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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】管理システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20230517BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
B65G1/137 A
G06K7/10 244
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019047366
(22)【出願日】2019-03-14
(65)【公開番号】P2020147415
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(73)【特許権者】
【識別番号】500352063
【氏名又は名称】株式会社デンソーエスアイ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】牛嶋 隆雄
(72)【発明者】
【氏名】松本 頼明
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-036123(JP,A)
【文献】特開2001-315917(JP,A)
【文献】特開2008-179450(JP,A)
【文献】特開2017-001835(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0266342(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品のそれぞれに付された無線タグを利用して前記複数の物品を管理する管理システムであって、
前記無線タグに記録されるタグ情報を、前記物品がまとめて搬送される搬送単位でグループ化するグループ化処理部と、
前記グループ化処理部によりグループ化された前記搬送単位ごとの前記タグ情報が記憶される記憶部と、
前記無線タグの前記タグ情報を利用して前記物品の搬入状況を管理する管理部と、
を備え、
前記管理部は、搬入された前記物品に付される前記無線タグの前記タグ情報を読み取ると、当該タグ情報に関して前記記憶部においてグループ化されている前記搬送単位の全ての前記物品が搬入されていると判断し、
前記グループ化処理部は、前記搬送単位に関する搬送単位情報が読み取られると、前回の搬送単位情報の読み取りから今回の搬送単位情報の読み取りまでに読み取った複数の前記タグ情報、及び、今回の搬送単位情報の読み取りから次回の搬送単位情報の読み取りまでに読み取った複数の前記タグ情報のいずれか一方を、前記今回の搬送単位情報に関連付けた状態で前記搬送単位としてグループ化することを特徴とする管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品に付された無線タグを利用してその物品を管理する管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の物品にそれぞれ付された無線タグの情報を無線タグリーダ等を用いて読み取ることで、各物品の搬送状況等を管理する方法が知られており、特に、複数の無線タグを一括して読み取ることにより、管理作業の効率化が図られている。このような一括読み取りを利用した管理作業では、例えば、搬送される各物品にそれぞれ付された無線タグを一括読み取りする際、搬送状態等によっては一部の無線タグが読み取り難い位置にあるために、読み取り漏れが生じてしまう場合がある。
【0003】
このように複数の無線タグを一括読み取りする際の読み取り漏れを抑制する技術に関して、例えば、下記特許文献1に開示されるID読取装置が知られている。このID読取装置では、梱包材に付された梱包用RFIDタグから読み取った梱包IDに基づいて読み取る予定の各物IDをそれぞれ読取属性が付与されるように取得すると、実際に読み取った各物IDについて読取属性ごとに算出された読取率と補完条件として記憶される最低読取率とが比較される。そして、補完条件を満たす比較結果が得られる場合には、実際に読み取れなかった物IDを読み取る予定の物IDで補完することで、読み取り漏れを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-297086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のID読取装置のように、読取率が所定の補完条件を満たす場合に限って読み取る予定の物IDで補完する構成では、いずれかの読取属性での読取率が上記最低読取率を下回ると、補完されることなく再度の読み取り作業が必要になる。このため、読み取り作業環境等に応じて上記補完条件が適切に設定されていないと、算出された読取率が低くなる場合に上記最低読取率を上回ることができずに何度も読み取り作業を繰り返すことになり、作業効率が悪くなってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、読み取り漏れを抑制するように複数の無線タグを一括読み取りする場合でも読取作業効率の低下を抑制し得る構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
複数の物品(G)のそれぞれに付された無線タグ(T)を利用して前記複数の物品を管理する管理システム(10)であって、
前記無線タグに記録されるタグ情報を、前記物品がまとめて搬送される搬送単位でグループ化するグループ化処理部(20)と、
前記グループ化処理部によりグループ化された前記搬送単位ごとの前記タグ情報が記憶される記憶部(43,50)と、
前記無線タグの前記タグ情報を利用して前記物品の搬入状況を管理する管理部(40)と、
を備え、
前記管理部は、搬入された前記物品に付される前記無線タグの前記タグ情報を読み取ると、当該タグ情報に関して前記記憶部においてグループ化されている前記搬送単位の全ての前記物品が搬入されていると判断し、
前記グループ化処理部は、前記搬送単位に関する搬送単位情報が読み取られると、前回の搬送単位情報の読み取りから今回の搬送単位情報の読み取りまでに読み取った複数の前記タグ情報、及び、今回の搬送単位情報の読み取りから次回の搬送単位情報の読み取りまでに読み取った複数の前記タグ情報のいずれか一方を、前記今回の搬送単位情報に関連付けた状態で前記搬送単位としてグループ化することを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明では、グループ化処理部によりグループ化された搬送単位ごとのタグ情報が記憶部に記憶される。そして、管理部では、搬入された物品に付される無線タグのタグ情報が読み取られると、当該タグ情報に関して記憶部においてグループ化されている搬送単位の全ての物品が搬入されていると判断される。
【0009】
これにより、グループ化処理部によりグループ化された搬送単位で搬送される物品であれば、搬送単位の各無線タグを一括読み取りする場合には、少なくともいずれか1つの無線タグが読み取れることで、残りの一部の無線タグが読み取れなくても、その搬送単位の全物品が搬入されていると判断することができる。さらに、搬送単位を集めた多数の物品の無線タグを一括読み取りする場合であっても、各搬送単位でそれぞれ少なくとも1つの無線タグが読み取れることで、それぞれの搬送単位の全物品が搬入されていると判断することができる。したがって、一括読み取りの際に搬送単位の一部の無線タグが読み取れなくても再度の読取作業を行う必要もないので、読み取り漏れを抑制するように複数の無線タグを一括読み取りする場合でも読取作業効率の低下を抑制することができる。
【0012】
さらに、グループ化処理部は、搬送単位に関する搬送単位情報が読み取られると、前回の搬送単位情報の読み取りから今回の搬送単位情報の読み取りまでに読み取った複数のタグ情報、及び、今回の搬送単位情報の読み取りから次回の搬送単位情報の読み取りまでに読み取った複数のタグ情報のいずれか一方を、今回の搬送単位情報に関連付けた状態で搬送単位としてグループ化する。
【0013】
これにより、例えば、搬送単位の搬送に利用する梱包箱等の収容器具に上記搬送単位情報を記録した記録媒体を付し、搬送単位の各無線タグを読み取った後に上記記録媒体の搬送単位情報を読み取る読取作業や上記記録媒体の搬送単位情報を読み取った後に搬送単位の各無線タグを読み取る読取作業を繰り返すことで、搬送単位ごとにタグ情報がグループ化される。このため、搬送単位ごとに正確にグループ化できるだけでなく、グループ化されたタグ情報に上記搬送単位情報等を関連付けることができるので、より詳細な搬送管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係る管理システムの概略構成を示す説明図である。
図2図2(A)は、図1の携帯端末の電気的構成を例示するブロック図であり、図2(B)は、無線タグ処理部の電気的構成を例示するブロック図であり、図2(C)は、情報コード読取部の電気的構成を例示するブロック図である。
図3】収容器具と収容器具に収容される各物品とを概略的に例示する説明図である。
図4】搬送単位で読み取られたタグ情報と搬送単位情報とが関連付けられた状態を例示する説明図である。
図5図1の無線タグリーダの電気的構成を例示するブロック図である。
図6図1の管理装置の電気的構成を例示するブロック図である。
図7】無線タグをそれぞれ付した収容器具がパレットを用いて搬送される際に各無線タグを一括読み取りする状態を説明する説明図である。
図8】管理装置の制御部にてなされる搬入処理の流れを例示するフローチャートである。
図9】搬送単位情報を記録した情報コードが収容器具に付された状態を概略的に例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る管理システムを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示す管理システム10は、所定数の物品Gが1つの搬送単位としてまとめて搬送される際に、各物品Gのそれぞれに付されたRFタグ等の無線タグTを利用して各物品Gの搬送状況等を管理するシステムとして構成されている。本実施形態では、管理システム10は、搬送元に配置される携帯端末20と、搬送先に配置される無線タグリーダ30及び管理装置40と、管理サーバ50と、を備えている。ここで、例えば、搬送元としては、物品Gを製造する製造会社が想定され、搬送先としては、物品Gを販売する販売会社が想定される。
【0016】
搬送先に配置される携帯端末20は、作業者(ユーザ)によって携帯されて様々な場所で用いられる携帯型の情報読取端末として構成されており、アンテナを介して送受信される電波を媒介として無線タグTに記憶されている情報を読み書きする機能に加えて、バーコードや二次元コードなどの情報コードCを読み取る情報コードリーダとしての機能を兼ね備え、読み取りを二方式で行いうる構成となっている。
【0017】
図2(A)に示すように、携帯端末20の筐体内には、携帯端末20全体を制御する制御部21が設けられている。この制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、半導体メモリ等からなる記憶部22とともに情報処理装置を構成している。この記憶部22には、後述するグループ化処理を実行するためのプログラム等が制御部21により実行可能に予め格納されている。また、制御部21には、図2(A)に示すように、操作部23、LED24a、バイブレータ24b、ブザー24c、外部インタフェース25などが接続されている。
【0018】
操作部23は、制御部21に対して操作信号を与える構成をなしており、制御部21は、この操作信号を受けて操作信号の内容に応じた動作を行う。また、LED24a、バイブレータ24bおよびブザー24cは、制御部21によって制御される構成をなしており、それぞれ、制御部21からの指令を受けて動作する。外部インタフェース25は、上位端末等の外部機器との間での無線通信又は有線通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部21と協働して通信処理を行う構成をなしている。また、筐体内には、図略の電源部が設けられており、この電源部やバッテリによって制御部21や各種電気部品に電力が供給されるようになっている。
【0019】
また、携帯端末20は、制御部21により制御されて外部の情報を読み取り可能な情報読取部として機能する無線タグ処理部27及び情報コード読取部28を備えている。
【0020】
まず、無線タグ処理部27について、図2(B)を用いて説明する。
無線タグ処理部27は、アンテナ26及び制御部21と協働して無線タグTとの間で電磁波による通信を行ない、無線タグTに記憶されるデータの読取り、或いは無線タグTに対するデータの書込みを行なうように機能するものである。この無線タグ処理部27は、公知の電波方式で伝送を行う回路として構成されており、図2(B)にて概略的に示すように、送信回路27a、受信回路27b、整合回路27cなどを有している。
【0021】
送信回路27aは、キャリア発振器、符号化部、増幅器、送信部フィルタ、変調部などによって構成されており、キャリア発振器から所定の周波数のキャリア(搬送波)が出力される構成をなしている。また、符号化部は、制御部21に接続されており、当該制御部21より出力される送信データを符号化して変調部に出力している。変調部は、キャリア発振器からのキャリア(搬送波)、及び符号化部からの送信データが入力される部分であり、キャリア発振器より出力されるキャリア(搬送波)に対し、通信対象へのコマンド送信時に符号化部より出力される符号化された送信符号(変調信号)によってASK(Amplitude Shift Keying)変調された被変調信号を生成し、増幅器に出力している。増幅器は、入力信号(変調部によって変調された被変調信号)を所定のゲインで増幅し、その増幅信号を送信部フィルタに出力しており、送信部フィルタは、増幅器からの増幅信号をフィルタリングした送信信号を、整合回路27cを介してアンテナ26に出力している。このようにしてアンテナ26に送信信号が出力されると、その送信信号が送信電波として当該アンテナ26より外部に放射される。
【0022】
一方、アンテナ26によって受信された応答信号は、整合回路27cを介して受信回路27bに入力される。この受信回路27bは、受信部フィルタ、増幅器、復調部、二値化処理部、複号化部などによって構成されており、アンテナ26を介して受信された応答信号を受信部フィルタによってフィルタリングした後、増幅器によって増幅し、その増幅信号を復調部によって復調する。そして、その復調された信号波形を二値化処理部によって二値化し、復号化部にて復号化した後、その復号化された信号を受信データとして制御部21に出力している。
【0023】
次に、情報コード読取部28について、図2(C)を用いて説明する。
情報コード読取部28は、情報コードを光学的に読み取るように機能するもので、図2(C)に示すように、複数個のLEDやレンズ等から構成される照明部28a、結像レンズ28b、CCDエリアセンサからなる受光センサ28cなどを備えた構成をなしており、制御部21と協働して読取対象Rに付された情報コードC(バーコードや二次元コード)を読み取るように機能する。
【0024】
この情報コード読取部28によって読み取りを行う場合、まず、制御部21によって指令を受けた照明部28aから照明光Lfが出射され、この照明光Lfが読取口を通って読取対象Rに照射される。そして、照明光Lfが情報コードCにて反射した反射光Lrは読取口を通って筐体内に取り込まれ、結像レンズ28bを通って受光センサ28cに受光される。読取口と受光センサ28cとの間に配される結像レンズ28bは、情報コードCの像を受光センサ28c上に結像させる構成をなしており、受光センサ28cはこの情報コードCの像に応じた受光信号を出力する。受光センサ28cから出力された受光信号は、画像データとして記憶部22に記憶され、情報コードCに記録される情報を取得するためのデコード処理に用いられるようになっている。なお、情報コード読取部28には、受光センサ28cからの信号を増幅する増幅回路や、その増幅された信号をデジタル信号に変換するAD変換回路等が設けられているがこれらの回路については図示を省略している。
【0025】
このように構成される携帯端末20は、制御部21にてなされるグループ化処理により、搬送元から搬送単位で搬送(搬出)する予定の各物品Gに付された無線タグTから読み取ったタグ情報をグループ化する。タグ情報は、当該無線タグTを付した物品Gを特定するための固有のシリアル番号等である。例えば、図3に示すように、梱包箱等の収容器具Mに搬送対象となる所定数(搬送個数)の物品Gを収容する際に、その物品Gに付された無線タグTのタグ情報を無線タグ処理部27の機能を利用して個々に読み取ることで、搬送単位でグループ化すべき複数のタグ情報が取得される。
【0026】
図3に例示するように、5個の物品Gを搬送単位として1つの収容器具Mに収容する場合には、5個の無線タグTから個々に読み取られたタグ情報が、図4に示すように、当該搬送単位を特定するための情報(以下、搬送単位情報ともいう)に関連付けられてグループ化される。そして、次の収容器具Mに次の搬送単位となる物品Gを収容する際に、各物品Gの無線タグTから個々に読み取られたタグ情報が、当該次の搬送単位を特定するための他の搬送単位情報に関連付けられてグループ化される。このようにして、搬送単位でタグ情報をグループ化する処理が繰り返される。なお、携帯端末20は、「グループ化処理部」の一例に相当し得る。
【0027】
特に、本実施形態では、携帯端末20は、最初にタグ情報を読み取ってから一定時間内に読み取られた複数のタグ情報を搬送単位としてグループ化する。上記一定時間は、1つの収容器具Mに対して、携帯端末20にて無線タグTのタグ情報を読み取った物品Gを収容する作業を搬送個数分繰り返したときの作業時間に応じて設定されている。このため、1つ前の収容器具Mに最後に収容した物品Gに付した無線タグTのタグ情報(図4の例では「10005」)を読み取ってから、次の収容器具Mに最初に収容する物品Gに付した無線タグTのタグ情報(図4の例では「10006」)を読むまでに所定時間が経過することで、この所定時間経過後に読み取られたタグ情報(図4の例では「10006」)を除いて、それまでに読み取ったタグ情報(図3の例では「10001」~「10005」)が搬送単位としてグループ化される。すなわち、前回の搬送単位に関する読取作業と今回の搬送単位に関する読取作業とで時間を空けるだけで搬送単位ごとにグループ化することができる。なお、図4では、最初の搬送単位として、タグ情報「10001」~「10005」が搬送単位情報「2001」に関連付けられ、2番目の搬送単位として、タグ情報「10006」~「10010」が搬送単位情報「2002」に関連付けられ、3番目の搬送単位として、タグ情報「10011」~「10015」が搬送単位情報「2003」に関連付けられ、4番目の搬送単位として、タグ情報「10016」~「10020」が搬送単位情報「2004」に関連付けられる状態を例示している。
【0028】
このようにグループ化されたタグ情報は、所定の送信タイミングにて、携帯端末20から管理サーバ50に送信される。なお、グループ化されたタグ情報は、所定の送信タイミングにて、搬送元にて携帯端末20を管理する上位端末等を介して管理サーバ50に送信されてもよい。また、作業者は、携帯端末20を用いて、各物品Gの無線タグTから個々にタグ情報を読み取ることに限らず、例えば、搬送個数分の物品Gを収容器具Mに収容した後に各無線タグTのタグ情報を一括して読み取ってもよい。
【0029】
管理サーバ50は、グループ化されたタグ情報等を管理するためのクラウドサーバとして構成されており、搬送元の携帯端末20等から受信したタグ情報等(搬送単位情報等に関連付けられるようにグループ化されたタグ情報等)が記憶されるデータベースを備えている。この管理サーバ50は、後述するように管理装置40から要求されたタグ情報等をその管理装置40に送信するように機能する。
【0030】
次に、搬送先に配置される無線タグリーダ30及び管理装置40について説明する。
無線タグリーダ30は、例えば公知のRFタグリーダによって構成されるものであり、図1に例示するように搬送先の搬送経路に設けられるゲートに設置されている。この無線タグリーダ30は、搬送中の各物品Gにそれぞれ付された無線タグTと無線通信を行うことで、複数の無線タグTにそれぞれ記録されたタグ情報を一括して読取可能とされている。この無線タグリーダ30は、各無線タグTから読み取った情報等を管理装置40に出力するように構成されている。
【0031】
無線タグリーダ30のハードウェア構成は、図5のようになっており、制御部31、メモリ32、無線タグ処理部33、アンテナ34および外部インタフェース35等を備えている。制御部31は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、半導体メモリ等からなるメモリ32とともに情報処理装置を構成している。
【0032】
また、無線タグ処理部33は、上述した無線タグ処理部27のように、無線タグTに記憶されるデータの読取り、或いは無線タグTに対するデータの書込みを行なうように機能する。この無線タグ処理部33は、無線タグ処理部27が有する送信回路27a、受信回路27b、整合回路27c等と同様に機能する送信回路33a、受信回路33b、整合回路33c等を有するように構成されている。
【0033】
また、外部インタフェース35は、管理装置40等の外部機器との間でのデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部31と協働して通信処理を行う構成をなしている。
【0034】
このように構成される無線タグリーダ30では、制御部31にてなされる読取処理に応じて、1又は2以上の収容器具Mを積み込んだパレットPがゲートを通過するごとに、収容器具M内の各物品Gに付された無線タグTが無線タグ処理部33を利用して一括読み取りされる。そして、このように一括して読み取られたタグ情報は、一括読取情報として外部インタフェース35を介して管理装置40に送信される。
【0035】
次に、管理装置40の構成について説明する。
管理装置40は、ゲートに設けた無線タグリーダ30から受信した一括読取情報等を利用して、ゲートを通過した物品Gの搬入状況等を管理する装置である。この管理装置40は、例えばコンピュータとして構成され、図6に示すように、CPU等からなる制御部41、液晶モニタ等として構成される表示部42、ROM、RAM、HDD等からなる記憶部43、マウスやキーボード等として構成される操作部44、無線タグリーダ30や管理サーバ50等の外部機器との間でのデータ通信を行うための通信インタフェースとして構成される通信部45などを備えている。なお、管理装置40は、「管理部」の一例に相当し得る。
【0036】
このように構成される管理装置40では、制御部41にてなされる搬入処理により、無線タグリーダ30から受信した一括読取情報等を利用して、搬入された物品Gを特定するための処理がなされる。特に、本実施形態では、搬入予定の物品Gに関するタグ情報及び搬送単位情報が管理サーバ50から搬入情報として事前に取得されることで記憶部43に記憶されており、この搬入情報を利用することで、無線タグリーダ30での一括読み取り時に読み取り漏れが生じた場合でも、その読み取り漏れ分を補完する。
【0037】
ここで、上述のように搬入情報を利用して読み取り漏れ分を補完する理由について、図7を参照して説明する。
例えば、収容器具Mにそれぞれ無線タグを付し、各無線タグが一括読みされることで、各収容器具Mに収容された物品Gが搬入されたと判断することができる。その一方で、図7に例示するように、フォークリフトで搬送するパレットP上に4つの収容器具M1~M4を積み込んだ際、その積み込み方によっては、収容器具M1~M3に付された無線タグTm1~Tm3が無線タグリーダ30により一括で読み取れても、無線タグリーダ30に対して読み取り難い位置にある無線タグTm4が読み取れない場合がある。
【0038】
このような場合、無線タグリーダ30にて無線タグTm4を読み取ることができるようにわざわざフォークリフトを移動させる作業等が必要となり、読取作業効率が低下してしまうという問題がある。
【0039】
そこで、本実施形態では、無線タグリーダ30での一括読み取り時に読み取り漏れが生じた場合でも、再度の読み取りを不要とすることで読取作業効率の低下を抑制するため、その読み取り漏れ分を管理サーバ50から取得した搬入情報を利用して補完する。
【0040】
以下、無線タグリーダ30から一括読取情報を受信するごとに制御部41にてなされる搬入処理について、図8に示すフローチャートを参照して詳述する。なお、図4に例示する搬送単位に相当する4つの収容器具M1~M4がパレットPに載せられた状態で無線タグリーダ30が設けられたゲートを通過する場合であって、無線タグリーダ30での一括読み取り時にタグ情報「10001」~「10019」が読み取られる一方でタグ情報「10020」が読み取られていない場合を例に説明する。
【0041】
通信部45を介して無線タグリーダ30から一括読取情報が受信されると、制御部41にて搬入処理が開始されて、まず、図8のステップS101に示す検索処理がなされる。この処理では、記憶部43に記憶される搬入情報を利用して、受信した一括読取情報に含まれるタグ情報に関連付けられる搬送単位情報が検索されるとともに、この検索された搬送単位情報に関連付けられる全てのタグ情報が検索される。
【0042】
上述のように、4つの収容器具M1~M4がゲートを通過したことから、無線タグリーダ30から受信した一括読取情報がタグ情報「10001」~「10019」であると、記憶部43に記憶される搬入情報においてこれらのタグ情報に関連付けられる搬送単位情報「2001」~「2004」が検索される。そして、上記搬入情報において上述のように検索された搬送単位情報「2001」~「2004」に関連付けられるタグ情報「10001」~「10020」が検索される。
【0043】
次に、ステップS103の判定処理にて、上述のように検索されたタグ情報と無線タグリーダ30から受信したタグ情報(一括読取情報)が一致するか否かについて判定される。上述のようにタグ情報「10020」が読み取られていない場合には、一括読取情報において検索情報に対してタグ情報「10020」が不足するタグ情報(不足タグ情報)となり、検索情報と一括読取情報とが一致しないので、ステップS103にてNoと判定されて、ステップS105に示す補完処理がなされる。この処理では、一括読取情報に対して上記不足タグ情報が含まれるように補完される。
【0044】
そして、ステップS107の登録処理にて、補完された一括読取情報となるタグ情報「10001」~「10020」に対応する物品Gが搬入されていると判断されて、これらの物品Gの搬入が登録される。なお、無線タグリーダ30での一括読み取り時に読み取り漏れが生じていない場合には、検索情報と一括読取情報とが一致するため(S103でYes)、上記補完処理がなされることなく、上記登録処理にて、一括読取情報に対応する物品Gの搬入が登録される。
【0045】
本搬入処理により、例えば、搬送単位情報「2001」に関して、タグ情報「10001」のみが読み取られ、残りのタグ情報「10002」~「10005」が読み取られない場合であっても、タグ情報「10001」から搬送単位情報「2001」が検索され、この搬送単位情報「2001」からタグ情報「10001」~「10005」が検索される。そして、タグ情報「10002」~「10005」が不足タグ情報として、一括読取情報に対して上記不足タグ情報が含まれるように補完されることとなる。すなわち、搬入された物品Gに付される無線タグTのタグ情報が無線タグリーダ30にて読み取られると、当該タグ情報に関して記憶部43においてグループ化されている搬送単位の全ての物品Gが搬入されていると判断される。
【0046】
以上説明したように、本実施形態に係る管理システム10では、グループ化処理部として機能する携帯端末20によりグループ化された搬送単位ごとのタグ情報が、管理サーバ50を介して管理装置40の記憶部43に記憶される。そして、管理装置40の制御部41にてなされる搬入処理では、搬入された物品Gに付される無線タグTのタグ情報が無線タグリーダ30にて読み取られると、当該タグ情報に関して記憶部43においてグループ化されている搬送単位の全ての物品Gが搬入されていると判断される。
【0047】
これにより、携帯端末20によりグループ化された搬送単位で搬送される物品Gであれば、搬送単位の各無線タグTを一括読み取りする場合には、少なくともいずれか1つの無線タグTが読み取れることで、残りの一部の無線タグTが読み取れなくても、その搬送単位の全物品が搬入されていると判断することができる。さらに、搬送単位を集めた多数の物品Gの無線タグTを一括読み取りする場合であっても、各搬送単位でそれぞれ少なくとも1つの無線タグTが読み取れることで、それぞれの搬送単位の全物品が搬入されていると判断することができる。したがって、一括読み取りの際に搬送単位の一部の無線タグTが読み取れなくても再度の読取作業を行う必要もないので、読み取り漏れを抑制するように複数の無線タグTを一括読み取りする場合でも読取作業効率の低下を抑制することができる。
【0048】
特に、携帯端末20では、一定時間内に読み取られた複数のタグ情報を搬送単位としてグループ化する。これにより、グループ化するために搬送単位でそれぞれの無線タグTのタグ情報を読み取る際に、前回の搬送単位に関する読取作業と今回の搬送単位に関する読取作業とで時間を空けるだけで搬送単位ごとにグループ化できるので、グループ化するタグ情報を選択するための入力操作等も不要となり、グループ化に関する作業性を向上させることができる。
【0049】
本実施形態の第1変形例として、携帯端末20では、一定個数読み取られた複数のタグ情報を搬送単位としてグループ化してもよい。これにより、搬送単位を構成する物品Gの個数が上記一定個数で予め決まっている場合には、1つの搬送単位の各物品Gに付された無線タグTを読み取る読取作業を終えると、次の搬送単位の各物品Gに付された無線タグTを読み取る読取作業を行うことで、搬送単位ごとにグループ化することができる。すなわち、搬送単位順にそれぞれの搬送単位の各物品Gに付された無線タグTを読み取る読取作業を行うだけで必然的に搬送単位ごとにグループ化できるので、グループ化するタグ情報を選択するための入力操作等も不要となり、グループ化に関する作業性を向上させることができる。
【0050】
本実施形態の第2変形例として、図9に示すように、搬送単位情報を記録した情報コードCmを収容器具Mに付して、携帯端末20において、その収容器具Mに付された情報コードCmを情報コード読取部28を利用して読み取ることで、無線タグ処理部27を利用して読み取ったタグ情報を、上記搬送単位情報に関連付けた状態で搬送単位としてグループ化してもよい。具体的には、例えば、収容器具Mに収容する物品Gに付された無線タグTを読み取った後に、その収容器具Mに付された情報コードCmを読み取ることで、この情報コードCmの読み取りまでに無線タグTから読み取ったタグ情報を、上記搬送単位情報に関連付けた状態で搬送単位としてグループ化してもよい。また、収容器具Mに付された情報コードCmを読み取った後に、その収容器具Mに無線タグTを読み取った物品Gを収容することで、今回の情報コードCmの読み取りから次の情報コードCmの読み取りまでに無線タグTから読み取ったタグ情報を、上記今回の搬送単位情報に関連付けた状態で搬送単位としてグループ化してもよい。
【0051】
すなわち、本実施形態の第2変形例では、携帯端末20において、搬送単位に関する搬送単位情報が読み取られると、前回の搬送単位情報の読み取りから今回の搬送単位情報の読み取りまでに読み取った複数のタグ情報、及び、今回の搬送単位情報の読み取りから次回の搬送単位情報の読み取りまでに読み取った複数のタグ情報のいずれか一方を、今回の搬送単位情報に関連付けた状態で搬送単位としてグループ化する。
【0052】
これにより、搬送単位の各無線タグTを読み取った後に情報コードCmの搬送単位情報を読み取る読取作業や情報コードCmの搬送単位情報を読み取った後に搬送単位の各無線タグTを読み取る読取作業を繰り返すことで、搬送単位ごとにタグ情報がグループ化される。このため、搬送単位ごとに正確にグループ化できるだけでなく、グループ化されたタグ情報に上記搬送単位情報等を関連付けることができるので、より詳細な搬送管理を行うことができる。
【0053】
なお、上記搬送単位情報は、収容器具Mに付された情報コードCmに記録されることに限らず、収容器具Mに付された他の記録媒体、例えば、物品Gに付される無線タグと区別可能な他の無線タグに記録されてもよいし、搬入時の作業指示書等に表示された情報コードに記録されてもよい。
【0054】
[他の実施形態]
なお、本発明は上記実施形態及び変形例等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)各物品Gは、梱包箱等の収容器具Mに所定数収容されることで、搬送単位として搬送されることに限らず、例えば、パレット等に直接積み込まれることで、搬送単位として搬送されてもよい。
【0055】
(2)管理装置40は、管理サーバ50から搬入情報を取得することに限らず、例えば、携帯端末20を管理する搬送元での上位端末等から搬入情報を取得してもよい。
【0056】
(3)本発明は、物品Gを製造する製造会社を搬送元、物品Gを販売する販売会社を搬送先とした管理システムに採用されることに限らず、例えば、同じ会社の工場間や製造ライン間で物品を搬送する管理システムに採用されてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10…管理システム
20…携帯端末(グループ化処理部)
30…読取装置
40…管理装置(管理部)
41…制御部
43…記憶部
50…管理サーバ
G…物品
M,M1~M4…収容器具
T…無線タグ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9