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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】流量調整弁及び冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/70 20060101AFI20230517BHJP
   F16K 31/68 20060101ALI20230517BHJP
   H05K 7/20 20060101ALN20230517BHJP
【FI】
F16K31/70 A
F16K31/68 R
H05K7/20 M
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020151478
(22)【出願日】2020-09-09
(65)【公開番号】P2022045732
(43)【公開日】2022-03-22
【審査請求日】2022-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100182545
【弁理士】
【氏名又は名称】神谷 雪恵
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100213757
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 詩人
(72)【発明者】
【氏名】横田 純一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 裕正
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-079705(JP,A)
【文献】特開2010-112616(JP,A)
【文献】実開昭56-111375(JP,U)
【文献】特開平04-316792(JP,A)
【文献】実開昭56-129669(JP,U)
【文献】特開2008-051439(JP,A)
【文献】特開平10-170105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/64-31/72
F16K 17/00-17/168
F25B 41/20
F25B 41/335
F25B 41/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却対象の温度に応じて、通過する冷媒の流量を調整する流量調整弁であって、
前記冷媒が導入される一次ポートと、
前記一次ポートから流入した前記冷媒を通過させる弁ポートを有する弁本体と、
前記弁本体に移動自在に設けられて前記弁ポートの開度を変更する弁体と、
前記弁ポートを通過した前記冷媒を送り出す二次ポートと、
前記弁体を駆動する駆動エレメントと、
周囲の温度に応じて変形する熱変形部材と、を備え、
前記駆動エレメントは、封入ガスが封入された封入空間を区画するための感圧部材を有し、前記封入空間の温度が高くなるほど弁開力が大きくなるように構成され、
前記熱変形部材は、周囲の温度上昇により、前記弁体に弁開方向の力を付与するように構成されていることを特徴とする流量調整弁。
【請求項2】
前記熱変形部材は、板状に形成され、保持部によって保持される被保持部と、弁開方向に向かって変位することで前記弁体に力を付与する付与部と、を有し、
前記付与部は、1又は複数の前記被保持部によって挟まれるか又は囲まれた領域に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の流量調整弁。
【請求項3】
前記熱変形部材は、板状に形成され、保持部によって保持される被保持部と、弁開方向に向かって変位することで前記弁体に力を付与する付与部と、を有し、
前記付与部は、前記被保持部を挟むか又は囲む領域に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の流量調整弁。
【請求項4】
前記熱変形部材が前記弁体に弁開方向の力の付与を開始する際の前記冷却対象の温度は、前記駆動エレメントの弁開力によって前記弁ポートの開度が最大となる際の前記冷却対象の温度よりも高いことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の流量調整弁。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の流量調整弁と、前記冷媒を所定方向に送り出す送流体手段と、前記冷媒を放熱する放熱手段と、前記冷媒を通過させるとともに前記冷却対象から受熱する受熱部と、を備え、前記流量調整弁と前記送流体手段と前記放熱手段とを接続する流路において前記冷媒を循環させることを特徴とする冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流量調整弁及び冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、冷媒を用いて冷却対象を冷却する冷却装置において、冷却対象の温度に応じて弁開度が調整されることにより冷媒の流量を調整可能な流量調整弁が設けられることがある。従来、このような流量調整弁として、弁自体にブリードポート作用を有する穴を設けた膨張弁が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された膨張弁では、弁に形成された穴を始動用圧力バランス穴として用いている。即ち、この膨張弁では、弁の全閉時においても低圧パイプ内の空間と高圧パイプ内の空間とが連通し、冷媒が通過可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭52-088063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
流量調整弁が設けられた冷却装置では、故障やトラブル等が発生した場合であっても、冷媒の流量を確保し、冷却を継続することが求められることがあった。例えば、弁体を駆動する駆動エレメントにおけるダイヤフラム等の感圧部材が破損することにより、弁開力又は弁閉力が生じなくなって弁体が移動不能となり、弁開度が調整不能な状態(以下、「調整不能状態」とする)となる可能性があった。このような場合でも、所定の流量を確保することが求められることがあった。そこで、特許文献1に記載されたように弁に穴を形成すれば、調整不能状態となっても穴の大きさに応じた流量の冷媒を通過させることができる。しかしながら、このように弁に穴を形成する構成では、穴の大きさが弁の大きさによって制限されてしまうため、冷媒の流量の確保が困難となる可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、調整不能状態において冷媒の流量を確保することができる流量調整弁及び冷却装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の流量調整弁は、冷却対象の温度に応じて、通過する冷媒の流量を調整する流量調整弁であって、前記冷媒が導入される一次ポートと、前記一次ポートから流入した前記冷媒を通過させる弁ポートを有する弁本体と、前記弁本体に移動自在に設けられて前記弁ポートの開度を変更する弁体と、前記弁ポートを通過した前記冷媒を送り出す二次ポートと、前記弁体を駆動する駆動エレメントと、周囲の温度に応じて変形する熱変形部材と、を備え、前記駆動エレメントは、封入ガスが封入された封入空間を区画するための感圧部材を有し、前記封入空間の温度が高くなるほど弁開力が大きくなるように構成され、前記熱変形部材は、周囲の温度上昇により、前記弁体に弁開方向の力を付与するように構成されていることを特徴とする。
【0007】
以上のような本発明によれば、調整不能状態において冷媒の流量が低下した場合に、冷却対象が冷却されにくくなり、熱変形部材の周囲の温度が上昇する。尚、熱変形部材の周囲の温度は、冷却対象の熱が直接的に伝わることで上昇してもよいし、冷却対象と熱交換することで温度上昇した冷媒によって上昇してもよい。このような温度上昇により熱変形部材が弁体に弁開方向の力を付与し、弁ポートの開度を大きくすることができる。従って、調整不能状態において冷媒の流量を確保することができる。
【0008】
この際、本発明の流量調整弁では、前記熱変形部材は、板状に形成され、保持部によって保持される被保持部と、弁開方向に向かって変位することで前記弁体に力を付与する付与部と、を有し、前記付与部は、1又は複数の前記被保持部によって挟まれるか又は囲まれた領域に形成されていることが好ましい。また、本発明の流量調整弁では、前記熱変形部材は、板状に形成され、保持部によって保持される被保持部と、弁開方向に向かって変位することで前記弁体に力を付与する付与部と、を有し、前記付与部は、前記被保持部を挟むか又は囲む領域に形成されていてもよい。このように熱変形部材を適宜に保持及び変位させる構成とすれば、弁体に対して弁開方向の力を容易に付与することができる。
【0009】
また、本発明の流量調整弁では、前記熱変形部材が前記弁体に弁開方向の力の付与を開始する際の前記冷却対象の温度は、前記駆動エレメントの弁開力によって前記弁ポートの開度が最大となる際の前記冷却対象の温度よりも高いことが好ましい。このような構成によれば、調整不能状態においては上記のように熱変形部材によって弁開方向の力を付与することができるとともに、弁体が通常に動作している場合には、駆動エレメントによる弁開力が弁体に対して優先的に作用することとなり、熱変形部材を設けても弁ポートの開度の特性への影響を抑制することができる。
【0010】
本発明の冷却装置は、上記いずれかに記載の流量調整弁と、前記冷媒を所定方向に送り出す送流体手段と、前記冷媒を放熱する放熱手段と、前記冷媒を通過させるとともに前記冷却対象から受熱する受熱部と、を備え、前記流量調整弁と前記送流体手段と前記放熱手段とを接続する流路において前記冷媒を循環させることを特徴とする。以上のような本発明によれば、上記の流量調整弁と同様に、熱変形部材が設けられていることで調整不能状態において冷媒の流量を確保することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の流量調整弁及び冷却装置によれば、弁体に弁開方向の力を付与する熱変形部材が設けられていることで、調整不能状態において冷媒の流量を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一例である実施形態にかかる冷却装置を示すシステム図である。
図2】前記冷却装置の流量調整弁を示す断面図である。
図3】前記流量調整弁の保持部を示す斜視図である。
図4】前記流量調整弁が調整不能状態となった様子を示す断面図である。
図5】前記流量調整弁の総弁開度特性の一例を示すグラフである。
図6】変形例の流量調整弁を示す断面図である。
図7】前記流量調整弁が調整不能状態となった様子を示す断面図である。
図8】他の変形例の流量調整弁を示す断面図である。
図9】前記流量調整弁が調整不能状態となった様子を示す断面図である。
図10】他の変形例の流量調整弁の熱変形部材を示す上面図である。
図11】他の変形例の流量調整弁の熱変形部材を示す上面図である。
図12】他の変形例の流量調整弁の熱変形部材を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態の冷却装置100は、図1に示すように、4つの流量調整弁1と、冷媒を所定方向に送り出す送流体手段としてのポンプ101と、冷媒を放熱する放熱手段としての放熱器102と、4つの受熱部としての冷却器(例えばコールドプレート)103と、を備え、冷媒が循環する流路を形成する。この冷却装置100は、純水やフッ素系不活性液体(例えばフロリナート(登録商標)や、ガルデン(登録商標)、ノベック(登録商標))等の絶縁性の冷媒を用い、例えば電気自動車やハイブリッド車等に搭載される電気機器を冷却する。即ち、電気自動車やハイブリッド車にはモータやインバータ等の発熱を伴う発熱部品が搭載されており、冷却装置100はこれらの発熱部品を冷却する。あるいは、冷却装置100は大型のコンピュータシステムやサーバ等に搭載される電子部品を冷却する。即ち、大型のコンピュータシステムやサーバ等にはCPUやメモリ等の発熱量の大きい発熱部品が搭載されており、冷却装置100はこれらの発熱部品を冷却する。複数の発熱部品を1つのユニット(冷却対象)と捉え、図1に示す例では、冷却装置100は4つの冷却対象201~204を冷却するものとする。尚、冷却装置が冷却する冷却対象の数は任意であるが、冷却対象の数と同数の流量調整弁及び冷却器が設けられていることが好ましい。
【0014】
4つの冷却対象201~204のそれぞれに対して冷却器103及び流量調整弁1が設けられており、4つの流量調整弁1は並列に接続されている。ポンプ101によって送り出された冷媒は、冷却対象201~204に接触するように設けられた冷却器103内を通過することで冷却対象201~204と熱交換し、流量調整弁1を通過し、放熱器102によって放熱され、再びポンプ101に戻る。尚、冷却器103は、冷媒を通過させるとともに冷却対象201~204から受熱することで受熱部として機能するものであればよく、冷却対象201~204から冷媒に充分に熱伝達させることができるものであればよい。即ち、冷却器103と冷却対象201~204とが直接接触してもよいし、熱伝達部材を介して冷却対象201~204から冷却器103に熱伝達される構成であってもよい。このとき、各々の冷却器103を通過する冷媒の流量は、後述するように流量調整弁1によって調節され、温度の高い冷却対象201~204に対して設けられた冷却器103に、より多くの冷媒が流れるようになっている。尚、冷却対象201~204の合計の発熱量に基づいて、ポンプ101が送り出す冷媒の流量が調節されてもよい。
【0015】
ポンプ101としては、液体状態の冷媒(液冷媒)を送り出すためのポンプを用いることが好ましい。このとき、冷却器103及び流量調整弁1を通過する冷媒は液体であることが好ましいが、冷却装置100の流路の一部において冷媒が気液混合状態となってもよい。放熱器102は、自然に放熱する方式であってもよいし、送風されて放熱する方式であってもよいし、あるいは、水冷方式であってもよい。
【0016】
以下に、流量調整弁1の詳細について説明する。流量調整弁1は、図2に示すように、弁本体としてのハウジング2と、一次側導管3と、二次側導管4と、弁体5と、弁体5に弁閉方向の力を付与する圧縮ばね(弁閉力付与手段)6と、駆動エレメント7と、熱変形部材としてのバイメタル8と、を備える。一次側導管3と二次側導管4とは平行に延びており、これらの延在方向をX方向とし、X方向に直交する2方向をY方向及びZ方向とする。
【0017】
ハウジング2は、ハウジング本体21と、蓋体22と、を備える。ハウジング本体21は、全体が金属部材によって構成され、X方向の一方側(図2における左側)に開口した一次ポート211と、X方向の他方側(図2における右側)に開口した二次ポート212と、Z方向の一方側(図2における上側であり、以降において単に「上側」と呼ぶことがある)に開口した開口部213と、一次ポート211と二次ポート212との間に延びる第1隔壁部214及び第2隔壁部215と、第1隔壁部214に形成された弁ポート216及び連通孔217と、第2隔壁部215からZ方向の他方側(図2における下側であり、以降において単に「下側」と呼ぶことがある)に突出したガイド部218と、第2隔壁部215に形成された連通孔219と、を有する。
【0018】
一次ポート211と二次ポート212とは、中心部同士がZ方向にオフセットして配置され、一次ポート211の中心部の方が上側に配置されている。一次ポート211には一次側導管3が接続され、二次ポート212には二次側導管4が接続される。
【0019】
開口部213は、ハウジング本体21内に弁体5及び圧縮ばね6を配置するために形成されており、蓋体22によって閉塞されるようになっている。尚、蓋体22は、ろう付けや溶接等によってハウジング本体21に対して気密に固定されればよい。
【0020】
第1隔壁部214は、一次ポート211の下端部と二次ポート212の上端部との間においてXY平面に沿って延びるように形成されている。第2隔壁部215は、第1隔壁部214に対して略平行に延びるとともに、間隔を開けつつ下側に配置されている。ハウジング本体21内には、第1空間A1と第2空間A2とが形成される。第1空間A1は、一次ポート211に連通する空間であって、弁体5のうち後述するニードル部52を収容する。第2空間A2は、二次ポート212に連通する空間であって、弁ポート216を通過した冷媒が流出する。なお、第1空間A1は第1隔壁部214よりも上側に形成され、第2空間A2は第1隔壁部214と第2隔壁部215との間に形成される。
【0021】
弁ポート216は、一次ポート211から流入した冷媒を通過させるものであって、第1空間A1と第2空間A2とを連通するように第1隔壁部214に形成された貫通孔である。連通孔217は、X方向において弁ポート216よりも二次ポート212側に形成され、第1空間A1と第2空間A2とを常に連通する。即ち、弁体5が弁ポート216の周囲の弁座部216Aに着座して全閉状態となっても、一次ポート211と二次ポート212との間で冷媒が通過可能となっている。尚、弁体5は、弁開度が最小となる際に弁座部216Aに着座しないように構成されていてもよい。
【0022】
ガイド部218は、円筒状に形成され、その内周面が、後述する延長部53を案内する案内面となり、その外周面が、後述する伝達部材74を案内する案内面となる。連通孔219は、第1隔壁部214に形成された連通孔217に対してZ方向から見て重なる位置に形成され、第2空間A2と、第2隔壁部215の下側における空間(後述する第3空間A3)と、を連通し、均圧孔として機能する。尚、本実施形態においては、連通孔219と連通孔217とはZ方向から見て重なる位置に形成されているものとしたが、これらを重ならない位置に形成してもよい。
【0023】
弁体5は、ハウジング2に移動自在に設けられて弁ポート216の開度を変更するものであって、上面に形成されたばね受け部51と、下側に形成されたニードル部52と、ニードル部52の先端から下側に延びる延長部53と、を有する。弁体5は、Z方向の上側を弁開側(弁開方向)とし、下側を弁閉側(弁閉方向)として動作する。ばね受け部51は、圧縮ばね6と当接することでZ方向の下側への弁閉力(付勢力)が付与される部分である。ニードル部52は、下側に向かうにしたがって先細るように円錐台状に形成され、弁座部216Aに対して接近または離隔することで弁ポート216の開度(弁開度)が調節されるようになっている。延長部53は、断面円状の棒状部であって、円筒状のガイド部218に挿通される。延長部53の外径がガイド部218の内径よりも若干小さくなっていることにより、延長部53がガイド部218の内周面によって案内され、弁体5がZ方向に沿って移動するようになっている。
【0024】
圧縮ばね6は、Z方向を軸方向とするコイル状に形成され、ハウジング2の蓋体22と弁体5のばね受け部51との間に配置される。圧縮ばね6は、弁体5に対して所定の弁閉力(付勢力)を付与するように、自然状態から圧縮されて配置される。即ち、蓋体22がハウジング本体21に螺合されるようになっており、蓋体22をハウジング本体21に螺合させていくことで圧縮ばね6を所定量圧縮した後、蓋体22とハウジング本体21とが溶接や接着等によって固定される。
【0025】
駆動エレメント7は、金属製の上ケース71及び下ケース72と、感圧部材としてのダイヤフラム73と、伝達部材74と、保持部75と、を有する。上ケース71は、開口が形成された板部711と、板部711の外周縁から下側に向かって延びる筒状部712と、筒状部712の下端から外側に向かって延びるフランジ部713と、を有して有底筒状に形成される。上ケース71は、ハウジング本体21の下方側端部に対して加締め及びろう付けによって気密に固定される。駆動エレメント7が感圧部材としてのダイヤフラム73を有することで、流量調整弁1全体を小型化することができる。
【0026】
下ケース72は、底部721と、底部721の外周縁から上側に向かって延びる筒状部722と、筒状部722の上端から外側に向かって延びるフランジ部723と、を有し、上側に開口した有底筒状(箱状)に形成されている。下ケース72は、底部721において冷却器103に接触するように配置され、冷却対象201~204の熱が、冷却器103を介して後述する封入空間A4に伝達されるようになっている。
【0027】
ダイヤフラム73は、弁体5に対して弁開力を付与可能なものであって、外周縁部がフランジ部713、723によって挟み込まれることで保持され、ダイヤフラム73とフランジ部713、723とが溶接やろう付けによって気密に固定される。上記のように上ケース71がハウジング本体21に対して気密に固定されることから、ハウジング本体21の下面と上ケース71とダイヤフラム73とによって囲まれた第3空間A3が形成される。第3空間A3は、連通孔219によってハウジング2内の第2空間A2と連通され、冷媒が導入される空間となっている。
【0028】
下ケース72の上側の開口がダイヤフラム73によって覆われることにより、封入空間A4が形成される。ダイヤフラム73は、上ケース71によって形成される第3空間A3と、下ケース72によって形成される封入空間A4と、を区画する。封入空間A4には、封入ガスとして、例えば二酸化炭素が封入される。封入ガスは、使用される温度域で気体状態として存在するものであり、且つ、温度に対する圧力変化が冷媒よりも大きいものであればよく、安定性や環境負荷等を考慮して封入ガスの種類が適宜に選択されればよい。
【0029】
伝達部材74は、例えば金属製であって、第3空間A3に配置され、ダイヤフラム73に沿うように延びる板部741と、板部741から上側に突出した筒状の被案内部742と、を有する。板部741の下面がダイヤフラム73に当接して力を受け、上面が弁体5の延長部53の先端に当接して力を伝達する。即ち、封入空間A4の圧力が上昇してダイヤフラム73が上側に凸に変位しようとすると、板部741を介して弁体5に力が伝達され、この力が弁開力となる。尚、弁体5の延長部53と板部741の上面とが固定されていてもよい。
【0030】
被案内部742の内径がガイド部218の外径よりも若干大きくなっており、被案内部742がガイド部218の外周面によって案内されることにより、伝達部材74がZ方向に沿って移動するようになっている。伝達部材74がZ方向に移動して弁開度が所定値となった際に、ガイド部218の先端と板部741の上面とが当接し、伝達部材74及び弁体5の移動が規制されるようになっており、このとき弁開度が最大となる。
【0031】
保持部75は、後述するように板状のバイメタル8を保持するためのものであって、図3に示すように全体環状に形成され、下ケース72に収容されて封入空間A4に配置される。保持部75は、その内周部に、等間隔で配置された複数(図示の例では4つ)の挟持部751を有する。挟持部751は、所定の厚さ(径方向寸法)を有する直方体状の基部752と、基部752の上面における外周側部分から上側に突出するとともに基部752よりも薄く形成された変形部753と、を有する。基部752の上面にバイメタル8の縁部を載置し、基部752の上面と変形部753とによってバイメタル8の縁部を挟み込むように変形部753を変形させることにより、バイメタル8が保持される。
【0032】
バイメタル8は、2枚の異種金属の板状部材が重ねられることで全体が板状に形成されたものであって、線膨張係数が低い金属(例えばニッケル又はコバルトと鉄との合金や、チタン基合金、ニッケル基合金、コバルト基合金等)と、線膨張係数が高い金属(銅、ニッケル又はコバルトと鉄との合金や、銅基合金、ニッケル基合金、コバルト基合金等)と、が適宜に組み合わされる。バイメタル8は、上記のように保持部75によって保持されることで、封入空間A4に収容される。バイメタル8は例えば円板状に形成されており、Z方向を中心とする周方向において隣り合う2つの挟持部751(図3参照)の間において、バイメタル8の外周縁と筒状部722の内周面との間の隙間によって封入空間A4におけるバイメタル8の上側の空間と下側の空間とが連通するようになっている。
【0033】
バイメタル8の縁部のうち保持部75によって保持される部分が被保持部81となり、等間隔な4箇所に被保持部81が形成される。バイメタル8は、4箇所の被保持部81に囲まれた領域(即ち、4箇所の被保持部84を通る仮想的な円の内側)に形成された付与部80を有する。バイメタル8は、変形を開始する温度未満では、XY平面に沿って平板状となっており、変形を開始する温度以上になると、付与部80がZ方向上側に凸となるように変形(弁開方向に向かって変位)する。尚、付与部80が変形する際に被保持部81も変形してもよい。バイメタル8としては、温度が上昇するほど変形量(突出量)が大きくなる変形をするものを用いてもよいし、変形を開始する温度となると一気にZ方向上側に凸となる変形をするスナップアクション式のものを用いてもよい。このとき、バイメタル8は、ZX断面において、X方向に対向するとともに互いに離れた2箇所の(一対の)被保持部81の間において付与部80が弁開側に凸に変形するとともに、YZ断面において、Y方向に対向するとともに互いに離れた2箇所の(一対の)被保持部81の間において付与部80が弁開側に凸に変形する。即ち、バイメタル8は、弁体5の移動方向であるZ方向を含む断面において互いに離れた一対の被保持部81同士の間の部分が弁開側に凸となるように変形する。このようにして弁開方向に向かって変位した付与部80は弁体5に力を付与する。
【0034】
以上のような流量調整弁1では、想定される温度範囲において封入空間A4の方が第3空間A3よりも圧力が高く、冷却対象201~204の温度が上昇するほど圧力差が大きくなっていく。駆動エレメント7は、この圧力差に応じた弁開力を弁体5に付与するようになっている。尚、弁体5が弁開方向に移動して圧縮ばね6が圧縮されると、圧縮ばね6の弁閉力が大きくなるが、この弁閉力の変化量は、駆動エレメント7の弁開力の変化量に比べて小さくなっている。従って、冷却対象201~204の温度が上昇するほど弁ポート216の開度が大きくなり、通過する冷媒の流量が増大して冷却対象201~204をより冷却しようとする。このように、流量調整弁1では冷却対象201~204の温度に応じて通過する冷媒の流量が調整される。尚、流量調整弁1では、主として圧縮ばね6の弁閉力と駆動エレメント7の弁開力とのバランスによって弁ポート216の開度が決定されるが、流量調整弁1が配置される向きによっては、弁体5等に生じる重力が影響することがある。本実施形態では説明の都合上、弁体5等に生じる重力については考慮しないものとするが、流量調整弁1の向きが変化しても弁体5の基本的な動作態様は同様である。
【0035】
上記では、流量調整弁1において駆動エレメント7が通常に動作し、弁体5が移動することで弁開度が調整される(以下、このような状態を「通常状態」とする)ものとしたが、例えば図4に示すようにダイヤフラム73に割れ等の損傷が発生することにより、第3空間A3と封入空間A4とが連通する場合がある。第3空間A3と封入空間A4とが連通すると、ダイヤフラム73の上下の空間の圧力差によって弁開力を生じさせることが困難となる。従って、弁体5に対しては主として圧縮ばね6による弁閉力が作用し、弁体5が弁座部216Aに着座して全閉状態となるとともに、冷却対象201~204の温度が変化しても弁体5を移動させることができず(弁ポート216の開度を調整することができず)調整不能状態となる。
【0036】
弁体5が着座すると弁ポート216において冷媒が通過不能となり、流量調整弁1を通過する冷媒の流量は、連通孔217を通過する冷媒の流量と等しくなり、最低となる。この流量の冷媒で冷却対象201~204を充分に冷却できないと、冷却対象201~204の発熱によって冷媒の温度が上昇していく。このとき、冷却対象201~204の温度が上昇することでバイメタル8の周囲の温度も上昇していく。尚、第3空間A3と封入空間A4とが連通しているため、冷媒の温度が上昇することによりバイメタル8の周囲の温度が上昇してもよい。これにより、バイメタル8は、付与部80が上側(弁開側)に凸に変形して伝達部材74に弁開方向の力を付与する。即ち、バイメタル8は伝達部材74を介して弁体5に弁開方向の力を付与する。従って、調整不能状態において弁体5が弁開側に移動して弁ポート216の開度が上昇し、冷媒が通過することができるようになる。
【0037】
ここで、通常状態及び調整不能状態のそれぞれについて、流量調整弁1の詳細な総弁開度特性の例を説明する。図5は、冷却対象201~204の温度を横軸とし、流量調整弁1における連通孔217と弁ポート216との合計の弁開度である総弁開度を縦軸とした弁開度特性のグラフである。流量調整弁1を通過する冷媒の流量は、図5の縦軸の総弁開度に比例し、以下では総弁開度が上昇することと冷媒の流量が増大することとが等価であるものとして説明する。
【0038】
通常状態においては、弁開開始温度T1未満では圧縮ばね6の弁閉力が駆動エレメント7の弁開力よりも大きくなり、弁体5が弁座部216Aに着座し、総弁開度が最低(ブリード開度O1;連通孔217の大きさによって決まる開度)となる。冷却対象201~204の温度が弁開開始温度T1以上となると、駆動エレメント7の弁開力が圧縮ばね6の弁閉力以上となり、弁体5が離座して総弁開度が大きくなる。冷却対象201~204の温度が弁開開始温度T1以上且つ全開温度T2未満では、温度上昇とともに総弁開度が大きくなっていく。尚、図示の例では総弁開度が直線的に上昇しているが、温度と総弁開度との関係は非線形なものであってもよい。
【0039】
冷却対象201~204の温度が全開温度T2となると、ガイド部218の先端と板部741の上面とが当接して伝達部材74及び弁体5の移動が規制され、総弁開度が最大(全開開度O2)となり、それ以上温度が上昇しても総弁開度は一定となる。図示の例では、通常状態において想定される温度の上限は、全開温度T2と後述する強制開温度T3との間となっている。
【0040】
調整不能状態においては、冷却対象201~204の温度が弁開開始温度T1以上となっても駆動エレメント7の弁開力が弁体5に作用しないため、総弁開度がブリード開度O1となる。さらに冷却対象201~204の温度が上昇して強制開温度T3以上となると、バイメタル8によって弁体5に弁開方向の力が付与され、総弁開度が急激に上昇していく(通常状態における温度T1~T2よりもグラフの傾きが大きい)。冷却対象201~204の温度が温度T4になると、ガイド部218の先端と板部741の上面とが当接して伝達部材74及び弁体5の移動が規制され、総弁開度が最大(全開開度O2)となり、それ以上温度が上昇しても総弁開度は一定となる。即ち、温度T4は、調整不能状態において弁ポート216の開度が最大となる温度である。
【0041】
ここで、強制開温度T3は、全開温度T2よりも高く設定されることで、温度T4が全開温度T2よりも高くなるように設定されており、通常状態における弁開度特性のグラフと、調整不能状態における弁開度特性のグラフと、が交差しない(ただし、ブリード開度O1又は全開開度O2となる際はグラフが重なる)ようになっている。即ち、通常状態においては、バイメタル8の熱変形によって弁体5の動作に影響を及ぼさないようになっている。また、強制開温度T3及び温度T4は、システム停止温度T5よりも低く設定されている。システム停止温度T5は、冷却対象201~204の動作を停止する温度である。
【0042】
尚、バイメタル8は、冷却対象201~204の温度が強制開温度T3未満の状態で弁開側に凸となる変形を開始してもよい。即ち、調整不能状態において、冷却対象201~204の温度が強制開温度T3未満ではバイメタル8は変形するものの弁体5には弁開方向の力を付与せず(又は弁開方向の力が圧縮ばね6の圧縮力よりも小さく)、弁体5が移動しない構成としてもよい。また、バイメタル8は、例えば上記のようなスナップアクション式の変形態様のものであってもよく、冷却対象201~204の温度が強制開温度T3になった際に、弁開側に凸となるように変形してもよい。
【0043】
以上の本実施形態によれば、流量調整弁1にバイメタル8が設けられていることで、調整不能状態において冷媒の流量が低下した場合に、温度上昇によりバイメタル8が弁体5に弁開方向の力を付与し、弁ポート216の開度を大きくすることができる。従って、調整不能状態において冷媒の流量を確保することができる。
【0044】
また、バイメタル8が、4箇所の被保持部81によって囲まれた付与部が弁開方向に向かって変位することで、弁体5に対して弁開方向の力を容易に付与することができる。
【0045】
また、バイメタル8が弁体5に弁開方向の力の付与を開始する温度(強制開温度T3)が、駆動エレメント7の弁開力によって弁ポート216の開度が最大となる際の温度(全開温度T2)よりも高いことで、調整不能状態においては上記のようにバイメタル8によって弁開方向の力を付与することができるとともに、通常状態においては駆動エレメント7による弁開力が弁体5に対して優先的に作用することとなり、バイメタル8を設けても弁ポート216の開度の特性への影響を抑制することができる。
【0046】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。例えば、前記実施形態では、熱変形部材としてのバイメタル8が、4箇所の被保持部81と、これらに囲まれた付与部80と、を有するものとしたが、熱変形部材が弁開方向の力を付与するための変形の態様はこれに限定されない。熱変形部材の他の変形態様の一例を図6、7に示す。
【0047】
図6、7に示す変形例の流量調整弁1Bでは、前記実施形態の流量調整弁1に対し、熱変形部材としてバイメタル8Bが設けられ、駆動エレメント7の下ケース72に凸部724が形成され、保持部75が省略されている点で相違する。凸部724は、下ケース72の底部721の中央部に形成され、上側(封入空間A4の内側)に向かって凸の形状を有している。バイメタル8Bは例えば円板状に形成され、その中央部82が凸部724の上側に載置されるとともに固定される。即ち、バイメタル8Bは、中央部82が被保持部となり、外縁部83が自由端となる。尚、凸部724とバイメタル8Bとの固定方法としては、接着や溶接が例示され、各部材の材質等に応じて適宜な固定方法が採用されればよい。
【0048】
バイメタル8Bは、熱変形する前の状態では、図6に示すように、上側に向かって凸状となっており、即ち中央部82の方が外縁部83よりも上側に位置している。バイメタル8Bは、熱変形することで図7に示すように下側に凸状に変形し、即ち被保持部としての中央部82を挟んで両側の部分である外縁部83が、弁開方向に向かって変位することで弁体5に力を付与し、付与部として機能する。バイメタル8Bは、このような熱変形により弁体5に弁開方向の力を付与するように構成されている。尚、流量調整弁1Bでは、バイメタル8Bが円板状に形成され、図6、7に示すZX断面だけでなく、Z方向を含む他の断面においても、外縁部83が弁開方向に向かって変位することし、付与部が被保持部を囲む領域に形成されている。このような形態以外に、例えば帯板状の熱変形部材を用い、その長手方向の中央部を被保持部とし、この被保持部を長手方向から挟む領域に付与部を形成する形態であってもよい。
【0049】
また、前記実施形態では、バイメタル8を保持するための保持部75が設けられるものとしたが、保持部は省略されてもよい。例えば図8、9に示す変形例の流量調整弁1Cのように、上ケース71のフランジ部713と下ケース72のフランジ部723とによって、ダイヤフラム73とともにバイメタル8Cを挟み込むことで保持する構成としてもよい。この構成においては、バイメタル8Cのうちフランジ部713、723によって挟み込まれる部分が被保持部84となり、全周に亘って被保持部84が形成され、1つの被保持部84によって囲まれた領域に付与部80Cが形成される。付与部80Cが弁開方向に向かって変位することにより、弁体5に力が付与される。例えば、図8、9に示すようなZX断面において、バイメタル8Cは、互いに離れた一対の被保持部84同士の間の部分である付与部80Cが弁開側に凸となるように変形する。Z方向を含む断面であればいずれの断面においても、バイメタル8Cは、互いに離れた一対の被保持部84同士の間の付与部80Cが弁開方向に向かって変位する。前記実施形態のように所定の断面における一対の被保持部は互いに独立したものであってもよいし、図8、9に示す変形例のように所定の断面における一対の被保持部は連続したものであってもよい。バイメタル8Cの中央部には貫通孔85が形成されており、封入空間A4のうちバイメタル8Cの上側の空間と下側の空間とが連通されるようになっている。
【0050】
熱変形部材が被保持部及び付与部を有する場合、付与部は、前記実施形態のように複数の被保持部によって囲まれてもよいし、図8、9に示す変形例のように1つの被保持部によって囲まれてもよい。また、付与部は、例えば3箇所の被保持部によって囲まれてもよいし、2箇所の被保持部によって挟まれてもよい。また、例えば被保持部がC字状に形成され、この両端によって付与部が挟まれてもよい。
【0051】
また、前記実施形態では、保持部75によって保持されるバイメタル8が円板状であるものとしたが、他の形状のバイメタルが保持部75又はフランジ部713、723によって保持されてもよい。例えば、図10に示すように中央部に貫通孔86が形成された円板状のバイメタル8Dを採用してもよい。また、図11に示すように2つの帯板部87A、87Bが直交したX字状且つ板状のバイメタル8Eを採用してもよい。また、図12に示すように円板の両側が切り取られた形状のバイメタル8Fを採用してもよい。図12に示すバイメタル8Fでは、所定方向(例えばX方向)に沿って延びる一対の直線部88、89が形成されており、直線部88と直線部89とが所定方向と直交する方向(例えばY方向)に並んでいる。
【0052】
また、前記実施形態では、強制開温度T3が全開温度T2よりも高いものとしたが、熱変形部材を設けても弁ポートの開度の特性に影響を与えにくくなっていれば、強制開温度T3を全開温度T2以下に設定してもよい。例えば、図4に示すようなグラフにおいて、熱変形部材によって弁ポートの開度が上昇する際のグラフの傾きが緩やかである場合、通常状態におけるグラフと調整不能状態におけるグラフとが交差しない程度に、強制開温度T3を全開温度T2以下に設定しつつ、温度T4が全開温度T2よりも高くなるようにしてもよい。
【0053】
また、前記実施形態では、冷却対象201~204の熱が冷却器103を介して封入空間A4に伝達され、駆動エレメント7が弁開力を付与する構成となっているが、駆動エレメントは、冷却対象の温度上昇によって封入空間の温度及び圧力が上昇して弁開力が大きくなるものであればよく、その構成は限定されない。例えば、駆動エレメントの一部を冷却対象に直接接触させてもよいし、封入空間と連通した空間を有するとともに冷却対象近傍に配置された感温筒を併用してもよい。
【0054】
また、前記実施形態では、熱変形部材としてのバイメタル8が封入空間A4内に配置されているものとしたが、熱変形部材は、冷却対象の熱が伝わりやすい位置に配置されていればよく、封入空間の外側に配置されていてもよい。
【0055】
また、前記実施形態では、感圧部材としてダイヤフラムを用いるものとしたが、感圧部材は、封入空間を区画し封入空間の圧力の増加に伴って弁体に弁開方向の力を付与できるものであればよく、例えばベローズ等を用いることもできる。
【0056】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
100…冷却装置、101…ポンプ(送流体手段)、102…放熱器(放熱手段)、103…冷却器(受熱部)、201~204…冷却対象、1…流量調整弁、2…ハウジング(弁本体)、211…一次ポート、212…二次ポート、216…弁ポート、5…弁体、7…駆動エレメント、73…ダイヤフラム(感圧部材)、8…バイメタル(熱変形部材)、81,82,84…被保持部、80,80C,83…付与部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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図12