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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】ドレン中和器
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/66 20230101AFI20230516BHJP
【FI】
C02F1/66 530B
C02F1/66 530K
C02F1/66 510Q
C02F1/66 521C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019233315
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021102179
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】小島 輝明
(72)【発明者】
【氏名】星野 健太
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-206632(JP,A)
【文献】特開2013-163167(JP,A)
【文献】特開2013-166125(JP,A)
【文献】特開2017-018913(JP,A)
【文献】特開2011-106761(JP,A)
【文献】特開2014-066433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/66- 1/68
F23L 17/14
F24H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中和剤を収容する容器の上部に容器ふたを配し、前記容器ふたにドレン導入口と第1満水電極と第2満水電極を、前記容器の側壁にドレン排口を有したドレン中和器において、
前記ドレン導入口からドレンが流入し、前記第1満水電極と前記第2満水電極とが配置される第1中和室と、
前記ドレンの流れ方向として前記第1中和室の下流に位置する第2中和室と、
前記第2中和室の下流に位置し、前記ドレン排出口を有する第3中和室と、
を備え、
更に前記第1中和室内に、前記中和剤の充填部と上部の非充填部とを上下に仕切る中和剤押えを備え、
更に前記非充填部で、前記ドレン導入口の直下の空間と前記第1満水電極の直下の空間とを隔てる前記容器ふたから垂れ下がる第1垂下壁と、
前記第1満水電極と前記第2満水電極の直下の空間を隔てる前記容器ふたから垂れ下がる第2垂下壁と、
を備え、
前記第1垂下壁および前記第2垂下壁の容器内側方向の長さは、前記第1満水電極および前記第2満水電極の容器内側方向の長さより長くしたことを特徴とするドレン中和器。
【請求項2】
前記第1中和室の一方側で前記容器ふたから垂れ下がる第3垂下壁と、
前記第1中和室の他方側で前記容器ふたから垂れ下がる第4垂下壁と、
を備え、
前記第1中和室を区画する仕切壁のうち、一方側と他方側とそれぞれ向き合う前記中和剤押えの端部はいずれもL字形状で、
前記中和剤押えの端部を一方側と他方側の前記仕切壁の上端にそれぞれ懸架させ、
前記中和剤押えの中央部は前記第1から第4垂下壁の下側を通るように下側に凸の形状で配置したことを特徴とする請求項1に記載のドレン中和器。
【請求項3】
前記第3垂下壁の下端は、前記仕切壁の上端より下方にあり、かつ前記第1垂下壁の下端より上方にあり、かつ前記第2垂下壁の下端より上方にあり、かつ前記容器ふた外形の下端より上方にあり、
また、前記第4垂下壁の下端は、前記仕切壁の上端より下方にあり、かつ前記第1垂下壁の下端より上方にあり、かつ前記第2垂下壁の下端より上方にあり、かつ前記容器ふた外形の下端より上方にあることを特徴とする請求項2に記載のドレン中和器。
【請求項4】
前記第1垂下壁の容器内側方向の高さは、前記非充填部の高さと一致させたことを特徴とする請求項1ないし3に記載のドレン中和器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、潜熱回収型給湯機に組み込まれるドレン中和器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として、熱交換器で発生した強酸性のドレンの中和処理を行うドレン中和器において、容器内の水位の異常な上昇を検知するための水位検知用の満水電極を備えたものが知られている。このドレン中和器では、容器内に中和剤を備え、この中和剤の中をドレンが通過することで中和され安全に排水できる。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
また、特許文献1とは別の従来例として、前記満水電極と前記中和剤とが接触することで生ずる誤作動を防止する中和剤押えを備えたドレン中和器の例を図5で説明する。ドレン中和器の容器aの上面にドレン導入口bと満水電極cを、容器aの側面にドレン排水口dを有し、ドレン導入口bの下方の中和剤収容室e内に中和剤fを備え、潜熱回収型給湯機の輸送時等に中和剤fが満水電極cと接触することで潜熱回収型給湯機の誤作動が発生することを防止するために、中和剤fと満水電極cの間に網状の中和剤押えgを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5282866号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなドレン中和器は、ドレン導入口bから落下するドレンが網状の中和剤押えgに衝突する際に不特定な方向へ飛び跳ね、飛び跳ねた水滴が満水電極cに付着することによって満水電極cの誤検知が発生する恐れがあった。
【0006】
また、輸送の際の輸送振動により中和剤押えgが移動して、中和剤押えgと中和剤収容室eの区画壁との間に隙間が生じ、隙間からの中和剤fが満水電極cと接触し誤検知が起きる恐れがあった。
【0007】
また、輸送の際の輸送振動により中和剤押えgが移動して、中和剤押えgが満水電極cと接触し誤検知が起きる恐れがあった。
【0008】
また、ドレン導入口bから流入するドレンが中和剤収容室eの天井を伝って満水電極cに付着することによって満水電極cの誤検知が発生する恐れがあった。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決すべく検討なされたもので、その目的は、満水電極cが天井からのドレン、または中和剤f、または中和剤押えgと接触することで起こる誤検知を防止できるドレン中和器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明の請求項1では、中和剤を収容する容器の上部に容器ふたを配し、前記容器ふたにドレン導入口と第1満水電極と第2満水電極を、前記容器の側壁にドレン排口を有したドレン中和器において、前記ドレン導入口からドレンが流入し、前記第1満水電極と前記第2満水電極とが配置される第1中和室と、前記ドレンの流れ方向として前記第1中和室の下流に位置する第2中和室と、前記第2中和室の下流に位置し、前記ドレン排出口を有する第3中和室と、を備え、更に前記第1中和室内に、前記中和剤の充填部と上部の非充填部とを上下に仕切る前記中和剤押えを備え、更に前記非充填部で、前記ドレン導入口の直下の空間と前記第1満水電極の直下の空間とを隔てる前記容器ふたから垂れ下がる第1垂下壁と、前記第1満水電極と前記第2満水電極の直下の空間を隔てる前記容器ふたから垂れ下がる第2垂下壁と、を備え、前記第1垂下壁および前記第2垂下壁の容器内側方向の長さは、前記第1満水電極および前記第2満水電極の容器内側方向の長さより長くした。
【0011】
また、本発明の請求項2では、前記第1中和室の一方側で前記容器ふたから垂れ下がる第3垂下壁と、前記第1中和室の他方側で前記容器ふたから垂れ下がる第4垂下壁と、を備え、前記第1中和室を区画する仕切壁のうち、一方側と他方側とそれぞれ向き合う前記中和剤押えの端部はいずれもL字形状で、前記中和剤押えの端部を一方側と他方側の前記仕切壁の上端にそれぞれ懸架させ、前記中和剤押えの中央部は前記第1から第4垂下壁の下側を通るように下側に凸の形状で配置した。
【0012】
また、本発明の請求項3では、前記第3垂下壁の下端は、前記仕切壁の上端より下方にあり、かつ前記第1垂下壁の下端より上方にあり、かつ前記第2垂下壁の下端より上方にあり、かつ前記容器ふた外形の下端より上方にあり、また、前記第4垂下壁の下端は、前記仕切壁の上端より下方にあり、かつ前記第1垂下壁の下端より上方にあり、かつ前記第2垂下壁の下端より上方にあり、かつ前記容器ふた外形の下端より上方に位置するようにした。
【0013】
また、本発明の請求項4では、前記第1垂下壁の容器内側方向の高さは、前記非充填部の高さと一致させた。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1によれば、前記ドレンが前記容器ふたの内側をつたわって前記満水電極につたわるのを防ぐことができ、誤検知を防止できる。また、前記容器が輸送中に傾いても、前記第1垂下壁および前記第2垂下壁が前記満水電極より容器内側方向に長いので、前期第1垂下壁および前期第2垂下壁によって中和剤押えと満水電極との接触を防ぐことができ、誤検知を防止できる。
【0015】
本発明の請求項2によれば、前記中和剤押えのL字形状の端部が前記仕切壁の上端に懸架されているので、前記容器が輸送中に傾いても、前記中和剤押えの水平方向の移動を防ぎ、かつ、中和剤が前記中和剤押えの上にはみ出しにくくなる。そのため、中和剤が前記満水電極に触れないため、誤検知を防ぐことができる。
【0016】
本発明の請求項3によれば、前記第3垂下壁と前記第4垂下壁の下端は、前記仕切壁の上端より下方にあるので、前記第3垂下壁または前記第4垂下壁と前記仕切壁とで前記中和剤押えの端部を挟む構造ができ、前記中和剤押えのL字形状の端部を前記仕切壁の上端に懸架している状態を維持することができる。
また、前記第3垂下壁と前記第4垂下壁の下端は、前記第1垂下壁の下端より上方にあり、かつ前記第2垂下壁の下端より上方にあるので、前記中和剤押えを必要以上に下側へ押しつけることがないため、前記中和剤押えの変形を防止できる。
また、前記第3垂下壁と前記第4垂下壁の下端は、前記容器ふた外形の下端より上方にあるので、前記容器ふたを前記容器に取り付ける際に、前記容器ふたの外形が前記第3垂下壁と前記第4垂下壁より先に前記容器に接することで、前記容器と前記容器ふたの位置決めをして取り付けることができる。これにより、前記容器ふたの外形が前記容器に接するより先に前記第3垂下壁および第4垂下壁が前記中和剤押えに接することによる前記中和剤押えの位置ずれを防止できる。
【0017】
本発明の請求項4によれば、前記中和剤押えが上下に動きにくく、前記中和剤押えと前記仕切壁の隙間から前記中和剤がはみ出しにくくなるため、前記中和剤が前記満水電極に触れることなく、誤検知を防ぐことができる。また、前記ドレン導入口から落下するドレンが前記中和剤押えに衝突する際に不特定な方向へ飛び跳ねても、前記ドレン導入口の直下の空間と前記第1満水電極の直下の空間とは前記第1垂下壁が前記非充填部の高さで隔てているため、跳ね返った水滴が前記満水電極に触れるのを防ぐことができ、誤検知を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態1における潜熱回収型給湯機の概略構成図
図2】本発明の実施形態1におけるドレン中和器の縦断面図
図3】本発明の実施形態1におけるドレン中和器の構成展開図
図4】本発明の実施形態1における容器ふたの斜視図
図5】従来例のドレン中和器の概略説明図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る潜熱回収型給湯機の実施の形態を図面に基づいて説明する。
1は本実施形態の潜熱回収型熱源機としての潜熱回収型給湯機、2は石油等の燃料を燃焼させるバーナ、3はバーナ2に燃焼用の空気を供給する送風機、4はバーナ2の上方に備えられた燃焼室、5は燃焼室4内に収容された熱交換部である。
【0020】
熱交換部5は、バーナ2の燃焼により発生した燃焼ガスから顕熱を回収し一次受熱管6を流通する被加熱流体としての水を加熱するフィンチューブ式の一次熱交換器7と、一次熱交換器7を通過した燃焼ガスから潜熱を回収し二次受熱管8を流通する被加熱流体としての水を加熱する二次熱交換器9とから構成されており、一次熱交換器7、二次熱交換器9の順に通過した燃焼ガスは排気口10より潜熱回収型給湯機1外に排気される。
【0021】
11は燃焼ガス中の水蒸気が二次熱交換器9の二次受熱管8を流通する水と熱交換して露点以下の温度となることにより生成される強酸性のドレンを回収するドレン受けで、二次熱交換器9の下方に配置されているものである。また、12はドレン受け11で回収されたドレンをドレン中和器13に導くドレン導入管である。
【0022】
14は内部に炭酸カルシウムからなる中和剤15を充填して収容する略直方体の容器で、この容器14の上部に容器ふた16を配し、容器ふた16には筒状のドレン導入口17と一対の満水電極18を有している。また、容器14と容器ふた16の間にパッキン90を配し、容器14に収容する中和剤15およびドレンが容器14と容器ふた16の隙間から漏れるのを防止する。
【0023】
この満水電極18はドレン導入口17に近い第1満水電極19と、第1満水電極19よりも遠い第2満水電極20を、容器ふた16に略垂直に貫通して容器14内に延設することで、容器14内のドレンの水位を検知し、ドレンが所定の水位に到達したときに容器14から溢れること防止するために潜熱回収型給湯機1を停止する。
【0024】
31は容器14の一側壁23に水平方向に延設された筒状のドレン排出口で、容器14内に貯留され中和されたドレンをドレン中和器13外に排出させる。
【0025】
32はドレン排出口31に接続されドレン中和器13から排出される中和後のドレンを外部に排水するドレン排水管、33は給水源から供給される水を熱交換部5に流通させる給水管、34は熱交換部5で加熱された湯を流通させ、所定箇所に設けられた給湯栓(図示せず)に湯を供給する給湯管、35は給水管33から分岐した給水バイパス管である。
【0026】
36は給湯管34と給水バイパス管35との接続部に設けられ、給湯管34からの湯と給水バイパス管35からの水とを混合し、その混合比を可変できる混合弁、37は給水管33に設けられ給水温度を検出する給水温度センサ、38は給水管33に設けられ流量を検出する流量センサ、39は給湯管34に設けられ熱交換部5で加熱された湯の温度を検出する熱交出口温度センサ、40は混合弁36より下流側の給湯管34に設けられ混合弁36で混合された湯の温度を検出する給湯温度センサである。
【0027】
41は潜熱回収型給湯機1の操作指示を行うリモコンで、リモコン41には、潜熱回収型給湯機1の運転のオンオフを指示する運転スイッチ42と、給湯温度を設定するための給湯温度設定スイッチなどの操作部43と、潜熱回収型給湯機1の状態や給湯設定温度などを表示する表示部44を備えている。
【0028】
45はマイクロコンピュータを主体として、この潜熱回収型給湯機1の満水電極18、給水温度センサ37、流量センサ38、熱交出口温度センサ39、給湯温度センサ40の信号とリモコン41からの信号を受け、送風機3、混合弁36等の各アクチュエータの駆動を制御する制御手段であり、この制御手段45は、潜熱回収型給湯機1の運転時間を積算して記憶するタイマ46を有している。
このタイマ46が所定積算時間をカウントすることで、中和剤15が消耗して無くなる前に表示部44に中和剤15の交換または補充を促す表示を実施する。
【0029】
次に、図3に基づいて満水電極の構成を説明する。
第1満水電極19は、ねじ頭部19bとねじ形状のねじ部19cを有する電極部19aと、リード線被覆部19eと金属製のリード線端子部19fを有するリード線部19dとを備え、ねじ部19cを容器ふた16の外側から内側へねじ込み固定する。
第2満水電極20についても第1満水電極19に準じた構成となる。
【0030】
次に、図2に基づいて満水電極の誤検知の防止構造について説明する。
容器14は、ドレン導入口17からドレンが流入し、第1満水電極19と第2満水電極20とが配置される第1中和室51と、前記ドレンの流れ方向として第1中和室51の下流に位置する第2中和室52と、第2中和室52の下流に位置し、ドレン排出口31を有する第3中和室53とを備える。
【0031】
70は、第1中和室51内の中和剤15の充填部61と非充填部62とを上下に仕切る中和剤押えであり、81は、非充填部62で、前記ドレン導入口17の直下の空間と第1満水電極19の直下の空間とを隔てる前記容器ふた16から垂れ下がる第1垂下壁であり、82は、第1満水電極19と第2満水電極20の直下の空間を隔てる前記容器ふた16から垂れ下がる第2垂下壁であり、第1垂下壁81および第2垂下壁82の容器内側方向の長さは、第1満水電極19および第2満水電極20の容器14の内側方向の長さより長くした。
【0032】
中和剤押え70は、多数の棒状部材を幅約10mm四方程度の網状に形成してあり、潜熱回収型給湯機の輸送時や設置の際に中和剤15(直径約15~20mmの炭酸カルシウムの塊)が満水電極18と接触することを妨げ、潜熱回収型給湯機の誤作動が発生することを防止する。
第1垂下壁81は、ドレン導入口17から流入したドレンが容器ふた16の内側をつたわって満水電極18に伝わるのを防止する。
第1垂下壁81と第2垂下壁82の容器内側方向の長さが、第1満水電極19および第2満水電極の容器内側方向の長さより長いので、潜熱回収型給湯機の輸送中に容器14が傾いても、中和剤押え70が第1満水電極19および第2満水電極に接触することを防ぎ、潜熱回収型給湯機の誤作動が発生することを防止する。
【0033】
83は、第1中和室51の一方側で容器ふた16から垂れ下がる第3垂下壁であり、84は、第1中和室51の他方側で容器ふた16から垂れ下がる第4垂下壁である。また、第1中和室51を区画する仕切壁60のうち、一方側と他方側とそれぞれ向き合う中和剤押え70の端部はいずれもL字形状であり、中和剤押え70の端部を一方側と他方側の仕切壁60の上端にそれぞれ懸架させ、中和剤押え70の中央部は前記第1から第4垂下壁の下側を通るように下側に凸の形状で配置してある。
【0034】
これにより、中和剤押え70の一方側と他方側の端部は、仕切壁60の上端にそれぞれ懸架しているので、潜熱回収型給湯機の輸送中に容器14が傾いても、中和剤押え70の水平方向の移動を防ぎ、かつ、中和剤15が中和剤押え70の上にはみ出しにくくなっている。その結果、中和剤が満水電極に触れず、誤検知を防ぐことができる。
【0035】
また、中和剤押え70は、端部をL字形状とし、中央部は前記第1から第4垂下壁の下側を通るように下側に凸の形状で配置してあればよく、例えば、下に弧を描くように設置してもよく、あるいは、底面を中和剤に接するように略平らに設置しても、中和剤が満水電極に触れず、誤検知を防ぐことができる。
【0036】
第3垂下壁83の下端は、仕切壁60の上端より下側にあり、かつ第1垂下壁81の下端より上方にあり、かつ第2垂下壁82の下端より上方にあり、かつ容器ふた16外形の下端より上方になるようにした。
また、第4垂下壁84の下端は、仕切壁60の上端より下側にあり、かつ第1垂下壁81の下端より上方にあり、かつ第2垂下壁82の下端より上方にあり、かつ容器ふた16の外形の下端より上方にあるようにした。
【0037】
これにより、中和剤押え70のL字形状の端部を仕切壁60の上端に懸架している状態を維持することができ、さらに、第3垂下壁83および第4垂下壁84が中和剤押え70を必要以上に押し付けることがないため、中和剤押え70の変形を防止できるほか、さらに、容器ふた16を容器14に取り付ける際、中和剤押え70を必要以上に押してしまうことなく、中和剤押え70の変形を防止できる。
【0038】
第1垂下壁81と第2垂下壁82の容器内側方向の高さは、非充填部62の高さと一致させた。
これにより、潜熱回収型給湯機の輸送中に容器14が傾いても、第1垂下壁81と第2垂下壁82が中和剤押え70の上下動を抑制でき、中和剤押え70と仕切壁60の隙間から中和剤15がはみ出しにくくなり、中和剤が満水電極に触れず、誤検知を防ぐことができる。
また、ドレンが中和剤押え70に滴下して、跳ね返った水滴が満水電極18に触れるのを防止できる。
【0039】
ここで、第1垂下壁81と第2垂下壁82の容器内側方向の高さを同一としたが、第1垂下壁81だけを非充填部62の高さと一致させても、ドレンが中和剤押え70に滴下して、跳ね返った水滴が満水電極18に触れるのを防止できる。
【0040】
次に、この一実施形態の潜熱回収型給湯機1の動作について説明する。
リモコン41の運転スイッチ42がオン状態のときに、所定箇所に設けられた給湯栓(図示せず)が開栓され、流量センサ38が最低作動流量以上の流量を検出して燃焼要求が発生したと制御手段45が判断すると、送風機3および燃料ポンプ(図示せず)を駆動させバーナ2での燃焼を開始させるものである。
【0041】
バーナ2の燃焼により発生した燃焼ガスは、一次熱交換器7を流通し、一次熱交換器7を通過した後、二次熱交換器9を流通し、二次熱交換器9を通過した後、排気口10から潜熱回収型給湯機1外へ排出されるものである。
また、給水源から供給された水は、給水管33から供給され、給水管33から二次受熱管8に導かれ、二次受熱管8から一次受熱管6へと順に流通して、二次熱交換器9および一次熱交換器7にて燃焼ガスとの熱交換により加熱される。
そして、一次受熱管6から給湯管34へ導かれ、混合弁36の開度調整によって給湯設定温度に温調された湯が最終的に給湯栓から給湯される。
【0042】
この時、二次熱交換器9において、二次受熱管8を流通する水と燃焼ガスとが熱交換され、燃焼ガス中の水蒸気が露点以下となることにより生成されたドレンは、ドレン受け11で回収されてドレン導入管12を介してドレン中和器13のドレン導入口17に流入する。
ドレンはドレン導入口17から容器14内に落下し、容器14内に備える中和剤15によって中和され、容器14の側壁23に有するドレン排出口31からドレン中和器13外に排出され、所定箇所の下水に排水される。
また、ドレン中和器13の中和剤15はドレンの通過量に応じて徐々にドレンと反応して減少する。中和剤15は潜熱回収型給湯機1の使用状態によって数年から10数年かけて減少し、無くなる前に中和剤15を補給するかドレン中和器13自体を交換するものである。
【0043】
ドレン中和器13内のドレンの水位は、通常時には図2の一点鎖線で示したドレン排出口31の水位を維持し、潜熱回収型給湯機1の運転で新たに発生し、ドレン導入口17から追加された分量のドレンがドレン排出口31から順次排水される。
しかし、ドレンには燃焼空気に含まれる不純物が混入するため、長年にわたり潜熱回収型給湯機1が使用されることで、前記不純物の堆積等のゴミ29がドレン排出口31を塞いだときには、ドレンの水位が上昇する。ドレンの水位が上昇して満水電極18まで到達した後、制御手段45は第1満水電極19と第2満水電極20の間の抵抗値が所定値以下を検出すると潜熱回収型給湯機1の運転を停止すると共に、表示部44にドレン中和器13の異常で満水が発生していることを表示する。
【0044】
ドレン中和器13のメンテナンス時期到来の判定について説明する。
ドレン中和器13に充填される中和剤15の充填量は予め決められており、その充填量に対して中和可能な総ドレン量も中和剤(炭酸カルシウム)と水(ドレン)との化学反応式から容易に導出できる。
本実施形態では、タイマ46が所定積算時間(潜熱回収型給湯機の運転積算時間)をカウントすることで、中和剤15が消耗して無くなる前に表示部44に中和剤15の交換または補充、あるいはドレン中和器13自体の交換といったドレン中和器13のメンテナンス時期が到来したと判断し、その旨を報知するものである。
【0045】
なお、本発明は先に説明した一実施形態に限定されるものでなく、本実施形態では、潜熱回収型給湯機1を例に挙げて説明したが、床暖房パネルやパネルコンベクタ等の放熱端末を有し、バーナで加熱した温水を循環させて暖房運転を行える潜熱回収型の温水暖房装置に適用してもよいものである。
【0046】
また、本実施形態で用いたその他の構成は一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しておらず、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
13 ドレン中和器
14 容器
15 中和剤
16 容器ふた
17 ドレン導入口
19 第1満水電極
20 第2満水電極
31 ドレン排出口
51 第1中和室
52 第2中和室
53 第3中和室
60 仕切壁
61 充填部
62 非充填部
70 中和剤押え
81 第1垂下壁
82 第2垂下壁
83 第3垂下壁
84 第4垂下壁
図1
図2
図3
図4
図5