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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】検査装置および検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20230516BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
G01N21/956 B
H05K3/00 Q
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019044499
(22)【出願日】2019-03-12
(65)【公開番号】P2020148527
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】塩見 順一
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-298436(JP,A)
【文献】特開平8-321388(JP,A)
【文献】特開平4-125453(JP,A)
【文献】特開2003-209163(JP,A)
【文献】特開昭61-23951(JP,A)
【文献】特開平2-31490(JP,A)
【文献】特開平8-32225(JP,A)
【文献】特開2013-250101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-G01N 21/958
G01B 11/00-G01B 11/30
H05K 1/00-H05K 1/02
H05K 3/00
H05K 3/30
H05K 13/00-H05K 13/08
H01L 21/64-H01L 21/66
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板の欠陥検査を行う検査装置であって、
前記プリント基板の設計データに基づく検査用画像を準備するプリペア部と、
前記プリント基板を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構により搬送される前記プリント基板を撮影して、前記プリント基板の画像を取得する撮影部と、
前記撮影部により取得された撮影画像と、前記検査用画像とを比較することにより、前記プリント基板の欠陥を検出する検査処理部と、
を備え、
前記プリペア部は、前記プリント基板が、180°回転させたときに特定領域を除いて一致する少なくとも2つの検査領域を有する基板である場合に、前記特定領域を指定し、
前記検査処理部は、前記特定領域において欠陥が検出された場合に、前記プリント基板の向きが間違えてセットされている可能性があることを示すアラート情報を出力し、前記特定領域において欠陥が検出されなかった場合に、前記アラート情報を出力しない、検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検査装置であって、
前記検査処理部は、前記プリント基板を、検査結果に応じて、
欠陥の検出が無い第1グループと、
欠陥の検出が予め設定された許容範囲内である第2グループと、
欠陥の検出が前記許容範囲を超えている第3グループと、
に分類し、
前記特定領域において欠陥が検出された場合は、前記プリント基板を必ず前記第3グループに分類する、検査装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の検査装置であって、
前記プリペア部は、作業者からの指示入力に従って、前記特定領域を指定する、検査装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の検査装置であって、
前記プリペア部は、前記設計データまたは前記検査用画像に基づいて、前記特定領域を自動的に抽出して指定する、検査装置。
【請求項5】
請求項4に記載の検査装置であって
記プリペア部は、前記検査用画像に含まれる前記2つの検査領域のいずれか一方を180°回転させて、前記2つの検査領域を比較し、互いに相違する部分を前記特定領域として指定する、検査装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の検査装置であって、
前記検査処理部は、
前記プリント基板の配線パターンおよび電子部品の欠陥と、前記プリント基板の上面に印刷されたシルクパターンの欠陥とを、区別して認識し、
前記特定領域において前記シルクパターンの欠陥が検出された場合に、前記アラート情報を出力し、前記特定領域において前記シルクパターンの欠陥が検出されなかった場合に、前記アラート情報を出力しない、検査装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の検査装置であって、
前記検査処理部は、前記特定領域において欠陥が検出された場合に、前記アラート情報に基づいて警報動作を行う、検査装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の検査装置であって、
前記搬送機構を動作制御する制御部
をさらに備え、
前記制御部は、前記特定領域において欠陥が検出される前記プリント基板が、所定枚数連続した場合に、前記搬送機構の動作を停止させる、検査装置。
【請求項9】
プリント基板の欠陥検査を行う検査方法であって、
a)前記プリント基板の設計データに基づく検査用画像を準備する工程と、
b)前記プリント基板を搬送しつつ、前記プリント基板を撮影して、前記プリント基板の画像を取得する工程と、
c)前記工程b)により取得された撮影画像と、前記検査用画像とを比較することにより、前記プリント基板の欠陥を検出する工程と、
を有し、
前記工程a)では、前記プリント基板が、180°回転させたときに特定領域を除いて一致する少なくとも2つの検査領域を有する基板である場合に、前記特定領域を指定し、
前記工程c)では、前記特定領域において欠陥が検出された場合に、前記プリント基板の向きが間違えてセットされている可能性があることを示すアラート情報を出力し、前記特定領域において欠陥が検出されなかった場合に、前記アラート情報を出力しない、検査方法。
【請求項10】
請求項9に記載の検査方法であって、
前記工程c)では、前記プリント基板を、検査結果に応じて、
欠陥の検出が無い第1グループと、
欠陥の検出が予め設定された許容範囲内である第2グループと、
欠陥の検出が前記許容範囲を超えている第3グループと、
に分類し、
前記特定領域において欠陥が検出された場合は、前記プリント基板を必ず前記第3グループに分類する、検査方法。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載の検査方法であって、
前記工程a)では、作業者が、前記特定領域を指定する、検査方法。
【請求項12】
請求項9または請求項10に記載の検査方法であって、
前記工程a)では、前記検査用画像を準備するコンピュータが、前記設計データまたは前記検査用画像に基づいて、前記特定領域を自動的に抽出して指定する、検査方法。
【請求項13】
請求項12に記載の検査方法であって
記工程a)では、前記コンピュータが、前記検査用画像に含まれる前記2つの検査領域のいずれか一方を180°回転させて、前記2つの検査領域を比較し、互いに相違する部分を前記特定領域として指定する、検査方法。
【請求項14】
請求項9から請求項13までのいずれか1項に記載の検査方法であって、
前記工程c)では、
前記プリント基板の配線パターンおよび電子部品の欠陥と、前記プリント基板の上面に印刷されたシルクパターンの欠陥とを、区別して認識し、
前記特定領域において前記シルクパターンの欠陥が検出された場合に、前記アラート情報を出力し、前記特定領域において前記シルクパターンの欠陥が検出されなかった場合に、前記アラート情報を出力しない、検査方法。
【請求項15】
請求項9から請求項14までのいずれか1項に記載の検査方法であって、
前記工程c)では、前記特定領域において欠陥が検出された場合に、前記アラート情報に基づいて警報動作を行う、検査方法。
【請求項16】
請求項9から請求項15までのいずれか1項に記載の検査方法であって、
前記特定領域において欠陥が検出される前記プリント基板が、所定枚数連続した場合に、前記プリント基板の搬送を停止する、検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板の欠陥検査を行う検査装置および検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント基板の製造工程では、配線パターンの形成や電子部品の実装が完了した後に、プリント基板の欠陥検査を行う検査装置が使用される。この種の検査装置は、例えば、プリント基板を水平姿勢で搬送しながら、プリント基板の上面を撮影する。そして、得られた撮影画像と、設計データに基づく検査用画像とを照合し、両画像の差分の大きい箇所を欠陥として検出する。
【0003】
基板の欠陥検査を行う従来の検査装置については、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-187053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プリント基板の検査工程では、一部の特定領域を除いて180°回転対称な、いわゆる「ミラー基板」を検査する場合がある。ミラー基板は、その大部分が180°回転対称であるため、検査装置にセットするときに、プリント基板の向きを180°間違えてしまう場合がある。また、ミラー基板の場合、プリント基板の向きを180°間違えたまま検査しても、特定領域以外の大部分は、正常と判定される。このため、向きを180°間違えていることに気付かないまま、検査工程を通過してしまうおそれがある。
【0006】
この点について、特許文献1には、基板の貫通孔にガイドピンを係合させることによって、検査装置に供給された基板の向きが正しいか否かを判定する技術が、記載されている。しかしながら、特許文献1の方法では、ミラー基板が、貫通孔も含めて180°回転対象である場合には、適用することができない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、プリント基板の検査装置において、検査されるプリント基板がミラー基板である場合に、基板に設けられた貫通孔に依存することなく、プリント基板の向きが間違っていることを、作業者に知らせることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の第1発明は、プリント基板の欠陥検査を行う検査装置であって、前記プリント基板の設計データに基づく検査用画像を準備するプリペア部と、前記プリント基板を搬送する搬送機構と、前記搬送機構により搬送される前記プリント基板を撮影して、前記プリント基板の画像を取得する撮影部と、前記撮影部により取得された撮影画像と、前記検査用画像とを比較することにより、前記プリント基板の欠陥を検出する検査処理部と、を備え、前記プリペア部は、前記プリント基板が、180°回転させたときに特定領域を除いて一致する少なくとも2つの検査領域を有する基板である場合に、前記特定領域を指定し、前記検査処理部は、前記特定領域において欠陥が検出された場合に、前記プリント基板の向きが間違えてセットされている可能性があることを示すアラート情報を出力し、前記特定領域において欠陥が検出されなかった場合に、前記アラート情報を出力しない。
【0009】
本願の第2発明は、第1発明の検査装置であって、前記検査処理部は、前記プリント基板を、検査結果に応じて、欠陥の検出が無い第1グループと、欠陥の検出が予め設定された許容範囲内である第2グループと、欠陥の検出が前記許容範囲を超えている第3グループと、に分類し、前記特定領域において欠陥が検出された場合は、前記プリント基板を必ず前記第3グループに分類する。
【0010】
本願の第3発明は、第1発明または第2発明の検査装置であって、前記プリペア部は、作業者からの指示入力に従って、前記特定領域を指定する。
【0011】
本願の第4発明は、第1発明または第2発明の検査装置であって、前記プリペア部は、前記設計データまたは前記検査用画像に基づいて、前記特定領域を自動的に抽出して指定する。
【0012】
本願の第5発明は、第4発明の検査装置であって、前記プリペア部は、前記検査用画像に含まれる前記2つの検査領域のいずれか一方を180°回転させて、前記2つの検査領域を比較し、互いに相違する部分を前記特定領域として指定する。
【0013】
本願の第6発明は、第1発明から第5発明までのいずれか1発明の検査装置であって、前記検査処理部は、前記プリント基板の配線パターンおよび電子部品の欠陥と、前記プリント基板の上面に印刷されたシルクパターンの欠陥とを、区別して認識し、前記特定領域において前記シルクパターンの欠陥が検出された場合に、前記アラート情報を出力し、前記特定領域において前記シルクパターンの欠陥が検出されなかった場合に、前記アラート情報を出力しない
【0014】
本願の第7発明は、第1発明から第6発明までのいずれか1発明の検査装置であって、前記検査処理部は、前記特定領域において欠陥が検出された場合に、前記アラート情報に基づいて警報動作を行う。
【0015】
本願の第8発明は、第1発明から第7発明までのいずれか1発明の検査装置であって、前記搬送機構を動作制御する制御部をさらに備え、前記制御部は、前記特定領域において欠陥が検出される前記プリント基板が、所定枚数連続した場合に、前記搬送機構の動作を停止させる。
【0016】
本願の第9発明は、プリント基板の欠陥検査を行う検査方法であって、a)前記プリント基板の設計データに基づく検査用画像を準備する工程と、b)前記プリント基板を搬送しつつ、前記プリント基板を撮影して、前記プリント基板の画像を取得する工程と、c)前記工程b)により取得された撮影画像と、前記検査用画像とを比較することにより、前記プリント基板の欠陥を検出する工程と、を有し、前記工程a)では、前記プリント基板が、180°回転させたときに特定領域を除いて一致する少なくとも2つの検査領域を有する基板である場合に、前記特定領域を指定し、前記工程c)では、前記特定領域において欠陥が検出された場合に、前記プリント基板の向きが間違えてセットされている可能性があることを示すアラート情報を出力し、前記特定領域において欠陥が検出されなかった場合に、前記アラート情報を出力しない。
【0017】
本願の第10発明は、第9発明の検査方法であって、前記工程c)では、前記プリント基板を、検査結果に応じて欠陥の検出が無い第1グループと、欠陥の検出が予め設定された許容範囲内である第2グループと、欠陥の検出が前記許容範囲を超えている第3グループと、に分類し、前記特定領域において欠陥が検出された場合は、前記プリント基板を必ず前記第3グループに分類する。
【0018】
本願の第11発明は、第9発明または第10発明の検査方法であって、前記工程a)では、作業者が、前記特定領域を指定する。
【0019】
本願の第12発明は、第9発明または第10発明の検査方法であって、前記工程a)では、前記検査用画像を準備するコンピュータが、前記設計データまたは前記検査用画像に基づいて、前記特定領域を自動的に抽出して指定する。
【0020】
本願の第13発明は、第12発明の検査方法であって、前記工程a)では、前記コンピュータが、前記検査用画像に含まれる前記2つの検査領域のいずれか一方を180°回転させて、前記2つの検査領域を比較し、互いに相違する部分を前記特定領域として指定する。
【0021】
本願の第14発明は、第9発明から第13発明までのいずれか1発明の検査方法であって、前記工程c)では、前記プリント基板の配線パターンおよび電子部品の欠陥と、前記プリント基板の上面に印刷されたシルクパターンの欠陥とを、区別して認識し、前記特定領域において前記シルクパターンの欠陥が検出された場合に、前記アラート情報を出力し、前記特定領域において前記シルクパターンの欠陥が検出されなかった場合に、前記アラート情報を出力しない
【0022】
本願の第15発明は、第9発明から第14発明までのいずれか1発明の検査方法であって、前記工程c)では、前記特定領域において欠陥が検出された場合に、前記アラート情報に基づいて警報動作を行う。
【0023】
本願の第16発明は、第9発明から第15発明までのいずれか1発明の検査方法であって、前記特定領域において欠陥が検出される前記プリント基板が、所定枚数連続した場合に、前記プリント基板の搬送を停止する。
【発明の効果】
【0024】
本願の第1発明~第8発明によれば、ミラー基板の向きを間違えてセットした場合に、検査処理部が、基板の向きが間違えてセットされている可能性があることを示すアラート情報を出力する。これにより、ミラー基板の向きが間違っていることを、作業者に知らせることができる。
【0025】
本願の第9発明~第16発明によれば、ミラー基板の向きを間違えてセットした場合に、工程c)において、基板の向きが間違えてセットされている可能性があることを示すアラート情報を出力する。これにより、ミラー基板の向きが間違っていることを、作業者に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】プリント基板の一例を示した図である。
図2】検査装置の構成を示した図である。
図3】ミラー基板に対する検査処理の流れを示したフローチャートである。
図4】特定領域を指定するときの処理の例を、概念的に示した図である。
図5】分類処理の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0028】
<1.プリント基板について>
まず、後述する検査装置1において検査されるプリント基板9について、説明する。
【0029】
図1は、プリント基板9の一例を示した図である。図1に示すように、プリント基板9は、ベースプレート91と、ベースプレート91の上面および下面に形成された配線パターン92と、複数の電子部品93とを有する。ベースプレート91は、ガラスエポキシや紙フェノール等の絶縁材料により形成される。配線パターン92は、ベースプレート91上の銅箔が、フォトリソグラフィによりエッチングされることで形成される。複数の電子部品93は、ベースプレート91上の配線パターン92に、半田付けにより接続される。また、ベースプレート91の上面および下面には、配線パターン92の番号や電子部品93の種類などの情報を示すシルクパターン94が印刷されている。
【0030】
図1のプリント基板9は、ごく一部の特定領域95を除いて、180°回転対称(2回対称)である。すなわち、プリント基板9は、180°回転させたときに、特定領域95を除いてパターンが一致する。このような180°回転対称のプリント基板9は、「ミラー基板」と称される。
【0031】
図1の例では、プリント基板9の上面に、2つの矩形の検査領域96A,96Bが存在する。2つの検査領域96A,96Bは、プリント基板9の中央を境として、隣接配置されている。これらの検査領域96A,96Bに含まれるパターンは、特定領域95を除いて一致する。ただし、検査領域96Aと検査領域96Bとは、互いに180°回転した姿勢で、配置されている。すなわち、図1のプリント基板9を180°回転させると、回転前と回転後とで、2つの検査領域96A,96Bが、特定領域95を除いて一致する。
【0032】
<2.検査装置の構成>
続いて、本発明の一実施形態に係る検査装置1について、説明する。
【0033】
図2は、検査装置1の構成を示した図である。この検査装置1は、プリント基板9の製造工程において、配線パターン92の形成、シルクパターン94の印刷、および電子部品93の実装が完了した後、そのプリント基板9を出荷する前に、プリント基板9の欠陥検査(外観検査)を行うための装置である。図2に示すように、本実施形態の検査装置1は、制御部10、基板投入部20、第1搬送機構31、第1撮影部32、第1欠陥検出部33、反転機構40、第2搬送機構51、第2撮影部52、第2欠陥検出部53、および基板排出部60を備えている。
【0034】
制御部10は、基板投入部20、第1搬送機構31、反転機構40、第2搬送機構51、および基板排出部60を動作制御するための手段である。制御部10は、例えば、RAM等のメモリと、CPU等のプロセッサとを有し、コンピュータプログラムに従って動作するコンピュータにより構成される。制御部10は、モータコントローラ11を介して、上述した基板投入部20、第1搬送機構31、反転機構40、第2搬送機構51、および基板排出部60と、電気的に接続されている。制御部10は、コンピュータプログラムに従って、モータコントローラ11へ制御信号を送信する。これにより、モータコントローラ11が、基板投入部20、第1搬送機構31、反転機構40、第2搬送機構51、および基板排出部60の各部に組み込まれたモータを動作させる。その結果、制御部10内におけるプリント基板9の搬送動作が実現される。
【0035】
本実施形態では、この制御部10が、プリント基板9の設計データに基づいて検査用画像を準備する「プリペア部」としての機能を有する。制御部10は、ネットワークを介して接続されたサーバから、プリント基板9の設計データを受信する。そして、得られた設計データを、第1欠陥検出部33および第2欠陥検出部53の検出処理に適した検査用画像に変換する。本実施形態の制御部10は、プリント基板9の第1面の検査に用いられる第1検査用画像D1と、プリント基板9の第2面の検査に用いられる第2検査用画像D2とを、作成する。そして、制御部10は、第1検査用画像D1を第1欠陥検出部33へ送信し、第2検査用画像D2を第2欠陥検出部53へ送信する。
【0036】
このように、本実施形態では、プリント基板9の搬送制御を行う制御部10のコンピュータが、検査用画像D1,D2を準備するプリペア部としての機能も果たす。ただし、プリント基板9の搬送制御を行うコンピュータと、プリペア部として機能するコンピュータとが、別々に設けられていてもよい。
【0037】
基板投入部20は、検査すべきプリント基板9を、装置内に受け入れるための部位である。基板投入部20は、検査装置1におけるプリント基板9の搬送経路の最も上流側に位置する。プリント基板9の検査工程を担当する作業者は、例えば手作業で、検査前の複数枚のプリント基板9を、一括して基板投入部20へセットする。このとき、プリント基板9は、第1面が上側となる姿勢で配置される。ただし、基板投入部20へのプリント基板9の投入は、ロボットが行ってもよい。
【0038】
第1搬送機構31は、基板投入部20からプリント基板9を1枚ずつ取り出して、各プリント基板9を、搬送経路の下流側へ搬送する機構である。第1搬送機構31は、プリント基板9を、第1面が上側を向く姿勢で水平に搬送する。第1搬送機構31は、例えば、複数のローラの上にプリント基板9を載置し、複数のローラを回転させることにより、プリント基板9を搬送する。ただし、第1搬送機構31は、プリント基板9を載置したステージを、ボールネジの回転により水平移動させる機構であってもよい。また、第1搬送機構31は、プリント基板9を載置したステージを、リニアモータにより水平移動させる機構であってもよい。
【0039】
第1撮影部32は、第1搬送機構31により搬送されるプリント基板9の上面を撮影する機構である。第1撮影部32には、例えば、ラインセンサが用いられる。ラインセンサは、プリント基板9の搬送方向に対して直交しかつ水平な方向(以下、「幅方向」と称する)に配列された、複数の受光素子を有する。第1撮影部32は、下方を通過するプリント基板9を連続的に撮影することにより、プリント基板9の第1面の画像(以下、「第1撮影画像P1」と称する)を、デジタルデータとして取得する。また、第1撮影部32は、得られた第1撮影画像P1を、第1欠陥検出部33へ送信する。
【0040】
第1欠陥検出部33は、プリント基板9の第1面における欠陥の有無を検査する処理部である。第1欠陥検出部33は、例えば、RAM等のメモリと、CPU等のプロセッサとを有し、コンピュータプログラムに従って動作するコンピュータにより構成される。第1欠陥検出部33は、制御部10により作成された第1検査用画像D1と、第1撮影部32により取得した第1撮影画像P1とを比較する。そして、第1撮影画像P1の画素値が、第1検査用画像D1に対して一定値以上相違する部分を、欠陥として検出する。また、第1欠陥検出部33は、プリント基板9の第1面の検査結果を示す第1検査結果R1を、制御部10へ送信する。
【0041】
反転機構40は、第1搬送機構31と第2搬送機構51との間において、プリント基板9の表裏を反転させる機構である。反転機構40は、第1面の検査が終了したプリント基板9を、第1搬送機構31から受け取る。そして、反転機構40は、水平方向に延びる軸を中心として、プリント基板9を180°回転させる。これにより、プリント基板9の姿勢を、第1面が上側を向く姿勢から、第2面が上側を向く姿勢へ、反転させる。その後、反転機構40は、反転後のプリント基板9を、第2搬送機構51へ渡す。
【0042】
第2搬送機構51は、反転機構40から受け取ったプリント基板9を、搬送経路のさらに下流側へ搬送する機構である。第2搬送機構51は、プリント基板9を、第2面が上側を向く姿勢で水平に搬送する。第2搬送機構51は、例えば、複数のローラの上にプリント基板9を載置し、複数のローラを回転させることにより、プリント基板9を搬送する。ただし、第2搬送機構51は、プリント基板9を載置したステージを、ボールネジの回転により水平移動させる機構であってもよい。また、第2搬送機構51は、プリント基板9を載置したステージを、リニアモータにより水平移動させる機構であってもよい。
【0043】
第2撮影部52は、第2搬送機構51により搬送されるプリント基板9の上面を撮影する機構である。第2撮影部52には、例えば、ラインセンサが用いられる。ラインセンサは、プリント基板9の幅方向に配列された、複数の受光素子を有する。第2撮影部52は、下方を通過するプリント基板9を連続的に撮影することにより、プリント基板9の第2面の画像(以下、「第2撮影画像P2」と称する)を、デジタルデータとして取得する。また、第2撮影部52は、得られた第2撮影画像P2を、第2欠陥検出部53へ送信する。
【0044】
第2欠陥検出部53は、プリント基板9の第2面における欠陥の有無を検査する処理部である。第2欠陥検出部53は、例えば、RAM等のメモリと、CPU等のプロセッサとを有し、コンピュータプログラムに従って動作するコンピュータにより構成される。第2欠陥検出部53は、制御部10により作成された第2検査用画像D2と、第2撮影部52により取得した第2撮影画像P2とを比較する。そして、第2撮影画像P2の画素値が、第2検査用画像D2に対して一定値以上相違する部分を、欠陥として検出する。また、第2欠陥検出部53は、プリント基板9の第2面の検査結果を示す第2検査結果R2を、制御部10へ送信する。
【0045】
制御部10は、第1検査結果R1および第2検査結果R2を受信すると、これらの検査結果を解析して、各プリント基板9の良否を判定する。すなわち、本実施形態では、第1欠陥検出部33、第2欠陥検出部53、および制御部10が、全体として、プリント基板9の検査処理を行う検査処理部70を構成している。検査処理部70は、本実施形態のように、互いに通信可能に接続された複数のコンピュータにより構成されていてもよく、あるいは、単一のコンピュータにより構成されていてもよい。
【0046】
基板排出部60は、第2面の検査が終了したプリント基板9を、検査結果に応じて、3つの収納部61,62,63へ排出する機構である。基板排出部60および3つの収納部61,62,63は、検査装置1におけるプリント基板9の搬送経路の最も下流側に位置する。基板排出部60は、例えば、プリント基板9を保持しつつ移動するロボットにより実現される。基板排出部60は、第2搬送機構51から受け取ったプリント基板9を、制御部10からの指令に従って、第1収納部61、第2収納部62,または第3収納部63へ振り分けて収納する。
【0047】
第1収納部61は、良品のプリント基板9を収納する部分である。第1検査結果R1および第2検査結果R2において、問題となる欠陥の検出が無かった場合、そのプリント基板9は、第1収納部61へ収納される。第2収納部62は、作業者による欠陥の目視確認が必要なプリント基板9を収納する部分である。第1検査結果R1および第2検査結果R2に含まれる欠陥の数が、予め設定された許容範囲内であった場合、そのプリント基板9は、第2収納部62へ収納される。第3収納部63は、不良品または作業者による特別な検証が必要なプリント基板9を収納する部分である。第1検査結果R1および第2検査結果R2に含まれる欠陥の数が、予め設定された許容範囲を超えている場合や、後述するアラート情報A1,A2が発生している場合、そのプリント基板9は、第3収納部63へ収納される。
【0048】
<3.ミラー基板の検査処理>
続いて、上記の検査装置1において、ミラー基板であるプリント基板9の欠陥検査を行う場合の処理について、説明する。図3は、ミラー基板に対する検査処理の流れを示したフローチャートである。
【0049】
図3に示すように、プリント基板9の検査を行うときには、まず、制御部10において、検査用画像を準備する(ステップS1)。具体的には、制御部10のコンピュータに対して、作業者が所定の操作を行う。これにより、まず、制御部10は、検査対象となるプリント基板9の設計データを、サーバからダウンロードする。そして、取得した設計データに基づいて、第1面の検査用画像である第1検査用画像D1と、第2面の検査用画像である第2検査用画像D2とを、作成する。
【0050】
検査対象のプリント基板9がミラー基板である場合、第1検査用画像D1および第2検査用画像D2は、それぞれ、一部の特定領域95を除いて、回転対称となっている。その場合、制御部10は、これらの第1検査用画像D1および第2検査用画像D2に対して、それぞれ、特定領域95を指定する(ステップS2)。本実施形態では、制御部10が、検査用画像D1,D2に基づいて、特定領域95を自動的に抽出して指定する。
【0051】
図4は、図1のレイアウトを有するプリント基板9の第1検査用画像D1に対して、特定領域95を指定するときの処理の例を、概念的に示した図である。特定領域95を指定するときには、図4のように、まず、第1検査用画像D1に含まれる2つの検査領域96A,96Bのいずれか一方(図4の例では検査領域96B)を、180°回転させる。そして、図4の中段の図のように、回転後の一方の検査領域96Bと、他方の検査領域96Aとを比較して、互いに相違する部分を特定領域95として指定する。その後、図4の下段の図のように、一方の検査領域96Bを元の姿勢に戻す。このようにすれば、制御部10のコンピュータが、第1検査用画像D1に基づいて、特定領域95を自動的に指定することができる。
【0052】
また、制御部10は、第2検査用画像D2に対しても、上記と同様の手順で、特定領域95を指定する。
【0053】
その後、制御部10は、準備した第1検査用画像D1を、特定領域95の情報とともに、第1欠陥検出部33へ送信する。また、制御部10は、準備した第2検査用画像D2を、特定領域95の情報とともに、第2欠陥検出部53へ送信する。
【0054】
続いて、作業者が、基板投入部20に複数枚のプリント基板9をセットする(ステップS3)。本実施形態では、複数枚のプリント基板9は、いずれもミラー基板であるものとする。各プリント基板9は、上述した設計データに基づいて製造されたものである。基板投入部20へのプリント基板9のセットが完了すると、作業者は、制御部10に対して、動作開始の指示を入力する。これにより、検査装置1内におけるプリント基板9の搬送が開始される(ステップS4)。
【0055】
第1搬送機構31は、基板投入部20からプリント基板9を1枚ずつ取り出す。そして、各プリント基板9を、第1面が上側を向く姿勢で、搬送経路の下流側へ順次に搬送する。その後、第1撮影部32は、下方を通過するプリント基板9の上面を撮影する(ステップS5)。これにより、プリント基板9の第1面の画像である第1撮影画像P1が取得される。得られた第1撮影画像P1は、第1撮影部32から第1欠陥検出部33へ送信される。
【0056】
第1欠陥検出部33は、第1撮影部32から第1撮影画像P1を受信すると、その第1撮影画像P1に基づいて、当該プリント基板9の第1面の検査を行う(ステップS6)。具体的には、第1欠陥検出部33は、制御部10から受信した第1検査用画像D1と、第1撮影部32から受信した第1撮影画像P1とを、比較する。そして、第1撮影画像P1の画素値が、第1検査用画像D1に対して一定値以上相違する部分を、欠陥として検出する。その後、第1欠陥検出部33は、プリント基板9の第1面の検査結果である第1検査結果R1を、制御部10へ送信する。
【0057】
このとき、第1欠陥検出部33は、第1面の特定領域95において欠陥が検出されなかった場合と、第1面の特定領域95において欠陥が検出された場合とを、区別して認識する。そして、第1面の特定領域95において欠陥が検出された場合には、第1欠陥検出部33は、第1検査結果R1に特有の情報(以下、「第1アラート情報A1」と称する)を含めて、制御部10へ出力する。一方、第1面の特定領域95において欠陥が検出されなかった場合には、第1欠陥検出部33は、第1検査結果R1に第1アラート情報A1を含めることなく、第1検査結果R1を制御部10へ出力する。
【0058】
続いて、第1撮影部32の下方を通過したプリント基板9が、第1搬送機構31から反転機構40へ受け渡される。そして、反転機構40が、プリント基板9の表裏を反転させる(ステップS7)。これにより、プリント基板9の姿勢が、第1面を上側に向けた姿勢から、第2面を上側に向けた姿勢に、変更される。その後、反転機構40は、反転後のプリント基板9を、第2搬送機構51へ渡す。
【0059】
続いて、第2搬送機構51は、反転機構40から受け取ったプリント基板9を、第2面が上側を向く姿勢で、搬送経路の下流側へ搬送する。そして、第2撮影部52が、下方を通過するプリント基板9の上面を撮影する(ステップS8)。これにより、プリント基板9の第2面の画像である第2撮影画像P2が取得される。得られた第2撮影画像P2は、第2撮影部52から第2欠陥検出部53へ送信される。
【0060】
第2欠陥検出部53は、第2撮影部52から第2撮影画像P2を受信すると、その第2撮影画像P2に基づいて、当該プリント基板9の第2面の検査を行う(ステップS9)。具体的には、第2欠陥検出部53は、制御部10から受信した第2検査用画像D2と、第2撮影部52から受信した第2撮影画像P2とを、比較する。そして、第2撮影画像P2の画素値が、第2検査用画像D2に対して一定値以上相違する部分を、欠陥として検出する。その後、第2欠陥検出部53は、プリント基板9の第2面の検査結果である第2検査結果R2を、制御部10へ送信する。
【0061】
このとき、第2欠陥検出部53は、第2面の特定領域95において欠陥が検出されなかった場合と、第2面の特定領域95において欠陥が検出された場合とを、区別して認識する。そして、第2面の特定領域95において欠陥が検出された場合には、第2欠陥検出部53は、第2検査結果R2に特有の情報(以下、「第2アラート情報A2」と称する)を含めて、制御部10へ出力する。一方、第2面の特定領域95において欠陥が検出されなかった場合には、第2欠陥検出部53は、第2検査結果R2に第2アラート情報A2を含めることなく、第2検査結果R2を制御部10へ出力する。
【0062】
基板投入部20において、作業者が、プリント基板9の向きを180°間違えてセットしても、ミラー基板の場合には、180°回転対称であるため、第1面および第2面の大部分において欠陥が検出されない。ただし、特定領域95は、180°回転対称ではないため、向きの間違いにより検査用画像D1,D2との間に不一致が発生する。このため、当該不一致が欠陥として検出される。したがって、特定領域95において欠陥が検出された場合に付与されるアラート情報A1,A2は、プリント基板9の向きが180°間違えてセットされている可能性があることを示す情報となる。
【0063】
制御部10は、第1検査結果R1および第2検査結果R2を受信すると、これらの検査結果に応じて、プリント基板9を、3つのグループG1,G2,G3に分類する(ステップS10)。
【0064】
図5は、ステップS10の分類処理の例を示したフローチャートである。図5のように、制御部10は、まず、第1検査結果R1における第1アラート情報A1の有無と、第2検査結果R2における第2アラート情報A2の有無とを、確認する(ステップS101)。そして、第1検査結果R1および第2検査結果R2の少なくともいずれか一方に、アラート情報A1,A2が含まれている場合には(ステップS101:yes)、そのプリント基板9を第3グループG3に分類する(ステップS106)。すなわち、制御部10は、第1面および第2面の少なくともいずれか一方の特定領域95において欠陥が検出された場合は、そのプリント基板9を、必ず第3グループG3に分類する。
【0065】
一方、第1検査結果R1および第2検査結果R2のいずれにもアラート情報A1,A2が含まれていない場合には(ステップS101:no)、次に、制御部10は、第1検査結果R1および第2検査結果R2のそれぞれの欠陥検出数を確認する(ステップS102)。そして、第1検査結果R1および第2検査結果R2のいずれにおいても欠陥の検出が無い場合には(ステップS102:欠陥検出なし)、そのプリント基板9を第1グループG1に分類する(ステップS104)。また、第1検査結果R1および第2検査結果R2の少なくとも一方において欠陥の検出があり、その欠陥の数が、予め設定された許容範囲内である場合には(ステップS102:許容範囲内)、そのプリント基板9を第2グループG2に分類する(ステップS105)。また、第1検査結果R1および第2検査結果R2の少なくとも一方において、予め設定された許容範囲を超える欠陥が検出されている場合には(ステップS102:許容範囲超え)、そのプリント基板9を第3グループG3に分類する(ステップS106)。
【0066】
また、上述の通り、第1検査結果R1および第2検査結果R2の少なくともいずれか一方に、アラート情報A1,A2が含まれている場合、プリント基板9の向きが、180°間違ってセットされている可能性がある。このため、図5に示すように、第1検査結果R1および第2検査結果R2の少なくともいずれか一方に、アラート情報A1,A2が含まれている場合には(ステップS101:yes)、制御部10は、警報動作を行う(ステップS103)。これにより、作業者に、プリント基板9の向きが、180°間違ってセットされている可能性があることを知らせる。警報動作は、例えば、制御部10に接続されたディスプレイに、所定の画像またはメッセージを表示することにより、行われる。ただし、警報動作は、ランプの点灯、ブザーの鳴動、特定の情報端末へのメッセージの送信などであってもよい。
【0067】
その後、制御部10は、ステップS10の分類結果に応じて、基板排出部60を動作させる。これにより、プリント基板9を、3つの収納部61に振り分けて排出する(ステップS11)。具体的には、基板排出部60は、第1グループG1に分類されたプリント基板9を、第1収納部61へ収納する。また、基板排出部60は、第2グループG2に分類されたプリント基板9を、第2収納部62へ収納する。また、基板排出部60は、第3グループG3に分類されたプリント基板9を、第3収納部63へ収納する。
【0068】
制御部10が上述した警報動作を行った場合、作業者は、第3収納部63に収納されたプリント基板9の向きが180°間違っているか否かを確認する。そして、プリント基板9の向きが間違っていた場合には、作業者は、そのプリント基板9を、正しい向きで基板投入部20にセットし直す。その後、検査装置1は、そのプリント基板9の欠陥検査を改めて実行する。
【0069】
以上のように、本実施形態の検査装置1では、検査処理部70が、ミラー基板の特定領域95において欠陥を検出した場合に、他の領域における欠陥の検出とは異なる出力を行う。すなわち、ミラー基板であるプリント基板9の向きを180°間違えてセットした場合に、検査処理部70は、通常とは異なる出力を行う。これにより、プリント基板9の向きが間違っていることを、作業者に知らせることができる。
【0070】
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
【0071】
<4-1.第1変形例>
上記の実施形態では、ミラー基板の検査を行うときに、制御部10が、検査領域96A,96B中の特定領域95を、検査用画像D1,D2に基づいて抽出して指定していた。しかしながら、制御部10は、ミラー基板の設計データに基づいて、特定領域95を指定してもよい。また、上記の実施形態では、制御部10が、特定領域95を自動的に抽出して指定していた。しかしながら、特定領域95は、作業者が指定してもよい。すなわち、制御部10は、作業者からの指示入力に従って、特定領域95を指定してもよい。
【0072】
<4-2.第2変形例>
また、上記の実施形態では、第1欠陥検出部33および第2欠陥検出部53は、特定領域95において欠陥を検出した場合に、必ずアラート情報A1,A2を出力していた。しかしながら、第1欠陥検出部33および第2欠陥検出部53は、配線パターン92および電子部品93の欠陥と、シルクパターン94の欠陥とを、区別して認識してもよい。そして、特定領域95においてシルクパターン94の欠陥が検出された場合にのみ、アラート情報A1,A2を出力するようにしてもよい。
【0073】
すなわち、検査処理部70は、特定領域95においてシルクパターン94の欠陥が検出された場合に、他の領域においてシルクパターン94の欠陥が検出された場合とは異なる出力を行ってもよい。このようにすれば、図1のように、特定領域95の非回転対称なパターンがシルクパターン94である場合に、プリント基板9のセットの向きが間違っていることを、より精度よく検出することができる。
【0074】
<4-3.第3変形例>
上記の実施形態では、特定領域95において欠陥が発生したか否かを、欠陥検出部33,53が判定していた。そして、欠陥検出部33,53から制御部10へ、特定領域95において欠陥が検出されたことを示すアラート情報A1,A2を、送信していた。しかしながら、欠陥検出部33,53は、特定領域95における欠陥検出の有無を判断することなく、検査結果R1,R2を制御部10へ送信してもよい。その場合、制御部10が、受信した検査結果R1,R2に基づいて、特定領域95における欠陥検出の有無を判定すればよい。
【0075】
<4-4.第4変形例>
基板投入部20に一括してセットされた複数枚のプリント基板9の向きが、全て間違っている場合、全てのプリント基板9について、特定領域95に欠陥が検出されることとなる。この場合、これらのプリント基板9の検査が全て完了してから、検査をやり直すと、時間のロスが大きい。このため、制御部10は、特定領域95において欠陥が検出されるプリント基板9が、所定枚数連続した場合に、警告動作を行うとともに、第1搬送機構31、反転機構40、第2搬送機構51、および基板排出部60の動作を停止させてもよい。
【0076】
このようにすれば、作業者は、一括してセットした複数枚のプリント基板9の検査が全て完了する前に、プリント基板9の向きが間違っていることを知ることができる。したがって、その時点で、作業のやり直しを開始できるため、時間のロスを低減できる。
【0077】
<4-5.他の変形例>
上述した図1の例では、ミラー基板であるプリント基板9が、特定領域95を除いてパターンが一致する2つの検査領域96A,96Bを有していた。しかしながら、本発明におけるミラー基板は、このような2つの検査領域を有するものには限られない。ミラー基板に含まれる検査領域の数は、1つ、4つ、6つなどでもよい。
【0078】
また、上記の実施形態の検査装置1は、プリント基板9の第1面および第2面の両方を検査するものであった。しかしながら、本発明の検査装置は、プリント基板の第1面および第2面のいずれか一方のみを検査するものであってもよい。
【0079】
また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 検査装置
9 プリント基板
10 制御部
11 モータコントローラ
20 基板投入部
31 第1搬送機構
32 第1撮影部
33 第1欠陥検出部
40 反転機構
51 第2搬送機構
52 第2撮影部
53 第2欠陥検出部
60 基板排出部
61 第1収納部
62 第2収納部
63 第3収納部
70 検査処理部
91 ベースプレート
92 配線パターン
93 電子部品
94 シルクパターン
95 特定領域
96A 検査領域
96B 検査領域
D1 第1検査用画像
D2 第2検査用画像
P1 第1撮影画像
P2 第2撮影画像
R1 第1検査結果
R2 第2検査結果
図1
図2
図3
図4
図5