(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】発泡性エアゾール製品および毛髪洗浄方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/19 20060101AFI20230516BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20230516BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20230516BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20230516BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20230516BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/02
A61K8/31
A61K8/44
A61K8/46
A61Q5/02
(21)【出願番号】P 2019001615
(22)【出願日】2019-01-09
【審査請求日】2021-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(74)【代理人】
【識別番号】100111187
【氏名又は名称】加藤 秀忠
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【氏名又は名称】合路 裕介
(72)【発明者】
【氏名】川越 紘
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-098463(JP,A)
【文献】特開2002-167325(JP,A)
【文献】特開2001-058940(JP,A)
【文献】特開2015-172187(JP,A)
【文献】Charcoal Detox Dry Shampoo, IGK Salons, 2018年12月, Mintel GNPD [online],[検索日 2022.10.28], インターネット<URL:https://www.gnpd.com>, ID:6222499
【文献】Purifying Dry Shampoo, Hask Haircare, 2018年6月, Mintel GNPD [online],[検索日 2022.10.28], インターネット<URL:https://www.gnpd.com>, ID:5782899
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴射剤
としての二酸化炭素と、炭及びアニオン界面活性剤が配合された毛髪洗浄用組成物と、が容器に充填され、
泡状の毛髪洗浄用組成物を吐出することを特徴とする発泡性エアゾール製品。
【請求項2】
前記噴射剤として液化石油ガスが前記容器に充填された請求項
1に記載の発泡性エアゾール製品。
【請求項3】
前記噴射剤として二酸化炭素及び液化石油ガスが前記容器に充填され、
前記二酸化炭素に対する前記液化石油ガスの質量比LPG/CO
2が200以下である請求項1に記載された発泡性エアゾール製品。
【請求項4】
前記毛髪洗浄用組成物におけるアニオン界面活性剤の配合量が5質量%以上である請求項1~
3のいずれか1項に記載された発泡性エアゾール製品。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の発泡性エアゾール製品を使用する毛髪洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪を洗浄するための発泡性エアゾール製品及び当該発泡性エアゾール製品を使用する毛髪洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
毛髪を洗浄するためのシャンプー(毛髪洗浄用組成物)は、液状の毛髪洗浄用組成物を毛髪に塗布し、泡立たせて使用するのが一般的である。その一方で、使用に際して、容器から吐出させた時点で泡状である毛髪洗浄用組成物を、毛髪に塗布することも知られている。毛髪に塗布する前から泡状であると、毛髪上で泡立つまでに生じる毛髪同士の摩擦を抑制可能といった利点がある。このような泡状の毛髪洗浄用組成物は、例えば特許文献1に開示されており、容器に二酸化炭素が充填された発泡性エアゾール製品から毛髪洗浄用組成物を吐出させると、当該組成物は泡状となる。このような発泡性エアゾール製品を使用した場合、毛髪同士の摩擦抑制の他、二酸化炭素による頭皮の血行促進が期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、皮脂を除去して毛髪及び頭皮を清潔にすることが、毛髪を洗浄する基本的な目的の一つであるが、泡状の毛髪洗浄用組成物を使用する場合に皮脂の除去効率を高める技術は特許文献1において明らかにされていない。そのため、皮脂の除去効率を高める技術提案が望まれる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、皮脂の除去効率に優れる泡状毛髪洗浄用組成物を吐出する発泡性エアゾール製品、及び当該製品を使用する毛髪洗浄方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、エアゾール製品から吐出される毛髪洗浄用組成物において炭が配合されている場合、皮脂の除去効率に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明に係る発泡性エアゾール製品は、噴射剤と、炭及びアニオン界面活性剤が配合された毛髪洗浄用組成物と、が容器に充填され、泡状の毛髪洗浄用組成物を吐出することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る発泡性エアゾール製品は、前記噴射剤として二酸化炭素が前記容器に充填されたものが良い。二酸化炭素が充填されている場合、皮脂の除去効率がより優れる。
【0008】
本発明に係る発泡性エアゾール製品は、前記噴射剤として液化石油ガスが前記容器に充填されたものが良い。液化石油ガスが充填されている場合、吐出される毛髪洗浄用組成物の発泡性及び泡の持続性が向上する。
【0009】
本発明に係る発泡性エアゾール製品は、前記噴射剤として二酸化炭素及び液化石油ガスが前記容器に充填されている場合、前記二酸化炭素に対する前記液化石油ガスの質量比LPG/CO2は200以下が好ましい。質量比LPG/CO2は200以下であれば、皮脂の除去効率がより優れる。
【0010】
本発明に係る発泡性エアゾール製品の前記毛髪洗浄用組成物におけるアニオン界面活性剤の配合量は、5質量%以上であると良い。この配合量であると、アニオン界面活性剤による洗浄効果に優れる。
【0011】
本発明に係る毛髪洗浄方法は、本発明の発泡性エアゾール製品を使用するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る発泡性エアゾール製品によれば、噴射剤により吐出される毛髪洗浄用組成物にアニオン界面活性剤のみならず炭が配合されているから、皮脂の除去効率に優れる。
【0013】
また、本発明に係る毛髪洗浄方法によれば、発泡性エアゾール製品から噴射剤により吐出される毛髪洗浄用組成物にアニオン界面活性剤のみならず炭が配合されているから、皮脂の除去効率に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に基づき、本発明を以下に説明する。
本実施形態に係る発泡性エアゾール製品は、毛髪及び頭皮を洗浄する用途に適するものであり、噴射剤及び毛髪洗浄用組成物が容器に充填されたものである(以下において、「毛髪洗浄用組成物」を「洗浄用組成物」と称することがある。)。この発泡性エアゾール製品からは、噴射剤により泡状の洗浄用組成物が吐出される。
【0015】
(噴射剤)
本実施形態の発泡性エアゾール製品における上記噴射剤は、上記洗浄用組成物を泡状に吐出させるものである。この噴射剤は、公知の噴射剤から一種又は二種以上が選ばれ、例えば二酸化炭素、液化石油ガス、又は、二酸化炭素及び液化石油ガスが上記容器に充填され、イソペンタンなどの他の噴射剤も共に充填されていても良い。
【0016】
本実施形態の噴射剤として二酸化炭素を選定した場合、皮脂の除去効率がより優れる。この除去効率については、本実施形態の洗浄用組成物に配合された炭との相乗効果が確認されている。また、二酸化炭素は、頭皮の血行促進効果を付与する。
【0017】
本実施形態における二酸化炭素の充填量は、噴射剤及び洗浄用組成物の総量を100質量%としたときに、皮脂の除去効率を高めるため、0.1質量%以上が良く、0.3質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、0.8質量%以上が更に好ましい。一方、二酸化炭素の充填量の上限は、特に限定されないが、例えば2.0質量%である。
【0018】
本実施形態の噴射剤として液化石油ガスを選定した場合、吐出される毛髪洗浄用組成物の発泡性、泡の持続性が向上する。
【0019】
上記液化石油ガスは、適宜選定されるが、圧力が20℃において0.10MPa以上0.60MPa以下のものが良く、0.15MPa以上0.50MPa以下のものが好ましく、0.15MPa以上0.30MPa以下のものがより好ましく、0.15MPa以上0.25MPa以下のものが更に好ましい。その圧力を0.15MPa以上にすることで、発泡性が良好となり、0.45MPa以下にすることで、形成した泡の持続性が良好となる。
【0020】
本実施形態における液化石油ガスは、プロパンとn-ブタン、プロパンとi-ブタン、又は、プロパンとn-ブタンとi-ブタンであると良い。
【0021】
本実施形態における液化石油ガスの充填量は、噴射剤及び洗浄用組成物の総量を100質量%としたときに、泡の持続性を良好とするため、0.1質量%以上が良く、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、4質量%以上が更に好ましい。一方、液化石油ガスの充填量の上限は、特に限定されないが、例えば7質量%である。
【0022】
また、本実施形態において液化石油ガスと共に二酸化炭素を容器に充填する場合、二酸化炭素(CO2)に対する液化石油ガス(LPG)の質量比LPG/CO2は、皮脂の除去効率を高める観点から、200以下が良く、100以下が好ましく、50以下がより好ましく、15以下が更に好ましく、8以下がより更に好ましい(質量比LPG/CO2が0に近い、又は、0であることが、皮脂の除去効率の観点において最適である。)。一方、泡の持続性などの観点から質量比LPG/CO2の下限を設定する必要がある場合、その質量比LPG/CO2は、適宜設定されるべきものであるが、例えば2以上である。
【0023】
(洗浄用組成物)
本実施形態の洗浄用組成物は、炭及びアニオン界面活性剤が水に配合されたものである(洗浄用組成物における水の配合量は、例えば70質量%以上である。)。また、洗浄用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、洗浄用組成物の原料として公知のものを任意に配合しても良い。
【0024】
炭は、木材又は竹などから加熱等によって得られる乾燥した炭化物であり、毛髪及び頭皮における皮脂の除去効率を高める。この炭としては、特に限定されないが、例えば、活性炭、薬用炭、桐炭、杉炭、竹炭、備長炭、ヒノキ木炭が挙げられる。皮脂の除去効率を高める観点から、例えば粒子径が0.5μm以上50μm以下の粉状の炭を配合すると良い。
【0025】
本実施形態の洗浄用組成物における炭の配合量は、例えば0.05質量%以上0.5質量%以下である。0.05質量%以上であれば、皮脂除去の高効率化に適し、0.5質量%以下であれば、ケーキングによる炭の固化を抑制することに適する。
【0026】
アニオン界面活性剤は、皮脂などの汚れを除去する成分であり、発泡性にも寄与する。一種又は二種以上のアニオン界面活性剤を、本実施形態の洗浄用組成物に配合する。
【0027】
上記アニオン界面活性剤としては、例えば、N-アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩などのカルボン酸系アニオン界面活性剤;N-アシルメチルタウリン塩などのスルホン酸系アニオン界面活性剤;アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩などの硫酸系アニオン界面活性剤;ポリオキシエチレンスルホコハク酸アルキルなどのスルホサクシネート系アニオン界面活性剤;が挙げられる(アニオン界面活性剤の塩の形態としては、ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノール塩、モノエタノール塩などが挙げられる。)。N-アシルアミノ酸塩は、頭皮への刺激が低いアニオン界面活性剤といわれている。このN-アシルアミノ酸塩としては、例えば、N-アシルグルタミン酸塩、N-アシルアラニン塩、N-アシルサルコシン酸塩、N-アシルグリシン塩、N-アシルアスパラギン酸塩が挙げられる。
【0028】
本実施形態の洗浄用組成物におけるアニオン界面活性剤の配合量は、皮脂などの汚れ除去及び発泡性を効果的とする観点から、5質量%以上が良く、7質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。アニオン界面活性剤の配合量の上限は、特に限定されないが、例えば15質量%である。
【0029】
本実施形態の洗浄用組成物には、上記の通り、公知の洗浄用組成物原料が任意に配合される。この任意原料としては、例えば、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン性高分子、低級アルコール、多価アルコール、糖類、アミノ酸、動植物抽出物、無機化合物、香料、防腐剤が挙げられる。
【0030】
酢酸ベタイン型両性界面活性剤などの両性界面活性剤の配合は、発泡性や泡の持続性に好適である。本実施形態の洗浄用組成物における両性界面活性剤の配合量は、例えば3質量%以上である。この配合量の上限は、発泡性に影響する洗浄用組成物の粘度を低くするために、8質量%が良い。
【0031】
また、カチオン性高分子の配合は、洗浄用組成物を髪から洗い流すときの指通り性を向上させる。このカチオン性高分子としては、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、ビニルピロリドン・N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体などが挙げられる。本実施形態の洗浄用組成物におけるカチオン性高分子の配合量は、例えば0.1質量%以上1質量%以下である。
【0032】
本実施形態の洗浄用組成物は、液状であると良い。液状である洗浄用組成物の粘度は、B型粘度計を使用して測定(温度:20℃、ロータ:粘度に応じて適宜設定、ロータの回転速度:粘度に応じて適宜設定)した場合、粘度計測開始から60秒後の値が例えば30mPa・s以上10,000mPa・s以下である。
【0033】
本実施形態の洗浄用組成物のpHは、中性乃至弱酸性であるとよい。pHを弱酸性に保つことで、二酸化炭素が炭酸塩になるのを抑制して血行促進効果を高めることができると共に、pH低下に伴う洗浄用組成物の粘度上昇による発泡性及び吐出性の悪化が抑えられる。当該洗浄用組成物のpHとしては、4.0以上7.5以下が良く、5.0以上7.0以下が好ましく、5.0以上6.5以下がより好ましい。
【0034】
本実施形態の発泡性エアゾール製品において、容器内での洗浄用組成物の充填量は、適宜設定される。その充填量は、例えば、容器の容積100mlあたり、60g以上90g以下である。60g以上にすることで、製品の使用期間が長くなり、90g以下にすることで、容器に充填する噴射剤の増量に好ましい。
【0035】
(容器)
本実施形態の発泡性エアゾール製品における容器は、公知の耐圧性容器であると良く、その材質は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ブリキ、鋼などの金属製のものである。この容器は、内面に樹脂層が積層されているもの、内部に内袋を有するものであってもよい。
【0036】
(ゲージ圧力)
本実施形態の発泡性エアゾール製品における容器のゲージ圧力は、安全性の観点から、25℃の温度条件で0.80MPa以下であり、0.65MPa以下が良い。一方、25℃でのゲージ圧力の下限は、容器内への二酸化炭素の充填量を増加させるためには、0.45MPaが良く、0.50MPaが好ましく、0.55MPaがより好ましく、0.60MPaが更に好ましい。
【0037】
(毛髪洗浄方法)
本実施形態の毛髪洗浄は、公知の毛髪洗浄の手順と同様、本実施形態の発泡性エアゾール製品から吐出される泡状洗浄用組成物を毛髪に塗布し、水洗して行われる。この洗浄方法においては、毛髪に塗布する際の洗浄用組成物が噴射剤により泡状となっているから、毛髪同士の摩擦が抑えられる。また、洗浄用組成物に炭が配合されているから、毛髪及び頭皮の皮脂を効率良く除去でき、二酸化炭素が充填されている場合には、その除去効率は更に優れる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0039】
噴射剤及び洗浄用組成物を容器に充填することにより、実施例及び参考例の発泡性エアゾール製品を製造し、これら製品を使用した人工皮脂の除去試験を行った。詳細は以下の通りである。
【0040】
(洗浄用組成物)
水と、粉状の炭(表示名称:炭)、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム液(表示名称:スルホコハク酸ラウレス2Na)、テトラデセンスルホン酸ナトリウム液(表示名称:オレフィン(C14-16)スルホン酸Na)、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム(表示名称:ココイルグルタミン酸Na)、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(表示名称:ラウリルベタイン)、カチオン化セルロース(表示名称:ポリクオタニウム-10)、l-メントール(表示名称:メントール)、エデト酸二ナトリウム(表示名称:EDTA-2Na)、安息香酸ナトリウム(表示名称:安息香酸Na)、香料、水酸化ナトリウム(表示名称:水酸化Na)、及びクエン酸を配合して、粉状の炭が分散した液状の洗浄用組成物1~2を製造した(水と配合した成分の配合量、洗浄用組成物1~2のpH及び粘度は、表1の通り。)。
【0041】
【0042】
(発泡性エアゾール製品)
噴射剤及び洗浄用組成物を容器に充填し、実施例及び参考例の発泡性エアゾール製品を製造した。使用した噴射剤については、二酸化炭素、20℃の圧力が0.20MPaである液化石油ガス(LPG1),及び20℃の圧力が0.54MPaである液化石油ガス(LPG2)から選定し、洗浄用組成物については、上記洗浄用組成物1~2から選定した。また、容器については、直径4cm程度、高さ13cm程度のものを使用した。そして、各発泡性エアゾール製品の製造においては、洗浄用組成物、液化石油ガス、二酸化炭素の順に充填し、容器のゲージ圧が0.59MPa以上0.68MPa以下になるよう調整した。なお、噴射剤及び洗浄用組成物の容器への充填量は、下記表2~3の通りである。
【0043】
(人工皮脂の除去試験)
以下の(1)~(4)の手順により、人工皮脂の除去試験を行った。ここでの試験では、下記(1)、(4)、(5)のみを行ったものを比較例の試験とした。
(1)下記組成の人工皮脂0.1gをスライドガラスに塗布した後、当該塗布後のスライドガラスの質量を測定。
人工皮脂組成:オリーブ油 32.35質量%、スクワラン 9.8質量%、マカデミアナッツ脂肪酸コレステリル 32.35質量%、コレステロール 1.96質量%、オレイン酸 7.84質量%、ステアリン酸 15.69質量%、緑202 0.01質量%
(2)スライドガラスに塗布した人工皮脂表面に、実施例及び参考例の発泡性エアゾール製品から吐出させて泡状になった洗浄用組成物0.2gを置いた後、10分間放置。
(3)200mlビーカー内における40℃の水道水200gに、(2)の放置後のスライドガラスを5分間浸漬(この浸漬の間に、ビーカーを緩やかに振とうさせた)。
(4)上記(3)の浸漬後のスライドガラスを室温で1日乾燥させた後、そのスライドガラスの質量を測定。
(5)上記(1)で測定した質量から上記(4)で測定した質量を差し引き、人工皮脂の除去量を算出。
【0044】
下記表2、3に、発泡性エアゾール製品に充填した充填剤、洗浄用組成物と共に、人工皮脂の除去試験の結果(人工皮脂の除去量)を示す。
【0045】
【0046】
上記表2における実施例1aと比較例との比較により、炭が配合された発泡性エアゾール製品を使用した実施例1aの方が、人工皮脂の除去量が多かったことを確認できる。また、炭及び二酸化炭素を使用した実施例1bと、炭のみを使用した実施例1a及び二酸化炭素のみを使用した参考例との比較により、人工皮脂の除去量は、実施例1a及び参考例の総量(0.009g+0.016g=0.025g)よりも、実施例1bの量(0.028g)の方が多かったから、実施例1bでは、炭と二酸化炭素の相乗効果を奏したことを確認できる。
【0047】
【0048】
上記表3における実施例2aと実施例2bとの比較により、二酸化炭素を充填した実施例2bの方が、二酸化炭素及びLPG1(液化石油ガス)を併用した実施例2aよりも人工皮脂の除去量が多かったから、質量比LPG/CO2(二酸化炭素に対する液化石油ガスの質量比が小さいほど、人工皮脂の除去効率に優れる傾向を確認できる。