IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ SMK株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-同軸コネクタのフローティング構造 図1
  • 特許-同軸コネクタのフローティング構造 図2
  • 特許-同軸コネクタのフローティング構造 図3
  • 特許-同軸コネクタのフローティング構造 図4
  • 特許-同軸コネクタのフローティング構造 図5
  • 特許-同軸コネクタのフローティング構造 図6
  • 特許-同軸コネクタのフローティング構造 図7
  • 特許-同軸コネクタのフローティング構造 図8
  • 特許-同軸コネクタのフローティング構造 図9
  • 特許-同軸コネクタのフローティング構造 図10
  • 特許-同軸コネクタのフローティング構造 図11
  • 特許-同軸コネクタのフローティング構造 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】同軸コネクタのフローティング構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/631 20060101AFI20230517BHJP
   H01R 24/38 20110101ALI20230517BHJP
   H01R 13/52 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
H01R13/631
H01R24/38
H01R13/52 301E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020171901
(22)【出願日】2020-10-12
(65)【公開番号】P2022063568
(43)【公開日】2022-04-22
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100172096
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 理太
(72)【発明者】
【氏名】土屋 博崇
(72)【発明者】
【氏名】大澤 文雄
(72)【発明者】
【氏名】笹木 仁人
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-87682(JP,A)
【文献】実開平7-1574(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/631
H01R 12/91
H01R 24/38
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグ本体に可撓性を有する同軸ケーブルが接続されたプラグと、ケース内に収容されるレセプタクルとを備え、
前記ケースに形成された筒状のプラグ挿入部に挿入された前記プラグが前記レセプタクルと互いに接続されるようにした同軸コネクタのフローティング構造において、
前記プラグ挿入部は、内径が前記プラグの外径より大きいプラグ導入孔と、該プラグ導入孔の先端側と連通し、前記プラグ導入孔より径の大きい拡径孔と、該拡径孔内に固定される抜け止めリングと、前記拡径孔の奥底部と前記抜け止めリングとの間に軸方向及び軸径方向に移動可能に配置されたスライドリングを有するスライダと、前記スライドリングを前記抜け止めリング側に付勢する付勢用弾性部材とを備え、
前記プラグ本体が前記スライダに連結され、前記プラグ本体が前記プラグ挿入部内に軸方向及び軸径方向で移動可能に保持されていることを特徴とする同軸コネクタのフローティング構造。
【請求項2】
前記スライダは、前記プラグ本体が挿入されるホルダ部を備え、該ホルダ部の先端側に前記プラグ本体の外周に突設された係合凸部と係合する係合バネ体を備えている請求項1に記載の同軸コネクタのフローティング構造。
【請求項3】
前記プラグは、前記同軸ケーブルの外側に嵌合し、前記プラグ挿入部の導入側開口部に嵌入される弾性体からなるキャップを備え、該キャップが前記プラグ挿入部を封鎖するとともに、前記プラグ本体が前記同軸ケーブルを介して前記キャップに保持されている請求項1又は2に記載の同軸コネクタのフローティング構造。
【請求項4】
前記キャップの外側に張り出した天板部と、該天板部に支持された筒状の外周部とを有するカバー体を備え、前記外周部に前記プラグ挿入部の外周に突設された係合突起と係合する係合孔が形成されている請求項3に記載の同軸コネクタのフローティング構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュール等のケース内に収容された電子部品と同軸ケーブル等のケーブルとを接続する同軸コネクタのフローティング構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載カメラ用カメラモジュール等のモジュールは、ケース内に収容されたモジュール本体がケースに取り付けられた同軸コネクタを介して同軸ケーブルと接続されるようになっている。
【0003】
この同軸コネクタは、ケース内に収容されたモジュール本体を構成する基板に接続されたレセプタクルと、同軸ケーブルに接続されたプラグとを備え、プラグをケースに取り付けること、又は、プラグを取り付けたリアケースをフロントケースに組み付けることによって、プラグとレセプタクルとが接続されるようになっている。
【0004】
このプラグとレセプタクルとの接続時には、ケース内に収容される基板の位置や基板に対するレセプタクルの取り付け位置等によって、相互に接続されるプラグとレセプタクルとに軸方向または径方向に位置ズレが生じたとしても、互いに位置ズレが修正され、着実に接続される必要がある。
【0005】
そこで、従来では、モジュール本体に固定されるレセプタクル本体と、レセプタクル本体に対し軸径方向に移動可能な可動接続部とを備え、可動接続部をプラグと接続させるようにしたフローティング機構付き同軸コネクタが用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
【0006】
一方、同軸コネクタのフローティング構造には、ケース等の筐体に対しプラグを軸径方向に移動可能に保持させたものも知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【0007】
この同軸コネクタのフローティング構造は、ケース等の筐体にプラグが挿入されるプラグ挿入孔を備え、プラグ挿入孔とプラグとの間に移動用の隙間を形成することによって、プラグが筐体に対し軸径方向で移動できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2008-262736号公報
【文献】特開2002-083655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の特許文献1の如き従来の技術では、レセプタクルが基板等に接続されるレセプタクル本体と、レセプタクル本体に対し軸径方向に移動可能な可動接続部とを別個に備えた構造であるため、その分、レセプタクルの外形が大きくなることから、ケース内のスペースに制限がある場合等にフローティング機構付きのレセプタクルを取り付けることが困難な場合があった。
【0010】
一方、特許文献2の如き従来の技術では、フローティング構造を確保するためにプラグ挿入孔とプラグとの間に隙間が生じるため、当該隙間が水の侵入経路となる虞があり、筐体内部に水が侵入することで、内部の電気回路や電子部品の腐食や短絡を引き起こす懸念があった。
【0011】
また、上述の従来の技術では、いずれもケース等の筐体越しにプラグをレセプタクルに接続するため、プラグとレセプタクルとの接続状態を確認することができず、コネクタの接続に確実性が担保し難いという課題もあった。
【0012】
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、フローティング機能を有し、且つ、確実な接続及び止水性が確保された同軸コネクタのフローティング構造の提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の如き従来の問題を解決するための請求項1に記載の発明の特徴は、プラグ本体に可撓性を有する同軸ケーブルが接続されたプラグと、ケース内に収容されるレセプタクルとを備え、前記ケースに形成された筒状のプラグ挿入部に挿入された前記プラグが前記レセプタクルと互いに接続されるようにした同軸コネクタのフローティング構造において、前記プラグ挿入部は、内径が前記プラグの外径より大きいプラグ導入孔と、該プラグ導入孔の先端側と連通し、前記プラグ導入孔より径の大きい拡径孔と、該拡径孔内に固定される抜け止めリングと、前記拡径孔の奥底部と前記抜け止めリングとの間に軸方向及び軸径方向に移動可能に配置されたスライドリングを有するスライダと、前記スライドリングを前記抜け止めリング側に付勢する付勢用弾性部材とを備え、前記プラグ本体が前記スライダに連結され、前記プラグ本体が前記プラグ挿入部内に軸方向及び軸径方向で移動可能に保持されていることにある。
【0014】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記スライダは、前記プラグ本体が挿入されるホルダ部を備え、該ホルダ部の先端側に前記プラグ本体の外周に突設された係合凸部と係合する係合バネ体を備えていることにある。
【0015】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記プラグは、前記同軸ケーブルの外側に嵌合し、前記プラグ挿入部の導入側開口部に嵌入される弾性体からなるキャップを備え、該キャップが前記プラグ挿入部を封鎖するとともに、前記プラグ本体が前記同軸ケーブルを介して前記キャップに保持されていることにある。
【0016】
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項3の構成に加え、前記キャップの外側に張り出した天板部と、該天板部に支持された筒状の外周部とを有するカバー体を備え、前記外周部に前記プラグ挿入部の外周に突設された係合突起と係合する係合孔が形成されていることにある。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る同軸コネクタのフローティング構造は、請求項1に記載の構成を具備することによって、ケース内のスペースが制限され、フローティング機構付きのレセプタクルを用いることが困難な場合であっても、プラグとレセプタクルとの位置ズレを吸収し、確実に接続することができる。
【0018】
また、本発明において、請求項2に記載の構成を具備することによって、プラグをスライダと接続する際にクリック感が得られ、ケースが介在し、接続状態を視認できないような場合であっても、確実な接続を確認することができる。
【0019】
さらに、本発明において、請求項3に記載の構成を具備することによって、カバーにフローティング機構を介してプラブを保持させることができるとともに、防水性を確保することができる。
【0020】
また、本発明において、請求項4に記載の構成を具備することによって、キャップをプラグ挿入部に確実に固定することができ、高い防水性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る同軸コネクタのフローティング構造の使用態様の一例を示す斜視図である。
図2】同上のリアケースを介して接続される同軸コネクタを示す分解斜視図である。
図3】同上の縦断面図である。
図4】同上のリアケースを示す分解斜視図である。
図5】同上の縦断面図である。
図6図2中のプラグを示す分解斜視図である。
図7】同上のプラグ本体を示す拡大縦断面図である。
図8】同上のキャップを示す拡大縦断面図である。
図9】同上のカバー体を示す拡大縦断面図である。
図10】同上のレセプタクルを示す拡大縦断面図である。
図11】同上の同軸コネクタのフローティング構造における位置ズレが生じている場合の接続動作を示す縦断面図である。
図12】同上の接続した状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明に係る同軸コネクタ4のフローティング構造の実施態様を図1図12に示した実施例に基づいて説明する。尚、図中符号1はカメラモジュール等のケース2内にモジュール本体が収容されたモジュールである。
【0023】
このモジュール1は、可撓性を有する同軸ケーブル3が同軸コネクタ4を介してケース2内に収容されたモジュール本体を構成する基板5と接続されるようになっている。
【0024】
同軸コネクタ4は、図2図3に示すように、プラグ本体6に同軸ケーブル3が接続されたプラグ7と、ケース2内に収容されるモジュール本体の基板5に接続されたレセプタクル8とを備え、ケース2に形成された筒状のプラグ挿入部9にプラグ7を挿入することによって、プラグ7とレセプタクル8とが互いに接続されるようになっている。
【0025】
また、この同軸コネクタ4は、フローティング構造を備え、プラグ7がケース2に対し軸方向及び軸径方向に移動可能に保持され、ケース2内に収容されたレセプタクル8の位置にズレが生じた場合であっても、ズレを吸収しプラグ7とレセプタクル8とが確実に接続されるようになっている。
【0026】
ケース2は、アルミニウム等の導電性金属材によって鋳造されたフロントケース10とリアケース11とが互いに組み合わされて箱状を成している。
【0027】
リアケース11は、矩形筒状の周壁部111と、周壁部111の上面を閉鎖する天板部112とを備え、下面が開口した有天箱状に形成され、天板部112の所定個所に円筒状のプラグ挿入部9が一体に突設されている。
【0028】
プラグ挿入部9は、図4に示すように、内径がプラグ7の外径より大きいプラグ導入孔12と、プラグ導入孔12の先端側と連通し、プラグ導入孔12より径の大きい拡径孔13と、拡径孔13内に固定される抜け止めリング14と、軸方向及び軸径方向に移動可能に配置されたスライドリング151を有するスライダ15と、スライドリング151を抜け止めリング14側に付勢する付勢用弾性部材16とを備え、プラグ本体6がスライダ15に連結され、プラグ本体6がプラグ挿入部9内に軸方向及び軸径方向で移動可能に保持される。
【0029】
プラグ導入孔12は、プラグ7を導入する側に開口した導入口121と、導入口121より径の小さい挿通部122とを備え、挿通部122がテーパ部123を介して導入口121と連続し、導入口121から挿入されたプラグ7がテーパ部123によって挿通部122に案内されるようになっている。
【0030】
挿通部122は、プラグ7の外径より大きく形成され、挿通部122に挿通された状態でプラグ7が軸径方向に移動できるようになっている。
【0031】
スライダ15は、導電性金属材によって一体に形成され、円環状のスライドリング151と、スライドリング151に基端が支持された筒状のホルダ部152とを備え、スライドリング151が拡径孔13のプラグ導入孔12側底部と抜け止めリング14との間に軸方向及び軸径方向に移動可能に配置されることによってケース2に対してフローティングできるようになっている。
【0032】
ホルダ部152は、円筒状のホルダリング153と、ホルダリング153の下端側に基端が支持された複数の係合バネ体154,154とを備え、ホルダリング153の上端がスライドリング151に支持されている。
【0033】
各係合バネ体154,154は、互いに周方向で間隔をおいて配置されるとともに、ホルダリング153より互いに先端側が近くなるように斜め内向きに延出し、複数の係合バネ体154,154によって先端側が狭まるテーパ筒状をなしている。
【0034】
そして、プラグ本体6は、ホルダリング153を通して係合バネ体154,154を押し広げながら所定の位置まで挿入され、各係合バネ体154,154が弾性復帰してプラグ本体6の外周面に突設された係合凸部234と係合する。
【0035】
その際、係合バネ体154,154が押し広げられた後に弾性復帰する一連の動作によって、クリック感が得られ、着実にプラグ本体6がスライダ15に連結されたことが確認できるとともに、レセプタクル8との接続を確認することができる。
【0036】
付勢用弾性部材16は、黄銅等の弾性を有する導電性金属部材によってリング状に形成され、表面に一端が支持され、他端が板厚方向に立ち上がった板バネ161,161…が支持されている。
【0037】
抜け止めリング14は、導電性金属材によって内径がホルダリング153の外径より大きい円筒状に形成され、拡径孔13のケース2内部側より圧入されるようになっている。
【0038】
尚、拡径孔13は、そのプラグ導入孔12側底部から所定の幅を隔てた位置に段部131が形成され、抜け止めリング14が段部131に当て止めされることによって、拡径孔13のプラグ導入孔12側底部と抜け止めリング14端部とに間に隙間が形成される。
【0039】
そして、この隙間には、スライドリング151が軸方向及び軸径方向に移動可能な状態で配置されるとともに、付勢用弾性部材16によってスライドリング151が抜け止めリング14側に付勢されている。
【0040】
プラグ7は、図6に示すように、同軸ケーブル3が接続されたプラグ本体6と、同軸ケーブル3の外側に嵌合されたキャップ17と、キャップ17をプラグ挿入部9に固定するカバー体18とを備えている。
【0041】
プラグ本体6は、図7に示すように、同軸ケーブル3の中心導体31が接続されるピン状の中央コンタクト19と、中央コンタクト19の外側に配置された筒状のシェル20と、中央コンタクト19とシェル20との間に介在されたインシュレータ21とを備え、シェル20内にコンタクトを組み込んだインシュレータ21が収容されている。
【0042】
シェル20は、筒状の外部コンタクト22と、先端側に外部コンタクト22が嵌合される外部シェル23と、外部シェル23の後端側に嵌合する接続スリーブ24とを備え、外部シェル23と接続スリーブ24との間に同軸ケーブル3の外部導体32が挟み込まれるようになっている。
【0043】
外部シェル23は、導電性金属によって一体に鋳造され、一端が開口した有底筒状の外部シェル本体231と、外部シェル本体231の他端側に突設された筒状の導体接続部232とを備えている。
【0044】
外部シェル本体231は、一端に鍔状の鍔部233を備え、開口側よりスライダ15に挿入されるようになっている。
【0045】
また、外部シェル本体231の外周部には、外周面の開口側にフランジ状の係合凸部234が突設され、係合凸部234の鍔部側に周方向に間隔をおいて係合孔235,235が形成されている。
【0046】
この外部シェル本体231は、プラグ本体6をプラグ挿入部9に挿入することによって、スライダ15に挿入され、鍔部233がホルダリング153の内周スライドリング151側に形成された段部に嵌り込むとともに、係合凸部234がホルダリング153を通して係合バネ体154,154を押し広げながら所定の位置まで挿入されると、各係合バネ体154,154が係合凸部234と係合し、プラグ本体6がスライダ15に接続されるようになっている。
【0047】
導体接続部232は、先端側が先細となる筒状に形成され、外部シェル本体231と連通配置に突設されている。
【0048】
この導体接続部232には、外被33を剥いて露出した外部導体32が外側に這わされ、その外側から接続スリーブ24を嵌合させることによって、導体接続部232と接続スリーブ24との間に外部導体32が固定され、外部導体32とシェル20とが導通される。
【0049】
外部コンタクト22は、弾性を有する導電性金属材により一体に形成され、軸方向の両端が開口した円筒状に形成されている。
【0050】
この外部コンタクト22は、外径が外部シェル23の内径より小さく形成され、周方向に間隔を置いて相手コネクタ接続側端が開口した複数のスリットによって隔てられた複数の片持ちバネ状の弾性接触片部221,221…を備えている。
【0051】
尚、外部コンタクト22の外径は、外部シェル本体231の内径より小さく、各弾性接触片部221,221…が外部シェル23内で揺動できるようになっている。
【0052】
また、この外部コンタクト22には、外周面に切起こしによって形成された弾性係合凸片222,222が形成され、インシュレータ21及び外部コンタクト22を開口部より外部シェル23内に挿し込み、弾性係合凸片222,222が係合孔235,235と係止することによってインシュレータ21及び外部コンタクト22が外部シェル23内に固定されるようになっている。
【0053】
中央コンタクト19は、黄銅等の導電性金属によって後端側に拡径部191を有するピン状に形成され、後端側に開口した導体挿入孔192に同軸ケーブル3の中心導体31が挿入され、半田等によって導通した状態で固定されるようになっている。
【0054】
インシュレータ21は、絶縁性樹脂によって円柱状に形成され、中央に中央コンタクト19が挿入されるコンタクト挿入孔211が貫通している。
【0055】
インシュレータ21は、後端側にフランジ部212を備え、インシュレータ21と外部コンタクト22とを外部シェル本体231内に収容した際にフランジ部212が外部コンタクト22に押圧され、抜け止めされている。
【0056】
尚、インシュレータ21は、外部コンタクト22より短く形成され、弾性接触片部221,221…の内側にレセプタクル8が貫入される空間が形成され、コンタクト挿入孔211に挿入された中央コンタクト19の先端側がインシュレータ21の先端側より前記空間内に突出する。
【0057】
キャップ17は、図8に示すように、シリコーン等の弾性体によって中央に同軸ケーブル3が貫通されるケーブル挿通孔171を有する筒状に形成されている。
【0058】
このキャップ17は、外周に周方向に連続したカバー体連結溝172が形成され、カバー体連結溝172を介してプラグ挿入部9に圧入される圧入部173と、円錐台状の押し込み部174とが配置されている。
【0059】
圧入部173は、円柱状に形成され、外周部に周方向に連続したパッキン状の複数の封止用突条175,175が一体に突設され、封止用突条175,175が押圧された状態でプラグ挿入部9に圧入されることによってプラグ挿入部9を封鎖するとともに、プラグ本体6が同軸ケーブル3を介してキャップ17に保持される。
【0060】
また、ケーブル挿通孔171には、内周面にパッキン状の封止部材176,176を備え、キャップ17と同軸ケーブル3との間を密封した状態で把持するようになっている。
【0061】
カバー体18は、図9に示すように、シリコーン等の弾性を有する樹脂材によって円盤状の天板部181と、天板部181に支持された筒状の外周部182とを有する有天筒状に形成されている。
【0062】
天板部181は、中央にカバー体連結溝172と同径の嵌合孔183を備え、この嵌合孔183にキャップ17を通し、カバー体連結溝172に天板部181を嵌合させ、天板部181がキャップ17の外側に張り出した状態で保持される。
【0063】
外周部182は、プラグ挿入部9の外径と同径の内径を有する筒状に形成され、プラグ挿入部9の外側に嵌合されるようになっている。
【0064】
また、外周部183は、下端に周方向に間隔をおいて複数の固定片184,184が一体に突設され、この固定片184にプラグ挿入部9の外周に突設された係合突起91,91と係合する係合孔185が形成されている。
【0065】
尚、プラグ挿入部9は、カバー体18が嵌合する部分及び固定片184が位置する部分をその他の部分より薄肉とすることによって、薄肉部の形状に合わせてカバー体18を嵌合させることによって位置決めできるようになっている。
【0066】
レセプタクル8は、図10に示すように、絶縁樹脂製の筒状のハウジング81と、ハウジング81内に収容されたレセプタクル側中央コンタクト82と、ハウジング81の外面を覆う導電性金属材からなるレセプタクル側外部コンタクト83とを備え、レセプタクル側中央コンタクト82が基板5の所定の回路に接続され、レセプタクル側外部コンタクト83が基板5にGND接続されている。
【0067】
このように構成された同軸コネクタ4のフローティング構造は、プラグ本体6をプラグ挿入部9の所定の深さまでに挿入すると、プラグ本体6がスライダ15内に挿入されるとともに、中央コンタクト19の先端部がレセプタクル8のハウジング81に挿入されるとともに、外部コンタクト22の端部、即ち、弾性接触片部221,221…がレセプタクル側外部コンタクト83の外側に接触する。
【0068】
その際、図11に示すように、ケース2内におけるレセプタクル8の位置が軸径方向にズレが生じている場合には、スライダ15が同軸ケーブル3の軸径方向に移動し、プラグ本体6がレセプタクル8の位置に合わせて軸径方向に移動し、プラグ7とレセプタクル8の位置が合わされる。
【0069】
そして、更にプラグ本体6をレセプタクル8側に押し込むとともに、キャップ17及びカバー体18をプラグ挿入部9に嵌合させると、図12に示すように、キャップ17に押されてプラグ本体6が押し込まれ、鍔部がホルダリング153の内周スライドリング151側に形成された段部に嵌り込むとともに、係合凸部234がホルダリング153を通して係合バネ体154,154を押し広げながら所定の位置まで挿入され、各係合バネ体154,154が係合凸部234と係合し、プラグ本体6がスライダ15に接続される。
【0070】
その際、カバー体18によってキャップ17が抜け止めされるとともに、係合バネ体154,154が弾性復帰して係合凸部234と係合する際にクリック感が得られ、ケース2が介在し、接続状態を視認できないような場合であっても、確実な接続を確認することができる。
【0071】
また、このフローティング構造では、キャップ17がプラグ挿入部9の開口部を封鎖するとともに、プラグ7が同軸ケーブル3を介してキャップ17に保持されるので、プラグ本体6とプラグ7挿入孔との間に隙間があっても、止水性を確保できるとともに、フローティングにより接続した後のプラグ7の位置を安定して維持することができる。
【0072】
尚、上述の実施例では、キャップ17とカバー体18とを別体に形成した例について説明したが、キャップ17とカバー体18とを一体に形成したものであってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 モジュール
2 ケース
3 同軸ケーブル
31 中心導体
32 外部導体
33 外被
4 同軸コネクタ
5 基板
6 プラグ本体
7 プラグ
8 レセプタクル
81 ハウジング
82 レセプタクル側中央コンタクト
83 レセプタクル側外部コンタクト
9 プラグ挿入部
91 係合突起
10 フロントケース
11 リアケース
111 周壁部
112 天板部
12 プラグ導入孔
121 導入口
122 挿通部
123 テーパ部
121 導入口
122 挿通部
123 テーパ部
13 拡径孔
131 段部
14 抜け止めリング
15 スライダ
151 スライドリング
152 ホルダ部
153 ホルダリング
154 係合バネ体
16 付勢用弾性部材
161 板バネ
17 キャップ
171 ケーブル挿通孔
172 カバー体連結溝
173 圧入部
174 押し込み部
175 封止用突条
18 カバー体
181 天板部
182 外周部
183 嵌合孔
184 固定片
185 係合孔
19 中央コンタクト
191 拡径部
192 導体挿入孔
20 シェル
21 インシュレータ
211 コンタクト挿入孔
212 フランジ部
22 外部コンタクト
221 弾性接触片部
222 弾性係合凸片
23 外部シェル
231 外部シェル本体
232 導体接続部
233 鍔部
234 係合凸部
235 係合孔
24 接続スリーブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12