(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】自動車ロックアセンブリ
(51)【国際特許分類】
E05B 81/20 20140101AFI20230516BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20230516BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20230516BHJP
E05B 81/06 20140101ALI20230516BHJP
E05B 85/10 20140101ALI20230516BHJP
E05B 85/26 20140101ALI20230516BHJP
【FI】
E05B81/20 A
B60J5/00 N
B60J5/04 H
E05B81/06
E05B85/10
E05B85/26
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019220381
(22)【出願日】2019-12-05
(62)【分割の表示】P 2016558323の分割
【原出願日】2015-03-18
【審査請求日】2019-12-27
【審判番号】
【審判請求日】2022-03-29
(31)【優先権主張番号】102014205371.4
(32)【優先日】2014-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504346891
【氏名又は名称】ブローゼ シュリースジュステーメ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Brose Schliesssysteme GmbH & Co. Kommanditgesellschaft
【住所又は居所原語表記】Otto-Hahn-Str. 34, D-42369 Wuppertal, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ライナー ヴィアツ
【合議体】
【審判長】住田 秀弘
【審判官】土屋 真理子
【審判官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-218295(JP,A)
【文献】特表2002-525460(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第1191172(EP,A2)
【文献】米国特許第6505867(US,B1)
【文献】特開2005-220664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B1/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車ボディ(2)に移動可能に連結された閉鎖エレメント(3)
と、該閉鎖エレメント(3)のための
該閉鎖エレメント(3)に対応配置された自動車ロックアセンブリ
(1)とを備えた閉鎖エレメントアセンブリであって、自動車ロック(5)が設けられており、該自動車ロック(5)は、取り付けられた状態において前記閉鎖エレメント(3)かまたは前記自動車ボディ(2)に配置されており、
当該自動車ロックアセンブリ(1)は、前記閉鎖エレメント(3)に対して該閉鎖エレメント(3)の開放方向に駆動力を加える移動駆動装置(6)を有しており、これにより前記閉鎖エレメント(3)は、モータによる開放過程において閉鎖位置から間隙位置に移動可能であり、かつこれによって前記閉鎖エレメント(3)と前記自動車ボディ(2)との間に係合間隙(8)を形成可能であり、前記自動車ロック(5)はラッチ(12)を有しており、該ラッチ(12)は、該ラッチ(12)の閉鎖方向への移動によって、開放位置から少なくとも1つの閉鎖位置に移動可能であり、該閉鎖位置において前記ラッチ(12)は、ドア保持力を伝達するためにストライカ(13)またはこれに類したものに係合しており、前記ラッチ(12)は、1つの閉鎖位置もしくは複数の閉鎖位置から、前記ラッチ(12)の開放方向への移動によって、開放位置に移動可能であり、該開放位置において前記ラッチ(12)は、前記ストライカ(13)またはこれに類したものを前記閉鎖エレメント(3)の開放方向(7)に解放し、前記ラッチ(12)は、前記移動駆動装置(6)を用いて、前記開放過程において、前記閉鎖エレメント(3)の前記間隙位置を形成するために、モータによって前記ラッチ(12)の開放方向において、前記ラッチ(12)の間隙位置に移動可能である、自動車ロックアセンブリにおいて、
前記ラッチ(12)の前記開放位置が、前記ラッチ(12)の前記少なくとも1つの閉鎖位置と前記ラッチ(12)の前記間隙位置との間に位置しており、
前記閉鎖エレメント(3)にグリップ装置(9)が設けられていて、該グリップ装置(9)は、前記閉鎖エレメント(3)が前記閉鎖位置にある場合には、前記閉鎖エレメント(3)と前記自動車ボディ(2)とによって覆われている
ことを特徴とする、
閉鎖エレメントアセンブリ。
【請求項2】
前記自動車ロック(5)は、前記閉鎖エレメント(3)に対して該閉鎖エレメント(3)の開放方向に駆動力を加える移動駆動装置(6)を有している、請求項1記載の
閉鎖エレメントアセンブリ。
【請求項3】
前記ラッチ(12)は、主閉鎖位置および事前閉鎖位置に移動可能である、請求項1または2記載の
閉鎖エレメントアセンブリ。
【請求項4】
前記閉鎖エレメント(3)は、前記モータによる開放過程後に、前記移動駆動装置(6)を用いることなしに、前記閉鎖エレメント(3)の開放方向(7)にさらに手で移動可能である、請求項1から3までのいずれか1項記載の
閉鎖エレメントアセンブリ。
【請求項5】
前記係合間隙(8)を通して、前記閉鎖エレメント(3)におけるグリップ装置(9)に外から接近可能である、請求項1から4までのいずれか1項記載の
閉鎖エレメントアセンブリ。
【請求項6】
前記係合間隙(8)を通して、グリップ装置(9)のグリップ部分(10)を外方に向かって移動可能である、請求項1から5までのいずれか1項記載の
閉鎖エレメントアセンブリ。
【請求項7】
前記移動駆動装置(6)は、前記自動車ロック(5)のコンポーネントの移動のために用いられ、または、当該自動車ロックアセンブリ(1)は、ストライカ(13)またはこれに類したものを有していて、該ストライカ(13)またはこれに類したものは、ドア保持力を伝達するために前記自動車ロック(5)に係合可能であり、かつ前記移動駆動装置(6)は前記ストライカ(13)またはこれに類したものを移動させるために用いられる、請求項1から6までのいずれか1項記載の
閉鎖エレメントアセンブリ。
【請求項8】
前記移動駆動装置(6)は、ラッチ(12)の移動のために用いられる、請求項7記載の
閉鎖エレメントアセンブリ。
【請求項9】
ロック爪(14)が設けられていて、該ロック爪(14)は、該ロック爪(14)が前記ラッチ(12)を前記1つの閉鎖位置においてもしくは前記複数の閉鎖位置のうちの少なくとも1つにおいてロックするロック位置に移動可能であり、かつ前記ロック爪(14)は、該ロック爪(14)が前記ラッチ(12)を該ラッチ(12)の開放方向に解放する解放位置に移動可能である、請求項1から8までのいずれか1項記載の
閉鎖エレメントアセンブリ。
【請求項10】
前記閉鎖エレメント(3)は、閉鎖過程において、前記移動駆動装置(6)を用いてモータによって閉鎖方向に移動可能であり、これによって前記閉鎖エレメント(3)は事前閉鎖位置から主閉鎖位置に移動させられる、請求項1から9までのいずれか1項記載の
閉鎖エレメントアセンブリ。
【請求項11】
前記閉鎖エレメント(3)の前記事前閉鎖位置は、前記閉鎖エレメント(3)の前記主閉鎖位置と前記間隙位置との間に位置している、請求項10記載の
閉鎖エレメントアセンブリ。
【請求項12】
前記ラッチ(12)は、閉鎖過程において、前記移動駆動装置(6)を用いてモータによって前記ラッチ(12)の閉鎖方向に移動可能であり、前記ラッチ(12)は、前記ストライカ(13)またはこれに類したものを介して前記閉鎖エレメント(3)を該閉鎖エレメント(3)の前記主閉鎖位置に引っ張るようになっている、請求項10または11記載の
閉鎖エレメントアセンブリ。
【請求項13】
前記ラッチ(12)は、前記開放過程において、前記移動駆動装置(6)を用いてモータによって前記ラッチ(12)の開放方向に移動可能であり、前記ラッチ(12)は、前記ストライカ(13)またはこれに類したものを介して前記閉鎖エレメント(3)を該閉鎖エレメント(3)の前記間隙位置に押圧するようになっている、請求項9記載の
閉鎖エレメントアセンブリ。
【請求項14】
前記ラッチ(12)の前記開放位置は、前記ラッチ(12)の前記1つの閉鎖位置もしくは前記複数の閉鎖位置と前記ラッチ(12)の前記間隙位置との間に位置している、請求項13記載の
閉鎖エレメントアセンブリ。
【請求項15】
前記ラッチ(12)は、その開放位置とその間隙位置との間において、前記ストライカ(13)またはこれに類したものに一方向において係合しているかまたは係合可能であり、前記移動駆動装置(6)を用いて、もっぱら前記閉鎖エレメント(3)の開放方向において、前記ラッチ(12)から前記ストライカ(13)またはこれに類したものに駆動力を加えることができるようになっている、請求項13または14記載の
閉鎖エレメントアセンブリ。
【請求項16】
前記ラッチ(12)は、前記移動駆動装置(6)を用いて両方向に移動可能である、請求項1から15までのいずれか1項記載の
閉鎖エレメントアセンブリ。
【請求項17】
前記ラッチ(12)は、前記ストライカ(13)またはこれに類したもののための進入口(15)を有しており、前記ラッチ(12)は、前記開放過程において、前記ストライカ(13)またはこれに類したものを前記閉鎖エレメント(3)の開放方向に押圧する、請求項1から16までのいずれか1項記載の
閉鎖エレメントアセンブリ。
【請求項18】
前記ラッチ(12)は、前記開放過程において、前記ストライカ(13)またはこれに類したものを前記進入口(15)から外に押圧する、請求項17記載の
閉鎖エレメントアセンブリ。
【請求項19】
制御装置(21)が設けられており、該制御装置(21)を用いて、前記閉鎖エレメント(3)の開放動作が制御可能であり、前記制御装置(21)を用いて、開放動作の枠内において、モータによる開放過程が制御可能であり、該モータによる開放過程において、前記閉鎖エレメント(3)は、前記移動駆動装置(6)を用いて閉鎖位置から間隙位置に移動させられ、これによって前記閉鎖エレメント(3)と前記自動車ボディ(2)との間に係合間隙(8)が形成され、前記閉鎖エレメント(3)は、該モータによる開放過程後に、前記閉鎖エレメント(3)の開放方向にさらに手で移動可能である、請求項1から18までのいずれか1項記載の
閉鎖エレメントアセンブリ。
【請求項20】
前記グリップ装置(9)は外方に向かってシールされており、その結果、前記グリップ装置(9)は常に汚れおよび水分に対して保護される、請求項1から19までのいずれか1項記載の
閉鎖エレメントアセンブリ。
【請求項21】
前記ラッチ(12)は連行体(18)を備えて構成されており、前記連行体(18)は、モータによって駆動可能な駆動部分(19)と駆動技術的に係合させることができ、前記連行体(18)および前記駆動部分(19)の間に自由移動区間が設けられている、請求項1から19までのいずれか1項記載の
閉鎖エレメントアセンブリ。
【請求項22】
前記駆動部分(19)は、円弧形状の横断面を有する円筒体部分として構成されている、請求項21記載の
閉鎖エレメントアセンブリ。
【請求項23】
前記係合間隙(8)の間隙幅は、22mmよりも大きい、請求項1から22までのいずれか1項記載の
閉鎖エレメントアセンブリ。
【請求項24】
前記係合間隙(8)の間隙幅は、26mm~31mmである、請求項1から23までのいずれか1項記載の
閉鎖エレメントアセンブリ。
【請求項25】
請求項1から24までのいずれか1項記載の
閉鎖エレメントアセンブリを作動させるための方法であって、
制御装置(21)が設けられていて、該制御装置(21)を用いて閉鎖エレメント(3)の開放動作が制御可能であり、かつ、1つの開放動作の枠内において、前記制御装置(21)を用いてモータによる開放過程を制御し、該モータによる開放過程において、前記移動駆動装置(6)を用いて前記閉鎖エレメント(3)を閉鎖位置から間隙位置に移動させ、これによって前記閉鎖エレメント(3)と自動車ボディ(2)との間に係合間隙(8)を生ぜしめることを特徴とする、
閉鎖エレメントアセンブリを作動させるための方法。
【請求項26】
前記モータによる開放過程後に、前記閉鎖エレメント(3)を手でさらに前記閉鎖エレメント(3)の開放方向に移動させる、請求項
25記載の方法。
【請求項27】
前記ロック爪(14)を持ち上げてロック解除し、次いで前記モータによる開放過程において、前記移動駆動装置(6)を用いて、前記閉鎖エレメント(3)を1つの閉鎖位置から前記間隙位置に移動させる、請求項9を引用する請求項
25または
26記載の方法。
【請求項28】
前記ロック爪(14)を開放補助駆動装置(22)を用いて持ち上げてロック解除する、請求項
27記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部に記載の自動車ロックアセンブリ、請求項14の前段部に記載の閉鎖エレメントアセンブリ、および請求項17の前段部に記載の、自動車ロックアセンブリを作動させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
話題の自動車ロックアセンブリは、自動車ロックおよびストライカ、閉鎖ピストンまたはこれに類したものを備えており、自動車のすべての形式の閉鎖エレメントにおいて使用することができる。閉鎖エレメントとしては、特にサイドドア、リヤドア、テールゲート、トランクリッドまたはエンジンフードが挙げられる。これらの閉鎖エレメントは、基本的にはスライドドアの形式でも設けることが可能である。
【0003】
本発明の先行技術である、公知の自動車ロックアセンブリ(独国実用新案第29624351号明細書(DE29624351U1))は、通常の形式で互いに相互に作用する閉鎖要素「ラッチ」および「ロック爪」を有している。ラッチは、ロック爪を用いて事前閉鎖位置と主閉鎖位置とにおいて保持することができる。ロック爪を持ち上げてロック解除することによって、保持係合状態が解除され、これによってラッチはその開放位置に旋回することができる。ロック爪を持ち上げてロック解除するために、公知の自動車ロックアセンブリでは、開放補助駆動装置が設けられている。
【0004】
公知の自動車ロックアセンブリでは、開放補助駆動装置を用いてモータによってロック爪を持ち上げてロック解除可能であることによって、閉鎖エレメントを開放するためのドア係合解除を、基本的に省くことができる。例えば、モータによるロック爪のロック解除は、リモートコントロールキーを用いてトリガすることができる。しかしながら公知の自動車ロックアセンブリとの組合せにおいては、閉鎖エレメントの手による移動時に使用者の手のための係合面を提供できるようにするために、常に、汎用の外側ドアグリップが使用されている。閉鎖エレメントのアウタパネルに配置されているこのような外側ドアグリップを設けることは、空気力学的に不都合であり、衝突時における怪我のリスクを惹起し、デザインの自由度を制限し、しかもかなりのコストに結び付いている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は、公知の自動車ロックアセンブリを改良して、僅かなコストで使用者の手のための係合面を最適化して実現することができる、自動車ロックアセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の前段部に記載の自動車ロックアセンブリにおいて、請求項1の特徴部に記載の特徴によって解決される。
【0007】
自動車ロックアセンブリ、特に自動車ロックは、閉鎖エレメントの開放方向における該閉鎖エレメントの制限された移動を生ぜしめる移動駆動装置を備えて構成される、という基本的な考えが重要である。これによって、閉鎖エレメントと自動車ボディとの間に係合間隙を生ぜしめることができ、この係合間隙は、相応のグリップ装置と共に、ドアアウタパネルに配置された汎用の外側ドアグリップに対する代用品を形成することができる。
【0008】
詳しく述べると、自動車ロックアセンブリ、特に自動車ロックは、閉鎖エレメントに対して該閉鎖エレメントの開放方向に駆動力を加える移動駆動装置を有しており、これにより自動車ロックアッセンブリの取り付けられた状態において、閉鎖エレメントは、モータによる開放過程において閉鎖位置から間隙位置に移動可能であり、かつこれによって閉鎖エレメントと自動車ボディとの間に係合間隙を形成することができる。
【0009】
本発明に係る解決策によって、外側ドアグリップの機能を、閉鎖エレメントと自動車ボディとの間の領域に移動させることができる。この領域は、閉鎖エレメントが間隙位置にある場合にだけ外から接近可能である。その代わりに、後でさらに述べるように、係合間隙を通して外から接近可能なグリップ装置が設けられていてよい。「外」という概念は、ここでは常に自動車の外側領域に関連している。グリップ装置は、この意味において、自動車の外側領域から接近可能である。
【0010】
請求項6に記載の特に好適な態様では、移動駆動装置に2つの機能、すなわち開放過程の切換えの機能と閉鎖過程の切換えの機能とがある。このような閉鎖過程は、閉鎖エレメントがモータによって主閉鎖位置におけるドアシール力に抗して移動させられるコンフォート機能である。移動駆動装置のこの二重の利用は、安価にかつ同時にコンパクトな構造形式で実現することができる。
【0011】
請求項7および請求項8に記載のさらに好適な態様では、閉鎖過程および/または開放過程が、自動車ロックのラッチの、モータによる移動によって実現されている。これによって、ラッチには三重の機能、すなわち、ストライカまたはこれに類したものの保持および開放の機能、閉鎖過程の枠内における閉鎖方向への閉鎖エレメントの移動の機能、ならびに開放過程の枠内における開放方向への閉鎖エレメントの移動の機能がある。これによってまた、高いコスト効果および高い快適性が得られる。
【0012】
独自の意味を有する、請求項14に記載の別の発明によれば、閉鎖エレメントと、該閉鎖エレメントに対応配置されている本発明に係る自動車ロックアセンブリとを備えた、閉鎖エレメントアセンブリが請求されている。
【0013】
この別の発明において重要なことは、閉鎖エレメント自体の僅かな移動によって、グリップ装置に接近可能に、かつ再び接近不能にすることができる、という基本的な考えである。詳しく述べると、閉鎖エレメントにグリップ装置が設けられていて、該グリップ装置へは、閉鎖エレメントが閉鎖位置にある場合は、閉鎖エレメントと自動車ボディとの共働によって接近不能であり、間隙位置において閉鎖エレメントと自動車ボディとの間に係合間隙が存在している場合は、特に係合間隙を通して接近可能である。別の発明によっても、グリップ装置を構成するための数多くの新しい可能性が、汎用の外側ドアグリップの代わりとして存在する。本発明に係る自動車ロックアセンブリに対するすべての構成であって、閉鎖エレメントアセンブリを説明するのに適したすべての構成を参照することができる。
【0014】
請求項15に記載の特に好適な態様では、グリップ装置は、閉鎖エレメントの、係合間隙に隣接する端面3aの領域に配置されている。「端面」というのは、常に、閉鎖エレメントが主閉鎖位置にある場合に自動車ボディの面、特にドアフレームまたはこれに類したものの面に直に隣接して配置されている、閉鎖エレメントの側を意味している。
【0015】
同様に独自の意味がある、請求項17に記載の別の発明によれば、本発明に係る自動車ロックアセンブリを作動させるための方法が請求される。
【0016】
この別の発明において重要なことは、制御装置を用いた閉鎖エレメントの開放動作の枠内において、モータによる開放過程を制御し、該モータによる開放過程において、移動駆動装置を用いて閉鎖エレメントを閉鎖位置から間隙位置に移動させ、これによって閉鎖エレメントと自動車ボディとの間に係合間隙を生ぜしめることである。請求項18によれば、次いで、好ましくは移動駆動装置を使用せずに、閉鎖エレメントをさらに手で閉鎖エレメントの開放方向に移動させる。このような半自動式の開放動作は、構造的に容易に切り換えることができ、しかも高い使用快適性を提供する。
【0017】
請求項19に記載の別の好適な態様では、特に開放補助駆動装置を用いた、ロック爪の持上げによるロック解除が、開放過程に先行する。これによって、上に述べたように、開放過程の切換えのためにラッチのモータによる移動を利用することが、難なく可能になる。本発明に係る方法では、自動車ロックアセンブリの機能形式に対するすべての構成を参照することができる。
【0018】
以下、図面に示した実施形態を参照しながら本発明を詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る自動車ロックアセンブリを備えた本発明に係る閉鎖エレメントアセンブリを有する自動車を示す図であって、a)は閉鎖エレメントが主閉鎖位置にある場合を示す図であり、b)は閉鎖エレメントが間隙位置にある場合を示す図である。
【
図2】本発明に係る自動車ロックアセンブリの閉鎖要素を示す図であって、a)はラッチが事前閉鎖位置にある場合を示す図であり、b)はラッチが主閉鎖位置にある場合を示す図である。
【
図3】本発明に係る自動車ロックアセンブリの閉鎖要素を示す図であって、a)はラッチが開放位置にある場合を示す図であり、b)はラッチが間隙位置にある場合を示す図である。
【
図4】本発明に係る閉鎖エレメントアセンブリの別の実施形態を示す図であって、閉鎖エレメントが間隙位置にある場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
予め述べておくと、図面には、本発明に係る自動車ロックアセンブリの、本発明を説明するのに必要なコンポーネントだけしか示されていない。
【0021】
本発明に係る自動車ロックアセンブリ1は、自動車ボディ2に移動可能に連結された閉鎖エレメント3に対応配置されている。この閉鎖エレメント3は、ここではかつ好ましくは、自動車のサイドドアである。しかしながら、本発明に係る自動車ロックアセンブリ1は、自動車の考えられる他のすべての閉鎖エレメントに対しても適用することができる。他の閉鎖エレメントとしては、特にリヤドア、テールゲート、トランクリッドまたはエンジンフードが挙げられる。
【0022】
ここではかつ好ましくは、サイドドアとして形成された閉鎖エレメント3は、ほぼ鉛直方向に方向付けられた旋回軸線4を中心にして旋回可能である。しかしながら、基本的には、閉鎖エレメント3はスライドドアとして形成されていてもよい。
【0023】
自動車ロックアセンブリ1は、自動車ロック5を有しており、この自動車ロック5は、取り付けられた状態において好ましくは閉鎖エレメント3に配置されている。代替的に、自動車ロック5が自動車ボディ2に配置されているような構成も可能である。
【0024】
自動車ロックアセンブリ1、ここではかつ好ましくは自動車ロック5は、
図2および
図3において単に略示されている移動駆動装置6を有している。移動駆動装置6は、閉鎖エレメント3に対して該閉鎖エレメント3の開放方向7に駆動力を加えるのに用いられる。言い換えれば、移動駆動装置6は自動車ロックアセンブリ1の取り付けられた状態において、閉鎖エレメント3を該閉鎖エレメント3の開放方向7に押圧する。これによって、閉鎖エレメント3は、移動駆動装置6を用いて、モータによる開放過程(Aufstellvorgang)において、
図1aに示した閉鎖位置から
図1bに示した間隙位置に移動することができ、これによって、閉鎖エレメント3と自動車ボディ2との間において係合間隙8を得ることができる。この係合間隙8は、閉鎖エレメント3の旋回性に基づいて閉鎖エレメント3の開放方向7に沿って延びている。
【0025】
移動駆動装置6は、ここでは自動車ロック5のロックハウジングによって収容されていて、このロックハウジングは、ラッチ(Schlossfalle)12も収容している。しかしながら、基本的には、移動駆動装置6はロックハウジングの外に配置されていてもよく、特にボーデンケーブルを介して自動車ロック5に通常のように連結されていてよい。
【0026】
ここではかつ好ましくは、閉鎖エレメント3は、モータによる開放過程の後で、移動駆動装置6を使用することなしに、閉鎖エレメント3の開放方向7にさらに手で移動させることができる。移動駆動装置6と閉鎖エレメント3との間、特にラッチ12と後で述べるストライカ(Schliesskeil)13またはこれに類したものとの間における駆動技術的な連結は、このとき、もはや存在していない。
【0027】
本実施形態では、係合間隙8は、使用者の手のための係合面を準備するように機能し、これによって閉鎖エレメント3を手で移動させることができる。その限りでは好適な
図1に示す実施形態では、そのためにグリップ装置9が設けられており、このグリップ装置9へは、
図1bに示すように、係合間隙8を通して外から接近可能である。しかしながらまた、これとは代替的に、係合間隙8を通して、
図4に示すようにグリップ装置9のグリップ部分10を外から移動可能であるように構成されていてもよい。グリップ部分10の移動方向は、
図4に符号11で示されている。
【0028】
図2および
図3に示す実施形態では、移動駆動装置6は、1つのコンポーネント、ここではかつ好ましくは自動車ロック5のラッチ12を移動させるように機能する。従って、上に述べた開放過程は、1つのコンポーネント、つまりラッチ12の移動に由来する。
【0029】
それとは代替的に、開放過程を切り換えるために、自動車ロックアセンブリ1の、ラッチ12と共働するストライカ13またはこれに類したものであって、ドア保持力を伝達するために自動車ロック5と係合することができる、ストライカ13またはこれに類したものが、移動駆動装置6によって移動可能であるように構成されていてもよい。
【0030】
自動車ロック5は、ここでは、上に述べたように、ラッチ12を備えて構成されており、このラッチ12は、
図3aに示した開放位置から、閉鎖方向における移動によって、
図3において時計回り方向の移動によって、少なくとも1つの閉鎖位置に、ここでは主閉鎖位置(
図2b)および事前閉鎖位置(
図2a)に至らしめることができる。これらの閉鎖位置において、ラッチ12は、ドア保持力を伝達するために、上に述べたストライカ13またはこれに類したものと係合している。ドア保持力は、その閉鎖方向において閉鎖エレメント3に作用し、これによって閉鎖エレメント3の開放を阻止することができる。
【0031】
逆に、ラッチ12は閉鎖位置(
図2a,b)から、開放方向における移動によって、
図2において逆時計回り方向において、開放位置(
図3a)に至らしめることができ、この開放位置においてラッチ12は、ストライカ13を閉鎖エレメント3の開放方向7に解放する。興味深い事実は、閉鎖エレメント3の間隙位置を生ぜしめるために、開放過程において、移動駆動装置6を用いて、ラッチ12がモータによってその開放方向に、
図3において逆時計回り方向に、ラッチ12の相応の間隙位置(
図3b)へと移動可能なことである。
【0032】
図2および
図3に示した記載から分かるように、ラッチに対応配置されたロック爪14が設けられており、このロック爪14は、
図2に示したロック位置に至らしめることができ、このロック位置においてロック爪14は、ラッチ12を1つの閉鎖位置(
図2aでは事前閉鎖位置、
図2bでは主閉鎖位置)において、ラッチ12の開放方向における旋回をロックする。さらにロック爪14は、ここではかつ好ましくはモータによって、ラッチ12をその開放方向において解放する解放位置へと持ち上がってロック解除(ausheben)することができるので、ラッチ12は、
図2において逆時計回り方向に、その開放位置へと旋回することができる(
図3a,
図3b)。解放位置へのロック爪14の移動は、
図2において、逆時計回り方向におけるロック爪14の旋回に関連している。
【0033】
ロック爪14がラッチ12に対して図面において時計回り方向に、ばねによって予荷重を加えられているのに対して、ラッチ12は、同様にばねによって予荷重を加えられて、その開放位置に、図面において逆時計回り方向に押圧される。そのために必要なばね装置は、図面を見易くするためにここには図示されていない。
【0034】
ラッチ12とストライカ13との間の係合に基づいて、ラッチ12の、
図2bに示した主閉鎖位置は、閉鎖エレメント3が
図1aに示した相応の主閉鎖位置にある状態を用意する。同様なことは、事前閉鎖位置にあるラッチ12(
図2a)に対しても言えることであり、この事前閉鎖位置にあるラッチ12は、閉鎖エレメント3が相応の事前閉鎖位置(図示せず)にある状態を用意する。通常、開放方向7で見て、閉鎖エレメント3と自動車ボディ2との間の間隙は、ラッチ12が
図2aに示した事前閉鎖位置にある場合、10mm未満、好ましくは約6mmである。つまりこの間隙は、当該間隙が使用者の手によって後ろから掴むことができないような寸法に設定されており、これによって、挟込みリスクの発生をかなり回避することができる。
【0035】
特に好適な構成では、閉鎖エレメント3は移動駆動装置6を用いて、閉鎖過程(Zuziehvorgang)においてモータによって閉鎖方向に移動可能であり、これによって閉鎖エレメント3は、上に述べた事前閉鎖位置から、上に述べた主閉鎖位置へと移動させられる。このコンフォート機能によって使用者は、閉鎖エレメント3を閉鎖過程のために単に事前閉鎖位置(
図2a)に移動させるだけでよく、次いで、移動駆動装置6が閉鎖エレメント3をこの事前閉鎖位置から主閉鎖位置へと移動させ、このとき比較的高いドアシール圧を引き受ける。
【0036】
好ましくは、閉鎖エレメント3の事前閉鎖位置は、閉鎖エレメント3の主閉鎖位置(
図1a)と間隙位置(
図1b)との間に位置している。すなわち、閉鎖エレメント3の間隙位置に由来する係合間隙8は、閉鎖エレメント3と自動車ボディ2との間における、事前閉鎖位置に相当する上述した間隙よりも大きい。好ましくは、係合間隙8の間隙幅は18mmよりも大きく、かつさらに好ましくは22mmよりも大きい。特に好適な構成では、係合間隙8の間隙幅は、約26mm~約31mmである。このような値は、特に、使用者の手による係合間隙8への後ろからの係合のために好適であることが判明している。
【0037】
ここではかつ好ましくは、上に述べた閉鎖過程および上に述べた開放過程は、ラッチ12のモータによる移動に由来する。詳しく述べると、ラッチ12は、移動駆動装置6を用いて、閉鎖過程時にモータによってラッチ12の閉鎖方向に移動可能であり、このときラッチ12は閉鎖エレメント3を、ストライカ13またはこれに類したものを介して閉鎖エレメント3の主閉鎖位置に引っ張る。さらに、ラッチ12は、移動駆動装置6を用いて、開放過程時にモータによってラッチ12の開放方向に移動可能であり、このときラッチ12は閉鎖エレメント3を、ストライカ13またはこれに類したものを介して閉鎖エレメント3の間隙位置に押圧する。基本的には、上に述べた両方の過程のうちの1つのみが、モータによるラッチ12の移動に由来するような構成も可能である。
【0038】
図2および
図3を一緒に見ると、ラッチ12の開放位置(
図3a)が、ラッチ12の1つもしくは複数の閉鎖位置(
図2)とラッチ12の間隙位置(
図3b)との間に位置していることが分かる。このことから、ラッチ12には、閉鎖エレメント3の間隙位置の切換え(Umsetzung)のために、新しい位置、つまり同様に
図3bに示した間隙位置が対応配置されていることが明らかである。
【0039】
図3にさらに示すように、ラッチ12はその開放位置とその間隙位置との間において、一方向でストライカ13またはこれに類したものに係合しているかまたは係合可能であり、このときラッチ12からストライカ13への力作用が、もっぱら閉鎖エレメント3の開放方向において可能であるようになっている。詳しく述べると、移動駆動装置6を用いて、もっぱら閉鎖エレメント3の開放方向において、ラッチ12からストライカ13またはこれに類したものに向かって駆動力が作用可能である。このとき好ましくは、移動駆動装置6に由来する挟込みリスクが、ラッチ12のこの移動領域においては存在しないという事実がある。
【0040】
その限りでは好適な図示の実施形態では、ラッチ12は一方の旋回方向における閉鎖過程の切換えのために、
図3において時計回り方向に移動可能であり、かつ開放過程の切換えのためには、他の旋回方向に、
図2において逆時計回り方向に移動可能である。相応して、両方の過程を切り換えることができるようにするために、ラッチ12は移動駆動装置6を用いて両方向に移動可能である。
【0041】
特に好適な構成では、閉鎖過程時における閉鎖エレメント3の移動距離は、開放過程時における移動距離よりも短い。それというのは、閉鎖過程は事前閉鎖位置から主閉鎖位置へのラッチ12の移動を含んでいるのに対して、開放過程は、ラッチ12の開放位置から間隙位置へのラッチ12の移動を含んでいるからである。
【0042】
ラッチ12の形状付与は、開放過程を実現するために特別な意味がある。ここではかつ好ましくは、ラッチ12はストライカ13用の進入口15を有しており、このときラッチ12はストライカ13を、開放過程中に閉鎖エレメント3の開放方向7に押圧する。これは、
図3aから
図3bへの移行過程から分かる。その限りでは好適な図示の実施形態では、ラッチ12は、ストライカ13を開放過程中に進入口15から押し出すように構成されている。そのために、進入口15の内側部分、特に進入口15の壁16には、駆動輪郭17が接続しており、この駆動輪郭17は、開放位置から間隙位置へのラッチ12の移動の移動時に、ストライカ13を閉鎖エレメント3の開放方向に押圧するように、ストライカ13と駆動技術的に係合する。閉鎖エレメント3の開放方向7におけるストライカ13のこのような駆動形式は、構造的に特に単純であり、ひいては安価に切換え可能である。
【0043】
移動駆動装置6のためには、極めて多数の構造的な構成が考えられる。ここではかつ好ましくは、ラッチ12は連行体18を備えて構成されており、この連行体18は、モータによって駆動可能な駆動部分19と駆動技術的に係合させることができる。その限りでは好適な図示の実施形態では、駆動部分19は、円弧形状の横断面を有する円筒体部分として構成されている。駆動部分19は、幾何学的な旋回軸線12aを中心にして旋回可能であり、この旋回軸線12aは、ラッチ12の幾何学的な旋回軸線12aである。駆動部分19には、ここではかつ好ましくは二方向に作動する、特に電気式の駆動モータ20が対応配置されている。この駆動モータ20は、図面においては単に略示されている。駆動部分19の旋回時に、駆動部分19は両駆動方向において連行体18と係合し、その結果ラッチ12は、移動駆動装置6を用いて両旋回方向に旋回することができる。相応して、
図2aに示した事前閉鎖位置から
図2bに示した主閉鎖位置へのラッチ12の移動は、駆動部分19がモータによって時計回り方向に旋回させられることによって実現することができる。逆に、
図3aに示した開放位置から
図3bに示した間隙位置へのラッチ12の移動は、駆動部分19がモータによって逆時計回り方向に旋回させられることによって実現することができる。
【0044】
連行体18および駆動部分19の構成において興味深いのは、この両コンポーネントの間に自由移動区間(Freilauf)が設けられており、これによって例えばラッチ12の、開放位置から事前閉鎖位置および主閉鎖位置への移動が、連行体18が駆動技術的に駆動部分19に作用することなしに可能であるようになっている。これによって、移動駆動装置6からの影響なしに、閉鎖エレメント3を手で閉鎖(Zuschlagen)することができる。逆に、移動駆動装置6の適宜な制御時には、主閉鎖位置から事前閉鎖位置を介した開放位置へのラッチ12の移動が、移動駆動装置6からの影響なしに行われることも、保証することができる。しかしながら、このことは図面には示されていない。
【0045】
好ましくは、自動車ロックアセンブリ1に制御装置21が対応配置されており、この制御装置21を用いて、自動車ロックアセンブリ1の開放動作を制御可能である。このような開放動作は、リモートコントロールキーの操作によって、ドアアウタシェルの下に配置されたセンサまたはこれに類したものによって、トリガすることができる。
【0046】
制御装置21を用いて、閉鎖エレメント3の開放動作の枠内において、モータによる開放過程が制御可能であり、このモータによる開放過程において、閉鎖エレメント3は移動駆動装置6を用いて閉鎖位置から間隙位置に移動させられ、これによって閉鎖エレメント3と自動車ボディ2との間に係合間隙8が生ぜしめられる。閉鎖エレメント3は、モータによる開放過程の後で、特に移動駆動装置6を使用せずに、閉鎖エレメント3の開放方向にさらに手で移動することができる。
【0047】
制御装置21は、基本的には、もっぱら上に述べた移動駆動装置6を制御するために用いることができる。しかしながら、ここではかつ好ましくは、ロック爪14には本来の開放補助駆動装置22が対応配置されており、この開放補助駆動装置22は、好ましくは同様に制御装置21によって制御される。開放動作の枠内において、好ましくは、まずロック爪14が、特に開放補助駆動装置22を用いて持ち上げられてロック解除され、次いで閉鎖エレメント3が、閉鎖エレメント3の間隙位置を得るために、上に述べた移動駆動装置6を用いて、モータによって閉鎖エレメント3の開放方向7に移動させられるようになっている。開放補助駆動装置22と移動駆動装置6との同期化には、ここでは特別な意味がある。特に、ロック爪14の持上げによるロック解除が移動駆動装置6の始動の前に始まるように考慮されねばならない。
【0048】
最後に、最初に述べた発明に対して付言しておくと、移動駆動装置6は、ここではかつ好ましくは電動機式の移動駆動装置である。しかしながらまた、移動駆動装置6は、空気力式、液力式、電磁式またはこれに類した形式の移動駆動装置であってもよい。さらに、移動駆動装置6は、ラッチ12のモータによる移動の機能ならびにロック爪14のモータによるロック解除の機能の両方を引き受けるような構成も可能であり、このようになっていると、コンパクトかつ安価な構成を得ることができる。
【0049】
独自の意味がある別の発明によれば、自動車ボディ2に移動可能に連結された上に述べた閉鎖エレメント3と、この閉鎖エレメント3に対応配置された自動車ロックアセンブリ1とを備えた閉鎖エレメントアセンブリ23が請求される。
【0050】
本発明の提案によれば、閉鎖エレメント3にグリップ装置9が設けられており、このグリップ装置9は、閉鎖エレメント3が閉鎖位置にある場合に、閉鎖エレメント3と自動車ボディ2との共働によって接近不能であり(
図1a)、閉鎖エレメント3が間隙位置にある場合に、ここではかつ好ましくは、係合間隙8を通して接近可能である(
図1b、
図4)。
図1aに示すように、グリップ装置9は、閉鎖エレメント3が主閉鎖位置にある場合には、閉鎖エレメント3と自動車ボディ2とによって保護され、特に覆われている。さらに適宜に設計されていると、これによって、グリップ装置9は外方に向かってシールされており、その結果、グリップ装置9は常に汚れおよび水分に対して保護される。
【0051】
図1bに示したグリップ装置9の好適な変化形態では、グリップ装置9は、閉鎖エレメント3の、係合間隙8に隣接する端面3aの領域に配置されている。「端面」という概念の規定については、既に上で説明した。ここではかつ好ましくは、グリップ装置9は、サイドドアとして構成された閉鎖エレメント3の、自動車のリヤに向いた側部の領域に配置されている。このことは
図1から分かる。
【0052】
極めて単純な、
図1bに示した場合では、グリップ装置9は、使用者がその手で係合間隙8を後ろから掴むことができる、ほぼ1つの面である。
【0053】
代替的な別の形態では、グリップ装置9は、上に述べたグリップ部分10を有しており、このグリップ部分10は、係合間隙8を通して外方に向かって移動可能である。
図4に示すように、このグリップ部分10は、移動方向11に移動可能である。この移動のために、グリップ部分10には、好ましくは、適宜な駆動装置(図示せず)が対応配置されている。
【0054】
同様に独自に意味がある別の発明によれば、本発明に係る自動車ロックアセンブリ1を作動させるための方法が請求される。
【0055】
この別の発明において重要なことは、上に述べた制御装置21が設けられていて、この制御装置21を用いて開放動作が制御可能であることである。制御装置21を用いて、開放動作の枠内において、モータによる開放過程が制御され、このモータによる開放過程において、閉鎖エレメント3は移動駆動装置6を用いて閉鎖位置から間隙位置に移動させられ、これによって閉鎖エレメント3と自動車ボディ2との間に係合間隙8が形成される。
【0056】
モータによる開放過程の後で、さらに好ましくは、閉鎖エレメント3は、閉鎖エレメント3の開放方向にさらに手で移動させられる。
【0057】
好ましくは、開放動作の枠内において、ロック爪14は特に前記開放補助駆動装置22を用いて、持ち上げられてロック解除される。次いで閉鎖エレメント3は、移動駆動装置6を用いて、モータによる開放過程において、閉鎖位置から間隙位置に移動させられる。特に好適な変化形態では、追加的に、次いで、上に述べたグリップ部分10が係合間隙8を通して外方に向かって移動させられるようになっていてもよい。これは、本発明に係る自動車ロックアセンブリ1に対するすべての構成に対して言えることである。