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特許7280378ハイブリッドドライブトレイン用のハイブリッドモジュール、巻き掛け変速機における変速機圧用の押圧調整方法、並びにハイブリッドモジュールを備える内燃機関用の始動方法及び点火方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】ハイブリッドドライブトレイン用のハイブリッドモジュール、巻き掛け変速機における変速機圧用の押圧調整方法、並びにハイブリッドモジュールを備える内燃機関用の始動方法及び点火方法
(51)【国際特許分類】
   B60K 6/40 20071001AFI20230516BHJP
   F16H 59/14 20060101ALI20230516BHJP
   F16H 61/662 20060101ALI20230516BHJP
   F16D 25/063 20060101ALI20230516BHJP
   F16D 48/06 20060101ALI20230516BHJP
   B60K 6/36 20071001ALI20230516BHJP
   B60W 10/02 20060101ALI20230516BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20230516BHJP
   B60W 20/40 20160101ALI20230516BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20230516BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20230516BHJP
   G01L 5/00 20060101ALI20230516BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20230516BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20230516BHJP
【FI】
B60K6/40 ZHV
F16H59/14
F16H61/662
F16D25/063 Z
F16D28/00 A
F16D48/06 102
B60K6/36
B60W10/02 900
B60W10/08 900
B60W20/40
B60W10/06 900
B60K6/48
G01L5/00 J
B60L15/20 K
B60L50/16
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021556675
(86)(22)【出願日】2020-02-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-26
(86)【国際出願番号】 DE2020100074
(87)【国際公開番号】W WO2020187350
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-09-17
(31)【優先権主張番号】102019107252.2
(32)【優先日】2019-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019109863.7
(32)【優先日】2019-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン ケプフラー
【審査官】上野 力
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-199183(JP,A)
【文献】特開2017-140939(JP,A)
【文献】特開2011-213265(JP,A)
【文献】特表2013-527069(JP,A)
【文献】特開2001-241470(JP,A)
【文献】特開2006-123642(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/40
F16H 59/14
F16H 61/662
F16D 25/063
F16D 48/06
B60K 6/36
B60W 10/02
B60W 10/08
B60W 20/40
B60W 10/06
B60K 6/48
G01L 5/00
B60L 15/20
B60L 50/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イブリッドモジュール(1)を備える内燃機関(5)用の始動方法であって、
ハイブリッドドライブトレイン(2)用のハイブリッドモジュール(1)が、少なくとも:
前記ハイブリッドモジュール(1)を内燃機関(5)のエンジンシャフト(4)と接続するためのエンジン連結部(3)と、
前記ハイブリッドモジュール(1)を変速機(7)に接続するための変速機連結部(6)と、
回転軸線(9)を有する摩擦クラッチ(8)であって、前記エンジン連結部(3)は、前記摩擦クラッチ(8)を用いて前記変速機連結部(6)と分離可能にトルクを伝達するように接続されている、摩擦クラッチ(8)と、
ステータ(11)と、ロータキャリア(12)を用いて前記変速機連結部(6)に接続されたロータ(13)と、を備える電気駆動機械(10)と、
トルクセンサ(14)であって、前記摩擦クラッチ(8)における押圧力(15)は、前記トルクセンサ(14)により検知可能なトルク(16)に基づいて制御可能である、トルクセンサ(14)と、を有し、
前記トルクセンサ(14)は、前記変速機連結部(6)に加わるトルク(16)を検知するように構成されており、
前記ハイブリッドモジュール(1)は、変速機(7)と接続されており、前記エンジン連結部(3)は、内燃機関(5)のエンジンシャフト(4)と接続されており、
前記始動方法は、電気のみでの走行中に実行され、少なくとも:
a.変速機連結部(6)が回転している場合、前記摩擦クラッチ(8)を押圧して、スリップして摩擦接続的に摩擦トルク(32)を前記エンジン連結部(3)に伝達することと、
b.前記変速機連結部(6)に加わるトルク(16)を、前記ハイブリッドモジュール(1)の前記トルクセンサ(14)を用いて検知し、前記検知されたトルク(16)を設定トルク(34)と比較することによりトルク差(33)を算出することと、
c.トルク差(33)が算出された場合、前記変速機連結部(6)に加わる前記検知されたトルク(16)が前記設定トルク(34)の大きさに維持されるように、前記電気駆動機械(10)によって出力される電気トルク(35)を適切に変化させることと、を含む、始動方法。
【請求項2】
d.前記電気駆動機械(10)のトルクリザーブ(36)を検知することと、
e.トルクリザーブ(36)が所定のリザーブ閾値(37)を下回るとすぐに、前記摩擦クラッチ(8)の押付が増加していることによる伝達可能な摩擦トルク(32)の増加を遅延又は中断することと、
をさらに含む、請求項に記載の始動方法。
【請求項3】
前記トルクセンサ(14)を用いて、逆磁歪効果により変速機連結部側材料伸長が検知可能である、請求項1又は2に記載の始動方法
【請求項4】
前記トルクセンサ(14)は、回転が固定された測定電子機器(17)と、前記変速機連結部(6)と回転可能に固定され、かつ動作中に磁化される磁化領域(18)と、を有し、前記磁化領域(18)は、
記変速機連結部(6)の軸線方向に延びる円筒形のシャフト区分(19)、及び/又は
前記電気駆動機械(10)の前記ロータキャリア(12)の上に配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の始動方法
【請求項5】
前記摩擦クラッチ(8)は、前記電気駆動機械(10)の前記ロータ(13)の径方向内部に配置されており、前記摩擦クラッチ(8)は、前記ロータ(13)と軸線方向で完全に重ねて配置されている、請求項1~のいずれか一項に記載の始動方法
【請求項6】
前記電気駆動機械(10)によって、前記摩擦クラッチ(8)を用いて、かつ前記エンジン連結部(3)を用いて、連結された内燃機関(5)を始動するための始動トルク(20)が、提供可能である、請求項1~のいずれか一項に記載の始動方法
【請求項7】
イブリッドモジュール(1)を備える内燃機関(5)用の点火方法であって、
前記ハイブリッドモジュール(1)が、少なくとも:
前記ハイブリッドモジュール(1)を内燃機関(5)のエンジンシャフト(4)と接続するためのエンジン連結部(3)と、
前記ハイブリッドモジュール(1)を変速機(7)に接続するための変速機連結部(6)と、
回転軸線(9)を有する摩擦クラッチ(8)であって、前記エンジン連結部(3)は、前記摩擦クラッチ(8)を用いて前記変速機連結部(6)と分離可能にトルクを伝達するように接続されている、摩擦クラッチ(8)と、
ステータ(11)と、ロータキャリア(12)を用いて前記変速機連結部(6)に接続されたロータ(13)と、を備える電気駆動機械(10)と、
トルクセンサ(14)であって、前記摩擦クラッチ(8)における押圧力(15)は、前記トルクセンサ(14)により検知可能なトルク(16)に基づいて制御可能である、トルクセンサ(14)と、を有し、
前記トルクセンサ(14)は、前記変速機連結部(6)に加わるトルク(16)を検知するように構成されており、
前記ハイブリッドモジュール(1)が変速機(7)に接続されており、前記エンジン連結部(3)は、内燃機関(5)のエンジンシャフト(4)と接続されており、
前記点火方法は、電気のみでの走行中に実行され、少なくとも:
i.前記エンジンシャフト(4)のエンジン回転数(39)を検知することと、
ii.前記エンジンシャフト(4)の前記検知されたエンジン回転数(39)が所定の設定回転数(41)に到達するとすぐに、前記摩擦クラッチ(8)を切ったままにして、前記内燃機関(5)を点火し、前記エンジンシャフト(4)の前記エンジン回転数(39)を前記設定回転数(41)に同調させることと、
iii.前記摩擦クラッチ(8)を押圧して、スリップして摩擦接続的に摩擦トルク(32)を前記エンジン連結部(3)と前記変速機連結部(6)との間に伝達することと、
iv.前記摩擦クラッチ(8)をつなぐことと、
.前記変速機連結部(6)に加わるトルク(16)を、前記トルクセンサ(14)を用いて検知し、前記検知されたトルク(16)を設定トルク(34)と比較することによりトルク差(33)を算出することと、
vi.工程v.が行われているとき、トルク差(33)が算出された場合、前記変速機連結部(6)に加わる前記検知されたトルク(16)が前記設定トルク(34)の大きさに維持されるように、前記電気駆動機械(10)によって出力される電気トルク(35)を適切に変化させることと、を含む、点火方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッドドライブトレイン用のハイブリッドモジュールと、車両用のそのようなハイブリッドモジュールを備えるハイブリッドドライブトレインと、巻き掛け変速機における変速機圧用の押圧調整方法と、ハイブリッドモジュールを備える内燃機関用の始動方法と、ハイブリッドモジュールを備える内燃機関用の点火方法と、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術から、設置スペース要求が少ないドライブトレインをハイブリッド化するために使用されるハイブリッドモジュールが公知である。そのために、ハイブリッドモジュールは、(例えば、従来の)内燃機関と(例えば、従来の)ギヤトレインとの間に挿入され、ハイブリッドモジュールは、電気駆動機械及び分離クラッチを含み、その分離クラッチを介して、内燃機関は、ギヤトレインに能動的に接続可能である。そのようなハイブリッド化ドライブトレインでは、電気走行から脱して内燃機関を再始動することは、快適性の観点から要求度が高い。このいわゆるトウスタートは、通常、直列に連結された1つ以上の多板クラッチを介して行われる。内燃機関の始動が運転者にとって可能な限り気づかれないように行われるべきならば、輸送機器の車輪での加速度変化(急加速)又はトルク低下が起きてはならない。したがって、内燃機関の始動は、車輪トルク中立的に実施されるべきである。
【0003】
通常、内燃機関に必要なトウスタートトルクは、変速機と内燃機関との間の、多くの場合K0と称する分離クラッチを介して、車輪側から供給される。したがって、内燃機関のトウスタートのために、車両の慣性が利用される。その場合、所望の車輪トルク中立性のために、利用可能な電気駆動機械は、必然的に生じるトルク低下を補償する必要があり、そのトルク低下は、内燃機関の始動が原因で、その内燃機関の慣性によって生じる(内燃機関は、トルクシンク、すなわち、消費部である)。
【0004】
内燃機関の快適な始動のために、すなわち、電気駆動機械の補償トルクを要求に応じて提供するために、ドライブトレイン調整用の分離クラッチ(K0)のクラッチ特性曲線は、非常に正確に既知である必要がある。このクラッチ特性曲線を、広い温度範囲及び変化する動作条件、耐用年数、摩耗及び特に個々の運転挙動に起因するさらなる影響に関して制御(例えば、表形式、かつ/又は関数を用いる)に保存することは非常に困難である。
【0005】
1つの可能性は、デュアルクラッチ変速機を使用することである。その場合、これらの誤差を部分的に考慮に入れることができるのは、デュアルクラッチ変速機では、利用可能な2つのさらなるクラッチ(対応して多くの場合K1又はK2と称する)のうちの1つを、始動プロセス中に滑らせ、それにより過剰トルクを始動プロセス時に、伝達しないギヤとの摩擦接続的接続を用いて消散させるという可能性があるからである。これをトルクの平滑化と称する。しかし、このプロセスは、効率の観点からは不利であり、所望の快適性を部分的にしか達成しない。
【0006】
CVT変速機(英語:continuous variable transmission(無段変速機))では、特に、例えば、独国特許第10 2016 222 936(A1)号などに開示されているP2 DH-CVTの構成(図7を参照されたい)では、そのような第2のスリップ切替要素が存在しない。また、独国特許第10 2011 015 268(A1)号も参照されたい。
【0007】
トルクセンサは、例えば、独国特許出願公開公報の独国特許第10 2017 112 399(A1)号及び同10 2017 103 814(A1)号に開示され、また、その後公開された独国特許出願の独国特許第10 2018 107 570(A1)号にも開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらに基づいて、本発明は、従来技術から公知の欠点を少なくとも部分的に克服することを課題とする。本発明による特徴は、独立請求項から明らかとなり、これに加えて、有利な形態は、従属請求項に示される。請求項の特徴は、技術的に有意義なあらゆる手法で組み合わせることができ、これに加えて、以下の記載に由来する説明及び図面に由来する特徴もまた追加することができ、これらは本発明の追加の形態を含む。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ハイブリッドドライブトレイン用のハイブリッドモジュールであって、少なくとも:
ハイブリッドモジュールを内燃機関のエンジンシャフトと接続するためのエンジン連結部と、
ハイブリッドモジュールを変速機に接続するための変速機連結部と、
回転軸線を有する摩擦クラッチであって、エンジン連結部は、摩擦クラッチを用いて変速機連結部と分離可能にトルクを伝達するように接続されている、摩擦クラッチと、
ステータと、ロータキャリアを用いて変速機連結部に接続されたロータと、を備える電気駆動機械と、
トルクセンサであって、摩擦クラッチにおける押圧力は、トルクセンサにより検知可能なトルクに基づいて制御可能である、トルクセンサと、を有する、ハイブリッドモジュールに関する。
【0010】
ハイブリッドモジュールは、特に、変速機連結部に加わるトルクを検知するようにトルクセンサが構成されていることを特徴とする。
【0011】
以下では、明示的に別段の指示なしに軸線方向、径方向、又は周方向、及び対応する用語が使用される場合、例示された(摩擦クラッチの)回転軸線について言及する。上記及び下記の記載で使用される序数は、明示的に逆ではないことが指示されない限り、一義的な識別可能性のみに用いられ、指定した構成要素の順番又は順位を反映しない。1よりも大きい序数は、同様のさらなる構成要素が必然的に存在する必要があることを要しない。
【0012】
本明細書で提案されたハイブリッドモジュールは、電気駆動機械を含み、電気駆動機械は、車両を推進するため、又はハイブリッドドライブトレインにおいて消費部(トルクシンク)の利用のための他の用途において、十分なトルク及び対応する回転数を提供することができる。トルクは、例えば、電気駆動機械が単独で、又はさらなる駆動機械(例えば、さらなる電気機械)と組み合わせて、消費部に対して、例えば、車両において少なくとも1つの駆動輪に対して、十分なトルクを提供することができる場合に、十分である。したがって、例えば、ハイブリッドモジュールには、電気駆動機械が単独の電気駆動として、内燃機関の代替物として、又は純粋なトルクブースターとして、第2の(大型の)電気機械とパラレルで構成されている。トルクブースターとして、ハイブリッドモジュールの電気機械は、内燃機関のトルク出力又は(単一の)第2の(大型の)電気機械のトルク出力もまた補助する。
【0013】
ハイブリッドドライブトレインにおけるハイブリッドモジュールの使用では、エンジン連結部を介して内燃機関がトルクを伝達するように連結されている。エンジン連結部は、例えば、(例えば、当接側に接続された)シャフトフランジ接続部用のシャフトフランジとして又はプラグイン噛部の受容部として形成されている。内燃機関又はエンジンシャフトは、対応する連結要素を形成する。電気のみでの運転、例えば、車両の電気のみの走行では、内燃機関は、ギヤトレインから分離され、そのため停止可能であり、その結果、内燃機関は、(燃料)消費しない。
【0014】
それに対して、ハイブリッドモジュールの変速機連結部は、ハイブリッドドライブトレインにおいて使用する場合、トルクを伝達するように変速機に接続している、例えば、ギアボックスに接続しているため、例えば、変速機入力シャフトは、変速機連結部と接続されている。変速機接続部は、例えば、(例えば、当接側に接続された)シャフトフランジ接続部用のシャフトフランジとして又はプラグイン噛部の受容部として形成されている。変速機又は変速機入力シャフトは、対応する連結要素を形成する。
【0015】
さらに、摩擦クラッチが設けられており、摩擦クラッチを介して、エンジン連結部は、能動的に分離可能にトルクを伝達するように変速機連結部と接続されている、すなわち、動作中には変速機と接続されている。したがって、摩擦クラッチは、摩擦クラッチが切られている場合、エンジン連結部と変速機連結部との間のトルク伝達を停止する。切った状態では、一実施形態において、トウスタートトルクが依然として伝達され、トウスタートトルクは、車両において正しい設計では、車両を動かすには十分ではない。それに対して摩擦クラッチの押付状態では、トルクは、その設計により最大伝達可能な摩擦トルクに応じて、エンジン連結部から変速機連結部に、かつその逆に伝達可能である。電気駆動機械は、エンジン連結部から見ると摩擦クラッチの変速機連結部(多くの場合、主トルクフロー方向)へと下流側に連結されているため、(任意選択的な)一実施形態においてさらなる摩擦クラッチなしに、電気駆動機械は、変速機連結部と永続的に、したがって、分離不可能に接続され、エンジン連結部と分離可能にトルクを伝達するように接続されている。電気駆動機械のロータは、電気駆動機械のトルクが加えられない動作状態では、変速機連結部と永続的に共回転する。
【0016】
さらに、トルクセンサが設けられており、トルクセンサを用いてトルクが検知可能であり、摩擦クラッチの押圧力は、検知されたトルクに基づいて制御可能である。したがって、エンジン連結部から変速機連結部に、かつその逆に伝達可能なトルクは、結果として生じるスリップを調整することによって制御可能である。スリップは、中間位置では摩擦クラッチの切られた(分離された)状態と押付けられた状態との間の中間位置で生じ、このとき最大で、摩擦クラッチの設計による最大伝達可能な摩擦トルクよりも小さいトルクが伝達可能である。
【0017】
本明細書ではここで、トルクセンサが変速機連結部においてトルクを検知すること、及びそれにより、内燃機関又はエンジン連結部ではトルクを直接検知しないことを提案する。また、内燃機関のエンジン制御の値から計算されたトルクを信用する必要はなく、その値は、精度が不十分であり、場合によって、これらのデータが摩擦クラッチの押圧力を制御するための調整パラメータとして利用可能であるにはあまりにも大幅に遅延した状態で提供される。一実施形態において、変速機又は変速機入力シャフトの対応する連結要素におけるトルクが検知され、これは、無視できる偏差を伴って変速機連結部におけるトルクに相当するため、本明細書では同様に、変速機連結部におけるトルクの検知又は変速機連結部側のトルクと称する。好ましくは、測定点は、ハイブリッドモジュールの、例えば、ハイブリッドモジュール用のハウジング又はハウジング部品の軸線方向領域であり、特に好ましくは、電気駆動機械のステータと軸線方向に重なっている。あるいは、好ましくは、ユニットとして形成されたハイブリッドモジュールの構成要素として、変速機連結部のハイブリッドモジュール側の部品において直接検知されるトルクが、トルクセンサによって検知される。
【0018】
したがって、トルクセンサは、この場合、摩擦クラッチの(上述の定義による)主トルクフロー方向に沿って下流側に連結されており、それにより電気のみでの運転において、ロータから変速機連結部に転送されるトルクを検知する。ここで内燃機関がトウスタートされるか、又は別の方法でトルクが内燃機関からハイブリッドモジュールを介して出力される若しくは消費される場合、例えば、エンジンブレーキでは、変速機連結部におけるトルクへの影響は、トルクセンサによって検知可能である。それにより、検知されたトルクは、車両において車輪トルクの入力パラメータであり、それにより駆動部の側から、第1の選択肢は、車輪トルク中立性を調整することである。したがって、加えられる検知されたトルクの変速機連結部における変化とは、(理解するための仮説的想定:)例えば、電気駆動機械の一定のトルク出力の場合、内燃機関によってトルクが受容される又は出力されることを意味する。
【0019】
この時点では、変速機連結部又はトルクセンサ用の測定点が、ハイブリッドモジュール自体の構成要素であり得るだけではなく、変速機連結部を介して連結された変速機の対応する構成要素、例えば、ギアボックスの変速機入力シャフトの対応する構成要素であり得ることを指摘しておく。さらに、しかも好ましくは、ハイブリッドモジュールは、組立済みユニットとして提供可能である。あるいは、本明細書に記載のハイブリッドモジュールが使用場所での組立後にようやく生じるのは、例えば、トルクセンサ又はトルクセンサの少なくとも1つの部品、連結された変速機の構造部品又はハイブリッドドライブトレインのさらなる別個の構成要素で構成されているからである。
【0020】
本明細書で提案された(好ましくは対応して変速機連結部側に配置された)トルクセンサを用いて、それにより電気駆動機械の出力可能なトルクの制御が可能であり、それに加えて、測定距離が短く、機械的遅延効果、例えば、検知されたトルクをロータに加わるトルクに対して混入させる減衰効果は、ごくわずかから無視できるものである。それにより、迅速で簡単な、かつ非常に正確な制御信号検知が可能である。
【0021】
一実施形態における以下の用途のうちの少なくとも1つのために、トルクセンサを使用することを提案する。
(巻き掛け変速機の入力側コーンプーリセットの)プーリセット-1-トルクを測定する、
検知されたトルクを用いて、内燃機関における電気駆動機械の補償トルクを制御する、
内燃機械の再始動時に、
信号を使用して、巻き掛け変速機のコーンプーリセットを要求に応じて(トルク比例的に)押圧する、
測定点の構造的統合
a)シャフト区分の測定、すなわち、測定領域の軸線方向の伸長、
b)ディスク形状部品の測定、すなわち、測定領域の径方向の伸長、
測定電子機器のアーキテクチャの簡略化の観点から適切な費用有意性を有するセンサクラスタを形成する可能性が生じる。
【0022】
好ましくは、ハイブリッドモジュールは、内燃機関を備えたハイブリッド化ドライブトレイン用に構成されており、そのハイブリッド化ドライブトレインでは、追加の始動装置が不要であるため、例えば、スプロケットスタータ及び/又はベルト始動装置などもまた設けられていない。より正確に言えば、好ましくは、内燃機関は、ハイブリッドモジュールの電気駆動機械のみを用いて始動可能である。一実施形態では、内燃機関は、ハイブリッドモジュールの電気駆動機械によって始動可能であるが、例えば、ハイブリッドドライブトレインの慣性、例えば、進行している車両の慣性の補助のみで、(電気のみでの)走行開始後、すなわち、変速機の作動後に初めて、かつ/又は内燃機関の(例えば、外部)暖機後に初めて始動可能である。
【0023】
さらに、ハイブリッドモジュールの有利な実施形態では、トルクセンサを用いて、逆磁歪効果により変速機連結部側材料伸長が検知可能であることが提案される。
【0024】
本明細書では、トルクセンサが逆磁歪(磁気弾性とも称する)効果に作用することが提案されている。したがってこの場合では、変速機連結部における内在的又は不可避の材料伸長は、加えられるトルクが直接推測できる。
【0025】
そのために、変速機連結部は、強磁性材料から作製されている、かつ/又は変速機連結部では少なくとも1つの(場合により別の種類の)強磁性体トラックが形成されている、好ましくは、測定精度を向上させるために複数の強磁性体トラックが形成されている。誘導性の、したがって非接触の測定領域の結果として、検知領域における磁気配向の変化が検出可能であり、逆磁歪効果に基づいて、磁場のこの変化は、既知の様式で材料伸長に依存する。この原理は、例えば、独国特許第10 2017 103 814(A1)号から公知である。
【0026】
あるいは、トルクセンサは、少なくとも1つのひずみゲージに基づいて、または光学的に検知するように構成されている。好ましくは、トルク測定は、非接触で実行可能であり、測定領域は、回転するように形成され、測定センサは、固定して形成されている。
【0027】
さらに、ハイブリッドモジュールの有利な実施形態では、トルクセンサが、回転が固定された測定電子機器と、変速機連結部と回転可能に固定され、かつ少なくとも動作中に磁化される領域と、を有し、磁化領域は、
シャフト区分、好ましくは変速機連結部のシャフト区分、及び/又は
電気駆動機械のロータキャリアの上に配置されていることが提案される。
【0028】
この実施形態の場合、磁化された領域、すなわち、永続的に磁化された領域、動作中に磁化された領域、又は測定プロセスにおいてのみ誘導磁化された領域は、シャフト区分上に配置されているため、円筒形の側方面が測定領域として生じるか、又は単独で若しくは追加してロータキャリア上に配置されているため、ディスク(リング)形状の測定領域が生じる。
【0029】
シャフト区分での測定の利点とは、設計に基づいて変速機にかなり近接していること、及び径方向に必要な設置空間がわずかであることであり、なぜなら、変速機連結部は、ハイブリッドモジュール内で多くの場合では、直径が最も小さいからである。ロータキャリア上に設置することの利点とは、ロータにかなり近接していること、並びにそれにより、例えば、接合部における、例えば、ねじれ及び減衰効果などの機械的影響による電気トルクの検知の混入が少ないことである。
【0030】
好ましくは、トルクセンサによって検知された領域、例えば、逆磁歪測定配置のために磁化された領域は、ユニットとして形成されたハイブリッドモジュールの内部に配置されており、それにより変速機連結部自体に設けられている。
【0031】
好ましい実施形態では、プーリセット1(巻き掛け変速機の入力側コーンプーリセット)又はロータキャリアの領域での測定のために以下の特徴のうちの少なくとも1つが設計上使用される。
磁化された2つの材料領域の配置:
a)シャフト区分の測定、軸線方向測定(図2を参照されたい)、
b)ロータキャリアディスクの測定、径方向測定(図3を参照されたい)、
牽引機械(電気駆動機械)のレゾルバとの測定コイル及びステータ電子機器の連結、
コネクタ、配線、組立工程などの縮減により費用面で有利な、変速機におけるセンサクラスタがある、
場合により、トルクセンサは、上述の点の結果として、電気駆動機械の電気トルクを測定するためのパワーエレクトロニクスにおいて煩雑な電流測定に対する代替物として役立つか、又は、電流測定は、より簡便かつ費用対効果が高く構成可能である。
【0032】
さらに、ハイブリッドモジュールの有利な実施形態では、摩擦クラッチが、電気駆動機械のロータの径方向内部に配置されていることが提案され、好ましくは、摩擦クラッチは、ロータと軸線方向で、特に好ましくは完全に重ねて配置されている。
【0033】
この実施形態の場合、ハイブリッドモジュールは、特に小型に組み立てられ、摩擦クラッチは、電気機械のロータの径方向内部にあるため、電気駆動機械によって高いトルクが生成可能であると同時に、ハイブリッドモジュールの径方向伸長が少ないことが達成される。それに加えて、特に好ましい実施形態では、摩擦クラッチは、ロータと軸線方向に重なっているため、軸線方向設置空間もまた少なく、摩擦クラッチが軸線方向にロータにより突出しない場合、すなわち、ロータと完全に重なって配置されている場合に特に少ない。
【0034】
さらに、ハイブリッドモジュールの有利な実施形態では、電気駆動機械によって、摩擦クラッチを用いて、かつエンジン連結部を用いて、連結された内燃機関を始動するための始動トルクが提供可能であることが提案される。
【0035】
この実施形態の場合、ハイブリッドモジュールは、内燃機関を始動するように構成されている。したがって、好ましい実施形態では、追加の(例えば、従来の)スプロケットスタータを設ける必要がない。より正確に言えば、電気駆動機械は、設計により許容された動作状態において、そのようなトルクリザーブが存在するように、又は、電気トルクは、内燃機関を電気トルクを用いて始動することができるほど大きいように設計されている。
【0036】
一実施形態では、消費部の慣性、例えば、車両の駆動輪の慣性が活用されて、内燃機関又は内燃機関のエンジンシャフト、例えば、クランクシャフトが即座にトウスタート可能である。したがって、電気駆動機械は、少なくとも設計による動作状態において、内燃機関の慣性から結果生じるトルク低下のみが確実に補償されるように設計されている。
【0037】
一実施形態では、電気機械は、内燃機関のコールドスタートを実施するように構成されている。好ましい実施形態では、電気駆動機械は、ドライブトレインにおける所望のトルクのみのために設計されており、内燃機関のコールドスタートは、必ずしも可能である必要はない。特殊な場合に対して、例えば、寒冷な冬季にはスプロケットスタータが追加して設けられているか、又はそのような状態において単に電気のみでの運転、車両の場合は電気のみでの走行が可能であり、したがって、内燃機関は、加速された輸送機器及びその慣性を介してのみトウスタート可能であるかのいずれかである。
【0038】
さらなる態様によれば、車両用のハイブリッドドライブトレインであって、少なくとも:
上述した説明による実施形態に記載のハイブリッドモジュールと、
少なくとも1つの消費部とハイブリッドモジュールとの間の変速機と、を有し、
変速機は、可変のトルク伝達変速ギアユニットを含む、ハイブリッドドライブトレインが提案される。
【0039】
本明細書で提案されたハイブリッドドライブトレインは、上述の説明による実施形態に記載のハイブリッドモジュールを含み、ハイブリッドモジュールは、変速機連結部を介して変速機と接続されているため、ハイブリッドモジュールから、トルクは、電気駆動機械のトルクであろうと、又は連結された内燃機関のトルクであろうと、変速機を用いて消費部に伝達可能である。ハイブリッドモジュールは、好ましい実施形態では、組立済みユニットを形成する。
【0040】
変速機は、変速ギアユニットを含むため、必要な回転数又は所望のトルクは、自動的に又は手動で調整可能である。好ましい実施形態では、変速ギアユニットは、例えば、牽引手段又はプッシュベルトを有する、連続可変変速の巻き掛け変速機(CVT)である。
【0041】
さらなる態様によれば、少なくとも1つの輸送機器駆動輪を有するハイブリッド輸送機器が提案され、輸送機器駆動輪は、上述の説明による実施形態に記載のハイブリッドドライブトレインを用いて駆動可能である。
【0042】
軸線方向設置空間及び/又は径方向設置空間は、ハイブリッド輸送機器の場合にはまさに、多数の駆動構成要素に起因して特に少ないため、好ましくは巻き掛け変速機を備える、より小型の組立サイズのハイブリッドドライブトレインを使用することが特に有利である。
【0043】
これらの問題点は、欧州の分類による小型車種である乗用車の場合に増大する。小型車種の乗用車で使用するユニットは、より大型の車種の乗用車に対して本質的に小型化されていない。それにもかかわらず、使用できる設置空間は、小型車でははるかに少ない。上述したハイブリッドドライブトレインを備える本明細書で提案されたハイブリッド輸送機器では、ハイブリッドモジュールの変速機連結部における効率的かつ正確なトルク検知の結果として、ハイブリッドドライブトレインにおける機械及び変速機の正確な制御が達成され、これにより、電気のみでの走行での内燃機関の始動時により高い快適性が達成され、同じ又はさらに縮減された設置空間において改善された効率が達成される。
【0044】
乗用車は、例えば、サイズ、価格、重量、及び性能に応じた車種に分類され、この定義は、市場の要求に応じた絶え間ない変化を免れない。アメリカ市場では、欧州の分類による小型車及びスモールカーの車種の自動車は、サブコンパクトカーの車種に分類され、イギリス市場では、スーパーミニの車種又はシティカーの車種に分類される。スモールカー車種の例は、フォルクスワーゲンup!又はルノーTwingoである。小型車種の例は、アルファロメオMiTo、フォルクスワーゲンPolo、フォードKa+、又はルノーClioである。小型車種での既知の完全ハイブリッド車は、BMW i3、アウディA3 e-tron、又はトヨタYaris Hybridである。
【0045】
さらなる態様によれば、巻き掛け変速機における変速機圧用、詳しく言えば、上述の記載による実施形態に記載のハイブリッドトレイン用の押圧調整方法が提案され、変速ギアユニットは、変速機圧が調整された巻き掛け変速機であり、
2つのコーンプーリセットと、
2つのコーンプーリセットの間にトルクを伝達するように配置された巻き掛け手段と、を有し、
コーンプーリセットのうちの少なくとも1つでは、プーリ間隔及び巻き掛け手段に対する変速機圧は、押圧調整方法を用いて能動的に制御可能に可変であり、
調整方法は、少なくとも:
A.変速機連結部に加わるトルクを、ハイブリッドモジュールのトルクセンサを用いて検知することと、
B.検知されたトルクに対して適切な変速機圧を算出して加えることと、を含む。
【0046】
変速機圧は、コーンプーリを変速機圧によって軸線方向に互いに近づくように押して、巻き掛け手段をコーンプーリの間に挟み込むことにより、コーンプーリセットのコーンプーリから巻き掛け手段へのトルクの伝達を可能にする。変速機圧が低すぎる場合、巻き掛け手段は、滑り抜ける可能性があり、それにより伝達可能なトルクが制限され、摩耗が増加する。それとは反対に変速機圧が高すぎる場合、コーンプーリと巻き掛け手段との間の摩擦が増加するためだけではなく、圧力源、例えば、ポンプの対応する圧力を保持する必要があるため、効率が低下する。これまでは、この変速機圧は、エンジン制御の値に基づいて調整され、誤差に起因して、いかなる状態でも過剰圧リザーブを確保することができる。
【0047】
本明細書ではここで、巻き掛け変速機の変速機圧用の押圧調整方法が提案され、巻き掛け変速機は、上述の説明による実施形態に記載のハイブリッドドライブトレインにおいて使用可能である。変速機連結部において検知されたトルクは、必要な変速機圧を調整するための制御パラメータとして使用され、その変速機圧は、伝達されることとなるトルクに比例する。したがって、変速機圧は、非常に正確に調整可能である。したがって、これまで必須の過剰圧リザーブは、大幅に低減可能である。したがって、巻き掛け変速機、すなわち、負荷がより少ないコーンプーリ及び圧力チャンバ構成要素及び対抗物は、それぞれ必要なトルクに応じて調整されるように設計可能である。さらに、動作中にエネルギーが節約可能であり、エネルギーは、そうしなければ、トルクの不正確な検知に起因して、予防的に確保するために維持することとなる過剰圧リザーブのために保持する必要があった。
【0048】
トルクセンサを用いる非常に高い解像度及び走査速度におけるプーリセット-1-トルク(入力側コーンプーリセット)のリアルタイム可用性により、油圧押圧の調整は、より少ない圧力保持(過剰圧リザーブ)で行うことができ、それにより変速機の全効率が向上するのは、油圧損失だけではなく、巻き掛け変速機における機械的な過剰押圧損失もまた低減されるからである。その場合、センサ信号がECU(英語:Engine Control Unit(エンジン制御ユニット))において多様なパラメータ(例えば、スロットル位置、噴射量、温度)から計算されたエンジントルク信号(MMI)よりも正確なトルク値を提供することもまた原因の1つである。
【0049】
さらなる態様によれば、上述の説明による実施形態に記載のハイブリッドモジュールを備える内燃機関用に始動方法が提案され、ハイブリッドモジュールは、及び変速機と接続されているか、又は上述の説明による実施形態に記載のハイブリッドドライブトレインと接続されており、エンジン連結部は、内燃機関のエンジンシャフトと接続されており、始動方法は、電気のみでの走行中に実行され、少なくとも:
a.変速機連結部が回転している場合、摩擦クラッチを押圧して、スリップして摩擦接続的に摩擦トルクをエンジン連結部に伝達することと、
b.変速機連結部に加わるトルクを、ハイブリッドモジュールのトルクセンサを用いて検知し、検知されたトルクを設定トルクと比較することによりトルク差を算出することと、
c.トルク差が算出された場合、変速機連結部に加わる検知されたトルクが設定トルクの大きさに維持されるように、電気駆動機械によって出力される電気トルクを適切に変化させることと、を含む。
【0050】
この態様によれば、上述の説明によるハイブリッドモジュール又はハイブリッドドライブトレイン用の始動方法が提案される。この場合、ハイブリッドモジュールの摩擦クラッチ又は摩擦クラッチに加えられる押圧力及び押圧力から生じるスリップして伝達可能な摩擦トルクを介して、均一な変速機トルク、すなわち、出力トルクが調整可能である。したがって、車両では、(電気のみでの)走行は、内燃機関が同時に始動されるときに、急加速がほぼないように可能である。
【0051】
その場合、ハイブリッドモジュールの電気駆動機械の応答挙動は、十分に迅速であり、トルクの検知可能性は、本明細書で提案されたように(好ましくは、変速機連結部側に)配置されたトルクセンサを用いて十分に迅速かつ正確である。
【0052】
工程a.では、最初に摩擦クラッチにおける押圧力が高められる、好ましくは、押圧力によりエンジン連結部における摩擦トルクの最適な上昇が達成されるという仮定のもとに、特性曲線に従って高められる。それにより、エンジン連結部における摩擦トルクの最適な上昇は、内燃機関を始動するために既に適合されている。摩擦トルクの上昇、ただし少なくとも押圧力の上昇が、その場合、測定値に対して線形に又は比例して推移する必要がないことを指摘しておく。より正確に言えば、その上昇は、例えば、経験値に基づいて、例えば、ルックアップテーブル及び/又は他の既知のルールベースの方法に基づいて、例えば、保存された数学的関数を用いて調整されている。電気駆動機械は、この場合にはすでに対応して動き始め、適切に変化して(すなわち、この場合には増加して)補償する(電気)トルクを出力する。
【0053】
工程b.では、偏差、すなわち、最適なトルク上昇からのトルク差がこのとき検知される。好ましい実施形態では、使用者、例えば、車両の運転者の入力、例えば、アクセル位置は、そのために検知され、その場合、設定トルクは、定数ではないが、入力に応じて適合される。
【0054】
工程c.では、ハイブリッドモジュールの電気駆動機械を用いて、変速機連結部において検知されたトルクに基づいて、エンジントルクの変化が、対応して変化するトルク(電気トルク)の出力に合わせて補償される。それにより、内燃機関が始動時にちょうど固有振動数範囲で連続運転するか、又は他の内在する原因により始動時に不規則なトルク受容を有するにもかかわらず、走行、例えば、車両の加速もまた急加速なしで可能である。このトルク差は、電気駆動機械における電気トルクの出力によって補償されるため、これは、使用者、例えば、車両の運転者にとって全く又はほとんど知覚されないものである。
【0055】
一実施形態では、例えば、始動(再始動とも称する)の以下の方策が列挙した順番で行われる。
電気のみでの走行、
K0(ハイブリッドモジュールの摩擦クラッチ)がスリップし、内燃機関が変速機又は駆動輪及び車両の慣性を用いてトウスタートする、
第1の時間間隔における、例えば、K0の確定した特性曲線によるハイブリッドモジュールの電気駆動機械の補償トルク、
変速機連結部側トルクセンサに短時間使用できるトルク信号、又は信号偏差によるハイブリッドモジュールの電気駆動機械の補償トルクを調整する。
【0056】
さらに、始動方法の有利な実施形態では、
d.電気駆動機械のトルクリザーブを検知することと、
e.トルクリザーブが所定のリザーブ閾値を下回るとすぐに、摩擦クラッチを用いて現在の噛合い状態において伝達可能な摩擦トルクの増加を遅延又は中断することと、をさらに含むことが提案される。
【0057】
この方法の場合、電気駆動機械は、そのように設計されているか、又は、内燃機関の始動は、内燃機関の始動によるトルクの低下を補償することができるように、電気駆動機械が十分なトルクリザーブを有する状態でのみ許容される。
【0058】
したがって本明細書では、電気駆動機械のトルクリザーブは、例えば、電気駆動機械の電流引き込み又は電圧引き込みの比較によって検知され、トルクセンサによって検知されたトルクに。これは、摩擦クラッチにおける押圧用のさらなる調整パラメータとしてリザーブ閾値が確定される。リザーブ閾値は、リザーブ閾値に到達した場合に内燃機関の始動が遅延されるように、すなわち、摩擦クラッチの押付が増加していることによるトルクの増加及び伝達可能なトルクの増加が遅延又は全く中断されて、使用者、例えば、車両の運転者に対する快適性の観点から損失とはならないように、選択されている。
【0059】
さらなる態様によれば、上述の説明による実施形態に記載のハイブリッドモジュールを備える内燃機関用に点火方法が提案され、ハイブリッドモジュールは、変速機と接続されているか、又は上述の説明による実施形態に記載のハイブリッドドライブトレインと接続されており、エンジン連結部は、内燃機関のエンジンシャフトと接続されており、点火方法は、電気のみでの走行中に実行され、少なくとも:
i.エンジンシャフトのエンジン回転数を検知することと、
ii.エンジンシャフトの検知されたエンジン回転数が所定の設定回転数に到達するとすぐに、摩擦クラッチを切る又は切ったままにして、内燃機関を点火し、エンジンシャフトのエンジン回転数を変速機連結部の現在の変速機回転数に同調させることと、
iii.摩擦クラッチを押圧して、スリップして摩擦接続的に摩擦トルクをエンジン連結部と変速機連結部との間に伝達することと、
iv.摩擦クラッチをつなぐことと、
v.少なくとも工程ii.~iv.のうちの1つの間、変速機連結部に加わるトルクを、トルクセンサを用いて検知し、検知されたトルクを設定トルクと比較することによりトルク差を算出することと、
vi.工程v.が行われているとき、トルク差が算出された場合、変速機連結部に加わる検知されたトルクが設定トルクの大きさに維持されるように、電気駆動機械によって出力される電気トルクを適切に変化させることと、を含む。
【0060】
本明細書では、本発明のさらなる態様において、又は上述の説明による実施形態に記載の始動方法に続いて、点火方法が実施される。最初に工程i.において、エンジンシャフトのエンジン回転数が検知される。これは、継続的に、瞬間的に、又は運転に応じて、内燃機関の点火が所望されるときに行われる。工程ii.において、点火プロセスが可能であるか又は可能な限り少ないエネルギーで実行可能である所定の設定回転数にエンジン回転数が到達したことが検知されるとすぐに、摩擦クラッチを切る又は切ったままにして、内燃機関の点火プロセスが実施される。
【0061】
内燃機関が問題なく始動している場合には、エンジン回転数は、変速機連結部の変速機回転数に(例えば、従来の手法で)同調される。一実施形態では、変速機回転数は、例えば、アクセル位置に応じて可変であることを指摘しておく。さらに、アクセル位置とは無関係に一実施形態では、同調は、差異がゼロ又はほぼゼロであることを必ずしも意味せず、好ましくは、特性曲線に従った摩擦クラッチの噛合い挙動のもとで、快適なつなぎ、すなわち、摩擦クラッチを介した一様なトルク形成をもたらす回転数差であることを指摘しておく。工程iii.において摩擦クラッチでの押圧力が増加し、工程iv.においてつながれる(摩擦クラッチの密着作動)。
【0062】
この場合、このとき、トルク出力の増加は、内燃機関によって、電気トルクの対応する低下にわたって補償される、詳しく言えば、好ましくは、トルクセンサによって工程v.において変速機連結部で検出された測定値のみに基づいて補償される。この場合、設定トルクの許容される偏差、すなわち、トルク差は、調整範囲の範囲内で、そのトルク差が使用者、例えば、車両の運転者にとって可能な限り全く又はほとんど知覚されないように設定されている。
【0063】
工程vi.では、許容されるトルク差の超過を補償するように、電気トルクの出力を変化させる。ある状態では、電気駆動機械は、完全に停止される。
【0064】
特に好ましくは、本明細書では、提案された方法の組み合わせ、特に、始動方法及び/又は点火方法の組み合わせが提案されているため、内燃機関の始動及び連結、並びに、電気のみでの走行とエンジン運転のみ又は機械のパラレルトルク出力との切替は、突然のトルクジャンプ及び回転数ジャンプなしに実行可能である。
【0065】
一実施形態では、内燃機関の点火準備が達成されるとすぐに、例えば、点火の以下の方策が列挙した順番で行われる。
K0(ハイブリッドモジュールの摩擦クラッチ)を切り、変速機連結部側のトルクセンサのトルク信号により、電気駆動機械の補償トルクを低下させる、
内燃機関を点火させ、回転数を変速機入力に同調させる、
例えば、切られたK0のトウスタートトルクを補償するために、変速機連結部側のトルクセンサのトルク信号を使用する、
K0が再びスリップして、つながる。
内燃機関が連結されるとすぐに、始動プロセスが終了し、以下の工程が実施される。
電気駆動機械から内燃機関へのトルク再配分(機関切替)、及び
再配分時に変速機連結部側のトルクセンサのトルク信号を使用して、変速機入力トルクを一定に保つ。
【0066】
上述した本発明は、関連する技術的背景に対して、好ましい形態を示す添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。本発明は、単なる概略図によって決して制限されることはなく、図面は、縮尺が正確ではなく、寸法比率の定義のためには適していないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1】ハイブリッドドライブトレインの断面図である。
図2】第1の実施形態における測定電子機器を有するハイブリッドモジュールの断面部分図である。
図3】第1の実施形態における測定電子機器を有するハイブリッドモジュールの断面部分図である。
図4】始動方法のトルク推移のグラフである。
図5】点火方法の回転数推移のグラフである。
図6】押圧調整方法のトルク推移及び変速機圧推移のグラフである。
図7】車両におけるハイブリッドドライブトレインの図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図1では、ハイブリッドドライブトレイン2を断面図で部分的に示している。この場合、図示によれば左上に、ハイブリッドモジュール1のエンジン連結部3が見えており、変速機7から右に、変速機連結部6に連結された、巻き掛け変速機26として実施された変速ギアユニット24があり、左下に、形状嵌合クラッチ46、例えば、ウェッジクラッチを用いて分離可能に接続されたディファレンシャル47(この図では任意選択的に上流に接続された固定された最終変速段)が見える。巻き掛け変速機26は、ハイブリッドモジュール1の変速機連結部6において変速機入力シャフト45とトルクを伝達するように接続されている。変速機入力シャフト45には入力側コーンプーリセット27が配置されており、入力側コーンプーリセット27の上を、設定された入力側プーリ間隔30に応じて対応する(入力側)直径で、巻き掛け手段29、この図では例えば、ロッカーピン付きプレート・リンク・チェインが通っている。巻き掛け手段29は、他方ではまた、対応する(出力側)直径で出力側コーンプーリセット28の上を通り、(出力側)直径は、出力側プーリ間隔31を用いて対応するように調整されている。それにより、トルク又は回転数は、変速機入力シャフト45から変速機出力シャフト51に向けて無段可変で伝達可能又は減速可能である。この実施形態では、さらに(任意選択的に)、形状嵌合クラッチ46は、ディファレンシャル47(この図では任意選択的に、形状嵌合クラッチ46とは無関係に任意選択的に、固定された最終変速段を有するステアリングディファレンシャルとして実施されている)に対して分離可能にトルクを伝達するように接続されている。
【0069】
変速機7に、ハイブリッドモジュール1が上流側に接続されて設けられており、ハイブリッドモジュール1は、この図では(任意選択的に)ユニットとして実施されている。ハイブリッドモジュール1は、回転軸線9を中心としてトルクを出力するために、(回転が固定された)ステータ11と、ロータキャリア12上の駆動可能なロータ13と、を備える電気駆動機械10を含む。さらに、ハイブリッドモジュール1は、この図では(任意選択的に)多板クラッチとして実施されている摩擦クラッチ8を含む。摩擦クラッチ8は、作動ユニット44を用いて、この図では(任意選択的に)油圧式に、図示によれば左から右に押付け可能であり、それにより、伝達可能なトルクは、可変である。それにより、エンジン連結部3と変速機連結部6との間のトルク伝達は、可変である。電気のみでの走行の場合、摩擦クラッチ8は、切られている、すなわち、トウスタートトルクが伝達されないか、又は(設計により)無視できる若しくは許容されるほど少ないトウスタートトルクのみがエンジン連結部3に伝達される。その場合、例えば、電気駆動機械10から、又はさらなる電気機械(この図では図示せず)から(のみ)、トルクをディファレンシャル47に出力可能である。内燃機関5(図7を参照されたい)のトウスタート及び始動のために、摩擦クラッチ8が押し付けられて、始動トルク20は、内燃機関5のエンジンシャフト4(図7を参照されたい)に伝達される。始動トルク20は、電気駆動機械10又は少なくとも1つの駆動輪22、23(図7を参照されたい)によってのみエンジン連結部3に伝達され、摩擦クラッチ8の(制御された)スリップ動作によって、すなわち、切られている位置とつながれている位置との間の中間位置によって、トルクは、必要に応じて可変である。本明細書では、始動のために必要な押圧力15が、変速機連結部6におけるトルク16に応じて制御されることが提案されている。トルクセンサ14は、2つの実施形態で図2及び図3に示されており、以下で詳細に説明する。
【0070】
図2及び図3にはそれぞれ、例えば、図1及び図7によるハイブリッドドライブトレイン2において使用可能な、ハイブリッドモジュール1の断面図が示されている。この図では、ステータ11、ロータ13、及びロータキャリア12を有する電気駆動機械10、並びに摩擦クラッチ8の一部が断面図で示されている。ロータキャリア12は、本明細書では(任意選択的に)変速機連結部6を形成するプラグイン噛部を介して変速機入力シャフト45に取り付けられている。プラグイン噛部の領域には、(円筒形の)シャフト区分19が形成されており、シャフト区分19には、図2による実施形態において、磁化領域18の(本明細書では任意選択的に2つの)トラックが形成されている。図3による実施形態では、ロータキャリア12に磁化領域18の(本明細書では任意選択的に2つの)トラックが形成されている。径方向外側(図2)又は軸線方向外側(図3)に、測定電子機器17が配置されており、測定電子機器17を用いて、シャフト区分19又はロータキャリア12、より詳しくは磁化領域18における材料伸長は、誘導的に、すなわち、逆磁歪効果により、検知可能である。そのように無接触トルクセンサ14がシャフト区分19に形成されている、すなわち、磁化領域18を有するシャフト区分19は、変速機入力シャフト45と共回転し、測定電子機器17は、ハイブリッドモジュール1の変速機ハウジング50に固定されている。それにより、測定ケーブル48は、不動であり、容易に実施可能である。測定ケーブル48の場合、この図ではそれに加えて、レゾルバ49が示されており、レゾルバ49は、従来技術により既に測定ケーブル48を有しているため、このトルクセンサ14用に追加のケーブル構築を導入する必要はない(センサクラスタリング)。したがって、トルクセンサ14を用いて、回転軸9周りのトルク16は、容易かつ全く直接的に検知可能である。これは、押圧力15の調整用の制御パラメータとして設定可能である。
【0071】
図4には、始動方法の例示的なトルク推移のグラフが詳細に示されており、値は、理解のためにのみ役立ち、実際に適用する場合とそれ以上の関係はない。縦軸は、トルク軸55を表し、横軸は、時間軸54を表し、時間軸54は、この場合は必ずしもゼロのトルクを通る必要はない。示されている曲線を導き出したプロセスを説明するために、ここでは図1図2図3、及び/又は図7を参照する。この図では、検知されたトルク16(図2又は図3を参照されたい)に対応する設定トルク34(二点鎖線)に基づいている。最初に電気のみで走行する、詳しく言えば、この図では単に簡易的に示すために、ハイブリッドモジュール1の電気駆動機械10のみを用いて走行する。設定トルク34は、例えば、アクセル位置を用いて定義されている。この図では、設定トルク34は、全く正確に検知可能なトルク16として変速機7で利用可能である、詳しく言えば、始動方法の推移と無関係であることを簡単に示している。しかし、矩形波信号として概略を示しているが、電気トルク35(上側の実線)は、設定トルク34からいくらか逸脱しているため、トルク差33は、トルクセンサ14において検知可能であり、トルク差33を用いて電気トルク35が制御される。
【0072】
内燃機関5を始動するために、設定トウスタートトルク60(破線)の推移が所望され、この図では明瞭に理解するために、設定トウスタートトルク60は、必要な始動トルク20(同じ破線の水平区分)まで直線的に上昇して推移すると仮定している。これは、直線的に上昇する押圧力15と同一である必要はないが、この設定トウスタートトルク60に可能な限り正確に合わせた押圧力15の調整の結果と同等である。このとき追加で必要なトルクは、電気駆動機械10によって、所望のように上昇する設定トウスタートトルク60に対応して高められた電気トルク35として補償されるため、したがって、検知可能なトルク16は、(ほぼ、すなわち制御許容差において)一定のままである。ただし、電気トルク35は、大きな加速要求時に出力に起因し、かつ慣性に起因する遅延の影響を受け、(通常調整された)最大許容トルクに到達し、最大許容トルクは、この図では、完全には正確ではないが、リザーブ閾値37(水平の一点鎖線)と称される。より正確に言えば、リザーブ閾値37は、例えば、ゼロ又は最大許容トルクの1パーセント以上であり、トルクリザーブ36は、加えられる電気トルク35と最大許容トルクとの間の(垂直)距離、すなわち、差異である。この図で示した実施例において、ある時間区分では、必要な電気トルク61は、最大許容トルクより大きい、すなわち、リザーブ閾値37を上回る。次いで、始動方法の一実施形態では、設定トウスタートトルク60からの偏差を許容すること(下向き)により内燃機関5のトウスタートが遅延され、十分なトルクリザーブ36を有する時間区分に再度到達した後に初めて、押圧力15は、そのときに必要な始動押圧トルク20が達成されるように制御される。それにより、摩擦クラッチ8の噛合い状態38を間接的に反映し、設定トウスタートトルク60に沿っている、摩擦トルク32の推移(下側の実線)が生じる。所定の時間区分にわたって始動トルク20が達成された後、例えば、図5による回転数調整された点火方法におけるように、点火時点59が生じる。点火時点59から、内燃機関5は、トルクシンクからトルク源へと変化し、補償電気トルク35を必要としない。例えば、電気トルク35の推移は、再び設定トルク34の推移に戻り、好ましくは、検知可能なトルク16の測定値に応じて調整される。あるいは、電気機械10は、点火時点59の直後に停止されるか、又は(ブーストトルク若しくは補助トルクとして)大幅に低減される。
【0073】
図5には、点火方法の例示的な回転数推移のグラフが詳細に示されており、値は、理解のためにのみ役立ち、実際に適用する場合とそれ以上の関係はない。縦軸は、回転数軸56を表し、横軸は、時間軸54を表し、時間軸54は、この図では必ずしもゼロの回転数を通る必要はない。示されている曲線を導き出したプロセスを説明するために、ここでは図1図2図3、及び/又は図7を参照する。例えば、(好ましくは自動の)変速調整と組み合わせてアクセル位置を用いて規定されるような設定回転数41(二点鎖線)に基づいている。図4のように、最初に電気のみで走行する、詳しく言えば、この図では簡易的に示すために、ハイブリッドモジュール1の電気駆動機械10のみを用いて走行する。変速機回転数42及び電気回転数43(実線)は、常に一致しており、この図では、電気トルク35(図4を参照されたい)が変速機連結部6に伝達される電気回転数43の推移の一部のみが示されている(この図では機関切替62の時点まで)。エンジン回転数39(破線)は、トウスタート58の開始時点から、例えば、ゼロから上昇することとなる。この図では、エンジン回転数39は、単に簡易的に示すために、エンジン回転数39の直線的な上昇が設定回転数41と調和している限り、直線的に上昇する。この図では実施例において、エンジン回転数39のこの上昇は、必要な点火回転数40(一点鎖線)に到達する直前のある時間区分において、設定回転数41と調和しない。例えば、(任意選択的に)このとき、摩擦クラッチ8は、既に完全につながっている、すなわち、もはやスリップするトルクを伝達せず、代わりに密着作動に移行する。再び増加する設定回転数41により、このとき、エンジン回転数39は、必要な点火回転数40まで増加する。摩擦クラッチ8が切られた後、内燃機関5は、点火時点59で点火され、(例えば、エンジン制御による)所定の時間区分後、エンジン回転数39は、設定回転数41に同調される。エンジン回転数39と設定回転数41との最初の交点又はその付近の範囲では、摩擦クラッチ8がつながれて、電気駆動機械10が停止される。これは、機関切替62の時点である。この時点から、エンジン回転数39は、変速機回転数42(及び当然ながら設定回転数41)に相当する。
【0074】
図6には、巻き掛け変速機26の変速機圧25用の押圧方法の例示的なトルク推移及び圧力推移のグラフが詳細に示されており、値は、理解のためにのみ役立ち、実際に適用する場合とそれ以上の関係はない。縦軸は、トルク軸55及び圧力軸57を表し、横軸は、時間軸54であり、時間軸54は、この図ではゼロのトルク又は回転数を通る必要はない。示されている曲線を導き出したプロセスを説明するために、ここでは図1図2図3、及び/又は図7を参照する。トルクセンサ14を用いて検知されるトルク16(上側の細い実線)に基づいている。検知されたトルク16に対する比例依存性において、好ましくは、高分解能及び短い調整手順に基づいて、ほぼ遅延がなく、変速機圧25(下側の太い実線)は、必要に応じて調整される。これと比較して、トルク推移は、エンジン制御値63に応じて示されている(上側の細い破線)。エンジン制御値63が部分的に実際のトルク16を下回ることがわかる。過剰圧リザーブ65がなければ、それにより巻き掛け手段29がスリップし、巻き掛け変速機26における過剰な摩耗及び伝達損失を伴うであろう。したがって、(従来の)エンジン制御に基づく変速機圧64(下側の太い破線)は、過剰圧リザーブ65を用いて動作する必要がある。それに由来して、効率損失及び継続的により高い負荷が、コーンプーリセット27、28及び巻き掛け手段29において生じる。
【0075】
図7では、ハイブリッドドライブトレイン2を備える車両21であり、ハイブリッドドライブトレイン2は、この図では任意選択的にフロントアクスル駆動部として構成されている(主走行方向は図示では右向き)。この図では、左駆動輪22及び右駆動輪23を駆動するための連続フロントアクスル52(又はシャフト)が簡略化して示されており、中央に(任意選択的に固定した最終変速段を有する)ディファレンシャル47が設けられている。通常、フロントアクスル52は、車両21(詳細には図示せず)の1つ又は唯一の操縦車軸である。ハイブリッドドライブトレイン2は、この場合、シフト可能な変速ギアユニット24を備える、例えば、図1に示したような巻き掛け変速機26として実施された変速機7を含む。この図では単に説明のためにクランクシャフトに(2つの)ピストンが示された内燃機関5は、そのエンジンシャフト4と、(任意選択的な)ねじり振動ダンパ53、例えば、デュアルマスフライホイール及び/又は遠心振り子を用いて、ハイブリッドモジュール1のエンジン連結部3とトルクを伝達するように接続されている。それに続いてこの方向に、摩擦クラッチ8があり、その次に、電気駆動機械10がある。したがって、ハイブリッドモジュール1は、電気駆動機械10と継続的に(分離不能に)接続され、内燃機関5又はエンジン連結部3と摩擦クラッチ8を用いてスリップして分離可能に接続され、変速機連結部6を用いて変速機7の変速機入力シャフト45とトルクを伝達するように接続されている。変速機出力シャフト51は、この図では(任意選択的に形状嵌合クラッチ46を用いて分離可能に)ディファレンシャル47と、例えば、遊星ローラ変速機を含む(詳細には説明しない)固定最終変速段を介して接続されている。
【0076】
本発明において提案されたハイブリッドモジュール及び関連する方法を用いて、ハイブリッドドライブトレインの動作中に、より高い快適性及び効率性が達成可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 ハイブリッドモジュール
2 ハイブリッドドライブトレイン
3 エンジン連結部
4 エンジンシャフト
5 内燃機関
6 変速機連結部
7 変速機
8 摩擦クラッチ
9 回転軸線
10 電気駆動機械
11 ステータ
12 ロータキャリア
13 ロータ
14 トルクセンサ
15 押圧力
16 変速機連結部側のトルク
17 測定電子機器
18 磁化領域
19 シャフト区分
20 始動トルク
21 車両
22 左駆動輪
23 右駆動輪
24 変速ギアユニット
25 変速機圧
26 巻き掛け変速機
27 入力側コーンプーリセット
28 出力側コーンプーリセット
29 巻き掛け手段
30 入力側プーリ間隔
31 出力側プーリ間隔
32 摩擦トルク
33 トルク差
34 設定トルク
35 電気トルク
36 トルクリザーブ
37 リザーブ閾値
38 噛合い状態
39 エンジン回転数
40 点火回転数
41 設定回転数
42 変速機回転数
43 電気回転数
44 作動ユニット
45 変速機入力シャフト
46 形状嵌合クラッチ
47 ディファレンシャル(及び最終変速段)
48 測定ケーブル
49 レゾルバ
50 変速機ハウジング
51 変速機出力シャフト
52 フロントアクスル
53 ねじり振動ダンパ
54 時間軸
55 トルク軸
56 回転数軸
57 圧力軸
58 トウスタートの開始
59 点火時点
60 設定トウスタートトルク
61 必要な電気トルク
62 機関切替
63 エンジン制御値
64 エンジン制御に基づく変速機圧
65 過剰圧リザーブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7