(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】保冷ボックスの姿勢修正装置および姿勢修正方法
(51)【国際特許分類】
B65G 47/22 20060101AFI20230516BHJP
B65B 43/26 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
B65G47/22
B65B43/26 B
(21)【出願番号】P 2019099919
(22)【出願日】2019-05-29
【審査請求日】2022-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】507157713
【氏名又は名称】物産ロジスティクスソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】竹村 尊仁
(72)【発明者】
【氏名】羽田 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】河村 浩介
(72)【発明者】
【氏名】土屋 欣彦
(72)【発明者】
【氏名】梶井 良久
(72)【発明者】
【氏名】久保田 一
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-257517(JP,A)
【文献】特開2000-233824(JP,A)
【文献】特開2003-104551(JP,A)
【文献】特開2015-020846(JP,A)
【文献】特開平10-120156(JP,A)
【文献】特開2006-117402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B43/00-43/62
B65D6/00-13/02
B65G47/22-47/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行に設けられ、拡縮方向に相対変位可能な第1および第2側板と、前記第1側板において、対向する一対の第1縁部の近傍にそれぞれ回動可能に連結された回動側板と、前記第1側板において前記一対の第1縁部の間に位置する第2縁部に回動可能に連結された底板とを備え、組立て状態では、前記回動側板と前記底板が前記第1および第2側板に対して垂直状態に定められることにより箱形を呈する保冷ボックスを、折畳まれた状態で、組立て部へ搬送するために所定の姿勢に定める姿勢修正装置であって、
折畳み状態の複数の保冷ボックスを段積み状態で保持する保冷ボックス保持部と、
前記保冷ボックス保持部から供給された複数の保冷ボックスから1つの保冷ボックスを取出し、支持台上に載置する段バラシ部と、
前記支持台上に載置された保冷ボックスの姿勢を検出し、その姿勢に応じた検出信号を出力する方向検出部と、
保冷ボックスが所定方向を向いた状態で前記組立て部へ搬送されるように、前記検出信号に基づいて、保冷ボックスの水平面内における向きを転換させる方転部と、
前記第1側板が前記第2側板より上方に位置する状態で保冷ボックスが前記組立て部に搬入されるように、前記検出信号に基づいて、保冷ボックスの表裏を反転させる反転部と
を備えることを特徴とする保冷ボックスの姿勢修正装置。
【請求項2】
平行に設けられ、拡縮方向に相対変位可能な第1および第2側板と、前記第1側板において、対向する一対の第1縁部の近傍にそれぞれ回動可能に連結された回動側板と、前記第1側板において前記一対の第1縁部の間に位置する第2縁部に回動可能に連結された底板とを備え、組立て状態では、前記回動側板と前記底板が前記第1および第2側板に対して垂直状態に定められることにより箱形を呈する保冷ボックスを、折畳まれた状態で、組立て部へ搬送するために所定の姿勢に定める姿勢修正方法であって、
折畳み状態で段積みされている複数の保冷ボックスから1つの保冷ボックスを取出し、支持台上に載置する段バラシ工程と、
前記支持台上に載置された保冷ボックスの姿勢を検出し、その姿勢に応じた検出信号を出力する方向検出工程と、
保冷ボックスが所定方向を向いた状態で前記組立て部へ搬送されるように、前記検出信号に基づいて、保冷ボックスの水平面内における向きを転換させる方転工程と、
前記第1側板が前記第2側板より上方に位置する状態で保冷ボックスが前記組立て部に搬入されるように、前記検出信号に基づいて、保冷ボックスの表裏を反転させる反転工程と
を備えることを特徴とする保冷ボックスの姿勢修正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍食品等を工場から各店舗へ輸送するときに用いられる保冷ボックスを折畳み状態から自動的に組み立てるために、保冷ボックスの姿勢を修正する装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、保冷ボックスの組立ては、工場において冷凍食品等を箱詰めするときに、人手により行われている。すなわち、保冷ボックスは折畳み状態で段積みされており、作業員は保冷ボックスを1つずつ取出し、一対の側板を開放させた後、内側に折り畳まれている一対の回動側板と底板を外側へ広げて箱形に成形する。なお、保冷ボックスではないが、折畳み式コンテナを組み立てる装置として、特許文献1に開示されたものが従来知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷凍食品等を取り扱う工場内の気温は零下であり、このような環境で保冷ボックスを折畳み状態から組み立てる作業は非常に苛酷である。
【0005】
本発明は、折畳み状態の保冷ボックスを自動的に箱形に組み立てることのできる保冷ボックスの組立て装置に適用可能であり、折畳み状態の保冷ボックスの姿勢を修正する姿勢修正装置および姿勢修正方法を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、平行に設けられ、拡縮方向に相対変位可能な第1および第2側板と、第1側板において、対向する一対の第1縁部の近傍にそれぞれ回動可能に連結された回動側板と、第1側板において一対の第1縁部の間に位置する第2縁部に回動可能に連結された底板とを備え、組立て状態では、回動側板と底板が第1および第2側板に対して垂直状態に定められることにより箱形を呈する保冷ボックスを、折畳まれた状態で、組立て部へ搬送するために所定の姿勢に定める姿勢修正装置である。この保冷ボックスの姿勢修正装置は、折畳み状態の複数の保冷ボックスを段積み状態で保持する保冷ボックス保持部と、保冷ボックス保持部から供給された複数の保冷ボックスから1つの保冷ボックスを取出し、支持台上に載置する段バラシ部と、支持台上に載置された保冷ボックスの姿勢を検出し、その姿勢に応じた検出信号を出力する方向検出部と、保冷ボックスが所定方向を向いた状態で組立て部へ搬送されるように、検出信号に基づいて、保冷ボックスの水平面内における向きを転換させる方転部と、第1側板が第2側板より上方に位置する状態で保冷ボックスが組立て部に搬入されるように、検出信号に基づいて、保冷ボックスの表裏を反転させる反転部とを備えることを特徴としている。
【0007】
第2の発明は、平行に設けられ、拡縮方向に相対変位可能な第1および第2側板と、第1側板において、対向する一対の第1縁部の近傍にそれぞれ回動可能に連結された回動側板と、第1側板において一対の第1縁部の間に位置する第2縁部に回動可能に連結された底板とを備え、組立て状態では、回動側板と底板が第1および第2側板に対して垂直状態に定められることにより箱形を呈する保冷ボックスを、折畳まれた状態で、組立て部へ搬送するために所定の姿勢に定める姿勢修正方法である。この保冷ボックスの姿勢修正方法は、折畳み状態で段積みされている複数の保冷ボックスから1つの保冷ボックスを取出し、支持台上に載置する段バラシ工程と、支持台上に載置された保冷ボックスの姿勢を検出し、その姿勢に応じた検出信号を出力する方向検出工程と、保冷ボックスが所定方向を向いた状態で組立て部へ搬送されるように、検出信号に基づいて、保冷ボックスの水平面内における向きを転換させる方転工程と、第1側板が第2側板より上方に位置する状態で保冷ボックスが組立て部に搬入されるように、検出信号に基づいて、保冷ボックスの表裏を反転させる反転工程とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、折畳み状態の保冷ボックスを自動的に箱形に組み立てることのできる保冷ボックスの組立て装置に適用可能であり、折畳み状態の保冷ボックスの姿勢を修正する姿勢修正装置および姿勢修正方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る保冷ボックスの姿勢修正装置およびその方法において処理される保冷ボックスの一例を示し、その保冷ボックスの折畳み状態を示す平面図である。
【
図2】
図1に示す保冷ボックスの組立て状態を示す図である。
【
図3】保冷ボックスの組立て装置を概略的に示す平面図である。
【
図4】保冷ボックス保持部と段バラシ部と方向検出部と方転部を示す側面図である。
【
図5】段バラシ部を示す側面図であり、(a)はローラコンベヤが初期位置に定められた状態、(b)はローラコンベヤが把持位置に定められた状態、(c)はローラコンベヤが初期位置へ戻った状態を示す。
【
図6】方転部と反転部と組立て部を示す側面図である。
【
図8】組立て部を示し、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【
図9】保冷ボックスの組立て装置の作用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図示された実施形態を参照して本発明に係る保冷ボックスの姿勢修正装置およびその方法を説明する。
図1、2は本発明において処理される保冷ボックスを示している。
図1は折畳み状態にある保冷ボックスを示し、符号(a)は保冷ボックスを上方から見た図、符号(b)は保冷ボックスを前方すなわち開口部側から見た図、符号(c)は保冷ボックスを側方から見た図である。
図2は組立て状態にある保冷ボックスを示し、符号(a)は保冷ボックスを開口部から見た図、符号(b)は保冷ボックスを側方から見た図である。
【0011】
保冷ボックス10は第1および第2側板11、12と一対の回動側板13と底板14と蓋15とを有する。
図1に示す折畳み状態では、蓋15が最上段に位置し、最下部に第2側板12が位置する。第1側板11は蓋15の下側にあり、第1側板11と第2側板12の間に一対の回動側板13と底板14が挟まれる。底板14は第1側板11の直ぐ下側にあり、一対の回動側板13は底板14と第2側板12の間にある。後述するように保冷ボックス10は、第1側板11が第2側板12より上方に位置する状態で組立て部70(
図3参照)に搬入され、組立てられる。
【0012】
第1および第2側板11、12は平行に設けられ、拡縮方向に相対変位可能である。第1側板11において、対向する一対の第1縁部16には、第1縁部16に沿って延びる細板17が固定され、各細板17には回動側板13が枢着される。すなわち第1側板11において対向する一対の第1縁部16の近傍にはそれぞれ、回動側板13が回動可能に連結される。
【0013】
第1側板11において一対の第1縁部16の間に位置する第2縁部18には、底板14が回動可能に連結される。また第2縁部18とは反対側に位置する第3縁部19の近傍には、蓋15が回動可能に連結され、第3縁部19側において、第1側板11と第2側板12の間は開口部23である。一方、第2側板12の外面には取手21が取付けられる。
【0014】
後述するように保冷ボックス10の組立て作業では、第2側板12が把持された状態で、上側保持部材71(
図8参照)により第1側板11が持ち上げられ、これにより蓋15と第1側板11と細板17とが第2側板12に対して上昇する。そして、揺動部材78(
図8参照)が保冷ボックスの開口部23から内部に進入するとともに揺動して、一対の回動側板13を下方へ回動させ(
図2(a)の破線B1)、これにより回動側板13は第1側板11に対して垂直になる。また当接部材79(
図8参照)が保冷ボックスの内部に進入して底板14を押圧し、これにより底板14も第1側板11に対して垂直になる(
図2(b)の破線B2)。
【0015】
このようにして組立てられた保冷ボックス10は、一対の回動側板13と底板14が第1および第2側板11、12に対して垂直状態に定められ、箱形を呈する。保冷ボックスの各外面、すなわち第1および第2側板11、12と一対の回動側板13と底板14の外面は保護シート22により被覆される。保護シート22は比較的柔軟な断熱材シートであり、折畳み状態では、内側へ折り込まれ、その一部が第2側板12と回動側板13の間に挟み込まれる(
図1(b)参照)。保護シート22の外面であって、回動側板13と第2側板12の間において内側に折れ曲る部分には、面ファスナ(図示せず)が設けられており、面ファスナが接着することにより、保冷ボックスの折畳み状態が保持される。
【0016】
図3を参照して保冷ボックス10の組立て装置の概略的な構成を説明する。
組立て装置は、保冷ボックス保持部25と段バラシ部30と方向検出部40と方転部50と反転部60と組立て部70とを備える。保冷ボックス保持部25では、人手により、折畳み状態の保冷ボックス10が1つずつローラコンベヤ26(
図4参照)の上に段積みされる。このとき、保冷ボックス10は長手方向がローラコンベヤ26の移載方向(
図4の矢印方向)に沿うように載置されるが、その姿勢はランダムである。すなわち蓋15が上下のいずれに位置するか、また開口部23がローラコンベヤ26の移載方向に向かって左右のどちら側に位置するか不定である(
図4参照)。
【0017】
保冷ボックス保持部25に保持された段積み状態の複数の保冷ボックス10は段バラシ部30へ供給され、段バラシ部30において、1つの保冷ボックス10が取出される。方向検出部40では保冷ボックス10の姿勢に応じた検出信号が出力される。この検出信号に応じて、方転部50では、保冷ボックス10の水平面内における向きが転換され、反転部60では、保冷ボックス10の表裏が反転される。組立て部70はローラコンベヤ51の側方に組立て機構部99を配置して構成され、保冷ボックス10はローラコンベヤ51上において開口部23を組み立て装置99側に向けて載置され、組立て機構部99によって箱形に組み立てられ、次の工程へ送られる。
【0018】
図4は、保冷ボックス保持部25と段バラシ部30と方向検出部40と方転部50の配列を示し、
図3において右方向から組立て装置を見た側面図である。
【0019】
保冷ボックス保持部25において保冷ボックス10の数が例えば8段になると、作業員により段バラシ部30へ移載される。段バラシ部30は保冷ボックス保持部25のローラコンベヤ26に連続するローラコンベヤ(支持台)31を有し、また、ローラコンベヤ31上に段積みされた複数の保冷ボックス10を囲繞する、上下方向に延びる枠体33を有する。ローラコンベヤ31は枠体33の下部に設けられ、エアシリンダ34により昇降駆動される。ローラコンベヤ31の上方には、保冷ボックス10を把持可能な一対の把持部材35が設けられる。把持部材35はローラコンベヤ31の搬送方向に延び、枠体33に取付けられた支持軸36を介して揺動自在である。支持軸36は把持部材35よりも上方に設けられ、把持部材35は枠体33に固定されたエアシリンダ37により揺動駆動される。一方、ローラコンベヤ31の方向検出部40側には、最下部にある保冷ボックス10が係止可能なストッパ38が設けられる。ストッパ38はエアシリンダ39により駆動され、ローラコンベヤ31よりも上方へ突出する上昇位置と、ローラコンベヤ31よりも下方へ退没する下降位置との間で昇降する。
【0020】
図5は段バラシ部30の作用を示している。
図5(a)はローラコンベヤ31が初期位置に定められた状態を示し、ストッパ38は上昇位置(
図4参照)に定められている。また一対の把持部材35は
図5(a)において破線で示すように開放位置にある。保冷ボックス10がローラコンベヤ31に移載されると、
図5(b)に示すように、エアシリンダ34が駆動されてローラコンベヤ31が把持位置まで上昇した後、一対の把持部材35が閉鎖して下から2段目の保冷ボックス10を把持する。そしてローラコンベヤ31が下降して初期位置へ戻るとともにストッパ38が下降し、これにより1つの保冷ボックス10が他の保冷ボックス10から分離されて、ローラコンベヤ31上に載置されたことになる。次いで、ローラコンベヤ31が駆動され、保冷ボックス10は方向検出部40(
図4参照)へ搬送される。その後、
図5(c)に示すように、ローラコンベヤ31は再び上昇して最下段の保冷ボックス10を支持する。そして把持部材35が開放するとともにローラコンベヤ31が下降して初期位置へ戻る。
【0021】
再び
図4を参照すると、方向検出部40は、初期位置にあるローラコンベヤ31に連続するローラコンベヤ(支持台)41と、ローラコンベヤ41上に載置された保冷ボックス10の姿勢を検出し、その姿勢に応じた検出信号を出力する第1および第2のセンサ42、43とを有する。第1のセンサ42は保冷ボックス10の開口部23の位置を検出する光学センサであり、開口部23がローラコンベヤ41の搬送方向に向かって左右のいずれを向いているかを検出し、その方向に応じた第1の検出信号を制御ユニット44に出力する。第2のセンサ43は保冷ボックス10の蓋15が上面に位置しているか否かを検出する光学センサであり、蓋15の有無に応じた第2の検出信号を制御ユニット44に出力する。なお第2のセンサ43は保冷ボックス10を上方から観察するために比較的高い位置にあることが必要であり、後述する方転部50の枠体52に取付けられる。
【0022】
方転部50は、保冷ボックス10が所定方向を向いた状態で組立て部70へ搬送されて組立て動作が正常に行えるよう、制御ユニット44から受信した第1の検出信号に基づいて保冷ボックス10の水平面内における向きを転換させる。組立て部70では、
図3に示すようにローラコンベヤ51の搬送方向に向かって左側に組立て機構部99が配設されており、後述するように保冷ボックス10は開口部23が組立て機構部99側を向いた状態で組み立てられる。したがって方転部50では、
図4において開口部23が左側(
図3では下側)に位置するように、保冷ボックス10は水平面内において90°回転変位する。
図4の例では、保冷ボックス10は上方から見て(すなわち
図3において)時計方向に90°回転する。
【0023】
保冷ボックス10を水平面内において回転させるため、方転部50の枠体52には回転テーブル53が設けられる。回転テーブル53は、モータ54によって回転駆動される回転軸55に固定され、初期位置から時計方向または反時計方向に90°回転可能である。回転テーブル53にはローラコンベヤ56が設けられ、回転テーブル53は、初期位置では、ローラコンベヤ56が方向検出部40のローラコンベヤ41に平行になるように定められる。
【0024】
枠体52には、方向検出部40から搬送されてきた保冷ボックス10を停止させるためのストッパ57が設けられる。ストッパ57は支持軸58を介して枠体52に揺動自在に支持され、ストッパ57の揺動端はエアシリンダ59のピストンに連結される。したがってエアシリンダ59が駆動されることにより、ストッパ57は揺動し、下降位置(
図4の破線)においてローラコンベヤ56上の保冷ボックス10が係止可能になる。また保冷ボックス10を反転部60に搬送するために回転テーブル53が回動するとき、ストッパ57は揺動して上昇位置(
図4の実線)に定められ、保冷ボックス10に干渉しなくなる。
【0025】
図6は方転部50と反転部60と組立て部70の配列を示し、
図3において下側から組立て装置を見た側面図であり、
図7は反転部60の正面図である。
反転部60の枠体61には、保冷ボックス10が載置されるローラコンベヤ62と、保冷ボックス10を反転させるためのバスケット63とが設けられる。バスケット63は保冷ボックス10を収容可能であり、また反転モータ64によって、ローラコンベヤ62の搬送方向に直交する水平軸周りに回転可能である。ローラコンベヤ62の上方には、保冷ボックス10をローラコンベヤ62からバスケット63側へ移載するための前方プッシャ65と後方プッシャ66が設けられる。これらのプッシャ65、66は移動フレーム67に固定され、移動フレーム67には、移動モータ68の出力軸により回動されるチェーン69が連結される。
【0026】
反転部60は、制御ユニット44から受信した第2の検出信号に基づいて、第1側板11が第2側板12より上方に位置する状態で保冷ボックス10が組立て部70に搬入されるように、保冷ボックス10の表裏を反転させる。すなわち、方転部50から反転部60へ搬送された保冷ボックス10において蓋15が上方にあるとき、この保冷ボックス10は反転される必要がなく、そのまま組立て部70へ送られる。これに対し反転部60へ搬送された保冷ボックス10において蓋15が下方にあるときは、移動モータ68が駆動され、後方プッシャ66が保冷ボックス10をバスケット63内へ送り込む。その後反転モータ64が駆動されて保冷ボックス10は蓋15が上方に位置するように反転され、前方プッシャ65により押圧されてバスケット63からローラコンベヤ62上へ移載される。
【0027】
このようにして姿勢が修正された保冷ボックス10は、組立て部70へ搬送され、ローラコンベヤ51上に載置された状態で組み立てられる。組立て部70では保冷ボックス10の組立てを行なうため、反転部60とは反対側に、保冷ボックス10が係止可能なストッパ90が設けられる。ストッパ90はエアシリンダ91により駆動され、ローラコンベヤ51よりも上方へ突出する上昇位置と、ローラコンベヤ51よりも下方へ退没する下降位置との間で昇降する。
【0028】
図8を参照して組立て部70の構成を説明する。
組立て部70において、ローラコンベヤ51の上方には、折畳み状態で供給された保冷ボックス10の第1側板11を保持するための一対の上側保持部材71が設けられる。
図8(a)、(b)に示すように、各上側保持部材71はそれぞれ、昇降枠72に回転自在に設けられた支持軸73に固定される。また支持軸73にはアーム74が固定され、アーム74はエアシリンダ75により揺動駆動され、これにより一対の上側保持部材71が揺動して開閉動作する。
図8(c)に示すように、昇降枠72は、固定枠76に取付けられたエアシリンダ77により昇降駆動される。
【0029】
またローラコンベヤ51の近傍であって上側保持部材71に対応した位置には、第2側板12を保持する一対の下側保持部材(図示せず)が設けられる。すなわちローラコンベヤ51上に折畳み状態の保冷ボックス10が供給されたとき、下側保持部材が第2側板12を保持する一方、上側保持部材71が第1側板11を保持する。そして、エアシリンダ77の作用により、一対の保持部材71が上昇することにより、第1側板11と蓋15は第2側板12から離間する。
【0030】
ローラコンベヤ51の側方に位置する組立て機構部99には、一対の揺動部材78と当接部材79とが設けられる。一対の揺動部材78は、ローラコンベヤ51上の保冷ボックス10に向かって延びる細長部材であり、後述するように、保冷ボックス10の開口部23から進入して、一対の回動側板13を半開状態から全開状態へ開放させる。また当接部材79は、保冷ボックス10の開口部23から進入して、底板14を半開状態から全開状態へ開放させる。
【0031】
各揺動部材78は、固定枠76に固定された支持体80に、それぞれ支持軸81を介して揺動自在に支持される。すなわち各支持軸81には揺動アーム82が固定され、揺動部材78は、揺動アーム82の先端に設けられ、揺動アーム82に対して垂直方向に延びる。また各支持軸81には、支持管83がスプライン結合しており、支持管83には、エアシリンダ84により揺動駆動される連結アーム85が固定される。揺動部材78と支持軸81と揺動アーム82は、エアシリンダ86により、支持管83に対して進退動する。なお、各エアシリンダ84は支持体80の上面に設けられた支柱87により支持され、同時に駆動される。
【0032】
当接部材79は、支持体80の下面に固定部材88を介して取付けられたエアシリンダ89により、直線的に往復駆動される。
図8(b)において破線で示すように、揺動部材78は保冷ボックス10の開口部23の近傍まで進入するのに対し、当接部材79はローラコンベヤ51上の保冷ボックス10の最も深い部位、すなわち底部まで前進可能である。
【0033】
次に、本実施形態の作用を説明する。
段バラシ部30では、段積みされた複数の保冷ボックス10から1つの保冷ボックス10が取出される。方向検出部40では保冷ボックス10の姿勢に応じて第1および第2の検出信号が出力される。方転部50では、第1の検出信号に応じて、保冷ボックス10の水平面内における向きが転換され、保冷ボックス10が組立て部70に到達したときに開口部23が組立て機構部99側を向くように定められる。反転部60では、第2の検出信号に応じて、第1側板11が第2側板12よりも上方に位置する状態で保冷ボックス10が組立て部70へ搬送されるように、保冷ボックス10が反転される。
【0034】
組立て部70では、
図9において符号(a)~(k)で示される順序に従って組立て作業が行われる。すなわち、ストッパ90が上昇位置に定められた状態で保冷ボックス10がローラコンベヤ51上を搬送され(符号(a))、ストッパ90に当接する位置において停止する(符号(b))。その後、保持部材71が下降し(符号(c))、ローラコンベヤ51上にある折畳み状態の保冷ボックス10の第1側板11を保持する(符号(d))。
【0035】
保持部材71が上昇することにより、第1側板11と蓋15が上昇して第2側板12から離間する(符号(e))。一方揺動部材78は、保冷ボックス10の開口部23に近接した位置に待機しており、保持部材71が上昇位置に定められると、保冷ボックス10内に進入する(符号(f))。次いで、揺動部材78は回動側板13を下方へ揺動させ、第1側板11に対して垂直状態に定める(符号(g))。なお、このとき当接部材79は保冷ボックス10の開口部23に近接した位置に待機している。
【0036】
揺動部材78が回動側板13を垂直状態に定めた後、当接部材79が前進して保冷ボックス10の底板14を押圧し、第1側板11に対して垂直状態に定める(符号(h))。この後、当接部材79は保冷ボックス10の外まで後退し、また揺動部材78は上方へ揺動する(符号(i))。そして、揺動部材78が保冷ボックス10の外まで後退するとともに、保持部材71が開放して保冷ボックス10から離間する(符号(j))。またストッパ90がローラコンベヤ51よりも下方へ退没し(符号(k))、これにより保冷ボックス10はローラコンベヤ51から排出可能になる。
【0037】
以上のように本実施形態では、保持部材71により第1側板11が持ち上げられ、第2側板12から離間して広げられた保冷ボックス10の開口部23から、揺動部材78と当接部材79が進入して、底板14と回動側板13を半開状態から全開状態へ開放させている。これにより第1および第2側板11、12と一対の回動側板13と底板14とが所定の箱形に成形される。
【0038】
したがって本実施形態によれば、人手を介することなく、折畳み状態の保冷ボックスを自動的に箱形に組み立てることができる。
【0039】
また本実施形態では、保冷ボックス保持部25において保冷ボックス10の姿勢がランダムであっても、方転部50と反転部60において、その姿勢が修正されて組立て部70へ供給され、自動的に箱形に組み立てられる。このような保冷ボックス10を組立てる工場は通常、マイナス26℃を超える過酷な労働環境にあるが、本実施形態によれば人手による作業を大幅に削減できる。
【0040】
なお上記実施形態では、段バラシ部30では段積みされた複数の保冷ボックスにおいて最下段の保冷ボックスを取出しているが、最上段の保冷ボックスを取出すようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
10 保冷ボックス
11 第1側板
12 第2側板
13 回動側板
14 底板
16 第1縁部
18 第2縁部
25 保冷ボックス保持部
30 段バラシ部
31 ローラコンベヤ(支持台)
40 方向検出部
41 ローラコンベヤ(支持台)
50 方転部
60 反転部