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特許7280390レーザマイクロアレイチップスキャナの濃度勾配蛍光校正シート及び校正方法
<図1>
  • 特許-レーザマイクロアレイチップスキャナの濃度勾配蛍光校正シート及び校正方法 図1
  • 特許-レーザマイクロアレイチップスキャナの濃度勾配蛍光校正シート及び校正方法 図2
  • 特許-レーザマイクロアレイチップスキャナの濃度勾配蛍光校正シート及び校正方法 図3
  • 特許-レーザマイクロアレイチップスキャナの濃度勾配蛍光校正シート及び校正方法 図4
  • 特許-レーザマイクロアレイチップスキャナの濃度勾配蛍光校正シート及び校正方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】レーザマイクロアレイチップスキャナの濃度勾配蛍光校正シート及び校正方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/01 20060101AFI20230516BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20230516BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
G01N21/01 A
G01N21/64 Z
G01N21/27 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021572844
(86)(22)【出願日】2020-04-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-10
(86)【国際出願番号】 CN2020086375
(87)【国際公開番号】W WO2021098142
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2021-12-07
(31)【優先権主張番号】201911148674.5
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521535630
【氏名又は名称】チォンドウ キャピタルバイオ メディアブ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CHENGDU CAPITALBIO MEDIAB LTD
【住所又は居所原語表記】No.88, North Section Of Bayi Road, Yongning Town, Wenjiang District Chengdu, Sichuan 611130, China
(73)【特許権者】
【識別番号】521535641
【氏名又は名称】ミィェンヤン ピープルズ ホスピタル
【氏名又は名称原語表記】MIANYANG PEOPLE’S HOSPITAL
【住所又は居所原語表記】No.10-12, West Section of Jiannan Road, Fucheng District Mianyang, Sichuan 621000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】アン シュゥァン
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン グァンビン
(72)【発明者】
【氏名】リィァン ドン
(72)【発明者】
【氏名】ヂャオ シュイン
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108444966(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0318226(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110146477(CN,A)
【文献】特表2019-505824(JP,A)
【文献】中国特許第1280623(CN,C)
【文献】中国特許出願公開第1588006(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0098974(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0369739(US,A1)
【文献】国際公開第2015/187158(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/105195(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/063274(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/01
G01N 21/17 - G01N 21/83
G01N 27/26 - G01N 27/404
G01N 27/414 - G01N 27/416
G01N 27/42 - G01N 27/49
G01N 33/48 - G01N 33/98
G01N 35/00 - G01N 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板と前記ガラス基板の表面上に配置された無機ナノ蛍光液格子とを含み、
前記無機ナノ蛍光液格子が多数の無機ナノ蛍光液副格子を含み、各無機ナノ蛍光液副格子の無機蛍光混合液滴がA行×B列に配置され、前記無機ナノ蛍光液副格子内の同一行における無機ナノ蛍光液滴の溶液濃度が同一であり、2つの隣接する行の無機ナノ蛍光液滴の溶液濃度が傾斜的に倍数で増減し、Aが5-20、Bが10-40であるレーザマイクロアレイチップスキャナの濃度勾配蛍光校正シートが被試験スキャナを校正するために利用され、前記無機ナノ蛍光液副格子内の1行目の無機ナノ蛍光液滴が指標マークとされ、
各被試験スキャナが少なくとも3つの群の異なる走査パラメータによって校正され、前記少なくとも3つの群の異なる走査パラメータは互いにレーザ強度が異なり、
前記無機ナノ蛍光液副格子内の各無機ナノ蛍光液滴における蛍光体ドット信号値が対応する溶液濃度の単一の測定値とされ、前記濃度勾配蛍光校正シートが標準スキャナで走査された後、対応する各無機ナノ蛍光液滴における蛍光体ドット信号値の対数値を横座標とし、又、前記濃度勾配蛍光校正シートが被試験スキャナで走査された後、対応する各無機ナノ蛍光液滴における蛍光体ドット信号値の対数値を縦座標とすることで図が作成され、調査を通して曲線間の線形関係の相関係数R が得られ、
前記相関係数R を得るに当たって、信号飽和を有する蛍光体ドットは前記少なくとも3つの群の異なる走査パラメータから抽出された蛍光体ドット信号値から除去され、
前記相関係数R がいずれも所定値より大きい場合、前記被試験スキャナが正常な校正結果を有し、良好な状態で使用できることが示されることを特徴とするレーザマイクロアレイチップスキャナの校正方法
【請求項2】
各群の前記走査パラメータの前記相関係数Rが0.90より大きいことを特徴とする請求項に記載のレーザマイクロアレイチップスキャナの校正方法。
【請求項3】
前記ガラス基板がその表面上を化学的に修飾又はポリマー膜で被覆されている前記濃度勾配蛍光校正シートを使用することを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザマイクロアレイチップスキャナの校正方法
【請求項4】
前記無機ナノ蛍光液格子が前記ガラス基板上に均一に分布及び配置された8個以下前記無機ナノ蛍光液副格子を含む前記濃度勾配蛍光校正シートを使用することを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザマイクロアレイチップスキャナの校正方法
【請求項5】
隣接する前記無機ナノ蛍光液副格子間のアレイ間隔が同一であり、隣接する前記無機ナノ蛍光液副格子間のドット間隔が同一であり、かつ350μm以上である前記濃度勾配蛍光校正シートを使用することを特徴とする請求項1、2又は4に記載のレーザマイクロアレイチップスキャナの校正方法
【請求項6】
前記無機ナノ蛍光液副格子内の1行目の無機ナノ蛍光液滴及び最終行の無機ナノ蛍光液滴の溶液濃度が最大であり、2行目の無機ナノ蛍光液滴から、最後から2番目の無機ナノ蛍光液滴まで、溶液濃度が正の倍数で増加する線形関係を有し、同一の前記無機ナノ蛍光液副格子内の溶液の濃度勾配が12濃度勾配以下である前記濃度勾配蛍光校正シートを使用することを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザマイクロアレイチップスキャナの校正方法
【請求項7】
1行目の無機ナノ蛍光液滴及び最終行の無機ナノ蛍光液滴の蛍光体ドット信号値が最大65535であり、2行目の無機ナノ蛍光液滴の蛍光体ドット信号値が1000~3000であり、最後から2番目の無機ナノ蛍光液滴の蛍光体ドット信号値が60000~65535である前記濃度勾配蛍光校正シートを使用することを特徴とする請求項6に記載のレーザマイクロアレイチップスキャナの校正方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオチップ製造装置の技術分野に属し、赤及び緑のデュアルレーザマイクロアレイチップスキャナの直線範囲、可撓性、及び定義を校正するように構成されたレーザマイクロアレイチップスキャナの濃度勾配蛍光校正シート及び校正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオテクノロジーの急速な発展により、電子技術とバイオテクノロジーが組み合わされて半導体チップ-バイオチップの派生製品を製造してきた。これは私たちの生活の中で深い革命をもたらし、世界中の持続可能な開発に対して計り知れない貢献をもたらす。
【0003】
バイオチップは、中国では1997年から1998年にかけて研究されていた。研究は遅くに始まるが、技術と産業は急速に発展し、これは何もないところから段階的な躍進を起こし、次第により強く発展する。バイオチップは技術研究及び製品開発の段階から技術応用及び製品販売段階に踏み入れており、発現プロファイルチップ、重篤な疾患診断チップ及びバイオチップの関連装置の研究では大きな成果を達成した。2008年にバイオチップ市場は中国で約1億米ドルの価値があり、20%以上の速度で増加した。2020年には、バイオチップ市場は9億米ドルに達する見込みである。
【0004】
マイクロアレイチップスキャナは、マイクロアレイチップスキャンに使用され、極めて重要な役割を果たす検出器具である。スキャナの光源、光路、及び検出システムは、時間が遅延するにつれてわずかに変化し、通常は測定誤差を引き起こす。しかしながら、蛍光検出方法は感度が極めて高く、小さな検出誤差がトレース検出中に全く逆の結論を引き起こすことがある。そのため、マイクロアレイチップスキャナを校正するために濃度勾配校正シートを調製することが極めて必要である。
【0005】
現在のところ、蛍光校正として一般的に使用される材料は、主として有機蛍光材料、ポリマードープ有機蛍光材料、高分子材料、無機材料ドープ有機蛍光材料、及び無機イオンドープ無機固体材料を含む。無機蛍光材料による校正シートの調製は、操作がわずかに複雑であり、コストがわずかに高い。しかしながら、それは、その光退色に対する特殊な耐性のおかげで、長時間のレーザ放射線下での一定の蛍光発光特性、良好な再現性及び一致性を特徴とする。バイオチップ市場の増加とスキャナの需要拡大によって、促進及び応用にさらに適すように、調整しやすく、コストが低い濃度勾配蛍光校正シートを製造することが必要である。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、従来技術における問題を克服することを目的とし、調整方法を操作することが容易であり、製造期間が短く、コストが低いレーザマイクロアレイチップスキャナの濃度勾配蛍光校正シート及び校正方法を提供する。
【0007】
本発明の1つの観点は、ガラス基板と前記ガラス基板の表面上に配置された無機ナノ蛍光液格子とを含み、前記無機ナノ蛍光液格子が多数の無機ナノ蛍光液副格子を含み、各無機ナノ蛍光液副格子の無機蛍光混合液滴がA行×B列に配置され、前記無機ナノ蛍光液副格子内の同一行における無機ナノ蛍光液滴の溶液濃度が同一であり、2つの隣接する行の無機ナノ蛍光液滴の溶液濃度が倍数で変化し、Aが5-20、Bが10-40であるレーザマイクロアレイチップスキャナの濃度勾配蛍光校正シートを提供する。
【0008】
本願によって提供されるレーザマイクロアレイチップスキャナの濃度勾配蛍光校正シートの1つの実施形態によれば、前記ガラス基板がその表面上を化学的に修飾又はポリマー膜で被覆されている。
【0009】
本発明によって提供されるレーザマイクロアレイチップスキャナの濃度勾配蛍光校正シートの1つの実施形態によれば、前記無機ナノ蛍光液格子が前記ガラス基板上に均一に分布及び配置された1-8個の無機ナノ蛍光液副格子を含む。
【0010】
本発明によって提供されるレーザマイクロアレイチップスキャナの濃度勾配蛍光校正シートの1つの実施形態によれば、隣接する無機ナノ蛍光液副格子間のアレイ間隔が同一であり、隣接する無機ナノ蛍光液副格子間のドット間隔が同一であり、かつ350μm以上である。
【0011】
本発明によって提供されるレーザマイクロアレイチップスキャナの濃度勾配蛍光校正シートの1つの実施形態によれば、前記無機ナノ蛍光液副格子内の1行目の無機ナノ蛍光液滴及び最終行の無機ナノ蛍光液滴の溶液濃度が最大であり、2行目の無機ナノ蛍光液滴から、最後から2番目の無機ナノ蛍光液滴まで、溶液濃度が正の倍数で増加する線形関係を有し、感度が12濃度勾配以下である。
【0012】
本発明によって提供されるレーザマイクロアレイチップスキャナの濃度勾配蛍光校正シートの1つの実施形態によると、1行目の無機ナノ蛍光液滴及び最終行の無機ナノ蛍光液滴の蛍光体ドット信号値が最大65535であり、2行目の無機ナノ蛍光液滴の蛍光体ドット信号値が1000~3000であり、最後から2番目の無機ナノ蛍光液滴の蛍光体ドット信号値が60000~65535である。
【0013】
本発明の別の側面によると、レーザマイクロアレイチップスキャナの校正方法を提供する。前記レーザマイクロアレイチップスキャナ用の濃度勾配蛍光校正シートが被試験スキャナを校正するために利用され、前記無機ナノ蛍光液副格子内の1行目の無機ナノ蛍光液滴が指標マークとされる。
【0014】
レーザマイクロアレイチップスキャナの校正方法の1つの実施形態によれば、前記無機ナノ蛍光液副格子内の各無機ナノ蛍光液滴における蛍光体ドット信号値が対応する溶液濃度の単一の測定値とされ、前記濃度勾配蛍光校正シートが標準スキャナで走査された後、対応する各無機ナノ蛍光液滴における蛍光体ドット信号値の対数値を横座標とし、又、前記濃度勾配蛍光校正シートが被試験スキャナで走査された後、対応する各無機ナノ蛍光液滴における蛍光体ドット信号値の対数値を縦座標とすることで図が作成され、調査を通して曲線間の線形関係の相関係数Rが得られる。
【0015】
本発明によって提供されるレーザマイクロアレイチップスキャナの校正方法の1つの実施形態によれば、各被試験スキャナが少なくとも3つの群の異なる走査パラメータによって校正され、走査パラメータの各群の相関係数Rが0.90より大きい場合、前記被試験スキャナが正常な校正結果を有し、良好な状態で使用される。
【0016】
従来技術と比較して、本発明は、調整方法の操作が容易であり、製造期間が短く、コストが低く、校正効果が良好であり、促進及び応用の展望が良好であるレーザマイクロアレイチップスキャナの濃度勾配蛍光校正シート及びその校正方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の例示的な実施形態に係るレーザマイクロアレイチップスキャナの濃度勾配蛍光校正シートにおける無機ナノ蛍光液格子のスキャナグラムを示す。
図2】本発明の例示的な実施形態に係るレーザマイクロアレイチップスキャナの濃度勾配蛍光校正シートにおける無機ナノ蛍光液副格子のスキャナグラムを示す。
図3】実施形態1における第1群のパラメータの線形校正関係図を示す。
図4】実施形態1における第2群のパラメータの線形校正関係図を示す。
図5】実施形態1における第3群のパラメータの線形校正関係図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
そのような特徴及び/又はステップが相互に排他的である組み合わせを除いて、明細書に開示された全ての特徴、又は、開示されたいかなる方法又はプロセスの全てのステップは、いかなる方法によっても組み合わせることができる。
【0019】
明細書に開示されたいかなる特徴も、他に指定されていない限り、他の同等の又は同様の特徴に置き換えることができ、すなわち、特に指定のない限り、各特徴は一連の同等又は同様の特徴の一例に過ぎない。
【0020】
本発明の例示的な実施形態によれば、レーザマイクロアレイチップスキャナの濃度勾配蛍光校正シートは、ガラス基板とガラス基板の表面に配置された無機ナノ蛍光液格子とを含む。本発明によって提供される無機ナノ蛍光液は、キャピタルバイオ(CAPITALBIO)の特許製品であるナノブライト(Nanobrite)無機ナノ蛍光体から作られることが好ましい。ナノブライト無機ナノ蛍光体は、長い蛍光寿命、シャープな発光スペクトル、非常に安定した発光(光退色及びちらつきがない)、大きいストークス、アンチストークスの変位、高い化学的安定性、及び低い生物毒性の特徴を有する。詳細については、中国特許CN1231760C「Rare Earth Nano Particle for Biological Material Label and Preparing Method and Use Thereof」を参照するが、本発明はこれに限定されない。
【0021】
好ましくは、ガラス基板はその表面上を化学的に修飾されるか、又はポリマー膜で被覆される。調製時には、表面化学修飾されたガラス基板又は表面にポリマー膜が被覆されたガラス基板を水平に配置し、ガラス基板に無機ナノ蛍光液格子を形成するよう無機ナノ蛍光液で噴霧される。
【0022】
図1は、本発明の例示的な実施形態に係るレーザマイクロアレイチップスキャナの濃度勾配蛍光校正シートにおける無機ナノ蛍光液格子のスキャノグラムを示す。図2は、本発明の例示的な実施形態に係るレーザマイクロアレイチップスキャナの濃度勾配蛍光校正シートにおける無機ナノ蛍光液副格子のスキャナグラムを示す。
【0023】
図1及び2に示すように、無機ナノ蛍光液格子は複数の無機ナノ蛍光液副格子を含む。各無機ナノ蛍光液副格子の無機蛍光混合液滴はA行×B列で配置され、Aは5-20、Bは10-40で配置されている。好ましくは、無機ナノ蛍光液格子はガラス基板内に均一に分布及び配置された1-8個の無機ナノ蛍光液副格子を含む。調製時に、隣接する無機ナノ蛍光液副格子間のアレイ間隔が同一になるように、又、隣接する無機ナノ蛍光液副格子間のドット間隔が同一かつ350μm以上になるように制御される。
【0024】
無機ナノ蛍光液副格子内の同一行の無機ナノ蛍光液滴の溶液濃度が同一になるように、又、隣接する2つの無機ナノ蛍光液滴の溶液濃度が傾斜的に倍数で増減するように必ず制御される。
【0025】
好ましくは、無機ナノ蛍光液副格子内の1行目の無機ナノ蛍光液滴及び最終行の無機ナノ蛍光液滴の溶液濃度が最大であり、2行目の無機ナノ蛍光液滴から、最後から2番目の無機ナノ蛍光液滴まで、溶液濃度が正の倍数で増加する線形関係を有する。同一の無機ナノ蛍光液副格子内の溶液の濃度勾配は12濃度勾配以下である。
【0026】
本発明の1つの実施形態によれば、1行目の無機ナノ蛍光液滴及び最終行の無機ナノ蛍光液滴の蛍光体ドット信号値は最大65535であり、2行目の無機ナノ蛍光液滴の蛍光体ドット信号値は1000~3000であり、最後から2番目の無機ナノ蛍光液滴の蛍光体ドット信号値は60000~65535である。使用される無機ナノ蛍光液の濃度は異なる試験要件にしたがって変化し得るため、様々な倍数及び特定の濃度は直接的に定義することができず、ここでは蛍光体ドット信号値の範囲で定義することはできない。
【0027】
上記濃度勾配蛍光校正シートに基づいて、本発明はレーザマイクロアレイチップスキャナの校正方法を提供する。具体的にはレーザマイクロアレイチップスキャナの濃度勾配蛍光校正シートが被試験スキャナを校正するために利用され、無機ナノ蛍光液副格子内の1行目の無機ナノ蛍光液滴が指標マークとされる。
【0028】
実際の校正時には、無機ナノ蛍光液副格子内の各無機ナノ蛍光液滴における蛍光体ドット信号値が対応する溶液濃度の単一の測定値とされ、濃度勾配蛍光校正シートが標準スキャナで走査された後、対応する各無機ナノ蛍光液滴における蛍光体ドット信号の対数値を横座標とし、又、濃度勾配蛍光校正シートが被試験スキャナで走査された後、対応する各無機ナノ蛍光液滴における蛍光体ドット信号の対数値を縦座標とすることで図が作成され、調査を通して曲線間の線形関係の相関係数Rが得られる。
【0029】
各被試験スキャナが少なくとも3つの群の異なる走査パラメータによって校正され、走査パラメータの各群の相関係数Rが0.90より大きい場合、被試験スキャナが正常な校正結果を有し、良好な状態で使用される。それ以外の場合は異常な校正結果であり使用できない。
【0030】
以下の具体的な実施形態は、本発明をさらに説明するために提供されるものであり、その範囲を限定することを意図するものではない。
【0031】
実施形態:12行×12列の濃度勾配蛍光校正シートの調製
【0032】
校正シートのガラス基板はその表面上において化学的に修飾されており、75.6×25mmの大きさである。校正シートの表面には格子状に無機ナノ蛍光液が配置されており、無機蛍光液はキャピタルバイオの特許製品であるナノブライト無機ナノ蛍光体から作られる。その表面上を化学的に修飾又はポリマー膜で被覆されたガラス基板は水平に配置され、無機ナノ蛍光液がガラス基板上に噴霧されて均一に分布され、5格子状に配置される。各副格子は12行×12列の行列であり、隣接する副格子間のアレイ間隔は同一であり、隣接する副格子間のドット間隔は同一かつ350μm以上である。各副格子の同一行における無機ナノ蛍光液滴の溶液濃度は同一であり、2行目からの各行に含まれる蛍光色素濃度は連続的に増加し、赤及び緑のデュアルレーザマイクロアレイチップスキャナの校正及び測定のための濃度勾配シートは、指標マークとして1行目の無機ナノ蛍光液滴を取り込むことで調製される。
【0033】
具体的には、無機ナノ蛍光液副格子の溶液濃度との間の倍数関係は、1行目及び12行目が最大濃度(蛍光体ドット信号値:65535)を有し、又、2行目(蛍光体ドット信号値:1000~3000)から11行目(蛍光体ドット信号値:60000~65535)までの蛍光液滴の溶液濃度が正の倍数で増加する線形関係である。
【0034】
線形関係の相関係数Rが0.90より大きい場合、各無機蛍光混合液滴の蛍光体ドット信号値が対応する濃度の単一の測定値とされる。濃度勾配蛍光校正シートが標準スキャナによってスキャンされた後、対応する各無機ナノ蛍光混合液滴の蛍光体ドット信号値の対数値を横座標とすることにより、又、濃度勾配蛍光校正シートが被試験スキャナで走査された後、対応する各無機ナノ蛍光液滴の蛍光体ドット信号値の対数値を縦座標とすることにより、図が作成される。調査を通して、曲線間の線形関係の相関関数Rが得られる。
【0035】
スキャナは、次の通り濃度勾配蛍光校正シートによって具体的に校正される。
【0036】
標準スキャナ及び被試験スキャナを使用して、以下の3つの群の走査パラメータで操作する。第1群:レーザ強度:-50%、PMT:-650、第2群:レーザ強度:-60%、PMT:-650、第3群:レーザ強度:-70%、PMT:-650である。
【0037】
信号飽和を有する蛍光体ドット(信号値:65535)は3つの群の走査パラメータから抽出された蛍光体ドット信号値から除去される。具体的なデータについては表1を参照する。
【0038】
濃度勾配蛍光校正シートが標準スキャナで走査された後、対応する各蛍光体ドット信号値の対数値を横座標とし、又、濃度勾配蛍光校正シートが被試験スキャナで走査された後、対応する各蛍光体ドット信号値の対数値を縦座標とすることで図が作成される。調査を通して曲線間の線形関係の相関係数Rが得られる。具体的なデータ画像については図3-5を参照する。
【0039】
図3-5に示すように、被検査スキャナで使用される3つの群の走査パラメータの相関係数Rは0.90より大きい。これは、スキャナの校正結果が正常に使用できることを示している。
[表1]実施形態における3つの群の走査パラメータの蛍光体ドット信号値
【0040】
本発明は前述の特定の実施形態に限定されない。本発明は、明細書に開示された新しい特徴又は新しい組み合わせ、及び開示された新しい方法又は過程あるいは新しい組み合わせのステップへと拡大する。
図1
図2
図3
図4
図5