(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】炭酸ランタン水酸化物、ランタンオキシカルボネートならびにその製造および使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 33/244 20190101AFI20230516BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230516BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20230516BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
A61K33/244
A61K9/20
A61P7/00
A61P13/12
(21)【出願番号】P 2021142223
(22)【出願日】2021-09-01
(62)【分割の表示】P 2018097513の分割
【原出願日】2011-05-12
【審査請求日】2021-09-30
(32)【優先日】2010-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】322007095
【氏名又は名称】ユニサイシブ セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ディクシット,ミリンド
(72)【発明者】
【氏名】ゴア,アショク,イェシュウォント
(72)【発明者】
【氏名】マハリンガム,ラヴィチャンドラン
(72)【発明者】
【氏名】シャウアー,エドワード,エー.
(72)【発明者】
【氏名】スチュワート,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】タンデール,ラジェンドラ
(72)【発明者】
【氏名】シング,ラムシャラン
【審査官】辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特許第6397845(JP,B2)
【文献】特表2008-516971(JP,A)
【文献】特表2008-508297(JP,A)
【文献】特表2009-536356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K9/00-9/72
A61K31/00-31/80
A61K47/00-47/69
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.75重量%以下のナトリウム、少なくとも0.015cm
3/gの孔容積を包含し、且つ球状形態を有する粒子を有するランタンジオキシカルボネートの有効量、及び
少なくとも1つの製薬上許容可能な賦形剤、
を含む薬学的組成物であって、
ここで、前記薬学的組成物が、嚥下錠剤の剤形であ
り、かつ、
前記少なくとも1つの製薬上許容可能な賦形剤は、矯味剤、被覆剤、塊希釈剤、結合剤、充填剤、糖、人工甘味剤、ポリマー、風味剤、着色剤、滑剤、流動促進剤、生体-または粘膜-接着剤、粘度調節剤、界面活性剤、緩衝剤、崩壊剤、圧縮/封入助剤、可塑剤、およびスリップ/静電気帯電防止剤からなる群から選択される、薬学的組成物。
【請求項2】
ここで、前記少なくとも1つの製薬上許容可能な賦形剤は、結合剤、崩壊剤、および滑剤からなる群から選択される、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
ここで、前記嚥下錠剤は、4.88±0.01
mm、4.9±0.01
mm、5.18±0.01
mm、または5.21±0.01mmの厚みを有する、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
ここで、前記ランタンジオキシカルボネートの前記有効量が、125mg~20,000mgの範囲であり、且つここで、前記ランタンジオキシカルボネートが式La
2O
2CO
3のものである、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
ここで、前記ランタンジオキシカルボネートの前記有効量が、100、125、150、250、500、750または1000mgからなる群から選択される、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
ここで、前記ランタンジオキシカルボネートの前記有効量が250mgである、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
ここで、前記ランタンジオキシカルボネートの前記有効量が500mgである、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
血中リン酸塩の異常上昇レベルを特徴とする症状の処置のための請求項1~
7のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
ここで、症状が、高リン酸血症、慢性腎疾患、全身性腎不全、末期腎疾患および慢性腎機能不全からなる群から選択される、請求項
7に記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許仮出願第61/333,887号(2010年5月12日出願)(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)の出願日の利益を主張する。
【0002】
高リン酸血症の処置に用いるための医薬品は、当該技術分野で既知である。これらの例としては、米国特許第7,588,782号(これは、ランタンジオキシカルボネート(本明細書中ではLDOCとも呼ばれる)を含めた化合物を含有するある種のランタニドを記載する)、ならびに米国特許第5,968,976号;第7,381,428号;および第7,465,465号(式La2(CO3)3・H2O(本明細書中では三炭酸ランタンとも呼ばれる)のものを含めた種々の炭酸ランタン水和物を記載している)に開示されたものが挙げられる。これらの化合物は、被験体が消費するリン酸塩を結合することにより働く。このような化合物の1つは、ホスレノールの商標で市販されている。高リン酸血症の処置のための他の製品としては、セベラマーHClとしても既知の高分子リン酸塩結合剤であるレナゲルが挙げられる。
【背景技術】
【0003】
特に、米国特許第7,588,782号は、とりわけ、ランタンオキシカルボネート(La
2O(CO
3)
2・H
2O)とその中で言及されているものを生成するための、塩化ランタンと炭酸ナトリウムとの反応からのランタンジオキシカルボネートの生成を記載する。次に、これは高温で炉中で加熱されて、ランタンジオキシカルボネートを生成する(一般的に、’782特許の実施例5参照)。その後、ランタンオキシカルボネートとして’782特許において特性化された一化合物は、実際、炭酸ランタン水酸化物(LaCO
3OHまたはLCH)であって、会合水をさらに伴うかまたは伴わない、ということが突き止められている。それは、ランタンオキシカルボネートを生成するために加熱されるこの化合物である。最終的に生成されるLDOC物質は、事実上結晶であるといわれており、約100ナノメートルのサイズのほぼ円形の粒子で構成されていて、無水物であると特筆されている。’782特許の
図20は、三炭酸ランタンの種々の水和物と比較して、実施例5に従って製造されたLDOCに関して改良されたリン酸塩結合動力学を示す。具体的には、10分で、ランタンジオキシカルボネートは約70~約80%の利用可能なリン酸塩をほぼ結合したが、この場合、三炭酸ランタン・三水和物は約40%を結合しただけであった。
【0004】
しかしながら、’782特許に記載されたようなランタンジオキシカルボネートのリン酸塩結合動力学は、すべてのpHで一致しているわけではない、ということが発見された。pHは増大傾向があったので、哺乳動物の消化管中で起きると、結合動力学は緩慢であった。’782特許は、薬理学的に大きい値を有し、且つ大きい実用性を有する物質を記載している。しかし、大部分の事柄に関して、さらなる開発の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一態様において、本発明は、ランタン化合物の製造方法であって、以下の:溶媒中でランタンの可溶性塩(しばしば、ランタンハロゲン化物)を非アルカリ金属炭酸塩と反応させて、炭酸ランタン水酸化物(LCH)を生成し、次にこれを沈澱させることを包含する方法に関する。
【0006】
一実施形態では、反応におけるランタンハロゲン化物対炭酸塩の相対比率は、約1:1である。別の実施形態では、ランタンハロゲン化物対炭酸塩の相対比率は、約1:2またはそれ以上である。別の実施形態では、当該比は約1:3またはそれ以上である。さらに別の実施形態では、反応におけるランタンハロゲン化物の炭酸塩に対比した量は、約1:0.8~約1:4の範囲である。一般的に、本発明のLCH物質は、より高い表面積(’782特許のLCHの表面積の2~3倍)、より高い嵩およびタップ密度、異なる形態(球状一次粒子対針状および平板状)、ならびに粉末X線回析(PXRDまたはPXD)による異なる多形構造を有する。本発明の物質のパターンは、ICDDファイル26-815と匹敵するパターンを有するが、一方、’782特許の対応する物質は、ICDDファイル49-981と匹敵するパターンを有する。従来技術は、化合物の合成に用いられるナトリウム含有前駆体の結果として、多少の残留ナトリウム(1%まで)を含有するが、一方、本発明の方法はナトリウムまたは他のアルカリ性物質を含有する反応体を用いないので、本発明の物質はナトリウムをほとんど(付随的微量)または全く含有しない。
【0007】
一実施形態では、反応温度は約65~約110℃の範囲であり、反応pHは少なくとも約4.5である。
【0008】
用いられる非アルカリ金属炭酸塩としては、任意の水溶性の非1A族金属含有炭酸塩または重炭酸塩、例えば重炭酸アンモニウムおよび炭酸アンモニウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0009】
さらなる一実施形態では、反応温度は約75~約90℃の範囲であり、pHは6.0以上である。
【0010】
前記のいずれかの一態様では、LCH沈殿物は、約20~約55g/Lの範囲の沈殿物濃度で溶媒中に存在する。
【0011】
特定の一実施形態では、本発明は、炭酸ランタン化合物の製造方法であって、約65℃~約110℃の反応温度で、少なくとも約4.5のpHで、溶媒中でランタンハロゲン化物の可溶性塩を非アルカリ金属炭酸塩と反応させ、そして反応生成物を沈澱させる(ここで、前記反応生成物は、約0.5重量%以下のアルカリ性化合物を含む炭酸ランタン水酸化物である)ことを包含する方法に関する。
【0012】
さらなる実施形態では、本発明は、約75℃~約90℃の反応温度で、約6.0~7.5のpHで、溶媒中で塩化ランタンの可溶性塩を炭酸アンモニウムと反応させ、そして反応生成物を沈澱させる(ここで、前記反応生成物は、約0.5重量%以下のナトリウムを含む炭酸ランタン水酸化物である)ことを包含する方法に関する。種々の実施形態では、塩化ランタンの量は、反応における炭酸アンモニウムの量に比して、約1:0.8~約1:4の範囲である。別の実施形態では、生成される炭酸ランタン水酸化物は、ICDで得ファイル26-815に匹敵するパターンを有する。
【0013】
これらの方法のいずれかはさらに、少なくとも2時間、粉末温度が約400~約700℃の温度に達して、ランタンオキシカルボネートを生成するよう、LCHを焼成するステップを包含し得る。別の実施形態では、焼成粉末温度は、約440~約640℃の範囲であり、さらに別の実施形態では、焼成粉末温度は約500~約600℃の範囲である。しばしば、用いられる温度は約550である。その結果生じるランアンオキシカルボネートは、ランタンジオキシカルボネート、特に、La2O2CO3であり、これは、結晶または非晶質であり、そして溶媒和され得るし、されないこともある。
【0014】
いくつかの実施形態では、その結果生じるランタンジオキシカルボネートは、約10重量%以下のランタンジオキシカルボネートの別の多形形態(本明細書中ではLa2CO5として言及される)を包含する。さらに別の実施形態では、その結果生じるランタンジオキシカルボネートは、約5重量%以下のLa2CO5、特に約1重量%以下のLa2CO5を包含する。
【0015】
前記方法のいずれかのいくつかの実施形態では、LCHは、約0.5重量%未満(アルカリ金属基準で)のアルカリ性化合物、特にナトリウムを含む。別の実施形態では、存在する任意のアルカリ性化合物の総量は、誘導結合プラズマ(ICP)により測定した場合、金属単独を基礎にして算定される重量%に基づいたアルカリ性化合物の重量の0.3重量%以下(アルカリ性金属を基礎にして)、さらに別の実施形態では0.1%以下である。
【0016】
前記方法のいずれかの他の実施形態では、結果的に生じるランタンオキシカルボネートは、約0.75重量%未満(アルカリ金属基準で)のアルカリ性化合物、特にナトリウム、を、そして別の実施形態では0.4重量%以下を含む。さらに別の実施形態では、本発明のランタンオキシカルボネートは、0.2重量%以下を含む。
【0017】
したがって、特定の一実施形態では、本発明は、ランタン炭酸塩化合物を製造するための上記提供の方法であって、約400~約700℃の温度で少なくとも2時間、反応生成物を焼成して、式La2O2CO3およびLa2CO5の1つ以上の多形を含むランタンジオキシカルボネート(これは、約0.75重量%以下のナトリウムを含む)を生成することをさらに包含する方法に関する。一実施形態では、焼成温度は約550℃である。さらなる実施形態では、結果的に生じるランタンジオキシカルボネートは約5重量%以下の式La2CO5の多形を含む。別の実施形態では、結果的に生じるランタンジオキシカルボネートは約1重量%以下の式La2CO5の多形を含む。
【0018】
上記のようなこれらの方法のいずれかにより生成される生成物も意図される。したがって、特定の一態様では、本発明は、約0.5重量%以下のナトリウムを含む炭酸ランタン水酸化物、ならびに式La2O2CO3およびLa2CO5の1つ以上の多形を含むランタンジオキシカルボネート(これは、約0.75重量%以下のナトリウムを含む)からなる群から選択される炭酸ランタン化合物に関する。特定の一実施形態では、炭酸ランタン水酸化物は、ICDDファイル26-815に匹敵するパターンを有する。別の実施形態では、ランタンジオキシカルボネートは、約5重量%以下の式La2CO5の多形を含む。別の実施形態では、ランタンジオキシカルボネートは約1重量%以下の式La2CO5の多形を含む。特定の一実施形態では、ランタンジオキシカルボネートは、少なくとも0.015cm3/gの孔容積を有するかまたは約0.75%重量%以下のナトリウムを含む。さらに別の実施形態では、ランタンジオキシカルボネートは、少なくとも0.020cm3/gの孔容積を有するかまたは約0.75%重量%以下のナトリウムを含む。
【0019】
別の実施形態は、水溶媒中に、以下の:炭酸ランタン水酸化物およびアンモニウムハロゲン化物を含む水性懸濁液である。
【0020】
本発明の態様は、以下の:約4~約80ミクロンの平均集合体サイズ(レーザーベースの技法により測定される集合体の容積によるD50);相対的に高い多孔度(炭酸ナトリウム反応体を用いる同一工程の使用により達成されるものより大きい);少なくとも約1m2/g、しばしば約1~100m2/gのBET表面積;約0.1~約1.1、別の実施形態では約0.5~約0.8g/ccの嵩密度;約0.5重量%(アルカリ金属基準)以下のアルカリ金属含量のうちの少なくとも1つを有する炭酸ランタン水酸化物(LCH)も含む。
【0021】
別の実施形態では、本発明は、以下の:約4~約80ミクロンの平均集合体サイズ(レーザーベースの技法により測定される集合体の容積によるD50);相対的に高い多孔度;少なくとも0.015cm3/g、または少なくとも0.020cm3/gの孔容積(炭酸ナトリウム反応体を用いる同一工程の使用により達成されるものより大きい);少なくとも約20m2/g、しばしば約30~40m2/gのBET表面積;約0.1~約1.1、別の実施形態では約0.5~約0.8g/ccの嵩密度;約0.75重量%(アルカリ金属基準)以下のアルカリ金属含量のうちの少なくとも1つを有するランタンオキシカルボネートを含む。本発明のLCHおよびランタンオキシカルボネートは、しばしば、5.15g/cc±0.1g/ccの比重を有する。
【0022】
いくつかの実施形態では、ランタンオキシカルボネートは、式La2O2CO3により本明細書中で表されるランタンジオキシカルボネートの一特定多形である。いくつかの実施形態では、この多形は、本質的に純粋、実質的に純粋、または他の多形に関して純粋である。
【0023】
有効量の炭酸ランタン水酸化物および/またはランタンジオキシカルボネートならびに少なくとも1つの製薬上許容可能な賦形剤を含む薬学的組成物も、意図される。
【0024】
上記の物理学的特性のうちの少なくとも1つを有する炭酸ランタン水酸化物またはランタンオキシカルボネートである有効量の活性薬学的成分、ならびに少なくとも1つの製薬上許容可能な賦形剤を含む薬学的組成物も意図される。したがって、一態様では、本発明は、約0.5%重量%以下のナトリウムを含む炭酸ランタン水酸化物、および約0.75%重量%以下のナトリウムを含むランタンジオキシカルボネートからなる群から選択される有効量の1つ以上の炭酸ランタン化合物、ならびに少なくとも1つの製薬上許容可能な賦形剤を含む薬学的組成物であって、嚥下錠剤、嚥下カプレット、圧縮剤形、嚥下硬質ゼラチンカプセル、嚥下軟質ゲルカプセル、経口溶解性錠剤、経口溶解性カプレット、経口溶解性硬質ゼラチンカプセル、経口溶解性軟質ゼラチンカプセル、咀嚼錠剤、咀嚼カプレット、咀嚼カプセル、粉末、スプリンクル、経口崩壊性皮膜、食物、糖菓、ガム、シロップ、懸濁液、乳濁液または分散液からなる群から選択される剤形である薬学的組成物に関する。特定の一実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも0.015cm3/gの孔容積を有するかまたは約0.75%重量%以下のナトリウムを含むランタンジオキシカルボネートを含む。さらに別の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも0.020cm3/gの孔容積を有するかまたは約0.75%重量%以下のナトリウムを含むランタンジオキシカルボネートを含む。
【0025】
本明細書中で意図されるように、特定の一実施形態では、1つ以上の炭酸ランタン化合物(活性薬学的成分)の有効量は、約125~約20,000mg/用量の範囲である。別の特定の実施形態では、本発明は、剤形中の1つ以上の炭酸ランタン化合物の有効量が約125mg~約20,000mgの範囲であり、そして各剤形の約95重量%までである上記のような薬学的組成物に関する。さらに別の特定実施形態では、本発明は、1つ以上の炭酸ランタン化合物の有効量が約125mg~約20,000mgの範囲であり、そして各剤形の約95重量%までであって、上記炭酸ランタン化合物が式La2O2CO3のランタンジオキシカルボネートを含む上記のような薬学的組成物に関する。さらなる一実施形態では、本発明は、1つ以上の炭酸ランタン化合物の有効量が約125mg~約20,000mgの範囲であり、そして上記炭酸ランタン化合物が式La2O2CO3のランタンジオキシカルボネートを含む薬学的組成物に関する。さらなる実施形態では、本発明は、1つ以上の炭酸ランタン化合物の有効量が、約100、125、150、250、500、750または1000mgからなる群から選択される上記の薬学的組成物に関する。
【0026】
他の実施形態では、本明細書中に記載される薬学的組成物のいずれかは、さらに、活性薬学的成分の量の150%までの量で第二リン酸塩結合剤を含む。したがって、その結果生じる組成物は、活性物質として、33%のAPI(本発明のLCHおよび/またはランタンオキシカルボネート)および67%のいくつかの他のリン酸塩結合活性物質を含み得る。
【0027】
本発明のLCHおよびランタンオキシカルボネート、ならびにこれらの化合物を含む薬学的組成物は、in vivoでリン酸塩を結合するために、例えば慢性腎疾患、全身性腎不全、末期腎疾患および慢性腎機能不全からなる群から選択される、例えば血中のリン酸塩の異常上昇レベルにより特性化される症状の処置のために用いられ得る、ということが本明細書中で意図される。
【0028】
したがって、別の態様では、本発明は、血中のリン酸塩の異常上昇レベルにより特性化される症状を処置するための方法であって、それを必要とする被験体に、本明細書中に記載される有効量の薬学的組成物を投与することを包含する方法に関する。種々の実施形態2置いて、処置されるべき症状は、高リン酸血症、慢性腎疾患、全身性腎不全、末期腎疾患および慢性腎機能不全からなる群から選択される。
【0029】
付加的実施形態では、被験体に投与される薬学的組成物の有効量は、約200~約12,000mg/日または約500~約8000mg/日の範囲である。被験体に投与される薬学的組成物の有効量は、約300~約4000mg/日の範囲でもある。
【0030】
特定の付加的実施形態では、本発明は、このような処置を必要とする被験体における高リン酸血症を処置するための方法であって、本発明の方法により生成されるか、または約0.5%以下(アルカリ金属基準)の総ナトリウム含量を有するか、あるいは6.5のpHで、別のLCHまたはランタンオキシカルボネートから得られるものに比して、増大されたリン酸塩結合動力学またはより高い多孔度を有する有効量のLCHまたはランタンオキシカルボネートを被験体に投与することを包含する方法に関する。
【0031】
付加的実施形態では、本発明は、このような処置を必要とする被験体における血中リン酸塩の異常上昇レベルに関連した症状、例えば高リン酸血症を処置する方法であって、上記の物理的特性のうちの少なくとも1つを有する炭酸ランタン水酸化物および/またはランタンジオキシカルボネートである有効量の活性薬学的成分を被験体に投与することを包含する方法に関する。したがって、本明細書中で意図されるように、本発明は、本発明の方法に従って製造されるランタンジオキシカルボネートを含み、そして炭酸ナトリウム反応体を利用する米国特許第7,588,782号で提供された方法に従って製造されるランタンジオキシカルボネート(すなわち、0.75重量%より多いナトリウムを含むLDOC)より相対的に大きいBET表面積、孔容積および/またはリン酸塩結合動力学を示す有効量の薬学的組成物を投与することを含む処置方法を包含する。特定の一実施形態では、BET表面積は20m2/gより大きい。別の実施形態では、BET表面積は30m2/gより大きい。本発明は、ランタンジオキシカルボネートが、0.75重量%より多いナトリウムを含むランタンジオキシカルボネートより相対的に大きい孔容積を有する薬学的組成物にも関する。特定の一実施形態では、孔容積は少なくとも0.015cm3/gである。別の実施形態では、孔容積は少なくとも0.020cm3/gである。
【0032】
これらの処方物および方法の種々の実施形態では、第二APIのような他の成分、または1つ以上の賦形剤は、剤形中のアルカリ金属の総含量が0.75重量%より上であり得るよう、ナトリウムを含めたアルカリ金属を含み得る。しかし本発明のランタンオキシカルボネートを生成するためにLCHの焼成後に付加されるアルカリ金属は、本明細書中で記載されるようにアルカリ金属含量を決定するに際して計数されない。
【0033】
これらの方法は、さらに、活性薬学的成分(LCHおよび/またはLDOC)の量の150%までの量で、第二リン酸塩結合剤を、同時的に(同時に)、逐次的に(1つ1つの投与は、約半時間未満の間隔を置かれる)または付随的に(半時間より長く間隔を置いて)、投与することを包含し得る。
【0034】
これらの方法のいくつかの実施形態では、被験体に投与される活性薬学的成分の有効量は、約200~約12000mg/日の範囲である。
【0035】
本発明の方法および薬学的組成物は、腸においては生物学的に利用可能であるが、しかし胃では利用可能でない第二リン酸塩結合剤を被験体に投与することをさらに包含し得る。リン酸塩の結合方法はまた、当該方法がリン酸塩供給源を、本明細書中に記載される本発明の方法のうちの1つにより生成される炭酸ランタン水酸化物および/またはランタンオキシカルボネートと反応させるステップを包含することも意図されるし、および/または本明細書中に記載される物理学的特性のうちの1つも意図される。したがって、別の態様では、本発明は、リン酸塩の結合方法であって、リン酸塩供給源を、本明細書中に記載されるように、ランタンジオキシカルボネートと、および任意に炭酸ランタン水酸化物と反応させることを包含する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1A】LCHの2つの多形に関する形態および粉末X線回析パターンを示す:左に、高表面積ICDDカードファイル番号26-815および右に、低表面積ICDDカードファイル番号49-981。
【
図1B】LCHの2つの多形に関する形態および粉末X線回析パターンを示す:左に、高表面積ICDDカードファイル番号26-815および右に、低表面積ICDDカードファイル番号49-981。
【
図1C】LCHの2つの多形に関する形態および粉末X線回析パターンを示す:左に、高表面積ICDDカードファイル番号26-815および右に、低表面積ICDDカードファイル番号49-981。
【
図1D】LCHの2つの多形に関する形態および粉末X線回析パターンを示す:左に、高表面積ICDDカードファイル番号26-815および右に、低表面積ICDDカードファイル番号49-981。
【
図2】本発明に従って生成されたLDOCのBET表面積およびLCHのBET表面積の相互依存性を示す。
【
図3】本発明に従って生成されたLDOCの嵩密度およびLCHの嵩密度の相互依存性を示す。
【
図4】所定温度でのLCH反応pHとLDOC凝集体(粒子)サイズとの間の関係を示す。
【
図5】‘782特許に従った焼成の前および後に生成される物質(それぞれRZB011およびRZB012)と比較した場合の、本発明により生成されるLCHおよびLDOCの走査電子顕微鏡像を示す。非常に異なる形態を有するRZB012とRZB-014との間の差に注目。
【
図6】‘782特許に従って生成されたRZB-011に関するPXRDパターンである。
【
図7】‘782特許に従って生成されたRZB-012に関するPXRDパターンである。
【
図8】本発明に従って生成されたRZB-013に関するPXRDパターンである。
【
図9】本発明に従って生成されたRZB-014に関するPXRDパターンである。
【
図10】本明細書中に記載したように測定した6.5の一定pHで、20℃で、10、20、30、40、50および60分での、’782特許によるLCHおよびランタンオキシカルボネート(RZB-011、RZB-012)の、ならびに本発明による生成されたLCH/La
2O
2CO
3(RZB-013およびRZB-014)のグラフを示す。
【
図11】米国特許第7,588,782号の方法に従って生成されたLCH(
図11~13)およびLDOC(
図14~15)、ならびに本発明の方法により生成されたLDOC(
図16~20)の走査電子顕微鏡像(倍率:200,000倍)を示す。
【
図12】米国特許第7,588,782号の方法に従って生成されたLCH(
図11~13)およびLDOC(
図14~15)、ならびに本発明の方法により生成されたLDOC(
図16~20)の走査電子顕微鏡像(倍率:200,000倍)を示す。
【
図13】米国特許第7,588,782号の方法に従って生成されたLCH(
図11~13)およびLDOC(
図14~15)、ならびに本発明の方法により生成されたLDOC(
図16~20)の走査電子顕微鏡像(倍率:200,000倍)を示す。
【
図14】米国特許第7,588,782号の方法に従って生成されたLCH(
図11~13)およびLDOC(
図14~15)、ならびに本発明の方法により生成されたLDOC(
図16~20)の走査電子顕微鏡像(倍率:200,000倍)を示す。
【
図15】米国特許第7,588,782号の方法に従って生成されたLCH(
図11~13)およびLDOC(
図14~15)、ならびに本発明の方法により生成されたLDOC(
図16~20)の走査電子顕微鏡像(倍率:200,000倍)を示す。
【
図16】米国特許第7,588,782号の方法に従って生成されたLCH(
図11~13)およびLDOC(
図14~15)、ならびに本発明の方法により生成されたLDOC(
図16~20)の走査電子顕微鏡像(倍率:200,000倍)を示す。
【
図17】米国特許第7,588,782号の方法に従って生成されたLCH(
図11~13)およびLDOC(
図14~15)、ならびに本発明の方法により生成されたLDOC(
図16~20)の走査電子顕微鏡像(倍率:200,000倍)を示す。
【
図18】米国特許第7,588,782号の方法に従って生成されたLCH(
図11~13)およびLDOC(
図14~15)、ならびに本発明の方法により生成されたLDOC(
図16~20)の走査電子顕微鏡像(倍率:200,000倍)を示す。
【
図19】米国特許第7,588,782号の方法に従って生成されたLCH(
図11~13)およびLDOC(
図14~15)、ならびに本発明の方法により生成されたLDOC(
図16~20)の走査電子顕微鏡像(倍率:200,000倍)を示す。
【
図20】米国特許第7,588,782号の方法に従って生成されたLCH(
図11~13)およびLDOC(
図14~15)、ならびに本発明の方法により生成されたLDOC(
図16~20)の走査電子顕微鏡像(倍率:200,000倍)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本明細書は、本発明を特定的に示し、明瞭に主張する特許請求の範囲で締めくくるが、以下の説明から本発明はより良好に理解される、と考えられる。本明細書中で用いられるパーセンテージおよび比率はすべて、総組成物の重量当たりであり、そしてなされる測定はすべて、別記しない限り、25℃で正常圧である。温度はすべて、別記しない限り、摂氏である。本発明は、本発明の構成成分ならびに本明細書中に記載される他の成分または要素を含む(制限なし)かまたは本質的にそれらで構成され得る。本明細書中で用いる場合、「~からなる」は、列挙された要素、あるいは構造または機能におけるそれらの等価物、それに加えて、列挙されない任意の他の単数または複数の要素を意味する。「~を有する」または「~を含む」という用語も、状況がそうでないことを示唆しない限り、制限なしと解釈されるべきである。本明細書中で用いる場合、「~で本質的に構成される」は、本発明が、特許請求の範囲に列挙されたもののほかに、しかし付加的成分が特許請求される本発明の基本的および新規の特質を実質的に変更しない場合にのみ、複数の成分を包含し得る、ということを意味する。好ましくは、このような添加物は、全く存在しないかまたは微量でのみ存在する。しかしながら、(有用性度とは対照的に)化合物の有用性が保持される限り、本発明の基本的および新規の特質を実質的に変更し得る物質の約10重量%までを含むことが可能である。本明細書中に列挙される範囲はすべて、2つの値の「間」の範囲を列挙するものを含めて、終点を包含する。「約」、「一般的に」、「実質的に」等といったような用語は、別記しない限り、それは絶対値ではないが、しかし従来技術を示さないよう、用語または値を修飾する解釈されるべきである。このような用語は、それらの用語が当業者により理解されるように、状況およびそれらが修飾する用語により限定される。これは、最低に見積もっても、予測される実験誤差、技術的誤差、ならびに値を測定するために用いられる所定の技法に関する計器誤差を包含する。本明細書中で言及される任意の特許、特許出願または他の出版物は、その記載内容が参照により本明細書中で援用される。
【0038】
明細書および特許請求の範囲は、例えばある粒子サイズまたは分布を有する、あるいは例えばある型の、例えば具体的形態の充填剤を有する粒子を含有する本発明の錠剤または他の剤形といったような最終生成物に言及し得るが、詳述が十分である最終剤形から知ることは困難であり得る、ということに留意されたい。しかしながら、このような詳述は、最終生成(例えば錠剤の場合、配合および錠剤処方)前に用いられる物質が、例えば、その詳述に応じる場合には、十分であり得る。実際、剤形から直接的に確かめられ得ない最終生成物の任意の特性または特質に関して、その特性が最終生成段階直前に列挙される構成成分中に存在する場合には、それは十分である。
【0039】
パターン、スペクトルまたは他のグラフデータへの言及により、この文書がある物質、例えばこの場合にはLCHおよびLDOCに言及する場合、それらが、図に示されるかまたは描写されるように、あるいは1つ以上のデータ点により、「実質的に」存在することを定性することにより、そのようになし得る。このような状況で用いられる「実質的に」とは、パターン、スペクトルおよびの他のグラフデータが、当業者に既知の多数の因子のため、それらの位置、相対強度または他の値においてシフトされ得る、と理解される。例えば、結晶学的および粉末X線回析業界では、用いられる設備、試料調製プロトコール、好ましいパッキングおよび配向、放射線源、オペレーター誤差、データ収集の方法および長さ等(これらに限定されない)のため、一パターンの1つ以上のピークのピーク位置または相対強度に置けるシフトが起こり得る。しかしながら、当業者は、本明細書中の図面を未知の生成パターンと比較して、本明細書中に開示され、主張される形態のうちの1つとしてその同一性を確証することができるはずである。同じことは、本明細書中で報告され得る他の技法に関しても当てはまる。
【0040】
さらに、図面を参照する場合、確認目的のために、任意の関連のおよび列挙される許容誤差内で、その結晶形態、塩、溶媒和物および/または光学異性体を独自に限定する図面中に示された任意数のデータ点の選択が許容され、そしてこの文書がそれを包含し、意図する。
【0041】
分子、例えば、この場合はLCHおよびLDOCへの言及は、別記しない限り、または概して開示との不一致がない限り、任意の塩、結晶または非晶質形態、その光学異性体および/または溶媒和物形態を指す。
【0042】
分子または他の物質が本明細書中で「純粋な」と同定される場合、それは、別記しない限り、一般的に、物質が約99%以上純粋であることを意味する。害して、これは、望ましくない残留溶媒、反応副産物、不純物および非反応出発物質に関する純度を指す。多形の場合、「純粋な」は、適切な場合、他に比して99%の一ポリマーも意味する。「実質的に」純粋な、は、「純粋な」と同一の意味であるが、但し、下限は約95%以上であり、そして同様に「本質的に」純粋な、は、「純粋な」と同一の意味であるが、但し、下限は約90%である。
【0043】
一態様では、本発明は、会合水(結晶化の結合水)を伴うかまたは伴わずに、ランタン化合物、特に炭酸ランタン水酸化物を製造する方法を提供する。炭酸ランタン水酸化物およびその特性は、それらから作られる結果的に生じるランタンオキシカルボネートの相純度、多形状態、形態および性能に影響を及ぼすことが判明した。この工程において、水性溶媒中のランタンハロゲン化物(臭化物、ヨウ化物、フッ化物、塩化物等)を、一般的には水中で、化学量論的過剰量の非アルカリ金属炭酸塩と反応させる。特定の一実施形態では、反応は、非アルカリ金属炭酸塩の化学量論的量の少なくとも3倍で実施される。化学量論的過剰量は、反応中の所望のpHの維持に役立ち、そして、すべてのランタン反応体が炭酸ランタン水酸化物に転化されている、ということをも保証する。
【0044】
任意の特定の適用理論に縛られずに考えると、結果的に生じる反応は、以下の方程式により例証され得る:
2LaCl3(aq)+3(NH4)2CO3(aq)+H2O→2LaCO3OH(s)+6NH4Cl(aq)+CO2(g)
(式中、(aq)=水溶液、(s)=固体、および(g)=気体)。他の非アルカリ金属炭酸塩も、炭酸アンモニウムの代わりに用いられ得る。重炭酸アンモニウム(NH4HCO3)は、同様の結果を伴って用いられ得る。したがって、反応体の量は調整される必要がある。さらにまた、反応中に重炭酸塩を用いて高pHを維持することは、より難しい。炭酸塩および重炭酸塩の他の供給源は、それらが可溶性である限り、用いられ得る。
【0045】
特に、ナトリウム含有炭酸塩および重炭酸塩物質はそれほど有益でない、ということが判明した。操作の任意の特定理論に縛られずに考えると、ナトリウムが結果的に生じる炭酸ランタン水酸化物から洗浄された場合でさえ、結果的に生じるランタンオキシカルボネートの特性に影響を及ぼす。本発明の方法ならびに’782特許の方法はともに相対的に高い表面積および小さい粒子サイズを生じ得るが、しかし本発明による炭酸ランタン水酸化物およびランタンオキシカルボネートの全体的有効表面積は相対的により大きい、と考えられる。
【0046】
「相対的により大きい」とは、’782特許の製法および本発明の製法が、一般的に同一条件下で、しかし例えば炭酸ナトリウムの代わりに炭酸アンモニウムまたは重炭酸アンモニウムを用いて実行された場合、本発明のLCHまたはランタンオキシカルボネートの表面積(BETまたは別の方法で測定)は’782特許を実行した場合に生じるものよりさらに高い、ということを意味する。本発明の炭酸アンモニウム製法は、LCHに関して1~100m2/g範囲でBET表面積を生じるはずである。本発明によるLDOCのSAは約20~約40m2/gの範囲であると予測されるが、一方、’782特許の製法からのLDOCはしばしば有意に低い。この目的のために、本明細書中で用いる場合、「相対的により大きいBET表面積」は、同一成分を用いて、同様の条件下で、しかしその特許で記載される製法を用いて製造された場合の米国特許第7,588,782号におけるそれぞれの化合物と比較した本発明のLDOC化合物のより大きいBET表面積を指す。上記のように、両製法は極微細な粒子/高表面積を生産し得る。さらにまた任意の特定操作理論に縛られずに考えると、本発明から生じる物質のより大きい多孔度は、全体的表面積(またはより反応性の表面)を有効に増大して、特に、結合動力学を改善させる。これは、個々のまたは一次粒子の多孔度に関して断言されるが、集合体に関しては断言できない。したがって、本発明の一次粒子は、’782特許に従って製造される粒子に関して測定されるものより相対的に大きい多孔度を提供する、と考えられる。本明細書中で用いる場合、「相対的に大きい多孔度」は、本発明の方法により製造される物質の全体的多孔度が、米国特許第7,588,782号に従って、他の因子はすべて同じで製造された匹敵する生成物の多孔度より大きい、という観察結果を指す。さらに、「多孔度」は、本明細書中で用いる場合、吸着物として窒素を伴う静圧表面積分析器を用いて確定され、Barrett, Joyner, and Halenda (BJH)法 (Barrett E. P., Loyner L. G. and Halenda P. P., The determination of pore volume and area distributions in porous substances. I. Computations from nitrogen isotherms, J. Am. Chem. Soc. 73 (1951) pp. 373-380)により孔サイズを算定する累積吸着細孔容積を意味する。
【0047】
同様に、本明細書中で用いる場合、「相対的により大きい細孔容積」は、本発明の方法により製造される物質の全体的細孔容積が、米国特許第7,588,782号に従って、他の因子はすべて同じで製造された匹敵する生成物の細孔容積より大きい、という観察結果を指す。「細孔容積」は、本明細書中で用いる場合、累積吸着細孔容積を指す。一実施形態では、本発明のLDOCの累積吸着細孔容積は、少なくとも0.015cm3/gである。別の実施形態では、それは少なくとも0.020cm3/gである。
【0048】
しかしながら、たとえ解釈が結局存在し得る場合でも、本発明に従って生成される物質は、’782特許により生成されるものとは異なる特性を有する、ということが観察されている。
【0049】
例えば、相対的細孔容積におけるような差のほかに、本発明のLCHおよびLDOC化合物は一般的に、米国特許第7,588,782号に従って製造されるそれらのそれぞれの化合物と比較して、改良されたリン酸塩結合動力学を実証する。上記のような、「改良されたリン酸塩結合動力学」とは、’782特許のLDOC化合物および本発明のLDOC化合物のリン酸塩結合動力学が一般的に同様の条件下(例えばICPまたはイオンクロマトグラフィー検定を用いて測定)で実行された場合、本発明のランタンオキシカルボネートのリン酸塩結合能力は、30分以下で、/は4.5以上で測定した場合、’782特許の化合物のリン酸塩結合能力よりさらに高い。
【0050】
反応温度、反応pH、沈殿物濃度、混合、供給速度、出発物質の純度等を含めて、炭酸ランタン水酸化物の生成に影響を及ぼす多数のパラメーターが存在する。これらの反応パラメーターの変動は、LCHから最終的に生成されるランタンオキシカルボネートの処理加工可能性および/または性質および特質に有意の影響を及ぼし得る。
【0051】
一製法では、炭酸ランタン水酸化物(LCH)は、連続点滴注入反応において塩化ランタンおよび炭酸アンモニウムを反応させることにより生成される。塩化ランタンの量は固定流量で提供され、炭酸アンモニウムの量は可変的に供給される。これらの溶液は、温度制御および混合制御水の容積中に供給される。pHは、反応中はほぼ一定に保持され得るし、結果的に生じる沈殿物の濃度は、反応器水容積に提供される塩化ランタンの重量比を調整することにより制御される。一旦沈殿物が生成されると、それは洗浄され、濾過されて、反応塩(この場合は塩化アンモニウム)を除去する。これは、任意の伝統的方法を用いて、例えば標準実験室ブフナー(真空)濾過装置を用いて成し遂げられ得る。LCHは、濾過されて、水中に再懸濁され、そして所望の懸濁液伝導率(塩含量を示す)が達成されるまで、所望の回数で再濾過される。次にLCHは、最終回濾過されて、乾燥のために固体負荷を増大する。乾燥が用いられるが、この場合、LCHフィルターケーク(典型的には40~60重量%固体)がパイレックス(登録商標)トレーに負荷され、自然対流式乾燥炉、例えばステンレススチールで裏打ちされた対流式乾燥炉中で、110℃で16時間以上で乾燥され得る。他の伝統的乾燥技法が、用いられ得る。その後、当該物質は乾燥粉砕されて、例えば0.6ミリメートルメッシュスクリーンを通してスクリーニングされ得る。
【0052】
この反応のpHは変わり得るが、しかし約pH4.5より高くすべきである。しかしながら、特に用いられる温度、ならびにその結果生じる沈殿物の濃度によって、5より低いpH、さらに6より低いpHは、全体的表面積を低減し得る。その結果生じる物質も、嵩密度に関して難点がある。なされた試験における傾向は、今までのところ、6.0以上のpH(約pH8.0まで)で、平均BET表面積(BET-SA)は一般的により高い、ということを示すと思われる。表面積および嵩密度は、pHが増大すると改善されると考えられる。
表1で同定される試料は、85℃の反応温度で、36~45g/LのLCH濃度で合成された。
【表1】
【0053】
表1のデータは、5.5の低pHは低SA LCHを沈澱し、これが次に、観察された低LDOC BET-SA(BET表面積)を生じた、ということを示唆する。このpHでの低嵩密度も観察され、これは、BET-SAと軽度に相関し、したがって意外ではないとが認められた。6.0以上のpHでは、平均BET-SAはより高い。BET-SAは、7.0のpHで、依然としてわずかに良好であると思われる。
【0054】
図4に示したように、LCHが生成されるpHは、それから生成されるLDOCの集合体サイズを決定するのにも一役を果たし得る。pHが増大すると、集合体サイズも増大した。しかしBET-SAに関する初期データは、この傾向と整合しなかった。したがって、pHは、集合体の相対的集塊強度に影響し得るが、実際のサイズおよび表面積には影響し得ない。
【0055】
反応温度も、一役を果たす。75℃C以下または90℃異常の温度で、結果的に生じるLCHの全体的表面積は、実際、最適下限であり得る、ということが判明している。他の条件によって、75℃C以下および90℃の温度で望ましい表面積を有する適切な生成物を得ることが可能であるが、しかしこれら2つの温度間で実行されている製法は最適であり得る。したがって、一実施形態では、反応温度は約65~110℃であり得るし、別の実施形態では、反応温度は約70~100℃、さらに別の実施形態では、75~90℃の範囲である。特定の一実施形態では、反応温度は約80~約85℃の範囲である。以下の表2は、BET-SAに及ぼす温度の作用、ならびに加工処理可能性に及ぼすいくつかの作用を示す。
【表2】
【0056】
75℃Cおよび90℃の両方で、BET-SAは低減される、ということをデータは示している。BET-SA平均は、80℃および85℃で最大である。さらに、75℃では、バッチの大多数が反応中にゲル化したが、これは、加工処理可能性に伴う一貫した問題を示す。さらに、この温度では、フィルターケークが非常に高い水分含量を保持し、洗浄による反応塩の除去をかなり困難にする。物質の100%が80℃反応温度でゲル化したが、しかしこの群の3つの試料はすべて、さらにまた55~60g/Lの濃度で加工処理されており、これは、手短に指摘されたように、ゲル化および濾過の問題も提示する、ということに留意すべきである。高温は、低濃度ではより有用であり得る。
【0057】
沈殿物の濃度も、特に加工処理可能性に関して一役を果たし得る。濃度が非常に高い場合、粘度が非常に大きくなり、物質は、上記で簡単に示したように、「ゲル」になると思われる。これが、加工処理をさらに難しくする。濾過は複雑になり、乾燥時間は増大され得るし、結果的に生じる物質の全体的性能に影響が生じ得る。もちろん、用いられる他の条件、例えばpHおよび温度によって、より広範囲の沈殿物濃度が可能である。しかしながら、沈殿物濃度は、一般的に、約20~約90グラム/リットルの範囲であり、別の実施形態では、約30~約60グラム/リットルである。さらに別の実施形態では、沈殿物濃度は、約35~約55グラム/リットルであるべきである。表3は、反応ならびに濾過および洗浄中にLCHを加工処理する能力に及ぼすLCH濃度の作用を要約する。
【表3】
【0058】
これは、濃度の上昇が、反応中にLCHを加工処理する能力を低減する、ということを示唆する。これらの条件下で、55g/Lより高い濃度を用いる実行の100%がゲル化し、そして多数が約70%の高ケーク水分を生じた。濃度は、これらの条件下では、これらの条件下での加工処理における制御を可能にするには、55g/Lより低く保持されるべきである、と思われる。
【0059】
用いられる製法変量によって、LCHの種々の多形相が生成され得る。望ましい一実施形態では、結果的に生じる物質が高度球状形態ならびに既知のICDDカード26-815(International Centre for Diffraction Data, 12 Campus Blvd., Newton Square, PA 19073-3273)の場合と同様の粉末X線回析パターンを有するよう、製法が実行される。
図1Aおよび1C参照。最適下限で実行された場合、当該製法は、一般的に低表面積物質を生じ、これはさらにまた、そのPXRDパターンがICDDカードファイル49-981と最も密接に整合した相対的に高パーセンテージの異なる多形を含み得る。形態も、一般的に、針状および平板用構造を取る。
図1Bおよび1D参照。26-815の粉末X線回析パターンを有する高いパーセンテージの多形を生成するための、本明細書中に記載された製法の使用が所望される。したがって、本発明の一態様では、生成され、さらなる加工処理段階で用いられるLCHは、50%より多い多形26-815であり、一実施形態では、他の多形に比して少なくとも約90%の26-815のこの多形である。さらに別の実施形態では、多形26-815のパーセンテージは95%以上であり、さらに別の実施形態では、99%以上である。
【0060】
本発明の別の態様では、非アルカリ金属炭酸塩を用いて生成されるLCHは、一般的に高温で過熱または焼成されることによりさらに加工処理されて、ランタンオキシカルボネート、特にLDOCを生成する。焼成のために用いられる温度および時間は、その結果生じるLDOCの特性、例えば結晶性、多形型、多孔度、表面積および嵩密度に影響を及ぼし得る。しかしながら、焼成条件の影響は、LCH出発物質を生成するために用いられる条件ならびにこれらの同一特性に関するその出発物質の性質より、果たす役割は重要性が低い、と考えられる。
【0061】
焼成温度(焼成中のLCH粉末の温度を意味する)は、一般的に、約400~約700、さらにしばしば約440~640℃の範囲であり得る。しかしさらにしばしば、焼成は、約500~600℃(例えば約550℃)の温度で成し遂げられる。これらの温度が適用される時間の最小量は、多数の因子、例えば物質の量および用いられている温度によって決まる。しかしながら、一般的に、これらの温度は最低約2時間、別の実施形態では、3時間以上適用される。用いられ得る時間の量に上限はないが、しかしこれらの温度が確実にそうである曝露時間は、収益低減の点に達する。したがって、一般的に、当該物質は約1日より長い間これらの温度に付されない。
【0062】
種々の冷却技法が本発明に従って用いられ得るが、しかし好ましくは、焼成物質は、長時間に亘って、例えば約8時間掛けて、漸次冷却される。
【0063】
本発明の製法が実施される場合、結果的に生じる物質は一連の特性を有し得る、ということが判明している。一般的に、本発明の製法によるLCHは、約4~約80ミクロン(しばしば4~30μ)の平均集合体サイズ(レーザー光ベースの技法により測定される集合体の容積単位のD50)、相対的高多孔度、少なくとも約1メートル平方/グラム、しばしば約1~約100m2/gのBET表面積、約0.1~約1.1、別の実施形態ではでは、約0.5~約0.8g/ccの嵩密度、および/または約5重量%以下(ICPによるアルカリ金属基準)のアルカリ金属含量を有する。アルカリ金属含量は、0.3重量%以下、または0.1重量%以下(ICPによるアルカリ金属基準)でもあり得る。
【0064】
同様に、本発明のランタンオキシカルボネート、特にLDOCは、約4~約80ミクロンの平均粒子サイズ(レーザー光ベースの技法により測定される集合体の容積単位のD50)、相対的高多孔度、少なくとも約20メートル平方/グラム、しばしば約30~約40m2/gのBET表面積、約0.1~約1.1、別の実施形態ではでは、約0.5~約0.8g/ccの嵩密度、および/または約0.75重量%以下のアルカリ金属含量を有する。いくつかの実施形態では、存在するアルカリ金属の量は、0.4重量%以下、さらに他の実施形態では、0.2重量%以下(すべて、ICPにより決定されるアルカリ金属基準で算定)である。いくつかの実施形態では、細孔容積は、少なくとも0.015cm3/gであり、他の実施形態では、細孔容積は少なくとも0.020cm3/gである。
【0065】
ここで報告される平均粒子サイズ測定は、集合体の容積単位のD50である、ということに留意されたい。これらの集合体は、はるかに低い粒子サイズ(しばしば一次粒子サイズと呼ばれる)を有する個々の粒子で構成される。一次粒子サイズは、SEM画像から、多少は経験的に判定され得るし、あるいはシェラーの方程式を用いて、PXRDデータに基づいて概算され得る。粒子サイズは、以下の方程式を解くことによっても概算され得る:平均概算粒子サイズ=6000/BET/比重。25m2/gのBET表面積および5.15の比重を有するLa2O2CO3物質に関しては、これは、約7ミクロンのレーザー光技法により測定される平均概算集合体サイズと比較して、平均概算粒子サイズ(一次粒子に関して)が約47ナノメートルである、ということを意味する。平均一次粒子サイズは、約50~約300nmの範囲であり得る。
【0066】
’782特許に記載された製法の実行によっては観察されなかった興味深い現象が、本発明の実行から観察されている。両製法において、いくつかの型のLCHが生成され、焼成されて、LDOCを形成する。多形的には、両製法から結果的に生じるLDOCは、同一であり得る。いくつかの実施形態では、LDOCは、ICDDカードファイル037-0804または023-0322に見出される粉末X線回析パターンを示すが、しかし037-0804が好ましい(’782特許では、ICDDカードファイルXRDパターン023-0322はLa2CO5と呼ばれるが、一方、ICDDカードファイルパターン037-0804はLa2O2CO3として同定されたが、その呼称は本明細書中で維持される)。’782特許に従って生成されるLCHに関する特徴的ピークは、15.88、20.44、23.76、29.94、38.18および43.46度2θ±0.1度2θで見出される。本発明に従って生成されるLCHに関する特徴的ピークは、17.76、24.44、30.39、42.96および43.94度2θ±0.1度2θで見出される。本発明に従って生成されるLa2O2CO3物質は、11.10、25.86、30.40、33.84および44.39度2θ±0.1度2θで特徴的ピークを有する。しかしながら、興味深いことに、これらの異なる製法から生成されるLDOCの形態は-生成されるLCHとは違って-互いに異なる。それらのそれぞれの特性のいくつか、例えば嵩密度および表面積は、それらの物質が本発明に従って生成される場合、LCHおよびLDOC間で合理的に一致したままである傾向を示す。しかしながら、同じことは、’782特許表面積および形態の実行に関しては言えず、これらは有意に変わると言及された。例えば’782特許の表1では、LCH(その場合、La2O(CO3)・H2Oとして同定される)は、どれかのランタンオキシカルボネートより一貫して高いBET表面積を有した、ということに留意されたい。
【0067】
図2に示したように、本発明の製法を用いて生成されるLCHおよびLDOCの間に、かなり一致する関係が観察されている。BET表面積は焼成時に劇的に変化しなかった、という事実も、LCHを製造するために用いられる製法の重要性ならびに本発明に従って製造されるLCHの重要性を実証するのに役立つ。
図3は、嵩密度が同様に類似するままである傾向を示すという事実を例証する類似の点を生じる。
【0068】
多形037-0804の量は重量単位で任意の他の多形の量を上回る、ということが好ましい。一実施形態では、多形037-0804の量は、存在するすべての多形の50%以上であり、別の実施形態では、LDOCの存在する多形の少なくとも90%はLa
2O
2CO
3である。別の実施形態では、多形037-0804(La
2O
2CO
3)は、他の多形に比して、少なくとも95重量%の量で存在し、さらに別の実施形態では、少なくとも99重量%で存在する。本発明に起因するLDOC対’782特許の製法に起因するLDOCのリン酸塩結合動力学は同様に異なる、ということも確定されている。3以下のpHでは、両物質に関するリン酸液結合は、ほぼ同一である。しかしながら、
図10に示したように、約6.5のpH(腸において一般的に見出されるpH)では、本発明のLDOCにより60分で結合されるリン酸塩の量は、約240mg結合PO
4/化合物1gであったが、一方、’782特許に従って生成されるLDOCにより結合されるものは約118mg結合PO
4/化合物1gに過ぎなかった。したがって一実施形態では、本発明のランタンオキシカルボネート、別の実施形態では、本発明のLDOCは、pH6.5で60分で、少なくとも150mgPO
4/gのランタンオキシカルボネート/LDOCの結合動力学を有する。別の実施形態では、本発明のランタンオキシカルボネートおよびLDOCは、少なくとも約180mgPO
4/化合物1g、さらなる一実施形態では、少なくとも200mgPO
4/化合物1gの結合動力学を有する。試験される物質のBET表面積は、RZB012(’782特許によるランタンオキシカルボネート)に関しては6~7m
2/g、そして本発明によるLa
2O
2CO
3に関しては約33.9であった。さらに、本発明に従って製造されるLDOCの多孔度、嵩密度および流動特徴は、’782特許の教示に従って製造されるものより優れていた、と考えられる。
【0069】
本明細書中に記載されるような集合体サイズは、走査電子顕微鏡(SEM)により、またはCoulter LS230でのレーザー回析により決定される。
図1Aで分かるように、バッチ100808はかなり均一な100~200nm(0.1~0.2μM)球状外観を有するようにみえるが、一方、
図1Bにおけるバッチ100980のプレートはより高次の大きさであるように思われる。しかしこれらは、さらに集合されるように見える。
【0070】
しかしながら、バッチ100808の集合体の容積単位の各々のD10、D50およびD90は、それぞれ、6.8、47.0および114.0μMであった。これは、SEMからの視覚的画像で相反しており、これもまた集合を示唆する。
【0071】
本発明によるLCHおよびLDOCは、経口送達により投与される。医薬品に関する適切な指針と一致する限り、既知である任意の経口送達装置または剤形が用いられ得る。これらの例としては、嚥下錠剤(口腔中では溶解せず、嚥下されるよう意図された錠剤)、嚥下カプレット、一般的に造形されたカプセル、圧縮剤形、嚥下硬質ゼラチンカプセル、嚥下軟質ゲルカプセル、経口溶解性錠剤、経口溶解性カプレット、経口溶解性硬質ゼラチンカプセル、経口溶解性軟質ゼラチンカプセル、咀嚼錠剤、咀嚼カプレット、咀嚼カプセル、粉末、スプリンクル、経口崩壊性皮膜、食物、糖菓、ガム、シロップ、懸濁液、乳濁液または分散液が挙げられる。しばしば、それらの腎臓問題のために、高リン酸血症を有する被験体は彼等の液体摂取を制限する必要がある。したがって、液体なしでまたは限定量の液体とともに摂取され得る処方物が望ましい。この目的のために、例えば、ビーズ、咀嚼または噛み砕き錠剤、粉末、あるいは食物に振り掛けられ得る篩選顆粒の形態の処方物が、本明細書中で意図される。
【0072】
本明細書中に記載される種々の剤形の処方方法は、当業者によく知られており、慣用的方法を用いて生成され得る。
【0073】
活性薬学的成分または「API」(LCHまたはLDOC)のほかに、本発明による剤形は、他のまたは第二APIを同様に包含し得る。これらの例としては、他の型のリン酸塩結合剤、例えばレナゲルの商標で販売されている塩酸セベラマー、ならびにフォルレノールの商標で販売されている炭酸ランタンが挙げられ得る。これらは、LCHおよび/またはLDOCと混合され得るし、あるいは層にまたは他の方法で分離され得る。別の実施形態では、本発明の1つ以上の剤形は、レナゲル、フォルレノールまたはいくつかの他の付加的API(LCDまたはLDOC以外)のうちの1つ以上の剤形とともに摂取され得る。これらの剤形は、一緒に、例えば食事とともにまたは食後に、摂取され得るし、あるいはそれらは数時間置いて摂取されることさえある。
【0074】
LCHおよび/またはLDOCのほかに投与され得る他のAPIとしては、全身的に分配可能な薬学的成分、ビタミン、ミネラル、栄養補助食品、ならびに非全身的分配可能薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。前記のうちのいずれかの組合せまたは混合物も、本発明により意図される。薬学的成分としては、制酸薬、鎮痛薬、興奮薬、睡眠補助薬、催眠薬、解熱薬、抗菌薬、抗不安薬、緩下薬、抗うつ薬、抗利尿薬、抗鼓腸薬、抗片頭痛薬、鎮痙薬、鎮静薬、抗亢進薬、抗高血圧薬、トランキライザー、充血除去薬、免疫抑制薬、抗癌薬、抗ウイルス薬、抗寄生生物薬、抗真菌薬、抗嘔吐薬、抗うつ薬、抗癲癇薬、局所麻酔薬、血管作用薬、抗喘息薬、骨格筋弛緩薬、パーキンソン病薬、抗精神病薬、造血成長因子、抗高脂血症薬、抗凝固薬、繊維素溶解薬、抗血栓薬、ホルモン、治療用タンパク質およびペプチド、抗不整脈薬、抗狭心症薬、ベータ遮断薬、ならびにその組合せが挙げられるが、これらに限定されない。本発明によるAPIとしては、米国特許第5,234,957号(Mantelle)(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)のカラム18~21に記載された薬剤および薬学的活性成分も挙げられる。本発明による一実施形態では、APIは、好ましくは、人々が乱用する可能性が高い医薬品である。本発明の別の好ましい実施形態では、APIは疼痛薬、例えばMerck Index(第13版)のページTHER-2およびTHER-3(発行:Merck & Co., Inc.(Whitehouse Station, N.J.)、copyright 2001)(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に列挙されているような麻酔または非麻酔用鎮痛薬である。麻酔用鎮痛薬としては、鎮痛薬、疼痛緩和薬、オピオイド、例えばオキシコドン、コデイン、ヒドロコドン、モルヒネ、ヒドロモルフォン、オキシモルフォン、メタドン、プロポキシフェン、メペリジン、フェンタニル、ブプレノルフィン、ブトルファノール、デゾシン、酢酸レボメタジル、レボルファノール、ナルブフィン、ペンタゾシン、レミフェンタニル、スフェンタニル、トラマドール;興奮薬、例えばアンフェタミン、メタンフェタミン、デキサンフェタミン、メチルフェニデート、デクスメチルフェニデート、ペモリン;鎮静薬および催眠薬、例えばバルビツレート、例えばアモバルビタール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、メフォバルビタール、フェノバルビタール、セコバルビタール;ベンゾジアゼピン、例えばアルプラゾラム、クロマゼパム、ジアゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、クアゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、プラゼパム、オキサゼパム、他の薬剤クラス、例えばモダフィニルおよびアルモダフィニルが挙げられるが、これらに限定されない。これらは、すべて、通例投与量で投与される。
【0075】
この開示で用いられる場合、「ビタミン」という用語は、食餌中に必要とされる微量有意物質を指す。本発明の目的のために、ビタミン(単数または複数)としては、チアミン、リボフラビン、ニコチン酸、パントテン酸、ピリドキシン、ビオチン、葉酸、ビタミンB12、リポ酸、アスコルビン酸、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンEおよびビタミンKが挙げられるが、これらに限定されない。当該用語内には、その補酵素も包含される。補酵素は、特定化学形態のビタミンである。本発明に有用であり得る補酵素としては、チアミンピロホスフェート(TPP)、フラビンモノヌクレオチド(FMM)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(AND)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(NADP)、補酵素A(CoA)、リン酸ピリドキサール、ビオシチン、テトラヒドロ葉酸、補酵素B12、リポイルリシン、11-シス-レチナールおよび1,25-ジヒドロキシクロレカルシフェロールが挙げられる。ビタミン(単数または複数)という用語は、コリン、カルニチン、ならびにアルファ、ベータおよびガンマカロテンも包含する。ビタミンまたはミネラルに関連して用いられる場合、「有効量」という用語は、患者のためのその特定成分の米国1日当たり摂取勧告量(United States Recommended Daily Allowance)(「RDA」)の少なくとも約10%の量を意味する。例えば、意図される成分がビタミンCである場合には、ビタミンCの有効量は、RDAの10%以上を提供するのに十分なビタミンCの量を包含する。
【0076】
本発明による剤形は少なくとも1つの他の成分または製薬上許容可能な賦形剤も包含する、ということが意図される。この賦形剤としては、矯味剤、被覆剤、塊希釈剤、結合剤、充填剤、糖、甘味剤、例えば人工甘味剤、ポリマー、風味剤、着色剤、滑剤、流動促進剤、生体-または粘膜-接着剤、粘度調節剤、界面活性剤、緩衝剤、崩壊剤、圧縮/封入助剤、可塑剤、スリップ/静電気帯電防止剤等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの賦形剤のいずれか1つ以上の量は、特にAPIの量および種類、API粒子サイズ、ならびに剤形の形状、剤形の型、活性物質の所望の放出速度(例えば、摂取後数秒または数分以内)、身体中の活性物質放出の所望の位置、用いられる成分数、用量を構成する剤形の数、API数/用量等に伴って変わる。
【0077】
本発明による矯味剤(単数または複数)は、この業界で矯味剤として用いられる既知のものを包含する。本発明による好ましい矯味剤としては、オイドラギットE-100、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、シェラック、ゼイン、カルボマーおよび脂肪が挙げられ得る。矯味剤は、慣用的量で、好ましくは総剤形の約1~約5重量%の量で、さらに好ましくは総剤形の約2~約5重量%の量で、最も好ましくは総剤形の約2~約3重量%の量で用いられ得る。
【0078】
結合剤は、結合剤として用いられることが既知のものであり得る。これらの物質は、粉末に粘着性を付加し、その後の加工処理または輸送および取扱いに耐えるための許容可能な機械的強度を有する硬質錠剤に圧縮され得る顆粒を形成するために必要な結語を提供するために用いられる。本発明において有用であり得るいくつかの結合剤としては、アラビアゴム、トラガカントゴム、ゼラチン、デンプン(化工または非化工の両方)、セルロース物質、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびナトリウムカルボキシメチルセルロース、アルギン酸およびその塩、例えばアルギン酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ポリエチレングリコール、グアーゴム、キサンタンゴム、多糖酸、ベントナイト、糖、転化糖等、脂肪、蝋、カルボポール、ポビドン、ポリビニルピロリドン、ポリメタクリレートおよびその他のアクリルおよびビニルベースのポリマーが挙げられる。結合剤は、慣用的量で、好ましくは総剤形の約0~約50重量%、さらに好ましくは約2~約10重量%の量で用いられ得る。
【0079】
被覆剤は、含まれる場合、典型的には微量(重量%)で存在する。被覆剤としては、フタル酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、エチルセルロース、ゲランゴム、マルトデキストリン、メタクリレート、メチルセルロース、微晶質セルロースおよびカラジーナン、シェラック、スクロースおよびポリビニル誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。被覆剤が用いられる場合、それは、例えば、投与後の錠剤の崩壊を遅らせるために(例えば、ポリマーコーティング)、あるいは錠剤が水分を吸収するのを遮ることにより保存寿命を延ばすために、付加され得る。
【0080】
充填剤は、充填剤として用いられることが既知のものであり得る。本発明において有用であり得るいくつかの充填剤としては、マンニトール、デキストロース、ソルビトール、ラクトース、スクロースおよび炭酸カルシウムが挙げられる。充填剤は、慣用的量で、好ましくは約0~約90重量%、さらに好ましくは約10~約50重量%の量で用いられ得る。
【0081】
用いられ得る特に好ましい種類の充填剤は、糖である。本発明に用いられ得る糖は、糖、糖アルコール、ケトース、糖類、多糖類、オリゴ糖類等、ならびにセルロースおよび化工セルロースを包含する。
【0082】
糖は、直接圧縮および/または非直接圧縮糖も包含し得る。特に好ましい非直接圧縮糖としては、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、トレハロース、ラクトースおよびスクロースが挙げられるが、これらに限定されない。もちろん、これらの糖は一般的に、直接圧縮糖、すなわちその圧縮可能性および/または流動を増大するよう改質された糖、あるいはいくつかの種類の増強、例えば流動を増大するための流動促進剤、流動および/または圧縮可能性を増大するための造粒等(これらに限定されない)を伴わずに高速加工処理および多重錠剤圧縮に用いられるようにさせるために十分な流動性および/または圧縮可能性を有さない非直接圧縮糖として存在する。もちろん、造粒のような技法は、非直接圧縮糖への加工処理前に同様に直接圧縮糖を考慮に入れるのに十分な流動および圧縮可能性を最初に有するものを転化するためにも用いられ得る。これは、糖からのみ作られる錠剤を直接圧縮し、そして加工処理の前および後に流動および圧縮可能性を比較することにより測定され得る。流動および/または圧縮可能性が加工処理後に低減される場合、その物質は非直接圧縮糖になったと思われる。しかしながら、糖が商業的製法に用いられる前に、特性における低減が増強またはさらなる加工処理を必要とするのに十分であるか否かは、多数の因子、例えば用いられる加工処理設備の種類、ならびに全体的処方によって決まる、と理解される。しかしながら、一般的には、いくつかのさらなる加工処理または増強が必要とされる。限定的ではないが、しかし時として、非直接圧縮糖は、少なくとも約90%の約200ミクロンより小さいその粒子、さらに好ましくは80%の約150ミクロンより小さい粒子を有する。
【0083】
全部の糖の量は、約0~約90%の範囲であり得る。さらに好ましくは、糖の量は、約5%~約75%、さらに好ましくは約10%~50%の範囲である。本発明に従って用いられ得る他の非炭水化物希釈剤および充填剤としては、例えば二水化または無水炭酸カルシウム、無水または水化硫酸カルシウム、および乳酸カルシウム三水和物が挙げられる。用いられる場合、これらは、剤形の約0~90重量%、さらに好ましくは約5~約75重量%、最も好ましくは約10~50重量%の量で存在する。
【0084】
本発明の処方物とともに用いるための甘味剤としては、例えばフルクトースDC;ハチミツDC;マルトデキストリン;マルトースDC;マンニトールDC;モラッセDC;ソルビトール、結晶;ソルビトール、特殊溶液;およびスクロースDCが挙げられる。これらは、慣用的量で用いられ得る。
【0085】
人工甘味剤も用いられ得るが、これらは人工甘味剤として用いられることが既知であるものであり得る。本発明において有用であり得るいくつかの人工甘味剤としては、サッカリン、アスパルターム、アスパルタームおよびラクトース、アスパルタームデキストロース、スクラロース、ネオターム、ならびにアセスルファームカリウムが挙げられるが、これらに限定されない。人工甘味剤は、慣用的量で、好ましくは約0.1%~約2%の範囲の量で用いられ得る。
【0086】
風味剤は、風味剤として用いられることが既知のものであり得る。本発明において有用であり得る風味剤としては、合成風味油および風味芳香性物質および/または天然油、植物体、葉、花、果実等からの抽出物、およびその組合せが挙げられる。これらの例としては、桂皮油、冬緑油、薄荷油、丁子油、月桂樹油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、シーダー葉油、ナツメグ油、セージ油、苦扁桃油およびカッシア油が挙げられ得る。バニラ、柑橘油、例えばレモン、オレンジ、ライムおよびグレープフルーツ油、ならびに例えばバナナ、ブドウ、リンゴ、ナシ、モモ、イチゴ、ラズベリー、サクランボ、プラム、パイナップル、アンズ等を含めた果実精油も、風味剤として有用である。
【0087】
風味剤は、慣用的量で、好ましくは剤形の約0.01~約3重量%、さらに好ましくは剤形の約0.1~約2.5重量%、最も好ましくは剤形の約0.25~約2重量%の範囲の量で用いられ得る。
【0088】
着色剤は、着色剤として用いられることが既知のものであり得る。本発明において有用な着色剤としては、二酸化チタン、ならびに食物に適した染料、例えばF.D.&C.染料、および天然着色剤、例えばブドウ果皮抽出物、ビート赤色粉末、ベータ・カロテン、アナート、カルミン、ターメリック、パプリカ等が挙げられる。着色剤は、慣用的量で、好ましくは剤形の約0.001~約1重量%の範囲の量で用いられ得る。
【0089】
滑剤は、滑剤として用いられることが既知のものであり得る。例としては、例えばグリセロールパルミトステアレート、ステアリン酸マグネシウム;ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム;ステアリン酸アルカリ;タルク;およびフマル酸ステアリルナトリウムが挙げられる。本発明において有用であり得る滑剤は、内在的または外在的滑剤を包含し得る。内在的滑剤としては、ステアリン酸のマグネシウム、カルシウム、亜鉛塩、硬化および部分硬化植物油、動物脂肪、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンモノステアレート、タルク、軽鉱油、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。粉末滑剤も用いられ得る;粉末滑剤の非限定例としては、ベヘン酸グリセリルが挙げられる。滑剤は、慣用的量で、好ましくは剤形の約0.1~約5重量%、約0.1~約3.0重量%、さらに好ましくは約0.25~約2.5重量%、最も好ましくは0.5~2重量%の量で用いられ得る。
【0090】
粘度調節剤は、粘度調節剤として用いられることが既知のものであり得る。本発明において有用であり得るいくつかの粘度調節剤としては、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(ナトリウムCMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、コンニャク粉、カラギーナン、キサンタンゴム、その他の親水性ポリマー、またはその混合物が挙げられるが、これらに限定されない。粘度調節剤は、慣用的量で、好ましくは剤形の約1~約40重量%、さらに好ましくは約2~約20重量%の量で用いられ得る。
【0091】
界面活性剤は、界面活性剤として用いられることが既知のものであり得る。本明細書において有用であり得るいくつかの界面活性剤としては、種々の等級の以下の市販製品が挙げられるが、これらに限定されない:アルラセル(登録商標)、トゥイーン(登録商標)、カムプル(登録商標)、セントロフェイス(登録商標)、クレモフォル(登録商標)、ラブラファク(登録商標)、ラブラフィル(登録商標)、ラブラゾル(登録商標)、ミベロール(登録商標)、タガット(登録商標)、ならびに任意の非毒性短および中鎖アルコール。界面活性剤は、慣用的量で、好ましくは剤形の約0.01~約5重量%、さらに好ましくは約0.1~約2重量%の量で用いられ得る。
【0092】
緩衝剤は、緩衝剤として用いられることが既知のものであり得る。本発明において有用であり得るいくつかの緩衝剤は、任意の弱酸または弱塩基、好ましくは、消化器粘膜に有害でない任意の緩衝系を包含する。これらの例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムおよび等価のカリウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。緩衝剤は、慣用的量で、好ましくは剤形の約0.1~約10重量%、さらに好ましくは約1~約5重量%の量で用いられ得る。
【0093】
用いられ得る崩壊剤としては、デンプン、セルロース、化工デンプン、微晶質セルロース、アルギン酸、粘土、ビーガム、ならびに超崩壊剤、例えば架橋PVP、クロスカラメロース塩、例えばクロスカラメロースナトリウム、デンプン誘導体、例えばデンプングリコール酸ナトリウム(これらに限定されない)が挙げられる。このような超崩壊剤が用いられる場合、それらは、伝統的に、完成剤形の約1~約20重量%、さらに好ましくは約2~約10重量%、最も好ましくは約2~約5重量%の量で見出される。任意の超崩壊剤のほかに、その任意の一部の変わりに、またはその代わりに、本発明による剤形としては、少なくとも1つの発泡性結合または崩壊剤を包含し得る。これらの崩壊剤は、剤形の総重量の約20重量%まで、好ましくは約2~約10重量%を含み得る。
【0094】
用いられ得る特殊崩壊剤としては、例えば架橋ビニルピロリドン(例えばポリクラールAT(登録商標))、架橋カルボキシメチルセルロース、架橋クロスカルメロース(例えばADDISOL(登録商標))、カルボキシメチルアミドン(アミゲル(登録商標));クロスポビドン;ゲランゴム;L-HPC;デンプングリコール酸ナトリウム;およびデンプンDCが挙げられる。これらの崩壊剤は、含まれる場合、典型的には約0.5~約15重量%の量で存在する。
【0095】
所望される場合、剤形は、少量の非毒性物質、例えば湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤等、例えば酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミン、酢酸ナトリウム、トリエタノールアミンオレエート、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルも含有し得る。
【0096】
圧縮剤/封入助剤は、含まれる場合、典型的には2~20重量%の量で存在する。圧縮剤/封入助剤の非限定例としては、例えば微晶質セルロース(例えばアビセル(登録商標));分子量10,000~30,000のPVP;炭酸カルシウム;デキストロース;フルクトース;フルクトースDC;ハチミツDC;ラクトース無水物;ラクトース一水和物;ラクトースおよびアスパルターム;ラクトースおよびセルロース;ラクトースおよび微晶質セルロース;マルトデキストリン;マルトースDC;マンニトール;微晶質セルロースおよびグアーゴム;微晶質セルロースおよびラクトース;モラッセDC;ソルビトール、結晶;デンプンDC;およびスクロースが挙げられる。
【0097】
可塑剤の非限定例としては、以下のものが挙げられる:セバシン酸ジブチルおよび酢酸フタル酸ポリビニル。
【0098】
スリップ/静電気帯電防止剤は、含まれる場合、典型的には0.1~2重量%の量で存在する。スリップ/静電気帯電防止剤の非限定例としては、例えばコロイドシリカ(例えばアエロシル(登録商標)100/200)が挙げられる。
【0099】
本明細書中に開示されるランタン化合物の薬学的処方物の使用を包含する被験体の処置の方法のほかに、さらなる実施形態では、本発明によるLCHおよび/またはLDOCが、食物または栄養補助食品の一部として被験体に治療用に提供され得る、ということも本明細書中で意図される。これは、ヒトまたは動物により消費されるべき食物、糖菓または飲料であり得るし、多数の繊維源製品の場合と同様に、摂取を手助けするために、栄養バー中または飲み物中に処方され得る。このような場合、食物はこれにより賦形剤とみなされ得る。
【0100】
例えば、LCHおよび/またはLDOCは、限定比率で乾燥ネコ用餌(または任意の他の家畜化哺乳動物の餌)中に処方され得る。LCHおよび/またはLDOCを含む動物餌製品は、米国特許出願公開番号2009/0317352号(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されたように製造され得る。
【0101】
典型的イヌ用餌は、タンパク質源、例えばニワトリ、牛肉、ラム、チキンミールまたはラムミールを含有する。保存剤、例えばトコフェロール、BHTおよびBHAも慣例の成分である。他の成分としては、トウモロコシ、コメおよびボーンミールが挙げられ得る。典型的ネコ用餌は、例えばフィッシュミール、魚、卵製品、牛肉、ニワトリ、コメ、トウモロコシグルテンミール、家禽副産物ミール、小麦粉、牛肉獣脂およびトウモロコシを包含し得る。ウマ用餌は、しばしば、メープルシロップ、ハチミツ、リンゴ、亜麻仁、亜麻仁ミール、米糠およびコメ胚芽、エンバク、オオムギ、トウモロコシおよびコムギフスマといったような成分を含有する。
【0102】
したがって、本発明の組成物は、典型的にはリン酸塩結合剤を家畜動物食物と組合せて包含し得る組成物を包含する。組合せは、任意の形態を取り得る。例えばそれは、リン酸塩結合剤および家畜動物食物を含有する粒子、穀粒、ペレット等の形態であり得る。代替的には、それは、構成成分を単に物理的に混合した、例えばリン酸塩結合剤を家畜動物食物と混合する形態であり得る。別の形態は、家畜動物食物上にリン酸塩結合剤を含む組成物を振り掛けることを伴う。次いで、それを混合した後、それを動物に供する。
【0103】
上記を考慮して、ランタンオキシカルボネートまたは炭酸ランタン水酸化物、ならびに家畜動物食物(例えば、以下の成分のうちの少なくとも1つを含む:ニワトリ、牛肉、ラム、チキンミールまたはラムミール、トコフェロール、BHTおよびBHA、トウモロコシ、コメ、ボーンミール、フィッシュミール、魚、卵製品、牛肉、ビーフミール、トウモロコシグルテンミール、家禽副産物ミール、小麦粉、牛肉獣脂、メープルシロップ、ハチミツ、リンゴ、亜麻仁、亜麻仁ミール、米糠およびコメ胚芽、エンバク、オオムギおよびコムギフスマ)を含む粒子、穀粒またはペレットを包含する本発明の例示的組成物の間で包含されるように、以下が意図される。
【0104】
一実施形態では、ランタンオキシカルボネートまたは炭酸ランタン水酸化物がリン酸塩結合剤として投与される場合、単一回投与中に家畜動物に投与される量は、典型的には、約1.0~約100mg/体重1kgの範囲である。しばしば、その量は、約30.0~約80mg/体重1kgの範囲である。ある場合には、投与ランタンオキシカルボネートの量は、約40.0~約75.0mg/体重1kgの範囲である。適切な範囲は、被験体、ならびに処置されるべき症状の性質によって変わり得るし、当業者により容易に認識される。
【0105】
したがって、上記にかんがみて、本発明の方法は、摂取可能形態で本発明の組成物を家畜動物に提供する段階を少なくとも包含する方法も包含する。本発明は、少なくとも以下の段階を包含する方法にも関する:1)ランタン結合化合物を家畜動物食物と混合すること;そして2)摂食可能形態で家畜動物に混合物を提供すること。
【0106】
ヒトまたは動物使用のためのLCHおよびLDOC含有剤形は、APIおよび本明細書中に記載される種々の賦形剤を用いる慣用的技法により製造され得る。例えばランタン含有経口剤形の例は、米国特許第5,968,976号(Murrer等)(1999年10月19日発行)、具体的には、そのカラム5の8行目~カラム6の6行目(この記載内容は参照により本明細書中で援用される);米国特許第7,381,428号(Ferdinando等)(表題:Stabilized Lanthanum Carbonate Compositions、2008年6月3日発行)、具体的にはカラム11の54行目~カラム13の59行目の実施例(この記載内容は参照により本明細書中で援用される);米国特許第7,465,465号(Haslam等)(表題:Pharmaceutical Formulation Comprising Lanthanum Compounds、2008年12月16日発行)、具体的にはカラム1の35行目~カラム3の35行目;およびカラム5の5行目からカラム7の2行目;およびカラム8の53行目~カラム9の44行目(この記載内容も参照により本明細書中で援用される)に見出され得る。前記はすべて、種々の剤形ならびにその製造方法を記載しており、ランタン化合物に特定的であるが、しかし本発明によるランタン化合物ではない。それにもかかわらず、それらは適切なビヒクルを成す。
【0107】
相対的に高いpHでのリン酸塩結合動力学に関して、他の方法により製造されるLDOCを上回ることさえある、本発明のLDOCは優れた性能を提供するという発見のため、一旦、剤形(またはそれが嚥下され、胃中で処理された後に残留するもの)が胃を通過して、腸管に入ったら、本発明によるLDOCの放出を保証することが望ましい。腸管の中では、pHは、一般的に増大し始め、健常患者では約4~約8の範囲であり得る。腸管中でそれが起きるよう、本発明による少なくとも多少のLDOCの放出を制御することにより、食物が腸中で消化されている間に放出されるリン酸塩が効率的に結合される機会がより大きくなる。したがって、本発明は、本明細書中に開示されるランタン組成物の制御放出剤形を包含する、ということが意図される。
【0108】
制御放出剤形、例えば遅延型、延長型または持続型放出剤形(これらに限定されない)が当業者に周知であり、例えば錠剤コーティング組成物、可塑剤、半透膜、pH非依存性および/または依存性コーティング層、皮膜形成ポリマー等を用いる慣用的方法により製造され得る。典型的には、放出修正は、腸溶性コーティングの使用により首尾よく達成され得る。腸溶性コーティングとして用いるために適切多数の異なる種類の化合物が当該技術分野で既知であり、例としては、例えばオイドラジットポリマー(Evonik Rohm GmbH, Darmstadt,Germany)が挙げられる(一般的には、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, 1990;米国特許第7,883,722号;米国特許第7,790,755号;米国特許第7,879,362号(これらの記載内容は参照により本明細書中で援用される)参照)。一実施形態では、本発明の化合物の少なくとも一部分の放出は、pHが4.5以上である消化管中の位置にそれが到達するまで、遅延される。
【0109】
本発明のランタンベースの化合物は、他のリン酸塩結合剤に比して低減されたピル負荷を提供するよう処方され得る。処方物は、典型的には、咀嚼せずに、または咀嚼されることにより嚥下され得るという点で特性化される。本発明の処方物は、以下のものを含む:本明細書中で上記されたような希釈剤;結合剤;被覆剤;圧縮/封入助剤;崩壊剤;滑剤;可塑剤;および甘味剤。
【0110】
処方物が錠剤の形態である場合、それは、典型的には約0.3~約1.2cm3、好ましくは約0.35~約0.50cm3の容積を有する。血中リン酸塩の異常上昇レベルに関連した症状、例えば慢性腎疾患(CKD)およびその種々の段階;さらに特定的には、慢性腎不全(CRI)、あるいは末期腎臓病(ESRD)または全身性腎不全に苦しんでいる患者に関して、毎日摂取する必要があるのは3個以下の錠剤だけでよいよう、各錠剤は、典型的には十分量のリン酸塩結合剤を含む。
【0111】
本明細書中で意図されるように、本発明の方法による使用のための錠剤は、典型的には、摂取後に胃中での迅速崩壊を提供し得る。例えば、胃中での所望の崩壊時間は、30秒未満であり得る。ある場合には、崩壊時間は、20秒以下であり得る。しかしながら、象徴への送達のために胃を経る本発明の剤形の通過も胃とさえる。当業者に理解されるように、この方法での送達は、慣用的方法による、そして本明細書中に記載されるような制御放出剤形を処方することにより達成され得る。
【0112】
理想的には、本発明の剤形(例えば錠剤)は、他のリン酸塩結合処方物より実質的に長い保存寿命を示す。例えば2年の期間の後でさえ、錠剤は典型的には5%より大きく、好ましくは2.5%より大きく、さらに好ましくは1%より大きく容積を増大すべきでない。
【0113】
本明細書中に記載されるように、ランタン化合物に関する既知の指示のうちの1つは、異常上昇レベルの血中リン酸塩を有する被験体を処置することである。本明細書中で用いる場合、「異常上昇レベルの血中リン酸塩」は、約4.5mgを上回るリン酸塩/dLを指す;正常レベルは約2.4~4.5mgのリン酸塩/dLの範囲である。したがって、ランタン化合物に関する既知の指示のうちの1つは、高リン酸血症であって、これは、本明細書中で用いる場合、約4.5mg/dLを上回る血中リン酸塩レベルを有する患者の症状を指す。
【0114】
高リン酸血症に罹り易いかまたは罹患している、慢性腎疾患(CKD)に罹患しているかまたはその危険がある、慢性腎疾患に関連した柔組織石灰化に罹り易いかまたは罹患している、続発性上皮小体機能亢進症に罹り易いかまたは罹患している、あるいはリン酸塩吸収の制御を必要とするか、そうでない場合は血中リン酸塩の異常上昇レベルに関連するかまたは起因するその他の未だ未発見の症状に罹り易いかまたは罹患している被験体は、治療的有効量の本発明によるLCHまたはLDOCの投与により処置され得る。
【0115】
このような被験体における高リン酸血症は、いくつかの続発性作用を有する。被験体が高リン酸血症に罹患している場合、過剰量の血清リン酸塩が血清カルシウムを沈澱させて、広範囲に及ぶ異所性骨外性石灰化を引き起こす。望ましくないカルシウム沈着が心臓血管性組織に起きて、しばしば死をもたらす心臓血管性合併症の危険増大を生じ得る。さらに、血清リン酸塩増大は、腸カルシウム吸収を低減する。これら2つの機序は、同時発生的に働いて、血清カルシウムレベルを減少させる。
【0116】
血清カルシウムレベルの低減は、上皮小体ホルモン(PTH)の産生の増大、ならびに続発性上皮小体機能亢進症の発症の一因となり得る。さらに、高リン酸塩レベルはPTH産生を直接的に刺激して、続発性上皮小体機能亢進症をもたらし得る、ということを、近年の研究は示している。PTH分泌の継続的刺激は、上皮小体の過形成を誘導して、上皮小体切除が必要になりことがある。
【0117】
安定化LCHおよび/またはLDOC処方物の投与を伴う本発明の方法は、血漿リン酸塩レベルを低減するだけでなく、この症状、例えば高リン酸血症、異所性骨外性石灰化、血清石灰減少症および続発性上皮小体機能亢進症に罹り易いかまたは有している被験体におけるCKDの作用も改善する、と考えられる。しかしながら、本発明は、如何なる特定の生化学的または生理学的機序にも限定されない、と理解されるべきである。
【0118】
高リン酸血症に罹り易いかまたは罹患している被験体は、治療的有効量の本発明の安定化炭酸ランタン処方物を投与することにより処置され得る。
【0119】
上記のように、本発明の方法により処置される被験体は、CKDの危険があるかまたはCKDの段階1~5のいずれかを有し、このような段階の臨床的特徴は、当業者によく知られている。その目的のために、慢性腎不全、末期腎臓病および全身性腎不全のような同様の病理学的症状も当該技術分野で既知であり、そしてこのような症状の処置が本明細書中で意図される。
【0120】
CKDの危険があるか、または処置され得るCKDの段階1~5のいずれかを有する被験体は、以下の症候のうちの1つ以上を有し得る:約4.5mg/dLを上回る血中リン酸塩レベル、約1.6mg/dLを上回る血漿クレアチニン濃度、約20mg/dLを上回るBUN、任意の検出可能量の尿中血液、約100mg/dLを上回る尿タンパク質濃度、約100mg/dLを上回る尿アルブミン濃度、約150pg/mLを上回る血中無傷上皮小体ホルモン濃度、異常GFRまたはその組合せ。
【0121】
さらに、本発明の方法およびランタン化合物は、例えば段階1のCKDの1つ以上の症候を示す被験体を処置して被験体におけるCKDの発症を防止することにより、あるいは段階1のCKDを有する被験体を処置して段階2のCKDへの疾患の進行を防止すること等により、腎臓病変の進行を防止するために利用され得る。
【0122】
CKDの単数または複数の症候を有する被験体は、治療的有効量の本発明のLCHおよび/またはLDOC処方物を被験体に投与することにより、CKDに関連した柔組織の石灰化に関しても処置され得る。石灰化は、任意の柔組織において起こり得る。柔組織としては、動脈組織、心筋、心臓弁、関節、皮膚および乳房組織が挙げられ得る。
【0123】
続発性上皮小体機能亢進症に罹患しているかまたはその1つ以上の症候を有する被験体は、治療的有効量の本出願のLCHおよび/またはLDOCを被験体に投与することにより処理され得る。
【0124】
上皮小体機能亢進症は、約150pg/mL異常の無傷PTHレベルを有する被験体における疾患と定義される。上皮小体機能亢進症の症候としては、低カルシウム血症(すなわち約8.5mg/dLより低い血中カルシウムレベル)、高リン酸血症(すなわち、約4.5mg/dLを上回る血中リン酸塩レベル)、および骨疾患(例えば骨折または骨疼痛)が挙げられる。
【0125】
本明細書中で用いる場合、本発明の炭酸ランタン化合物の有効量とは、医療専門家により決定されるような臨床的有意程度に被験体のリン酸塩レベルを低減し得る量を指す。本明細書中で理解されるように、本発明の薬学的組成物を投与された特定被験体に関する所望標的血中リン酸塩レベルは、高リン酸血症ならびに低リン酸塩血症(例えば約2.4mg/dL以下の血中レベル)またはその他の望ましくない副作用が回避されるよう、医療業界の当業者により決定され、経時的にモニタリングされ得る。
【0126】
本発明のLCHおよび/またはLDOC処方物は、元素ランタンの重量を基礎にして算定されるAPIが約125から約20,000mgまで変化する剤形中で、本発明に従って被験体に経口投与され得る。これらは、被験体の必要性、剤形の種類によって、全食事とともに(または食事の直前または直後に)、例えば1日4回まで、投与され得る。遅延または他の制御放出戦略が用いられる場合、単一回用量投与は、1日1回または12時間置いて2回、必要とされる。成人に関する典型的有効投与量は、例えば約200~約12,000mg/日、または毎日約500mg~約8000mgであり得る。投与量は、約300~4000mg/日でもあり得る。
【0127】
したがって、用量は、分割され、各食事とともに、例えば薬学的組成物の形態で投与され得るが、この場合、炭酸ランタン化合物のうちの1つ以上の有効量は、約100、125、150、250、500、750または1000mgからなる群から選択され、例えば1日3回投与される。血清血漿レベルは毎週モニタリングされ、投与量は、例えば被験体の臨床医により決定されるように、最適血清リン酸レベルが達成されるまで修正され得る。投与は、非断続レジメンで実行され得る;このようなレジメンは、慢性症状を処置するための長期レジメン、例えば恒久的レジメンであり得る。
【0128】
本発明の薬学的処方物が、例えば慢性腎臓症状を処置するために、時間を延長して投与される必要があり得るという可能性にかんがみて、患者の遵守を促すかおよび/または増強するよう計画された本発明のランタン化合物を包含するキットが、本明細書中で意図される。例えば、このようなキットは、本明細書中に開示されるランタン化合物を含む、1つ以上の好都合に予備包装されたおよび/または予備分配された薬学的剤形を包含し得るが、それらの剤形は、1日の特定時間に、例えば食事時に投与するために、適量でキット中に好都合に取っておかれるかまたはその中で別の方法で確認され、そうして患者に好都合なレベル増大を提供し、したがって患者の遵守を増強する。処方情報または他の使用説明書も、その中に提供され得る。
【0129】
本明細書中で意図されるように、本明細書中に開示されるランタン化合物のBET表面積は、米国特許第7,588,782号で提示されたように決定され得る。
【0130】
レーザー粒子サイズデータは、例えばLS230レーザー粒子サイズ分析器(Coulter製)を用いて得られる。
【0131】
LS230ソフトウェアを用いて一連の作業を平均すると、ソフトウェアは所望の容積D結果(すなわち、D1、D10、D50、D90およびで得99)を推計する。
・ 固体の屈折率(RI)は、1μmより小さい粒子に関する精確なレーザーPSD分析を実施するために必要とされる。試験物質のRIは、この方法が開発された時点で、文献に列挙されていなかった。試験は、RIを1.9から2.3に調整しても、PSDに目に見える影響を及ぼさなかった、ということを示している。したがって、2.1というRIが選択された。
【0132】
本明細書中に記載されるように(特にRZB-012に関して)、
図10に示したようなリン酸塩結合動力学および結合能力は、以下のように測定され得る:
装置:
・ 4箇所分析天秤
・ pH計 w/温度補償および適切なプローブ
・ 撹拌器 w/圧縮機翼車
・ ホットプレート w/温度制御
・ 温度計(37℃を読み取り可能)
・ 磁気撹拌板
・ 磁気撹拌棒(11/2~3インチ長)
・ パイレックス(登録商標)ビーカー(250~1500ml)
・ ガラスメスフラスコ(100~1000ml)
・ メスシリンダー(100~1000ml)
・ デジタルタイマー
・ タコメーター
・ 10ml試料用試験管立て
・ 10mlプラスチック試料用試験管 w/キャップ
・ 自動希釈装置
・ 10mlプラスチック注射器 w/プランジャ
・ 0.2μmシリンジフィルター(直径20~25mm)
・ ピペット(0.1~1ml 自動)
・ ICP-OES
試薬
・ 脱イオン水(少なくとも16MΩ)
・ pH緩衝剤(1、3、7) - メーカーの較正使用説明書に従う。適切な緩衝剤を用いて予測pH範囲を括弧で囲んで示す。以下の手順の任意の部分を実行する前に、これを毎日実行する。
・ 濃塩酸
・ ストック ~0.15M HCl
1. 12.5mlの濃塩酸を987.5mlのD.I.に付加する。密封プラスチック容器中で1年までの間保存する。
・ 水酸化ナトリウム
・ ストック ~0.15M NaOH
1. 水酸化ナトリウム 6gを、1.0Lガラスメスに付加する。
2. 500mlのD.I.を付加して、振盪し、塩を溶解する。
3. 1.0Lの目印までD.I.を充填して、十分に混合する。
4. 密封プラスチック容器中で1年までの間保存する。
・塩化ナトリウム(NaCl)
・無水二塩基性リン酸ナトリウム(Na
2HPO
4)
・ ストックリン酸塩溶液(0.00527mol PO43/L~500mg PO43/L)
1. 3インチ磁気撹拌棒を、4.5Lパイレックス(登録商標)ビーカーの底に入れて、3.8LのD.I.を付加する。
2. 磁気撹拌板上に載せる。
3. 清浄な計量容器中で、2.99gの無水二塩基性リン酸ナトリウムを計量する。
4. 別の清浄な計量容器中で、0.462gの塩化ナトリウムを計量する。
5. Na
2HPO
4およびNaClを定量的に撹拌4.5Lパイレックス(登録商標)ビーカーに移す。
6. 適正に較正されたpH計を用いて、溶液のpHをモニタリングする。
7. ストック0.15M HClまたはストック0.15M NaOHを滴下して、試験に必要なpHに調整する。そのpH値を超えてもOKであるが、しかしより多くのストック0.15M HClまたはストック0.15M NaOHを付加して、再調整する。
8. 5分でpH単位ドリフトが0.01以下であれば、pHは安定である。
9. D.I.を用いて4.0Lに希釈し、十分に混合する。
10. 密封ガラス容器中で1ヶ月までの間保存する。
・ リン酸塩較正標準(10,000mg/L)
・ リンを含有する多元素検査標準または個々のリン酸塩較正標準(10,000mg/L)
・ ランタン化合物
手順:
台上調製:
1. 試験のための無作為選択試料の数を確定し、適切な数のプラスチック試料試験管を標識する。
2. プラスチック試料試験管を試験管立てに入れて、取っておく。
3. メスシリンダーを用いて、1.0Lのストックリン酸塩溶液を計って取り出す。
4. そのリン酸塩溶液を1.5Lパイレックス(登録商標)ビーカーに付加する。ビーカーは、リン酸塩溶液を含有し、30%容積増大を可能にするために十分な大きさであるべきである。
5. 分析要望書に示されているように、周囲温度~20℃または37℃で実行する。37℃が必要とされる場合、1.0Lの試験溶液を含有する1.5Lビーカーを温度制御ホットプレート上に載せる。温度を37℃に設定する。温度が達成されるまで、試験を開始しない。
6. 圧縮機翼車を装備した電気撹拌器を用いて溶液を絶えず撹拌する。撹拌速度は、~180rpmであるべきである(タコメーターで立証)。
7. 10ml注射器を用いて、5mlの溶液を取り出し、それを標識試料試験管中に分配する。これが、T=0試料である。
8. 同時に、スラグを撹拌ビーカーに付加して、デジタルタイマーを始動させる。
9. 以下のプロトコールを用いて、予定時間間隔で任意選択試料を採取し始める:
a. 10ml注射器を、撹拌ビーカーからのスラリーですすぎ、ビーカーに洗浄液を戻す。
b. この同一10ml注射器を用いて、5mlのスラリーを吸い上げる。
c. 0.2μmシリンジフィルターを先端にしっかり載せて、2mlを撹拌ビーカーに分配し戻す。
d. 残りの3mlを標識試料試験管中に分配する。
e. 試験管に蓋をして、次の試料のための準備をする。
10. 一定pHが必要とされる場合には:
a. 0.5ml自動ピペットを用いて、任意選択試料間で、pHを調整する。
b. pHを保持するために、適切な滴定剤、0.15M NaOHまたは0.15M HClを用いて、調整する。
c. 一定pHを保持するために、それが採取されるような多数の0.5mlアリコートを付加する。アリコートの数に留意する。
d. 任意選択試料間の各時間間隔に関して、付加された総容積を記録する。
11. 試料採取を継続し、試験持続期間を通してpHを保持する。
12. 試験が完了したら、すべてのガラス器具を十分に清浄にして、D.I.ですすぐ。
試料調製および標準曲線ならびにQC試料:
13. 試料を、10%HClマトリックス中で1:10に希釈する。
a. D.I.で目印まで希釈し、十分に混合する。密封プラスチック容器中で2ヶ月までの間保存する。
14. リン濃度が標準曲線値により一括して扱われるよう、個々の検査標準を希釈する。
15. 服従を伴うマトリックスブランクを含む。
ICP-OESを用いた試料分析:
16. メーカーの使用説明書通りに機器ウォームアップを準備する。
17. 0、5、10、20mg/Lの標準曲線を作成する:
a. 0mg/L - 10%HClに関するマトリックスブランクである。
b. 5mg/L - 10mlの濃HClおよび50mlのD.I.を含入する100mlガラスメスフラスコ中に、1,000mg/L認証水性標準 0.5mlをアリコート分取する。D.I.で目印まで希釈し、十分に混合する。密封プラスチック容器中で2ヶ月までの間保存する。
c. 10mg/L - 10mlの濃HClおよび50mlのD.I.を含入する100mlガラスメスフラスコ中に、1,000mg/L認証水性標準 1.0mlをアリコート分取する。D.I.で目印まで希釈し、十分に混合する。密封プラスチック容器中で2ヶ月までの間保存する。
d. 20mg/L - 10mlの濃HClおよび50mlのD.I.を含入する100mlガラスメスフラスコ中に、1,000mg/L認証水性標準 2.0mlをアリコート分取する。
18. 214nm波長を用いてリンに関して、試料、qc対照およびブランクを分析する。0、5、10、20mg/Lの標準曲線は、214nm波長でICPに関して線状である。RSDは、0.9995より大きいはずである。
算定:
R(mg/L)=[A-B]×C/D
(式中:R=結果(mg/L)
A=ICP表示値(mg/L)
B=マトリックスブランクに関するICP表示値(mg/L)
C=希釈液(ml)
D=アリコート(ml))
グラフR(mg/L)対時間(分)。このグラフは、同一プロトコールを用いて作成される他のグラフと比較され得る。あるランタン化合物の表面ならびにランタンイオンは、溶液中でリン酸塩を結合する。異なるランタン化合物に関する相対的結合効率についての最良の比較のために、試験に付加されるランタンの量は同一であるべきである。較正曲線は、米国国立標準技術研究所(NIST)認証水性AAS標準を用いて作成されるべきである。品質制御検査は、別個のAAS標準またはNIST認証混合陰イオン標準(リンを含有する)であり得る。存在する付加的陰イオンで214nmリンラインを妨害するものはない、ということを立証するために、混合陰イオン標準に関するICPスペクトルが検査されるべきである。
環境:酸性溶液はすべて、環境的に責任を取る方法で処理されるべきである。中和し、金属濃度が都市排出物限度を下回っていることを立証する。
注:炭酸ランタンは酸に可溶性である。酸を用いて、ガラス器具からの残渣を清浄にする。
参照:この試験は、Anormedによる米国特許(米国特許第5,968,976号("Pharmaceutical composition containing selected lanthanum carbonate hydrates"))(この分析方法の教示は参照により本明細書中で援用される)で言及された試験の変形である。
【0133】
本発明による嵩密度は、標準方法により決定され得る。
仮定例:
メスシリンダー風袋重量は、225gであると確定された。75gの試料は、メスシリンダー中に篩分けられた。総重量は、299.4gと測定された。この試料の容積は、141mLであると測定された。したがって、粉末の嵩密度は:
嵩密度(g/cc)=(299.4-225)/141=74.4/141=0.5277g/cc
この値を小数点以下2桁で四捨五入して、0.53g/ccの最終報告値を得る。
9.2 RSD=(R1-R2)×100/R1
(式中:RSD=相対標準偏差(%)
R1&R2=個々の反復の結果(g/cc))。
9.3 SR=R×100/V
(式中:SR=標準回収率(%)
R=参照標準に関する結果(g/cc)
V=標準に関する史的平均(g/cc))。
実施例
実施例1
【0134】
本明細書中に一般的に記載したように、LCHおよびLDOCの多数のバッチを生成した。具体的には、塩化ランタンおよび炭酸アンモニウムを連続滴下供給反応で反応させることにより、炭酸ランタン水酸化物(LCH)を生成した。塩化ランタンの量を一定速度で提供し、炭酸アンモニウムの量を可変的に供給した。これらの溶液を、多量の温度制御および混合制御水中に供給した。pHを反応中はほぼ一定に保持し、その結果生じる沈殿物の濃度を、反応器水容積に提供される塩化ランタンの重量比を調整することにより制御した。総反応体容積を4時間の期間に亘って供給し、温度を手動で制御した。作業容積は約15リットルであった。pHは、炭酸アンモニウムの流動を自動的に制御し、反応中、ほぼ一定に保持した。一旦沈殿物が形成されると、それを洗浄し、濾過して、反応塩を取り出したが、この場合、これは塩化アンモニウムのはずである。これを、実験室ブフナー(真空)濾過装置を用いて成し遂げた。LCHを濾過し、水中に再懸濁して、所望の懸濁液伝導度(塩含量を示す)を達成するまで再濾過した。次に、LCHを最終回濾過して、乾燥のために固体負荷を増大した。LCHフィルターケーク(典型的には重量単位で40~60%固体)をパイレックス(登録商標)トレーに載せて、自然対流式乾燥炉中で、110℃で最低16時間、加熱した。その後、当該物質を乾燥粉砕して、0.6ミリメートルメッシュスクリーンを通して円錐型粉砕機(Fritz Mill)で粉々にした。粗い粉末を、レナゾルブ(Renazorb)013(RZB-013)と名づけた。
【0135】
レナゾルブ-013をアルミナ(Al2O3、99.8%、高密度)頂部開口型トレーに入れて、アルミナで裏打ちしたマッフル炉中で、3時間で550℃に上げて、その温度で2.5時間浸漬、および室温に最低8時間冷却し戻して処理することにより、熱処理が生じた。炉放出物はLDOCであり、レナゾルブ-014(RZB-014)として以下で示される。
【0136】
2つのブロックの実験を実行して、異なる反応条件を試験した。第一ブロックの実験は、レナゾルブ-011を生成するために好都合であることが判明した同様のpH、温度および濃度条件を用いた。具体的には、これらの条件は、6.0のpH、85℃の温度、および43.5g/Lの最終沈殿物濃度を目標に設定した。これらの条件を一定に保持し、いくつかのバッチを作って、結果的に生じるRZB-013およびRZB-014化合物の反復可能性を確定した。第二ブロックの実験は、表4に示した計画に従ってRZB-013およびRZB-014化合物に及ぼす種々の反応pH、温度および沈殿物濃度の作用を検査した。
【表4】
【表5】
【0137】
各実行に関して、レナゾルブ-013(LCH)およびレナゾルブ-014(LDOC)をともに、特性化した。レナゾルブ013は、その特徴(特に物理学的特徴、例えばBET表面積、粒子サイズ分布、XRDによる結晶相、嵩密度)がレナゾルブ-014の同一の重要な特徴に強く影響を及ぼすため、特性化することが重要である。レナゾルブ-013およびレナゾルブ-014の典型的特性化組としては、BET表面積(BET-SA)、粒子サイズ分布(PSD)、XRDによる結晶相、嵩密度、塩化物含量、ランタン含量、炭素含量が挙げられる。このレナゾルブ-014の上面で、リン酸塩結合性能に関して試験した(4.5pH、@30分)。La、C、Clのような検定は、典型的にはかなり一貫しているが、監視下にはない。第一ブロックの実験の結果を、LCHおよびLDOCのある物理学的特性に関して、以下の表5に示す。
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【0138】
生成されたバッチの大多数は、高SAレナゾルブ-013および対応して高SAレナゾルブ-014を生じた。この群からのバッチのうちの3つは、より低いSAを生じた。2つのバッチに注目:042208Aおよび042208Bは、炭酸アンモニウムの代わりに重炭酸アンモニウム塩基を用いて合成されたが、低SA物質のうちの1つに寄与する。低SA物質のうちの2つは、相対的に低い平均反応pHを有するが、しかし1つは高SA物質の分布内で良好なpHを有する。この観察のため、pHは結果的に生じるSAに影響を及ぼし、したがって、本発明の作業で実行したように、pH制御改善が履行されるべきである、ということが最初に考えられた。第二ブロックの実験の結果を、以下の表6に示す。
【表11】
【表12】
【表13】
【0139】
すべてのロットに関して、同一設備を用いた。上記のように、いくつかのパラメーターを慎重に調整した(反応温度、pH、濃度)が、しかし残りの工程および設備は、当該工程に含入される計器計測/制御のレベルとできるだけ一致するよう保持した。
【0140】
表7は、これらの試験で観察された変動性を実証する。したがって、ある結論が明白に引き出され得るが、しかしこれらのデータにおける矛盾は、依然として、付加的変数がLCHおよびLDOCの望ましい特性を制御するのに一役を果たし得る、ということを示している。
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
実施例2
【0141】
以下の表8に提示するように、本発明のLDOC(「RZB-014」)を用いて、嚥下可能錠剤の形態の経口剤形を生成した。
【表18】
【0142】
8つのロットの剤形を調製した。ポビドンを、各実行で同量の精製水中に溶解した。要するに、活性物質(RZB-014)をGlatt流動床造粒機(「Midi-Glatt」)に付加し、溶液を約7g/分の速度で噴霧した。顆粒状態を約1時間(LODが2%を下回るまで)乾燥した。#16メッシュスクリーンを有するComilに通して、顆粒を粉砕した。次に、顆粒を、プロソルブおよびAc-Di-ゾルと一緒にPKブレンダーに付加して、5分間混ぜ合わせた。ステアリン酸マグネシウムをブレンダーに付加して、さらに2分間混ぜ合わせた。利用可能な8つの位置のうちの2つの位置だけを用いて、ミニ錠剤プレス機で顆粒を圧縮した。直径11.11mmの丸形/標準凹面道具細工を用いて、8つのロットの錠剤を圧縮した。乾燥時損失(LOD)、サイズ分布、密度、圧縮可能性、厚み、砕け易さ、硬度、平均重量、崩壊時間およびin vitroリン酸塩結合に関して、各試験組成物からの顆粒および錠剤を評価した。以下は、得られた結果の表である:
【表19】
【表20】
実施例3
【0143】
RZB-014を含む咀嚼錠、スプリンクル 粉末/顆粒および懸濁液の形態の付加的処方物を調製した。
【0144】
具体的には、500mgのRZB-014(以下の本明細書中で「SPI-014」と呼ばれる)を含有する3つの咀嚼錠処方物(FS-22、FS-30およびFS-31);500mgのSPI-014を含有する2つのスプリンクル(カプセル)処方物(SP-11およびSP-12)を処方し、そして100mg/mLまたは500mg/5mLのSPI-014を含有する2つの経口懸濁液処方物(S-2およびS-7)を処方した。処方物中に用いられる物質を以下に列挙する。
【表21】
I. 咀嚼錠:
【0145】
希釈剤およびSPI-014
APIの種々の組合せを用いる咀嚼錠を、直接圧縮およびローラー圧縮を用いて処方した。目標は、5~30分の崩壊時間を示す組成物を同定することであった。
【0146】
直接圧縮工程:種々の量のSPI-014 API、希釈剤、結合剤、崩壊剤および滑剤を手動で混ぜ合わせた。良好または中等度の流動特性を示した配合物を、直径14mmの丸型傾斜縁取りパンチを用いて圧縮した。平均重量、厚み、硬度、砕け易さおよび精製水(37℃)中での崩壊時間に関して、錠剤を評価した。以下に示す表11は、処方物組成および観察を含む。
【0147】
ローラー圧縮:ローラー圧2トン、ローラー速度2rpmおよび供給スクリュー速度15rpm下で、TFC-LABマイクロローラー圧縮機を用いて、種々の量のSPI-014 APIおよび賦形剤をローラー圧縮した。シートを造粒し、USスクリーン#16に通した。
【0148】
顆粒を、希釈剤、結合剤および滑剤と外部/内部混合して、流動特性に関して試験した。直径14mmまたは16mmの丸型傾斜縁取りパンチを用いて、顆粒を圧縮した。平均重量、厚み、硬度、砕け易さおよび精製水(37℃)中での崩壊時間に関して、錠剤を評価した。以下に示す表12は、処方物組成および観察を含む。風味剤および甘味剤を用いて、選択組成物を調製した。表13Aおよび13Bは、処方物組成を列挙する。
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
結果:
【0149】
3つの原型組成物(FS-22、FS-30およびFS-31)は、良好な流動特質および予測崩壊時間(5~30分)を示した。他の組成物は、迅速(<5分)または遅延(>45分)崩壊を示した。これらの組成物のSPI-014(ランタン)含量を以下に示す:
咀嚼錠組成物FS-22:474.4mg/錠。
咀嚼錠組成物FS-30:501.4mg/錠。
咀嚼錠組成物FS-31:487.0mg/錠。
II. スプリンクル経口粉末または顆粒:
【0150】
スプリンクルはカプセルまたはサッシェ剤形であって、この場合、全含量(粉末/顆粒)は、摂取前に食物上に振りかけられる。スプリンクル投与は、固形剤形を嚥下するのが困難である患者に利益を提供する。このような剤形は、当業者によく知られている。
【0151】
乾燥造粒/ローラー圧縮工程:ローラー圧2トン、ローラー速度2rpmおよび供給スクリュー速度15rpm下で、TFC-LABマイクロローラー圧縮機を用いて、種々の量のSPI-014および選択乾燥結合剤をローラー圧縮した。シートをUSスクリーン#16に通し、粒子サイズの均一性に関して評価した。以下の表13は、処方物組成を示す。
【0152】
噴霧造粒工程:SPI-014をMidiGlatt流動床加工処理機に載せて、通常操作条件に従って、選択造粒液を噴霧した。表13は、処方物組成を示す。
【0153】
湿式造粒工程:表13に開示した処方物組成に示したように、種々の量のSPI-014を、プラネタリーミキサー中で、結合溶液(例えば、10%w/vのオパドリーまたはクルセル-LF)を用いて造粒した。LODが3%w/wより低くなるまで、湿潤塊を60℃でトレー乾燥した。次に、それを#14篩に通して、可視的観察によりサイズ均一性を評価し、ゼラチンカプセル(サイズ「00」)中に充填した。
【表27】
【表28】
【0154】
結果:2つの原型組成物(SP-10およびSP-11)は均一顆粒を生じ、良好な流動特質を示した。これらの組成物のSPI-014(ランタン)含量は、以下の通りであった:
スプリンクル(カプセル)組成物SP-10:537.5mg/カプセル;
スプリンクル(カプセル)組成物SP-11:510.2mg/カプセル。
III. 懸濁液:
【0155】
懸濁液は、沈澱防止剤の助けによって液体中に分散された不溶性固体を含有する均質混合物であり、当業者によく知られている。懸濁液は熱力学的に不安定な系であり、経時的に相分離/沈降を受けるが、理想的懸濁液は、混合すると均一に分散される。
【0156】
SPI-014 API、ならびに選択沈澱防止剤、甘味剤、風味剤および防腐剤を含む懸濁液を、表14に示すように処方した。オーバーヘッド撹拌器を用いて、沈澱防止剤を約50%の水中に溶解した。SPI-014を約30%の水中に付加して、均質化した。薬剤懸濁液を沈澱防止剤の溶液中に付加し、30分間混合した。残りの構成物質を付加し、容積を水で100%にした。
【0157】
均一懸濁液を形成する組成物を、顕微鏡検査、密度および密度に関して7日間評価した。
【表29】
【0158】
結果:組成物S2、S4およびS7は均一懸濁液を形成し、したがって物理学的安定性に関して7日間評価した。これら2つの処方物の密度は、それぞれ1.09および1.07g/mLであった。これらの組成物のSPI-014(ランタン)含量は、以下の通りであった:
懸濁液組成物 S2:91.9mg/mL;
懸濁液組成物 S7:98.2mg/mL。
実施例4
【0159】
イオンクロマトグラフィー系を用いたpH4.5緩衝液中の炭酸ランタン薬剤物質(DS)および薬剤製品(DP)のリン酸塩結合能力の確定のための分析試験方法を、以下で詳細に示す。
【0160】
具体的には、本明細書中で提供される試験の範囲は、USP溶解装置を用いて、イオンクロマトグラフィー系により確定される、pH=4.5での、既知量の溶解リン酸塩を含有する酢酸塩緩衝溶液中の炭酸ランタン薬剤物質(DS)および薬剤製品(DP)のリン酸塩結合動力学/能力を確定することである。
【0161】
要するに、伝導度検出器を装備したIC(イオンクロマトグラフィー)系を用いて、リン酸塩含量を確定し、そして外部較正曲線に対する未知の試料の応答を比較することにより、定量を達成する。試料を濾過し、系を通して直接的に注入される。
必要物質:
【0162】
試薬:
リンIC標準、NIST追跡可能、1000ppm;
超純粋脱イオン(DI)水、18.2MΩ;
pH緩衝剤4、7および10(pH計を標準化するため);
氷酢酸、ACS等級;
水酸化ナトリウム、ACS等級;
リン酸、ACS等級。
IC系
【0163】
ジオネックスICS-3000系
伝導度検出器;
自動試料採取器:10μLを注入可能;
ポンプ:1.2mL/分の流動可能;
データ系:クロメレオン7;
分析カラム:ジオネックス・イオン(登録商標)パックAS11、4mm×250mm、P/N:044076;
予備カラム:ジオネックス・イオン(登録商標)パックAG11、4mm×50mm、P/N:044078;
溶離液生成器:EGカートリッジ
KOH;
イオンクロマトグラフィー自動試料採取器バイアルおよび蓋。
直線性標準溶液の調製:
【0164】
以下の表15に示すように、NIST追跡可能リン標準1000mg/Lを用いて以下の溶液を調製する:
【表30】
【0165】
リン酸塩反応溶液(0.5M酢酸塩緩衝液、pH4.5):以下の表16に列挙した順に以下の量の構成成分を付加する:
【表31】
試験試料
【0166】
試験に必要な薬剤物質(DS)の重量:分析証明書(CofA)に示されたDSのLa含量%に基づいて1.0gのランタンと等価のAPI(ランタンジオキシカルボネート無水物、La2O2CO3)の重量を算定する。
【0167】
試験に必要な薬剤製品(DP)の重量:個々の薬剤製品(錠剤またはカプセル)を計量し、ノートにその重量を記録する。CofAに基づいて薬剤製品中の元素ランタンの量(g)を算定する。
【0168】
溶解条件を以下に示す:
装置:USP装置II(Paddle);
温度:37℃±0.5℃;
撹拌速度:180RPM;
媒質:1000mLのリン酸塩反応溶液;(0.5M酢酸塩緩衝液、pH4.5);
媒質試料採取:薬剤物質に関して、0、30、60および90分に5mL;薬剤製品に関して、0、30、60および90分に5mL;
【0169】
試料溶液:注射前に、0.45μmアクロディスクPVDF膜フィルターに通して試料を濾過する。
IC分析
【0170】
クロマトグラフィー条件
クロマトグラフィー条件のための方法を、以下の表17に示す:
【表32】
算定
【0171】
リン含量を確定するための計算を以下に示す:
【0172】
ステップ1:リン含量(mg/L)R=[A-B]×C÷D;
(式中、A=IC表示値(mg/L);B=時間ゼロ(ブランク)に関するIC表示値(mg/L);C=希釈液(mL);およびD=アリコート(mL))。
【0173】
ステップ2:T=30分での反応完了%(RxN)={(R0-R30)÷(1000×30.974)}×100÷M;(式中、R0=“T=0”試料結果(mg/L);R30=“T=30”試料結果(mg/L);1000=反応容積(mL);30.974=リンのモル重量;M=反応に最初に存在するLaのモル;採取La量(g)/Laに関するモル重量 138.91。
【0174】
例(理論的数値で):
{(248.0-29.3)÷(1000×30.974)}×100÷0.0072=98%
【0175】
ステップ3:T=60、90および120分での反応完了%(RxN)。T=30表示値をT=60、T=90およびT=120に置き換えて、T=30と同じ方程式を用いる。
【0176】
ステップ4:T=30分でランタン1g当たりで結合されるリン酸塩={(R0-R30)×V×(94.974÷30.974)}÷L;(式中、R0=“T=0”試料結果(mg/L);R30=“T=30”試料結果(mg/L);V=反応溶液の容積(L);94.974=リン酸塩(P04)のモル重量;30.974=リンのモル重量;およびL=反応中に最初に存在するLaのグラム数)。
【0177】
ステップ5:T=60、90および120分でランタン1g当たりで結合されるリン酸塩。T=30表示値をT=60、T=90およびT=120に置き換えて、T=30と同じ方程式を用いる。
実施例5
【0178】
本発明のランタン処方物に関するリン酸塩結合データを、実施例4に記載したイオンクロマトグラフィー法に従って確定した。このような実験の結果を、表18および19としてここに示す。
【表33】
【表34】
実施例6
吸着物質として窒素を用いてMicromeritics TriStar3000静圧表面積分析器で、RZB-014として本明細書中で言及されるLDOC化合物の多孔度を分析し、上記の’782特許のLDHおよびLDOC化合物の多孔度と比較した。Barrett、JoynerおよびHalenda(BJH)法を用いて、細孔サイズを算定した。この方法は、細孔充填についてのKelvinモデルを用い、メソ細孔(内法幅約2~50nm)および小型マクロ細孔サイズ幅(内法幅50nm~約300nm)にのみ適用する。
結果:
【0179】
【0180】
結果は、以下の通りである:
a)2つのロットのRZB-14の表面積は、米国特許第7,588,782号に開示された方法により調製されるLCHおよびLDOC(それぞれ、RZB-11&12)の表面積より大きい;
b)本発明の方法により生成されるLDOC化合物(両方のロットのRZB-14)は、RZB-12よりはるかに高い細孔容積、ならびにRZB-11よりわずかに大きい細孔容積を有する;
c)この実験で試験したLCHおよびLDOC化合物(RZB-11、RZB-12および両ロットのRZB-14)の間で細孔直径の値に大きな差は認められない。それゆえ、細孔の数は、RZB-12およびRZB-11と比較して、RZB-14においてはるかに大きいはずである。
【0181】
リン酸塩結合動力学に関して、これらのデータは、高pHでのリン酸塩結合は細孔中へのリン酸塩の拡散により限定されるとほぼ考えられるので、RZB-14のより高い容積はpH6.5でのRZB-14のより高いリン酸塩結合を説明し得る、ということを示唆する。
実施例7
【0182】
RZB-011、RZB-012およびRZB-014として本明細書中で言及されるLCHおよびLDOC化合物の形態を、慣用的方法により走査電子顕微鏡(SEM)を用いて分析した(
図11~20参照)。
【0183】
本明細書中に示される結果は、RZB-012およびRZB-014の形態が有意に異なり、特に、本発明のRZB-014の球状形態を区別する、ということを示す従来のデータを確証する。
実施例8
【0184】
以下の手順を用いて、ランタンジオキシカルボネートに関する緩衝化pH=4.5での溶液中のリン酸塩結合動力学/能力を確定し得る。要するに、既知のpHに調節され、既知量のリン酸塩を含有する加熱酢酸塩緩衝酸性溶液を、溶解ユニット中での試験の間中、絶えず撹拌する。この撹拌溶液に、時間=0で、既知量のランタン化合物を付加する。拡販スラリーの予備特定間隔(T=30、60分)試料を採取し、直ちに濾過する。全試料を適正マトリックス中に希釈し、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-OES)を用いてリンに関して分析する。
【0185】
装置/設備
・ 較正済みUSP承認溶解装置
・ 較正済み4箇所分析天秤
・ 較正済みタイマー
・ 較正済み/追跡可能温度計(37℃を読み取り可能)
・ pH計 w/温度補償および適切なプローブ
・ 磁気撹拌板
・ 磁気撹拌棒(1および3インチ長)
・ クラスAガラスメスフラスコ(10、50、100、500、1000、2000mL)
・ クラスAメスシリンダー(100~1000mL)
・ クラスAガラスメスピペット(1~20mL)
・ パイレックス(登録商標)ビーカー(100、250、1500mLおよび≧10L)
・ 10mL&50mL試料用試験管立て
・ 10mL&50mLプラスチック試料用試験管 w/キャップ
・ 20mLプラスチック注射器 w/プランジャ
・ 0.2μmシリンジフィルター(直径20~25mm)
・ 適格ICP-OES
【0186】
試薬
1.1 脱イオン水(USP<1231>)(D.I.)
1.2 認証リン酸塩較正標準(1,000mg/L)
1.3 第二固体標準 - 全崩壊試験を通して採用されるべきもの
1.4 参照標準 - 史的データを用いて試験されるものと同一化学物質
1.5 品質管理(QC)標準 - いずれかまたは個々の1,000または10,000mg/L認証AAS標準またはリンを含有する多元素認証標準
1.6 pH緩衝剤(4、4.62、またはほぼ4.5、7の緩衝液) - メーカーの標準化使用説明書に従う。pH4&7緩衝液を用いて毎日標準化して、pH4.62緩衝液を用いて試験の新規シリーズを開始する前に標準化を検査する。標準化検査が緩衝液値の±0.05pH単位より大きい場合、再標準化する。標準化&検査情報を、pH日誌に報告する。
1.7 塩酸(10%v/v) - 2L容器中で、200mLの濃HClを1500mLのD.aiに付加する。D.I.で目印まで希釈し、蓋をして、振盪する。密封容器中で6ヶ月までの間保存する。
1.8 氷酢酸(5.0M HOAc)
1.8.1 1500mLビーカー中で、3インチ磁気撹拌棒および1LのD.I.を付加する。
1.8.2 クラスAメスシリンダーを用いて、572.0mLの氷酢酸を付加して、撹拌する。
1.8.3 クラスA2Lメスフラスコに内容物を定量的に移して、2.0Lの目印までD.I.を付加する。
1.8.4 蓋をして、十分に振盪して混ぜ合わせる。
1.8.5 清浄な、標識した密封可能な2Lガラス容器に移す。1年までの間保存する。
1.9 水酸化ナトリウム(50%NaOHまたは12.5N NaOH)
1.9.1 500mLパイレックス(登録商標)ビーカー中で、1インチ磁気撹拌棒および250mLのD.I.を付加する。撹拌を開始する。
1.9.2 250gのNaOHペレットを計量し、撹拌ビーカーに移す。注:はね散らさないこと。溶液はだんだん熱くなる。ペレットが溶解するまで撹拌すると、溶液は室温に戻る。
1.9.3 定量的に500mLメスフラスコに移し、メニスカスが500mLの目印より約1インチ下になるよう、十分量のD.I.を付加する。
1.9.4 蓋をして、静かに振盪して、混ぜ合わせる。注:溶液はだんだん熱くなる。溶液が室温に戻るまで放置する。
1.9.5 500mLの目印までD.I.を充填する。
1.9.6 蓋をして、十分に振盪して、混ぜ合わせる。
1.9.7 清浄な、標識した密封可能な500mLプラスチック容器に移す。6ヶ月までの間保存する。
1.10 リン酸(1.62M H3HPO4または50.1g/L P)
1.10.1 3インチ磁気撹拌棒を、1.0Lパイレックス(登録商標)ビーカーの底に入れて、~600mLのD.I.を付加する。磁気撹拌板上に載せて、撹拌を開始する。
1.10.2 CoAからH3PO4%を得ることにより、そしてこの計算に従って、必要なリン酸の重量を確定する:
1.10.2.1 計量されるべきH3PO4(g)=50.1×3.164×100÷H3PO4%(CoAによる)
例: H3PO4に関するCoAは85.5%を表示する。したがって、
50.1×3.164×100÷85.5=185.4g H
3
PO
4
1.10.3 濃リン酸の必要量を、清浄パイレックス(登録商標)ビーカー中に計量する。
1.10.4 600mLのD.I.を含入する撹拌1.0Lパイレックス(登録商標)ビーカーに、リン酸を徐々に且つ定量的に移す。H3PO4ビーカーをD.I.ですすぎ、洗浄液を1.0Lビーカーに付加する。注:はね散らかさないこと。
1.10.5 撹拌し、溶液を室温に冷まさせる。
1.10.6 溶液を、1.0Lメスフラスコに定量的に移す。
1.10.7 1L目印までD.I.を充填する。
1.10.8 蓋をして、十分に振盪し、混ぜ合わせる。
1.10・9 このストック溶液を分析して、リン濃度を立証する:
1.10.9.1 ストックを、10%HClマトリックス中で1:100、その後、5:100希釈に希釈する。総希釈は1:2000であり、予測濃度は25mg/LのPである。
1.10.9.2 第三者認証リン溶液を用いて、0および30mg/L P、マトリックスブランク、ならびに20mg/L P QC検査標準の10%HClマトリックス標準曲線を作成する。
1.10.9.3 213.617nm波長を用いて、リンに関して、希釈試料、QC標準およびマトリックスブランクを分析する。0、30mg/Lの標準曲線は、213.617nm波長でICPに関して線形である。
1.10.9.4 判定基準:
1.10.9.4.1 ストックリン酸塩溶液=50.1±1.3g/L P
1.10.9.4.2 リンQC検査=100±2%回収
1.10.10 清浄な、標識した密閉可能な1Lガラス容器に、認可ストックリン酸塩溶液を移す。1年まで保存する。
【0187】
2.0 手順
溶解ユニットおよび作業リン酸塩溶液調製:
2.1 T=0、30および60分に、標本採取を行なう。必要なプラスチック試験管の数を確定する(試験管3本/試験)。
2.2 プラスチック試験管を予め標識して、それらを試験管立てに入れる。清浄を保持するために覆いをして、とって置く。
2.3 溶解装置上の断熱浴中に、目印まで水道水を充填する。この試験ユニットを準備する。
2.4 断熱浴を37℃に設定する。
2.5 作業用リン酸塩溶液(9リットル)
2.5.1 3インチ撹拌棒を、10Lパイレックス(登録商標)ビーカーの底に入れる。
2.5.2 クラスAメスシリンダーを用いて、正確に7000mLのD.I.、900mLの5.0M HOAcおよび45mLの1.62M H
3PO
4を、10Lパイレックス(登録商標)ビーカーに付加する。磁気撹拌器上に載せて、撹拌を開始する。
2.5.3 注意深く、155mLの50%NaOHを付加する。10分間撹拌した後、次のステップに続く。
2.5.4 撹拌しながら、標準化pH計を用いて、10Lパイレックス(登録商標)ビーカー中の溶液のpHをモニタリングする。50%NaOHを用いて、溶液をpH=4.5±0.05に調整する。10分間、撹拌を継続する。pH=4.5±0.05である場合、次のステップに続く。そうでない場合は、pHを調節し続ける。
2.5.4.1 付加的50%NaOH付加の総容積を記録する。
2.5.5 総容積が9リットルになるよう、クラスAメスシリンダーを用いて適切な容積のD.I.を付加する。少なくとも10分間、撹拌し続ける。
600mLのD.I.を付加する。磁気撹拌板上に載せて、撹拌を開始する。
【数1】
2.5.5.1 この「作業リン酸塩溶液」のpHを記録する。
2.6 クラスAメスシリンダーを用いて、9L溶液のうちの1.0Lを、溶解反応容器の各々に移す。最大で8つの試験が同時に実施可能である、ということに留意されたい。
2.7 反応容器上にカバーを戻して、180rpmの速度で反応用基を撹拌し始める。水浴および反応容器の温度を上げて、一様に37±1℃にする。較正済みの追跡可能な温度計を用いて、温度を立証する。観察を記録する。
T=0試料:
2.8 20mL注射器を用いて、溶解容器の各々から~20mLアリコートを取り出して、それらを適正に標識された50mL試料試験管中に分配する - 各容器に関して試験管1本。試験管に蓋をする。
2.9 20mL注射器の処分。
2.10 T=0で、1.33±0.003グラムのLDOC化合物を付加する。タイマーを始動する。~3分間隔でLDOCを付加して、各容器からの試料が必要時間に取り出され得ることを保証する。
T=30試料:
2.11 T=30±0.25分に、以下のプロトコールを用いて、各容器から任意選択試料を採取する:
2.11.1 20mL注射器を用いて、~20mLのスラリーを取り出す。
2.11.2 0.2μmシリンジフィルターを先端にしっかり乗せて、最初の2mLを処分する。
2.11.3 依然としてその場で0.2μmシリンジフィルターを用いて、残りの溶液を適正に標識された50mL試料試験管中に分配する。試験管に蓋をする。
2.11.4 注射器および0.2μmフィルターを処分する。
T=60試料:
2.12 T=30試料に関するものと同じプロトコールを用いて、T=60±0.25分で、任意選択試料を採取する。
2.13 溶解容器の各々におけるスラリーのpHを確定する。pHを書き留める。
2.14 試験が完了したら、すべてのガラス器具を十分に清浄にして、D.I.ですすぐ。炭酸ランタン化合物は、酸に可溶性である。希酸を用いて、ガラス器具から残渣を取り除く。DIで3回すすぐ。
試料調製:
2.15 T=0、30および60試料を1:10希釈し、10%HCl(v/v)の最終濃度を得るのに十分な濃HClを付加する(例:5mLの試料+5mLの濃HClをD.I.でメスフラスコ中で50mLに希釈する)。
2.16 蓋をして、振盪し、分析に付す。
試料分析:
2.17 メーカーの使用説明書に従って、機器をウォームアップさせる。
2.17.1 0、30mg/L、マトリックスブランクおよびQC標準の「マトリックス整合」標準を調製する(クラスA容積測定ガラス器具を使用)。
2.17.1.1 ~0.5M HOAc - メスシリンダーを用いて、57.2mLの氷酢酸を2Lメスフラスコに付加する。D.I.で分量に希釈し、蓋をして、振盪する。しっかり密封したナルゲン(商標)容器中に任意の未使用溶液を保存する。
2.17.1.1.1 0mg/L - 100mLメスフラスコ中で、10mLの~0.5M HOAcおよび10mLの濃HClを付加し、D.I.で目印まで希釈する。蓋をして、振盪する。
2.17.1.1.2 30mg/L - 100mLメスフラスコ中で、10mLの~0.5M HOAcおよび10mLの濃HClおよび3mLの1000mg/L認証リン標準を付加し、D.I.で目印まで希釈する。蓋をして、振盪する。
2.17.1.1.3 マトリックスブランク - 100mLメスフラスコ中で、10mLの~0.5M HOAcおよび10mLの濃HClを付加し、D.I.で目印まで希釈する。蓋をして、振盪する。
2.17.1.1.4 20mg/L QC標準 - 100mLメスフラスコ中で、10mLの~0.5M HOAcおよび10mLの濃HClおよび2mLのINDEPENDENT 1000mg/L認証リン標準を付加し、D.I.で目印まで希釈する。
2.17.2 213.617nm波長を用いて、リンに関して希釈試料、QC標準およびマトリックスブランクを分析する。0、30mg/Lの標準曲線は、213.617nm波長でICPに関して線形である。
2.17.3 T=30およびT=60に関して、反応完了%を報告する。
【0188】
3.0 算定:
3.1 R=[A-B]×C/D
(式中:R=結果(mg/L)
A=ICP表示値(mg/L)
B=マトリックスブランクに関するICP表示値(mg/L)
C=希釈液(mL)
D=アリコート(mL))。
【数2】
(式中:R0=“T=0”結果(mg/L)
Rt=“T=30”または“T=60”結果(mg/L)
1000=反応容積(mL)
30.974=リンの原子量
W=試料重量(g)
factor= (試料中のLa%)÷100(La%は、LDOCに関する分析証明書に利用可能であるべきである。そうでない場合、使用するための許容可能な値は:factor=0.7512)
138.906=ランタンの原子量
例 - LDOCに関する反応完了%:
【数3】
3.3 平均(m)平均を得るための技法を記載する。分析の数値(x、y、z等)を一緒に加え、この合計を測定数nで割って、平均を出す。元のデータの単位に換算して表す。
x=m=(x+y+z)÷n
(式中:x=m=中値または平均値
x,y,z=個々の測定値
n=測定の総数
m=平均値(a:z)(エクセル計算)
ここで:m=中値または平均値
a:z=エクセルスプレッドシートにおけるデータ範囲を表す)。
3.4
σ=ds=stdev(a:z)(エクセル計算)
(式中: σ=ds=標準偏差
a:z=エクセルスプレッドシートにおけるデータ範囲を表す)。
3.5 %RSD=σ÷m×100
(式中:RSD=相対標準偏差
σ=ds=標準偏差
m=中値)。
3.6 SR=R×100/V
(式中: SR=標準回収率(%)
R=算定結果(%R×N完了)
V=許容値(%R×N完了))。
【0189】
4.0 品質管理
4.1 反復実験:
4.1.1 全組の試料を伴う溶解ユニットにおいて1回反復を含む(非放出試験分析のため)。
4.1.2 放出試験に関する三重反復実験を実行する(すなわち、分析保証)。
4.2 ブランク:
4.2.1 全組の試料を伴う溶解ユニットに試薬ブランクを含む。
4.2.2 ICP-OES分析のためのマトリックスブランクを含む。試料結果を算定する場合、このマトリックスブランクに関して得られたICP結果を用いる(計算の節を参照)。
4.3 標準:
4.3.1 全組の試料を伴う溶解ユニットに社内標準を含む。
4.3.2 ICP-OES分析において認証第三者QC標準を含む。標準曲線および機器操作を立証するためにこれを用いる。
4.4 許容判定基準:
4.4.1 反復実験は、≦6%RSDであるべきである(計算の節を参照)。
4.4.2 社内標準:回収率%は、認証値の98~102%であるべきである(計算の節を参照)。
4.4.4 ストックリン酸塩溶液は、リンとして50.1±1.3g/Lでなければならない。これは、T=0試料がリンとして250±6.3mg/Lであることを保証する。
4.5 仕様外(OOS) - 社内OOS SOPに従う。
【0190】
5.0 参照
5.1
Anormed特許第5,968,976号:"Pharmaceutical composition containing selected lanthanum carbonate hydrates"による米国特許第号も参照。
【0191】
本明細書中に開示される任意のおよびすべての参考文献、特許、特許出願または他の出版物は、これらの記載内容が参照により本明細書中で援用される。
【0192】
本発明を、本明細書中で特定の実施形態を参照しながら記載してきたが、これらの実施形態は本発明の原理および用途の単なる例証である、と理解されるべきである。したがって、例証的実施形態に対しては多数の修正がなされ得るし、添付の特許請求の範囲に定義されるような本発明の精神および範囲を逸脱しない限り、その他の変更が意図され得る、と理解されるべきである。