
又は2に記載の樹脂成形体。
【請求項4】
前記導電性材料が、粒径又は繊維長が5μm以上である第1の導電性材料と、粒径又は繊維長が1μm以下である第2の導電性材料とを含む、請求項1~
3のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
【請求項5】
前記第2の熱可塑性樹脂100重量部に対する前記第1の導電性材料の含有量が、65重量部以上、230重量部以下であり、
前記第2の熱可塑性樹脂100重量部に対する前記第2の導電性材料の含有量が、5重量部以上、70重量部以下である、請求項
4に記載の樹脂成形体。
【請求項6】
前記樹脂成形体の密度が、4.0g/cm
3以下である、請求項1~
5のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
【請求項7】
前記樹脂成形体が、射出成形体であり、
前記第1の層及び前記第2の層が、一体成形されている、請求項1~
6のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
【請求項8】
マイクロストリップライン法にて前記樹脂成形体における前記第1の層を伝送路に密着させて測定したときの伝送減衰率が、周波数10MHzにおいて5dB以上である、請求項1~
7のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
【請求項9】
前記黒鉛が、板状黒鉛である、請求項1~8のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
【請求項10】
前記黒鉛の体積平均粒子径が、10μm以上、350μm以下である、請求項1~9のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
【請求項11】
前記磁性材料が、フェライト、センダスト、及びパーマロイからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~10のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動作により電磁波ノイズを発生する機器、カーナビ、スマートメータなどのマルチインフォメーションディスプレイ、車載カメラ、車載ECUなどの電子機器の筐体や、基板に接近するシャーシにおいては、電磁波シールド性を高めるために、金属板やメッキ、電磁波遮断シート、塗装などによる電磁波シールド性能付加処理物が用いられている。
【0003】
下記の特許文献1には、導電性層の少なくとも片面に、透磁性層が積層されてなる電磁波遮断シートが開示されている。上記導電性層は、合成樹脂に導電性フィラーとして直径が7~15μm、長さ0.2~3mmのステンレス鋼繊維0.5~5.0体積%を分散せしめてなるとされている。また、透磁性層は、合成樹脂に高透磁性フィラー10~70体積%を分散せしめてなるとされている。
【0004】
下記の特許文献2には、基材と、導電層と、磁性層とを有する、電磁波ノイズ抑制シートが開示されている。上記導電層は、導電性塗工材を塗布することにより形成されている。また、磁性層は、磁性塗工材を塗布することにより形成されている。また、特許文献2では、導電層の材料として、Cu、Au、Al等の金属若しくは合金や、カーボン等が用いられる旨が記載されている。
【0005】
また、下記の特許文献3には、二色射出成形によって金属成形部及び樹脂成形部が熱融着されて一体化した複合成形体が記載されている。上記金属成形部は、電磁波シールド性能を備える添加剤が混合分散された金属材料により形成されている。上記樹脂成形部は、金属成形部に混合分散された添加剤とは異なる添加剤が混合分散された熱可塑性樹脂材料により形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第2518626号
【文献】特開2010-153542号公報
【文献】特開2014-156100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、電磁波ノイズを発生させる機器が増加したことや、外来ノイズによる機器の誤作動の問題から、MHz帯からGHz帯まで広い周波数での電磁波シールド性能が求められている。
【0008】
一方で、特許文献1~3のシートや成形体を用いた場合、加工工数の増加、高コスト化といった問題がある。また、導電性を付与するために金属フィラーを使用すると、軽量化が難しいという問題がある。さらに、金属フィラーの代わりに非金属フィラーを用いた場合、高周波数でのシールド効果が十分に得られないという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、広い周波数帯域に亘って電磁波シールド性能に優れる、樹脂成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る樹脂成形体は、第1の層と、前記第1の層上に積層された第2の層とを備える、樹脂成形体であって、前記第1の層が、第1の熱可塑性樹脂と、磁性材料とを含み、前記第2の層が、第2の熱可塑性樹脂と、前記磁性材料とは異なる導電性材料とを含み、前記樹脂成形体の周波数1MHz~100MHzにおける磁界シールド性能が6dB以上であり、前記樹脂成形体の周波数0.1GHz~10GHzにおける電界シールド性能が20dB以上である。
【0011】
本発明に係る樹脂成形体のある特定の局面では、前記第1の層の周波数10MHzにおける複素比透磁率の実数部μ’が、3以上である。
【0012】
本発明に係る樹脂成形体の他の特定の局面では、前記第1の熱可塑性樹脂100重量部に対する前記磁性材料の含有量が、80重量部以上である。
【0013】
本発明に係る樹脂成形体のさらに他の特定の局面では、前記第2の層の表面抵抗率が、102Ω/sq未満である。
【0014】
本発明に係る樹脂成形体のさらに他の特定の局面では、前記導電性材料が、黒鉛、カーボンブラック、カーボンナノチューブからなる群から選択される少なくとも1種の炭素材料である。
【0015】
本発明に係る樹脂成形体のさらに他の特定の局面では、前記導電性材料が、粒径又は繊維長が5μm以上である第1の導電性材料と、粒径又は繊維長が1μm以下である第2の導電性材料とを含む。好ましくは、前記第2の熱可塑性樹脂100重量部に対する前記第1の導電性材料の含有量が、65重量部以上、230重量部以下であり、前記第2の熱可塑性樹脂100重量部に対する前記第2の導電性材料の含有量が、5重量部以上、70重量部以下である。
【0016】
本発明に係る樹脂成形体のさらに他の特定の局面では、前記第2の熱可塑性樹脂100重量部に対する前記導電性材料の含有量が、80重量部以上である。
【0017】
本発明に係る樹脂成形体のさらに他の特定の局面では、前記樹脂成形体の密度が、4.0g/cm3以下である。
【0018】
本発明に係る樹脂成形体のさらに他の特定の局面では、前記樹脂成形体が、射出成形体であり、前記第1の層及び前記第2の層が、一体成形されている。
【0019】
本発明に係る樹脂成形体のさらに他の特定の局面では、マイクロストリップライン法にて前記樹脂成形体における前記第1の層を伝送路に密着させて測定したときの伝送減衰率が、周波数10MHzにおいて5dB以上である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、広い周波数帯域に亘って電磁波シールド性能に優れる、樹脂成形体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る樹脂成形体を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂成形体を示す模式的断面図である。
図1に示すように、樹脂成形体1は、第1の層2及び第2の層3を備える。第1の層2の主面2a上に、第2の層3が積層されている。
【0024】
このように、本発明の積層体は、第1の層と、第1の層上に積層された第2の層とを備える。なお、本発明の積層体は、第1の層及び第2の層を備える限りにおいて、上記の実施形態に限定されるものではない。
【0025】
本発明において、第1の層は、第1の熱可塑性樹脂と、磁性材料とを含む。第2の層は、第2の熱可塑性樹脂と、上記磁性材料とは異なる導電性材料とを含む。樹脂成形体の周波数1MHz~100MHzにおける磁界シールド性能は、6dB以上である。また、樹脂成形体1の周波数0.1GHz~10GHzにおける電界シールド性能は、20dB以上である。
【0026】
なお、周波数1MHz~100MHzにおける磁界シールド性能は、例えば、KEC(KEC:「関西電子工業振興センター」の略称)法により測定することができる。なお、周波数1MHz~100MHzにおける磁界シールド性能は、周波数10MHzの磁界シールド性能一点を測定することにより求めてもよい。
【0027】
また、0.1GHz~1GHzにおける電界シールド性能は、例えば、KEC法により測定することができ、1GHz~10GHzにおける電界シールド性能は、例えば、2焦点型扁平空洞(Dual-Focus Flat Cavity:DFFC)法により測定することができる。なお、周波数0.1GHz~1GHzにおける電界シールド性能は、周波数1GHzの電界シールド性能一点を測定することにより求めてもよい。
【0028】
本発明の樹脂成形体は、低周波数帯域で電磁波吸収性能を有する磁性材料を含む第1の層と、高周波数帯域で電磁波遮蔽性能を有する導電性材料含む第2の層とを同時に備えているため、周波数1MHz~10GHzの広い周波数帯域に亘って電磁波シールド性能に優れている。また、本発明の樹脂成形体は、磁性材料と導電性材料とを異なる樹脂層に含有させているので、各材料の含有量を高めることができ、高い電磁波シールド性能を実現することができる。
【0029】
本発明において、周波数1MHz~100MHzにおける磁界シールド性能は、好ましくは6dB以上、より好ましくは8dB以上、さらに好ましくは10dB以上である。また、周波数1MHz~100MHzにおける磁界シールド性能の上限値は、特に限定されないが、例えば60dBとすることができる。
【0030】
本発明において、周波数0.1GHz~10GHzにおける電界シールド性能は、好ましくは20dB以上、より好ましくは30dB以上、さらに好ましくは40dB以上である。また、周波数0.1GHz~10GHzにおける電界シールド性能の上限値は、特に限定されないが、例えば80dBとすることができる。
【0031】
本発明において、磁性材料を含む第1の層の周波数10MHzにおける複素比透磁率の実数部μ’は、好ましくは3以上、より好ましくは5以上である。第1の層の周波数10MHzにおける複素比透磁率の実数部μ’が上記下限以上である場合、電磁波吸収時の損失がより一層大きくなり、電磁波シールド性能をより一層高めることができる。なお、第1の層の周波数10MHzにおける複素比透磁率の実数部μ’の上限値は、特に限定されないが、例えば、100とすることができる。また、磁性材料特性の指標である複素比透磁率は、例えば、マテリアルインピーダンスアナライザを用いて測定することができる。
【0032】
本発明において、導電性材料を含む第2の層の表面抵抗率は、好ましくは102Ω/sq未満、より好ましくは101Ω/sq未満である。第2の層の表面抵抗率が上記上限未満である場合、電磁波反射時の損失がより一層大きくなることから、電磁波シールド性能をより一層高めることができる。なお、第2の層の表面抵抗率の下限値は、特に限定されないが、例えば、10-3Ω/sqとすることができる。また、導電性の指標である表面抵抗率は、例えば、低抵抗率計を用いて測定することができる。
【0033】
本発明において、第1の層及び第2の層を備える樹脂成形体の密度は、好ましくは4.0g/cm3以下、より好ましくは3.5g/cm3以下である。樹脂成形体の密度が、上記上限以下である場合、軽量化効果をより一層高めることができる。なお、樹脂成形体の密度の下限値は、特に限定されないが、例えば、1.5g/cm3とすることができる。また、樹脂成形体の密度は、例えば、水中置換法により測定することができる。
【0034】
なお、本発明の樹脂成形体では、第1の層及び第2の層が、熱可塑性樹脂により構成されているので、軽量化を図ることができる。また、導電性材料が、後述する炭素材料である場合、より一層の軽量化を図ることができる。
【0035】
本発明においてIEC62333-2に準拠したマイクロストリップライン法にて、樹脂成形体における第1の層を伝送路に密着させて測定したときの伝送減衰率は、周波数10MHzにおいて好ましくは5dB以上、より好ましくは8dB以上である。
【0036】
本発明において、第1の層の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.5mm以上、3.0mm以下とすることができる。また、第2の層の厚みは、例えば、0.5mm以上、4.0mm以下とすることができる。
【0037】
以下、本発明の樹脂成形体を構成する材料の詳細について説明する。
【0038】
(第1の層)
第1の熱可塑性樹脂;
第1の熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、公知の熱可塑性樹脂を用いることができる。第1の熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリジメチルシロキサン、ポリカーボネート、ポリフェニルサルファイド、又はこれらのうち少なくとも2種の共重合体などが挙げられる。第1の熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
【0039】
第1の熱可塑性樹脂としては、弾性率の高い樹脂であることが好ましい。安価であり、加熱下の成形が容易であることから、ポリオレフィンがより好ましい。
【0040】
上記ポリオレフィンとしては、特に限定されず、公知のポリオレフィンを用いることができる。ポリオレフィンの具体例としては、エチレン単独重合体であるポリエチレン、エチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体などのポリエチレン系樹脂などが挙げられる。また、ポリオレフィンは、プロピレン単独重合体であるポリプロピレン、プロピレン-α-オレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂、ブテン単独重合体であるポリブテン、ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエンの単独重合体又は共重合体などであってもよい。これらのポリオレフィンは、単独で用いてもよく複数を併用してもよい。耐熱性や弾性率をより一層高める観点から、上記ポリオレフィンとしては、ポリプロピレンであることが好ましい。
【0041】
磁性材料;
磁性材料としては、特に限定されず、軟磁性を有する材料であれば特に限定されない。軟磁性を有する材料とは、磁場の影響下では強く磁化されるが、磁場の影響がない環境においては磁力をもたない材料のことである。磁性材料としては、例えば、フェライト、センダスト、パーマロイといった金属アロイを用いることができる。これらの磁性材料は単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
【0042】
磁性材料の含有量は、特に限定されないが、第1の熱可塑性樹脂100重量部に対し、好ましくは80重量部以上、より好ましくは100重量部以上である。磁性材料の含有量が、上記下限以上である場合、低周波数での電磁波吸収性をより一層高めることができる。なお、磁性材料の含有量の上限値は特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂100重量部に対し、300重量部とすることができる。
【0043】
なお、複数の磁性材料を併用する場合、例えば、第1の磁性材料としてのフェライトと、第2の磁性材料としてのセンダストとを併用してもよい。また、第1の磁性材料としてのフェライトと、第2の磁性材料としてのパーマロイとを併用してもよい。なお、第1の磁性材料及び第2の磁性材料は、上記の組み合わせに限定されるものではなく、他の組み合わせを用いてもよい。
【0044】
(第2の層)
第2の熱可塑性樹脂;
第2の熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、上述の第1の熱可塑性樹脂の欄で説明した熱可塑性樹脂を用いることができる。生産性をより一層高め製造コストをより一層低減する観点からは、第2の熱可塑性樹脂及び第1の熱可塑性樹脂は、同じ熱可塑性樹脂であることが好ましい。もっとも、第2の熱可塑性樹脂及び第1の熱可塑性樹脂は、異なる熱可塑性樹脂であってもよい。
【0045】
導電性材料;
導電性材料としては、特に限定されないが、黒鉛、カーボンブラック、又はカーボンナノチューブであることが好ましい。このような導電性材料を用いる場合、導電性材料を高充填させた場合でも、より一層低密度で軽量な樹脂成形体とすることができる。また、ステンレス繊維などの金属繊維であってもよい。これらの導電性材料は、単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
【0046】
導電性材料の含有量は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂100重量部に対し、好ましくは80重量部以上、より好ましくは100重量部以上である。導電性材料の含有量が、上記下限以上である場合、高周波数での電磁波遮蔽性をより一層高めることができる。また、導電性材料の含有量の上限値は、特に限定されないが、例えば、300重量部とすることができる。
【0047】
また、複数の導電性材料を併用する場合、粒径又は繊維長が5μm以上である第1の導電性材料と、粒径又は繊維長が1μm以下である第2の導電性材料とを併用するといったように大きく粒径(繊維長)が異なる材料を併用することが好ましい。粒径(繊維長)が異なる材料を併用することで大粒径の(繊維長の長い)導電性材料の隙間を小粒径の(繊維長の短い)導電性材料が効率よく埋めることにより、より一層良好な電磁波遮蔽性を発現することができる。
【0048】
また、第2の熱可塑性樹脂100重量部に対する第1の導電性材料の含有量は、65重量部以上が好ましく、90重量部以上がより好ましく、230重量部以下が好ましく、200重量部以下がより好ましい。また、第2の熱可塑性樹脂100重量部に対する第2の導電性材料の含有量は、5重量部以上が好ましく、10重量部以上がより好ましく、70重量部以下が好ましく、60重量部以下がより好ましい。各導電性材料の含有量が上記下限値以上である場合、電磁波遮蔽性をより一層高めることができる。各導電性材料の含有量が上記上限値以下である場合、より一層良好な成形性と強度を保つことができる。
【0049】
複数の導電性材料を併用する例として、第1の導電性材料としての黒鉛と、第2の導電性材料としてのカーボンブラックを組み合わせて用いることが好ましい。この場合、熱可塑性樹脂100重量部に対し、黒鉛の含有量が、90重量部以上、200重量部以下であり、カーボンブラックの含有量が、10重量部以上、60重量部以下であることが好ましい。このように、第1の導電性材料としての黒鉛と、第2の導電性材料としてのカーボンブラックを組み合わせて用いることにより、電磁波シールド性能をより一層高めることができる。もっとも、第1の導電性材料及び第2の導電性材料は、上記の組み合わせに限定されるものではなく、他の組み合わせを用いてもよい。例えば、第1の導電性材料としての黒鉛と、第2の導電性材料としてのカーボンナノチューブとを組み合わせて用いてもよい。また、第1の導電性材料としての黒鉛と、第2の導電性材料としてのステンレス繊維などの金属繊維とを組み合わせて用いてもよい。
【0050】
なお、上記粒径又は繊維長は、例えば、黒鉛の場合は、体積平均粒子径である。カーボンブラックの場合は、一次粒子径である。また、カーボンナノチューブや金属繊維の場合は、繊維長である。
【0051】
上記黒鉛の形状は、特に限定されない。電磁波遮蔽性をより一層高める観点からは、板状黒鉛であることが好ましい。また、黒鉛の体積平均粒子径は、10μm以上、350μm以下であること好ましい。黒鉛の体積平均粒子径が、上記下限以上である場合、電磁波シールド性及び放熱性をより一層高めることができる。他方、板状黒鉛の体積平均粒子径が、上記上限以下である場合、樹脂成形体の耐衝撃性をより一層高めることができる。なお、異なる粒径の黒鉛粒子を2種類以上組み合わせて使用してもよい。
【0052】
また、本発明において、黒鉛の体積平均粒子径とは、JIS Z 8825:2013に準拠し、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて、レーザー回折法により、体積基準分布で算出した値をいう。
【0053】
カーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラックなどのオイルファーネスブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、サーマルブラックなどを用いることができる。なかでも、樹脂成形体の電磁波シールド性能をより一層高める観点から、オイルファーネスブラックが好ましい。また、カーボンブラックは、Fe、Niなどの金属不純物を含有していてもよい。
【0054】
上記カーボンブラックのDBP吸油量は、100ml/100g以上、600ml/100g以下であることが好ましい。カーボンブラックのDBP吸油量が上記下限以上である場合、樹脂成形体の電磁波シールド性をより一層高めることができる。カーボンブラックのDBP吸油量が上記上限以下である場合、混錬時の凝集を防ぎ安定性をより一層向上させることができる。
【0055】
なお、本発明において、カーボンブラックのDBP吸油量は、JIS K 6217-4に準拠して測定することができる。DBP吸油量は、例えば、吸収量測定器(あさひ総研社製、品番「S-500」)を用いて測定することができる。
【0056】
カーボンブラックの一次粒子径は、好ましくは35nm以上、より好ましくは38nm以上、好ましくは50nm以下、より好ましくは45nm以下である。カーボンブラックの一次粒子径が上記範囲内である場合、より一層低濃度のカーボンブラック含有量でより一層高い電磁波シールド性能を得ることができる。
【0057】
なお、カーボンブラックの一次粒子径は、例えば、透過型電子顕微鏡により得られたカーボンブラックの画像データを用いて求めた平均一次粒子径である。透過型電子顕微鏡としては、例えば、日本電子社製、製品名「JEM-2200FS」を用いることができる。
【0058】
カーボンナノチューブの繊維長は、好ましくは0.1μm以上、好ましくは1.0μm以下、より好ましくは0.8μm以下である。また、カーボンナノチューブの直径は、好ましくは8.0nm以上、より好ましくは10nm以上、好ましくは50nm以下、より好ましくは40nm以下である。カーボンナノチューブの繊維長及び直径が、上記範囲内にある場合、より一層高い電磁波シールド性能を得ることができる。
【0059】
カーボンナノチューブの繊維長や直径は、例えば、透過型電子顕微鏡により得られたカーボンナノチューブの画像データを用いて求めた平均値である。透過型電子顕微鏡としては、例えば、日本電子社製、製品名「JEM-2200FS」を用いることができる。
【0060】
金属繊維としては、例えば、ステンレス繊維、アラミド繊維に銅などの金属被膜を施した金属繊維が挙げられる。なかでも、樹脂成形体の電磁波シールド性能をより一層高める観点から、ステンレス繊維が好ましい。
【0061】
金属繊維の繊維長は、好ましくは2mm以上、より好ましくは4mm以上、好ましくは12mm以下、より好ましくは10mm以下である。また、金属繊維の直径は、好ましくは5μm以上、より好ましくは7μm以上、好ましくは80μm以下、より好ましくは60μm以下である。金属繊維の繊維長及び直径が、上記範囲内にある場合、より一層高い電磁波シールド性能を得ることができる。
【0062】
金属繊維の繊維長や直径は、例えば、透過型電子顕微鏡により得られた金属繊維の画像データを用いて求めた平均値である。透過型電子顕微鏡としては、例えば、日本電子社製、製品名「JEM-2200FS」を用いることができる
【0063】
(他の添加剤)
第1の層及び第2の層には、それぞれ、任意成分として様々な添加剤が添加されていてもよい。添加剤としては、例えば、フェノール系、リン系、アミン系、イオウ系などの酸化防止剤;ベンゾトリアゾール系、ヒドロキシフェニルトリアジン系などの紫外線吸収剤;金属害防止剤などが挙げられる。また、添加剤は、ヘキサブロモビフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテルなどのハロゲン化難燃剤;ポリリン酸アンモニウム、トリメチルフォスフェートなどの難燃剤;各種充填剤;帯電防止剤;安定剤;顔料などであってもよい。これらは、単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
【0064】
(製造方法)
本発明の樹脂成形体は、例えば、以下の方法により製造することができる。
【0065】
まず、第1の熱可塑性樹脂及び磁性材料粉末を含む第1の樹脂組成物と、第2の熱可塑性樹脂及び導電性材料粉末を含む第2の樹脂組成物を用意する。第1の樹脂組成物及び第2の樹脂組成物中には、上述したさまざまな材料がさらに含まれていてもよい。第1の樹脂組成物及び第2の樹脂組成物中においては、それぞれ、熱可塑性樹脂中に各材料粉末が分散されていることが好ましい。この場合、得られる樹脂成形体の電磁波シールド性をより一層高めることができる。
【0066】
熱可塑性樹脂中に各材料粉末を分散させる方法については、特に限定されないが、熱可塑性樹脂を加熱溶融させて各材料粉末と混練する方法が挙げられる。この方法によって、より一層均一に分散させることができる。
【0067】
上記混練方法については、特に限定されないが、例えば、プラストミルなどの二軸スクリュー混練機、ニーダー混錬機、単軸押出機、二軸押出機、二軸一軸押出機、二軸テーパー押出機、フィーダールーダー押出機、プランジャー押出機、バンバリーミキサー、ロールなどの混練装置を用いて、加熱下において混練する方法などが挙げられる。これらのなかでも、押出機を用いて溶融混練する方法が好ましい。
【0068】
次に、用意した第1の樹脂組成物及び第2の樹脂組成物を、例えば、多色射出成形、インサート成形、サンドイッチ成形等により積層させるなどの方法によって、樹脂成形体を得ることができる。
【0069】
なお、第1の樹脂組成物及び第2の樹脂組成物を成形するに際しては、射出成形により目的とする第1の層及び第2の層を一体成形することが好ましい。この場合、加工工数をより一層少なくすることができる。射出成形により目的とする第1の層及び第2の層を一体成形する方法としては、上述の多色射出成形、インサート成形、サンドイッチ成形が挙げられる。
【0070】
このように、本発明の樹脂成形体においては、目的とする用途に応じて、物性を適宜調整することができる。
【0071】
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明の効果を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0072】
(実施例1)
第1の熱可塑性樹脂としてポリプロピレン(PP)100重量部と、磁性材料としてフェライト粉末150重量部とを、ラボプラストミル(東洋精機社製、品番「R100」)を用いて、200℃で溶融混練することにより第1の樹脂組成物を得た。また、第2の熱可塑性樹脂としてのポリプロピレン(PP)100重量部と、導電性材料として板状黒鉛粉末150重量部とを、ラボプラストミルを用いて、200℃で溶融混練することにより第2の樹脂組成物を得た。得られた第1の樹脂組成物及び第2の樹脂組成物を、樹脂組成物の温度230℃、金型の温度40℃にて二色射出成形し積層することで、第1の層及び第2の層を備え、縦300mm×横300mm×厚み3mmの樹脂成形体を得た。なお、各樹脂層(第1の層及び第2の層)の厚みはいずれも1.5mmである。ポリプロピレンとしては、日本ポリプロ社製、商品名「BC10HRF」を用いた。フェライト粉末としてパウダーテック社製、商品名「EF-P」を用いた。板状黒鉛粉末としては、日本黒鉛社製、商品名「F♯2」(平均粒子径140μm)を用いた。
【0073】
(実施例2)
第1の導電性材料としての板状黒鉛の含有量を100重量部とし、さらに第2の導電性材料としてのカーボンブラック(ライオン社製、商品名「EC300J」、一次粒子径40nm)30重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂成形体を得た。
【0074】
(実施例3)
磁性材料としてセンダスト粉末(エプソンアトミックス社製、商品名「SENDUST ALLOY T PF-18F」)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして樹脂成形体を得た。
【0075】
(実施例4)
磁性材料としてパーマロイ粉末(エプソンアトミックス社製、商品名「50%FE-50%NI PF-20F」)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして樹脂成形体を得た。
【0076】
(実施例5)
第2の導電性材料としてカーボンブラックの代わりに、カーボンナノチューブ(CNT、三菱商事社製、商品名「デュロビーズ」、繊維長0.8μm、直径12nm)10重量部を用いたこと以外は、実施例4と同様にして樹脂成形体を得た。
【0077】
(実施例6)
第2の導電性材料としてカーボンブラックの代わりに、ステンレス繊維(日本精線社製、ナスロンSUS304、繊維長8mm、直径50μm)10重量部を用いたこと以外は、実施例2と同様にして樹脂成形体を得た。
【0078】
(実施例7)
第2の導電性材料としてカーボンブラックの代わりに、ステンレス繊維(日本精線社製、ナスロンSUS304、繊維長8mm、直径50μm)10重量部を用いたこと以外は、実施例3と同様にして樹脂成形体を得た。
【0079】
(実施例8)
第2の導電性材料としてカーボンブラックの代わりに、ステンレス繊維(日本精線社製、ナスロンSUS304、繊維長8mm、直径50μm)10重量部を用いたこと以外は、実施例4と同様にして樹脂成形体を得た。
【0080】
(実施例9)
第1の磁性材料としてのフェライト粉末の含有量を60重量部とし、さらに第2の磁性材料としてのセンダスト粉末(エプソンアトミックス社製、商品名「SENDUST ALLOY T PF-18F」)60重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂成形体を得た。
【0081】
(実施例10)
第1の磁性材料としてのフェライト粉末の含有量を60重量部とし、さらに第2の磁性材料としてのパーマロイ粉末(エプソンアトミックス社製、商品名「50%FE-50%NI PF-20F」)60重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂成形体を得た。
【0082】
(実施例11)
第1の磁性材料としてのフェライト粉末の含有量を60重量部とし、さらに第2の磁性材料としてのセンダスト粉末(エプソンアトミックス社製、商品名「SENDUST ALLOY T PF-18F」)60重量部を用いたこと以外は、実施例2と同様にして樹脂成形体を得た。
【0083】
(実施例12)
熱可塑性樹脂としてアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS、旭化成社製、商品名「スタイラック181」)を用いたこと以外は、実施例11と同様にして樹脂成形体を得た。
【0084】
(実施例13)
熱可塑性樹脂としてポリアミド(PA、東レ社製、商品名「アミランCM1007」)を用いたこと以外は、実施例11と同様にして樹脂成形体を得た。
【0085】
(比較例1)
熱可塑性樹脂としてポリプロピレン(PP)100重量部と、磁性材料としてフェライト粉末150重量部とを、ラボプラストミル(東洋精機社製、品番「R100」)を用いて、200℃で溶融混練することにより樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、樹脂組成物の温度230℃、金型の温度40℃にて射出成形することで、縦300mm×横300mm×厚み3mmの樹脂成形体を得た。ポリプロピレンとしては、日本ポリプロ社製、商品名「BC10HRF」を用いた。フェライト粉末としてパウダーテック社製、商品名「EF-P」を用いた。
【0086】
(比較例2)
磁性材料の代わりに、導電性材料として板状黒鉛粉末(日本黒鉛社製、商品名「F♯2」)150重量部を用いたこと以外は、比較例1と同様にして樹脂成形体を得た。
【0087】
(比較例3)
熱可塑性樹脂としてポリプロピレン(PP)100重量部と、磁性材料としてフェライト粉末60重量部と、導電性材料として板状黒鉛粉末60重量部とを、ラボプラストミル(東洋精機社製、品番「R100」)を用いて、200℃で溶融混練することにより樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、樹脂組成物の温度230℃、金型の温度40℃にて射出成形することで、縦300mm×横300mm×厚み3mmの樹脂成形体を得た。ポリプロピレンとしては、日本ポリプロ社製、商品名「BC10HRF」を用いた。フェライト粉末としてパウダーテック社製、商品名「EF-P」を用いた。板状黒鉛粉末としては、日本黒鉛社製、商品名「F♯2」(平均粒子径140μm)を用いた。
【0088】
(比較例4)
熱可塑性樹脂としてのポリプロピレン(PP)100重量部と、導電性材料としての板状黒鉛粉末60重量部とを、ラボプラストミル(東洋精機社製、品番「R100」)を用いて、200℃で溶融混練することにより樹脂組成物を得た。金属材料として、パーマロイ粉末をプレス機で押し固めたのち、1000℃で焼成することで、厚み1.5mmのパーマロイ平板成形体を得た。パーマロイ平板成形体を金型内にインサートし、得られた樹脂組成物を、樹脂組成物の温度230℃、金型の温度40℃にて射出成形することで、縦300mm×横300mm×厚み3mmの金属樹脂一体成形体を得た。ポリプロピレンとしては、日本ポリプロ社製、商品名「BC10HRF」を用いた。板状黒鉛粉末としては、日本黒鉛社製、商品名「F♯2」(平均粒子径140μm)を用いた。パーマロイ粉末としては、エプソンアトミックス社製、品種名「Fe-50%Ni PF-20F」を用いた。
【0089】
(評価)
実施例及び比較例で得られた樹脂成形体について、以下の評価を行った。結果を下記の表1及び表2に示す。
【0090】
<周波数10MHzにおける磁界シールド性能>
樹脂成形体の周波数10MHzにおける磁界シールド性能(単位;dB)は、電磁波シールド効果測定用冶具MA8602B(アンリツ社製)を用いてKEC法(KEC:「KEC関西電子工業振興センター」の略称)により測定した。計測機器としては、アジレントテクノロジー社製、品番「スペクトラムアナライザ N9000A」を用いた。
【0091】
<周波数1GHzにおける電界シールド性能>
樹脂成形体の周波数1GHzにおける電界シールド性能(単位;dB)は、シールド特性測定用冶具2焦点型扁平空洞(Dual-Focus Flat Cavity:DFFC)(サンケン社製)を用いて測定した。計測機器としては、アジレントテクノロジー社製、品番「コンポーネントアナライザ N4375D」を用いた。
【0092】
<周波数10MHzにおける複素比透磁率の実数部μ’>
実施例の第1の層、比較例の磁性材料を含む樹脂層および比較例の金属層の周波数10MHzにおける複素比透磁率の実数部μ’は、マテリアルインピーダンスアナライザ(アジレントテクノロジー社製、品番「E4991A」)を用いて測定した。
【0093】
<表面抵抗率>
実施例の第2の層及び比較例の導電性材料を含む樹脂層の表面抵抗率は、低抵抗率計(三菱ケミカルアナリテック社製、品番「ロレスタ-GP MCP-T610」)により室温、大気中にて測定した。
【0094】
<密度>
樹脂成形体の密度は、水中置換法により高精度電子比重計(ALFAMIRAGE社製、商品名「MDS-300」)を用いて測定した。
【0095】
<周波数10MHzにおける伝送減衰率>
樹脂成形体の周波数10MHzにおける伝送減衰率(単位;dB)は、IEC62333-2に準拠したマイクロストリップライン法により測定した。伝送減衰率は、樹脂成形体における第1の層を伝送路に密着させて測定した。計測機器としては、アジレントテクノロジー社製、品番「ネットワークアナライザ N5222A」を用いた。
【0096】
【0097】
【符号の説明】
【0098】
1…樹脂成形体
2…第1の層
2a…主面
3…第2の層