(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】焼結鉱冷却装置
(51)【国際特許分類】
F27B 21/00 20060101AFI20230516BHJP
F27D 15/02 20060101ALI20230516BHJP
C22B 1/26 20060101ALI20230516BHJP
C22B 1/20 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
F27B21/00 B
F27D15/02 G
C22B1/26
C22B1/20 Q
(21)【出願番号】P 2019190061
(22)【出願日】2019-10-17
【審査請求日】2022-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】314017543
【氏名又は名称】Primetals Technologies Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】永井 孝典
【審査官】相澤 啓祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-094630(JP,A)
【文献】特開2016-031224(JP,A)
【文献】実開昭56-060763(JP,U)
【文献】実開昭52-104903(JP,U)
【文献】特開昭57-175884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 21/00-21/14
F27D 7/00-15/02
C22B 1/00-61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方から供給される焼結鉱が堆積する環状空間を有し、該環状空間から下方に前記焼結鉱を排出可能な堆積槽と、
前記堆積槽の上方
に空気を吸引するためのブロアと、
前記堆積槽における複数の周方向位置において径方向に沿って延在するように前記堆積槽内に設けられる複数の内部部品と、
高さ方向にて各々の前記内部部品
と並んで設けられる充填部材と、
を備え
、
前記複数の内部部品の各々は、前記環状空間のうち上側半分の領域である上側領域及び前記環状空間のうち下側半分の領域である下側領域の一方に設けられ、
各々の前記内部部品に対応する前記充填部材の少なくとも一部は、前記上側領域及び前記下側領域の他方に設けられ、
各々の前記内部部品および該内部部品に対応する前記充填部材の合計高さは、前記環状空間の高さの2/3以上である
焼結鉱冷却装置。
【請求項2】
前記充填部材は、前記環状空間の高さ範囲のうち各々の前記内部部品の上方領域
及び下方領域のうち広い方に設けられる
請求項1に記載の焼結鉱冷却装置。
【請求項3】
各々の前記内部部品および該内部部品に対応する前記充填部材の合計高さは、前記内部部品の周方向の幅の2倍以上である
請求項1又は2に記載の焼結鉱冷却装置。
【請求項4】
前記複数の内部部品は、少なくとも前記堆積槽の内周壁と前記堆積槽の外周壁との間において前記径方向に沿って延在する支持梁を含む
請求項1乃至3の何れか一項に記載の焼結鉱冷却装置。
【請求項5】
前記支持梁は、内部に冷却媒体が流れる冷却通路を含み、
前記充填部材は、前記支持梁の下方に設けられ、前記支持梁から漏出した前記冷却媒体を受け入れるための空洞を有する
請求項4に記載の焼結鉱冷却装置。
【請求項6】
前記複数の内部部品は、前記堆積槽の内周壁
及び前記堆積槽の外周壁の少なくとも一方から前記堆積槽内に空気を取り込むための通気ダクトを含む
請求項1乃至5の何れか一項に記載の焼結鉱冷却装置。
【請求項7】
上方から供給される焼結鉱が堆積する環状空間を有し、該環状空間から下方に前記焼結鉱を排出可能な堆積槽と、
前記堆積槽の上方に空気を吸引するためのブロアと、
前記堆積槽における複数の周方向位置において径方向に沿って延在するように前記堆積槽内に設けられる複数の内部部品と、
高さ方向にて各々の前記内部部品と並んで設けられる充填部材と、
を備え、
前記複数の内部部品は、
上側部材と、
前記堆積槽の前記環状空間内において前記上側部材の下方に位置するように、前記上側部材と同一の周方向位置に設けられる下側部材と、
を含み、
前記上側部材は、前記環状空間のうち上側半分の領域である上側領域に設けられ、
前記下側部材は、前記環状空間のうち下側半分の領域である下側領域に設けられ、
前記上側部材と前記下側部材との間に前記充填部材が設けられ
、
各々の前記内部部品および該内部部品に対応する前記充填部材の合計高さは、前記環状空間の高さの2/3以上である
焼結鉱冷却装置。
【請求項8】
前記複数の内部部品は、
第1部材と、
前記堆積槽の前記環状空間内において前記第1部材よりも下方において、前記第1部材とは異なる周方向位置に設けられる第2部材と、
を含み、
前記充填部材は、
前記第1部材から下方に向かって延在する第1充填部材と、
前記第2部材から上方に向かって延在する第2充填部材と、
を含む
請求項1乃至6の何れか一項に記載の焼結鉱冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、焼結鉱冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高温の焼結鉱を冷却するために環状ホッパを備えた冷却装置が用いられることがある。
【0003】
例えば特許文献1には、環状のテーブルと、該テーブルの上方に設けられる環状ホッパと、環状ホッパの内部空間(環状空間)に冷却空気を供給するためのルーバ及び吸引ファンと、を備えた焼結鉱の冷却装置が記載されている。
【0004】
環状ホッパは、テーブルとともに鉛直方向に沿った回転軸の周りを回転するように構成されている。環状ホッパが回転している間、高温の焼結鉱が上方から環状ホッパに供給され、テーブル上及び環状ホッパの内部空間に堆積されるようになっている。
【0005】
環状ホッパの内部空間には、環状ホッパの下部に設けられたルーバを介して、外部から冷却空気が取り込まれるようになっている。冷却空気は、吸引ファンに吸引されて、焼結鉱が堆積された環状ホッパの内部空間を上方に向かって流れ、これにより環状ホッパ内に堆積された焼結鉱が冷却される。
【0006】
環状ホッパの下端部は開放されており、環状ホッパ内で冷却された焼結鉱は環状テーブル上に一時的に堆積される。そして、環状テーブル上の焼結鉱は、環状ホッパの下端と環状テーブルの上面の間に設けられたスクレーパによって、環状ホッパ及び環状テーブルの回転に伴い連続的に排出されるようになっている。
【0007】
すなわち、高温の焼結鉱は、環状ホッパに供給されてから、環状ホッパの回転に伴い下降して下方から排出されるまでの間、環状ホッパ内を流れる冷却空気によって冷却されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、例えば特許文献1に記載されるような、環状の堆積槽(環状ホッパ等)を用いた焼結鉱冷却装置では、堆積槽の内部において複数の周方向位置に部品(内部部品;例えば、堆積槽の支持部材や、冷却空気の通路を形成する部材等)が設けられることがある。この場合、堆積槽の内部空間において、焼結鉱の下降速度(荷下がり速度)に周方向の分布が生じることがある。
【0010】
例えば、堆積槽内の上部に内部部品が設置されている場合、この内部部品の下方には部品の存在しないスペースがあるため、周方向にて内部部品の近傍に位置する焼結鉱のこのスペースへの流入が促進される。このため、内部部品の近傍の位置における焼結鉱の下降速度は大きくなる傾向がある。一方、堆積槽内の下部に内部部品が設置されている場合、この内部部品の上方に位置する焼結鉱は、その下方に存在する内部部品により下降が阻害されるため、内部部品の上方のスペースに滞留しやすい。このため、内部部品の近傍の位置における焼結鉱の下降速度は小さくなる傾向がある。
【0011】
このように、周方向にて堆積槽内で焼結鉱の荷下がり速度に分布が生じると、これに起因して堆積槽の内部の温度に周方向の分布が生じることになる。そうすると、堆積槽内で冷却された後に排出される焼結鉱の冷却不足や過冷却が生じ得るため、後工程での使用機器の耐熱温度に合わせて処理速度を低下せざるを得なくなったり、あるいは、製品の品質が低下したりする可能性がある。
【0012】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、焼結鉱の冷却不足又は過冷却を抑制可能な焼結鉱冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の少なくとも一実施形態に係る焼結鉱冷却装置は、
上方から供給される焼結鉱が堆積する環状空間を有し、該環状空間から下方に前記焼結鉱を排出可能な堆積槽と、
前記堆積槽の上方から空気を吸引するためのブロアと、
前記堆積槽における複数の周方向位置において径方向に沿って延在するように前記堆積槽内に設けられる複数の内部部品と、
前記内部部品とともに前記堆積槽内の前記環状空間を周方向に区分するように、各々の前記内部部品の上方又は下方に設けられる充填部材と、
を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、焼結鉱の冷却不足又は過冷却を抑制可能な焼結鉱冷却装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施形態に係る焼結鉱冷却装置の概略断面図である。
【
図2】一実施形態に係る焼結鉱冷却装置を構成する環状ホッパ(堆積槽)の概略断面図である。
【
図3】一実施形態に係る焼結鉱冷却装置を構成する冷却部の概略図である。
【
図4】一実施形態に係る環状ホッパの周方向に沿った概略断面図である。
【
図5】一実施形態に係る環状ホッパの周方向に沿った概略断面図である。
【
図6】一実施形態に係る環状ホッパの周方向に沿った概略断面図である。
【
図7】一実施形態に係る内部部品及び充填部材を示す概略断面図である。
【
図8】一実施形態に係る内部部品及び充填部材を示す概略断面図である。
【
図9】一実施形態に係る内部部品及び充填部材を示す概略断面図である。
【
図10】典型的な焼結鉱冷却装置の環状ホッパの周方向に沿った概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0017】
図1は、一実施形態に係る焼結鉱冷却装置の概略断面図である。
図2は、一実施形態に係る焼結鉱冷却装置を構成する環状ホッパ(堆積槽)の概略断面図である。
図3は、一実施形態に係る焼結鉱冷却装置を構成する冷却部の平面視における概略図である。なお、焼結鉱は、銑鉄の原料である鉄鉱石に、前処理として焼結処理を施したものである。焼結鉱の粒径は、一般的に5mm以上200mm以下程度である。
【0018】
図1に示すように、一実施形態に係る焼結鉱冷却装置1は、鉛直方向に沿った中心軸Oの周りに設けられる環状ホッパ2(堆積槽)及び環状テーブル12と、環状ホッパ2に供給される焼結鉱5を冷却するための冷却部10と、を備えている。また、焼結鉱冷却装置1は、環状テーブル12上に堆積した焼結鉱5をかき出すためのスクレーパ30を備えている。
【0019】
環状ホッパ2は、中心軸Oの周りに円周状に設けられる内周壁3及び外周壁4を含み、内周壁3の壁面である内周壁面3aと、外周壁4の壁面である外周壁面4aとによって環状空間6が画定される。環状ホッパ2の上方には、図示しない焼結機からの高温の焼結鉱5を環状ホッパ2に供給するための供給シュート29が設けられている。供給シュート29から環状ホッパ2の上端開口2aを介して供給された焼結鉱5は、環状ホッパ2の環状空間6に堆積されるようになっている。環状ホッパ2の上部には、環状ホッパ2の上部を覆う環状の静止フード18が設けられている。
【0020】
環状テーブル12は、環状ホッパ2の環状空間6の下方において中心軸O周りに設けられている。環状ホッパ2の環状空間6に堆積された焼結鉱5は、環状ホッパ2の下端開口2bを介して下方に排出され、この焼結鉱5が環状テーブル12の上に堆積するようになっている。
【0021】
環状ホッパ2の内周壁3及び環状テーブル12は、これらの内周側に設けられた架構21によって支持されている。架構21,22は、基礎13上において中心軸Oの位置に設けられた中心軸受14と回転自在に結合されている。環状ホッパ2の外周壁4は、内周壁3と外周壁4との間を径方向に沿って延びる支持梁27によって支持されている。支持梁27は、内周壁3を貫通して外周壁4まで延びていてもよい。なお、支持梁27の内部には、冷却媒体が流通するようになっていてもよい。
【0022】
環状テーブル12の下方の架構21の下面には、複数の円形状のレール15が固設されている。また、基礎13上には、円形状の複数のレール15に対応して、複数の支持ローラ16が円形状に配置されており、環状テーブル12及び環状ホッパ2が、レール15を介して、支持ローラ16上に回転自在に支持されている。支持ローラ16のうち複数個には駆動モータ17が接続されており、駆動モータ17による支持ローラ16の回転摩擦力により、環状テーブル12及び環状ホッパ2が、中心軸Oの周りを回転するようになっている。
【0023】
スクレーパ30は、環状ホッパ2の外周壁4の下端と環状テーブル12との間に設けられている。スクレーパ30は、環状テーブル12上に堆積した焼結鉱5を環状テーブル12の径方向外側に導くように構成されている。これにより、環状テーブル12上及び環状ホッパ2の環状空間6に堆積された焼結鉱5が焼結鉱冷却装置1の外部に徐々に排出されるようになっている。
【0024】
冷却部10は、環状ホッパ2の環状空間6に冷却流体(例えば空気)を供給するように構成される。
図1に示す例示的な実施形態では、冷却部10は、環状ホッパ2の環状空間6に外部から空気を取り入れるための内側ルーバ7、外側ルーバ8、中央ルーバ9、及び通気ダクト11含む。また、冷却部10は、環状ホッパ2の上方から空気を吸引するためのブロア20と、を含む。
【0025】
図1~
図3に示すように、内側ルーバ7及び外側ルーバ8は、環状ホッパ2の内周壁3及び外周壁4の下部にそれぞれ組み込まれており、環状ホッパ2の外部から空気(冷却流体)を取り込む通路を形成している。中央ルーバ9は、径方向において内周壁3と外周壁4との間において円周状に設けられている。通気ダクト11は、環状ホッパ2の内部において内周壁3と外周壁4との間に径方向に沿って延びるように設けられ、内周壁3又は外周壁4の少なくとも一方から環状ホッパ2内に空気を取り込むように構成される。通気ダクト11によって環状ホッパ2の外部から取り込まれた空気が中央ルーバ9に供給されるようになっている。
【0026】
ブロア20は、環状ホッパ2の上方に設けられる排気ダクト19に接続される。なお、排気ダクト19は静止フード18に接続されている。ブロア20で吸引することにより、内側ルーバ7、外側ルーバ8、中央ルーバ9及び通気ダクト11を介して環状ホッパ2の内部に空気が取り込まれ、該空気が環状ホッパ2の内部を上方に向けて流れ、さらに排気ダクト19を介して焼結鉱冷却装置1の外部に排出される。
【0027】
ブロア20の上流側には、ブロア20に吸引される空気に含まれる塵を除塵する除塵機が設けられていてもよい。また、ブロア20に吸引される空気は、該空気の熱を回収するためのボイラに供給されるようになっていてもよい。
【0028】
焼結鉱冷却装置1は、回転運動をする環状ホッパ2と、静止フード18との間からの冷却空気の漏れを抑制するためのシール部23を備えている。
図1に示すシール部23は、内周壁3と外周壁4の上部に設けられる環状の桶部24と、静止フード18に取り付けられた円周状の封止板26と、を含む。桶部24には所定量のシール液25(例えば水)が供給され、該シール液25に封止板26の下端部が浸された状態とすることで、環状ホッパ2の上部と静止フード18との間が封止されるようになっている。
【0029】
このように構成された焼結鉱冷却装置1では、環状ホッパ2が環状テーブル12とともに中心軸Oの周りを回転している間、供給シュート29を介して高温の焼結鉱5が上方から環状ホッパ2の環状空間6に供給される。焼結鉱5は、円周状の層を形成しながら、環状テーブル12上及び環状ホッパ2の環状空間6に堆積される。環状空間6内に堆積された焼結鉱5は、冷却部10によって環状ホッパ2内に取り込まれるとともに環状ホッパ2内を上方に向けて流れる空気によって冷却される。
【0030】
環状ホッパ2の下方にて環状テーブル12上に堆積した焼結鉱5は、環状ホッパ2及び環状テーブル12の回転に伴い、スクレーパ30によって径方向外側に導かれ、環状ホッパ2の外周壁4の下端と環状テーブル12との間に形成される開放部を介して、環状ホッパ2から排出されるようになっている。このように環状ホッパ2から焼結鉱5が排出されるのに伴い、環状ホッパ2内に蓄積された焼結鉱5が下降する。なお、供給シュート29から環状ホッパ2に供給された焼結鉱5が、スクレーパ30によって環状ホッパ2の下方から排出されるまでの間、環状ホッパ2及び環状テーブル12は数回(例えば、5~15回)回転する。
【0031】
以下、幾つかの実施形態に係る焼結鉱冷却装置1についてより詳細に説明する。
図4~
図6は、それぞれ一実施形態に係る環状ホッパ2の周方向に沿った概略断面図である。
図7~
図9は、それぞれ一実施形態に係る内部部品及び充填部材を示す概略断面図である。なお、
図4~
図6において、曲線L1~L6は、環状ホッパ2に供給された焼結鉱5の層の境界を示し、図中の矢印は、その位置における焼結鉱5の下降速度ベクトルを示す。
【0032】
幾つかの実施形態では、例えば
図4~
図6に示すように、焼結鉱冷却装置1は、環状ホッパ2(堆積槽)における複数の周方向位置において径方向に沿って延在するように環状ホッパ2内に設けられる複数の内部部品40と、各々の内部部品40の上方または下方に設けられる充填部材60と、を備えている。充填部材60は、内部部品40と同様に内周壁3と外周壁4との間を径方向に沿って延在し、該充填部材60に対応する内部部品40とともに、環状ホッパ2内の環状空間6を周方向に区分するように設けられている。
【0033】
幾つかの実施形態では、複数の内部部品40は、環状ホッパ2の外周壁4を支持するための支持梁27を含む。また、幾つかの実施形態では、複数の内部部品40は、上述した冷却部10を構成する通気ダクト11を含む。
【0034】
図4に示す例示的な実施形態では、複数の内部部品40は、環状ホッパ2内に設けられた支持梁27を含む。支持梁27の下方には、支持梁27から下方に向かって延在する充填部材60が設けられている。
【0035】
図5に示す例示的な実施形態では、複数の内部部品40は、環状ホッパ2内に設けられる第1部材46である支持梁27と、環状ホッパ2の環状空間6内において支持梁27(第1部材46)よりも下方において、支持梁27(第1部材46)とは異なる周方向位置に設けられる第2部材48である通気ダクト11と、を含む。支持梁27(第1部材46)の下方には、支持梁27(第1部材46)から下方に向かって延在する第1充填部材62が設けられている。通気ダクト11(第2部材48)の上方には、通気ダクト11(第2部材48)から上方に向かって延在する第2充填部材64が設けられている。
【0036】
図6に示す例示的な実施形態では、複数の内部部品は、環状ホッパ2内に設けられる上側部材42である支持梁27と、環状ホッパ2の環状空間6内において支持梁27(上側部材42)よりも下方において、支持梁27(上側部材42)と同一の周方向位置に設けられる下側部材44である通気ダクト11と、を含む。また、支持梁27(上側部材42)と通気ダクト11(下側部材44)との間に充填部材60が設けられている。
【0037】
ここで、
図10は、
図1~
図3に示した焼結鉱冷却装置1において、充填部材60を設けない場合の環状ホッパ2の周方向に沿った概略断面図である。なお、
図10において、曲線L1~L6は、環状ホッパ2に供給された焼結鉱5の層の境界を示し、図中の矢印は、その位置における焼結鉱5の下降速度ベクトルを示す。
【0038】
図10に示す焼結鉱冷却装置1では、環状ホッパ2の内部において複数の周方向位置に内部部品140(支持梁など)及び内部部品141(通気ダクト等)が設けられている。このように、環状ホッパ2内に内部部品が設けられると、環状ホッパ2の内部空間において、焼結鉱5の下降速度(荷下がり速度)に周方向の分布が生じることがある。
【0039】
例えば、環状ホッパ2内の上部に設けられる内部部品140の下方領域には部品が存在しないため、周方向にて内部部品140の近傍に位置する焼結鉱5の内部部品140の下方領域への流入が促進される。このため、
図10からわかるように、内部部品140の近傍の位置における焼結鉱5の下降速度は大きくなる傾向がある。このように焼結鉱5の下降速度が大きい周方向位置では、環状ホッパ2の下方から排出される焼結鉱5の温度は比較的高くなる。
【0040】
一方、環状ホッパ2内の下部に設けられる内部部品141の上方領域に位置する焼結鉱5は、その下方に存在する内部部品141により下降が阻害されるため、内部部品141の上方領域に滞留しやすい。このため、内部部品141の近傍の位置における焼結鉱5の下降速度は小さくなる傾向がある。このように焼結鉱5の下降速度が小さい周方向位置では、環状ホッパ2の下方から排出される焼結鉱5の温度は比較的低くなる。
【0041】
また、内部部品141の上方領域に滞留する焼結鉱5は、環状ホッパ2内の滞留時間が長く温度が低くなりやすい。このように環状ホッパ2の内部で温度分布ができると、空気流れの圧力損失は低温のほうが小さくなるため、比較的低温の位置に空気が流れやすくなり、環状ホッパ2内における温度差が拡大しやすくなる。
【0042】
このように、周方向にて環状ホッパ2内で焼結鉱5の荷下がり速度に分布が生じると、これに起因して環状ホッパ2の内部の温度に周方向の分布が生じることになる。そうすると、環状ホッパ2内で冷却された後に排出される焼結鉱5の冷却不足や過冷却が生じ得るため、後工程での使用機器の耐熱温度に合わせて処理速度を低下せざるを得なくなったり、あるいは、製品の品質が低下したりする可能性がある。
【0043】
この点、上述した実施形態では、内部部品40とともに環状ホッパ2内の環状空間6の高さ方向における少なくとも一部を周方向に区分するように、各々の内部部品40の上方又は下方に充填部材60が設けられている。これにより、内部部品40(例えば通気ダクト11)の上方に充填部材60が設けられる場合には、内部部品40の上方にて、焼結鉱5が滞留可能なスペースが小さくなるため、内部部品40の上方にて焼結鉱5が滞留するのを抑制することができる。よって、内部部品の近傍において焼結鉱5の下降速度が小さくなるのを抑制することができる。このことは、
図5や
図6において、周方向にて内部部品40の近傍にて、
図10の場合に比べて曲線L1~L6の起伏がなだらかになっていることからもわかる。
また、内部部品40(例えば支持梁27)の下方に充填部材60が設けられる場合には、内部部品40の下方に焼結鉱5が流入可能なスペースが小さくなるため、周方向にて内部部品40の近傍に位置する焼結鉱5が内部部品40の下方領域に流入するのが抑制される。よって、内部部品40の近傍において焼結鉱5の下降速度が大きくなるのを抑制することができる。このことは、
図4~
図6において、周方向にて内部部品40の近傍にて、
図10の場合に比べて曲線L1~L6の落ち込みが緩やかになっていることからもわかる。
したがって、上述の実施形態によれば、環状ホッパ2の環状空間6における焼結鉱5の下降速度を周方向にて均等化しやすくなり、これにより、焼結鉱5の過冷却及び/又は冷却不足を効果的に抑制することができる。
【0044】
また、上述の実施形態によれば、内部部品40の上方又は下方に充填部材60を設けて環状空間6を周方向に区分したので、冷却空気の周方向へ向かう流れを抑制することができるため、冷却空気の流量を周方向において均等化しやすくなる。これにより、焼結鉱5の過冷却及び/又は冷却不足を効果的に抑制することができる。
【0045】
また、
図5に示す例示的な実施形態では、比較的上方に位置する支持梁27(第1部材46)から下方に向かって延在する第1充填部材62、及び、比較的下方に位置する通気ダクト11(第2部材48)から上方に向かって延在する第2充填部材64を設けたので、支持梁27(第1部材46)の下方に焼結鉱5が流入可能なスペース、及び、通気ダクト11(第2部材48)の上方にて焼結鉱5が滞留可能なスペースを小さくすることができる。よって、通気ダクト11(第2部材48)の上方にて焼結鉱5が滞留するのを抑制して、通気ダクト11(第2部材48)の近傍において焼結鉱5の下降速度が小さくなるのを抑制することができるとともに、周方向にて支持梁27(第1部材46)の近傍に位置する焼結鉱5が支持梁27(第1部材46)の下方に流入するのを抑制して、支持梁27(第1部材46)の近傍において焼結鉱5の下降速度が大きくなるのを抑制することができる。よって、環状空間6における焼結鉱5の下降速度を周方向にて均等化しやすくなり、これにより、焼結鉱5の過冷却及び/又は冷却不足を効果的に抑制することができる。
【0046】
また、
図6に示す例示的な実施形態によれば、同一の周方向位置に設けられる支持梁27(上側部材42)と通気ダクト11(下側部材44)との間に充填部材60を設けたので、通気ダクト11(下側部材44)の上方にて焼結鉱5が滞留可能なスペース、及び、支持梁27(上側部材42)の下方に焼結鉱5が流入可能なスペースを小さくすることができる。よって、通気ダクト11(下側部材44)の上方にて焼結鉱5が滞留するのを抑制して、通気ダクト11(下側部材44)の近傍において焼結鉱5の下降速度が小さくなるのを抑制することができるとともに、周方向にて支持梁27(上側部材42)の近傍に位置する焼結鉱5が支持梁27(上側部材42)の下方に流入するのを抑制して、支持梁27(上側部材42)の近傍において焼結鉱5の下降速度が大きくなるのを抑制することができる。よって、環状空間6における焼結鉱5の下降速度を周方向にて均等化しやすくなり、これにより、焼結鉱5の過冷却及び/又は冷却不足を効果的に抑制することができる。
【0047】
図7は、
図4及び
図5における支持梁27(内部部品40)、及び、これに対応して設けられる充填部材60を示す概略断面図である。
図7に示す充填部材60は、支持梁27から下方に向かって高さ方向に沿って延在するように設けられる。充填部材60は、高さ方向に沿った表面を有する平板部61A,61Bを含み、高さ方向において下方に向かって先細る形状を有している。平板部61A,61Bの表面の水平方向に対する角度θ(
図7参照)は75度以上であってもよい。
【0048】
図8は、
図5における通気ダクト11(内部部品40)、及び、これに対応して設けられる充填部材60を示す概略断面図である。
図8に示す充填部材60は、通気ダクト11から上方に向かって高さ方向に沿って延在するように設けられる。充填部材60は、高さ方向に沿った表面を有する平板部63A,63Bを含み、高さ方向において上方に向かって先細る形状を有している。平板部63A,63Bの表面の水平方向に対する角度φ(
図8参照)は75度以上であってもよい。
【0049】
図9は、
図6における支持梁27及び通気ダクト11(内部部品40)、及び、これらに対応して設けられる充填部材60を示す概略断面図である。
図9に示す充填部材60は、支持梁27と通気ダクト11との間において、高さ方向に沿って延在するように設けられる。充填部材60は、高さ方向に沿った表面を有する平板部66A,66Bを含み、これらの平板部66A,66Bは、周方向における支持梁27及び通気ダクト11の両側方から支持梁27及び通気ダクト11を挟むように設けられている。
【0050】
図7及び
図9に示す例示的な実施形態では、支持梁27は、内部に冷却媒体(例えば水)が流れる冷却通路28を含んでいる。また、支持梁27の下方に設けられる充填部材60は、支持梁から漏出した冷却媒体を受け入れるための空洞63を有している。
図7及び
図9に示すように、空洞63は、充填部材60の内壁面によって形成されていてもよい。
【0051】
上述の実施形態によれば、支持梁27の内部の冷却通路28に冷却媒体を流すことにより、高温の焼結鉱に5より支持梁27の温度が過剰に高くなるのを抑制することができる。また、支持梁27の下方に空洞63を有する充填部材60を設けたので、仮に支持梁27の内部から冷却媒体が漏出したとしても、支持梁27の下方に位置する充填部材60の空洞63に漏出流体を止めておくことができる。これにより、環状ホッパ2内部への冷却媒体の漏れを抑制することができる。
【0052】
幾つかの実施形態では、充填部材60は、環状ホッパ2の環状空間6の高さ範囲(即ち、環状ホッパ2の上端開口2aと下端開口2bの間の高さ範囲)のうち、各々の内部部品40の上方領域又は下方領域のうち広い方に設けられていてもよい。なお、高さ方向において、環状ホッパ2の下端開口2bの位置と外周壁4の下端4bの位置は同じである。
【0053】
例えば、
図7及び
図9に示す実施形態では、内部部品40としての支持梁27が、高さ方向において環状空間6のうち比較的高い位置に設けられている。そして、充填部材60は、環状空間6における支持梁27の上方領域R1Uと下方領域R1Lのうち、より広い下方領域R1Lに設けられている。
【0054】
また、
図8及び
図9に示す実施形態では、内部部品40としての通気ダクト11が、高さ方向において環状空間6の下端(環状ホッパ2の下端開口2bの位置)を含む領域に設けられている。そして、充填部材60は、環状空間6における通気ダクト11の上方領域R2Uと下方領域(実質的に存在しない)のうち、より広い上方領域R2Uに設けられている。
【0055】
環状ホッパ2内の環状空間6において内部部品40の上方領域が広いほど、内部部品40の上方のスペースに滞留する焼結鉱5の量が多くなりやすい。また、環状ホッパ2内の環状空間6において内部部品40の下方領域が広いほど、内部部品40の下方のスペースへの焼結鉱5の流入が促進されやすい。この点、上述の実施形態によれば、環状空間6の高さ範囲のうち、内部部品40の上方領域又は下方領域のうち広いほうに充填部材60を設けたので、内部部品40の上方のスペースにおける焼結鉱5の滞留、又は、内部部品40の下方のスペースへの焼結鉱5の流入を効果的に抑制することができる。よって、焼結鉱5の過冷却及び/又は冷却不足を効果的に抑制することができる。
【0056】
幾つかの実施形態では、各々の内部部品40および該内部部品40に対応する充填部材60の合計高さH1(
図7~
図9参照)は、環状空間6の全高さH0(
図7~
図9参照)の2/3以上である。
【0057】
上述の実施形態によれば、内部部品40、及び、該内部部品40に対応する充填部材60の合計高さH1を、環状空間の全高さH0の2/3以上としたので、内部部品40の上方において焼結鉱5が滞留可能なスペース、又は、内部部品40の下方において焼結鉱5が流入可能なスペースを小さくすることができる。これにより、内部部品40の上方のスペースにおける焼結鉱5の滞留、又は、内部部品40の下方のスペースへの焼結鉱5の流入を効果的に抑制することができる。よって、焼結鉱5の過冷却及び/又は冷却不足を効果的に抑制することができる。
また、上述の合計高さH1を、内部部品40の周方向の幅の2倍以上の高さとしてもよい。これにより、充填部材60の角度θ又は角度φを75度以上に形成しやすくなるので、焼結鉱5の沈降を妨げにくくすることができ、更に焼結鉱5の過冷却及び/又は冷却不足を効果的に抑制することができる。
なお、上述の実施形態は内部部品40と充填部材60とを接続して形成したものであるが、両者を一体形成した部材であってもよい。この場合は、内部部品40に相当する部分と充填部材60に相当する部分とが板で仕切られた構造であってもよい。
【0058】
以下、幾つかの実施形態に係る焼結鉱冷却装置について概要を記載する。
【0059】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る焼結鉱冷却装置は、
上方から供給される焼結鉱が堆積する環状空間を有し、該環状空間から下方に前記焼結鉱を排出可能な堆積槽と、
前記堆積槽の上方から空気を吸引するためのブロアと、
前記堆積槽における複数の周方向位置において径方向に沿って延在するように前記堆積槽内に設けられる複数の内部部品と、
前記内部部品とともに前記堆積槽内の前記環状空間を周方向に区分するように、各々の前記内部部品の上方又は下方に設けられる充填部材と、
を備える。
【0060】
上記(1)の構成では、内部部品とともに堆積槽内の環状空間を周方向に区分するように、各々の内部部品の上方又は下方に充填部材が設けられている。これにより、内部部品の上方に充填部材が設けられる場合には、内部部品の上方にて、焼結鉱が滞留可能なスペースが小さくなるため、内部部品の上方にて焼結鉱が滞留するのを抑制することができる。よって、内部部品の近傍において焼結鉱の下降速度が小さくなるのを抑制することができる。また、内部部品の下方に充填部材が設けられる場合には、内部部品の下方に焼結鉱が流入可能なスペースが小さくなるため、周方向にて内部部品の近傍に位置する焼結鉱が内部部品の下方に流入するのが抑制される。よって、内部部品の近傍において焼結鉱の下降速度が大きくなるのを抑制することができる。したがって、上記(1)の構成によれば、環状空間における焼結鉱の下降速度を周方向にて均等化しやすくなり、これにより、焼結鉱の過冷却及び/又は冷却不足を効果的に抑制することができる。
【0061】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記充填部材は、前記環状空間の高さ範囲のうち各々の前記内部部品の上方領域又は下方領域のうち広い方に設けられる。
【0062】
堆積槽内の環状空間において内部部品の上方領域が広いほど、内部部品の上方のスペースに滞留する焼結鉱の量が多くなりやすい。また、堆積槽内の環状空間において内部部品の下方領域が広いほど、内部部品の下方のスペースへの焼結鉱の流入が促進されやすい。この点、上記(2)の構成によれば、環状空間の高さ範囲のうち、内部部品の上方領域又は下方領域のうち広いほうに充填部材を設けたので、内部部品の上方のスペースにおける焼結鉱の滞留、又は、内部部品の下方のスペースへの焼結鉱の流入を効果的に抑制することができる。よって、焼結鉱の過冷却及び/又は冷却不足を効果的に抑制することができる。
【0063】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、
各々の前記内部部品および該内部部品に対応する前記充填部材の合計高さは、前記内部部品の周方向の幅の2倍以上である。
【0064】
上記(3)の構成によれば、内部部品、及び、該内部部品に対応する充填部材の合計高さを、内部部品の周方向の幅の2倍以上としたので、内部部品の上方において焼結鉱が滞留可能なスペース、又は、内部部品の下方において焼結鉱が流入可能なスペースを小さくすることができ、更に水平方向に対する充填部材の角度(例えば上述の角度θ又は角度φ)を75度以上に形成しやすくなるので、焼結鉱の沈降を妨げにくくすることができる。これにより、内部部品の上方のスペースにおける焼結鉱の滞留、又は、内部部品の下方のスペースへの焼結鉱の流入を効果的に抑制することができる。よって、焼結鉱の過冷却及び/又は冷却不足を効果的に抑制することができる。
【0065】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、
前記複数の内部部品は、少なくとも前記堆積槽の内周壁と前記堆積槽の外周壁との間において前記径方向に沿って延在する支持梁を含む。
【0066】
環状の堆積槽の内部には、内周壁と外周壁との間に径方向に沿ってそれぞれ延びる複数の支持梁が設けられることがある。上記(4)の構成によれば、堆積槽内に設けられる支持梁の上方又は下方に充填部材を設けたので、支持梁の上方にて焼結鉱が滞留するのを抑制して、支持梁の近傍において焼結鉱の下降速度が小さくなるのを抑制することができ、あるいは、周方向にて支持梁の近傍に位置する焼結鉱が支持梁の下方に流入するのを抑制して、支持梁の近傍において焼結鉱の下降速度が大きくなるのを抑制することができる。
よって、環状空間における焼結鉱の下降速度を周方向にて均等化しやすくなり、これにより、焼結鉱の過冷却及び/又は冷却不足を効果的に抑制することができる。
【0067】
(5)幾つかの実施形態では、上記(4)の構成において、
前記支持梁は、内部に冷却媒体が流れる冷却通路を含み、
前記充填部材は、前記支持梁の下方に設けられ、前記支持梁から漏出した前記冷却媒体を受け入れるための空洞を有する。
【0068】
上記(5)の構成によれば、支持梁の内部の冷却通路に冷却媒体を流すことにより、高温の焼結鉱により支持梁の温度が過剰に高くなるのを抑制することができる。また、支持梁の下方に空洞を有する充填部材を設けたので、仮に支持梁の内部から冷却媒体が漏出したとしても、支持梁の下方に位置する充填部材の空洞に漏出流体を止めておくことができる。これにより、充填層内部への冷却媒体の漏れを抑制することができる。
【0069】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかの構成において、
前記複数の内部部品は、前記堆積槽の内周壁又は前記堆積槽の外周壁の少なくとも一方から前記堆積槽内に空気を取り込むための通気ダクトを含む。
【0070】
環状の堆積槽の内部には、径方向に沿ってそれぞれ延び、堆積槽の内周壁又は外周壁から堆積槽内に空気(例えば冷却用の空気)を取り込むための複数の通気ダクトが設けられることがある。上記(6)の構成によれば、堆積槽内に設けられる通気ダクトの上方又は下方に充填部材を設けたので、通気ダクトの上方にて焼結鉱が滞留するのを抑制して、通気ダクトの近傍において焼結鉱の下降速度が小さくなるのを抑制することができ、あるいは、周方向にて通気ダクトの近傍に位置する焼結鉱が支持梁の下方に流入するのを抑制して、通気ダクトの近傍において焼結鉱の下降速度が大きくなるのを抑制することができる。よって、環状空間における焼結鉱の下降速度を周方向にて均等化しやすくなり、これにより、焼結鉱の過冷却及び/又は冷却不足を効果的に抑制することができる。
【0071】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れかの構成において、
前記複数の内部部品は、
上側部材と、
前記堆積槽の前記環状空間内において前記上側部材の下方に位置するように、前記上側部材と同一の周方向位置に設けられる下側部材と、
を含み、
前記上側部材と前記下側部材との間に前記充填部材が設けられる。
【0072】
上記(7)の構成によれば、同一の周方向位置に設けられる上側部材と下側部材との間に充填部材を設けたので、下側部材の上方にて焼結鉱が滞留可能なスペース、及び、上側部材の下方に焼結鉱が流入可能なスペースを小さくすることができる。よって、下側部材の上方にて焼結鉱が滞留するのを抑制して、下側部材の近傍において焼結鉱の下降速度が小さくなるのを抑制することができるとともに、周方向にて上側部材の近傍に位置する焼結鉱が上側部材の下方に流入するのを抑制して、上側部材の近傍において焼結鉱の下降速度が大きくなるのを抑制することができる。よって、環状空間における焼結鉱の下降速度を周方向にて均等化しやすくなり、これにより、焼結鉱の過冷却及び/又は冷却不足を効果的に抑制することができる。
【0073】
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れかの構成において、
前記複数の内部部品は、
第1部材と、
前記堆積槽の前記環状空間内において前記第1部材よりも下方において、前記第1部材とは異なる周方向位置に設けられる第2部材と、
を含み、
前記充填部材は、
前記第1部材から下方に向かって延在する第1充填部材と、
前記第2部材から上方に向かって延在する第2充填部材と、
を含む。
【0074】
上記(8)の構成によれば、比較的上方に位置する第1部材から下方に向かって延在する第1充填部材、及び、比較的下方に位置する第2部材から上方に向かって延在する第2充填部材を設けたので、第1部材の下方に焼結鉱が流入可能なスペース、及び、第2部材の上方にて焼結鉱が滞留可能なスペースを小さくすることができる。よって、第2部材の上方にて焼結鉱が滞留するのを抑制して、第2部材の近傍において焼結鉱の下降速度が小さくなるのを抑制することができるとともに、周方向にて第1部材の近傍に位置する焼結鉱が第1部材の下方に流入するのを抑制して、第1部材の近傍において焼結鉱の下降速度が大きくなるのを抑制することができる。よって、環状空間における焼結鉱の下降速度を周方向にて均等化しやすくなり、これにより、焼結鉱の過冷却及び/又は冷却不足を効果的に抑制することができる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0076】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【符号の説明】
【0077】
1 焼結鉱冷却装置
2 環状ホッパ
2a 上端開口
2b 下端開口
3 内周壁
3a 内周壁面
4 外周壁
4a 外周壁面
4b 下端
5 焼結鉱
6 環状空間
7 内側ルーバ
8 外側ルーバ
9 中央ルーバ
10 冷却部
11 通気ダクト
12 環状テーブル
13 基礎
14 中心軸受
15 レール
16 支持ローラ
17 駆動モータ
18 静止フード
19 排気ダクト
20 ブロア
21 架構
22 架構
23 シール部
24 桶部
25 シール液
26 封止板
27 支持梁
28 冷却通路
29 供給シュート
30 スクレーパ
40 内部部品
42 上側部材
44 下側部材
46 第1部材
48 第2部材
60 充填部材
61A 平板部
61B 平板部
62 第1充填部材
63 空洞
63A 平板部
63B 平板部
64 第2充填部材
66A 平板部
66B 平板部
140 内部部品
141 内部部品
O 中心軸
R1L 下方領域
R1U 上方領域
R2U 上方領域