(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-15
(45)【発行日】2023-05-23
(54)【発明の名称】連結金具
(51)【国際特許分類】
F16B 7/04 20060101AFI20230516BHJP
F16B 37/04 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
F16B7/04 301N
F16B37/04 K
(21)【出願番号】P 2022024784
(22)【出願日】2022-02-21
【審査請求日】2022-10-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000119830
【氏名又は名称】因幡電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】荻野 尚吾
(72)【発明者】
【氏名】荒木 康祐
【審査官】児玉 由紀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0179606(US,A1)
【文献】米国特許第04830531(US,A)
【文献】特開2016-000912(JP,A)
【文献】特開2021-110396(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0165964(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 23/00-43/02
F16B 5/00- 5/12
F16B 7/00- 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のリップ部を有するチャンネル材と被固定体とを連結するための連結金具であって、
前記チャンネル材は、前記被固定体に交差する状態で当該被固定体の下方に配置されるものであり、
前記被固定体を保持する第一保持部と、
前記第一保持部
よりも下方に設けられ、前記チャンネル材を保持する第二保持部と、
前記第一保持部と
前記第二保持部とを連結
する連結部と、を備え、
前記第一保持部は、前記被固定体に対して上方から当接配置される第一外側当接部を有し、
前記第二保持部は、貫通孔を有し一対の前記リップ部に対して外側から当接配置される
第二外側当接部と、螺合孔を有し一対の前記リップ部に対して内側から当接配置される内側当接部と、前記貫通孔に挿通された状態で先端側が前記螺合孔に螺合される締付ボルトと、を有し、
前記第一外側当接部と前記連結部と前記第二外側当接部とが、前記連結部が前記第一外側当接部と前記第二外側当接部とを上下に繋ぐようにZ字状に一体的に形成され、
前記内側当接部は、長手方向に沿う長さが一対の前記リップ部間の間隔よりも長く、かつ、短手方向に沿う長さが一対の前記リップ部間の間隔よりも短く形成され、
前記第二保持部が、前記
第二外側当接部と前記内側当接部とに亘って配置された回転付勢部材と、前記回転付勢部材の反力を支持する状態で前記内側当接部の回転を規制する反力支持部と、をさらに有し、
予め定められた解除操作がなされた場合に、前記反力支持部による回転規制が解除され、前記回転付勢部材の反力によって前記内側当接部の向きが変化する連結金具。
【請求項2】
前記第二保持部が、前記
第二外側当接部と前記内側当接部とを互いに近接させるように付勢する弾性部材をさらに備える請求項1に記載の連結金具。
【請求項3】
前記内側当接部は、底板部と、前記底板部から立設された一対の側壁部と、を有
する断面上向きコの字状に形成されている請求項1又は2に記載の連結金具。
【請求項4】
前記反力支持部が、一対の前記側壁部の少なくとも一方に当接するように前記
第二外側当接部から前記内側当接部側に向かって屈曲形成された屈曲片で構成されている請求項
3に記載の連結金具。
【請求項5】
前記屈曲片に被係止部が設けられており、前記回転付勢部材の一端が前記被係止部に係止されている請求項
4に記載の連結金具。
【請求項6】
前記内側当接部は、底板部と、前記底板部から立設された一対の側壁部と、を有し、
前記反力支持部が、前記
第二外側当接部に取り付けられた中間部材に、一対の前記側壁部の少なくとも一方に当接するように設けられた支持片で構成されている請求項1に記載の連結金具。
【請求項7】
前記回転付勢部材が、前記内側当接部における前記底板部と一対の前記側壁部とで区画される空間に配置されている請求項3に記載の連結金具。
【請求項8】
前記回転付勢部材の一端が、前記底板部と前記側壁部との隅部に沿って係止されている請求項7に記載の連結金具。
【請求項9】
前記第二外側当接部が、上方に向かって隆起する隆起部を有し、
前記締付ボルトが締め付けられた状態で、前記第二外側当接部の上面と前記隆起部の最上点との間の空間に前記弾性部材が圧縮状態で収容される請求項2に記載の連結金具。
【請求項10】
前記弾性部材が円錐コイルばねである請求項2又は9に記載の連結金具。
【請求項11】
前記第一保持部が、前記被固定体に対して前記連結部とは反対側から係止する係止片をさらに有する請求項1に記載の連結金具。
【請求項12】
前記チャンネル材は、それぞれの上端に前記リップ部が形成された一対の側壁を有し、
前記第二保持部が、前記チャンネル材の一対の前記側壁に対して外面側から係合する一対の係合片をさらに有する請求項1に記載の連結金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結金具に関する。
【背景技術】
【0002】
一対のリップ部を有するチャンネル材と被固定体とを連結するために、連結金具が用いられている。このような連結金具の一例として、2つのチャンネル材どうし、すなわちチャンネル材と他のチャンネル材(被固定体の一例)とを交差状に連結するものが、実開平4-126005号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1の連結金具は、被固定体(他の長尺体12)を保持する第一保持部(挟込部材8+ナット13)と、第一保持部と一部共用され、チャンネル材(長尺体2)を保持する第二保持部(挟込部材8+係合ナット部材6)とを備えている。第二保持部は、チャンネル材の一対のリップ部(側縁部2A)に対して外側から当接配置される外側当接部(挟込部材8)と、一対のリップ部に対して内側から当接配置される内側当接部(係合ナット部材6)とを有している。
【0003】
特許文献1の連結金具では、内側当接部を、長手方向に沿う長さが一対のリップ部間の間隔よりも長く、かつ、短手方向に沿う長さが一対のリップ部間の間隔よりも短く形成することで、チャンネル材のいずれの位置にもスライドさせずに取付可能となっている。しかし、チャンネル材の中に内側当接部を挿入させる際と、その後チャンネル材の内部で一対のリップ部に当接可能とする際の少なくとも二回、手作業で内側当接部の向きを適正な向きに変えなければならないため、施工性の点で改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
チャンネル材と被固定体とを連結する際の施工性に優れた連結金具の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る連結金具は、
一対のリップ部を有するチャンネル材と被固定体とを連結するための連結金具であって、
前記被固定体を保持する第一保持部と、
前記第一保持部と連結され、前記チャンネル材を保持する第二保持部と、を備え、
前記第二保持部は、貫通孔を有し一対の前記リップ部に対して外側から当接配置される外側当接部と、螺合孔を有し一対の前記リップ部に対して内側から当接配置される内側当接部と、前記貫通孔に挿通された状態で先端側が前記螺合孔に螺合される締付ボルトと、を有し、
前記内側当接部は、長手方向に沿う長さが一対の前記リップ部間の間隔よりも長く、かつ、短手方向に沿う長さが一対の前記リップ部間の間隔よりも短く形成され、
前記第二保持部が、前記外側当接部と前記内側当接部とに亘って配置された回転付勢部材と、前記回転付勢部材の反力を支持する状態で前記内側当接部の回転を規制する反力支持部と、をさらに有し、
予め定められた解除操作がなされた場合に、前記反力支持部による回転規制が解除され、前記回転付勢部材の反力によって前記内側当接部の向きが変化する。
【0007】
この構成によれば、解除操作がなされるまでは内側当接部の姿勢が一定に維持されるので、これを容易にチャンネル材の延在方向に沿う姿勢とすることができ、向き調整を行うことなく内側当接部をチャンネル材に挿入することができる。内側当接部の挿入後、解除操作を行うことで、反力支持部による内側当接部の回転規制が解除されて、回転付勢部材の反力によって内側当接部の向きが変化し、チャンネル材の幅方向に沿う姿勢とすることができる。よって、予め定められた簡単な解除操作を行うだけで、チャンネル材の内部で内側当接部を一対のリップ部に当接可能とすることができる。その後、締付ボルトを締め付ければ、外側当接部と内側当接部とで一対のリップ部を挟み込んで第二保持部によりチャンネル材を簡単に保持することができる。従って、チャンネル材と被固定体とを連結する際の施工性を向上させることができる。
【0008】
以下、本発明の好適な態様について説明する。但し、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定される訳ではない。
【0009】
一態様として、
前記第二保持部が、前記外側当接部と前記内側当接部とを互いに近接させるように付勢する弾性部材をさらに備えることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、弾性部材の付勢力によって外側当接部と内側当接部との間に一対のリップ部を挟み込み、締付ボルトの締付前であってもチャンネル材を仮保持することができる。また、反力支持部が外側当接部に設けられる場合に、弾性部材の付勢力によって内側当接部を反力支持部側に付勢して、内側当接部をチャンネル材の延在方向に沿う姿勢に適切に維持させることができる。
【0011】
一態様として、
前記内側当接部は、底板部と、前記底板部から立設された一対の側壁部と、を有し、
前記反力支持部が、一対の前記側壁部の少なくとも一方に当接するように前記外側当接部から前記内側当接部側に向かって屈曲形成された屈曲片で構成されていることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、内側当接部を断面コの字状に形成するとともに外側当接部の一部を内側当接部側に向かって屈曲形成するだけで、簡易な構造で、反力支持部とそれによって適切に回転規制及び規制解除される内側当接部とを実現することができる。
【0013】
一態様として、
前記屈曲片に被係止部が設けられており、前記回転付勢部材の一端が前記被係止部に係止されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、回転付勢部材の反力を外側当接部で適切に受けることができる。回転付勢部材の他端を内側当接部に適切に係止させることで、反力支持部による内側当接部の回転規制が解除された際に、回転付勢部材の反力により、内側当接部をチャンネル材の幅方向に沿う姿勢へと適切に姿勢変化させることができる。
【0015】
一態様として、
前記内側当接部は、底板部と、前記底板部から立設された一対の側壁部と、を有し、
前記反力支持部が、前記外側当接部に取り付けられた中間部材に、一対の前記側壁部の少なくとも一方に当接するように設けられた支持片で構成されていることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、外側当接部とは別体の中間部材を設けることで、外側当接部の構造の大きな改変を伴うことなく、反力支持部を具備させることができる。この場合において、内側当接部を断面コの字状に形成するとともに中間部材に支持片を設けるだけで、簡易な構造で、反力支持部とそれによって適切に回転規制及び規制解除される内側当接部とを実現することができる。
【0017】
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態の連結金具の使用状態を示す斜視図
【
図4】第二保持部の第二チャンネル材への取り付けに伴う動作説明図
【
図6】第二保持部の第二チャンネル材への取り付けに伴う動作説明図
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔第1実施形態〕
連結金具の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の連結金具1は、一対のリップ部93を有する長尺状の第二チャンネル材9と、一対のリップ部83を有する長尺状の第一チャンネル材8とを交差状に連結するための金具(交差連結金具)である。本実施形態の連結金具1は、水平面上で互いに直交する2つのチャンネル材8,9どうしをそれらの交差箇所において連結する。本実施形態では、第一チャンネル材8が「被固定体」に相当する。また、第二チャンネル材9が「チャンネル材」に相当し、この第二チャンネル材9のリップ部93が「リップ部」に相当する。
【0020】
第一チャンネル材8及び第二チャンネル材9としては、例えば断面C字状のリップ溝形鋼を用いる。第一チャンネル材8は、底板81と、この底板81から立設された一対の側壁82と、一対の側壁82のそれぞれの上端から連続して内向きに延びる一対のリップ部83とを有する。以下では、第一チャンネル材8が延びる方向を「延在方向L1」と言い、底板81に沿って延在方向L1に直交する方向を「幅方向W1」と言う。一対のリップ部83は、それぞれの先端側が下方に向かってやや傾斜する状態で、幅方向W1に向かい合うように設けられている。
【0021】
同様に、第二チャンネル材9は、底板91と、この底板91から立設された一対の側壁92と、一対の側壁92のそれぞれの上端から連続して内向きに延びる一対のリップ部93とを有する。以下では、第二チャンネル材9が延びる方向を「延在方向L2」と言い、底板91に沿って延在方向L2に直交する方向を「幅方向W2」と言う。一対のリップ部93は、それぞれの先端側が下方に向かってやや傾斜する状態で、幅方向W2に向かい合うように設けられている。
【0022】
第一チャンネル材8は、延在方向L1の複数箇所で構造体から垂設された吊ボルトに固定され、構造体から吊下支持されている。第二チャンネル材9は、延在方向L2の複数箇所で構造体から垂設された吊ボルトに固定され、構造体から吊下支持されている。そして、第一チャンネル材8及び第二チャンネル材9は、縦横に延びる例えばケーブルラックやダクト等の吊設機器を、下方から支持している。
【0023】
図1~
図3に示すように、連結金具1は、第一保持部2と、この第一保持部2と連結された第二保持部4とを備えている。第一保持部2と第二保持部4とは、第一保持部2を構成する第一外側当接部20と第二保持部4を構成する第二外側当接部40とが連結部35を介してZ字状に一体的に形成されることで、互いに連結されている。
【0024】
第一保持部2は、第一チャンネル材8を保持する。第一保持部2は、第一外側当接部20と第一内側当接部25と第一締付ボルト28とを主要構成として備えている。第一保持部2は、第一締付ボルト28を締め込むことにより、一対のリップ部83を第一外側当接部20と第一内側当接部25とで挟み込んで第一チャンネル材8を保持する。
【0025】
図1に示すように、第一外側当接部20は、一対のリップ部83に対して外側から当接配置される。
図2及び
図3に示すように、第一外側当接部20は、矩形板状に形成された外側本体21を主体として構成されている。外側本体21には、貫通孔21aが形成されている。この貫通孔21aには、第一締付ボルト28の軸部が挿通される。外側本体21は、側壁82に沿って上下に延びる矩形板状の連結部35を介して、第二保持部4を構成する第二外側当接部40と一体的に連結されている。第一外側当接部20は、外側本体21から下方に向けて屈曲形成された係止片22を有している。本実施形態では、係止片22は、矩形状の外側本体41における、第二外側当接部40に連結される側(連結部35側)とは反対側の辺部に設けられている。係止片22は、一対のリップ部83に第一外側当接部20が当接されるとき、側壁82の外面に係合して、第一チャンネル材8の姿勢を安定化させる。
【0026】
第一内側当接部25は、一対のリップ部83に対して内側から当接配置される。
図3に示すように、第一内側当接部25は、平行四辺形状に形成された内側本体26で構成されている。内側本体26には、内面に雌ネジ部を備えた螺合孔26aが形成されている。この螺合孔26aには、第一締付ボルト28の先端が螺合される。第一内側当接部25を構成する内側本体26は、第一方向Aに沿う長さが一対のリップ部83間の間隔D1(
図1を参照)よりも長く、かつ、第一方向Aに直交する第二方向Bに沿う長さが一対のリップ部83間の間隔D1よりも短く形成されている。本実施形態では、平行四辺形状の内側本体26における一組の対辺に平行な方向が第一方向Aであり、それに直交する方向が第二方向Bである。この場合、第一内側当接部25の第二方向Bに沿う長さは、一組の対辺間の離間長さであり、第一内側当接部25の第一方向Aに沿う長さは、より離れた位置関係となる対向する頂点を通り、かつ、一組の対辺にそれぞれ直交する2つの仮想線どうしの間隔となる。
【0027】
第一締付ボルト28は、第一外側当接部20を構成する外側本体21の貫通孔21aに挿通された状態で、その先端側が、第一内側当接部25を構成する内側本体26の螺合孔26aに螺合される。本実施形態では、貫通孔21aの内径は、第一締付ボルト28の軸部の外径よりも大きい。このため、螺合孔26aに螺合されることによって第一締付ボルト28と連結される第一内側当接部25は、それ自体、第一締付ボルト28と共に回転自在となっている。
【0028】
本実施形態では、第一内側当接部25に回転誘導部材30が取り付けられている。回転誘導部材30は、第一内側当接部25とは別体として構成されているとともに、第一内側当接部25に対して着脱自在に構成されている。回転誘導部材30は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、及びポリスチレン等の樹脂材料で形成することができる。本実施形態の回転誘導部材30は、第一回転誘導部31と第二回転誘導部32とを備えている。
【0029】
第一回転誘導部31は、第一内側当接部25が第一チャンネル材8の外に位置する状態で、第一チャンネル材8への相対近接移動に伴って第一内側当接部25を回転させる。第一回転誘導部31は、第一内側当接部25の当初の姿勢によらずに、第一方向Aが第一チャンネル材8の延在方向L1に沿う状態となる(すなわち、第二方向Bが第一チャンネル材8の幅方向W2に沿う状態となる)ように、当該第一内側当接部25を回転させる。第一内側当接部25は第二方向Bに沿う長さが一対のリップ部83間の間隔D1よりも短いため、その状態で、そのまま第一内側当接部25を第一チャンネル材8の内部へと挿入することができる。
【0030】
第二回転誘導部32は、第一内側当接部25が第一チャンネル材8の内部に位置する状態で、第一チャンネル材8の内部でのさらなる進入移動に伴って第一内側当接部25を回転させる。第二回転誘導部32は、第一方向Aが第一チャンネル材8の延在方向L1に沿う状態から幅方向W1に沿う状態となるように、第一内側当接部25を回転させる。第一内側当接部25は第一方向Aに沿う長さが一対のリップ部83間の間隔D1よりも長いため、その状態で、第一内側当接部25が第一チャンネル材8の一対のリップ部83に対して下方から当接可能となる。これにより、第一チャンネル材8の仮止めをすることができる。
【0031】
第二保持部4は、第一保持部2と連結されており、第二チャンネル材9を保持する。第二保持部4は、第二外側当接部40と第二内側当接部45と第二締付ボルト48とを主要構成として備えており、本実施形態に特有の構成として、弾性部材50と回転付勢部材55と反力支持部RSとをさらに備えている。第二保持部4は、第二締付ボルト48を締め込むことにより、一対のリップ部93を第二外側当接部40と第二内側当接部45とで挟み込んで第二チャンネル材9を保持する。本実施形態では、第二外側当接部40が「外側当接部」に相当し、第二内側当接部45が「内側当接部」に相当し、第二締付ボルト48が「締付ボルト」に相当する。
【0032】
図1に示すように、第二外側当接部40は、一対のリップ部93に対して外側から当接配置される。
図2及び
図3に示すように、第二外側当接部40は、矩形板状に形成された外側本体41を主体として構成されている。外側本体41には、貫通孔41aが形成されている。この貫通孔41aには、第二締付ボルト48の軸部が挿通される。外側本体41は、連結部35を介して、第一保持部2を構成する第一外側当接部20と一体的に連結されている。第二外側当接部40は、外側本体41から下方に向けて屈曲形成された係合片42を有している。本実施形態では、係合片42は、矩形状の外側本体41における、第一保持部2を構成する第一外側当接部20に連結される辺部に隣接する一対の辺部に設けられている。係合片42は、一対のリップ部93に第二外側当接部40が当接されるとき、側壁92の外面に係合して、第二チャンネル材9の姿勢を安定化させる。
【0033】
本実施形態では、第二外側当接部40は、外側本体41から下方に向けて屈曲形成された屈曲片43をさらに有している。屈曲片43は、矩形状の外側本体41における、第一保持部2を構成する第一外側当接部20に連結される辺部とは反対側の辺部に設けられている。屈曲片43の幅は、第二内側当接部45を構成する一対の側壁部47間の間隔よりもやや狭く設定されている。また、屈曲片43の長さは、第二内側当接部45を構成する一対の側壁部47の高さよりも短く設定されている。このため、屈曲片43は、第二内側当接部45を構成する底板部46と一対の側壁部47とで区画される空間内に収まる大きさである。
【0034】
屈曲片43には、小孔43aが形成されている。小孔43aは、屈曲片43の根元部分における中央部に形成されている。この小孔43aに、回転付勢部材55の一端が係止されている(
図2を参照)。回転付勢部材55の一端が、屈曲片43に形成された小孔43aを貫通して、屈曲片43の外面側における小孔43aの近傍に係止されている。
【0035】
第二内側当接部45は、一対のリップ部93に対して内側から当接配置される。第二内側当接部45は、底板部46と、この底板部46から立設された一対の側壁部47とを有する、断面上向きコの字状に形成されている。底板部46は、矩形状に形成されており、具体的には長方形状に形成されている。底板部46は、長手方向Xに沿う長さが一対のリップ部93間の間隔D2(
図1を参照)よりも長く、かつ、短手方向Yに沿う長さが一対のリップ部93間の間隔D2よりも短く形成されている。
【0036】
底板部46には、内面に雌ネジ部を備えた螺合孔46aが形成されている。この螺合孔46aには、第二締付ボルト48の先端が螺合される。また、矩形状の底板部46の四隅のうち、対角に位置する一対の隅部は、斜めに切り欠かれた切欠状隅部46cとなっている。このような切欠状隅部46cの存在により、第二内側当接部45は、第二チャンネル材9の内部で側壁92との干渉を避けて回転することができる。矩形状の底板部46の四隅のうち、残余の対角に位置する一対の隅部は、上記のような切欠のない通常隅部46bとなっている。通常隅部46bは、第二チャンネル材9の内部で第二内側当接部45が回転した際に、側壁92に当接してストッパー(回転規制部)として機能する。
【0037】
側壁部47は、底板部46における一対の長辺部分から立設されている。一対の側壁部47は、互いに平行に配置されており、それぞれ長手方向X及び上下方向に延在する平板状に形成されている。第二内側当接部45は、側壁部47の上端部で一対のリップ部93に対して内側から当接可能である。
【0038】
第二締付ボルト48は、ワッシャー49と第二外側当接部40を構成する外側本体41の貫通孔41aとに挿通された状態で、その先端側が、第二内側当接部45を構成する底板部46の螺合孔46aに螺合される。本実施形態では、貫通孔41aの内径は、第二締付ボルト48の軸部の外径よりも大きい。このため、螺合孔46aに螺合されることによって第二締付ボルト48と連結される第二内側当接部45は、それ自体、第二締付ボルト48と共に回転自在となっている。
【0039】
弾性部材50は、第二締付ボルト48に装着されている。本実施形態では、弾性部材50は、ワッシャー49と第二外側当接部40を構成する外側本体41との間に位置するように、第二締付ボルト48に装着されている。また、弾性部材50は、定常状態(外力が作用していない状態)に比べて圧縮された状態で、第二締付ボルト48に装着されている。これにより、弾性部材50は、第二外側当接部40から頭部を遠ざけるように第二締付ボルト48を付勢し、それに伴い、第二外側当接部40の下面側において、第二外側当接部40と第二内側当接部45とを互いに近接させる。本実施形態では、弾性部材50として、円錐コイルばねが用いられている。
【0040】
回転付勢部材55は、第二外側当接部40と第二内側当接部45とに亘って配置されており、第二外側当接部40と第二内側当接部45とを相対回転するように回転付勢する。本実施形態では、回転付勢部材55として捩りコイルバネが用いられている。回転付勢部材55(本例では捩りコイルバネ;以下同様)は、第二締付ボルト48に装着されている。本実施形態では、回転付勢部材55は、第二外側当接部40を構成する外側本体41と第二内側当接部45を構成する底板部46との間に位置するように、第二締付ボルト48に装着されている。回転付勢部材55は、第二内側当接部45を構成する底板部46と一対の側壁部47とで区画される空間に配置されている。回転付勢部材55の一端は、第二外側当接部40の屈曲片43に形成された小孔43aに係止されている。本実施形態では、小孔43aが「被係止部」に相当する。回転付勢部材55の他端は、底板部46と側壁部47との隅部(入隅部)に沿って係止されている。
【0041】
連結金具1を構成する第一保持部2(主に第一外側当接部20及び第一内側当接部25)及び第二保持部4(主に第二外側当接部40及び第二内側当接部45)は、金属材料で形成されている。これらは、例えば熱間圧延鋼板(SPH)を用いて形成され、より具体的には、熱間圧延軟鋼板(SPHC)を用いて形成されている。
【0042】
本実施形態において、第二チャンネル材9への取付前における第二内側当接部45は、弾性部材50によって第二締付ボルト48を介して第二外側当接部40側に付勢され、その内部に第二外側当接部40の屈曲片43が収まる状態にセットされている。また、第二内側当接部45は、回転付勢部材55に、第二締付ボルト48を軸として切欠状隅部46cの側を先頭として回転しようとする反力が生じている状態にセットされている。このような第二内側当接部45の状態は、弾性部材50の付勢力に抗しながら第二締付ボルト48を押し込み、一対の側壁部47が屈曲片43よりも下方に位置する状態で第二締付ボルト48を軸として通常隅部46bの側を先頭として回転させ、その後、一対の側壁部47間に屈曲片43が位置する状態で第二締付ボルト48の押し込みを解除することで実現できる。
【0043】
この状態では、第二外側当接部40から第二内側当接部45側に向かって屈曲形成された屈曲片43が、一対の側壁部47のうちの一方に当接して、第二内側当接部45の回転を規制している。そして、屈曲片43は、回転付勢部材55の反力を支持する状態で第二内側当接部45の回転を規制して当該第二内側当接部45の姿勢を維持させている。本実施形態では、屈曲片43により、回転付勢部材55の反力を支持する状態で第二内側当接部45の回転を規制する反力支持部RSが構成されている。
【0044】
連結金具1を第二チャンネル材9に取り付ける際には、
図4に示すように、まず第二外側当接部40の一対の係合片42と第二チャンネル材9の一対の側壁92とが平行となる向きで、第二チャンネル材9の上方から第二保持部4を載置する(左上コマを参照)。このとき、第二内側当接部45は、その長手方向Xが第二チャンネル材9の延在方向L2に沿う状態(言い換えれば、短手方向Yが第二チャンネル材9の幅方向W2に沿う状態)となっているから、そのまま、第二チャンネル材9への内部へと挿入することができる。
【0045】
第二締付ボルト48は、弾性部材50の付勢力により、その頭部が第二外側当接部40の上方に突出している。上方に突出した第二締付ボルト48は、本実施形態において一種の“起動スイッチ”として機能する。この“起動スイッチ”としての第二締付ボルト48を、弾性部材50の付勢力に抗して押し込むと(右上コマを参照)、第二締付ボルト48の先端に取り付けられている第二内側当接部45が第二チャンネル材9への内部でさらに奥へと進入する。このとき、一方の側壁部47は第二外側当接部40の屈曲片43に当接したままであり、第二内側当接部45は長手方向Xが第二チャンネル材9の延在方向L2に沿う状態に維持されたままである。なお、屈曲片43の下端部は、一対のリップ部93の下端部よりもさらに下方に位置している。
【0046】
第二締付ボルト48をさらに押し込むと、やがて第二内側当接部45が屈曲片43の下端部よりもさらに下方まで降下して、反力支持部RSとしての屈曲片43による回転規制が解除される(左下コマを参照)。すると、回転付勢部材55の反力によって第二内側当接部45が回転する。第二内側当接部45は、第二締付ボルト48を軸として、切欠状隅部46cの側を先頭として回転する。また、第二内側当接部45は、通常隅部46bが第二チャンネル材9の側壁92に当接してその回転が規制されるまで回転する。これにより、第二内側当接部45は、長手方向Xが第二チャンネル材9の延在方向L2に沿う姿勢から幅方向W2に沿う姿勢に変化する。本実施形態では、“起動スイッチ”としての第二締付ボルト48を弾性部材50の付勢力に抗して押し込む操作が、「解除操作」に相当する。
【0047】
第二内側当接部45が幅方向W2に沿う姿勢に変化した後、第二締付ボルト48の押込操作をやめると、弾性部材50の付勢力により、第二締付ボルト48の頭部が第二外側当接部40から離間するように押し上げられる。これに伴い、第二締付ボルト48の端部に取り付けられた第二内側当接部45が幅方向W2に沿う姿勢のまま押し上げられ、第二外側当接部40と第二内側当接部45とで一対のリップ部93が挟み込まれる(右下コマを参照)。これにより、第二締付ボルト48の緩締状態で、弾性部材50の付勢力によって第二外側当接部40と第二内側当接部45とで一対のリップ部93を挟み込んで第二チャンネル材9を仮保持することができる。
【0048】
このように、本実施形態の連結金具1によれば、解除操作がなされるまでは第二内側当接部45の姿勢が一定に維持されるので、第二内側当接部45を容易に第二チャンネル材9の延在方向L2に沿わせることができる。よって、向き調整を行うことなく第二内側当接部45を容易に第二チャンネル材9に挿入することができる。第二内側当接部45の挿入後、解除操作を行うことで、反力支持部RSによる第二内側当接部45の回転規制が解除されて、回転付勢部材55の反力によって第二内側当接部45が回転し、第二チャンネル材9の幅方向W2に沿う姿勢となる。さらに、弾性部材50の付勢力によって第二外側当接部40と第二内側当接部45とで一対のリップ部93を挟み込むことができる。よって、第二チャンネル材9に所定の向きで連結金具1を載置した後に予め定められた簡単な解除操作を行うだけで、半自動的に第二チャンネル材9を仮保持することができる。その後、工具を用いて第二締付ボルト48を締め付ければ、第二保持部4により第二チャンネル材9を簡単に保持することができる。従って、2つのチャンネル材8,9を連結する際の施工性を大幅に向上させることができる。
【0049】
〔第2実施形態〕
連結金具の第2実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、第一保持部2及び反力支持部RSの具体的構成が第1実施形態とは異なっている。以下、本実施形態の連結金具1について、主に第1実施形態との相違点について説明する。なお、特に明記しない点に関しては、第1実施形態と同様であり、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0050】
図5に示すように、本実施形態の第一保持部2は、上記第1実施形態における第二保持部4を構成する第二内側当接部45と同様の構成の第一内側当接部25を備えている。すなわち、本実施形態の第一内側当接部25は、底板部と、この底板部から立設された一対の側壁部とを有する、断面コの字状に形成されている。本実施形態では、第一内側当接部25には回転誘導部材30は取り付けられていない。このような構成では、第一チャンネル材8の内部への第一内側当接部25の挿入やその後の固定時には、手動で第一内側当接部25を回転操作することになる。
【0051】
第二保持部4は、上記第1実施形態と同様、第二外側当接部40と第二内側当接部45と第二締付ボルト48と回転付勢部材55とを備えている。一方、本実施形態の第二保持部4は、弾性部材50及び反力支持部RSを備えておらず、これらの機能を代替するものとして中間部材6を備えている。中間部材6は、金属材料で形成されている。中間部材6は、例えば熱間圧延鋼板(SPH)を用いて形成され、より具体的には、熱間圧延軟鋼板(SPHC)を用いて形成されている。
【0052】
中間部材6は、第二保持部4を構成する第二外側当接部40及び第二内側当接部45とは別体として構成され、第二外側当接部40に取り付けられている。中間部材6は、係止部61と板バネ部62と連結部63と支持片64とを有する。これらは、一体的に形成されている。
【0053】
係止部61は、第二外側当接部40に係止される部位である。係止部61は、フック状に形成されて、第二外側当接部40を構成する矩形状の外側本体41における連結部35とは反対側の辺部に係止されている。板バネ部62は、係止部61の両端部からそれぞれ連結部35側に向かって延びるように一対設けられている。板バネ部62は、係止部61から連結部35側に向かうに従って外側本体41から離れるように傾斜している。一対の板バネ部62は、係止部61から第二締付ボルト48を越えて反対側(連結部35側)まで延びており、その反対側で連結部63によって連結されている。連結部63は、外側本体41と平行に配置される。支持片64は、連結部63の中央部から下方に突出形成されている。支持片64は、第二内側当接部45を構成する底板部46と一対の側壁部47とで区画される空間内に収まる大きさである。
【0054】
支持片64は、板バネ部62の定常状態(外力が作用していない状態)で、一対の側壁部47間に配置される。そして、支持片64は、回転付勢部材55に反力が生じている場合には、その反力を支持する状態で第二内側当接部45の回転を規制して当該第二内側当接部45の姿勢を維持させる。本実施形態では、中間部材6の支持片64により、回転付勢部材55の反力を支持する状態で第二内側当接部45の回転を規制する反力支持部RSが構成されている。
【0055】
連結金具1を第二チャンネル材9に取り付ける際には、
図6に示すように、まず第二外側当接部40の一対の係合片42と第二チャンネル材9の一対の側壁92とが平行となる向きで、第二チャンネル材9の上方から第二保持部4を載置する(上段を参照)。このとき、第二内側当接部45は、その長手方向Xが第二チャンネル材9の延在方向L2に沿う状態(言い換えれば、短手方向Yが第二チャンネル材9の幅方向W2に沿う状態)となっているから、そのまま、第二チャンネル材9への内部へと挿入することができる。
【0056】
第二外側当接部40及び第二締付ボルト48は、中間部材6(具体的には、“付勢部”としての板バネ部62)の付勢力により、全体が第二チャンネル材9よりも上方に位置している。上方に位置する第二外側当接部40及び第二締付ボルト48の全体は、本実施形態において一種の“起動スイッチ”として機能する。この“起動スイッチ”としての第二外側当接部40及び第二締付ボルト48を、板バネ部62の付勢力に抗して押し込むと、中間部材6の支持片64の位置は不変のまま、第二締付ボルト48の先端に取り付けられている第二内側当接部45が第二チャンネル材9への内部でさらに奥へと進入する。
【0057】
やがて第二内側当接部45が支持片64の下端部よりもさらに下方まで降下すると、反力支持部RSとしての支持片64による回転規制が解除される(中段を参照)。すると、回転付勢部材55の反力によって第二内側当接部45が回転して、第二内側当接部45は、長手方向Xが第二チャンネル材9の延在方向L2に沿う姿勢から幅方向W2に沿う姿勢に変化する。本実施形態では、“起動スイッチ”としての第二外側当接部40及び第二締付ボルト48の全体を中間部材6の板バネ部62の付勢力に抗して押し込む操作が、「解除操作」に相当する。
【0058】
第二内側当接部45が幅方向W2に沿う姿勢に変化した後、第二外側当接部40及び第二締付ボルト48の押込操作をやめると、板バネ部62の反力により、第二外側当接部40及び第二締付ボルト48が再度押し上げられる。これに伴い、第二締付ボルト48の端部に取り付けられた第二内側当接部45が幅方向W2に沿う姿勢のまま押し上げられ、中間部材6の連結部63と第二内側当接部45とで一対のリップ部93が挟み込まれる(下段を参照)。これにより、第二締付ボルト48の緩締状態で、板バネ部62の反力によって連結部63と第二内側当接部45とで一対のリップ部93を挟み込んで第二チャンネル材9を仮保持することができる。
【0059】
その後、工具を用いて第二締付ボルト48を締め付ければ、中間部材6を介して第二外側当接部40と第二内側当接部45とで一対のリップ部93を挟み込む状態となり、第二保持部4により第二チャンネル材9を簡単に保持することができる。本実施形態の連結金具1でも、2つのチャンネル材8,9を連結する際の施工性を大幅に向上させることができる。
【0060】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の各実施形態では、反力支持部RSが第二外側当接部40の一部(屈曲片43)又は中間部材6の一部(支持片64)で構成されている例について説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば反力支持部RSが第二外側当接部40や中間部材6とは別体で構成されて、当該第二外側当接部40又は中間部材6に固定されていても良い。
【0061】
(2)上記の第1実施形態では、第二締付ボルト48に弾性部材50が装着されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、連結金具1に弾性部材50が備えられなくても良い。
【0062】
(3)上記の第1実施形態では、第二外側当接部40の屈曲片43に小孔43aが形成され、その小孔43aに回転付勢部材55の一端が係止されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、回転付勢部材55の一端が、例えば外側本体41と屈曲片43との隅部(入隅部)に係止されるだけでも良い。このような構成では、当該入隅部が「被係止部」に相当する。或いは、回転付勢部材55は、その一端が第二外側当接部40のいずれかの部位に接合等によって固定されていても良い。
【0063】
(4)上記の各実施形態では、回転付勢部材55として捩りコイルバネを用いる構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第二外側当接部40と第二内側当接部45とに亘って配置され、これらを相対回転するように回転付勢できるものであれば、回転付勢部材55として他の手段を用いることも可能である。回転付勢部材55の他の例としては、例えば引張コイルバネや圧縮コイルバネ、板バネ、棒状ゴム、伸縮ゴム等を例示することができる。これらは、第二内側当接部45が反力支持部RSによって支持された状態で、第二締付ボルト48を軸として切欠状隅部46cの側を先頭として回転しようとする反力が生じるように設けられる。
【0064】
(5)上記の各実施形態では、水平面上で互いに直交する2つのチャンネル材8,9どうしをそれらの交差箇所において連結する連結金具1を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、本開示の技術は、例えば上記の各実施形態における第二チャンネル材9と、上下方向に沿って配置される他のチャンネル材とを交差状に連結する場合にも同様に適用することができる。また、2つのチャンネル材どうしの連結に限らず、例えば上記の各実施形態における第二チャンネル材9と、ボルト材(例えば構造体から垂設された吊ボルト等)とを交差状に連結する場合にも同様に適用することができる。この場合、ボルト材が「被固定体」に相当する。また、第二チャンネル材9と他の長尺状の「被固定体」とを連結する場合において、それらを交差させるのではなく、互いに平行に連結する場合にも同様に適用することができる。さらに、例えばケーブル等の他の部材を支持するフック状の支持部材を上記の各実施形態における第二チャンネル材9に固定する場合等にも同様に適用することができる。この場合、非長尺状部材であるフック状の支持部材が「被固定体」に相当する。第一保持部2の具体的構成は、「被固定体」の形状に応じて決定することができる。
【0065】
(6)上述した各実施形態(上記の実施形態及びその他の実施形態を含む;以下同様)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 連結金具
2 第一保持部
4 第二保持部
6 中間部材
8 第一チャンネル材(被固定体)
9 第二チャンネル材(チャンネル材)
20 第一外側当接部
21a 貫通孔
25 第一内側当接部
26a 螺合孔
28 第一締付ボルト
40 第二外側当接部(外側当接部)
41a 貫通孔
43 屈曲片
43a 小孔(被係止部)
45 第二内側当接部(内側当接部)
46a 螺合孔
47 側壁部
48 第二締付ボルト(締付ボルト)
50 弾性部材
55 回転付勢部材
62 板バネ部
64 支持片
93 リップ部(リップ部)
X 長手方向
Y 短手方向
L2 第二チャンネル材の延在方向
W2 第二チャンネル材の幅方向
D2 第二チャンネル材の一対のリップ部間の間隔
RS 反力支持部
【要約】
【課題】チャンネル材と被固定体とを連結する際の施工性に優れた連結金具を実現する。
【解決手段】連結金具は、被固定体を保持する第一保持部とチャンネル材(9)を保持する第二保持部(4)とを備える。第二保持部(4)は、一対のリップ部(93)に対して外側から当接配置される外側当接部(40)と、内側から当接配置される内側当接部(45)とを有し、内側当接部(45)は、長手方向(X)に沿う長さが一対のリップ部(93)間の間隔よりも長く、かつ、短手方向(Y)に沿う長さが一対のリップ部(93)間の間隔よりも短く形成される。予め定められた解除操作がなされた場合に、反力支持部(RS)による回転規制が解除され、回転付勢部材(50)の反力によって内側当接部(45)の向きが変化する。
【選択図】
図4