IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バイエル アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧 ▶ バイエル・ファルマ・アクティエンゲゼルシャフトの特許一覧

特許7280286びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を治療するための5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミンの使用
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を治療するための5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミンの使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/444 20060101AFI20230516BHJP
   A61K 31/44 20060101ALI20230516BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230516BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230516BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230516BHJP
   C07D 213/74 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
A61K31/444
A61K31/44
A61K45/00
A61P35/00
A61P43/00 121
C07D213/74
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020565543
(86)(22)【出願日】2019-02-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 EP2019053407
(87)【国際公開番号】W WO2019158517
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2022-01-17
(31)【優先権主張番号】18156576.3
(32)【優先日】2018-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591063187
【氏名又は名称】バイエル アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Bayer Aktiengesellschaft
(73)【特許権者】
【識別番号】514298139
【氏名又は名称】バイエル・ファルマ・アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アルネ・ショルツ
【審査官】松浦 安紀子
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-537015(JP,A)
【文献】Blood,2016年,Vol. 128, Issue 22, No. 289
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/444
A61K 31/44
A61P 35/00
A61P 43/00
A61K 45/00
C07D 213/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象のがんを治療するための医薬品の製造における、式(I)による5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミン、またはその生理学的に許容される塩もしくはエナンチオマーの1つ
【化1】
の使用であって、
前記医薬品は、細胞がMYC遺伝子および/もしくはBCL2遺伝子の増幅もしくは転座ならびに/またはBCL2の過剰発現を有する、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を治療するために製造される、使用。
【請求項2】
前記エナンチオマー
(+)-5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミンまたはその生理学的に許容される塩の1つが使用される、
請求項1に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項3】
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を治療および/または予防するための、請求項1に定義される
式Iの5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミンまたはその生理学的に許容される塩もしくはエナンチオマーの1つ
【化2】
と、少なくとも1つまたは複数のさらなる有効成分と
を含む医薬組み合わせであって、
前記びまん性大細胞型B細胞リンパ腫が、細胞がMYC遺伝子および/もしくはBCL2遺伝子の増幅もしくは転座ならびに/またはBCL2の過剰発現を有する、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫である、医薬組み合わせ
【請求項4】
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を治療および/または予防するための、請求項1に定義される
式Iの5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミンまたはその生理学的に許容される塩もしくはエナンチオマーの1つ
【化3】
と、少なくとも1つの不活性で、非毒性の薬学的に適したアジュバントと
を含む医薬組成物であって、
前記びまん性大細胞型B細胞リンパ腫が、細胞がMYC遺伝子および/もしくはBCL2遺伝子の増幅もしくは転座ならびに/またはBCL2の過剰発現を有する、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫である、医薬組成物
【請求項5】
前記エナンチオマー
(+)-5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミンまたはその生理学的に許容される塩の1つが含まれる、請求項3または4に記載の医薬組み合わせまたは医薬組成物。
【請求項6】
前記びまん性大細胞型B細胞リンパ腫が、胚中心B細胞型のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫である、請求項1または2に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項7】
前記びまん性大細胞型B細胞リンパ腫が、胚中心B細胞型のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫である、請求項3から5のいずれか一項に記載の医薬組み合わせまたは医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を治療するため、特に胚中心B細胞型のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、特に細胞がMYC遺伝子および/もしくはBCL2遺伝子の増幅もしくは転座ならびに/またはMYCおよび/もしくはBCL2の過剰発現を有するびまん性大細胞型B細胞リンパ腫における、5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミン(化合物A)、さらに特に(+)5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミン(化合物A’)の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)タンパク質のファミリーは、細胞分裂周期の主要な調節因子であり(細胞周期CDK)、遺伝子転写の調節に関与する(転写CDK)メンバー、およびその他の機能を有するメンバーからなる。CDKは、活性化のために調節性サイクリンサブユニットとの会合を必要とする。細胞周期CDK、CDK1/サイクリンB、CDK2/サイクリンA、CDK2/サイクリンE、CDK4/サイクリンD、およびCDK6/サイクリンDは、細胞を細胞分裂周期に駆動するために順次に活性化される。転写CDK CDK9/サイクリンTおよびCDK7/サイクリンHは、カルボキシ末端ドメイン(CTD)のリン酸化を介して、RNAポリメラーゼIIの活性を調節する。正の転写因子b(P-TEFb)は、CDK9とサイクリンT1、サイクリンK、サイクリンT2aまたはT2bの4つのサイクリンパートナーのうちの1つのヘテロ二量体である。
【0003】
CDK9(NCBI GenBank Gene ID 1025)は転写調節にのみ関与している一方、CDK7はさらにCDK活性化キナーゼ(CAK)として細胞周期調節に参加している。
【0004】
RNAポリメラーゼIIによる遺伝子の転写は、プロモーター領域での転写開始前複合体の構築ならびにCDK7/サイクリンHによるCTDのSer 5およびSer 7のリン酸化によって開始される。遺伝子の大部分については、RNAポリメラーゼIIが、DNAテンプレートに沿って20~40ヌクレオチド移動した後、mRNA転写を停止する。RNAポリメラーゼIIのこのプロモーター近位の休止は、負の伸長因子によって媒介され、さまざまな刺激に応答して急速に誘導される遺伝子の発現を調節する主要な制御機構として認識されている(Choら、Cell Cycle 2010、9、1697)。P-TEFbは、CTDのSer 2のリン酸化ならびに負の伸長因子のリン酸化および不活性化により、RNAポリメラーゼIIのプロモーター近位の休止の克服および生産的伸長状態への移行に決定的に関与している。
【0005】
P-TEFb自体の活性はいくつかの機構によって調節される。細胞P-TEFbの約半分は、7SK小核RNA(7SK snRNA)、La関連タンパク質7(LARP7/PIP7S)およびヘキサメチレンビスアセトアミド誘導性タンパク質1/2(HEXIM1/2、Heら、Mol.Cell 2008、29、588)との不活性複合体中に存在する。P-TEFbの残りの半分は、ブロモドメインタンパク質Brd4を含有する活性複合体中に存在する(Yangら、Mol.Cell 2005、19、535)。Brd4は、アセチル化ヒストンとの相互作用を通して、P-TEFbを遺伝子転写のために準備されたクロマチン領域に動員する。その正と負の調節因子と交互に相互作用することにより、P-TEFbは機能平衡で維持される:7SK snRNA複合体に結合したP-TEFbは、細胞の転写および細胞増殖の要求に応じて活性P-TEFbを放出することができるリザーバーとなる(Zhou&Yik、Microbiol.Mol.Biol.Rev.2006、70、646)。さらに、P-TEFbの活性は、リン酸化/脱リン酸化、ユビキチン化、およびアセチル化を含む翻訳後修飾によって調節される(Choら、Cell Cycle 2010、9、1697に概説)。
【0006】
P-TEFbヘテロ二量体の調節解除CDK9キナーゼ活性は、過剰増殖性疾患(例えば、がん)、ウイルス誘発性感染性疾患または心血管疾患などのさまざまなヒトの病理学的状況に関連している。
【0007】
がんは、増殖と細胞死(アポトーシス)の不均衡によって媒介される過剰増殖性障害と見なされる。高レベルの抗アポトーシスBcl-2-ファミリータンパク質が、さまざまなヒト腫瘍に見られ、腫瘍細胞の長期生存および治療抵抗性を説明している。P-TEFbキナーゼ活性の阻害は、RNAポリメラーゼIIの転写活性を低下させ、短命な抗アポトーシスタンパク質、特にMcl-1およびXIAPの減少につながり、腫瘍細胞がアポトーシスを受ける能力を再導入することが示された。形質転換された腫瘍表現型に関連するいくつかの他のタンパク質(Myc、NF-kB応答性遺伝子転写産物、分裂期キナーゼなど)は、短命なタンパク質である、またはP-TEFb阻害によって媒介されるRNAポリメラーゼII活性低下に感受性の短命な転写産物によってコードされている(Wang&Fischer、Trends Pharmacol.Sci.2008、29、302で概説)。
【0008】
多くのウイルスは、自身のゲノムを転写するために宿主細胞の転写機構に依存している。HIV-1の場合RNAポリメラーゼIIがウイルスLTR内のプロモーター領域に動員される。ウイルス転写アクチベーター(Tat)タンパク質は、発生期のウイルス転写産物に結合し、P-TEFbの動員により、プロモーター近位のRNAポリメラーゼIIの休止を克服し、次にこれが転写伸長を促進する。さらに、Tatタンパク質は、7SK snRNA複合体内のP-TEFb阻害タンパク質HEXIM1/2を置き換えることにより、活性P-TEFbの割合を増加させる。近年のデータは、P-TEFbのキナーゼ活性の阻害が、宿主細胞に細胞傷害性ではないキナーゼ阻害剤濃度でHIV-1複製を遮断するのに十分であることを示している(Wang&Fischer、Trends Pharmacol.Sci.2008、29、302に概説)。同様に、ウイルスタンパク質によるP-TEFbの動員が、核抗原EBNA2タンパク質がP-TEFbと相互作用する、B細胞がん関連エプスタインバーウイルス(Bark-Jonesら、Oncogene 2006、25、1775)、および転写アクチベーターであるTaxがP-TEFbを動員する、ヒトTリンパ球向性ウイルス1型(HTLV-1)(Zhouら、J.Virol.2006、80、4781)などの他のウイルスで報告されている。
【0009】
機械的過負荷および圧力(血行力学的ストレス、例えば高血圧、心筋梗塞)に対する心臓の適応反応である心肥大は、長期的には心不全および死につながるおそれがある。心肥大が、心筋細胞における転写活性増加およびRNAポリメラーゼII CTDリン酸化と関連していることが示された。P-TEFbが、不活性7SK snRNA/HEXIM1/2複合体からの解離によって活性化されることが分かった。これらの所見は、心肥大を治療するための治療的アプローチとしてのP-TEFbキナーゼ活性の薬理学的阻害を示唆している(Deyら、Cell Cycle 2007、6、1856で概説)。
【0010】
要約すると、複数の証拠が、P-TEFbヘテロ二量体(=CDK9とサイクリンT1、サイクリンK、サイクリンT2aまたはT2bの4つのサイクリンパートナーのうちの1つ)のCDK9キナーゼ活性の選択的阻害が、がん、ウイルス性疾患および/または心臓の疾患などの疾患を治療するための革新的なアプローチとなることを示唆している。CDK9は少なくとも13種の密接に関連するキナーゼのファミリーに属し、その細胞周期CDKのサブグループは細胞増殖の調節において複数の役割を果たす。よって、細胞周期CDK(例えば、CDK1/サイクリンB、CDK2/サイクリンA、CDK2/サイクリンE、CDK4/サイクリンD、CDK6/サイクリンD)とCDK9の同時阻害は、腸粘膜、リンパおよび造血器官、ならびに生殖器官などの正常な増殖組織に影響を及ぼすと予想される。したがって、CDK9キナーゼ阻害剤の治療域を最大化するためには、CDK9に対する高い選択性を有する分子が必要である。
【0011】
一般に、CDK阻害剤ならびにCDK9阻害剤は、いくつかの異なる刊行物に記載されている:
国際公開第2008129070号パンフレットおよび国際公開第2008129071号パンフレットは共に、一般にCDK阻害剤としての2,4二置換アミノピリミジンを記載している。また、これらの化合物のいくつかは、それぞれ選択的CDK9阻害剤(国際公開第2008129070号パンフレット)およびCDK5阻害剤(国際公開第2008129071号パンフレット)として作用し得ることが主張されているが、具体的なCDK9 IC50(国際公開第2008129070号パンフレット)データもCDK5 IC50(国際公開第200812971号パンフレット)データも提示されていない。
【0012】
国際公開第2008129080号パンフレットは、4,6二置換アミノピリミジンを開示しており、これらの化合物がCDK1、CDK2、CDK4、CDK5、CDK6およびCDK9などのさまざまなプロテインキナーゼのプロテインキナーゼ活性に対する阻害効果を示し、CDK9阻害について優先性を有することを実証している(実施例80)。
【0013】
欧州特許第1218360号明細書は、キナーゼ阻害剤としてのトリアジン誘導体を記載しているが、強力または選択的なCDK9阻害剤を開示していない。
【0014】
国際公開第2008079933号パンフレットは、アミノピリジンおよびアミノピリミジン誘導体、ならびにCDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK8またはCDK9阻害剤としてのそれらの使用を開示している。
【0015】
国際公開第2011012661号パンフレットは、CDK阻害剤として有用なアミノピリジン誘導体を記載している。
【0016】
Wangら(Chemistry&Biology 2010、17、1111~1121)は、動物モデルで抗がん活性を示す2-アニリノ-4-(チアゾール-5-イル)ピリミジン転写CDK阻害剤を記載している。
【0017】
国際公開第2004009562号パンフレットは、置換トリアジンキナーゼ阻害剤を開示している。選択された化合物については、CDK1およびCDK 4の試験データが提示されているが、CDK9のデータは提示されていない。
【0018】
国際公開第2004072063号パンフレットは、ERK2、GSK3、PKAまたはCDK2などのプロテインキナーゼの阻害剤としてのヘテロアリール(ピリミジン、トリアジン)置換ピロールを記載している。
【0019】
国際公開第2010009155号パンフレットは、ヒストンデアセチラーゼおよび/またはサイクリン依存性キナーゼ(CDK)の阻害剤としてのトリアジンおよびピリミジン誘導体を開示している。選択された化合物については、CDK2試験データが記載されている。
【0020】
国際公開第2003037346号パンフレット(米国特許第7618968号明細書、米国特許第7291616号明細書、米国特許出願公開第2008064700号明細書、米国特許出願公開第2003153570号明細書に対応)は、アリールトリアジン、ならびに腫瘍細胞などの細胞のリゾホスファチジン酸アシルトランスフェラーゼβ(LPAAT-β)活性および/または増殖の阻害を含むその使用に関する。
【0021】
国際公開第2008025556号パンフレットは、キナーゼ阻害剤として有用な、ピリミジンコアを有するカルバモイルスルホキシミドを記載している。CDK9データは提示されていない。
【0022】
国際公開第2002066481号パンフレットは、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤CDK9が言及されておらず、CDK9データが提示されていないため、ピリミジン誘導体を記載している。
【0023】
国際公開第2008109943号パンフレットは、フェニルアミノピリ(ミ)ジン化合物およびキナーゼ阻害剤、特にJAK2キナーゼ阻害剤としてのそれらの使用に関する。具体的な例は、ピリミジンコアを有する化合物に焦点を当てている。
【0024】
国際公開第2009032861号パンフレットは、JNKキナーゼ阻害剤としての置換ピリミジニルアミンを記載している。具体的な例は、ピリミジンコアを有する化合物に焦点を当てている。
【0025】
国際公開第2011046970号パンフレットは、TBKLおよび/またはIKKイプシロンの阻害剤としてのアミノ-ピリミジン化合物に関する。具体的な例は、ピリミジンコアを有する化合物に焦点を当てている。
【0026】
国際公開第2012160034号パンフレットは、本発明の化合物を記載している。化合物が、HeLa細胞(子宮頸がん)、HeLa/MaTu/ADR細胞(子宮頸がん)、NCI-H460細胞(非小細胞肺がん)、DU145細胞(ホルモン非依存性ヒト前立腺がん)、Caco-2細胞(結腸直腸がん)およびB16F10細胞(黒色腫)の細胞増殖を阻害することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【文献】国際公開第2008129070号パンフレット
【文献】国際公開第2008129071号パンフレット
【文献】国際公開第2008129080号パンフレット
【文献】欧州特許第1218360号明細書
【文献】国際公開第2008079933号パンフレット
【文献】国際公開第2011012661号パンフレット
【文献】国際公開第2004009562号パンフレット
【文献】国際公開第2004072063号パンフレット
【文献】国際公開第2010009155号パンフレット
【文献】国際公開第2003037346号パンフレット
【文献】米国特許第7618968号明細書
【文献】米国特許第7291616号明細書
【文献】米国特許出願公開第2008064700号明細書
【文献】米国特許出願公開第2003153570号明細書
【文献】国際公開第2008025556号パンフレット
【文献】国際公開第2002066481号パンフレット
【文献】国際公開第2008109943号パンフレット
【文献】国際公開第2009032861号パンフレット
【文献】国際公開第2011046970号パンフレット
【文献】国際公開第2012160034号パンフレット
【非特許文献】
【0028】
【文献】Choら、Cell Cycle 2010、9、1697
【文献】Heら、Mol.Cell 2008、29、588
【文献】Yangら、Mol.Cell 2005、19、535
【文献】Zhou&Yik、Microbiol.Mol.Biol.Rev.2006、70、646
【文献】Wang&Fischer、Trends Pharmacol.Sci.2008、29、302
【文献】Bark-Jonesら、Oncogene 2006、25、1775
【文献】Zhouら、J.Virol.2006、80、4781
【文献】Deyら、Cell Cycle 2007、6、1856
【文献】Wangら、Chemistry&Biology 2010、17、1111~1121
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
本発明の目的は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0030】
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療
Bリンパ球およびTリンパ球の悪性新生物は、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫として広く特徴付けることができる。次に、非ホジキンリンパ腫は、それぞれ異なる疫学、病因学、ならびに形態学的、免疫表現的および臨床的特徴を有する疾患の大きな不均一な集団を表す。世界保健機関(WHO)は、2008年に非ホジキンリンパ腫を再分類し、現在これは疾患の実体およびそれらの免疫系との関係に関する理解をよりよく反映している(Jaffe ES.The 2008 WHO classification of lymphomas:implications for clinical practice and translational research.Hematology Am Soc Hematol Educ Program 2009:523~531)。
【0031】
DLBCLは侵攻性疾患であり、西洋諸国で新たに診断された症例の最大30~40%を占める非ホジキンリンパ腫の最も一般的なサブタイプである(Roman E、Smith AG.Epidemiology of lymphomas.Histopathology.2011;58:4~14)。進行期DLBCLの主な治療法は、化学免疫療法の併用、具体的にはR-CHOP(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン)である。この化学療法体制へのリツキシマブの導入が、DLBCL患者の転帰を一貫して有意義に改善するための基礎となっている。しかしながら、患者のおよそ30~40%は、R-CHOP療法に有利に反応しない、またはR-CHOP療法後に再発する、再発性または難治性疾患を発症する(Camicia RらNovel drug targets for personalized precision medicine in relapsed/refractory diffuse large B-cell lymphoma:a comprehensive review.Mol Cancer.2015;14:207)。結果として、より多くの化学療法サイクルの送達、投与集中および代替薬物組み合わせ、ならびに高用量化学療法、引き続いて自家幹細胞移植結果を含むさまざまな治療アプローチが転帰を改善するための試みで検討されてきた。しかしながら、これらの治療法がR-CHOPより優れた有効性を示すという証拠はほとんどなかった。
【0032】
遺伝子発現プロファイリング(GEP)研究により、それぞれDLBCL-NOS症例の最大45%および35%となる、胚中心B細胞(GCB)-DLBCLおよび活性化B細胞(ABC)-DLBCLと呼ばれる2つの異なる分子サブタイプが識別された(Martelli M、Ferreri AJ、Agostinelli C、Di Rocco A、Pfreundschuh M、Pileri SA.Diffuse large B-cell lymphoma.Crit Rev Oncol Hematol.2013;87:146~71)。さまざまな研究が、MYC転座の存在をR-CHOPで治療されたDLBCL患者の転帰不良と相関させてきたが、より新しい研究により、BCL2による同時のダブルヒット転座(double-hit translocation)が、生存期間中央値の低い治療難治性患者群をもたらすことが明らかになった。この種のダブルヒット転座はGCB-DLBCLでより一般的であり、全症例の約5%となるが、これら2つのタンパク質の二重過剰発現は、ABC-DLBCLでさらにより一般的であり(DLBCL症例の25%)、より頻繁に現れ、タンパク質を1つだけ発現する、またはどちらも発現しない患者と比較して、有意に悪い転帰をもたらす(Johnson NA、Slack GW、Savage KJらConcurrent expression of MYC and BCL2 in diffuse large B-cell lymphoma treated with rituximab plus cyclophosphamide,doxorubicin,vincristine,and prednisone.J Clin Oncol.2012;30:3452~3459)。
【0033】
DLBCLの発症に関与する具体的な分子経路の治療的標的化は、最終的に患者の転帰の改善につながる可能性がある。再発性疾患状況における単一薬剤と、R-CHOPとの組み合わせの両方で評価を受けているいくつかの新規な薬剤には、免疫調節薬(IMiD)、プロテインキナーゼC阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、プロテアソーム阻害剤およびmTOR(哺乳類ラパマイシン標的タンパク質)阻害剤、BTK阻害剤、SYK阻害剤、PKCβ阻害剤、PI3K阻害剤、ならびにBCL2阻害剤が含まれる(Sehn LH、Gascoyne RD.Diffuse large B-cell lymphoma:optimizing outcome in the context of clinical and biologic heterogeneity.Blood.2015;125:22~32;Boyle JらImproving Outcomes in Advanced DLBCL:Systemic Approaches and Radiotherapy.Oncology(Williston Park)2014;28(12):pii:202929;Nastoupil LJらDiffuse Large B-Cell Lymphoma:Current Treatment Approaches.Oncology(Williston Park)2012;26(5):488~95)。
【0034】
したがって、DLBCL、特に再発性または侵攻性の疾患のサブセットのために代替療法が必要である。
【0035】
ここで、化合物5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミン(化合物A、式(I))、
【化1】
さらに特に
(+)-5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミン(化合物A’)
が、以前はまだ熟慮されていなかった特定の腫瘍型、すなわち、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、特に胚中心B細胞型のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、特に細胞がMYC遺伝子および/もしくはBCL2遺伝子の増幅もしくは転座ならびに/またはMYCおよび/もしくはBCL2の過剰発現を有するびまん性大細胞型B細胞リンパ腫で作用することが分かった。
【0036】
5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミン(化合物A)は、2つの立体異性体、すなわち:
(+)-5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミン(化合物A’)および
(-)-5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミン(化合物A’’)
に分離することができる選択されたスルホキシイミン置換アニリノピリミジン誘導体である。
【0037】
化合物A’が好ましく、化合物A’として臨床開発中である。
【0038】
化合物Aが以下で言及される場合、それにより、純粋な立体異性体A’とA’’の両方、およびこれら2つの任意の混合物も意味される。
【0039】
本発明は、
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、特に胚中心B細胞型のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、特に細胞がMYC遺伝子および/もしくはBCL2遺伝子の増幅もしくは転座ならびに/またはMYCおよび/もしくはBCL2の過剰発現を有するびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を治療および/または予防するための、
5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミン(化合物A)またはその生理学的に許容される塩もしくはエナンチオマーの1つ、
さらに特に
(+)-5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミン(化合物A’)またはその生理学的に許容される塩の1つ
の使用に関する。
【0040】
本出願はさらに、
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、特に胚中心B細胞型のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、特に細胞がMYC遺伝子および/もしくはBCL2遺伝子の増幅もしくは転座ならびに/またはMYCおよび/もしくはBCL2の過剰発現を有するびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を治療するための医薬品を調製するための、
5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミン(化合物A)またはその生理学的に許容される塩もしくはエナンチオマーの1つ、
さらに特に
(+)-5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミン(化合物A’)またはその生理学的に許容される塩の1つ
の使用に関する。
【0041】
本発明の別の態様は、
対象のがんを治療するための医薬品の製造における、
式(I)による5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミン(化合物A)またはその生理学的に許容される塩もしくはエナンチオマーの1つ
【化2】
さらに特に
(+)-5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミン(化合物A’)またはその生理学的に許容される塩の1つの使用であって、医薬品が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、特に胚中心B細胞型のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、特に細胞がMYC遺伝子および/もしくはBCL2遺伝子の増幅もしくは転座ならびに/またはMYCおよび/もしくはBCL2の過剰発現を有するびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を治療するために製造される、使用である。
【0042】
本出願はさらに、
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、特に胚中心B細胞型のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、特に細胞がMYC遺伝子および/もしくはBCL2遺伝子の増幅もしくは転座ならびに/またはMYCおよび/もしくはBCL2の過剰発現を有するびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療に使用するための、
式Iの5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミン(化合物A)またはその生理学的に許容される塩もしくはエナンチオマーの1つ
【化3】
さらに特に
(+)-5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミン(化合物A’)またはその生理学的に許容される塩の1つ
を提供する。
【0043】
本発明はまた、
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、特に胚中心B細胞型のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、特に細胞がMYC遺伝子および/もしくはBCL2遺伝子の増幅もしくは転座ならびに/またはMYCおよび/もしくはBCL2の過剰発現を有するびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を治療および/または予防する方法に使用するための、
式Iの5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミン(化合物A)またはその生理学的に許容される塩もしくはエナンチオマーの1つ
【化4】
さらに特に
(+)-5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミン(化合物A’)またはその生理学的に許容される塩の1つ
に関する。
【0044】
本発明の別の態様は、有効量の式Iの5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミン(化合物A)またはその生理学的に許容される塩もしくはエナンチオマーの1つ
【化5】
さらに特に
(+)-5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミン(化合物A’)またはその生理学的に許容される塩の1つ
を使用して、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、特に胚中心B細胞型のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、特に細胞がMYC遺伝子および/もしくはBCL2遺伝子の増幅もしくは転座ならびに/またはMYCおよび/もしくはBCL2の過剰発現を有するびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を治療および/または予防する方法である。
【0045】
本出願はさらに、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を治療するための、
5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミン(化合物A)またはその生理学的に許容される塩もしくはエナンチオマーの1つ、
さらに特に
(+)-5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミン(化合物A’)またはその生理学的に許容される塩の1つ
を含む医薬組成物を提供する。
【0046】
本発明はまた、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を治療および/または予防するための、
式Iの5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミン(化合物A)またはその生理学的に許容される塩もしくはエナンチオマーの1つ
【化6】
さらに特に
(+)-5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミン(化合物A’)またはその生理学的に許容される塩の1つと、少なくとも1つの不活性で、非毒性の薬学的に適したアジュバントと
を含む医薬組成物に関する。
【0047】
本出願はさらに、
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、特に胚中心B細胞型のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、特に細胞がMYC遺伝子および/もしくはBCL2遺伝子の増幅もしくは転座ならびに/またはMYCおよび/もしくはBCL2の過剰発現を有するびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を治療するための、
5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミン(化合物A)またはその生理学的に許容される塩もしくはエナンチオマーの1つ、
さらに特に
(+)-5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミン(化合物A’)またはその生理学的に許容される塩の1つと、少なくとも1つのさらなる有効成分
の組み合わせを提供する。
【0048】
本発明はまた、
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、特に胚中心B細胞型のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、特に細胞がMYC遺伝子および/もしくはBCL2遺伝子の増幅もしくは転座ならびに/またはMYCおよび/もしくはBCL2の過剰発現を有するびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を治療および/または予防するための、
式Iの5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミン(化合物A)またはその生理学的に許容される塩もしくはエナンチオマーの1つ
【化7】
さらに特に
(+)-5-フルオロ-4-(4-フルオロ-2-メトキシフェニル)-N-{4-[(S-メチルスルホンイミドイル)メチル]ピリジン-2-イル}ピリジン-2-アミン(化合物A’)またはその生理学的に許容される塩の1つと、少なくとも1つまたは複数のさらなる有効成分と
を含む医薬組み合わせに関する。
【0049】
化合物Aの生理学的に許容される塩の使用も同様に、本発明によって包含されると考えられるべきである。
【0050】
化合物Aの生理学的に安全な塩は、鉱酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩を包含する。
【0051】
化合物Aの生理学的に安全な塩は、慣用的な塩基の塩、例えば、例としておよび好ましくは、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、およびアンモニアまたは1~16個のC原子を有する有機アミンに由来するアンモニウム塩、例えば、例としておよび好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N-メチルモルホリン、アルギニン、リジン、エチレンジアミンおよびN-メチルピペリジンも包含する。
【0052】
本発明はさらに、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、特に胚中心B細胞型のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、特に細胞がMYC遺伝子および/もしくはBCL2遺伝子の増幅もしくは転座ならびに/またはMYCおよび/もしくはBCL2の過剰発現を有するびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を治療するための、化合物Aと、少なくとも1つまたは複数のさらなる有効成分とを含有する薬物を提供する。
【0053】
化合物Aは全身および/または局所活性を有し得る。この目的のために、これを、例えば、経口、非経口、肺経路を介して、経鼻、舌下、舌、頬側、直腸、膣、真皮、経皮、結膜、耳またはインプラントもしくはステントとして、適切に投与することができる。
【0054】
これらの投与経路のために、本発明による化合物Aを、適切な投与形態で投与することができる。
【0055】
先行技術に従って機能し、本発明の化合物Aを迅速におよび/または修正された様式で送達し、本発明による化合物Aを結晶および/または非晶質および/または溶解形態で含む経口投与形態に適しているのは、例えば、錠剤(非コーティング、または例えば、胃液に抵抗性である、もしくは遅延して溶解する、もしくは不溶性で、本発明の化合物の放出を制御するコーティングでコーティングされた錠剤)、口腔で急速に崩壊する錠剤、またはフィルム/ウエハー、フィルム/凍結乾燥物、カプセル剤(例えば、硬質または軟質ゼラチンカプセル)、糖衣錠、顆粒剤、ペレット剤、散剤、乳剤、懸濁剤、エアゾール剤または液剤である。
【0056】
非経口投与は、吸収ステップを回避して(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、髄腔内もしくは腰椎内)、または吸収を含めて(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮もしくは腹腔内)達成することができる。非経口投与に適した投与形態は、とりわけ、溶液、懸濁液、乳剤、凍結乾燥物または無菌粉末の形態の注射および点滴用製剤である。
【0057】
他の投与経路に適した例には、吸入のための医薬形態[とりわけ、粉末吸入器、ネブライザー]、点鼻薬、溶液またはスプレー;舌、舌下または頬側投与するための錠剤、フィルム/ウエハーまたはカプセル剤、坐剤、眼および耳用の調製物、眼浴、眼球インサート、点耳剤、耳散剤、耳リンス、耳タンポン、膣カプセル剤、水性懸濁剤(ローション、振盪混合物)、親油性懸濁剤、軟膏、クリーム、経皮治療システム(例えば、パッチなど)、ミルク、ペースト、フォーム、粉剤、インプラントまたはステントがある。
【0058】
化合物Aは、述べられる投与形態に変換することができる。これは、不活性で、非毒性の薬学的に適したアジュバントと混合することによって、それ自体は既知の様式で行うことができる。これらのアジュバントには、特に、以下が含まれる
・充填剤および賦形剤(例えば、セルロース、微結晶セルロース、例えばAvicel(登録商標)、ラクトース、マンニトール、デンプン、リン酸カルシウム、例えばDi-Cafos(登録商標)、
・軟膏基剤(例えば、ワセリン、パラフィン、トリグリセリド、ワックス、ウールワックス、ウールワックスアルコール、ラノリン、親水性軟膏、ポリエチレングリコール)、
・坐剤用基剤(例えば、ポリエチレングリコール、カカオ脂、硬質脂肪)、
・溶媒(例えば、水、エタノール、イソプロパノール、グリセロール、プロピレングリコール、中鎖長トリグリセリド脂肪油、液体ポリエチレングリコール、パラフィン)、
・界面活性剤、乳化剤、分散剤または湿潤剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、レシチン、リン脂質、脂肪アルコール、例えばLanette(登録商標)、ソルビタン脂肪酸エステル、例えばSpan(登録商標)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、例えばTween(登録商標)、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド、例えばCremophor(登録商標)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、グリセロール脂肪酸エステル、ポロキサマー、例えばPluronic(登録商標))、
・緩衝剤および酸および塩基(例えば、リン酸塩、炭酸塩、クエン酸、酢酸、塩酸、水酸化ナトリウム溶液、炭酸アンモニウム、トロメタモール、トリエタノールアミン)、
・等張剤(例えば、グルコース、塩化ナトリウム)、
・吸着剤(例えば、高分散性シリカ)、
・粘度増強剤、ゲル形成剤、増粘剤および/またはバインダー(例えば、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース-ナトリウム、デンプン、カルボマー、ポリアクリル酸、例えばCarbopol(登録商標)、アルギン酸塩、ゼラチン)、
・崩壊剤(例えば、修飾デンプン、カルボキシメチルセルロース-ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、例えばExplotab(登録商標)、架橋ポリビニルピロリドン、クロスカルメロースナトリウム、例えばAcDiSol(登録商標))、
・流動調節剤、潤滑剤、滑剤および離型剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、高分散性シリカ、例えばAerosil(登録商標))、
・コーティング材料(例えば、糖、シェラック)およびフィルム形成剤、または急速にもしくは修飾された様式で溶解する分散膜(例えば、ポリビニルピロリドン、例えばKollidon(登録商標)、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、例えばEudragit(登録商標))、
・カプセル材料(例えば、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、
・合成ポリマー(例えば、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、例えばEudragit(登録商標)、ポリビニルピロリドン、例えばKollidon(登録商標)、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコールならびにこれらのコポリマーおよびブロックコポリマー)、
・可塑剤(例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、トリアセチン、クエン酸トリアセチル、フタル酸ジブチル)、
・浸透促進剤、
・安定剤(例えば、抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル)、
・保存剤(例えば、パラベン、ソルビン酸、チオメルサール、塩化ベンザルコニウム、酢酸クロルヘキシジン、安息香酸ナトリウム)、
・着色剤(例えば、無機顔料、例えば、酸化鉄、二酸化チタン)、
・香味料、甘味料、香味および/または臭気マスキング剤。
【0059】
本発明はさらに、少なくとも1つの本発明による化合物を、慣用的に1つまたは複数の不活性で、非毒性の薬学的に適したアジュバントと一緒に含む医薬品、および上述の目的のためのその使用に関する。
【0060】
投与量および治療レジメン
投与量および治療レジメンは、癌腫の種類および治療目標に応じて変えることができ、変えなければならない。
【0061】
1日量は一般に20mg~850mgであり、複数の同一のまたは異なる投与単位、好ましくは2回に分割することができ、これを同時にまたは一定のタイムスケジュールに従って服用することができる。
【0062】
特に、1日量は30mg~500mgであり、複数の同一のまたは異なる投与単位、好ましくは2回に分割することができ、これを同時にまたは一定のタイムスケジュールに従って服用することができる。
【0063】
好ましい1日量は20mg~400mgであり、複数の同一のまたは異なる投与単位、好ましくは2回に分割することができ、これを同時にまたは一定のタイムスケジュールに従って服用することができる。
【0064】
さらに特に、1日量は40mg~300mgであり、複数の同一のまたは異なる投与単位、好ましくは2回に分割することができ、これを同時にまたは一定のタイムスケジュールに従って服用することができる。
【0065】
より好ましい1日量は20mg~200mgであり、複数の同一のまたは異なる投与単位、好ましくは2回に分割することができ、これを同時にまたは一定のタイムスケジュールに従って服用することができる。
【0066】
さらにより好ましい1日量は50mg~180mgであり、複数の同一のまたは異なる投与単位、好ましくは2回に分割することができ、これを同時にまたは一定のタイムスケジュールに従って服用することができる。
【0067】
これは、単独療法と他の抗過剰増殖性、細胞増殖抑制性または細胞傷害性物質との併用療法の両方に適用され、併用療法はおそらく用量の減少を必要とする。
【0068】
治療は定期的に繰り返されるサイクルで行うことができる。治療サイクルは、21日または28日などのさまざまな期間を有することができ、それにより投薬が連続的または断続的に行われる。好ましいのは、28日のサイクル長であり、それにより投薬は連続的または断続的に与えられる。
【0069】
連続的スケジュールは、毎日の投与を伴い、例えば、21日サイクルで21回投与、または28日サイクルで28回投与がある。好ましい連続スケジュールは、28日サイクルで28回の毎日投与である。
【0070】
断続的スケジュールは、治療期間、引き続いて非治療期間を伴い、例えば21日間のサイクル、または28日間のサイクルがある。断続的スケジュールの好ましいサイクル期間は28日である。
【0071】
治療期間は、所与の治療サイクルで2回以上繰り返すことができる。
【0072】
治療期間は、例えば1~21日、より好ましくは3~14日となり得る。
【0073】
さらにより好ましい断続的スケジュールは、3日間の治療、引き続いて4日間の非治療を伴い、28日間の治療サイクルが完了するような方法で毎週繰り返される。
【0074】
少なくとも疾患の安定化があり、有害効果が、容易に治療可能であるが、少なくとも容易に許容できる程度に発生する場合、治療は成功である。したがって、適用される治療のサイクル数は、治療反応および忍容性に従って、患者ごとに異なり得る。
【0075】
少なくとも疾患の安定化があり、有害効果が、容易に治療可能であるが、少なくとも容易に許容できる程度に発生する場合、治療は成功である。
【0076】
化合物Aは、単独で、または必要に応じて、1つまたは複数の他の薬理学的に有効な物質と組み合わせて使用することができ、但し、前記組み合わせは望ましくないおよび許容できない有害効果をもたらさない。したがって、本発明はさらに、特に上述の疾患を治療および/または予防するための、本発明による化合物Aと、1つまたは複数のさらなる有効成分とを含有する薬物を提供する。
【0077】
例えば、化合物Aは、がんを治療するための既知の抗過剰増殖性、細胞増殖抑制性または細胞傷害性物質と組み合わせることができる。本発明による化合物Aと、がん治療に使用されている他の物質または放射線療法の組み合わせは、特に推奨される。
【0078】
組み合わせ目的のための適切な有効成分の例としては以下が挙げられる:
アブラキサン、アフィニトール、アルデスロイキン、アレンドロン酸、アルファフェロン(alfaferone)、アリトレチノイン、アロプリノール、アロプリム(aloprim)、アロキシ、アルトレタミン、アミノグルテチミド、アミフォスチン、アムルビシン、アムサクリン、アナストロゾール、アンゼメット、アラネスプ、アルグラビン、三酸化ヒ素、アロマシン、5-アザシチジン、アザチオプリン、BCGもしくはタイス-BCG、ベスタチン、酢酸ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、ベキサロテン、硫酸ブレオマイシン、ブロクスウリジン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カルシトニン、キャンパス、カペシタビン、カルボプラチン、カソデックス、セフェゾン(cefesone)、セルモロイキン、セルビジン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロン酸、シクロホスファミド、シタラビン、デカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノキソム(daunoxome)、デカドロン、リン酸デカドロン、デレストロゲン、デニロイキンジフチトクス、デポ・メドロール、デスロレリン、デクスラゾキサン、ジエチルスチルベストロール、ジフルカン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ドロナビノール、DW-166HC、エリガード、エリテック、エレンセ(ellence)、イメンド、エピルビシン、エポエチンアルファ、エポジェン、エプタプラチン、エルガミソール(ergamisol)、エストレース、エストラジオール、リン酸エストラムスチンナトリウム、エチニルエストラジオール、エチロール、エチドロン酸、エトポホス、エトポシド、ファドロゾール、フェアストン、フィルグラスチム、フィナステリド、フリグラスチム、フロクスウリジン、フルコナゾール、フルダラビン、5-フルオロデオキシウリジン一リン酸、5-フルオロウラシル(5-FU)、フルオキシメステロン、フルタミド、フォルメスタン、フォステアビン、フォテムスチン、フルベストラント、ガンマガード、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、グリベック、グリアデル、ゴセレリン、グラニセトロン塩酸塩、ヒストレリン、ハイカムチン、ハイドロコートン、エリスロヒドロキシノニルアデニン、ヒドロキシウレア、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イホスファミド、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ2、インタ
ーフェロンアルファ2α、インターフェロンアルファ2β、インターフェロンアルファn1、インターフェロンアルファn3、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ1α、インターロイキン2、イントロンA、イレッサ、イリノテカン、カイトリル、ラパチニブ、硫酸レンチラン、レトロゾール、ロイコボリン、リュープロリド、酢酸リュープロリド、レバミソール、レボホリン酸カルシウム塩、レボチロイド(levothroid)、レボキシル、ロムスチン、ロニダミン、マリノール、メクロレタミン、メコバラミン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファラン、メネスト、6-メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、メトビックス、ミルテホシン、ミノサイクリン、ミトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、モドレナル(modrenal)、マイオセット(myocet)、ナダプラチン、ニューラスタ、ニューメガ、ニューポジェン、ニルタミド、ノルバデックス、NSC-631570、OCT-43、オクトレオチド、オンダンセトロン塩酸塩、オラプレド、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペジアプレド(pediapred)、ペグアスパラガーゼ、ペガシス、ペントスタチン、ピシバニル、ピロカルピン塩酸塩、ピラルビシン、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プレドニムスチン、プレドニソロン、プレドニソン、プレマリン、プロカルバジン、プロクリット、ラルチトレキセド、RDEA 119、レビフ、レニウム-186エチドロネート、リツキシマブ、ロフェロン-A、ロムルチド、サラジェン、サンドスタチン、サルグラモスチム、セムスチン、シゾフィラン、ソブゾキサン、ソルメドロール、ストレプトゾシン、塩化ストロンチウム-89、シンスロイド(synthroid)、タモキシフェン、タムスロシン、タソネルミン、タストラクトン、タキソテール、テセロイキン、テモゾロミド、テニポシド、プロピオン酸テストステロン、テストレド(testred)、チオグアニン、チオテパ、チロトロピン、チルドロン酸、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレオスルファン、トレチノイン、トレキサル(trexall)、トリメチルメラミン、トリメトレキサート、酢酸トリプトレリン、パモ酸トリプトレリン、UFT、ウリジン、バルルビシン、ベスナリノン、ビンブラス
チン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビルリジン、ジネカード(zinecard)、ジノスタチンスチマラマー、ゾフラン;ABI-007、アコルビフェン、アクティミューン、アフィニタック(affinitak)、アミノプテリン、アルゾキシフェン、アソプリスニル、アタメスタン、アトラセンタン、BAY 43-9006(ソラフェニブ)、アバスチン、CCI-779、CDC-501、セレブレックス、セツキシマブ、クリスナトール、酢酸シプロテロン、デシタビン、DN-101、ドキソルビシン-MTC、dSLIM、デュタステライド、エドテカリン、エフロルニチン、エキサテカン、フェンレチニド、ヒスタミン二塩酸塩、ヒストレリンヒドロゲルインプラント(histrelin hydrogel implant)、ホルミウム-166 DOTMP、イバンドロン酸、インターフェロンガンマ、イントロン-PEG、イキサベピロン、キーホールリンペットヘモシアニン、L-651582、ランレオチド、ラソフォキシフェン、リブラ(libra)、ロナファルニブ、ミプロキシフェン、ミノドロネート、MS-209、リポソームMTP-PE、MX-6、ナファレリン、ネモルビシン、ネオバスタット、ノラトレキシド、オブリメルセン、オンコTCS、オシデム、パクリタキセルポリグルタメート、パミドロン酸二ナトリウム、PN-401、QS-21、クアゼパム、R-1549、ラロキシフェン、ランピルナーゼ、13-シス-レチノイン酸、サトラプラチン、セオカルシトール、T-138067、タルセバ、タキソプレキシン、チモシンアルファ1、チアゾフリン、チピファルニブ、チラパザミン、TLK-286、トレミフェン、トランスMID-107R、バルスポダール、バプレオチド、バタラニブ、ベルテポルフィン、ビンフルニン、Z-100、ゾレドロン酸およびこれらの組み合わせ。
【0079】
好ましい実施形態では、本発明の化合物Aを以下の有効成分と組み合わせることができる:
131I-chTNT、アバレリクス、アビラテロン、アクラルビシン、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アルトレタミン、アミノグルテチミド、アムルビシン、アムサクリン、アナストロゾール、アルグラビン、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、アザシチジン、バシリキシマブ、BAY 80-6946、ベロテカン、ベンダムスチン、ベバシズマブ、ベキサロテン、ビカルタミド、ビサントレン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブセレリン、ブスルファン、カバジタキセル、ホリナートカルシウム、レボホリナートカルシウム、カペシタビン、カルボプラチン、カルモフール、カルムスチン、カツマキソマブ、セレコキシブ、セルモロイキン、セツキシマブ、クロラムブシル、クロルマジノン、クロルメチン、シスプラチン、クラドリビン、クロドロン酸、クロファラビン、クリサンタスパーゼ、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、デカルバジン、ダクチノマイシン、ダルベポエチンアルファ、ダサチニブ、ダウノルビシン、デシタビン、デガレリクス、デニロイキンジフチトクス、デノスマブ、デスロレリン、塩化ジブロスピジウム、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ドキソルビシン+エストロン、エクリズマブ、エドレコロマブ、酢酸エリプチニウム、エルトロンボパグ、エンドスタチン、エノシタビン、エピルビシン、エピチオスタノール、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エプタプラチン、エリブリン、エルロチニブ、エストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エベロリムス、エキセメスタン、ファドロゾール、フィルグラスチム、フルダラビン、フルオロウラシル、フルタミド、フォルメスタン、フォテムスチン、フルベストラント、硝酸ガリウム、ガニレリクス、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、グルトキシム、ゴセレリン、ヒスタミン二塩酸塩、ヒストレリン、ヒドロキシカルバミド、I-125種、イバンドロン酸、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、イミキモド、インプロスルファン、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、イピリムマブ、イリノテカン、イキサベピロン、ランレオチド、ラパチニブ、レナリドミド、レノグラスチム、レンチナン、レトロゾール、リュープロレリン、レバミソール、リスリド、ロバプラチン、ロムスチン、ロニダミン、マソプロコール、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メルファラン、メピチオスタン、メルカプトプリン、メトトレキサート、メトキサレン、アミノレブリン酸メチル、メチルテストステロン、ミファムルチド、ミルテホシン、ミリプラチン、ミトブロニトール、ミトグアゾン、ミトラクトール、ミトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ネダプラチン、ネララビン、ニロチニブ、ニルタミド、ニモツズマブ、ニムスチン、ニトラクリン、オファツムマブ、オメプラゾール、オプレルベキン、オキサリプラチン、p53遺伝子治療、パクリタキセル、パリフェルミン、パラジウム103種、パミドロン酸、パニツムマブ、パゾパニブ、ペグアスパラガーゼ、PEG-エポエチンベータ(メトキシPEG-エポエチンベータ)、ペグフィルグラスチム、ペグインターフェロンアルファ2b、ペメトレキセド、ペンタゾシン、ペントスタチン、ペプロマイシン、ペルホスファミド、ピシバニル、ピラルビシン、プレリキサフォル、プリカマイシン、ポリグルサム、リン酸ポリエストラジオール、ポリサッカリドK、ポルフィマーナトリウム、プララトレキサート、プレドニムスチン、プロカルバジン、キナゴリド、塩化ラジウム223、ラロキシフェン、ラルチトレキセド、ラニムスチン、ラゾキサン、ラファメチニブ、ラゴラフェニブ、リセドロン酸、リツキシマブ、ロミデプシン、ロミプロスチム、サルグラモスチム、シプロイセルT、シゾフィラン、ソブゾキサン、グリシジダゾールナトリウム、ソラフェニブ、ストレプトゾシン、スニチニブ、タラポルフィン、タミバロテン、タモキシフェン、タソネルミン、テセロイキン、テガフール、テガフール+ギメラシル+オテラシル、テモポルフィン、テモゾロミド、テムシロリムス、テニポシド、テストステロン、テトロフォスミン、タリドミド、チオテパ、チマルファシン、チオグアニン、トシリズマブ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラベクテジン、トラスツズマブ、トレオスルファン、トレチノイン、トリロスタン、トリプトレリン、トロホスファミド、トリプトファン、ウベニメクス、バルルビシン、バンデタニブ、バプレオチド、ベムラフェニブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン、ビノレルビン、ボリノスタット、ボロゾール、イットリウム90ガラスミクロスフェア、ジノスタチン、ジノスタチンスチマラマー、ゾレドロン酸、ゾルビシン、イブルニチブ、フォスタマチニブ二ナトリウム、エンザスタウリン、イデラリシブ、ABT-199、オビヌツズマブ、カルフィルゾミブ、ブレンツキシマブ・ベドチン、パノビノスタットおよびまたこれらの組み合わせ。
【0080】
有望なことに、化合物Aはまた、抗体(例えば、アバスチン、リツキサン、アービタックス(登録商標)、ハーセプチン(登録商標)、セツキシマブ)および組換えタンパク質などの生物学的治療薬と組み合わせることができる。
【0081】
化合物Aはまた、例えば、アバスチン、アキシチニブ、レゴラフェニブ、レセンチン(登録商標)、ソラフェニブまたはスニチニブなどの、血管新生に対して向けられた他の療法と組み合わせてプラスの効果を達成することもできる。プロテアソームおよびmTORの阻害剤、ならびに抗ホルモン薬およびステロイド代謝酵素阻害剤との組み合わせは、有害効果の好ましいプロファイルのため、特に有用である。
【0082】
一般に、化合物Aと他の細胞増殖抑制剤または細胞傷害剤の組み合わせにより、以下の目標を追求することが可能になる:
・個々の有効成分を使用した治療と比較して、腫瘍の成長を遅くし、そのサイズを縮小し、またはそれを完全に排除する有効性の改善;
・単独療法の場合よりも低投与量で使用される化学療法剤を使用する可能性;
・個々の投与と比較してより少ない有害効果でのより忍容性のある療法の可能性;
・より広範囲の腫瘍疾患の治療の可能性;
・療法に対するより高い反応率の達成;
・現在の標準療法と比較してより長い患者の生存時間。
【0083】
さらに、本発明による化合物Aは、放射線療法および/または外科的介入に関連して使用することもできる。
【0084】
実施例
1.化合物A’の調製
化合物A’は、国際公開第2014/076091号パンフレットの実施例2に記載される手順に従って調製した。
【0085】
2.インビトロ実験
2.1.方法
2.1.1 細胞株
【0086】
【表1】
【0087】
2.1.2 細胞増殖アッセイ
CellTiter Gloキット(Promega Corporation、Madison、WI)を使用して、さまざまな濃度の化合物A’またはFR化合物の存在下で全ての(DLCBL)細胞株の増殖を72時間評価した。全ての表示値は3連実験の平均であり、IC50は、製造業者の指示に従ってGraphPad Prism 5(GraphPad Software、San Diego、CA)、またはMTSソフトウェアを使用して計算した。
【0088】
FR化合物は、国際公開第2012/160034号パンフレットの実施例4であり、式IIによる構造:
【化8】
を有する。
【0089】
2.2 インビトロ結果
表2は、化合物A’またはFR化合物を使用した増殖アッセイの結果を要約している。
【0090】
【表2】
【0091】
これらのインビトロデータは、化合物A’によるABC(活性化B細胞型)とGCB(胚中心B細胞型)の両方のサブタイプのびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の増殖の効率的な阻害を示している。これらのデータは、DLBCL患者の治療に化合物A’を推奨している。
【0092】
3.マウスにおけるOCL-LY-3びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)異種移植片モデルを使用したインビボ実験
本実験の目的は、SCIDマウスに皮下移植したDLBCL OCI-LY-3腫瘍モデルの単独療法における化合物A’のインビボ有効性および忍容性を評価することであった。
【0093】
インビボ有効性を、皮下DLBCL OCI-LY-3異種移植片を有する雌SCIDマウスで決定した。化合物A’を単独療法で1つの用量レベルで評価した。ビヒクル対照群を参照として使用して、処置群の抗腫瘍活性および忍容性を評価した。
【0094】
この目的のために、OCI-LY-3細胞を雌SCIDマウス(Charles River)の右側腹部に皮下注射した(0.1 ml 100%Matrigel(登録商標)中4x106個細胞)。最大数の移植物が固形腫瘍の成長を開始する明確な兆候を示すまで、動物および腫瘍移植物を毎日監視した。無作為化で、成長する腫瘍の面積を最初に決定した。25~35mm2の面積の1つの腫瘍を有する動物を、試験プロトコルに従って実験群に分配した。無作為化の日を、実験の0日目として指定する。動物は、静脈内10mg/kg q7dの用量の化合物A’(30%PEG400/10%エタノール/60%水に製剤化)、またはビヒクル対照(qd po)を14日間受けた。
【0095】
致死的毒性は発生せず、最大体重減少は、ビヒクル群の-4%と比較して、化合物A’群で-6%であり、10mg/kg q7d ivの用量の化合物A’の良好な忍容性を示した。
【0096】
実験の最後に、化合物A’処置群とビヒクル対照群の平均腫瘍面積および平均腫瘍重量に基づいて、処置対対照の比(T/C)を計算した。平均腫瘍重量および平均腫瘍面積は、それぞれ統計的に有意に異なっていた。化合物A’は、面積によるT/Cが0.29、重量によるT/Cが0.24に達し、このモデルにおける化合物A’の適度なインビボ活性を実証した。
【0097】
4.マウスにおけるSU-DHL-10びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)異種移植片モデルを使用したインビボ実験
本実験の目的は、SCIDマウスに皮下移植したDLBCL SU-DHL-10腫瘍モデルの単独療法における化合物A’のインビボ有効性および忍容性を評価することであった。
【0098】
インビボ有効性を、皮下DLBCL SU-DHL-10異種移植片を有する雌SCIDマウスで決定した。化合物A’を単独療法で1つの用量レベルで評価した。ビヒクル対照群を参照として使用して、処置群の抗腫瘍活性および忍容性を評価した。
【0099】
この目的のために、SU-DHL-10細胞を雌SCIDマウス(Taconic M&B A/S、デンマーク)の右側腹部に皮下注射した(0.2 ml 50%Matrigel(登録商標)中10x106個細胞)。最大数の移植物が固形腫瘍の成長を開始する明確な兆候を示すまで、動物および腫瘍移植物を毎日監視した。無作為化で、成長する腫瘍の面積を最初に決定した。25~35mm2の面積の1つの腫瘍を有する動物を、試験プロトコルに従って実験群に分配した。無作為化の日を、実験の0日目として指定する。動物は、静脈内15mg/kg q7dの用量の化合物A’(30%PEG400/10%エタノール/60%水に製剤化)、またはビヒクル対照(q7d iv)を16日間受けた。
【0100】
最大体重減少は、ビヒクル群の-4%と比較して、化合物A’群で-9%であり、15mg/kg q7d ivの用量の化合物A’の適度な忍容性を示した。
【0101】
実験の最後に、化合物A’処置群とビヒクル対照群の平均腫瘍面積に基づいて、処置対対照の比(T/C)を計算した。平均腫瘍面積は、統計的に有意に異なっていた。化合物A’は、面積によるT/Cが0.02に達し、完全寛解に対応する、このモデルにおける化合物A’の非常に高いインビボ活性を実証した。
【0102】
4.5.要約および結論
これらのデータは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者における化合物A’の有意な、意味のある抗腫瘍活性を示している。