(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】容積式ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04B 7/06 20060101AFI20230516BHJP
F04B 9/02 20060101ALI20230516BHJP
F04B 13/00 20060101ALI20230516BHJP
F04B 53/00 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
F04B7/06
F04B9/02 C
F04B13/00 D
F04B53/00 A
(21)【出願番号】P 2020543879
(86)(22)【出願日】2019-02-19
(86)【国際出願番号】 IT2019050033
(87)【国際公開番号】W WO2019159213
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2022-01-28
(31)【優先権主張番号】102018000002800
(32)【優先日】2018-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】594073646
【氏名又は名称】イ.エンメ.ア.インドゥストリア マッキーネ アウトマティケ ソチエタ ペル アツィオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】トレッビ、クラウディオ
(72)【発明者】
【氏名】ステファニーニ、ルカ
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-115951(JP,A)
【文献】特開2011-074764(JP,A)
【文献】国際公開第93/015316(WO,A1)
【文献】特開平11-132140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 7/06
F04B 9/00
F04B 9/02
F04B 13/00
F04B 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望量の液体を移送するように構成される容積式ポンプであって、
前記液体のための少なくとも一つの入口開口部(14)および少なくとも一つの出口開口部(15)を設けた少なくとも一つのシリンダ(11)と、
前記シリンダ(11)の中で可動であり、かつ、前記液体を前記入口開口部(14)から前記出口開口部(15)へ移送するように構成される一つのプランジャ(12)と、を備え、
前記シリンダ(11)および前記プランジャ(12)は、長手方向の展開軸(L)に沿って延びており、
前記容積式ポンプは、さらに、
前記長手方向の展開軸(L)に沿った並進運動と、その軸(L)の周りの回転運動との交互回転‐並進運動により動かすべく前記プランジャ(12)を駆動するように構成される第1のアクチュエータ(20)
と、
少なくとも、前記シリンダ(11)が基準軸(X)に沿って前記第1のアクチュエータ(20)と整列する第1の非活動位置(P1)と、前記シリンダ(11)の前記長手方向の展開軸(L)が前記基準軸(X)に対して傾斜する第2の動作位置(P2)との間で
、前記シリンダ(11)を選択的に動かすように構成される第2のアクチュエータ(25)
と、を備え
、
前記第2のアクチュエータ(25)は、自動的かつ調整可能な態様で、前記シリンダ(11)を選択的に動かすように構成され、
前記第2のアクチュエータ(25)は、前記シリンダ(11)を少なくとも第3の洗浄位置(P3)にするようにさらに構成されており、
前記第3の洗浄位置(P3)は、前記第1の非活動位置(P1)および前記第2の動作位置(P2)とは異なる位置であり、前記第3の洗浄位置(P3)において前記シリンダ(11)が前記動作位置(P2)に対してさらに傾斜する、容積式ポンプ。
【請求項2】
前記シリンダ(11)は、前記シリンダ(11)が前記第3の洗浄位置(P3)にある場合、前記容積式ポンプを内部で洗浄するために使用する液体を排水する開口を形成する、前記液体のための第2の出口開口部(16)を備える、請求項
1に記載の容積式ポンプ。
【請求項3】
前記第3の洗浄位置(P3)は、少なくとも前記シリンダ(11)の洗浄角度(C)によって定義され、前記第2の動作位置(P2)は、少なくとも前記シリンダ(11)の動作角度(S)によって定義され、前記洗浄角度(C)は、前記シリンダ(11)が前記第3の洗浄位置(P3)にある場合の前記長手方向の展開軸(L)と前記基準軸(X)との間に広がる角度であり、前記動作角度(S)は、前記シリンダ(11)が前記第2の動作位置(P2)にある場合の前記長手方向の展開軸(L)と前記基準軸(X)との間に広がる角度であり、前記動作角度(S)は、前記洗浄角度(C)とは異なる、請求項
1に記載の容積式ポンプ。
【請求項4】
前記シリンダ(11)の前記洗浄角度(C)は、前記シリンダ(11)の動作角度(S)よりも大きい、請求項
3に記載の容積式ポンプ。
【請求項5】
前記シリンダ(11)の動作角度(S)は、約0°と約15°との間で構成され、前記長手方向の展開軸(L)が前記基準軸(X)に一致する位置である、前記シリンダ(11)の前記第1の非活動位置(P1)は、0°にあると定義される、請求項
3または4に記載の容積式ポンプ。
【請求項6】
前記洗浄角度(C)は、約35°と約45°との間で構成される、請求項
3~5のいずれか一項に記載の容積式ポンプ。
【請求項7】
前記第2のアクチュエータ(25)は、前記シリンダ(11)に関連付けられている少なくとも一つの運動伝達要素(27)と協働することができるウォームねじ(26)を備える、請求項1~
6のいずれか一項に記載の容積式ポンプ。
【請求項8】
前記第1のアクチュエータ(20)は、少なくとも一つの継手部材(22)によって、前記プランジャ(12)に接続され、これによって、前記プランジャ(12)が前記シリンダ(11)における回転‐並進運動に応じて移動することを可能にする、請求項1~
7のいずれか一項に記載の容積式ポンプ。
【請求項9】
前記第2のアクチュエータ(25)と前記第1のアクチュエータ(20)との両方に接続される制御ユニット(17)を備え、前記制御ユニット(17)は、前記アクチュエータ(20,25)に交互に協働させる態様で命令するように構成される、請求項1~
8のいずれか一項に記載の容積式ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容積式ポンプに関し、特に、例えば、製薬、食品、化粧品、または類似する分野において、容器、瓶、またはこれに類するものの中の液体を計量するために使用される容積式ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
とりわけ上述の分野において使用可能な容積式ポンプであって、球状継手、カルダンジョイント、またはこれに類する継手によって、液体または液体の混合物がその中を吸込領域から吐出領域へと通過するシリンダのプランジャに接続されている少なくとも一つのアクチュエータを備え、液体が適切かつ正確な用量でその中に入れられなければならない容器が提供される、容積式ポンプは、公知である。
【0003】
ここで言う容積式ポンプは、ゆえに、一般的に液体計量機器に関連することができる。
これらの容積式ポンプのシリンダは、実質的にアクチュエータと整列する第1の非活動位置から非活動位置に対して特定の角度だけ傾斜する第2の動作位置までそのアクチュエータに対して方向付けられる。この種類の容積式ポンプの例は、特許文献1に記載されている。
【0004】
プランジャは、一般的に、シリンダに沿った運動とその長手方向軸の周りの回転運動との交互の運動を担い、これによって、特定の量の液体がシリンダに設けられた入口開口部から吐出開口部へと移送される。
【0005】
次いで、プランジャのボディにおいて、入口開口部および吐出開口部と交互に通信するように位置づけられた区画が設けられ、これによって、入口開口部から吐出開口部への液体の除去および移送を可能にする。
【0006】
これらの種類のポンプは、一般的に、シリンダのアクチュエータに対する傾斜が大きいほど、シリンダの中のプランジャのストロークが大きくなり、ゆえに、プランジャの頭部とシリンダの上部との間に生成されるチャンバーの部分の容積が大きくなる。
【0007】
シリンダの動作位置は、通常はポンプの底部に位置する目盛尺に基づいて確立され、かつ、配置され、この動作位置は、非活動位置、または、休止位置、および、大きくした角度における、実質的により多くの液体の移送を伴う動作位置も示す。
【0008】
ゆえに、所望の動作状態に基づいて、シリンダは、アクチュエータに対してより大きくまたは小さく傾斜する。
従来技術において公知な容積式ポンプの他の例は、特許文献2および特許文献3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第5863187号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2902002号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3023638号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これらの公知な容積式ポンプの第1の問題は、シリンダが大抵は手動で動かされることであり、所望の角度に対応するシリンダに関連付けられ、かつ、目盛尺に示される適当なインジケータをもたらす。
【0011】
ゆえに、この手動による駆動は、とりわけ本説明において参照される容積式ポンプが使用される用途において、あまり正確でなく信頼性に欠けることが容易に理解される。
液体または液体の混合物が、環境において、より厳格な衛生および洗浄基準を満たす方法で取り扱われなければならず、手動によるシリンダの駆動は、上述の分野において、とりわけ好ましくなく、かつ、不利益であることは明らかである。したがって、容積式ポンプの調整が必要になる都度、作業者がアクチュエータに対するシリンダの傾斜を手動で修正しなければならない、という事実は、計量機器および計量処理における衛生および清潔さを損なわせる。
【0012】
公知な容積式ポンプのもう一つの問題は、シリンダが手動で駆動されるという事実に直接的に関するものであり、これらのポンプが自動的に洗浄される(つまり、作業者がポンプの様々な部品に手動で接触することを実質的に必要としない洗浄)位置が提供されないことである。
【0013】
従来のポンプは、実際には、前述したように、シリンダが実質的にアクチュエータと整列する非活動位置と、シリンダがアクチュエータに対して特定の傾斜を有して配置される動作位置とともに提供されるが、適切かつ自動な洗浄が行われる位置は提供されない。
【0014】
計量機器および計量処理における衛生および清潔さを損なわせる汚染または外部物質の累積を防止するために容積式ポンプの構成要素が頻繁に洗浄されなければならないという事実に鑑み、とりわけ不利益であることは明らかである。
【0015】
従来の解決手段および技術の他の制約および欠点は、下記の図面および実施形態の説明を参照して本説明の残りの部分を読めば当業者にとっては明らかであろうが、本説明に関する従来技術の説明は、ここで説明されるものが従来技術からすでに公知であることの承認と解釈されてはならないことは明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
ゆえに、従来技術の少なくとも一つの不利益を解消する容積式ポンプである必要がある。
ゆえに、本発明の一つの目的は、プランジャのアクチュエータに対するシリンダの角度位置が正確かつ自動化された態様で調節されることができる容積式ポンプを生成することである。
【0017】
本発明のもう一つの目的は、非活動位置または休止位置および動作位置、また動作位置とは異なる洗浄位置であって、ポンプの効果的な洗浄および液体または洗浄に使用される流体の排水を行うことが可能な洗浄位置とともにシリンダが予め配置される容積式ポンプを生成することである。
【0018】
本発明のもう一つの目的は、ゆえに、動作工程および洗浄工程の両方において、公知な容積式ポンプよりも総合的により良く働き、正確かつ信頼性がある容積式ポンプを生成することである。
【0019】
出願人は、従来技術の欠点を克服し、これらのおよび他の目的および利点を得るために本発明を発明し、試験し、具体化した。
本発明は、独立請求項において述べられ特徴付けられる一方、従属請求項は、発明の他の特徴または主発明の着想の変形を記載する。
【0020】
上述した目的および発明の第1の態様によれば、容積式ポンプは、液体のための少なくとも一つの入口開口部および少なくとも一つの出口開口部を設けた少なくとも一つのシリンダと、シリンダの中で可動であり、かつ、液体を入口開口部から出口開口部へ移送するように構成される一つのプランジャとを備え、シリンダおよびプランジャは、長手方向の展開軸に沿って延びる。発明に応じた容積式ポンプは、長手方向軸に沿った並進運動と、その軸の周りの回転運動との交互回転‐並進運動により動かすべくプランジャを駆動するように構成される第1のアクチュエータと、少なくとも第1の非活動位置と第2の動作位置との間で、自動的かつ調整可能な態様で、シリンダを選択的に動かすように構成される第2のアクチュエータと、を備える。第1の非活動位置では、シリンダは、基準軸に沿って第1のアクチュエータと整列する一方で、第2の動作位置では、シリンダの長手方向の展開軸は、基準軸に対して傾斜する。
【0021】
少なくとも二つの別個のアクチュエータ、つまり、シリンダの位置の調節を行うための一つおよびプランジャを駆動するための一つの存在によって、本容積式ポンプは、とりわけ容器、瓶、またはこれに類するものの中の液体の計量に際し、高水準な正確さ、信頼性、および速度が要求される用途において、手動かつ時折あまり正確でない作業、シリンダの位置の調節に関する上述のすべてを必要とすることなく、有意にかつ効果的に使用されることができる。
【0022】
本発明に応じた容積式ポンプでは、第2のアクチュエータがシリンダを第1の非活動位置および第2の動作位置とは異なる位置であって、シリンダが第2の動作位置に対してさらに傾斜される少なくとも第3の洗浄位置にするようにも構成される。
【0023】
この目標を達成するために、シリンダは、第3の洗浄位置における液体のための第2の出口開口部を備えることができる。
第3の洗浄位置は、少なくともシリンダの洗浄角度によって定義され、第2の動作位置は、少なくとも、洗浄角度とは異なるシリンダの動作角度によって定義される。洗浄角度および動作角度は、長手方向の展開軸と基準軸との間に延びており、それぞれ、シリンダが第3の洗浄位置にある場合と第2の動作位置にある場合とに対応する。
【0024】
シリンダの洗浄角度は、好ましくは、シリンダの動作角度よりも大きい。
シリンダの動作角度は、好ましくは、約0°~約15°に構成され、長手方向の展開軸が基準軸に一致するシリンダの第1の非活動位置は、0°にあると定義される。
【0025】
洗浄角度Cは、約35°~約45°の間に構成される。
好ましい実施形態では、洗浄角度Cは、約40°に等しい。
第2のアクチュエータは、例えば、シリンダに接続されている少なくとも一つの運動伝達要素と協働することができるウォームねじを、駆動部材として備えることができる。
【0026】
第1のアクチュエータは、少なくとも一つの継手部材によってプランジャに接続され、これによって、プランジャがシリンダにおける回転‐並進運動に応じて移動することを可能にする。
【0027】
第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータは、容積式ポンプの制御ユニットに接続されることができる。
本開示のこれらのおよび他の態様、特徴、および利点は、下記の説明、図面、および添付の特許請求の範囲を参照してより良く理解されるであろう。統合されて本説明の一部を形成している図面は、本発明のいくつかの実施形態を示し、説明と共に、開示内容の原理を説明することを意図する。
【0028】
本説明において説明される様々は態様および特徴は、可能な場所に個々に適用されることができる。これらの個々の態様、例えば、添付の従属請求項において説明される態様および特徴は、分割出願の対象とされることができる。
【0029】
特許を取得する工程において、公知であると発見されたいかなる態様または特徴は、請求されることはできず、放棄の対象となることが理解される。
本発明のこれらのおよび他の特徴は、非制限的な例として添付の図面を参照していくつかの実施形態の下記の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】洗浄位置における発明に応じた容積式ポンプの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
理解を容易にするために、同様の共通な要素を識別するために、図面において、可能な場所では、同じ参照番号が使用される。一つの実施形態の要素および特徴は、さらなる釈明なしに他の実施形態に都合よく取り入れられることが理解される。
【0032】
ここで、一つ以上の実施例が添付の図面に示される本発明の様々な実施形態の詳細に言及する。各実施例は、発明の図解の手法によって提供されるが、これに限定されて解釈されるべきでない。例えば、ある実施形態の一部であるとして示され、または記述された特徴は、他の実施形態に取り入れられ、または関連付けられて別の実施形態を産出することができる。本発明は、すべてのそのような修正および変形を含むことが解釈される。
【0033】
これらの実施形態について記述する前に、本発明は、添付の図を用いた後続の記述において説明される部品の構造および配置の詳細にその用途において限定されないことについても明確にしなければならない。本記述は、他の実施形態を提供することができ、かつ、他の様々な手法によって得られ、および、実行されることができる。ここで使用される表現および用語は、説明を目的とするだけのものであり、限定的に解釈されてはならないことについても明確にしなければならない。
【0034】
添付の
図1および
図2を参照して、本発明に応じた容積式ポンプ、例えば、回転容積式ポンプは、その中をプランジャ12がスライド可能なチャンバー13を内部に設けたシリンダ11を備える。
【0035】
シリンダ11およびプランジャ12は、長手方向軸Lに沿って延びる。
プランジャ12は、有意には、セラミックまたは複合材料で作られる。
シリンダ11は、プランジャ12がその内部をスライド可能な外部部品またはジャケット29を備える。
【0036】
チャンバー13は、シリンダ11の中の液体のために入口開口14と流体連通し、かつ、その液体のために少なくとも一つの第1の出口開口部と流体連通することができる。
第1の出口開口部15は、入口開口部14から除去された液体が、計量の手段、例えば計量ノズルまたはこれに類するものによってその中に注がれる容器または瓶への移送を可能にする。
【0037】
代わりに、第2の出口開口部16は、チャンバー13の中に配置されて、本容積式ポンプ10、とりわけシリンダ11の洗浄液を排出し、吐出する。
したがって、入口開口部14を通じて導入される容積式ポンプ10の自己洗浄のための既定の液体は、第2の出口開口部16を通じてチャンバー14へと吐出される。
【0038】
入口開口部および出口開口部14,15,16は、公知な態様によって、液体を送って移送するように、対応する管30,31,32に関連付けられる。
管30,31,32は、例えば適切な高分子材料から作られる可撓性の管を含み、添付の図に概略的に示される。
【0039】
いくつかの実施形態では、液体の流れを遮断し調節するためのバルブが管30,31,32に関連付けられてこれらを通じた液体の流れが調節される。
プランジャ12は、前述されているように、長手方向軸Lの周りのプランジャ12の回転と交互のその同じ軸に対する並進に続いて、入口開口部14から出口開口部15へ液体の移動を可能にするための区画が設けられた(図中からは視認できない)ボディ18を備える。
【0040】
シリンダ11の中のプランジャ12のスライドおよび回転の液体シールは、例えば、Oリングまたはこれに類するものなどの少なくとも一つのガスケット19によって確実にされる。
【0041】
容積式ポンプ10は、長手方向軸Lに沿った並進運動と、その軸の周りの回転運動との、交互回転‐並進運動に応じた動きで駆動するためにプランジャ12に関連付けられている少なくとも一つの第1のアクチュエータ20を備える。
【0042】
プランジャ12は、第1のアクチュエータ20の駆動シャフト23に関連付けられている継手部材22と掛かる閉止要素21を、例えば、底部に対応して、備えることができる。
【0043】
とりわけ、閉止要素21は、スライドする態様で、継手部材22のロッド24と掛かることができる。
ロッド24は、回転する態様で、継手部材22に接続されて、プランジャ12を第1のアクチュエータ20に接続する球状継手が得られる。
【0044】
駆動シャフト23の回転に続いて、継手部材22が追従して、シリンダ11の中におけるプランジャ12の回転およびその交互の並進の両方が可能にされる。
シリンダ11は、
図1において破線で示される第1の休止、すなわち、非活動位置P1および
図2に示される少なくとも一つの第2の動作位置P2を想定することができる。
【0045】
さらに、シリンダ11は、有意には、
図1において実線で示される第3の洗浄位置P3を想定することができる。
休止、すなわち、非活動位置P1は、
図1に示すように、シリンダ11が実質的に基準軸Xに沿って第1のアクチュエータ20と整列する位置である。非活動位置P1では、長手方向の展開軸Lが基準軸Xと一致し、かつ、重なる。
【0046】
動作位置P2は、シリンダ11が非活動位置P1に対して特定の動作角度Sだけ傾斜する位置である。
動作角度Sは、シリンダ11が動作位置P2にあるときは、長手方向の展開軸Lと基準軸Xとの間に形成される角度として定義される。
【0047】
動作角度Sは、容積式ポンプ10の様々な作動要件に応じて可変であることができる。動作角度Sは、約0°~約15°の間であってもよく、このときシリンダ11の非活動位置P1は0°にあると定義される。言い換えれば、動作角度Sが0°に等しいときは、長手方向の展開軸Lは、基準軸Xに一致する。
【0048】
洗浄位置P3は、シリンダ11が動作位置P2に関してさらに傾斜する位置である。
とりわけ、洗浄角度C、すなわち、洗浄位置P3におけるシリンダ11の傾斜の角度は、出口開口部16からの液体の適切な排水を確実にするものでなければならない。
【0049】
洗浄角度Cは、シリンダ11が洗浄位置P3にある場合の長手方向の展開軸Lと基準軸Xとの間に広がる角度の大きさとして定義される。
可能な実施形態において、洗浄角度Cは、好ましくは、動作角度Sよりも大きい。
【0050】
さらに、洗浄角度Cは、有意には、動作角度Sよりも極めて大きく、これにより、作業者は、容積式ポンプ10が動作工程にあるのか、または洗浄工程にあるのかを速やかに視覚的に区別することができる。
【0051】
洗浄角度Cは、例えば、約35°~45°の間に構成されることができ、これによって、効果的な洗浄および液体の排水が確実にされる。
好ましい実施形態では、洗浄角度Cは、約40°に等しい。
【0052】
前述したように、シリンダ11の基準軸X、すなわち、第1のアクチュエータに20に対する傾斜が大きいほど、プランジャ12の頭部とシリンダ11の端部との間に形成されるチャンバー13の容積が大きくなる。この目的のために、洗浄位置P3および動作位置P2におけるチャンバー13の異なる容積が
図1および
図2において明確に視認される。
【0053】
有意には、容積式ポンプ10は、自動的にシリンダ11を駆動して、正確および自動な態様で、少なくとも非活動位置P1から動作位置P2まで、またはその反対に動かすことができる第2のアクチュエータ25を備える。
【0054】
第2のアクチュエータ25は、シリンダ11を非活動位置P1から、または動作位置P2から洗浄位置P3に、およびその反対にするために使用されることもできる。
一実施形態では、第2のアクチュエータは、対応する運動伝達要素27、例えば、歯車はまたはこれに類するものに掛かる駆動シャフト、例えば、ウォームねじ26を備える。
【0055】
別の実施形態では、第2のアクチュエータ25は、上述したウォームねじ26および伝達要素27とは異なるが、これらと完全に同等な運動伝達手段を備えることができる。例えば、運動伝達手段は、二つ以上のギア、周期的な溝構造、または従来の技術水準において公知な種類の他の運動伝達要素を備えることができる。
【0056】
伝達要素27は、ウォームねじ26から受け取った運動を、シリンダ11および伝達要素27に関連付けられている接続機構28によって、シリンダ11、とりわけその外部部品29に伝えることができる。
【0057】
一実施形態では、接続機構28は、一つの側面が外部部品29に取り付けられ、もう一つの側面が伝達要素27に取り付けられたアーム33であって、これによって、アーム33が伝達要素27と共に移動し、よって、伝達要素27の回転に応じてシリンダ11の傾斜を変更する、アーム33を備える。
【0058】
容積式ポンプ10は、シリンダ11の傾斜を調節する第2のアクチュエータ25およびプランジャ12を駆動する第1のアクチュエータ20の両方に接続する制御ユニット17を備える。容積式ポンプ10は、ユーザによる命令を作動するように、交互に協働した態様でアクチュエータ20,25の機能を制御するように構成される。
【0059】
制御ユニット17は、シリンダ11の動作角度Sの幅を調整することによって、計量される液体の量を調節するように構成され、これによって、動作位置P2において計量される液体の所望量を容積式ポンプ10が送ることを可能にする。
【0060】
さらに、制御ユニット17は、容積式ポンプ10を洗浄する必要があるときは、シリンダ11を洗浄位置P3にすることも可能である。
本容積式ポンプ10は、ゆえに、自動の態様において、かつ、実質的に作業者の介入を必要とすることなく、動作角度Sによって形成される傾斜によって、シリンダ11が非活動状態であるか、または、動作状態であるかの位置である、複数の異なる位置を想定する。シリンダ11を動作位置P2または非活動位置P1に位置させることは、第2のアクチュエータ25によって正確かつ自動の態様によりに確実にされる。
【0061】
第2のアクチュエータ25は、有意には、シリンダ11を自己洗浄状態、または、さらに、洗浄位置P3にすることも可能であり、ここで、自己洗浄状態は、洗浄角度Cによって形成される傾斜を想定する。
【0062】
洗浄位置P3では、上述したように、入口開口部14によって適切な洗浄液がシリンダ11に送られ、かつ、洗浄が完了したときは、出口開口部16によって排水される。例えば、洗浄液の量、洗浄時間、自動的に一回以上の洗浄間隔を事前配置する可能性等、洗浄機能に関連するパラメータは、制御ユニット17によって設定および管理される。
【0063】
少なくとも二つの別個のアクチュエータ20,25、つまり、シリンダ11の傾斜の調節を行うための一つおよびプランジャ12の駆動を調節するための一つの存在によって、本容積式ポンプ10は、とりわけ容器、瓶、またはこれに類するものの中の液体の計量に際し、高い正確さ、信頼性、および速度を要求する用途において、有意にかつ効果的に使用されることができる。
【0064】
さらに、第2のアクチュエータ25の使用によってまた、自動化され、かつ、場合によってはプログラム可能な本容積式ポンプ10の洗浄が、公知な容積式ポンプと比較して、機能面の点および衛生面の点の両方から見て、大きく改善された作動状態を確実にすることが理解できる。
【0065】
本発明の分野および範囲から逸脱することなく、ここで説明された容積式ポンプに部品の変形および/または追加が行われてもよいことは、明らかである。
本発明は、いくつかの特定の例を参照して説明されているが、当業者であれば、請求項において明らかにされた特徴を有し、かつ、これによって定義された保護の分野に入るすべての容積式ポンプの多くの他の同等な形態に当然に到達するであろうことも明らかである。
【0066】
下記の請求項では、括弧内の参照の唯一の目的は、読むことを容易にすることであり、これらは、特定の請求項において請求された保護の分野に関して制限的な要素として解釈されてはならない。