(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】リアルタイム小型光ビームプロファイル測定装置
(51)【国際特許分類】
G01J 1/02 20060101AFI20230517BHJP
【FI】
G01J1/02 L
(21)【出願番号】P 2022011309
(22)【出願日】2022-01-11
【審査請求日】2022-03-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500433340
【氏名又は名称】株式会社ウェイブサイバー
(72)【発明者】
【氏名】白山 大地
(72)【発明者】
【氏名】余田 衛
(72)【発明者】
【氏名】森田 隆一
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-32781(JP,U)
【文献】特開平10-274559(JP,A)
【文献】米国特許第6313910(US,B1)
【文献】特表2015-535596(JP,A)
【文献】特開2017-227615(JP,A)
【文献】特開平7-113686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00 - G01J 1/60
G01J 11/00
H01S 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項3】
紫外域と赤外域の被測定光ビームの光路上に入射口から前記受光素子までの間に可視光のみ反射するバンドパスフィルターを設置し、前記バンドパスフィルターに向かって、前記回転円盤に対し支障のない場所に可視コリメータ光源を設置し、前記バンドパスフィルターに反射された可視光ビームが測定装置の光軸のガイド光として用いることを特徴とする請求項1に記載の光ビームプロファイル測定装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ビームプロファイル測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製造現場では光学系調整のため、光ビームの状況を正確に把握しなければならない場合が多い。従来、光ビーム径を測定する方法としては、
図2に示すように被測定光ビームの光軸を走査する面内で被測定光ビームを横切るように配置された回転ドラムの側面に三つ以上のナイフエッジまたはスリットを異なる向き角度で設け、回転ドラムの回転により、回転ドラムの内側に設置した受光素子を用いて光パワーの変化量を計測することで、ビーム径と中心位置の算出を行っていた。また、ビームの光軸向き角や広がり特性を測定するには通常ビームプロファイル測定ヘッドに往復移動機構を設けて、光伝播方向に沿って少なくとも3箇所に移動させ、各箇所でビーム径と中心位置を測定し、光ビームの向き角度やビームの広がり角度などの特性を算出していた。測定ヘッドの移動が時間を要するので、リアルタイムでの測定は不可能でした。また、特許(第6899524号)
図3では上記測定時間が掛かる問題を解決することが出来るが、外径が大型になるのは欠点である。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、測定ヘッドを往復移動する機構が不要で狭い場所の設置もでき、光ビームの伝播方向、ビームウェスト位置、ビームの広がり角等をリアルタイムに精度良く測定する技術が求められている。現存技術ではこれらの課題をすべて解決することが出来ない。
【0004】
本発明は前記課題を解決するためのものであり、小型で簡単な機構を用いて、被測定光ビームの伝播方向、ビームウェスト位置、ビーム広がり角等の特性をリアルタイムで精度良く測定できる装置の実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明の光ビームプロファイル測定装置(
図4)では、被測定光ビームを横切る回転円盤(
図1)の表面に少なくとも9個の異形穴を設け、そのうち3個のナイフエッジ14a、14b、14cと6個の通光口13a、13b、13c、13d、13e、13fを設け、更に前記回転円盤を3枚とし、それぞれモータ18と繋がる回転シャフト12に回転方向に120度ずつずらしながら一定の間隔D1とD2でAとBとCの三箇所に固定し、更に光ビームの伝播方向の前記三枚
の回転円盤の遠方の外側に受光素子16を配置する。前記三枚
の回転円盤の一回転で入射する光ビームの伝播軸上AとBとCの三箇所をナイフエッジの通過により入射ビームのプロファイルが測定できる。
【0006】
また、受光素子で変換した走査受光出力信号がコンピュータの算術処理により被測定光ビームの中心座標を算出し、AとBとCの三箇所に配置した前記三枚の回転円盤の間隔データD1とD2を利用して被測定光ビームの向き角度や広がり角度が容易に算出できる。
【0007】
更に、被測定光ビームの光路上に入射口から受光素子16までの間に可視光のみ反射するバンドパスフィルター11を設置し、前記バンドパスフィルター11に向かって、前記回転円盤に対し支障のない場所に可視光源15を設置し、前記可視光源15から出射されたコリメータビームが、前記バンドパスフィルター11に反射され、被測定光ビームの入射口から出射される。出射された可視光コリメータビームは、測定装置のガイド光として利用でき、本発明のビームプロファイル測定装置の設置が容易になる。
【0008】
前記回転円盤の表面に設けた3個のナイフエッジの穴14a、14b、14cと前記6個の通光口13a、13b、13c、13d、13e、13fは同一回転円周上に展開することが必須である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の光ビームプロファイル測定装置では、被測定光ビームを横切る前記回転円盤(
図1)の数を3枚とし、それぞれ回転方向に120度ずつずらしながら、円盤間を一定の間隔D1とD2で、同じ回転シャフト12にAとBとC三箇所にそれぞれ固定し、更に被測定光ビームの伝播方向の前記三枚
の回転円盤の遠方の外側に受光素子16を配置する。前記回転円盤の一回転で被測定光ビームの伝播軸上AとBとCの三箇所をナイフエッジの通過することにより被測定光ビームプロファイルが測定できる。測定データをコンピュータの算術処理することにより被測定光のビームウェスト位置、ビーム広がり角度及び向き角をリアルタイムで算出することができる。
【0010】
一方、光ビーム径の定義によると光ビームの伝播方向に直交した面内における光強度の分布により、強度が最大強度の半分となるときの直径をビーム径とする半値全幅(full-width half-maximum,FWHM)もよく用いられるが、強度分布が中心対称であるガウシアンビームの場合、光強度が最大強度の1/e2になるときの直径をビーム径とする定義もある。よって、バンドパスフィルター11の面内光透過率の均一性が確保できれば、前記バンドパスフィルター11の挿入が光ビーム径や中心位置の測定に与える影響は無視できる。
【実施例1】
【0011】
図5は本発明の実施例1の構造図である。本発明の光ビームプロファイル測定装置では、被測定光ビームを横切る前記回転円盤(
図1)の数を3枚とし、それぞれ回転方向に120度ずつずらしながら、円盤間の間隔をD1とD2とし、同じ回転シャフト12のAとBとCの三箇所にそれぞれ固定し、更に被測定光ビームの伝播方向の前記三枚
の回転円盤の遠方の外側に受光素子16を配置する。前記回転円盤の一回転で被測定光ビームの伝播軸上AとBとCの三箇所をナイフエッジの通過することにより被測定光ビームプロファイルが測定できる。測定データをコンピュータの算術処理することにより被測定光のビームウェスト位置、ビーム広がり角度及び向き角などをリアルタイムで算出することができる。
【0012】
また紫外域と赤外域の被測定光ビームに対して、
図5の示すように、入射光路上前記三枚の回転円盤のいずれかの間に可視光のみ反射するバンドパスフィルター11
を設置し、前記バンドパスフィルター11に向かって、前記回転円盤に対し支障のない場所に可視光源15を設置し、前記可視光源15から出射されたコリメータビームが前記バンドパスフィルター11に反射され、被測定光ビームの入射口から出射される。出射された可視光コリメータビームは、被測定光ビームの入射の際のガイド光として利用でき、被測定光ビームの位置合わせが容易にできることが特徴とする光ビームプロファイル測定装置である。
【0013】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明はレーザビームの光軸調整や光通信用の送受信モジュールのコリメータビームの調整更に光焦点位置の測定にも利用できる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明のビームプロファイル測定装置によれば、一つの受光センサーで、測定器ヘッドを往復移動することがなく、被測定光ビームの伝播軸上三箇所でのビーム径とビーム中心座標及び強度分布、更に被測定光ビームの伝播方向角度をリアルタイムで測定することができる。更に測定ヘッドの内部から外に向け可視のガイド光ビームが出射することが出来る。更に本発明は三枚の回転円盤の被測定光ビームの伝播方向に順番に展開することにより、本発明のビームプロファイル測定装置の横サイズが小さくなることが特徴となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】回転円盤の表面に配置したナイフエッジ穴と通光穴図である。
【
図2】従来光ビームプロファイル測定装置を示す構造図である。
【
図3】特許(第6899524号)に係る装置の概略構成を示す図である。
【
図4】本発明の光ビームプロファイル測定装置を示す原理図である。
【
図5】本発明の実施例に係る装置の概略構成を示す3D図である。
【
図6】ナイフエッジの光ビーム走査位置関係を示す図である。
【符号の説明】
10:回転円盤
11:バンドパスフィルター
12:回転シャフト
13a、13b、13c、13d、13e、13f:通光口
14a、14b、14c:ナイフエッジ
15:可視光光源
16、17:受光素子
18:モータ
A、B、C:ナイフエッジにより光ビームの横切る位置
D1、D2:回転円盤の間隔
【要約】 (修正有)
【課題】小型で簡単な機構を用いて、被測定光ビームの伝播方向、ビームウェスト位置、ビーム広がり角等の特性をリアルタイムで精度良く測定できる装置の実現。
【解決手段】回転円盤の表面に3個のナイフエッジと6個の通光口を設け、回転円盤を3枚とし、それぞれ回転方向に120度ずつずらしながら、モータ18と繋がる回転シャフト12に一定の間隔で三箇所に固定し、更に被測定光ビームの伝播方向の前記三枚回転円盤の遠方の外側に受光素子を配置する。回転円盤の一回転でナイフエッジが被測定光ビームの伝播軸上三箇所の光ビームの断面をそれぞれ走査し、被測定光ビームのプロファイルがリアルタイムで精度良く測定できる。
【選択図】
図5