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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】分解能プログラマブルSAR型ADC
(51)【国際特許分類】
   H03M 1/38 20060101AFI20230516BHJP
   H03M 1/12 20060101ALI20230516BHJP
   H04B 1/16 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
H03M1/38
H03M1/12 C
H04B1/16 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019548269
(86)(22)【出願日】2018-02-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-09
(86)【国際出願番号】 US2018018898
(87)【国際公開番号】W WO2018164834
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2021-01-08
(31)【優先権主張番号】15/455,915
(32)【優先日】2017-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591025439
【氏名又は名称】ザイリンクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】XILINX INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チョ, ジュノ
(72)【発明者】
【氏名】プーン, チー ファン
(72)【発明者】
【氏名】ウパディヤヤ, パラッグ
【審査官】及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-211371(JP,A)
【文献】特開2016-025552(JP,A)
【文献】特開2010-183404(JP,A)
【文献】特開2012-105029(JP,A)
【文献】特開2015-033123(JP,A)
【文献】米国特許第08344925(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M 1/00-1/88
H04B 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
逐次近似(SAR)型アナログデジタルコンバータ(ADC)であって、
アナログ入力信号を受信するように構成されたトラックアンドホールド(T/H)回路と、
デジタルアナログコンバータ(DAC)と、
前記T/H回路および前記DACの出力に結合された入力を有する加算器と、
前記加算器の出力に結合され、第1のクロック信号に基づいて比較演算を実行し、パルスを含むデジタル信号対を生成するように構成された比較回路と、
前記比較回路の出力に結合された制御回路と
を備え、前記制御回路が、
前記比較回路および前記DACの入力に結合され、前記デジタル信号対に基づいて内部クロック信号を生成するように構成されたSAR論理であって複数のセルを含み、前記複数のセルのそれぞれは、前記デジタル信号対のパルスおよびそれぞれのイネーブル信号に基づいてデジタル信号のビットおよび出力信号を生成し、前記内部クロック信号および前記出力信号に基づいて複数の順次クロック信号のうちの1つを生成するように構成されたSAR論理と、
記SAR論理に結合され、分解能選択信号に基づいて、前記複数の順次クロック信号のうちの1つを選択することによって制御信号をアサートするように構成された分解能選択(RS)回路であって前記分解能選択信号は前記SAR型ADCの選択済み分解能に対応し、前記選択済み分解能は前記SAR型ADCの最大分解能より小さいものである、RS回路と、
前記比較回路および前記RS回路に結合された非同期クロック発生器(ACG)回路であって、前記RS回路から前記制御信号を受信し、前記制御信号に基づいて前記第1のクロック信号をデアサートするように構成され、前記第1のクロック信号をデアサートすることにより、前記比較回路によって行われる比較演算がゲートで制御され、前記制御回路は、前記選択済み分解能を有するデジタル出力信号を生成するように構成される、ACG回路と、
を備える、逐次近似(SAR)型アナログデジタルコンバータ(ADC)。
【請求項2】
前記比較回路の前記出力が、前記加算器の前記出力を閾値と比較したのに基づいて前記デジタル信号対を与え、前記ACG回路が、前記デジタル信号対から前記第1のクロック信号を非同期的に生成するように構成される、請求項1に記載のSAR型ADC。
【請求項3】
前記デジタル信号対は、互いの論理補数であるか、または両方が同じ論理レベルを有する、請求項2に記載のSAR型ADC。
【請求項4】
前記SAR論理が、
前記デジタル信号対に基づいて前記内部クロック信号を生成するように構成されたクロック発生器を備える、請求項1に記載のSAR型ADC。
【請求項5】
受信機であって、
アナログ信号を出力するように構成されたアナログフロントエンド(AFE)と、
前記AFEに結合されたアナログデジタルコンバータ(ADC)と、
前記ADCに結合されたデジタル信号プロセッサ(DSP)と、
前記DSP、前記ADC、および前記AFEに結合された適応回路と
を備え、
前記ADCが複数のサブADCを含み、前記サブADCがそれぞれ、
前記AFEから前記アナログ信号を受信するように構成されたトラックアンドホールド(T/H)回路と、
デジタルアナログコンバータ(DAC)と、
前記T/H回路および前記DACの出力に結合された入力を有する加算器と、
前記加算器の出力に結合され、第1のクロック信号に基づいて比較演算を実行し、パルスを含むデジタル信号対を生成するように構成された比較回路と、
前記比較回路の出力に結合された制御回路と
を備え、前記制御回路が、
前記比較回路および前記DACの入力に結合され、前記デジタル信号対に基づいて内部クロック信号を生成するように構成されたSAR論理であって複数のセルを含み、複数のセルのそれぞれは、前記デジタル信号対のパルスおよびそれぞれのイネーブル信号に基づいてデジタル信号のビットおよび出力信号を生成し、前記内部クロック信号および前記出力信号に基づいて複数の順次クロック信号のうちの1つを生成するように構成されたSAR論理と、
記SAR論理に結合され、分解能選択信号に基づいて、前記複数の順次クロック信号のうちの1つを選択することによって制御信号をアサートするように構成された分解能選択(RS)回路であって前記分解能選択信号は前記サブADCの選択済み分解能に対応し、前記選択済み分解能は、前記サブADCの最大分解能より小さいものである、RS回路と、
前記比較回路および前記RS回路に結合された非同期クロック発生器(ACG)回路であって、前記RS回路から前記制御信号を受信し、前記制御信号に基づいて前記第1のクロック信号をデアサートするように構成され、前記第1のクロック信号をデアサートすることにより、前記比較回路によって行われる比較演算がゲートで制御され、前記制御回路は、前記選択済み分解能を有するデジタル出力信号を生成するように構成される、ACG回路と、
を備える、受信機。
【請求項6】
それぞれのサブADCに関して、前記比較回路の前記出力が、前記加算器の前記出力を閾値と比較したのに基づいて前記デジタル信号対を与え、前記ACG回路が、前記デジタル信号対から前記第1のクロック信号を非同期的に生成するように構成される、請求項に記載の受信機。
【請求項7】
それぞれのサブADCに関して、前記デジタル信号対は、互いの論理補数であるか、または両方が同じ論理レベルを有する、請求項に記載の受信機。
【請求項8】
それぞれのサブADCに関して、前記SAR論理が、
前記デジタル信号対に基づいて前記内部クロック信号を生成するように構成されたクロック発生器を備える、請求項に記載の受信機。
【請求項9】
逐次近似(SAR)型アナログデジタルコンバータ(ADC)においてアナログデジタル変換する方法であって、
分解能選択信号を受信することと、
最大分解能nより小さい分解能mを選択することと、ここで前記分解能選択信号は選択済み分解能mに対応し、
アナログ入力信号を受信することと、
複数の変換周期を実行することであって、前記複数の変換周期のそれぞれが、
SAR型ADCの比較および制御論理を演算し、第1のクロック信号に基づいてパルスを含むデジタル信号対を生成することであって、前記SAR型ADCの制御論理を演算することは、前記デジタル信号対のパルスおよびイネーブル信号に基づいてデジタル信号のビットおよび出力信号を生成し、前記デジタル信号対に基づいて生成された内部クロック信号および前記出力信号に基づいて複数の順次クロック信号を生成することと、
前記分解能選択信号に基づいて、前記複数の順次クロック信号のうちの1つを選択することによって、m個のSAR周期後にゲーティング信号をアサートすることと、
前記ゲーティング信号に基づいてクロック信号をデアサートすることと、
前記クロック信号のデアサートに応答して前記SAR型ADCにおける比較および制御論理の演算を一時停止することと、によってm個のSAR周期の間にSAR演算を実行すること、および
選択済みの前記分解能mを有するデジタルサンプルを出力すること
を含む、複数の変換周期を実行することと
を含む方法。
【請求項10】
前記複数のセルの第1のセルは前記イネーブル信号のうちの第1のイネーブル信号を受信し、前記第1のイネーブル信号は前記複数のセルの第2のセルによって生成される前記複数の順次クロック信号のうちの第1の順次クロック信号である、請求項1に記載のSAR型ADC。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例は、一般に電子回路に関し、詳細には、分解能プログラマブル逐次近似(resolution programmable successive approximation)(SAR)型アナログデジタルコンバータ(analog-to-digital converter)(ADC)に関する。
【背景技術】
【0002】
シリアルリンク受信機内の高速アナログデジタルコンバータ(ADC)フロンドエンドは、デジタル領域でのフレキシブルで複雑かつロバストな等化を実行するとともに、4値パルス振幅変調(PAM4)やデュオバイナリ(duo-binary)などの帯域幅効率変調方式(bandwidth-efficient modulation schemes)を容易に支援することを可能にする。これらのADCベースのシリアルリンク受信機は、この受信機が2値信号または混合信号受信機に比べてより複雑かつフレキシブルなバックエンドデジタル信号処理を可能にするので、人気が高まっている。しかしながら、これらのADCフロントエンドおよびサブシーケンスデジタル信号処理の電力消費は主要な設計課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電力消費の主要因の1つが高速ADCの分解能である。電力当たりの最適性能を得るためのADC分解能と後続のデジタル信号プロセッサ(DSP)によって実行されるチャネル等化技術の両方を決定するために数多くの研究が行われている。ADC分解能の選択は、様々なチャネル用途によってさらに困難になっている。一般に、チャネル減衰が悪化するにつれて、より高い分解能のADCが必要になる。例えば、6~8ビットADC分解能が、長チャネル(例えば、25~30デシベル(dB))用の等化技術で使用するのに適している。従来の高速ADCは、単一分解能を有するデジタル出力を与えるが、これは融通がきかず、チャネル用途およびチャネル等化技術にわたって性能と電力消費の最適均衡を可能にしない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一例では、逐次近似(SAR)型アナログデジタルコンバータ(ADC)が、アナログ入力信号を受信するように構成されたトラックアンドホールド(T/H)回路と、デジタルアナログコンバータ(DAC)と、T/H回路およびDACの出力に結合された入力を有する加算器と、加算器の出力に結合され、比較演算を実行するように構成された比較回路と、比較回路の出力に結合された制御回路であって、選択済み分解能を受信し、選択済み分解能に基づいて比較回路の比較演算をゲートで制御し、選択済み分解能を有するデジタル出力信号を生成するように構成された制御回路とを備える。
【0005】
いくつかの実施形態では、比較回路の出力は、加算器の出力を閾値と比較したのに基づいてデジタル信号対を与えることができ、ACGは、デジタル信号対からクロック信号を非同期的に生成するように構成されてもよい。
【0006】
いくつかの実施形態では、デジタル信号対は、どちらかが互いの論理補数であるか、または両方がACGによって生成されたクロック信号に基づいて同じ論理レベルを有することができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、RS回路は、選択済み分解能を符号化する分解能選択信号に基づいて制御信号を生成するように構成されてもよく、ACGは、RSによって生成された制御信号に基づいてクロック信号をゲートで制御するように構成されてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、SAR論理は、デジタル信号対に基づいて複数の順次クロック信号を生成するように構成されてもよく、RS回路は、複数の順次クロック信号のうちの1つを制御信号として選択するように構成されてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、SAR論理は、デジタル信号対に基づいて内部クロック信号を生成するように構成されたクロック発生器と、内部クロックおよびデジタル信号対に基づいてデジタル出力信号の複数の順次クロック信号およびビットを生成するように構成された複数のSARセル回路とを含むことができる。
【0010】
別の例では、受信機が、アナログ信号を出力するように構成されたアナログフロントエンド(AFE)と、AFEに結合されたアナログデジタルコンバータ(ADC)と、ADCに結合されたデジタル信号プロセッサ(DSP)と、DSP、ADC、およびAFEに結合された適応回路とを含む。ADCは複数のサブADCを含み、サブADCはそれぞれ、AFEからアナログ信号を受信するように構成されたトラックアンドホールド(T/H)回路と、デジタルアナログコンバータ(DAC)と、T/H回路およびDACの出力に結合された入力を有する加算器と、加算器の出力に結合され、比較演算を実行するように構成された比較回路と、比較回路の出力に結合された制御回路であって、適応回路から選択済み分解能を受信し、選択済み分解能に基づいて比較回路の比較演算をゲートで制御し、選択済み分解能を有するデジタル出力信号を生成するように構成された制御回路とを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、それぞれのサブADC内の制御回路は、比較回路に結合された非同期クロック発生器(ACG)回路と、比較回路およびDACの入力に結合されたSAR論理と、ACGおよびSAR論理に結合された分解能選択(RS)回路とを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、それぞれのサブADCに関して、比較回路の出力は、加算器の出力を閾値と比較したのに基づいてデジタル信号対を与えることができ、ACGは、デジタル信号対からクロック信号を非同期的に生成するように構成されてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、それぞれのサブADCに関して、デジタル信号対は、どちらかが互いの論理補数であるか、または両方がACGによって生成されたクロック信号に基づいて同じ論理レベルを有することができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、それぞれのサブADCに関して、RS回路は、選択済み分解能を符号化する分解能選択信号に基づいて制御信号を生成するように構成されてもよく、ACGは、RSによって生成された制御信号に基づいてクロック信号をゲートで制御するように構成されてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、それぞれのサブADCに関して、SAR論理は、デジタル信号対に基づいて複数の順次クロック信号を生成するように構成されてもよく、RS回路は、複数の順次クロック信号のうちの1つを制御信号として選択するように構成されてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、それぞれのサブADCに関して、SAR論理は、デジタル信号対に基づいて内部クロック信号を生成するように構成されたクロック発生器と、内部クロックおよびデジタル信号対に基づいてデジタル出力信号の複数の順次クロック信号およびビットを生成するように構成された複数のSARセル回路とを含むことができる。
【0017】
別の例では、逐次近似(SAR)型アナログデジタルコンバータ(ADC)においてアナログデジタル変換する方法が、分解能を選択することと、アナログ入力信号を受信することと、複数の変換周期を実行することとを含む。複数の変換周期のそれぞれが、選択済み分解能に基づいていくつかのSAR周期の間にSAR演算を実行すること、および選択済み分解能を有するデジタルサンプルを出力することを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、SAR演算を実行するステップは、SAR型ADCの比較および制御論理を演算することと、選択済み分解能に基づいてゲーティング信号をアサートすることと、ゲーティング信号のアサーションに応答してSAR型ADCにおける比較および制御論理の演算を一時停止することとを含むことができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、SAR型ADCは最大分解能nを有することができ、選択済み分解能はmであり、ここで、mはn未満かつゼロ以上の整数であり、複数の変換周期のそれぞれの間に実行されるSAR周期の数はmに等しい。
【0020】
いくつかの実施形態では、ゲーティング信号は、m個のSAR周期の後でアサートされてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、デジタルサンプルは、比較論理によって実行されるm回の比較に基づいて生成されてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、比較および制御論理は、m個のSAR周期に対応する期間一時停止されてもよい。
【0023】
これらおよびその他の態様は、以下の詳細な説明を参照して理解され得る。
【0024】
上記の特徴が詳細に理解され得るように、上に簡潔に要約されているより詳細な説明は諸実装形態を参照して得ることができ、実装形態のうちのいくつかが添付の図面に示されている。しかしながら、添付の図面は、典型的な実装形態のみを例示しており、したがって本発明の範囲を限定するものと見なされるべきでないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】一例による通信システムのブロック図である。
図2】一例による逐次近似(SAR)型アナログデジタルコンバータ(ADC)を示すブロック図である。
図3図2に示されているSAR型ADCの信号例を示す信号図である。
図4図2のSAR型ADCにおけるプログラムされた分解能を得るための出力信号と順次クロック信号との間の関係を示す表である。
図5】一例による非同期クロック発生器(ACG)を示す概略図である。
図6】一例による分解能選択回路を示すブロック図である。
図7】一例によるSAR論理を示すブロック図である。
図8】一例による図7のSAR論理内のSARセルを示すブロック図である。
図9】一例による図7のSAR論理内のクロック発生器を示すブロック図である。
図10】一例による図2のSAR型ADCの信号を示す信号図である。
図11】別の例による図2のSAR型ADCの信号を示す信号図である。
図12】一例によるアナログデジタル変換の方法を示す流れ図である。
【0026】
理解しやすくするために、同一参照番号が、可能であれば、上記図に共通である同一要素を示すために使用されている。一例の要素が他の例に有益に組み込まれ得ると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
様々な特徴が、以下で上記図を参照しながら説明される。図は、原寸に比例して描かれている場合もあれば、そうでない場合もあること、および、類似の構造または機能の要素は、図全体にわたって同様の参照番号で表されていることに留意されたい。図は、特徴の説明を容易にすることを意図しているにすぎないことに留意すべきである。図は、特許請求された発明の網羅的な説明として、または特許請求された発明の範囲の制限として意図するものではない。加えて、図示の例は、示されている態様または利点をすべて有している必要はない。特定の例に関連して説明される態様または利点は、必ずしもその例に限定されるものではなく、そのように例示されていなくても、またはそのように明確に説明されていなくても他の例で実施することができる。
【0028】
分解能プログラマブル逐次近似(SAR)型アナログデジタルコンバータ(ADC)を提供する技術が記述される。一例では、SAR型ADCは、トラックアンドホールド(T/H)回路、デジタルアナログコンバータ(DAC)、加算器、比較回路、および制御論理を含む。T/H回路は、アナログ入力信号を受信するように構成される。加算器は、T/H回路の出力とDACの出力との間の差を決定するように構成される。比較回路は、加算器の出力を閾値に対して比較するように構成される。制御回路は、比較回路の出力に基づいてデジタル出力信号を生成するように構成される。デジタル出力信号はDACにフィードバックされる。諸例では、制御論理は選択済み分解能を受信する。制御論理は、選択済み分解能に基づいて比較回路の比較演算をゲートで制御する。デジタル出力信号は選択済み分解能を含む。
【0029】
一例では、SAR型ADCの制御論理は、非同期クロック発生器(ACG)、SAR論理(SL)、および分解能選択(RS)回路を含む。比較回路はデジタル信号対を出力として与える。ACGは、デジタル信号対からクロック信号を非同期的に生成するように構成される。デジタル信号対は、どちらかが互いの論理補数であるか、または両方が第1のクロック信号に基づいて同じ論理レベルを有する(例えば、両方とも論理ゼロである)。RS回路は、選択済み分解能を符号化する分解能選択信号に基づいて制御信号を生成するように構成される。ACGは、RSによって生成された制御信号に基づいてクロック信号をゲートで制御するように構成される。SAR論理は、デジタル信号対に基づいて複数の順次クロック信号を生成するように構成される。RS回路は、順次クロック信号のうちの1つを制御信号として選択するように構成される。一例では、SAR論理は、デジタル信号対に基づいて内部クロックを生成するように構成されたクロック発生器と、内部クロックおよびデジタル信号対に基づいてデジタル出力信号の順次クロック信号およびビットを生成するように構成された複数のSARセル回路とを含む。
【0030】
演算の方法では、SAR型ADCは分解能を選択する。SAR型ADCはアナログ入力信号を受信し、複数の変換周期を実行して複数のデジタルサンプルを生成する。各変換周期の間、SAR型ADCは、選択済み分解能に基づいていくつかのSAR周期の間にSAR演算を実行し、選択済み分解能を有するデジタルサンプルを出力する。SAR型ADCは、比較および制御論理を演算することと、選択済み分解能に基づいてゲーティング信号をアサートすることと、ゲーティング信号のアサーションに応答して比較および制御論理の演算を一時停止することと、によりSAR演算を実行する。一例では、SAR型ADCは最大分解能nを有する。選択済み分解能はmとすることができ、ここで、mはn未満かつゼロ以上の整数である。各変換周期内に実行されるSAR周期の数はmに等しい。SAR型ADCは、m個のSAR周期の後でゲーティング信号をアサートする。デジタルサンプルは、比較論理によって実行されるm回の比較に基づいて生成される。比較および制御論理は、m個のSAR周期に対応する期間一時停止される。
【0031】
これらおよびその他の態様は図面に関して以下で説明される。
【0032】
図1は、一例による通信システム100のブロック図である。通信システム100は、伝送媒体160を通じて受信機104に結合される送信機102を含む。伝送媒体160は、送信機180と受信機104との間の電気路または光路を含むことができ、プリント回路板(PCB)トレース、ビア、ケーブル、コネクタ、減結合コンデンサ、光ケーブルなどを含むことができる。
【0033】
送信機102は、デジタルベースバンド変調技術を用いてシリアルデータを伝送媒体160上へ駆動する。一般に、シリアルデータはシンボルに分割される。送信機102は、各シンボルを、シンボルにマッピングされるアナログ電圧に変換する。送信機102は、各シンボルから生成されたアナログ電圧を伝送媒体160に結合する。いくつかの例では、送信機102は、バイナリ非ゼロ復帰(binary non-return-to-zero)(NRZ)変調方式を使用している。バイナリNRZでは、シンボルはシリアルデータの1ビットであり、2つのアナログ電圧が各ビットを表すために使用される。他の例では、送信機102はパルス振幅変調(PAM)などのマルチレベルデジタルベースバンド変調技術を使用しており、この変調技術では、シンボルがシリアルデータの複数のビットを含み、3つ以上のアナログ電圧が各ビットを表すために使用される(例えば、「PAM4」と称される4値PAM)。送信機102は、シングルエンドシグナリング(single-ended signaling)か、または差動シグナリング(differential signaling)のどちらかを使用することができる。明瞭にするために、本明細書に記述されている様々な例は、送信機102が差動シグナリング(例えば、低圧差動シグナリング(LVDS))を使用することを前提としている。したがって、伝送媒体160に結合されるアナログ信号は正信号および負信号を含み、各シンボルは正信号と負信号との差として符号化される。
【0034】
受信機104は、アナログフロントエンド(AFE)106、アナログデジタルコンバータ(ADC)108、デジタル信号プロセッサ(DSP)110、クロックおよびデータリカバリ(CDR)回路(「CDR112」)、および適応回路114を含む。AFE106は、連続時間線形等化器(CTLE)回路(「CTLE116」)および自動利得制御(AGC)回路(「AGC120」)を含むことができる。
【0035】
AFE106の第1の入力が伝送媒体160に結合され、AFE106の出力がADC108の第1の入力に結合される。この例では、AFE106の第1の入力は差動入力であり、AFE106の出力は差動出力である。AFE106の第2の入力が適応回路114の第1の出力に結合される。この例では、CTLE116の入力が伝送媒体160に結合される。CTLE116の出力がAGC120の入力に結合される。AGC120の出力がADC108の第1の入力に結合される。他の例では、CTLE116およびAGC120の順序は逆にされる。
【0036】
ADC108の出力がDSP110の入力に結合される。DSP110の出力がCDR112の入力および適応回路114の入力に結合される。適応回路114の第1の出力はAFE106の第2の入力に結合される。適応回路114の第2の出力がADC108の第3の入力に結合される。
【0037】
演算中、CTLE116は伝送媒体160からアナログ信号を受信する。CTLE116は、伝送媒体160の低域通過特性を補償するために広域通過フィルタとして演算する。CTLE116の周波数応答のピークは、適応回路114によって与えられるCTLE調整信号に基づいて調整され得る。AGC120は、CTLE116から等化されたアナログ信号を受信する。AGC120は、適応回路114によって与えられる利得調整信号に基づいて等化された信号の利得を調整する。CTLE116およびAGC120は、AGC120がCTLE116の前に置かれる例でも同様に演算する。
【0038】
ADC108は、複数のサブADC109を有する時間インタリーブド(TI)ADCである。各サブADC109は、本明細書でさらに説明されるように、プログラマブル分解能を有する逐次近似(SAR)型ADCである。各サブADC109の分解能は、異なるチャネル用途および電力最適化のために適応回路114によって適応的にプログラムされ得る。したがって、分解能プログラム可能性は、適応等化技術と共に様々なチャネル用途全体にわたって性能対電力最適化を可能にする受信機104(例えば、マルチレベル変調済み受信機)に適用される。
【0039】
各サブADC109は分解能1~nを有し、ここで、nは2以上の整数である。ADC108は幅Nを有するデジタル信号を出力し、ここで、NはADC108の最大分解能に等しい。一般に、デジタル信号は離散時間、離散振幅信号である。2潜在離散振幅を有するデジタル信号はXビット(X>0)の幅に対応する。この種のデジタル信号は、一連のXビット値(ワード、サンプルなど)によって搬送される。ADC108とDSP110との間の接続はNビット値の伝送を支援し、ここで、各Nビット値の分解能は1~nである。
【0040】
DSP110は、ADC108によって出力されたデジタル信号に対して様々なデジタル信号処理演算を実行する。例えば、DSP110は、判定帰還型等化器(DFE)またはフィードフォワード型等化器(FFE)を実装することができる。DSP110は、CDR112および適応回路114のそれぞれにデジタル信号を出力する。CDR112はDSPによって出力されたデジタル信号からクロックを回復する。DSP110によって出力されたデジタル信号およびCDR112によって出力されたクロック信号は、送信機102によって伝送されたデータを回復するために、物理符号化副層(PCS)回路などのサブシーケンス回路網によって使用され得る。
【0041】
適応回路114は、DSP110によって出力されたデジタル信号からCTLEおよびAGCの制御信号を生成する。適応回路114は、DSP110によって出力されたデジタル信号からADC制御信号も生成する。適応回路114によって出力される制御信号はデジタル信号である。特に、ADC制御信号はサブADC109の分解能を制御する。適応回路114は、ロバストな等化および適応を支援するために長チャネル用途のサブADC109に対して高い分解能を選択することができる。適応回路114は、電力低減のために短チャネル用途のサブADC109に対して低い分解能を選択することができる。一例では、適応回路114は、サブADC109用の特定の分解能を(例えば、疑似ランダム2進数列チェッカ(PRBS)などを使用して)決定するために(送信機102と協働するか、またはループバックによるかのどちらかで)リンクトレーニングを使用することができる。
【0042】
図2は、一例によるSAR型ADC200を示すブロック図である。SAR型ADC200のインスタンスが、図1に関して上述したADC108内にサブADC109をそれぞれ実装するために使用され得る。しかしながら、SAR型ADC200は、他の用途(例えば、受信機以外の用途でのスタンドアロンのADC、など)にも使用され得る。SAR型ADC200は、トラックアンドホールド(T/H)回路(「T/H202」)、デジタルアナログコンバータ(DAC)203、加算器204、比較器(COM)回路(「COM206」)、非同期クロック発生器(ACG)回路(「ACG208」)、分解能選択(RS)回路(「RS210」)、およびSAR論理回路(「SL212」)を含む。ACG208、RS210、およびSL212は、SAR型ADC200の制御論理250の全部または一部を備える。
【0043】
T/H202の入力はアナログ入力信号を受信する。アナログ入力信号は、シングルエンド信号(図示)または差動信号とすることができる。T/H202の出力が加算器204の入力に結合される。DAC203の出力が加算器204の別の入力に結合される。加算器204の出力がCOM206の入力に結合される。COM206の出力がACG208の入力に結合される。ACG208の出力がCOM206の別の入力に結合される。ACG208の別の入力がRS210の出力に結合される。RSの入力が分解能選択信号(rsel<K:0>または概してrsel)を受信する。RS210の別の入力がSL212の出力に結合される。SL212の別の出力が信号d<n-1:0>を与える。SL212の入力がCOM206の出力に結合される。DAC203の入力が、信号d<n-1:0>を受信するためにSL212の出力に結合される。T/H202、ACG208、およびSL212の追加入力がデジタル信号(adclk)を受信する。
【0044】
T/H202は、アナログ入力信号を受信し、adclk信号のエッジに基づいてトラックアンドホールド演算を実行して、アナログ信号を出力(saout)として生成する。加算器204は、DAC203によって生成されたアナログ信号(daout)を信号saoutから減算し、アナログ信号(cin)を出力として生成する。COM206は、信号cinを閾値に対して比較し、比較の結果を示すデジタル信号対cout+/-を出力する。COM206によって出力される信号対cout+/-は、3つの状態、すなわち、cout+およびcout-がともにデアサートされた状態(本明細書では「ゼロ状態」と称される)、cout+がアサートされ、cout-がデアサートされた状態(本明細書では「+1状態」と称される)、およびcout+がデアサートされ、cout-がアサートされた状態(本明細書では「-1状態」と称される)のうちの1つを有することができる。信号対cout+/-は、両信号がアサートされた状態を有していない。本明細書では、「アサートする(assert)」は論理「1」への移行を意味し、デアサートする(de-assert)は論理「0」への移行を意味する。COM206によって実行される比較演算は、デジタル信号(crstb)によってゲートで制御される。デジタル信号crstbがアサートされると、COM206は比較演算を実行し、+1比較状態か-1比較状態のどちらかになる。デジタル信号crstbがデアサートされると、COM206は比較演算を実行せず、ゼロ比較状態になる。
【0045】
図3は、図2に示されているSAR型ADC200の信号例を示す信号図である。ゲート遅延は、図3に示されている信号から省略されている。図3の信号は、SAR型ADC200の分解能がn(すなわち最大分解能)に設定された場合である。信号adclkはADC変換クロックであり、SAR演算は、信号adclkの1つのクロック周期(「変換周期」)以内に完了する。cout+信号またはcout-信号の各パルスはSAR周期に対応しており、選択済み分解能に応じて、各変換周期内にn個の可能なSAR周期がある。出力信号d<n-1:0>のビットd<n-1>、d<n-2>、・・・、d<0>の値はそれぞれ、SAR周期(n-1)、(n-2)、・・・、0で設定される。SAR周期(n-1)は最初優先で起こり、SAR周期0は最後優先で起こる。各SAR周期の間、cout+信号またはcout-信号の一方がアサートされる(例えば、比較状態は+1または-1である)。crstbは、COM206用のクロック信号である。信号cout+およびcout-はともに、信号crstbがデアサートされるときにデアサートされる。ACG208は、以下でさらに説明するように、信号対cout+/-に基づいてcrstb信号を非同期的に生成する。
【0046】
図2および図3を参照すると、SL212は、n個の順次クロック信号sclk<n-1>・・・sclk<0>を生成する。各順次クロック信号sclk<n-1>・・・sclk<0>は、SAR周期の終わりに合致する立ち上がりエッジと信号adclkの立ち上がりエッジに合致する立ち下がりエッジとを有する。図3に示されているように、クロック信号sclk<n-1>は、SAR周期(n-1)に合致する立ち上がりエッジを有する。クロック信号sclk<n-2>は、SAR周期(n-2)に合致する立ち上がりエッジを有する。クロック信号sclk<1>は、SAR周期1に合致する立ち上がりエッジを有する。クロック信号sclk<0>は、SAR周期0に合致する立ち上がりエッジを有する。SL212は、さらに以下で説明するように、信号対cout+/-およびadclk信号に基づいて順次クロック信号を生成する。
【0047】
RS210は、信号rsel<K:0>(ここでK=log(n))によって指定された分解能要件に従って各変換周期内のSAR演算を終了するために順次クロック信号sclk<n-1>・・・sclk<0>のうちの1つを使用する。RS210は、変換周期内のSAR演算を継続するために信号con_endをデアサートする。RS210は、変換周期の終わりの前にSAR演算を一時停止するために信号con_endをアサートする。RS210が信号con_endをアサートすると、ACG208は信号crstbをデアサートし、信号crstbはCOM206によって実行される比較演算を終了する(変換周期内の各残存SAR周期がゼロ比較状態になる)。
【0048】
SL212は、信号rselに基づいて選択された分解能nを有する出力信号d<n-1:0>を生成する。出力信号d<n-1:0>の1ビットが、最上位ビット(MSB)から始まる各SAR周期の間に分解される。DAC203は、出力信号d<n-1:0>をアナログ信号daoutに変換する。加算器204は、信号saoutから信号daoutを減算して信号cinを生成する。n個のSAR周期の後、出力信号d<n-1:0>の値は、アナログ入力信号の量子化された表現である。選択済み分解能が最大分解能未満である場合、出力信号d<n-1:0>の最下位ビット(LSB)のうちの1つまたは複数がすべての出力サンプルに対して論理「0」となる。
【0049】
図4は、分解能n、(n-1)、および(n-2)を得るための、出力信号と順次クロック信号との間の関係を示す表である。最大分解能であるnビットの分解能の場合、SL212はsclk信号をsclk<n-1>からsclk<0>まで順次生成し、RS210は信号sclk<0>を使用してSAR演算を終了する。(n-1)ビットの分解能の場合、SL212はsclk信号をsclk<n-1>からsclk<1>まで順次生成し、RS210は信号sclk<1>を使用してSAR演算を終了する。(n-2)ビットの分解能の場合、SL212はsclk信号をsclk<n-1>からsclk<2>まで順次生成し、RS210は信号sclk<2>を使用してSAR演算を終了する。
【0050】
図2に戻ると、SAR型ADC200の分解能は信号rselによって制御される。例えば、長チャネル用途では、RS210は、最後の順次クロックsclk<0>を使用してSAR演算を終了し、最大分解能nを有するデジタル出力を生成するように、信号rselによって制御され得る。短チャネル用途では、RS210は、前の順次クロックを使用してSAR演算を終了し、(電力低減のために)最大分解能n未満の分解能を有するデジタル出力を生成するように信号rselによって制御され得る。SAR型ADC200が他の用途に使用される場合、分解能は、任意の要因に基づいて所望されるように制御され得る。
【0051】
図5は、一例によるACG208を示す概略図である。ACG208は、ORゲート502と、遅延回路504と、インバータ506および508と、スイッチS1~S5とを含む。スイッチS1、S2、およびS3は、供給電圧Vddと接地電圧Gndとの間に直列に結合される。スイッチS1はインバータ508の出力によって制御される。スイッチS2はインバータ506の出力によって制御される。スイッチS3はORゲート502の出力によって制御される。ORゲート502の入力はそれぞれ、信号adclkおよびcon_endを受信する。インバータ506の入力はORゲート502の出力に結合される。スイッチS2およびS3はノード510によって接続される。スイッチS4およびS5は、ノード510と接地電圧Gndとの間に結合される。スイッチS4は信号cout+によって制御される。スイッチS5は信号cout-によって制御される。遅延回路504は、ノード510とインバータ508の入力との間に結合される。ノード510は信号crstbを与える。
【0052】
演算中、ACG208は、COM206によって生成された信号対cout+/-を使用して信号crstbを非同期的に生成する。信号adclkは、ADC変換が始まる前に初期リセットとして使用される。信号cout+およびcout-は、スイッチS1~S5および遅延回路504と共に信号crstbを非同期的に生成する。con_end信号は、SAR演算をいつ一時停止するべきかを指示する制御信号である。con_endがデアサートされると、SAR演算は継続する。con_endがアサートされると、crstb信号は強制的にデアサートされる。
【0053】
図6は、一例によるRS210を示すブロック図である。RS210はマルチプレクサ602を含む。マルチプレクサ602の入力は、SL212から順次クロック信号sclk<n-1>・・・sclk<0>を受信する。マルチプレクサ602の出力は信号con_endを与える。マルチプレクサ602の制御入力は信号rsel<K:0>を受信する。したがって、信号con_endは、rsel<K:0>の値に基づいて順次クロック信号sclkのうちの選択された1つである。すなわち、rsel<K:0>の値は、どのSAR周期でSAR型ADC200が各変換周期内のSAR演算を終了するのかを選択する。
【0054】
図7は、一例によるSL212を示すブロック図である。SL212は、クロック発生器回路(「FCG702」)およびSARセル704・・・704(全体として複数のSARセル704または1つのSARセル704セルと称される)を含む。FCG702の入力はcout+信号およびcout-信号を受信する。FCG702の出力はデジタル信号(fclk)を与える。各SARセル704は、信号対cout+/-信号を受信する入力in+/-と、fclk信号を受信する入力fclkと、adclk信号を受信する入力aclkと、当該sclk信号を供給する出力sclkと、当該出力信号dを供給する出力Dと、入力ENとを含む。SARセル704の入力ENは論理「1」信号を受信する。SARセル704n-1・・・704のEN入力はそれぞれ、信号sclk<n-1>・・・sclk<1>を受信する。
【0055】
fclk信号は、FCG702によって生成される内部クロック信号である。各SARセル704は、COM206がcout+/-信号の一方上にパルスを生成する(すなわち、+1または-1比較状態が生成される)たびに、当該出力信号d<n-1>・・・d<0>および当該順次クロック信号sclk<n-1>・・・sclk<0>を生成する。各SARセル704のイネーブル入力ENは、常に論理「1」であるSARセル704を除いて、前のSARセルによって生成される。ACG208と同様に、adclk信号は、変換周期が始まる前に初期リセットとして使用される。
【0056】
図8は、一例によるSARセル704を示すブロック図である。SARセル704は、ラッチ802およびフリップフロップ804を含む。ラッチ802は、SARセル704のin+/-入力に結合された入力と、SARセル704のaclk入力に結合された入力rstと、SARセル704のEN入力に結合された入力と、SARセル704のD出力に結合された入力とを含む。フリップフロップ804は、入力Dと、SARセル704のsclk出力に結合された出力Qと、SARセル704のFCLK入力に結合された入力CKとを含む。ラッチ802は、フリップフロップ804のD入力に結合された出力(on)をさらに含む。
【0057】
演算中、adclk信号は、変換周期の初めにラッチ802をリセットする。ラッチ802は、SARセル704のEN入力によってイネーブルにされると「on」信号および出力信号Dのビットを生成する。ラッチ802は動的ラッチである。ラッチ802は、内部でラッチクロックを生成するとともに、cout+信号またはcout-信号の一方がアサートされると信号「on」を生成する。フリップフロップ804は、fclk信号を使用して「on」信号を取り込む。ラッチ802は、+1比較状態に応答して出力信号のビットをアサートし、-1比較状態に応答して出力信号のビットをデアサートする。
【0058】
図9は、一例によるFCG702を示すブロック図である。FCG702はNORゲート902を含む。NORゲート902の入力はcout+信号およびcout-信号を受信する。NORゲート902の出力はfclk信号を供給する。したがって、fclk信号は、比較状態が+1または-1であるときにデアサートされ、比較状態がゼロ状態であるときにアサートされる。
【0059】
図10は、最大分解能nを得るための、図2および図5図9に示されているSAR型ADC200の信号例を示す信号図である。信号adclk、crstb、cout+/-、およびsclk<n-1>・・・sclk<0>は、図3で上述した通りである。図10は信号on<n-1>、on<n-2>、on<1>、およびon<0>を示し、信号on<n-1>、on<n-2>、on<1>、およびon<0>はそれぞれ、SARセル704、704n-1、704、および704のラッチ802によって生成される「on」信号である。一般に、信号on<n-1>・・・on<0>はそれぞれ、SARセル704・・・704のラッチ802によって生成される「on」信号である。信号on<n-1>・・・on<0>は、SAR周期(n-1)・・・0の初めに順番に全体にわたってアサートされる。出力信号d<n-1>・・・d<0>はそれぞれ、SAR周期(n-1)・・・0の開始時に(比較状態に応じて)アサート/デアサートされる。
【0060】
図11は、分解能(n-1)を得るための、図2および図5図9に示されているSAR型ADC200の信号例を示す信号図である。信号は、分解能nを得るための図10に示されているものと類似している。しかしながら、分解能(n-1)を得るには、SAR演算は最後のSAR周期の間一時停止される。したがって、時間1102の間、COM206、ACG208、RS210、およびSL212は、これらのそれぞれの演算を実行しない。したがって、信号対cout+/-は、SAR周期1の後、ゼロ比較状態のままである。on<0>信号は、変換周期の間にアサートされない。sclk<0>信号は、変換周期の間にアサートされない。d<0>信号は、変換周期の間にデアサートされたままである。
【0061】
図12は、一例によるSAR型ADC200におけるアナログデジタル変換の方法1200を示す流れ図である。方法1200はステップ1202で始まり、SAR型ADC200の分解能が選択される。分解能は、上述したように、RS210に入力されたrsel信号によって選択される。ステップ1204で、T/H202はアナログ入力信号を受信する。ステップ1206で、SAR型ADC200は次の変換周期を開始する。SAR型ADC200は、adclk信号をアサートしデアサートすることにより次の変換周期を開始する。ステップ1208で、SAR型ADC200は、選択済み分解能に基づいていくつかのSAR周期の間にSAR演算を実行する。したがって、選択済み分解能が最大分解能nに設定される場合、SAR型ADC200は、変換周期の間にSAR周期(n-1)・・・0を実行する。選択済み分解能が(n-1)に設定される場合、SAR型ADC200は、変換周期の間にSAR周期(n-1)・・・1を実行する。選択済み分解能が(n-2)に設定される場合、SAR型ADC200は、変換周期の間にSAR周期(n-1)・・・2を実行する。一般に、選択済み分解能がm(ここでn>m≧0)に設定される場合、SAR型ADC200は、変換周期の間にm個のSAR周期(n-1)・・・(n-m)を実行する。
【0062】
一例では、ステップ1208は以下の通り実行される。ステップ1209で、SAR型ADC200は比較および制御論理を演算する。すなわち、COM206は比較演算を実行し、ACG208はcrstbクロック信号を生成し、SL212は、COM206の出力に応答してデジタル出力信号および順次クロック信号を生成する。ステップ1210で、SAR型ADC200は、選択済み分解能に基づいてゲーティング信号をアサートする。図2の例では、RS210は、rsel信号によって選択された分解能に基づいてcon_end信号をアサートする。ステップ1212で、SAR型ADC200は、ゲーティング信号のアサーションに応答して比較および制御論理の演算を一時停止する。図2の例では、ACG208はcon_end信号のアサーションに応答してcrstb信号をデアサートし、それにより、COM206によって実行される比較演算と、ACG208、RS210、およびSL212によって実行される制御演算とを一時停止する。特に、比較演算が一時停止されると、COM206はゼロ比較状態を出力する。信号対cout+/-がゼロ比較状態を有すると、ACG208およびSL212は演算を一時停止する。
【0063】
方法1200はステップ1208からステップ1214へ進む。ステップ1214で、SAR型ADC200は選択済み分解能を有するサンプルを出力する。図2の例では、SL212は選択済み分解能を有するd<n-1:0>を出力する。方法1200はステップ1206に戻り、各変換周期に対して繰り返す。
【0064】
一例では、SAR型ADC200は最大分解能nを有する。ステップ1202で、選択済み分解能はmとすることができ、ここで、mはn未満かつゼロ以上の整数である。したがって、各変換周期において、実行されるSAR周期の数はmに等しい。ステップ1210で、ゲーティング信号はm個のSAR周期の後でアサートされる。ステップ1214で、デジタルサンプルは、COM206によって実行されるm回の比較に基づいて生成される。ステップ1212で、COM206および制御論理250は、m個のSAR周期に対応する期間一時停止される。
【0065】
上述したSAR型ADC200は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)や同種のプログラマブル回路などの集積回路内に実装され得る。図13は、マルチギガビットトランシーバ(「MGT」)1と、構成可能論理ブロック(「CLB」)2と、ランダムアクセスメモリブロック(「BRAM」)3と、入力/出力ブロック(「IOB」)4と、構成およびクロッキング論理(「CONFIG/CLOCKS」)5と、デジタル信号処理ブロック(「DSP」)6と、特殊入力/出力ブロック(「I/O」)7(例えば、構成ポートおよびクロックポート)と、デジタルクロックマネージャ、アナログデジタルコンバータ、システムモニタリング論理などの他のプログラマブル論理8とを含む多数の様々なプログラマブルタイルを含むFPGA1300のアーキテクチャを示す。いくつかのFPGAは、専用プロセッサブロック(「PROC」)10も含む。FPGA1300は、上述したSAR型ADC200の1つまたは複数のインスタンスを含むことができる。
【0066】
いくつかのFPGAでは、各プログラマブルタイルが、図13の上部に含まれる例によって示されているように、同じタイル内のプログラマブル論理要素の入出力端子20への接続部を有する少なくとも1つのプログラマブル相互接続要素(「INT」)11を含むことができる。各プログラマブル相互接続要素11は、同じタイルまたは他のタイル内の隣接するプログラマブル相互接続要素のセグメント22を相互接続する接続部も含むことができる。各プログラマブル相互接続要素11は、論理ブロック(図示せず)間の汎用ルーティングリソースのセグメント24を相互接続する接続部も含むことができる。汎用ルーティングリソースは、相互接続セグメント(例えば相互接続セグメント24)のトラックを備える論理ブロック(図示せず)と相互接続セグメントを接続するためのスイッチブロック(図示せず)との間のルーティンングチャネルを含むことができる。汎用ルーティングリソースの相互接続セグメント(例えば相互接続セグメント24)は、1つまたは複数の論理ブロックにまたがることができる。汎用ルーティングリソースと共に挙げられるプログラマブル相互接続要素11は、例示したFPGA用のプログラマブル相互接続構造(「プログラマブル相互接続」)を実装する。
【0067】
一実装形態では、CLB2は、ユーザ論理に加えて単一のプログラマブル相互接続要素(「INT」)11を実装するようにプログラムされ得る構成可能論理要素(「CLE」)12を含むことができる。BRAM3は、1つまたは複数のプログラマブル相互接続要素に加えてBRAM論理要素(「BRL」)13を含むことができる。一般に、タイルに含められる相互接続要素の数はタイルの高さに依存する。図示の例では、BRAMタイルは5つのCLBと同じ高さを有しているが、他の数(例えば4)も使用され得る。DSPタイル6は、適切な数のプログラマブル相互接続要素に加えてDSP論理要素(「DSPL」)14を含むことができる。IOB4は、プログラマブル相互接続要素11の1つのインスタンスに加えて、例えば入力/出力論理要素(「IOL」)15の2つのインスタンスを含むことができる。当業者には明らかになるように、例えばI/O論理要素15に接続される実際のI/Oパッドは一般に、入力/出力論理要素15の領域に限定されない。
【0068】
図示の例では、ダイの中央付近の水平領域(図13に示されている)は、構成、クロック、および他の制御論理のために使用される。この水平領域または列から延びる垂直列9は、FPGAの幅にわたってクロックおよび構成信号を分散させるために使用される。
【0069】
図13に示されているアーキテクチャを利用するいくつかのFPGAは、FPGAの大部分を占める通常の柱状構造を分断する追加論理ブロックを含む。追加論理ブロックは、プログラマブルブロックおよび/または専用論理とすることができる。例えば、プロセッサブロック10は、CLBおよびBRAMの複数の列にまたがっている。プロセッサブロック10は、単一マイクロプロセッサからマイクロプロセッサ、メモリコントローラ、周辺装置などの完全なプログラマブル処理システムに及ぶ様々な構成要素とすることができる。
【0070】
図13は例示的なFPGAアーキテクチャのみを例示するものであることに留意されたい。例えば、列内の論理ブロックの数、列の相対幅、列の数および順序、列に含まれる論理ブロックの種類、論理ブロックの相対サイズ、および図13の上部に含まれる相互接続/論理実装は純粋に例示的なものである。例えば、実際のFPGAでは、2つ以上の隣接するCLB列が、ユーザ論理の効率的な実装を容易にするために、CLBが出現するどの場所にも含められるが、隣接するCLB列の数は、FPGAの外形寸法によって異なる。
【0071】
上記は特定の例を対象としているが、他のさらなる例が、本発明の基本的な範囲を逸脱することなく考案されてもよく、本発明の範囲は、続く特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13