(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】杭の施工管理システム
(51)【国際特許分類】
E02D 13/06 20060101AFI20230516BHJP
E02D 13/04 20060101ALI20230516BHJP
E02D 7/20 20060101ALI20230516BHJP
E02D 5/28 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
E02D13/06
E02D13/04
E02D7/20
E02D5/28
(21)【出願番号】P 2019056270
(22)【出願日】2019-03-25
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】長濱 温子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀一
(72)【発明者】
【氏名】山本 義徳
(72)【発明者】
【氏名】朴 宰弘
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-020060(JP,A)
【文献】特開2018-053689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 13/06
E02D 13/04
E02D 7/20
E02D 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼管杭の上端がベースマシンのリーダーに沿って降下するオーガーに取り付けられ、該リーダーの下方に取り付けられている環状の振れ止め部材に前記鋼管杭が挿通されながら地盤に回転圧入される杭打ち機により、鋼管杭を施工する際に用いられる、杭の施工管理システムであって、
前記振れ止め部材の上、もしくは前記鋼管杭の周囲の地盤の上に固定されている二つのターゲットと、
前記二つのターゲットの位置を交互に計測する計測器と、
前記ベースマシンのオペレータもしくは施工管理者の有する携帯端末と、を有し、
前記携帯端末は、
前記計測器から送信される前記二つのターゲットの位置に関する計測データを受信する受信部と、
前記受信部から前記二つのターゲットの位置に関する計測データを読み出し、前記鋼管杭の杭芯位置を演算する演算部と、を備えて
おり、
環状の治具を有し、該治具は二つの半割り治具を相互に接合することにより形成され、
前記半割り治具に前記ターゲットが固定され、
環状の前記治具の内側面には、鋼管杭に対して当接自在なローラが取り付けられており、
前記治具は前記振れ止め部材の上に、該振れ止め部材に対して相対移動自在に載置されていることを特徴とする、杭の施工管理システム。
【請求項2】
鋼管杭の上端がベースマシンのリーダーに沿って降下するオーガーに取り付けられ、該リーダーの下方に取り付けられている環状の振れ止め部材に前記鋼管杭が挿通されながら地盤に回転圧入される杭打ち機により、鋼管杭を施工する際に用いられる、杭の施工管理システムであって、
前記振れ止め部材の上、もしくは前記鋼管杭の周囲の地盤の上に固定されている二つのターゲットと、
前記二つのターゲットの位置を交互に計測する計測器と、
前記ベースマシンのオペレータもしくは施工管理者の有する携帯端末と、を有し、
前記携帯端末は、
前記計測器から送信される前記二つのターゲットの位置に関する計測データを受信する受信部と、
前記受信部から前記二つのターゲットの位置に関する計測データを読み出し、前記鋼管杭の杭芯位置を演算する演算部と、を備えて
おり、
環状の治具を有し、該治具は二つの半割り治具を相互に接合することにより形成され、
前記半割り治具に前記ターゲットが固定され、
環状の前記治具の内側面には、鋼管杭に対して当接自在なローラが取り付けられており、
前記治具は前記鋼管杭の周囲の地盤の上に載置されていることを特徴とする、杭の施工管理システム。
【請求項3】
前記治具の上面には、上方に突出して、前記二つのターゲットが固定される二つ以上のターゲット固定ピンが取り付けられ、そのうち、前記計測器から計測可能な位置にある二つの該ターゲット固定ピンが選定され、前記二つのターゲットが固定されていることを特徴とする、請求項
1又は2に記載の杭の施工管理システム。
【請求項4】
前記振れ止め部材の上面には、上方に突出して、前記治具が固定される四つ以上の治具固定ピンが取り付けられ、
前記治具には、前記四つ以上の治具固定ピンにそれぞれ対応して該治具固定ピンよりも大寸法のピン孔が開設され、
前記ピン孔に対して前記治具固定ピンがクリアランスを有した状態で挿通されていることを特徴とする、
請求項1、又は請求項1に従属する請求項3に記載の杭の施工管理システム。
【請求項5】
前記携帯端末は格納部をさらに有し、
前記格納部には、前記鋼管杭の打設芯と前記二つのターゲットの間の二種類の距離に関するデータが予め格納されており、
前記演算部により、前記二つのターゲットの位置を中心とし、それぞれのターゲットに固有の前記距離を半径とする二つの円を作成し、該二つの円による二つの交点の一方が鋼管杭の杭芯位置として演算されることを特徴とする、請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の杭の施工管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭の施工管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
杭基礎の施工に当たり、杭打ち機を用いて、例えば鋼管の先端に螺旋翼が設けられている鋼管杭を地盤に回転圧入することにより、鋼管杭を地中に埋設する鋼管回転圧入工法が適用される。場所打ち杭工法では産業廃棄物となる掘削土が発生するが、鋼管回転圧入工法ではこの産業廃棄物の発生が解消でき、さらには、低騒音かつ低振動での施工が可能であることから環境影響への負荷が少ない。また、建物の規模に応じた杭径の鋼管杭を用いることにより、戸建て住宅等の小規模建物からマンション等の大規模建物まで、様々な規模の建物の杭基礎への適用が可能である。
【0003】
上記する鋼管杭を地盤に回転圧入する際の施工管理システムとして、鋼管の上端近傍にターゲットを取り付け、トータルステーションを用いてターゲットの自動追尾を行うことによりターゲットの位置情報を取得する、回転式鋼管打設施工管理システムが提案されている。この回転式鋼管打設施工管理システムは、ターゲットの位置情報に基づいて鋼管芯座標を算出し、算出された鋼管芯座標を記憶部に記憶する情報処理装置をさらに有している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、鋼管杭の回転圧入施工の初期段階においては、鋼管杭の上端部と地盤との距離が離れていることから、上端部の杭芯位置と、地盤に近い箇所での杭芯位置とが必ずしも一致していない場合が往々にしてある。従って、施工対象の鋼管杭が地盤の正しい位置に圧入されていることを確認するには、鋼管杭の上端部よりも、むしろ地盤に近い場所での杭芯位置(もしくは杭の打設芯位置)を把握することが肝要である。この点、上記する特許文献1に記載の施工管理システムでは、鋼管杭自体にターゲットを取り付けていることから、杭打ち機を構成する各構成要素等とターゲットとの干渉を回避するために、ターゲットを鋼管杭の上端部に設けざるを得ない。そのため、鋼管杭の上端部近傍に取り付けられているターゲットの位置情報をトータルステーションにより取得することから、鋼管杭の正しい施工位置を管理する点においては改善の余地がある。
【0005】
そこで、地盤の近傍における鋼管杭の杭芯位置を得ることのできる施工管理システムが提案されている。より具体的には、鋼管杭の上端を保持して、鋼管杭を回転させながら地盤に圧入する駆動部と、地盤の近傍で鋼管杭を保持する振れ止め部材と、を備える杭打ち機による鋼管杭の打設施工を管理する施工管理システムである。この施工管理システムは、振れ止め部材の上に設けられ、鋼管杭を周回する第2レールが形成されたレール部材と、鋼管杭の回転に伴い、第2レールに沿って摺動する第2磁石と、第2磁石に取り付けられたプリズムと、プリズムの位置を計測する計測器と、計測器により計測されるプリズムの複数の位置に基づいて、鋼管杭の杭芯位置を演算する演算部とを備えている。
【0006】
第1レールには第1磁石が摺動可能に設けられ、第1磁石は、鋼管杭の回転に追従して第1レールに沿って摺動するようになっている。一方、第2レールには、第1規制部材と第2規制部材が設けられており、第1規制部材と第2規制部材とにより区切られた範囲が第2磁石の摺動範囲とされ、この摺動範囲に第2磁石が配置されている。さらに、この摺動範囲に計測器を対向配置することにより、施工管理システムが形成される。
【0007】
上記する施工管理システムにおいて、第2磁石と第1磁石とは、互いに異なる磁極を有している。鋼管杭の回転に伴い、鋼管杭に磁気吸引された第1磁石が鋼管杭と同方向に摺動し、第1磁石が第2磁石の摺動範囲に到達すると、第1磁石に磁気吸引された第2磁石が摺動範囲内を摺動し、この摺動する第2磁石に取り付けられているプリズムの位置を計測器にて計測する。この施工管理システムによれば、第2磁石に取り付けられているプリズムを、第1規制部材と第2規制部材の間の摺動範囲にて往復させる際に、計測器からプリズムを見た際に、当該プリズムが鋼管杭に隠れることがないことから、計測器はプリズムの位置を常時計測することができる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第5546416号公報
【文献】特開2018-53689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2に記載の施工管理システムでは、鋼管杭の回転に伴って当該鋼管杭と同方向に第1磁石を摺動させるとともに、第1磁石の摺動に伴って、当該第1磁石と同方向にプリズムが取り付けられている第2磁石を、第1規制部材と第2規制部材の間の摺動範囲において摺動させることから、第1磁石や第2磁石が摺動するレールを含む治具の構成が複雑になり易い。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、複雑な治具を有することなく、地盤の近傍において鋼管杭の杭芯位置を精度よく特定しながら鋼管杭の施工管理を行うことのできる、杭の施工管理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成すべく、本発明による杭の施工管理システムの一態様は、
鋼管杭の上端がベースマシンのリーダーに沿って降下するオーガーに取り付けられ、該リーダーの下方に取り付けられている環状の振れ止め部材に前記鋼管杭が挿通されながら地盤に回転圧入される杭打ち機により、鋼管杭を施工する際に用いられる、杭の施工管理システムであって、
前記振れ止め部材の上、もしくは前記鋼管杭の周囲の地盤の上に固定されている二つのターゲットと、
前記二つのターゲットの位置を交互に計測する計測器と、
前記ベースマシンのオペレータもしくは施工管理者の有する携帯端末と、を有し、
前記携帯端末は、
前記計測器から送信される前記二つのターゲットの位置に関する計測データを受信する受信部と、
前記受信部から前記二つのターゲットの位置に関する計測データを読み出し、前記鋼管杭の杭芯位置を演算する演算部と、を備えていることを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、振れ止め部材の上、もしくは鋼管杭の周囲の地盤の上に二つのターゲットが固定され、この二つのターゲットが計測器にて交互に計測される施工管理システムであることから、複雑な治具を必要としないシステムとなる。また、地盤の近傍にある振れ止め部材の上、もしくは地盤の上にある二つのターゲットの位置に関する計測データに基づいて、携帯端末にて鋼管杭の杭芯位置が演算されることから、回転圧入されている鋼管杭の杭芯位置を精度よく特定することができる。
【0013】
ここで、「計測器」は、ターゲットをレンズにて視準し、角度と距離を同時に計測する一般的なトータルステーションであってもよいし、トータルステーションがターゲットを自動的に視準する自動追尾機能を備えている、自動追尾型のトータルステーションであってもよい。また、「ターゲット」としては、反射プリズム等のプリズムが挙げられる。さらに、携帯端末は、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータなどを含んでいる。携帯端末は、ベースマシンの操縦席に載置され、杭打ち機のオペレータが携帯端末に表示されている演算結果を確認しながら鋼管杭の回転圧入を行ってもよいし、施工管理をしている施工管理者が携帯端末を有し、施工管理者が携帯端末に表示されている演算結果を確認してもよいし、オペレータと施工管理者の双方が携帯端末を有していてもよい。
【0014】
また、本発明による杭の施工管理システムの他の態様は、環状の治具を有し、該治具は二つの半割り治具を相互に接合することにより形成され、
前記半割り治具に前記ターゲットが固定され、
環状の前記治具の内側面には、鋼管杭に対して当接自在なローラが取り付けられており、
前記治具は前記振れ止め部材の上に、該振れ止め部材に対して相対移動自在に載置されていることを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、振れ止め部材の上に二つのターゲットが固定されている形態において、二つの半割り治具が相互に接合されることにより形成される環状の治具の上にターゲットが固定され、治具の内側面においてローラが鋼管杭に当接自在に取り付けられていることにより、ターゲットが固定されている治具を回転姿勢の鋼管杭から縁切りしながら、鋼管杭の杭芯と環状の治具の中心を可及的に揃えることができる。例えば、振れ止め部材とその中を貫通する鋼管杭との間には、一般に10mm乃至20mm程度のクリアランスがある。そのため、振れ止め部材の上にターゲットを直接載置した場合、このクリアランスの中で移動し得る鋼管杭の杭芯と、振れ止め部材の中心との間には、このクリアランスに起因する誤差が生じ得る。そして、この鋼管杭の杭芯と振れ止め部材の中心の間の誤差は、携帯端末において計測データに基づいて演算される杭芯位置の精度に影響し得る。そこで、治具の内側面に鋼管杭に当接自在な複数のローラを取り付けておき、治具(のローラ)と鋼管杭の間のクリアランスを、0mm(複数のローラが全て鋼管杭に当接している状態)からせいぜい1,2mm程度とすることにより、治具と鋼管杭の間のクリアランスに起因する誤差を少なくすることができ、携帯端末において演算される杭芯位置の精度を向上させることができる。
【0016】
また、本発明による杭の施工管理システムの他の態様は、環状の治具を有し、該治具は二つの半割り治具を相互に接合することにより形成され、
前記半割り治具に前記ターゲットが固定され、
環状の前記治具の内側面には、鋼管杭に対して当接自在なローラが取り付けられており、
前記治具は前記鋼管杭の周囲の地盤の上に載置されていることを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、地盤の上に二つのターゲットが固定されている形態において、二つの半割り治具が相互に接合されることにより形成される環状の治具の内側面においてローラが鋼管杭に当接自在に取り付けられていることにより、ターゲットが固定されている治具を回転姿勢の鋼管杭から縁切りしながら、鋼管杭の杭芯と環状の治具の中心を可及的に揃えることができる。そのため、上記する振れ止め部材の上に二つのターゲットが固定されている形態と同様に、治具と鋼管杭の間のクリアランスに起因する誤差を少なくすることができ、携帯端末において演算される杭芯位置の精度を向上させることができる。
【0018】
また、本発明による杭の施工管理システムの他の態様は、前記治具の上面には、上方に突出して、前記二つのターゲットが固定される二つ以上のターゲット固定ピンが取り付けられ、そのうち、前記計測器から計測可能な位置にある二つの該ターゲット固定ピンが選定され、前記二つのターゲットが固定されていることを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、治具の上面に二つ以上のターゲット固定ピンが取り付けられ、計測器から計測可能な位置にある二つのターゲット固定ピンが選定されて二つのターゲットが固定されることにより、計測器の設置場所に対応しながら、二つのターゲットを計測器にて確実に視準することができる。
【0020】
また、本発明による杭の施工管理システムの他の態様において、前記振れ止め部材の上面には、上方に突出して、前記治具が固定される四つ以上の治具固定ピンが取り付けられ、
前記治具には、前記四つ以上の治具固定ピンにそれぞれ対応して該治具固定ピンよりも大寸法のピン孔が開設され、
前記ピン孔に対して前記治具固定ピンがクリアランスを有した状態で挿通されていることを特徴とする。
【0021】
本態様によれば、治具の有するピン孔に対して、振れ止め部材の有する治具固定ピンがクリアランスをもった状態で挿通されて、振れ止め部材の上に治具が載置されていることにより、回転圧入される鋼管杭の水平変位に対して治具を追随させることができ、結果として、治具に固定されている二つのターゲットを追随させることができる。また、振れ止め部材は一般に、回動軸を介して回動自在に取り付けられている二つの半割り部材により形成されている。この二つの半割り部材の双方の上面に少なくとも二つずつ(合計で少なくとも四つ)の治具固定ピンを取り付けておき、治具を形成する二つの半割り治具には、二つ以上の治具固定ピンに対応する位置に二つ以上のピン孔を開設しておく。半割り治具が少なくとも二つの治具固定ピンにて振れ止め部材(を構成する半割り部材)に固定されることにより、振れ止め部材に対して半割り治具の相対位置を大きく変化させることなく(ピン孔と治具固定ピンの間のクリアランスでの相対変位のみ)、半割り治具を位置決めすることができる。そして、振れ止め部材を構成する半割り部材同士を繋ぐピンを外して、回動軸を中心に半割り部材を回動させて開き、鋼管杭から振れ止め部材を取り外す際には、半割り部材と同様に半割り治具も開いて治具が二つに分割される。
【0022】
また、本発明による杭の施工管理システムの他の態様において、前記携帯端末は格納部をさらに有し、
前記格納部には、前記鋼管杭の打設芯と前記二つのターゲットの間の二種類の距離に関するデータが予め格納されており、
前記演算部により、前記二つのターゲットの位置を中心とし、それぞれのターゲットに固有の前記距離を半径とする二つの円を作成し、該二つの円による二つの交点の一方が鋼管杭の杭芯位置として演算されることを特徴とする。
【0023】
本態様によれば、二つのターゲットの位置を中心とし、それぞれのターゲットに固有の距離(中心から打設芯(設計杭芯)までの距離)を半径とする二つの円を作成して二つの円による二つの交点を求め、そのうちの一方(計測器から遠い位置にある交点)を鋼管杭の杭芯位置とすることにより、杭芯位置を精度よく特定することができる。ここで、「二種類の距離」は、同じ距離(したがって二つの円の半径が同じ長さ)であってもよいし、異なる距離(したがって二つの円の半径が異なる長さ)であってもよいが、少なくとも二つの円が二点で交わるように双方の距離(半径)が設定される。
【0024】
また、本発明による杭の施工管理システムを構成する携帯端末の一態様は、
鋼管杭の上端がベースマシンのリーダーに沿って降下するオーガーに取り付けられ、該リーダーの下方に取り付けられている環状の振れ止め部材に前記鋼管杭が挿通されながら地盤に回転圧入される杭打ち機により、鋼管杭を施工する際に用いられる、杭の施工管理システムを構成する携帯端末であって、
前記杭の施工管理システムは、前記振れ止め部材の上、もしくは前記鋼管杭の周囲の地盤の上に固定されている二つのターゲットと、該二つのターゲットの位置を交互に計測する計測器と、を備えており、
前記携帯端末は、
前記計測器から送信される前記二つのターゲットの位置に関する計測データを受信する受信部と、
前記受信部から前記二つのターゲットの位置に関する計測データを読み出し、前記鋼管杭の杭芯位置を演算する演算部と、
前記演算部による演算結果を表示する表示部と、を備えていることを特徴とする。
【0025】
本態様によれば、携帯端末の有する表示部において、演算部にて演算された鋼管杭の杭芯位置を確認することができる。例えば、ベースマシンの操縦席に携帯端末が載置され、杭打ち機のオペレータは、表示部に表示されている演算結果を確認しながら鋼管杭の回転圧入を行うことができる。
【0026】
また、本発明による杭の施工管理システムを構成する携帯端末の他の態様において、前記表示部には、平面座標系が表示され、該平面座標系において許容杭芯誤差範囲が表示されるとともに、前記演算部にて演算された杭芯の位置が表示されることを特徴とする。
【0027】
本態様によれば、表示部に平面座標系(例えばX-Y平面座標)が表示され、この平面座標系において、許容杭芯誤差範囲が表示されるとともに、演算部にて演算された杭芯の位置が表示されることにより、杭打ち機のオペレータや施工管理者は、特定された杭芯が許容杭芯誤差範囲内にあることを確認しながら鋼管杭の施工を継続することができる。また、杭芯が許容杭芯誤差範囲から外れそうな場合には、回転圧入方向を臨機に調整することができる。さらに、杭芯が許容杭芯誤差範囲から外れている場合には、施工を速やかに中断して、正しい位置において鋼管杭の再打設を行うことができる。
【発明の効果】
【0028】
以上の説明から理解できるように、本発明の杭の施工管理システムによれば、複雑な治具を有することなく、地盤の近傍において鋼管杭の杭芯位置を精度よく特定しながら鋼管杭の施工管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】実施形態に係る杭の施工管理システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図2】鋼管杭の下方の周囲に、振れ止め部材とターゲットが設置される前の状況を示す斜視図である。
【
図3】鋼管杭の下方の周囲に、振れ止め部材とターゲットが設置された状況を示す斜視図である。
【
図4】鋼管杭の下方の周囲に、振れ止め部材、治具、及びターゲットが設置される前の状況を示す斜視図である。
【
図5】鋼管杭の下方の周囲に、振れ止め部材、治具、及びターゲットが設置された状況を示す斜視図である。
【
図7】実施形態に係る杭の施工管理システムの有する携帯端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図9】(a)、(b)はいずれも、携帯端末の演算部における演算内容の一例を説明する図である。
【
図10】携帯端末の表示部における表示内容の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態に係る杭の施工管理システムと、杭の施工管理システムを構成する携帯端末について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0031】
[実施形態に係る杭の施工管理システム]
はじめに、
図1乃至
図6を参照して、実施形態に係る杭の施工管理システムの一例について説明する。ここで、
図1は、実施形態に係る杭の施工管理システムの全体構成の一例を示す図である。また、
図2と
図3はそれぞれ、鋼管杭の下方の周囲に、振れ止め部材とターゲットが設置される前の状況を示す斜視図と、振れ止め部材とターゲットが設置された状況を示す斜視図である。また、
図4と
図5はそれぞれ、鋼管杭の下方の周囲に、振れ止め部材、治具、及びターゲットが設置される前の状況を示す斜視図と、振れ止め部材、治具、及びターゲットが設置された状況を示す斜視図である。さらに、
図6は、
図5のIV-IV矢視図である。
【0032】
杭の施工管理システム500は、鋼管杭Pの周囲であって、かつ地盤に近い位置(地盤上を含む)に設置されている二つのターゲット100と、ターゲット100をレンズで視準してターゲット100までの距離や角度を計測する計測器200と、携帯端末300とを有し、携帯端末300は、鋼管杭Pを地盤Gに回転圧入する杭打ち機90を構成するベースマシン10に搭載されている。計測器200と携帯端末300は、インターネットやLAN(Local Area Network)等に代表されるネットワーク400を介して通信可能となっている。計測器200にて取得された二つのターゲット100の位置座標に関する計測データは、ネットワーク400を介して携帯端末300に送信される。
【0033】
杭打ち機90は、ベースマシン10と、ベースマシン10により支持されるリーダー20と、リーダー20に沿って降下するオーガー30と、リーダー20の下方の地盤近傍の位置に装着されている振れ止め部材50とを有する。オーガー30の下端にあるキャップ40に鋼管杭Pの上端が把持され、鋼管杭Pの下方が振れ止め部材50の中空内に遊嵌された後、オーガー30をY1方向に回転させながらリーダー20に沿ってY2方向に降下させることにより、鋼管杭Pは、地盤G内においてY3方向に回転しながらY4方向に圧入される。尚、図示例の鋼管杭Pはその先端に螺旋翼P1を有しているが、鋼管杭Pの側面にも螺旋翼を有する形態など、様々な形態の鋼管杭が施工対象となる。
【0034】
図1に示すように、二つのターゲット100は振れ止め部材50の上に固定されている。計測器200は、例えば自動追尾型のトータルステーションであり、二つのターゲット100に対してそれぞれX1方向に光波を照射し、ターゲット100にて反射する光波を計測することにより、二つのターゲット100との間の距離や鉛直角度、水平角度を取得して、二つのターゲット100のそれぞれの位置座標を算出する。
【0035】
トータルステーション200は、コンピュータを内蔵するとともに、外部の機器(図示例の携帯端末300等)との通信を可能とする通信インターフェイスを有している(いずれも図示せず)。トータルステーション200は、位置座標が既知の既知点の上に設置され、当該既知点の座標情報がコンピュータに入力されてもよいし、位置座標が既知の一つもしくは複数の既知点の位置座標を計測してその座標情報がコンピュータに入力されてもよく、コンピュータに格納されている既知点の位置座標を参照し、二つのターゲット100に関する計測データに基づいてそれらの位置座標を算出する。
【0036】
次に、振れ止め部材50の上に設置されるターゲットの二種類の設置態様について説明する。
図2及び
図3は、そのうちの一種の設置態様について説明する図である。
【0037】
図2に示すように、振れ止め部材50は、平面視が半ドーナツ状の二つの半割り部材51を有し、それぞれの半割り部材51は、回動軸54を介してリーダー固定部59に回動自在に取り付けられている。それぞれの半割り部材51は、その端部において上下に二つのチャック53を有しており、鋼管杭Pが二つの半割り部材51の内部に収容された後、回動軸54を介して半割り部材51を鋼管杭P側へX2方向に回動させると、双方のチャック53が上下に揃うとともに双方のチャック53の有する貫通孔が上下方向に連通するようになっている。この連通した貫通孔に対してチャックピン55をX3方向に差し込むことにより、
図3に示すように、中央にある中空に鋼管杭Pが遊嵌されている振れ止め部材50が形成される。
【0038】
図2に戻り、それぞれの半割り部材51の上面52の二箇所には、マグネチックスタンド61が取り付けられ、マグネチックスタンド61には、ターゲット固定ピン60が上方に延出する態様で固定されている。
【0039】
ターゲット固定ピン60には、ターゲット100の有するソケット104が上方からX4方向に装着されるようになっている。ここで、図示例のターゲット100は、複数のプリズム102を備えた全方位型のターゲットであり、水準器(図示せず)を内蔵している。
【0040】
図3に示すように、振れ止め部材50の上面52には、計四つのターゲット固定ピン60が取り付けられており、その中で、計測器200からターゲット100を計測可能な二つのターゲット固定ピン60が選定され、ターゲット100が装着されている。尚、ターゲット固定ピン60は振れ止め部材50の上面52に溶接されてもよいし、他の固定態様にて固定されてもよい。また、ターゲット固定ピン60は少なくとも二つ以上であればよく、四つ以外の数のターゲット固定ピン60が適用されてもよい。
【0041】
一方、
図4及び
図5は、振れ止め部材50の上に設置されるターゲットの他の設置態様について説明する図である。
【0042】
図4に示すように、それぞれの半割り部材51の上面52の二箇所には、マグネチックスタンド61が取り付けられ、マグネチックスタンド61には、治具固定ピン62が上方に延出する態様で固定されている。
【0043】
そして、半割り部材51と同様に平面視が半ドーナツ状の二つの半割り治具71が、二つのマグネチックスタンド61の上に載置される。より具体的には、半割り治具71は、少なくとも治具固定ピン62に対応する位置にピン孔72を有しており、各ピン孔72に対して対応する治具固定ピン62が挿通されることにより、二つのマグネチックスタンド61の上に半割り治具71がX5方向に載置される。
【0044】
このように、半割り治具71が少なくとも二つの治具固定ピン62を介して振れ止め部材50を構成する半割り部材51に固定されることにより、半割り治具71を、振れ止め部材50に対して大きく移動させることなく位置決めすることができる。図示例においては、半割り治具71が二つの治具固定ピン62により固定される形態であるが、半割り治具71が三つ以上のピン孔72を有し、三つ以上の治具固定ピン62を介して半割り部材51に半割り治具71が固定される形態であってもよい。
【0045】
半割り治具71の上面の二箇所には、ターゲット固定ピン60Aが上方に延出する態様で固定されており、ターゲット固定ピン60Aに対して、ターゲット100の有するソケット104が上方からX4方向に装着されるようになっている。
【0046】
また、半割り治具71の内側面75には、鋼管杭Pに対して当接自在な二つのローラ73が回動自在に取り付けられている。
【0047】
半割り部材51を鋼管杭P側へX2方向に回動させ、チャックピン55をX3方向に差し込むことにより、
図5に示すように、中央の中空に鋼管杭Pが遊嵌された振れ止め部材50が形成されとともに、二つの半割り治具71の端部同士も相互に当接して、環状の治具70が形成される。尚、振れ止め部材50を鋼管杭Pから取り外す際には、
図2に示すように二つの半割り部材51を回動させて振れ止め部材50を開放する。この振れ止め部材50を開放した際に、治具70も同時に二つの半割り治具71に分割されることになる。
【0048】
図5及び
図6に示すように、ピン孔72は治具固定ピン62よりも大寸法に設定されている。従って、ピン孔72と治具固定ピン62との間には一定のクリアランスs1が形成される。このように、ピン孔72と治具固定ピン62との間にクリアランスs1を有した状態で治具70が振れ止め部材50の上に載置されることにより、治具70は、振れ止め部材50に対して僅かに相対移動自在に位置決めされる。そのため、回転圧入される鋼管杭Pの水平変位に対して治具70を追随させることができ、結果として、治具70に固定されている二つのターゲット100を追随させることが可能になる。
【0049】
また、治具70の内側面75において複数のローラ73が鋼管杭Pに当接自在に取り付けられていることにより、ターゲット100が固定されている治具70を回転姿勢の鋼管杭Pから縁切りしながら、鋼管杭Pの杭芯と環状の治具の中心を可及的に揃えることができる。
【0050】
ここで、
図6に示すように、振れ止め部材50の中を貫通する鋼管杭Pとの間には一般に、10mm乃至20mm程度のクリアランスs2がある。そのため、振れ止め部材50の上にターゲット100を直接載置した場合、このクリアランスs2の中で移動し得る鋼管杭Pの杭芯と、振れ止め部材50の中心との間には、このクリアランスs2に起因する誤差が生じ得る。そして、この鋼管杭Pの杭芯と振れ止め部材50の中心の間の誤差は、携帯端末300において計測データに基づいて演算される杭芯位置の精度に影響し得る。そこで、治具70の内側面75から鋼管杭P側に回転自在に張り出す複数のローラ73が取り付けられていることにより、ローラ73と鋼管杭Pの間のクリアランスs3を、0mm(複数のローラ73が全て鋼管杭Pに当接している状態)からせいぜい1,2mm程度とする。このことにより、治具70と鋼管杭Pの間のクリアランスに起因する誤差を少なくすることができ、携帯端末300において演算される杭芯位置の精度を向上させることができる。
【0051】
鋼管杭Pの回転圧入の全般に亘り、トータルステーション200では二つのターゲット100の位置座標が随時計測され、二つのターゲット100に関する計測データは、ネットワーク400を介して、ベースマシン10の操縦席に載置されている携帯端末300に随時送信される。携帯端末300では、以下で詳説する方法により、回転圧入される鋼管杭Pの杭芯位置が随時演算され、表示されるようになっている。杭打ち機のオペレータは、携帯端末300に表示されている演算結果を確認しながら、鋼管杭Pの回転圧入を行うことができる。尚、携帯端末300は、図示例のようにベースマシン10の操縦席に載置されている形態の他にも、施工管理をしている施工管理者が携帯端末を有し、施工管理者が携帯端末に表示されている演算結果を確認してもよいし、オペレータと施工管理者の双方が携帯端末を有していて、それぞれが携帯端末に表示されている演算結果を確認してもよい。
【0052】
図示する杭の施工管理システム500によれば、複雑な治具を有することなく、地盤Gの近傍において鋼管杭Pの杭芯位置を精度よく特定しながら、鋼管杭Pの施工管理を行うことができる。
【0053】
尚、図示する杭の施工管理システム500では、振れ止め部材50の上、もしくは振れ止め部材50の上の治具70の上に固定されている二つのターゲット100をトータルステーション200にて視準するシステムであるが、二つのターゲット100は、例えば、鋼管杭の周囲の地盤の上に固定されてもよいし、鋼管杭の周囲の地盤の上に治具70が載置され、治具70の上面にあるターゲット固定ピン60Aに固定されてもよい。
【0054】
[実施形態に係る杭の施工管理システムを構成する携帯端末]
次に、
図7乃至
図10を参照して、実施形態に係る杭の施工管理システムを構成する携帯端末の一例について説明する。ここで、
図7は、実施形態に係る杭の施工管理システムの有する携帯端末のハードウェア構成の一例を示す図であり、
図8は、携帯端末の機能構成の一例を示す図である。また、
図9(a)と
図9(b)はいずれも、携帯端末の演算部における演算内容の一例を説明する図である。さらに、
図10は、携帯端末の表示部における表示内容の一例を示す図である。
【0055】
携帯端末300は、スマートフォンやタブレット、パーソナルコンピュータなどにより形成されるが、
図10には、タブレットにより形成される携帯端末300を示している。
【0056】
図7に示すように、携帯端末300は、CPU(Central Processing Unit)302、RAM(Random Access Memory)304、ROM(Read Only Memory)306、無線通信装置308、表示装置310、及び入力装置312を有し、それらがシステムバス314にてデータ通信可能に接続されている。
【0057】
ROM306には、各種のプログラムやプログラムによって利用されるデータ等が記憶されている。RAM304は、ROM306に記憶されているプログラムをロードするための記憶領域や、ロードされたプログラムのワーク領域として用いられる。CPU302は、RAM304にロードされたプログラムを処理することにより、各種の機能を実現する。例えば、計測器200から送信されてきた二つのターゲット100に関する計測データを用いて、鋼管杭の杭芯位置を演算し、演算結果を表示する制御を実行する。尚、その他、携帯端末300にインストールされたプログラム等を記憶する補助記憶装置(図示せず)を有していてもよい。
【0058】
表示装置310は、液晶ディスプレイ等からなり、たとえばタッチパネルの表示機能を担う。入力装置312は、表示装置310に対する接触体の接触を検出するセンサを有する電子部品である。接触体の接触の検出方式としては、静電方式や抵抗膜方式、光学方式などがある。この接触体として、オペレータ等の指や専用ペン等が挙げられる。無線通信装置308は、無線LAN又は移動体通信網等において通信を行う際に必要となる、アンテナ等の電子部品である。
【0059】
携帯端末300は、CPU302による制御により、
図8に示す受信部320、演算部330、表示部340、及び格納部350として機能する。
【0060】
鋼管杭Pの回転圧入の過程で、計測器200により二つのターゲット100に関する計測データ(計測器200により算出された二つのターゲット100の位置座標データを含む)が随時取得され、受信部320には、計測器200から随時送信される二つのターゲット100に関する計測データが随時受信される。受信された計測データは、格納部350に随時格納される。
【0061】
格納部350には、鋼管杭Pの設計杭芯(打設芯の一例)に関する位置座標データ、二つのターゲット100から鋼管杭Pの杭芯までの距離データ、及び、許容杭芯誤差データ(施工される鋼管杭の杭芯と設計杭芯との間で許容される誤差範囲に関するデータ)等が格納されている。二つのターゲット100から鋼管杭Pの杭芯までの距離データは、予め設定されている距離データが格納部350に格納されてもよいし、
図3に示すように二つのターゲット固定ピン60が選定され、ターゲット100が装着された後に計測された計測データが格納部350に格納されてもよい。
【0062】
演算部330では、二つのターゲット100に関する計測データを格納部350から読み出し、鋼管杭Pの杭芯位置を演算する。ここで、
図9を参照して、演算部330における演算方法について説明する。
図9(a)は、二つのターゲット100から鋼管杭Pの杭芯までの距離rが同じ場合の演算方法を示しており、
図9(b)は、二つのターゲット100から鋼管杭Pの杭芯までの距離が異なる距離r1、r2である場合の演算方法を示しているが、実質的な演算内容は同様である。
【0063】
演算部330では、設計杭芯Oを座標中心とするX-Y座標系が作成され、格納部350から読み出された二つのターゲット100の座標位置をX-Y座標系にプロットする。そして、二つのターゲット100の座標位置を中心とし、それぞれのターゲット100に固有の距離(
図9(a)ではともに距離r、
図9(b)ではそれぞれ距離r1、r2)を半径とする二つの円(
図9(a)ではC1,C2、
図9(b)ではC3,C4)を作成し、二つの円による二つの交点のうち、計測器200から遠方側の交点O'を回転圧入中の鋼管杭Pの杭芯位置(演算杭芯位置)として演算する。
【0064】
表示部340では、
図10に示すように、鋼管杭Pの設計杭芯Oを座標中心とするX-Y座標系(平面座標系の一例)が表示され、さらに、許容杭芯誤差範囲が表示される。そして、演算部330にて演算された演算杭芯位置がX-Y座標系にプロットされる。
【0065】
杭打ち機90のオペレータや施工管理者は、特定された演算杭芯位置が許容杭芯誤差範囲内にあることを確認しながら鋼管杭Pの施工を継続することができる。また、演算杭芯位置が許容杭芯誤差範囲から外れそうな場合には、回転圧入方向を臨機に調整することができる。さらに、演算杭芯位置が許容杭芯誤差範囲から外れている場合には、施工を速やかに中断して、正しい位置において鋼管杭の再打設を行うことができる。
【0066】
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0067】
10:ベースマシン、20:リーダー、30:オーガー、40:キャップ、50:振れ止め部材、51:半割り部材、52:上面、53:チャック、54:回動軸、55:チャックピン、59:リーダー固定部、60,60A:ターゲット固定ピン、61:マグネチックスタンド、62:治具固定ピン、70:治具、71:半割り治具、72:ピン孔、73:ローラ、90:杭打ち機、100:ターゲット、102:プリズム、104:ソケット、200:計測器(トータルステーション)、300:携帯端末、320:受信部、330:演算部、340:表示部、350:格納部、400:ネットワーク、500:杭の施工管理システム(施工管理システム)、G:地盤、P:鋼管杭、P1:螺旋翼