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特許7280267可変静電容量トランスデューサのためのスイッチ支援型ダイオードクランプエネルギーハーベスティングシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】可変静電容量トランスデューサのためのスイッチ支援型ダイオードクランプエネルギーハーベスティングシステム
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20230516BHJP
   H02N 1/00 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
H02M3/155 H
H02M3/155 F
H02N1/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020534496
(86)(22)【出願日】2018-12-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2018085750
(87)【国際公開番号】W WO2019121860
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-17
(31)【優先権主張番号】17208623.3
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506364042
【氏名又は名称】シングル・ブイ・ムーリングス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ケッセル、リック
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/174561(WO,A1)
【文献】特表2003-502000(JP,A)
【文献】特表2012-530215(JP,A)
【文献】特開2012-080596(JP,A)
【文献】特開2016-127656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
H02N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの可変キャパシタ(Cs)から電気エネルギーを収穫するためのエネルギーハーベスティングシステム(100)であって、前記少なくとも1つの可変キャパシタと、第1の電圧(Vload)を供給するための第1の電圧源(V1)および第2の電圧(Vbias)を供給するための第2の電圧源(V2)と、各可変キャパシタに対して、それぞれのハーフブリッジネットワーク(H1)とを備え、
前記第1および第2の電圧源(V1,V2)は、前記第1の電圧源の第1の極性の端子(T11)と、前記第2の電圧源の第2の極性の端子(T22)との間の相互接続ノード(N1)と直列接続で配置され、前記第2の極性は、前記第1の極性と逆であり、
前記それぞれのハーフブリッジネットワークは、第1および第2のダイオードの間の共通ノード(N2)と直列に接続された前記第1のダイオード(D1)と第2のダイオード(D2)の対を備え、前記対は、前記第1の電圧源の前記第1の極性の端子(T11)と、第2の極性の端子(T12)との間で、前記第1の電圧源に並列に接続され、
前記少なくとも1つの可変キャパシタは、前記共通ノード(N2)に第1のキャパシタ端子(TC1)で、および前記第2の電圧源(V2)の第1の極性の端子(T21)に第2のキャパシタ端子(TC2)で接続され、
ここにおいて、
各可変キャパシタに対して、前記システムは、インダクタ(L1)と、第1のスイッチ(S1)と、第2のスイッチ(S2)とをさらに備え、
前記インダクタ(L1)は、前記共通ノード(N2)と、前記それぞれの可変キャパシタの前記第1のキャパシタ端子(TC1)との間に接続され、
前記第1のスイッチ(S1)は、前記第1のダイオード(D1)と並列に接続され、前記第2のスイッチ(S2)は、前記第2のダイオード(D2)と並列に接続されている、エネルギーハーベスティングシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの可変キャパシタは、第1の電極層と、第2の電極層と、誘電エラストマー層とを備える電気活性ポリマーデバイスであり、ここで、前記誘電エラストマー層は、前記第1および第2の電極層の間に配置されている、請求項1に記載のエネルギーハーベスティングシステム。
【請求項3】
コントローラ(CT)をさらに備え、前記コントローラは、前記スイッチの各々についてのスイッチ状態を制御するために、前記ハーフブリッジネットワーク(H1)における前記第1および第2のスイッチ(S1,S2)に接続されている、請求項1または2に記載のエネルギーハーベスティングシステム。
【請求項4】
前記第1および第2のスイッチの各々は、所定のスイッチングレートで前記それぞれのスイッチをアクティブにオンとオフに切り替えるための駆動素子を備え、オプションで、前記スイッチングレートは、前記可変キャパシタ上の測定された電圧、および/または、測定された充電または放電電流に基づいて、動的に調整される、請求項1~3のいずれか一項に記載のエネルギーハーベスティングシステム。
【請求項5】
前記コントローラは、各可変キャパシタに対して、前記スイッチのうちの1つ以上に変調信号を供給するための変調器デバイス(M)を備える、請求項3に記載のエネルギーハーベスティングシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記少なくとも1つの可変キャパシタ上の電圧vcapを測定するための電圧センサ(Sv)と、前記可変キャパシタを通る電流icapを測定するための電流センサ(Sc)とを備える、請求項3に記載のエネルギーハーベスティングシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記可変キャパシタ上で測定された電圧に基づいて、ループ制御によって出力電圧を調整するように構成される、請求項3に記載のエネルギーハーベスティングシステム。
【請求項8】
少なくとも第2の可変キャパシタ(CS2)をさらに備え、ここにおいて、前記少なくとも1つの第2の可変キャパシタは、前記共通ノード(N22)にその第1のキャパシタ端子(TC1-2)で、および前記第2の電圧源(V2)の前記第1の極性の端子(T21)にその第2のキャパシタ端子(TC2-2)で接続されており、各可変キャパシタに対して、前記コントローラは、前記少なくとも1および第2の可変キャパシタについての前記エネルギーハーベスティングシステムの同期動作のための共通のクロック信号を、前記第1および第2のスイッチのうちの少なくとも1つを変調するために配置されているそれぞれの変調器デバイス(M)に供給するためのクロック信号発生器(CG)を用いて構成され、前記少なくとも第1および第2の可変キャパシタの各々の前記変調器デバイスは、前記共通のクロック信号に対するそれぞれの位相を有するように構成される、請求項5~7のいずれか一項に記載のエネルギーハーベスティングシステム。
【請求項9】
接地端子(GND)が、前記第1および第2の電圧源の間の前記相互接続ノード(N1)において設けられるか、または接地端子(GND)が、前記第2の電圧源(V2)の第2の端子(T21)において設けられるかのいずれかである、請求項1~8のいずれか一項に記載のエネルギーハーベスティングシステム。
【請求項10】
前記第1の電圧源は、少なくとも抵抗器を備え、前記第1の電圧源は、関連する前記ハーフブリッジネットワークを通じて前記少なくとも1つの可変キャパシタによって加えられた電荷の変位の関数として、第1の電圧を生成するように構成される、請求項1~9のいずれか一項に記載のエネルギーハーベスティングシステム。
【請求項11】
請求項1に記載の、機械的な変形の関数として可変である静電容量を有する、少なくとも1つの可変キャパシタ(Cs;Cs2)から電気エネルギーを収穫するためのエネルギーハーベスティングシステム(100)を動作させるための方法であって、
ここで、前記少なくとも1つの可変キャパシタは、前記可変キャパシタの前記静電容量が、最大の機械的なローディング中の最大静電容量と、最小の機械的なローディング中の最小静電容量との間で変わる状態で、機械的なローディングおよびアンローディングのサイクル(λ)にさらされ、
前記方法は、
・第1および第2のスイッチが非導電状態にある間、前記第1のダイオードを介して、放電時間間隔(P4)における機械的なアンローディング中に、前記少なくとも1つの可変キャパシタを電気的に放電することと、
・第1および第2のスイッチが非導電状態にある間、前記第2のダイオードを介して、充電時間間隔(P1)における機械的なローディング中に、前記少なくとも1つの可変キャパシタを電気的に充電することと、
を備え、ここにおいて、前記方法は、
前記第1のスイッチが前記非導電状態のままであるか、または前記非導電状態に設定されている間、前記放電時間間隔(P3;P5)の一部の間に、前記第2のスイッチを変調された導電状態に設定することと、
前記第2のスイッチが前記非導電状態のままであるか、または前記非導電状態に設定されている間、前記充電時間間隔(P2)の一部の間に、前記第1のスイッチを変調された導電状態に設定することと
を備える、方法。
【請求項12】
前記充電時間間隔中に、
・前記最大静電容量および第1の電荷qに達するまで、前記第1および第2のスイッチ(S1,S2)が非導電状態にある状態で、前記少なくとも1つの可変キャパシタに対して、前記第2の電圧(Vbias)において前記第2の電圧源(V2)をクランプすることと(P1)、その後、
・q>qで前記少なくとも1つの可変キャパシタの第2の電荷qに達するか、または、q>q>qで第3の電荷qが最大電界境界値に達するかもしくは最大電界境界値に接近するまで、前記第1のスイッチ(S1)を前記変調された導電状態に設定することによって、前記第2の電圧(Vbias)における前記第2の電圧源(V2)と直列に、前記少なくとも1つの可変キャパシタに対して、前記第1の電圧(Vload)において前記第1の電圧源(V1)をクランプすることと(P2)、
を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記放電時間間隔中に、
前記第2の電荷qまたは第3の電荷qに達した後:前記少なくとも1つの可変キャパシタの電圧が、前記第1の電圧と第2の電圧の合計Vbias+Vloadの値に達するまで(P3)、前記少なくとも1つの可変キャパシタの放電を可能にするために、前記第1のスイッチを前記非導電状態に設定し、前記第2のスイッチを前記変調された導電状態に保持することと、
その後、前記少なくとも1つの可変キャパシタの電圧が、Vbias+Vloadの前記値に達したとき:前記Vbias+Vloadの値における第4の電荷q1’に達するまで(P4)、前記少なくとも1つの可変キャパシタのさらなる放電を可能にするために、前記第2のスイッチを前記非導電状態に設定し、前記第1のスイッチを前記非導電状態に保持することと、
その後、前記少なくとも1つの可変キャパシタを、前記第4の電荷q1’から、前記第2の電圧(Vbias)の前記値における第5の電荷qまでの追加の放電を可能にするために、前記第2のスイッチを前記変調された導電状態に設定することと、前記第5の電荷qは、q1’、q、q、qのいずれよりも小さい、
を備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記エネルギーハーベスティングシステムの前記サイクルを制御するために、前記方法は、
前記キャパシタを通る電流icap==0で、最大および最小の静電容量の状態がゼロ電流検出を使用して観察されたと仮定して、前記可変キャパシタにわたる電界の強度を導出または測定することを備え、
前記キャパシタ電圧vcapを測定することと、および、
前記キャパシタの電極間のギャップの距離を測定すること、または測定されたキャパシタ電圧vcapおよび測定されたキャパシタ電流icapから決定される静電容量から前記ギャップの前記距離を導出することのいずれかと、
をさらに含む、
請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記最大静電容量または最小静電容量は、前記キャパシタを通る前記電流のゼロ交差を測定することによって決定される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの可変キャパシタから電気エネルギーを収穫する(harvesting)ためのエネルギーハーベスティングシステムに関する。さらに、本発明は、このようなエネルギーハーベスティングシステムを使用して、少なくとも1つの可変キャパシタから電気エネルギーを収穫するための方法に関する。
【先行技術】
【0002】
国際公開第2010/146457号パンフレットには、各々が、伸縮性材料の繰り返し延伸および弛緩されるシートと、シートの対向面に接して置かれた(lying against opposite faces)電極とを含む、可変キャパシタを有する環境発電機が開示されており、これは、少なくとも1対のキャパシタの電極に結合された電力抽出ユニットを含む。このユニットは、第2の電極対を再充電するために、より高い電圧を有する第1の電極対からの電荷(電流)を、より低い電圧を有する1つ以上の第2の電極対に向かわせる。電流が流れている間、電力は、ユニットを通過する電流の電圧降下によって抽出される。電力抽出ユニットには、電圧検出器を有しかつ電力出力を生成する際の最大効率のために、キャパシタをそれらの電圧に基づいて選択的に接続する制御ユニットが設けられ得る。先行技術によれば、可変キャパシタは、一対の逆並列ダイオードからなるハーフブリッジに接続し、これは、例えば、可変キャパシタに作用する変化する外力によって誘導されるような、可変キャパシタの静電容量の変化に充放電サイクルが追従するパッシブハーベスティングシステムを形成する。このエネルギーハーベスティングシステムの説明は、R. van Kessel, A. Wattez, and P. Bauer, “Analyses and comparison of an energy harvesting system for dielectric elastomer generators using a passive harvesting concept: the voltage-clamped multi-phase system,” in SS/NDE 2015 - Electroactive Polymer Actuators and Devices (EAPAD) XVII, ser. Proc. SPIE, vol. 9430, 2015, Conference Proceedingsに公表されている。
【0003】
先行技術のエネルギーハーベスティングシステムは、特に小さい静電容量のバリエーションレベルに対して、比較的低いエネルギー捕捉能力を有する。その結果、ほぼ一定でありかつ静電容量のバリエーションに依存しない誘電損失により、それは、特に小さい静電容量のバリエーションレベルでは低い効率を有する。
【0004】
本発明の目的は、先行技術からの欠点を克服または軽減することである。
【発明の概要】
【0005】
この目的は、請求項1に定義されるようなエネルギーハーベスティングシステムによって達成される。
【0006】
各可変キャパシタに対して、インダクタと、第1のスイッチと、第2のスイッチとを組み込むことによって、追加の昇圧および降圧コンバータが実装され、ここで、インダクタは、共通ノードと、それぞれの可変キャパシタの第1のキャパシタ端子との間に接続されており、第1のスイッチは、第1のダイオードと並列に接続されており、第2のスイッチは、第2のダイオードと並列に接続されている。加えて、本発明によるエネルギーハーベスティングシステムにおいて、第2の電圧源は、能動部品が、同じ可変キャパシタ電圧に対してより低い電圧にさらされるように、ソース側にバイアス源を提供する。その結果、先行技術のエネルギーハーベスティングシステムと比較して、より少ないエネルギー変換が必要とされ、これは、相対的により低い損失をもたらす。
【0007】
加えて、本発明は、請求項13に定義されるようなエネルギーハーベスティングシステムを動作させるための方法に関する。
【0008】
方法は、第1のスイッチが非導電状態のままでありながら、放電時間間隔の一部の間に、第2のスイッチを変調された導電状態に設定することと、第2のスイッチが非導電状態のままでありながら、充電時間間隔の一部の間に、第1のスイッチを変調された導電状態に設定することとを備えるアクティブスイッチングモードを提供する。
【0009】
アクティブ充電または放電間隔の間、変調された導電状態において、それぞれのスイッチは、典型的に数kHzのレートで連続的にオンとオフに切り替えられ、これによって、相補的なスイッチ/ダイオード対も電流経路(還流ダイオード(free-wheeling diode))を提供する。
【0010】
先行技術によれば、可変キャパシタの充放電サイクルは、可変キャパシタの電極間のギャップに作用する外部からの機械的な力によって加えられる(imposed)可変キャパシタの伸張および弛緩に追従する。
【0011】
本発明の方法によれば、可変キャパシタの充電は、可変キャパシタをパッシブに充電することによって可能であるよりも比較的大きい充電にまで拡張される。また、可変キャパシタの放電は、先行技術に比べて、比較的より小さい結果として得られる充電にまで拡張される。その結果、充放電サイクルの有効性が向上される。
【0012】
有利な実施形態が、従属請求項によってさらに定義される。
【0013】
本発明は、その例示的な実施形態が示される図面を参照して、以下でより詳細に説明される。これら図面は、例示目的のみを意図しており、本発明の概念を制限するものではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に示される定義によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施形態による、エネルギーハーベスティングシステムの回路を概略的に示す。
図2A図2Aは、図1の回路の充電状態を概略的に示す。
図2B図2Bは、図1の回路の放電状態を概略的に示す。
図2C図2Cは、図1の回路の充電状態を概略的に示す。
図2D図2Dは、図1の回路の放電状態を概略的に示す。
図3図3は、図2A図2Dに示された充電および放電状態に関連する可変キャパシタの電荷-電圧図を示す。
図4A図4Aは、図1の回路に結合された可変キャパシタの変形(deformation)を示す。
図4B図4Bは、図1の回路に結合された可変キャパシタの電界を示す。
図4C図4Cは、図1の回路に結合された可変キャパシタの電圧を示す。
図4D図4Dは、図1の回路に結合された可変キャパシタの電荷を示す。
図4E図4Eは、図1の回路に結合された可変キャパシタの電流を示す。
図5図5は、本発明の実施形態による、エネルギーハーベスティングシステムの動作の方法のための流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図の各々において、同様のまたは対応する要素は、同じ参照符号によって示される。
【0016】
図1は、本発明の実施形態による、エネルギーハーベスティングシステムの回路を概略的に示す。
【0017】
本発明の実施形態によるエネルギーハーベスティングシステム100が、1つ以上の可変キャパシタCsからエネルギーを収穫するように構成されている。このような可変キャパシタCsは、電気活性ポリマーデバイスに基づき得る。電気活性ポリマーデバイスは、機械的エネルギーを電気エネルギーに変換する静電エネルギートランスデューサとして機能する。このようなトランスデューサは、互いに対向して配置されかつ変形可能な誘電体を備えるギャップによって分離された少なくとも1対の電極からなり、加えられた変形のレベルに応じて静電容量が変わる可変キャパシタを構成している。
【0018】
機械的エネルギーを収穫するために、このような静電エネルギートランスデューサを動作させることは、サイクリックに、最大変形の状態でキャパシタ構造に電荷を印加し、その後、最小変形の状態で電荷を除去することによって達成される。最大変形の状態から最小変形の状態に移行している間、変形可能な誘電体の厚さ、したがって、電極間のギャップが増大し、これによって、逆極性の電荷は、ますます分離される。結果として生じるポテンシャルエネルギーの増大は、電気回路によって捕捉される。
【0019】
エネルギーハーベスティングシステム100は、少なくとも1つの可変キャパシタCsと、第1の電圧Vloadを供給するための第1の電圧源V1と、第2の電圧Vbiasを供給するための第2の電圧源V2とを備える。可変キャパシタCsの電極E1、E2間のギャップは、参照符号Gによって示されている。
【0020】
エネルギーハーベスティングシステムは、可変キャパシタCsごとに、第1および第2のダイオードD1、D2間の共通ノードN2と直列に接続されている第1のダイオードD1と第2のダイオードD2とからなるダイオード対からなるハーフブリッジネットワークH1をさらに備える。各ダイオードD1;D2は、それぞれのダイオードと並列に接続されている関連するスイッチS1;S2を伴って(with)配置されている。
【0021】
エネルギーハーベスティングシステムにおいて、第1および第2の電圧源V1、V2は、第1の電圧源V1の第1の端子T11と、第2の電圧源V2の第1の端子T22との間の相互接続ノードN1と直列接続で配置されている。第2の電圧源V2の第1の端子T22は、第1の電圧源の第1の端子T11の極性とは逆の第2の極性を有する。
【0022】
ダイオード対D1、D2は、第1の電圧源V1の端子T11と、第1の電圧源V1の第2の端子T12との間の第1の電圧源に並列に接続されている。
【0023】
エネルギーハーベスティングシステムにおいて、電極E1とE2との間の電圧は、V2からのVbias、またはV1+V2からのVload+Vbias、またはVbiasとVload+Vbiasの間の(in between)電圧のいずれかある。
【0024】
可変キャパシタCsは、共通ノードN2に第1のキャパシタ端子TC1で、および第2の電圧源V2の第1の極性の第2の端子T21に第2のキャパシタ端子TC2で接続されている。第2の端子T21は、第1の電圧源V1の第1の端子T11と同符号をもつ極性を有する。
【0025】
システムは、可変キャパシタごとに、インダクタL1と、第1のスイッチS1と、第2のスイッチS2とをさらに備える。
【0026】
インダクタL1は、共通ノードN2と、それぞれの可変キャパシタの第1のキャパシタ端子TC1との間に接続されている。
【0027】
第1のスイッチS1は、第1の電圧源V1の端子T12と、共通ノードN2との間に、第1のダイオードD1と並列に接続されている。第2のスイッチS2は、相互接続ノードN1と共通ノードN2との間に、第2のダイオードD2と並列に接続されている。
【0028】
それらの導電状態において、第1および第2のスイッチの各々は、典型的に1kHzを超える、可変キャパシタの変形の基本周波数よりも数桁高い周波数で、高いスイッチングレートにおいてアクティブにオンとオフに切り替えられるように配置されている。(以下の説明では、アクティブに切り替えることは、それぞれのスイッチS1;S2および相補的なダイオードD2;D1の変調された導電状態とも呼ばれる)。
【0029】
アクティブ充電間隔の間、第1のスイッチS1は、導電状態と非導電状態とに交互に保持される。第1の持続時間t_on1の間、スイッチS1は、導電状態に保持され、その間、インダクタL1を通る電流の大きさは、徐々に増大する。t_on1の後、スイッチS1は、第2の持続時間t_off1の間、非導電状態に保持される。第2の持続時間の間、電流は、インダクタL1の両端に誘起された逆電圧によって、第2のダイオードD2を通るように強制される。その結果、インダクタL1を通る電流の大きさは、徐々に低減する。
【0030】
アクティブ充電中の定常状態では、電流は、結果として、平均充電電流付近で変動する(fluctuates)。変動の大きさは、電圧V1、電圧(vcap-Vbias)、インダクタL1のインダクタンス、ならびに持続時間t_on1およびt_off1に依存する。より小さい変動は、より低い導電損失をもたらすことが確認されている。
【0031】
非定常状態では、例えば、平均充電電流をランプアップまたはランプダウンする(ramping up or down)ために、持続時間t_on1およびt_off1は、t_on1の間の電流の増大が、t_off1の間の低減よりも大きいかまたはそれぞれ小さい(respectively smaller)ように選択される。
【0032】
アクティブ放電間隔の間、第2のスイッチS2は、導電状態と非導電状態とに交互に保持される。第3の持続時間t_on2の間、第2のスイッチS2は、導電状態に保持され、その間、インダクタL1を通る電流の大きさは、充電間隔と比較して逆極性で徐々に増大する。第3の持続時間t_on2が終了した後、第2のスイッチS2は、t_off2の第4の持続時間の間、非導電状態に保持される。この第4の持続時間間隔の間、電流は、インダクタL1の両端に誘起された逆電圧によって、第1のダイオードD1を通るように強制される。その結果、インダクタL1を通る電流の大きさは、徐々に低減する。
【0033】
アクティブ放電中の定常状態では、電流は、結果として、平均放電電流付近で変動する。変動の大きさは、電圧V1、電圧(vcap-Vbias)、インダクタL1のインダクタンス、ならびに第3および第4の持続時間t_on2およびt_off2に依存する。より小さい変動は、より低い導電損失をもたらすことが確認されている。
【0034】
非定常状態では、例えば、平均放電電流をランプアップまたはランプダウンするために、第3および第4の持続時間t_on2およびt_off2は、t_on2の間の電流の増大が、t_off2の間の低減よりも大きいかまたはそれぞれ小さいように選択される。
【0035】
スイッチング変調器または駆動素子(図示せず)が、スイッチS1およびS2のためのスイッチング信号を生成する。スイッチング信号は、第1、第2、第3、および第4の持続時間t_on1、t_off1、t_on2、t_off2と、それぞれの対応するスイッチ状態とを実装する。スイッチング変調器の入力は、可変キャパシタの電気量を基準信号に追従するように強制する制御ループの出力であり得る。このような基準信号は、基準信号が、以下でより詳細に説明されるようなq,V図で説明されるサイクルを反映するようにプログラムされる、可変キャパシタの両端の電圧vcapであり得る。
【0036】
持続時間t_on1、t_off1、t_on2、t_off2、ならびに、電圧V1、電圧(vcap-Vbias)、およびインダクタL1のインダクタンスに依存して、可変キャパシタを通る電流は、サイクリックな非導電状態の終了時にゼロに達することも、達しないこともあり得る。次のスイッチングサイクルの導電状態間隔は、本質的に、非導電状態の終了時の電流から再開し、これは、ゼロまたは非ゼロのいずれかであり得る。本発明は、両方のモードで動作し得る一方で、非ゼロ復帰電流モード(the non-zero returning current mode)は、より低い導電損失をもたらすことが確認されている。
【0037】
本発明の一実施形態では、可変キャパシタのスイッチング変調器は、同期動作のための共通のスイッチングクロック信号を共有する。各スイッチング変調器には、静的または動的に相対位相が割り当てられることになり、それによって、アクティブ充電およびアクティブ放電間隔からの変動電流(fluctuating currents)がインターリーブされる。このようなインターリーブ動作は、バス側の高周波電流変動を低減させるのに有益であることが確認されており、これは、特に比較的高いバスインピーダンスの場合に、例えば、電圧源と、可変キャパシタと、それらのハーフブリッジとの間の距離が比較的大きいときに、損失を低減させる。
【0038】
ある実施形態では、第1および第2のスイッチならびに関連する駆動素子は、IGBTデバイスなどの半導体デバイスベースのスイッチによって具現化される。
【0039】
インダクタL1は、アクティブ電荷変位モード(active charge displacement mode)のための、すなわち、スイッチのうちの1つ以上が変調された導電状態にあるとき、スイッチドモードフィルタインダクタを構成する一方で、それは、スイッチS1およびS2の両方が非導電状態に設定されるとき、パッシブ動作モードでは重要な役割を果たさない。
【0040】
アクティブモードおよびパッシブモードの両方について、インダクタL1は、接続されている可変キャパシタの(絶縁)破壊の場合に、容量性故障電流の上昇を制限することによって、エネルギーハーベスティングシステムのロバスト性を高める。このようにして、インダクタL1は、従来の回路遮断器およびヒューズまたは個体スイッチが、故障電流を遮断し、システム全体のシャットダウンを防止するための追加の時間を提供する。
【0041】
インダクタを通じて、可変キャパシタCsは、一対の逆並列ダイオードD1、D2を有する、一対の制御可能なスイッチS1、S2からなるハーフブリッジネットワークH1に接続する。
【0042】
ある実施形態では、スイッチおよびダイオードは、それぞれ個別のデバイスである。代替として、ダイオードD1、D2は、それぞれのスイッチS1、S2とそれぞれ一体化され得る。
【0043】
オプションで、追加のダイオードDS1、DS2が、スイッチS1、S2内に一体化された逆並列ダイオードD1、D2に加えて、別個のデバイスとして外部に追加される。このようにして、スイッチのいずれかが故障し、およびそのようなスイッチが切断可能であるか、またはヒューズが取り付けられていることを条件に、可変キャパシタが、冗長な別個の追加のダイオードによって、パッシブオンリーモードで電気エネルギーを生成し続けることが可能になるとき、増大された冗長性が得られる。
【0044】
さらに、パッシブモードでは、スイッチはオフに保たれ(または非導電状態に設定され)、電流の変化レート(rate of change)が、アクティブモードの場合よりもはるかに低いことを識別することによって、インダクタL1の両端の電圧降下は、放置され得ることが理解されよう。しかしながら、アクティブモードでは、インダクタと組み合わせたハーフブリッジは、それぞれ充電(dq/dt>0)および放電(dq/dt<0)のために、降圧(Buck)および昇圧(Boost)コンバータとしてアクティブに制御され、qは電荷を示し、tは時間を示す。コンバータの入力電圧は、vin=Vloadであり、一方、出力電圧は、vout=vcap-Vbiasに等しい。可変キャパシタ電圧vcapが常にVlowとVhighの間にあると仮定すると、コンバータの出力電圧は、0とVloadの間に制限される。Vlow=Vbias、Vhigh=Vload+Vbiasであることに留意されたい。これらの条件下では、インダクタL1は、コンバータの出力、すなわち、可変キャパシタ側に位置していなければならない。可変キャパシタの結果は、スイッチング周波数の時間スケール上の直流である。直流は、より低いRMS値を有し、これは、可変キャパシタの直列抵抗損失にとって有益である。
【0045】
エネルギーハーベスティングシステム100は、電圧センサSvによって、それぞれの可変キャパシタCsにわたる電圧vcapを測定することと、電流センサScによって、それぞれの可変キャパシタを通る電流icapを測定することとを行うように構成された、各可変キャパシタCsに対するコントローラCTをさらに備える。さらに、コントローラCTは、第1および第2のスイッチS1、S2に結合され、第1および第2のスイッチの各々の切り替え、すなわち、非導電状態「オフ」または変調された導電状態「オン」のいずれかへの切り替えを少なくとも制御するように構成されている。オプションで、コントローラCTはまた、それぞれの変調された導電状態または非導電状態を検出するために配置されている。
【0046】
図2A図2Dは、図1の回路の充電および放電状態を概略的に示す。
【0047】
可変キャパシタの充電および放電のための電流経路が、図2A図2Dに例示される。パッシブ動作モードでは、スイッチは、オフのままであるか、または非導電状態に設定され、電流は、電荷対キャパシタンス(charge over capacitance)(q/C)比が、それぞれ、放電または充電中に、電圧Vlow、Vhighのいずれか達したときに、ダイオードを通って流れる。
【0048】
図2Aには、パッシブモードで充電するための電流経路W1が破線で示され、ここで、電流は、スイッチS1およびS2の両方が開いている、すなわち、非導電である間、第2のダイオードD2を通って流れる。図2Bには、パッシブモードで放電するための電流経路W2が示される。ここで、電流は、第1および第2のスイッチS1、S2の両方が開いている間、第1のダイオードD1を通って流れる。
【0049】
図2Cには、アクティブ充電のための電流経路W3が示される。アクティブモードでは、可変キャパシタCsは、電流経路W1およびW3に沿って、変調された導電状態にある第1のスイッチS1と、第2の(還流)ダイオードD2との組合せによって充電される。第1のスイッチS1の導電状態によって、第1の電圧源V1は、電荷を供給するために、可変キャパシタCsに追加的に結合される。
【0050】
アクティブモードでの放電は、図2Dに示されるように、電流経路W4に沿って行われ、ここで、第2のスイッチS2は、変調された導電状態にあり、第1のスイッチS1は、非導電状態にあり、これは、第1の(還流)ダイオードD1と第2のスイッチS2との両方を通る電流経路W2およびW4をもたらす。
【0051】
当業者であれば、したがって、充電は、降圧コンバータに類似の回路によって実行され、放電は、昇圧コンバータに類似の回路によって実行されることを理解するであろう。
【0052】
提案されたトポロジのアクティブモードの制御は、低レベル変調器が、出力電圧に対する閉ループ制御と共に、例えば、パルス幅変調(PWM)を実施することからなり得る。
【0053】
本発明の一実施形態では、同期整流が、(還流)ダイオードが導電している間隔の間、アクティブモードで適用され、および/または、ダイオードが可変キャパシタをVlowまたはVhighのいずれかにクランプしているときに、パッシブモードで適用される。電位ユニポーラ半導体スイッチのチャネルをオンにすることは、電界が本質的に一定に保たれるハーベスティングサイクルフェーズ中などの低電流状態について、スイッチ導電損失を低下させることが確認されている。
【0054】
本発明の一実施形態では、コントローラは、クロック信号発生器CGに結合されかつ変調回路Mを備え、ここで、コントローラCT内に配置されている変調器は、同期動作のための共通のスイッチングクロック信号を共有するために、全ての可変キャパシタのスイッチS1、S2のうちの関連する1つにそれぞれ結合されている。各変調器には、静的または動的に相対位相が割り当てられることになり、それによって、全ての可変キャパシタの昇圧および降圧コンバータは、それらの電流をインターリーブする。このようなインターリーブ動作は、バス側、すなわち、第1の電圧源V1側の高周波電流リップルを低減させるのに有益であることが確認されており、これは、特に比較的高いバスインピーダンスの場合に、例えば、電圧源と、可変キャパシタと、それらのハーフブリッジとの間の距離が比較的大きいときに、損失を低減させる。例えば、距離が1メートルを超え、バスバーがその間で使用されないなど....。
【0055】
ある実施形態では、接地接続GNDが、2つの電圧源V1、V2の間の相互接続ノードN1において適用される。結果として得られるトポロジは、接地電位を基準とした両方の電圧源V1、V2、ならびに、接地電位に接続されたハーフブリッジを有する。有利には、このような接続方式は、電圧源およびハーフブリッジ構成要素ならびにそれらのサポート回路の複雑さを低減させることが観察される。
【0056】
代替の実施形態では、接地接続GNDは、第2の電圧源V2の第2の端子T21のレベルにおいて配置されている。
【0057】
ある実施形態では、本発明は、可変キャパシタCsおよび/またはその接続ケーブルが、接地電位GNDに接続されている外側シールド(図示せず)を有することを提供する。したがって、エネルギーハーベスティングシステムは、定格絶縁電圧、安全性、および電磁干渉(EMI:electromagnetic interference)の点で、好ましい特性を有する。
【0058】
図3は、図2A図2Dに示された充電および放電状態に関連する可変キャパシタCsの電荷-電圧q,V図を示す。
【0059】
図3を参照して、上記で説明されたようなエネルギーハーベスティングシステム100を動作させるための方法が説明される。
【0060】
図3には、例示的な電荷-電圧q,V図が、可変キャパシタCsについて示される。示されている値の範囲は、単なる参考にすぎないことが理解されよう。本発明は、図3に示される範囲内で動作する回路および/または方法に限定されず、異なる範囲の電圧および電荷で、ならびに電圧および電荷の両方について正または負のいずれかの極性で動作し得る。
【0061】
可変キャパシタCsを発電機モードで動作させることは、最大静電容量の状態での電荷の印加(充電)と、その後の最小静電容量の状態での電荷の除去(放電)とを伴う。静電エネルギー変換の課題は、サイクリックな電荷の変位(cyclic displacement of charge)であり、それに伴うエネルギー量は、多くの場合、変換されるべき機械的エネルギー量よりも数倍高くなる。
【0062】
本発明によれば、エネルギーハーベスティングシステム100内の電荷の変位は、完全に制御可能である。対照的に、先行技術のパッシブエネルギーハーベスティング回路では、電荷の変位は、加えられた静電容量のバリエーションおよびその変化レートによって間接的にのみ駆動される。
【0063】
本発明によれば、方法は、ハーベスティングサイクル中にエネルギーハーベスティングシステム100のトポロジにおける受動(ダイオードD1、D2)素子と能動(スイッチS1、S2)素子とを協働させる:電荷は、それがパッシブハーベスティングサイクルであるかのように、電圧Vlow、Vhighへの変形誘起(パッシブ)電圧クランピング(deformation-induced (passive) voltage-clamping)を使用して、可能な限りパッシブに変位され、一方、追加の電荷は、定電荷(constant-charge)、定電圧(constant-voltage)、および定電界(constant-field)などのアクティブハーベスティングサイクルの部分でのように、充電/放電によってアクティブに変位される。
【0064】
方法のある実施形態では、アクティブハーベスティングサイクルの部分は、定電界サイクルを伴い、すなわち、電界は、可変キャパシタの電極間のギャップのバリエーション下で一定に保たれる。結果として得られるハイブリッドハーベスティングサイクルは、次いで、組み合わされた定電圧(図3においてステージP1およびP4として示される)および定電界(ステージP3として示される)サイクルを構成する。このようなサイクルは、配備された能動部品(スイッチS1、S2およびダイオードD1、D2)の電圧定格の制限内で最大エネルギーをもたらすことが確認されている。
【0065】
アクティブ定電界サイクルを有するエネルギーハーベスティングサイクルの実施形態が、図3のq,V図に例示されている。
【0066】
それは、以下の間隔を備える。
【0067】
この例では本質的に最小静電容量で定義されるサイクルの開始時、および、静電容量が増大している間、可変キャパシタCsは、電圧Vlowにおいてqからqまで充電している。当業者であれば、開始点が任意に取られることを理解するであろう:サイクルは、最小静電容量値と最大静電容量値との間の静電容量の異なる値で開始し得る。
【0068】
電荷qから電荷qまでの全ての電荷は、第1および第2のスイッチS1、S2の両方が非導電状態に設定されている間、電流経路W1に沿って第2のダイオードD2を使用して完全にパッシブモードで変位され、可変キャパシタCsは、電圧Vlowにクランプされる。図2Aを参照。このステージの間、静電容量は、電荷によって誘起される静電(マクスウェル)力よりも大きい外部からの機械的な力により増大しており、可変キャパシタCsの電極E1、E2の間のギャップGの低減を引き起こしていることに留意されたい。
【0069】
一旦可変キャパシタCsが最大静電容量付近になり、もはやVlowにクランプされなくなると(例えば、キャパシタを通る電流の本質的にゼロ値への低減:icap==0を検出することによって観察される)、第1のスイッチS1(降圧スイッチ)は、変調された導電状態に設定される。次に、ステージP2では、第1のスイッチS1および第2のダイオードD2は、qよりも大きいqを充電し続けるために、電流経路W3およびW1に沿った充電プロセスをアクティブに可能にする。例えば、この間隔は、サイクル期間の1%から15%の間継続し、ここで、前者は、可変キャパシタからより多くのエネルギーを捕捉し、後者は、より低い損失を生成する。
【0070】
オプションで、ステージP2では、可変キャパシタCsは、最大電界境界に接近するかまたは最大電界境界に位置する最大電荷qまで充電される。図3では、電荷qと電圧Vとの間の最大電界境界関係は、「電界限界」として参照される点線の曲線によって示されている。
【0071】
その後、ステージP3では、充放電サイクルは、q,V経路に追従し、その間、可変キャパシタは、変調された導電状態にある第2のスイッチS2および第1のダイオードD1を使用して、q(またはq)からq2’まで徐々にかつアクティブに放電される。(第1のスイッチS1は、P3の間、非導電状態に設定される。)電荷q2’は、電荷qに等しくなり得る。ステージP2の間に最大電荷qに達した場合には、q,V経路は、一定フィールドq,V関係に追従する。
【0072】
からq2’まで放電するとき、第2のスイッチS2および第1のダイオードD1は、エネルギーハーベスティングシステム100の回路が、q・V=ε・Z・Eで、最大電界において動作するように構成されており、q:電荷、V:電圧、ε:誘電率、Z:体積、およびE:最大電界ある。
【0073】
一旦可変キャパシタ電圧vcapが(q2’において)電圧Vhighまで増大すると、ステージP4の間、可変キャパシタCsは、第1および第2のスイッチS1、S2の両方が非導電状態に設定されている間、第1のダイオード(クランプダイオード)D1を使用して、電流経路W2に沿って電荷q2’から電荷q1’までパッシブに放電される。
【0074】
最小静電容量付近において、可変キャパシタがもはやVhighにクランプされていないとき(例えば、キャパシタ電流のゼロ値icap==0によって検出される)、ステージP5の間、可変キャパシタは、電流経路W4およびW2に沿って、変調された導電状態に設定された第2のスイッチS2および第1のダイオードD1を通る電流で、電荷q1’から電荷qまでアクティブに放電される。後者の間隔の持続時間は、典型的に、ステージP2でのものと同じ程度の持続時間であり、これにより、充電電流と放電電流は、ほぼ同じ大きさである。アクティブ放電は、可変キャパシタの電圧がqにおいてVlowに実質的に達したときに終了する。
【0075】
図3から、矩形Wによって示されるパッシブサイクルにおいて実行される仕事(work)と比較して、組み合わされたパッシブおよびアクティブサイクルP1...P5における仕事は、より大きいエネルギー収量で、相対的により大きいことが観察され得る。
【0076】
したがって、本発明は、上記で説明されたように、少なくとも1つの可変キャパシタCsから電気エネルギーを収穫するためのエネルギーハーベスティングシステム100を動作させるための方法に関し、ここで、変形可能な誘電体層によって分離された電極層を備え得る可変キャパシタは、可変キャパシタの静電容量が、機械的なローディング中の誘電体層の最小厚さでの最大静電容量と、機械的なアンローディング中の最小静電容量との間で変わる状態で、機械的なローディングおよびアンローディングのサイクルにさらされる。方法は、下記を備える:
・第1および第2のスイッチが非導電状態に設定されている間、放電時間間隔における機械的なアンローディング中に、第1のダイオードを介して少なくとも1つの可変キャパシタを電気的に放電すること、
・第1および第2のスイッチが非導電状態に設定されている間、充電時間間隔における機械的なローディング中に、第2のダイオードを介して可変キャパシタを電気的に充電すること。
さらに、この方法は、下記を備える:
第1のスイッチが非導電状態のままでありながら、放電時間間隔の一部の間に、第2のスイッチを変調された導電状態に設定すること、および
第2のスイッチが非導電状態のままでありながら、充電時間間隔の一部の間に、第1のスイッチを変調された導電状態に設定すること。
【0077】
ある実施形態では、方法は、充電時間間隔中に、下記をさらに備える:
・(パッシブモードで)電荷qにおいて最大静電容量に達するまで、第1および第2のスイッチS1、S2が非導電状態にある状態で(with)、少なくとも1つの可変キャパシタを、Vlowにおいて第2の電圧源V2にクランプすること、および、その後、
・少なくとも1つの可変キャパシタの電荷が、パッシブモードで得られる電荷qよりも大きい電荷qに達するか、または、オプションで、最大電界境界値に接近するかもしくは最大電界境界値に位置する電荷qに達するまで、第1のスイッチS1を変調された導電状態に前記設定することによって、少なくとも1つの可変キャパシタを、Vhighにおいて第1の電圧源V1にクランプすること。
【0078】
ある実施形態では、方法は、放電時間間隔中に、下記をさらに備える:q(またはq)に達した後、少なくとも1つの可変キャパシタの電圧が、電圧Vhighの値に達するまで、少なくとも1つの可変キャパシタの放電を可能にするために、第1のスイッチを非導電状態に設定し、第2のスイッチを変調された導電状態に設定または保持すること、
その後、少なくとも1つの可変キャパシタの電圧が、電圧Vhighの値に達したとき、電荷q1’および電圧Vhighにおいて最小静電容量に達するまで、少なくとも1つの可変キャパシタのさらなる放電を可能にするために、第2のスイッチを非導電状態に設定し、第1のスイッチを非導電状態に設定または保持すること。
【0079】
次に、q1’からqまでおよび電圧VhighからVlowまでのアクティブな放電が、電荷qおよび電圧Vlowにおいて本質的に最小の静電容量に達するまで、アクティブ化されたスイッチSW2によって行われる。
【0080】
図4A図4Eは、図1の回路に結合された可変キャパシタの変形、電界、電圧、電荷、および電流をそれぞれ示す。
【0081】
図4Aには、電気活性ポリマーベースの可変キャパシタの伸張パラメータλ(伸張および弛緩)によって示される変形サイクルが、時間の関数として示される。同じλサイクルについて、それぞれ、図4Bには、電界Eのバリエーションが示され、図4Cには、可変キャパシタ上の電圧vcapのバリエーションが示され、図4Dには、可変キャパシタ上の電荷qのバリエーションが示され、図4Eには、可変キャパシタの電流icapのバリエーションが示される。また、図3を参照して上記で説明されたようなステージP1、P2、P3、P4、およびP5が、図4A図4Eの各々に示される。
【0082】
図4Aでは、弾性伸張パラメータλは、電気活性ポリマーベースの可変キャパシタの緊張した長さと、弛緩した(すなわち、緊張していない)長さとの比率として定義される。
【0083】
図4B図4Cの各々において、本発明のエネルギーハーベスティングシステムおよび方法に従って生じたバリエーションは、可変キャパシタの充電がqにおいて最大電界境界に達するまで行われるという条件について、実線によって表されている。図4B図4Eの各々における破線は、充電が、アクティブに電荷qまで行われる、本発明の方法によるハーベスティングサイクルにおけるバリエーションを表し、ここで、|q|<|q|<|q|である。放電は、電荷q1’から電荷qまで行われ、|q|<|q|である。図3を参照。
【0084】
図4B図4Eの各々における点線は、パッシブクランプダイオードD1、D2のみを使用するパッシブ専用ハーベスティングサイクルにおけるバリエーションを表す。第1のスイッチS1または第2のスイッチS2のいずれかが変調された導電状態にアクティブ化されるステージP2、P3、およびP5は、斜線の領域によって示され、サイクルの残りの間隔は、第1および第2のスイッチS1、S2の両方が非導電状態にある間に実現される。
【0085】
見てわかるように、エネルギーハーベスティングシステムにおけるアクティブハーベスティングの使用は、パッシブハーベスティングと比較して、より高い電界、より高いキャパシタ電圧、およびより大きい電荷をもたらす。
【0086】
図5は、本発明の実施形態による、エネルギーハーベスティングシステムの動作の方法のための流れ図500を示す。
【0087】
図2A図4Eを参照して上記で説明されたような方法を例示するために、図1を参照して例示されたような、エネルギーハーベスティングシステムと結合されたコントローラCTと共に使用するための流れ図が示される。
【0088】
コントローラCTは、流れ図に示されるような手順500におけるステップに従って、エネルギーハーベスティングシステムのエネルギーハーベスティングサイクルを制御するように配置されている。ある実施形態では、コントローラは、メモリに結合された少なくともプロセッサを備える。メモリは、プロセッサが手順に従って制御プログラムを実行するための命令を記憶するように配置されている。代替の実施形態では、コントローラは、ステートマシンとして実装され得る。
【0089】
ステップ502において、エネルギーハーベスティングサイクルは、静電容量が増大している(dC/dt>0)間、すなわち、例えば、外部からの機械的な力により、可変キャパシタCsの電極E1、E2間のギャップGが低減している間、例えば、最小静電容量Cminに等しいかまたはその近くなどの、任意の静電容量C(t)で開始する。
【0090】
コントローラCTが、この条件が満たされていることを検出した場合、エネルギーハーベスティングシステム100は、ステージP1にあり、ステップ504において、可変キャパシタCsは、第1および第2のスイッチS1、S2の両方が非導電状態にある状態で、Vlowにクランプされる。このようにして、可変キャパシタは、第2のダイオードD2を通って流れる電流によって充電される。
【0091】
lowにクランプしている間、ステップ506において、コントローラCTは、可変キャパシタを通る電流icapが本質的にゼロになるかどうかを(そして、すなわち、起こり得るシステム的な電流漏洩(systematic current leakage)を考慮しつつ)電流センサScによって監視する。電流icapがゼロでない場合、エネルギーハーベスティングシステムは、可変キャパシタがVlowにクランプされた状態でステージP1に留まる。しかしながら、電流icapがゼロになった場合、ステップ508において、コントローラCTは、可変キャパシタがqにおける最大電界Ehighまたはqにおける中間電界Eq3まで充電することを可能にするために、第1のスイッチS1を変調された導電状態にアクティブ化する。qまでまたはqまでの充電中、エネルギーハーベスティングシステムは、ステージP2にある。
【0092】
コントローラが、qにおける最大電界Ehigh(またはqの場合はEq3)に達したかまたは接近したことを検出した場合、コントローラCTは、ステップ510に入り、コントローラCTが、可変キャパシタ上の電圧vcapが高電圧レベルVhighに等しいことを、ステップ512においてセンサSvによって検出するまで、最大電界Ehigh(またはその近く)に電界を維持する(または、このステップの間、Eq3は、Ehighまで増大する)。エネルギーハーベスティングシステムは、ここでステージP3にある。ステップ510において、コントローラCTは、第1のスイッチS1を開放非導電状態に戻す。ステージP3において、コントローラCTは、電界を一定に保つために、可変キャパシタが放電することを可能にするように、第2のスイッチS2をアクティブ化する。
【0093】
可変キャパシタ上の電圧vcapがVhighより小さい場合には、手順はステップ510に戻る。コントローラが、可変キャパシタ上の電圧vcapがVhighに等しいことをセンサSvによって検出した場合には、手順はステップ514において継続する。
【0094】
ステップ514において、コントローラCTは、第2のスイッチS2を非導電状態に戻し、これは、可変キャパシタに、第1および第2のスイッチS1、S2の両方が非導電状態にある間に、第1のダイオードD1を介して放電させる。ステップ514において、エネルギーハーベスティングシステムは、ステージP4にある。
【0095】
ステップ516において、コントローラCTは、放電ステップ514の終了を検出するために、可変キャパシタCsを通る電流icapが本質的にゼロになるかどうかを電流センサScによって監視する。可変キャパシタCsを通る電流icapがゼロになった場合、ステップ518において、検出器は、可変キャパシタ上の電圧がVlowに達するまでさらに放電するために、第2のスイッチS2を変調された導電状態にアクティブ化する。ステップ518において、エネルギーハーベスティングシステムは、ステージP5にある。
【0096】
最後に、ステップ520において、コントローラは、電圧センサSvによって、可変キャパシタ上の電圧vcapがVlowに達したかどうかをチェックする。可変キャパシタ上の電圧vcapがVlowに達した場合には、手順はステップ504(ステージP1)に戻り、そうでない場合、ステップ518が継続される。
【0097】
エネルギーハーベスティングシステムのサイクリングを制御するために、コントローラは、最大および最小の静電容量の状態がゼロ電流検出、icap==0を使用して観察されると仮定して、可変キャパシタにわたる電界の強度を導出または測定するように構成される。さらに、これは、電圧vcapおよび電極間のギャップの距離を測定することを必要とする。ギャップ距離は、機械的/物理的に測定されるか、または静電容量測定から導出され得る。
【0098】
本発明は、いくつかの実施形態を参照して説明された。前述の詳細な説明を読み、理解すれば、自明な修正および変更が他者に想到されるであろう。本発明は、全てのそのような修正および変更を、それらが添付の特許請求の範囲の範囲内にある限り含むものとして解釈されることが意図される。
【0099】
特に、本発明の様々な態様の特定の特徴の組合せが行われ得る。本発明の一態様は、本発明の別の態様に関連して説明された特徴を追加することによって、さらに有利に向上され得る。
【0100】
本明細書およびその特許請求の範囲において、「備える(to comprise)」という動詞およびその活用形は、具体的に言及されていないアイテムを除外することなく、この用語に後続するアイテムが含まれることを意味するように、それらの非限定的な意味において使用される。加えて、不定冠詞「a」または「an」による要素への参照は、文脈が、1つの要素および要素のうちの1つのみが存在することを明確に要求しない限り、1つより多くのこの要素が存在する可能性を排除しない。したがって、不定冠詞「a」または「an」は、通常、「少なくとも1つ」を意味する。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[C1]
少なくとも1つの可変キャパシタ(Cs)から電気エネルギーを収穫するためのエネルギーハーベスティングシステム(100)であって、前記少なくとも1つの可変キャパシタと、第1の電圧(V load )を供給するための第1の電圧源(V1)および第2の電圧(V bias )を供給するための第2の電圧源(V2)と、各可変キャパシタに対して、それぞれのハーフブリッジネットワーク(H1)とを備え、
前記第1および第2の電圧源(V1,V2)は、前記第1の電圧源の第1の極性の端子(T11)と、前記第2の電圧源の第2の極性の端子(T22)との間の相互接続ノード(N1)と直列接続で配置され、前記第2の極性は、前記第1の極性と逆であり、
前記それぞれのハーフブリッジネットワークは、第1および第2のダイオードの間の共通ノード(N2)と直列に接続された前記第1のダイオード(D1)と第2のダイオード(D2)の対を備え、前記対は、前記第1の電圧源の前記第1の極性の端子(T11)と、第2の極性の端子(T12)との間で、前記第1の電圧源に並列に接続され、
前記少なくとも1つの可変キャパシタは、前記共通ノード(N2)に第1のキャパシタ端子(TC1)で、および前記第2の電圧源(V2)の第1の極性の端子(T21)に第2のキャパシタ端子(TC2)で接続され、
ここにおいて、
各可変キャパシタに対して、前記システムは、インダクタ(L1)と、第1のスイッチ(S1)と、第2のスイッチ(S2)とをさらに備え、
前記インダクタ(L1)は、前記共通ノード(N2)と、前記それぞれの可変キャパシタの前記第1のキャパシタ端子(TC1)との間に接続され、
前記第1のスイッチ(S1)は、前記第1のダイオード(D1)と並列に接続され、前記第2のスイッチ(S2)は、前記第2のダイオード(D2)と並列に接続されている、エネルギーハーベスティングシステム。
[C2]
前記少なくとも1つの可変キャパシタは、第1の電極層と、第2の電極層と、誘電エラストマー層とを備える電気活性ポリマーデバイスであり、ここで、前記誘電エラストマー層は、前記第1および第2の電極層の間に配置されている、C1に記載のエネルギーハーベスティングシステム。
[C3]
コントローラ(CT)をさらに備え、前記コントローラは、前記スイッチの各々についてのスイッチ状態を制御するために、前記ハーフブリッジネットワーク(H1)における前記第1および第2のスイッチ(S1,S2)に接続されている、C1または2に記載のエネルギーハーベスティングシステム。
[C4]
前記第1および第2のスイッチの各々は、所定のスイッチングレートで前記それぞれのスイッチをアクティブにオンとオフに切り替えるための駆動素子を備え、オプションで、前記スイッチングレートは、前記可変キャパシタ上の測定された電圧、および/または、測定された充電または放電電流に基づいて、動的に調整される、C1~3のいずれか一項に記載のエネルギーハーベスティングシステム。
[C5]
前記コントローラは、各可変キャパシタに対して、前記スイッチのうちの1つ以上に変調信号を供給するための変調器デバイス(M)を備える、C3または4に記載のエネルギーハーベスティングシステム。
[C6]
前記コントローラは、前記少なくとも1つの可変キャパシタ上の電圧v cap を測定するための電圧センサ(Sv)と、前記可変キャパシタを通る電流i cap を測定するための電流センサ(Sc)とを備える、C3~5のいずれか一項に記載のエネルギーハーベスティングシステム。
[C7]
前記コントローラは、前記可変キャパシタ上で測定された電圧に基づいて、ループ制御によって出力電圧を調整するように構成される、C3~6のいずれか一項に記載のエネルギーハーベスティングシステム。
[C8]
少なくとも第2の可変キャパシタ(CS2)をさらに備え、ここにおいて、前記少なくとも1つの第2の可変キャパシタは、前記共通ノード(N22)にその第1のキャパシタ端子(TC1-2)で、および前記第2の電圧源(V2)の前記第1の極性の端子(T21)にその第2のキャパシタ端子(TC2-2)で接続されており、各可変キャパシタに対して、前記コントローラは、前記少なくとも1および第2の可変キャパシタについての前記エネルギーハーベスティングシステムの同期動作のための共通のクロック信号を、前記第1および第2のスイッチのうちの少なくとも1つを変調するために配置されているそれぞれの変調器デバイス(M)に供給するためのクロック信号発生器(CG)を用いて構成され、前記少なくとも第1および第2の可変キャパシタの各々の前記変調器デバイスは、前記共通のクロック信号に対するそれぞれの位相を有するように構成される、C5~7のいずれか一項に記載のエネルギーハーベスティングシステム。
[C9]
接地端子(GND)が、前記第1および第2の電圧源の間の前記相互接続ノード(N1)において設けられるか、または接地端子(GND)が、前記第2の電圧源(V2)の前記第2の端子(T21)において設けられるかのいずれかである、C1~8のいずれか一項に記載のエネルギーハーベスティングシステム。
[C10]
前記第1の電圧源は、少なくとも抵抗器を備え、前記第1の電圧源は、関連する前記ハーフブリッジネットワークを通じて前記少なくとも1つの可変キャパシタによって加えられた電荷の変位の関数として、第1の電圧を生成するように構成される、C1~9のいずれか一項に記載のエネルギーハーベスティングシステム。
[C11]
C1に記載の、機械的な変形の関数として可変である静電容量を有する、少なくとも1つの可変キャパシタ(Cs;Cs2)から電気エネルギーを収穫するためのエネルギーハーベスティングシステム(100)を動作させるための方法であって、
ここで、前記少なくとも1つの可変キャパシタは、前記可変キャパシタの前記静電容量が、最大の機械的なローディング中の最大静電容量と、最小の機械的なローディング中の最小静電容量との間で変わる状態で、機械的なローディングおよびアンローディングのサイクル(λ)にさらされ、
前記方法は、
・第1および第2のスイッチが非導電状態にある間、前記第1のダイオードを介して、放電時間間隔(P4)における機械的なアンローディング中に、前記少なくとも1つの可変キャパシタを電気的に放電することと、
・第1および第2のスイッチが非導電状態にある間、前記第2のダイオードを介して、充電時間間隔(P1)における機械的なローディング中に、前記少なくとも1つの可変キャパシタを電気的に充電することと、
を備え、ここにおいて、前記方法は、
前記第1のスイッチが前記非導電状態のままであるか、または前記非導電状態に設定されている間、前記放電時間間隔(P3;P5)の一部の間に、前記第2のスイッチを変調された導電状態に設定することと、
前記第2のスイッチが前記非導電状態のままであるか、または前記非導電状態に設定されている間、前記充電時間間隔(P2)の一部の間に、前記第1のスイッチを変調された導電状態に設定することと
を備える、方法。
[C12]
前記充電時間間隔中に、
・前記最大静電容量および第1の電荷q に達するまで、前記第1および第2のスイッチ(S1,S2)が非導電状態にある状態で、前記少なくとも1つの可変キャパシタに対して、前記第2の電圧(V bias )において前記第2の電圧源(V2)をクランプすることと(P1)、その後、
・q >q で前記少なくとも1つの可変キャパシタの第2の電荷q に達するか、または、q >q >q で第3の電荷q が最大電界境界値に達するかもしくは最大電界境界値に接近するまで、前記第1のスイッチ(S1)を前記変調された導電状態に設定することによって、前記第2の電圧(V bias )における前記第2の電圧源(V2)と直列に、前記少なくとも1つの可変キャパシタに対して、前記第1の電圧(V load )において前記第1の電圧源(V1)をクランプすることと(P2)、
を備える、C11に記載の方法。
[C13]
前記放電時間間隔中に、
前記第2の電荷値q または第3の電荷値q に達した後:前記少なくとも1つの可変キャパシタの前記電圧が、前記第1の電圧と第2の電圧の合計V bias +V load の値に達するまで(P3)、前記少なくとも1つの可変キャパシタの放電を可能にするために、前記第1のスイッチを前記非導電状態に設定し、前記第2のスイッチを前記変調された導電状態に保持することと、
その後、前記少なくとも1つの可変キャパシタの前記電圧が、V bias +V load の前記値に達したとき:前記V bias +V load の値における第4の電荷q 1’ に達するまで(P4)、前記少なくとも1つの可変キャパシタのさらなる放電を可能にするために、前記第2のスイッチを前記非導電状態に設定し、前記第1のスイッチを前記非導電状態に保持することと、
その後、前記少なくとも1つの可変キャパシタを、前記第4の電荷q 1’ から、前記第2の電圧(V bias )の前記値における第5の電荷q までの追加の放電を可能にするために、前記第2のスイッチを前記変調された導電状態に設定することと、前記第5の電荷値q は、q 1’ 、q 、q 、q のいずれよりも小さい、
を備える、C11または12に記載の方法。
[C14]
前記エネルギーハーベスティングシステムの前記サイクリングを制御するために、前記方法は、
前記キャパシタを通る電流i cap ==0で、最大および最小の静電容量の状態がゼロ電流検出を使用して観察されたと仮定して、前記可変キャパシタにわたる電界の強度を導出または測定することを備え、
前記キャパシタ電圧v cap を測定することと、および、
前記キャパシタの電極間の前記ギャップの距離を測定すること、または測定されたキャパシタ電圧v cap および測定されたキャパシタ電流i cap から決定される静電容量から前記ギャップの前記距離を導出することのいずれかと、
をさらに含む、
C11~13のいずれか一項に記載の方法。
[C15]
前記最大静電容量または最小静電容量は、前記キャパシタを通る前記電流のゼロ交差を測定することによって決定される、C14に記載の方法。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5