(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20230516BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20230516BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20230516BHJP
A61B 5/107 20060101ALI20230516BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
G16H20/00
G06Q50/10
A61B5/00 M
A61B5/107 800
G09G5/00 530M
(21)【出願番号】P 2021180161
(22)【出願日】2021-11-04
(62)【分割の表示】P 2017091970の分割
【原出願日】2017-05-02
【審査請求日】2021-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本川 智紀
(72)【発明者】
【氏名】加藤 朋美
(72)【発明者】
【氏名】及川 優
(72)【発明者】
【氏名】中西 類子
(72)【発明者】
【氏名】飯田 隆
(72)【発明者】
【氏名】横田 幸信
(72)【発明者】
【氏名】村越 淳
(72)【発明者】
【氏名】寺田 知彦
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-242963(JP,A)
【文献】特開2014-119817(JP,A)
【文献】特開2011-173810(JP,A)
【文献】特表2006-516338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
G06Q 10/00 - 99/00
A61B 5/00
A61B 5/107
G09G 5/00
G09G 5/36
G09G 5/377
G09G 5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を出力する画像表示部と、
ユーザの入力を検知する入力部と、
一または複数の施策である施策群のユーザの実行の度合いの値と、当該施策群を当該実行の度合いの値の程度で実行したときの当該ユーザの肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つの良し悪しを数値化した情報であるスコアと、を認識するスコア認識部と、
前記スコア認識部が認識した前記ユーザの施策群の実行の度合いの値を示す表示と当該ユーザの前記肌状態、前記心状態及び前記体状態のうち少なくとも1つの前記スコアを示す表示とを前記画像表示部に出力させる出力制御部と、
前記入力部を介して、前記ユーザによる前記施策群の実行の度合いの値の指定を認識する指定認識部とを備え、
前記指定認識部が前記施策群の実行の度合いの値の指定を認識した場合、
前記スコア認識部は、前記施策群を前記指定された実行の度合いで実行したときの前記ユーザの肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つのスコアの予測値である予測スコアを、当該指定された実行の度合いの値を入力とし、当該ユーザの前記施策群の実行の度合いの情報と、肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つの情報とを分析して認識された、当該ユーザの、当該施策群ごとの実行の度合いと当該予測スコアの良し悪しとの相関関係を示す情報を用いて認識するように構成されており、
前記出力制御部は、前記予測スコアを示す表示を前記画像表示部に出力させる
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
情報を出力する画像表示部と、
ユーザの入力を検知する入力部と、
一または複数の施策である施策群のユーザの実行の度合いの値と、当該施策群を当該実行の度合いの値の程度で実行したときの当該ユーザの肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つの良し悪しを数値化した情報であるスコアと、を認識するスコア認識部と、
前記スコア認識部が認識した前記ユーザの施策群の実行の度合いの値を示す表示と当該ユーザの前記肌状態、前記心状態及び前記体状態のうち少なくとも1つの前記スコアを示す表示とを前記画像表示部に出力させる出力制御部と、
前記入力部を介して、前記ユーザによる前記施策群の実行の度合いの値の指定を認識する指定認識部とを備え、
前記指定認識部が前記施策群の実行の度合いの値の指定を認識した場合、
前記スコア認識部は、前記施策群を前記指定された実行の度合いで実行したときの前記ユーザの肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つのスコアの予測値である予測スコアを、当該指定された実行の度合いの値を入力とし、複数のユーザの前記施策群の実行の度合いの情報と、肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つの情報とを分析して認識された、当該複数のユーザの当該施策群ごとの実行の度合いと当該予測スコアの良し悪しとの相関関係を示す情報を用いて認識するように構成されており、
前記出力制御部は、前記予測スコアを示す表示を前記画像表示部に出力させる
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像表示装置において、
前記指定認識部が前記施策群の実行の度合いの値の指定を認識した場合、
前記スコア認識部は、前記施策群を前記指定された実行の度合いで実行したときの前記ユーザの肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つの前記予測スコアを、当該指定された実行の度合いの値を入力とし、前記複数のユーザの前記施策群の実行の度合いの情報と、属性を示す情報と、肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つの情報とを分析して認識された、当該ユーザと同様の属性を持つ他のユーザの前記相関関係を示す情報を用いて認識するように構成されている
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の画像表示装置において、
前記指定認識部が前記施策群の実行の度合いの値の指定を認識した場合、
前記出力制御部は、
前記画像表示部に出力させる前記施策群の実行度合いの値を前記指定認識部が認識した前記施策群の実行の度合いの値に変更し、かつ
前記画像表示部に出力させる前記ユーザの肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つの前記スコアの値を、前記スコア認識部が認識した前記予測スコアの値に変更するように構成されている
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の画像表示装置において、
前記スコア認識部は、所定期間における、前記施策群のユーザの実行の度合いの値と、当該施策群を当該実行の度合いの値の程度で実行したときの当該ユーザの肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つの良し悪しを数値化した前記スコアを認識し、
前記所定の期間は、前記スコア認識部が前記予測スコアを認識する処理を実行する時点以前の所定の期間であり、
前記出力制御部は、前記スコア認識部が認識した、前記所定期間における前記ユーザの前記施策群の実行の度合いの値を示す表示と、当該所定期間における当該ユーザの肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つの前記スコアを示す表示と、を前記画像表示部に出力させ、
前記指定認識部が前記施策群の実行の度合いの値の指定を認識した場合、
前記スコア認識部は、前記施策群を前記指定された実行の度合いで、前記所定期間と同一の期間において実行したときの前記ユーザの肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つの前記予測スコアを、当該指定された実行の度合いの値を入力とし、前記相関関係を示す情報を用いて認識するように構成されている
ことを特徴とする画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、肌状態のケアに関する様々なツールが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、化粧品販売員等がユーザに対して用いるカウンセリングツールとして、肌状態の典型的なパターンに対し、その肌の状態の説明をする肌状態説明部と、その肌の状態に必要なスキンケア方法の説明表示部とを備えたカウンセリングツールが記載されている。
【0004】
肌状態説明部は、肌状態の典型的なパターンとしての「水分が不足しがちな状態」という小見出しと、当該肌の状態についての「お肌を外的刺激から守るバリア機能も低下しやすく、………考えられます。」という説明文とを含む。
【0005】
スキンケア方法の説明表示部は、当該肌状態におけるスキンケア方法としての「やや不足している方 W保湿」及び「不足している方 W保湿+ローションマスク・クリーム」という見出しとが含まれている。
【0006】
化粧品販売員は、例えば、顧客の肌状態が水分がやや不足している状態であると判断した場合、スキンケア方法の説明表示部に表示された「W保湿」を行うよう勧めるなど、顧客の肌状態とカウンセリングツールとを突き合わせることで、肌のパターンに応じた施策を即座にユーザに対して提示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1の技術では、提案された施策をどの程度の実行の度合い(時間、量、1日当たりの回数、実行の頻度等)で行えばどのような肌状態になるのかをユーザに把握させることは難しかった。
【0009】
そこで、本発明は、ユーザに施策の実行の度合いと肌状態との関係を認識させることができる画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明の画像表示装置は、
情報を出力する画像表示部と、
ユーザの入力を検知する入力部と、
一または複数の施策である施策群のユーザの実行の度合いの値と、当該施策群を当該実行の度合いの値の程度で実行したときの当該ユーザの肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つの良し悪しを数値化した情報であるスコアと、を認識するスコア認識部と、
前記スコア認識部が認識した前記ユーザの施策群の実行の度合いの値を示す表示と当該ユーザの前記肌状態、前記心状態及び前記体状態のうち少なくとも1つの前記スコアを示す表示とを前記画像表示部に出力させる出力制御部と、
前記入力部を介して、前記ユーザによる前記施策群の実行の度合いの値の指定を認識する指定認識部とを備え、
前記指定認識部が前記施策群の実行の度合いの値の指定を認識した場合、
前記スコア認識部は、前記施策群を前記指定された実行の度合いで実行したときの前記ユーザの肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つのスコアの予測値である予測スコアを、当該指定された実行の度合いの値を入力とし、当該ユーザの前記施策群の実行の度合いの情報と、肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つの情報とを分析して認識された、当該ユーザの、当該施策群ごとの実行の度合いと当該予測スコアの良し悪しとの相関関係を示す情報を用いて認識するように構成されており、
前記出力制御部は、前記予測スコアを示す表示を前記画像表示部に出力させる
ことを特徴とする。
【0011】
また、第2発明の画像表示装置は、
情報を出力する画像表示部と、
ユーザの入力を検知する入力部と、
一または複数の施策である施策群のユーザの実行の度合いの値と、当該施策群を当該実行の度合いの値の程度で実行したときの当該ユーザの肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つの良し悪しを数値化した情報であるスコアと、を認識するスコア認識部と、
前記スコア認識部が認識した前記ユーザの施策群の実行の度合いの値を示す表示と当該ユーザの前記肌状態、前記心状態及び前記体状態のうち少なくとも1つの前記スコアを示す表示とを前記画像表示部に出力させる出力制御部と、
前記入力部を介して、前記ユーザによる前記施策群の実行の度合いの値の指定を認識する指定認識部とを備え、
前記指定認識部が前記施策群の実行の度合いの値の指定を認識した場合、
前記スコア認識部は、前記施策群を前記指定された実行の度合いで実行したときの前記ユーザの肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つのスコアの予測値である予測スコアを、当該指定された実行の度合いの値を入力とし、複数のユーザの前記施策群の実行の度合いの情報と、肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つの情報とを分析して認識された、当該複数のユーザの当該施策群ごとの実行の度合いと当該予測スコアの良し悪しとの相関関係を示す情報を用いて認識するように構成されており、
前記出力制御部は、前記予測スコアを示す表示を前記画像表示部に出力させる
ことを特徴とする。
【0012】
これらの構成の画像表示装置によれば、スコア認識部が認識した前記ユーザの施策群の実行の度合いの値を示す表示と当該ユーザの前記肌状態、前記心状態及び前記体状態のうち少なくとも1つの前記スコアを示す表示とが、出力制御部によって画像表示部に出力される。
そして、指定認識部がユーザによる施策群の実行の度合いの値の指定を認識した場合に、スコア認識部により、当該施策群を当該指定された実行の度合いで実行したときのユーザの肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つのスコアの予測値である予測スコアが認識され、出力制御部により当該予測スコアを示す表示が画像表示部に出力される。
これにより、施策の実行の度合いを変更したときのユーザの肌状態、心状態及び体状態のうちの少なくとも1つの予測スコアの表示を通じて、ユーザに施策の実行の度合いと肌状態との関係を直感的に認識させることができる。
【0013】
また第1発明においては、予測スコアは、当該ユーザの施策群の実行の度合いの情報と、肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つの情報とを分析して認識された、当該ユーザの、当該施策群ごとの実行の度合いと当該予測スコアの良し悪しとの相関関係を示す情報を用いて認識されるので、ユーザ自身の施策群の実行の度合いと、肌状態、心状態又は体状態の関係性の実態に即した予測スコアをユーザに認識させることができる。
【0014】
そして第2発明においては、予測スコアは、複数のユーザの施策群の実行の度合いの情報と、肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つの情報とを分析して認識された、当該複数のユーザの当該施策群ごとの実行の度合いと当該予測スコアの良し悪しとの相関関係を示す情報を用いて認識されるので、ユーザ自身のデータだけでなく、豊富なユーザの施策群の実行の度合いと、肌状態、心状態又は体状態の関係性の実態に即した予測スコアをユーザに認識させることができる。
【0015】
また、第2発明の画像表示装置において、
前記指定認識部が前記施策群の実行の度合いの値の指定を認識した場合、
前記スコア認識部は、前記施策群を前記指定された実行の度合いで実行したときの前記ユーザの肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つの前記予測スコアを、当該指定された実行の度合いの値を入力とし、前記複数のユーザの前記施策群の実行の度合いの情報と、属性を示す情報と、肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つの情報とを分析して認識された、当該ユーザと同様の属性を持つ他のユーザの前記相関関係を示す情報を用いて認識するように構成されている
ことが好ましい。
【0016】
同様の属性(例えば年齢、性別、住んでいる地域、嗜好、肌の特性、心の特性、体の特性など)を持つユーザの施策の実行の度合いとユーザの肌状態、心状態及び体状態との関係性は、相互に類似している蓋然性が高い。
本構成の画像表示装置によれば、予測スコアは、複数のユーザの施策群の実行の度合いの情報と、属性を示す情報と、肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つの情報とを分析して認識された、当該ユーザと同様の属性を持つ他のユーザの当該施策群ごとの実行の度合いと当該予測スコアの良し悪しとの相関関係を示す情報を用いて認識される。
これにより、ユーザと同様の属性を持つ、すなわち施策の実行の度合いとユーザの肌状態、心状態及び体状態との関係性が類似している蓋然性の高い、他のユーザの施策群の実行の度合いと、肌状態、心状態又は体状態の関係性の実態に即した予測スコアをユーザに認識させることができる。
【0017】
本発明の画像表示装置において、
前記指定認識部が前記施策群の実行の度合いの値の指定を認識した場合、
前記出力制御部は、
前記画像表示部に出力させる前記施策群の実行度合いの値を前記指定認識部が認識した前記施策群の実行の度合いの値に変更し、かつ
前記画像表示部に出力させる前記ユーザの肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つの前記スコアの値を、前記スコア認識部が認識した前記予測スコアの値に変更するように構成されている
ことが好ましい。
【0018】
当該構成の画像表示装置によれば、ユーザによる施策群の実行の度合いの値の指定に応じて、画像表示部に出力される施策群の実行度合いの値が当該指定された値に変更されるとともに、画像表示部に出力される肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つのスコアの値が、スコア認識部により認識された予測スコアの値に変更される。
これにより、施策の実行の度合いを変更したときのユーザの肌状態、心状態及び体状態のうちの少なくとも1つの予測スコアの表示を通じて、ユーザに施策の実行の度合いと肌状態との関係をより直感的に認識させることができる。
【0019】
本発明の画像表示装置において、
前記スコア認識部は、所定期間における、前記施策群のユーザの実行の度合いの値と、当該施策群を当該実行の度合いの値の程度で実行したときの当該ユーザの肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つの良し悪しを数値化した前記スコアを認識し、
前記所定の期間は、前記スコア認識部が前記予測スコアを認識する処理を実行する時点以前の所定の期間であり、
前記出力制御部は、前記スコア認識部が認識した、前記所定期間における前記ユーザの前記施策群の実行の度合いの値を示す表示と、当該所定期間における当該ユーザの肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つの前記スコアを示す表示と、を前記画像表示部に出力させ、
前記指定認識部が前記施策群の実行の度合いの値の指定を認識した場合、
前記スコア認識部は、前記施策群を前記指定された実行の度合いで、前記所定期間と同一の期間において実行したときの前記ユーザの肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つの前記予測スコアを、当該指定された実行の度合いの値を入力とし、前記相関関係を示す情報を用いて認識するように構成されている
ことが好ましい。
【0020】
当該構成の画像表示装置によれば、スコア認識部は、所定期間における、施策群のユーザの実行の度合いの値を入力とし、当該施策群を実行の度合いの値の程度で実行したときの当該ユーザの肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つの良し悪しを数値化した情報であるスコアを認識するように構成されている。なお、所定の期間は、スコア認識部が予測スコアを認識する処理を実行する時点以前の所定の期間である。
また指定認識部が施策群の実行の度合いの値の指定を認識した場合に、スコア認識部により、施策群を指定された実行の度合いで、所定期間と同一の期間において実行したときのユーザの肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つの予測スコアが認識される。
すなわち、予測スコアを認識する処理を実行する時点以前の所定の期間の施策の実行の度合いに基づいて、ある未来の時点の予測スコアではなく、当該同一期間において、施策群の実行の度合いが異なることによってユーザの肌状態、心状態及び体状態がどのように変化したはずだったかの予測スコアをユーザに認識させることができる。
これにより、本来であればもう少し施策の実行を頑張るべきだった、あるいはもう少し力を緩めてもよかったということを、ユーザに実感をもって認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】肌状態認識システム及びユーザ端末の構成図。
【
図3】肌状態認識システムによる一連の肌サポート処理の説明図。
【
図4】肌状態認識システムにおける処理の第1のフローチャート。
【
図5】肌状態認識システムにおける処理の第2のフローチャート。
【
図6】ユーザ端末における処理の第1のフローチャート。
【
図7】ユーザ端末における処理の第2のフローチャート。
【
図8】主観データ及び客観データによる肌、心、体の初期データの解析処理の説明図。
【
図11】
図11Aは各施策とその施策の改善傾向等との関係を示す図で、
図11Bは各工程のスケジュールを示す図で、
図11Cはなりたい肌と肌状態の主観状態、客観状態との関係を示す図。
【
図12】画像表示を実施している期間における日々のモニタリングに基づく進捗表の説明図。
【
図14】ユーザ端末における肌状態の改善度の表示画面の説明図。
【
図16】暮らし及び特殊事例の評価方法の説明図であり、
図16Aは暮らし及び特殊事例の評価基準を示し、
図16Bは暮らし及び特殊事例の評価例を示している。
【
図20】
図20Aは、所定の期間におけるユーザの肌状態のスコア、心状態のスコア及び体状態のスコアを示す図、
図20Bは、所定の期間におけるユーザの施策の実施状況を示す図。
【
図21】
図21Aは、所定の期間におけるユーザの各施策の実行の度合いを示す図、
図21Bは、所定の期間におけるユーザの各カテゴリーの実行の度合いを示す図。
【
図23】カテゴリーバーが押圧された時のシミュレーション画面を示す図。
【
図24】施策の実行度合いと、各スコアとの関係を示すグラフ。
【
図25】他の実施形態におけるシミュレーション画面の一例を示す図。
【
図26】他の実施形態におけるシミュレーション画面の別の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態の一例について、
図1~
図18を参照して説明する。
【0027】
[A.肌状態認識システムの利用形態]
図1を参照して、肌状態認識システム10の構成および本発明を構成する系に対する位置付けを説明する。肌状態認識システム10は、CPU、メモリ、各種インターフェース回路等を備えたコンピュータシステムにより構成される。肌状態認識システム10は、メモリに保持された画像表示用のプログラムをCPUで実行することによって、複数のユーザU(
図1ではUa,Ub,Ucを例示)の肌状態を改善又は維持するための処理
(画像表示処理)を実行する機能を実現する。
【0028】
肌状態認識システム10は、インターネット等の通信ネットワーク1を介して、複数のユーザUの通信端末(ユーザ端末)30(
図1では30a,30b,30cを例示)との間でデータ通信を行うことにより、ユーザUの肌状態の改善又は維持をサポートする。ユーザ端末30が、本発明の「画像表示装置」に相当する。
【0029】
通信ネットワーク1には、担当者T(
図1ではTa,Tbを例示)の通信端末50(
図1では50a,50bを例示)も接続されている。担当者Tは、通信端末50を介して、ユーザUの肌の特徴や趣味嗜好、生活スタイル等を考慮した適切な肌ケア法等の情報を含むデータを、肌状態認識システム10及びユーザ端末30に送信することにより、ユーザUの肌状態の改善に対するアドバイスを行う。なお、担当者Tの通信端末50とユーザUのユーザ端末30とは必ずしも一対一である必要はなく、肌状態認識システム10、担当者Tの通信端末50、通信ネットワーク1を合わせた系全体によってユーザUの肌状態の改善に対するアドバイスがユーザUのユーザ端末30に提供されればよい。例えば、ユーザUの1又は複数のユーザ端末30に対して、複数の担当者Tによってそれぞれの通信端末50を介してアドバイスを提供する方法でも良い。
【0030】
さらに、肌状態認識システム10は、複数のユーザUのユーザ端末30から送信される各ユーザの固有データを解析して、汎用的に活用可能な2次データを生成する機能を有し、この2次データを通信ネットワーク1を介して他のシステム60に提供するサービスも行うことができる。
【0031】
[B.肌状態認識システム、及びユーザ端末の構成]
図2を参照して、肌状態認識システム10およびユーザ端末30の構成について説明する。肌状態認識システム10は、メモリに保持された画像表示用のプログラムをCPUで実行することにより、肌状態認識部11、施策グループ選択部12、施策情報送信部13、及び2次データ生成部19として機能する。これらの構成による処理については後述する。また、肌状態認識システム10は、ユーザUの画像表示処理に使用する各種データを保持するサポートDB(データベース)20を備えている。このサポートDB20はたとえばRAM上に展開され、後述する主観および客観データの更新によって書き換え可能である。
【0032】
次に、本実施形態のユーザ端末30は、表示器31、タッチパネル32、カメラ33、マイク34、CPU35、及びメモリ36等を備えている。表示器31が、本発明の「画像表示部」に相当する。タッチパネル32が、本発明の「入力部」に相当する。これに代えてまたは加えて、カメラ33で撮像したユーザUの画像又はマイク34から入力されたユーザUの音声に基づいてユーザの指定を認識することにより、カメラ33又はマイク34を本発明の「入力部」として機能させてもよい。
【0033】
なお、一の装置が情報を「認識する」とは、一の装置が他の装置から当該情報を受信すること、一の装置が当該一の装置に接続された記憶媒体に記憶された情報を読み取ること、一の装置が当該一の装置に接続されたセンサから出力された信号に基づいて情報を取得すること、一の装置が、受信した情報又は記憶媒体に記憶された情報又はセンサから取得した情報に基づいて、所定の演算処理(計算処理又は検索処理など)を実行することにより当該情報を導出すること、一の装置が他の装置による演算処理結果としての当該情報を当該他の装置から受信すること、一の装置が当該受信信号にしたがって内部記憶装置又は外部記憶装置から当該情報を読み取ること等、当該情報を取得するためのあらゆる演算処理が実行されることを意味する。
【0034】
本実施形態においては、ユーザ端末30は例えばスマートフォンであるため、カメラ33やマイク34等を備えているが、ユーザ端末と有線無線にかかわらずやり取りできる構成であれば、外付けでの構成であったり、専門的な撮像装置を用いても良い。CPU35は、メモリ36に保持された画像表示用のアプリケーション35a(以下、肌サポートアプリ35aという)のプログラムを実行することにより、ユーザUが肌サポートアプリ35aを介して肌状態認識システム10によるサポートを享受可能な状態とする。肌サポートアプリ35aを実行したCPU35が、本発明の「スコア認識部」「出力制御部」及び「指定認識部」に相当する。
【0035】
また、ユーザUは、肌の細胞を取得するための角質採取テープ37(
図1では37a、37b、37cを例示)を別途有している。この角質採取テープ37は、予め担当者TによりユーザUに提供されたものであってもよいし、ユーザUが市販の角質採取テープ37を購入してもよい。
【0036】
なお、以下の説明では、説明の便宜のため、肌状態の改善又は維持のサポート処理の対象のユーザをユーザUaと表し、「ユーザUa」と異なるユーザを「他のユーザUb、Uc」と表す。
【0037】
[C.肌状態認識システムによる一連の処理]
次に、
図3を参照して、肌状態認識システムによる一連の処理について説明する。肌状態認識システム10は、「1.ゴール設定」、「2.スケジュール決定」、「3.モニタリング」、「4.スケジュール修正」、[5.ゴール判定]及び「6.2次データ生成」の各工程の処理を、
図4,5に示したフローチャートに従って実行する。また、ユーザ端末30は、各工程における肌状態認識システム10による処理に応じて、
図6,7に示したフローチャートによる処理を実行する。以下では、各工程における肌状態認識システム10及びユーザ端末30のCPU35の処理について、
図4~7に示したフローチャートを参照しつつ説明する。
【0038】
ユーザUaは、
図6のSTEP50で、肌サポートアプリ35aのプログラムをユーザ端末30にダウンロードして肌サポートアプリ35aを起動する。そして、ユーザUaは肌サポートアプリ35aへの登録申請を行う。
【0039】
肌状態認識システム10は、
図4のSTEP10で、ユーザUaからの登録申請を受け付けたときに、「ユーザUaからの登録申請を受け付けた」と認識し、STEP11に処理を進める。そしてSTEP11以降の画像表示処理を開始する。
【0040】
[D.ゴール設定工程]
図3に示した「1.ゴール設定」の工程は、肌状態認識部11及び施策グループ選択部12により実行される。施策グループ選択部12は、
図4のSTEP11でユーザ端末30にユーザUaの現状の肌、体、心の各状態、及びユーザUaが要望する肌状態を把握するための情報入力を促す初期情報要求データを送信する。
【0041】
この初期情報要求データを受信したユーザ端末30では、肌サポートアプリ35aが、
図6のSTEP51で、ユーザUaに対して、現状の肌、体、心の各状態、及びユーザUaが要望する肌状態の入力を促す画面を表示器31に表示する。それに対してユーザ端末30は、ユーザUaが入力した情報を含む初期ユーザ情報データを、肌状態認識システム10に送信する。 肌状態認識部11は、
図4のSTEP11において、初期ユーザ情報データを受信して、初期ユーザ情報データから認識したユーザUaの肌、心、体の各状態と、ユーザUaが要望する肌状態とに基づいて、肌状態の目標レベル(ゴール)を設定する。
【0042】
ここで、初期ユーザ情報データには、肌状態、体状態、及び心状態についての主観データ及び客観データが含まれている。詳細な定義は後述するが、主観データはユーザの主観によって判定される項目、客観データは検査結果や画像解析、事実情報に基づいたデータである。肌状態の主観データは、現状の肌状態に対するユーザUaの満足度を、例えば10段階で示したデータである。肌状態の客観データは、ユーザUaの肌画像データである。なお、肌状態の客観データには、初期ユーザ情報データに含まれる肌状態の客観データに加え、角質採取テープ37により採取されたユーザUaの角層細胞の解析データが含まれても良い。角層細胞の解析データは、具体的には例えば保水能力と皮脂適格性に関するデータである。この場合、角層細胞の解析を、例えばユーザ端末30に接続された測定機器45により行うことで、或は、角質採取テープ37の画像データをユーザ端末30から肌状態認識システム10に送信し、肌状態認識システム10側で角質採取テープ37の画像を分析して保水能力と皮脂適格性などを測定してもよい。
【0043】
ユーザUaの満足度は肌サポートアプリ35aにおけるアンケート入力によって取得される。また、肌画像データは、ユーザ端末30のカメラ33又は接続端子40に接続された外部カメラによってユーザUaがユーザUaの顔を撮像することによって取得した画像データである。
【0044】
また、肌サポートアプリ35aは、ユーザUaに対して、角質採取テープ37の使用方法を表示器31に表示し、角質採取テープ37の使用と別途の郵送とを促す。肌サポートアプリ35aは、ユーザUaに対して、角質採取テープ37の使用と肌画像の撮像を促し、撮像された画像が肌状態認識システム10に送信されるようにしてもよい。
【0045】
肌状態認識部11は、
図8に示したように、肌状態の初期値を、主観のスコアをたとえば3、肌画像のスコアを3、保水能力のスコアを2、皮脂適格性のスコアを1に割り当てて、合計した値を肌状態のスコアとする。なお、スコアは正の整数ではなく、小数で表現されていてもよいし、負の数で表されてもよい。
【0046】
角層細胞の解析による保水能力スコア及び皮脂適格性のスコアの認識を第1認識方法と呼ぶ。第1認識方法は、これに代えてまたは加えて、角層水分量計によりユーザの肌の水分量を計測する方法及び皮脂量計によりユーザの肌の皮脂量を計測する方法のうち少なくとも1つを含む。また、第1の認識方法によるユーザの肌の認識を定期的に行うため、肌状態認識部11は、定期的にユーザ端末30に角質採取テープ37等の使用を促すメッセージを送信したりすることにより、ユーザに行動を促す。このときの「定期的」というのは厳密に時間的に等間隔である必要はなく、肌状態に影響が出ない範囲で等間隔であれば良い。例えば、3ヶ月ごとに第1の認識方法を実施する場合において、1月1日に初回を実施した場合、ちょうど3か月後の4月1日のみならず、例えばその1週間前の3月24日前後にユーザ端末30にメッセージを送信してもよいし、例えばその1週間後の4月8日前後にユーザ端末30にメッセージを送信してもよい。また、長期的にサービスを提供するときなどは、例えば細かい改善を調べたい時は1ヶ月ごとに第1の認識方法を設定し、肌状態に対する季節変化の影響を調べるために3か月ごとに第1の認識方法を設定するなど、認識のタイミングは変更可能である。
【0047】
アンケート入力による肌状態の主観データに基づいて主観スコアの認識及びユーザUaの肌画像データに基づく肌画像スコアの認識のそれぞれを第2認識方法と呼ぶ。第2認識方法は、アンケート入力による肌状態の主観データに基づいて主観スコアの認識及びユーザUaの肌画像データに基づく肌画像スコアの認識の一方によってユーザUaの肌状態を認識してもよいし、これらと異なる方法を含んでもよい。また、第2認識方法は、第1の認識方法よりも頻繁に行われる。これは角質採取テープ37の使用・郵送が手間的にも煩雑かつ値段的にも高価になってしまうためである。また、角質採取テープ37の使用が頻繁であると、ユーザUaの肌へ悪影響が及ぶおそれもある。
【0048】
例えば3か月間ごとに第1の認識方法が実施され、第2の認識方法は毎日実施にされる。また、第1の認識方法の実施と第2の認識方法の実施のタイミングが重なる時は、できれば同じタイミングで実施されると精度の良いデータが取れるために好ましい。ただし第1の認識方法の実施時に第2の認識方法が実施されなくても本発明の実施は可能であるし、効果も得られる。
【0049】
なお、主観スコアは、主観データに基づいて認識されたスコアであればよい。
【0050】
体状態の主観データと客観データは、
図9に示したように分けられている。詳細な定義は後述するが、肌の主観データおよび客観データと同様に、主観データはユーザUaの主観によって判定される項目、客観データは検査結果や画像解析、事実情報に基づいたデータである。体状態の主観データは、ユーザUaが肌サポートアプリ35aを通じてアンケートを入力することによって取得される。客観データは、ユーザUaがユーザ端末30のカメラ33を用いて撮像されたユーザUaの舌・唇の画像データ、ユーザ端末30の接続端子40に接続された測定機器45により測定されたユーザUaの血圧、不整脈、尿中成分、血中成分等の測定データと、肌サポートアプリ35aにおけるアンケート入力により取得された頭痛又は肩こり等の体調不良の回数、疲労度判定等のデータである。なお、将来の肌ケア以外のサービスへの展開に備えて、種々の病気の発生情報などについても初
期ユーザ情報データに含めてもよい。
【0051】
心状態の主観データと客観データは、
図10に示したように分けられている。、詳細な定義は後述するが、肌の主観データおよび客観データと同様に、主観データはユーザUaの主観によって判定される項目、客観データは検査結果や画像解析、事実情報に基づいたデータである。主観データは、肌サポートアプリ35aにおけるアンケート入力によって取得される。客観データは、肌サポートアプリ35aにおけるアンケート入力(一日の笑った頻度等)と、測定機器による測定(脈拍モニタリングからの心理状態推定等)とにより取得される。なお、将来の肌ケア以外のサービスの展開に備えて、種々の精神疾患の発生情報についても初期ユーザ情報データに含めてもよい。
【0052】
肌状態認識部11は、認識したユーザUaの肌、体、心の状態の主観データ及び客観データを、サポートDB20に記憶する。
【0053】
肌状態認識部11は、このようにして初期ユーザ情報データから認識したユーザUaの肌状態、体状態、及び心状態の主観データと客観データに基づいて、
図8の右側の三角形で示したように、肌状態を1~9、体状態を1~6、心状態を1~6の各スコアで表した3軸の初期値を設定する。なお、肌状態のスコアと同様に、体状態又は心状態の主観データ及び客観データから体状態又は心状態の主観スコア及び客観スコアが算出され、それらに基づいて体状態のスコア及び心状態のスコアとして扱われてもよい。
【0054】
さらに、施策グループ選択部12は、初期ユーザ情報データに含まれる「なりたい肌レベル」「施策のカテゴリー、希望、頻度」及び「現在行っている施策」を取得する。「なりたい肌レベル」「施策のカテゴリー,希望,頻度」及び「現在行っている施策」は、肌サポートアプリ35aにより、ユーザUaが入力したものである。
【0055】
ここで、「なりたい肌レベル」において、「なりたい肌」とは、乾燥感改善、ごわつき改善、敏感肌改善、ニキビ改善、しぼみ感改善、シミ改善、シワ改善、たるみ改善、くすみ改善、くま改善、顔色改善、及びハリ改善の中から選択された肌状態の改善対象である。また、「レベル」とは、各対象の肌状態に対するユーザUaの満足度であって、肌サポートアプリにおいて1~10の10段階でユーザが選択したレベルである。
【0056】
サポートDB20は、各改善対象に関連付けられた肌状態の主観状態の改善傾向及び客観状態の改善傾向を記憶している。例えば、
図11Cに示されるように、「乾燥感改善」には、肌状態の主観状態「乾燥感改善」と、肌状態の客観状態の基準「保水能力と皮脂適格性との差を最小化」とが関連付けられている。
【0057】
例えば、「なりたい肌」が「乾燥感改善」であり、現状の肌状態の乾燥感の満足度のレベルが3であるときに、ユーザUaの選択に応じて、「乾燥感改善」と関連付けられたユーザUaの肌状態の主観状態「乾燥感改善」についての満足度5が主観的な目標レベルとして設定される。
【0058】
また、施策グループ選択部12は、「乾燥感改善」に関連付けられた肌状態の客観的な改善対象を設定する。例えば、施策グループ選択部12は、「乾燥感改善」に関連付けられた基準「保水能力と皮脂適格性との差を最小化」に基づいて、ユーザUaの肌状態のうち、保水能力よりも低い皮脂適格性の値2を客観的な目標レベルとして設定する。
【0059】
また、「施策のカテゴリー、希望、頻度」において、カテゴリーとしては「食生活、自宅での行動、運動、化粧品の使い方」等、希望としては「難易度、時間制約、肌ケアを行うシーン」等、頻度としては「1日当たりのアドバイスを受ける回数」等が選択される。
【0060】
「現在行っている施策」は、ユーザUaがすでに行っている施策であり、「湯船につかる」等の内容及び頻度又は程度などにより表される。
【0061】
[E.スケジュール決定工程]
図3に示した「2.スケジュール決定」の工程は、施策グループ選択部12及び施策情報送信部13により実行される。施策グループ選択部12は、
図4のSTEP12で、ゴール(主観的な目標レベル及び客観的な目標レベル)を達成するための施策グループを選択する。この選択は、上述した各改善対象に関連付けられた、肌状態の主観状態の改善傾向と肌状態の客観状態の改善傾向と適した周辺環境とを考慮して行われる。施策グループ選択部12は、あらかじめ登録された地域またはGPSセンサ等によって検出された位置情報と、端末の時計機能から取得した日時とに基づいて、スケジュール期間におけるユーザUaの周辺環境の温度、湿度等を予測する。
【0062】
例えば、施策グループ選択部12は、カテゴリーの希望が「自宅での行動、食生活、運動」であり、梅雨の時期のように湿度が平均50%と予測される季節であり、主観的な目標レベルが「乾燥感」の満足度5以上、客観的な目標レベルが皮脂適格性2以上である場合、主観状態の改善傾向が「乾燥感改善」を含み、客観状態の改善傾向が「皮脂適格性向上」を含み、カテゴリーに「自宅での行動、食生活、運動」のいずれかであり、適した周辺環境が湿度50%と矛盾しない施策を選択する。
【0063】
ここで、主観状態の改善傾向及び客観状態の改善傾向は、予め担当者T等の専門家によって定められたものであってもよいし、サポートDB20に記憶された他のユーザUb、Ucが実施した施策と他のユーザUb、Ucの肌状態の時系列的変化に基づいて推定される主観状態の改善傾向及び客観状態の改善傾向であってもよいし、実施した施策とユーザUaの肌状態の時系列的変化がサポートDB20に保存されている場合には、当該情報に基づいて推定される主観状態の改善傾向及び客観状態の改善傾向であってもよい。
【0064】
例えば、サポートDB20には、他のユーザUb、Ucのそれぞれが実施した施策と、その施策を実施した前後の他のユーザUb、Ucそれぞれごとの肌状態の主観データの時系列的変化及び他のユーザUb、Ucそれぞれごとの肌状態の客観データの時系列的変化の一方又は両方とが記憶される。
【0065】
また、例えば、サポートDB20には、他のユーザUb、Ucのそれぞれが実施した施策「湯船につかる」と、その施策を実施した前後における、他のユーザUb、Ucそれぞれの肌状態の主観状態の時系列的変化としての「乾燥感についての満足度」が記憶されているとする。
【0066】
このとき、施策グループ選択部12は、各他のユーザUb、Ucごとに、施策「湯船につかる」について、例えば、湯船につかる前日と、湯船につかった日の肌状態の主観データ(乾燥感についての満足度)の変化量を算出する。そして、施策グループ選択部12は、各他のユーザUb、Ucごとの乾燥感についての満足度の変化量の平均値をとる。施策グループ選択部12は、例えば、「乾燥感についての満足度」の変化量の平均値が所定値以上である場合に、施策「湯船につかる」の主観状態の改善傾向を「乾燥感改善」と認識する。客観状態の改善傾向についても、主観状態の改善傾向と同様に認識できる。
【0067】
施策グループ選択部12は、ユーザUaの年齢及び肌状態に基づいて、同年代、同様の肌状態等、処理対象とする他のユーザUb、Ucの範囲を絞ってもよい。
【0068】
また、施策グループ選択部12は、サポートDBに実施した施策とユーザUaの肌状態の時系列的変化が保存されている場合には、上記と同様にして算出した当該情報に基づいて推定される主観状態の改善傾向及び客観状態の改善傾向を認識してもよい。
【0069】
施策グループ選択部12は、ユーザUaの第1回目のスケジュール決定工程においては、他のユーザUb、Ucの肌状態の主観データ、客観データから上記主観状態の改善傾向及び客観状態の改善傾向を認識し、ユーザUaの第2回目のスケジュール決定工程においてはユーザUaの肌状態の主観データ、客観データから主観状態の改善傾向及び客観状態の改善傾向を認識してもよい。
【0070】
施策グループ選択部12は、肌状態のみならず、心状態、体状態についても同様に主観状態の改善傾向及び客観状態の改善傾向を認識し、当該心状態、体状態の主観状態の改善傾向及び客観状態の改善傾向を加味して施策を選択してもよい。
【0071】
施策グループ選択部12は、「現在行っている施策」と同内容及び同頻度または同程度の施策を施策グループから除外してもよい。ユーザが既に行っている施策は、提案するまでもないと考えられるからである。
【0072】
図11Aの例では、施策グループ選択部12は、「湯船につかる」「ビタミンC摂取」「野菜摂取」「1万歩以上歩く」を含むように複数の施策の組合せである施策グループを選択する。
【0073】
施策情報送信部13は、施策グループの中から、ユーザUaの「施策のカテゴリー、希望、頻度」に応じて施策の優先度を評価し、当該優先度に従って初期の施策を決定する。
図12には、初期の施策として「湯船につかる」「野菜摂取」「1万歩以上歩く」が選択されたスケジュールの例を示している。施策情報送信部13は、このようにして決定したスケジュールの内容を示すスケジュールデータをユーザ端末30に送信する。
【0074】
施策情報送信部13は、併せて、ユーザUaの指定を基に、一定期間の各工程の実施の計画を作成する。
図11Bには、START時にゴール設定とスケジュール決定を行い、毎日モニタリングをし、1週間ごとにスケジュール修正を行い、1か月後に進捗グラフを作成し、3か月目にゴール判定と新たなゴール設定を行うという一連のイベントの計画が示されている。施策情報送信部13は、ユーザUaの指定に加えてまたは代えて、あらかじめ定められた、一定期間の各工程の実施の計画を用いてもよい。
【0075】
ユーザ端末30において、
図6のSTEP52で、肌状態認識システム10からスケジュールデータを受信すると、肌サポートアプリ35aは、
図12に示したようなスケジュールの実行表及び
図11Bに示したような作業内容の計画を表示可能にして、ユーザUaによる各施策の実施を促す。
図12のスケジュールの実行表においては、各施策(「湯船につかる」、「野菜摂取」、「1万歩以上歩く」)の内容が表示される。
【0076】
[F.モニタリング工程]
図3に示した「3.モニタリング」の工程は、ユーザUaが肌サポートアプリ35a上で設定した期間ごとに(
図11Bでは毎日)、肌状態認識部11及び施策情報送信部13により実行される。肌サポートアプリ35aの利用を開始したユーザUaは、ユーザ端末30により、日々の肌、体、心の各状態と、スケジュールにより指示された施策の実施状況と、スケジュールにより指示された施策以外のユーザUaの自主的な行動(施策外行動)の実施状況とを入力する。施策の実施状況には、「湯船につかる」、「野菜摂取」、「1万歩以上歩く」をそれぞれ実施したかどうかを示す情報のほか、「30分」および「湯船につかる」、「300g」および「野菜を摂取」、「1万5千歩」および「歩く」など、時間、量などで表される施策の実行の度合いが含まれる。
【0077】
肌サポートアプリ35aは、
図6のSTEP53で、ユーザUaにより肌、体、心の状態が入力されるとSTEP60に処理を進め、上述した初期ユーザ情報データと同様に、ユーザUaの肌、体、心の状態についての主観データと客観データを含む現状ユーザ情報データを肌状態認識システム10に送信してSTEP54に処理を進める。なお、肌サポートアプリ35aは、
図6のSTEP53で、ユーザUaにより肌、体、心の状態が入力されない場合、そのままSTEP54に処理を進める。ここで送信されるデータには、角質採取テープ37によって採取された角層細胞に関するデータは含まれない。
【0078】
また、肌サポートアプリ35aは、
図6のSTEP54で、ユーザUaによりスケジュールの実行状況(各施策の実行状況)が入力されたときにSTEP61に処理を進め、スケジュールの実行状況を示す実行状況データを肌状態認識システム10に送信して
図7のSTEP55に処理を進める。なお、肌サポートアプリ35aは、
図6のSTEP54で、ユーザUaによりスケジュールの実行状況(各施策の実行状況)が入力されない時は、そのままSTEP55に処理を進める。
【0079】
さらに、肌サポートアプリ35aは、
図7のSTEP55で、ユーザUaにより施策外行動の実施状況が入力されたときにSTEP62に処理を進め、実施された施策外行動の内容を示す施策外行動実施データを肌状態認識システム10に送信してSTEP56に処理を進める。なお、肌サポートアプリ35aは、
図7のSTEP55で、ユーザUaにより施策外行動の実施状況が入力されないときには、そのままSTEP56に処理を進める。
【0080】
図4のSTEP13~
図5のSTEP16、及び
図4のSTEP20~STEP22は、施策情報送信部13による処理である。肌状態認識部11は、STEP13でユーザ端末30から現状ユーザ情報データを受信したときにSTEP20に処理を進め、現状ユーザ情報データをサポートDB20に蓄積してSTEP14に処理を進める。なお、肌状態認識部11は、STEP13でユーザ端末30から現状ユーザ情報データを受信しないときは、STEP14にそのまま処理を進める。
【0081】
また、施策情報送信部13は、STEP14でユーザ端末30から実行状況データを受信したときにSTEP21に処理を進め、実行状況データをサポートDB20に蓄積してSTEP15に処理を進める。一方で、STEP14でユーザ端末30から実行状況データを受信していないと判定された場合は、そのままSTEP15に処理を進める。
【0082】
さらに、施策情報送信部13は、STEP15でユーザ端末30から施策外行動実施データを受信したときにSTEP22に処理を進め、施策外行動実施データをサポートDB20に蓄積して
図5のSTEP16に処理を進める。一方で、施策情報送信部13は、STEP15でユーザ端末30から施策外行動実施データを受信しない時は、そのまま
図5のSTEP16に処理を進める。
【0083】
図5に移って、STEP16で、施策情報送信部13は、サポートDB20に蓄積されたユーザUaの初期ユーザ情報データ、現状ユーザ情報データ、実行状況データ、及び施策外行動実施データ等に基づいて、スケジュールの進捗状況を示す進捗表データを作成し、この進捗表データをユーザ端末30に送信する。
【0084】
ここで、スケジュールの進捗表は、例えば
図12に示したように、上から順に、肌状態(ここでは乾燥肌)のレベル、体状態のレベル、心状態のレベル、施策(湯船につかる、野菜摂取、1万歩以上歩く)の実施状況、暮らし情報(野菜摂取量、水分摂取量)、及び暮らし特殊事例が、1日単位で表示する構成となっている。
【0085】
また、スケジュール進捗表には、施策の実行度合い(「30分」湯船につかる、「300g」野菜摂取、「1万5千歩」歩く)が含まれている。
【0086】
ユーザ端末30において、肌サポートアプリ35aは、
図7のSTEP56で、肌状態認識システム10から送信された進捗表データを受信したときにSTEP63に処理を進め、進捗表データをメモリ36に保持する。肌サポートアプリ35aは、メモリ36に格納された進捗表データを用いて、
図12に示した進捗表をユーザ端末30の表示器31に表示する。
【0087】
また、肌サポートアプリ35aは、進捗表データの他に、通信を介して認識した、肌状態認識システム10のサポートDB20に蓄積されたユーザUaの初期ユーザ情報データ、現状ユーザ情報データ、実行状況データ、施策外行動実施データ等を用いて、ユーザUaの肌、体、心の各状態の推移や変化を示す情報を、ユーザ端末30の表示器31に表示する。
【0088】
例えば、肌サポートアプリ35aは、
図13に示したように、スケジュールによる施策以外のユーザUaの行動(洗顔法の変更、マッサージを受けた等)、及びユーザの体調(生理、睡眠不足等)と、ユーザUaの肌状態の変化の関係を日単位の時系列グラフで、表示器31に表示する。
【0089】
また、肌サポートアプリ35aは、
図14に示したように、一カ月単位で、ユーザUaの角質状態を含む肌状態、心理状態、肌ケアの満足度、及び化粧品の使い方の評価値の変化を対比したレーダーチャートを表示器31に表示する。
【0090】
ユーザUaは、肌サポートアプリ35aによるこれらの表示を視認して、自身の肌、体、心の各状態の変化を確認することにより、肌の改善度と共に、体と心の状態の変化も把握することができるため、肌、体、及び心の状態をバランス良く改善しながら、目標とする肌状態のゴールへの到達することができる。
【0091】
また、肌サポートアプリ35aは、STEP63の後、STEP64に進み、
図19に示されるシミュレータ表示処理を実行する。シミュレータ表示処理の詳細については後述する。
【0092】
[G.スケジュール修正]
図3に示した「4.スケジュール修正」の工程は、ユーザUaが肌サポートアプリ35a上で設定した期間ごとに(
図11Bでは1週間ごとに)、施策情報送信部13により実行される。
図5のSTEP17~STEP20、及びSTEP30~STEP33が、施策情報送信部13による処理である。
【0093】
施策情報送信部13は、STEP17で、サポートDB20に蓄積されたユーザUaの初期ユーザ情報データ、現状ユーザ情報データ、及び実行状況データ等に基づいて、ユーザUa肌状態の目標達成度、スケジュールに組み込まれた各施策の実行度、及び各施策の効果を評価する。
【0094】
施策情報送信部13は、
図15Aに示した施策の評価基準を用いて、肌状態と体又は心の状態との相関関係を抽出し、この相関関係に基づいて、スケジュールに組み込まれた各施策の継続、施策グループからの除外、施策の中止、別の施策への変更を判断する。
【0095】
図15Aの評価基準では、判定項目として、実施の有無、肌への影響、体への影響、心への影響という四項目が使用され、実施率が所定実施率を超え、肌に良い影響があり、且つ、体と心に悪い影響がない施策については、A評価となって継続と判断される。なお、
図15Aでは、実施率が所定の実施率を超えた施策を「実施」として表記し、実施率が所定の実施率以下であった施策を「不実施」として表記している。
図12及び
図15Bでも同様である。
【0096】
施策の影響のタイミングと影響が継続する期間が施策ごとに定められている場合、施策情報送信部13は、施策の影響のタイミングと施策の影響が継続する期間に基づいて、各施策の影響を判定してもよい。
【0097】
例えば、「湯船につかる」という施策の肌への影響、体への影響、心への影響は、翌日に影響が出、1日だけ継続すると定められていた場合、施策情報送信部13は、例えば12月15日の「湯船につかる」という施策の影響は、12月16日の各状態に反映されていると判断する。
【0098】
また、「野菜摂取」という施策の肌への影響、体への影響、心への影響は、1週間後に影響が出、3日だけ継続すると定められていた場合、施策情報送信部13は、例えば12月15日の「野菜摂取」という施策の影響は、12月22日~12月24日の各状態に反映されていると判断する。
【0099】
それに対して、実施され、肌に良い影響があるが、体と心のいずれかに悪い影響がある施策については、B評価となって中止或は別施策への変更と判断される。また、実施率が所定の実施率以下となった施策はユーザUaにとって負荷が大きかったと考えられるため、C評価となって中止或は別施策(例えば、ユーザUaの負荷が軽減する施策又は別の施策)への変更と判断される。
【0100】
施策情報送信部13は、各施策を1日だけ実施することで肌、体、心への良いまたは悪い影響があるかの評価を行っても良いし、数日や数週間などの一定期間において各施策を実施することで、肌、体、心への良いまたは悪い影響があるかの評価を行ってもよい。一定期間で評価を行う場合、施策情報送信部13は、例えば、一定割合でいずれかの状態に悪影響が出た場合にB評価とし、実施割合が一定以下である場合にC評価とし、それ以外の場合A評価としてもよい。これに代えて、施策情報送信部13は、例えば、一定期間におけるいずれかの状態の満足度の平均値が所定以下となった場合にB評価としてもよい。また、1日におけるいずれかの状態の満足度が所定以下となり、かつ、一定期間におけるいずれかの状態の満足度の平均値が所定以下となった場合にC評価とし、1日の評価におけるいずれかの状態の満足度が所定以下となり、または、一定期間におけるいずれかの状態の満足度の平均値が所定以下となった場合にB評価とし、1日におけるいずれかの状態の満足度が所定値を超え、かつ、一定期間におけるいずれかの状態の満足度の平均値が所定値を超えた場合にA評価とするなど、1日の評価と一定期間の評価とを組み合わせて用いてもよい。
【0101】
また、施策情報送信部13は、
図8に示した肌状態のスコアの向上度が所定の向上度以下である場合に、当該肌状態のスコアの向上度が所定の向上度以下である施策を施策グループから除外してもよい。施策情報送信部13は、体状態又は心状態のスコアの向上度が所定の向上度以下である場合に、体状態又は心状態のスコアの向上度が所定の向上度以下である施策を施策グループから除外してもよい。
【0102】
図15Bは、
図15Aに示した評価基準を、本実施形態における施策(湯船につかる、野菜摂取、1万歩以上歩く)に適用した例を示している。
図15Bにより、施策情報送信部13は、「湯船につかる」についてはA評価として、次のスケジュールでの継続を決定し、「野菜摂取」についてはB評価として、施策グループからの除外、次のスケジュールでの中止或は他の施策への変更を決定し、「1万歩以上歩く」についてはC評価として、施策グループからの除外、次のスケジュールでの中止或は他の施策への変更を決定している。
【0103】
施策情報送信部13は、複数の施策が行われた影響については、それらの施策の組合せごとに判断する。例えば、施策情報送信部13は、「湯船につかる」「野菜摂取」の組合せが、B評価又はC評価であった場合、「湯船につかる」若しくは「野菜摂取」の単独の施策のみとするか、又はこれらのいずれかの施策と別な施策との組み合わせとするように変更してもよい。
【0104】
施策情報送信部13はこのような評価処理を行って、スケジュール修正(主として施策グループの他の施策への変更による修正)の要否を判断し、スケジュール修正が必要と判断したときには、STEP30に処理を進めてスケジュールを修正する。そして、修正したスケジュールのデータであるスケジュール修正データをユーザ端末30送信して、STEP19に処理を進める。一方、スケジュールの修正が不要であると判断したときには、施策情報送信部13は、
図5のSTEP18から
図5のSTEP19に処理を進め、この場合はスケジュールは修正されない。
【0105】
次に、施策情報送信部13は、STEP19で、初期ユーザ情報データ、現状ユーザ情報データ、及び施策外行動実施データ等に基づいて、ユーザUaが行った各施策外行動(スケジュールに組み込まれている施策以外に、ユーザが行った行動)を評価する。
【0106】
施策情報送信部13は、
図16Aに示した施策外行動の評価基準を用いて、施策外行動の推奨の有無又は禁止の提案を判断する。
図16Aの評価基準では、判定項目として、肌、体、心の各状態への影響が使用される。
【0107】
そして、「肌、体、心のいずれかに良い影響があり、且ついずれについても悪い影響が無い」場合は、D評価となって実施が推奨される。それに対して、「肌、体、心のいずれかに悪い影響がある」場合は、E評価となって禁止が提案される。また、「肌、体、心のいずれにも影響が無い」場合には、F評価となって実施が推奨されない。
【0108】
図16Bは、
図16Aに示した評価基準を、本実施形態における施策外行動(マッサージを受けた、チョコレートを大量に摂取した)に適用した例を示している。
図16Bにより、施策情報送信部13は、「マッサージを受ける」についてはD評価として、次のスケジュールでの実施の推奨を決定している。また、「チョコレートの大量摂取」についてはE評価として、次のスケジュールでの止めるための施策(例えば、和菓子を摂取する代替案)の提案を決定している。
【0109】
施策情報送信部13は、スケジュールに組み込まれた施策の中止或は変更、又は施策外行動について、実施の推奨或は禁止の提案を決定したときには、STEP20からSTEP31に処理を進める。そして、推奨を決定したときはSTEP31からSTEP33に処理を進め、施策外行動の実施を推奨する施策外行動推奨データをユーザ端末30に送信して、
図4のSTEP13に処理を進める。
【0110】
一方、施策情報送信部13は、禁止の提案を決定したときには、STEP31からSTEP32に処理を進め、施策外行動の禁止を提案する施策外行動禁止データをユーザ端末30に送信して、
図4のSTEP13に処理を進める。
【0111】
また、施策情報送信部13は、推奨又は禁止を提案する施策外行動がない場合には、STEP20から
図4のSTEP13に処理を進める。なお、禁止を提案する施策外行動に代替行動がある場合には、禁止の提案に代えて代替行動への変更を提案する施策外行動禁止データをユーザ端末30に送信するようにしてもよい。
【0112】
ユーザ端末30において、肌サポートアプリ35aは、
図7のSTEP57で、肌状態認識システム10からスケジュール修正データを受信すると、STEP65に処理を進め、スケジュール修正データに基づいてスケジュールを修正する。そして、肌サポートアプリ35aは、メモリ36に保持されたスケジュールデータを更新して、処理をSTEP58に進める。
【0113】
また、肌サポートアプリ35aは、
図7のSTEP58で、肌状態認識システム10から施策外行動推奨データ又は施策外行動禁止データを受信すると、STEP66に処理を進め、受信したデータに応じて、施策外行動を推奨又は禁止の提案を報知する画面をユーザ端末30の表示器31に表示する。なお、この報知は、例えば
図12に示した進捗表に報知メッセージを表示して行ってもよい。また、推奨する施策外行動を、新たな施策としてスケジュールを修正してもよい。
【0114】
[H.ゴール判定工程]
図3に示した「5.ゴール判定」の工程は、ユーザUaが肌サポートアプリ35a上で設定した期間ごとに(
図11BにおいてはSTARTから3か月後)、肌状態認識部11、施策グループ選択部12及び施策情報送信部13により実行される。
【0115】
肌サポートアプリ35aは、角質採取テープ37の使用と、角質採取テープ37の郵送を促すメッセージをユーザ端末30の表示器31に表示する。
【0116】
肌状態認識部11は、郵送された角質採取テープ37から得られた情報に基づいて、肌状態の客観値(保水能力、皮脂適格性など)を認識する。
【0117】
また、肌サポートアプリ35aは、アンケートの回答、肌等の撮像の使用を促すメッセージをユーザ端末30の表示器31に表示し、得られた情報を送信する。
【0118】
肌状態認識部11は、肌サポートアプリ35aから得られた情報に基づいて、肌の乾燥感の主観値(主観レベル)と、肌状態の客観値(肌の画像スコア)を認識する。
【0119】
施策グループ選択部12及び施策情報送信部13は、肌の乾燥感の主観値と、肌状態の客観値とに基づいて、肌状態のサポート開始時と3カ月後における評価値を比較して、ゴール達成度を判定する。
【0120】
図17の例では、乾燥感の主観値のレベルが3カ月で3から5に増加しているので達成(○)と判定し、客観値についても、肌の画像スコアが3カ月で3から4に増大し、保水能力が2に維持され、皮脂適格性が1から2に増大しているので達成(○)と判定されている。そして、主観値と客観値が共にゴールを達成しているので、トータルとしてもゴールを達成したと判定している。
【0121】
肌状態認識部11及び施策グループ選択部12は、ゴールを達成した場合には新たなゴールを設定するため、
図3に示した「1.ゴール設定」の工程を再度実行する。肌状態認識部11及び施策グループ選択部12は、ゴール未達の場合は、「2.スケジュール決定」工程を実施してもよいし、ユーザの希望または進捗に応じて「1.ゴール設定」の工程を再度実行してもよい。
【0122】
[I.2次データ生成]
図3に示した「6.2次データ生成」の工程は、2次データ生成部19により実行される。2次データ生成部19は、複数のユーザUから送信される初期ユーザ情報データ、角層細胞解析データ、現状ユーザ情報データ、実行状況データ、施策外行動実施データ等の各種データ(以下、ユーザ個別データという)を、ユーザごとにサポートDB20に順次蓄積する。
【0123】
そして、2次データ生成部19は、サポートDB20に蓄積されたユーザ個別データを分析して、例えば
図18に示したように、各ユーザの特性(性別、年齢、居住地、嗜好、ライフスタイル等)、サポートの改善対象(乾燥感、ごわつき、敏感、ニキビ、しぼみ感等)、スケジュールにより提案された施策(湯船につかる、野菜摂取、1万歩以上歩く等)、及び施策の実施による肌、体、心の各状態の変化等を関連付けた2次データを生成する。
【0124】
また、2次データ生成部19は、施策外行動についても
図18と同様に、各ユーザの特性と施策外行動の実施による肌、体、心の各状態の影響とを関連付けた2次データを生成する。
【0125】
このようにして生成された2次データは、同様の特性を有するユーザについて、体及び心に良い影響を与えつつ肌状態の改善を図るために有効な施策を選択する際に、有効に活用することができる。例えば、上述した
図3の「2.スケジュール決定」の工程において、施策グループ選択部12は、2次データを参照して、ユーザUaの特性に適合した施策を選択することができる。
【0126】
また、上述した
図3の「4.スケジュール修正」の工程において、施策情報送信部13は、ユーザUaの肌、体、心の各状態の推移に応じてスケジュールを変更する際に、2次データを参照して、より有効な施策或は施策外行動を組み込んだスケジュールに変更することができる。
【0127】
さらに、2次データは、肌状態のサポートを行う上で有効に利用できると共に、ある特性を有するユーザ(例えば、東京に住む30代のアウトドア志向の女性等)をターゲットとしたマーケティング等の目的にも利用することができる。そのため、2次データを
図1に示した他のシステム60等に提供してもよい。
【0128】
[J.シミュレータ表示処理]
図19~
図24を参照して、肌サポートアプリ35aが実行するシミュレータ表示処理(
図7のSTEP64)の詳細を説明する。
【0129】
図19のSTEP71で、肌サポートアプリ35aは、通信を介して認識した、肌状態認識システム10のサポートDB20に蓄積されたユーザUaの初期ユーザ情報データ、現状ユーザ情報データに基づいて、「所定の期間」の肌状態、心状態及び体状態の各スコアの平均値を認識し、メモリ36に記憶する。ここで、「所定の期間」とは、肌状態、心状態及び体状態と施策の実行の度合いとの関係が示される程度の期間であることが好ましく、例えば実行時点から前の、1週間、10日間、1カ月間又は3カ月間である。本実施形態では実行時点を2017年4月10日であるとし、その実行時点から9日前の2017年4月1日から実行時点までの10日間を「所定の期間」として説明する。
【0130】
例えば、肌サポートアプリ35aは、
図20Aに示されるような、所定期間におけるユーザUaの肌状態のスコア、心状態のスコア、体状態のスコアに基づいて、ユーザUaの肌状態のスコアの平均値、心状態のスコアの平均値、体状態のスコアの平均値を認識し、メモリ36に記憶する。ここでは、肌状態のスコアの平均値が8.2であり、心状態のスコアの平均値が5.0であり、体状態のスコアの平均値が2.2である。
【0131】
図19のSTEP72で、肌サポートアプリ35aは、通信を介して認識した、肌状態認識システム10のサポートDB20に蓄積された初期ユーザ情報データ、現状ユーザ情報データ、実行状況データに基づいて、各施策ごと、各施策のカテゴリーごとの実行の度合いを認識し、メモリ36に記憶する。「施策の実行の度合い」は、各施策ごとに定められる施策の実行の度合いを示す数値である。「施策の実行の度合い」の例には、施策を実行する時間、施策にかかる物の消費量、施策を実行する距離、施策の1日当たりの実行回数、施策の1回実行当たりの実行時間、施策の1回実行当たりの量、施策の所定期間における実行の頻度が含まれる。
【0132】
例えば、肌サポートアプリ35aは、
図20Bに示されるカテゴリー「食事」の施策「野菜摂取」の所定の期間における実行の度合い「摂取量」を認識し、メモリ36に記憶する。なお、「摂取量」等の実行の度合いは、実際に取得されたデータ(たとえば野菜の摂取量のデータ)そのものであってもよいし、実際に取得されたデータの評価値であってもよい。たとえば、この評価値は、データに示される値が所定の基準値(たとえば野菜の摂取量350g等)に近づくほど、連続的または断続的に大きくなるような値であってもよいし、データに示される値が大きいほど連続的または断続的に大きくなるような値であってもよいし、データに示される値が小さいほど連続的または断続的に大きくなるような値であってもよい。
【0133】
肌サポートアプリ35aは、
図21Aに示されるように、施策ごとに、所定期間における実行の度合いの平均値及び最大値を認識し、メモリ36に記憶する。所定期間における最大値は、ユーザUaが行った中で最大の値でもよいし、理論的に最大の値であってもよいし、予め定められた値であってもよい。
【0134】
肌サポートアプリ35aは、カテゴリーごとに、施策の実行の度合いの平均値と最大値との比を取り、これらの平均値を算出することにより、カテゴリーごとの実行の度合いを算出し、メモリ36に記憶する。
【0135】
例えば、肌サポートアプリ35aは、
図21Aに示される各施策ごとの所定期間における実行の度合いの平均値及び最大値を基に、以下の式(1)により、カテゴリー「食事」の実行の度合いを評価する。なお、式(1)では小数点以下3桁を四捨五入している。
【0136】
【0137】
図19のSTEP73で、肌サポートアプリ35aは、
図22に示されるように、シミュレータ全体画面P1をユーザ端末30aの表示器31に出力する。
【0138】
シミュレータ全体画面P1には、中央に三角形で囲まれる領域P10が表示されている。
【0139】
領域P10の外側、且つ、三角形の各頂点の周辺には、それぞれ、肌状態のスコアを示す表示P11、心状態のスコアを示す表示P12、体状態のスコアを示す表示P13が表示されている。
【0140】
領域P10が、本発明の「所定の領域」に相当する。
【0141】
各スコアを示す表示P11、P12、P13は、数値表示P111、P121、P131と、スコアスライドバーP112、P122、P132と、スコアアイコンP113,P123,P133とを含む。
【0142】
スコアスライドバーP112、P122、P132と、スコアアイコンP113,P123,P133とが、本発明の「ユーザの肌状態、心状態及び体状態のうち少なくとも1つのスコアを示す表示」に相当する。
【0143】
スコアスライドバーP112、P122、P132が、本発明の「第2線分表示」に相当する。
【0144】
スコアアイコンP113,P123,P133が、本発明の「第2アイコン」に相当する。
【0145】
数値表示P111、スコアスライドバーP112及びスコアアイコンP113が、本発明の「ユーザの肌状態のスコアを示す表示」に相当する。
【0146】
数値表示P121、P131、スコアスライドバーP122、P132、及びスコアアイコンP123,P133とが本発明の「ユーザの体状態及び心状態のうち少なくとも1つのスコアを示す表示」に相当する。
【0147】
各数値表示P111、P121、P131には、それぞれ、
図19のSTEP71で認識された対応するスコアの平均値が表示されている。
【0148】
各スコアスライドバーP112、P122、P132には、
図19のSTEP71で認識された対応する各スコアの平均値に相当する位置にスコアアイコンP113,P123,P133が表示されている。また、各スコアスライドバーP112、P122、P132は、ユーザ端末30aの表示器31の水平方向(紙面の左右方向)に延びている線分である。表示器31の水平方向が本発明の「第2方向」に相当する。
【0149】
領域P10の内側には、施策の夫々のカテゴリー「食事」「行動」「肌ケア」表示P14、P15,P16が表示されている。領域P10の内側には、全てのカテゴリー表示が表示されてもよいし、ユーザに指定されたカテゴリーのカテゴリー表示が表示されてもよいし、ユーザに推薦している施策のカテゴリーのカテゴリー表示が表示されてもよいし、初期ユーザ情報データ、現状ユーザ情報データ及び実行状況に基づいてユーザの肌状態、心状態及び体状態の少なくとも1つへの影響が高いと判断された施策のカテゴリーのカテゴリー表示が所定個数だけ表示されてもよい。
【0150】
各カテゴリー「食事」「行動」「肌ケア」表示P14、P15,P16は、カテゴリースライドバーP141、P151,P161と、カテゴリーアイコンP142、P152、P162とが含まれている。
【0151】
各カテゴリースライドバーP141、P151,P161には、
図19のSTEP72で認識された対応する各カテゴリーの実行の度合いに相当する位置にカテゴリーアイコンP142、P152、P162が表示されている。また、各カテゴリースライドバーP141、P151,P161は、ユーザ端末30aの表示器31の上下方向(紙面の上下方向)に延びている線分である。表示器31の上下方向が本発明の「第1方向」に相当する。
【0152】
各カテゴリースライドバーP141、P151,P161及び各カテゴリーアイコンP142、P152、P162が、本発明の「ユーザの施策の実行の度合いを示す表示」に相当する。各カテゴリースライドバーP141、P151,P161が本発明の「第1線分表示」に相当する。各カテゴリーアイコンP142、P152、P162が、本発明の「第1アイコン」に相当する。
【0153】
図19のSTEP74で、肌サポートアプリ35aは、タッチパネル32を介して、いずれかのカテゴリースライドバーの押圧操作が検知されたか否かを判定する。本操作は、例えば
図22のカテゴリースライドバーP141、P151,P161のいずれか1つが操作された時を代表的な利用シーンとして想定して説明しているが、複数のカテゴリースライドバーが同時に操作されても良い。
【0154】
図19のSTEP74の判定結果が否定的である場合(
図19のSTEP74‥NO)、肌サポートアプリ35aは、再度
図19のSTEP74の処理を実行する。
【0155】
図19のSTEP74の判定結果が肯定的である場合(
図19のSTEP74‥YES)、肌サポートアプリ35aは、
図19のSTEP75に進み、
図23に示されるように、領域P10内に、施策表示P17、P18、P19を表示する。
【0156】
施策表示P17、P18、P19は、押圧されたスライドバーに対応するカテゴリー(以下、指定カテゴリーという。)の施策である。
図23には、「食事」カテゴリースライドバーP14の押圧操作が検知された場合の施策「野菜摂取」「水分摂取」「三食きちんと」の施策表示P17、P18、P19を記載している。
【0157】
施策表示P17,P18,P19は、全ての施策表示であってもよいし、指定カテゴリーに含まれる全ての施策が表示されてもよいし、ユーザが実行している施策が表示されてもよいし、ユーザに推薦している施策が表示されてもよいし、初期ユーザ情報データ、現状ユーザ情報データ及び実行状況に基づいてユーザの肌状態、心状態及び体状態の少なくとも1つへの影響が高いと判断された施策の施策表示が所定個数だけ表示されてもよい
施策表示P17,P18,P19は、カテゴリー表示P14,P15,P16と入れ替えて表示されもよいし、カテゴリー表示P14,P15,P16に付加する形で(例えば、カテゴリー表示P14,P15,P16の下方向)に表示されてもよい。
【0158】
各施策スライドバーP171、P181,P191には、
図19のSTEP72で認識された対応する各施策の実行の度合いに相当する位置に施策アイコンP172、P182、P192が表示されている。また、各施策スライドバーP171、P181、P191は、ユーザ端末30aの表示器31の上下方向(紙面の上下方向)に延びている線分である。
【0159】
各施策スライドバーP171、P181、P191及び各施策アイコンP172、P182、P192が、本発明の「ユーザの施策の実行の度合いを示す表示」に相当する。各施策スライドバーP171、P181、P191が本発明の「第1線分表示」に相当する。各施策アイコンP172、P182、P192が、本発明の「第1アイコン」に相当する。
【0160】
図19のSTEP76で、肌サポートアプリ35aは、タッチパネル32を介して、いずれかの施策スライドバーの押圧操作が検知されたか否かを判定する。
【0161】
当該判定結果が否定的である場合(
図19のSTEP76でNO)、肌サポートアプリ35aは、再度
図19のSTEP76を実行する。
【0162】
当該判定結果が肯定的である場合(
図19のSTEP76でYES)、肌サポートアプリ35aは、
図19のSTEP77に進み、押圧された施策スライドバー上の押圧位置を認識する。押圧された施策スライドバー上の押圧位置が本発明の「入力部を介してユーザにより指定された第1アイコンの位置」に相当する。押圧された施策スライドバー上の押圧位置に対応する施策の実行の度合いが、本発明の「指定された施策群の実行の度合い」に相当する。押圧された施策スライドバーに対応する施策が、本発明の「施策群」に相当する。
【0163】
図19のSTEP78において、肌サポートアプリ35aは、押圧位置に対応する施策の実行度合いにおける各スコアを予測する。
【0164】
各スコアは、次の式(2)~(4)で表される。
【0165】
【0166】
ここで、P(x)はユーザUaの肌状態のスコア、Q(x)はユーザUaの心状態のスコア、R(x)はユーザUaの体状態のスコアである。
【0167】
i(i=1、…、n)は、各施策を識別するための番号である。
【0168】
xi(i=1、…、n)は、ユーザUaの各施策iの実行の度合いである。xi(i=1、…、n)の全体(xi(i=1、…、n)の全部からなるベクトル)をxとして表記する。
【0169】
fi(xi)、gi(xi)、hi(xi)(i=1、…、n)は、夫々、各施策iを各施策の実行度合いxiで実行した場合のユーザUaの各スコアP(x)、Q(x)、R(x)の変化量である。fi(xi)、gi(xi)、hi(xi)(i=1、…、n)の夫々が本発明の「第1関数」の一例に相当する。
【0170】
図24の折れ線グラフは、ユーザUaの施策「野菜摂取」の各実行の度合い「摂取量」と、ユーザUaの各スコアP(x)、Q(x)、R(x)との関係を示す折れ線グラフである。この折れ線グラフは、例えば、
図20Bに示されるユーザUaの施策の実行度合いのそれぞれごとに、
図20Aに示されるユーザUaの各スコアP(x)、Q(x)、R(x)の平均を取ることにより作成されうる。
【0171】
また、
図24には、各折れ線グラフの近似曲線が併せて表示されている。
【0172】
fi(xi)、gi(xi)、hi(xi)は、例えば、実行度合い毎の近似曲線に示されるユーザUaの各スコアP(x)、Q(x)、R(x)により表現されうる。
【0173】
例えば、野菜摂取の摂取量が200gの場合、fi(xi)はおよそ10.0となり、gi(xi)はおよそ7.0となり、hi(xi)はおよそ2.0となる。
【0174】
fi(xi)、gi(xi)、hi(xi)は、ユーザUaが各施策を実施したときのユーザUaの各スコアの平均値をとっているが、このスコアには、同時に実行された他の施策の影響が反映されている可能性がある。
【0175】
このため、係数pi、qi、riにより、各施策の影響度を調節する。係数pi、qi、riは、例えば、夫々の施策の実行の度合いに占める当該施策の実行の度合いの割合で求められる。例えば、施策sを実行度合いaで実行し、施策tを実行の度合いbで実行し、施策uを実行の度合いcで実行したときに、肌状態スコアがd改善した場合、以下の式(5)~(7)で係数ps、pt、puが表される。なお、施策により肌状態スコアがd改善するとは、本実施形態では、施策の実行後の肌状態のスコアの平均値が施策の実行前の肌状態スコアの平均値よりもd増加したことを意味する。
【0176】
【0177】
k、l、mは、施策を何も実施しなかった場合の各スコアである。
【0178】
肌サポートアプリ35aは、夫々の施策iについて、施策スライドバーのアイコンの位置に対応する施策の実行の度合いxiを認識し、上記式(2)~(4)を用いて各スコアP(x)、Q(x)、R(x)を予測する。なお、押圧されていないカテゴリーバーに対応するカテゴリーに含まれる施策又は押圧されていない施策スライドバーに対応する施策については、肌サポートアプリ35aは、
図19のSTEP72で認識された対応する各施策の実行度合いを、施策の実行の度合いxiとして用いる。予測された各スコアP(x)、Q(x)、R(x)が、本発明の「第1予測スコア」に相当する。予測された各スコアP(x)が、本発明の「第2予測スコア」に相当する。予測された各スコアQ(x)、R(x)が、本発明の「第3予測スコア」に相当する。
【0179】
図19のSTEP79で、肌サポートアプリ35aは、スコアスライドバーP112,P122,P132の夫々の、予測された各スコアP(x)、Q(x)、R(x)の夫々に相当する位置に、スコアアイコンP113,P123,P133を表示器31に表示する。
【0180】
図19のSTEP79の終了後、肌サポートアプリ35aは、
図19のSTEP74以下の処理を実行する。これに代えて、
図19のSTEP79の終了後、肌サポートアプリ35aは、
図19のSTEP76以下の処理を実行してもよい。
【0181】
このような処理により、ユーザに、施策の実行の度合いを変更したときの各スコアへの影響を認識させることができる。
(その他の実施形態)
本実施形態では、各実行の度合いに応じたスコアを予測するために、式(2)~(7)を用いたが、各実行の度合いに応じたスコアを予測するためにはこれらの式やパラメータに限られない。シミュレータの精度を向上させるため、当業者は、適宜、式の変更、パラメータの算出方法の変更、パラメータの追加、削除、変更等、適当な修正を行ってもよい。
【0182】
肌サポートアプリ35aは、カテゴリースライドバーの押圧を検知したときに、そのカテゴリースライドバーに対応するカテゴリーに含まれる施策の施策スライドバーを表示したが(
図19のSTEP74及びSTEP75)、これに代えて、肌サポートアプリ35aは、カテゴリースライドバー上のアイコンの位置の変更をさせて、各スコアの予測を行ってもよい。この場合、カテゴリーの実行の度合いの変更に追従するように、各施策の実行度合いが均等にまたはあらかじめ定まった割合で変更されてもよい。この時、肌サポートアプリ35aは、変更後の各施策の実行の度合いから、式(2)~(4)により各スコアを予測し、予測された各スコアに対応する位置に、それぞれのアイコンが位置するように、表示器31に出力する。なお、押圧されたカテゴリースライドバーに対応するカテゴリに含まれる施策が本発明の「施策群」に相当する。
【0183】
この場合、予測された各スコアに対応する位置にそれぞれのアイコンが位置している状態で、肌サポートアプリ35aがタッチパネル32を介してカテゴリースライドバーの押圧を検知したときに、そのカテゴリースライドバーに対応するカテゴリーに含まれる施策の施策スライドバーを表示してもよい。この時、各施策スライドバー上のアイコンの位置は、変更後の各施策の実行の度合いに対応する位置であることが好ましい。
【0184】
肌サポートアプリ35aは、カテゴリースライドバーの表示に代えて、当初から
図25に示されるように、施策表示P20、P21,P22を表示してもよい。
【0185】
肌サポートアプリ35aは、例えば、
図26に示されるように、シミュレーション対象のスコア表示P31と、他のスコア表示P32~P33、暮らし表示P34を含んでもよい。暮らし表示P34は、例えば、各カテゴリーの実行度合いの平均値又は各カテゴリーの実行度合いに夫々のカテゴリーごとの係数をかけて合算した値を示す表示である。肌サポートアプリ35aは、暮らし表示P34上のアイコンの変動に応じて、各施策の実行度合いを変化させ、式(2)~(4)によりシミュレーション対象のスコアの予測を行い、シミュレーション対象のスコア表示P31上のアイコンを変動させてもよい。暮らし表示P34が本発明の「ユーザの施策群の実行の度合いを示す表示」に相当し、他のスコア表示P32~P33が本発明の「変動スコアを示す表示」に相当し、シミュレーション対象のスコア表示P31が本発明の「模擬スコアを示す表示」に相当する。
【0186】
この場合、肌サポートアプリ35aは、他のスコア表示P32~P33上のアイコンの変動に応じて、ユーザUaの肌状態、心状態及び体状態のスコアのデータに基づいて、
図24に類似したグラフを作成することにより、シミュレーション対象のスコアの予測を行いシミュレーション対象のスコア表示P31上のアイコンを変動させてもよい。変動後のシミュレーション対象のスコア表示P31が、本発明の「模擬予測スコアを示す表示」に相当する。
【0187】
本実施形態では、ユーザUaの肌状態、心状態及び体状態の全てのシミュレーションが行われたが、同様の方法により、肌状態と、心状態及び体状態の一方とのシミュレーションが行われてもよいし、肌状態、心状態及び体状態のうち1つのシミュレーションが行われてもよい。また、ユーザUaの他の状態に関するシミュレーションが行われてもよい。
【0188】
本実施形態では、ユーザUaの過去の施策の実行の度合いと、ユーザUaの肌状態、心状態及び体状態との関係を示す第1関数~第3関数が認識されたが、これに限られず、他のユーザUb、Ucのデータに基づいて、第1関数~第3関数が認識されてもよい。また、他のユーザUb、Ucのうち、ユーザUaの属性と同様の属性を持つユーザのデータが用いられてもよい。ユーザUaの属性としては、例えば、ユーザUaの年齢、性別、住んでいる地域、嗜好、肌の特性、心の特性、体の特性(遺伝子の情報等)がある。
【0189】
本実施形態では、スコアスライドバーとカテゴリースライドバー及び施策スライドバーとが直交する方向に延びていたが、これに限られず、互いに非平行な方向に延びていてもよいし、平行な方向に延びていてもよい。
【0190】
本実施形態では、カテゴリースライドバー及び施策スライドバーとカテゴリーアイコン及び施策アイコンとにより施策の実行度合いを表示したが、これに代えてまたは加えて施策の実行度合いを示す数値を表示してもよい。また、施策の実行度合いに応じて変化する色、図形、キャラクタ等が表示されてもよい。
【0191】
同様に、各状態のスコアについても、各状態のスコアに応じて変化する色、図形、キャラクタ等が表示されてもよい。
【0192】
本実施形態では、CPU35が肌サポートアプリ35aを実行することにより、本発明の「スコア認識部」「出力制御部」「指定認識部」の各処理を実行したが、これに代えてネットワークを介して通信を行って必要なデータを送受信することにより、肌状態サポートシステムが本発明の「スコア認識部」「出力制御部」「指定認識部」の一部の処理を実行してもよい。
【0193】
本実施形態において「関数」とは、スカラ値又はベクトル値のような数値等の情報の入力に対し、一定の操作を行ってスカラ値又はベクトル値のような数値等の情報を出力する機能を備えたものを言う。本実施形態では、施策iごとに関数fi(xi)、gi(xi)、hi(xi)が用いられたが、これに代えてまたは加えて、複数の施策i、jの組合せについての関数f(i、j)(xi、xj)、g(i、j)(xi、xj)、h(i、j)(xi、xj)が用いられてもよい。また、本実施形態では、各状態のスコアごとに関数が使用されたが、これに代えて複数のスコアに対して共通の関数が用いられてもよい。また、関数は、例えば機械学習によって分類を行うものであってもよい。各関数は、各施策iの実行の度合いxiに加え、ユーザUaの体調又は気分を表す数値等、各施策iの実行の度合いxiとは異なる数値をを入力としてもよい。
【0194】
肌サポートアプリ35aは、入力された値を基に、テーブルを参照することにより、各状態のスコアを認識してもよい。
【0195】
肌サポートアプリ35aは、入力された値を肌状態認識システム10に送信して、各状態のスコアを受信することにより、各状態のスコアを認識してもよい。
【0196】
本実施形態では、肌サポートアプリ35aは、施策またはカテゴリの実行の度合いの指定に応じてスコアを予測したが、これに代えて又は加えて、スコアの指定に応じて施策またはカテゴリの実行の度合いを予測してもよい。例えば、肌サポートアプリ35aは、タッチパネル32を介してユーザUaに一の施策またはカテゴリを選択させ、スコアの指定に応じて当該一の施策の実行の度合いの予測を行ってもよい。また、肌サポートアプリ35aは、タッチパネル32を介してユーザUaにそれぞれの施策またはカテゴリの変化の割合を入力させ、スコアの指定に応じて入力された割合で各施策の実行の度合いを変動させることにより、各施策の実行の度合いの予測を行ってもよい。たとえば、肌サポートアプリ35aは、睡眠時間1時間減少あたり野菜摂取量が100g増加するという割合で、指定されたスコアを実現するように、睡眠時間と野菜摂取量を変動させてもよい。
【0197】
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0198】
1…通信ネットワーク、10…肌状態認識システム、11‥肌状態認識部、12…施策グループ選択部、13…施策情報送信部、19…2次データ生成部、20…サポートDB(データベース)、30(30a,30b,30c)…ユーザ端末(スマートフォン)、31…表示器、32…タッチパネル、33…カメラ、34…マイク、35…CPU、35a…肌サポートアプリ、36…メモリ、40…接続端子、45…測定機器。