(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】顔料調製物
(51)【国際特許分類】
C09B 67/20 20060101AFI20230516BHJP
C09C 3/08 20060101ALI20230516BHJP
C09B 45/18 20060101ALI20230516BHJP
C09B 45/22 20060101ALI20230516BHJP
C09B 45/20 20060101ALI20230516BHJP
D06P 1/18 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
C09B67/20 K
C09C3/08
C09B45/18
C09B45/22
C09B45/20
D06P1/18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021164055
(22)【出願日】2021-10-05
【審査請求日】2021-12-01
(32)【優先日】2020-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505422707
【氏名又は名称】ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・ミヒャエリス
(72)【発明者】
【氏名】ザビーネ・エンデルト
(72)【発明者】
【氏名】フランク・リンケ
(72)【発明者】
【氏名】ハンス-ウルリッヒ・ボルスト
【審査官】井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-111708(JP,A)
【文献】特開2006-016506(JP,A)
【文献】特開2007-033579(JP,A)
【文献】特開2014-012838(JP,A)
【文献】特開2001-354869(JP,A)
【文献】特開2016-180100(JP,A)
【文献】特開2007-171913(JP,A)
【文献】特開2007-112934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 1/00 ー 201/10
C09C 3/08
D06P 1/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料調製物であって、少なくとも
i)以下の成分a)及びb):
a)少なくとも金属イオンMeにおいて異なる、式(I)の少なくとも2種の金属アゾ化合物、又はそれらの互変異性体、
【化1】
[式中、
R
1及びR
2はそれぞれ独立して、OH、NH
2又はNHR
5であり、
R
3及びR
4はそれぞれ独立して、=O又は=NR
5であり、
R
5は、水素又はアルキ
ルであり、
Meは、金属イオンMe
1又はMe
2であり、
ここで、
Me
1は、Cu
2+又はNi
2+であり、
Me
2は、Zn
2+、Al
3+
2/3、Fe
2+、Fe
3+
2/3、Co
2+、Co
3+
2/3、La
3+
2/3、Ce
3+
2/3、Pr
3+
2/3、Nd
2+、Nd
3+
2/3、Sm
2+、Sm
3+
2/3、Eu
2+、Eu
3+
2/3、Gd
3+
2/3、Tb
3+
2/3、Dy
3+
2/3、Ho
3+
2/3、Yb
2+、Yb
3+
2/3、Er
3+
2/3、Tm
3+
2/3、Mg
2+、Ca
2+、Sr
2+、Mn
2+、Y
3+
2/3、Sc
3+
2/3、Ti
2+、Ti
3+
2/3、Nb
3+
2/3、Mo
2+、Mo
3+
2/3、V
2+、V
3+
2/3、Zr
2+、Zr
3+
2/3、Cd
2+、Cr
3+
2/3、Pb
2+、又はBa
2+であり、
ただし、式(I)の化合物全ての1モルを基準にして、それぞれの場合において、金属イオンのMe
1の量が合計して97~100mol%であり、一連のMe
2から選択される金属イオンの量が合計して0~3mol%であり、
ここで、式(I)の化合物全てを合計した中でのCu対Niの金属イオンのモル比が、99.9:0.1から0.1:99.9までである];及び
b)少なくとも1種の式(II)の化合物
【化2】
[式中、R
6は、水素又はアルキル
であって、OHによって一置換又は多置換されていてもよ
い]
を含む金属アゾ顔料A)、又は、成分a)を成分b)と反応させることによって得ることができる金属アゾ顔料A)と、
ii)少なくとも1種の、10~22個の炭素原子を有する脂肪族モノカルボン酸B)であって、前記金属アゾ顔料A)の中に存在している金属アゾ化合物(I)全ての1molを基準にして70~210gの量の、脂肪族モノカルボン酸B)と
を含むことを特徴とする、顔料調製物。
【請求項2】
前記金属アゾ顔料A)が、請求項1で特定した成分a)及びb)のアダクトを含むことを特徴とする、請求項1に記載の顔料調製物。
【請求項3】
前記金属アゾ顔料A)が、以下の成分a)及びb):
a)請求項1で特定した式(I)の少なくとも2種の金属アゾ化合物であって、
式中、R
1及びR
2は、OHであり、
R
3及びR
4は、=Oであり、
Me
1は、Cu
2+又はNi
2+であり、
Me
2は、Zn
2+、Al
3+
2/3、Fe
2+、Fe
3+
2/3、Co
2+、Co
3+
2/3、La
3+
2/3、Ce
3+
2/3、Pr
3+
2/3、Nd
2+、Nd
3+
2/3、Sm
2+、Sm
3+
2/3、Eu
2+、Eu
3+
2/3、Gd
3+
2/3、Tb
3+
2/3、Dy
3+
2/3であり、
ただし、式(I)の化合物全ての1モルを基準にして、それぞれの場合において、金属イオンのMe
1の量が合計して99~100mol%であり、金属イオンMe
2の量が合計して0~1mol%であり、
ここで、式(I)の化合物全てを合計した中でのCu対Niの金属イオンのモル比が、0.5:99.5から10:90までであるもの;及び
b)請求項1で特定した少なくとも1種の式(II)の化合物であって、
式中、R
6は、水素であるもの
のアダクトを含むか、又は、成分a)を成分b)と反応させることにより得ることができるものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の顔料調製物。
【請求項4】
前記金属アゾ顔料A)が、以下の成分a)及びb):
a)請求項1で特定した式(I)の少なくとも2種の金属アゾ化合物であって、
式中、R
1及びR
2は、OHであり、
R
3及びR
4は、=Oであり、
Me
1は、Cu
2+又はNi
2+であり、
Me
2は、Zn
2+、Al
3+
2/3、Fe
2+、Fe
3+
2/3、Co
2+、Co
3+
2/3であり、
ただし、式(I)の全部の化合物の1モルを基準にして、それぞれの場合において、金属イオンのMe
1の量が合計して99~100mol%であり、金属イオンMe
2の量が合計して0~1mol%であり、
ここで、式(I)の化合物全てを合計した中でのCu対Niの金属イオンのモル比が、1:99から5:95までであるもの;及び
b)請求項1で特定した少なくとも1種の式(II)の化合物であって、
式中、R
6は、水素であるもの
のアダクトを含むか、又は、成分a)を成分b)と反応させることにより得ることができるものであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の顔料調製物。
【請求項5】
前記金属アゾ顔料A)が、以下の成分a)及びb):
a)請求項1で特定した式(I)の少なくとも2種の金属アゾ化合物であって、
式中、R
1及びR
2は、OHであり、
R
3及びR
4は、=Oであり、
Meは、金属イオンMe
1であり、
ただし、金属イオンのMe
1の量が合計して、式(I)の化合物全ての1モルを基準にして、100mol%であり、
式(I)の化合物全てを合計した中でのCu対Niの金属イオンのモル比が、1:99から5:95までであるもの;及び
b)請求項1で特定した少なくとも1種の式(II)の化合物であって、
式中、R
6は、水素であるもの
のアダクトを含むか、又は、成分a)を成分b)と反応させることにより得ることができるものであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の顔料調製物。
【請求項6】
前記金属アゾ顔料A)が、DIN 66131に従って測定して、50~200m
2/
gのBET比表面積(m
2/g)を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の顔料調製物。
【請求項7】
前記脂肪族モノカルボン酸B)が、飽和であるか、又はモノ不飽和若しくはポリ不飽和であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の顔料調製物。
【請求項8】
前記脂肪族モノカルボン酸B)が、10~22個の炭素原子を含み、飽和であるか、又はモノ不飽和~トリ不飽和であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の顔料調製物。
【請求項9】
前記脂肪族モノカルボン酸B)が、12~22個の炭素原子を含み、飽和であるか、又はモノ不飽和若しくはジ不飽和であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の顔料調製物。
【請求項10】
前記脂肪族モノカルボン酸B)が、14~18個の炭素原子を含み、飽和又はモノ不飽和であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の顔料調製物。
【請求項11】
テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)及び/又はオクタデカン酸(ステアリン酸)を含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の顔料調製物。
【請求項12】
0.5重量%~5重量
%の、少なくとも1種の、14個の炭素原子を有する飽和若しくはモノ不飽和脂肪族モノカルボン酸、25重量%~60重量
%の、少なくとも1種の、16個の炭素原子を有する飽和若しくはモノ不飽和脂肪族モノカルボン酸、及び40重量%~75重量
%の、少なくとも1種の、18個の炭素原子を有する飽和若しくはモノ不飽和脂肪族モノカルボン酸、の混合物を含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の顔料調製物。
【請求項13】
前記金属アゾ顔料A)の中に存在している金属アゾ化合物(I)全ての1モルを基準にして、それぞれの場合において、100~180
gの、少なくとも1種の脂肪族モノカルボン酸B)を含むことを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の顔料調製物。
【請求項14】
少なくとも1種の金属アゾ顔料A)を、少なくとも1種の脂肪族モノカルボン酸B)並びに任意選択で1種又は複数の助剤及び/又は添加剤と、混合することを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の顔料調製物を製造するためのプロセス。
【請求項15】
合成、半合成、又は天然の高分子物
質をバルク着色するため、及び、天然、再生、又は合成繊
維をスピン着色するため、及び、織物及び紙に印刷するための、請求項1~13のいずれか1項に記載の顔料調製物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属アゾ顔料及び脂肪酸をベースとする新規な顔料調製物、それらを製造するためのプロセス、並びにプラスチックを着色するための黄色顔料としての前記顔料調製物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アゾバルビツル酸とニッケル塩とから形成された金属錯体の調製物及び黄色顔料としてのそれらの使用については、かなり昔から公知であり、文献に幾度となく記載されてきた(たとえば、(非特許文献1)を参照されたい)。さらには、それらの反応生成物をさらにたとえばメラミン又はメラミン誘導体と反応させることにより、たとえばプラスチック、ラッカーの着色、及びLCDのためのカラーフィルターにおける顔料の実用性能を改良することが可能となるということも公知である。
【0003】
その文献にはさらに、色特性を調節するために、それらの金属アゾ顔料には、ニッケル塩に加えて、1種又は複数の各種の金属の塩を含むことができるということも記載されている。(特許文献1)には、金属として、一連のアルカリ金属、アルカリ土類金属、ランタニド、並びにさらにはアルミニウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、銅、ニッケル及び亜鉛、さらには場合によっては鉄からのものを含む、アゾ化合物の金属錯体が開示されている。そのようにして得られた顔料は、純粋なニッケル-アゾバルビツル酸錯体に比較して、異なった色座標(colour locus)を有している。
【0004】
その文献にはさらに、添加剤を用いて顔料の表面を処理することも開示されている。この表面被覆は、たとえば、それらの顔料の分散性を改良することを目的としている。しかしながら、顔料の表面の被覆を増やすと必ず、色の濃さの低下も伴う。
【0005】
そのようなアゾ顔料の表面処理は、たとえば、次の文献からも公知である:(非特許文献2)
【0006】
(特許文献2)及び(特許文献3)には、金属アゾバルビツル酸及びメラミンをベースとする顔料が開示されているが、それには、銅イオン及びニッケルイオン、そして場合によってはさらなる金属イオンが含まれている。(特許文献2)及び(特許文献3)から公知の顔料は、改良された分散性を特徴としている。
【0007】
(特許文献4)には、メラミン含有アゾバルビツル酸-金属錯体を、不飽和高級脂肪酸を用いて処理することが開示されている。それらの組成物は、たとえばカラーフィルターでの使用や、インキジェット用途には適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】欧州特許出願公開第A1 591 489号明細書
【文献】欧州特許出願公開第A3 072 932号明細書
【文献】欧州特許出願公開第A3 222 680号明細書
【文献】特開2010-111708号公報
【非特許文献】
【0009】
【文献】W.Herbst,K.Hunger:Industrial Organic Pigments,3rd edition,2004,p.390/397
【文献】W.Herbst,K.Hunger,Industrial Organic Pigments(Production,Properties,Applications),3rd Completely Revised Edition(2004),Wiley-VCH-Verlag,p.202。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術から公知の金属アゾ顔料は、それらの性能特性に関して、特にはそれらの熱安定性に関してさらなる改良が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
驚くべきことには、アゾバルビツル酸、ニッケル塩及び銅塩、並びにメラミン及び/又はメラミン誘導体、並びにある種の脂肪酸をベースとする金属アゾ顔料の組成物が、改良された熱安定性を示すことが見出された。
【0012】
性能の観点からは、熱安定性は、顔料の重要な性質である。この性質を改良することによって、高い加工温度が必要とされる、たとえば、プラスチックたとえば、ポリプロピレン、ポリエステル、及びポリアミドの着色のような分野においてそれらの製品を使用する可能性への道が開ける。
【0013】
したがって、本発明は、少なくとも以下のものを含むことを特徴とする、顔料調製物に関する:
i)以下の成分を含む金属アゾ顔料A):
a)少なくともその金属イオンMeにおいて異なる、少なくとも2種の式(I)の金属アゾ化合物、又はそれらの互変異性体、
【化1】
[式中、
R
1及びR
2はそれぞれ独立して、OH、NH
2又はNHR
5であり、
R
3及びR
4はそれぞれ独立して、=O又は=NR
5であり、
R
5は、水素又はアルキル、好ましくはC
1~C
4-アルキルであり、そして
Meは、金属イオンMe
1又はMe
2であるが、
ここで、
Me
1は、Cu
2+又はNi
2+であり、そして
Me
2は、Zn
2+、Al
3+
2/3、Fe
2+、Fe
3+
2/3、Co
2+、Co
3+
2/3、La
3+
2/3、Ce
3+
2/3、Pr
3+
2/3、Nd
2+、Nd
3+
2/3、Sm
2+、Sm
3+
2/3、Eu
2+、Eu
3+
2/3、Gd
3+
2/3、Tb
3+
2/3、Dy
3+
2/3、Ho
3+
2/3、Yb
2+、Yb
3+
2/3、Er
3+
2/3、Tm
3+
2/3、Mg
2+、Ca
2+、Sr
2+、Mn
2+、Y
3+
2/3、Sc
3+
2/3、Ti
2+、Ti
3+
2/3、Nb
3+
2/3、Mo
2+、Mo
3+
2/3、V
2+、V
3+
2/3、Zr
2+、Zr
3+
2/3、Cd
2+、Cr
3+
2/3、Pb
2+、又はBa
2+であるが、
ただし、式(I)の全部の化合物の1モルを基準にして、それぞれの場合において、金属イオンのMe
1の量が合計して97~100mol%、そして一連のMe
2から選択される金属イオンの量が合計して0~3mol%であり、
そして
ここで、式(I)の化合物を全部合計した中でのCu対Niの金属イオンのモル比が、99.9:0.1から0.1:99.9までである]、
及び
b)少なくとも1種の式(II)の化合物
【化2】
[式中、R
6は、水素又はアルキル、好ましくは、場合によってはOHによって一置換又は多置換されたC
1~C
4-アルキルである]、
又は成分a)とb)とを反応させることによって得ることも可能である金属アゾ顔料A)、
並びに
ii)少なくとも1種の、10~22個の炭素原子を有する脂肪族モノカルボン酸B)、
[金属アゾ顔料A)の中に存在している全部の金属アゾ化合物(I)の1molを基準にして、70~210gの量で]。
【0014】
式(I)において、Meが三価の金属イオンであるような場合においては、その電荷を、式(Ia)のアニオン性構造単位の等価の量によって釣り合わせる。
【化3】
[式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、式(I)において与えられた定義を有している]
【0015】
金属アゾ顔料A)の中に存在している成分a)が、成分b)とのアダクトの形で存在しているのが好ましい。
【0016】
この場合「アダクト」とは、一般的には、分子集合体を意味していると理解されたい。それらの分子の間の結合は、たとえば、分子間相互作用若しくはルイス酸-塩基相互作用によるものか、或いは配位結合によるものであってよい。
【0017】
本発明の文脈においては、「アダクト(adduct)」という用語には一般的に、すべてのタイプのインターカレーション化合物及び付加化合物が包含されることが意図されている。
【0018】
本発明の文脈における「インターカレーション化合物(intercalation compound)」又は「付加化合物(addition compound)」という用語は、たとえば、分子間相互作用たとえばファンデルワールス相互作用、又はルイス酸-塩基相互作用に基づいて形成されている化合物を意味しているものと理解されたい。この場合において、インターカレーションの進み方は、インターカレートさせる成分の化学的性質だけではなく、ホストとなる格子の化学的特性にも依存する。そのような化合物は、多くの場合、インターカレーション化合物とも呼ばれる。化学的な感覚においては、このことは、化合物の中への、分子、イオン(同様に、滅多にないが、原子)のインターカレーションを意味していると理解されたい。
【0019】
このことは、包接化合物、いわゆるクラスレート(clathrate)も同様に意味していると理解されたい。それらは二つの物質からなる化合物であって、それらの一方が、ホスト分子からなる格子又はケージの中に挿入されたゲスト分子である。
【0020】
本発明の文脈における「インターカレーション化合物」又は「付加化合物」という用語は、また(侵入型化合物も含めた)混合された挿入結晶を意味していると理解されるべきである。これらは、少なくとも二つの要素から形成され、化学的で、非化学量論的な結晶化合物である。
【0021】
さらに、本発明の文脈における「インターカレーション化合物」又は「付加化合物」という用語は、配位結合又は錯結合に基づいて形成された化合物を意味しているとも理解されるべきである。そのような化合物は、たとえば混合置換結晶(mixed substition crystal、又はmixed replacement crystal)とも呼ばれ、その中では少なくとも2種の物質が協同して結晶を形成し、その第二の成分の原子が、第一の成分の本来の格子座に位置している。
【0022】
上述の定義の意味に従って、式(I)の化合物とアダクトを形成するのに適した化合物は、有機又は無機いずれの化合物であってもよい。以後においてはそれらの化合物を、アダクト形成剤(adduct former)と呼ぶこととする。
【0023】
原理上好適なアダクト形成剤は、極めて広く各種のタイプの化合物から得られる。純粋に実務的な理由から、標準条件下(25℃、1bar)で液体又は固体であるような化合物が好ましい。
【0024】
液体物質の中では、1barで100℃以上、好ましくは150℃以上の沸点を有するものが好ましい。好適なアダクト形成剤は一般的には、非環状及び環状の有機化合物、たとえば脂肪族及び芳香族炭化水素であって、それらは、たとえば、OH、COOH、NH2、置換されたNH2、CONH2、置換されたCONH2、SO2NH2、置換されたSO2NH2、SO3H、ハロゲン、NO2、CN、-SO2-アルキル、-SO2-アリール、-O-アルキル、-O-アリール、-O-アシルによって置換されていてもよい。
【0025】
カルボキサミド及びスルホンアミドも好ましいアダクト形成剤の群であり、そして特に好適なのは、以下のものである:尿素及び置換尿素たとえば、フェニル尿素、ドデシル尿素など、及びそれらとアルデヒド、特にはホルムアルデヒドとの重縮合物;複素環たとえば、バルビツル酸、ベンズイミダゾロン、ベンズイミダゾロン-5-スルホン酸、2,3-ジヒドロキシキノキサリン、2,3-ジヒドロキシキノキサリン-6-スルホン酸、カルバゾール、カルバゾール-3,6-ジスルホン酸、2-ヒドロキシキノリン、2,4-ジヒドロキシキノリン、カプロラクタム、メラミン、6-フェニル-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン、6-メチル-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン、シアヌル酸。
【0026】
アダクト形成剤として、原理的に同様に好適なのはポリマー、好ましくは水溶性ポリマー、たとえば、好ましくは1000以上、特には1000~10,000g/モルのMnを有するエチレン-プロピレンオキシドブロックポリマー、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸、変性セルロースたとえばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチル及び-プロピルセルロース、メチル及びエチルヒドロキシエチルセルロースである。
【0027】
本発明においては、使用されるアダクト形成剤は、式(II)のものである。この場合、特に好ましいのは、メラミンである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の顔料調製物の中に存在する金属アゾ顔料A)は、化合物(I)の1モルあたり、一般的には0.05~4モル、好ましくは0.5~2.5モル、極めて特に好ましくは1.0~2.0モルの式(II)の化合物を含む。
【0029】
本発明の顔料調製物の中に存在する金属アゾ顔料A)は、a)少なくとも2種の式(I)の金属アゾ化合物と、b)少なくとも1種の式(II)の化合物との物理的混合物であってもよい。それらが、純Ni-アゾ化合物とメラミンとのアダクト、及び純Cu-アゾ化合物とメラミンとのアダクトの物理的混合物であるのが、好ましい。
【0030】
しかしながら、本発明の顔料調製物の中に存在する金属アゾ顔料A)が、a)少なくとも2種の式(I)の金属アゾ化合物と、b)少なくとも1種の式(II)の化合物との化学的に混合された化合物であるのが、特に好ましい。これらの、化学的に混合された化合物は、その中で、Ni原子及びCu原子、並びに場合によってはさらなる金属イオンのMe2が、共通の結晶格子の中に組みこまれているような金属アゾ化合物のアダクトである。
【0031】
本発明の顔料調製物の中に存在する金属アゾ顔料A)が、成分
a)先に特定された、少なくとも2種の式(I)の金属アゾ化合物
[式中、R1及びR2は、OHであり、
R3及びR4は、=Oであり、
Me1は、Cu2+又はNi2+であり、
そして
Me2は、Zn2+、Al3+
2/3、Fe2+、Fe3+
2/3、Co2+、Co3+
2/3、La3+
2/3、Ce3+
2/3、Pr3+
2/3、Nd2+、Nd3+
2/3、Sm2+、Sm3+
2/3、Eu2+、Eu3+
2/3、Gd3+
2/3、Tb3+
2/3、Dy3+
2/3、Ho3+
2/3、Yb2+、Yb3+
2/3、Er3+
2/3、Tm3+
2/3、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Mn2+、又はY3+
2/3であるが、
ただし、式(I)の全部の化合物の1モルを基準にして、それぞれの場合において、金属イオンのMe1の量が合計して97~100mol%、そして金属イオンMe2の量が合計して0~3mol%であり、
ここで、式(I)の化合物を全部合計した中でのCu対Niの金属イオンのモル比が、0.3:99.7から30:70までである]、
及び
b)先に特定された、少なくとも1種の式(II)の化合物
[式中、R6は、水素である]、
のアダクトを含むものであるか、
又は、成分a)とb)とを反応させることにより得られるものであれば、好ましい。
【0032】
本発明の顔料調製物の中に存在する金属アゾ顔料A)が、成分
a)先に特定された、少なくとも2種の式(I)の金属アゾ化合物
[式中、R1及びR2は、OHであり、
R3及びR4は、=Oである、
Me1は、Cu2+又はNi2+であり、そして
Me2は、Zn2+、Al3+
2/3、Fe2+、Fe3+
2/3、Co2+、Co3+
2/3、La3+
2/3、Ce3+
2/3、Pr3+
2/3、Nd2+、Nd3+
2/3、Sm2+、Sm3+
2/3、Eu2+、Eu3+
2/3、Gd3+
2/3、Tb3+
2/3、Dy3+
2/3であるが、
ただし、式(I)の全部の化合物の1モルを基準にして、それぞれの場合において、金属イオンのMe1の量が合計して99~100mol%、そして金属イオンMe2の量が合計して0~1mol%であり、
ここで、式(I)の化合物を全部合計した中でのCu対Niの金属イオンのモル比が、0.5:99.5から10:90までである]、
及び
b)先に特定された、少なくとも1種の式(II)の化合物
[式中、R6は、水素である]、
のアダクトを含むものであるか、
又は、成分a)とb)とを反応させることにより得られるものであれば特に好ましい。
【0033】
本発明の顔料調製物の中に存在する金属アゾ顔料A)が、成分
a)先に特定された、少なくとも2種の式(I)の金属アゾ化合物
[式中、R1及びR2は、OHであり、
R3及びR4は、=Oであり、
Me1は、Cu2+又はNi2+であり、そして
Me2は、Zn2+、Al3+
2/3、Fe2+、Fe3+
2/3、Co2+、Co3+
2/3であるが、
ただし、式(I)の全部の化合物の1モルを基準にして、それぞれの場合において、金属イオンのMe1の量が合計して99~100mol%、そして金属イオンMe2の量が合計して0~1mol%であり、
ここで、式(I)の化合物を全部合計した中でのCu対Niの金属イオンのモル比が、1:99から5:95までである]、
及び
b)先に特定された、少なくとも1種の式(II)の化合物
[式中、R6は、水素である]、
のアダクトを含むものであるか、
又は、成分a)とb)とを反応させることにより得られるものであれば、極めて特に好ましい。
【0034】
本発明の顔料調製物の中に存在する金属アゾ顔料A)が、成分
a)先に特定された式(I)の少なくとも2種の金属アゾ化合物
[式中、R1及びR2は、OHであり、
R3及びR4は、=Oであり、そして
Meは、金属イオンMe1であるが、
ただし、金属イオンのMe1の量が合計して、式(I)の全部の化合物の1モルを基準にして、100mol%であり、そして
式(I)の化合物を全部合計した中でのCu対Niの金属イオンのモル比が、1:99から5:95までである]、
及び
b)先に特定された式(II)の少なくとも1種の化合物
[式中、R6は、水素である]、
のアダクトを含むものであるか、
又は、成分a)とb)とを反応させることにより得られるものであれば、特別に好ましいる。
【0035】
本発明の顔料調製物の中に存在する金属アゾ顔料A)は、一般的には50~200m2/g、好ましくは80~160m2/g、そして極めて特に好ましくは100~150m2/gのBET比表面積(m2/g)を有している(DIN 66131(Determination of the specific surface area of solids by gas adsorption using the method of Brunauer,Emmett and Teller(BET))に従って測定)。
【0036】
アルキルの定義における置換基は、たとえば、直鎖状若しくは分岐状のC1~C6-アルキル、好ましくはC1~C4-アルキルを表すが、それらは場合によっては、たとえばハロゲンたとえば塩素、臭素又はフッ素;-OH、-CN、-NH2、又はC1~C6-アルコキシによって、一置換、又は同一若しくは別々に多置換されていてもよい。
【0037】
本発明の顔料調製物の中に存在する金属アゾ顔料A)は、欧州特許出願公開第A3 072 932号明細書及び欧州特許出願公開第A3 222 680号明細書より公知であり、そして前記文書の記載に従い、公知の方法で調製することができる。
【0038】
たとえば、金属アゾ顔料A)は、成分、
a)少なくともその金属イオンMeにおいて異なる、少なくとも2種の式(I)の金属アゾ化合物、又はそれらの互変異性体、
【化4】
[式中、
R
1及びR
2はそれぞれ独立して、OH、NH
2又はNHR
5であり、
R
3及びR
4はそれぞれ独立して、=O又は=NR
5であり、
R
5は、水素又はアルキル、好ましくはC
1~C
4-アルキルであり、そして
Meは、金属イオンMe
1又はMe
2であるが、
ここで、
Me
1は、Cu
2+又はNi
2+であり、そして
Me
2は、Zn
2+、Al
3+
2/3、Fe
2+、Fe
3+
2/3、Co
2+、Co
3+
2/3、La
3+
2/3、Ce
3+
2/3、Pr
3+
2/3、Nd
2+、Nd
3+
2/3、Sm
2+、Sm
3+
2/3、Eu
2+、Eu
3+
2/3、Gd
3+
2/3、Tb
3+
2/3、Dy
3+
2/3、Ho
3+
2/3、Yb
2+、Yb
3+
2/3、Er
3+
2/3、Tm
3+
2/3、Mg
2+、Ca
2+、Sr
2+、Mn
2+、Y
3+
2/3、Sc
3+
2/3、Ti
2+、Ti
3+
2/3、Nb
3+
2/3、Mo
2+、Mo
3+
2/3、V
2+、V
3+
2/3、Zr
2+、Zr
3+
2/3、Cd
2+、Cr
3+
2/3、Pb
2+、又はBa
2+であるが、
ただし、式(I)の全部の化合物の1モルを基準にして、それぞれの場合において、金属イオンのMe
1の量が合計して97~100mol%、そして一連のMe
2から選択される金属イオンの量が合計して0~3mol%であり、
そして
ここで、式(I)の化合物を全部合計した中でのCu対Niの金属イオンのモル比が、99.9:0.1から0.1:99.9までである]、
と、次の成分
b)少なくとも1種の式(II)の化合物
【化5】
[式中、R
6は、水素又はアルキル、好ましくは、場合によってはOHによって一置換又は多置換されたC
1~C
4-アルキルである]
とのアダクトを含むものである。
【0039】
金属アゾ化合物(I)は、たとえば、式(III)のアルカリ金属塩
【化6】
[式中、
Xは、アルカリ金属イオン、好ましくはナトリウムイオン又はカリウムイオンであり、
R
1及びR
2はそれぞれ独立して、OH、NH
2又はNHR
5であり、
R
3及びR
4はそれぞれ独立して、=O又は=NR
5であり、
そして
R
5は、水素又はアルキル、好ましくはC1~C4-アルキルである]
又はそれらの互変異性体、好ましくはナトリウム塩、又はカリウム塩を、
ニッケル塩及び銅塩、並びに場合によっては、次の一連のものからの、1種又は複数のMe
2金属塩:Zn
2+、Al
3+、Fe
2+、Fe
3+、Co
2+、Co
3+、La
3+、Ce
3+、Pr
3+、Nd
2+、Nd
3+、Sm
2+、Sm
3+、Eu
2+、Eu
3+、Gd
3+、Tb
3+、Dy
3+、Ho
3+、Yb
2+、Yb
3+、Er
3+、Tm
3+、Mg
2+、Ca
2+、Sr
2+、Mn
2+、Y
3+、Sc
3+、Ti
2+、Ti
3+、Nb
3+、Mo
2+、Mo
3+、V
2+、V
3+、Zr
2+、Zr
3+、Cd
2+、Cr
3+、Pb
2+、及びBa
2+塩、
と反応させることによって調製することができるが、
ここで、式(III)の化合物1モルあたり、0.001~0.999molの少なくとも1種のニッケル塩、0.001~0.999molの少なくとも1種の銅塩、及び0.03~0molの、少なくとも1種の、前述の一連のMe
2金属塩からの金属塩が使用される。
【0040】
好ましくは、式(III)の化合物1モルあたり、0.7~0.997molの少なくとも1種のニッケル塩、及び0.003~0.3molの少なくとも1種の銅塩、及び0.03~0molの、少なくとも1種の、前述の一連の塩のMe2金属塩からの金属塩が使用される。
【0041】
特に好ましくは、式(III)の化合物1モルあたり、0.9~0.995molの少なくとも1種のニッケル塩、及び0.005~0.1molの少なくとも1種の銅塩、及び0.03~0molの、少なくとも1種の、前述の一連の塩のMe2金属塩からの金属塩が使用される。
【0042】
極めて特に好ましくは、式(III)の化合物1モルあたり、0.95~0.99molの少なくとも1種のニッケル塩、及び0.01~0.05molの少なくとも1種の銅塩、及び0.03~0molの、少なくとも1種の、前述の一連の塩のMe2金属塩からの金属塩が使用される。
【0043】
特に好ましくは、式(III)の化合物1モルあたり0.95~0.99モルの少なくとも1種のニッケル塩及び0.01~0.05モルの少なくとも1種の銅塩が使用される。
【0044】
前記式(I)の化合物1モルあたり、一般的には0.05~4モル、好ましくは0.5~2.5モル、極めて特に好ましくは1.0~2.0モルの、前記式(II)の化合物が使用される。
【0045】
金属アゾ顔料A)を調製するためのプロセスは、一般的には、60~95℃の温度で、pH7未満の水溶液中で実施される。使用されるニッケル塩及び銅塩、並びに使用される各種のさらなるMe2金属塩は、好ましくは水溶液の形態で、個別に、又は相互の混合物として使用することができる。式(II)の化合物も同様に、好ましくは固体の形態で、個別に添加することも、或いは相互の混合物として添加することもできる。
【0046】
一般的に、金属アゾ顔料A)を調製するためのプロセスは、次のようにして実施する:式(III)のアゾ化合物を、好ましくはそのナトリウム塩又はカリウムとして、最初に仕込み、インターカレートするか又は添加するための式(II)の1種又は複数の化合物、好ましくはメラミンを添加し、次いで、少なくとも1種のニッケル塩及び少なくとも1種の銅塩、並びに場合によっては1種又は複数のMe2金属塩を、好ましくはそれらの塩の水溶液の形、好ましくは7未満のpH値で、反応を、順次又は同時に実施させる。pHを調節するのに適した物質は、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、及び炭酸水素カリウムである。
【0047】
有用なニッケル塩及び銅塩としては、好ましくは水溶性のそれらの塩、特には塩酸塩、臭素酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、硝酸塩、硫酸塩などが挙げられる。使用されるニッケル塩及び銅塩は、20℃で20g/Lを超える、特には50g/Lを超える水溶解性を有しているのが好ましい。
【0048】
有用なMe2金属塩としては、好ましくは水溶性のそれらの塩、特にはそれらの塩酸塩、臭素酸塩、酢酸塩、硝酸塩、及び硫酸塩、好ましくはそれらの塩化物が挙げられる。
【0049】
このようにして得られた金属アゾ顔料A)は、次いで、それらの水性懸濁液を濾過することにより、水性フィルターケーキとして単離することができる。このフィルターケーキは、たとえば熱水を用いて洗浄してから、標準的な乾燥方法によって乾燥させることができる。
【0050】
有用な乾燥方法の例としては、相当する水性スラリーのパドル乾燥又は噴霧乾燥が挙げられる。
【0051】
次いで、その顔料を粉砕再生してもよい。
【0052】
本発明の顔料調製物の中に存在する金属アゾ顔料A)はさらに、その中のMeがNi2+である式(I)の金属アゾ化合物のアダクトと、その中のMeがCu2+である式(I)の金属アゾ化合物のアダクトと、場合によっては1種又は複数の、その中のMeが金属イオンMe2である式(I)の金属アゾ化合物のアダクトとを混合することによって、調製することも可能である。
【0053】
本発明の顔料調製物の中に存在する脂肪族モノカルボン酸B)は、飽和又はモノ若しくはポリ不飽和であってよい。
【0054】
本発明の顔料調製物の中に存在する脂肪族モノカルボン酸B)は、好ましくは、10~22個の炭素原子を含むもので、飽和又はモノ不飽和~トリ不飽和のものである。
【0055】
本発明の顔料調製物の中に存在する脂肪族モノカルボン酸B)は、特に好ましくは、12~22個の炭素原子を含むもので、飽和又はモノ-若しくはジ不飽和のものである。
【0056】
本発明において使用するための、そのようなモノカルボン酸B)の例としては、以下のものが挙げられる;
n-デカン酸(カプリン酸、C10H20O2)、
ウンデス-10-エン酸(ウンデシレン酸、C11H20O2)、
ドデカン酸(ラウリン酸、C12H24O2)、
テトラデカン酸(ミリスチン酸、C14H28O2)、
ヘキサデカン酸(パルミチン酸、C16H32O2)、
オクタデカン酸(ステアリン酸、C18H36O2)、及び
(9Z)-オクタデス-9-エン酸(オレイン酸、C18H34O2)、並びに
n-ドコサン酸(ベヘン酸、C22H44O2)。
【0057】
本発明の顔料調製物の中に存在する脂肪族モノカルボン酸B)は、極めて特に好ましくは、14~18個の炭素原子を含むもので、飽和又はモノ不飽和のものである。
【0058】
本発明の顔料調製物の中に存在する脂肪族モノカルボン酸B)は、特別には、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、及び(9Z)-オクタデス-9-エン酸(オレイン酸)である。
【0059】
脂肪族モノカルボン酸B)は、たとえばUniqema(ICI)社から、純品の形又はカルボン酸の混合物として入手可能である。
【0060】
本発明の顔料調製物の中に存在する脂肪族モノカルボン酸B)は、純品な形でも、或いは混合物の形でもよい。
【0061】
本発明の顔料調製物の中に存在する脂肪族モノカルボン酸B)の混合物は、好ましくは、少なくとも1種の、14個の炭素原子を有する飽和若しくはモノ不飽和脂肪族モノカルボン酸、少なくとも1種の、16個の炭素原子を有する飽和若しくはモノ不飽和脂肪族モノカルボン酸、及び少なくとも1種の、18個の炭素原子を有する飽和若しくはモノ不飽和脂肪族モノカルボン酸を含む、混合物である。
【0062】
本発明において使用するための脂肪族モノカルボン酸B)の混合物には、好ましくは、0.5重量%~5重量%、好ましくは1重量%~3重量%の、少なくとも1種の、14個の炭素原子を有する飽和若しくはモノ不飽和脂肪族モノカルボン酸、25重量%~60重量%、好ましくは30重量%~50重量%の、少なくとも1種の、16個の炭素原子を有する飽和若しくはモノ不飽和脂肪族モノカルボン酸、及び40重量%~75重量%、好ましくは45重量%~65重量%の、少なくとも1種の、18個の炭素原子を有する飽和若しくはモノ不飽和脂肪族モノカルボン酸、が含まれる。
【0063】
本発明の顔料調製物の中に存在する脂肪族モノカルボン酸B)の混合物は、特に好ましくは、ミリスチン酸、パルミチン酸、及びステアリン酸を、上述の範囲の量で含む混合物である。
【0064】
そのような混合物は、UNIQEMA社からの商品名「Pristerene(登録商標)」としての市販製品が知られており、各種の化合物の各種の量の組成でのそれらの混合物は、4桁の数値コードで区分されている。本発明において好ましいのは、Pristerene(登録商標)4910(2重量%のミリスチン酸、30重量%のパルミチン酸、及び64重量%のステアリン酸の混合物を含む)、Pristerene(登録商標)4911(2重量%のミリスチン酸、45重量%のパルミチン酸、及び52重量%のステアリン酸の混合物を含む)、Pristerene(登録商標)4922(0.7重量%のミリスチン酸、30重量%のパルミチン酸、及び66重量%のステアリン酸の混合物を含む)、並びにPristerene(登録商標)9429である。
【0065】
本発明の顔料調製物には、一般的に、その金属アゾ顔料A)の中に存在している金属アゾ化合物(I)全部の1molを基準にして、70~210gの、少なくとも1種の脂肪族モノカルボン酸B)が含まれる。
【0066】
本発明の顔料調製物には、それぞれの場合において、その金属アゾ顔料A)の中に存在している金属アゾ化合物(I)全部の1molを基準にして、好ましくは100~180g、特に好ましくは120~160gの、少なくとも1種の脂肪族モノカルボン酸B)が含まれる。
【0067】
本発明の顔料調製物は、少なくとも1種の金属アゾ顔料A)を少なくとも1種の脂肪族モノカルボン酸B)と混合することにより製造することができる。
【0068】
その混合は、機械的手段、たとえばそして好ましくは、適切な撹拌装置たとえば、低速スターラー(たとえばパドルスターラー、ビームスターラー、プラネタリースターラー、又はジャイラトリーミキサー)又は高速スターラー(たとえばプロペラスターラー、タービンスターラー、ディスクスターラー、又はインペラースターラー)を使用する撹拌によって実施することができる。水力学的手段によって混合を実施することもまた可能であり、その場合、たとえば遠心ポンプを使用して、反応器の内容物を循環し続ける。
【0069】
この場合典型的には、金属アゾ顔料A)を、水性懸濁液の形態で、少なくとも1種の脂肪族モノカルボン酸B)と混合する。水性懸濁液を調製するためには、少なくとも1種の、乾燥させ、場合によっては摩砕した金属アゾ顔料A)を、必要とされる量の水と混合して、金属アゾ顔料の完全な懸濁液を作製する。
【0070】
しかしながら、金属アゾ顔料A)は、好ましくは、金属アゾ顔料A)を合成する際に得られた水性反応混合物の形態で直接使用することもまた可能である。
【0071】
本発明の顔料調製物を製造するためには、少なくとも1種の脂肪族モノカルボン酸B)を、少なくとも1種の金属アゾ顔料A)を含む顔料の水性懸濁液に、撹拌しながら、好ましくは60~95℃の範囲の温度で、好ましくは10~60分間の時間内で添加し、そのようにして得られた混合物を、好ましくは60~240分間撹拌する。次いで、その混合物のpHを、3~7の値に調節し、サクションフィルター又はフィルタープレスを使用してその顔料調製物を単離する。
【0072】
顔料調製物は、標準的な乾燥方法で乾燥させることができる。
【0073】
有用な乾燥方法の例としては、相当する水性スラリーのパドル乾燥又は噴霧乾燥が挙げられる。
【0074】
次いで、その顔料調製物を、再摩砕する。
【0075】
本発明の顔料調製物には、1種又は複数の助剤及び/又は添加剤が含まれていてよい。
【0076】
有用な助剤又は添加剤としては、一般的には、顔料調製物で慣用されるすべての助剤及び添加剤、たとえば分散剤、界面活性剤、湿潤剤、乳化剤、並びに塩基及び酸などの界面活性剤の群からのものが挙げられる。
【0077】
本発明はさらに、本発明の顔料調製物を製造するためのプロセスも提供するが、それは、少なくとも1種の金属アゾ顔料A)を、少なくとも1種の脂肪族モノカルボン酸B)、並びに場合によっては1種又は複数の助剤及び/又は添加剤と混合することを特徴としている。
【0078】
本発明の顔料調製物における、脂肪族モノカルボン酸B)対顔料A)の混合比は、それぞれの場合において、その金属アゾ顔料の中に存在している全部の金属アゾ化合物(I)の1モルを基準にして、一般的に70~210g、好ましくは100~180g、特に好ましくは120~160gである。
【0079】
本発明の顔料調製物は、驚くべきことには、特に良好な熱安定性を特徴とし、そしてさらには、極めて良好な分散性も有し、そしてそれに加えて、高い色の濃さも特徴としている。彩度及び透明度も、他に例を見ないほど、調節可能である。
【0080】
特に断らない限り、熱安定性に関連する数値はすべて、欧州標準規格DIN EN 12877-2に従った方法に基づいている。
【0081】
本発明の顔料調製物は、他に例を見ないほど、すべての顔料の末端用途に適している。
【0082】
本発明の顔料調製物は、合成、半合成、又は天然の高分子量物質、特には、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレン、又はポリプロピレンをバルク着色するため、天然、再生、又は合成繊維、たとえばセルロース、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、又はポリアミドの繊維などをスピン着色(spin dyeing)するため、そして織物及び紙に印刷(print)するためには、特に適している。
【0083】
以下の実施例は、本発明を説明することを目的としているが、本発明がそれらに限定される訳ではない。
【実施例】
【0084】
実施例I.
従来技術による、金属アゾバルビツル酸-メラミン顔料A~Uの調製法
実施例1:欧州特許出願公開第A26 82 435号明細書、実施例2に従った、ニッケルアゾバルビツル酸-メラミン顔料(顔料A)
a)粗顔料の調製
154.1g(1.0mol)のジアゾバルビツル酸及び128.1g(1.0mol)のバルビツル酸を、85℃で、3670gの蒸留水の中に導入した。次いで、水酸化カリウム水溶液を使用して、pHを5としてから、その反応混合物を90分間撹拌した。
【0085】
そのようにして調製したアゾバルビツル酸(1.0mol)に、82℃で、5000gの蒸留水を添加した。
【0086】
次いで、33gの30%塩酸を滴下により添加して、pHを2~2.5とした。次いで、264.8g(2.1mol)のメラミンを添加した。次いで、ほぼ25%溶液の形態にある塩化ニッケルの1.0molを、滴下により添加した。82℃で3時間経過してから、水酸化カリウムを添加して、pHを約5.5とした。
【0087】
b)後処理
それに続けて、約330gの蒸留水を用い、90℃でそれを希釈した。次いで、70gの30%塩酸を滴下により添加し、その反応混合物を、90℃で12時間撹拌した。次いで、水酸化カリウム水溶液を使用して、その反応混合物のpHを約5とした。
【0088】
c)仕上げ
次いで、その顔料を、サクションフィルター上で単離し、洗浄し、そして真空乾燥キャビネット中80℃で乾燥させ、標準的な実験室用ミル中で、約2分かけて摩砕した。(顔料A)
【0089】
実施例2~21:金属アゾバルビツル酸-メラミン顔料B~U
下の表1に列記した実施例2~21の顔料B~Uは、実施例1と同様にして調製したが、ただし、1.0molの塩化ニッケルを、それぞれの場合において、表1に示したモル量の、塩化ニッケル及び塩化銅(II)及び場合によってはMe2の金属の塩化物の混合物と置き換えた。
【0090】
分散硬度(dispersion hardness)の測定
顔料A~Uについて、その分散硬度を、下の方法1に記載したようにして、測定した。それらの数値は、表1に見ることができる。
【0091】
耐熱性の測定
顔料A~Uについて、その耐熱性を、下の方法2に記載したようにして、測定した。それらの数値は、表1に見ることができる。
【0092】
【0093】
II.顔料調製物の製造
実施例22:顔料調製物A-1(非本発明品)の製造
100gのPristerene 4910を、実施例1の工程b)の後に得られた顔料Aの水性懸濁液に添加し、その混合物を60分間撹拌した。次いで、水酸化カリウム水溶液を使用して、pHを5とした。その後で、その顔料調製物を、サクションフィルター上で単離し、洗浄し、そして真空乾燥キャビネット中80℃で乾燥させ、標準的な実験室用ミル中で、約2分かけて摩砕した。(=顔料調製物A-1)
【0094】
実施例23~38:顔料調製物A-2~A-17(非本発明品)の製造
実施例22と同様にして、顔料調製物A-2~A-17(非本発明品)を、実施例23~38で製造した。ここでは、表2に示したように、それぞれの場合において、様々な脂肪族カルボン酸B)又はそれらの混合物を、様々な量で、実施例1の工程b)の後に得られた顔料Aの水性懸濁液に添加した。
【0095】
分散硬度及び耐熱性の測定
顔料調製物A-1~A-17について、その分散硬度及び耐熱性を、それぞれ、下に示した方法1及び2に従って求めた。それらの数値も同様に、表2に見ることができる。
【0096】
【0097】
実施例39:顔料調製物B-1(非本発明品)の製造
50gのPristerene 4910を、実施例2の工程b)の後に得られた顔料Bの水性懸濁液に添加し、その混合物を60分間撹拌した。次いで、水酸化カリウム水溶液を使用して、pHを5とした。その後で、その顔料調製物を、サクションフィルター上で単離し、洗浄し、そして真空乾燥キャビネット中80℃で乾燥させ、標準的な実験室用ミル中で、約2分かけて摩砕した。(=顔料調製物B-1)
【0098】
実施例40~86:顔料調製物B-2~B-48(非本発明品)の製造
実施例39と同様にして、顔料調製物B-2~B-48(非本発明品)を、実施例40~86で製造した。ここでは、表3に示したように、それぞれの場合において、様々な脂肪族カルボン酸B)又はそれらの混合物を、様々な量で、実施例2の工程b)の後に得られた顔料Bの水性懸濁液に添加した。
【0099】
分散硬度及び耐熱性の測定
顔料調製物B-1~B-48について、その分散硬度及び耐熱性を、それぞれ、下に示した方法1及び2に従って求めた。それらの数値も同様に、表3に見ることができる。
【0100】
【0101】
【0102】
実施例87:顔料調製物C-1(非本発明品)の製造
50gのPristerene 4910を、実施例3の工程b)の後に得られた顔料Cの水性懸濁液に添加し、その混合物を60分間撹拌した。次いで、水酸化カリウム水溶液を使用して、pHを5とした。その後で、その顔料調製物を、サクションフィルター上で単離し、洗浄し、そして真空乾燥キャビネット中80℃で乾燥させ、標準的な実験室用ミル中で、約2分かけて摩砕した。(=顔料調製物C-1)
【0103】
実施例88~143:顔料調製物C-2~C-57(非本発明品及び本発明品)の製造
実施例87と同様にして、顔料調製物C-2~C-57(非本発明品及び本発明品)を、実施例88~143で製造した。ここでは、表4に示したように、それぞれの場合において、様々な脂肪族カルボン酸B)又はそれらの混合物を、様々な量で、実施例3の工程b)の後に得られた顔料Cの水性懸濁液に添加した。
【0104】
分散硬度及び耐熱性の測定
顔料調製物C-1~C-57について、その分散硬度及び耐熱性を、それぞれ、下に示した方法1及び2に従って求めた。それらの数値も同様に、表4に見ることができる。
【0105】
【0106】
【0107】
実施例144:顔料調製物D-1(非本発明品)の製造
50gのPristerene 4910を、実施例4の工程b)の後に得られた顔料Dの水性懸濁液に添加し、その混合物を60分間撹拌した。次いで、水酸化カリウム水溶液を使用して、pHを5とした。その後で、その顔料調製物を、サクションフィルター上で単離し、洗浄し、そして真空乾燥キャビネット中80℃で乾燥させ、標準的な実験室用ミル中で、約2分かけて摩砕した。
(=顔料調製物D-1)
【0108】
実施例145~177:顔料調製物D-2~D-34(非本発明品及び本発明品)の製造
実施例144と同様にして、顔料調製物(非本発明品及び本発明品)を、実施例145~177で製造した。ここでは、表5に示したように、それぞれの場合において、様々な脂肪族カルボン酸B)又はそれらの混合物を、様々な量で、実施例4の工程b)の後に得られた顔料Dの水性懸濁液に添加した。
【0109】
分散硬度及び耐熱性の測定
顔料調製物D-1~D-34について、その分散硬度及び耐熱性を、それぞれ、下に示した方法1及び2に従って求めた。それらの数値も同様に、表5に見ることができる。
【0110】
【0111】
実施例178:顔料調製物E-1(非本発明品)の製造
50gのPristerene 4910を、実施例5の工程b)の後に得られた顔料Eの水性懸濁液に添加し、その混合物を60分間撹拌した。次いで、水酸化カリウム水溶液を使用して、pHを5とした。その後で、その顔料調製物を、サクションフィルター上で単離し、洗浄し、そして真空乾燥キャビネット中80℃で乾燥させ、標準的な実験室用ミル中で、約2分かけて摩砕した。(=顔料調製物E-1)
【0112】
実施例179~259:顔料調製物E-2~E-81(非本発明品及び本発明品)の製造
実施例178と同様にして、顔料調製物E-2~E-81(本発明品及び非本発明品)を、実施例179~259で製造した。ここでは、表6に示したように、それぞれの場合において、様々な脂肪族カルボン酸B)又はそれらの混合物を、様々な量で、実施例5の工程b)の後に得られた顔料Eの水性懸濁液に添加した。
【0113】
分散硬度及び耐熱性の測定
顔料調製物E-1~E-81について、その分散硬度及び耐熱性を、それぞれ、下に示した方法1及び2に従って求めた。それらの数値も同様に、表6に見ることができる。
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
実施例260:顔料調製物F-1(非本発明品)の製造
50gのPristerene 4910を、実施例6の工程b)の後に得られた顔料Fの水性懸濁液に添加し、その混合物を60分間撹拌した。次いで、水酸化カリウム水溶液を使用して、pHを5とした。その後で、その顔料調製物を、サクションフィルター上で単離し、洗浄し、そして真空乾燥キャビネット中80℃で乾燥させ、標準的な実験室用ミル中で、約2分かけて摩砕した。(=顔料調製物F-1)
【0118】
実施例261~293:顔料調製物F-2~F-33(非本発明品及び本発明品)の製造
実施例260と同様にして、顔料調製物F-2~F-33(本発明品及び非本発明品)を、実施例261~293で製造した。ここでは、表7に示したように、それぞれの場合において、様々な脂肪族カルボン酸B)又はそれらの混合物を、様々な量で、実施例6の工程b)の後に得られた顔料Fの水性懸濁液に添加した。
【0119】
分散硬度及び耐熱性の測定
顔料調製物F-1~F-33について、その分散硬度及び耐熱性を、それぞれ、下に示した方法1及び2に従って求めた。それらの数値も同様に、表7に見ることができる。
【0120】
【0121】
実施例294:顔料調製物G-1(非本発明品)の製造
50gのPristerene 4910を、実施例7の工程b)の後に得られた顔料Gの水性懸濁液に添加し、その混合物を60分間撹拌した。次いで、水酸化カリウム水溶液を使用して、pHを5とした。その後で、その顔料調製物を、サクションフィルター上で単離し、洗浄し、そして真空乾燥キャビネット中80℃で乾燥させ、標準的な実験室用ミル中で、約2分かけて摩砕した。(=顔料調製物G-1)
【0122】
実施例295~374:顔料調製物G-2~G-81(非本発明品及び本発明品)の製造
実施例294と同様にして、顔料調製物G-2~G-81(本発明品及び非本発明品)を、実施例295~374で製造した。ここでは、表8に示したように、それぞれの場合において、様々な脂肪族カルボン酸B)又はそれらの混合物を、様々な量で、実施例7の工程b)の後に得られた顔料Gの水性懸濁液に添加した。
【0123】
分散硬度及び耐熱性の測定
顔料調製物G-1~G-81について、その分散硬度及び耐熱性を、それぞれ、下に示した方法1及び2に従って求めた。それらの数値も同様に、表8に見ることができる。
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
実施例375:顔料調製物H-1(非本発明品)の製造
50gのPristerene 4910を、実施例8の工程b)の後に得られた顔料Hの水性懸濁液に添加し、その混合物を60分間撹拌した。次いで、水酸化カリウム水溶液を使用して、pHを5とした。その後で、その顔料調製物を、サクションフィルター上で単離し、洗浄し、そして真空乾燥キャビネット中80℃で乾燥させ、標準的な実験室用ミル中で、約2分かけて摩砕した。(=顔料調製物H-1)
【0128】
実施例376~406:顔料調製物H-2~H-35(非本発明品及び本発明品)の製造
実施例375と同様にして、顔料調製物H-2~H-35(本発明品及び非本発明品)を、実施例376~406で製造した。ここでは、表9に示したように、それぞれの場合において、様々な脂肪族カルボン酸B)又はそれらの混合物を、様々な量で、実施例8の工程b)の後に得られた顔料Hの水性懸濁液に添加した。
【0129】
分散硬度及び耐熱性の測定
顔料調製物H-1~H-35について、その分散硬度及び耐熱性を、それぞれ、下に示した方法1及び2に従って求めた。それらの数値も同様に、表9に見ることができる。
【0130】
【0131】
実施例407:顔料調製物I-1(非本発明品)の製造
50gのPristerene 4910を、実施例9の工程b)の後に得られた顔料Iの水性懸濁液に添加し、その混合物を60分間撹拌した。次いで、水酸化カリウム水溶液を使用して、pHを5とした。その後で、その顔料調製物を、サクションフィルター上で単離し、洗浄し、そして真空乾燥キャビネット中80℃で乾燥させ、標準的な実験室用ミル中で、約2分かけて摩砕した。(=顔料調製物I-1)
【0132】
実施例408~438:顔料調製物I-2~I-32(非本発明品及び本発明品)の製造
実施例407と同様にして、顔料調製物I-2~I-32(本発明品及び非本発明品)を、実施例408~438で製造した。ここでは、表10に示したように、それぞれの場合において、様々な脂肪族カルボン酸B)又はそれらの混合物を、様々な量で、実施例9の工程b)の後に得られた顔料Iの水性懸濁液に添加した。
【0133】
分散硬度及び耐熱性の測定
顔料調製物I-1~I-32について、その分散硬度及び耐熱性を、それぞれ、下に示した方法1及び2に従って求めた。それらの数値も同様に、表10に見ることができる。
【0134】
【0135】
実施例439:顔料調製物J-1(非本発明品)の製造
50gのPristerene 4910を、実施例10の工程b)の後に得られた顔料Jの水性懸濁液に添加し、その混合物を60分間撹拌した。次いで、水酸化カリウム水溶液を使用して、pHを5とした。その後で、その顔料調製物を、サクションフィルター上で単離し、洗浄し、そして真空乾燥キャビネット中80℃で乾燥させ、標準的な実験室用ミル中で、約2分かけて摩砕した。(=顔料調製物J-1)
【0136】
実施例440~469:顔料調製物J-2~J-32(非本発明品及び本発明品)の製造
実施例439と同様にして、顔料調製物J-2~J-32(本発明品及び非本発明品)を、実施例440~469で製造した。ここでは、表11に示したように、それぞれの場合において、様々な脂肪族カルボン酸B)又はそれらの混合物を、様々な量で、実施例10の工程b)の後に得られた顔料Jの水性懸濁液に添加した。
【0137】
分散硬度及び耐熱性の測定
顔料調製物J-1~J-32について、その分散硬度及び耐熱性を、それぞれ、下に示した方法1及び2に従って求めた。それらの数値も同様に、表11に見ることができる。
【0138】
【0139】
実施例470:顔料調製物K-1(非本発明品)の製造
50gのPristerene 4910を、実施例11の工程b)の後に得られた顔料Kの水性懸濁液に添加し、その混合物を60分間撹拌した。次いで、水酸化カリウム水溶液を使用して、pHを5とした。その後で、その顔料調製物を、サクションフィルター上で単離し、洗浄し、そして真空乾燥キャビネット中80℃で乾燥させ、標準的な実験室用ミル中で、約2分かけて摩砕した。(=顔料調製物K-1)
【0140】
実施例471~501:顔料調製物K-2~K-32(非本発明品及び本発明品)の製造
実施例470と同様にして、顔料調製物K-2~K-32(本発明品及び非本発明品)を、実施例471~501で製造した。ここでは、表12に示したように、それぞれの場合において、様々な脂肪族カルボン酸B)又はそれらの混合物を、様々な量で、実施例11の工程b)の後に得られた顔料Kの水性懸濁液に添加した。
【0141】
分散硬度及び耐熱性の測定
顔料調製物K-1~K-32について、その分散硬度及び耐熱性を、それぞれ、下に示した方法1及び2に従って求めた。それらの数値も同様に、表12に見ることができる。
【0142】
【0143】
実施例502:顔料調製物L-1(非本発明品)の製造
50gのPristerene 4910を、実施例12の工程b)の後に得られた顔料Lの水性懸濁液に添加し、その混合物を60分間撹拌した。次いで、水酸化カリウム水溶液を使用して、pHを5とした。その後で、その顔料調製物を、サクションフィルター上で単離し、洗浄し、そして真空乾燥キャビネット中80℃で乾燥させ、標準的な実験室用ミル中で、約2分かけて摩砕した。(=顔料調製物L-1)
【0144】
実施例503~533:顔料調製物L-2~L-32(非本発明品及び本発明品)の製造
実施例502と同様にして、顔料調製物L-2~L-32(本発明品及び非本発明品)を、実施例503~533で製造した。ここでは、表13に示したように、それぞれの場合において、様々な脂肪族カルボン酸B)又はそれらの混合物を、様々な量で、実施例12の工程b)の後に得られた顔料Lの水性懸濁液に添加した。
【0145】
分散硬度及び耐熱性の測定
顔料調製物L-1~L-32について、その分散硬度及び耐熱性を、それぞれ、下に示した方法1及び2に従って求めた。それらの数値も同様に、表13に見ることができる。
【0146】
【0147】
実施例534:顔料調製物M-1(非本発明品)の製造
50gのPristerene 4910を、実施例13の工程b)の後に得られた顔料Mの水性懸濁液に添加し、その混合物を60分間撹拌した。次いで、水酸化カリウム水溶液を使用して、pHを5とした。その後で、その顔料調製物を、サクションフィルター上で単離し、洗浄し、そして真空乾燥キャビネット中80℃で乾燥させ、標準的な実験室用ミル中で、約2分かけて摩砕した。(=顔料調製物M-1)
【0148】
実施例535~565:顔料調製物M-2~M-32(非本発明品及び本発明品)の製造
実施例534と同様にして、顔料調製物M-2~M-32(本発明品及び非本発明品)を、実施例535~565で製造した。ここでは、表14に示したように、それぞれの場合において、様々な脂肪族カルボン酸B)又はそれらの混合物を、様々な量で、実施例13の工程b)の後に得られた顔料Mの水性懸濁液に添加した。
【0149】
分散硬度及び耐熱性の測定
顔料調製物M-1~M-32について、その分散硬度及び耐熱性を、それぞれ、下に示した方法1及び2に従って求めた。それらの数値も同様に、表14に見ることができる。
【0150】
【0151】
実施例566:顔料調製物N-1(非本発明品)の製造
50gのPristerene 4910を、実施例14の工程b)の後に得られた顔料Nの水性懸濁液に添加し、その混合物を60分間撹拌した。次いで、水酸化カリウム水溶液を使用して、pHを5とした。その後で、その顔料調製物を、サクションフィルター上で単離し、洗浄し、そして真空乾燥キャビネット中80℃で乾燥させ、標準的な実験室用ミル中で、約2分かけて摩砕した。(=顔料調製物N-1)
【0152】
実施例567~597:顔料調製物N-2~N-32(非本発明品及び本発明品)の製造
実施例566と同様にして、顔料調製物N-2~N-32(本発明品及び非本発明品)を、実施例567~597で製造した。ここでは、表15に示したように、それぞれの場合において、様々な脂肪族カルボン酸B)又はそれらの混合物を、様々な量で、実施例14の工程b)の後に得られた顔料Nの水性懸濁液に添加した。
【0153】
分散硬度及び耐熱性の測定
顔料調製物N-1~N-32について、その分散硬度及び耐熱性を、それぞれ、下に示した方法1及び2に従って求めた。それらの数値も同様に、表15に見ることができる。
【0154】
【0155】
実施例598:顔料調製物O-1(非本発明品)の製造
50gのPristerene 4910を、実施例15の工程b)の後に得られた顔料Oの水性懸濁液に添加し、その混合物を60分間撹拌した。次いで、水酸化カリウム水溶液を使用して、pHを5とした。その後で、その顔料調製物を、サクションフィルター上で単離し、洗浄し、そして真空乾燥キャビネット中80℃で乾燥させ、標準的な実験室用ミル中で、約2分かけて摩砕した。(=顔料調製物O-1)
【0156】
実施例599~629:顔料調製物O-2~O-32(非本発明品及び本発明品)の製造
実施例598と同様にして、顔料調製物O-2~O-32(本発明品及び非本発明品)を、実施例599~629で製造した。ここでは、表16に示したように、それぞれの場合において、様々な脂肪族カルボン酸B)又はそれらの混合物を、様々な量で、実施例15の工程b)の後に得られた顔料Oの水性懸濁液に添加した。
【0157】
分散硬度及び耐熱性の測定
顔料調製物O-1~O-32について、その分散硬度及び耐熱性を、それぞれ、下に示した方法1及び2に従って求めた。それらの数値も同様に、表16に見ることができる。
【0158】
【0159】
実施例630:顔料調製物P-1(非本発明品)の製造
50gのPristerene 4910を、実施例16の工程b)の後に得られた顔料Pの水性懸濁液に添加し、その混合物を60分間撹拌した。次いで、水酸化カリウム水溶液を使用して、pHを5とした。その後で、その顔料調製物を、サクションフィルター上で単離し、洗浄し、そして真空乾燥キャビネット中80℃で乾燥させ、標準的な実験室用ミル中で、約2分かけて摩砕した。(=顔料調製物P-1)
【0160】
実施例631~661:顔料調製物P-2~P-32(非本発明品及び本発明品)の製造
実施例630と同様にして、顔料調製物P-2~P-32(本発明品及び非本発明品)を、実施例631~661で製造した。ここでは、表17に示したように、それぞれの場合において、様々な脂肪族カルボン酸B)又はそれらの混合物を、様々な量で、実施例16の工程b)の後に得られた顔料Pの水性懸濁液に添加した。
【0161】
分散硬度及び耐熱性の測定
顔料調製物P-1~P-32について、その分散硬度及び耐熱性を、それぞれ、下に示した方法1及び2に従って求めた。それらの数値も同様に、表17に見ることができる。
【0162】
【0163】
実施例662:顔料調製物Q-1(非本発明品)の製造
50gのPristerene 4910を、実施例17の工程b)の後に得られた顔料Qの水性懸濁液に添加し、その混合物を60分間撹拌した。次いで、水酸化カリウム水溶液を使用して、pHを5とした。その後で、その顔料調製物を、サクションフィルター上で単離し、洗浄し、そして真空乾燥キャビネット中80℃で乾燥させ、標準的な実験室用ミル中で、約2分かけて摩砕した。(=顔料調製物Q-1)
【0164】
実施例663~694:顔料調製物Q-2~Q-32(非本発明品及び本発明品)の製造
実施例662と同様にして、顔料調製物Q-2~Q-32(本発明品及び非本発明品)を、実施例663~694で製造した。ここでは、表18に示したように、それぞれの場合において、様々な脂肪族カルボン酸B)又はそれらの混合物を、様々な量で、実施例17の工程b)の後に得られた顔料Qの水性懸濁液に添加した。
【0165】
分散硬度及び耐熱性の測定
顔料調製物Q-1~Q-32について、その分散硬度及び耐熱性を、それぞれ、下に示した方法1及び2に従って求めた。それらの数値も同様に、表18に見ることができる。
【0166】
【0167】
実施例695:顔料調製物R-1(非本発明品)の製造
50gのPristerene 4910を、実施例18の工程b)の後に得られた顔料Rの水性懸濁液に添加し、その混合物を60分間撹拌した。次いで、水酸化カリウム水溶液を使用して、pHを5とした。その後で、その顔料調製物を、サクションフィルター上で単離し、洗浄し、そして真空乾燥キャビネット中80℃で乾燥させ、標準的な実験室用ミル中で、約2分かけて摩砕した。(=顔料調製物R-1)
【0168】
実施例696~726:顔料調製物R-2~R-32(非本発明品及び本発明品)の製造
実施例695と同様にして、顔料調製物R-2~R-32(本発明品及び非本発明品)を、実施例696~726で製造した。ここでは、表19に示したように、それぞれの場合において、様々な脂肪族カルボン酸B)又はそれらの混合物を、様々な量で、実施例18の工程b)の後に得られた顔料Rの水性懸濁液に添加した。
【0169】
分散硬度及び耐熱性の測定
顔料調製物R-1~R-32について、その分散硬度及び耐熱性を、それぞれ、下に示した方法1及び2に従って求めた。それらの数値も同様に、表19に見ることができる。
【0170】
【0171】
実施例727:顔料調製物S-1(非本発明品)
50gのPristerene 4910を、実施例19の工程b)の後に得られた顔料Sの水性懸濁液に添加し、その混合物を60分間撹拌した。次いで、水酸化カリウム水溶液を使用して、pHを5とした。その後で、その顔料調製物を、サクションフィルター上で単離し、洗浄し、そして真空乾燥キャビネット中80℃で乾燥させ、標準的な実験室用ミル中で、約2分かけて摩砕した。(=顔料調製物S-1)
【0172】
実施例728~760:顔料調製物S-2~S-32(非本発明品及び本発明品)の製造
実施例727と同様にして、顔料調製物S-2~S-32(本発明品及び非本発明品)を、実施例728~760で製造した。ここでは、表20に示したように、それぞれの場合において、様々な脂肪族カルボン酸B)又はそれらの混合物を、様々な量で、実施例19の工程b)の後に得られた顔料Sの水性懸濁液に添加した。
【0173】
分散硬度及び耐熱性の測定
顔料調製物S-1~S-32について、その分散硬度及び耐熱性を、それぞれ、下に示した方法1及び2に従って求めた。それらの数値も同様に、表20に見ることができる。
【0174】
【0175】
実施例761:顔料調製物T-1(非本発明品)の製造
50gのPristerene 4910を、実施例20の工程b)の後に得られた顔料Tの水性懸濁液に添加し、その混合物を60分間撹拌した。次いで、水酸化カリウム水溶液を使用して、pHを5とした。その後で、その顔料調製物を、サクションフィルター上で単離し、洗浄し、そして真空乾燥キャビネット中80℃で乾燥させ、標準的な実験室用ミル中で、約2分かけて摩砕した。(=顔料調製物T-1)
【0176】
実施例762~792:顔料調製物T-2~T-32(非本発明品及び本発明品)の製造
実施例761と同様にして、顔料調製物T-2~T-32(本発明品及び非本発明品)を、実施例762~792で製造した。ここでは、表21に示したように、それぞれの場合において、様々な脂肪族カルボン酸B)又はそれらの混合物を、様々な量で、実施例20の工程b)の後に得られた顔料Tの水性懸濁液に添加した。
【0177】
分散硬度及び耐熱性の測定
顔料調製物T-1~T-32について、その分散硬度及び耐熱性を、それぞれ、下に示した方法1及び2に従って求めた。それらの数値も同様に、表21に見ることができる。
【0178】
【0179】
実施例793:顔料調製物U-1(非本発明品)の製造
50gのPristerene 4910を、実施例21の工程b)の後に得られた顔料Uの水性懸濁液に添加し、その混合物を60分間撹拌した。次いで、水酸化カリウム水溶液を使用して、pHを5とした。その後で、その顔料調製物を、サクションフィルター上で単離し、洗浄し、そして真空乾燥キャビネット中80℃で乾燥させ、標準的な実験室用ミル中で、約2分かけて摩砕した。(=顔料調製物U-1)
【0180】
実施例794~823:顔料調製物U-2~U-32(非本発明品及び本発明品)の製造
実施例793と同様にして、顔料調製物U-2~U-32(本発明品及び非本発明品)を、実施例794~823で製造した。ここでは、表22に示したように、それぞれの場合において、様々な脂肪族カルボン酸B)又はそれらの混合物を、様々な量で、実施例21の工程b)の後に得られた顔料Uの水性懸濁液に添加した。
【0181】
分散硬度及び耐熱性の測定
顔料調製物U-1~U-32について、その分散硬度及び耐熱性を、それぞれ、下に示した方法1及び2に従って求めた。それらの数値も同様に、表22に見ることができる。
【0182】
【0183】
【0184】
【0185】
実施例1~22により調製した顔料及び実施例23~823に従って製造した顔料調製物について、それぞれ、方法1による分散硬度及び方法2による熱安定性の測定を行った。
【0186】
方法1:分散硬度の測定
分散硬度は、DIN 53 775、part 7に従い、冷ロール温度25℃、熱ロール温度150℃を用いて測定した。
【0187】
本出願で報告する分散硬度はすべて、この修正DIN法によって求めたものである。
【0188】
20未満の分散硬度を有するサンプルは、「良好」と評価する。
【0189】
方法2:熱安定性の測定
熱安定性は、DIN EN 12877-2に従って測定する。
【0190】
この目的のためには、顔料調製物のサンプルをそれぞれ、試験媒体のポリアミド6(Durethan B30Sタイプ、1%の二酸化チタンを含む)と混合した。
【0191】
そのようにして作製したサンプルを、標準の方法Aに従い、それぞれの場合において、240℃でのスクリュー内滞在時間が2.5分、そして300℃でのスクリュー内滞在時間が5分の射出成形プロセスで加工した。
【0192】
そのようにして作製した射出成形物から、より低い試験温度で作製したサンプルと、より高い試験温度で作製したサンプルとの間の色差(dE)を、ISO 7724-2:1984、4.1.1、及びISO 7724-3に従った測色評価により求めた。
【0193】
2以下のdE値を有するサンプルを、「熱安定性がある」と評価する。
【0194】
結論
表1~22における測定値からも、本発明による顔料調製物のみが、低い分散硬度(20未満)と良好な熱安定性(dE<2)の両方を示すことが明らかである。このことから、本発明によらない顔料調製物は、本発明による顔料調製物よりも、分散性が低く(すなわち、プラスチックの中での加工性が低い)、そしてそれに加えて、はるかに低い熱安定性を示すということが言える。