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特許7280336光無線電力送信における安全性を保証するシステム、光無線電力送信のためのシステム、及び光無線電力送信のためのシステムにおいて安全性を保証する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】光無線電力送信における安全性を保証するシステム、光無線電力送信のためのシステム、及び光無線電力送信のためのシステムにおいて安全性を保証する方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/30 20160101AFI20230516BHJP
   H01S 3/00 20060101ALI20230516BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230516BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20230516BHJP
   H02S 10/00 20140101ALI20230516BHJP
   H04B 10/075 20130101ALI20230516BHJP
   H04B 10/114 20130101ALI20230516BHJP
   H04B 10/80 20130101ALI20230516BHJP
   H02S 40/42 20140101ALN20230516BHJP
【FI】
H02J50/30
H01S3/00 A
H02J7/00 301D
H02J50/80
H02S10/00
H04B10/075
H04B10/114
H04B10/80 160
H02S40/42
【請求項の数】 21
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021195295
(22)【出願日】2021-12-01
(62)【分割の表示】P 2018548419の分割
【原出願日】2017-03-14
(65)【公開番号】P2022058342
(43)【公開日】2022-04-12
【審査請求日】2021-12-28
(31)【優先権主張番号】62/307,878
(32)【優先日】2016-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513314090
【氏名又は名称】ワイ-チャージ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ゴラン、 リオール
(72)【発明者】
【氏名】スレポイ、 アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ナミアス、 オメル
(72)【発明者】
【氏名】サギ、 ラン
(72)【発明者】
【氏名】アルパート、 オータル
(72)【発明者】
【氏名】モール、 オリ ラファエル
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特許第6987774(JP,B2)
【文献】特開2015-231314(JP,A)
【文献】特表2010-510766(JP,A)
【文献】特開2010-123819(JP,A)
【文献】特開2004-072105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00 - 50/90
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01S 3/00
H02S 10/00
H02S 40/42
H04B 10/00 - 10/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信器から少なくとも一つの電力受信装置への光無線電力送信における安全性を保証するシステムであって、
複数の端部反射器及び一の利得媒体を有する光共振器であって、前記利得媒体は、近似的に6940cm -1 に位置するC-H吸収の第1倍音と近似的に8130cm -1 に位置するC-H吸収の第2倍音との間にある周波数を有する、自身を通過するビームを増幅するべく選択され、前記利得媒体は、(a)前記光共振器の内部に位置決めされ、(b)第1帯域ギャップエネルギーを有し、(c)冷却システムに熱的に取り付けられ、前記利得媒体は、自身を通過する光を増幅するように構成され、前記光共振器は、前記光の光ビームを放射するように構成される、光共振器と、
前記利得媒体に電力を供給するように構成されて前記利得媒体の小信号利得の制御を可能にするドライバと、
前記光ビームを複数の方向の少なくとも一つに向けるように構成されたビーム操舵装置と、
前記少なくとも一つの電力受信装置の中に配置されて前記光ビームを、一の電圧を有する電力に変換するように構成された光/電力変換器であって、第2帯域ギャップエネルギーを有する光/電力変換器と、
前記光ビームが前記光/電力変換器に衝突することを示す信号を与えるように構成された検出器と、
前記ビーム操舵装置及び前記ドライバのステータスの少なくとも一方を制御するように適合された制御器であって、少なくとも前記検出器から制御入力信号を受信する制御器と
を含み、
前記制御器は、
前記ドライバに前記利得媒体の小信号利得を変更させることと、
前記光ビームの放射輝度を変更することと、
前記ドライバにより供給される電力を変更することと、
前記ビーム操舵装置のスキャン速度を変更することと、
前記ビーム操舵装置のスキャン姿勢を変更することと、
前記光/電力変換器の配置を画定する前記スキャン姿勢を記録することと
の少なくとも一つをもたらす指令を出力することにより、前記システムにおいて生じた安全リスクの表示に応答するように構成され
前記安全リスクは、前記ビーム操舵装置と前記少なくとも一つの電力受信装置との間で光学的に透明な有機材料の表面が前記光ビームに存在することからもたらされる、システム。
【請求項2】
前記システムにおいて生じた安全リスクの表示は少なくとも、前記光ビームが前記光/電力変換器に衝突することを示す前記信号を与えるように構成された前記検出器により生成された前記信号から、及び前記少なくとも一つの電力受信装置から反射された前記光ビームの一部の、前記送信器において受信されたレベルを測定する第2検出器により生成された第2信号から、取得することができる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも一つの電力受信装置に衝突する前の前記光ビームにより搬送された電力を示す信号を与えるように配置される電力センサをさらに含む、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ドライバは、前記電力センサの電力表示がしきい値を超えるときに前記利得媒体の前記小信号利得を低減するように構成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記検出器はまた、前記少なくとも一つの電力受信装置が受信した電力を示す信号を与える、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記安全リスクの表示の少なくとも一つは、前記電力センサにより表示される電力と前記少なくとも一つの電力受信装置のうちの一つにおける前記検出器により表示される電力との差異が所定しきい値を超えるときに生じる、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
望ましくない物体が前記光ビームに侵入するときを検知するように適合されたビーム侵入センサをさらに含み、前記望ましくない物体の前記侵入は安全リスクの表示を構成する、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
エンクロージャ完全性センサをさらに含み、エンクロージャの完全性欠如との前記エンクロージャ完全性センサにより発せられた警告が安全リスクを示す、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記システムにおける少なくとも一つの重要サブシステムの逸脱動作を検知する検知デバイスをさらに含み、前記逸脱動作は安全リスクの表示を構成する、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記第2帯域ギャップエネルギーは前記第1帯域ギャップエネルギーよりも小さい、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
少なくとも一つの電力受信装置への光無線電力送信のためのシステムであって、
複数の端部反射器及び一の利得媒体を有する光共振器であって、前記利得媒体は、近似的に6940cm -1 に位置するC-H吸収の第1倍音と近似的に8130cm -1 に位置するC-H吸収の第2倍音との間にある周波数を有する、自身を通過するビームを増幅するべく選択され、前記利得媒体は、前記光共振器の内部に位置決めされ、第1帯域ギャップエネルギーを有し、冷却システムに熱的に取り付けられ、前記利得媒体は、自身を通過する光を増幅するように構成され、前記光共振器は、前記光の光ビームを放射するように構成される、光共振器と、
前記利得媒体に電力を供給するように構成されて前記利得媒体の小信号利得の制御を可能にするドライバと、
前記光ビームを複数の方向の少なくとも一つに向けるように構成されたビーム操舵装置と、
前記少なくとも一つの電力受信装置の中に配置されて前記光ビームを、一の電圧を有する電力に変換するように構成された光/電力変換器であって、第2帯域ギャップエネルギーを有する光/電力変換器と、
前記光ビームが前記光/電力変換器に衝突することを示す信号を与えるように構成された検出器と、
前記ビーム操舵装置及び前記ドライバのステータスの少なくとも一方を制御するように適合された制御器であって、少なくとも前記検出器から制御入力信号を受信する制御器と
を含み、
前記光ビームは、少なくとも8kW/m /ステラジアンの放射輝度を有し、前記制御器が前記光ビームを前記少なくとも一つの電力受信装置の一つに向けるときに、前記光無線電力送信の全体的な放射輝度効率は少なくとも60%である、システム。
【請求項12】
前記システムは、前記全体的な放射輝度効率を、所定範囲の動作温度にわたって維持するように構成される請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記少なくとも一つの電力受信装置の中に、前記電力受信装置が受信した放射輝度を示す信号を与える放射輝度検出器をさらに含む請求項11又は12に記載のシステム。
【請求項14】
前記全体的な放射輝度効率は、(i)前記システムの構成上のパラメータと、(ii)前記放射輝度を示す前記信号を使用して前記放射輝度を維持するようにシステムパラメータを適合させるべく適合された放射輝度維持フィードバックシステムを設けることとの少なくとも一方を理由として維持される、請求項11から13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記システムパラメータは、レンズ位置、レンズ光電力、及び前記光ビームの電力の少なくとも一つを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記システムが放射した放射輝度を示す信号を与えるべく配置された送信放射輝度検出器をさらに含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記送信放射輝度検出器からの信号と前記少なくとも一つの電力受信装置が受信した放射輝度を示す信号との差異がしきい値を超えるときに安全リスクの表示が誘発される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記第2帯域ギャップエネルギーは前記第1帯域ギャップエネルギーよりも小さい、請求項11から17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記システムにおいて生じる前記安全リスクの表示はさらに、前記送信放射輝度検出器による送信放射輝度を示す信号と前記少なくとも一つの電力受信装置が受信した放射を示す信号との差異がしきい値を超えるときに取得される、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
送信器から少なくとも一つの電力受信装置への光無線電力送信のためのシステムにおいて安全性を保証する方法であって、
前記システムは、
複数の端部反射器及び一の利得媒体を有する光共振器であって、前記利得媒体は、(a)前記光共振器の内部に位置決めされ、(b)第1帯域ギャップエネルギーを有し、(c)冷却システムに熱的に取り付けられ、前記利得媒体は、自身を通過する光を増幅するように構成され、前記光共振器は、前記光の光ビームを放射するように構成される、光共振器と、
前記利得媒体に電力を供給するように構成されて前記利得媒体の小信号利得の制御を可能にするドライバと、
前記光ビームを複数の方向の少なくとも一つに向けるように構成されたビーム操舵装置と、
前記少なくとも一つの電力受信装置の中に配置されて前記光ビームを、一の電圧を有する電力に変換するように構成された光/電力変換器であって、第2帯域ギャップエネルギーを有する光/電力変換器と、
前記光ビームが前記光/電力変換器に衝突することを示す信号を与えるように構成された検出器と、
制御器と
を含み、
前記制御器は、
(i)前記ビーム操舵装置のスキャン速度又はスキャン姿勢の少なくとも一方を変更することと、
(ii)前記制御器が前記検出器から前記システムにおける安全リスクの発生を示す制御入力信号を受信したときに前記ドライバに前記利得媒体の前記小信号利得を変更させることと
の少なくとも一方に適合され、
前記方法は、
近似的に6940cm -1 に位置するC-H吸収の第1倍音と近似的に8130cm -1 に位置するC-H吸収の第2倍音との間にある周波数を有する、自身を通過するビームを増幅するべく選択された利得媒体を使用するステップを含み、
前記ビーム操舵装置と前記少なくとも一つの電力受信装置との間で光学的に透明な有機材料の表面が前記光ビームに存在することが、前記光無線電力送信における検出可能な変化をもたらす、方法。
【請求項21】
前記システムにおける安全リスクの表示が、前記送信器から送信される電力と、前記少なくとも一つの電力受信装置のうちの一つにおける前記検出器が示す電力との差異が、所定しきい値を超えるときに生じる、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線電力ビーム放射の分野に関し、特に当てはまる場合には、家庭環境にお
いて光電力を移動式電子デバイスにビーム放射するための、レーザ系送信システムの使用
に関する。
【背景技術】
【0002】
物理的な有線接続を必要とすることなく電力を遠隔箇所に送信することの、長年にわた
る切実な必要性が存在する。この必要性は、周期的な再充電を必要とする電池により動作
する携帯型電子デバイスが一般的になるにつれ、この数十年にわたり重要となってきた。
かかる移動式アプリケーションには、移動式電話機、ノートパソコン、車、おもちゃ、装
着可能デバイス及び補聴器が含まれる。現在のところ、最新式の電池の容量、及びスマー
トフォンの典型的な電池の使用は、一日に一回は電池の充電を必要とするというものであ
り、遠隔無線電池再充電の必要性が重要となる。
【0003】
電池の技術は、長い歴史を有し、未だに開発中である。1748年、ベンジャミン・フ
ランクリンは、ライデン瓶から作られた最初の電池(バッテリー)、すなわち最初の電力
源を記載した。これは、大砲の列(キャノンバッテリー)に似ていた(それゆえバッテリ
ーとの名称となった)。1800年の後半、ボルタは銅亜鉛電池を発明した。これは、有
意に携帯型といえるものであった。最初の再充電可能電池、すなわち鉛酸蓄電池が、18
59年にガストン・プランテにより発明された。それ以来、再充電可能電池のエネルギー
密度の増加は、当初の鉛酸化学から現在のリチウム系化学及び亜鉛空気化学までの様々な
再充電可能電池のエネルギー密度を重量パラメータ及び体積パラメータの双方において示
図1に見られるように、8倍未満である。同時に、携帯型電子/電気デバイスにより消
費される電力は、いくつかの完全な電池充電を毎日補充する必要がある点にまで到達して
いる。
【0004】
電池の発明からほぼ一世紀の後、1870年から1910年までの期間において、テス
ラは、電磁波を使用して長距離にわたる電力の送信を試みた。それ以来、送信デバイス又
は受信デバイスよりも有意に大きな距離にわたることを特徴とし得る遠隔箇所まで安全に
電力を送信するべく多くの試みがなされてきた。これは、1980年台にSHARP(静
止型高高度中継プラットフォーム(Stationary High Altitude
Relay Platform))プロジェクトを指揮したNASAから、2007年
にテスラに類似するシステムによる実験をしたマリン・ソーリャチッチまでの範囲にわた
る。
【0005】
それでも、これまでのところ、無線で電力を移動式デバイスまで移送することを許容す
る商業的に利用可能な技術は3つのみである。すなわち、以下のとおりである。
磁気誘導…これは典型的に、ほんの数mmまでの範囲に限られる。
光起電力セル…これは、太陽光又は通常(安全)な照明の部屋における利用可能なレベル
の人工光のいずれかにより照射される場合、移動式電話機に関連するサイズに対し、0.
1ワットを超えて発電することができない。
エネルギーハーベスティング技術…これは、RF波を使用可能なエネルギーに変換するが
、現行の実際的な状況においては0.01Wを超えて動作することができない。RF信号
の送信は、健康及び連邦通信委員会(FCC)規制ゆえに限られるからである。
他方、携帯型電子デバイスの典型的な電池は、1~100ワット時の容量を有し、毎日の
充電を要するのが典型的である。それゆえ、かなり長い範囲における、かなり高い電力移
送が必要とされる。
【0006】
したがって、再充電可能電池を備えるのが典型的な携帯型電子デバイスまで、大きな視
野及び数メートルより大きな範囲にわたり安全に電力を移送する未だ対処されていない必
要性が存在する。
【0007】
コリメートされた又は本質的にコリメートされた電磁波、特にレーザビームを使用して
、居住環境において電力を移送する試みがいくつかなされている。しかしながら、かかる
製品の、大量市場にとっての商業的な利用可能性は、現在のところ限られている。かかる
商業的なシステムを立ち上げる前に、いくつかの問題を解決する必要がある。すなわち、
安全なシステムを開発するべきである。
コスト効果の高いシステムを開発するべきである。
ほこり及び指紋又は液体のこぼれのような汚染、振動、ビーム阻止、専門外の者による設
置、並びに時々の床への落下を含む通常の家庭環境のハザードに耐えることができるシス
テムを開発するべきである。
【0008】
現在許容されている送信レーザ電力レベルは、複雑な安全システムなしに有用な量の電
力を与えるには不十分である。例えば、米国においては、2014年4月改定の連邦規則
集、タイトル21第8巻(21CFRセクション8)、チャプターI、サブチャプターJ
パート1040が、レーザ製品を含む発光製品の性能基準を扱う。可視範囲外の波長に対
し、クラスI、クラスIII-b及びクラスIVのレーザが存在する(クラスII、II
a及びIIIaは、400nm~710nmのレーザ、例えば可視レーザである)。可視
範囲外のレーザについて、クラス1は一般公衆使用に対して安全とみなされるが、クラス
IIIb及びIVは危険とみなされる。
【0009】
ここで図2を参照する。これは、0.1~60秒の露光に対する上記21CFRセクシ
ョン8によるクラスIレーザの、瞳孔径7mmに対するMPE(最大許容露光値(Max
imal Permissible Exposure Value))を示すグラフで
ある。上記グラフから以下のことがわかる。(i)最大許容露光レベルは一般に(ただし
必ずというわけではない)、波長とともに増加し、(ii)21CFRセクション8に規
定される要件を満たすべく、人がビームに入って0.1秒後にレーザがオフにされても、
2.5μよりも長い波長において1.25Wを超えない光が送信され得る。波長が短くな
れば限界桁数も小さくなる。すなわち、ある種の安全システムがなければ、ほんの数ミリ
ワットのレーザ電力が送信され得る。これは、完全に電気に変換し戻されても、ほとんど
の携帯型電子デバイスを充電するのに必要な電力よりも有意に小さな電力の供給となる。
例えば、セルラー電話機は、充電するのに機種に応じて1~12Wを必要とする。
【0010】
クラス1レーザMPEよりも高い電力を送信するには、安全システムが必要となる。訓
練を受けてない人が近づき得る居住環境において有意なレベルの電力を送信するものは、
出願人の知る限りにおいて、未だに商用化されていない。
【0011】
ロバストな安全システムを有する送信システムを構築することは難しい。必要とされる
検出レベルが、送信される必要のある電力と比較して非常に小さく、システムが動作する
環境は制御されず、作動中に多くの予測不能なシナリオが生じ得る。
【0012】
指紋及びほこりがレーザ光を散乱させること、及び透明な表面が当該光を反射又は散乱
させることは、業界周知である。高い電力が移送される場合、信頼できる安全システムを
要求するクラスIV(又はIIIb)レーザが必要となる。クラスIVレーザに対しては
、メインビームからの散乱放射であっても危険である。2014年4月改定の21CFR
セクション8、チャプターI、サブチャプターJパート1040によれば、0.5Wビー
ム出力を超える400nm~1400nmのレーザ放射は通常、0.5秒を上回る露光に
対しクラスIVレーザとみなされ、かかるレーザからの散乱放射であっても危険となり得
る。かかるレーザは、ロックキーと、図3に示されるものと同様の警告標識とを有する必
要がある。ここで、当該警告は「散乱放射」にも関連しており、当該レーザのユーザは通
常、安全グーグルを着用する必要があり、典型的には訓練を受けた専門家である。これら
の側面すべては、移動式電子デバイスを充電するべく家庭で利用可能なレーザ電力送信シ
ステムの使用についての許容可能な条件とは非常にかけ離れている。
【0013】
先行技術は典型的に、かかる反射を防止する表面上の反射防止(Anti-Refle
ctive)膜を、それにもかかわらず万一反射が生じた場合に備えてかかる反射を阻止
する精密なビーム阻止構造物と組み合わせて使用する。しかしながら、先行技術において
使用されるAR膜の解決策は、その表面に堆積するほこり又はこぼれた液体により、又は
、例えば不適切なクリーニングゆえの摩耗及び破れにより、失敗しがちである。それに加
え、ビーム阻止の解決策は典型的に、システムの視野を厳しく制限するので、現代の携帯
型電子デバイスの寸法と比較してかさばる。
【0014】
したがって、先行技術には、電力ビームが望ましくない方向に散乱及び反射するのを防
止するべく信頼できる「小さな専有面積」のメカニズムが欠如している。かかる散乱及び
反射は、いずれかが送信器と受信器との間に不注意に配置された透明表面により引き起こ
され得るので、当該透明表面の光学的特徴は、膨大な数の異なる透明物質の影響、又は、
システムの外部表面に、典型的には受信器の前面に、堆積し得る液体のこぼれ及び指紋の
影響を受け得る。
【0015】
先行技術において提案される解決策の3番目の問題は、かかる安全システムは一般に、
電力ビームシステムと安全システムとの良好な整列を保証するメカニズムを必要とするこ
とである。それにより、双方のシステムは、もはや安全限界を超えることがないように電
力ビームが十分に散逸し、又は十分に減衰する(又はこれらの因子と任意の他の因子との
組み合わせ)まで、同じ軸に照準が合わせられる。これは、距離があってもほとんど拡張
せず、ひいては非常に長距離でも安全限界を超えるのが典型的な、コリメートされたクラ
スIV又はIIIbレーザビームに関して達成することが極めて困難である。
【0016】
かかる安全システムを構築するべく使用される先行技術の一つの動作原理は、ビーム経
路に位置決めされ得る透明表面を光学的に検出することにある。しかしながら、ビーム経
路に入り得る透明表面は、膨大な数の異なる透明物質から作られ、反射防止ARコーティ
ングがされるか又は当該材料がビームを吸収しない限りにおいて光システムにとってほぼ
不可視となるようにブリュースター角に近い角度に配置される。しかしながら、それぞれ
の物質の光吸収レベルは異なり無視さえできるので、及び光吸収に依存する光学システム
を構築することは高度に物質固有となるので、並びに利用可能な物質の数は極めて大きい
ので、かかるシステムは、複雑、大規模かつ高価となりがちであり、適切に設計されない
限り、特に、重要な安全システムとするつもりであることを考慮すれば、信頼できるもの
とはならない。ビームの検出可能な減衰を与えるべく反射に依存することにも問題がある
。表面が反射防止膜によりコーティングされ、又はビームに対する近ブリュースター角に
配置されると、当該表面のそのような特定位置に対しては反射が最小限となり得るからで
ある。
【0017】
先行技術システムの他の制限は、高効率を得るべく良好なビーム品質(低m値)が大
きな光学系と組み合わされたレーザを使用すること(例えば特許文献1及び特許文献2は
レーザビームに対して広い開口を使用する)が典型的である一方、特許文献3は、小さな
光学系を許容して光学システムの費用及びサイズを低減するべく0.8μmの波長を使用
する。
【0018】
したがって、先行技術のシステム及び方法の不利点の少なくともいくつかを克服する組
み込み型安全機能を備えたレーザ電力送信システムの必要性が存在する。
【0019】
本明細書のこのセクション及び他のセクションで言及される公報それぞれの開示は、そ
の全体がここに参照として組み入れられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【文献】米国特許第6407535(B1)号明細書
【文献】米国特許第6534705(B2)号明細書
【文献】米国特許第5260639号明細書
【発明の概要】
【0021】
無線電力送信の主要な課題の一つは、安全、低コストかつ小さな、それでいてパワフル
な(例えば有意なレベルの電力を送信することができる)送信器及び受信器を構築するこ
とにある。パワフルかつ小さな送信器及び受信器を可能にするには、ビームの放射輝度を
、光経路全体にわたってではあるが特に送信器の出力部において、できる限り高く維持す
ることが必須となる。光経路にあるコンポーネントはすべて、一定の放射輝度損失を引き
起こす。本明細書において、放射輝度効率との用語が何度か使用される。本明細書の文脈
におけるその通常の意味は、光学コンポーネントの外へ出て行く放射輝度の、当該コンポ
ーネントに入るビームの入射放射輝度に対する比である。様々な態様で構成され得るコン
ポーネントについて、例えばミラーは、異なる角度に傾斜させることができる。各構成に
対して異なる放射効率が存在し得る。
【0022】
一般に、システムは全体的に、できる限り高い放射効率を有する必要があり、60%を
超え、90%又は95%までもの放射効率の典型的な値を得ようと努力するべきである。
【0023】
送信器の放射効率は一般に、受信器の放射効率よりもはるかに重要である。ビームの放
射輝度を低減させる2つの主要な因子が存在する。すなわち、レーザシステム、及び送信
器の放射効率である。これらの因子のほかに、他の小さな因子も影響を与える。
【0024】
高い放射輝度値を備えたレーザが一般に大きくかつ複雑となる一方、低い放射輝度を有
するレーザは典型的に小さくかつ単純となる。現在のシステムは、改善された安全機能を
許容する稀な波長を典型的に使用するので、レーザ放射輝度が限られている。そのような
非従来的な波長の小さく、低コストで、高放射輝度のレーザは、それほど一般的に利用可
能ではなく、システムのコストを増加させる傾向がある。
【0025】
特許文献3及び4のような先行技術のシステムは、コンパクトな送信器及び受信器を許
容するべく短い波長(0.8μm又は0.532μm)を使用する。しかしながら、現行
のシステムは長い波長を利用するので、当該システムのサイズを低減するには異なる方法
を使用する必要がある。
【0026】
現行のシステムにより使用される長い波長は、発明者が本願と共通する米国特許出願第
14/811,260号に説明されるように、実質的にすべてのプラスチック材料により
特定的に吸収される波長を使用することにより、ビームの経路における透明なプラスチッ
クの検出を可能とする。
【0027】
不透明な材料又は部分的に不透明な材料でも、ビームの中に配置された場合、当該ビー
ムの減衰を測定することにより、容易に検出することができる。しかしながら、いくつか
の材料は透明又はほぼ透明であり、そのような透明な材料でも検出するのが有意に困難で
ある。固体の透明な材料には2つの主要なグループが存在する。有機材料及び無機材料で
ある。一般公衆にとって利用可能な無機透明固体材料の数は、かなり限られる。ほとんど
は、ガラス、一般に使用されるいくつかの半導体材料、水晶、並びにダイヤモンド、ルビ
ー及び方解石のようないくつかの天然鉱物からなる。したがって、無機透明な材料からの
反射のための検出システムを構築してすべての同様のシナリオをカバーすることができる
【0028】
他方、異なる有機透明材料の、一般公衆にとっての利用可能性は、莫大である。新たな
透明材料が常にリストに加えられている。これは、重要な問題である。このグループを光
学的に特徴付けることが実質的に不可能となるからである。
【0029】
ポリマーは、重要なグループの透明有機物質であり、本発明が動作することが意図され
る態様を説明するのに役立つサンプルグループとして使用される。ポリマーは典型的に、
長鎖のモノマーからなる。かかるポリマーの骨格は典型的に、炭素又はケイ素のいずれか
からなる。図4~9は、一般的に使用されるいくつかの透明なポリマーの化学構造を示す
図4はポリメチルメタクリレート(PMMA)鎖を示す。図5はポリカーボネートの構
造を示す。図6はポリスチレン構造を示す。図7はナイロン6,6を示す。図8はポリプ
ロピレン鎖を示す。図9はポリエチレン鎖構造を示す。
【0030】
観測されることだが、示されるサンプルポリマーの化学構造は、非常に異なり、これら
のポリマーの吸収スペクトルは、材料の密度、試薬の痕跡量、及び鎖の長さを含む多くの
因子に依存する。それにもかかわらず、上述の透明なポリマーはすべて、いくつかの共通
の化学結合、特にC-C結合及びC-H結合を有する。これは、商業的に利用可能な、本
開示のシステムにより検出されるであろうほぼ完全に有機物質のポリマーに対し、又はや
はり本開示のシステムにより検出されるであろうシリコーン、ポリシラン、ポリゲルマン
及びポリスタナン若しくはポリホスファゼンのような半有機ケイ素系ポリマーに対し、特
に当てはまる。
【0031】
それとは別に、炭素化学系ではない一般公衆にとって利用可能な透明材料(ほとんどが
様々なガラスからなる)の数は、かなり限られる。そのほとんどは、透過スペクトルにつ
いて容易に利用可能なデータを有する。
【0032】
振動性のC-H又はおそらくはポリマー内のC-C結合のいずれかは、レーザにより励
起されるようにシステムが設計されていれば、そのようなポリマーの一つをビームの中に
位置決めする場合に当該ポリマーにより引き起こされる電力低下をモニタリングすること
により、検出が容易となる。これは、常にC-H又はC-C結合の吸収が存在し、常に、
レーザ波長に整合する波長となることを前提とする。回転ピークもまたこの目的のために
使用することができるが、回転ピークはポリマーにおいては信頼できないので、この目的
に対しては振動性のC-H(又はC-C)吸収が良好に適する。
【0033】
ここで、異なるポリマー結合の典型的な吸収領域のチャートを示す図10を参照する。
示されるポリマーのほぼすべてにおいて2900~3200cm-1付近のC-H伸縮振
動が現れることが観測される。したがって、これは、吸収帯域から得られる送信電力変化
を使用する安全システム用の吸収メカニズムの引き金として使用し得る。しかしながら、
これらの吸収帯域に関し、この目的のために有用となることを妨げる2つの問題が存在す
る。
【0034】
(i)C-H振動性吸収線は典型的に非常に急峻であり、その正確な周波数は、ポリマ
ーごとに変わるので、レーザは一のポリマーを励起しても他のポリマーを励起しないこと
があり得る。すなわち、レーザは、当該ポリマーの固有のC-H振動線に正確にチューニ
ングされない限り、吸収されない。
(ii)かかるC-H振動ピークは一般に、数mm厚さの材料セクションゆえにビームの
減衰が20~50%になる(すなわち小さな容器における材料の痕跡量であっても検出可
能となる)ことを意味する中程度の吸収ピークであり、中程度(cm材料当たり20~7
0%の減衰)及び強度(cm当たり70%を超える減衰)の吸収ピークは一般に、かなり
容易に検出されるので、これらの吸収ピークは、ロバストなシステムを作り上げるべく使
用することができない。
【0035】
消費者環境のために設計された商業的なシステムにおいて、指紋は一般的な問題である
。通常の動作において、システムは、単に指紋が堆積されるだけで故障してはならず、そ
の代わり、安全限界を超えるリスクが存在する場合にはシステムは送信をシャットダウン
するべきである。これを行うべく、システムは、ビームの阻止を検出するべきではあるが
、受信器に堆積された任意の指紋に起因して送信を停止するべきではない。強度の又は中
程度の吸収ピークが使用される場合、万一、受信器又は送信器の外部光学表面に指紋又は
何らかの他の汚染が堆積していたら、当該ビームが有意に吸収されて電力送信の失敗が生
じてしまう。これが生じるのは、指紋が、ビームを吸収して制御不良のシステム故障をも
たらす有機化合物を包含するからでもある。指紋のような有機物質が、典型的には外部の
光コンポーネントの表面に堆積され得る環境においてシステムが動作できるようにするべ
く、レーザビームが指紋を成功裏に横切る一方で当該ビームの中に挿入され得る危険な透
明物品が安全システムにより検出されるシステムを構築する必要がある。他方、安全シス
テムが、中程度又は強度の吸収帯域の代わりに弱い吸収帯域を利用するとすれば、システ
ムは、指紋ありでも動作するはずであり、電子的決定に基づいてシャットオフを行うこと
ができるので制御不良の態様とはならない。
【0036】
800cm-1から1300cm-1まで伸びるC-C吸収帯域に目を向けると、これ
は、狭帯域レーザがほぼ確実に、この領域における狭帯域吸収ピークを外すほどの広帯域
である。当該ピークが800cm-1~1300cm-1の範囲内に位置する一方でその
典型的な幅は非常に小さく、狭帯域レーザによっては容易に見逃されるからである。それ
に加え、以下の図11においてわかることだが、この帯域は、いくつかのポリマーに対し
ては消滅する。この場合、800~1300cm-1で可視の吸収ピークは存在せず、C
-C結合が存在せず、及び芳香族炭素-炭素結合又はC=C結合及びC-O-C結合によ
り置換されるポリマーがいくつか存在する。
【0037】
C-C線の吸収強度からはさらなる問題が生じる。ポリエチレンのような対称化合物に
おいはその検出がほぼ不可能となり得る一方、他の化合物においては、受信器の表面上の
弱い指紋でさえ、システムを動作不能にするほど強くなり得るので、電力の有意な部分が
当該指紋に吸収されてデバイスを使用不可にする。指紋が光学表面上に堆積され得るシス
テムの動作を有効にするべく、異なるポリマー同士でそれほど変わらずにほとんどの有機
ポリマーに見出される弱いが弱すぎるほどではない吸収線が必要となる。そのようなピー
クにチューニングされたレーザを、当該ピーク付近で動作するシステムとともに使用する
べきである。図10からわかるように、一般に使用されるポリマーには図示の吸収帯域に
おいてそのようなピークは存在しない。
【0038】
電力受信装置への光無線電力送信のシステムであって、当該システムは、
(a)複数の端部反射器を有して光ビームを放射するべく適合された光共振器と、
(b)当該光共振器の内部に位置決めされて第1帯域ギャップエネルギーを有する利得媒
体であって、冷却システムに熱的に取り付けられて自身を通過する光を増幅させるように
構成された利得媒体と、
(c)当該光の発散を低減して高放射効率(50%超過)を有するコリメータレンズと、
(d)当該利得媒体に電力を供給して当該利得媒体の小信号利得を制御するドライバと、
(e)光ビームを複数の方向の少なくとも一つに向けるように構成されて典型的には高放
射効率(典型的には50%を超える)を有するビーム操舵装置と、
(f)光ビームを一の電圧を有する電力に変換するように構成され、第2帯域ギャップエ
ネルギー、及び吸収層(典型的には半導体)として作用する厚さを有する光/電力変換器
と、
(g)当該光/電力変換器により生成された電力の一の電圧を異なる電圧に変換するよう
に適合され、インダクタ、エネルギー貯蔵デバイス及びスイッチを含む電圧変換器と、
(h)当該光/電力変換器に関連付けられて当該利得媒体と当該光/電力変換器との間に
光学的に配置された少なくとも一つの表面と、
(i)当該光ビームが当該光/電力変換器に衝突したことを示す信号を与えるように構成
された検出器と、
(j)安全違反の潜在性を評価する安全システムと、
(k)当該ビーム操舵装置及び当該ドライバのステータスの少なくとも一つを制御するよ
うに適合され、少なくとも当該検出器からの制御入力信号を受信する制御器と
を含み、
(l)当該少なくとも一つの表面は、(i)一を超える方向に、又は(ii)反射光が、
当該表面に対して当該光共振器から遠隔するように位置決めされた虚焦点を有するように
、又は(iii)反射光が、当該表面に対して当該光共振器の方向に少なくとも1cmの
ところに位置決めされた実焦点を有するように、入射光の小部分を反射する特性を有し、
(m)当該制御器は、(i)当該ドライバに当該利得媒体の小信号利得を変化させること
と、(ii)当該光ビームの放射輝度を変更することと、(iii)当該ドライバにより
供給される電力を変更することと、(iv)当該ビーム操舵装置のスキャン速度を変更す
ることと、(v)当該ビーム操舵装置のスキャン位置を変更することと、(vi)当該光
/電力変換器の位置を画定するスキャン位置を記録することとの少なくとも一つにより、
当該検出器から受信した制御入力信号に応答するように構成され、
(n)当該利得媒体は、Ndイオンがドープされた半導体デバイス又は固体ホストであっ
て、8,300cm-1から12,500cm-1の範囲にある波数を有する少なくとも
一つの周波数に対する放射を減衰させるフィルタを含み、
(o)当該光/電力変換器の能動半導体層の厚さは、当該光ビームのほとんどを吸収でき
る程度に十分大きいが、半導体層の量子効率が有意に低減されるほど大きくはないように
選択され、
(p)第2帯域ギャップエネルギーは第1帯域ギャップエネルギーよりも小さく、
(q)第1帯域ギャップエネルギーは0.8eV~1.1eVであり、
(r)当該スイッチは、式
【数1】
により与えられるRよりも小さな閉直列抵抗を有し、
ここで、Rはオーム単位で測定され、Egainはジュール単位で測定される第1帯域ギ
ャップエネルギーであり、Plaser driverは、レーザドライバにより当該利
得媒体に供給されるワット単位で測定される電力であり、
(s)当該光ビームは、少なくとも8kW/m/ステラジアンの放射輝度、及び近似的
に6940cm-1に位置するC-H吸収の第1倍音と近似的に8130cm-1に位置
するC-H吸収の第2倍音との間にある周波数を有し、
(t)当該システムにおける光コンポーネント、特にコリメータレンズ及びビーム導波器
は、少なくとも50%の放射効率を有する。
【0039】
かかるシステムのいずれにおいても、当該異なる電圧は、光/電気変換器により生成さ
れる電圧よりも高い電圧となり得る。さらに、ビーム操舵装置のステータスは、ビーム操
舵装置の照準方向及びスキャン速度のいずれか又は双方となり得る。
【0040】
さらに、上記システムのいずれにおいても、光ビームは、少なくとも800kW/m
/ステラジアンの放射輝度を有し得る。
【0041】
他の実装例は、共振器の複数の端部反射器の各一つが、(i)誘電体ミラー、(ii)
ブラッグミラー、(iii)フレネル反射器、又は(iv)異なる屈折率を有する誘電体
若しくは半導体材料の交代層からなるミラーのいずれかとなる上記システムのいずれかを
含み得る。それに加え、利得媒体は、Ndイオンがドープされた透明な固体ホスト材料又
は半導体のいずれかとなり得る。かかる場合、システムはさらに、8300cm-1より
も大きな波数を有する放射を抽出するフィルタを含み得る。利得媒体が半導体である場合
、量子ドット利得媒体が有利となり得る。
【0042】
上記システムのさらなる典型的な実装において、冷却システムは、ヒートシンク、ペル
チェダイオード及び液冷プレートの少なくとも一つとなり得る。それには、ファンが装備
され得る。それに加え、利得媒体は、熱抵抗が200度ケルビン/ワット未満のはんだ層
を使用して冷却システムに取り付けることができる。いずれにせよ、冷却システムは、利
得媒体と周囲空気との間の熱抵抗が200度ケルビン/ワット未満となるようにされ得る
【0043】
上記システムのいずれかの代替実装において、光/電力変換器は光起電力セルとしてよ
い。かかる場合、光起電力セルはIII-Vデバイスとなり得る。いずれにせよ、光/電
力変換器の直列抵抗は1オーム未満とすべきである。
【0044】
光/電力変換器は典型的に、その上に導体を有する。その導体は、少なくとも0.02
/μ10の厚さを有する。ここで、μ10は、1/mの単位で測定される10進法減衰係
数である。
【0045】
かかる導体は、少なくとも(0.01*Pρ)/(V*χ)メートルの厚さを有する
べきである。ここで、Pは、光起電力セルにより吸収されるワット単位で測定される送信
電力であり、ρは、当該導体の固有電気抵抗率であり、Vは、光起電力セルにより最大電
力点において放出される電圧であり、χは、導体により覆われる吸収層の面積の割合であ
る。
【0046】
上記システムのさらなる実装によれば、インダクタは、オーム単位で測定される直列抵
抗が、ジュール単位で測定される第1帯域ギャップエネルギーの二乗を、ワット単位で測
定されるドライバ電力の2×10-40倍により除算したもの未満とすべきである。
【0047】
他の実装において、エネルギー貯蔵デバイスは、キャパシタ又は再充電可能電池のいず
れかとなり得る。
【0048】
上記システムのさらなる実装によれば、様々なセンサ及びモニタからの入力が与えられ
て安全違反の確率を推定する少なくとも一つの安全システムが含まれる。これは、特許文
献1のレーダーシステムのような、エラーの確率を示さずに実際の測定データのみを与え
る先行技術のシステムとは異なる。本システムは、実際に検出された安全違反とは対照的
に、安全違反の確率を示す信号を与える点で異なる。これにより、いくつかの有意な利点
が許容される。第一に、システムは、低い信号/ノイズ又は信号中断により明らかとなる
潜在的に問題をはらむ状況に対し、高リスクの状況と低リスクの状況とを判別することに
より応答することができるので、各状況に対して異なるように応答することができる。例
えば、例えば汚れた開口により、整列不良又は同様の事象により引き起こされる低リスク
の状況を、例えば高確率のビーム侵入、又は高いか低いかにかかわらず不合理なビーム電
力のような高リスクの状況とは異なるように扱うことができる。第二に、システムは、十
分に高い検出精度を達成するべく、異なる安全システムからの確率を組み合わせて統一確
率にすることができる。例えば、変化する環境において典型的に毎時10-9故障の故障
率を有するようにシステムが設計される場合、故障なしでそのような信頼できる測定を与
えることができる単一の安全システムは存在しない。しかしながら、安全システムの組み
合わせは、良好な故障確率を有し得る。そのようなデータがエラーの確率と組み合わせら
れ、かつ、双方の安全システムからのエラーの統計的相関が既知であり若しくは推定若し
くは近似される場合、2つのシステムからのデータは、有意に高い確率でデータがもたら
されるように組み合わせることができる。かかる信頼性のあるデータを、とりわけ、信号
/ノイズから、コンポーネントの温度から、同じ若しくは類似のデバイスでの測定に基づ
くプリロードデータから、製造業者若しくは販売者によりアップロードされた若しくはユ
ーザにより与えられたユーザ入力情報から、推定することができる。
【0049】
上記システムのさらなる実装によれば、当該レーザ共振器の出力ビームは、レンズを使
用して、少なくとも一つの軸にコリメートされる(又はほぼコリメートされる)。レンズ
は、高い開口数(Numerical Aperture(NA))のレンズが使用され
るべき高い放射輝度効率(典型的には50%超過)を有する必要がある。
【0050】
上記システムのさらなる実装によれば、ビーム偏向メカニズムはさらに、50%を超え
る高い放射輝度効率を有する必要があり、さらにその回転中心が、ビームの重み付き平均
ポイントに近くなるように、又はビームの最大強度ポイントに若しくはビームの50%強
度線又は90%強度線の中心に近くなるように位置決めする必要がある。
【0051】
送信/受信/変換プロセスのための30%という全体的な放射輝度効率が、システムエ
ネルギーを効率的にするべく望ましいレベルであるが、これは、利用可能なコンポーネン
トの制約、及び環境状態により限られることを理解するべきであり、20%若しくはそれ
以下のような30%未満のレベルも動作可能であることを理解するべきである。
【0052】
それに加え、上記システムのいずれも、再帰反射器を含み得る。また、利得媒体は、ド
ライバにより電気的又は光学的に励起され得る。さらに、第2帯域ギャップエネルギーは
、第1帯域ギャップエネルギーの50%を超え得る。
【0053】
さらに他の実装は、送信器から受信器に電力を送信する方法を行う。この方法は、
(a)第1電力を、近似的に6940cm-1に位置するC-H吸収の第1倍音と近似的
に8130cm-1に位置するC-H吸収の第2倍音との間にある周波数を有する電磁波
に変換することであって、当該電磁波は少なくとも8kW/m/ステラジアンの放射輝
度を有し、当該変換は、複数の端部反射器を有する光共振器と第1電力を受信するレーザ
ドライバに接続された利得媒体とを使用することにより行われ、当該利得媒体は、0.8
eV~1.1eVの第1帯域ギャップエネルギーを有し、当該光共振器の内部に配置され
、冷却システムに熱的に取り付けられ、及び自身を通過する電磁波を増幅するように構成
されることと、
(b)当該電磁波を、制御ユニットにより制御されるビーム操舵装置を使用して複数の方
向の少なくとも一つに向けることと、
(c)関連付けられた部分的に透明な表面を有する標的へのビームの衝突を検出すること
であって、当該衝突に関連する表示が、当該制御ユニットが(i)当該利得媒体の小信号
利得に変化を引き起こすことと、(ii)当該電磁ビームの放射輝度に変化を引き起こす
ことと、(iii)第1電力に変化を引き起こすことと、(iv)当該ビーム操舵装置の
スキャン速度を変えることと、(v)当該ビーム操舵装置のスキャン位置を変えることと
、(vi)当該標的の位置を画定するスキャン位置を記録することとの少なくとも一つを
行うことにより利用されることと、
(d)第1帯域ギャップエネルギーよりも小さな第2帯域ギャップエネルギーを有する光
/電力変換器を使用することにより、当該電磁波を一の電圧を有する第2電力に変換する
ことと、
(e)インダクタ、エネルギー貯蔵デバイス、及び式
【数2】
により与えられるRよりも小さな閉直列抵抗を有するスイッチを含む電圧変換器により、
当該一の電圧を異なる電圧に変換することであって、ここで、Rはオーム単位で測定され
、Egainは、ジュール単位で測定される第1帯域ギャップエネルギーであり、Pla
ser driverは、ワット単位で測定される第1電力であることと
を含み、
(f)当該表面は、(i)拡散するように、又は(ii)反射光が、当該表面に対して当
該光共振器から遠隔して位置決めされた虚焦点を有するように、又は(iii)反射光が
、当該表面に対して当該光共振器の方向に少なくとも1cmに位置決めされた実焦点を有
するように、入射する電磁波の小部分を反射するように設計され、
(g)当該利得媒体は、8,300cm-1~12,500cm-1の範囲にある波数を
有する少なくとも一つの周波数に対する放射を減衰させるフィルタを含んでNdイオンが
ドープされた半導体デバイス又は固体ホストのいずれかである。
【0054】
かかる方法において、スイッチは、式
【数3】
により決定される周波数でスイッチングされ得る。
ここで、fはHz単位で測定されるスイッチング周波数であり、Egainはジュール単
位で測定される利得媒体の帯域ギャップであり、Voutputはボルト単位で測定され
る電圧変換器からの出力電圧であり、Plaser driverはワット単位で測定さ
れる当該レーザドライバにより利得媒体へと励起される電力である。
【0055】
それに加え、ビームが標的に衝突したことの検出は、当該標的からの再帰反射照明の検
出の送信器における使用、又は受信器センサを使用した標的の照明の検出の使用のいずれ
かにより、行うことができる。さらに、上記方法のいずれにおいても、第2帯域ギャップ
エネルギーは、第1帯域ギャップエネルギーの50%を超え得る。
【0056】
すなわち、本開示に記載されたデバイスの典型的な実装によれば、少なくとも一つの電
力受信装置への光無線電力送信のシステムが与えられる。システムは、
(i)複数の端部反射器及び一の利得媒体を有する光共振器であって、当該利得媒体は、
8,300cm-1~12,500cm-1の範囲にある波数を有する少なくとも一つの
周波数に対する放射を減衰させるフィルタと光通信をしてネオジムイオンがドープされた
半導体材料又は固体ホストのいずれかを含み、当該利得媒体は(a)当該光共振器の内部
に位置決めされ、(b)第1帯域ギャップエネルギーを有し、(c)冷却システムに熱的
に取り付けられ、当該利得媒体が自身を通過する光を増幅させるように構成され、当該共
振器は当該光の光ビームを放射するように構成される共振器と、
(ii)電力を当該利得媒体に供給して当該利得媒体の小信号利得の制御を可能にするよ
うに構成されたドライバと、
(iii)当該光ビームを複数の方向の少なくとも一つに向けるように構成されたビーム
操舵装置と、
(iv)少なくとも一つの電力受信装置の中に配置されて当該光ビームを、一の電圧を有
する電力に変換するように構成された光/電力変換器であって、第2帯域ギャップエネル
ギーを有する光/電力変換器と、
(v)当該光ビームが当該光/電力変換器に衝突したことを示す信号を与えるように構成
された検出器と、
(vi)当該ビーム操舵装置及び当該ドライバのステータスの少なくとも一つを制御する
ように適合された制御器であって、少なくとも当該検出器からの制御入力信号を受信する
制御器と
を含み、
当該制御器は、
当該ドライバに当該利得媒体の小信号利得を変化させることと、
当該光ビームの放射輝度を変更することと、
当該ドライバにより供給される電力を変更することと、
当該ビーム操舵装置のスキャン速度を変更することと、
当該ビーム操舵装置のスキャン姿勢を変更することと、
当該光/電力変換器の配置を画定するスキャン姿勢を記録することと
の少なくとも一つをもたらす指令を出力することにより、当該システムに生じた安全リス
クの表示に応答するように構成される。
【0057】
姿勢との用語は、ビーム操舵装置がビームを向ける位置及び角度配向の双方を意味する
ものと理解される。さらに、電力を利得媒体に供給するように構成された上記ドライバは
また、当該利得媒体への励起電力入力を変えること、又は当該ドライバを完全にオン若し
くはオフにすることにより、当該利得媒体の小信号利得を制御できるものと理解される。
【0058】
かかるシステムでは、システムにおいて生じる安全リスクの表示は少なくとも、光ビー
ムが光/電力変換器に衝突したことを表示する信号を与えるように構成された検出器によ
り生成された信号から、及び少なくとも一つの電力受信装置から反射されたビームの共振
器において受信されたレベルにより生成された信号から、取得することができる。
【0059】
多くの状況において、システムにより放射される最大電力は、当該システムの安全要件
から、当該システムの工学的要件から、受信器の電力要件から(これは動的に変化し得る
)、又は他の問題点から、導かれ得る所定最大値が超過されるのを防止するべく、制限す
る必要がある。かかる場合において、光ビームが一定の電力を超える場合、システムは、
利得媒体の小信号利得を低減させ、当該システムにより放射される放射輝度の低下をもた
らすことができる。
【0060】
したがって、なおもさらなる実装によれば、かかるシステムはさらに、少なくとも一つ
の電力受信装置に衝突する前に光ビームにより搬送された電力を示す信号を与えるように
配置された電力センサを含み得る。かかる状況において、ドライバは、電力センサの電力
表示がしきい値を超えたときに利得媒体の小信号利得を低減するように構成することがで
きる。
【0061】
それに加え、安全リスクの一つの重要な表示は、「電力喪失」、すなわちシステムによ
っては説明されない電力の推定、である。かかる電力は、システムにとって喪失され得る
が、リスクのある態様での電力放射にとっての喪失でもあり得る。かかる「電力喪失」が
検出されると、システムは、安全な動作を保証するべく様々な動作を行う必要がある。そ
の動作には、ビームの電力の低減、小信号利得の低減、システムの放射輝度の低減、ビー
ムの偏向、又はユーザへの通知が含まれ得る。したがって、検出器はまた、少なくとも一
つの電力受信装置が受信した電力を表示する信号も与える。この場合、安全の表示の少な
くとも一つは、電力センサにより表示される電力と、当該少なくとも一つの電力受信装置
の一つにおける検出器により表示される電力との差異に由来し得る。その後、安全の表示
の少なくとも一つが、当該差異がしきい値を超えることから生じ得る。
【0062】
他の安全ハザード表示は、光学的となり得るビーム侵入センサに由来し、又はシステム
が安全ではないことを示し得るウォッチドッグ、インターロック、サーミスタのようなシ
ステム完全性センサに由来し得る。かかる場合において、システムは、ビームの電力の低
減、小信号利得の低減、システムの放射輝度の低減、ビームの偏向、又はユーザへの通知
のような安全動作を行うことができる。
【0063】
したがって、上記システムのさらなる実装は、望ましくない物体が光ビームに侵入する
ときを検知するように適合されたビーム侵入センサを含み得る。望ましくない物体の侵入
が安全リスクの表示を構成する。代替的に及び追加的に、かかるシステムはさらに、エン
クロージャ完全性センサを含み得る。ここで、当該センサにより発行されるエンクロージ
ャの完全性が喪失されたとの警告が、安全リスクを示す。かかるシステムはまた、システ
ムにおける少なくとも一つの重要なサブシステムの逸脱動作を検知する検知デバイスを含
み得る。逸脱動作が安全リスクの表示を構成する。
【0064】
少なくとも一つの電力受信装置への光無線電力送信の他の典型的なシステムは、
(i)複数の端部反射器及び一の利得媒体を有する光共振器であって、当該利得媒体は、
8,300cm-1~12,500cm-1の範囲にある波数を有する少なくとも一つの
周波数に対する放射を減衰させるフィルタと光通信をしてネオジムイオンがドープされた
半導体材料又は固体ホストのいずれかを含み、当該利得媒体は、当該光共振器の内部に位
置決めされ、第1帯域ギャップエネルギーを有し、及び冷却システムに熱的に取り付けら
れ、当該利得媒体は、自身を通過する光を増幅させるように構成され、当該共振器は、当
該光の光ビームを放射するように構成される共振器と、
(ii)電力を当該利得媒体に供給して当該利得媒体の小信号利得の制御を可能にするよ
うに構成されたドライバと、
(iii)当該光ビームを複数の方向の少なくとも一つに向けるように構成されたビーム
操舵装置と、
(iv)少なくとも一つの電力受信装置の中に配置されて当該光ビームを、一の電圧を有
する電力に変換するように構成された光/電力変換器であって、第2帯域ギャップエネル
ギーを有する光/電力変換器と、
(v)当該光ビームが当該光/電力変換器に衝突したことを示す信号を与えるように構成
された検出器と、
(vi)当該ビーム操舵装置及び当該ドライバのステータスの少なくとも一つを制御する
ように適合された制御器であって、少なくとも当該検出器からの制御入力信号を受信する
制御器と
を含み、
当該光ビームは、少なくとも8kW/m/ステラジアンの放射輝度を有し、当該制御器
が当該光ビームを、電力受信装置の一つに向ける場合に当該送信の全体的な放射輝度効率
が少なくとも20%となる。かかるシステムにおいて、当該送信の全体的な放射輝度効率
は代替的に、少なくとも30%となり得る。
【0065】
多くの場合、動的な温度及び機械的応力にわたって高い放射輝度を有するようにシステ
ムを設計することは困難となり得る。ビーム経路にある光コンポーネントはしばしば、精
密に整列させる必要があるが、温度変化又は機械的応力は、焦点ぼけ、コンマ、及びさら
には誤整列のようなビーム収差を引き起こす。システムは、このような変化を、放射輝度
の変化を検知することとレンズ位置又はビーム電力のようなパラメータを適合させて改善
することとにより、防止又は修正するように設計する必要がある。放射輝度測定もまた、
安全上の理由により重要である。送信器及び受信器間の放射輝度の損失は通常、送信器の
不良な動作状態(セッティングが正しくないか、何らかの光、機械又は電子コンポーネン
トが整列から逸脱したか、又は予想どおりに作動していないかのいずれか)又は送信器及
び受信器間の異物のいずれかを示す。かかる状況への適切な応答は、ビームの電力低減、
小信号利得低減、システムの放射輝度低減、ビーム偏向、又はユーザへの通知のような安
全動作を行うこととなり得る。
【0066】
したがって、後半の2つの記載のシステムは、動作温度の所定範囲にわたり送信の全体
的な放射輝度効率を維持するように構成することができる。これらはさらに、少なくとも
一つの電力受信装置において放射輝度検出器を含み、当該電力受信装置が受信する放射輝
度を示す信号を与えることができる。かかる場合において、全体的な放射輝度効率は、(
i)システム構成上のパラメータ、及び(ii)放射輝度を示す信号を使用してそれを維
持するべくシステムパラメータを適合させるべく適合されたフィードバックシステムを維
持する放射輝度の付与、の少なくとも一方を理由として維持することができる。システム
パラメータは、レンズ位置、レンズ光電力及びビーム電力の少なくとも一つを含み得る。
【0067】
さらに、かかるシステムはさらに、光無線電力送信システムが放射する放射輝度を示す
信号を与えるように配置された送信放射輝度検出器を含み得る。その場合、安全リスクの
表示は、送信放射輝度検出器からの信号と電力受信装置が受信する放射輝度を示す信号と
の差異がしきい値を超えるときに誘発され得る。
【0068】
上記システムのいずれにおいても、第2帯域ギャップエネルギーは、第1帯域ギャップ
エネルギーよりも小さくする必要がある。
【0069】
最後に、かかるシステムにおいて、安全リスクが生じることの表示はさらに、送信放射
輝度を示す信号と電力受信装置が受信する放射輝度を示す信号との差異が、しきい値を超
える場合に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
本発明は、図面と併せて受け取られる以下の詳細な説明により、十分に理解かつ認識さ
れる。
【0071】
図1】様々な電池化学のエネルギー密度を示す。
図2】2014年4月改定の米国連邦規則集、タイトル21第8巻(21CFRセクション8)チャプターI、サブチャプターJパート1040に従う様々な露光時間に対するレーザの最大許容露光値を示す。
図3】クラスIVレーザ製品に対する警告標識の一例を示す。
図4図4~9は、一般に使用される様々な透明ポリマーの化学組成の例を示す。図4はポリメチルメタクリレート(PMMA)鎖を示す。
図5】ポリカーボネートの構造を示す。
図6】ポリスチレン構造を示す。
図7】ナイロン6,6の構造を示す。
図8】ポリプロピレン鎖構造を示す。
図9】ポリエチレン鎖構造を示す。
図10】一般的な有機化学結合に対するIR吸収帯域を示す。
図11】ポリエチレンのIR吸収スペクトルを示す。
図12】いくつかの一般的な有機化学結合の倍音吸収帯域を示す。
図13図13a及び13bは、光起電力セルの出力電圧を異なる電圧に変換する異なる電子構成を示す。
図14】放射輝度8kW/m/ステラジアンのビームが合焦されたミラーにより反射された平方メートル当たりの電力を、開口数の関数として示す。
図15図15A~15Cは、本開示の送信器により照明される受信器の前面からの危険な反射を回避するための、本開示に係る典型的な装置の模式的な図を示す。
図16】本開示の光無線給電システムの詳細な記載を示す模式的な図を示す。
図17図16のシステムの電力送信の変化を、ビーム操舵ミラーの傾き角度の関数として示すグラフである。
図18図16のシステムの利得媒体のための冷却システムの模式的な表現を示す。
図19図16のシステムの詳細な記載を示すが、安全システムをさらに組み入れた模式的な図である。
図20図16及び図19に示されるシステムの光/電力変換器の模式的な図である。
図21図19の安全システムのブロック図を示す。
図22】単数のジンバル軸又は複数のジンバル軸について回転するミラーにより偏向される図19のシステムの出力レーザビームを示す。
図23図22に示されるビームよりも大きな角度だけビームが偏向されるように回転された図22のミラーを示す。
図24】典型的な偏向ビームの強度特性の模式的な表現を示す。
図25】レーザの速軸に直交する方向からのレーザダイオード、及びビームを操作するレンズの側面図を示す。
図26】完全なレーザ保護器のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0072】
上記考慮に鑑み、本開示の光無線給電システムの一つの典型的な実装は、6940cm
-1におけるC-H吸収の第1倍音と8130cm-1におけるC-H吸収の第2倍音と
の間で作動するようにチューニングされたシステムとなり得る。かかる倍音帯域は、あま
り知られた帯域ではなく、それほど多くの化学的な情報を含むわけではなく、実質的に禁
止された量子力学的遷移から生じ、及び、複雑なメカニズムゆえに許容されるにすぎない
。したがって、倍音帯域は、本願にとってまさに好ましい広くて弱い吸収帯域を与えるが
、分析化学においては有意に使用されないことがわかっている。帯域の幅広い性質により
、様々な異なるポリマー組成を検出することが可能となる一方、弱い吸収により、システ
ムは、有機汚れ及び指紋の近くにおいてであっても動作を続けることができる。このこと
により、これらの線は、典型的な吸収測定用途にとってはそれほど有用ではないが、本タ
スクにとっては理想的である。これらの線の他の利点は、同じ周波数に直に位置決めされ
る一般吸収線が存在しないことにあり、それゆえ、材料の化学組成が変化しても、測定結
果がそれほど強く改変されることがない。多くのかかる倍音帯域が、図12のチャートに
例示される。
【0073】
その帯域で動作する電気光コンポーネントは、不足しており調達が困難である。これは
おそらく、ダイオードレーザ及び半導体励起固体(Diode-Pumped,Soli
d State(DPSS))レーザの双方ともが、その周波数においてあまり効率的で
なく、低電力レーザのみが現在のところ商業的に入手可能だからである。好ましい周波数
における所望のパラメータを有するレーザが現在のところ入手可能ではないので、この用
途に適切なレーザは、ゼロから設計しなければならない。共振器及び利得媒体を設計する
必要がある。粗くコリメートされた又はほぼコリメートされたビームを促すのに十分な選
択された周波数及び放射輝度値を備えたレーザを構築する必要がある。ビームの良好なコ
リメーションを達成するべく、少なくとも8kW/m/ステラジアンの放射輝度が必要
であり、効率的な電力送信のための高電力システムには800kW/m/ステラジアン
くらいは必要となる。長距離で作動する小さなシステムに対し、同様の原理に従えば、将
来、かなり高い放射輝度(10GW/m/ステラジアンまで)を設計することができる
。当該レベル未満の放射輝度で使用される受信器は、システムが扱いにくくなるほど大き
くならざるを得ない。
【0074】
共振器のための異なるミラー設定が使用された。具体的には、金、銀又はアルミニウム
から作られた良好な品質の金属ミラーが使用された。これらは、レーザ発振効率を有意に
低減することがわかっている。誘電体材料ミラーによって、かなり良好な結果が達成され
る。代替的に、フレネルミラーは、低コストである点で一つの利点を有する。使用可能な
他のミラーは、ブラッグミラー(誘電体であり得る)である。ミラーは、安定若しくはほ
ぼ安定した共振器、又は光子がレーザの内側(ファイバ又はダイオードレーザにおいての
ような)にある障壁により一定空間に閉じ込められる共振器を形成するように位置決めす
る必要がある。利得媒体は、当該利得媒体がビームを増幅させて当該共振器内部で共振す
ることが許容される位置のミラー間において、少なくとも8kW/m/ステラジアンの
放射輝度を有するように当該共振器に配置される必要がある。
【0075】
利得媒体が一を超える波長においてレーザ発振することができる場合、誘電体ミラーは
、当該波長を固有値に制限するように選択することができる。代替的に、フィルタを使用
してレーザ発振周波数を固定することもできる。
【0076】
具体的には、6940cm-1におけるC-H吸収の第1倍音と8130cm-1にお
けるC-H吸収の第2倍音との間にある少なくとも一つの波長に対してミラーが高い反射
率を有する場合に良好となる。
【0077】
利得媒体に対しては3つの異なるアプローチを使用することができる。
【0078】
1.DPSS設計
【0079】
DPSS設計において、利得媒体は、NdドープYAG結晶とすることができる。ただ
し、YVO結晶、GGG結晶及びガラスも、透明なホストのためのオプションとなる。
C-H帯域の第1倍音とC-H帯域の第2倍音との間での動作には、ネオジムが最も適切
である。Ndは、ほぼ7450cm-1付近における遷移を有するからである。Ndイオ
ンは、典型的には808nmレーザダイオードからの放射を吸収することによって励起さ
れる必要がある。ただし、他の波長も使用することができる。Nd系利得媒体は、940
0cm-1付近の遷移を阻止するフィルタを共振器内部に付加しない限り、又は共振器か
らの望ましくない放射が抽出されない限り、かなり高い周波数でレーザ発振する傾向があ
る。かかるフィルタが追加されると、7440~7480cm-1においてレーザ発振が
開始する。かかるフィルタ作用は、フィルタの代わりにプリズム又は格子を使用すること
により、又は当該レーザ共振器の適切な色設計により、達成することができる。
【0080】
2.半導体レーザ
【0081】
代替として、半導体系設計を提案することができる。半導体レーザの波長を、使用され
る半導体のレーザ発振帯域ギャップを改変することにより、チューニングすることができ
る。半導体、特定的には1eVのオーダーの帯域ギャップを有するIII-Vタイプのも
の、及びさらに特定的には、ただし排他的ではなく、量子ドットタイプのものが、690
0cm-1~8200cm-1の所望の周波数において発光する。具体的には、0.8e
V~1.1eVの帯域ギャップが良好な結果をもたらし、少なくとも部分的に、一般に使
用されるポリマーの実質的にすべてにより吸収される。
【0082】
3.様々な代替設計、例えばブラッグミラー及び/又はファイバループミラーを含み得る
Ndドープファイバレーザもまた、本開示に記載のシステムにおいて使用することができ
る。代替的に、ラマンシフトファイバレーザも使用することができる。
【0083】
動作中、利得媒体は加熱するので、波長シフト及び効率劣化を防止するべく冷却しなけ
ればならない。利得媒体が適切に冷却されれば、少なくとも8kW/m/ステラジアン
の放射輝度を有し、6900cm-1~8200cm-1の周波数を有するビームが放射
されるまでずっと、励起電力又は電流を増加させることができる。かかるビームは、ほぼ
コリメートされ得るので、検出が許容されるポリマーを含む大抵の有機物質により減衰さ
れる。それにもかかわらず、指紋のような汚染物質により強く吸収されることはない。
【0084】
レーザ利得媒体は典型的に、摂氏150度未満の温度で作動するように構成される。そ
の温度が、典型的には摂氏250度付近の一定レベルを超えると、一定数の問題が生じ得
る。
【0085】
第一に、特に3レベル及び4レベルのレーザにおいて、低レベルの励起状態が集合する
ことに起因して、さらには半導体の電荷担体の熱再結合に起因して、発光効率が有意に低
下し得る。
【0086】
第二に、利得媒体のはんだ付けが、かかる熱的な取り付け方法が使用される場合、損傷
を受け得る。
【0087】
第三に、ビーム劣化を引き起こす熱収差が生じ得る。
【0088】
第四に、レーザ利得媒体の熱膨張が、その周囲の熱膨張とは異なり得るので、機械的応
力、又は利得媒体の歪み及び破砕が引き起こされ得る。
【0089】
これらの理由により、とりわけ利得媒体は、冷却システムに熱的に取り付ける必要があ
る。典型的に、利得媒体は0.1~100Wの熱を、1mm~40mmの表面から放
出する。利得媒体の温度が150度未満に維持されるように、利得媒体の冷却システムは
、熱抵抗が200ケルビン毎ワット未満となる必要がある。10Wを超える電力入力から
生じるのが典型的な高電力を送信するシステムにとって、熱抵抗は有意に低くする必要が
あり、多くの場合、0.05ケルビン/ワット未満の熱抵抗が必要とされる。
【0090】
冷却システムの表面の利得媒体への取り付けは、利得媒体自体の膨張係数及び冷却シス
テムの前面の膨張係数双方に整合する膨張係数を有する必要がある典型的にははんだ又は
接着剤のような第3の材料を使用して行われる。
【0091】
かかる冷却システムは典型的に、受動ヒートシンク、ファン付きヒートシンク、ファン
あり又はなしのヒートシンクに接続されるペルチェ素子、又は液冷型冷却システムのいず
れかとなり得る。代替的に、循環ポンプに基づく能動循環による、又はヒートパイプに基
づく受動循環による、独立型の液体循環冷却システムを使用することもできる。
【0092】
冷却システムがファン付きヒートシンクからなる場合、その熱抵抗は、0.1度ケルビ
ン毎ワット未満でなければならない。
【0093】
冷却システムが受動ヒートシンクの場合、その熱抵抗は、0.3度ケルビン毎ワット未
満でなければならない。
【0094】
冷却システムがペルチェ素子の場合、少なくとも5度の温度差ΔTを生成する必要があ
る。
【0095】
冷却システムが能動液冷冷却システムの場合、ここで言及する熱抵抗の範囲全体をカバ
ーすることができなければならない。
【0096】
受動ヒートシンクが好ましいのが、低コストかつ静音動作のために設計されたシステム
においてである一方、液冷システムは高電力システムに対して好ましい。ファン付きヒー
トシンク又は流体ポンプは、1Wを超える電気出力を有するのが典型的なシステム、及び
近似的に1リットル未満のような小体積を有する送信器に対して使用される。
【0097】
利得媒体は典型的にドライバにより駆動され、ドライバは利得媒体にパワーを供給する
が、そのパワーは、いくつかの半導体利得媒体の場合には電力として与えられ、又は他の
半導体利得媒体若しくはDPSSシステム、若しくは化学若しくは他の形態のエネルギー
の場合には光として与えられる。ドライバにより供給される電力の量は、作動条件及びレ
ーザ放射を決定する達成される小信号利得を決定する。他方、利得媒体の飽和利得は一般
に、利得媒体のために選択された材料の関数となり、究極的にはレーザから放射される放
射輝度となる。ただし、必ずしも単純な線形態様となるわけではない。かかるレーザドラ
イバは、2つ以上の動作状態を有し得る。一つは電力送信のために使用され、他は、標的
探索、セットアップ及び情報送信のようなシステムの他の機能のために使用される。重要
なのは、レーザドライバが、双方の作動条件において(電力及びビームのパラメータに関
し)安定した放射を作り出すことである。ただし、電力送信中の安定動作の方が重要であ
る。
【0098】
有用な電力が送られるように光ビームを再び電気に変換するべく、光/電力変換器、典
型的には光起電力セル、を使用する必要がある。レーザと同様、使用されるビームの周波
数にあつらえられた適切な光起電力セルは、市販のコンポーネントとして一般に入手可能
というわけではないので、カスタム電池が必要となる。光起電力半導体の帯域ギャップは
、半導体によりビーム周波数が効率的に吸収されるように、使用される利得媒体の帯域ギ
ャップよりもわずかに小さくする必要がある。そうでなければ、変換効率は非常に悪くな
る。他方、使用される帯域ギャップが小さすぎると、悪い効率のシステムが達成されてし
まう。また、光起電力セル上の導体は、使用されるビームの放射輝度にあつらえる必要が
ある。放射輝度が高ければ高いほど、必要とされる導体は厚くなる。
【0099】
レーザ利得媒体の帯域ギャップは、0.8~1.1eVの範囲とする必要があり、使用
される光起電力セルの帯域ギャップは、それよりも低くなければならない。単一接合光起
電力セルは典型的に、電子電荷により除算された帯域ギャップエネルギーの約60~80
%の電圧を生成するので、当該レーザ周波数にあつらえた単一接合電池は、実際のシステ
ムに必要な数ワットの出力電力を仮定すれば、典型的には0.3~0.8Vの非常に低い
電圧、及び典型的には高い電流をもたらす。半導体上の導体は、生成された電流を(例え
ば5%を超える)有意な損失なしに搬送するべく十分に厚くする必要がある。典型的には
、導体の直列抵抗を1オーム未満、さらに良好には0.1オーム未満にする必要があり、
発生する熱は、光起電力セルから効率的に抽出する必要がある。その効率は一般に、温度
とともに減少する。
【0100】
この低電圧と高電力との組み合わせを、携帯型デバイスを充電するのに必要な、典型的
には3.3又は5Vの高電圧に、容易に変換することはできない。さらに、通信システム
のようないくつかのシステムは、-48V、12V又は3.8Vのような電圧を必要とし
得る。システムは、安定電圧を、光起電力セルから予測される出力電圧よりも高いレベル
で供給する必要がある。光起電力セルの電圧を増加させる典型的な方法は、当該セルを直
列に接続することであり、例えば「P/Nセル及びN/Pセルを含む光起電力直列アレイ
」との名称のM.F.Amsterdam et alの米国特許第3,370,986
号に記載される。これは、ほぼ同じ量の半導体を追加コンポーネントなしで利用しながら
、高電圧をもたらす典型的な構成を示すので、典型的に選択される解決策となる。
【0101】
しかしながら、この解決策は、8kW/m/ステラジアンもの高い放射輝度を有する
レーザが使用される本願記載のシステムにとって適切ではない。これは特に、そのような
レーザは典型的に、均一な形状のビームを有しないからである。さらに、そのビーム形状
は、経時的に可変となり得るので、指向精度は、最適になるように所望されたものよりも
低くなり得る。かかる状況において、すべてのセルを均等に照明するコンパクトかつ効率
的なシステムを設計することは実質的に不可能である。直列に接続された光起電力セルは
、均一に照明されることとはならないので、同じ電流を生成することがない。かかる場合
において、実際のところ電圧は、所望のレベルまで増加させられるが、電流は、最小電流
をもたらすセル、通常は最小限に照明されるセル、により生成される電流まで低下する。
かかる状況において、効率は非常に悪い。したがって、電圧を増加させる改善された代替
方法が必要とされる。
【0102】
単一セルの電圧を増加させる一つの方法は、キャパシタを並列に充電し、その後に、直
列に放電させることによる。この方法は、低電流に対しては良好な結果をもたらすが、電
流が一定レベルを超えるように増加すると、スイッチング時間が、効率に影響を与える支
配因子となる。効率は、スイッチング時間の増加に伴い劣化する。
【0103】
高速かつ低い抵抗のスイッチングメカニズムを使用してエネルギーがACに変換される
場合、そのAC電流は、結合されたインダクタンスを使用して増幅された後、再びACに
変換される。増加した電圧のACは、ダイオードブリッジと、キャパシタ又は電池のよう
なエネルギー貯蔵デバイスとを使用してDCに変換することができる。かかるシステムは
、電圧を光電セル電圧の20倍を超えて増加させる必要がある場合に利点を有する。かか
るシステムの他の利点は、レーザを使用してスイッチングを送信器から行えるので、受信
器のコスト及び複雑性を減じることができる。かかるシステムは、電圧を10倍未満だけ
増加させる必要がある場合、又はアプリケーションにとってサイズ及び体積の制限が重要
となる場合、不利点を有する。
【0104】
ここで、効率的かつ単純な電圧変換の方法を示す図13Aを参照する。図13Aの構成
において、光起電力セルの電圧を増加させるべく、単一のインダクタを、低抵抗スイッチ
ングメカニズム及びエネルギー貯蔵デバイスとともに使用することができる。図13A
おいて、左側の正方形は光起電力セルであり、スイッチSは、MOSFET、JFET、
BJT、IGBT又はpHEMTのような低抵抗スイッチであり、インダクタンスLが光
起電力セルの出力に接続され、キャパシタCがエネルギー貯蔵デバイスとして作用する。
【0105】
以下の記載は、簡潔のため、ゼロ抵抗のコンポーネントの使用を仮定する。抵抗損失を
考慮に入れると、計算が複雑となるので、本開示の後のセクションで説明する。スイッチ
ングメカニズムは、インダクタを2つの一次動作フェーズすなわち充電フェーズ及び放電
フェーズの間で循環させる。充電フェーズにおいて、インダクタは、スイッチSを閉にす
ることにより光起電力セルと並列に接続される。このフェーズの間、インダクタは、光起
電力セルにより変換されたエネルギーにより充電されている。インダクタエネルギーの増
加は、
【数4】
により与えられる。
ここで、
pvは光起電力セルの出力電圧であり、
は平均インダクタ電流であり、
CHは充電フェーズの持続時間である。
【0106】
放電フェーズにおいて、インダクタは、スイッチSを開にすることにより、光起電力セ
ルと負荷との間に接続される。このフェーズの間、インダクタから出力エネルギー貯蔵デ
バイスへと送られるエネルギーは、インダクタエネルギーの減少
【数5】
によって与えられる。
ここで、
は、典型的にはデバイスの所望出力電圧に非常に近いエネルギー貯蔵デバイスの電圧
であり、したがって、システムの出力電圧として近似され得る。
は平均インダクタ電流であり、
DISは放電フェーズの持続時間である。
【0107】
当該フェーズの間に光起電力セルからインダクタへと送られるエネルギーは、
【数6】
により与えられる。当該フェーズの間のインダクタエネルギーの変化は、入射エネルギー
と流出エネルギーとの差
【数7】
となる。
【0108】
定常状態動作において、サイクルの終わりにおけるインダクタのエネルギーは、当該サ
イクルの最初にもたらされていた
【数8】
と同じ値に戻る。これは、置換の後に
【数9】
をもたらす。したがって、エネルギー貯蔵デバイスにおける電圧は、光起電力セル電圧、
及び充電フェーズ持続時間と放電フェーズ持続時間との比によって定義される。
【0109】
しかしながら、本システムにおいては、コンポーネントの寄生特性及び他の側面が変換
動作及び効率に有意な影響を与えるかもしれないので、システムの効率的な動作を許容す
るべく正しいコンポーネントを選択及び使用する上で注意を払う必要がある。これらの要
素を以下、一つずつ考慮する。
【0110】
インダクタ
【0111】
1.インダクタのインダクタンスは、印加電圧に起因するインダクタ電流の変化率を定義
する。これは、dI/dt=V/Lによって与えられる。ここで、dI/dtは電流の変
化率であり、Vはインダクタの両端に印加された電圧であり、Lはインダクタンスである
。電流システムの文脈において、Vは、送信器における利得媒体によって決定される。異
なる利得媒体を選択することにより、光子エネルギーに変化が引き起こされ、このことが
、その後の光起電力帯域ギャップの変化、ひいては光起電力電圧の変化を支配する。そし
て、これは、異なるインダクタ及び/又はスイッチング周波数を要求する。スイッチング
速度は、光/電力変換器を介した送信器からの入射電力の変化にインダクタ電流が応答で
きる程度に十分に高速でなければならず、かつ、電力損失、入力電圧リップル及び出力電
圧リップルに寄与する高振幅電流リップルを回避できる程度に十分遅くなければならない
。インダクタの最適値は、最大の予測入力電流の20%~40%となるリップル電流をも
たらすべきだが、システムは10%~60%で動作可能となり得る。回路パラメータの厳
密な分析によれば、この目的を達成するには、ヘンリー単位で測定されるインダクタの値
Lは、限界
【数10】
内でなければならない。ここで、
fは、Hz単位で測定されるスイッチング周波数であり、
gainは、利得媒体の帯域ギャップであり、ジュール単位で測定され、
outputは、電圧変換器からの出力電圧であり、ボルト単位で測定され、
laser driverは、レーザドライバにより利得媒体へと励起される電力であ
り、ワット単位で測定される。
【0112】
インダクタを移動式クライアントに成功裏に組み入れるには、インダクタンスは典型的
に、10mHよりも小さくするべきである。これは、移動式クライアントの充電に要求さ
れる電流にとって適切なインダクタであって、携帯型アプリケーションにとって適切な体
積制限を有するインダクタは典型的に、この値を十分に下回るからである。また、10n
Hのような小さすぎるインダクタンスを有するインダクタは、システムにおけるスイッチ
のような他のコンポーネントに利用可能性を厳しく制限する高いスイッチング周波数を要
求する。そのような高い周波数により引き起こされるスイッチング損失は、光起電力セル
により送られる電力量よりも高くなり得る。
【0113】
2.インダクタの直列抵抗Rparasiticは、伝導電力損失を最小限にするべくで
きるだけ低くする必要がある。典型的には、10%未満の効率低下をもたらす値が選択さ
れ、オーム単位で測定されるインダクタの直列抵抗は、
【数11】
未満にする必要がある。
ここで、
gainは、利得媒体の帯域ギャップであり、ジュール単位で測定され、
laser driverは、レーザドライバにより利得媒体へと励起されるワット単
位で測定される電力である。
【0114】
3.典型的なシステムであれば、インダクタ直列抵抗は10Ω未満となる。インダクタの
飽和電流は通常、予測されるインダクタピーク電流よりも高くなるように選択され、
【数12】
によって与えられる。10mWを超える電力を単一接合光起電力セルから抽出するべく、
飽和電流は、10mW/0.8v=12.5mAよりも高くする必要がある。
【0115】
4.信頼できる動作を目的として、インダクタは、予測される最大入力電流よりも高い電
流に定格される。10mWを超える電力を単一接合光起電力セルから抽出するべく、イン
ダクタ定格電流は、10mW/0.8v=12.5mAよりも高くする必要がある。
【0116】
スイッチングメカニズム
【0117】
1.スイッチングメカニズムは通常、2以上のデバイスから作られる。第1デバイス、メ
インスイッチは、導通すると、インダクタを充電フェーズに設定する。第2デバイスは、
放電フェーズの間にインダクタに負荷又は出力エネルギー貯蔵デバイスを接続するととも
に充電フェーズの間に当該接続を解除する機能を有するダイオード(図13A)又はスイ
ッチのいずれかとなり得る。
【0118】
2.スイッチングメカニズムは、スイッチング損失を最小限にするべく低いスイッチノー
ドキャパシタンス
【数13】
を有する必要がある。レーザ電力の50%超過を抽出するべく、スイッチノードキャパシ
タンスは、
【数14】
未満にする必要がある。
【0119】
3.典型的なシステムにおいて、スイッチノードキャパシタンスは、100nF未満かつ
10pF超過となる。
【0120】
4.スイッチノードにおける、インダクタをグランドに接続し又は光/電力変換器をイン
ダクタに接続するメインスイッチの直列抵抗は、
【数15】
未満とする必要がある。典型的なシステムにおいて、スイッチ直列抵抗は10Ω未満とな
る。
【0121】
エネルギー貯蔵デバイス
【0122】
1.エネルギー貯蔵デバイスは、キャパシタ若しくは電池のいずれか又は双方としてよい
【0123】
2.エネルギー貯蔵デバイスは、インダクタが出力から接続解除されたときの充電フェー
ズの間、出力電圧を維持することが要求される。貯蔵デバイスのキャパシタンスは、スイ
ッチング周波数、レーザ電力、及び所望の出力リップル電圧に基づいて、
【数16】
のように選択される。ここで、ΔVは所望の出力リップル電圧である。
【0124】
3.エネルギー貯蔵デバイスはまた、光経路が一時的に中断している間、電力を負荷に供
給することができる。中断しない給電を目的として、エネルギー貯蔵デバイスは少なくと
も、最小動作出力電力(POUT_MIN)に中断時間間隔(TINT)が乗算された
【数17】
に等しい量のエネルギーを貯蔵する必要がある。エネルギー貯蔵デバイスとしてキャパシ
タが使用される場合、キャパシタンスは、
【数18】
よりも大きくなければならない。
10mWよりも大きな最小動作出力電力及び100msよりも長い中断時間間隔での中断
しない動作を目的として、貯蔵エネルギーは1mJよりも大きく、かつ、キャパシタンス
は80μFよりも大きくする必要がある(VOUT=5Vを仮定)。
【0125】
いくつかの場合、キャパシタは、クライアントアプリケーションのためのエネルギー貯
蔵デバイスとしての役割を果たす。かかる場合、クライアントアプリケーションは、いず
れの二次エネルギー貯蔵デバイス(移動式デバイスに装備される従来より使用される電池
)なしでも設計することができる。本明細書に記載のシステムのエネルギー貯蔵デバイス
は、クライアントデバイスに必要な電力を次の充電事象までずっと供給できる程度に十分
なエネルギーを貯蔵する必要がある。かかる場合、少なくとも0.5Fの、及び10Fを
も上回るキャパシタンスを有するスーパーキャパシタを使用することができる。他の場合
、すなわちクライアントデバイスの電力要件が低い場合、又はデバイス内部に装備された
電池のような独立したエネルギー貯蔵デバイスを有する場合、若しくはデバイスが、電力
供給のないときは動作する必要がない場合、使用されるキャパシタは典型的に、1Fを十
分に超える。エネルギー貯蔵デバイスとして再充電可能電池が使用される場合は上記キャ
パシタの論理と同様になり、電池が電圧調整手段としてのみ使用されるが、充電事象同士
の間でクライアントデバイスへの電力供給を維持する手段としては使用されない場合は、
電池のエネルギー容量は、スイッチの100サイクルの間に供給されるエネルギー(典型
的には0.1Wh未満)の100倍までとするのが有利である。このレベルは、電池の体
積割当量及びコスト効率に応じて決定される。他方、電池が、充電事象同士の間にクライ
アントデバイスに電力を供給するためにも使用される場合、その容量は少なくとも、充電
事象同士の間にクライアントデバイスにより必要とされるエネルギー(セルラー電話機の
場合には典型的に0.1Whを上回る)を貯蔵する程度に十分大きくなければならない。
電池はまた、使用が意図される製品に応じた体積制限を有する。すなわち、ある程度の体
積Vを有する製品の電池は、デバイスの外部に組み入れられると、典型的には、当該デバ
イスの体積の数倍すなわち3Vまでに制限される。この経験則の一例として、体積100
ccのセルラー電話機に電力を供給するべく使用される電池は典型的に、体積300cc
未満にまで制限される。かかる電池は典型的に、上述した制限ゆえに300Wh未満の容
量を有する。
【0126】
図13Aにおける回路は、唯一の可能なトポロジーというわけではない。図13Bは、
同様の性能特性を達成することができる異なる設計を示す。図13Bに対するコンポーネ
ントの役割、制約、及び予測値は、図13Aにおける回路に対して列挙したものと同じで
ある。一次的な差異は、出力電圧の正側端子及び負側端子が反転されていることにある。
【0127】
いくつかのアプリケーションにおいて、エネルギー貯蔵デバイスは、受信された電力を
使用することが意図されるデバイスの内部に配置することが好ましい。他のアプリケーシ
ョンにおいては、具体的には、短期間の動作が期待されて調整済み電圧を必要としないア
プリケーションにおいては、エネルギー貯蔵デバイスでさえもなくすことができる。
【0128】
調整のポイント
【0129】
光起電力セルの電力出力は、入射光電力及びそれに適用される負荷に依存する。最適な
負荷条件が光起電力セルからの最大出力電力をもたらすので、電圧変換器の制御メカニズ
ムは、負荷ポイントを調整する必要がある。制御メカニズムは、ほとんどの条件のための
最大電力動作ポイントとして知られるセル端子間の定電圧を維持するように設計されるか
、又は、任意の動作条件のもとでセル出力電力を測定して最適セル電圧を探索することに
より、最大電力動作ポイントを追跡することができる。第1のアプローチは単純であり、
第2のアプローチはさらに電力効率的である。
【0130】
発生するレーザビームは、受信器の方に向ける必要がある。ビームを受信器の方に向け
るべく、ビーム操舵装置を使用する必要がある。使用され得るいくつかのビーム操舵サブ
システムは、可動ミラー、可動レンズ、電気/光変調器、磁気/光変調器、送信器システ
ム全体を一以上の方向に動かす一セットのモータ、又は任意の他の適切なビーム偏向デバ
イスを含む。
【0131】
ビーム操舵装置は、制御器によって、最も便宜には、レーザドライバを制御するべく使
用される同じ制御器によって、制御する必要がある。
【0132】
ビーム操舵装置は、8kW/m/ステラジアンを超えるビームを一定数の方向のいず
れにも向けられるように構成される。
【0133】
ビーム操舵装置の損傷しきい値は、ビームの放射輝度に耐えることができるようにする
必要がある。
【0134】
例えば、開口数0.5の合焦メカニズムを使用してビームがミラーに合焦されると、当
該ミラーは、8kW/m/ステラジアンのビームに対して少なくとも6.7kW/m
の電力密度に耐える必要がある。高い放射輝度のビームが使用されると、ミラーは、それ
に対応して高い損傷しきい値を有するように選択する必要がある。
【0135】
図14は、8kW/m/ステラジアンのビームが合焦される場合の平方メートル当た
りのミラーにより反射された電力を、開口数の関数として示す。高い放射輝度のビームが
使用される場合、ミラーにより反射された電力はそれに対応して線形態様で増加する。
【0136】
ビームは均一からかけ離れているので、時にはビーム平均と比べて10倍の放射輝度を
有する「ホットスポット」が生成され得る。
【0137】
このため、ミラーは、ミラー上の合焦メカニズムの実際のビーム放射輝度及び開口数に
合わせたスケールの、図14に示されるものと少なくとも同じ大きさ、好ましくは少なく
とも10倍の損傷しきい値を有する必要がある。
【0138】
典型的に、受信器には、光起電力セル近くであって光起電力セルと送信器との間に位置
決めされた光前面が存在する。当該光前面を介してビームが受信器に入り、当該光前面は
、光起電力セルの典型的には繊細な構造を保護するべく必要とされ、多くの場合、電力受
信器が統合されるデバイスの外部設計に整合される。前面は、コーニング社のゴリラガラ
ス(登録商標)等のような、引っかき傷から保護する膜を有し、又は引っかき傷に良好に
耐えるように処理される。当該前面はまた、定着し得る指紋及びほこりのような汚染のレ
ベルを低減するように若しくは光学的効果を低減するように処理され、又は反射される光
のレベルを低減する反射防止膜がコーティングされ得る。光起電力セルの前面もまたコー
ティングされ得る。いくつかの場合、前面は、光起電力セル自体の構造の一部となり、又
は光起電力セル上にコーティングされる。
【0139】
いくつかの状況にある間、表面からの反射量を、非常に低い反射の反射防止膜を選択す
ることにより、安全しきい値未満まで低減することができる。万一、こぼれた液体又は指
紋のいずれかにより膜が汚染され又は覆われると、かかる反射防止膜は、反射量を低減す
る効果がなくなり、典型的には入射光の3~4%が、制御不良の方向に反射される。かか
る反射が発散態様で反射される場合、そのパワー密度は間もなく安全レベルまで低下する
。しかしながら、万一反射が合焦されると、パワー密度は危険レベルまで増加し得る。こ
れを理由として、かかる表面のROC(曲率半径(Radius Of Curvatu
re))が、いずれのポイントにおいても、所定値未満とはならないようにすることが重
要となる。一般に、表面からの反射は、入射光の小部分のみとなるように意図されるので
、当該表面の曲率がどのような性質又はどのような形状であるかにかかわらず、任意の有
意なビーム反射の危険性は低減される。反射される光のレベルは可変となり得る。これは
、未処理ガラス表面からのほぼ4%の反射であっても、表面上の外来性汚染物質の層が、
増加された反射率を生じさせる場合には、増加し得るからである。しかしながら、その反
射は、20%を超えることがないと予測され、0.1%又はこれよりもかなり低い反射率
が一般的なARコーティングガラスの場合のように、概して未処理ガラスの実質的に4%
未満となる。したがって、表面は、入射光の小部分を反射する特性を有するものとして本
開示に記載され、そのように特許請求の範囲に記載される。本明細書は、入射光の20%
未満、一般には未処理ガラスの4%未満を意味するべく使用される。
【0140】
ここで、表面から反射され得る入射光の小部分に対してであっても、上記危険な反射を
回避する方法を模式的に例示する図15A~15Cを参照する。図15Aは表面が凹表面
の状況を示し、図15Bは表面が凸表面の状況を示し、図15Cは表面が拡散表面の状況
を示す。図15Aにおいて、少なくとも8kW/m/ステラジアンの放射輝度を有する
入射ビーム110は、光起電力セル112へと向けられ、光起電力セルの前面となり得る
前面111を貫通する。前面111は、ビーム110の一定程度を反射し、表面から一定
距離のところに焦点114を有する合焦ビーム113を生成する。焦点114が目若しく
は皮膚又は他の物体にとって何ら危険とならないことを保証するべく、表面111の曲率
半径(ROC)は、図15Aにおいてのようにビームが低開口数により合焦されるように
しなければならず、又は図15Bにおいてのように焦点ぼけとされるように、若しくは図
15Cにおいてのように拡散されるようにしなければならない。これらの制限を達成する
べく、図15Aにおいてのように送信器から光起電力セルに向かって見て表面が凹となる
場合、そのROCは1cmよりも大きくしなければならず、典型的には0.5Wを上回る
光の高電力システムが使用される場合は5cmよりも大きくしなければならない。代替的
に、表面のROCは、図15Bにおいてのように負にすることができるが、ROCは、0
~1cmの範囲にあってはならない。これらの制限により、反射された光のビームが、焦
点が仮想的、すなわち発散反射ビームに関連付けられるか、又は焦点が表面の前の少なく
とも1cmにあるかのいずれかとなることが保証される。その結果、焦点により生じるリ
スクが有意に低減される。表面はまた、図15Cにおいてのような拡散表面をもたらす小
さな曲率を有するおびただしい数の領域を有することがある。これは、危険な焦点のリス
クを有意に低減するのに役立つ。かかる場合において、表面の各サブセクションの曲率半
径は、焦点を生じることのない1cm未満となり得る。さらに、表面が多数のゾーンに分
割される場合、各ゾーンは小さな曲率を有し得る。
【0141】
安全に動作するべくシステムはまた、電力ビームが光起電力セルにより阻止されて何ら
かの危険な領域に向けられないように、電力ビームを光起電力セルに向けることができる
ようにする必要がある。これを達成するべく検出器は、受信器へのビーム衝突の表示を与
えるように位置決めする必要がある。かかる検出器は典型的に、受信器に位置決めされる
が、かかる検出器が送信器に配置される構成もまた可能である。この場合、検出器は、受
信器へのビームの衝撃ゆえに生じる現象に応答する必要がある。かかる送信器関連システ
ムは、画像取得、及び受信器から受け取る、受信器に印刷されたバーコードからのビーム
の反射のような光情報の処理を含み得る。その結果、送信器はバーコードの照明パターン
を検出することができる。単数若しくは複数の再帰反射器又はそのアレイ若しくはパター
ンからの反射は、受信器に位置決めされ、かかる反射は、画像処理、後方反射測定、又は
反射のコヒーレンス効果測定のいずれかにより、送信器において検出することができる。
検出器は、受信器に位置決めされた電流又は電圧センサ、受信器若しくは送信器における
光ダイオード、又は送信器若しくは受信器のいずれかに存在し得るイメージングデバイス
とすることができる。光起電力セルの近傍にある再帰反射器も、送信器における、当該再
帰反射器から反射された光を検出する追加の検出器と組み合わせて使用することができる
【0142】
検出器は、光起電力セルに衝突する光のビームを検出すると、システム制御器に従って
信号を送信する。検出器が受信器にある場合、かかるシグナリングは、RF、IR、可視
光、UV、ビームの変調、TCP/IP、又は音となり得る通信チャネルを使用して無線
により行うことができる。システム制御器は通常、送信器に配置されるが、送信器からの
コンピュータネットワーク上にも存在し得るメイン制御ユニットに配置してもよい。信号
を受信すると制御器は、以下の少なくとも一つを行うことにより応答する。(a)レーザ
ドライバの状態を変更する。(b)ビームが向けられる方向、かかる方向が変更される速
度のような、ビーム操舵装置の動作特性を変更する。
【0143】
ここで、完全なシステムの詳細な記載を示す模式的な図である図16を参照する。シス
テムは送信器21及び受信器22を含む。一般に、送信器及び受信器は、互いから遠隔す
るように配置されるが、図16には、便宜上、互いに近づいているように示される。ビー
ム15は送信器21から受信器22へ電力を移送する。
【0144】
受信器22において、前面7が、入射ビーム15の小部分を反射ビーム16として反射
する一方、当該ビームを拡散させるか、又は前面7の後ろに仮想焦点を、若しくは表面7
の前の少なくとも1cmに現実焦点を生じさせる。少なくとも部分的に透明な表面7を介
しての送信後、ビーム15は光/電力変換器1に衝突する。
【0145】
光/電力変換器1は、表面7又は別個の窓となり得る前窓を有し得るパッケージに封入
することができる。これはまた、空気又はそのまわりの接着剤若しくはガラスとの界面と
して機能するべく適合された外部表面を有するようにコーティングしてもよい。典型的な
構成において、光/電力変換器1は、典型的には導体が堆積される半導体層の接合部とな
り得る。多くの実施形態において、表面7は、これらの半導体層の一つにコーティングさ
れ、又は当該一つの外部表面となる。
【0146】
シグナリング検出器8は、ビーム15が光起電力セル1に衝突していることを示し、そ
の情報を、このシステムの例において送信器21に配置された制御器13に送信する。制
御信号は、リンク23により、送信器における検出器24に送信される。
【0147】
電力変換器1は帯域ギャップE8を有し、典型的には0.35~1.1Vの電圧をもた
らす。ただし、多接合光起電力セルの使用により、さらに高い電圧がもたらされる。電力
は光起電力セル1から、低抵抗を有する導体2a及び2bを通ってインダクタ3へと流れ
る。インダクタ3は、磁場において自身を通って流れるエネルギーの一部を貯蔵する。
【0148】
自動スイッチ4は典型的に、制御回路(図16には示さず)に接続されたMOSFET
トランジスタであり、交代する状態間で切り替わるので、時間の第1部分の間に電流がイ
ンダクタ3を通ってグランドへと流れることが許容され、当該時間の第2部分の間に当該
インダクタがその貯蔵磁気エネルギーを、光起電力セルよりも高い電圧の電流として放射
することが許容される。その電流はダイオード5を通り、その後に電力を使用することが
できる負荷6へと流れる。
【0149】
自動スイッチ4は、固定周波数で、又は送信器から制御されるか又はクライアント負荷
から制御される可変周波数及び/又はデューティーサイクル及び/又は波形で動作してお
り、又は負荷における電流、電圧又は温度に基づき、又は自動スイッチ4における電流、
電圧又は温度に基づき、又は光/電力変換器1により放射される電流、電圧又は温度に基
づき、又はシステムの状態に関するいくつかの他のインジケータに基づき得る。
【0150】
受信器は、図16に示されるように、負荷6に直接接続することができる。または、負
荷6は、受信器の外部となり、又はセル電話機若しくは他の電力消費デバイスのような別
個のデバイスであり、USB/マイクロUSB/ライトニング(登録商標)/USBタイ
プCのようなソケットを使用して接続することができる。
【0151】
ほとんどの場合、負荷6に並列に接続されたキャパシタ又は電池のようなエネルギー貯
蔵デバイスも存在し、又は、負荷6が、キャパシタ若しくは電池のようなエネルギー貯蔵
デバイスを含み得る。
【0152】
送信器21は、ビーム15を生成して受信器22へと向ける。第1動作モードにおいて
、送信器21は、受信器22の存在を探索する。これは、スキャンビームを使用して、又
は、RF、光、IR光、UV光若しくは音のような通信手段を使用して受信器を検出する
ことにより、又は、再帰反射器若しくは再帰反射構造、バーコード、高コントラストパタ
ーン又は他の視覚インジケータのような受信器の視覚インジケータを検出するカメラを使
用して行われる。大まかな位置が発見されると、ビーム15は典型的には低い電力で、受
信器22まわりの近接エリアをスキャンする。かかるスキャンの間、ビーム15は光起電
力セル1に衝突する。ビーム15が光起電力セル1に衝突すると、検出器8はそれを検出
し、それに応じて制御器13に信号を送る。
【0153】
制御器13は、レーザドライバ12に命令して電力Pを変更して利得媒体11への入力
とすること、及び/又はミラー14に命令してそのスキャン速度又は方向のいずれかを改
変し、ビームをその位置に向け又はその位置を保持し、スキャンステップ速度を変更する
ことのいずれか又は双方により、かかる信号に応答する。利得媒体11が異なる電力Pを
レーザ電源12から受信すると、その小信号利得、すなわち単一の光子が当該利得媒体を
横切るときに受ける利得であって当該利得媒体を同時に横切る他の光子が存在しないもの
、が変化する。後方ミラー10と出力結合器9との間の方向に向けられた光子が利得媒体
11を通過すると、より多くの光子が、ビーム15の方向と同じ方向に放射され、後方ミ
ラー10と出力結合器9との間で光共振が生じる。
【0154】
出力結合器9は部分的に、反射率Rを有するミラーを通過し、6940cm-1におけ
るC-H吸収の第1倍音と8130cm-1におけるC-H吸収の第2倍音との間のスペ
クトルの少なくとも一部で動作し、典型的には、異なる屈折率材料の交代層が、典型的に
はガラス、プラスチック、又は利得媒体11の表面となる基板に堆積された多層誘電体又
は半導体膜となる。代替的に、フレネル反射は、利得媒体が十分小さな信号利得を与える
ことができるか若しくは十分高い屈折率を有する場合に使用することができる。標準の金
属ミラーも使用することができる。利得媒体が半導体又はファイバ増幅器であれば、ブラ
ッグ反射器もまた使用することができる。出力結合器9はまた、光の一つの部分を透過さ
せて、共振器の内部を前方向に進行する波から当該光の他の部分を抽出するが、典型的に
は第3の部分も、当該共振器の内部を後方向に伝播する波から抽出される半透明光コンポ
ーネントのようなビーム抽出器と組み合わされた高反射率ミラーからなり得る。
【0155】
後方反射器10は、高反射率ミラーとすべきであるが、少量の光が後方漏洩し、モニタ
リング又は他の目的で使用されて6940cm-1におけるC-H吸収の第1倍音と81
30cm-1におけるC-H吸収の第2倍音との間にあるスペクトルの少なくとも一部分
で作動し得る。典型的には、通常はガラス、金属又はプラスチックである基板に堆積され
る異なる屈折率材料の交代層から構築することができる。代替的に、利得媒体が十分小さ
な信号利得を与えることができる場合には、フレネル反射も使用することができる。標準
の金属ミラーも使用することができる。利得媒体が半導体又はファイバ増幅器である場合
、ブラッグ反射器もまた使用することができる。
【0156】
利得媒体11は、6940cm-1におけるC-H吸収の第1倍音と8130cm-1
におけるC-H吸収の第2倍音との間の放射を増幅する。ただし、必ずしもこのスペクト
ル範囲全体にわたるわけではない。これは、レーザドライバ12により電力Pで励起され
る場合、出力結合器9により引き起こされる損失よりも大きな小信号利得を送ることがで
きる。その領域、視野、損傷しきい値は、少なくとも8kW/m/ステラジアン/(1
-R)のビームを維持する程度に十分大きくする必要がある。ここで、Rは出力結合器9
の反射率である。これは、Ndイオンがドープされた透明なホスト材料の0.8~1.1
eVの帯域ギャップを有する半導体材料、又は当該スペクトル範囲における放射を模擬す
ることができる他の構造物、から構成され得る。利得媒体11は、後方反射器10から出
力結合器9への光学的視線に位置決めされ、ひいては、後方反射器10により反射された
放射の、利得媒体11を介して後方反射器10と出力結合器9との間での共振が許容され
る。
【0157】
利得媒体11が0.8~1.1eVの帯域ギャップを有する半導体である典型的な実装
に対しては、熱抽出デバイスに取り付けられるのが好ましく、レーザドライバ12により
電気的に又は光学的に励起することができる。
【0158】
利得媒体11が、NdイオンがドープされたYAG、YVO、GGG、又はガラス若
しくはセラミックスのような透明なホストである典型的な実装において、この場合、利得
媒体11は、後方ミラー10と出力結合器9との間での共振から9400cm-1付近の
放射を抽出するべく、フィルタと光通信することが好ましい。
【0159】
ビーム操舵装置14は、制御器13により制御されるように示される。これは、ビーム
15を複数の方向に偏向させることができる。その面積は、最大動作傾斜角度まで傾斜さ
れても、ビーム15の実質的にほとんどが包含されるように十分に大きくしなければなら
ない。単純な2Dの例を挙げる。ビーム15が、コリメートされた5mm直径(1/e
直径)のガウシアンビームであり、かつ、ビーム操舵装置が、ビーム中心を中心とする単
一の丸まったジンバルミラーである場合、及び、ミラーに必要な最大傾斜が30度であり
、かつ、ビーム操舵装置14が他の開口を有しないことが仮定される場合、ミラーは、当
該ビームと同様の5mm直径を有するのであれば、当該ビームの法線入射において近似的
に13%損失となる一方、60度傾斜角度では近似的に60%損失となる。これは、シス
テムの性能をひどく損なわせる。この電力損失は、図17のグラフに例示される。
【0160】
動作開始時、制御器13は、レーザドライバ12及びミラー14に探索動作を行うよう
に指令する。これは、レーザドライバ12が第1状態で動作することにより、受信器22
が発見される可能性が高い一般的な方向にビーム15を向けることによって行われる。例
えば、送信器が部屋の天井の隅に取り付けられる場合、スキャンは、下方、及び当該部屋
の2つの近接した壁間で行われる。光/電力変換器1を包含する受信器22にビーム15
が当たると、検出器8は信号を例えば制御器13に送る。かかる信号が受信されない限り
、制御器13は、ビーム操舵部14に対してビーム15を他の方向に向けて受信器を探索
するように指令する。かかる信号が検出器8から受信されると、制御器13は、ビーム操
舵部14に対してスキャンを停止又は減速して当該受信器にロックするように指令し、レ
ーザドライバ12に電力放射を増加させるように指示する。代替的に制御器13は、受信
器22の位置を認識して後のステージでそこに戻ることもできる。
【0161】
レーザドライバ12がその電力放射を増加させると、利得媒体11の小信号利得が増加
し、その結果、ビーム15は多くの電力を搬送して電力送信が開始する。検出器8が、し
きい値よりも大きな電力損失を検出すると、制御器13は通常、レーザドライバ12にそ
の状態を、必要とされる安全レベルを維持するべく電力を低減することにより変更するよ
うに指令する。当該しきい値は、予め決定又は動的に設定され、典型的には最大許容露光
レベルの有意な部分を代表するレベルにあり、典型的にはシステムノイズ指数よりも大き
く、これらの条件は、ビーム15がもはや正確には光/電力変換器1に向けられていない
こと、又は何らかの物体がビームの経路に侵入したこと、又は誤作動が生じたことと示唆
する。安全動作の他の表示、例えば、ユーザインタフェイス若しくはAPIにより表示さ
れ得る送信の安全に関するユーザからの表示、又は第2の安全システムからの安全動作の
表示、が存在すると、制御器はレーザに対して電力損失を補償するべく電力を増加させる
ように指令することができる。制御器13はまた、ビーム操舵アセンブリ14に対して再
び探索動作を行うように指令することもできる。
【0162】
探索動作には2つの異なるステージが存在する。第一に、視覚パターンを求めて探索可
能なカメラを使用して、再帰反射器を求めて、高コントラストの画像を求めて、受信器か
らの応答信号を求めて、又は他の表示を求めて、又はビーム操舵部14のスキャン特徴部
を使用することにより、粗い探索が行われる。そうして、受信器が発見され得る潜在的な
位置のリストを生成することができる。第2ステージは精細な探索である。ここで、ビー
ム操舵ミラー14は、ビーム15が光/電力変換器1に衝突しているとの信号を検出器8
が送るまでずっと、小面積にビーム15を向ける。
【0163】
ここで、図16のシステムの利得媒体11のための冷却システムの一例を示す図18
参照する。反射器9、10は別個の光学素子として示されるが、これらの一方又は双方が
、システムを単純化するべく利得媒体端面に直接コーティングされ得ることを理解すべき
である。利得媒体11は、レーザドライバ12から受信する電力を熱及び光子の双方に変
換し、当該利得媒体が一定温度を上回るまで加熱されると、典型的にはシステム性能が劣
化する。これを理由として、利得媒体11は、熱抵抗が低い熱伝導はんだが好ましい結合
剤33を使用してヒートシンク34に取り付けられる。結合剤33は伝導性接着剤として
もよい。結合剤33は、利得媒体11の熱膨張係数とヒートシンク34の熱膨張係数との
間の熱膨張係数を有し得る。ヒートシンク34は典型的に、金属製の低熱抵抗ヒートシン
クとしてよく、表面積を増加させるフィン、又はファン若しくは液体ポンプ35のような
外部流体ポンプシステムが装備される。
【0164】
ここで図19を参照する。これは、図16のシステムの詳細な記載を示すが、本願に記
載の方法及びシステムに従い構成されて動作可能な安全システム31をさらに組み入れた
模式的な図である。図19には、設けられる追加の入力を示すべく別個のモジュールとし
て示されるが、安全システムを制御器13に組み入れることができ、これは一般に記載さ
れ、そのように特許請求の範囲とされる。上述したように、システムは送信器21及び受
信器22を含む。一般に、送信器及び受信器は互いから遠隔して配置されるが、便宜上、
図19に示されるように互いに近づいている。ビーム15は送信器21から受信器22へ
電力を移送する。
【0165】
受信器22において、前面7が、入射ビーム15の小部分を反射ビーム16として反射
する一方、当該ビームを拡散させるか、又は前面7の後ろに仮想焦点を、若しくは表面7
の前の少なくとも1cmに現実焦点を生じさせる。少なくとも部分的に透明な表面7を介
しての送信後、ビーム15は、厚さTと当該光ビーム15に対する一定の吸収係数とを有
する半導体層を有する光/電力変換器1に衝突する。層の厚さは、cm単位で測定される
ビームの設計波長に依存し、以下の図20についてさらに詳述されるように、半導体層に
おける光ビームの吸収係数の逆数の0.02倍とする必要がある。
【0166】
光/電力変換器1は、表面7又は別個の窓となり得る前窓を有し得るパッケージに封入
することができる。これはまた、空気又はそのまわりの接着剤若しくはガラスとの界面と
して機能するべく適合された外部表面を有するようにコーティングしてもよい。典型的な
構成において、光/電力変換器1は、典型的には導体が堆積された半導体層の接合部とな
り得る。多くの実施形態において、表面7は、これらの半導体層の一つにコーティングさ
れ、又は当該一つの外部表面となる。
【0167】
シグナリング検出器8は、ビーム15が光起電力セル1に衝突していることを示し、そ
の情報を制御器13に送信し、多くの場合、受信した電力、受信した光パワー、識別情報
、受信器の温度、及び光起電力、並びに、制御情報となり得るクライアントデバイスから
中継された情報のような他のデータも送信する。この例において、システム制御器13は
送信器21に配置されるが、そこから遠隔して配置されてもよい。制御信号は、リンク2
3により送信器の検出器24に送信される。
【0168】
安全システム31は、以下に図21において詳述される様々なソースからの情報を受信
し、特には、ビーム結合器32からの結合されたビーム15の小部分から、及びシグナリ
ング検出器8から、通常は電力受信器と電力送信器との間のデータチャネルを介して情報
を受信する。安全システム31は、安全表示を制御ユニット13に出力する。
【0169】
電力変換器1は帯域ギャップE8を有し、典型的には0.35~1.1Vの電圧をもた
らす。ただし、多接合光起電力セルの使用により、さらに高い電圧がもたらされる。電力
は光起電力セル1から、低抵抗を有する導体2a及び2bを通ってインダクタ3へと流れ
る。インダクタ3は、磁場において自身を通って流れるエネルギーの一部を貯蔵する。
【0170】
自動スイッチ4は典型的に、制御回路(図19には示さず)に接続されたMOSFET
トランジスタであり、交代する状態間で切り替わるので、時間の第1部分の間に電流がイ
ンダクタ3を通ってグランドへと流れることが許容され、当該時間の第2部分の間に当該
インダクタがその貯蔵磁気エネルギーを、光起電力セルよりも高い電圧の電流として放射
することが許容される。その電流はダイオード5を通り、その後に電力を使用することが
できる負荷6へと流れる。
【0171】
自動スイッチ4は、固定周波数で、又は送信器から制御されるか又はクライアント負荷
から制御される可変周波数及び/又はデューティーサイクル及び/又は波形で動作し、又
は負荷における電流、電圧又は温度に基づき、又は自動スイッチ4における電流、電圧又
は温度に基づき、又は光/電力変換器1により放射される電流、電圧又は温度に基づき、
又はシステムの状態に関するいくつかの他のインジケータに基づき得る。
【0172】
受信器は、図16に示されるように、負荷6に直接接続することができる。または、負
荷6は、受信器の外部となり、又はセル電話機若しくは他の電力消費デバイスのような別
個のデバイスであり、USB/マイクロUSB/ライトニング(登録商標)/USBタイ
プCのようなソケットを使用して接続することができる。受信器は典型的には、当該受信
器からの余剰のエネルギーを散逸させるべく使用される負荷バラストをさらに含む。これ
は、クライアントによっては必要とされない。
【0173】
ほとんどの場合、負荷6に並列に接続されたキャパシタ又は電池のようなエネルギー貯
蔵デバイスも存在し、又は、負荷6が、キャパシタ若しくは電池のようなエネルギー貯蔵
デバイスを含み得る。
【0174】
送信器21は、ビーム15を生成して受信器22へと向ける。第1動作モードにおいて
、送信器21は、受信器22の存在を探索する。これは、スキャンビームを使用して、又
は、RF、光、IR光、UV光若しくは音のような通信手段を使用して受信器を検出する
ことにより、又は、再帰反射器若しくは再帰反射構造、バーコード、高コントラストパタ
ーン又は他の視覚インジケータのような受信器の視覚インジケータを検出するカメラを使
用して行われる。大まかな位置が発見されると、ビーム15は典型的には低い電力で、受
信器22まわりの近接エリアをスキャンする。かかるスキャンの間、ビーム15は光起電
力セル1に衝突する必要がある。ビーム15が光起電力セル1に衝突すると、検出器8は
それを検出し、それに応じて制御器13に信号を送る。
【0175】
制御器13は、レーザドライバ12に命令して電力Pを変更して利得媒体11への入力
とすること、及び/又はミラー14に命令してそのスキャン速度又は方向のいずれかを改
変し、ビームをその位置に向け又はその位置を保持し、スキャンステップ速度を変更する
ことのいずれか又は双方により、かかる信号に応答する。利得媒体11が異なる電力Pを
レーザ電源12から受信すると、その小信号利得、すなわち単一の光子が当該利得媒体を
横切るときに受ける利得であり、当該利得媒体を同時に横切る他の光子が存在しないもの
、が変化する。後方ミラー10と出力結合器9との間の方向に向けられた光子が利得媒体
11を通過すると、より多くの光子が、ビーム15の方向と同じ方向に放射され、後方ミ
ラー10と出力結合器9との間で光共振が生じる。
【0176】
出力結合器9は部分的に、反射率Rを有するミラーを通過し、6940cm-1におけ
るC-H吸収の第1倍音と8130cm-1におけるC-H吸収の第2倍音との間のスペ
クトルの少なくとも一部で動作し、典型的には、異なる屈折率材料の交代層が、典型的に
はガラス、プラスチック、又は利得媒体11の表面となる基板に堆積された多層誘電体又
は半導体膜となる。代替的に、フレネル反射は、利得媒体が十分小さな信号利得を与える
ことができるか若しくは十分高い屈折率を有する場合に使用することができる。標準の金
属ミラーも使用することができる。利得媒体が半導体又はファイバ増幅器であれば、ブラ
ッグ反射器もまた使用することができる。出力結合器9はまた、光の一つの部分を透過さ
せて、共振器の内部を前方向に進行する波から当該光の他の部分を抽出するが、典型的に
は第3の部分も、当該共振器の内部を後方向に伝播する波から抽出される半透明光コンポ
ーネントのようなビーム抽出器と組み合わされた高反射率ミラーからなり得る。
【0177】
後方反射器10は、高反射率ミラーとすべきであるが、少量の光がそこから後方漏洩す
ることが許容されてモニタリング又は他の目的で使用することができる。これらの光学的
特徴は、6940cm-1におけるC-H吸収の第1倍音と8130cm-1におけるC
-H吸収の第2倍音との間にあるスペクトルの少なくとも一部分で動作する必要がある。
典型的には、通常はガラス、金属又はプラスチックである基板に堆積される異なる屈折率
材料の交代層から構築することができる。代替的に、利得媒体が十分小さな信号利得を与
えることができる場合には、フレネル反射も使用することができる。標準の金属ミラーも
使用することができる。利得媒体が半導体又はファイバ増幅器であれば、ブラッグ反射器
もまた使用することができる。
【0178】
利得媒体11は、6940cm-1におけるC-H吸収の第1倍音と8130cm-1
におけるC-H吸収の第2倍音との間の放射を増幅する。ただし、必ずしもこのスペクト
ル範囲全体にわたるわけではない。これは、レーザドライバ12により電力Pで励起され
る場合、出力結合器9により引き起こされる損失よりも大きな小信号利得を送ることがで
きる。その領域、視野、損傷しきい値は、少なくとも8kW/m/ステラジアン/(1
-R)のビームを維持する程度に十分大きくする必要がある。ここで、Rは出力結合器9
の反射率である。これは、Ndイオンがドープされた透明なホスト材料の0.8~1.1
eVの帯域ギャップを有する半導体材料、又は当該スペクトル範囲における放射を模擬す
ることができる他の構造物、から構成され得る。利得媒体11は、後方反射器10から出
力結合器9への光学的視線に位置決めされ、ひいては、後方反射器10により反射された
放射の、利得媒体11を介して後方反射器10と出力結合器9との間での共振が許容され
る。
【0179】
利得媒体11が0.8~1.1eVの帯域ギャップを有する半導体である典型的な実装
に対しては、熱抽出デバイスに取り付けられるのが好ましく、レーザドライバ12により
電気的に又は光学的に励起することができる。
【0180】
利得媒体11が、NdイオンがドープされたYAG、YVO、GGG、又はガラス若
しくはセラミックスのような透明なホストである典型的な実装において、この場合、利得
媒体11は、後方ミラー10と出力結合器9との間で共振する放射から9400cm-1
付近の放射を抽出するべく、フィルタと光通信することが好ましい。
【0181】
ビーム操舵装置14は、制御器13により制御されるように示される。これは、ビーム
15を複数の方向に偏向させることができる。その面積は、最大動作傾斜角度まで傾斜さ
れても、ビーム15の実質的にほとんどが包含されるように十分に大きくしなければなら
ない。単純な2Dの例を挙げる。ビーム15が、コリメートされた5mm直径(1/e
直径)のガウシアンビームであり、かつ、ビーム操舵装置が、ビーム中心を中心とする単
一の丸まったジンバルミラーである場合、及び、ミラーに必要な最大傾斜が30度であり
、かつ、ビーム操舵装置14が他の開口を有しないことが仮定される場合、ミラーは、当
該ビームと同様の5mm直径を有するのであれば、当該ビームの法線入射において近似的
に13%損失となる一方、60度傾斜角度では近似的に60%損失となる。これは、シス
テムの性能をひどく損なわせる。この電力損失は、図17のグラフに、並びに以下の図2
2及び23に例示される。
【0182】
動作開始時、制御器13は、レーザドライバ12及びミラー14に探索動作を行うよう
に指令する。これは、レーザドライバ12が第1状態で動作することにより、受信器22
が発見される可能性が高い一般的な方向にビーム15を向けることによって行われる。例
えば、送信器が部屋の天井の隅に取り付けられる場合、スキャンは、下方向に、及び当該
部屋の2つの近接した壁間で行われる。光/電力変換器1を包含する受信器22にビーム
15が当たると、検出器8は信号を例えば制御器13に送る。かかる信号が受信されない
限り、制御器13は、ビーム操舵部14に対してビーム15を他の方向に向けて受信器を
探索するように指令する。かかる信号が検出器8から受信されると、制御器13は、ビー
ム操舵部14に対してスキャンを停止又は減速して当該受信器にロックするように指令す
ることができる。制御器13はその後、安全システム31が、安全に動作することを示す
信号を生成するのを待ち、かかる安全信号がひとたび安全システム31から受信されると
、制御器13は、レーザドライバ12に対してその電力放射を増加させるように指示する
ことができる。代替的に制御器13は、受信器22の位置を認識して後のステージでそこ
に戻ることができる。これは、安全信号が存在しなくても行うことができる。
【0183】
レーザドライバ12がその電力放射を増加させると、利得媒体11の小信号利得が増加
し、その結果、ビーム15は多くの電力を搬送して電力送信が開始する。検出器8が一定
のしきい値よりも大きな電力損失を検出すると、安全システム31は、かかる状況を制御
器31に報告することができる。制御器31は通常、レーザドライバ12にその状態を、
必要とされる安全レベルを維持するべく電力を低減することにより変更するように指令す
る必要がある。かかる電力損失しきい値は、予め決定又は動的に設定され、典型的には最
大許容露光レベルの有意な部分を代表するレベルにあり、典型的にはシステムノイズ指数
よりも大きい。かかる条件は、ビーム15がもはや正確には光/電力変換器1に向けられ
ていないこと、又は何らかの物体がビームの経路に侵入したこと、又は誤作動が生じたこ
とと示唆する。安全動作の他の表示、例えば、ユーザインタフェイス若しくはAPIによ
り表示され得る送信の安全に関するユーザからの表示、又は第2の安全システムからの安
全動作の表示、が存在すると、制御器はレーザに対して電力損失を補償するべく電力を増
加させるように指令することができる。制御器13はまた、ビーム操舵アセンブリ14に
対して再び探索動作を行うように指令することもできる。
【0184】
探索動作には2つの異なるステージが存在する。第一に、視覚パターンを求めて探索可
能なカメラを使用して、再帰反射器を求めて、高コントラストの画像を求めて、(LED
又は他の光源からの点滅光のような)受信器からの応答信号を求めて、又は他の表示を求
めて粗い探索が行われ、又は当該粗い探索は、ビーム操舵ユニット14のスキャン特徴部
を使用することにより行われてよい。そうして、受信器が発見され得る潜在的な位置のリ
ストを生成することができる。第2ステージは精細な探索である。ここで、ビーム操舵ミ
ラー14は、ビーム15が光/電力変換器1に衝突しているとの信号を検出器8が送るま
でずっと、小面積にビーム15を向ける。
【0185】
ここで、図16、19において要素1として標識された光/電力変換器の模式的な図で
ある図20を参照する。ビーム15が、熱除去システム107に熱的に接続された光起電
力セル106に衝突する。ビーム15は吸収層108に吸収され、電流が導体111に流
れることが引き起こされ、その電流は通常、バスにより収集される。吸収層108により
吸収される光パワーは典型的に、電力及び熱に変換される。電力が導体111及び下部電
極を介して移送される一方、熱エネルギーは、ほとんどが冷却システム107を介して排
除される。導体111は吸収層108上に影を作るので、その効率を低下させる。このた
め、導体111は、3×10-6オーム*メートル未満の比電気抵抗を有する材料のよう
な高伝導率の材料から作る必要がある。かかる導体は、メートル単位の厚さ、すなわち、
少なくとも(0.034*Pρ)/(V*χ)mの厚さを有する必要があることが示さ
れている。ここで、Pは、ワット単位で測定される光起電力部により吸収される電力であ
り、ρは当該導体の比電気抵抗である。Vは、光起電力セルにより最大電力点において放
出される電圧であり、χは、導体により覆われる吸収層の面積の割合である。
【0186】
吸収層はまた、衝突するビーム15のほとんどを吸収するのに十分な厚さとする必要が
ある。これを行うべく、吸収層108のメートル単位で測定される厚さは、少なくとも0
.02/μ10とする必要がある。ここで、μ10は、1/m単位で測定される10進法
減衰係数である。
【0187】
ここで、図19の安全システム31のブロック図を示す図21を参照する。安全システ
ム31は、当該安全システムが制御器13の統合部分でない状況において、又は当該安全
システムが外部制御ユニットの中にある場合は、様々なセンサ及びサブシステムからの入
力を受信して出力を制御器13に送信する。安全システム13はまた、これらの様々なセ
ンサ及びサブシステムからの入力を時々受信することもできる。かかる入力は、ビームの
波長を一次にモニタリングして当該ビームに関連付けられた安全限界を推定するのに必要
な情報を与える波長センサ407のものとすることができる。これはまた、形状、M
対称性、極性、電力、発散、コヒーレンス、並びにビームに及び上記パラメータに関連す
る他の情報のようなビームの特性をモニタリングするビーム分析器(401)からの情報
を受信することもできる。これはまた、通常、外部サブシステムにより測定された情報を
、RFリンク402を介して受信する。送信器、受信器及び周囲エリアにおける様々なコ
ンポーネントの温度測定を、温度センサ403によって与えることができる。これは、可
視、熱、IR又はUVとなり得るカメラ404からの画像、又はビームの電力を様々な位
置において測定する電力メータ406からの画像、を受信することができる。多くの場合
、安全システム31に接続された一次センサを、ビーム経路又はその周囲に対して横切り
又は近づく異物を求めてビームをモニタリングする侵入センサ(405)としてよい。こ
れはまた、電流、電圧、煙、湿度及び他の環境センサのような他のセンサからの入力を受
信することもできる。これらの入力を受信すると、又は予めスケジュールされた時刻に、
安全システム31は、安全違反の潜在性を評価し、その評価が所定しきい値を超える場合
に制御器13に通知を発する。
【0188】
ここで、単数又は複数のジンバル軸で回転するミラーにより偏向されるビームを示す図
22を参照する。ビーム15が、二次元において2軸まわりに回転するミラー332に衝
突する。ビーム15は、ミラー332上にスポット333を形成し、異なる方向に偏向さ
れる。適切な回転中心及びミラー寸法を選択することの重要性が、図23を参照すること
により明らかになる。図23において、ミラー332がここで回転されることにより、ビ
ーム15はここで、図22と比較して大きな角度となるように偏向される。増加した角度
ゆえに、スポット333はここで、ミラー332の有効長よりも長い投影を当該ミラー表
面上に形成する。その結果、ビーム15の有意な部分、すなわち333Aとして標識され
る部分、がミラー332まわりからあふれる。このあふれが、ビーム15の輝度を、その
パワーを低減することとエッジを切り落とすこととの双方により低減する。これにより、
ほとんどの場合、遠距離場におけるビームの品質が劣化する。典型的に、ビーム直径は、
ミラーに近い近接場において又は近接場の像において低下すると、遠距離場においては増
加する。相対的に高い効率で作動する最小寸法のシステムを達成するには、できる限り高
い輝度を維持することが重要となる。これは、システム視野内のすべての角度にわたって
ビーム15が受ける輝度損失を低減することによってなし得る。これは、ミラーの回転中
心が、ビーム強度の重み付き平均、一定強度でのビームの断面直径、ビームが通過する楕
円開口の中心のいずれかにより測定されるビームの中心に実質的に近くなるようにミラー
を取り付けることによってなし得る。なお、長さの投影とは対照的に、ミラー上のビーム
投影の幅は、衝突角度によっては変わらない。
【0189】
図24は、典型的なビームの強度特性の模式的な表現を示す。輪郭1は最大強度の90
%線を標識し、輪郭2は最大強度線の80%を標識し、輪郭3はFWHM(半値全幅)強
度線を標識し、輪郭4は1/e強度線を標識し、輪郭5は1/e強度線を標識し、輪郭
6は1/e強度線を標識する。ポイント231は近似的にビームの重み付き平均ポイン
トにあり、ポイント232は第1輪郭の中心にあり、ポイント233は第6輪郭の中心に
あり、これらはすべて、ミラーの回転中心を設置する有効なポイントである。しかしなが
ら、かかるポイントを超えるように当該回転中心を設置するには、ジンバルミラーの高い
放射輝度効率を維持する大きなミラーが必要となる。
【0190】
他のコンポーネントに対して高い放射輝度効率を維持することも重要である。ただし、
レーザに追従するジンバルミラー及び第1レンズは典型的に、放射輝度効率に対しては限
定的なコンポーネントである。
【0191】
図25は、レーザの速軸に直交する方向からの、レーザダイオードの模式的な側面図を
示し、さらには、操作用であって速軸をほぼコリメートするのが通常のレンズ242を示
す。ほとんどの場合、レンズ242は、いくつかの光学素子を含む複合レンズである。レ
ーザ241は、ヒートシンク243に接続され、ビーム15を界面層244に放射する。
界面層244は、ビーム15に関連付けられた波長に対して屈折率nを有する。nの値は
、532nmでの空気界面の場合に1.000293であり、油又は光セメントの場合に
はさらに高くなる。ビーム15は、少なくとも一つの方向に発散を有する。レンズ242
の前面におけるビーム15のFWHM輪郭は、FWHM輪郭上の任意の2つのポイント間
の最大距離として定義される直径dを有する。高い放射輝度効率を有するべく、レンズ2
42は、レーザ241の放射体に対して少なくとも
【数19】
の開口数NAを有する必要がある。
ここで、
dは、レンズ前面のビームのFWHM輪郭上の2つの最も遠いポイント間の、mm単位で
測定されるFWHM直径であり、
BFLは、mm単位で測定されるレンズの後方焦点距離であり、
nは、レーザとレンズとの間にある界面層の屈折率である。
【0192】
小さな開口数を有するレンズが使用される場合、ビームの放射輝度は当該レンズにより
低減され、システムの悪い効率、又は大きな受信器との結果になる。これらは多くの状況
において不利となり得る。小さなNAを使用することはまた、レンズ保持器の加熱ももた
らす。これは、2つの有害な効果を引き起こす。第一には、熱膨張してレンズがその最適
位置から移動することであり、第二には、レンズに力が加わって当該レンズに歪みが生じ
ることによりその光学的品質が低減され、その結果、ビームの放射輝度が低減される。さ
らに、小さなNAは、レーザに向かう反射ももたらし得る。これは、レーザモードと干渉
し、当初のビームの放射輝度をさらに低減し得る。これはさらに、放射されたビームの放
射輝度にとって有害となる。レンズのエッジから放射される光は、小さなNAのレンズが
使用される場合、システムの他の部分、例えば、システムにおけるビームモニタ、追跡サ
ーボ又は他の光学素子、の動作と干渉することがあり、又は、システムの他の部分の、そ
の動作を妨害し得る過剰な加熱を引き起こすことがある。
【0193】
ここで、レーザ保護器251のブロック図を示す図26を参照する。上述したように、
安全システム31は、安全違反の潜在性を評価し、かかる潜在性がしきい値を超える場合
には制御器13に通知する。制御器13はその後、レーザドライバ12に対し、ビーム1
5を放射するレーザとなり得るか又はビーム15を生成するべく使用される利得媒体を励
起するレーザとなり得るレーザ252に供給される電力を停止又は低減するように指令す
ることができる。電力をそのように停止することは、超高速としなければならない。供給
される電力が急激に切断又は低減されると、レーザドライバ電流を搬送する導体内に負電
圧が進展し(電気導体である場合)、レーザ252を損傷しかねない。レーザ252への
そのような損傷を防止するべく、レーザ保護器251がレーザドライバ12とレーザ25
2との間に、典型的にはレーザ252の近くに接続される。レーザ保護器251は、典型
的にはダイオード、又は等価回路/コンポーネント、例えばツェナーダイオード、バリス
タ、又はかかる過剰負電圧を電流導体間で迅速にドレインするべく設計された回路、を接
続することにより、レーザ252を負電圧から保護する。その結果、導体間に負電圧が存
在しても、電流が保護ダイオード又は等価回路を通って流れることにより、電圧の、安全
レベルまでの高速な減衰が引き起こされる。レーザ保護器251はまた、過温度又は過電
流が検知されたときにレーザ252へと送られる電力を減衰させることにより、レーザを
過熱から又は電流波から保護するべく使用することもできる。
【0194】
当業者により認識されることだが、本発明は、特に図示され及び上述されたものに限ら
れない。むしろ、本発明の範囲は、上述された様々な特徴のコンビネーション及びサブコ
ンビネーション双方、並びに、上記記載を読んで当業者に想起されて先行技術には存在し
ないこれらの変形例及び修正例を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26