(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20230516BHJP
【FI】
E02F9/00 Z
(21)【出願番号】P 2021213574
(22)【出願日】2021-12-28
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢田 裕昭
(72)【発明者】
【氏名】木崎 裕之
(72)【発明者】
【氏名】川原 章禄
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-095710(JP,A)
【文献】実開昭56-077562(JP,U)
【文献】特開2017-125353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
基端部が前記フレームに取り付けられたリフトアームと、
前記リフトアームの先端部に取り付けられた作業具と、
前記フレームと前記リフトアームの基端部側とに取り付けられた基端側リンク装置と、
前記作業具と前記リフトアームの先端部側とに取り付けられた先端側リンク装置と、
前記基端側リンク装置から前記先端側リンク装置に向かって延在し、前記先端側リンク装置を介して前記作業具を駆動する作業具シリンダと、を備えた作業車両において、
前記リフトアームに取り付けられ、前記リフトアームと前記先端側リンク装置とがなす角度を検出する角度検出装置と、を備え、
前記角度検出装置は、
前記リフトアームにおける前記先端側リンク装置が接続される部位と前記リフトアームにおける前記基端部との間に配設されることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
請求項1に記載の作業車両において、
基端部が前記フレームに取り付けられ、先端部が前記リフトアームに取り付けられ、前記リフトアームを駆動するリフトアームシリンダを備え、
前記角度検出装置は、
前記リフトアームにおける前記先端側リンク装置が接続される部位と前記リフトアームにおける前記リフトアームシリンダの前記先端部が接続される部位との間に配設されることを特徴とする作業車両。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の作業車両において、
前記先端側リンク装置と前記角度検出装置とを連結する回動角度伝達機構を備え、
前記角度検出装置は、前記回動角度伝達機構が固定される回転軸を有し、
前記基端側リンク装置は、
前記作業具シリンダの基端部と前記リフトアームとを接続するベルクランクと、
前記ベルクランクと前記フレームとを接続するフレーム連結ロッドと、を有し、
前記先端側リンク装置は、
前記作業具シリンダの先端部と前記作業具とを接続する作業具連結ロッドと、
前記作業具連結ロッドと前記リフトアームとを接続するガイド部材と、を有し、
前記回動角度伝達機構は、
基端部が前記角度検出装置の前記回転軸に固定された第1伝達バーと、
基端部が前記第1伝達バーの先端部と回動可能に連結され、先端部が前記ガイド部材と回動可能に連結された第2伝達バーとを有することを特徴とする作業車両。
【請求項4】
請求項3に記載の作業車両において、
前記リフトアームの先端部が前記リフトアームの基端部よりも低い姿勢である場合に、前記角度検出装置の上方を覆い、かつ、前記角度検出装置の前記回転軸が設けられた面を覆うカバーを備え、
前記第1伝達バーは、前記リフトアームの先端部が前記リフトアームの基端部よりも低い姿勢である場合に前記角度検出装置の前記回転軸から下方に向かって延設されていることを特徴とする作業車両。
【請求項5】
請求項3に記載の作業車両において、
前記作業具に接続される配管と、
前記配管を前記リフトアームに固定するための配管支持部材と、を備え、
前記リフトアームは、車幅方向に間隔をあけて対向する一対の縦板から構成され、
前記角度検出装置は、前記リフトアームの前記一対の縦板の間に配設され、
前記配管支持部材は、前記リフトアームの先端部が前記リフトアームの基端部よりも低い姿勢である場合に
前記角度検出装置の上方であって、前記リフトアームの前記一対の縦板の間に配設されることを特徴とする作業車両。
【請求項6】
請求項5に記載の作業車両において、
前記回動角度伝達機構の一側には前記リフトアームが隣り合って配設され、他側には前記配管が隣り合って配設されていることを特徴とする作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土砂や鉱物といった対象物を掘削してダンプトラックなどに積み込む荷役作業に用いられる作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
ホイールローダなどの作業車両は、油圧アクチュエータの駆動により、リンク機構を介してフロント作業具を上下方向に駆動可能な荷役装置を備えている。荷役装置を構成するリンク機構には、Zリンク機構やパラレルリンク機構がある。Zリンク機構から構成される荷役装置は、フロント作業具の上下動に伴って、フロント作業具の姿勢(傾斜)に変化が生じる。それに対して、パラレルリンク機構から構成される荷役装置は、フロント作業具の上下動に伴うフロント作業具の姿勢(傾斜)の変化が少なく、フロント作業具を平行移動する操作が行いやすい利点がある。また、荷役装置の姿勢を制御するために、リンク機構を構成する複数の節点における各リンク部材間の角度を検出し、各リンク部材の長さの情報に基づいて、荷役装置の姿勢を演算するものが知られている。例えば、特許文献1には、Zリンク機構から構成される荷役装置を備えたホイールローダにおいて、バケットシリンダの伸縮に応じて回動するリフトアーム上の回動点に角度センサを設ける構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のZリンク機構に適用された角度センサをパラレルリンク機構から構成される荷役装置に適用しようとすると、リフトアームを伏せて、リフトアームが水平よりも低くなる姿勢、つまり、バケットが地面に近い位置となる駐機姿勢や走行姿勢では、バケットシリンダの伸縮に応じて回動するリフトアーム上の回動点が地面に近接した位置となる。よって、角度センサが地面に近接した位置となり、角度センサに対して掘削や走行による飛び石の衝突または水没が生じやすく、角度センサが破損する可能性が有る。
【0005】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みなされたもので、その目的は、パラレルリンク機構から構成される荷役装置の角度センサを外部からの衝突または水没から保護することが可能な作業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、代表的な本発明の作業車両は、フレームと、基端部が前記フレームに取り付けられたリフトアームと、前記リフトアームの先端部に取り付けられた作業具と、前記フレームと前記リフトアームの基端部側とに取り付けられた基端側リンク装置と、前記作業具と前記リフトアームの先端部側とに取り付けられた先端側リンク装置と、前記基端側リンク装置から前記先端側リンク装置に向かって延在し、前記先端側リンク装置を介して前記作業具を駆動する作業具シリンダと、を備えた作業車両において、前記リフトアームに取り付けられ、前記リフトアームと前記先端側リンク装置とがなす角度を検出する角度検出装置と、を備え、前記角度検出装置は、前記リフトアームにおける前記先端側リンク装置が接続される部位と、前記リフトアームにおける前記基端部との間に配設されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の作業車両によれば、掘削作業や走行による飛び石の衝突または水没から角度センサを保護することができる。前述した以外の課題、構成、及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係るホイールローダの側面図である。
【
図2】パラレルリンク機構から構成される作業装置を示す斜視図である。
【
図3】パラレルリンク機構から構成される作業装置を示す上面図である。
【
図4】駐機姿勢における角度センサの取付構造を示す要部断面図である。
【
図5】バケットチルト姿勢における角度センサの取付構造を示す要部断面図である。
【
図6】角度センサの取付構造を示す要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係る作業車両の一態様としてホイールローダを例に挙げ、
図1~7を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において、特に断らない限り、前後、左右、上下の方向は、ホイールローダの運転室内に着座する運転者の視点を基準とし、車体および作業装置の姿勢は、直進する姿勢であり、かつリフトアームを伏せて、バケットの底部を地面に接触する姿勢を基準としている。
【0010】
まず、本発明の実施形態に係るホイールローダ1について、
図1~3を参照して説明する。
【0011】
図1は、実施形態に係るホイールローダの側面図、
図2は、パラレルリンク機構から構成される作業装置を示す斜視図、
図3は、パラレルリンク機構から構成される作業装置を示す上面図である。
【0012】
図1、
図2および
図3に示すように、ホイールローダ1は、リフトアーム2、バケット3を有する荷役装置9及び左右一対の前輪4等を有する前フレーム5と、運転室6及び左右一対の後輪7等を有する後フレーム8とによって車体が大略構成されている。
【0013】
前フレーム5と後フレーム8とは、上下一対のセンタピンによって左右方向に回動可能に連結されている。また、前フレーム5と後フレーム8は、左右一対のステアリングシリンダによって接続されている。これらステアリングシリンダは、前端が前フレーム5に接続され、後端が左右方向に回動可能な状態で後フレーム8に接続されている。
【0014】
一対のステアリングシリンダのうち一方を伸長、他方を縮退させることにより、センタピンを中心として前フレーム5が後フレーム8に対して左右方向に屈曲する。これにより、前フレーム5と後フレーム8との相対的な取付角度が変化し、車体が屈曲して操舵される。すなわち、このホイールローダ1は、センタピンを中心に前フレーム5と後フレーム8とが屈曲されるアーティキュレート式の作業車両である。
【0015】
前フレーム5の前部には、荷役作業に用いる荷役装置9が取り付けられている。荷役装置9は、前フレーム5に基端部が取り付けられたリフトアーム2と、リフトアーム2を駆動する左右一対のリフトアームシリンダ10と、リフトアーム2の先端部に回動可能に取り付けられたバケット3と、バケット3を駆動する左右一対のバケットシリンダ12と、を有している。リフトアームシリンダ10は、基端部がピンにより前フレーム5に回動可能に取り付けられ、先端部がピンによりリフトアーム2に回動可能に取り付けられている。より具体的には、リフトアーム2を構成する左右一対の縦板2aと左右一対のリフトアームシリンダ10及びバケットシリンダ12が、それぞれ車幅方向に間隔をあけて平行に設けられている。縦板2aの長手方向(前後方向)の中間部は、リフトアーム連結部材2bを介して連結されている。
【0016】
ここで、バケット3は、土砂や鉱物などの作業対象物を掬ってダンプトラックやホッパーなどの積込み先に排出するための作業具である。バケット3に代えて、例えばフォークやブレーカ等の各種作業具をリフトアーム2の先端部に取り付けることができる。より具体的には、作業具の交換を容易にするため、リフトアーム2の先端にクイックカプラ装置3aが設けられ、クイックカプラ装置3aを介してリフトアーム2の先端に作業具が取り付けられている。クイックカプラ装置3aは作動油が供給されることによりロッドが伸縮するカプラシリンダ(図示せず)を有し、作業具にはカプラシリンダのロッドが挿通可能なピン穴が形成され、カプラシリンダのロッドが伸縮することによりリフトアーム2の先端に対して作業具を着脱することができる。車体に搭載された油圧ポンプから吐出される作動油をカプラシリンダや作業具に供給するための各種油圧ホース33は左右一対のリフトアームの縦板2aの間に配策され、リフトアームの縦板2aの長手方向の中間部に設けられた配管支持部材31に固定されている。なお、クイックカプラ装置3aは必須の構成ではないため、クイックカプラ装置3aを作業具もしくはバケットの一部とし、以下の説明ではクイックカプラ装置3aを省略した構成により説明する。
【0017】
次に荷役装置9を構成するパラレルリンク機構の詳細構造を説明する。
【0018】
図4は、駐機姿勢における角度検出装置の取付構造を示す断面図である。
図4に示すように、バケットシリンダ12の基端部は、基端側リンク装置16を介して、前フレーム5とリフトアームの縦板2aに取り付けられている。バケットシリンダ12の先端部は、先端側リンク装置17を介して、バケット3とリフトアームの縦板2aに取り付けられている。
【0019】
基端側リンク装置16と先端側リンク装置17とは、バケットシリンダ12と同様にそれぞれ左右一対に設けられ、車幅方向に間隔をあけて平行に設けられている。
【0020】
リフトアーム2とバケットシリンダ12とが一組の対辺をなし、基端側リンク装置16と先端側リンク装置17とがもう一組の対辺をなして
図4に示した点A,B,C,Dを頂点とする略四角形を形成している。また、リフトアーム2、バケットシリンダ12、基端側リンク装置16、先端側リンク装置17のそれぞれの連結箇所(点A,B,C,D)はピンにより回動可能に連結されている。したがって、リフトアームシリンダ10およびバケットシリンダ12の動作に関わらず、リフトアーム2とバケットシリンダ12との平行度が一定に保たれるようになっている。
【0021】
基端側リンク装置16は、後述するベルクランク16aとフレーム連結ロッド16bとから構成されており、前フレーム5とリフトアームの縦板2aの基端部側とバケットシリンダ12の基端部とに取り付けられている。
【0022】
ベルクランク16aはリフトアームの縦板2aを左右から挟んだ2枚1組の平板で構成され、ベルクランク16aの基端部(点J)をフレーム連結ロッド16bの先端部に、ベルクランク16aの長手方向の中間部(点C)をリフトアームの縦板2aに、ベルクランク16aの先端部(点A)をバケットシリンダ12の基端部に、それぞれピンにより回動可能に取り付けられている。ベルクランク16aの長手方向の中間部(点C)がリフトアームの縦板2aに取り付けられる部位は、リフトアームの縦板2aの基端部とリフトアームシリンダ10の先端部がリフトアームの縦板2aにピン結合される部位との間(点Fと点Lの間)であって、リフトアームの縦板2a上の基端寄り(点F寄り)に位置する。
【0023】
フレーム連結ロッド16bの基端部(点I)は前フレーム5に、フレーム連結ロッド16bの先端部(点J)はベルクランク16aの基端部に、それぞれピンにより回動可能に取り付けられている。ここで、フレーム連結ロッド16bが前フレーム5に取り付けられる部位(点I)は、リフトアームの縦板2aの基端部が前フレーム5に対し回動可能に取り付けられる部位(点F)に比べて下方であって、リフトアームシリンダ10の基端部が前フレーム5に対し回動可能に取り付けられる部位(点K)に比べて上方に位置する前フレーム5(縦板)上の部位である。
【0024】
先端側リンク装置17は、後述するバケット連結ロッド17aとガイド部材17bとから構成されており、バケット3とリフトアームの縦板2aの先端部側とバケットシリンダ12の先端部とに取り付けられている。
【0025】
バケット連結ロッド17aの基端部(点B)はバケットシリンダ12の先端部に、バケット連結ロッド17aの長手方向の中間部(点E)はガイド部材17bの先端部に、バケット連結ロッド17aの先端部(点H)はバケット3に、それぞれピンにより回動可能に取り付けられている。ここで、バケット連結ロッド17aがバケット3に取り付けられる部位(点H)は、リフトアームの縦板2aの先端部が回動可能に取り付けられるバケット3の背面の取付ブラケットの部位(点G)に対し、バケット3の背面における所定寸法離れ上方に位置したバケット3の取付ブラケット上の部位である。
【0026】
ガイド部材17bはリフトアームの縦板2aを左右から挟んだ2枚1組の平板で構成され、ガイド部材17bの基端部(点D)はリフトアームの縦板2aに、ガイド部材17bの先端部(点E)をバケット連結ロッド17aの長手方向の中間部に、それぞれピンにより回動可能に取り付けられている。ここで、ガイド部材17bの基端部(点D)がリフトアームの縦板2aに取り付けられる部位は、リフトアームの縦板2aの先端部とリフトアームシリンダ10の先端部がリフトアームの縦板2aにピン結合される部位との間(点Gと点Lとの間)に位置するリフトアームの縦板2a上の部位である。
【0027】
次に角度検出装置の詳細な取付構造を説明する。
【0028】
図4は、駐機姿勢における角度検出装置の取付構造を示す断面図、
図5は、バケットチルト姿勢における角度検出装置の取付構造を示す断面図である。
【0029】
図4および
図5に示すように、ホイールローダは、ガイド部材17bの基端部(リフトアーム2とガイド部材17bとの接続部(点D))を回動中心としたガイド部材17bの回動角度を検出する第1角度検出装置23を備える。ガイド部材17bは、リフトアームの縦板2aの先端部(バケット3とリフトアーム2との接続部(点G))を回動中心としバケット3の回動に連動して回動する。
【0030】
また、ホイールローダは、リフトアーム2の基端部(リフトアーム2と前フレーム5との接続部(点F))を回動中心としたリフトアーム2の回動角度を検出する第2角度検出装置(図示せず)を備える。各角度検出装置の検出信号は車体に搭載されたコントローラ(図示せず)に出力され、コントローラが各角度検出装置の検出信号と荷役装置9を構成する部材長さの情報とに基づいて荷役装置9の姿勢を演算する。
【0031】
第1角度検出装置23は、リフトアーム2を伏せて、リフトアーム2が水平よりも低い姿勢、例えばバケット3の底部を地面に接触させる駐機姿勢において、ガイド部材17bとリフトアームの縦板2aとがピン結合される部位(点D)に比べて上方であって、リフトアームの縦板2aの基端部(点F)に比べて下方となる位置に設けてある。より具体的には、第1角度検出装置23は、リフトアーム2を伏せて、バケット3の底部を地面に接触させた駐機姿勢の場合において、前輪4および後輪7の回転中心よりも高い位置に設けられている。
【0032】
言い換えると、第1角度検出装置23は、ガイド部材17bとリフトアームの縦板2aとがピン結合される部位(点D)に比べて後方であって、リフトアームの縦板2aの基端部(点F)に比べて前方となる位置に設けてある。
【0033】
また、車幅方向に対して、第1角度検出装置23は、左右一対のリフトアームの縦板2aの間に設けられている。より具体的には、第1角度検出装置23は、左右一対のリフトアームの縦板2aを形成する右側のリフトアームの縦板2aの左側面に設けられている。なお、第1角度検出装置23が左右一対のリフトアームの縦板2aに取り付けられる位置は、右側のリフトアームの縦板2aの左側面に限らず、左側のリフトアームの縦板2aの右側面であっても良い。
【0034】
図6は、第1角度検出装置の取付構造を示す要部斜視図、
図7は、回動角度伝達機構を示す斜視図である。
【0035】
図6および
図7に示すように、第1角度検出装置23は、リフトアームの縦板2aに固定される角度センサ取付ブラケット28を介して、左右一対のリフトアームの縦板2aのうちの一方の内側の面に設置される。
【0036】
角度センサ取付ブラケット28には、第1角度検出装置23及び角度センサ保護カバー30がボルト締結される。
【0037】
第1角度検出装置23はポテンショメータを内蔵した角度センサであり、取付面と反対側に突出し、取付面に対する垂直方向を軸に回転するセンサ回転軸23aを有して、構成されている。
【0038】
第1角度検出装置23は、センサ回転軸23aの回転角度を検出する。また、センサ回転軸23aは、後述する回動角度伝達機構25を介して、リフトアームの縦板2aとガイド部材17bとを結合するピン(点D)を回動中心としたリフトアームの縦板2aに対するガイド部材17bの回動に連動して回転する。すなわち、第1角度検出装置23がガイド部材17bの基端部(リフトアーム2とガイド部材17bとの接続部(点D))を回動中心としたガイド部材17bの回動角度を検出可能に構成されている。
【0039】
回動角度伝達機構25は、第1角度検出装置23のセンサ回転軸23aに固定され、センサ回転軸23aから下方に向かって延設された第1伝達バー25aと、ガイド部材17bと第1伝達バー25aとを連結する第2伝達バー25bと、から構成されている。より具体的には、第2伝達バー25bは、ガイド部材17bに設けられた第2伝達バー支持部材32にピンにより回動可能に取り付けられている。
【0040】
第1伝達バー25aは、1枚の平板からなり、一端には第1角度検出装置23のセンサ回転軸23aに固定され、他端には第2伝達バー25bに回動可能にピン結合するための貫通孔が設けられている。
【0041】
第2伝達バー25bは、1枚の平板からなり、一端には第1伝達バー25aに回動可能にピン結合するための貫通孔が設けられ、他端には第2伝達バー支持部材32に回動可能にピン結合するための貫通孔が設けられている。
【0042】
第2伝達バー支持部材32は、1枚の曲げ板からなり、一端がガイド部材17bに対して固定されており、他端には、第2伝達バー25bに回動可能にピン結合するための貫通孔が設けられている。
【0043】
第1角度検出装置23は、リフトアームの縦板2aに対して、角度センサ取付ブラケット28を介して固定されている。角度センサ取付ブラケット28には、ボルトを螺合可能なねじ穴が設けられており、第1角度検出装置23と角度センサ保護カバー30とをボルトにより締結可能に形成されている。角度センサ保護カバー30は、第1角度検出装置23の上部を覆う天井部材30a、第1角度検出装置23のリフトアームの縦板2aに対する取付面と反対側の面、すなわち第1角度検出装置23のセンサ回転軸23aが突出している側の面を覆う側板部材30bとから形成されている。一方で、角度センサ保護カバー30は、下方に開口部が設けられている。また、角度センサ保護カバー30の天井部材30aには、屈曲部が設けられており、第1角度検出装置23の周囲に配設される配管支持部材31や油圧ホース33等と干渉しないように構成されている。角度センサ保護カバー30の側板部材30bには、角度センサ取付ブラケット28に設けられたねじ穴に対応する位置に、ボルトを挿通可能な貫通孔が設けられ、角度センサ取付ブラケット28に対してボルト締結可能に構成されている。
【0044】
第1角度検出装置23および角度センサ保護カバー30は、リフトアームの縦板2aに設置された配管支持部材31およびクイックカプラ用具や作業具用具に作動油を供給する油圧ホース33の下方に位置する。さらに、回動角度伝達機構25の一側にはリフトアームの縦板2aが隣り合って配設される、他側には油圧ホース33が隣り合って配設される。
【0045】
上述した実施形態に係るホイールローダの動作を説明する。
【0046】
リフトアーム2は、リフトアームシリンダ10に作動油が供給されてロッドが伸縮することにより駆動する。具体的には、リフトアーム2は、リフトアームシリンダ10のロッドが伸びることにより前フレーム5に対して上方向に回動し、ロッドが縮むことにより前フレーム5に対して下方向に回動する。
【0047】
バケット3は、バケットシリンダ12に作動油が供給されてロッドが伸縮することにより駆動する。具体的には、バケット3は、バケットシリンダ12のロッドが縮むことによりリフトアーム2に対して上方向に回動(チルト)し、ロッドが伸びることによりリフトアーム2に対して下方向に回動(ダンプ)する。すなわち、バケット3は、チルト動作によって作業対象物を掬い、掬った作業対象物(荷)をダンプ動作によって排出する。
【0048】
バケットシリンダ12を伸長してバケット3をダンプさせると、バケット3の回動に連動してガイド部材17bもガイド部材17bの基端(点D)を回動中心として前方に向かって回動し、ガイド部材17bの回動に伴って、第2伝達バー支持部材32に回動可能に取り付けられた第2伝達バー25bが前方に移動する。さらに、第2伝達バー25bの移動に伴って、第1伝達バー25aがセンサ回転軸23aとともにセンサ回転軸23aを中心として前方に向かって回動する。そして、このセンサ回転軸23aの回転量を第1角度検出装置23が検出する。
【0049】
また、バケットシリンダ12を縮退してバケット3をチルトさせると、バケット3の回動に連動してガイド部材17bもリフトアーム2に対して後方に向かって回動し、ガイド部材17bの回動に伴って、第2伝達バー支持部材32に回動可能に取り付けられた第2伝達バー25bが後方に移動する。さらに、第2伝達バー25bの移動に伴って、第1伝達バー25aがセンサ回転軸23aを中心に後方に向かって回動する。そして、このセンサ回転軸23aの回転量を第1角度検出装置23が検出する。
【0050】
このように構成された実施形態に係るホイールローダ1においては、リフトアーム2を伏せて、リフトアーム2が水平よりも低い姿勢の場合、言い換えると前記リフトアーム2の先端部(バケット3)が前記リフトアーム2の基端部(点F)よりも低い姿勢である場合に、リフトアームの縦板2aとガイド部材17bのピン結合される部位(点D)よりも高い位置に第1角度検出装置23が設けられる位置関係となる。したがって、バケット3が地面に近い位置となる駐機姿勢や走行姿勢においても、第1角度検出装置23は、所定の高さを維持することができ、第1角度検出装置23に対する飛び石の衝突や水没の可能性を低減することができる。
【0051】
さらに、第1角度検出装置23の取付面はリフトアームで覆われ、第1角度検出装置23の取付面の反対側の面(回動角度伝達機構25が取り付けられる側の面)および第1角度検出装置23の上方は角度センサ保護カバー30で覆われ、取付面に対する垂直方向を軸に回転する第1伝達バー25aが延設されている第1角度検出装置23の下方は開放されている。したがって、バケット3内の掘削対象がバケット3から荷こぼれしたとしても、落下した掘削対象が第1角度検出装置23に衝突する前に、リフトアームの縦板2a,角度センサ保護カバー30と衝突するため、第1角度検出装置23に対する衝突の負荷を低減することができ、かつ、バケット3の回動に伴う第1伝達バーの回動を妨げないとともに、角度センサ保護カバー30の内部に水や土砂等の堆積することを防ぐことができる。これにより、第1角度検出装置23の破損する可能性を低減することができる。
【0052】
さらに、第1角度検出装置23は、車幅方向において左右一対のリフトアームの縦板2aの間であって、配管支持部材31や油圧ホース33の下方に第1角度検出装置23が設けられる位置関係となる。したがって、例えば、バケット3内の掘削対象がバケット3から荷こぼれしたとしても、落下した掘削対象が第1角度検出装置23に衝突する前に、リフトアームの縦板2a、配管支持部材31、油圧ホース33と衝突するため、第1角度検出装置23に対する衝突の負荷を低減することができる。これにより、第1角度検出装置23の破損する可能性を低減することができる。
【0053】
さらに、回動角度伝達機構25の両側面に対して、一方に油圧ホース33、他方にリフトアームの縦板2aがそれぞれ隣り合って配設されている。したがって、例えば、走行による飛び石があったとしても、飛び石が回動角度伝達機構25に衝突する前に、油圧ホース33と衝突して、回動角度伝達機構25に対する衝突の負荷を低減することができる。
【0054】
(変形例)
上記した実施形態では、第1角度検出装置23がポテンショメータを内蔵した角度センサである場合を示したが、これに限られず、非接触で反射部材からセンサまでの距離を測定する測距センサを用いても良い。例えば、測距センサはミリ波レーダ装置であり、測距センサはリフトアームの縦板2aに取り付けられ、反射部材は測距センサが発するミリ波レーダを反射可能なガイド部材17b上の位置に取り付けられ、バケット3の回動に伴って変化する反射部材からセンサまでの距離を検出し、荷役装置9の姿勢を演算しても良い。この場合、回動角度伝達機構25や第2伝達バー支持部材32は不要である。
【0055】
なお、本発明は上記した実施形態に限られない。作業具は、バケット3に限られず、例えばフォークを取り付けるようにしても良い。第1角度検出装置23の上方に位置する配管支持部材31に固定される部品は、油圧ホース33に限られず、例えば電気配線であっても良い。第1角度検出装置23の取付位置は、リフトアーム2を伏せて、バケット3の底部を地面に接触させた駐機姿勢の場合において、前輪4および後輪7の回転中心よりも高い位置に限られず、例えば前フレーム5および後フレーム8の底部よりも高い位置としても良い。
【0056】
また、上記した実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 ホイールローダ
2 リフトアーム
2a 縦板
2b リフトアーム連結部材
3 バケット(作業具)
3a クイックカプラ装置
4 前輪
5 前フレーム
6 運転室
7 後輪
8 後フレーム
9 荷役装置
10 リフトアームシリンダ
12 バケットシリンダ(作業具シリンダ)
16 基端側リンク装置
16a ベルクランク
16b フレーム連結ロッド
17 先端側リンク装置
17a バケット連結ロッド
17b ガイド部材
23 第1角度検出装置
23a センサ回転軸(回転軸)
25 回動角度伝達機構
25a 第1伝達バー
25b 第2伝達バー
28 角度センサ取付ブラケット
30 角度センサカバー(カバー)
31 配管支持部材
32 第2伝達バー支持部材
33 油圧ホース
【要約】
【課題】パラレルリンク機構から構成される荷役装置の角度センサを外部からの衝突または水没から保護することが可能な作業車両を提供する。
【解決手段】フレームと、基端部が前記フレームに取り付けられたリフトアームと、リフトアームの先端部に取り付けられた作業具と、フレームとリフトアームの基端部側とに取り付けられた基端側リンク装置と、作業具とリフトアームの先端側とに取り付けられた先端側リンク装置と、基端側リンク装置から先端側リンク装置に向かって延在し、先端側リンク装置を介して作業具を駆動する作業具シリンダと、を備えた作業車両において、リフトアームに取り付けられ、リフトアームと先端側リンク装置とがなす角度を検出する角度検出装置と、を備え、角度検出装置は、リフトアームにおける先端側リンク装置が接続される部位と、リフトアームにおける基端部との間に配設されることを特徴とする。
【選択図】
図6