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特許7280147ホームドア制御装置、ホームドア制御方法、及びホームドア制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】ホームドア制御装置、ホームドア制御方法、及びホームドア制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B61B 1/02 20060101AFI20230516BHJP
   E01F 1/00 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
B61B1/02
E01F1/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019147794
(22)【出願日】2019-08-09
(65)【公開番号】P2021028205
(43)【公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 昌兵
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-137742(JP,A)
【文献】特開2016-117444(JP,A)
【文献】特開平09-060944(JP,A)
【文献】特開2001-231281(JP,A)
【文献】特開2001-220950(JP,A)
【文献】特開2012-096768(JP,A)
【文献】特開2017-039372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 1/02
E01F 1/00
E01F 13/00-15/14
E05F 7/00
E05F 15/00-15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホームドアが設置されているプラットホームの長手方向における長さ情報を検知する検知部と、
前記検知部によって検知された前記長さ情報に基づいて前記ホームドアの扉の移動距離を調整する調整部とを備える
ホームドア制御装置。
【請求項2】
前記検知部は、前記プラットホームの長手方向における長さの変化量を前記長さ情報として検知する
請求項1に記載のホームドア制御装置。
【請求項3】
前記プラットホーム又はその周囲の温度と前記長さ情報とが対応付けられた温度情報を記憶する記憶部を備え、
前記検知部は、測定された温度から前記温度情報に基づいて前記長さ情報を算出する
請求項1又は2に記載のホームドア制御装置。
【請求項4】
前記プラットホームは、長手方向に複数のエリアに区分けされ、
前記検知部は、区分けされたエリア毎に前記長さ情報を検知し、
前記調整部は、前記区分けされたエリア毎に移動距離を調整する
請求項1~3のいずれか一項に記載のホームドア制御装置。
【請求項5】
前記扉は、駆動部の駆動量によって移動距離が設定され、
前記調整部は、前記駆動部の駆動量を調整する
請求項1~4のいずれか一項に記載のホームドア制御装置。
【請求項6】
前記ホームドアは、両引き扉であって、
各前記扉は、異なる駆動部によって開閉駆動され、
前記調整部は、対向する扉間の距離が一定になるように前記扉の移動距離を調整する
請求項1~5のいずれか一項に記載のホームドア制御装置。
【請求項7】
前記調整部は、一方の扉だけで移動距離を調整する
請求項6に記載のホームドア制御装置。
【請求項8】
前記検知部は、前記ホームドアを前記プラットホームに固定する台座の埋設部に設けられている
請求項1~7のいずれか一項に記載のホームドア制御装置。
【請求項9】
前記検知部は、温度による扉の長さの変化量も検知し、
前記調整部は、前記プラットホームの長手方向における長さ情報及び前記扉の長さの変化量に基づいて前記扉の移動距離を調整する
請求項1~8のいずれか一項に記載のホームドア制御装置。
【請求項10】
ホームドアが設置されているプラットホームの長手方向における長さ情報を検知する検知ステップと、
前記検知ステップによって検知された前記長さ情報に基づいて前記ホームドアの扉の移動距離を調整する調整ステップとを備える
ホームドア制御方法。
【請求項11】
ホームドアが設置されているプラットホームの長手方向における長さ情報を検知する検知ステップと、
前記検知ステップにおいて検知された前記長さ情報に基づいて前記ホームドアの扉の移動距離を調整する調整ステップとを有する
ホームドア制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホームドア制御装置、ホームドア制御方法、及びホームドア制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
駅のプラットホームには、プラットホーム側と線路側とを区画する安全柵としてホームドア装置が設けられている。ホームドア装置には、扉が設けられている。この扉が開くことでホームドア装置を通過して、プラットホームと車両との間を行き来することができる。
一方、駅のプラットホームは、温度変化によって特に長手方向に伸縮することが知られている(例えば、特許文献1参照)。このため、プラットホームを分割した部分にエキスパンションジョイントを設けたプラットホームも存在する。そして、ホームドア装置の扉の開口幅は、プラットホームの伸縮によって変化する。
【0003】
上記特許文献1に記載のホームドア装置では、扉の閉移動の停止が検出され、且つ、扉の閉移動の移動量と扉の閉移動を停止させる設定値との差が戸挟み閾値条件を満たさないことを満たすときに設定値を低減させることで、扉の開口幅を更新している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-137742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載のホームドア装置では、扉の戸先が当接して扉の閉移動の停止が検出されることで戸挟み閾値条件を満たすか否かを判定しているため、扉の開口幅を更新するためには扉の戸先が当接する必要がある。このため、プラットホームの伸縮によるホームドア装置の扉の衝突を回避することが求められている。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、プラットホームの伸縮によるホームドア装置の扉の衝突を回避することのできるホームドア制御装置、ホームドア制御方法、及びホームドア制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するホームドア制御装置は、ホームドアが設置されているプラットホームの長手方向における長さ情報を検知する検知部と、前記検知部によって検知された前記長さ情報に基づいて前記ホームドアの扉の移動距離を調整する調整部とを備える。
【0008】
上記構成によれば、検知部に検知されたプラットホームの長手方向の長さ情報に基づいて調整部が扉の移動距離を調整するため、プラットホームの伸縮によるホームドアの扉の衝突を回避することができる。
【0009】
上記ホームドア制御装置について、前記検知部は、前記プラットホームの長手方向における長さの変化量を前記長さ情報として検知することが好ましい。
上記構成によれば、ホームドアの扉の移動距離に直接影響するプラットホームの長手方向における長さの変化量に基づいてホームドアの扉の移動距離を調整することができ、ホームドアの扉の衝突を好適に回避することができる。
【0010】
上記ホームドア制御装置について、前記プラットホーム又はその周囲の温度と前記長さ情報とが対応付けられた温度情報を記憶する記憶部を備え、前記検知部は、測定された温度から前記温度情報に基づいて前記長さ情報を算出することが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、プラットホームが温度に応じて変化することから、測定された温度と温度情報とに基づいて検知部が温度に対応するプラットホームの長さ情報を求めることができる。
【0012】
上記ホームドア制御装置について、前記プラットホームは、長手方向に複数のエリアに区分けされ、前記検知部は、区分けされたエリア毎に前記長さ情報を検知し、前記調整部は、前記区分けされたエリア毎に移動距離を調整することが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、プラットホームの区分けされたエリア毎の長さ情報を検知部が検知して、区分けされたエリア毎に移動距離を調整部が調整する。このため、プラットホームがエリアによって長さ情報が異なることがあったとしても、エリア毎に移動距離を調整することができる。
【0014】
上記ホームドア制御装置について、前記扉は、駆動部の駆動量によって移動距離が設定され、前記調整部は、前記駆動部の駆動量を調整することが好ましい。
上記構成によれば、駆動部の駆動量によって扉の移動量が設定されるため、駆動部の駆動量を調整部が調整することで移動距離を調整することができる。
【0015】
上記ホームドア制御装置について、前記ホームドアは、両引き扉であって、各前記扉は、異なる駆動部によって開閉駆動され、前記調整部は、対向する扉間の距離が一定になるように前記扉の移動距離を調整することが好ましい。
【0016】
上記構成によれば、両引き扉であるホームドアの各扉が異なる駆動部によって開閉駆動されるので、異なる駆動部をそれぞれ調整することで扉間の距離が一定になるように扉の移動距離を調整部が調整する。このため、それぞれの駆動部を同じ駆動量に調整することもできるし、扉間の距離が一定になるようにそれぞれの駆動部を異なる駆動量に調整することもできる。
【0017】
上記ホームドア制御装置について、前記調整部は、一方の扉だけで移動距離を調整することが好ましい。
上記構成によれば、一方の扉だけで移動距離を調整部が調整するため、2つの駆動部を調整する必要がなく、駆動制御の変更を一方だけで済ますことができる。
【0018】
上記ホームドア制御装置について、前記検知部は、前記ホームドアを前記プラットホームに固定する台座の埋設部に設けられていることが好ましい。
上記構成によれば、プラットホームの構造体の内部の温度を検知部が検知することができるために、プラットホームの温度変化を更に正確に検知することができる。
【0019】
上記ホームドア制御装置について、前記検知部は、温度による扉の長さの変化量も検知し、前記調整部は、前記プラットホームの長手方向における長さ情報及び前記扉の長さの変化量に基づいて前記扉の移動距離を調整することが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、検知部に検知されたプラットホームの長手方向の長さ情報及び扉の長さの変化量に基づいて調整部が扉の移動距離を調整するため、プラットホームの伸縮によるホームドアの扉の衝突を更に回避することができる。
【0021】
上記課題を解決するホームドア制御方法は、ホームドアが設置されているプラットホームの長手方向における長さ情報を検知する検知ステップと、前記検知ステップによって検知された前記長さ情報に基づいて前記ホームドアの扉の移動距離を調整する調整ステップとを備える。
【0022】
上記方法によれば、検知されたプラットホームの長手方向の長さ情報に基づいて扉の移動距離を調整するため、プラットホームの伸縮によるホームドアの扉の衝突を回避することができる。
【0023】
上記課題を解決するホームドア制御プログラムは、ホームドアが設置されているプラットホームの長手方向における長さ情報を検知する検知ステップと、前記検知ステップにおいて検知された前記長さ情報に基づいて前記ホームドアの扉の移動距離を調整する調整ステップとを有する。
【0024】
上記プログラムによれば、検知されたプラットホームの長手方向の長さ情報に基づいて扉の移動距離を調整するため、プラットホームの伸縮によるホームドアの扉の衝突を回避することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、プラットホームの伸縮によるホームドアの扉の衝突を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】ホームドア制御装置を備えるホームドア装置が設置された駅の平面図。
図2】同実施形態のプラットホーム及びエキスパンションジョイントの温度変化に対する伸縮を示す図。
図3】同実施形態のホームドア装置の構成を示すブロック図。
図4】同実施形態のホームドア装置の戸袋の設置構造を示す断面図。
図5】同実施形態のホームドア制御装置のホームドア制御方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図1図5を参照して、ホームドア制御装置、ホームドア制御方法、及びホームドア制御プログラムの一実施形態について説明する。ホームドア制御装置は、ホームドア制御方法及びホームドア制御プログラムに基づいてホームドアを制御する。
【0028】
図1に示すように、駅1は、列車が走行する軌道2と、列車の乗客が乗降を行うプラットホーム3とを備えている。プラットホーム3は、軌道2の延出方向、言い換えればプラットホーム3の長手方向において複数に分割されている。プラットホーム3の接続部分には、エキスパンションジョイント4が設けられている。エキスパンションジョイント4は、プラットホーム3の接続部分に設けられた隙間に設置されている。
【0029】
図2に示すように、プラットホーム3は温度が上昇すると伸長し、エキスパンションジョイント4は温度が上昇するとプラットホーム3の伸長によってプラットホーム3の接続部の隙間が狭くなるため短縮する。一方、プラットホーム3は温度が低下すると短縮し、エキスパンションジョイント4は温度が低下するとプラットホーム3の短縮によってプラットホーム3の接続部の隙間が拡がるため伸長する。
【0030】
図1に示すように、プラットホーム3には、軌道2とプラットホーム3側とを区分けするホームドア装置10が設置されている。ホームドア装置10は、両引き扉である。ホームドア装置10は、プラットホーム3側から軌道2を向いて左側に位置する第1戸袋部11及び第1ホームドア13と、プラットホーム3側から軌道2を向いて右側に位置する第2戸袋部12及び第2ホームドア14とを備えている。第1ホームドア13は、第1戸袋部11に収容されて第1戸袋部11から突出することでホームドア装置10の開口部を閉じる扉である。第2ホームドア14は、第2戸袋部12に収容されて第2戸袋部12から突出することでホームドア装置10の開口部を閉じる扉である。ホームドア装置10は、列車がプラットホーム3に停止していないときは第1ホームドア13及び第2ホームドア14を閉じ、列車がプラットホーム3に停止すると列車の扉に対応する第1ホームドア13及び第2ホームドア14を開く。
【0031】
図3に示すように、ホームドア装置10は、ホームドア装置10を制御するホームドア制御装置20と、第1ホームドア13を駆動する第1駆動部15及び第2ホームドア14を駆動する第2駆動部16とを備えている。ホームドア制御装置20は、第1駆動部15及び第2駆動部16を駆動制御することで、第1ホームドア13及び第2ホームドア14を開閉制御する。ホームドア制御装置20は、第1駆動部15及び第2駆動部16を同じ駆動量に調整する。なお、ホームドア制御装置20は、第1戸袋部11又は第2戸袋部12のいずれかに収容されていてもよいし、第1戸袋部11及び第2戸袋部12以外の場所に設けられてもよい。
【0032】
ホームドア制御装置20には、プラットホーム3の温度を測定する温度センサ30が接続されている。温度センサ30は、測定したプラットホーム3の温度を測定情報としてホームドア制御装置20に出力する。なお、温度センサ30は、検知部を構成する。
【0033】
図4に示すように、温度センサ30は、ホームドア装置10の第1戸袋部11又は第2戸袋部12をプラットホーム3の床板40に固定する台座としてのベースプレート17の埋設部42に設けられている。プラットホーム3の床板40には、ベースプレート17を締結するための貫通孔41が設けられている。ベースプレート17には、プラットホーム3の床板40を締結するための貫通孔17Aと、ボルト45を収容する凹部17Bとが設けられている。また、ベースプレート17には、温度センサ30の接続線31を通過させる貫通孔17Cが設けられている。ボルト45は、ベースプレート17の貫通孔17Aと床板40の貫通孔41とに挿通される。プラットホーム3の床板40とベースプレート17とは、固定プレート47、ベースプレート17、床板40、固定プレート48の順で設置されてボルト45とナット46とによって締結されている。
【0034】
図3に示すように、ホームドア制御装置20は、温度情報を記憶する記憶部21と、プラットホーム3の長手方向における長さの変化量を検知する検知部22と、駆動量を調整する調整部23と、第1ホームドア13及び第2ホームドア14を開閉制御する制御部24とを備えている。なお、「長さの変化量」が「長さ情報」に相当する。
【0035】
温度情報は、プラットホーム3の温度とプラットホーム3の長手方向における長さの変化量とが対応付けられた情報である。なお、プラットホーム3の長手方向における長さの変化量とは、ホームドア装置10の第1戸袋部11と第2戸袋部12との間の開口幅の変化量である。例えば、基準温度における基準開口幅を計測し、各温度における基準開口幅に対する変化量を計測して、各温度と開口幅の変化量とが対応付けられた情報を温度情報とする。ここでは、基準開口幅が所定値に相当する。
【0036】
プラットホーム3は、長手方向に複数のエリアに区分けされている。図1中の左側のプラットホーム3は、上側(先端側)から第1エリアA1、第2エリアA2、…、第9エリアA9、第10エリアA10に区分けされている。図1中の右側のプラットホーム3は、上側(先端側)から第11エリアA11、第12エリアA12、…、第19エリアA19、第20エリアA20に区分けされている。そして、図1中では、第2エリアA2、第9エリアA9、第12エリアA12、及び第19エリアA19にエキスパンションジョイント4が設置されている。
【0037】
第1エリアA1、第10エリアA10、第11エリアA11、及び第20エリアA20は、温度が上昇すると、第1戸袋部11と第2戸袋部12との開口幅が長くなる。一方、第2エリアA2、第9エリアA9、第12エリアA12、及び第19エリアA19は、温度が上昇するとエキスパンションジョイント4が短縮することで、第1戸袋部11と第2戸袋部12との開口幅が短くなる。なお、エキスパンションジョイント4が設置されている第2エリアA2、第9エリアA9、第12エリアA12、及び第19エリアA19は、プラットホーム3の変化を吸収する部分であるため、プラットホーム3の変化量が他のエリアよりも大きくなる。
【0038】
図3に示すように、検知部22は、区分けされたエリア毎に変化量を検知する。検知部22は、プラットホーム3の温度とプラットホーム3の長手方向における長さの変化量とが対応付けられた温度情報に基づいて温度センサ30が測定した温度からプラットホーム3の長手方向における長さの変化量を算出する。温度情報は、測定した各温度と、当該温度における各ホームドア装置10の第1戸袋部11と第2戸袋部12との間の開口幅の変化量とを予め当該ホームドア装置10で実際に測定したものである。なお、別のホームドア装置10で測定して取得した温度情報を適用してもよい。
【0039】
調整部23は、温度センサ30によって検知された変化量に基づいて第1ホームドア13及び第2ホームドア14の移動距離を調整する。すなわち、調整部23は、区分けされたエリア毎に移動距離を調整する。調整部23は、第1駆動部15及び第2駆動部16の駆動量を調整する。制御部24は、調整部23が調整した移動距離に対応する駆動量で開閉制御を行う。
【0040】
次に、図5を併せ参照して、ホームドア制御装置20の処理手順について説明する。なお、ホームドア制御装置20は、以下の検知ステップ及び調整ステップを有するホームドア制御方法、ホームドア制御プログラムによってホームドア装置10を制御する。
【0041】
図5に示すように、ホームドア制御装置20は、温度を取得する(ステップS1)。すなわち、検知部22は、温度センサ30が測定した温度を定期的に取得する。なお、一日における温度変化が大きいときは高頻度、例えば毎時に取得し、一日における温度変化が小さいときは低頻度、例えば朝のみに取得してもよい。
【0042】
次に、ホームドア制御装置20は、変化量を算出する(ステップS2)。すなわち、検知部22は、プラットホーム3の温度とプラットホーム3の長手方向における長さの変化量とが対応付けられた温度情報に基づいて温度センサ30が測定した温度からプラットホーム3の長手方向における長さの変化量を算出する。ステップS2が検知ステップに相当する。
【0043】
次に、ホームドア制御装置20は、調整が必要か否かを判定する(ステップS3)。すなわち、調整部23は、検知部22が検知した変化量が現在設定されている変化量と異なるか否かを判定する。そして、調整部23は、検知部22が検知した変化量が現在設定されている変化量と同じで調整が必要ないと判定した場合には(ステップS3:NO)、処理を終了する。
【0044】
一方、調整部23は、検知部22が検知した変化量が現在設定されている変化量と異なるため調整が必要があると判定した場合には(ステップS3:YES)、駆動量を調整する(ステップS4)。すなわち、調整部23は、温度センサ30によって検知された変化量に基づいて第1駆動部15及び第2駆動部16の駆動量を調整する。ステップS4が調整ステップに相当する。
【0045】
そして、制御部24は、調整部23が調整した駆動量によって第1駆動部15及び第2駆動部16を駆動して開閉制御を行う。よって、プラットホーム3の伸縮によって第1ホームドア13及び第2ホームドア14が衝突すること及び隙間ができることを回避することができる。また、ホームドア装置10を定期的に点検して開口幅を手動で調整する必要がなくなり、点検及び調整の手間を削減することができる。
【0046】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)ホームドア制御装置20の検知部22に検知されたプラットホーム3の長手方向における長さ情報に基づいて調整部23が第1ホームドア13及び第2ホームドア14の移動距離を調整する。このため、プラットホーム3の伸縮による第1ホームドア13及び第2ホームドアの衝突を回避することができる。
【0047】
(2)第1ホームドア13及び第2ホームドア14の移動距離に直接影響するプラットホーム3の長手方向における長さの変化量に基づいて第1ホームドア13及び第2ホームドア14の移動距離を調整することができ、第1ホームドア13及び第2ホームドア14の衝突を好適に回避することができる。
【0048】
(3)プラットホーム3が温度に応じて変化することから、検知部22が測定された温度から温度情報に基づいて温度に対応するプラットホーム3の長さ情報を求めることができる。
【0049】
(4)プラットホーム3の区分けされたエリアA1~A20毎の変化量を検知部22が検知して、区分けされたエリアA1~A20毎に移動距離を調整部23が調整する。このため、プラットホーム3がエリアA1~A20によって変化量が異なることがあったとしても、エリアA1~A20毎に移動距離を調整することができる。
【0050】
(5)第1駆動部15及び第2駆動部16の駆動量によって第1ホームドア13及び第2ホームドア14の移動量が設定されるため、第1駆動部15及び第2駆動部16の駆動量を調整部23が調整することで移動距離を調整することができる。
【0051】
(6)両引き扉であるホームドア装置10の第1ホームドア13及び第2ホームドア14が第1駆動部15及び第2駆動部16によってそれぞれ開閉駆動される。このため、第1駆動部15及び第2駆動部16をそれぞれ調整することで第1ホームドア13及び第2ホームドア14間の距離が一定になるように第1ホームドア13及び第2ホームドア14の移動距離を調整部23が調整する。
【0052】
(7)プラットホーム3の構造体である床板40の内部の温度を温度センサ30が検知することができるために、プラットホーム3の温度変化を更に正確に検知することができる。
【0053】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0054】
・上記実施形態では、ステップS3において、調整するか否かを判定した。しかしながら、ステップS3を省略して、検知部22がプラットホーム3の長さの変化量を算出したら、第1駆動部15及び第2駆動部16の駆動量を毎回設定してもよい。
【0055】
・上記実施形態では、各ホームドア装置10が設置された範囲を各エリアA1~A20とした。しかしながら、プラットホーム3の長さの変化量が同じホームドア装置10は同じエリアとしてもよい。
【0056】
・上記実施形態では、プラットホーム3の長さの変化量に基づいて調整部23が第1ホームドア13及び第2ホームドア14の移動距離を調整した。しかしながら、検知部22が温度による第1ホームドア13及び第2ホームドア14の変化量も検知して検知部22に検知されたプラットホーム3の長手方向の長さの変化量及び第1ホームドア13及び第2ホームドア14の長さの変化量に基づいて調整部23が第1ホームドア13及び第2ホームドア14の移動距離を調整してもよい。このようにすれば、プラットホーム3の伸縮による第1ホームドア13及び第2ホームドア14の衝突を更に回避することができる。
【0057】
・上記実施形態では、調整部23が第1ホームドア13及び第2ホームドア14間の距離が一定になるように第1駆動部15及び第2駆動部16を同じ駆動量に調整した。しかしながら、調整部23が第1駆動部15及び第2駆動部16を異なる駆動量に調整してもよい。
【0058】
・上記実施形態では、調整部23が第1ホームドア13及び第2ホームドア14の両方の移動距離を調整した。しかしながら、調整部23が第1ホームドア13及び第2ホームドア14の一方だけの移動距離を調整してもよい。このようにすれば、第1駆動部15及び第2駆動部16の両方の駆動量を調整する必要がなく、駆動制御の変更を一方だけで済ますことができる。
【0059】
・上記実施形態では、プラットホーム3自体の温度によってプラットホーム3の長さの変化量を算出した。しかしながら、プラットホーム3の周囲の温度、例えばプラットホーム3の気温等によってプラットホーム3の長さの変化量を算出してもよい。
【0060】
・上記実施形態では、ホームドア制御装置20の検知部22が温度センサ30の測定温度に基づいてプラットホーム3の長さの変化量を算出した。しかしながら、温度センサ30が温度を測定してプラットホーム3の長さの変化量までを検知して、温度センサ30がホームドア制御装置20にプラットホーム3の長さの変化量を出力してもよい。
【0061】
・上記実施形態では、温度センサ30を床板40の埋設部42に設置した。しかしながら、温度センサ30を床板40の埋設部42ではなく、ホームドア装置10から離れたプラットホーム3に設置してもよい。
【0062】
・上記実施形態では、各ホームドア装置10に温度センサ30を設けた。しかしながら、プラットホーム3に温度センサを設けて、当該温度センサが測定した温度によって各ホームドア装置10の駆動量を調整してもよい。
【0063】
・上記実施形態では、各ホームドア制御装置20に検知部22及び調整部23を設けた。しかしながら、各ホームドア制御装置20とは別に検知部及び調整部を設けて、各ホームドア制御装置20の第1駆動部15及び第2駆動部16の駆動量を調整してもよい。例えば、各ホームドア制御装置20を統合制御する制御盤等に検知部と調整部とを設けてもよい。
【0064】
・上記実施形態では、ホームドア制御装置20の第1駆動部15及び第2駆動部16の駆動量を調整した。しかしながら、ホームドア装置10の扉である第1ホームドア13及び第2ホームドア14の移動量を規定するストッパを備え、このストッパの位置を変更する変更部によって、ホームドア装置10の第1ホームドア13及び第2ホームドア14の移動距離を調整してもよい。
【0065】
・上記実施形態では、温度センサ30が測定した温度によってプラットホーム3の変化量を算出した。しかしながら、プラットホーム3の変化量を測距センサや赤外線センサ等を用いて直接測定して、プラットホーム3の変化量を検知してもよい。
【0066】
・上記実施形態では、「長さの変化量」を「長さ情報」としたが、プラットホーム3の長さそのものでもよく、プラットホーム3の全長でもよいし、局所的な長さであってもよいし、局所的な長さの変化量であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…駅、2…軌道、3…プラットホーム、4…エキスパンションジョイント、10…ホームドア装置、11…第1戸袋部、12…第2戸袋部、13…第1ホームドア、14…第2ホームドア、15…第1駆動部、16…第2駆動部、17…台座としてのベースプレート、17A…貫通孔、17B…凹部、17C…貫通孔、20…ホームドア制御装置、21…記憶部、22…検知部、23…調整部、24…制御部、30…温度センサ、31…接続線、40…床板、41…貫通孔、42…埋設部、45…ボルト、46…ナット、47…固定プレート、48…固定プレート、A1,A2,…,A9,A10,A11,A12,…,A19,A20…エリア。
図1
図2
図3
図4
図5