(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】乗り物用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/30 20060101AFI20230517BHJP
B60N 2/42 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
B60N2/30
B60N2/42
(21)【出願番号】P 2019131346
(22)【出願日】2019-07-16
【審査請求日】2022-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】小林 建斗
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-009733(JP,A)
【文献】特開2016-013734(JP,A)
【文献】特開2009-067310(JP,A)
【文献】特開2015-217804(JP,A)
【文献】特開2002-104039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/30
B60N 2/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバック、及び該シートバックに回動可能に連結されるシートクッションを有するシート本体を備え、
該シート本体が着座者を着座させることが可能な通常状態と、前記シート本体を前記通常状態から移動させた移動状態との間で切り替え可能な乗り物用シートであって、
前記シートクッション及び車体フロアの一方側に寄せて配置され、前記乗り物用シートに対し所定以上の荷重が加わったときに、前記シートクッション及び前記車体フロアの他方側に展開されて前記シートクッションを下方から支持する支持部材を備えていることを特徴とする乗り物用シート。
【請求項2】
前記移動状態とは、前記シート本体を前記車体フロア側に収納移動させた収納状態であって、
前記支持部材は、前記シートクッション側に格納されるように配置され、前記乗り物用シートに対し所定以上の荷重が加わったときに、前記車体フロア側に展開されて前記シートクッションを下方から支持する支持脚であることを特徴とする請求項1に記載の乗り物用シート。
【請求項3】
前記支持部材は、前記シートクッションに対して回動可能となるように取り付けられ、前記シートクッション側に格納されたときにシート前後方向に長尺となるように延びている左右の脚本体部を有し、
該左右の脚本体部は、シート幅方向に所定の間隔を空けて配置されており、前記シートクッションの左右の側方部分に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の乗り物用シート。
【請求項4】
前記支持部材は、前記シートクッションに対して回動可能となるように取り付けられ、前記シートクッション側に格納された基準位置と、前記車体フロア側に展開された展開位置との間で回動可能であって、
前記支持部材は、該支持部材が前記展開位置に移動したときに、前記車体フロアに設けられた脚係合部材に係合することを特徴とする請求項2又は3に記載の乗り物用シート。
【請求項5】
前記支持部材が前記展開位置に移動したときに、前記支持部材において前記シートクッションに取り付けられた部分が、前記脚係合部材に係合した部分よりもシート前方位置に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の乗り物用シート。
【請求項6】
前記シートクッションには、前記支持部材の回転移動を規制する移動規制部材が取り付けられ、
該移動規制部材は、前記乗り物用シートに対し所定以上の荷重が加わったときに、前記基準位置から展開された前記支持部材が前記展開位置を越えて移動することを規制することを特徴とする請求項4又は5に記載の乗り物用シート。
【請求項7】
前記シートクッションに対して前記支持部材を回動可能に連結する脚回動軸と、
該脚回動軸又は該脚回動軸の周辺部分に取り付けられ、前記支持部材を前記基準位置側に付勢する付勢部材と、を備え、
前記支持部材は、前記乗り物用シートに対し所定以上の荷重が加わったときに、前記付勢部材の付勢力に抗して前記基準位置から前記展開位置に回転移動することを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の乗り物用シート。
【請求項8】
前記支持部材は、前記シートクッションの左右の側方部分に取り付けられ、前記シートクッション側に格納されたときにシート前後方向に長尺に延びている左右の脚本体部と、該左右の脚本体部の延出端部を連結する脚連結部と、を有し、
前記支持部材が前記展開位置にいるときに前記脚連結部が前記脚係合部材に係合し、
前記脚連結部には、前記支持部材の重さを増すための錘部材が取り付けられ、
前記シートクッションの左右の側方部分には、前記左右の脚本体部よりも下方位置に配置され、該左右の脚本体部を跨ぐように延びている左右の板状弾性部材が取り付けられ、
前記支持部材は、前記乗り物用シートに対し所定以上の荷重が加わったときに前記基準位置から前記板状弾性部材を越えて下方に移動し、前記錘部材とともに前記展開位置まで移動することを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項に記載の乗り物用シート。
【請求項9】
前記シートバックに対して前記シートクッションを回動可能に連結するとともに、前記シート本体が前記通常状態のときに前記シートクッションの回動動作をロックするクッションロック装置を備え、
該クッションロック装置は、前記シートクッションのロック状態を解除するために操作されるクッション用操作レバーを有し、
前記支持部材は、前記シートクッションの左右の側方部分に取り付けられ、前記シートクッション側に収納されたときにシート前後方向に長尺に延びている左右の脚本体部と、該左右の脚本体部の延出端部を連結する脚連結部と、を有し、
前記クッション用操作レバーは、前記シートクッションの下方部分に取り付けられ、前記左右の脚本体部と、前記脚連結部とで囲まれた位置に配置されていることを特徴とする請求項2乃至8のいずれか1項に記載の乗り物用シート。
【請求項10】
前記車体フロア上に設けられ、前記シート本体を支持する支持ベースと、
該支持ベースを上方から覆うベースカバーと、を備え、
前記シートクッションの下方部分には、前記シート本体が前記通常状態から前記収納状態に移動するときに前記ベースカバーの上面を摺動するための回転部材が取り付けられていることを特徴とする請求項2乃至9のいずれか1項に記載の乗り物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物用シートに係り、特に、シートバック及びシートクッションを有するシート本体を通常状態から切り替えることが可能な乗り物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート本体を構成するシートバック及びシートクッションを車体フロアよりも低位置に収納可能な車両用シートは既に知られており、その中には、シート本体を前倒れさせてシート前方に設けられた収納フロアに収納可能な車両用シートが存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の車両用シートでは、車体フロアに取り付けられ、シートバックを回動可能に支持するシート回動軸(フロア側支持軸)と、シートバックに対してシートクッションを回動可能に連結するとともに、シート本体が着座者を着座させることが可能な通常状態のときにシートクッションの回動動作をロックするクッションロック装置(ラッチ装置)と、を備えている。
シート本体の収納操作時には、シートバックが車体フロアに対してシートクッションを収納フロアへ移動させるように回転し、シート本体を収納フロアに収納可能な構成となっている。
また、車両用シートは、乗員が着座可能な通常状態から、シートクッションを上方に跳ね上げたチップアップ状態へ切り替え可能な構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のようなシート本体を収納可能な乗り物用シートでは、シートクッションよりも下方位置にスペース(収納スペース等)を確保すべく、シートクッションを下方から支持する脚部材を有していないため、例えば車両の前方衝突時に車両用シートに対し所定以上の過大荷重が加わると、着座者による着座荷重を好適に受け止めることができなくなる虞があった。
なお、当該着座荷重を好適に受け止めるべく、上記クッションロック装置の剛性を高める構造も考えられるが、その場合にはクッションロック装置の構造が大型化してしまう虞があった。
そのため、通常時にはシートクッションと車体フロアの間にスペースを確保しておき、車両用シートに対し所定以上の荷重が加わったときには、着座者による着座荷重を好適に受け止めることが可能な乗り物用シートが望まれていた。
また、クッションロック装置の大型化を避けながら、シンプルな構成で着座荷重を受け止めることが可能な乗り物用シートが望まれていた。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、所定以上の荷重が加わったときに、着座者による着座荷重を受け止めることができ、シンプルな構成でシート本体を通常状態から切り替え可能な乗り物用シートを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、通常時にはシートクッションと車体フロアの間にスペースを確保しておき、過大荷重が加わったときには、着座荷重を好適に受け止めることが可能な乗り物用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明の乗り物用シートによれば、シートバック、及び該シートバックに回動可能に連結されるシートクッションを有するシート本体を備え、該シート本体が着座者を着座させることが可能な通常状態と、前記シート本体を前記通常状態から移動させた移動状態との間で切り替え可能な乗り物用シートであって、前記シートクッション及び車体フロアの一方側に寄せて配置され、前記乗り物用シートに対し所定以上の荷重が加わったときに、前記シートクッション及び前記車体フロアの他方側に展開されて前記シートクッションを下方から支持する支持部材を備えていること、により解決される。
上記構成により、所定以上の荷重が加わったときに、着座者による着座荷重を受け止めることができ、シンプルな構成でシート本体を通常状態から切り替え可能な乗り物用シートを実現することができる。
また、通常状態のときにはシートクッションと車体フロアの間にスペースを確保しておき、過大荷重が加わったときには、着座荷重を好適に受け止めることが可能な乗り物用シートを実現することができる。
【0008】
このとき、前記移動状態とは、前記シート本体を前記車体フロア側に収納移動させた収納状態であって、前記支持部材は、前記シートクッション側に格納されるように配置され、前記乗り物用シートに対し所定以上の荷重が加わったときに、前記車体フロア側に展開されて前記シートクッションを下方から支持する支持脚であると良い。
上記のように、支持部材(支持脚)は、通常状態のときにシートクッション側に格納されるように配置されているため、シートクッションと車体フロアの間に十分なスペースを確保しておくことができる。
【0009】
このとき、前記支持部材は、前記シートクッションに対して回動可能となるように取り付けられ、前記シートクッション側に格納されたときにシート前後方向に長尺となるように延びている左右の脚本体部を有し、該左右の脚本体部は、シート幅方向に所定の間隔を空けて配置されており、前記シートクッションの左右の側方部分に配置されていると良い。
上記のように、左右の脚本体部がシートクッションの左右の側方部分に配置されているため、シートクッションに加わる荷重(着座荷重)をバランス良く受け止めることができる。
【0010】
このとき、前記支持部材は、前記シートクッションに対して回動可能となるように取り付けられ、前記シートクッション側に格納された基準位置と、前記車体フロア側に展開された展開位置との間で回動可能であって、前記支持部材は、該支持部材が前記展開位置に移動したときに、前記車体フロアに設けられた脚係合部材に係合すると良い。
上記構成により、車両用シートに対し所定以上の荷重が加わったときに、シートクッション側から展開された支持部材が、車体フロアに設けられた脚係合部材に係合するため、シートクッションを安定して保持することができる。
【0011】
このとき、前記支持部材が前記展開位置に移動したときに、前記支持部材において前記シートクッションに取り付けられた部分が、前記脚係合部材に係合した部分よりもシート前方位置に配置されていると良い。
上記構成により、所定以上の荷重が加わったときには、支持部材がシートクッションを突っ張るようにして支持することができるため、シートクッションをより安定して保持することができる。
【0012】
このとき、前記シートクッションには、前記支持部材の回転移動を規制する移動規制部材が取り付けられ、該移動規制部材は、前記乗り物用シートに対し所定以上の荷重が加わったときに、前記基準位置から展開された前記支持部材が前記展開位置を越えて移動することを規制すると良い。
上記構成により、所定以上の荷重が加わったときには、支持部材が展開位置まで移動した後に移動規制されるため、シートクッションを一層安定して保持することができる。
【0013】
このとき、前記シートクッションに対して前記支持部材を回動可能に連結する脚回動軸と、該脚回動軸又は該脚回動軸の周辺部分に取り付けられ、前記支持部材を前記基準位置側に付勢する付勢部材と、を備え、前記支持部材は、前記乗り物用シートに対し所定以上の荷重が加わったときに、前記付勢部材の付勢力に抗して前記基準位置から前記展開位置に回転移動すると良い。
上記構成により、シンプルな構成によって、通常状態のときには支持部材をシートクッション側に収納させておくことができ、所定以上の荷重が加わったときには、支持部材を車体フロア側に展開させることができる。
【0014】
このとき、前記支持部材は、前記シートクッションの左右の側方部分に取り付けられ、前記シートクッション側に格納されたときにシート前後方向に長尺に延びている左右の脚本体部と、該左右の脚本体部の延出端部を連結する脚連結部と、を有し、前記支持部材が前記展開位置にいるときに前記脚連結部が前記脚係合部材に係合し、前記脚連結部には、前記支持部材の重さを増すための錘部材が取り付けられ、前記シートクッションの左右の側方部分には、前記左右の脚本体部よりも下方位置に配置され、該左右の脚本体部を跨ぐように延びている左右の板状弾性部材が取り付けられ、前記支持部材は、前記乗り物用シートに対し所定以上の荷重が加わったときに前記基準位置から前記板状弾性部材を越えて下方に移動し、前記錘部材とともに前記展開位置まで移動すると良い。
上記構成により、シンプルな構成によって、支持部材をシートクッション側に収納させておくことができ、所定以上の荷重が加わったときには、支持部材を車体フロア側に展開させることができる。
【0015】
このとき、前記シートバックに対して前記シートクッションを回動可能に連結するとともに、前記シート本体が前記通常状態のときに前記シートクッションの回動動作をロックするクッションロック装置を備え、該クッションロック装置は、前記シートクッションのロック状態を解除するために操作されるクッション用操作レバーを有し、前記支持部材は、前記シートクッションの左右の側方部分に取り付けられ、前記シートクッション側に収納されたときにシート前後方向に長尺に延びている左右の脚本体部と、該左右の脚本体部の延出端部を連結する脚連結部と、を有し、前記クッション用操作レバーは、前記シートクッションの下方部分に取り付けられ、前記左右の脚本体部と、前記脚連結部とで囲まれた位置に配置されていると良い。
上記構成により、シートクッションの下方部分に支持部材(支持脚)及びクッション用操作レバーをコンパクトに配置することができる。
【0016】
このとき、前記車体フロア上に設けられ、前記シート本体を支持する支持ベースと、該支持ベースを上方から覆うベースカバーと、を備え、前記シートクッションの下方部分には、前記シート本体が前記通常状態から前記収納状態に移動するときに前記ベースカバーの上面を摺動するための回転部材が取り付けられていると良い。
上記構成により、シンプルな構成で、シート本体を通常状態から収納状態に円滑に切り替えることが可能な乗り物用シートになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、所定以上の荷重が加わったときに、着座者による着座荷重を受け止めることができ、シンプルな構成でシート本体を通常状態から切り替え可能な乗り物用シートを実現することができる。
また本発明によれば、通常状態のときにはシートクッションと車体フロアの間にスペースを確保しておき、過大荷重が加わったときには、着座荷重を好適に受け止めることが可能な乗り物用シートを実現できる。
また本発明によれば、シートクッションに加わる荷重(着座荷重)をバランス良く受け止めることができる。
また本発明によれば、車両用シートに対し所定以上の荷重が加わったときに、シートクッションを安定して保持することができる。
また本発明によれば、シンプルな構成によって、通常状態のときには支持部材をシートクッション側に収納させておくことができ、所定以上の荷重が加わったときには、支持部材を車体フロア側に展開させることができる。
また本発明によれば、シートクッションの下方部分に支持部材(脚部材)及びクッション用操作レバーをコンパクトに配置することができる。
また本発明によれば、シンプルな構成で、シート本体を通常状態から収納状態に円滑に切り替えることが可能な乗り物用シートになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】本実施形態の乗り物用シートの斜視図である。
【
図3】乗り物用シートの骨格となるシートフレームの斜視図である。
【
図4】シートフレームの側面図であって、リクライニング装置を示す図である。
【
図5】シートフレームの側面図であって、クッションロック装置を示す図である。
【
図6】シートフレームの底面図であって、クッションフレーム、支持脚及び脚回動装置を示す図である。
【
図7】乗り物用シートの側面図であって、支持脚が基準位置にある状態を示す図である。
【
図8】支持脚が展開位置にある状態を示す図である。
【
図9】乗り物用シートの側面図であって、通常状態を示す図である。
【
図10】通常状態から収納状態へ移動する動作を説明する図である。
【
図13】チップアップ状態から通常状態へ復帰する動作を説明する図である。
【
図15】以下、第2実施形態の乗り物用シートであって、シートフレームの斜視図である。
【
図16】乗り物用シートの側面図であって、通常状態を示す図である。
【
図17】通常状態から収納状態へ移動する動作を説明する図である(その1)。
【
図18】通常状態から収納状態へ移動する動作を説明する図である(その2)。
【
図20】以下、第3実施形態の乗り物用シートであって、当該シートの側面図である。
【
図21】通常状態から収納状態へ移動する動作を説明する図である。
【
図23】第4実施形態の乗り物用シートの側面図である。
【
図24】以下、第5実施形態の乗り物用シートであって、当該シートの側面図である。
【
図25】通常状態から収納状態へ移動する動作を説明する図である。
【
図27】以下、第7実施形態の乗り物用シートであって、当該シートの側面図である。
【
図28】通常状態から収納状態へ移動する動作を説明する図である(その1)。
【
図29】通常状態から収納状態へ移動する動作を説明する図である(その2)。
【
図31】以下、第8実施形態の乗り物用シートであって、当該シートの側面図である。
【
図32】通常状態から収納状態へ移動する動作を説明する図である(その1)。
【
図33】通常状態から収納状態へ移動する動作を説明する図である(その2)。
【
図35】以下、第9実施形態の乗り物用シートであって、当該シートの側面図である。
【
図37】通常状態から収納状態へ移動する動作を説明する図である。
【
図39】以下、乗り物用シートの変形例1であって、支持エアバッグが基準位置にある状態を示す図である。
【
図40】支持エアバッグが展開位置にある状態を示す図である。
【
図41】乗り物用シートの変形例2であって、支持脚が基準位置から展開位置に移動した状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る乗り物用シートについて、
図1-
図41を参照しながら説明する。
本実施形態は、シートバック及びシートクッションを有するシート本体を備え、シート本体を通常状態と、通常状態から収納移動させた収納状態との間で切り替え可能な乗り物用シートであって、シートクッション側に格納されるように配置され、乗り物用シートに対し所定以上の荷重が加わったときに、車体フロア側に展開されてシートクッションを下方から支持する支持部材を備えていることを特徴とする乗り物用シートの発明に関するものである。
なお、乗り物用シートのシートバックに対して乗員が着座する側がシート前方側となる。
【0020】
本実施形態の乗り物Vは、
図1に示すように、自動運転が可能な自動車であって、乗り物用シートS~S8を備えている。以下、乗り物用シートS~S8について順に説明する。
【0021】
乗り物用シートSは、着座者が着座可能な通常状態と、シート本体を収納フロアに収納させた収納状態と、シート本体を上方に跳ね上げたチップアップ状態との3種類の形態のシートアレンジが可能なシートである。
具体的には、乗り物用シートSは、
図9に示す通常状態から、着座者がシート本体の上端部にあるリクラ用操作レバー54を引っ張ると、シート本体が前倒れして折り畳まれ、収納フロアに収納された
図11に示す収納状態に切り替わる。そして、収納状態から、着座者が手動でシート本体を上方に起こすことで
図12のチップアップ状態に切り替わる。さらに、チップアップ状態から、着座者がシート本体(シートクッション)の下端部にあるクッション用操作レバー64を引っ張ると、シート本体の一部(シートクッション)が下方に回転し、
図14に示す通常状態に復帰する。
【0022】
乗り物用シートSは、
図2、
図3に示すように、シートバック1と、シートクッション2と、ヘッドレスト3とを備えるシート本体と、車体フロア上に取り付けられ、シート本体を前後方向に移動可能に支持する左右のレール装置4と、レール装置4上に取り付けられ、シート本体(シートバック1)を支持する支持ベース30と、支持ベース30を上方から覆うベースカバー40と、から主に構成されている。
また、乗り物用シートSは、
図3に示すように、支持ベース30に対してシートバック1を回動可能に連結するとともに、シートバック1の回動動作をロックするリクライニング装置50と、シートバック1に対してシートクッション2を回動可能に連結するとともに、シートクッション2の回動動作をロックするクッションロック装置60と、を備えている。
さらに、乗り物用シートSは、
図3、
図7に示すように、シートクッション2に格納されるように配置される支持脚70と、シートクッション2に対して支持脚70を回動可能に連結するとともに、所定以上の荷重が加わったときに支持脚70を車体フロア側に展開させる脚回動装置80と、車体フロアに設けられ、車体フロア側に展開された支持脚70に着脱可能に係合する脚係合フック90と、を備えている。
なお、乗り物用シートSのシート前方側には、車体フロアよりも低位置に形成された凹型の収納フロアが設けられている。
【0023】
シートバック1は、
図2に示すように、乗員の背中を後方から支持する背もたれ部であって、骨格となる
図3に示すバックフレーム10に、クッションパッド1aを載置して、表皮1bで被覆されて構成されている。
シートクッション2は、乗員を下方から支持する着座部であって、骨格となる
図3に示すクッションフレーム20に、クッションパッド2aを載置して、クッションパッド2aの上から表皮2bによって被覆されて構成されている。
ヘッドレスト3は、乗員の頭を後方から支持する頭部であって、芯材となる不図示のピラーにクッションパッドを載置して表皮で被覆されて構成されている。
【0024】
レール装置4は、
図3に示すように、上下方向においてシート本体と車体フロアとの間に配設されており、車体フロアに固定され、シート前後方向に延びる左右のロアレール4aと、ロアレール4aに沿って摺動可能に支持される左右のアッパレール4bと、ロアレール4aに対してアッパレール4bを摺動不能にロックする不図示のロック装置と、当該ロック装置のロック状態を解除するために操作される
図2に示すレール用操作レバー4cと、から主に構成されている。
左右のアッパレール4bの上面には、支持ベース30が架設されている。
【0025】
バックフレーム10は、
図3に示すように、シートバック1の骨格となる矩形状の枠状体からなり、バックフレーム10のシート幅方向の外側面においてその下方部分には、支持ベース30と連結するための左右の連結ブラケット11が取り付けられている。
連結ブラケット11は、上下方向に延出する弓形状の板金部材からなり、連結ブラケット11の上端がバックフレーム10に取り付けられ、その下端が支持ベース30に取り付けられている。
右側の連結ブラケット11の下端部には、支持ベース30に対してバックフレーム10を回動可能に連結するリクライニング装置50(リクライニング本体51)が取り付けられており、左側の連結ブラケット11の下端部には、シート幅方向において支持ベース30に軸支されたバック回動軸52が設けられている。
【0026】
クッションフレーム20は、
図3に示すように、シートクッション2の骨格となる矩形状の枠状体からなり、シート幅方向の側方に配置された左右のサイドフレーム21と、各サイドフレーム21の前方部分を連結する前方連結パイプ22と、各サイドフレーム21の後方部分を連結する後方連結パイプ23と、前方連結パイプ22と後方連結パイプ23を連結する板状フレームとしてのパンフレーム24と、から主に構成されている。
サイドフレーム21は、シート前後方向に延出する板金部材からなり、左右のサイドフレームのシート幅方向の内側面においてその前端部分には、クッションフレーム20に対して支持脚70を回動可能に連結する脚回動装置80が取り付けられている。
また、サイドフレーム21のシート幅方向の外側面においてその後端部分には、クッションロック装置60が取り付けられている。
【0027】
支持ベース30は、
図3に示すように、シート本体を支持する部材であって、シート幅方向の側方部分に設けられ、アッパレール4bに沿って配置される左右のサイドベース部31と、各サイドベース部31の前方部分を連結する前方ベース連結部32と、各サイドベース部31の後方部分を連結する後方ベース連結部33と、各サイドベース部31の上面に取り付けられる左右の補強ベース部34と、を備えている。
前方ベース連結部32、後方ベース連結部33それぞれの左右両端部は、サイドベース部31と補強ベース部34とで挟まれて連結されている。
【0028】
ベースカバー40は、
図2に示すように、支持ベース30全体及びレール装置4を上方から覆う樹脂成形品である。
ベースカバー40は、支持ベース30及びレール装置4を外部から保護する機能のほか、シート本体が通常状態から収納状態に切り替わるときにシート本体(シートクッション2)の移動をガイドする機能を備えている。
ベースカバー40は、シート幅方向の側方部分に設けられ、シートクッション2に向かって上方に突出するように形成される左右のカバー突出部41と、左右のカバー突出部41の間に設けられ、カバー突出部41よりも下方に窪むように形成され、収容物を収容するためのカバー収容凹部42と、を主に備えている。
カバー突出部41は、そのシート前後方向の中央部分が最も高い上面を有しており、シート前方にある傾斜面の延長線上には、収納フロアが配置されている。
カバー突出部41は、シート本体が通常状態から収納状態へ移動するときに、
図10に示すように、シートクッション2(具体的には、シートクッション2を保護するクッションカバー)と当接し、シートクッション2を収納フロア側へ摺動させる(滑走させる)機能を有している。つまり、シートクッション2がベースカバー40によってガイドされて収納フロアへ円滑に向かうように構成されている。
【0029】
リクライニング装置50は、
図3、
図4に示すように、シート幅方向において右側の連結ブラケット11の内側面に配置されており、シート幅方向においてクッションフレーム20との干渉を抑制している。
リクライニング装置50は、バックフレーム10を回動させるときに駆動するリクライニング本体51と、バック回動軸52と、バックフレーム10をバック回動軸52を中心として前方回転させるように付勢する渦巻きバネ53と、バックフレーム10のロック状態を解除するために操作される
図2のリクラ用操作レバー54と、リクラ用操作レバー54とリクライニング本体51を連結するリクラ用ケーブル55と、から主に構成されている。
【0030】
リクライニング本体51は、公知なロック機構を有し、バックフレーム10の状態を、支持ベース30に対して固定されたロック状態と、支持ベース30に対して回動可能なロック解除状態との間で切り替えることが可能である。
バック回動軸52は、シート幅方向においてバックフレーム10側と支持ベース30側とに軸支され、渦巻きバネ53は、その一端がバックフレーム10側に係止され、他端が支持ベース30側に係止されている。
リクラ用ケーブル55は、リクラ用操作レバー54の操作に牽引されてシートバック1をロック状態からロック解除状態へ切り替えるように作用する。
【0031】
上記構成において、リクライニング装置50は、バックフレーム10を
図9の起立姿勢にロックし、リクラ用操作レバー54が操作されることでロック状態を解除し、渦巻きバネ53の付勢力によってバックフレーム10を前方側に回転させて車体フロア側に折り畳むことができる。
【0032】
クッションロック装置60は、
図3、
図5に示すように、シート幅方向において左側のサイドフレーム21の外側面に配置されている。
クッションロック装置60は、クッションフレーム20の回動動作をロックするためのロック本体61と、クッション回動軸62と、クッションフレーム20をクッション回動軸62を中心として下方側に付勢する渦巻きバネ63と、クッションフレーム20のロック状態を解除するために操作される
図2のクッション用操作レバー64と、上述のリクラ用操作レバー54とロック本体61を連結する第1クッション用ケーブル65と、クッション用操作レバー64とロック本体61を連結する第2クッション用ケーブル66と、から主に構成されている。
【0033】
クッション回動軸62は、シート幅方向においてバックフレーム10側とクッションフレーム20側とに軸支され、渦巻きバネ63は、その一端がバックフレーム10側に係止され、他端がクッションフレーム20側に係止されている。
クッション用操作レバー64は、クッションフレーム20の下端部分に取り付けられ、かつ、クッションフレーム20の前方部分においてその左側の側方部分に配置されている。
第1クッション用ケーブル65は、バックフレーム10の外側面に沿って上下方向に延びており、リクラ用操作レバー54の操作に牽引されてクッションフレーム20をロック状態からロック解除状態へ切り替えるように作用する。
また、第2クッション用ケーブル66は、クッションフレーム20の側面に沿ってシート前後方向に延びており、クッション用操作レバー64の操作に牽引されてクッションフレーム20をロック状態からロック解除状態へ切り替えるように作用する。
【0034】
クッションロック装置60は、クッションフレーム20を
図9の水平姿勢にロックし、リクラ用操作レバー54が操作されることでバックフレーム10と連動してロック状態を解除し、渦巻きバネ63の付勢力によってクッションフレーム20を下方側に付勢しながら車体フロア側に折り畳むことができる。
また、クッションロック装置60は、通常状態においてクッション用操作レバー64が操作されることで、クッションフレーム20のロック状態を解除し、渦巻きバネ63の付勢力に抗してクッションフレーム20を上方に起こすことで、
図12に示すチップアップ状態に移動させることができる。そして、チップアップ状態においてクッション用操作レバー64が再度操作されることで(
図13参照)、渦巻きバネ63の付勢力によってバックフレーム10に対しクッションフレーム20を下方側に回転させて
図14に示す通常状態に復帰させることができる。
【0035】
上記構成において、
図6に示すように、クッション用操作レバー64は、クッションフレーム20の下方部分に取り付けられ、支持脚70の左右の脚本体部71と、脚連結部72とで囲まれた位置に配置されている。
そのため、シートクッション2の下方部分に支持脚70及びクッション用操作レバー64をコンパクトに配置することができる。
【0036】
支持脚70は、
図3、
図6に示すように、シートクッション2側に格納されるように配置され、乗り物用シートSに対し所定以上の荷重が加わったときに、車体フロア側に展開されてシートクッション2を下方から支持する支持部材である。
支持脚70は、クッションフレーム20に脚回動装置80を介して回動可能に取り付けられ、クッションフレーム20側に格納された
図7に示す基準位置と、車体フロア側に展開された
図8に示す展開位置との間で回動可能となっている。
支持脚70は、基準位置にいるとき、クッションフレーム20と略平行となるようにシート前後方向に沿って延びるように格納されている。
また支持脚70は、展開位置に移動したときに、車体フロアに設けられた脚係合フック90に係合するように構成されている。
【0037】
支持脚70は、
図6に示すように、略U字形状のパイプ部材からなり、クッションフレーム20のうち、左右のサイドフレーム21にそれぞれ取り付けられ、クッションフレーム20側に格納されたときにシート前後方向に長尺に延びている左右の脚本体部71と、左右の脚本体部71の延出端部を連結する脚連結部72と、脚連結部72のシート幅方向の両端部分に取り付けられ、支持脚70の重さを増すための左右の錘部材73と、を有している。
左右の脚本体部71は、シート幅方向に所定の間隔を空けて配置されており、その基端部が、サイドフレーム21の左右内側面に脚回動軸81を介して取り付けられている。
【0038】
脚回動装置80は、
図3、
図6に示すように、左右のサイドフレーム21の内側面に配置されている。
脚回動装置80は、サイドフレーム21に軸支され、支持脚70を回動可能に連結する脚回動軸81と、脚回動軸81に取り付けられ、脚回動軸81を中心として支持脚70を上方側(クッションフレーム20側)に付勢する付勢バネ82と、サイドフレーム21に取り付けられ、支持脚70よりも下方位置に配置され、支持脚70を上方側に付勢する板状弾性バネ83と、サイドフレーム21に取り付けられ、支持脚70の回転移動を規制する移動規制部材84と、を有している。
【0039】
付勢バネ82は、その一端部がクッションフレーム20側に係止され、その他端部が支持脚70側に係止されて構成されており、支持脚70をクッションフレーム20側に、言い換えれば、基準位置側に付勢している。
板状弾性バネ83は、支持脚70を下方から支持する板状弾性部材であって、シート幅方向に長尺となるように延びており、支持脚70(脚本体部71)を跨ぐように延びている。
板状弾性バネ83は、その一端部がクッションフレーム20側に固定され、その他端部が支持脚70を下方から保持して構成されている。
【0040】
移動規制部材84は、
図7、
図8に示すように、支持脚70が基準位置から展開位置を越えて移動することを規制するための弾性部材(ストッパー部材)であって、サイドフレーム21の内側面に取り付けられ、かつ、支持脚70の基端部70aよりも前方位置に配置されている。
詳しく述べると、移動規制部材84は、支持脚70が展開位置に移動したときに、支持脚70と当接し、支持脚70を保持するように構成されている。
【0041】
上記構成において、
図7、
図8に示すように、支持脚70は、通常時には
図3に示す付勢バネ82によって付勢され、
図6に示す板状弾性バネ83によって保持されているため、シートクッション2側の基準位置に配置されている。
そして、例えば車両の前面衝突によって乗り物用シートSに対し所定以上の荷重が加わると、支持脚70が基準位置から板状弾性バネ83を乗り越えて、板状弾性バネ83よりも下方位置に移動する。
その結果、支持脚70が、付勢バネ82の付勢力に抗して車体フロア側の展開位置まで移動する。このとき、支持脚70は錘部材73を有しているため、当該荷重が加わった後に素早く錘部材73の重さによって展開位置まで移動することができる。
展開位置まで移動した支持脚70は、車体フロアに設けられた脚係合フック90に係合し、シートクッション2を下方から突っ張るように支持することができる。
なお、支持脚70は、展開位置まで移動したときに移動規制部材84に当接して位置決めされるため、当該展開位置に配置された状態で保持される。
【0042】
上記構成において、
図8に示すように、支持脚70が展開位置に移動したときに、支持脚70においてシートクッション2側にある基端部が、脚係合フック90に係合した延出端部よりもシート前方位置に配置されている。
言い換えれば、支持脚70は、その基端部側から延出端部側に向かって前方に下方傾斜している。
そのため、支持脚70がシートクッション2を突っ張るようにして支持することができるため、乗り物用シートSに対し所定以上の荷重が加わったときには、シートクッション2をより安定して保持することができる。
【0043】
脚係合フック90は、
図7、
図8に示すように、展開された支持脚70に係合するフック部材であって、車体フロアに慣性ロック装置91を介して回動可能に取り付けられており、車体フロアに格納された格納位置と、車体フロア上に突出し、支持脚70に係合することが可能な係合位置との間で回動可能となっている。
脚係合フック90は、格納位置にいるとき、車体フロア内部に格納されており、車体フロア上には露出していない状態となっている。
また、脚係合フック90は、係合位置にいるとき、支持脚70のうち脚連結部72の長尺方向の中央部分に係合することが可能となっている。
【0044】
慣性ロック装置91は、
図7、
図8に示すように、車両の前面衝突時に、車体フロア側に展開された支持脚70を脚係合フック90に保持した状態でロック可能な装置であって、車体フロアに取り付けられ、脚係合フック90を回動可能に支持している。
具体的には、慣性ロック装置91は、脚係合フック90の回動軸となるフック回動軸92と、脚係合フック90を格納位置側に付勢するフック付勢バネ93と、フック付勢バネ93の付勢力に抗して脚係合フック90が係合位置まで回転移動したときに、脚係合フック90を係合位置でロックするロック部材94と、から主に構成されている。
【0045】
フック付勢バネ93は、フック回動軸92の外周面に巻き付けるように取り付けられ、その一端部が車体フロア側に係止され、他端部が脚係合フック90側に係止されている。
ロック部材94は、フック回動軸92に取り付けられ、脚係合フック90に隣接した位置に配置され、格納位置にいる脚係合フック90とは係合せず、脚係合フック90が係合位置にいるとき、当該脚係合フック90と係合してロックする構成となっている。
【0046】
上記構成において、慣性ロック装置91は、脚係合フック90が
図7に示す格納位置にいるときに車両の前方衝突が生じると、脚係合フック90を
図8に示す係合位置に移動させてロックする機能を有する。その結果、シートクッション2側から展開されてきた支持脚70が脚係合フック90と係合することができる。
具体的には、車両の前方衝突によって脚係合フック90が衝撃荷重を受けると、脚係合フック90がフック付勢バネ93の付勢力に抗して係合位置側に向かう方向に慣性力が作用する。そして、脚係合フック90は、格納位置から係合位置へ移動し、ロック部材94によってロックされることになる。
なお、車両の前方衝突によって、支持脚70も同様にシート前方に慣性力を受けて、シートクッション2に格納された通常位置から展開位置側に向かう方向に慣性力が作用する。
その結果、支持脚70(脚連結部72)と脚係合フック90とが係合するようになる。
【0047】
<シート収納動作>
次に、
図9-
図14に基づいてシート本体を通常状態から収納状態へ移動させる動作を説明する。なお、
図9-
図14において、リクライニング装置50及びクッションロック装置60は、黒丸で図示されるときにロック状態を示し、白丸で図示されるときにロック解除状態を示すものとする。
【0048】
乗り物用シートSが
図9に示す通常状態にあるとき、シートバック1は、支持ベース30によって支持され、リクライニング装置50によって起立姿勢にロックされている。また、シートバック1に連結されたシートクッション2は、ベースカバー40(支持ベース30)によって下方から支持されている。
【0049】
乗り物用シートSを通常状態から収納状態へ移動させるときには、シートバック1上面に設けられたリクラ用操作レバー54を操作する。
着座者がリクラ用操作レバー54を操作することで、リクラ用ケーブル55及び第1クッション用ケーブル65がそれぞれ牽引され、
図10に示すように、リクライニング装置50及びクッションロック装置60のロック状態が解除される。
そして、シートバック1は、渦巻きバネ53の付勢力によって、シートクッション2を収納フロアまで移動させるようにバック回動軸52を中心としてシート前方側に回転を開始する。
【0050】
シートバック1は、
図10に示すように、シートクッション2がベースカバー40(カバー突出部41)の表面に当接し、ベースカバー40の表面上を摺動しながら収納フロアに向かって移動する。
そして、
図11に示すように、シートバック1及びシートクッション2が収納フロアに到達したときに、リクラ用操作レバー54の操作を終了することで、シートクッション2がクッションロック装置60によって再びロックされることになる。
上記一連の動作によって、シート本体が収納フロアに収納され、乗り物用シートSが収納状態に切り替わる。
【0051】
<シートチップアップ動作>
次に、
図11、
図12に基づいてシート本体を収納状態からチップアップ状態へ移動させる動作を説明する。
乗り物用シートSが
図11に示す収納状態にあるときに、例えば、乗員が手動でシート本体を上方に起こすことで
図12に示すチップアップ状態に切り替わる。
このとき、クッションロック装置60がシートクッション2の回動動作をロックしているため、シートバック1を上方に起こすことでシートクッション2も一体的に上方に起こすことができる。
なお、チップアップ状態のときに、アッパレール4bをロアレール4aに対してシート前後方向の一方側に摺動させることによって、シート前後方向の他方側に広い荷室スペースを確保することができる。
【0052】
乗り物用シートSが
図12に示すチップアップ状態に切り替わったとき、シートバック1は、通常状態の位置と同じ位置に復帰し、リクライニング装置50によって起立姿勢でロックされることになる。
【0053】
最後に、乗り物用シートSをチップアップ状態から通常状態へ移動させるときには、
図12に示すクッション用操作レバー64を引く操作をすることで、第2クッション用ケーブル66が牽引され、
図13に示すように、クッションロック装置60のロック状態が解除される。
シートクッション2は、クッションロック装置60の解除に伴い、渦巻きバネ63の付勢力によって、シートバック1に対して下方側に回転する。
上記一連の動作により、乗り物用シートSが
図14に示す通常状態に復帰する。
【0054】
なお、上記切り替え操作のほか、乗り物用シートSを通常状態からチップアップ状態へ移動させることもできる。
具体的には、着座者がクッション用操作レバー64を操作することで、第2クッション用ケーブル66が牽引され、クッションロック装置60のロック状態が解除される。
そして、シートバック1に対してシートクッション2を渦巻きバネ63の付勢力に抗して上方側に回転させることで、チップアップ状態へ直接移動させることができる。このとき、リクライニング装置50によるシートバック1のロック状態は維持されたままとなる。
【0055】
<乗り物用シートの第2実施形態>
次に、乗り物用シートの第2実施形態について、
図15-
図19に基づいて説明する。
なお、上述した乗り物用シートSと重複する内容については説明を省略する。
第2実施形態の乗り物用シートS2では、シート本体を通常状態から円滑に切り替えることが可能な乗り物用シートを実現するものである。
【0056】
乗り物用シートS2は、
図15に示すように、シートバック101(バックフレーム110)に対してシートクッション102(クッションフレーム120)を回動可能に連結するとともに、シートクッション102の回動動作をロックするクッションロック装置160を備えている。
クッションロック装置160は、
図3に示す渦巻きバネ63の代わりとして、シートクッション102をクッション回動軸162を中心として上方側に付勢する渦巻きバネ163を有している。
上記構成により、クッションロック装置160は、リクラ用操作レバー54の操作に伴ってロック状態を解除した後、渦巻きバネ163の付勢力によってシートクッション102を浮き上がらせることができる(やや上方に移動させることができる)。
【0057】
以下、シート本体を通常状態から収納状態へ移動させる動作を説明する。
乗り物用シートS2が
図16に示す通常状態にあるとき、シートバック101に連結されたシートクッション102は、ベースカバー40(支持ベース30)によって下方から支持されている。
着座者がリクラ用操作レバー54を操作することで、
図17に示すように、リクライニング装置50及びクッションロック装置160のロック状態が解除される。
当該ロック状態の解除に伴って、シートクッション102が、渦巻きバネ163の付勢力によってベースカバー40からやや浮き上がった状態になる。
【0058】
そして、シートバック101は、
図18に示すように、シートクッション102を収納フロアまで移動させるようにバック回動軸52を中心としてシート前方側に回転を開始する。
このとき、シートバック101は、シートクッション102がベースカバー40の表面に当接することなく浮き上がった状態を維持しながら、収納フロアに向かって移動する。
【0059】
そして、
図19に示すように、シートバック101及びシートクッション102が収納フロアに到達したときに、リクラ用操作レバー54の操作を終了することで、シートクッション102がクッションロック装置160によって再びロックされることになる。
上記一連の動作によって、乗り物用シートS2が収納状態に切り替わる。
上記構成により、シート本体を通常状態から円滑に切り替えることが可能な乗り物用シートを実現することができる。
【0060】
<乗り物用シートの第3実施形態>
次に、乗り物用シートの第3実施形態について、
図20-
図22に基づいて説明する。
第3実施形態の乗り物用シートS3では、シート本体を通常状態から切り替え可能なシートにおいて、シンプルな構成でシートクッションを支持することが可能な乗り物用シートを実現するものである。
【0061】
乗り物用シートS3は、
図20に示すように、シートバック201のシート幅方向の外側面から外側に突出するように設けられ、シートクッション202のシート幅方向の側方部分においてその後方部分を下方から保持する保持部材(クッション保持部材)201aをさらに備えている。
詳しく述べると、保持部材201aは、シートクッション202の側方部分を保護するクッションカバー202aに当接し、クッションカバー202aを下方から保持することができる。
【0062】
以下、シート本体を通常状態から収納状態へ移動させる動作を説明する。
乗り物用シートS3が
図20に示す通常状態にあるとき、シートバック201に連結されたシートクッション202は、シートバック201に設けられた保持部材201aによって下方から支持されている。
言い換えれば、シートクッション202は、ベースカバー40とは当接しておらず、ベースカバー40からやや浮き上がった状態となっている。
【0063】
着座者がリクラ用操作レバー54を操作することで、
図21に示すように、リクライニング装置50及びクッションロック装置60のロック状態が解除される。
そして、シートバック201は、シートクッション202を収納フロアまで移動させるようにバック回動軸52を中心としてシート前方側に回転を開始する。
このとき、シートバック201は、シートクッション202がベースカバー40の表面に当接し、ベースカバー40の表面上を摺動しながら収納フロアに向かって移動する。
【0064】
そして、
図22に示すように、シートバック201及びシートクッション202が収納フロアに到達したときに、リクラ用操作レバー54の操作を終了することで、シートクッション202がクッションロック装置60によって再びロックされることになる。
上記一連の動作によって、乗り物用シートS3が収納状態に切り替わる。
上記構成により、シート本体を通常状態から切り替え可能なシートにおいて、シンプルな構成でシートクッションを下方から支持することが可能な乗り物用シートを実現することができる。
【0065】
<乗り物用シートの第4実施形態>
次に、乗り物用シートの第4実施形態について、
図23に基づいて説明する。
第4実施形態の乗り物用シートS4では、シート本体を通常状態から切り替え可能なシートにおいて、シンプルな構成でシートクッションを支持することが可能な乗り物用シートを実現するものである。
【0066】
乗り物用シートS4は、シートバック301とシートクッション302を連結する連結部材305を備えている。
連結部材305は、所定の太さとなるように繊維を束ねて細長く形成した連結紐であって、シートバック301のシート幅方向の外側面と、シートクッション302のシート幅方向の外側面とにそれぞれ取り付けられている。
なお、連結部材305は、連結紐のほか、連結ベルト、連結リンク等であっても良い。
【0067】
上記において、シート本体を通常状態から収納状態へ移動させる動作については、第3実施形態の乗り物用シートS4と同様である。
上記構成により、シート本体を通常状態から切り替え可能なシートにおいて、シンプルな構成でシートクッションを下方から支持することが可能な乗り物用シートを実現することができる。
【0068】
<乗り物用シートの第5実施形態>
次に、乗り物用シートの第5実施形態について、
図24-
図26に基づいて説明する。
第5実施形態の乗り物用シートS5では、シンプルな構成で、シート本体を通常状態から収納状態に円滑に切り替えることが可能な乗り物用シートを実現するものである。
【0069】
乗り物用シートS5は、
図24に示すように、シートクッション402(クッションフレーム420)のシート幅方向の側方部分においてその下端部分から下方に突出するように設けられ、ベースカバー40の上面を摺動するための回転ローラ402a(回転部材)をさらに備えている。
詳しく述べると、回転ローラ402aは、シートクッション402の左右の側方部分に取り付けられており、シート前後方向に所定の間隔を空けて複数配置されている。
【0070】
以下、シート本体を通常状態から収納状態へ移動させる動作を説明する。
乗り物用シートS5が
図24に示す通常状態にあるとき、シートバック401に連結されたシートクッション402は、回転ローラ402aを介してベースカバー40によって下方から支持されている。
着座者がリクラ用操作レバー54を操作することで、
図25に示すように、リクライニング装置50及びクッションロック装置60のロック状態が解除される。
【0071】
そして、シートバック401は、
図25に示すように、シートクッション402を収納フロアまで移動させるようにシート前方側に回転を開始する。
このとき、シートクッション402に設けられた回転ローラ402aが、ベースカバー40の上面を摺動することができる。
上記一連の動作によって、
図26に示すように、乗り物用シートS5が収納状態に切り替わる。
上記構成により、シンプルな構成で、シート本体を通常状態から収納状態に円滑に切り替えることが可能な乗り物用シートを実現することができる。
【0072】
<乗り物用シートの第6実施形態>
次に、乗り物用シートの第6実施形態について、
図27-
図30に基づいて説明する。
第6実施形態の乗り物用シートS6では、シート本体を通常状態から切り替え可能なシートにおいて、シンプルな構成でシートクッションを支持することが可能な乗り物用シートを実現するものである。
【0073】
乗り物用シートS6は、
図27に示すように、シート本体を下方から支持するベースカバー540(支持ベース530)を備えている。
ベースカバー540は、支持ベース530を外部から保護する機能のほか、シート本体が通常状態のときに当該シート本体(シートクッション502)を下方から支持する機能を備えている。
詳しく述べると、ベースカバー540は、左右の側方部分においてその前端部分に設けられ、シートクッション2に向かって上方に前方傾斜しながら突出している左右のカバー突出部541と、左右のカバー突出部541の間に設けられ、収容物を収容するためのカバー収容凹部542と、を備えている。
左右のカバー突出部541は、シートクッション2のシート前方部分(前端部分)を下方から支持している。
【0074】
以下、シート本体を通常状態から収納状態へ移動させる動作を説明する。
乗り物用シートS6が
図27に示す通常状態にあるとき、シートバック501に連結されたシートクッション502は、ベースカバー540に設けられたカバー突出部541によって下方から支持されている。
着座者がクッション用操作レバー64を操作することで、クッションロック装置60のロック状態が解除される。そして、シートクッション502を上方に起こすことで、
図28に示すチップアップ状態に移動させることができる。
なお、クッション用操作レバー64の操作を終了することで、シートクッション502がクッションロック装置60によって再びロックされることになる。
【0075】
そして、着座者がリクラ用操作レバー54を操作することで、リクライニング装置50及びクッションロック装置60のロック状態が解除される。
ロック状態の解除に伴って、シートバック501が、
図29に示すように、シートクッション502を収納フロアまで移動させるようにシート前方側に回転を開始する。
このとき、シートクッション502が、ベースカバー540(カバー突出部541)よりも上方位置を移動することになる。
【0076】
上記一連の動作によって、
図30に示すように、乗り物用シートS6が収納状態に切り替わる。
上記構成により、シート本体を通常状態から切り替え可能なシートにおいて、シンプルな構成でシートクッションを支持することが可能な乗り物用シートを実現できる。
【0077】
<乗り物用シートの第7実施形態>
次に、乗り物用シートの第7実施形態について、
図31-
図34に基づいて説明する。
第7実施形態の乗り物用シートS7では、シート本体を通常状態から切り替え可能なシートにおいて、シンプルな構成でシートクッションを支持することが可能な乗り物用シートを実現するものである。
【0078】
乗り物用シートS7は、
図31に示すように、シートクッション602の左右の側方部分においてその下端部分に設けられ、ベースカバー640に向かって下方に突出するクッション係合凸部602aと、ベースカバー640の左右の側方部分の上面において下方に窪むように設けられ、クッション係合凸部602aに係合するカバー係合凹部643と、を備えている。
【0079】
以下、シート本体を通常状態から収納状態へ移動させる動作を説明する。
乗り物用シートS7が
図31に示す通常状態にあるとき、シートバック601に連結されたシートクッション602が、ベースカバー640によって下方から支持されている。
このとき、クッション係合凸部602aとカバー係合凹部643が係合している。
【0080】
着座者がクッション用操作レバー64を操作することで、クッションロック装置60のロック状態が解除される。そして、シートクッション602を上方に起こすことで、
図32に示すチップアップ状態に移動させることができる。
なお、クッション用操作レバー64の操作を終了することで、シートクッション602が再びロックされる。
【0081】
そして、着座者がリクラ用操作レバー54を操作することで、リクライニング装置50及びクッションロック装置60のロック状態が解除される。
ロック状態の解除に伴って、シートバック601が、
図33に示すように、シートクッション602を収納フロアまで移動させるようにシート前方側に回転を開始する。
上記一連の動作によって、
図34に示すように、乗り物用シートS7が収納状態に切り替わる。
上記構成により、シート本体を通常状態から切り替え可能なシートにおいて、シンプルな構成でシートクッションを支持することが可能な乗り物用シートを実現できる。
【0082】
<乗り物用シートの第8実施形態>
次に、乗り物用シートの第8実施形態について、
図35-
図38に基づいて説明する。
第8実施形態の乗り物用シートS8では、シンプルな構成で、シート本体を通常状態から収納状態に円滑に切り替えることが可能な乗り物用シートを実現するものである。
【0083】
乗り物用シートS8は、
図35に示すように、シートクッション702(クッションフレーム720)の左右の側方部分においてその下端部分に設けられ、ベースカバー740に向かって下方に突出するクッション係合凸部702aと、ベースカバー740の左右の側方部分の外側面において内側に窪むように形成され、クッション係合凸部702aに係合するカバー係合溝743と、を備えている。
【0084】
クッション係合凸部702aは、
図36に示すように、その基端部がクッションフレーム720に取り付けられ、当該基端部からシート幅方向の外側に延びる第1延出部702aaと、第1延出部702aaの延出端部から下方に延びる第2延出部702abと、第2延出部702abの延出端部からシート幅方向の内側に延びて、カバー係合溝743に係合する第3延出部702acと、から主に構成されている。
カバー係合溝743は、シート前後方向に延びており、シート本体が通常状態から収納状態に移動するときにクッション係合凸部702aをスライド移動させるための第1係合溝743aと、シート上下方向に延びており、シート本体が通常状態からチップアップ状態に移動するときにクッション係合凸部702aをスライド移動させるための第2係合溝743bと、を備えている。
なお、ベースカバー740のうち、カバー係合溝743が形成された溝部分には、弾性を有する弾性部材744が埋め込まれて取り付けられている。
そのため、シートクッション702とベースカバー740の係合状態が良好になる。
【0085】
以下、シート本体を通常状態から収納状態へ移動させる動作を説明する。
乗り物用シートS7が
図35に示す通常状態にあるとき、シートバック701に連結されたシートクッション702が、ベースカバー740によって支持されている。
このとき、クッション係合凸部702aとカバー係合溝743が係合している。
【0086】
そして、着座者がリクラ用操作レバー54を操作することで、リクライニング装置50及びクッションロック装置60のロック状態が解除される。
ロック状態の解除に伴って、シートバック701が、
図37に示すように、シートクッション702を収納フロアまで移動させるようにシート前方側に回転を開始する。
このとき、クッション係合凸部702aが、カバー係合溝743を摺動することができる。
上記一連の動作によって、
図38に示すように、乗り物用シートS8が収納状態に切り替わる。
上記構成により、シンプルな構成で、シート本体を通常状態から収納状態に円滑に切り替えることが可能な乗り物用シートを実現できる。
【0087】
<その他の実施形態>
上記実施形態において、乗り物用シートSのシート前方に収納フロアが形成されているが、特に限定されることなく、乗り物用シートSの後方や側方に収納フロアが形成されていても良い。
乗り物用シートSの後方に収納フロアが形成されている場合、シート本体が収納フロアに収納されたときにシートバック1とシートクッション2の上下方向の位置関係が逆の配置になることが望ましい。
【0088】
上記実施形態において、シート本体の収納状態が、本発明の移動状態に相当するものとして説明されたが、特に限定されることなく、本実施形態のチップアップ状態等が移動状態に相当するものとしても勿論良い。
そのほか、シート本体がレール装置4によって
図9に示す通常位置から所定のシート前方位置(所定のシート後方位置)まで移動したスライド移動状態が、本発明の移動状態に相当するものとしても良い。
【0089】
上記実施形態において、
図3に示すように、支持ベース30がレール装置4を介して車体フロアに固定されているが、特に限定されることなく、レール装置4を不要として直接車体フロアに固定される等、適宜変更しても良い。
または、車体フロア上に固定された不図示の支持ブラケット(支持部材)を支持ベース30の代わりとして採用しても良い。
【0090】
上記実施形態において、
図7に示すように、支持脚70がシートクッション2に格納されるように取り付けられているが、特に限定されることなく、シートクッション2側に寄せて取り付けられていても良い。
なお、支持脚70がシートクッション2に格納されていると、シートクッション2と車体フロアの間にスペースを確保し易くなるため、より好ましい構成となる。
【0091】
上記実施形態において、
図7に示すように、支持脚70(支持部材)が、シートクッション2に格納されるように配置され、乗り物用シートSに対し所定以上の荷重が加わったときに、車体フロア側に展開されてシートクッション2を下方から支持するものとなっているが、特に限定されることなく変更可能である。
例えば、
図39に示すように、支持脚70の代わりに支持エアバッグ870を備えてた乗り物用シートSであっても良い。
支持エアバッグ870は、膨出可能な不図示のエアバッグ本体と、エアバッグ本体の内部にガスを供給する不図示のインフレータとを有していると良い。
上記構成であれば、
図39、
図40に示すように、支持エアバッグ870が、シートクッション2に格納されるように配置され、所定以上の荷重が加わったときに、車体フロア側に膨出展開されてシートクッション2を下方から支持することができる。
また、乗り物用シートSが支持脚70を備えていないため、スペースの有効活用が可能となる。
【0092】
上記実施形態において、
図7に示すように、支持脚70が、シートクッション2に格納されるように配置されているが、特に限定されることなく変更可能である。
例えば、
図41に示すように、U字形状の支持脚970が、車体フロアに格納されるように配置されていても良い。
上記構成であれば、支持脚970が、所定以上の荷重が加わったときに、シートクッション2側に展開されてシートクッション2を下方から支持することができる。
このとき、支持脚970が、シートクッション2の下端部分に取り付けられた脚係合部材990に係合すると好ましい。
上記構成であれば、シート本体(シートクッション2)に支持脚70を設けなくて良いため、シート本体を軽量化することができ、シート本体を通常状態からチップアップ状態や収納状態に移動させ易くなる。
また、乗物用シートSでは前面衝突の慣性力を利用した構成となっているところ、上記構成を公知の横跳ね上げシートに適用させることで、側面衝突の慣性力を利用した構成にすることも可能である。
【0093】
上記実施形態では、具体例として自動車に用いられる収納可能な乗り物用シートについて説明したが、特に限定されることなく、電車、バス等の乗り物用シートのほか、飛行機、船等の乗り物用シートとしても利用することができる。
【0094】
本実施形態では、主として本発明に係る乗り物用シートに関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0095】
V 乗り物
S,S1,S2,S3,S4,S5,S6,S7,S8 乗り物用シート
1 シートバック
1a、2a クッションパッド
1b、2b 表皮
1c 表皮張り出し部
2 シートクッション
3 ヘッドレスト
4 レール装置
4a ロアレール
4b アッパレール
4c レール用操作レバー
10 バックフレーム
11 連結ブラケット
20 クッションフレーム
21 サイドフレーム
22 前方連結パイプ
23 後方連結パイプ
24 パンフレーム
30 支持ベース(支持部材)
31 サイドベース部
32 前方ベース連結部
33 後方ベース連結部
34 補強ベース部
40 ベースカバー
41 カバー突出部
42 カバー収容凹部
50 リクライニング装置
51 リクライニング本体
52 バック回動軸
53 渦巻きバネ
54 リクラ用操作レバー
56 リクラ用ケーブル
60 クッションロック装置
61 ロック本体
62 クッション回動軸
63 渦巻きバネ
64 クッション用操作レバー
65 第1クッション用ケーブル
66 第2クッション用ケーブル
70 支持脚(支持部材)
71 脚本体部
72 脚連結部
73 錘部材
80 脚回動装置
81 脚回動軸
82 付勢バネ(付勢部材)
83 板状弾性バネ(板状弾性部材)
84 移動規制部材
90 脚係合フック(脚係合部材)
91 慣性ロック装置
92 フック回動軸
93 フック付勢バネ
94 ロック部材
101,201,301,401,501,601,701 シートバック
102,202,302,402,502,602,702 シートクッション
110 バックフレーム
120 クッションフレーム
160 クッションロック装置
162 クッション回動軸
163 渦巻きバネ
201a 保持部材
202a クッションカバー
305 連結部材
402a 回転ローラ
530 支持ベース
540 ベースカバー
541 カバー突出部
542 カバー収容凹部
602a クッション係合凸部
640 ベースカバー
643 カバー係合凹部
702a クッション係合凸部
702aa 第1延出部
702ab 第2延出部
702ac 第3延出部
720 クッションフレーム
721 サイドフレーム
740 ベースカバー
743 カバー係合溝
743a 第1係合溝
743b 第2係合溝
744 弾性部材
870 支持エアバッグ
970 支持脚
990 脚係合部材