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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】エアロゾル供給デバイス
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/465 20200101AFI20230516BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20230516BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/40
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021554568
(86)(22)【出願日】2020-03-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2020056246
(87)【国際公開番号】W WO2020182754
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-10-27
(31)【優先権主張番号】62/816,319
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ブランディノ, トーマス ポール
(72)【発明者】
【氏名】ヘップワース, リチャード ジョン
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-528874(JP,A)
【文献】国際公開第2018/186156(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/030364(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0192701(US,A1)
【文献】国際公開第2018/041450(WO,A1)
【文献】中国実用新案第206443211(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
H05B 6/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル供給デバイスであって、
前記エアロゾル供給デバイスの外面の少なくとも一部を形成する外側カバーと、
エアロゾル生成材料を受けるように構成されたレセプタクルであって、管状であると共にポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含む絶縁部材を備え、前記エアロゾル生成材料がサセプタによって加熱可能である前記レセプタクルと、
前記レセプタクルの周りに延びるインダクタコイルであって、断面矩形状を有し、前記サセプタを加熱するための変動磁場を生成するように、かつ、共に、前記絶縁部材が支持するように構成される前記インダクタコイルと、
前記インダクタコイルの周りに少なくとも部分的に延びる磁気シールド部材であって、
フェライト材料を含む磁気シールド層と、
前記磁気シールド層の第1の側に施された第1の接着剤層と、を有する前記磁気シールド部材と、
を備え
前記磁気シールド部材は、前記第1の接着剤層を介して前記インダクタコイルに接着する、エアロゾル供給デバイス。
【請求項2】
前記磁気シールド部材は、
前記磁気シールド層から径方向に外側に配置されるラミネート層であって、プラスチックフィルムを含む前記ラミネート層と、
前記ラミネート層及び前記磁気シールド層の間に配置される第2の接着剤層と、をさらに備え、
前記絶縁部材は、0.25mm~1mmの厚みを有し、
前記磁気シールド部材は、0.1mm~5mmの厚みを有する、請求項1に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項3】
前記磁気シールド部材が前記インダクタコイルと接触している、請求項1または2に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項4】
前記磁気シールド部材が、前記インダクタコイルの周りに巻かれ、少なくとも部分的に前記磁気シールド部材自体に接着されている、請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項5】
前記プラスチックフィルムがポリエチレンテレフタレートで形成される、請求項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項6】
前記磁気シールド部材が、
シートから形成され、
前記シート上に形成されたノッチであって、前記インダクタコイルを形成するワイヤのセクションを受けるように構成される前記ノッチを備える、請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項7】
前記エアロゾル供給デバイスが、前記インダクタコイルに隣接した第2のインダクタコイルを更に備え、
前記シートが、前記シート上に形成された第2のノッチを備え、
前記第2のノッチが、前記第2のインダクタコイルを形成するワイヤのセクションを受けるように構成される、請求項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項8】
前記ノッチが、前記レセプタクルによって画定された長手方向軸線に沿った方向において前記第2のノッチからオフセットされている、請求項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項9】
前記サセプタを更に備え、前記サセプタが前記レセプタクルを画定する、請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項10】
前記外側カバーの前記外面が、前記サセプタの外面から離して配置され、請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイスと、
エアロゾル生成材料を備える物品と、
を備える、エアロゾル供給システム。
【請求項12】
エアロゾル供給デバイスのための磁気シールド部材であって、前記磁気シールド部材がシートから形成され、
フェライト材料を含む磁気シールド層と、
前記磁気シールド層の第1の側に施され、前記エアロゾル供給デバイスの第1のインダクタコイルに接着するように構成される接着剤層と、
前記磁気シールド層の第2の側に施されたラミネート層と、
前記シート上に形成された第1のノッチであって、前記第1のインダクタコイルを形成するワイヤのセクションを受けるように構成される前記第1のノッチと、
前記シート上に形成された第2のノッチであって、前記エアロゾル供給デバイスの第2のインダクタコイルを形成するワイヤのセクションを受けるように構成される前記第2のノッチと、
を備える、磁気シールド部材。
【請求項13】
前記第1のノッチが、前記シートによって画定された軸線に沿った方向において前記第2のノッチからオフセットされている、請求項12に記載の磁気シールド部材。
【請求項14】
前記第1のノッチが、前記シートの第1のエッジに形成され、前記第2のノッチが、前記シートの第2のエッジに形成される、請求項12又は13に記載の磁気シールド部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル供給デバイス、及びエアロゾル供給デバイスのための磁気シールド部材に関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻タバコ、葉巻タバコ等の喫煙品は、使用時にタバコを燃焼させてタバコの煙を生じさせる。タバコを燃焼させるこれらの品の代替品を、燃焼させずに化合物を放出する製品を作り出すことによって提供しようとする試みがなされてきた。このような製品の例には、材料を燃焼させるのではなく加熱することによって化合物を放出する加熱デバイスがある。この材料は、例えばタバコ又は他の非タバコ製品とすることができ、これらはニコチンを含む場合も含まない場合もある。
【発明の概要】
【0003】
本開示の第1の態様によれば、
エアロゾル生成材料を受けるように構成されたレセプタクルであって、エアロゾル生成材料がサセプタによって加熱可能であるレセプタクルと、
レセプタクルの周りに延びるインダクタコイルであって、サセプタを加熱するための変動磁場を生成するように構成されるインダクタコイルと、
インダクタコイルの周りに少なくとも部分的に延びる磁気シールド部材と、
を備える、エアロゾル供給デバイスが提供される。
【0004】
本開示の第2の態様によれば、エアロゾル供給デバイスのための磁気シールド部材であって、磁気シールド部材がシートから形成され、
磁気シールド層と、
磁気シールド層の第1の側に施された接着剤層と、
磁気シールド層の第2の側に施されたラミネート層と、
シート上に形成された第1のノッチであって、エアロゾル供給デバイスの第1のインダクタコイルを形成するワイヤのセクションを受けるように構成される第1のノッチと、
シート上に形成された第2のノッチであって、エアロゾル供給デバイスの第2のインダクタコイルを形成するワイヤのセクションを受けるように構成される第2のノッチと、
を備える、磁気シールド部材が提供される。
【0005】
本開示の第3の態様によれば、
エアロゾル供給デバイスであって、
エアロゾル生成材料を加熱するように配置されたサセプタと、
サセプタの周りに延びるインダクタコイルであって、サセプタを加熱するための変動磁場を生成するように構成されるインダクタコイルと、
エアロゾル供給デバイスの外面の少なくとも一部を形成する外側カバーであって、外側カバーの外面がサセプタの外面から離して配置されている外側カバーと、
を備える、エアロゾル供給デバイスであって、
使用時に、外面の温度は約48℃未満に留まる、エアロゾル供給デバイスが提供される。
【0006】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付の図面を参照してなされる、例としてのみ与えられる本発明の好ましい実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】エアロゾル供給デバイスの一例の正面図である。
図2】外側カバーが除去された図1のエアロゾル供給デバイスの正面図である。
図3図1のエアロゾル供給デバイスの断面図である。
図4図2のエアロゾル供給デバイスの展開図である。
図5A】エアロゾル供給デバイス内の加熱アセンブリの断面図である。
図5B図5Aの加熱アセンブリの一部の詳細図である。
図6】エアロゾル供給デバイス内に配置された例示的な磁気シールド部材の斜視図である。
図7】例示的な磁気シールド部材の断面の図式表現である。
図8図6に示す構成体の上面図である。
図9】例示的な磁気シールド部材の斜視図である。
図10】ノッチを備える第1の例示的な磁気シールド部材の図式表現である。
図11】ノッチを備える第2の例示的な磁気シールド部材の図式表現である。
図12】アパーチャを備える第3の例示的な磁気シールド部材の図式表現である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において用いられるとき、「エアロゾル生成材料」という用語は、典型的にはエアロゾルの形態で、加熱時に揮発成分を提供する材料を含む。エアロゾル生成材料は、任意のタバコ含有材料を含むことができ、例えば、タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ又は複数を含むことができる。エアロゾル生成材料はまた、他の非タバコ製品を含んでもよく、製品によっては、ニコチンを含む場合も含まない場合もある。エアロゾル生成材料は、例えば、固体、液体、ゲル、又は蝋等の形態であってもよい。エアロゾル生成材料はまた、例えば、材料を組み合わせたもの、又はブレンドしたものであってもよい。エアロゾル生成材料は、「喫煙材」として知られる場合もある。
【0009】
エアロゾル生成材料を燃やさずに又は燃焼させずに、エアロゾル生成材料を加熱してエアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させて、典型的には、吸引することができるエアロゾルを形成する装置が知られている。このような装置は、場合によっては、「エアロゾル生成デバイス」、「エアロゾル供給デバイス」、「非燃焼加熱式デバイス」、「タバコ加熱製品デバイス」若しくは「タバコ加熱デバイス」、又はこれらに類似するものとして説明される。同様に、いわゆるeシガレットデバイスもあり、これは、典型的には、ニコチンを含む場合も含まない場合もある、液体の形態のエアロゾル生成材料を気化する。エアロゾル生成材料は、装置内に挿入することができるロッド、カートリッジ、若しくはカセット等の形態をとるか、又はこれらの一部として提供される場合がある。エアロゾル生成材料を加熱して揮発させるためのヒーターは装置の「永久」部分として提供される場合がある。
【0010】
エアロゾル提供デバイスは、加熱のためのエアロゾル生成材料を含む物品を受け入れることができる。この文脈における「物品」とは、エアロゾル生成材料を揮発させるために加熱されるエアロゾル生成材料を使用時に含むか又は含有する構成要素、及び任意選択で使用される他の構成要素である。使用者は、物品をエアロゾル供給デバイスに挿入することができ、その後、エアロゾル供給デバイスが加熱されてエアロゾルを生成し、続いてこれを使用者が吸入する。物品は、例えば、物品を受け入れるようなサイズに設定されたデバイスの加熱チャンバ内に配置されるように構成された所定の又は特定のサイズとすることができる。
【0011】
本開示の第1の態様は、エアロゾル生成材料を受けるように構成されたレセプタクルを有するエアロゾル供給デバイスを定義し、エアロゾル生成材料はサセプタによって加熱可能である。レセプタクルは、例えば、サセプタがエアロゾル生成材料を受けるようにサセプタによって画定することができる。例えば、サセプタは、実質的に管状(すなわち、中空)とすることができ、内部にエアロゾル生成材料を受けることができる。1つの例において、エアロゾル生成材料は、本質的に管状又は円筒形であり、例えば、「タバコスティック」として知られる場合があり、エアロゾル化可能材料は、特定の形状で形成されたタバコを含むことができ、これが次に、紙又は箔等の1つ又は複数の他の材料でコーティングされるか又は巻かれる。代替的に、サセプタは、デバイスの構成要素でない場合があるが、デバイス内に導入される物品に取り付けられるか又はこれに含まれる。
【0012】
サセプタは、少なくとも1つのインダクタコイルによって生成された変動磁場によりサセプタを貫通することによって加熱することができる。そして、加熱されたサセプタは、サセプタ内に位置するエアロゾル生成材料を加熱する。したがって、デバイスは、レセプタクル/サセプタの周りに延びるインダクタコイルを更に備える。
【0013】
インダクタコイルによって生成された電磁放射からデバイス(及び他の近傍の電気デバイス)の電気構成要素を遮蔽するために、デバイスは、電磁放射を遮断/吸収するための磁気シールド部材を備えることができる。磁気シールド部材は、電磁放射の影響を軽減するフェライト材料の1つ又は複数の層/シートを含むことができる。
【0014】
第1の態様において、磁気シールド部材は、インダクタコイルの周りに少なくとも部分的に延びる。磁気シールド部材は、電磁放射を吸収/遮断するフェライト材料等の材料を備える。
【0015】
好ましくは、磁気シールド部材はインダクタコイルと接触している。多くの場合、フェライト材料は、デバイスのハウジング/カバーの内面に付着されているが、これは、大量のフェライト材料が電磁放射を適切に含むことを必要とする。この材料は、比較的重く、嵩張り、高価になり得るため、使用量を低減することが望ましい。インダクタコイルのより近くに配置されることによって、必要とされるフェライト材料の量が低減される。いくつかの状況において、用いられる材料の量は、最大30%低減することができることがわかっている。
【0016】
この利点に加えて、驚くべきことに、インダクタコイルと接触していることによって、熱いサセプタと、デバイスの外側ケーシング/ハウジングとの間の効果的な熱障壁が作成されることがわかっている。例えば、磁気シールド部材と、デバイスの外側カバー/ハウジングとの間に絶縁空隙が設けられる。磁気シールド部材は、サセプタ及びインダクタコイルの近傍に熱を閉じ込めて、絶縁体としての役割を果たすこともできる。これらの効果により、デバイスの表面温度を低減させ、それによって、デバイスの使用をより快適かつ安全にすることができる。
【0017】
いくつかの例において、デバイスは、インダクタコイルの温度を測定するためにインダクタコイルと接触した温度センサを更に備える。磁気シールド部材がインダクタコイルと接触しているとき、温度センサは、インダクタコイルの温度をより正確に測定することができる。
【0018】
インダクタコイルは、サセプタ/レセプタクルの周りに螺旋形式で延びることができる。サセプタは長手方向軸線を画定することができ、それによって、磁気シールド部材はこの長手方向軸線の周りにアジマス方向に延び、したがって完全な又は部分的管状構造を形成する。
【0019】
磁気シールド部材は、フェライト層等の磁気シールド層を含むことができる。フェライトは、フェリ磁性材料であり、磁化及び/又は磁石への引き付けができることを意味する。いくつかの例において、磁気シールド層は磁化される。
【0020】
エアロゾル供給デバイスは、2つ以上のインダクタコイルを含むことができる。例えば、第1のインダクタコイルは、レセプタクル/サセプタの第1の部分の周りに延びることができ、第2のインダクタコイルは、レセプタクル/サセプタの第2の部分の周りに延びることができる。第1及び第2のインダクタコイルは、レセプタクル/サセプタの長手方向軸線に沿った方向において互いに隣接して配置することができる。そのようなデバイスにおいて、磁気シールド部材は、第1及び第2のインダクタコイルと接触し、その周りに少なくとも部分的に延びることができる。
【0021】
いくつかの構成体において、磁気シールド部材は、接着剤層によってインダクタコイルに接着することができる。接着剤層は、磁気シールド部材を適所に保持し、それによって電磁放射からの適切な遮蔽を確実にする。インダクタコイルに接着剤を施すことができ、磁気シールド部材を、接着剤と接触させることができる。代替的に、磁気シールド部材は接着剤層を含むことができ、したがって、自己接着性とすることができる。例えば、磁気シールド部材は、磁気シールド層及び接着剤層を含むことができる。接着剤層は、磁気シールド部材の内面(すなわち、インダクタコイルの最も近くに配置されている表面)に形成することができる。これにより、デバイスを組み立てることがより効率的で効果的になり得る。例えば、まずインダクタコイルに接着剤を施すことなく、磁気シールド部材を直接インダクタコイルに施すことができる。
【0022】
磁気シールド部材を、インダクタコイルの周りに巻き、少なくとも部分的に磁気シールド部材自体に接着することができる。磁気シールド部材はその長さに沿って部分的に又は完全に封止されているため、そのような構成体は、電磁放射から、より防御性が高い/密封された遮蔽を提供する。例えば、磁気シールド部材の第1のエッジは、磁気シールド部材の第2のエッジと重なり合い、磁気シールド部材がこの重なり領域において磁気シールド自体に接着/付着するようにすることができる。このため、磁気シールド部材は、管状に巻かれたシートから形成することができる。例えば、接着は、磁気シールド部材の接着剤層によって提供することができる。
【0023】
磁気シールド部材は、少なくとも1つの磁気シールド層及び少なくとも1つのラミネート層を備えることができる。これは、接着剤層に加えて、又は接着剤層の代わりに備えることができる。フェライト材料(すなわち、磁気シールド層)は、エアロゾル供給デバイス内での繰り返された加熱及び冷却の結果として経時的に崩壊し始める可能性があることがわかっている。崩壊する材料は、デバイス内で緩み、がたつく可能性がある。緩んだ材料は、デバイスの他の構成要素に損傷を与える又は影響を及ぼす場合がある。ラミネート層(フィルムの層等)を含めることによって、磁気シールド層は、崩壊し、緩む可能性が低くなる。
【0024】
ラミネート層は、磁気シールド部材の外面に向かって配置することができる。例えば、ラミネート層は、磁気シールド層から径方向に外側に配置することができる。1つの例において、ラミネート層は、磁気シールド部材の外面を形成する。しかしながら、他の例において、外面を形成する別の層が存在してもよい。ここで、外面は、インダクタコイルから最も遠く離れた表面である。ラミネート層は、接着剤を介して磁気シールド層に付着することができるか、又は磁気シールド層に自己接着することができる。
【0025】
1つの例において、ラミネート層はプラスチック材料を含む。ラミネート層は、例えばプラスチックフィルムとすることができる。特定の例において、プラスチックはポリエチレンテレフタレート(PET)である。
【0026】
磁気シールド部材は、約0.1mm~約5mmの厚みを有することができる。好ましくは、厚みは約0.5mm~約0.8mmである。この範囲は、(薄くすることにより)デバイスの外側カバーとの間の空隙サイズを増大させ、デバイスの質量を低減させることと、(厚くすることにより)電磁放射の適切な吸収を確実にすることとの間の良好なバランスをもたらす。
【0027】
磁気シールド部材は、シートから形成することができ、シート上にノッチを含むことができ、ノッチは、インダクタコイルを形成するワイヤのセクションを受けるように構成される。ワイヤのセクションは、例えばインダクタコイルの端部を含むことができる。1つ又は複数のノッチを含めることにより、磁気シールド部材がインダクタコイルにより適合することが可能になる。ノッチ/切り欠きは、より大きな遮蔽効果を確実にしながら、シートをより容易にインダクタコイルの周りに巻き付けることができることを意味する。ノッチは、シートのエッジに作製された窪みである。
【0028】
シートは、1つ又は複数のノッチが「切り欠きされた」正方形/矩形のシートとすることができる。例えば、矩形シートは、材料が除去される「ノッチ形成」プロセスを受けることができる。代替的に、シートは、ノッチが予め形成された状態で製造されてもよい。
【0029】
エアロゾル供給デバイスは、インダクタコイルに隣接した第2のインダクタコイルを更に備えることができ、シートは、シート上に形成された第2のノッチを備えることができる。第2のノッチは、第2のインダクタコイルを形成するワイヤのセクションを受けるように構成される。追加のノッチを含めることにより、磁気シールド部材が2つのインダクタコイルに、より適合することが可能になる。
【0030】
特定の例において、ノッチは第1のノッチであり、シートの第1のエッジにおいて形成することができ、第2のノッチは、シートの第2のエッジにおいて形成することができる。ノッチを異なるエッジに形成させることにより、磁気シールド部材をインダクタコイルに施すことをより容易にすることができる。例えば、組立中、第1のノッチを第1のインダクタコイルと位置合わせしてからインダクタコイルの周りに巻き付けることができ、ここで、第2のノッチは第2のインダクタコイルを受ける。
【0031】
第1のノッチは、レセプタクル/サセプタによって画定される長手方向軸線に沿った方向において第2のノッチからオフセットすることができる。これにより、ノッチのオフセットに起因してデバイスを組み立てることをより容易にすることができる。例えば、ノッチは、シートを正しい方式でのみコイルの周りに巻き付けることができることを確実にする。
【0032】
上述したように、ノッチは、シートのエッジにおいて作製された窪みである。これらにより、シートは、組み立てられ、例えばプリント回路基板に接続された後、インダクタコイルの周りに巻き付けられることが可能になる。別の実施形態において、ノッチは、貫通孔/アパーチャによって置き換えることができ、インダクタコイルの端部はアパーチャに受けることができる。そのような構成体は、ノッチと比較して、より優れた遮蔽を提供することができるが、例えば、磁気シールド部材をインダクタコイルの周りに巻き付けてから、インダクタコイルの端部がプリント回路基板に接続される必要がある。
【0033】
いくつかの例において、エアロゾル供給デバイスはサセプタを含み、サセプタはレセプタクルを画定する。
【0034】
第2の態様によれば、エアロゾル供給デバイスのための磁気シールド部材が提供される。磁気シールド部材は、シートから形成することができ、磁気シールド層と、磁気シールド層の第1の側に施された接着剤層と、磁気シールド層の第2の側に施されたラミネート層とを備える。第1のノッチは、シート上に形成することができ、ここで、第1のノッチは、エアロゾル供給デバイスの第1のインダクタコイルを形成するワイヤのセクションを受けるように構成され、第2のノッチはシート上に形成することができ、ここで第2のノッチは、エアロゾル供給デバイスの第2のインダクタコイルを形成するワイヤのセクションを受けるように構成される。
【0035】
いくつかの例において、第2の接着剤層は、ラミネート層とシールド層との間に配置することができる。
【0036】
第1のノッチは、シートによって画定される軸線に沿った方向において第2のノッチからオフセットすることができる。シートによって画定される軸線は、シートがデバイス内に配置されているときにレセプタクル/サセプタによって画定される軸線に平行に配置された軸線である。
【0037】
第1のノッチは、シートの第1のエッジにおいて形成することができ、第2のノッチは、シートの第2のエッジにおいて形成することができる。代替的な例において、ノッチはシートの同じエッジに沿って形成することができる。
【0038】
特定の例において、シートは4つのノッチを含む。例えば、シートは、エアロゾル供給デバイスの第1のインダクタコイルを形成するワイヤの第2のセクションを受けるように構成された第3のノッチと、エアロゾル供給デバイスの第2のインダクタコイルを形成するワイヤの第2のセクションを受けるように構成された第4のノッチと、を更に備えることができる。
【0039】
いくつかの例において、磁気シールド部材は、インダクタコイルと接触しない場合がある。代わりに、磁気シールド部材は、外側カバーの内面に付着することができる。
【0040】
いくつかの例において、デバイスは、サセプタの長さに沿って配置された2つ以上のインダクタコイルを備え、各隣接するインダクタコイル間で、デバイスは、ワッシャ等の径方向に延びる壁を備える。
【0041】
いくつかの例において、径方向に延びる壁は、各インダクタを分離するように、サセプタの周りに少なくとも部分的に延びることができる。そのような径方向に延びる壁は、誘導コイルを切り離すように作用し、これは、各コイルが独立して作用し、すなわち、近傍の動作していないコイルにおいて誘導される効果がないか又は低下することを意味することがわかっている。したがって、各インダクタコイルからの磁束はより局所的になり得る。いくつかの例において、壁は、壁の場所における、物品内にエネルギーを向ける/集束させるのに役立つことができ、これは、コイルの総数を低減することができることを意味することができる。径方向に延びる壁は、サセプタの周りのカラーとしての役割を果たすことができる。径方向に延びる壁は、サセプタと同軸とすることができる。径方向に延びるとは、壁が管状サセプタの半径に平行な方向に延びることを意味することができる。
【0042】
いくつかの例において、壁はサセプタに取り付けられている(すなわち、サセプタと接触している)。例えば、壁はサセプタからインダクタコイルに延びることができる。他の例において、壁はサセプタに取り付けられていない。例えば、壁は絶縁部材の外面から延びる場合がある。1つの例において、壁及びサセプタは同じ材料から作製される。特定の例において、壁はフェライトを含む。
【0043】
したがって1つの例において、サセプタと、サセプタの第1の領域の周りに延びる第1のインダクタコイルと、サセプタの第2の領域の周りに延びる第2のインダクタコイルとを備えるエアロゾル供給デバイスが提供され、このデバイスは、第1のインダクタコイルと第2のインダクタコイルとの間に配置された径方向に延びる磁気シールド部材を更に備える。磁気シールド部材及びデバイスは、上記及び本明細書に記載の特徴のうちの任意のものを含むことができる。
【0044】
上述したように、磁気シールド部材構成体は、熱いサセプタと、デバイスの外側ケーシング/ハウジングとの間の熱障壁を生成する。好ましくは、デバイスの外側カバーは48℃未満に維持される。更により好ましくは、デバイスの外側カバーは、使用中、45℃未満又は43℃未満に維持される。いくつかの例において、デバイスの外側カバーは、少なくとも3つ又は4つの連続加熱セッションにわたって43℃未満に維持される。セッションは、エアロゾル生成材料が費やされるまで、約3分~約4分の期間にわたって物品を加熱することを含む。インダクタコイルにおいて磁気シールド部材を使用することにより、外側カバーの表面温度が最大3℃低減することがわかっている。サセプタと絶縁部材との間の空隙の使用等の、追加の又は代替的な絶縁特徴も、外側カバーの温度を約48℃未満に維持することができる。
【0045】
したがって、別の態様において、エアロゾル供給デバイスは、エアロゾル生成材料を加熱するように構成されたインダクタコイル及びサセプタを備え、インダクタコイルは、サセプタを加熱するように配置されている。デバイスは、エアロゾル供給デバイスの外面の少なくとも一部を形成する外側カバーを備え、外側カバーの外面は、サセプタの外面から離して配置されている。使用時に、外面の温度は約48℃未満に留まる。
【0046】
したがって、デバイスは、少なくとも1つの加熱セッションにわたって約48℃未満に留まる。
【0047】
好ましくは、使用時に、外面の温度は約43℃未満に留まる。
【0048】
好ましくは、使用時に、外面の温度は、少なくとも3つの加熱セッションの期間にわたって約43℃未満に留まり、加熱セッションは少なくとも180秒持続する。したがって、使用時に、外面の温度は、少なくとも540秒の期間にわたって約43℃未満に留まる。加熱セッションは、サセプタがこの時間中に連続して加熱されていることを意味する。いくつかの例において、加熱セッション中のサセプタの平均温度は、約240℃~約300℃である。好ましくは、加熱セッションは連続して実行される(すなわち、互いから約30秒未満又は約20秒未満又は約10秒未満以内に開始する)。
【0049】
より好ましくは、使用時に、外面の温度は、少なくとも4つの加熱セッションの期間にわたって約43℃未満に留まる。
【0050】
いくつかの例において、加熱セッションは、少なくとも210秒にわたって持続する。
【0051】
デバイスは、コイルと接触し、コイルの周りに少なくとも部分的に延びる磁気シールド部材を更に備えることができる。磁気シールド部材は、第1及び第2の態様に関して上記で説明した特徴のうちの任意のもの又は全てを含むことができる。
【0052】
デバイスは、サセプタの周りに延びる絶縁部材を更に備えることができる。絶縁部材は、外面の温度を約48℃未満に維持するのに役立つことができる。いくつかの例において、絶縁部材は、サセプタの周りに空隙を提供するために、サセプタから離して配置されている。空隙は、追加の熱障壁を提供する。
【0053】
絶縁部材は、約0.25mm~約1mmの厚みを有することができる。絶縁部材(及びサセプタと絶縁部材との間の任意の空隙)は、加熱されたサセプタから外側カバーを絶縁するのに役立つ。
【0054】
絶縁部材は、例えばプラスチック等の任意の絶縁材料から構築することができる。特定の例において、絶縁部材は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から構築される。PEEKは、良好な絶縁特性を有し、エアロゾル供給デバイスにおける使用によく適している。
【0055】
別の例において、絶縁部材は、マイカ又はマイカガラスセラミックを含むことができる。これらの材料は、良好な絶縁特性を有する。
【0056】
絶縁部材は、約0.5W/mK未満、又は約0.4W/mK未満の熱伝導率を有することができる。例えば、熱伝導率は約0.3W/mKとすることができる。PEEKは、約0.32W/mKの熱伝導率を有する。
【0057】
絶縁部材は、約300℃超等、約320℃超、又は約340℃超の溶融点を有することができる。PEEKは、343℃の溶融点を有する。そのような溶融点を有する絶縁部材は、サセプタが加熱されているとき、絶縁部材が剛体/固体のままであることを確実にする。
【0058】
外側カバーの内面は、約2mm~約3mmの距離だけ絶縁部材の外面から離して配置することができる。このサイズの分離距離は、外側カバーが熱くなりすぎないことを確実にするのに十分な絶縁を提供することがわかっている。絶縁部材の外側と外側カバーとの間に空気を配置することができる。
【0059】
更に特に、外側カバーの内面は、約2.3mm等、約2mm~約2.5mmの距離だけ絶縁部材の外面から離して配置することができる。そのような寸法は、絶縁をもたらすことと、デバイスの寸法を低減することとの間の良好なバランスをもたらす。
【0060】
外側カバーの内面は、約4mm~約6mmの距離だけサセプタの外面から離して配置することができる。この距離は、サセプタの外面と、外側カバーの内面との間の、最も近い点における距離である。したがって、この距離は、サセプタの外面と、外側カバーの内面との間の最小距離とすることができる。1つの例において、サセプタと、デバイスの側面との間で距離を測定することができる。外側カバーがこの距離だけサセプタから離して配置されているとき、外側カバーは、デバイスのサイズ及び重量を低減しながら、表面温度を48℃未満に維持するのに十分なだけ、加熱されたサセプタから絶縁されることがわかっている。このため、この範囲内の距離は、絶縁特性とデバイス寸法との間の良好なバランスを表す。
【0061】
1つの例において、外側カバーの内面は、約5mm~約6mmの距離だけサセプタの外面から離して配置されている。好ましくは、外側カバーの内面は、約5.3mm~約5.4mm等、約5mm~約5.5mmの距離だけサセプタの外面から離して配置されている。この距離範囲内の間隔は、デバイスが小型で軽量のままであることも確実にしながら、より良好な絶縁をもたらす。特定の例において、間隔は5.3mmである。
【0062】
デバイスは、外側カバーとサセプタとの間に配置された少なくとも1つの絶縁層を更に備えることができる。絶縁層は、外側カバーをサセプタから絶縁する。
【0063】
絶縁層は、以下の場所、すなわち(i)サセプタと絶縁部材との間、(ii)絶縁部材とコイルとの間、(iii)コイルと外側カバーとの間、のうちの任意のもの又は全てに位置することができる。(ii)において、絶縁部材は、絶縁層を収容するために、より小さな外径を有することができる。加えて、又は代替的に、コイルは、絶縁層を収容するために、より大きな内径を有することができる。絶縁層は、複数層の材料を含むことができる。
【0064】
絶縁層は、以下の材料、すなわち、(i)空気(約0.02W/mKの熱伝導率を有する)、(ii)AeroZero(登録商標)(約0.03W/mK~約0.04W/mの熱伝導率を有する)、(iii)ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)(いくつかの例において、約0.25W/mKの熱伝導率を有することができる)、(iv)セラミッククロス(約1.13kJ/kgKの比熱を有する)、(v)熱伝導パテ、のうちの任意のものによって提供することができる。
【0065】
いくつかの例において、外側カバーの外面はコーティングを含む。コーティング及び/又は外側カバーは、高い熱伝導率を有することができる。例えば、伝導率は、約200W/mK超とすることができる。比較的高い熱伝導率により、熱が外側カバー全体にわたって分散し、そして大気中に失われ、それによってデバイスを冷却することを確実にする。特定の例において、コーティングはソフトタッチ塗料である。
【0066】
いくつかの例において、デバイスは、バッテリー温度を測定するように配置された温度センサを備える。デバイスは、バッテリーの温度が閾値温度以上であるときにデバイスに加熱を停止させるように構成されたコントローラーを備えることができる。例えば、閾値温度は、約45℃又は50℃とすることができる。
【0067】
外側カバーの内面は、約4mm~約6mmの距離だけサセプタの外面から離して配置することができる。この距離は、サセプタの外面と、外側カバーの内面との間の、最も近い点における距離である。したがって、この距離は、サセプタの外面と、外側カバーの内面との間の最小距離とすることができる。1つの例において、サセプタと、デバイスの側面との間で距離を測定することができる。外側カバーがこの距離だけサセプタから離して配置されているとき、外側カバーは、デバイスのサイズ及び重量を低減しながら、ユーザに対する不快感又は負傷を回避するのに十分なだけ、加熱されたサセプタから絶縁されることがわかっている。このため、この範囲内の距離は、絶縁特性とデバイス寸法との間の良好なバランスを表す。
【0068】
外側カバーは、外側ケーシングとしても知られている場合がある。外側ケーシングは、デバイスを完全に取り囲むこともできるし、デバイスの周りに部分的に延びることもできる。
【0069】
1つの例において、外側カバーの内面は、約5mm~約6mmの距離だけサセプタの外面から離して配置されている。好ましくは、外側カバーの内面は、約5.3mm~約5.4mm等、約5mm~約5.5mmの距離だけサセプタの外面から離して配置されている。この距離範囲内の間隔は、デバイスが小型で軽量のままであることも確実にしながら、より良好な絶縁をもたらす。特定の例において、間隔は5.3mmである。
【0070】
いくつかの例において、使用時に、コイルは、約250℃~約280℃等、約240℃~約300℃の温度までサセプタを加熱するように構成される。外側カバーが少なくともこの距離だけサセプタから離間されているとき、外側カバーの温度は、約48℃未満、又は約43℃未満等の安全なレベルに保たれる。
【0071】
いくつかの例において、コイルと外側カバーとの間に空隙が形成される。空隙は絶縁を提供する。
【0072】
外側カバーの内面は、約0.2mm~約1mmの距離だけコイルの外面から離して配置することができる。いくつかの例では、コイルが磁場を誘導するために用いられる際、例えば、磁場を誘導するためにコイルを通る電流に起因した抵抗加熱から、コイル自体を加熱することができる。コイルと外側カバーとの間に間隔を設けることによって、加熱されたコイルが外側カバーから絶縁されることが確実になる。いくつかの例において、外側カバーの内面とコイルとの間にフェライトシールドが配置される。フェライトシールドは、外側カバーの内面を絶縁するのに更に役立つ。フェライトシールドが1つ又は複数のコイルと接触しているとき、及び1つ又は複数のコイルを少なくとも部分的に取り囲んでいるとき、外側カバーの表面温度を約3℃低下させることができることがわかっている。
【0073】
1つの例において、コイルはリッツ線を含み、リッツ線は、円形形状の断面を有する。そのような例において、外側カバーの内面は、約0.25mm等、約0.2mm~約0.5mm、又は約0.2mm~約0.3mmの距離だけコイルの外面から離して配置されている。
【0074】
1つの例において、コイルはリッツ線を含み、リッツ線は、矩形形状の断面を有する。そのような例において、外側カバーの内面は、約0.9mm等、約0.5mm~約1mm、又は約0.8mm~約1mmの距離だけコイルの外面から離して配置されている。円形の断面を有するリッツ線は、矩形の断面を有するリッツ線よりも外側カバーの近くに配置することができる。なぜなら、円形の断面のワイヤは、外側カバーに向かって露出する表面積がより小さいためである。
【0075】
コイルの内面は、約3mm~約4mmの距離だけサセプタの外面から離して配置することができる。
【0076】
外側カバーはアルミニウムを備えることができる。アルミニウムは、良好な熱分散特性を有する。外側カバーは、約200W/mK~約220W/mKの熱伝導率を有することができる。例えばアルミニウムは、約209W/mKの熱伝導率を有する。このため、外側カバーは、比較的高い熱伝導率を有することで、その熱が外側カバー全体にわたって分散し、そして大気中に失われ、それによってデバイスを冷却することを確実にすることができる。
【0077】
外側カバーは、約0.75mm~約2mmの厚みを有することができる。したがって、外側カバーは絶縁障壁としての役割を果たすことができる。これらの厚みは、良好な絶縁をもたらすことと、デバイスのサイズ及び重量を低減することとの間の良好なバランスをもたらす。好ましくは、外側カバーは、約1mm等、約0.75mm~約1.25mmの厚みを有する。
【0078】
図1は、エアロゾル生成媒体/材料からエアロゾルを生成するためのエアロゾル供給デバイス100の例を示す。概略において、デバイス100を用いて、エアロゾル生成媒体を備える交換可能な物品110を加熱し、デバイス100の使用者によって吸入されるエアロゾル又は他の吸入可能媒体を生成することができる。
【0079】
デバイス100は、デバイス100の様々な構成要素を包囲及び収容するハウジング102(外側カバーの形態をとる)を備える。デバイス100は、一方の端部に開口部104を有し、この開口部104を通じて、物品110を加熱アセンブリによる加熱のために挿入することができる。使用時に、物品110は、加熱アセンブリに完全に又は部分的に挿入することができ、加熱アセンブリにおいて、ヒーターアセンブリの1つ又は複数の構成要素によって加熱することができる。
【0080】
この例のデバイス100は、物品110が定位置にないときに開口部104を閉じるように第1の端部部材106に対し移動可能な蓋108を備える第1の端部部材106を備える。図1において、蓋108が開いた構成で示されるが、蓋108は閉じた構成に動くことができる。例えば、使用者は、矢印「A」の方向に蓋108を摺動させることができる。
【0081】
デバイス100は、押下時にデバイス100を動作させる、ボタン又はスイッチ等の使用者が操作可能な制御要素112も含むことができる。例えば、使用者は、スイッチ112を操作することによってデバイス100をオンにすることができる。
【0082】
デバイス100は、デバイス100のバッテリーを充電するためのケーブルを受けることができるソケット/ポート114等の電気構成要素も備えることもできる。例えば、ソケット114は、USB充電ポート等の充電ポートとすることができる。
【0083】
図2は、外側カバー102が除去され、物品110が存在しない状態の図1のデバイス100を示す。デバイス100は長手方向軸線134を画定する。
【0084】
図2に示すように、第1の端部部材106は、デバイス100の一方の端部に配置され、第2の端部部材116は、デバイス100の反対側の端部に配置される。第1の端部部材106及び第2の端部部材116は、合わせて、デバイス100の端部表面を少なくとも部分的に画定する。例えば、第2の端部部材116の底面は、デバイス100の底面を少なくとも部分的に画定する。外側カバー102のエッジも、端部表面の一部を画定することができる。この例において、蓋108もデバイス100の上面の一部を画定する。
【0085】
開口部104に最も近いデバイスの端部は、使用時に使用者の口に最も近いため、デバイス100の近位端(口部端)として知られる場合がある。使用時に、使用者は、物品110を開口部104に挿入し、エアロゾル生成材料の加熱を開始するように使用者制御部112を操作し、デバイス内で生成されたエアロゾルを吸い込む。これにより、エアロゾルは、流路に沿ってデバイス100の近位端に向かってデバイス100を通って流れる。
【0086】
開口部104から最も離れたデバイスの他方の端部は、使用時に使用者の口から最も離れた端部であるため、デバイス100の遠位端として知られる場合がある。使用者がデバイス内に生成されたエアロゾルを吸い込む際、エアロゾルはデバイス100の遠位端から離れる方に流れる。
【0087】
デバイス100は電源118を更に備える。電源118は、例えば、充電可能バッテリー又は非充電可能バッテリー等のバッテリーとすることができる。適切なバッテリーの例には、例えば(リチウムイオンバッテリー等の)リチウムバッテリー、(ニッケルカドミウムバッテリー等の)ニッケルバッテリー、及びアルカリバッテリーがある。バッテリーは、必要なとき、コントローラー(図示せず)の制御下で、エアロゾル生成材料を加熱するための電力を供給するためにヒーターアセンブリに電気的に結合されている。この例において、バッテリーは、バッテリー118を定位置に保持する中央支持部120に接続される。
【0088】
デバイスは、少なくとも1つの電子機器モジュール122を更に備える。電子機器モジュール122は、例えば、プリント回路基板(PCB)を備えることができる。PCB122は、プロセッサ等の少なくとも1つのコントローラー、及びメモリを支持することができる。PCB122は、デバイス100の様々な電子構成要素を共に電気的に接続するための1つ又は複数の電気トラックも含むことができる。例えば、バッテリー端子は、デバイス100全体に電力を分配することができるように、PCB122に電気的に接続することができる。ソケット114も電気トラックを介してバッテリーに電気的に結合することができる。
【0089】
例示的なデバイス100において、加熱アセンブリは誘導加熱アセンブリであり、誘導加熱プロセスを介して物品110のエアロゾル生成材料を加熱するための様々な構成要素を備える。誘導加熱は、電磁誘導によって導電オブジェクト(サセプタ等)を加熱するプロセスである。誘導加熱アセンブリは、誘導要素、例えば1つ又は複数のインダクタコイルと、誘導要素を通じて交流電流等の変動電流を通すためのデバイスとを備えることができる。誘導要素における変動電流は、変動磁場を生成する。変動磁場は、誘導要素に対し適切に配置されたサセプタに侵入し、サセプタ内部で渦電流を生成する。サセプタは、渦電流に対し電気抵抗を有し、このため、この抵抗に対する渦電流の流れによって、サセプタがジュール加熱により加熱される。サセプタが、鉄、ニッケル又はコバルト等の強磁性材料を含む場合、サセプタにおける磁気ヒステリシス損失によっても、すなわち、変動磁場との調整の結果としての磁性材料における磁気双極子の変動する向きによっても、熱を生成することができる。例えば伝導による加熱と比較して、誘導加熱において、熱はサセプタ内で生成され、高速な加熱を可能にする。更に、誘導ヒーターとサセプタとの間に物理的接触が存在する必要がなく、構築及び適用における自由度を高めることが可能である。
【0090】
例示的なデバイス100の誘導加熱アセンブリは、サセプタ構成体132(本明細書において「サセプタ」と呼ばれる)と、第1のインダクタコイル124と、第2のインダクタコイル126とを備える。第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、導電性材料から作製される。この例において、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、螺旋インダクタコイル124、126を提供するために螺旋形状で巻かれたリッツ線/ケーブルから作製される。リッツ線は、個々に絶縁され、単一のワイヤを形成するように撚り合わされた複数の個々のワイヤを備える。リッツ線は、導体における表皮効果損失を低減するように設計される。例示的なデバイス100において、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、矩形の断面を有する銅製のリッツ線から作製される。他の例において、リッツ線は、円形等の他の形状の断面を有することができる。
【0091】
第1のインダクタコイル124は、サセプタ132の第1のセクションを加熱するための第1の変動磁場を生成するように構成され、第2のインダクタコイル126は、サセプタ132の第2のセクションを加熱するための第2の変動磁場を生成するように構成される。この例において、第1のインダクタコイル124は、デバイス100の長手方向軸線134に沿った方向において第2のインダクタコイル126に隣接する(すなわち、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は重ならない)。サセプタ構成体132は、単一のサセプタ、又は2つ以上の別個のサセプタを含むことができる。第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126の端部130はPCB122に接続することができる。
【0092】
いくつかの例において、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、互いに異なる少なくとも1つの特性を有することができることが理解されよう。例えば、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126と異なる少なくとも1つの特性を有することができる。より詳細には、1つの例において、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126と異なるインダクタンス値を有することができる。図2において、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は異なる長さであり、第1のインダクタコイル124が、第2のインダクタコイル126よりも小さいサセプタ132のセクションに巻き付けられるようになっている。このため、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126と異なる巻数を含むことができる(個々の巻間の間隔が実質的に同じであると仮定する)。更に別の例において、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126と異なる材料から作製することができる。いくつかの例において、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は実質的に同一にすることができる。
【0093】
この例において、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、反対方向に巻き付けられる。これは、インダクタコイルが異なる時点でアクティブであるときに有用とすることができる。例えば、最初に、第1のインダクタコイル124は、物品110の第1のセクションを加熱するように動作している場合があり、後の時点に、第2のインダクタコイル126は、物品110の第2のセクションを加熱するように動作している場合がある。コイルを反対方向に巻くことにより、特定のタイプの制御回路と併せて用いられるときに不活性コイル内に生じる電流を低減するのに役立つ。図2において、第1のインダクタコイル124は右螺旋であり、第2のインダクタコイル126は左螺旋である。しかしながら、別の実施形態において、インダクタコイル124、126は同じ方向に巻くことができるか、又は第1のインダクタコイル124を左螺旋とすることができ、第2のインダクタコイル126を右螺旋とすることができる。
【0094】
この例のサセプタ132は中空であり、したがって、中にエアロゾル生成材料を受けるレセプタクルを画定する。例えば、物品110は、サセプタ132に挿入することができる。この例において、サセプタ120は、円形の断面を有して管状である。
【0095】
図2のデバイス100は、概ね管状とすることができ、サセプタ132を少なくとも部分的に包囲する絶縁部材128を更に備える。絶縁部材128は、例えばプラスチック等の任意の絶縁材料から構築することができる。この特定の例において、絶縁部材は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から構築される。絶縁部材128は、サセプタ132内に生成される熱からデバイス100の様々な構成要素を絶縁するのに役立つことができる。
【0096】
絶縁部材128は、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126を完全に又は部分的に支持することもできる。例えば、図2に示すように、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、絶縁部材128の周りに配置され、絶縁部材128の径方向に外側の表面と接触する。いくつかの例において、絶縁部材128は、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126と当接しない。例えば、絶縁部材128の外面と、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126の内面との間に小さな間隙が存在することができる。
【0097】
特定の例において、サセプタ132、絶縁部材128、並びに第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、サセプタ132の中央長手方向軸線の周りで同軸である。
【0098】
図3は、デバイス100の側面図を部分的断面で示す。この例では外側カバー102が存在する。第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126の矩形の断面形状がより明確に見える。
【0099】
デバイス100は、サセプタ132を定位置に保持するようにサセプタ132の一方の端部に係合する支持部136を更に備える。支持部136は、第2の端部部材116に接続される。
【0100】
デバイスは、制御要素112内に関連付けられた第2のプリント回路基板138も備えることができる。
【0101】
デバイス100は、デバイス100の遠位端に向かって配置された第2の蓋/キャップ140及びばね142を更に備える。ばね142は、第2の蓋140が開かれ、サセプタ132へのアクセスを提供することを可能にする。使用者は、第2の蓋140を開き、サセプタ132及び/又は支持部136を清掃することができる。
【0102】
デバイス100は、サセプタ132の近位端からデバイスの開口部104に向かって延びる拡張チャンバ144を更に備える。デバイス100内に受けられているとき、物品110に当接し、物品110を保持するための保持クリップ146が拡張チャンバ144内に少なくとも部分的に配置される。拡張チャンバ144は端部部材106に接続される。
【0103】
図4は、外側カバー102が省かれた図1のデバイス100の展開図である。
【0104】
図5Aは、図1のデバイス100の一部の断面図を示す。図5Bは、図5Aの領域の詳細図を示す。図5A及び図5Bは、サセプタ132内に受けられた物品110を示し、ここで、物品110は、物品110の外面がサセプタ132の内面に当接するような寸法にされる。これにより、加熱が最も効率的になることが確実にされる。この例の物品110はエアロゾル生成材料110aを含む。エアロゾル生成材料110aは、サセプタ132内に配置される。物品110は、フィルター、包装材料及び/又は冷却構造等の他の構成要素も備えることができる。
【0105】
図5Bは、サセプタ132の外面が、サセプタ132の長手方向軸線158に対し垂直な方向において測定された距離150だけインダクタコイル124、126の内面から離間されていることを示す。1つの特定の例において、距離150は、約3mm~4mm、約3mm~3.5mm、又は約3.25mmである。
【0106】
図5Bは、絶縁部材128の外面が、サセプタ132の長手方向軸線158に対し垂直な方向において測定された距離152だけインダクタコイル124、126の内面から離間されていることを更に示す。1つの特定の例において、距離152は約0.05mmである。別の例において、距離152は実質的に0mmであり、インダクタコイル124、126が絶縁部材128と当接し、接触するようになっている。
【0107】
1つの例において、サセプタ132は、約0.025mm~1mm、又は約0.05mmの壁厚154を有する。
【0108】
1つの例において、サセプタ132は、約40mm~60mm、約40mm~45mm、又は約44.5mmの長さを有する。
【0109】
1つの例において、絶縁部材128は、約0.25mm~2mm、0.25mm~1mm、又は約0.5mmの壁厚156を有する。
【0110】
図6は、プリント回路基板(PCB)122、サセプタ132、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126の斜視図を示す。この例において、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、円形の断面を有するワイヤから作製される。第1のインダクタコイル124の第1の端部130a及び第2の端部130bはPCB122に接続される。同様に、第2のインダクタコイル126の第1の端部130c及び第2の端部130dはPCB122に接続される。いくつかの例において、1つのインダクタコイルのみが存在する場合がある。
【0111】
第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126の周りに磁気シールド部材202が延びる。この磁気シールド部材202は、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126と接触し、これを取り囲むことで、デバイス100の他の構成要素及び/又は他の物体を、サセプタ並びに/又は第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126内に生成された電磁放射から遮蔽する。磁気シールド部材202は、磁気シールド部材202内に配置されたインダクタコイル124、125及びサセプタ132を明確に示すために、透明であるものとして示されている。この例において、磁気シールド部材202は、接着剤により適所に保持される。他の例では、デバイス100及び/又は磁気シールド部材202の他の特徴/構成要素が、磁気シールド部材202を適所に保持してもよい。
【0112】
サセプタ132は、物品110を受け、したがって、エアロゾル生成材料を受けるように構成されたレセプタクルを画定する。他の例(図示せず)において、サセプタ132は、デバイス100ではなく物品110の一部であるため、他の構成要素がレセプタクルを画定してもよい。レセプタクル/サセプタ132は、長手方向軸線158等の軸線158を画定し、この軸線の周りに磁気シールド部材202が巻き付けられる。
【0113】
磁気シールド部材202は、電磁放射に対するシールドとしての役割を果たす1つ又は複数の構成要素を含む。この例において、磁気シールド部材202は、シールドとしての役割を果たす、フェライト層等の磁気シールド層を含む。
【0114】
磁気シールド部材202は、1つ又は複数の更なる層を含むことができる。例えば、図7に説明されるように、磁気シールド部材202は、接着剤層及び/又はラミネート層を更に備えることができる。
【0115】
図7は、第1のインダクタコイル123及び第2のインダクタコイル126の周りに巻き付けられる前の例示的な磁気シールド部材202を通る断面の図式表現である。磁気シールド部材202はシート状である。
【0116】
この例において、磁気シールド部材202は、磁気シールド層206と、磁気シールド層206の第1の側に施された接着剤層204と、磁気シールド層206の第2の側に施されたラミネート層208とを含む少なくとも3つの層を備える。
【0117】
接着剤層204は、磁気シールド部材202を第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126に接着することができるように、磁気シールド部材202の内面に配置されている。追加の保護層(図示せず)が接着剤層204を覆うことができ、接着剤層204はその後除去され、磁気シールド部材202が第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126に付着される前に、接着剤層204を露出させる。磁気シールド部材202の内面は、磁気シールド部材202が第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126に接触しているとき、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126に最も近い表面である。磁気シールド部材202が第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126の周りに巻き付けられているとき、磁気シールド部材は、接着剤層204の一部がラミネート層208と接触するように、重なり領域において磁気シールド部材自体に重なり合うことができる。
【0118】
ラミネート層208は、磁気シールド部材202の外面に、又は外面に向かって配置されている。磁気シールド部材202の外面は、磁気シールド部材202が第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126に接触しているとき、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126から最も遠い表面である。いくつかの例において、更なる層(図示せず)が、磁気シールド部材202の外面を形成する。
【0119】
上述したように、磁気シールド層206におけるフェライト材料は、多くの加熱及び冷却サイクルにわたって崩壊する可能性がある。ラミネート層208は、磁気シールド層206における崩壊した材料が、デバイス100内部で緩み、動き回ることを止めるように作用する。ラミネート層208は、プラスチック材料を備えることができ、例えばプラスチックフィルムとすることができる。本例において、プラスチックはポリエチレンテレフタレート(PET)である。
【0120】
図7の例において、ラミネート層208は、磁気シールド層208に直接隣接する。例えば、ラミネート層208は、熱封止により磁気シールド層208に接着することができる。別の例において、第2の接着剤層(図示せず)は、ラミネート層208と磁気シールド層206との間に配置することができる。
【0121】
図8は、図6に示す構成体の上面図を示す。サセプタ132によって画定されるレセプタクル212は、内部にエアロゾル生成材料を受ける。矢印210は、レセプタクル/サセプタから外側を向いた径方向を示す。図7の磁気シールド部材202が第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126の周りに巻き付けられているとき、ラミネート層208は、径方向210において、接着剤層204よりも第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126から離れて配置されている。
【0122】
図6及び図8に示すように、第1のインダクタコイル124の第1の端部130a及び第2の端部130bは、磁気シールド部材202に形成されたノッチ/開口部/アパーチャを通過する。これらのノッチは、磁気シールド部材202が第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126とより密に適合することを可能にする。
【0123】
図9は、他の構成要素と分離した磁気シールド部材202を示す。シート状の磁気シールド部材202は、円筒形チューブになるように巻かれ、重なり領域224において重なり合う。接着剤層204の存在は、磁気シールド部材202が、重なり領域224において磁気シールド部材自体に接着され、それによって改善された遮蔽をもたらすことができることを意味する。他の例において、磁気シールド部材202は、完全に第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126の周りに延びない。
【0124】
磁気シールド部材202は4つのノッチ214、216、218、220を含む。他の例において、1つ又は複数のノッチが存在する場合がある。ノッチ214、216、218、220は、磁気シールド部材202のエッジにおいて形成され、各々が、インダクタコイル124、126を形成するワイヤのセクションを受ける。図6に示すように、ワイヤのセクションは、第1のインダクタコイル124の第1の端部130a及び第2の端部130b、並びに第2のインダクタコイル126の第1の端部130c及び第2の端部130dを含む。
【0125】
図10は、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126の周りに巻き付けられる前の図9の磁気シールド部材202の図式表現である。磁気シールド部材202は、概ね矩形のシートから形成される。シートは、磁気シールド部材202がインダクタコイル124、126の周りに巻き付けられているとき、レセプタクル/サセプタ132によって画定される軸線、並びに第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126によって画定される軸線に対し平行に位置合わせされた軸線222を画定する。
【0126】
シートは、シートの第1のエッジ224に形成された第1のノッチ214を備える。第1のノッチ214は、第1のインダクタコイル124を形成するワイヤのセクションを受け、ワイヤのセクションは第1の端部130aを含む。シートは、シートの第1のエッジ224に形成された第2のノッチ218も備える。第2のノッチ218は、第2のインダクタコイル126を形成するワイヤのセクションを受け、ワイヤのセクションは第1の端部130cを含む。シートは、シートの第2のエッジ226に形成された第3のノッチ216を更に備える。第3のノッチ216は、第1のインダクタコイル124を形成するワイヤの第2のセクションを受け、ワイヤの第2のセクションは第2の端部130bを含む。シートは、シートの第2のエッジ226に形成された第4のノッチ220も備える。第4のノッチ220は、第2のインダクタコイル126を形成するワイヤの第2のセクションを受け、ワイヤの第2セクションは第2の端部130bを含む。このため、インダクタコイルごとに、シートの反対側のエッジに形成された2つのノッチが存在する。
【0127】
ノッチ214、216、218、220は全て、シートによって画定された軸線222に沿った方向において互いからオフセットされている(したがって全て、磁気シールド部材202が適所にあるとき、サセプタ132によって画定される長手方向軸線158に沿った方向において互いからオフセットされている)。
【0128】
図11は、デバイス100において用いることができる別の例示的な磁気シールド部材302の図式表現である。磁気シールド部材302は、概ね矩形のシートから形成される。シートは、磁気シールド部材202がインダクタコイル124、126の周りに巻き付けられているとき、レセプタクル/サセプタ132によって画定される軸線、並びに第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126によって画定される軸線に対し平行に位置合わせされた軸線322を画定する。
【0129】
図10の例と異なり、磁気シールド部材302は、シートの1つのエッジに沿って形成されたノッチを備える。例えば、シートは、シートの第1のエッジ324に形成された第1のノッチ314を備える。第1のノッチ314は、第1のインダクタコイル124を形成するワイヤのセクションを受け、ワイヤのセクションは第1の端部130aを含む。シートは、シートの第1のエッジ324に形成された第2のノッチ318も備える。第2のノッチ318は、第2のインダクタコイル126を形成するワイヤのセクションを受け、ワイヤのセクションは第1の端部130cを含む。シートは、シートの第1のエッジ324に形成された第3のノッチ316を更に備える。第3のノッチ316は、第1のインダクタコイル124を形成するワイヤの第2のセクションを受け、ワイヤの第2のセクションは第2の端部130bを含む。シートは、シートの第1のエッジ324に形成された第4のノッチ320も備える。第4のノッチ320は、第2のインダクタコイル126を形成するワイヤの第2のセクションを受け、ワイヤの第2セクションは第2の端部130bを含む。このため、インダクタコイルごとに、シートの同じエッジに形成された2つのノッチが存在する。
【0130】
ノッチ314、316、318、320は全て、シートによって画定された軸線322に沿った方向において互いからオフセットされている(したがって全て、磁気シールド部材302が適所にあるとき、サセプタ132によって画定される長手方向軸線158に沿った方向において互いからオフセットされている)。
【0131】
図12は、デバイス100において用いることができる別の例示的な磁気シールド部材402の図式表現である。磁気シールド部材402は、概ね矩形のシートから形成される。シートは、磁気シールド部材202がインダクタコイル124、126の周りに巻き付けられているとき、レセプタクル/サセプタ132によって画定される軸線、並びに第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126によって画定される軸線に対し平行に位置合わせされた軸線422を画定する。
【0132】
図10及び図11の例と異なり、磁気シールド部材402は、シートに形成される開口部/アパーチャ/貫通孔を備える。このため、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126の端部は、PCB122に接続される前に、まず開口部を通されなくてはならない。
【0133】
シートは、第1のインダクタコイル124を形成するワイヤのセクションを受ける第1のアパーチャ414を備え、ワイヤのセクションは第1の端部130aを含む。シートは、第2のインダクタコイル126を形成するワイヤのセクションを受ける第2のアパーチャ418も備え、ワイヤのセクションは第1の端部130cを含む。シートは、第1のインダクタコイル124を形成するワイヤの第2のセクションを受ける第3のアパーチャ416を更に備え、ワイヤの第2のセクションは第2の端部130bを含む。シートは、第2のインダクタコイル126を形成するワイヤの第2のセクションを受ける第4のアパーチャ420を更に備え、ワイヤの第2セクションは第2の端部130bを含む。
【0134】
アパーチャ414、416、418、420は全て、シートによって画定された軸線422に沿った方向において互いからオフセットされている(したがって全て、磁気シールド部材302が適所にあるとき、サセプタ132によって画定される長手方向軸線158に沿った方向において互いからオフセットされている)。
【0135】
上記の実施形態は、本発明の説明のための例として理解される。本発明の更なる実施形態が想定される。任意の1つの実施形態に関連して説明された任意の特徴は、単独で、又は説明された他の特徴と組み合わせて使用されてもよく、また、任意の他の実施形態、又は任意の他の実施形態の任意の組合せの1つ又は複数の特徴と組み合わせて使用されてもよいことを理解されたい。更に、添付の特許請求の範囲に定められる本発明の範囲から逸脱することなく、上記で説明されていない均等物及び変更形態も用いられ得る。
図1
図2
図3
図4
図5A-5B】
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12