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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】ホールセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/07 20060101AFI20230516BHJP
【FI】
G01R33/07
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019132659
(22)【出願日】2019-07-18
(65)【公開番号】P2020012829
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-01-28
(31)【優先権主張番号】10 2018 005 677.6
(32)【優先日】2018-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】312016609
【氏名又は名称】ティディケイ-ミクロナス ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーク バウマン
(72)【発明者】
【氏名】ダーフィト ムータース
(72)【発明者】
【氏名】トーマス デーゼル
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-054301(JP,A)
【文献】特開2016-125969(JP,A)
【文献】特開平09-026444(JP,A)
【文献】特開平07-012589(JP,A)
【文献】実開昭62-115679(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0184200(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0194712(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 33/00-33/26、
15/00-17/22、
H01L 27/22、
29/82、
43/00-43/14、
G01D 5/00-5/252、
5/39-5/62、
G01B 7/00-7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホールセンサ(1)であって、
前記ホールセンサ(1)は、ホールセンサ素子(2)を有し、前記ホールセンサ素子(2)は、相互に離間された複数の接続箇所(3A,3B,3C,3D)を有し、
前記ホールセンサ(1)は、電流供給源又は電圧供給源(7)を有し、前記電流供給源又は電圧供給源(7)は、供給電流又は供給電圧を出力するための第1の供給端子(6A)及び第2の供給端子(6B)を有し、
前記第1の供給端子(6A)は、前記ホールセンサ素子(2)に電流を給電するために、前記ホールセンサ素子(2)の第1の接続箇所(3A)に接続されている又は接続可能であり、
前記第2の供給端子(6B)は、前記ホールセンサ素子(2)の第2の接続箇所(3B)に接続されている又は接続可能である、
ホールセンサ(1)において、
前記ホールセンサは、NANDゲート(13)を有し、
前記NANDゲート(13)は、第1の入力部(14A)によって前記ホールセンサ素子(2)の前記第1の接続箇所(3A)に接続されており、第2の入力部(14B)によって前記ホールセンサ素子(2)の前記第2の接続箇所(3B)に接続されており、第1のエラー信号(Err1)を出力するための出力部(17)を有し、
及び/又は、
前記ホールセンサ(1)は、NORゲート(18)を有し、
前記NORゲート(18)は、第1の入力端子(19A)によって第3の接続箇所(3C)に接続されており、第2の入力端子(19B)によって第4の接続箇所(3D)に接続されており、第2のエラー信号(Err2)を出力するための出力端子(22)を有する
ことを特徴とする、ホールセンサ(1)。
【請求項2】
前記NANDゲート(13)は、前記ホールセンサ素子(2)の前記第3の接続箇所(3C)に接続された第3の入力部(14C)を有する、
請求項1に記載のホールセンサ(1)。
【請求項3】
前記NORゲート(18)は、前記ホールセンサ素子(2)の前記第1の接続箇所(3A)に接続された第3の入力端子(19C)を有する、
請求項1又は2に記載のホールセンサ(1)。
【請求項4】
前記NANDゲート(13)は、前記ホールセンサ素子(2)の前記第4の接続箇所(3D)に接続された第4の入力部(14D)を有する、
請求項1から3までのいずれか1項に記載のホールセンサ(1)。
【請求項5】
前記NORゲート(18)は、前記ホールセンサ素子(2)の前記第2の接続箇所(3B)に接続された第4の入力端子(19D)を有する、
請求項1から4までのいずれか1項に記載のホールセンサ(1)。
【請求項6】
前記ホールセンサ(1)は、少なくとも、前記ホールセンサ素子(2)の接続箇所(3A,3B,3C,3D)の個数に対応する個数のマルチプレクサ(5A,5B,5C,5D)を有し、
それぞれのマルチプレクサ(5A,5B,5C,5D)は、
前記第1の供給端子(6A)に接続された第1のマルチプレクサ入力部と、
前記第2の供給端子(6B)に接続された第2のマルチプレクサ入力部と、
該当するマルチプレクサ(5A,5B,5C,5D)に対応付けられた前記ホールセンサ素子(2)の接続箇所(3A,3B,3C,3D)に接続されているマルチプレクサ出力部と
をそれぞれ有し、
それぞれのマルチプレクサ(5A,5B,5C,5D)は、それぞれ1つの制御入力部(11A,11B,11C,11D)を有し、前記制御入力部(11A,11B,11C,11D)に、制御信号を印加することができ、前記制御信号に基づいて、前記ホールセンサ素子(2)に励起電流を流すために、複数の前記マルチプレクサ入力部のうちのそれぞれ1つを前記該当するマルチプレクサ(5A,5B,5C,5D)の前記マルチプレクサ出力部に接続可能であり、
前記マルチプレクサ(5A,5B,5C,5D)の前記制御入力部は、順次に通電位相を生成するために、前記励起電流を順次にそれぞれ異なる方向に前記ホールセンサ素子(2)を通して導くことが可能となるように、制御装置(12)に制御接続されている、
請求項1から5までのいずれか1項に記載のホールセンサ(1)。
【請求項7】
前記ホールセンサ(1)は、マルチプレクサ素子(26)を有し、
前記マルチプレクサ素子(26)は、
前記第1の接続箇所(3A)に接続された第1のマルチプレクサ入力部(27A)と、
前記第2の接続箇所(3B)に接続された第2のマルチプレクサ入力部(27B)と、
前記第3の接続箇所(3C)に接続された第3のマルチプレクサ入力部(27C)と、
前記第4の接続箇所(3D)に接続された第4のマルチプレクサ入力部(27D)と、
マルチプレクサ出力部(28)と
を有し、
前記マルチプレクサ素子(26)は、制御入力部(32)を有し、前記制御入力部(32)に、制御信号を印加することができ、前記制御信号に基づいて、前記マルチプレクサ入力部(27A,27B,27C,27D)のうちのそれぞれ1つを前記マルチプレクサ素子(26)の前記マルチプレクサ出力部(28)に接続可能であり、
前記マルチプレクサ(5A,5B,5C,5D)の前記制御入力部と、前記マルチプレクサ素子(26)の前記制御入力部とは、
前記マルチプレクサ素子(26)の前記マルチプレクサ出力部(28)が、前記電流供給源又は電圧供給源(7)のいずれの供給端子(6A,6B)にも接続されていない前記ホールセンサ素子(2)の接続箇所(3C,3D)に個々の通電位相においてそれぞれ接続されるように、
前記制御装置(12)に制御接続されている、
請求項6に記載のホールセンサ(1)。
【請求項8】
前記NANDゲート(13)の前記出力部(17)は、ORゲート(24)の第1の反転入力部(23)に接続されており、
前記NORゲート(18)の前記出力端子(22)は、前記ORゲート(24)の第2の非反転入力部(25)に接続されており、
前記ORゲート(24)は、第のエラー信号(Err)を出力するための出力部(33)を有する、
請求項1から7までのいずれか1項に記載のホールセンサ(1)。
【請求項9】
前記マルチプレクサ素子(26)の前記マルチプレクサ出力部(28)は、前記ORゲート(24)の第3の入力部(31)に接続されている、
請求項7又は8に記載のホールセンサ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホールセンサであって、当該ホールセンサは、ホールセンサ素子を有し、ホールセンサ素子は、相互に離間された複数の接続箇所を有し、当該ホールセンサは、電流供給源又は電圧供給源を有し、電流供給源又は電圧供給源は、供給電流又は供給電圧を出力するための第1の供給端子及び第2の供給端子を有し、第1の供給端子は、ホールセンサ素子に電流を給電するために、ホールセンサ素子の第1の接続箇所に接続されている又は接続可能であり、第2の供給端子は、ホールセンサ素子の第2の接続箇所に接続されている又は接続可能である、ホールセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなホールセンサは、独国特許発明第10204427号明細書(DE 102 04 427 B4)から公知である。同ホールセンサは、略プレート形状のホールセンサ素子を有し、このホールセンサ素子は、自身の縁部において、周方向に相互に離間された複数の接続箇所を有する。これらの接続箇所は、それぞれ2つの接続箇所が対角線上で相互に対向して位置するように、中心に対して均等な角度間隔でずらされている。対角線上で相互に対向して位置する2つの接続箇所を電流供給源又は電圧供給源の供給端子に接続することによって、ホールセンサ素子に励起電流が給電され、ホールセンサ素子のプレート平面を横断するようにホールセンサ素子を磁束密度が貫通すると、電流の移動電子に対してローレンツ力が作用し、このローレンツ力が、プレート平面において、移動電子の移動方向を横断する方向に電子を偏向させる。これによって、ホールセンサ素子においては、電流方向を横断する方向に電界が形成され、この電界を、供給端子に接続されていない接続箇所の間で電圧として取り出すことができる。この電圧は、ホール電圧と呼ばれる。
【0003】
しかしながら、ホールセンサの実際の用途においては、ホール電圧は、望ましくないオフセット電圧によって重畳されている。ホールセンサ素子は、一般的に、供給源及び信号処理用電子機器と一緒に集積回路として製造され、チップ担体上及びプラスチック製ハウジング内に取り付けられる。製造公差に起因して取り付け時には、半導体結晶内に機械的応力が発生する可能性があり、この機械的応力によってオフセット電圧が引き起こされる可能性がある。
【0004】
オフセット電圧を補償するために、独国特許発明第10204427号明細書(DE 102 04 427 B4)から公知のホールセンサにおいては、いわゆるスピンホール原理が使用される。この場合、励起電流が、それぞれ異なる方向にホールセンサ素子を貫通して導かれ、それぞれの測定された電圧の平均値が形成される。
【0005】
独国特許発明第10204427号明細書(DE 102 04 427 B4)から公知のホールセンサは、実際に多数の用途において実証されているが、それでもやはり改善が必要である。例えば自動車に搭載されるホールセンサの個数がますます増加していることに起因して、ホールセンサの信頼性に対する要求が高まっている。すなわち、ただ1つのホールセンサのみの故障であっても、エラーが検出されず、これが場合により適切な手段によって補償されない場合には、自動車の誤作動を引き起こす可能性があるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】独国特許発明第10204427号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の課題は、ホールセンサの動作中に場合によって発生し得るエラーを簡単に検出及び表示することを可能にするような、冒頭に述べた形式のホールセンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題は、請求項1に記載の特徴によって解決される。請求項1に記載の特徴によれば、ホールセンサは、NANDゲートを有し、NANDゲートは、第1の入力部によってホールセンサ素子の第1の接続箇所に接続されており、第2の入力部によってホールセンサ素子の第2の接続箇所に接続されており、第1のエラー信号を出力するための出力部を有し、及び/又は、ホールセンサは、NORゲートを有し、NORゲートは、第1の入力端子によって第3の接続箇所に接続されており、第2の入力端子によって第4の接続箇所に接続されており、第2のエラー信号を出力するための出力端子を有する。
【0009】
すなわち、NANDゲートの入力部は、ホールセンサ素子の、供給源が接続されている接続箇所に接続されている。ホールセンサが正常に機能している場合には、これらの接続箇所のうちの一方が供給電圧に位置し、他方がアースに位置していなければならない。しかしながら、第1の接続箇所と第2の接続箇所とが同時に供給電圧の電位に位置している場合には、NANDゲートの両方の入力部に、論理値「1」に対応付けられた電圧がそれぞれ印加される。したがって、NANDゲートの出力部には、論理値「0」に相当する電圧が印加される。この値は、許容できない動作状態が存在することを示している。
【0010】
NANDゲートに代えて又はこれに加えて、ホールセンサは、NORゲートを有することができ、このNORゲートの入力部は、ホールセンサ素子の、供給源が接続されていない接続箇所に接続されている。ホールセンサ素子は、近似的にホイートストンブリッジのように挙動するので、ホールセンサ素子が対称に構成されている場合には、ホール電圧及びオフセット電圧が存在しなければ、第3の接続箇所及び第4の接続箇所に、第1の接続箇所と第2の接続箇所との間に印加される対地供給電圧の半分がそれぞれ印加される。したがって、ホールセンサが正常に機能している場合には、第3の接続箇所及び第4の接続箇所に、論理値「1」に対応付けられた電圧がそれぞれ印加される。NORゲートの反転機能に基づき、ホールセンサが正常に機能している場合には、NORゲートの出力端子に、論理値「0」に相当する電圧が出力される。この値は、NORゲートがエラー状態を検出していないことを示している。
【0011】
実際の動作においては、これらの接続箇所における電圧は、ホール電圧及びオフセット電圧に起因してこれらの値とわずかに異なる可能性がある。しかしながら、このずれは非常に小さいので、ホールセンサの第3の接続箇所及び第4の接続箇所に印加される電圧を、論理値「0」又は「1」に対応付けることに対して影響を及ぼすものではない。
【0012】
エラーに起因して、ホールセンサの第3の接続箇所にも第4の接続箇所にも電圧が印加されていない場合、又は、論理値「0」に対応付けられた電圧が印加されている場合には、NORゲートの出力端子に、論理値「1」に相当する電圧が出力される。すなわち、NORゲートの出力端子に印加される第2のエラー信号を、非反転エラー信号として利用することができる。
【0013】
本発明の有利な実施形態においては、NANDゲートは、ホールセンサ素子の第3の接続箇所に接続された第3の入力部を有する。ホールセンサ素子の第1の接続箇所、第2の接続箇所、及び第3の接続箇所に、論理値「」に対応付けられた電圧、特に供給電圧がそれぞれ印加されている場合に、第1のエラー信号が示される。これは、ホールセンサの許容できない動作状態に相当する。
【0014】
本発明の発展形態においては、NORゲートは、ホールセンサ素子の第1の接続箇所に接続された第3の入力端子を有する。同時に、第2の接続箇所及び第4の接続箇所にも対地電圧が印加されない場合には、第1の接続箇所における供給電圧の欠如を、第3の入力部を介して検出することが可能である。
【0015】
本発明の好適な実施形態においては、NANDゲートは、ホールセンサ素子の第4の接続箇所に接続された第4の入力部を有する。ホールセンサ素子の4つの接続箇所すべてに、論理値「0」に対応付けられた電位、特にアース電位が印加されている場合に、第1のエラー信号が示される。これは、ホールセンサの許容できない動作状態に相当する。
【0016】
本発明の好ましい発展形態においては、ホールセンサは、少なくとも、ホールセンサ素子の接続箇所の個数に対応する個数のマルチプレクサを有し、それぞれのマルチプレクサは、第1の供給端子に接続された第1のマルチプレクサ入力部と、第2の供給端子に接続された第2のマルチプレクサ入力部と、該当するマルチプレクサに対応付けられたホールセンサ素子の接続箇所に接続されているマルチプレクサ出力部とをそれぞれ有し、それぞれのマルチプレクサは、それぞれ1つの制御入力部を有し、制御入力部に、制御信号を印加することができ、制御信号に基づいて、ホールセンサに励起電流を流すために、複数のマルチプレクサ入力部のうちのそれぞれ1つを該当するマルチプレクサのマルチプレクサ出力部に接続可能であり、マルチプレクサの制御入力部は、励起電流を順次にそれぞれ異なる方向にホールセンサ素子を通して導くことが可能となるように、制御装置に制御接続されている。その場合、ホールセンサは、ホール電圧に重畳している望ましくないオフセット電圧を補償するために、スピンホール原理に従って動作することが可能である。
【0017】
ホールセンサが、マルチプレクサ素子を有し、マルチプレクサ素子が、第1の接続箇所に接続された第1のマルチプレクサ入力部と、第2の接続箇所に接続された第2のマルチプレクサ入力部と、第3の接続箇所に接続された第3のマルチプレクサ入力部と、第4の接続箇所に接続された第4のマルチプレクサ入力部と、マルチプレクサ出力部とを有し、マルチプレクサ素子が、制御入力部を有し、制御入力部に、制御信号を印加することができ、制御信号に基づいて、マルチプレクサ入力部のうちのそれぞれ1つをマルチプレクサ素子のマルチプレクサ出力部に接続可能であり、マルチプレクサの制御入力部と、マルチプレクサ素子の制御入力部とが、マルチプレクサ素子のマルチプレクサ出力部が、電流供給源又は電圧供給源のいずれの供給端子にも接続されていないホールセンサ素子の接続箇所にそれぞれ接続されるように、制御装置に制御接続されていると、有利である。この場合、第3のエラー信号を出力するために、マルチプレクサ出力部を使用することができ、この第3のエラー信号は、ホールセンサがスピンホール原理に従って動作するときにエラーが発生している場合に示され、例えば、制御装置がマルチプレクサの制御入力部に制御信号を出力しない場合、又は、個々の通電位相の間で制御信号が切り替えられない場合、又は、適切に切り替えられない場合に示される。
【0018】
NANDゲートの出力部が、ORゲートの第1の反転入力部に接続されており、NORゲートの出力端子が、ORゲートの第2の非反転入力部に接続されており、ORゲートが、第4のエラー信号を出力するための出力部を有すると、有利である。この場合、第3のエラー信号は、ホールセンサ素子のすべての接続箇所に、論理値「0」に対応付けられた電圧(例えばアース電位)又は論理値「1」に対応付けられた電圧(例えば供給電圧)が印加されている場合に、アクティブになっている。
【0019】
要求に応じて、マルチプレクサ素子のマルチプレクサ出力部を、ORゲートの第3の入力部に接続することができる。この場合、第3の入力部を、反転入力部とすることもでき、この反転入力部は、追加的なインバータを介してマルチプレクサ出力部に間接的に接続されている。その場合、第4のエラー信号は、ホールセンサのスピンホール動作が欠如している可能性も示している。
【0020】
本発明によるホールセンサにおいては、ホールセンサ素子を、垂直型のホールセンサ素子として構成することも又は水平型のホールセンサ素子として構成することも可能であることにさらに留意すべきである。垂直型のホールセンサ素子は、半導体チップのチップ表面に対して平行に方向決めされている磁束密度に関して感受性を有するホールセンサ素子であると理解される。水平型又は横方向のホールセンサ素子は、半導体チップのチップ表面に対して直角に方向決めされている磁束密度に関して感受性を有するホールセンサ素子であると理解される。
【0021】
以下においては、本発明の実施例を図面に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】スピンホール原理に従って動作するホールセンサのブロック図である。
図2】ホールセンサの第1の実施例の監視装置の概略図である。
図3】ホールセンサ素子の複数の接続箇所における電圧と、ホールセンサの第1の実施例の複数の異なるエラー状態に対するエラー信号とが列挙されている表である。
図4】ホールセンサの第2の実施例の監視装置の概略図である。
図5】ホールセンサ素子の複数の接続箇所における電圧と、ホールセンサの第2の実施例の複数の異なるエラー状態に対するエラー信号とが列挙されている表である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に全体として参照符号1が付されているホールセンサは、プレート形状のホールセンサ素子2が集積された半導体チップを有する。ホールセンサ素子2は、例えばシリコンのような半導体材料から形成されており、自身の縁部において、相互に離間された複数の接続箇所3A,3B,3C,3Dを有し、これらの接続箇所3A,3B,3C,3Dは、ホールセンサ素子2によって形成される平面に対して直交する、対称中心点4を通って延在する仮想的な中心軸線に関して、それぞれ相互に90°ずらされている。
【0024】
接続箇所3A,3B,3C,3Dは、スイッチング装置に接続されており、このスイッチング装置は、それぞれの接続箇所3A,3B,3C,3Dにつきそれぞれ1つのマルチプレクサ5A,5B,5C,5Dを有する。それぞれのマルチプレクサ5A,5B,5C,5Dの出力端子は、各自に対応付けられた接続箇所3A,3B,3C,3Dにそれぞれ接続されている。それぞれのマルチプレクサ5A,5B,5C,5Dは、電流供給源又は電圧供給源7の供給端子6A,6Bに接続された2つの入力部をそれぞれ有する。供給源7によって供給されるこの供給電圧V又は供給電流は、ホールセンサ素子2に励起電流を給電するために使用される。
【0025】
第1の通電位相においては、第1の供給端子6Aは、第1のマルチプレクサ5Aを介してホールセンサ素子2の第1の接続箇所3Aに接続されており、第2の供給端子6Bは、第2のマルチプレクサ5Bを介してホールセンサ素子2の第2の接続箇所3Bに接続されている。
【0026】
第2の通電位相においては、第2の供給端子6Bは、第3のマルチプレクサ5Cを介してホールセンサ素子2の第3の接続箇所3Cに接続されており、第1の供給端子6Aは、第4のマルチプレクサ5Dを介してホールセンサ素子2の第4の接続箇所3Dに接続されている。
【0027】
第3の通電位相においては、第1の供給端子6Aは、第2のマルチプレクサ5Bを介してホールセンサ素子2の第2の接続箇所3Bに接続されており、第2の供給端子6Bは、第1のマルチプレクサ5Aを介してホールセンサ素子2の第1の接続箇所3Aに接続されている。したがって、励起電流は、第3の位相においては第1の位相と逆向きの方向に流れる。
【0028】
第4の通電位相においては、第1の供給端子6Aは、第3のマルチプレクサ5Cを介してホールセンサ素子2の第3の接続箇所3Cに接続されており、第2の供給端子6Bは、第4のマルチプレクサ5Dを介してホールセンサ素子2の第4の接続箇所3Dに接続されている。したがって、励起電流は、第4の位相においては第2の位相と逆向きの方向に流れる。
【0029】
それぞれのマルチプレクサ5A,5B,5C,5Dのさらなる2つの入力部は、測定装置8の入力端子11,12に電気的に接続されており、この測定装置8は、対角線上で相互に対向して位置する2つの接続箇所3A,3B又は3C,3Dの間の電圧を測定するために設けられている。測定装置8は、測定された電圧をデジタル化するために、図面には詳細に図示されていないデジタル/アナログ変換器を有し、このデジタル/アナログ変換器は、測定値を記憶するためにデータメモリ9に接続されている。データメモリ9は、評価装置10に接続されており、この評価装置10において、測定された電圧値が処理され、公知のように測定された電圧値の中に含まれている、ホール電圧に重畳されているオフセット電圧が補償される。ホール電圧の測定中、ホールセンサ素子2の延在平面を横断する方向にホールセンサ素子2を磁束密度が貫通する。この磁束密度は、図面には詳細には示されておらず、例えば図1の図平面に向かって流入することができる。
【0030】
マルチプレクサ5A,5B,5C,5Dは、それぞれ1つの制御入力部11A,11B,11C,11Dを有し、これらの制御入力部11A,11B,11C,11Dは、1つの共通の制御装置12に制御接続されている。対応する制御信号を制御入力部11A,11B,11C,11Dに送信することによって、マルチプレクサ5A,5B,5C,5Dの出力端子に接続された接続箇所3A,3B,3C,3Dが、第1のマルチプレクサ5A,5B,5C,5Dの入力部のうちの1つに選択的に若しくは交互に電気的に接続されるように、又は、第1のマルチプレクサ5A,5B,5C,5Dの入力部のうちの1つから選択的に若しくは交互に電気的に切断されるように、該当するマルチプレクサ5A,5B,5C,5Dをそれぞれ構成することができる。マルチプレクサ5A,5B,5C,5Dは、それぞれの通電位相において、対角線上で相互に対向して位置するそれぞれ2つの接続箇所3A,3B,3C,3Dが供給源7に接続されるように、かつ、他の2つの接続箇所3A,3B,3C,3Dが測定装置8に接続されるように、同期化されている。
【0031】
図2から見て取れるように、評価装置10は、ワイヤードNANDゲート13を有し、このワイヤードNANDゲート13は、第1の入力部14Aによってホールセンサ素子2の第1の接続箇所3Aに接続されており、第2の入力部14Bによってホールセンサ素子2の第2の接続箇所3Bに接続されており、第3の入力部14Cによってホールセンサ素子2の第3の接続箇所3Cに接続されており、第4の入力部14Dによってホールセンサ素子2の第4の接続箇所3Dに接続されている。NANDゲート13の出力部は、第1のエラー信号Err1を出力するために使用される。
【0032】
図2からさらに見て取れるように、NANDゲート13は、4つのNチャネル電界効果トランジスタ15A,15B,15C,15Dを有し、これらのNチャネル電界効果トランジスタ15A,15B,15C,15Dは、各自のソース-ドレイン経路と、プルアップ抵抗素子16とに直列に接続されている。NANDゲート13の第1の入力部14Aは、第1のNチャネル電界効果トランジスタ15Aのゲート接点に接続されており、NANDゲート13の第2の入力部14Bは、第2のNチャネル電界効果トランジスタ15Bのゲート接点に接続されており、NANDゲート13の第3の入力部14Cは、第3のNチャネル電界効果トランジスタ15Cのゲート接点に接続されており、NANDゲート13の第4の入力部14Dは、第4のNチャネル電界効果トランジスタ15Dのゲート接点に接続されている。
【0033】
第3の電界効果トランジスタ15Cのドレイン接点は、プルアップ抵抗素子16の第1の端子に接続されており、プルアップ抵抗素子16の第2の端子は、供給電圧Vを導いている供給源7の第1の供給端子6Aに接続されている。第3の電界効果トランジスタ15Cのドレイン接点はさらに、NANDゲート13の出力部17に接続されている。第3の電界効果トランジスタ15Cのソース接点は、第2の電界効果トランジスタ15Bのドレイン接点に接続されており、第2の電界効果トランジスタ15Bのソース接点は、第4の電界効果トランジスタ15Dのドレイン接点に接続されており、第4の電界効果トランジスタ15Dのソース接点は、第1の電界効果トランジスタ15Aのドレイン接点に接続されている。第1の電界効果トランジスタ15Aのソース接点は、アース端子に接続されている。
【0034】
NANDゲート13のすべての入力部14A,14B,14C及び14Dに、論理値「1」に相当する電圧が印加されているときには、すべての電界効果トランジスタ15A,15B,15C,15Dが導通状態になっている。その場合、プルアップ抵抗素子16を通って電流が流れ、この電流が、プルアップ抵抗素子16における電圧降下を引き起こし、この電圧降下が、NANDゲートの出力部17の電位を論理値「0」に相当する値まで低減する。この値は、ホールセンサ1にエラーが存在することを示している(図3)。
【0035】
NANDゲート13の少なくとも1つの入力部14A,14B,14C及び14Dに、論理値「0」に相当する電圧が印加されているときには、少なくとも1つの電界効果トランジスタ15A,15B,15C,15Dが遮断されており、プルアップ抵抗素子16を通る電流の流れが中断されている。その場合、NANDゲートの出力部17の電位は、論理値「1」に相当する値に位置している。この値は、NANDゲート13がホールセンサ1におけるエラーを検出していないことを示している。
【0036】
図2からさらに見て取れるように、評価装置10はさらに、ワイヤードNORゲート18を有し、このワイヤードNORゲート18は、第1の入力端子19Aによってホールセンサ素子2の第3の接続箇所3Cに接続されており、第2の入力端子19Bによってホールセンサ素子2の第4の接続箇所3Dに接続されており、第3の入力端子19Cによってホールセンサ素子2の第1の接続箇所3Aに接続されており、第4の入力端子19Dによってホールセンサ素子2の第2の接続箇所3Bに接続されている。NORゲート18の出力端子22は、第2のエラー信号Err2を出力するために使用される。
【0037】
図2から見て取れるように、NORゲート18は、4つのPチャネル電界効果トランジスタ20A,20B,20C,20Dを有し、これらのPチャネル電界効果トランジスタ20A,20B,20C,20Dは、各自のソース-ドレイン経路と、プルダウン抵抗素子21と直列に接続されている。NORゲート18の第1の入力端子19Aは、第1のPチャネル電界効果トランジスタ20Aのゲート接点に接続されており、NORゲート18の第2の入力端子19Bは、第2のPチャネル電界効果トランジスタ20Bのゲート接点に接続されており、NORゲート18の第3の入力部19Cは、第3のPチャネル電界効果トランジスタ20Cのゲート接点に接続されており、NORゲート18の第4の入力部19Dは、第4のPチャネル電界効果トランジスタ20Dのゲート接点に接続されている。
【0038】
第3のPチャネル電界効果トランジスタ20Cのドレイン接点は、供給電圧Vを導いている供給源7の第1の供給端子6Aに接続されている。第3のPチャネル電界効果トランジスタ20Cのソース接点は、第2のPチャネル電界効果トランジスタ20Bのドレイン接点に接続されており、第2のPチャネル電界効果トランジスタ20Bのソース接点は、第4のPチャネル電界効果トランジスタ20Dのドレイン接点に接続されており、第4の電界効果トランジスタ20Dのソース接点は、第1のPチャネル電界効果トランジスタ20Aのドレイン接点に接続されている。第1のPチャネル電界効果トランジスタ20Aのソース接点は、プルダウン抵抗素子21の第1の端子に接続されており、プルダウン抵抗素子21の第2の端子は、アース端子に接続されている。第1のPチャネル電界効果トランジスタ20Aのソース接点はさらに、NORゲート18の出力端子22に接続されている。
【0039】
NORゲート18のすべての入力端子19A,19B,19C,19Dに、論理値「0」に相当する電圧が印加されているときには、すべてのPチャネル電界効果トランジスタ20A,20B,20C,20Dが導通状態になっている。その場合、プルダウン抵抗素子21を通って電流が流れ、この電流が、プルダウン抵抗素子21における電圧降下を引き起こし、この電圧降下が、NORゲートの出力端子22の電位を、論理値「1」に相当する値に至らしめる。この値は、ホールセンサ1にエラーが存在することを示している(図3)。
【0040】
NORゲート18の少なくとも1つの入力端子19A,19B,19C,19Dに、論理値「0」に相当しない電圧が印加されているときには、少なくとも1つのPチャネル電界効果トランジスタ20A,20B,20C,20Dが遮断されており、プルダウン抵抗素子21を通る電流の流れが中断されている。その場合、NORゲート18の出力端子22の電位は、論理値「0」に相当する値に位置している。この値は、NORゲート18がホールセンサ1におけるエラーを検出していないことを示している。
【0041】
図2から見て取れるように、NANDゲート13の出力部17は、ORゲート24の第1の反転入力部23に接続されている。NORゲート18の出力端子22は、ORゲート24の第2の非反転入力部25に接続されている。NANDゲート及び/又はNORゲートがホールセンサ1におけるエラーを検出した場合(図3)には、ORゲート24の出力部33に印加されるエラー信号Errがアクティブになっている。
【0042】
図4に図示された実施例は、図2の実施例に対応しているが、スピンエラーを識別するための装置を追加的に有する。評価装置10は、この目的のためにマルチプレクサ素子26を有し、このマルチプレクサ素子26は、第1の接続箇所3Aに接続された第1のマルチプレクサ入力部27Aと、第2の接続箇所3Bに接続された第2のマルチプレクサ入力部27Bと、第3の接続箇所3Cに接続された第3のマルチプレクサ入力部27Cと、第4の接続箇所3Dに接続された第4のマルチプレクサ入力部27Dと、マルチプレクサ出力部28とを有する。
【0043】
マルチプレクサ出力部28は、Nチャネル電界効果トランジスタとして構成されたスイッチング素子29のゲートに接続されており、このスイッチング素子29のドレイン端子は、プルアップ抵抗30の第1の端子と、ORゲート24の第3の反転入力部31とに接続されている。ドレイン端子を介して、ORゲート24の第3の入力部31に第3のエラー信号Err3が印加される。プルアップ抵抗30の第2の端子は、供給電圧Vを導いている供給源7の第1の供給端子6Aに接続されている。トランジスタ素子29のソース端子は、アース端子に接続されている。
【0044】
マルチプレクサ素子26はさらに、制御装置12に接続された制御入力部32を有し、この制御入力部32に、制御信号を印加することができ、この制御信号に基づいて、マルチプレクサ入力部27A,27B,27C,27Dのうちのそれぞれ1つをマルチプレクサ出力部28に接続可能である。マルチプレクサ素子26の制御入力部32と、マルチプレクサ5A,5B,5C,5Dの制御入力部11A,11B,11C,11Dとは、個々の通電位相における励起電流をそれぞれ異なる方向にホールセンサ素子2を通して導くことが可能となるように、かつ、マルチプレクサ素子26のマルチプレクサ出力部28が、供給源7のいずれの供給端子6A,6Bにも接続されていないホールセンサ素子2の接続箇所3C,3Dにそれぞれ接続されるように、制御装置12に制御接続されている。
【0045】
図5から見て取れるように、供給源の供給端子6A,6Bに接続されていないホールセンサ素子2の接続箇所3C,3Dが、論理値「0」に対応付けられた電位を有する場合に、第3のエラー信号Err3は、論理値「1」を有する。したがって、ホールセンサ素子2の該当する接続箇所がアースに位置する場合、すなわち、スピンエラーが存在する場合には、第3のエラー信号Err3がアクティブになっている。例えば、制御装置12が制御入力部11A,11B,11C,11Dに制御信号を出力しない場合、又は、個々の通電位相の間で制御信号が切り替えられない場合、又は、適切に切り替えられない場合に、スピンエラーが発生する可能性がある。
【0046】
図5から見て取れるように、供給源7の第1の供給端子6Aとの短絡に起因して、供給源の供給端子6A,6Bに接続されていないホールセンサ素子2の接続箇所3C,3Dに供給電圧Vが印加されることによっても、ホールセンサ1に障害がもたらされる可能性がある。測定されたホール電圧がアナログ/デジタル変換器を用いてデジタル化されるホールセンサにおいては、アナログ電圧及び/又はアナログ電圧から得られるデジタル信号を、このために設定されている数値範囲と比較し、対応する信号がこの数値範囲の外側にある場合に、エラー信号を生成することによって、このエラーを確認することが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5