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  • 特許-プリナブリン組成物及びその使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】プリナブリン組成物及びその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/497 20060101AFI20230516BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230516BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230516BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230516BHJP
   A61P 5/00 20060101ALI20230516BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230516BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20230516BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230516BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230516BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230516BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230516BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230516BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20230516BHJP
   C07D 403/06 20060101ALN20230516BHJP
【FI】
A61K31/497
A61K39/395 N
A61P1/04
A61P1/16
A61P5/00
A61P11/00
A61P13/12
A61P17/00
A61P25/00
A61P29/00
A61P37/02
A61P43/00 111
A61P43/00 121
A61P1/18
C07D403/06
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2019550138
(86)(22)【出願日】2018-03-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 US2018022064
(87)【国際公開番号】W WO2018169887
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-03-10
(31)【優先権主張番号】62/470,802
(32)【優先日】2017-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/621,528
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517282078
【氏名又は名称】ビヨンドスプリング ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モハンラル,ラモーン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ラン
(72)【発明者】
【氏名】ロイド,ジョージ,ケネス
【審査官】愛清 哲
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/035436(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/130839(WO,A1)
【文献】Cancer Treatment Reviews,2016年,Vol.44,pp.51-60,DOI:10.1016/j.ctrv.2016.02.001
【文献】Cancer Research,2016年,Vol.76, 15_Supplement, A07,DOI:10.1158/1538-7445.TME16-A07
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 39/00-39/44
A61P 29/00-29/02
A61P 37/00-37/08
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種類以上の免疫チェックポイント阻害剤が投与されている対象において免疫療法関連有害事象を治療又は予防するための、プリナブリンを含む医薬組成物であって、前記1種類以上の免疫チェックポイント阻害剤がPD-1阻害剤及びPD-L1阻害剤から選択される少なくとも1種類を含むものであり、前記免疫療法関連有害事象が免疫療法誘発性炎症である、前記医薬組成物。
【請求項2】
前記対象がさらにPD-L2阻害剤、PD-L3阻害剤、PD-L4阻害剤、CTLA-4阻害剤、LAG3阻害剤、B7-H3阻害剤、B7-H4阻害剤、KIR阻害剤、及びTIM3阻害剤の少なくとも1種類を投与されている対象である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記対象がさらにCTLA-4阻害剤を投与されている対象である、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記1種類以上の免疫チェックポイント阻害剤が第1免疫チェックポイント阻害剤と第2免疫チェックポイント阻害剤を含み、前記第1免疫チェックポイント阻害剤が前記第2免疫チェックポイント阻害剤と異なるものである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記第1及び第2免疫チェックポイント阻害剤が独立してPD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、PD-L2阻害剤、PD-L3阻害剤、PD-L4阻害剤、CTLA-4阻害剤、LAG3阻害剤、B7-H3阻害剤、B7-H4阻害剤、KIR阻害剤、及びTIM3阻害剤からなる群より選択される阻害剤である、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記第1免疫チェックポイント阻害剤がPD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤であり、且つ、前記第2免疫チェックポイント阻害剤がCTLA-4阻害剤である、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記免疫療法がPD-1阻害剤及びPD-L1阻害剤からなる群より選択される単一の免疫チェックポイント阻害剤を含む単剤療法である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記免疫チェックポイント阻害剤がPD-1阻害剤である、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記免疫チェックポイント阻害剤がPD-L1阻害剤である、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記免疫療法が併用療法であり、前記併用療法がPD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、PD-L2阻害剤、PD-L3阻害剤、PD-L4阻害剤、CTLA-4阻害剤、LAG3阻害剤、B7-H3阻害剤、B7-H4阻害剤、KIR阻害剤、及びTIM3阻害剤からなる群より選択される2種類以上の免疫チェックポイント阻害剤を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記併用療法がPD-1阻害剤とCTLA-4阻害剤を含む、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記併用療法がPD-L1阻害剤とCTLA-4阻害剤を含む、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記プリナブリンの量が血管の増殖又は密度を低下させることなくPDE4活性を阻害するために有効である、請求項1012のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記プリナブリンの量が1mg~100mgの範囲内にある、請求項1013のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記免疫療法関連有害事象がグレード3/4の有害事象である、請求項1~14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記免疫療法関連有害事象が肺臓炎、大腸炎、肝炎、内分泌障害、腎炎と腎機能不全、皮膚有害反応、及び脳炎からなる群より選択される、請求項1~15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記免疫療法関連有害事象が膵炎であり、前記免疫療法がPD-1阻害剤とCTLA-4阻害剤を含む、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記免疫療法誘発性炎症が膵炎、肺臓炎、大腸炎、肝炎、腎炎と腎機能不全、甲状腺機能低下症と甲状腺機能亢進症、ぶどう膜炎、脱髄、自己免疫性ニューロパチー、副腎不全、顔面及び外転神経麻痺、下垂体炎、糖尿病性ケトアシドーシス、下垂体機能低下症、ギランバレー症候群、筋無力症候群、下垂体炎、甲状腺炎、1型糖尿病、関節炎、剥脱性皮膚炎、水疱性類天疱瘡、筋炎、重症筋無力症、血管炎、溶血性貧血、脳実質内に炎症巣を有する患者に起こる部分発作、皮膚炎、発疹、掻痒症、髄膜炎、サルコイドーシス、心膜炎、致死的心筋炎、脈管症、側頭動脈炎、血管炎、リウマチ性筋痛、結膜炎、眼瞼炎、上強膜炎、強膜炎、虹彩炎、白血球破壊性血管炎、多型性紅斑、乾癬、関節炎、自己免疫性甲状腺炎、神経感覚聴力低下症、自己免疫性中枢神経障害、筋炎、多発性筋炎、及び外眼筋炎、及び溶血性貧血からなる群より選択される、請求項1~14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
免疫療法関連有害事象の発生率が少なくとも10%低下する、請求項1~18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
免疫療法関連有害事象の重症度が少なくとも10%低下する、請求項1~19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
1種類以上の免疫チェックポイント阻害剤が投与されている対象において、免疫療法関連有害事象発生率を低下させるための、プリナブリンを含む医薬組成物であって、前記1種類以上の免疫チェックポイント阻害剤がPD-1阻害剤及びPD-L1阻害剤から選択される少なくとも1種類を含むものであり、前記免疫療法関連有害事象が免疫療法誘発性炎症である、前記医薬組成物。
【請求項22】
1種類以上の免疫チェックポイント阻害剤が投与されている対象において、免疫療法関連有害事象期間を短縮させるための、プリナブリンを含む医薬組成物であって、前記1種類以上の免疫チェックポイント阻害剤がPD-1阻害剤及びPD-L1阻害剤から選択される少なくとも1種類を含むものであり、前記免疫療法関連有害事象が免疫療法誘発性炎症である、前記医薬組成物。
【請求項23】
前記対象が放射線療法も受ける、請求項1~22のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化学と医学の分野に関する。より具体的には本願はプリナブリン、プリナブリンを含有する組成物及びプリナブリンの類似体を含有する組成物、並びに使用に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫療法関連有害事象(IRAE)は頻繁に見られる免疫刺激性抗体療法の帰結である。IRAEは重篤であり得、生命に関わることすらあり得る。IRAEには自己免疫反応、例えば下痢、小腸結腸炎、皮膚炎、下垂体炎、汎下垂体機能低下症、発疹、掻痒症、及び他の炎症反応が含まれる。重篤なIRAEのために薬品投与量を変更することになったり治療があまり効果的ではないものになったりするか、又は癌の治療を中止することになることすらあり得る。IRAEの効果的な治療法の開発が必要である。
【0003】
ホスホジエステラーゼ(PDE)はcAMPを加水分解及び分解する酵素である。PDE4は造血細胞(例えば骨髄性造血細胞、リンパ性造血細胞)、非造血細胞(例えば平滑筋細胞、ケラチノサイト、内皮細胞)、及び感覚/記憶神経細胞において広く発現されるcAMPホスホジエステラーゼである。4種類のPDE4遺伝子(a、b、c、及びd)は異なる標的と調節特性を示す。これらの遺伝子の各々がmRNAスプライシング変異体のために複数のタンパク質産物を産生することができ、結果として短鎖アイソフォームカテゴリーか長鎖アイソフォームカテゴリーのどちらかに分類される約19種類の異なるPDE4タンパク質が生じる。cAMP活性の制御は多数の生物学的過程において重要であり、様々な疾患を治療するために使用可能な効果的なPDE4阻害剤を開発することが必要である。
【発明の概要】
【0004】
幾つかの実施形態は膵炎、肺臓炎、大腸炎、肝炎、腎炎と腎機能不全、甲状腺機能低下症と甲状腺機能亢進症、ぶどう膜炎、脱髄、自己免疫性ニューロパチー、副腎不全、顔面及び外転神経麻痺、下垂体炎、糖尿病性ケトアシドーシス、下垂体機能低下症、ギランバレー症候群、筋無力症候群、下垂体炎、甲状腺炎、1型糖尿病、関節炎、剥脱性皮膚炎、水疱性類天疱瘡、筋炎、重症筋無力症、血管炎、溶血性貧血、脳実質内に炎症巣を有する患者に起こる部分発作、皮膚炎、発疹、掻痒症、髄膜炎、サルコイドーシス、心膜炎、致死的心筋炎、脈管症、側頭動脈炎、血管炎、リウマチ性筋痛、結膜炎、眼瞼炎、上強膜炎、強膜炎、虹彩炎、白血球破壊性血管炎、多型性紅斑、乾癬、関節炎、自己免疫性甲状腺炎、神経感覚聴力低下症、自己免疫性中枢神経障害(脳炎)、筋炎、多発性筋炎、及び外眼筋炎、及び溶血性貧血からなる群より選択される免疫療法介在性有害事象を対象において予防及び/又は治療する方法であって、必要とする前記対象にプリナブリンの有効量を投与することを含む前記方法に関する。
【0005】
幾つかの実施形態はPD-1阻害剤とCTLA-4阻害剤を投与することを含む免疫療法が介在する膵炎を対象において治療又は改善する方法であって、必要とする前記対象にプリナブリンの有効量を投与することを含む前記方法に関する。
【0006】
幾つかの実施形態は炎症性皮膚又は関節疾患を対象において治療する方法であって、必要とする前記対象にプリナブリンの有効量を局所的に投与することを含む前記方法に関する。
【0007】
幾つかの実施形態は慢性関節リウマチ、慢性閉塞性肺疾患、喘息、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、サルコイドーシス、全身性紅斑性狼瘡、炎症性腸疾患、アトピー性皮膚炎、及
び多発性硬化症、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、及びアレルギー性皮膚炎からなる群より選択される炎症性疾患を対象において治療する方法であって、必要とする前記対象にプリナブリンの有効量を投与することを含む前記方法に関する。
【0008】
幾つかの実施形態は慢性閉塞性肺疾患又は喘息を対象において治療する方法であって、必要とする前記対象に吸入器を介してプリナブリンの有効量を投与することを含む前記方法に関する。
【0009】
幾つかの実施形態は1種類以上の免疫チェックポイント阻害剤が投与されている対象において免疫療法誘発性炎症を治療する方法であって、必要とする前記対象にプリナブリンの有効量を投与することを含む前記方法に関する。
【0010】
幾つかの実施形態は血管の増殖又は密度を低下させることなくPDE4活性を阻害するために有効である濃度でプリナブリンを含む局所製剤に関する。
【0011】
幾つかの実施形態は製剤全体の重量に対して約0.1%~約10%の範囲内の濃度でプリナブリンを含む局所製剤に関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】プリナブリンを使用する治療中にステロイド関連有害事象を示した患者のパーセンテージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
プリナブリン、すなわち(3Z,6Z)-3-ベンジリデン-6-{[5-(2-メチル-2-プロパニル)-1H-イミダゾール-4-イル]メチレン}-2,5-ピペラジンジオンは天然化合物フェニルアヒスチンの合成類似体である。プリナブリンは、全体が参照により本明細書に援用される米国特許第7064201号明細書及び第7919497号明細書に詳細に説明されている方法と手順に従って容易に調製可能である。幾つかの実施形態ではプリナブリンはPED4活性を効率的に阻害することができる。プリナブリンには本明細書に記載されるようにその薬学的に許容可能な塩、ポリモルフ、及び溶媒和化合物が含まれる。
【0014】
プリナブリンはIRAEの発生率と重症度の低下に有効であり得、抗癌免疫療法と併用されるとより効果的で安全な治療の達成に役立ち得る。IRAEの治療と予防に加え、プリナブリンは免疫療法治療中に免疫応答を増強し、相乗的な効果を達成することもできる。プリナブリンは癌細胞を標的とし、抗癌/抗腫瘍免疫増強作用を促進する癌細胞及び/又は腫瘍微小環境の免疫調節を介して腫瘍サイズを低下させ、且つ、免疫療法と相乗的に作用することが可能である。したがって、プリナブリンは免疫療法関連有害事象のリスクを低下させ、且つ、その治療法の安全性を改善するばかりかその抗癌免疫療法の有効性を高めもする。
【0015】
ホスホジエステラーゼ4(PDE4)は環状アデノシン一リン酸の分解における重要な酵素であり、炎症細胞のサイトカイン生産、血管形成、及びケラチノサイトなどの他の細胞種の機能特性に関与する。プリナブリンはPDE4活性を阻害し、且つ、抗炎症特性を有することができる。プリナブリンは免疫療法介在性炎症並びに乾癬及び乾癬性関節炎などの他のヒト慢性炎症性疾患をはじめとする炎症性疾患の治療に有効であり得る。プリナブリンは皮膚及び関節の炎症性疾患などの慢性炎症性疾患の治療に使用可能である。
【0016】
定義
別途定義されない限り本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は本開
示が属する技術分野の当業者が共通して理解するものと同じ意味を有する。全ての特許、特許出願、特許出願公開、及び他の刊行物の全体が参照により援用される。本明細書において一つの用語に複数の定義が存在する場合、別段の記述がない限りこの節の定義が優先する。
【0017】
本明細書において使用される「対象」はヒト又は非ヒト哺乳類動物、例えばイヌ、ネコ、マウス、ラット、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、非ヒト霊長類動物、又は鳥類、例えばニワトリ、並びに他のあらゆる脊椎動物又は非脊椎動物を意味する。
【0018】
「哺乳類動物」という用語はその通常の生物学的意味で使用される。したがって、その用語は具体的にはサル(チンパンジー、類人猿、猿)及びヒトを含む霊長類動物、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウサギ、イヌ、ネコ、げっ歯類動物、ラット、マウス、モルモット等を含むがこれらに限定されない。
【0019】
本明細書において使用される「有効量」又は「治療有効量」は疾患又は体調の症状のうちの1つ以上をある程度まで軽減するため、又はそれらの症状のうちの1つ以上が発症する可能性を低くするために有効である治療薬の量を意味し、疾患又は体調の治癒を包含する。
【0020】
本明細書において使用される場合、「処置する」、「処置」、又は「処置すること」は予防目的又は治療目的のために化合物又は医薬組成物を対象に投与することを指す。「予防的処置」という用語は疾患又は体調の症状を未だに示していないが特定の疾患又は体調になりやすいか、そうでなければそのリスクを有する対象を治療してその患者がその疾患又は体調を発症する可能性を低下させるその治療のことをいう。「治療的処置」という用語は既に疾患又は体調に苦しんでいる対象に治療を行うことをいう。
【0021】
「薬学的に許容可能な塩」という用語は化合物の生物学的有効性及び特性を保持し、且つ、医薬としての使用にとって生物学又は他の面で不適当ということがない塩を指す。多くの事例で本明細書において開示される化合物はアミノ基及び/又はカルボキシル基、又はそれらに類似の基が存在することで酸性塩及び/又は塩基性塩を形成することが可能である。薬学的に許容可能な酸付加塩は無機酸及び有機酸を使用して形成可能である。塩を誘導することができる無機酸には例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等が含まれる。塩を誘導することができる有機酸には例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸等が含まれる。薬学的に許容可能な塩は無機塩基及び有機塩基を使用しても形成可能である。塩を誘導することができる無機塩基には例えばナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム等を含有する塩基が含まれ、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩が特に好ましい。幾つかの実施形態では本明細書において開示される化合物の無機塩基との処理によってその化合物から不安定水素がなくなってLi、Na、K、Mg2+、及びCa2+等のような無機カチオンを含む塩形態が産生される。塩を誘導することができる有機塩基には例えば一級アミン、二級アミン、及び三級アミン、天然の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂等が含まれ、具体的にはイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、及びエタノールアミンなどが含まれる。Johnstonらによる1987年9月11日に公開された国際公開87/05297号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)に記載されているように多数のそのような塩が当技術分野において知られている。
【0022】
「局所投与」又は「局所的に投与する」という用語は医薬品が皮膚、爪、毛髪、手、又は足の外表面に行き渡り、下にある組織に入りこむようにその医薬品を皮膚、爪、毛髪、手、又は足の外表面に適用することを指す。局所投与には無傷の皮膚、爪、毛髪、手、又は足への前記組成物の適用、又は皮膚、爪、毛髪、手、若しくは足の破損による生傷若しくは開放傷への前記組成物の適用が含まれる。医薬品の局所投与によってその薬品は皮膚及び周囲の組織へ限定的に分布するか、又は血流によってその薬品がその治療領域から移動するとその薬品は全身的に分布することができる。
【0023】
PD-1は活性化T細胞及び活性化B細胞が発現する重要な免疫チェックポイント受容体であり、免疫抑制を仲介する。PD-1はCD28受容体ファミリーのメンバーであり、その受容体ファミリーにはCD28、CTLA-4、ICOS、PD-1、及びBTLAが含まれる。本明細書において使用される「PD-1」という用語にはヒトPD-1(hPD-1)、hPD-1の変異体、アイソフォーム、及び種間ホモログ、及びhPD-1と共通の少なくとも1つのエピトープを有する類似体が含まれる。
【0024】
PD-1の様々な細胞表面糖タンパク質リガンドが特定されており、それらのリガンドには抗原提示細胞並びに多くのヒト癌で発現し、且つ、PD-1に結合するとT細胞活性化及びサイトカイン分泌を下方制御することが示されているPD-L1、PD-L2、PD-L3、及びPD-L4が含まれる。本明細書において使用される「PD-L1」という用語にはヒトPD-L1(hPD-Ll)、hPD-Llの変異体、アイソフォーム、及び種間ホモログ、及びhPD-Llと共通の少なくとも1つのエピトープを有する類似体が含まれる。本明細書において使用される「PD-L2」という用語にはヒトPD-L2(hPD-L2)、hPD-L2の変異体、アイソフォーム、及び種間ホモログ、及びhPD-L2と共通の少なくとも1つのエピトープを有する類似体が含まれる。本明細書において使用される「PD-L3」という用語にはヒトPD-L3(hPD-L3)、hPD-L3の変異体、アイソフォーム、及び種間ホモログ、及びhPD-L3と共通の少なくとも1つのエピトープを有する類似体が含まれる。本明細書において使用される「PD-L4」という用語にはヒトPD-L4(hPD-L4)、hPD-L4の変異体、アイソフォーム、及び種間ホモログ、及びhPD-L4と共通の少なくとも1つのエピトープを有する類似体が含まれる。
【0025】
CTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4)は免疫チェックポイントとして機能すると免疫系を下方制御するタンパク質受容体である。CTLA4はT細胞の表面に認められ、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーのメンバーでもあり、CTLA-4は単一の細胞外Igドメインを含む。CTLA-4転写物は細胞傷害性活性を有するT細胞集団に見つかっており、このことはCTLA-4が細胞溶解反応において機能する可能性があることを示唆している。
【0026】
治療方法
幾つかの実施形態は1種類以上の免疫チェックポイント阻害剤が投与されている対象において免疫療法関連有害事を治療又は予防する方法であって、必要とする前記対象にプリナブリンの有効量を投与することを含む前記方法に関する。幾つかの実施形態では前記免疫療法は抗癌免疫療法である。幾つかの実施形態では前記対象はその抗癌免疫療法に加えて放射線療法も受ける。
【0027】
幾つかの実施形態は1種類以上の免疫チェックポイント阻害剤が投与されている対象において免疫療法誘発性炎症を治療又は予防する方法であって、必要とする前記対象にプリナブリンの有効量を投与することを含む前記方法に関する。幾つかの実施形態では前記免疫療法は抗癌免疫療法である。
【0028】
幾つかの実施形態は免疫療法介在性有害事象を対象において治療、予防、又は改善する方法であって、必要とする前記対象にプリナブリンの有効量を投与することを含む前記方法に関する。免疫療法介在性有害事象は本目的のために全体が参照により本明細書に援用されているペムブロリズマブ、ニボルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、イピリムマブ及びトレメリムマブの添付文書において開示されている有害事象又は状態を包含することができるがこれらに限定されない。
【0029】
幾つかの実施形態では前記免疫療法介在性有害事象は膵炎、肺臓炎、大腸炎、肝炎、腎炎と腎機能不全、甲状腺機能低下症と甲状腺機能亢進症、ぶどう膜炎、脱髄、自己免疫性ニューロパチー、副腎不全、顔面及び外転神経麻痺、下垂体炎、糖尿病性ケトアシドーシス、下垂体機能低下症、ギランバレー症候群、筋無力症候群、下垂体炎、甲状腺炎、1型糖尿病、関節炎、剥脱性皮膚炎、水疱性類天疱瘡、筋炎、重症筋無力症、血管炎、溶血性貧血、脳実質内に炎症巣を有する患者に起こる部分発作、皮膚炎、発疹、掻痒症、髄膜炎、サルコイドーシス、心膜炎、致死的心筋炎、脈管症、側頭動脈炎、血管炎、リウマチ性筋痛、結膜炎、眼瞼炎、上強膜炎、強膜炎、虹彩炎、白血球破壊性血管炎、多型性紅斑、乾癬、関節炎、自己免疫性甲状腺炎、神経感覚聴力低下症、自己免疫性中枢神経障害(脳炎)、筋炎、多発性筋炎、及び外眼筋炎、及び溶血性貧血からなる群より選択される。幾つかの実施形態では前記免疫療法介在性有害事象は膵炎、肺臓炎、大腸炎、肝炎、腎炎、腎機能不全、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、及びぶどう膜炎からなる群より選択される。幾つかの実施形態では前記免疫療法介在性有害事象は膵炎である。幾つかの実施形態では前記免疫療法は1種類以上のチェックポイント阻害剤の投与である。
【0030】
幾つかの実施形態では前記免疫療法関連有害事象は疲労、発疹、筋骨格痛、掻痒症、下痢、吐き気、無力症、咳、呼吸困難、便秘、食欲減退、背部痛、関節痛、上気道感染症、発熱、頭痛、腹痛から選択される。
【0031】
幾つかの実施形態では前記免疫療法関連有害事象は肺臓炎、大腸炎、肝炎、内分泌障害、腎炎と腎機能不全、皮膚有害反応、及び脳炎からなる群より選択される。幾つかの実施形態では前記免疫療法関連有害事象は輸液反応、同種間造血幹細胞移植(HSCT)の合併症、胚胎児毒性から選択される。免疫関連肺臓炎:幾つかの実施形態では前記免疫療法関連有害事象は肺臓炎である。幾つかの実施形態では前記免疫療法関連有害事象は大腸炎である。幾つかの実施形態では前記免疫療法関連有害事象は肝炎である。幾つかの実施形態では前記免疫療法関連有害事象はトランスアミナーゼ又は総ビリルビンの増加である。幾つかの実施形態では前記免疫療法関連有害事象は内分泌障害である。幾つかの実施形態では前記免疫療法関連有害事象は下垂体炎である。幾つかの実施形態では前記免疫療法関連有害事象は副腎不全である。幾つかの実施形態では前記免疫療法関連有害事象は甲状腺機能の変化である。幾つかの実施形態では前記免疫療法関連有害事象は高血糖症である。幾つかの実施形態では前記免疫療法関連有害事象は腎炎と腎機能不全である。幾つかの実施形態では前記免疫療法関連有害事象は血清中クレアチニンの増加である。幾つかの実施形態では前記免疫療法関連有害事象は皮膚有害反応である。幾つかの実施形態では前記免疫療法関連有害事象は発疹である。幾つかの実施形態では前記免疫療法関連有害事象はスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)と中毒性表皮壊死症である。幾つかの実施形態では前記免疫療法関連有害事象は脳炎である。幾つかの実施形態では前記免疫療法関連有害事象は神経機能の変化である。幾つかの実施形態では前記有害事象はグレード2である。幾つかの実施形態では前記有害事象はグレード3又は4である。幾つかの実施形態では前記有害事象はグレード3である。幾つかの実施形態では前記有害事象はグレード4である。幾つかの実施形態では前記有害事象は重篤であるか、又は生命に関わるものである。
【0032】
幾つかの実施形態は免疫療法介在性膵炎を対象において治療、予防、又は改善する方法
であって、必要とする前記対象にプリナブリンの有効量を投与することを含む前記方法に関する。幾つかの実施形態は免疫療法介在性肺臓炎を対象において治療、予防、又は改善する方法であって、必要とする前記対象にプリナブリンの有効量を投与することを含む前記方法に関する。幾つかの実施形態は免疫療法介在性大腸炎を対象において治療、予防、又は改善する方法であって、必要とする前記対象にプリナブリンの有効量を投与することを含む前記方法に関する。幾つかの実施形態は免疫療法介在性肝炎を対象において治療、予防、又は改善する方法であって、必要とする前記対象にプリナブリンの有効量を投与することを含む前記方法に関する。幾つかの実施形態は免疫療法介在性内分泌障害を対象において治療、予防、又は改善する方法であって、必要とする前記対象にプリナブリンの有効量を投与することを含む前記方法に関する。幾つかの実施形態は免疫療法介在性腎炎と腎機能不全を対象において治療、予防、又は改善する方法であって、必要とする前記対象にプリナブリンの有効量を投与することを含む前記方法に関する。幾つかの実施形態は免疫療法介在性皮膚有害反応を対象において治療、予防、又は改善する方法であって、必要とする前記対象にプリナブリンの有効量を投与することを含む前記方法に関する。幾つかの実施形態は免疫療法介在性脳炎を対象において治療、予防、又は改善する方法であって、必要とする前記対象にプリナブリンの有効量を投与することを含む前記方法に関する。幾つかの実施形態では前記免疫療法はPD-1阻害剤とCTLA-4阻害剤を投与することを含む。幾つかの実施形態では前記免疫療法はPD-1阻害剤を投与することを含む。幾つかの実施形態では前記免疫療法はニボルマブを投与することを含む。幾つかの実施形態では前記免疫療法はペムブロリズマブを投与することを含む。幾つかの実施形態では前記免疫療法はイピリムマブと組み合わせてニボルマブを投与することを含む。
【0033】
幾つかの実施形態では本明細書に記載される方法は重篤な免疫療法関連有害事象を有するリスクがある患者を特定することをさらに含む。幾つかの実施形態では重篤な免疫療法関連有害事象を有するリスクがある患者の特定は患者の病歴(及び家族の病歴)、全身健康状態、自己免疫疾患、ベースラインにおける臨床検査値、及び放射線検査値(ほとんどが胸部、腹部/骨盤のコンピュータートモグラフィー(CT)スキャンであり、しばしば脳磁気共鳴画像法(MRI))を評価すること含む。幾つかの実施形態では重篤な免疫療法関連有害事象を有するリスクがある患者の特定は自己免疫疾患の病歴を有する、又は自己免疫疾患について積極的に治療を受けている患者を特定することを含む。幾つかの実施形態では重篤な免疫療法関連有害事象を有するリスクがある患者の特定はそれまでの免疫療法治療の基勧誘にIRAEがあった患者を特定することを含む。
【0034】
幾つかの実施形態では本明細書に記載される方法は重篤な免疫療法関連有害事象を有する患者を特定することを含む。幾つかの実施形態では本明細書に記載される方法はグレード3又は4の免疫療法関連有害事象を有する患者を特定することを含む。幾つかの実施形態では重篤な免疫療法関連有害事象を有する患者の特定は粘膜領域を含む皮膚の注意深く徹底的な健康診断による評価、患者の全般的な状態(発熱、リンパ節肥大等)の評価、並びに必要であれば血液細胞数、肝臓の検査、及び腎臓の検査を含む生物学的検査を介して皮膚AEの重症度を評価することを含む。幾つかの実施形態では重篤な免疫療法関連有害事象を有する患者の特定は好酸球増加症及び全身性症状を伴う薬疹(DRESS)、急性発熱性好中球性皮膚症(スイート症候群)、スティーブンス・ジョンソン症候群、又は中毒性表皮壊死症(TEN)などの皮膚科の有事の可能性を除外することを含む。幾つかの実施形態では前記IRAEのグレードは全体が参照により援用される米国国立癌研究所共通毒性基準第4.0版を使用して評価され得る。幾つかの実施形態では前記IRAEのグレードは全体が参照により援用されるアメリカ臨床腫瘍学会治療ガイドラインを使用して評価され得る。幾つかの実施形態では前記IRAEのグレードは全体が参照により援用されるアメリカ臨床腫瘍学会治療ガイドライン(免疫療法由来の中毒の管理:EMSO治療ガイドライン:Ann Oncol誌(2017年)第28巻(増刊第4号):iv119~iv142頁)を使用して評価され得る。
【0035】
幾つかの実施形態では皮膚AEの重症度を正確に測定するために全体が参照により援用される有害事象共通用語基準(CTCAE)分類が使用され得る。チェックポイント阻害剤の使用による最も頻繁に起こる事象である斑状丘疹状皮疹に関し、第4版のCTCAEには次の分類が含まれる。グレード1では症状(例えば掻痒感、灼熱感、締め付け感)を有する、又は有しない斑点/丘疹が体表面積(BSA)の10%未満を覆い、グレード2では症状(例えば掻痒感、灼熱感、締め付け感)を有する、又は有しない斑点/丘疹がBSAの10%~30%を覆い、手段的日常生活動作(ADL)の制限があり、グレード3では関連症状を有する、又は有しない斑点/丘疹がBSAの30%超を覆い、自己管理ADLの制限があり、グレード4ではBSAの30%超を覆い、且つ、集中治療室(ICU)への入室を必要とする生命に関わる重複感染に関連する丘疹膿疱性発疹、スティーブンス・ジョンソン症候群、TEN、及び水疱性皮膚炎が存在する。
【0036】
幾つかの実施形態では重篤な免疫療法関連有害事象を有する患者の特定は患者の甲状腺刺激ホルモン(TSH)、トリヨードサイロニン、及びサイロキシン(FT3、FT4)のレベル、及び抗甲状腺抗体(Ab)レベルを測定することを含む。幾つかの実施形態では重篤な免疫療法関連有害事象を有する患者の特定はDMの有事を検出するために患者の血中グルコースレベルをモニターすることを含む。幾つかの実施形態では本明細書に記載される方法は抗CTLA4(抗PD-1との組合せを含む)について第4サイクル(すなわち、CTの再実行を含むサイクル)後の4~6週間のornTFTのサイクル毎にTFTを治療中にモニターすることを含む。幾つかの実施形態では本明細書に記載される方法は抗PD-1/抗PD-L1が使用されるとき、最初の3か月にわたってサイクル毎に、その後に(2週間毎のスケジュールの場合に)2サイクル毎にTFTを治療中にモニターすることを含む。
【0037】
幾つかの実施形態では重篤な免疫療法関連有害事象を有する患者の特定は重篤な圧迫効果症状、すなわち重篤な頭痛、あらゆる視覚障害、又は重篤な副腎機能低下症、すなわち低血圧症、重篤な電解質異常を評価することを含む。幾つかの実施形態では重篤な免疫療法関連有害事象を有する患者の特定は中程度の症状、すなわち頭痛であるが視覚障害が無く、又は疲労/気分の変化があるが血行動態的に安定であり、電解質異常が無いことを評価することを含む。幾つかの実施形態では重篤な免疫療法関連有害事象を有する患者の特定はMRI脳下垂体プロトコルに従うことを含み、又は脳転移を除外し、(異常を有する患者であるか情報を免許証発行機関に提供するための)正式な視野評価を考慮する。
【0038】
幾つかの実施形態では重篤な免疫療法関連有害事象を有する患者の特定はICPi関連毒性、すなわち肝炎の管理を評価することを含む。幾つかの実施形態では有害事象の重症度を正確に測定するために以下の規準が使用され得る。すなわちグレード1はALT又はASTがULN超~3×ULNであり、グレード2はALT又はASTが3~5×ULNであり、グレード3はALT又はASTが5~20×ULNであり、グレード4はALT又はASTが20×ULN超である。
【0039】
幾つかの実施形態では重篤な免疫療法関連有害事象を有する患者の特定はICPi関連毒性、すなわち下痢及び大腸炎の管理を評価することを含む。幾つかの実施形態では重度の(グレード3/4の)有害事象はベースラインを超えて、又はエピソードが食事から1時間以内である場合に一日に6回を超える液状便の排泄を含む。幾つかの実施形態では中程度の(グレード2の)有害事象はベースラインを超えて一日に4~6回の液状便の排泄、又は腹痛、又は血便、又は吐き気、又は夜間エピソードを含む。幾つかの実施形態では低度の(グレード1の)有害事象はベースラインを超える4回未満の液状便の排泄を含む。
【0040】
幾つかの実施形態では重篤な免疫療法関連有害事象を有する患者の特定はICPi関連毒性、すなわち肺臓炎の管理を評価することを含む。幾つかの実施形態では低度の(グレード1の)有害事象はレントゲン写真の変化のみを含む。幾つかの実施形態では中程度の(グレード2の)有害事象は低度/中程度の新しい症状、呼吸困難、咳、胸部痛を含む。幾つかの実施形態では重度の(グレード3/4の)有害事象は重度の新しい症状、新規の/悪化する低酸素症、生命に関わる呼吸困難、ARDSを含む。
【0041】
幾つかの実施形態では前記1種類以上のチェックポイント阻害剤はPD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、PD-L2阻害剤、PD-L3阻害剤、PD-L4阻害剤、CTLA-4阻害剤、LAG3阻害剤、B7-H3阻害剤、B7-H4阻害剤、KIR阻害剤、及びTIM3阻害剤からなる群より選択される。幾つかの実施形態では前記免疫チェックポイント阻害剤はPD-1阻害剤である。幾つかの実施形態では前記免疫チェックポイント阻害剤はPD-L1阻害剤である。幾つかの実施形態では前記免疫チェックポイント阻害剤はCTLA-4阻害剤である。
【0042】
幾つかの実施形態では第1免疫チェックポイント阻害剤と第2免疫チェックポイント阻害剤が前記対象に投与され、前記第1免疫チェックポイント阻害剤が前記第2免疫チェックポイント阻害剤と異なるものである。幾つかの実施形態では前記第1及び第2免疫チェックポイント阻害剤は独立してPD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、PD-L2阻害剤、PD-L3阻害剤、PD-L4阻害剤、CTLA-4阻害剤、LAG3阻害剤、B7-H3阻害剤、B7-H4阻害剤、KIR阻害剤、及びTIM3阻害剤からなる群より選択される阻害剤である。幾つかの実施形態では前記第1チェックポイント阻害剤はPD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤であり、且つ、前記第2チェックポイント阻害剤はCTLA-4阻害剤である。
【0043】
幾つかの実施形態では前記免疫療法は単剤療法であり、前記単剤療法はPD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、PD-L2阻害剤、PD-L3阻害剤、PD-L4阻害剤、CTLA-4阻害剤、LAG3阻害剤、B7-H3阻害剤、B7-H4阻害剤、KIR阻害剤、及びTIM3阻害剤からなる群より選択される単一のチェックポイント阻害剤を投与することを含む。幾つかの実施形態では前記チェックポイント阻害剤はPD-1阻害剤である。幾つかの実施形態では前記チェックポイント阻害剤はPD-L1阻害剤である。幾つかの実施形態では前記チェックポイント阻害剤はCTLA-4阻害剤である。
【0044】
幾つかの実施形態では前記免疫療法は併用療法であり、前記併用療法はPD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、PD-L2阻害剤、PD-L3阻害剤、PD-L4阻害剤、CTLA-4阻害剤、LAG3阻害剤、B7-H3阻害剤、B7-H4阻害剤、KIR阻害剤、及びTIM3阻害剤からなる群より選択される2種類以上のチェックポイント阻害剤を投与することを含む。幾つかの実施形態では前記併用療法はPD-L1阻害剤とCTLA-4阻害剤を投与することを含む。
【0045】
幾つかの実施形態では前記PD-1又はPD-L1阻害剤はペムブロリズマブ、ニボルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、及びアベルマブからなる群より選択される。幾つかの実施形態では前記PD-1阻害剤はニボルマブ又はペムブロリズマブである。幾つかの実施形態では前記PD-L1阻害剤はアテゾリズマブ、デュルバルマブ、又はアベルマブである。幾つかの実施形態では前記CTLA-4阻害剤はイピリムマブ又はトレメリムマブである。幾つかの実施形態では前記チェックポイント阻害剤はペムブロリズマブである。幾つかの実施形態では前記チェックポイント阻害剤はニボルマブである。
【0046】
幾つかの実施形態では本明細書に記載される適応症を治療するために使用されるプリナブリンの量は血管の増殖又は密度を低下させることなくPDE4活性を阻害するために有
効である。
【0047】
幾つかの実施形態では前記免疫療法は黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、頭頚部扁平上皮癌(HNSCC)、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)、尿路上皮癌、高マイクロサテライト不安定性癌(MSI-H癌)、胃癌、進行腎細胞癌、転移性頭頚部扁平上皮癌(SCCHN)、転移性大腸癌、肝細胞癌(HCC)、又は高マイクロサテライト不安定性(MSI-H)又はミスマッチ修復欠損性(dMMR)転移性大腸癌(CRC)を治療又は予防するために使用される。幾つかの実施形態では前記免疫療法は黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、頭頚部扁平上皮癌(HNSCC)、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)、尿路上皮癌、高マイクロサテライト不安定性癌(MSI-H癌)、又は胃癌を治療又は予防するために使用される。
【0048】
幾つかの実施形態は対象における炎症性疾患又は炎症症状の治療であって、前記炎症性疾患又は炎症症状がリウマチ性関節炎、慢性関節リウマチ、乾癬、糖尿病性網膜症、新生血管緑内障、未熟児網膜症、黄斑変性、角膜移植後拒絶反応、後水晶体線維形成、皮膚潮紅、動脈硬化巣における毛細血管増殖、又は骨粗鬆症ではないことを条件として必要とする前記対象にプリナブリンを投与することを含む前記治療に関する。
【0049】
幾つかの実施形態では前記プリナブリンは体表面積に対して約1~50mg/mの範囲内の用量で投与される。幾つかの実施形態では前記プリナブリンは体表面積に対して約5~約50mg/mの範囲内の用量で投与される。幾つかの実施形態では前記プリナブリンは体表面積に対して約20~約40mg/mの範囲内の用量で投与される。幾つかの実施形態では前記プリナブリンは体表面積に対して約15~約30mg/mの範囲内の用量で投与される。幾つかの実施形態では前記プリナブリンは体表面積に対して約0.5~1、0.5~2、0.5~3、0.5~4、0.5~5、0.5~6、0.5~7、0.5~8、0.5~9、0.5~10、0.5~11、0.5~12、0.5~13、0.5~13.75、0.5~14、0.5~15、0.5~16、0.5~17、0.5~18、0.5~19、0.5~20、0.5~22.5、0.5~25、0.5~27.5、0.5~30、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~11、1~12、1~13、1~13.75、1~14、1~15、1~16、1~17、1~18、1~19、1~20、1~22.5、1~25、1~27.5、1~30、1.5~2、1.5~3、1.5~4、1.5~5、1.5~6、1.5~7、1.5~8、1.5~9、1.5~10、1.5~11、1.5~12、1.5~13、1.5~13.75、1.5~14、1.5~15、1.5~16、1.5~17、1.5~18、1.5~19、1.5~20、1.5~22.5、1.5~25、1.5~27.5、1.5~30、2.5~2、2.5~3、2.5~4、2.5~5、2.5~6、2.5~7、2.5~8、2.5~9、2.5~10、2.5~11、2.5~12、2.5~13、2.5~13.75、2.5~14、2.5~15、2.5~16、2.5~17、2.5~18、2.5~19、2.5~20、2.5~22.5、2.5~25、2.5~27.5、2.5~30、2.5~7.5、3~4、3~5、3~6、3~7、3~8、3~9、3~10、3~11、3~12、3~13、3~13.75、3~14、3~15、3~16、3~17、3~18、3~19、3~20、3~22.5、3~25、3~27.5、3~30、3.5~6.5、3.5~13.75、3.5~15、2.5~17.5、4~5、4~6、4~7、4~8、4~9、4~10、4~11、4~12、4~13、4~13.75、4~14、4~15、4~16、4~17、4~18、4~19、4~20、4~22.5、4~25、4~27.5、4~30、5~6、5~7、5~8、5~9、5~10、5~11、5~12、5~13、5~13.75、5~14、5~15、5~16、5~17、5~18、5~19、5~20、5~22.5、5~25、5~27.5、5~30、6~7、6~8、6~9、6~10、6~11、6~12、6~13、6~13.75、6~14、6~15、6~1
6、6~17、6~18、6~19、6~20、6~22.5、6~25、6~27.5、6~30、7~8、7~9、7~10、7~11、7~12、7~13、7~13.75、7~14、7~15、7~16、7~17、7~18、7~19、7~20、7~22.5、7~25、7~27.5、7~30、7.5~12.5、7.5~13.5、7.5~15、8~9、8~10、8~11、8~12、8~13、8~13.75、8~14、8~15、8~16、8~17、8~18、8~19、8~20、8~22.5、8~25、8~27.5、8~30、9~10、9~11、9~12、9~13、9~13.75、9~14、9~15、9~16、9~17、9~18、9~19、9~20、9~22.5、9~25、9~27.5、9~30、10~11、10~12、10~13、10~13.75、10~14、10~15、10~16、10~17、10~18、10~19、10~20、10~22.5、10~25、10~27.5、10~30、11.5~15.5、12.5~14.5、7.5~22.5、8.5~32.5、9.5~15.5、15.5~24.5、5~35、17.5~22.5、22.5~32.5、25~35、25.5~24.5、27.5~32.5、2~20、t2.5~22.5、又は9.5~21.5mg/mの範囲内の用量で投与される。幾つかの実施形態では前記プリナブリンは体表面積に対して約0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、21.5、22、22.5、23、23.5、24、24.5、25、25.5、26、26.5、27、27.5、28、28.5、29、29.5、30、30.5、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40mg/mの用量で投与される。幾つかの実施形態では前記プリナブリンは体表面積に対して約0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、21.5、22、22.5、23、23.5、24、24.5、25、25.5、26、26.5、27、27.5、28、28.5、29、29.5、30、30.5、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40mg/mより少ない用量で投与される。幾つかの実施形態では前記プリナブリンは体表面積に対して約0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、21.5、22、22.5、23、23.5、24、24.5、25、25.5、26、26.5、27、27.5、28、28.5、29、29.5、30、30.5、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50mg/mを超える用量で投与される。幾つかの実施形態では前記プリナブリンは体表面積に対して約10、13.5、20、又は30mg/mの用量で投与される。幾つかの実施形態では前記プリナブリンは体表面積に対して約20mg/mの用量で投与される。
【0050】
幾つかの実施形態では前記プリナブリン用量は約5mg~100mg又は約10mg~80mgである。幾つかの実施形態では前記プリナブリン用量は約15mg~100mg又は約20mg~80mgである。幾つかの実施形態では前記プリナブリンは約15mg~60mgの範囲内の用量で投与される。幾つかの実施形態では前記プリナブリン用量は約0.5mg~3mg、0.5mg~2mg、0.75mg~2mg、1mg~10mg、1.5mg~10mg、2mg~10mg、3mg~10mg、4mg~10mg、1mg~8mg、1.5mg~8mg、2mg~8mg、3mg~8mg、4mg~8mg、1mg~6mg、1.5mg~6mg、2mg~6mg、3mg~6mg、又は約4m
g~6mgである。幾つかの実施形態では投与される前記プリナブリンは約2mg~6mg又は2mg~4.5mgである。幾つかの実施形態では投与される前記プリナブリンは約5mg~7.5mg、5mg~9mg、5mg~10mg、5mg~12mg、5mg~14mg、5mg~15mg、5mg~16mg、5mg~18mg、5mg~20mg、5mg~22mg、5mg~24mg、5mg~26mg、5mg~28mg、5mg~30mg、5mg~32mg、5mg~34mg、5mg~36mg、5mg~38mg、5mg~40mg、5mg~42mg、5mg~44mg、5mg~46mg、5mg~48mg、5mg~50mg、5mg~52mg、5mg~54mg、5mg~56mg、5mg~58mg、5mg~60mg、7mg~7.7mg、7mg~9mg、7mg~10mg、7mg~12mg、7mg~14mg、7mg~15mg、7mg~16mg、7mg~18mg、7mg~20mg、7mg~22mg、7mg~24mg、7mg~26mg、7mg~28mg、7mg~30mg、7mg~32mg、7mg~34mg、7mg~36mg、7mg~38mg、7mg~40mg、7mg~42mg、7mg~44mg、7mg~46mg、7mg~48mg、7mg~50mg、7mg~52mg、7mg~54mg、7mg~56mg、7mg~58mg、7mg~60mg、9mg~10mg、9mg~12mg、9mg~14mg、9mg~15mg、9mg~16mg、9mg~18mg、9mg~20mg、9mg~22mg、9mg~24mg、9mg~26mg、9mg~28mg、9mg~30mg、9mg~32mg、9mg~34mg、9mg~36mg、9mg~38mg、9mg~40mg、9mg~42mg、9mg~44mg、9mg~46mg、9mg~48mg、9mg~50mg、9mg~52mg、9mg~54mg、9mg~56mg、9mg~58mg、9mg~60mg、10mg~12mg、10mg~14mg、10mg~15mg、10mg~16mg、10mg~18mg、10mg~20mg、10mg~22mg、10mg~24mg、10mg~26mg、10mg~28mg、10mg~30mg、10mg~32mg、10mg~34mg、10mg~36mg、10mg~38mg、10mg~40mg、10mg~42mg、10mg~44mg、10mg~46mg、10mg~48mg、10mg~50mg、10mg~52mg、10mg~54mg、10mg~56mg、10mg~58mg、10mg~60mg、12mg~14mg、12mg~15mg、12mg~16mg、12mg~18mg、12mg~20mg、12mg~22mg、12mg~24mg、12mg~26mg、12mg~28mg、12mg~30mg、12mg~32mg、12mg~34mg、12mg~36mg、12mg~38mg、12mg~40mg、12mg~42mg、12mg~44mg、12mg~46mg、12mg~48mg、12mg~50mg、12mg~52mg、12mg~54mg、12mg~56mg、12mg~58mg、12mg~60mg、15mg~16mg、15mg~18mg、15mg~20mg、15mg~22mg、15mg~24mg、15mg~26mg、15mg~28mg、15mg~30mg、15mg~32mg、15mg~34mg、15mg~36mg、15mg~38mg、15mg~40mg、15mg~42mg、15mg~44mg、15mg~46mg、15mg~48mg、15mg~50mg、15mg~52mg、15mg~54mg、15mg~56mg、15mg~58mg、15mg~60mg、17mg~18mg、17mg~20mg、17mg~22mg、17mg~24mg、17mg~26mg、17mg~28mg、17mg~30mg、17mg~32mg、17mg~34mg、17mg~36mg、17mg~38mg、17mg~40mg、17mg~42mg、17mg~44mg、17mg~46mg、17mg~48mg、17mg~50mg、17mg~52mg、17mg~54mg、17mg~56mg、17mg~58mg、17mg~60mg、20mg~22mg、20mg~24mg、20mg~26mg、20mg~28mg、20mg~30mg、20mg~32mg、20mg~34mg、20mg~36mg、20mg~38mg、20mg~40mg、20mg~42mg、20mg~44mg、20mg~46mg、20mg~48mg、20mg~50mg、20mg~52mg、20mg~54mg、20mg~56mg、20mg~58mg、20mg
~60mg、22mg~24mg、22mg~26mg、22mg~28mg、22mg~30mg、22mg~32mg、22mg~34mg、22mg~36mg、22mg~38mg、22mg~40mg、22mg~42mg、22mg~44mg、22mg~46mg、22mg~48mg、22mg~50mg、22mg~52mg、22mg~54mg、22mg~56mg、22mg~58mg、22mg~60mg、25mg~26mg、25mg~28mg、25mg~30mg、25mg~32mg、25mg~34mg、25mg~36mg、25mg~38mg、25mg~40mg、25mg~42mg、25mg~44mg、25mg~46mg、25mg~48mg、25mg~50mg、25mg~52mg、25mg~54mg、25mg~56mg、25mg~58mg、25mg~60mg、27mg~28mg、27mg~30mg、27mg~32mg、27mg~34mg、27mg~36mg、27mg~38mg、27mg~40mg、27mg~42mg、27mg~44mg、27mg~46mg、27mg~48mg、27mg~50mg、27mg~52mg、27mg~54mg、27mg~56mg、27mg~58mg、27mg~60mg、30mg~32mg、30mg~34mg、30mg~36mg、30mg~38mg、30mg~40mg、30mg~42mg、30mg~44mg、30mg~46mg、30mg~48mg、30mg~50mg、30mg~52mg、30mg~54mg、30mg~56mg、30mg~58mg、30mg~60mg、33mg~34mg、33mg~36mg、33mg~38mg、33mg~40mg、33mg~42mg、33mg~44mg、33mg~46mg、33mg~48mg、33mg~50mg、33mg~52mg、33mg~54mg、33mg~56mg、33mg~58mg、33mg~60mg、36mg~38mg、36mg~40mg、36mg~42mg、36mg~44mg、36mg~46mg、36mg~48mg、36mg~50mg、36mg~52mg、36mg~54mg、36mg~56mg、36mg~58mg、36mg~60mg、40mg~42mg、40mg~44mg、40mg~46mg、40mg~48mg、40mg~50mg、40mg~52mg、40mg~54mg、40mg~56mg、40mg~58mg、40mg~60mg、43mg~46mg、43mg~48mg、43mg~50mg、43mg~52mg、43mg~54mg、43mg~56mg、43mg~58mg、42mg~60mg、45mg~48mg、45mg~50mg、45mg~52mg、45mg~54mg、45mg~56mg、45mg~58mg、45mg~60mg、48mg~50mg、48mg~52mg、48mg~54mg、48mg~56mg、48mg~58mg、48mg~60mg、50mg~52mg、50mg~54mg、50mg~56mg、50mg~58mg、50mg~60mg、52mg~54mg、52mg~56mg、52mg~58mg、又は52mg~60mgである。幾つかの実施形態では前記プリナブリン用量は約0.5mg、1mg、1.5mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、約10mg、約12.5mg、約13.5mg、約15mg、約17.5mg、約20mg、約22.5mg、約25mg、約27mg、約30mg、又は約40mgを超える。幾つかの実施形態では前記プリナブリン用量は約1mg、1.5mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、約10mg、約12.5mg、約13.5mg、約15mg、約17.5mg、約20mg、約22.5mg、約25mg、約27mg、約30mg、約40mg、又は約50mgより少ない。
【0051】
本明細書に記載されるチェックポイント阻害剤の実際の用量はその特定の化合物、及び治療する症状に依存し、適切な用量を選択することは十分に当業者の知識の範囲内にある。幾つかの実施形態では本明細書に記載される方法は体重に対して約0.01mg/kg~約250mg/kg、体重に対して約0.1mg/kg~約200mg/kg、体重に対して約0.25mg/kg~約120mg/kg、体重に対して約0.5mg/kg~約70mg/kg、体重に対して約1.0mg/kg~約50mg/kg、体重に対して約1.0mg/kg~約15mg/kg、体重に対して約2.0mg/kg~約15mg
/kg、体重に対して約3.0mg/kg~約12mg/kg、又は体重に対して約5.0mg/kg~約10mg/kgの範囲内にある用量でチェックポイント阻害剤を投与することを含む。幾つかの実施形態では本明細書に記載される方法は体重に対して0.5~1、0.5~2、0.5~3、0.5~4、0.5~5、0.5~6、0.5~7、0.5~8、0.5~9、0.5~10、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~20、1~30、1~40、1~50、1~60、1~70、1~80、1~90、1~100、2.5~5、2.5~10、2.5~20、2.5~30、2.5~40、2.5~50、2.5~60、2.5~70、2.5~80、2.5~90、2.5~100、3~5、3~10、3~20、3~30、3~40、3~50、3~60、3~70、3~80、3~90、3~100、5~10、5~20、5~30、5~40、5~50、5~60、5~70、5~80、5~90、5~100、7.5~10、7.5~20、7.5~30、7.5~40、7.5~50、7.5~60、7.5~70、7.5~80、7.5~90、7.5~100、10~10、10~20、10~30、10~40、10~50、10~60、10~70、10~80、10~90、10~100、10~150、10~200、20~30、20~40、20~50、20~60、20~70、20~80、20~90、20~100、20~150、20~200、30~40、30~50、30~60、30~70、30~80、30~90、30~100、30~150、30~200、40~50、40~60、40~70、40~80、40~90、40~100、40~150、40~200、40~300、50~60、50~70、50~80、50~90、50~100、50~150、50~200、50~250、50~300、60~80、60~100、60~150、60~200、70~100、70~150、70~200、70~250、70~300、80~100、80~150、80~200、80~250、80~300、90~100、90~150、90~200、90~250、90~300、90~350、90~400、100~150、100~200、100~250、100~300、100~350、又は100~400mg/kgの範囲内の用量でチェックポイント阻害剤を投与することを含む。幾つかの実施形態では本明細書に記載される前記チェックポイント阻害剤は体重に対して約0.1、0.25、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22.5、25、27.5、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100mg/kgの用量で投与されてもよい。幾つかの実施形態では本明細書に記載される方法は約3mg/kgの用量でチェックポイント阻害剤を投与することを含む。幾つかの実施形態では本明細書に記載される方法は3週間毎に約3mg/kgの用量で合計4用量分のチェックポイント阻害剤を投与することを含む。
【0052】
幾つかの実施形態では前記チェックポイント阻害剤は一用量当たり約0.5~1、0.5~2、0.5~3、0.5~4、0.5~5、0.5~6、0.5~7、0.5~8、0.5~9、0.5~10、.2.5~3、2.5~4、2.5~5、2.5~6、2.5~7、2.5~8、2.5~9、2.5~10、3~10、5~10、1~10、1~20、1~30、1~40、1~50、1~60、1~70、1~80、1~90、1~100、2.5~10、2.5~20、2.5~30、2.5~40、2.5~50、2.5~60、2.5~70、2.5~80、2.5~90、2.5~100、5~10、5~20、5~30、5~40、5~50、5~60、5~70、5~80、5~90、5~100、7.5~10、7.5~20、7.5~30、7.5~40、7.5~50、7.5~60、7.5~70、7.5~80、7.5~90、7.5~100、10~10、10~20、10~30、10~40、10~50、10~60、10~70、10~80、10~90、10~100、10~150、10~200、20~30、20~40、20~50、20~60、20~70、20~80、20~90、20~100、20~150、20~200、30~40、30~50、30~60、30~70、3
0~80、30~90、30~100、30~150、30~200、40~50、40~60、40~70、40~80、40~90、40~100、40~150、40~200、40~300、50~60、50~70、50~80、50~90、50~100、50~150、50~200、50~250、50~300、60~80、60~100、60~150、60~200、70~100、70~150、70~200、70~250、70~300、70~500、70~750、70~1000、70~1500、70~2000、70~3000、80~100、80~150、80~200、80~250、80~300、80~500、80~750、80~1000、80~1500、80~2000、80~3000、90~100、90~150、90~200、90~250、90~300、90~350、90~400、90~500、90~750、90~1000、90~1500、90~2000、90~3000、100~150、100~200、100~250、100~300、100~350、100~400、100~500、100~600、100~700、100~800、100~900、100~1000、100~1500、100~2000、100~2500、100~3000、100~3500、100~4000、200~500、200~700、200~1000、200~1500、200~2000、200~2500、200~3000、200~3500、200~4000、500~1000、500~1500、500~2000、500~2500、500~3000、500~3500、又は500~4000mgの量で投与される。幾つかの実施形態では前記チェックポイント阻害剤は一用量当たり約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.25、1.5、1.75、2、2.25、2.5、2.75、3、3.25、3.5、3.75、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、12.5、15、17.5、20、22.5、25、27.5、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、1000、1100、1200、1250、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、4000、4100、4200、4300、4400、4500、4600、4700、4800、4900、又は5000mgの量で投与される。幾つかの実施形態では前記チェックポイント阻害剤は一用量当たり約25mg、50mg、又は100mgの量で投与される。
【0053】
幾つかの実施形態では本明細書に記載される方法は体重に対して約0.5~1、0.5~2、0.5~3、0.5~4、0.5~5、0.5~6、0.5~7、0.5~8、0.5~9、0.5~10、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~20、1~30、1~40、1~50、1~60、1~70、1~80、1~90、1~100、2~3、2~4、2~5、2~6、2~7、2~8、2~9、2~10、2~20、2~30、2~40、2~50、2~60、2~70、2~80、2~90、2~100、2.5~3、2.5~3.5、2.5~4、2.5~5、2.5~6、2.5~7、2.5~9、2.5~10、3~4、3~5、3~6、3~7、3~8、3~9、3~10、5~10、5~20、5~30、5~40、5~50、5~60、5~70、5~80、5~90、5~100、7.5~10、7.5~20、7.5~30、7.5~40、7.5~50、7.5~60、7.5~70、7.5~80、7.5~90、7.5~100、10~10、10~20、10~30、10~40、10~50、10~60、10~70、10~80、10~90、10~100、10~150、10~200、20~30、20~40、20~50、20~60、20~70、20~80、20~90、20~100、20~150、20~200、30~40、30~50、30~60、30~70、30~80、30~90、30~100、30~
150、30~200、40~50、40~60、40~70、40~80、40~90、40~100、40~150、40~200、40~300、50~60、50~70、50~80、50~90、50~100、50~150、50~200、50~250、50~300、60~80、60~100、60~150、60~200、70~100、70~150、70~200、70~250、70~300、80~100、80~150、80~200、80~250、80~300、90~100、90~150、90~200、90~250、90~300、90~350、90~400、100~150、100~200、100~250、100~300、100~350、又は100~400mg/kgの範囲内の用量でPD-1の阻害剤を投与することを含む。幾つかの実施形態では本明細書に記載される方法は体重に対して約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.25、1.5、1.75、2、2.25、2.5、2.75、3、3.25、3.5、3.75、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、12.5、15、17.5、20、22.5、25、27.5、30、40、50、60、70、80、90、又は100mg/kgの用量で前記PD-1阻害剤を投与することを含む。幾つかの実施形態では前記PD-1阻害剤は約3mg/kgの用量で投与される。幾つかの実施形態では前記PD-1阻害剤は約2mg/kgの用量で投与される。
【0054】
幾つかの実施形態では前記PD-1阻害剤は一用量当たり約1~10、1~20、1~30、1~40、1~50、1~60、1~70、1~80、1~90、1~100、1~150、1~200、1~250、1~300、1~500、2.5~3、2.5~4、2.5~5、2.5~6、2.5~7、2.5~8、2.5~9、2.5~10、2.5~20、2.5~30、2.5~40、2.5~50、2.5~60、2.5~70、2.5~80、2.5~90、2.5~100、2.5~200、2.5~250、2.5~300、2.5~500、3~10、3~20、3~30、3~40、3~50、3~60、3~70、3~80、3~90、3~100、3~200、3~250、3~300、3~500、5~10、5~10、5~20、5~30、5~40、5~50、5~60、5~70、5~80、5~90、5~100、7.5~10、7.5~20、7.5~30、7.5~40、7.5~50、7.5~60、7.5~70、7.5~80、7.5~90、7.5~100、10~10、10~20、10~30、10~40、10~50、10~60、10~70、10~80、10~90、10~100、10~150、10~200、20~30、20~40、20~50、20~60、20~70、20~80、20~90、20~100、20~150、20~200、30~40、30~50、30~60、30~70、30~80、30~90、30~100、30~150、30~200、40~50、40~60、40~70、40~80、40~90、40~100、40~150、40~200、40~300、50~60、50~70、50~80、50~90、50~100、50~150、50~200、50~250、50~300、60~80、60~100、60~150、60~200、70~100、70~150、70~200、70~250、70~300、70~500、70~750、70~1000、70~1500、70~2000、70~3000、80~100、80~150、80~200、80~250、80~300、80~500、80~750、80~1000、80~1500、80~2000、80~3000、90~100、90~150、90~200、90~250、90~300、90~350、90~400、90~500、90~750、90~1000、90~1500、90~2000、90~3000、100~150、100~200、100~250、100~300、100~350、100~400、100~500、100~600、100~700、100~800、100~900、100~1000、100~1500、100~2000、100~2500、100~3000、100~3500、100~4000、200~500、200~700、200~1000、200~1500、200~2000、200~2500、200~3000、200~3500、200~400
0、500~1000、500~1500、500~2000、500~2500、500~3000、500~3500、又は500~4000mgの量で投与される。幾つかの実施形態では前記PD-1阻害剤は一用量当たり約10~30、10~50、10~80、10~100、10~125、10~150、10~175、10~200、10~250、10~300、10~400、20~50、20~100、20~125、20~150、20~175、20~200、20~250、20~300、20~400、30~50、30~80、30~100、30~125、30~150、30~175、30~200、30~250、30~300、30~400、40~50、40~80、40~100、40~125、40~150、40~175、40~200、40~250、40~300、40~400、50~80、50~100、50~125、50~150、50~175、50~200、50~250、50~300、又は50~400mgの量で投与される。幾つかの実施形態では前記PD-1阻害剤(例えば、ニボルマブ又はペムブロリズマブ)は一用量当たり約50~350mg、一用量当たり約100~300mg、又は一用量当たり約150~250mgの量で投与される。幾つかの実施形態では前記PD-1阻害剤(例えば、ニボルマブ又はペムブロリズマブ)は一用量当たり約200mgの量で投与される。幾つかの実施形態では前記PD-1阻害剤(例えば、ニボルマブ又はペムブロリズマブ)は一用量当たり約240mgの量で投与される。
【0055】
幾つかの実施形態では本明細書に記載される方法は体重に対して約0.5~1、0.5~2、0.5~3、0.5~4、0.5~5、0.5~6、0.5~7、0.5~8、0.5~9、0.5~10、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~20、1~30、1~40、1~50、1~60、1~70、1~80、1~90、1~100、2~3、2~4、2~5、2~6、2~7、2~8、2~9、2~10、2~20、2~30、2~40、2~50、2~60、2~70、2~80、2~90、2~100、2.5~3、2.5~3.5、2.5~4、2.5~5、2.5~6、2.5~7、2.5~9、2.5~10、3~4、3~5、3~6、3~7、3~8、3~9、3~10、5~10、5~20、5~30、5~40、5~50、5~60、5~70、5~80、5~90、5~100、7.5~10、7.5~20、7.5~30、7.5~40、7.5~50、7.5~60、7.5~70、7.5~80、7.5~90、7.5~100、10~10、10~20、10~30、10~40、10~50、10~60、10~70、10~80、10~90、10~100、10~150、10~200、20~30、20~40、20~50、20~60、20~70、20~80、20~90、20~100、20~150、20~200、30~40、30~50、30~60、30~70、30~80、30~90、30~100、30~150、30~200、40~50、40~60、40~70、40~80、40~90、40~100、40~150、40~200、40~300、50~60、50~70、50~80、50~90、50~100、50~150、50~200、50~250、50~300、60~80、60~100、60~150、60~200、70~100、70~150、70~200、70~250、70~300、80~100、80~150、80~200、80~250、80~300、90~100、90~150、90~200、90~250、90~300、90~350、90~400、100~150、100~200、100~250、100~300、100~350、又は100~400mg/kgの範囲内の用量でPD-L1の阻害剤を投与することを含む。幾つかの実施形態では本明細書に記載される方法は体重に対して約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.25、1.5、1.75、2、2.25、2.5、2.75、3、3.25、3.5、3.75、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、12.5、15、17.5、20、22.5、25、27.5、30、40、50、60、70、80、90、又は100mg/kgの用量で前記PD-L1阻害剤を投与することを含む。
【0056】
幾つかの実施形態では前記PD-L1阻害剤(例えば、アテゾリズマブ)は一用量当たり約1~10、1~20、1~30、1~40、1~50、1~60、1~70、1~80、1~90、1~100、1~150、1~200、1~250、1~300、1~500、2.5~3、2.5~4、2.5~5、2.5~6、2.5~7、2.5~8、2.5~9、2.5~10、2.5~20、2.5~30、2.5~40、2.5~50、2.5~60、2.5~70、2.5~80、2.5~90、2.5~100、2.5~200、2.5~250、2.5~300、2.5~500、3~10、3~20、3~30、3~40、3~50、3~60、3~70、3~80、3~90、3~100、3~200、3~250、3~300、3~500、5~10、5~10、5~20、5~30、5~40、5~50、5~60、5~70、5~80、5~90、5~100、7.5~10、7.5~20、7.5~30、7.5~40、7.5~50、7.5~60、7.5~70、7.5~80、7.5~90、7.5~100、10~10、10~20、10~30、10~40、10~50、10~60、10~70、10~80、10~90、10~100、10~150、10~200、20~30、20~40、20~50、20~60、20~70、20~80、20~90、20~100、20~150、20~200、30~40、30~50、30~60、30~70、30~80、30~90、30~100、30~150、30~200、40~50、40~60、40~70、40~80、40~90、40~100、40~150、40~200、40~300、50~60、50~70、50~80、50~90、50~100、50~150、50~200、50~250、50~300、60~80、60~100、60~150、60~200、70~100、70~150、70~200、70~250、70~300、70~500、70~750、70~1000、70~1500、70~2000、70~3000、80~100、80~150、80~200、80~250、80~300、80~500、80~750、80~1000、80~1500、80~2000、80~3000、90~100、90~150、90~200、90~250、90~300、90~350、90~400、90~500、90~750、90~1000、90~1500、90~2000、90~3000、100~150、100~200、100~250、100~300、100~350、100~400、100~500、100~600、100~700、100~800、100~900、100~1000、100~1500、100~2000、100~2500、100~3000、100~3500、100~4000、200~500、200~700、200~1000、200~1500、200~2000、200~2500、200~3000、200~3500、200~4000、500~1000、500~1500、500~2000、500~2500、500~3000、500~3500、又は500~4000mgの量で投与される。幾つかの実施形態では前記PD-L1阻害剤は一用量当たり約500~1500、600~1500、700~1500、800~1500、900~1500、1000~1500、又は1100~1300mgの量で投与される。幾つかの実施形態では前記PD-L1阻害剤は一用量当たり約1200mgの量で投与される。
【0057】
幾つかの実施形態では本明細書に記載される方法は体重に対して約0.5~1、0.5~2、0.5~3、0.5~4、0.5~5、0.5~6、0.5~7、0.5~8、0.5~9、0.5~10、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~20、1~30、1~40、1~50、1~60、1~70、1~80、1~90、1~100、2~3、2~4、2~5、2~6、2~7、2~8、2~9、2~10、2~20、2~30、2~40、2~50、2~60、2~70、2~80、2~90、2~100、2.5~3、2.5~3.5、2.5~4、2.5~5、2.5~6、2.5~7、2.5~9、2.5~10、3~4、3~5、3~6、3~7、3~8、3~9、3~10、5~10、5~20、5~30、5~40、5~50、5~60、5~70、5~80、5~90、5~100、7.5~10、7.5~20、7.5~30、7.5~40、7.5~50、7.5~60、7.5~70、7.5~80
、7.5~90、7.5~100、10~10、10~20、10~30、10~40、10~50、10~60、10~70、10~80、10~90、10~100、10~150、10~200、20~30、20~40、20~50、20~60、20~70、20~80、20~90、20~100、20~150、20~200、30~40、30~50、30~60、30~70、30~80、30~90、30~100、30~150、30~200、40~50、40~60、40~70、40~80、40~90、40~100、40~150、40~200、40~300、50~60、50~70、50~80、50~90、50~100、50~150、50~200、50~250、50~300mg/kgの範囲内の用量でCTLA-4の阻害剤(例えば、イピリムマブ)を投与することを含む。幾つかの実施形態では本明細書に記載される方法は体重に対して約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.25、1.5、1.75、2、2.25、2.5、2.75、3、3.25、3.5、3.75、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、12.5、15、17.5、20、22.5、25、27.5、30、40、50、60、70、80、90、又は100mg/kgの用量で前記CTLA-4阻害剤を投与することを含む。幾つかの実施形態では前記CTLA-4阻害剤は約3mg/kgの用量で投与される。幾つかの実施形態では前記CTLA-4阻害剤は3mg/kgより低い用量で投与される。幾つかの実施形態では前記CTLA-4阻害剤は約0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、又は4mg/kgの用量で投与される。幾つかの実施形態では前記CTLA-4阻害剤(例えば、イピリムマブ)は約3mg/kgの用量で投与される。
【0058】
幾つかの実施形態では前記CTLA-4阻害剤は一用量当たり約1~10、1~20、1~30、1~40、1~50、1~60、1~70、1~80、1~90、1~100、1~150、1~200、1~250、1~300、1~500、2.5~3、2.5~4、2.5~5、2.5~6、2.5~7、2.5~8、2.5~9、2.5~10、2.5~20、2.5~30、2.5~40、2.5~50、2.5~60、2.5~70、2.5~80、2.5~90、2.5~100、2.5~200、2.5~250、2.5~300、2.5~500、3~10、3~20、3~30、3~40、3~50、3~60、3~70、3~80、3~90、3~100、3~200、3~250、3~300、3~500、5~10、5~10、5~20、5~30、5~40、5~50、5~60、5~70、5~80、5~90、5~100、7.5~10、7.5~20、7.5~30、7.5~40、7.5~50、7.5~60、7.5~70、7.5~80、7.5~90、7.5~100、10~10、10~20、10~30、10~40、10~50、10~60、10~70、10~80、10~90、10~100、10~150、10~200、20~30、20~40、20~50、20~60、20~70、20~80、20~90、20~100、20~150、20~200、30~40、30~50、30~60、30~70、30~80、30~90、30~100、30~150、30~200、40~50、40~60、40~70、40~80、40~90、40~100、40~150、40~200、40~300、50~60、50~70、50~80、50~90、50~100、50~150、50~200、50~250、50~300、60~80、60~100、60~150、60~200、70~100、70~150、70~200、70~250、70~300、70~500、70~750、70~1000、70~1500、70~2000、70~3000、80~100、80~150、80~200、80~250、80~300、80~500、80~750、80~1000、80~1500、80~2000、80~3000、90~100、90~150、90~200、90~250、90~300、90~350、90~400、90~500、90~750、90~1000、90~1500、90~2000、90~3000、100~150、100~200、100~250、100~300、100~350、100~400、100~500、100~600、10
0~700、100~800、100~900、100~1000、100~1500、100~2000、100~2500、100~3000、100~3500、100~4000、200~500、200~700、200~1000、200~1500、200~2000、200~2500、200~3000、200~3500、200~4000、500~1000、500~1500、500~2000、500~2500、500~3000、500~3500、又は500~4000mgの量で投与される。幾つかの実施形態では前記CTLA-4阻害剤は一用量当たり約10~30、10~50、10~80、10~100、10~125、10~150、10~175、10~200、10~250、10~300、10~400、20~50、20~100、20~125、20~150、20~175、20~200、20~250、20~300、20~400、30~50、30~80、30~100、30~125、30~150、30~175、30~200、30~250、30~300、30~400、40~50、40~80、40~100、40~125、40~150、40~175、40~200、40~250、40~300、40~400、50~80、50~100、50~125、50~150、50~175、50~200、50~250、50~300、又は50~400mgの量で投与される。
【0059】
幾つかの実施形態ではプリナブリンの使用によってグレード3/4の免疫療法関連有害事象の発生率が少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、10%、12.5%、15%、17.5%、20%、22.5%、25%、27.5%、30%、32.5%、35%、37.5%、40%、42.5%、45%、47.5%、50%、52.5%、55%、57.5%、60%、62.5%、65%、67.5%、70%、72.5%、75%、77.5%、80%、82.5%、85%、87.5%、90%、95%、又は100%低下し得る。幾つかの実施形態ではプリナブリンの使用によってグレード3/4の免疫療法関連有害事象の発生率が少なくとも約5%、10%、12.5%、15%、17.5%、20%、22.5%、25%、27.5%、30%、32.5%、35%、37.5%、40%、42.5%、45%、47.5%、50%、52.5%、55%、57.5%、60%、62.5%、65%、67.5%、70%、72.5%、75%、77.5%、80%、82.5%、85%、87.5%、90%、95%、又は100%低下し得る。幾つかの実施形態ではプリナブリンの使用によってグレード3/4の免疫療法関連有害事象の発生率が約5%未満、10%未満、12.5%未満、15%未満、17.5%未満、20%未満、22.5%未満、25%未満、27.5%未満、30%未満、32.5%未満、35%未満、37.5%未満、40%未満、42.5%未満、45%未満、47.5%未満、50%未満、52.5%未満、55%未満、57.5%未満、60%未満、62.5%未満、65%未満、67.5%未満、70%未満、72.5%未満、75%未満、77.5%未満、80%未満、82.5%未満、85%未満、87.5%未満、90%未満、95%未満、又は100%未満の割合だけ低下し得る。幾つかの実施形態ではプリナブリンの使用によってグレード3/4の免疫療法関連有害事象の発生率が約1%~5%、1%~10%、1%~15%、1%~20%、1%~30%、1%~40%、1%~50%、2.5%~10%、2.5%~15%、2.5%~20%、2.5%~30%、5%~10%、5%~15%、5%~20%、5%~30%、5%~40%、10%~40%、12.5%~40%、5%~50%、10%~50%、12.5%~50%、15%~50%、17.5%~50%、20%~50%、25%~50%、27.5%~50%、30%~50%、5%~60%、10%~60%、12.5%~60%、15%~60%、17.5%~60%、20%~60%、25%~60%、27.5%~60%、30%~60%、35%~60%、37.5%~60%、40%~60%、45%~70%、又は50%~80%の範囲内の割合だけ低下し得る。
【0060】
幾つかの実施形態ではプリナブリンの使用によってグレード3/4の免疫療法関連有害事象の期間が約1%、2%、3%、4%、5%、10%、12.5%、15%、17.5
%、20%、22.5%、25%、27.5%、30%、32.5%、35%、37.5%、40%、42.5%、45%、47.5%、50%、52.5%、55%、57.5%、60%、62.5%、65%、67.5%、70%、72.5%、75%、77.5%、80%、82.5%、85%、87.5%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、225%、250%、275%、300%、350%400%、450%、500%、600%、700%、800%、900%、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、又は16倍の割合だけ減少し得る。幾つかの実施形態ではプリナブリンの使用によってグレード3/4の免疫療法関連有害事象の期間が約1%超、2%超、3%超、4%超、5%超、10%超、12.5%超、15%超、17.5%超、20%超、22.5%超、25%超、27.5%超、30%超、32.5%超、35%超、37.5%超、40%超、42.5%超、45%超、47.5%超、50%超、52.5%超、55%超、57.5%超、60%超、62.5%超、65%超、67.5%超、70%超、72.5%超、75%超、77.5%超、80%超、82.5%超、85%超、87.5%超、90%超、95%超、100%超、110%超、120%超、130%超、140%超、150%超、160%超、170%超、180%超、190%超、200%超、225%超、250%超、275%超、300%超、350%400%超、450%超、500%超、600%超、700%超、800%超、900%超、10倍超、11倍超、12倍超、13倍超、14倍超、15倍超、又は16倍超の割合だけ減少し得る。幾つかの実施形態ではプリナブリンの使用によってグレード3/4の免疫療法関連有害事象の期間が約5%未満、10%未満、12.5%未満、15%未満、17.5%未満、20%未満、22.5%未満、25%未満、27.5%未満、30%未満、32.5%未満、35%未満、37.5%未満、40%未満、42.5%未満、45%未満、47.5%未満、50%未満、52.5%未満、55%未満、57.5%未満、60%未満、62.5%未満、65%未満、67.5%未満、70%未満、72.5%未満、75%未満、77.5%未満、80%未満、82.5%未満、85%未満、87.5%未満、90%未満、95%未満、100%未満、110%未満、120%未満、130%未満、140%未満、150%未満、160%未満、170%未満、180%未満、190%未満、200%未満、225%未満、250%未満、275%未満、300%未満、350%400%未満、450%未満、500%未満、600%未満、700%未満、800%未満、900%未満、10倍未満、11倍未満、12倍未満、13倍未満、14倍未満、15倍未満、又は16倍未満の割合だけ減少し得る。幾つかの実施形態ではプリナブリンの使用によってグレード3/4の免疫療法関連有害事象の期間が約5%~10%、5%~20%、5%~30%、5%~40%、5%~50%、5%~60%、5%~70%、5%~80%、5%~100%、5%~2倍、5%~5倍、5%~15倍、20%~10倍、又は50%~500%の範囲内の割合だけ減少し得る。
【0061】
幾つかの実施形態は炎症性の皮膚症状又は関節症状を対象において治療又は予防する方法であって、必要とする前記対象にプリナブリンの有効量を局所投与することを含む前記方法に関する。
【0062】
幾つかの実施形態では前記皮膚又は関節疾患は乾癬である。幾つかの実施形態では前記皮膚又は関節疾患は関節炎である。幾つかの実施形態では前記皮膚又は関節疾患はリウマチ性関節炎である。幾つかの実施形態では前記皮膚又は関節疾患は強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、サルコイドーシス、全身性エリテマトーデス、又はアトピー性皮膚炎から選択される。
【0063】
幾つかの実施形態は慢性関節リウマチ、慢性閉塞性肺疾患、喘息、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、サルコイドーシス、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、アトピー性皮膚炎、及び多発性硬化症からなる群より選択される炎症性疾患を対象において治療又は予防
する方法であって、必要とする前記対象にプリナブリンの有効量を投与することを含む前記方法に関する。
【0064】
幾つかの実施形態では前記プリナブリンは非経口的に投与される。幾つかの実施形態では前記プリナブリンは経口的に投与される。幾つかの実施形態では前記プリナブリンは局所的に投与される。
【0065】
幾つかの実施形態は慢性閉塞性肺疾患又は喘息を対象において治療又は予防する方法であって、必要とする前記対象に吸入器を介してプリナブリンの有効量を投与することを含む前記方法に関する。
【0066】
組成物及び投与
本明細書に記載される方法はプリナブリンを含む組成物を投与することを含み得る。幾つかの実施形態では本明細書に記載される前記組成物は1種類以上の薬学的に許容可能な希釈剤を含み得る。幾つかの実施形態では前記薬学的に許容可能な希釈剤はコリフォール(登録商標)HS15(ポリエチレングリコール(15)-ヒドロキシステアレート)を含み得る。幾つかの実施形態では前記薬学的に許容可能な希釈剤はコリフォール(登録商標)EL、コリフォール(登録商標)RH40、コリフォール(登録商標)P188、コリフォール(登録商標)P407、及びコリフォール(登録商標)F-68を含み得る。幾つかの実施形態では前記薬学的に許容可能な希釈剤はプロピレングリコールを含み得る。幾つかの実施形態では前記薬学的に許容可能な希釈剤はコリフォールとプロピレングリコールを含み得る。幾つかの実施形態では前記薬学的に許容可能な希釈剤はコリフォールとプロピレングリコールを含む場合があり、その場合にその希釈剤の総重量に対してそのコリフォールは約40重量%であり、プロピレングリコールは約60重量%である。幾つかの実施形態では前記組成物は1種類以上の他の薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含み得る。
【0067】
幾つかの実施形態は血管の増殖又は密度を低下させることなくPDE4活性を阻害するために有効である濃度でプリナブリンを含む局所製剤に関する。
【0068】
皮膚、爪、毛髪、手、又は足に適用される場合に前記局所製剤中のプリナブリンの量は適用部位について局所的に、又はその物質中の有効成分の経皮移行の結果として全身的に所望の薬理学的成果を生じるのに充分である。
【0069】
幾つかの実施形態は製剤全体の重量に対して約0.1%~約10%の範囲内の濃度でプリナブリンを含む局所製剤に関する。幾つかの実施形態ではプリナブリンは前記製剤全体の重量に対して約0.05%~0.1%、0.05%~0.2%、0.05%~0.3、0.05%~0.4%、0.05%~0.5%、0.05%~1%、0.05%~2%、0.05%~3%、0.05%~4%、0.05%~5%、0.05%~6%、0.05%~7%、0.05%~8%、0.05%~9%、0.05%~10%、0.1%~0.2%、0.1%~0.3、0.1%~0.4%、0.1%~0.5%、0.1%~1%、0.1%~2%、0.1%~3%、0.1%~4%、0.1%~5%、0.1%~6%、0.1%~7%、0.1%~8%、0.1%~9%、0.1%~10%、0.5%~1%、0.5%~2%、0.5%~3%、0.5%~4%、0.5%~5%、0.5%~6%、0.5%~7%、0.5%~8%、0.5%~9%、0.1%~0.2%、1%~2%、1%~3%、1%~4%、1%~5%、1%~6%、1%~7%、1%~8%、1%~9%、1%~10%、2%~3%、2%~4%、2%~5%、2%~6%、2%~7%、2%~8%、2%~9%、2%~10%、3%~4%、3%~5%、3%~6%、3%~7%、3%~8%、3%~9%、3%~10%、4%~5%、4%~6%、4%~7%、4%~8%、4%~9%、4%~10%、5%~6%、5%~7%、5%~8%、5%~
9%、5%~10%、6%~7%、6%~8%、6%~9%、6%~10%、7%~8%、7%~9%、7%~10%、8%~9%、9%~10%、1%~20%、又は5%~20%の範囲内の濃度である。幾つかの実施形態ではプリナブリンの濃度は前記製剤全体の重量に対して約0.5%~2.5%、1%~3%、又は2%~4%の範囲内にある。幾つかの実施形態ではプリナブリンは前記製剤全体の重量に対して約0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、又は10%の濃度を有する。幾つかの実施形態ではプリナブリンは前記製剤全体の重量に対して約0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、又は10%を超える濃度を有する。幾つかの実施形態ではプリナブリンは前記製剤全体の重量に対して約2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、又は10%より低い濃度を有する。幾つかの実施形態ではプリナブリンは前記製剤全体の重量に対して約0.1%、0.2%、0.3%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、又は10%の濃度を有する。
【0070】
幾つかの実施形態では前記局所製剤は白色ワセリン、プロピレングリコール、モノグリセリドとジグリセリド、パラフィン、ブチル化ヒドロキシトルエン、又はエデト酸カルシウム二ナトリウムから選択される1種類以上の成分を含む。幾つかの実施形態では前記局所製剤はポリオキシル15ヒドロキシステアレートを含む。
【0071】
前記局所製剤は、限定されないが、重合体、増粘剤、緩衝剤、中和剤、キレート剤、保存剤、界面活性剤又は乳化剤、抗酸化剤、ワックス又はオイル、軟化剤、日焼け止め剤、及び溶媒又は混合溶媒系を含む場合がある液体又は半固体のベヒクルを含み得る。その溶媒又は混合溶媒系は主に前記薬品を溶解する役を担っているために製剤にとって重要である。最も好適な溶媒又は混合溶媒系は貧溶媒の前記製剤への添加にも関わらず溶液中の前記薬品の臨床的に適切なレベルを維持することもできる。本対象の発明において有用な前記局所組成物は様々なタイプの製品にされ得る。これらには何よりもパッチ剤、外用水薬、クリーム剤、ゲル剤、スティック剤、スプレー剤、軟膏、ペースト剤、フォーム剤、ムース剤、マスク剤、眼軟膏、点眼剤又は点耳剤、含浸包帯、ワイプ、石鹸を含むクレンザー、ボディウォッシュとシャンプー、並びに化粧下地、チークカラー、リップスティック、及びアイシャドウなどの化粧品が含まれるがこれらに限定されない。これらのタイプの製品は粒子、ナノ粒子、及びリポソームを含むがこれらに限定されない数種類の担体系を含み得る。前記製剤は身体の所望の標的部位への送達を最大化するように選択され得る。前記製剤は様々な従来の着色料、芳香剤、増粘剤、保存剤、保水剤、軟化剤、粘滑剤、可溶化賦形剤、分散剤、浸透増強剤、可塑剤、保存剤、安定化剤、抗乳化剤、湿潤剤、日焼け止め剤、乳化剤、保湿剤、収斂剤、防臭剤等を含むこともでき、それらの薬剤は例えば前記局所調製の触感や外観の改善などの付加的な利益を加えるために添加され得る。
【0072】
幾つかの実施形態では前記製剤は外用水薬、クリーム剤、軟膏、ゲル剤、乳剤、又は懸濁剤の形態である。
【0073】
外用水薬は皮膚、爪、毛髪、かぎ爪、又は蹄の表面に摩擦なく適用される製剤であり、液体製剤、又は細かく分割された固形物、ワックス、又は液体が中に分散している半液体製剤であることが典型的である。外用水薬は典型的にはより良い分散体を作製するための懸濁剤並びに皮膚、爪、毛髪、かぎ爪、又は蹄に前記活性薬剤を局在させて保持するために有用な化合物、例えば、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース等を含むことになる。
【0074】
本発明に従う送達のための前記活性薬剤を含有するクリーム剤は粘性のある液体又は半固体の水中油型乳剤又は油中水型乳剤である。クリーム剤の基剤は水洗可能であり、且つ
、油相、乳化剤、及び水相を含む。その油相は概してワセリン又はセチルアルコール若しくはステアリルアルコールなどの脂肪族アルコールから構成され、その水相は必ずというわけではないが油相よりも体積が大きいことが通常であり、概して保水剤を含む。
【0075】
ゲル製剤も本発明に関連して使用可能である。局所薬品製剤分野の当業者が理解するように、ゲル剤は半固体である。単相ゲル剤は、典型的には水性であるが溶媒又は溶媒混合物でもよい液体担体に実質的に均一に分布した有機巨大分子を含有する。様々な実施形態において従来のゲル化剤が使用可能である。例となる実施形態ではセルロース又はその誘導体が使用される。例となる実施形態ではメトセルE4Mなどのヒドロキシプロピルメチルセルロースが使用される。他のゲル化剤にはメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースアセテート、エチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びセルロースガムが挙げられる。セルロースベースのゲル化剤、特にヒドロキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースが幾つかの実施形態でも有用である。幾つかの実施形態ではカーボポールを含む架橋アクリル重合体を使用してもよい。
【0076】
1つの実施形態では本発明の前記製剤はしっかりとしたゲルを形成するほど充分に粘性を有する。1つの実施形態ではその粘性はブルックフィールド(LV)分析に基づき25,000~300,000cps(センチポアズ)又は75,000~200,000cpsの範囲内である。
【0077】
調製を簡単にするために局所投与用の最終組成物の製剤における他の構成成分に添加するために使用され得る本明細書においてスピードゲルと名付けられる第1ゲル組成物を調製することが便利であり得る。そのスピードゲルの製剤には幾つかの可能な製剤が存在する。例えば、スピードゲルはレシチンとミリスチン酸イソプロピルの1:1(質量/質量)混合物としてのレシチンオルガノゲル(L.O.)をLIDオイル(L.O.とドクサートナトリウムの1:1[質量/質量]混合物)と混合し、この混合物の中に追加のドクサートナトリウム粉末を溶解し、そして尿素水を添加することにより調製され得る。
【0078】
軟膏は半固体の製剤であり、ワセリン又は他の石油は生物を基剤とすることが典型的である。当業者が理解するように、使用される前記特定の軟膏基剤は所与の製剤のために選ばれた前記活性薬剤の最適な送達を実現し、好ましくは同様に他の所望の特徴、例えばエモリエント性等を実現する基剤である。他の担体又はベヒクルと同様に軟膏基剤は不活性であり、安定であり、非刺激性であり、且つ、非増感性であるべきである。Remington著、The Science and Practice of Pharmacy、第19版(イーストン、ペンシルバニア州、Mack Publishing社、1995年)の1399~1404頁において説明されているように、軟膏基剤は4つのクラス、すなわち油性基剤、乳化性基剤、乳剤性基剤、及び水溶性基剤に分類され得る。油性軟膏基剤には例えば植物油、動物から得られる脂肪、及び石油から得られる半固体の炭化水素が含まれる。油性軟膏基剤の例には米国薬局方白色軟膏、米国国民医薬品集黄色軟膏、米国薬局方オレイン酸、米国薬局方オリーブ油、米国薬局方パラフィン、米国国民医薬品集ワセリン、米国薬局方白色ワセリン、米国薬局方鯨蝋ワックス、米国国民医薬品集合成鯨蝋、米国国民医薬品集グリセリン軟膏、米国薬局方白色ワックス、及び米国薬局方黄色ワックスが挙げられる。乳化性軟膏基剤は吸収性軟膏基剤としても知られており、水をほとんど含まないか、又は全く含まず、乳化性軟膏基剤には例えばヒドロキシステアリン硫酸、無水ラノリン、及び親水性ワセリンが含まれる。乳剤性軟膏基剤は油中水型(W/O)乳剤又は水中油型(O/W)乳剤のどちらかであり、乳剤性軟膏基剤には例えばセチルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、ラノリン、及びステアリン酸が含まれる。好ましい水溶性軟膏基剤が様々な分子量のポリエチレングリコールから調製される。これ以上の情報については上掲のRemington著、The Science and
Practice of Pharmacyを再度参照されたい。
【0079】
本発明の有用な製剤にはスプレー剤及びエアロゾル剤も含まれる。スプレー剤は送達のために皮膚、爪、毛髪、かぎ爪、又は蹄の上に噴霧することができる水性溶液及び/又はアルコール性溶液状の前記活性薬剤を出す。そのようなスプレー剤には投与とその後の送達の部位に濃い前記活性薬剤を供給するように製剤されているスプレー剤が挙げられ、例えば、前記スプレー液は前記薬品又は活性薬剤を溶かすことができるアルコール又は他の同様の揮発性液体から主に構成され得る。皮膚、爪、毛髪、かぎ爪、又は蹄に送達されると前記担体は蒸発し、濃縮された活性薬剤が投与部位に残る。エアロゾル技術の例は米国特許第6682716号明細書、第6716415号明細書、第6716417号明細書、第6783753号明細書、第7029658号明細書、及び7033575号明細書において開示されている。
【0080】
前記局所医薬組成物は適切な固形担体又はゲル相担体を含んでもよい。そのような担体の例には炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、及びポリエチレングリコールなどの重合体が挙げられるがこれらに限定されない。
【0081】
前記局所医薬組成物は水中油型又は油中水型の混合及び懸濁を向上又は促進する薬剤である適切な乳化剤を含んでもよい。本発明において使用される乳化剤は単一の乳化剤から構成されてよく、又は非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、若しくは両性の界面活性剤、若しくはそのような2種類以上の界面活性剤の混合物であってよく、非イオン性又は陰イオン性の乳化剤が本発明において使用するのに好ましい。そのような表面活性剤は米国、07452、ニュージャージー州グレンロック、175 ロックロードのMC Publishing社のMcCutcheon Divisionにより刊行された1980年版の「McCutcheon’s Detergent and Emulsifiers」北米版に記載されている。
【0082】
有用なイオン性界面活性剤の例にはカプロン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリストレイン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミチトレイン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、リシノール酸ナトリウム、リノール酸ナトリウム、リノレン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル(ドデシル)硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、ウルソデオキシコール酸ナトリウム、ケノデオキシコール酸ナトリウム、タウロケノデオキシコール酸ナトリウム、グリコケノデオキシコール酸ナトリウム、コリルサルコシン酸ナトリウム、N-メチルタウロコール酸ナトリウム、卵黄リン脂質、水素添加大豆レシチン、ジミリストイルレシチン、レシチン、ヒドロキシル化レシチン、リソホスファチジルコリン、カルジオリピン、スフィンゴミエリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ジエタノールアミン、リン脂質、ポリオキシエチレン-10オレイルエーテルリン酸、脂肪族アルコール又は脂肪族アルコールエトキシレートのリン酸又は無水物とのエステル化物、エーテルカルボン酸(脂肪族アルコールエトキシレートの末端OH基の酸化による)、サクシニル化モノグリセリド、フマル酸ステアリルナトリウム、コハク酸水素ステアロイルプロピレングリコール、モノグリセリド及びジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ/ジグリセリドのクエン酸エステル、脂肪酸のグリセリル-ラクトエステル、アシル乳酸塩、脂肪酸のラクチルエステル、ステアロイル-2-乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコール
、エトキシル化アルキル硫酸、アルキルベンゼンスルホン、α-オレフィンスルホン酸、アシルイセチオン酸塩、アシルタウレート、アルキルグリセリルエーテルスルホン酸、オクチルスルホコハク酸ナトリウム、ウンデシレンアミデオ-MEA-スルホコハク酸ナトリウム、臭化ヘキサデシルトリアンモニウム、臭化デシルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルアンモニウム、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、ジイソブチルフェノキシエトキシジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、ベタイン(トリアルキルグリシン)、ラウリルベタイン(N-ラウリル-N,N-ジメチルグリシン)、及びエトキシル化アミン(ポリオキシエチレン-15ココナッツアミン)が挙げられる。簡単に言うと典型的な対イオンが上で挙げられている。しかしながら、どの生物学的に許容可能な対イオンも使用可能であることが当業者によって理解される。例えば、前記脂肪酸はナトリウム塩として示されているが例えばアルカリ金属カチオン又はアンモニウムなどの他のカチオン性対イオンも使用可能である。本発明の製剤は上記のイオン性界面活性剤のうちの1つ以上を含んでよい。
【0083】
幾つかの高分子量アルコールはセテアリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、乳化ワックス、モノステアリン酸グリセリル、及びオレイルアルコールなどを含む。他の例はジステアリン酸エチレングリコール、トリステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン(SPAN60)、モノラウリン酸ジエチルグリコール、モノパルミチン酸ソルビタン、ショ糖ジオレエート、ショ糖ステアレート(クロデスタF-160)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(BRIJ30)、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル(BRIJ72)、ポリオキシエチレン(21)ステアリルエーテル(BRIJ721)、ポリオキシエチレンモノステアレート(Myrj45)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(TWEEN20、ポリソルベート20)、ポリオキシエチレン(20)モノパルミチン酸ソルビタン(TWEEN40、ポリソルベート40)、ポリオキシエチレン(20)モノステアリン酸ソルビタン(TWEEN60、ポリソルベート60)、ポリオキシエチレン(20)モノオレイン酸ソルビタン(TWEEN80、ポリソルベート80)、無水ヘキシトールの部分長鎖脂肪酸エステルの他の非イオン性ポリオキシアルキレン誘導体、及びオレイン酸ナトリウムである。例となる実施形態では前記乳化剤はオクチルドデカノールである。例となる実施形態ではキサンタンガム又はキサンタンガム混合物が使用される。外用乳剤中にはコレステロール及びコレステロール誘導体を使用してもよく、W/O型乳剤の形成が促進される。
【0084】
幾つかの適切な非イオン性乳化剤は、ニューヨーク州ニューヨークのDekker社により1974年に刊行、Kenneth Lissantによって編集された「Emulsions and Emulsion」の188~190頁においてPaul L. Lindnerによって記載された方法によって判定されたW/O型系については約3~6、O/W型系については約8~18の親水性親油性バランス(HLB)を有する乳化剤である。約8~約18のHLBを有する系を作る1種類以上の非イオン性界面活性剤を本発明において使用するのがより好ましい。
【0085】
そのような非イオン性乳化剤の例には4.9のHLBを有する「BRIJ72」の商標名のポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル、15.5のHLBを有する「BRIJ721」の商標名のポリオキシエチレン(21)ステアリルエーテル、9.7のHLBを有する「Brij30」の商標名のポリオキシエチレンラウリルエーテル、8.0のHLBを有する「Polawax」の商標名の乳化性ワックス、4.7のHLBを有する「Span60」の商標名のモノステアリン酸ソルビタン、14.5のHLBを有する「クロデスタF-160」の商標名のショ糖ステアレートが挙げられるがこれらに限定されない。これらの物質の全てがRuger Chemicals社、Croda社、ICI Americas社、Spectrum Chemicals社、及びBASF社から入
手可能である。本発明の局所製剤が少なくとも1種類の乳化剤を含有するとき、各乳化剤は約0.5~約2.5重量%、好ましくは0.5~2.0重量%、より好ましくは1.0重量%又は1.8重量%の量で存在する。前記乳化剤はステアレス21(約1.8%)とステアレス2(約1.0%)の混合物を含むことが好ましい。
【0086】
前記局所医薬組成物は適切な軟化剤を含んでもよい。軟化剤は乾燥状態の防止又は軽減のため、並びに皮膚、爪、毛髪、かぎ爪、又は蹄の保護のために使用される物質である。有用な軟化剤には炭化水素オイル、ワックス、シリコーン、セチルアルコール、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルヒドロキシステアレート、グリセリン、最大で18個の炭素長を有する短鎖又は中鎖脂肪族アルコールを含む他の脂肪族アルコール、中鎖又は短鎖脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸エステルなどのエステル、レシチンとホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、リソホスファチジルコリン、リソホスファチジルエタノールアミン、及びスフィンゴミエリンなどの関連の極性化合物等が挙げられるがこれらに限定されない。他の適切な軟化剤には小麦胚芽油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、シアバター油、ヒマシ油、スイートアーモンド油、マカダミア油、あんず油、大豆油、綿実油、アルファルファ油、ケシ油、パンプキンシード油、ゴマ油、キューカンバー油、菜種油、アボカド油、ヘーゼルナッツ油、グレープシード油、カシスオイル、メマツヨイグサ油、キビ油、大麦油、キノア油、オリーブ油、ライムギ油、ベニバナ油、ククイ種子油、ダイズ油、パーム油、パッションフラワーオイル、又はムスクローズオイルなどの植物油のようなトリグリセリドオイル;MIGLYOL(登録商標)(Condea Chemie社、ドイツ)及びCRODAMOL(Croda、社、エジソン、ニュージャージー州)の商標名で販売されているようなカプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド;カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、及びステアリルアルコールなどの脂肪族アルコール;及び酢酸オレイル、安息香酸イソトリデシル、セバシン酸ジイソオクチル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、オクタン酸ヘキシルデシルジメチル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、コレステリル12-ヒドロキシステアレート、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、及びリンゴ酸イソステアリルなどの脂肪エステルが挙げられる。多種多様な適切な軟化剤が知られており、本明細書において使用可能である。例えば、両方とも全体が参照により本明細書に援用されるSagarin著、Cosmetics, Science and Technology、第2版、第1巻、32~43頁(1972年)及び1990年4月24日に登録されたDecknerらへの米国特許第4919934号の明細書を参照されたい。これらの物質はRuger Chemical社(アービントン、ニュージャージー州)から入手可能である。
【0087】
本発明の局所製剤が少なくとも1種類の軟化剤を含有するとき、各軟化剤は約0.1~15重量%、好ましくは0.1~3.0重量%、より好ましくは0.5、1.0、又は2.5重量%の量で存在する。前記軟化剤は1/5/2の比率のセチルアルコール、ミリスチン酸イソプロピル及びステアリルアルコールの混合物であることが好ましい。前記軟化剤は1/2の比率のセチルアルコールとステアリルアルコールの混合物であってもよい。
【0088】
前記局所医薬組成物は酸化を抑制することが知られている物質である適切な抗酸化剤を含んでもよい。本発明に準拠する使用に適切な抗酸化剤にはブチル化ヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,4,5-トリヒドロキシブチロフェノン、4-ヒドロキシメチル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノールノール、エリソルビン酸、グアヤクガム、没食子酸プロピル、チオジプロピオン酸、チオジプロピオン
酸ジラウリル、tert-ブチルヒドロキノン、及びビタミンEなどのトコフェロール類等、並びにこれらの化合物の薬学的に許容可能な塩及びエステルが挙げられるがこれらに限定されない。前記抗酸化剤がブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、沒食子酸プロピル、アスコルビン酸、これらの薬学的に許容可能な塩又はエステル、又はこれらの混合物であることが好ましい。前記抗酸化剤がブチル化ヒドロキシトルエンであることが最も好ましい。これらの物質はRuger Chemical社(アービントン、ニュージャージー州)から入手可能である。本発明の前記製剤に組み込まれ得る抗酸化剤にはアロエベラ、アボカド、カモミール、ムラサキバレンギク、イチョウ、オタネニンジン、緑茶、ギリュウモドキ、ホホバ、ラベンダー、レモングラス、リコリス、ゼニアオイ、オーツ麦、ペパーミント、セイヨウオトギリ、ヤナギ、ヒメコウジからの抽出物、ウィート・ワイルドヤム抽出物、海洋抽出物、及びそれらの混合物などの植物抽出物から調製された天然抗酸化剤が挙げられる。
【0089】
本発明の局所製剤が少なくとも1種類の抗酸化剤を含有するとき、存在する抗酸化剤の合計量は約0.001~0.5重量%まで、好ましくは0.05~約0.5重量%まで、より好ましくは0.1%である。
【0090】
前記局所医薬組成物は適切な保存剤を含んでもよい。保存剤は抗微生物剤として作用するように医薬製剤に添加される化合物である。非経口製剤で有効であり、且つ、許容可能なものとして当技術分野において知られている保存剤の中には塩化ベンザルコニウム、ベンゼトニウム、クロルヘキシジン、フェノール、m-クレゾール、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン及び他のパラベン、クロロブタノール、o-クレゾール、p-クレゾール、クロロクレゾール、硝酸フェニル水銀、チメロサール、安息香酸、及びそれらの様々な混合物が存在する。例えば、Wallhausser, K.-H.著、Develop. Biol. Standard誌、第24巻:9~28頁(1974年)(S.Krager社、バーゼル)を参照されたい。前記保存剤がメチルパラベン、プロピルパラベン及びそれらの混合物から選択されることが好ましい。これらの物質はInolex Chemical社(フィラデルフィア、ペンシルバニア州)又はSpectrum Chemicals社から入手可能である。
【0091】
本発明の局所製剤が少なくとも1種類の保存剤を含有するとき、存在する保存剤の合計量は約0.01~約0.5重量%まで、好ましくは約0.1~0.5%まで、より好ましくは約0.03~約0.15までである。前記保存剤は5/1の比率のメチルパラベンとプロピルパラベン(proplybarben)の混合物であることが好ましい。保存剤としてアルコールを使用するとき、量は通常15~20%である。
【0092】
前記局所医薬組成物は脂質二重層を通過しない金属カチオンと複合体を形成するための適切なキレート剤を含んでもよい。適切なキレート剤の例にはエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、エチレングリコールビス(β-アミノエチルエーテル)-N,N,N’,N’-テトラ酢酸(EGTA)、及び8-アミノ-2-[(2-アミノ-5-メチルフェノキシ)メチル]-6-メトキシキノリン-N,N,N’,N’-テトラ酢酸四カリウム塩(QUIN-2)が挙げられる。前記キレート剤はEDTA及びクエン酸であることが好ましい。キレート剤はエデト酸二ナトリウム等のような上記のものの塩を含み得る。これらの物質はSpectrum Chemicals社から入手可能である。
【0093】
本発明の局所製剤が少なくとも1種類のキレート剤を含有するとき、存在するキレート剤の合計量は約0.005重量%~2.0重量%まで、好ましくは約0.05重量%~約0.5重量%まで、より好ましくは約0.1重量%である。
【0094】
前記局所医薬組成物は前記製剤のpHを薬学的に許容可能な範囲内までに調節するため
に使用される適切な中和剤を含んでもよい。中和剤の例にはトロラミン、トロメタミン、水酸化ナトリウム、塩酸、炭酸ナトリウム、クエン酸、酢酸、及びそれらの対応する酸又は塩基が挙げられるがこれらに限定されない。そのような物質はSpectrum Chemicals社(ガーデナ、カリフォルニア州)から入手可能である。
【0095】
本発明の局所製剤が少なくとも1種類の中和剤を含有するとき、存在する中和剤の合計量は約0.1~約10重量%、好ましくは0.1重量%~約5.0重量%、より好ましくは約1.0重量%である。前記中和剤は概して前記製剤を所望のpHにするために必要な量で添加される。1つの実施形態では前記pHは約6.0~約8.0である。1つの実施形態では前記pHは約3.0~約4.0である。
【0096】
前記局所医薬組成物は適切な増粘剤又は粘度上昇剤を含んでもよい。これらの構成成分は重合体含有溶液の粘度をその重合体とその薬剤の相互作用により上昇させることができる分散可能な化合物である。例えば、カルボポールULTREZ10、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、及びフームドシリカが粘度上昇剤として使用可能である。これらの物質はオハイオ州クリーブランドのNoveon Chemicals社から入手可能である。増粘剤の他の例にはモノグリセリドと脂肪族アルコール、約3~約16個までの炭素原子を有するアルコールの脂肪酸エステルが挙げられる。適切なモノグリセリドの例はモノステアリン酸グリセリル及びモノパルミチン酸グリセリルである。脂肪族アルコールの例はセチルアルコール及びステアリルアルコールである。適切なエステルの例はステアリン酸ミリスチル及びステアリン酸セチルである。前記モノグリセリドは補助的な乳化剤としても機能する。使用可能な他の軟化剤又は油性物質にはワセリン、モノオレイン酸グリセリル、ミリスチルアルコール、及びパルミチン酸イソプロピルが挙げられる。1つの実施形態では前記増粘剤は乳化剤と組み合わせて使用される。
【0097】
本発明の局所製剤が少なくとも1種類の粘度上昇剤を含有するとき、存在する粘度上昇剤の合計量は約0.25重量%~約5.0重量%まで、好ましくは約0.25重量%~約1.0重量%まで、及びより好ましくは約0.4重量%~約0.6重量%までである。
【0098】
前記局所医薬組成物は、デンプン、例えば、コーンスターチ又はジャガイモデンプンなどの天然デンプン、ナショナル1551又はAmijele(登録商標)などのアルファデンプン、又はPromogel(登録商標)又はExplotab(登録商標)などのデンプングリコール酸ナトリウム;木質製品、ミクロクリスタリンセルロース、例えば、Avicel(登録商標)、Avicel(登録商標)PH101、Avicel(登録商標)PH102、Avicel(登録商標)PH105、Elcema(登録商標)P100、Emcocel(登録商標)、Vivacel(登録商標)、Ming Tia(登録商標)、及びSolka-Floc(登録商標)、メチルセルロース、クロスカルメロース、又は架橋セルロース、例えば架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース(Ac-Di-Sol(登録商標))、架橋カルボキシメチルセルロース、又は架橋クロスカルメロースなどのセルロース;デンプングリコール酸ナトリウムなどの架橋デンプン;クロスポビドンなどの架橋重合体;架橋ポリビニルピロリドン;アルギン酸などのアルギネート又はアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸の塩;Veegum(登録商標)HV(ケイ酸アルミニウムマグネシウム)などの粘土;アガーガム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラヤガム、ペクチン、又はトラガカントガムなどのガム;デンプングリコール酸ナトリウム;ベントナイト;天然スポンジ;界面活性剤;陽イオン交換樹脂などの樹脂;柑橘パルプ;ラウリル硫酸ナトリウム;デンプンと組み合わせたラウリル硫酸ナトリウム等をはじめとする崩壊剤を含んでもよい。
【0099】
前記局所医薬組成物は適切な爪浸透増強剤を含んでもよい。爪浸透増強剤の例にはメルカプタン化合物、亜硫酸塩と重亜硫酸塩、角質溶解薬、及び界面活性剤が挙げられる。本
発明における使用に適切な爪浸透増強剤はMalhotraら著、J. Pharm. Sci.誌、第91巻第2号、312頁にさらに詳細に記載されている。
【0100】
前記局所医薬組成物はクリーム剤又は外用水薬の上品さを向上し、且つ、そのクリーム剤又は外用水薬を皮膚上に塗ったときに白色の石鹸様の見た目が生じることを抑える消泡性漂白抑制剤を含んでもよい。そのような物質の一例には液体シリコーンが挙げられる。他の消泡剤にはシメチコン、ポリグリコール、及びセスキオレイン酸ソルビタンが挙げられる。
【0101】
前記局所医薬組成物は後発泡剤を含んでもよい。「後発泡」は容器の外に出されたときにゲルのままであるが皮膚の上に広げられると泡を生じるゲルのことを指す。後発泡剤は4~6個炭素原子を有する脂肪族炭化水素、例えばブタン、ペンタン、及びヘキサンを含む(特にペンタン(opentane)及びイソブテンである)。他の適切な後発泡剤には部分的又は完全ハロゲン化炭化水素、例えばトリクロロフルオロエタンが挙げられる。また、脂肪族でハロゲン化された炭化水素噴射剤又は後発泡剤の混合物が使用可能である。概して適切な後発泡剤は水への低い溶解性、例えば1気圧及び20℃において100グラムの水に約20cc未満の気体という水溶解性を有する物質である。
【0102】
前記局所医薬組成物は1種類以上の適切な溶媒を含んでもよい。任意の固形物質(溶質)が任意の液体物質(溶媒)に溶解する能力はその溶質とその溶媒の物理的特性に依存する。溶質と溶媒が類似の物理的特性を有しているとき、その溶媒中のその溶質の溶解性は最大になる。このことから「類似物は類似物を溶解する」という古典的な理解が生じる。溶媒は一方では無極性の親油性オイルとして、他方では極性を有する親水性溶媒としての特徴を有し得る。油性溶媒はファンデルワールス相互作用により他の無極性物質を溶解し、一方で水及び他の親水性溶媒はイオン性相互作用、双極性相互作用、又は水素結合性相互作用により極性物質を溶解する。極性が最小の溶媒、すなわちデカンなどの炭化水素から極性が最大の溶媒である水まで連続して全ての溶媒をリストに挙げることができる。溶質は等しい極性を有する溶媒において最大の溶解性を有することになる。したがって、水中で最小の溶解性を有する薬品については極性が低い溶媒により、最大の溶解性を実現するその溶質とほぼ等しい極性を有するその溶媒についての溶解性が改善されることになる。大半の薬品は中程度の極性を有し、したがって水よりも極性が著しく低いプロピレングリコール又はエタノールなどの溶媒の中で最大の溶解性を示す。前記薬品が水中における溶解性(例えば0.1%(重量/重量))よりも高い溶解性(例えば8%(重量/重量))をプロピレングリコール中で有する場合、プロピレングリコールへの水の添加によってその溶媒混合物に対する薬品溶解性の最大量が純粋なプロピレングリコールと比較して減少するはずである。優良な溶媒への貧溶媒の添加によってその優良な溶媒における最大の溶解性と比較してその混合液に対する最大の溶解性が低下することになる。
【0103】
化合物が局所製剤に組み込まれるとき、前記製剤中の有効成分の濃度は選択した溶媒及び/又は担体の中でのその有効成分の溶解性によって制限される場合がある。非親油性薬品は薬学的に許容可能な溶媒及び/又は担体の中では非常に低い溶解性を示すことが典型的である。例えば、本発明中の幾つかの化合物の水中における溶解性は0.00025%(重量/重量)未満である。本発明中の同じ化合物の溶解性はプロピレングリコール又はミリスチン酸イソプロピルのどちらかの中では約2%(重量/重量)未満である。
【0104】
可溶化賦形剤の例にはポリエトキシル化脂肪酸、PEG脂肪酸ジエステル、PEG脂肪酸モノエステルとジエステルの混合物、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、アルコール油脂エステル交換産物、ポリグリセリル化脂肪酸、プロピレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコールエステル-グリセロールエステルとモノグリセリドとジグリセリドの混合物、ステロールとステロール誘導体、ポリエチレングリコール
ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、糖エステル、ポリエチレングリコールアルキルフェノール、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ソルビタン脂肪酸エステル、低級アルコール脂肪酸エステル、イオン性界面活性剤、トコフェロールエステル、及びステロールエステルが挙げられる。本発明の1つの実施形態ではエチルヘキシルヒドロキシステアレートが本明細書に記載される前記化合物を溶解するために使用される溶媒である。本発明の1つの実施形態ではジエチレングリコオールモノエチルエーテル(DGME)が本明細書に記載される前記化合物を溶解するために使用される溶媒である。本発明の1つの実施形態ではジエチレングリコオールモノエチルエーテル(DGME)が本発明の化合物を溶解するために使用される溶媒である。本製剤において有用な本発明中の前記化合物はDGME中において約10%(重量/重量)~約25%(重量/重量)までの溶解性を有すると考えられている。別の実施形態ではDGMEと水の共溶媒系が本明細書に記載される前記化合物を溶解するために使用される。別の実施形態ではDGMEと水の共溶媒系が本発明の化合物を溶解するために使用される。DGMEの溶媒能力は水が添加されると低下する。しかしながらそのDGME/水共溶媒系は約0.1%~約5%(重量/重量)までという所望の有効成分濃度を維持するように設定可能である。前記適用上の局所製剤の中で前記有効成分は約0.5%~約3%(重量/重量)までの濃度で存在することが好ましく、約1%(重量/重量)の濃度で存在することがより好ましい。DGMEは水よりも揮発性が低いので適用時に前記局所製剤が蒸発すると前記活性薬剤はクリーム製剤の中により溶けやすくなる。皮膚、爪、毛髪、かぎ爪、又は蹄の表面上での前記薬品の沈殿を原因として生物学的利用率が低下する可能性はこの溶解性の上昇のために低くなる。
【0105】
1つの実施形態では前記ベヒクルは親油性である。親油性物質にはワセリン、ポリエチレンで増粘化又はゲル化された鉱物油、高分子量パラフィンワックス、高分子量脂肪酸又はヒドロキシステアレートのポリアミド複合体でゲル化された脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリド、高分子量脂肪酸でゲル化されたイソステアリン酸プロピレングリコール又はイソステアリルアルコール、及びそれらの混合物などの油性物質が含まれる。
【0106】
標準的な医薬製剤技術、例えば全体が参照により援用されるRemington著、The Science and Practice of Pharmacy、第21版、Lippincott Williams & Wilkins社(2005年)に開示される技術を使用して本明細書に記載される前記医薬組成物を作製することが可能である。したがって、幾つかの実施形態は(a)安全で治療上有効な量のプリナブリン又はその薬学的に許容可能な塩、及び(b)薬学的に許容可能な担体、希釈剤、賦形剤、又はそれらの組合せを含む医薬組成物を含む。
【0107】
幾つかの実施形態は局所投与経路に加え、同様の用途にかなう他の許容された薬品投与モード、限定されないが経口投与、舌下投与、バッカル投与、皮下投与、静脈内投与、鼻腔内投与、皮内投与、腹膜内投与、筋肉内投与、肺内投与、経腟投与、経直腸投与、又は眼内投与を含む投与モードのうちのいずれかによる投与を含む。
【0108】
「薬学的に許容可能な担体」又は「薬学的に許容可能な賦形剤」という用語はありとあらゆる溶媒、分散媒、被覆材、抗細菌薬と抗真菌薬、等張剤と吸収遅延剤等を含む。医薬活性物質向けのそのような媒体と薬剤の使用は当技術分野においてよく知られている。どの従来の媒体又は薬剤も前記有効成分と不適合である場合を除いて前記治療用組成物中にその媒体又は薬剤を使用することが考えられている。さらに、当技術分野において一般的に使用されているアジュバントのような様々なアジュバントを含めてもよい。医薬組成物中に様々な成分を含めることについての理由が例えば全体が参照により本明細書に援用されるGilmanら編、(1990年)Goodman及びGilman著、The Pharmacological Basis of Therapeutics、第8版
、Pergamon Press社に記載されている。
【0109】
薬学的に許容可能な担体又はそれら構成成分として役割を果たし得る物質の幾つかの例はラクトース、グルコース及びショ糖などの糖;コーンスターチ及びジャガイモデンプンなどのデンプン;ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、及びメチルセルロースなどのセルロース及びその誘導体;粉末化トラガカント;モルト;ゼラチン;タルク;ステアリン酸及びステアリン酸マグネシウムなどの固形滑沢剤;硫酸カルシウム;ピーナッツ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、及びカカオ油などの植物油;プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコールなどのポリオール;アルギン酸;TWEENなどの乳化剤;ラウリル硫酸ナトリウムなどの湿潤剤;着色剤;着香剤;錠剤化剤、安定化剤;抗酸化剤;保存剤;発熱性物質除去水;等張性生理食塩水;及びリン酸緩衝液である。
【0110】
本明細書に記載される前記組成物は単位剤形で提供されることが好ましい。本明細書において使用される場合、「単位剤形」とは適正医療業務規範に従って一回の投与で動物、好ましくは哺乳類対象に投与するために適切な化合物又は組成物の量を含む組成物のことである。しかしながら単回剤形又は単位剤形の調製はその剤形が一日に一度、又は一治療過程につき一回投与されることを意味しない。そのような剤形は一日に一回、二回、三回、又はそれより多く投与されることが考えられており、単回投与を具体的に除外しているわけではないがある期間(例えば約30分から約2~6時間まで)にわたって点滴として投与されても連続点滴として投与されてもよく、一治療過程の間に一回より多く投与されてもよい。当業者は前記製剤が具体的に全治療過程を企図しておらず、そのような決定は製剤分野の当業者よりもむしろ治療分野の当業者に任されていることを理解する。
【0111】
幾つかの実施形態は、局所経路以外の様々な投与経路、例えば経口経路、舌下経路、バッカル経路、経鼻経路、直腸経路、皮内経路、眼内経路、脳内経路、頭蓋内経路、髄腔内経路、動脈内経路、静脈内経路、筋肉内経路、又は他の非経口投与経路向けの様々な適切な形態のうちのいずれかの形態の組成物を含む。当業者は経口及び経鼻組成物には吸入により投与され、且つ、利用可能な方法論を用いて作製される組成物が含まれることを理解する。所望の特定の投与経路に応じて当技術分野においてよく知られている様々な薬学的に許容可能な担体が使用可能である。薬学的に許容可能な担体には例えば固体又は液体の充填剤、希釈剤、ハイドロトロピー剤、表面活性剤、及び被包物質が含まれる。オプションの医薬活性物質を含めてもよく、それらの医薬活性物質は本化合物又は組成物の活性に実質的に干渉することがない。本化合物又は組成物と併用される担体の量は本化合物の単位用量の投与毎に実際的な量の物質を提供するのに十分な量である。本明細書に記載される前記方法において有用な剤形を形成するための技術と組成物が以下の参考文献、すなわち参照により本明細書に全て援用されるModern Pharmaceutics、第4版、9章及び10章(Banker & Rhodes編、2002年)、Liebermanら著、Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets(1989年)、及びAnsel著、Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms、第8版(2004年)に記載されている。
【0112】
錠剤、カプセル剤(例えば、液体ゲルカプセル剤及び固体ゲルカプセル剤)、顆粒剤、及びバルク粉剤のような固形剤形を含む様々な経口剤形が使用可能である。錠剤は打錠可能、湿製打錠可能、腸溶性被覆可能、糖衣被覆可能、フィルム被覆可能、又は多重圧縮可能であり、適切な結合剤、滑沢剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、着香剤、流動化剤、及び融解剤を含有する。液体経口剤形は水性溶液、乳液、懸濁液、非発泡性顆粒剤から再構成された溶液及び/又は懸濁液、及び発泡性顆粒剤から再構成された発泡性製剤を含み、適切な溶媒、保存剤、乳化剤、懸濁化剤、希釈剤、甘味料、融解剤、着色剤及び着香剤を含有
する。
【0113】
経口投与向けの単位剤形の調製に適切な前記薬学的に許容可能な担体は当技術分野においてよく知られている。錠剤は炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、マンニトール、ラクトース、及びセルロースなどの不活性希釈剤;デンプン、ゼラチン、及びショ糖などの結合剤;デンプン、アルギン酸、及びクロスカルメロースなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、及びタルクなどの滑沢剤のような従来の薬学的に適合するアジュバントを含むことが典型的である。二酸化ケイ素などの滑剤を使用して前記粉末混合物の流動特性を改善することが可能である。FD&C染料などの着色剤を見た目のために添加することが可能である。アスパルテーム、サッカリン、メンソール、ペパーミント、ショ糖、及びフルーツ香料などの甘味料及び着香剤はチュアブル錠に有用なアジュバントである。カプセル剤は上で開示された1種類以上の固形希釈剤を含むことが典型的である。担体成分の選択は重要ではない味、費用、及び保存安定性などの副次的な考慮事項に左右され、当業者は容易に担体成分の選択を行うことができる。
【0114】
経口組成物は液体水剤、乳剤、懸濁剤等も含む。そのような組成物の調製に適切な前記薬学的に許容可能な担体は当技術分野においてよく知られている。シロップ剤、エリキシル剤、乳剤、及び懸濁剤向けの担体の典型的な構成成分にはエタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、液体ショ糖、ソルビトール、及び水が挙げられる。懸濁剤について、典型的な懸濁化剤にはメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、アビセルRC-591、トラガカント、及びアルギン酸ナトリウムが挙げられ、典型的な湿潤剤にはレシチン及びポリソルベート80が挙げられ、典型的な保存剤にはメチルパラベン及び安息香酸ナトリウムが挙げられる。経口液体組成物は上で開示された甘味料、着香剤、及び着色料などの1種類以上の構成成分も含有してよい。
【0115】
そのような組成物は従来法によって、典型的にはその対象組成物が所望の局所適用部位の近くの胃腸管に放出されるように、又は所望の作用を長続きさせるように様々な時点で放出されるようにpH依存的又は時間依存的な被覆材を用いて被覆されてもよい。そのような剤形は、限定されないが、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアセテートフタレート、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、Eudragit被覆材、ワックス、及びシェラックのうちの1種類以上を含むことが典型的である。
【0116】
本明細書に記載される組成物は所望により他の薬品活性物質を含んでもよい。
【0117】
前記対象化合物の全身送達の達成に有用な他の組成物は舌下剤形、バッカル剤形、及び経鼻剤形を含む。そのような組成物はショ糖、ソルビトール、及びマンニトールなどの可溶性充填剤物質、並びにアカシア、ミクロクリスタリンセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの結合剤のうちの1種類以上を含むことが典型的である。上で開示された滑剤、滑沢剤、甘味料、着色料、抗酸化剤、及び着香剤を含めてもよい。
【0118】
液体組成物は眼科用途向けに製剤されており、眼への投与が可能であるように製剤されている。時には製剤上の理由(例えば薬品安定性)から最上に満たない快適性が必要とされることもあるが可能な限り快適性が最大化され得る。快適性を最大化することができない場合、その液剤はその液剤が患者にとって局所的眼科用途について忍容可能であるように製剤化される場合がある。さらに、眼科的に許容可能な液剤は複数回の使用による汚染混入を防止するために単回使用向けに包装されても、又は保存剤を含有してもよい。
【0119】
眼科適用のため、水剤又は医薬品は生理食塩水溶液を主要なベヒクルとして使用して調
製されることが多い。眼科水剤は好ましくは適切な緩衝液系を使用して快適なpHに維持されてよい。前記製剤は従来の薬学的に許容可能な保存剤、安定化剤、及び界面活性剤も含んでよい。
【0120】
本明細書において開示される前記医薬組成物に使用可能な保存剤には塩化ベンザルコニウム、PHMB、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀、及び硝酸フェニル水銀が挙げられるがこれらに限定されない。有用な界面活性剤は例えばTween80である。同様に様々な有用なベヒクルが本明細書において開示される前記眼科製剤に使用可能である。これらのベヒクルにはポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリオキサマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及び精製水が挙げられるがこれらに限定されない。
【0121】
等張性調節剤は適宜必要に応じて添加されてもよい。等張性調節剤には塩、具体的には塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール及びグリセリン、又は他のあらゆる適切な眼科的に許容可能な等張性調節剤が挙げられるがこれらに限定されない。
【0122】
結果として生じる製剤が眼科的に許容可能である限り様々な緩衝剤及びpH調節手段が使用されてもよい。多数の組成物にとってpHは4と9との間になる。したがって、緩衝剤には酢酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、及びホウ酸緩衝剤が含まれる。酸又は塩基を使用してこれらの製剤のpHを必要に応じて調節してよい。
【0123】
眼科的に許容可能な抗酸化剤にはメタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチル化ヒドロキシアニソール、及びブチル化ヒドロキシトルエンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0124】
眼科製剤に含めてもよい他の賦形剤成分はキレート剤である。他のキレート剤を代用しても併用してもよいが、有用なキレート剤はエデト酸二ナトリウム(EDTA)である。
【0125】
静脈内投与のため、本明細書に記載される前記組成物は生理食塩水又はブドウ糖溶液などの薬学的に許容可能な希釈剤に溶解又は分散されてよい。所望のpHを達成するためにNaOH、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、HCl、及びクエン酸を含むがこれらに限定されない適切な賦形剤を含めてよい。様々な実施形態において前記最終組成物のpHは2から8までの範囲であり、又は好ましくは4から7までの範囲である。抗酸化剤賦形剤は重亜硫酸ナトリウム、アセトン重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、チオ尿素、及びEDTAを含み得る。前記最終静脈内投与用組成物内に見られる適切な賦形剤の他の非限定的な例にはリン酸ナトリウム又はリン酸カリウム、クエン酸、酒石酸、ゼラチン、並びにブドウ糖、マンニトール、及びデキストランなどの炭水化物が含まれ得る。さらに許容可能な賦形剤が両方とも全体が参照により本明細書に援用されるPowellら著、Compendium of Excipients for Parenteral Formulations、PDA J Pharm Sci and Tech誌、1998年、第52巻、238~311頁、及びNemaら著、Excipients and Their Role in Approved Injectable Products: Current Usage and Future Directions、PDA J Pharm Sci and Tech誌、2011年、第65巻、287~332頁に記載されている。静菌溶液又は静真菌溶液を達成するために硝酸フェニル水銀、チメロサール、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、フェノール、クレゾール、及びクロロブタノールを含むがこれらに限定されない抗微生物剤も含めてよい。
【0126】
静脈内投与向けの前記組成物は投与の少し前に滅菌水、生理食塩水、又はブドウ糖水溶
液などの適切な希釈剤を使用して再構成されるさらに1つ多くの固形物の形態で介護者に提供され得る。他の実施形態では前記組成物は直ぐに非経口投与できる溶液状で提供される。さらに他の実施形態では前記組成物は投与前にさらに希釈される溶液状で提供される。本明細書に記載される化合物と別の薬剤の組合せを投与することを含む実施形態ではその組合せは混合物として介護者に提供されることもあれば、介護者が投与前にそれらの2種類の薬剤を混合することもあり、それらの2種類の薬剤が別々に投与されることもある。
【0127】
投与期間は炎症が引き続き管理されており、且つ、治療計画が臨床的に認められる限り数週間の治療サイクルであり得る。幾つかの実施形態では単回投薬量のプリナブリン又は他の治療薬は週に1回、好ましくは3週間(21日)の治療サイクルの中の1日目と8日目の各々に1回ずつ投与され得る。幾つかの実施形態では単回投薬量のプリナブリン又は他の治療薬は2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、又は8週間にわたって週に1回、好ましくは各週の1日目に投与され得る。幾つかの実施形態では単回投薬量のプリナブリン又は他の治療薬は1週間、2週間、3週間、4週間、又は5週間の治療サイクルの間に週に1回、週に2回、週に3回、週に4回、週に5回、週に6回、又は毎日の頻度で投与され得る。その投与は治療サイクル中の各週の同じ曜日又は異なる曜日にあってよい。
【0128】
幾つかの実施形態ではプリナブリンの投与スケジュールは前記チェックポイント阻害剤の投与スケジュールと同じであり得る。幾つかの実施形態ではプリナブリンの投与スケジュールは前記チェックポイント阻害剤の投与スケジュールと異なり得る。幾つかの実施形態ではプリナブリンと前記チェックポイント阻害剤(例えばニボルマブ)は両方とも2週間毎(例えば28日からなるサイクルの1日目と15日目)に投与される。幾つかの実施形態では前記チェックポイント阻害剤(例えばニボルマブ)は28日からなるサイクルの1日目と15日目に投与され、プリナブリンは28日からなるサイクルの1日目、8日目、15日目、及び22日目に投与される。幾つかの実施形態ではプリナブリンと前記チェックポイント阻害剤(例えば、ペムブロリズマブ)は両方とも3週間毎(例えば42日からなるサイクルの1日目と22日目)に投与される。幾つかの実施形態ではプリナブリンが前記第1及び第2のチェックポイント阻害剤と併用されるときに前記プリナブリンが前記第1チェックポイント阻害剤と同じスケジュールに従って同じ投与日に投与され、前記第1チェックポイント阻害剤(例えば1mg/kgのニボルマブ)とプリナブリンが4回の投与について3週間毎に1回共投与され、引き続いて同じ日に第2のチェックポイント阻害剤(例えば、イピリムマブ)が投与され、その後で前記第2チェックポイント阻害剤が投与されずに前記第1チェックポイント阻害剤(例えば一用量当たり240mgのニボルマブ)とプリナブリンが共投与される2回の投与について2週間毎に投与される。幾つかの実施形態ではプリナブリンは前記第1免疫チェックポイント阻害剤の前に投与される。幾つかの実施形態ではプリナブリンは前記第1免疫チェックポイント阻害剤の投与からしばらく(例えば、約30分、1時間、2時間、又は4時間)後に投与される。幾つかの実施形態ではプリナブリンは前記第1免疫チェックポイント阻害剤と同時に投与される。[0130]前記治療サイクルは前記治療計画が臨床的に認められる限り反復可能である。幾つかの実施形態では前記治療サイクルはn回繰り返され、nは2~30の範囲内の整数である。幾つかの実施形態ではnは2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である。幾つかの実施形態では新しい治療サイクルが以前の治療サイクルの完結後すぐに始まり得る。幾つかの実施形態では新しい治療サイクルが以前の治療サイクルの完結から一定の期間の後に始まり得る。
【実施例
【0129】
実施例1
PDE3アッセイ、PDE4アッセイ、及びPDE5アッセイを含むホスホジエステラ
ーゼアッセイを用いてプリナブリンを試験した。PDE3アッセイ及びPDE5アッセイの起点はヒト血小板であり、PDE4アッセイの起点はヒトU937細胞であった。3種類全てのアッセイの基質は1.01UM[.H]cAMP+cAMPであった。3種類全てのアッセイについて予備保温時間は15分であり、保温時間は20分であり、予備保温温度と保温温度は25℃であった。定量方法は[H]アデノシンの定量化を含み、有意性の規準を最大刺激又は最大阻害のi50%に設定した。試験の結果を表1に示した。
【表1】
【0130】
表1に示されているようにプリナブリンはPDE4に対して他のPDE3及びPDE5に対する活性よりも優れた阻害活性を示した。
【0131】
実施例2
患者はドセタキセル及びプリナブリン(DN)による治療、又はドセタキセル単独(75mg/m)(D)による治療のどちらかを受けた。2種類の投薬コホート調査を行った。
1)30mg/m投薬コホート:ドセタキセル及びプリナブリンを30mg/mで(DN30mg/m群)受容するか、又はドセタキセルを単独で(D群)受容するように患者を無作為に(1:1に)分けた。
2)20mg/m投薬コホート:ドセタキセル及びプリナブリンを20mg/mで(DN20mg/m群)受容するか、又はドセタキセルを単独で(D群)受容するように患者を無作為に(2:1に)分けた。
【0132】
投与計画
患者は3週間からなるサイクルの1日目と8日目に治療を受けた。1日目の治療は1時間にわたる静脈内点滴(IV)による75mg/mのドセタキセル投与とそれに続く(ドセタキセル点滴が介してから)2時間後の30分間にわたる静脈内点滴(IV)によるプラセボ投与(D群)又は30mg/m又は20mg/mのプリナブリン投与(DN群)から成った。ドセタキセル点滴(1日目)の前日、当日、及び翌日に経口デキサメタゾン(16mg)を投与した。8日目の治療は30分間にわたる静脈内点滴(IV)によるプラセボ投与(D群)又は30mg/m又は20mg/mのプリナブリン投与(DN群)から成った。
【0133】
治療下で発現したグレード2を超える薬品関連有害事象(脱毛、食欲不振、及び疲労を除く)をCTCAE(3.0版)に従って示した患者ではその有害事象がグレード1未満までに回復するまで前記処置を遅らせてもよい。安全性についての臨床検査はその後の各サイクルの開始時点のドセタキセルを使用する処置の前に以下の基準、すなわちASTが2.5×ULN以下であり、ALTが2.5×ULN以下(アルカリホスファターゼが2.5×ULN以上である場合では1.5×ULN以下)であり、ビリルビンがULN以下であり、ヘモグロビンが9g/dL以上であり、好中球絶対数が1.5×10/L以上であり、且つ、血小板数が100×10/L以上であるという基準に合致した。中毒症状の再発、又は特定の重篤な中毒症状を示す患者には用量を減らした。
【0134】
プリナブリンの初期用量は30mg/m又は20mg/mであった。用量の調節は
観察された有害事象に依存した。投与体積は割り当てられた用量と患者の体表面積に基づいて変化した。前記臨床製剤は20mLの40%Solutol(登録商標)HS-15/60%プロピレングリコール中に80mgの薬品(4mg/mL)を含むコハク色のバイアル瓶中の濃縮溶液として供給され、室温でされた。各バイアル瓶は一回使い切りであった。その正確な濃度(バイアル瓶中では4mg/mLの濃度)の薬品を5%ブドウ糖水溶液(D5W)中に1:20の希釈度で希釈し、末端と中央に静脈内(IV)投与した。提供業者の指示で臨床的に表示されているように点滴時間を増やしてもよい。プリナブリン及びプラセボは希釈から6時間以内に投与される必要がある。
【0135】
ドセタキセルの初期用量は75mg/mであった。用量の調節は観察された有害事象に依存した。この治験プロトコルによって指示された用量で医療機関のプロトコルによる1時間の静脈内(IV)点滴により投与を実施した。ドセタキセル点滴(1日目)の前日、当日、及び翌日に経口デキサメタゾン(16mg)を投与した。地域の医療機関の慣行に準じて同様のコルチコステロイド前投薬計画を用いた。既にコルチコステロイドを使用している患者についてはデキサメタゾン又は他のコルチコステロイドの用量を適切に減らした。
【0136】
ベースライン評価:(処置の開始から14日以内、すなわち14日前から1日目まで)健康診断、バイタルサイン、ECOGパフォーマンスステータス、同時医薬品利用、安全性臨床検査。
【0137】
治療相:試験薬品の点滴前に安全性評価(完全健康診断を含む)を実施した。その後の各サイクル(2+)の前に安全性評価(完全健康診断を含む)を実施した。さらに、以下の評価を行った。すなわち鑑別付きの血液中の血球/血小板の計数及び臨床化学を各サイクルの1日目の前に最大で72時間まで実施し、サイクル1/15日目に追加の評価を実施し、点滴の当日に各試験薬品の点滴の直前と直後、及び第1サイクルの最後の点滴から30分及び60分の時点でバイタルサイン(心拍数、呼吸数、血圧、及び温度)を記録した。その後のサイクルの間には健康診断時に各点滴の前と後にバイタルを記録した。
【0138】
第2サイクルの休止期(及びその後に凡そ2サイクル毎に)に処置に対する反応の評価を実施した。
【0139】
進行性疾患、許容できない治療関連有害事象の証拠が出るまで処置を継続し、その後で(同意の撤回又は研究者の判断のどちらかによって)試験を停止するか、又は患者を試験から撤退させた。
【0140】
安全性の評価:患者が自発的に表明した、又は健康診断、バイタルサイン、ECOGパフォーマンスステータス及び臨床検査の間に指摘された有害事象。デキサメタゾンに関連する治療下で発現した有害事象(TEAE)の結果が表2に示されている。図1はプリナブリン投与によるステロイド関連作用を示した患者のパーセンテージを示している。
【表2】
【0141】
プリナブリンによってステロイド(デキサメタゾン)関連有害事象の用量依存的増加が引き起こされることが図1により示された。30mg/mのプリナブリンを受容した患者のステロイド関連有害事象はプリナブリンを受容していない患者よりも統計学的に有意(p=0.026)であった。プリナブリンのPDE4阻害効果は関連するPDE4薬理学的効果に転換され得ることがこの結果から示唆された。
【0142】
実施例3
ニボルマブ/プリナブリンの組合せによる免疫関連AEに対するプリナブリンの効果を研究した。NSCLC患者における2種類の第1相試験において合計で10人の患者を今日までに登録し、それらの患者は13.5mg/m(n=3)、又は20mg/m(n=5)、又は30mg/m(n=2)のプリナブリンと組み合わせてニボルマブ(240mg又は3mg/kg)を受容した。2人の患者がステロイド治療を必要としないグレード1又はグレード2のIR-AEを発症した。グレード3/4のIR-AEは観察されなかった。これらの検査結果からプリナブリンは強力なPDE4阻害剤であり、「ステロイド様」の作用を臨床的に及ぼすことが示された。したがって、プリナブリンは実現可能なステロイドの代替物である。チェックポイント阻害剤療法へのプリナブリンの追加によりIR-AEが防止され得ることが予備的な臨床データから示唆された。
【0143】
一方の第1相試験では前記患者は少なくとも以下の試験対象患者基準に合致した場合にのみ選ばれた。(1)組織学的又は細胞学的に確認された転移性NSCLCを有する対象であって、少なくとも1種類のプラチナ含有化学療法計画による治療中/治療後に疾患が進行した者であること。(2)転移性疾患に対する少なくとも1種類の先行全身療法を受けていること。早期疾患に対する補助化学療法又は同時化学放射線療法は化学療法の完了から6か月以内に患者の病状が進行しなかった場合には先行治療としない。(3)先行化学療法は試験薬品の投与の少なくとも4週間又は半減期の5倍の期間(どちらか長い期間)の前に完了されていなければならず、全ての有害事象がベースラインまで復帰しているか、又は安定化されているかのどちらかであること。(4)先行根治的放射線療法は試験薬品の投与の少なくとも4週間前に完了されていなければならない。先行緩和的放射線療法は試験薬品の投与の少なくとも2週間前に完了されているべきである。全脳放射線療法(WBRT)、定位放射線治療(SRS)、及び疼痛部位又は気管支閉塞部位への局所的放射線照射を緩和的とみなす。試験薬品の投与前の8週間以内には放射性医薬品(ストロンチウム、サマリウム)が存在しないこと。(5)先行大手術は試験薬品の投与の少なくとも4週間前に完了されていなければならない。先行小手術は試験薬品の投与の少なくとも1週間前に完了されていなければならず、対象は回復している必要がある。経皮生検は試験薬品の投与の少なくとも10日前に完了されるべきである。この試験ではニボルマブ(240mg)は疾患が進行するまで1日目と15日目に患者に静脈内(IV)投与され、プリナブリンは3つの異なる用量(13.5mg/m、20mg/m、30mg/m)を患者に静脈内(IV)投与された。プリナブリンは疾患が進行するまでの1日目、8日目、及び15日目に異なる複数の群に対して40mg/mの用量で投与される。疾患の進行又は許容不可能な中毒症状が無い場合、28日毎にこの医療処置を繰り返す。
【0144】
他方の第1相試験では前記患者は少なくとも以下の試験対象患者基準に合致した場合にのみ選ばれた。(1)対象は組織学的又は細胞学的に証明されたステージIIIB又はステージIVの再発性又は転移性非小細胞肺癌(NSCLC)を有していなければならない。(2)対象はプラチナダブレットベースの処置を受けていなくてはならない(転移性疾患に対する最大で2ラインまでの先行全身療法が許容される。早期疾患に対する補助化学療法又は同時化学放射線療法は治療計画の完了から6か月以内に患者の病状が進行しなかった場合には先行治療としない。上皮成長因子受容体(EGFR)に既知の活性化突然変異を有する、又は未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)若しくはROS-1に既知の転座を有する患者は病状が進行しているか、又は食品医薬品局(FDA)により認可された標的
化療法に耐えられなかったとすれば適格である)。(3)対象は0~2の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスを有していなくてはならない。(4)本試験の用量漸増部分の対象を含む対象は固形腫瘍の治療効果判定基準(RECIST)第1.1版に従う測定可能な疾患を有していなくてはならない。28日間の治験登録内に画像撮影されなくてはならない(治験登録前に証明済みの(レントゲン写真上の)疾患進行が以前に放射線照射された領域に存在する場合にその照射領域に標的とする病変が存在してもよい)。(5)絶対好中球数(ANC)が1000/mm以上である。(6)血小板数が75,000/dL以上である。(7)ヘモグロビンが9g/dL以上である。(8)総ビリルビンが1.5mg/dL×正常値上限(ULN)以下である(3.0mg/dL以下の総ビリルビンを有し得るギルバート症候群の対象を除く)。(9)血清中クレアチニンが1.5mg/dL以下であるか、又はクレアチニンクリアランスが60mL/分以上である。(10)肝臓障害が無い場合にアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)が正常値上限の2.5倍以下であるか、肝臓障害がある場合に正常値上限の5倍以下である。試験期間中に患者は1日目と15日目に患者はプリナブリンを30分間にわたって静脈内(IV)経路で受容し、且つ、ニボルマブ(3mg/kg)を60分間にわたって静脈内(IV)経路で受容した。疾患の進行又は許容不可能な中毒症状が無い場合、28日毎にこの医療処置を繰り返す。2種類の用量のプリナブリン(20mg/m及び30mg/m)を試験した。グレード3以上の重症度の有害事象(米国国立癌研究所共通毒性基準第4.0版を使用して有害事象のグレードを評価した)を示す患者のパーセンテージを調査した。
図1