(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】蒸気供給システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/20 20200101AFI20230516BHJP
A24F 40/485 20200101ALI20230516BHJP
【FI】
A24F40/20
A24F40/485
(21)【出願番号】P 2021544360
(86)(22)【出願日】2020-02-05
(86)【国際出願番号】 GB2020050257
(87)【国際公開番号】W WO2020161489
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-09-28
(32)【優先日】2019-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ポッター, マーク
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/083037(WO,A1)
【文献】特表2019-533454(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0120224(US,A1)
【文献】特表2013-521818(JP,A)
【文献】特表2019-522963(JP,A)
【文献】国際公開第2011/117580(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる吸引のために蒸気が生成される蒸気生成領域から、前記蒸気に香料を付与するための香料付与媒体を受容する香料付与領域まで延びる空気経路を備えるエアロゾル供給システムであって、
前記蒸気生成領域における前記空気経路の第1の断面エリアは、前記空気経路が前記香料付与領域に入る前記空気経路の第2の断面エリアよりも小さ
く、
前記空気経路に垂直である第1の方向における前記空気経路の大きさが、前記蒸気生成領域から前記香料付与領域へと、前記空気経路に垂直である第2の方向における前記空気経路の大きさよりも大きく増加している、エアロゾル供給システム。
【請求項2】
前記第2の断面エリアに対する前記第1の断面エリアの比が、0.2~0.8の範囲、0.3~0.7の範囲及び0.4~0.6の範囲よりなる群から選択された範囲内にある、請求項1に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項3】
前記第2の方向における前記空気経路の大きさは、前記蒸気生成領域及び前記香料付与領域において実質的に同じである、請求項
1に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項4】
前記蒸気生成領域における前記空気経路が、円形形状、楕円形状、多角形形状、及び丸みを帯びた多角形形状よりなる群から選択された形状を有する、請求項1~
3のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項5】
前記香料付与媒体に入る前記空気経路が、円形形状、楕円形状、多角形形状、及び丸みを帯びた多角形形状よりなる群から選択された形状を有する、請求項1~
4のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項6】
前記空気経路の断面エリアが、前記蒸気生成領域と前記香料付与領域との間で単調に増加している、請求項1~
5のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項7】
前記空気経路の断面エリアが、前記蒸気生成領域と前記香料付与領域との間のある位置で段階的に増加している、請求項1~
6のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項8】
当該エアロゾル供給システムが前記香料付与媒体をさらに備える、請求項1~
7のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項9】
前記香料付与媒体が、当該エアロゾル供給システムのための取外し可能なカートリッジに収容されている、請求項
8に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項10】
前記カートリッジが入口端を備え、前記入口端はメッシュで覆われている、請求項9に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項11】
前記香料付与媒体がタバコを含む、請求項1~
10のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項12】
前記蒸気生成領域において蒸気を生成するための気化器をさらに備える、請求項1~
11のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項13】
ユーザによる吸引のために蒸気が生成される蒸気生成領域から、前記蒸気に香料を付与するための香料付与手段を受容するための香料付与領域まで延びる空気経路手段を備えるエアロゾル供給手段であって、
前記蒸気生成領域における前記空気経路手段の第1の断面エリアは、前記空気経路手段が前記香料付与領域に入る前記空気経路手段の第2の断面エリアよりも小さ
く、
前記空気経路に垂直である第1の方向における前記空気経路の大きさが、前記蒸気生成領域から前記香料付与領域へと、前記空気経路に垂直である第2の方向における前記空気経路の大きさよりも大きく増加している、エアロゾル供給手段。
【請求項14】
エアロゾル供給システムのためのカートリッジであって、
ユーザによる吸引のために蒸気が生成される蒸気生成領域から、前記蒸気に香料を付与するための香料付与手段を受容するための香料付与領域まで延びる空気経路を備え、
前記蒸気生成領域における前記空気経路の第1の断面エリアは、前記空気経路が前記香料付与領域に入る前記空気経路の第2の断面エリアよりも小さ
く、
前記空気経路に垂直である第1の方向における前記空気経路の大きさが、前記蒸気生成領域から前記香料付与領域へと、前記空気経路に垂直である第2の方向における前記空気経路の大きさよりも大きく増加している、カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ニコチン送達システム(例えば、電子タバコ等)等の蒸気供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコ(eシガレット)等の電子蒸気供給システムは、一般に、典型的にはニコチンを含む製剤を含有する原液のリザーバ、又はタバコベースの製品等の固体材料等の蒸気前駆材料を含有し、当該材料から、例えば熱蒸発によって、ユーザによる吸引のために蒸気が生成される。したがって、蒸気供給システムは、典型的には、前駆材料の一部を気化させて蒸気生成チャンバ内で蒸気を生成するように配置された気化器、例えば加熱要素、を含む蒸気生成チャンバを備える。ユーザがデバイスを吸い、電力が気化器に供給されると、空気が入口孔を通ってデバイスに引き込まれて蒸気生成チャンバに入り、そこで空気が気化した前駆材料と混合し、凝縮エアロゾルを形成する。蒸気生成チャンバとマウスピースの開口部との間に流路があるので、蒸気生成チャンバを通って引き込まれた流入空気は、流路に沿ってマウスピース開口部まで引き込まれ、蒸気/凝縮エアロゾルの一部を随伴し、ユーザによる吸引のためにマウスピース開口部を通って出る。いくつかの電子タバコはまた、追加の香料を付与するために、デバイスを通る流路内に香料要素を含んでもよい。そのようなデバイスは、ハイブリッドデバイスと呼ばれることもあり、香料要素は、例えば、蒸気生成チャンバとマウスピースとの間の空気経路内に配置されたタバコの一部を含むことができ、それにより、当該デバイスを通って引き込まれた蒸気/凝縮エアロゾルは、ユーザの吸引のためにマウスピースを出る前にタバコの一部を通過する。
【0003】
上述した課題のいくつかに対処又は低減するのに役立ちつつ、デバイスの性能を向上させることを追求する様々な手法を以下に説明する。
【発明の概要】
【0004】
特定の実施形態の第1の態様によれば、エアロゾル供給システムが提供され、このエアロゾル供給システムは、ユーザによる吸引のために蒸気が生成される蒸気生成領域から、前記蒸気に香料を付与するための香料付与媒体を受容する香料付与領域まで延びる空気経路を備えており、蒸気生成領域における空気経路の第1の断面エリアは、空気経路が香料付与領域に入る位置における前記空気経路の第2の断面エリアよりも小さくなっている。
【0005】
特定の実施形態の他の態様によれば、香料付与媒体を備える、概略的に上述した第1の態様に係るエアロゾル供給システムが提供される。
【0006】
特定の実施形態の他の態様によれば、香料付与媒体を備える、概略的に上述した第1の態様に係るエアロゾル供給システムが提供される。
【0007】
特定の実施形態の別の態様によれば、エアロゾル供給手段が提供され、このエアロゾル供給手段は、ユーザによる吸引のために蒸気が生成される蒸気生成領域から、前記蒸気に香料を付与するための香料付与手段を受容するための香料付与領域まで延びる空気経路手段を備え、蒸気生成領域における空気経路手段の第1の断面エリアは、空気経路手段が香料付与領域に入る位置における空気経路手段の第2の断面エリアよりも小さい。
【0008】
特定の実施形態のさらに別の態様によれば、エアロゾル供給システムのためのカートリッジが提供され、このカートリッジは、ユーザによる吸引のために蒸気が生成される蒸気生成領域から、前記蒸気に香料を付与するための香料付与手段を受容するための香料付与領域まで延びる空気経路を備え、蒸気生成領域における空気経路の第1の断面エリアは、空気経路が香料付与領域に入る位置における空気経路の第2の断面エリアよりも小さい。
【0009】
本発明の第1の態様及び他の態様に関連して上述した本開示の特徴及び態様は、上述した特定の組み合わせだけでなく、本開示の他の態様による本開示の実施形態にも同様に適用可能であり、適宜組み合わせることができることは理解されよう。
【0010】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照することによって単なる例として説明する。なお、図面において同様の部分は同一の参照番号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムの概略的な断面エリアAを示している。
【
図2A】
図1の例示的な蒸気供給システムによる蒸気供給システムにおける第1の断面エリアAと第2の断面エリアBとの比較を示している。
【
図2B】
図1の例示的な蒸気供給システムによる蒸気供給システムにおける第1の断面エリアAと第2の断面エリアBとの比較を示している。
【
図2C】
図1の例示的な蒸気供給システムによる蒸気供給システムにおける第1の断面エリアAと第2の断面エリアBとの比較を示している。
【
図3A】本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムにおける第1の断面エリアAと第2の断面エリアBとのさらなる比較を示している。
【
図3B】本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムにおける第1の断面エリアAと第2の断面エリアBとのさらなる比較を示している。
【
図3C】本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムにおける第1の断面エリアAと第2の断面エリアBとのさらなる比較を示している。
【
図4】本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムのためのカートリッジ部分を、空気流に対して垂直な平面における概略的な断面で示している。
【
図5】本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムのためのカートリッジ部分の概略的な断面エリアAを示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
特定の例及び実施形態の態様及び特徴が、本書において論じられ説明される。しかし、特定の例及び実施形態におけるいくつかの態様及び特徴は、従来一般に具現化されている場合もあり、簡略化するためにそれらを詳細には論じることも説明することもしない。したがって、詳細には説明されない本書で論じられる装置及び方法の態様及び特徴は、そのような態様及び特徴を具現化するための任意の従来技術に従って具現化され得ることは理解されたい。
【0013】
本開示は、ハイブリッドデバイスを含むeシガレット等のエアロゾル供給システムとも称されることもあるエアロゾル供給システムに関する。以下の説明を通じて、「eシガレット」又は「電子タバコ」という用語を使用することがあるが、この用語は蒸気供給システム/デバイス及び電子蒸気供給システム/デバイスと互換的に使用することができることを理解されたい。さらに、当該技術分野では一般的であるように、「蒸気」及び「エアロゾル」という用語、並びに「気化」、「揮発」、及び「エアロゾル化」等の関連の用語は一般的に、互換的に使用することができる。
【0014】
蒸気供給システム(eシガレット)は、常にというわけではないが、再使用可能部分と交換可能な(使い捨ての)カートリッジ部分の両方を含むモジュール式アセンブリを備えていることが多い。しばしば、交換可能なカートリッジ部分は、蒸気前駆材料及び気化器を備え、再使用可能部分は、電源(例えば、再充電可能なバッテリー)、起動機構(例えば、ボタン又はパフセンサ)、及び制御回路を備える。しかし、これらの様々な部分はまた、機能に応じたさらなる要素を備えることもあることは理解されよう。例えば、ハイブリッドデバイスの場合、カートリッジ部分は、追加の香料風味又はエアロゾル付与要素、例えばタバコの一部も含み得る。そのような場合、香料要素インサートは、それ自体が使い捨てカートリッジ部分から取外し可能として、例えば香料を変えるために、又は香料要素インサートの使用可能な寿命がカートリッジの蒸気生成構成要素の使用可能な寿命よりも短いという理由で、カートリッジとは別個に交換できるようにしてもよい。いくつかの例では、香料要素インサートは、ポッド、容器又は別のカートリッジ内に収容されてもよい。また、いくつかの例では、ポッドは再使用可能であってもよく、ユーザがポッド内の香料要素インサートにアクセスして香料要素インサートを交換することができるようにしてもよい。他の例では、ポッドは使い捨てであってもよく、その場合、ユーザは、香料要素インサートにアクセスすること、又は香料要素インサートを交換しようとすることを考える必要がなくなる。ポッドの使用は、例えば、空気流路内の香料要素インサートの最適な位置決めを確実にすることによって、及び/又は香料要素インサートの特性(例えば、体積、一貫性、密度等)を制限することによって、ユーザエクスペリエンスの向上をもたらすことができる。
【0015】
再使用可能なデバイス部品ないしはデバイス部分は、ユーザ入力を受信し、動作状態特性を表示するためのユーザインターフェース等の追加の構成要素も備えることも多い。
【0016】
モジュール式デバイスの場合、カートリッジ及び制御ユニットは、例えば、適切に係合する電気接点を有するねじ式、ラッチ式又はバヨネット式の固定手段を用いて、使用のために電気的及び機械的に互いに結合される。カートリッジ内の蒸気前駆材料を使い切ったとき、又はユーザが異なる蒸気前駆材料を有する異なるカートリッジに交換したいとは、カートリッジを制御ユニットから取り外し、交換カートリッジをその場所に取り付けることができる。このタイプの2部分(2部品)型モジュール構成に適合するデバイスは、一般に、2部分(2部品)型デバイス又は多部分(多部品)型デバイスと呼ばれ得る。
【0017】
多部分型デバイスを含む電子タバコは、概して細長い形状を有することが比較的一般的であり、具体的な例を提供することを目的として、本書に記載される本開示の特定の実施形態は、タバコポッドインサートを有する使い捨てカートリッジを使用する概して細長い多部分型デバイスを含むものとみなす。しかし、本書で説明する基本的な原理は、様々な電子タバコの構成(例えば、単一部分型デバイス又は2つ以上の部分を有するモジュール式デバイス、再充填可能なデバイス、1回で使い捨てのデバイス、及び他の全体形状に従うデバイス、例えば典型的にはより箱状の形状を有するいわゆる箱型高性能デバイスに基づくデバイス)に等しく取り入れることができることは理解されよう。より一般的には、本開示に係る特定の実施形態は、本書に記載の原理に従って動作機能を提供するように構成された電子タバコに基づいており、記載の動作機能を提供するように構成された電子タバコの特定の構造的態様は主要な意味を持たないことは理解されよう。
【0018】
図1は、本開示の特定の実施形態に係る例示的なeシガレット1の断面図である。eシガレット1は、2つの主要な構成要素、すなわち、いわゆる再使用可能な部分2と、交換可能/使い捨てのカートリッジ部分4とを備える。この特定の例では、eシガレット1は、インサートハウジング内に収容されたタバコ(例えば、刻みタバコ、再生タバコ又は押出タバコ)を含む取外し可能なインサート又は香料付与手段8を含むカートリッジ部分4を有するハイブリッドデバイスであると想定している。しかしながら、この例がハイブリッドデバイスであるという事実は、本書でさらに説明するように、それ自体がデバイス動作機能にとって直接重要であるというものではない。
【0019】
通常の使用では、再使用可能部分2及びカートリッジ部分4は、インターフェース6にて互いに取外し可能に結合される。カートリッジ部分を使い切ったとき、又はユーザが単に異なるカートリッジ部分に交換したいとき、カートリッジ部分を再使用可能部分から取り外し、交換用カートリッジ部分をその場所で再使用可能部分に取り付けることができる。インターフェース6は、2つの部分間の構造的、電気的及び空気経路的な接続をもたらし、2つの部分間の電気的接続や空気経路を適切に確立するための適正に配置された電気接点及び開口部を有する、例えばねじ式、ラッチ式又はバヨネット式の固定手段に基づく従来の技術に従って設けられ得る。カートリッジ部分4が再使用可能部分2に機械的に取り付けられる特定の方法は、本書に記載される原理にとって重要ではないが、具体的な例のために、本書では、例えば、カートリッジの一部が、協働するラッチ係合要素(
図1には示さず)を有する再使用可能部分の対応するレセプタクル(受け部)内に受容されるラッチ機構を備えると仮定している。いくつかの実施形態では、インターフェース6は、それぞれの部分間の電気的接続をサポートしなくてもよいことも理解されよう。例えば、いくつかの実施態様では、気化器は、カートリッジ部分ではなく再使用可能部分に設けられてもよく、又は再使用可能部分からカートリッジ部分への電力の伝送は、再使用可能部分とカートリッジ部分との間の電気的接続が必要とされないように、無線(例えば、電磁誘導に基づくもの)であってもよい。
【0020】
カートリッジ部分4は、本開示の特定の実施形態によれば、広く従来のものであり得る。
図1において、カートリッジ部分4は、プラスチック材料で形成されたカートリッジハウジング42を備える。カートリッジハウジング42は、カートリッジ部分の他の構成要素を支持し、再使用可能部分2との機械的インターフェース6を提供する。カートリッジハウジングは、カートリッジ部分が再使用可能部分2に結合する長手方向軸線に関して概ね円対称である。この例では、カートリッジ部分は、約4cmの長さ及び約3cmの直径を有する。しかしながら、特定の幾何学的形状、より一般的には使用される全体的な形状及び材料は、異なる実施形態では異なり得ることは理解されよう。
【0021】
カートリッジハウジング42内には、液体の蒸気前駆材料を収容するリザーバ44がある。液体の蒸気前駆材料は、従来のものであってもよく、eリキッドと呼ばれることもある。液体リザーバ44は、この例では、カートリッジハウジング42によって画定される外側の壁と、カートリッジ部分4を通る空気経路52を画定する内側の壁58とを有する環状の形状を有する。リザーバ44は、eリキッドを収容するために端壁で各端部が閉じられている。リザーバ44は、従来技術に従って形成することができ、例えば、プラスチック材料を含むことができ、カートリッジハウジング42と一体成形することができる。
【0022】
この例における香料要素インサート(タバコポッド又は収容器)8は、制御ユニット2に結合するカートリッジ4の端部とは反対側の空気経路52の開放端部に挿入される。香料インサート8が挿入されるカートリッジの空気経路52の領域は、カートリッジ部分についての香料インサート領域54を事実上画定する。これらの例及び他の例では、香料インサート8の保持及び位置決めは、摩擦によるものであってもよく、及び/又は空気経路52内のクリップ、棚部及び他の特徴部によって行われてもよい。いくつかの例では、香香料インサート8は、香料インサート8の下流にマウスピース要素を取り付けることによってさらに保持されてもよい。このようなマウスピース要素は、各端部に開口部を含み、使用中に空気が空気経路52に沿って引き込まれることを可能にする。
【0023】
図示の例では、香料インサート8は、香味料を収容又は保持するハウジングを含む。香料インサート8のためのハウジングはまた、使用中に空気経路52に沿って引き込まれた空気が香料インサート8を通過することを可能にし、ひいてはユーザによる吸引のためにマウスピース出口50を通ってカートリッジ4を出る前に、内部の香味料(この例ではタバコ)から香味をピックアップするために、各端部に開口部を含む。いくつかの例では、香料インサート8のハウジングは、マウスピース要素を画定するか、そうでなければ組み込むことができる。他の例では、香料要素インサートはハウジングを含まなくてもよい。これらの例では、それは香味料からなり、その香味料は、エアロゾル透過性の被覆体又は層で被覆又はコーティングされていても、されていなくてもよい。
【0024】
カートリッジ部分は、マウスピース出口50とは反対側のリザーバ44の端部に向かって配置されたウィック46及びヒータ(気化器)48をさらに備える。この例では、ウィック46は、カートリッジ空気経路52を横切って横方向に延び、その端部は、リザーバ44の内側の壁の開口部を通ってeリキッドのリザーバ44内に延びる。リザーバ44の内側の壁の開口部は、ウィック46の寸法に概ね一致するようにサイズ決めされ、流体移送性能に有害になり得るウィックの過度な圧縮なしに、液体リザーバからカートリッジ空気経路に漏れないような合理的なシールを提供する。
【0025】
ウィック46及びヒータ48は、ウィック46及びヒータ48の周りのカートリッジ空気経路52の領域が実際にカートリッジ部分の蒸気生成領域又は気化領域56を画定するように、カートリッジ空気経路52内に配置される。リザーバ44内のeリキッドは、リザーバ44内に延びるウィックの端部を通ってウィック46に浸入し、表面張力/毛管作用(すなわち、ウィッキング)によってウィックに沿って引き込まれる。この例におけるヒータ48は、ウィック46の周りに巻かれた電気抵抗ワイヤを備える。この例では、ヒータ48はニッケルクロム合金(Cr20Ni80)ワイヤを含み、ウィック46はガラス繊維束を含むが、特定の気化器構成は本明細書に記載の原理にとって重要ではないことは理解されよう。使用時には、ヒータ48に電力を供給して、ウィック46によってヒータ48の近傍に引き込まれたある量のeリキッド(蒸気前駆材料)を気化させることができる。気化したeリキッドは、その後、気化領域からカートリッジ空気経路に沿って引き込まれた空気に随伴され、香味要素インサート8を通り、ユーザによる吸引のためにマウスピース出口50から出る。
【0026】
eリキッドが気化器(ヒータ)48によって気化される速度は、使用中にヒータ48に供給される電力の量(レベル)に依存する。したがって、電力をヒータに印加して、カートリッジ部分4内のeリキッドから蒸気を選択的に発生させることができ、さらに、例えばパルス幅及び/又は周波数変調技術によって、ヒータ48に供給される電力量を変化させることによって、蒸気生成速度を変化させることができる。
【0027】
再使用可能部分2は、eシガレットのための空気入口28を画定する開口部を有する外側ハウジング12と、電子タバコに動作電力を供給するためのバッテリー26と、電子タバコの動作を制御及び監視するための制御回路20と、ユーザ入力ボタン14と、この例では圧力センサチャンバ18内に配置された圧力センサを備える吸引センサ(パフ検出器)16と、視覚ディスプレイ24とを備える。
【0028】
外側ハウジング12は、例えば、プラスチック又は金属材料から形成されてもよく、この例では、カートリッジ部分4の形状及びサイズに概ね一致する円形断面エリアを有し、それにより、インターフェース6において2つの部分間に滑らかな移行部を形成する。この例では、再使用可能部分は約6cmの長さを有するので、カートリッジ部分と再使用可能部分とが互いに結合されたときの電子タバコの全長は約10cmである。しかしながら、既に述べたように、本開示の実施形態を実施する電子タバコの全体的な形状及び縮尺は、本書に記載の原理にとって重要ではないことは理解されよう。
【0029】
空気入口28は、再使用可能部分2を通る空気経路30に接続する。再使用可能部分の空気経路30は、再使用可能部分2及びカートリッジ部分4が互いに接続されると、インターフェース6を横切ってカートリッジ空気経路52に順に接続する。圧力センサ16を内包する圧力センサチャンバ18は、再使用可能部分2内の空気経路30と流体連通している(すなわち、圧力センサチャンバ18は、再使用可能部分2内の空気経路30から分岐している)。したがって、ユーザがマウスピース開口部50を吸うとき、圧力センサ16によって検出され得る圧力センサチャンバ18内の圧力の低下があり、また、空気は、空気入口28を通って、再使用可能部分の空気経路30に沿って、インターフェース6を横切って、アトマイザ48の近傍の蒸気生成領域(気化されたeリキッドは、気化器が作動しているときに空気流に随伴される)を通って、カートリッジ空気経路52に沿って、ユーザによる吸引のためにマウスピース開口部50を通って吸い出される。
【0030】
この例におけるバッテリー26は、再充電可能であり、例えば、比較的短い期間にわたって比較的高い電流の供給を必要とする電子タバコ及び他の用途において通常使用される種類の従来型のものであってもよい。バッテリー26は、再使用可能部分のハウジング12内の充電コネクタ、例えばUSBコネクタを介して再充電されてもよい。
【0031】
この例におけるユーザ入力ボタン14は、従来の機械的ボタンであり、例えば、電気的接触を確立するためにユーザによって押され得るばね搭載構成要素を備える。この点に関して、入力ボタンは、端末デバイスのための手動入力機構を提供すると見なされ得るが、ボタンが実装されるといった特定の様式は重要ではない。例えば、異なる形態の機械的ボタン又はタッチ感知ボタン(例えば、容量又は光学感知技法に基づく)が、他の実施形態で使用されてもよい。ボタンが実装される特定の方法は、例えば、所望の美的外観を考慮して選択され得る。
【0032】
ディスプレイ24は、電子タバコに関連する様々な特性、例えば、現在の電力設定情報、バッテリー残量等をユーザに視覚的に示すために設けられる。ディスプレイは、様々な方法で実装され得る。この例では、ディスプレイ24は、従来の技術に従って所望の情報を表示するように駆動され得る従来の画素式LCDスクリーンを備える。他の実施形態では、ディスプレイは、例えば特定の色及び/又はフラッシュシーケンスによって所望の情報を表示するように構成された1つ又は複数の別個のインジケータ、例えばLEDを備え得る。より一般的には、ディスプレイが提供され、ディスプレイを使用して情報がユーザに表示される態様は、本書で説明される原理にとって重要ではない。いくつかの実施形態は、視覚ディスプレイを含まなくてもよく、例えば音声信号又は触覚フィードバックを使用して、電子タバコの動作特性に関する情報をユーザに提供するための他の手段を含んでもよく、或いは、電子タバコの動作特性に関する情報をユーザに提供するための手段は全く含まなくてもよい。
【0033】
制御回路20は、電子たばこの動作を制御して、本書でさらに説明されるような本開示の実施形態による機能を提供するように、並びにそのようなデバイスを制御するための確立された技法に従って電子たばこの従来の動作機能を提供するように、適切に構成/プログラムされる。制御回路(プロセッサ回路)20は、論理的には、本書に記載の原理に従った電子タバコの動作の様々な態様、並びにディスプレイ駆動回路及びユーザ入力検出等の電子タバコの他の従来の動作態様に関連付けられた様々なサブユニット/回路要素を含むと考えることができる。制御回路20の機能は、様々な異なる方法で、例えば、1つ以上の適切にプログラムされたプログラム可能なコンピュータ及び/又は所望の機能を提供するように構成された1つ以上の適切に構成された特定用途向け集積回路/回路/チップ/チップセットを使用して提供され得ることは理解されよう。
【0034】
この例では、蒸気供給システム1は、ユーザ入力ボタン14及び吸引センサ16を備える。制御回路20は、吸引センサ16から信号を受信し、この信号を使用してユーザが電子タバコを吸引しているかどうかを判定し、また、入力ボタン14から信号を受信し、この信号を使用してユーザが入力ボタンを押している(すなわち、作動させている)かどうかを判定するように構成される。電子タバコの動作のこれらの態様(すなわち、パフ検出及びボタン押下検出)は、それ自体が、確立された技法に従って(例えば、従来の吸引センサ及び吸引センサ信号処理技法を使用して、並びに従来の入力ボタン及び入力ボタン信号処理技法を使用して)実行され得る。他の例示的な蒸気供給システムは、ユーザ入力ボタン14及び吸引センサ16のうちの一方のみを有してもよい。さらなる例では、蒸気供給システムは、システムの構成及び動作に応じて、ユーザ入力ボタンも吸引センサも有さなくてもよい。
【0035】
本開示の実施形態によれば、ある位置における空気経路52の断面エリアは、その位置における空気経路の中心軸線又は中間軸線に対して垂直な平面又は横断する平面のエリアとして定義することができる。このエリアは、例えば、少なくとも1つの壁面又は他の構造的特徴部によって境界付けられ得る。使用時、空気は、空気入口28から空気出口50に向かって中心軸線の方向に流れる。したがって、断面エリアは、使用中に空気が流れるために利用可能な一定の横断エリアを提供する。
【0036】
図1に示すように、空気経路52は、蒸気生成領域56内のある位置に第1の断面エリアAを有し、香料インサート領域54内のある位置に第2の断面エリアBを有することができる。第2の断面エリアBの位置は、使用時に第1の断面エリアAの下流にある。第2の断面エリアBは、空気経路52が香料インサート領域54に入る位置にある。香料インサート8が香料インサート領域54に挿入されるか又は受容されるとき、第2の断面エリアBは、空気経路52が香料インサート8と接する位置にある。
【0037】
本開示の実施形態によれば、第1の断面エリアAは、第2の断面エリアBよりも小さい。いくつかの例では、第1の断面エリアAは、例えば20%~80%小さくてもよいし、例えば30%~70%小さくてもよいし、例えば40%~60%小さくてもよいし、例えば約50%小さくてもよい。言い換えるならば、第1の断面エリアは、第2の断面エリアのサイズの20%~80%、好ましくは第2の断面エリアのサイズの30%~70%、より好ましくは第2の断面エリアのサイズの40%~60%、さらにより好ましくは第2の断面エリアのサイズの約50%である。したがって、空気経路52の断面積は、第1の断面エリアAの位置と第2の断面エリアBの位置との間で拡大又は増加する。
【0038】
いくつかの例では、第1の断面エリアAの位置における空気経路は、円形形状、楕円形形状、多角形形状、又は丸みを帯びた多角形形状とすることができる。同様に、第2の断面エリアBの位置における空気経路は、円形形状、楕円形形状、多角形形状、又は丸みを帯びた多角形形状とすることができる。いくつかの例では、第1の断面エリアA及び第2の断面エリアBの空気経路は、共通の形状(但し、異なるサイズ)を有してもよく、他の例では、断面エリアを画定する形状は異なってもよい。多角形とは、任意の規則的又は不規則な直線辺形状、例えば3~10辺、好ましくは4~6辺を有する任意の多角形形状を意味する。丸みを帯びた多角形とは、実質的に丸みを帯びた角部を有する、上記で定義した多角形を意味する。他の例では、第1の断面エリア及び第2の断面エリア(すなわち、それらを画定する空気経路)は、直線部分と曲線部分との組み合わせを含む形状を有し得る。
【0039】
第1及び第2の断面エリア(及びそのエリアの形状)は、断面エリアを画定する形状の範囲を画定する距離に対応する寸法(例えば、幅又は長さ)に関してさらに画定され得る。例えば、蒸気生成領域と香料付与媒体との間の空気経路は、空気経路又は空気経路の中間軸線に垂直な第1及び第2の寸法によって画定され得る。空気経路の断面エリアの変化は、寸法の変化に関して定義することができる。例えば、寸法は、長方形の辺の長さ又は楕円の長軸及び短軸に対応し得る。
【0040】
いくつかの例では、第1の寸法は、蒸気生成領域と香料付与媒体との間で第2の寸法よりも大幅に増加する。これらの例のうちのいくつかでは、第2の寸法は、第1及び第2の断面エリアの位置において不変とされるか、又は空気経路によって共通とされ得る。言い換えるならば、第1の断面エリアA及び第2の断面エリアBは、対応する又は共通とされる寸法(例えば、幅又は長さ)を有すると言える。例えば、第1の断面エリアA及び第2の断面エリアBの両方が矩形であり、矩形の一辺の長さが不変であってもよく、又は第1の断面エリアA及び第2の断面エリアBが楕円形であり、短軸については2つのエリアの間で変化しなくてもよい。言い換えるならば、空気経路の断面エリアは、1つの次元においてのみ変化すると言うこともできる。
【0041】
本開示によるいくつかの例示的なeシガレットでは、空気経路52を画定する壁(又は複数の壁)58は、断面エリアの変化をもたらすように形作られてもよい。
図1の例では、蒸気生成領域56と香料インサート領域54との間の空気経路52は、壁58によって画定又は境界が定められ、この壁は、一般に、単一の連続壁(例えば、円筒壁等)であるが、複数の壁セグメントからなる構成であってもよい。いくつかの例では、壁58は、蒸気生成領域及び/又は香料インサート領域を越えて延在してもよい。
【0042】
蒸気生成領域56と香料インサート領域54との間の壁58によって形成されるチャネルは、漏斗、膨張管、又は中空錐台として説明することができる。例えば、それは、第1の断面エリアAと第2の断面エリアBとの間に円錐台形状又は角錐台形状を有するものとして説明され得る。空気経路52の断面は、壁58の形状を変更することによって、第1の断面エリアAと第2の断面エリアBとの間で増加される。例えば、これは、下流の距離に対して壁58の対向する部分間の距離間隔を増加又は拡張する(逆に、上流の距離に対して対向する部分間の距離間隔を減少又は収縮する)ことによって達成され得る。
図1に関連して、断面エリアの拡大は、1つの方向の寸法(すなわち、図示されるように、ページを横断する方向の寸法)においてであるように見えるが、断面エリアの拡大は、空気経路52の中心軸線又は中間軸線に垂直な平面を画定する2つの方向の寸法(すなわち、図示されるように、ページ内へと向かう方向の寸法及びページを横断する方向の幅)におけるものであってもよいことは理解されよう。
【0043】
図2Aは、
図1の実施形態による例示的なeシガレットの第1の断面エリアAと第2の断面エリアBとの比較を示す。図は、壁部分58の上面図、正面図、及び側面図を示す。図示の例では、空気経路52の壁58は、円形から楕円形に移行する断面エリアを有する管又は錐台の形態を有する。
図2Aの上面図は、断面エリアAが円形の形状を有し、断面エリアBが楕円形の断面を有することを示す。空気経路52の向かい合う壁面は、「正面」図によって示される寸法では離れるように動いている(すなわち、分離距離が増加している)が、「側面」図においては同じ距離で分離したままである。したがって、第1の寸法は、蒸気生成領域と香料付与媒体との間で変化しない第2の寸法よりも大幅に増加する。
【0044】
図2Bは、
図1の実施形態による例示的なeシガレットの第1の断面エリアAと第2の断面エリアBとの比較を示す。図は、壁部分58の上面図、正面図、及び側面図を示す。図示の例では、空気経路52の壁58は、AとBとの間でより大きくなる円形断面エリアを有する膨張管又は円錐台形状の形態を有する。上面図は、A及びBの両方が実質的に円形の断面を有することを示す。円の直径は、「正面」及び「側面」図に示されるように、AとBとの間で直線的に増加している。したがって、第1の寸法及び第2の寸法は、蒸気生成領域と香料付与媒体との間で同じ程度に増加する。
【0045】
図2Cは、
図1の実施形態による例示的なeシガレットの第1の断面エリアAと第2の断面エリアBとの比較を示す。図は、壁部分58の上面図、正面図、及び側面図を示す。図示の例では、空気経路52の壁58は、円形から楕円形に移行する断面エリアを有する管又は錐台の形態を有する。上面図は、Aが実質的に円形の断面エリアAを有し、Bが実質的に楕円形の断面を有することを示す。漏斗状の壁の距離間隔の増加は、側面図よりも正面図に対応する方向においてより大きいことが示されている。したがって、第1の寸法は、蒸気生成領域と香料付与媒体との間で第2の寸法よりも大幅に増大する。
【0046】
他の例では、壁58は、第1の断面エリアAと第2の断面エリアBとの間で非線形に移行するように形作られてもよい。例えば、壁58は、凹状又は凸状の湾曲を有するように、又は階段状の輪郭を有するように形作られてもよい。
【0047】
図3Aは、本開示の実施形態による例示的なeシガレットの第1の断面エリアAと第2の断面エリアBとの比較を示す。図は、壁部分58の上面図、正面図、及び側面図を示す。図示の例では、空気経路52の壁58は、空気経路に対して凹形状を有し、円形から楕円形に移行する断面エリアを有する。いくつかの例では、壁58の曲率は、Aの位置とBの位置との間で一定であり得るが、他の例では、曲率は変化し得る。したがって、第1の寸法は、蒸気生成領域と香料付与媒体との間で変化しない第2の寸法よりも大幅に増加する。
【0048】
図3Bは、本開示の実施形態による例示的なeシガレットの第1の断面エリアAと第2の断面エリアBとの比較を示す。図は、壁部分58の上面図、正面図、及び側面図を示す。図示の例では、空気経路52の壁58は、空気経路に対して凸形状を有し、円形から楕円形に移行する断面エリアを有する。したがって、第1の寸法は、蒸気生成領域と香料付与媒体との間で変化しない第2の寸法よりも大幅に増加する。
【0049】
図3Cは、本開示の実施形態による例示的なeシガレットの第1の断面エリアAと第2の断面エリアBとの比較を示す。図は、壁部分58の上面図、正面図、及び側面図を示す。図示の例では、空気経路52の壁58は、階段状の輪郭と、円形から楕円形に移行する断面エリアとを有する。段差は、第1の断面エリアと第2の断面エリアとの間のある1つの位置に棚部が形成されるように、実質的に1つの寸法に沿って設けられる。他の例では、複数の段差、例えば2を超える段差、例えば5を超える段差、例えば8を超える段差があってもよい。したがって、第1の寸法は、蒸気生成領域と香料付与媒体との間で変化しない第2の寸法よりも大幅に増加する。
【0050】
図4は、本開示の特定の実施形態による例示的なカートリッジ部分4を通る空気経路に垂直な平面における断面図である。
図4は、ウィック46及びヒータ(気化器)48を見ることができる中央空洞(すなわち、空気経路の壁58によって画定される空気経路及び香料インサート領域)を有するカートリッジ部分4のハウジング42を示す。内側の破線は、第1の断面エリアAの輪郭を示す。概して述べるならば、第1の断面エリアAは、ウィック46及びヒータ48を取り囲む領域における空気経路52の断面積を包含する。第2の断面エリアBの輪郭は、外側の破線で示されている。概して述べるならば、第2の断面エリアBは、空気経路が最初に香料インサートに接する領域における空気経路の断面エリアを包含する。第2の断面エリアBは、第1の断面エリアAよりも大きいように示されている。第1の断面エリアは実質的に円形であり、第2の断面エリアは実質的に楕円形である。第2の断面エリアの形状は、第1の断面エリアの形状に対して拡張されている(又は他の方法で変更されている)。第1及び第2の断面エリアの形状を画定する一方向の寸法は、他方向の寸法よりも大きくなるよう増加している。
【0051】
図5の例は、内側の壁58が、棚部、リップ部又は同様のもの49を備え得ることをさらに示しているが、棚部、リップ部又は同様のもの49は、カートリッジ部分4の構成要素を一緒に保持するように、及び/又は香料インサート8の位置決めを補助するように(例えば、空気経路への過剰挿入を防止することによって)機能し得る。これらの棚部49は、壁の形状を変えることができるが、全体的な構成(すなわち、円形又は楕円形の断面形状)を実質的に損なうということはない。
【0052】
他の例では、壁58は、1つ又は複数の次元で直線部分、湾曲部分、及び段付き部分の組合せを含むように形作られ得る。いくつかの例では、壁58は、蒸気生成領域56と香料インサート領域54との間の空気経路52の断面エリアが単調に増加することを確実にするような形状である。
【0053】
本開示の実施形態によれば、空気経路52又は壁を形作ることは、拡張する空気経路の全体にわたって蒸気を分配すべく、空気が分散するように、広がるように、或いはより低密度になるようにすることを(すなわち、断面の増大したサイズに起因して)促すことができ、蒸気を運ぶ空気流がタバコ材料のより大きい表面エリアに入射することを可能にする。結果として、蒸気は、第1に、香料インサート部8の広い表面全体にわたってより均一に供給され得る。これは、蒸気が、蒸気生成領域と位置合わせされた(すなわち、蒸気生成領域に対応する断面エリアAと位置合わせされた)香料インサートの集中した(中央の)領域に供給される代わりに、蒸気を、香料インサート8のより大きな部分又は塊の部分に、より効果的に浸入するか、そうでなければ相互作用することを可能にし得る。加えて、所望の形に作ることにより、蒸気は、蒸気生成領域の下流でより密度の低い流れとして供給される。言い換えるならば、1回のパフ(1回の吸引)中、第1の断面エリアAを通過する空気は、第2の断面エリアBを通過する空気よりも高い空気密度を有し得る。これは、単位面積当たりの蒸気入射のレベルを低減する一方で、香料インサートに供給される蒸気の全体的なレベルには有意に影響を及ぼすということはない。
【0054】
蒸気をより大きな表面積に(かつより低い密度で)適用することによって、香味料の特定の部分の過飽和が低減又は防止される。香味料の飽和は、蒸気が香味料の表面上で凝縮するときに起こる。飽和は、香味料の表面にバリア又はシェルを形成することによって、通過する蒸気への香料の取込みを防止又は抑制すると考えられる。したがって、飽和は、香味料からの香料の取込みの割合が低下することにより、香料インサートの寿命を短くする可能性があると考えられる。さらに、過飽和は、デバイスの出口50からの液体の放出(すなわち、漏れ)につながる可能性があると考えられる。このような液体の吸引は、ほとんどのユーザにとって望ましくないエクスペリエンスとなる。
【0055】
図5は、本開示の特定の実施形態による例示的なカートリッジ部分4の断面図である。カートリッジ部分4は、液体の蒸気前駆材料を収容するリザーバ44の外側の壁を形成するカートリッジハウジング42を備える。液体の蒸気前駆材料は、従来のものであってもよく、これはeリキッドと呼ばれることもある。液体リザーバ44は、この例では、カートリッジハウジング42によって画定された外側の壁と、カートリッジ部分4を通る空気経路52を画定する内側の壁58とを有する環状形状を有する。図示のように、内側の壁58は、2つ以上の構成要素から形成されてもよく、異なる構成要素が互いに接合して単一の空気経路を画定してもよい。さらに、図示のように、内側の壁58は、カートリッジハウジング42と同じ構成要素によって部分的に形成することもできる。
【0056】
カートリッジ部分は、ウィック46と、マウスピース出口50とは反対側のリザーバ44の端部に向かって配置されたヒータ又は気化器(図示せず)とをさらに備える。この例では、ウィック46は、カートリッジ空気経路52を横切って横方向に延び、その端部は、リザーバ44の内側の壁58の開口を通ってeリキッドのリザーバ44内に延びる。図示されるように、開口部は、内側の壁58の第1の構成要素と内側の壁の第2の構成要素との間の接合部に形成され得る。リザーバの内側の壁の開口部は、ウィック46の寸法に概ね一致するようにサイズ決めされ、流体移送性能に有害になり得るウィックの過度な圧縮なしに、液体リザーバからカートリッジ空気経路に漏れないような合理的なシールを提供する。
【0057】
蒸気生成領域56と香料インサート領域54との間の空気経路52の壁58は、(蒸気生成領域に隣接する)第1の部分全体にわたって幅が直線的に増加し、その次の(香料インサート領域に隣接する)第2の部分において小さい階段状の(又は段階的な)変化を有するように示されている。この第2の部分に隣接して、香料インサート8を収容するためのカートリッジ又はポッドハウジング82の入口81がある。
【0058】
図5の例は、香料インサート8(すなわち、タバコ物質又は香味料)を収容するために使用され得るポッドハウジング82の下部のみを示す。空気入口81を経て流入する蒸気は、香料インサート8と相互作用する。空気入口81が蒸気生成領域56からの空気経路に対して垂直な面を提供するよう向きが定められるように、香料インサート8を含むポッドハウジング82は空気経路52に挿入される。図示されていないが、いくつかの例では、ポッドハウジング82は、eシガレット1の出口50をさらに画定する上部を備えてもよい。例えば、ポッドハウジング82は、eシガレット1のためのマウスピースを提供するために、空気経路52の壁58から突出するように構成されてもよい。いくつかの例では、ポッドハウジング82は、空気経路52内に保持されなくてもよいが、代わりに、eシガレットの出口50がポッドの入口81と位置合わせされるように、eシガレットに対してクリップ留めされるか、又は多の方法で保持されてもよい。他の例では、ポッド82は、実質的に空気経路52の壁内に保持されてもよい。いくつかの例では、eシガレット1の出口50を形成するために、ポッド82の下流端の上にさらなるマウスピースを配置してもよい。
【0059】
いくつかの例では、香料インサート8は、入口81を覆うメッシュを含む。これらの例のメッシュは、蒸気が香料インサート8に浸入することを可能にするが、ポッド82内に香味料(例えば、ばらのタバコ又はタバコ顆粒)を保持することができる。例示的なメッシュは、例えば、0.2~2mmの格子間隔/ピッチを有し、孔がメッシュの表面積の約半分を占め、例えば、メッシュを形成する材料の0.2mmによって分離された0.4mmの開口部を含む約0.6mmのメッシュピッチを有する。これは、香味料を適切に保持しながら、メッシュを通る空気流を適切なものとするための適切な例であることが見出された。
【0060】
いくつかの例示的なカートリッジは、複数の入口(例えば、2つ以上の入口)を備え得る。複数の入口を利用して、より広い領域にわたって香味料に蒸気を供給することができる。いくつかの例では、複数の入口は、3つ以上の入口、好ましくは5つ以上の入口を含んでもよい。いくつかの例では、複数の入口は、例えば、中心点に対して1つ又は複数の形態の対称性を有するように、及び/又は表面全体に均一に分布するように、規則的なパターンで配置されてもよい。いくつかの例では、複数の入口のうちの少なくとも1つは、メッシュによって覆われてもよい。
【0061】
加えて、いくつかの例示的なカートリッジは、1つ以上の出口を覆うメッシュ等の手段を含み得る。出口のためのメッシュは、入口81などの任意の入口を覆うためのものと実質的に同様の設計を有し得る。
【0062】
上記の実施形態は、いくつかの点で、いくつかの特定の例示的な蒸気供給システムに注目したが、同じ原理を他の技術を使った蒸気供給システムに適用することができることは理解されよう。すなわち、蒸気供給システムの様々な態様が機能する特定の態様は、本書で説明した例の基となる原理に直接関係しない。
【0063】
例えば、上記の実施形態は、主に、液体の蒸気前駆材料を加熱するための、電気ヒータに基づく気化器を有するデバイスに注目したが、同じ原理を、他の技術に基づく気化器、例えば、圧電振動子に基づく気化器、又は光加熱気化器、さらに、他のエアロゾル前駆材料、例えば、タバコ葉派生材料などの植物由来材料等の固体材料、或いはゲル、ペースト、又は発泡体に基づく蒸気前駆材料等の他の形態の蒸気前駆材料に基づくデバイスに従って取り入れることができる。
【0064】
さらに、既述したように、電子タバコにおいて蒸気生成のための複数の独立した動作メカニズムを提供するための上記の手法は、
図1に示したものとは異なる全体構造を有する電子タバコに具現化することができることは理解されよう。例えば、同じ原理を、2つの部分のモジュール式構造を備えておらず、その代わりに単一部分のデバイス、例えば、使い捨て(すなわち、再充電可能でなく、再充填可能でない)デバイスを備える電子タバコに取り入れることができる。さらに、モジュール式デバイスのいくつかの実施態様では、構成要素の配置が異なることがある。例えば、いくつかの実施態様では、コントロールユニットは気化器も備え、この気化器は、気化器用の蒸気前駆材料の供給源を提供する交換可能なカートリッジを有して蒸気を生成する。
【0065】
以上、ユーザの吸引のために蒸気が生成される蒸気生成領域から、蒸気に香料を付与するための香料付与媒体を受け入れる香料付与領域まで延びる空気経路を備えるエアロゾル供給システムであって、蒸気生成領域内の空気経路の第1の断面エリアず香料付与領域内に受容される香料付与媒体に入る空気経路の第2の断面エリアよりも小さい、エアロゾル供給システムについて説明した。
【0066】
様々な課題に対処し、技術を進歩させるため、本開示は、特許請求される発明を実施することができる様々な実施形態を例示することによって示している。本開示の利点及び特徴は、実施形態のうちの代表的な例にすぎず、すべての利点や特徴を網羅したものでもなければ、他の利点や特徴を排除するものでもない。これらは、特許請求される発明を理解及び教示することを助けるためだけに提示されている。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の側面は、特許請求の範囲によって規定された通りに本開示を限定するもの、或いは特許請求の範囲の均等物を制限するものと考えるべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく他の実施形態を利用し、変形を施すことができることを理解されたい。様々な実施形態が、本書で詳細に説明されたもの以外の、開示された要素、構成要素、特徴、部分、ステップ、手段などの様々な組合せを適切に備えてもよく、それらのみから構成されてもよく、或いは実質的にそれらから構成されてもよく、したがって、特許請求の範囲に明記されている以外の組合せで従属項の特徴を独立項の特徴と組み合わせてもよいことは理解されよう。本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性のある他の発明を含むことができる。