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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/06 20060101AFI20230517BHJP
   A63B 69/36 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
A63B71/06 U
A63B69/36 541V
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021211840
(22)【出願日】2021-12-27
(62)【分割の表示】P 2020116750の分割
【原出願日】2015-09-18
(65)【公開番号】P2022037205
(43)【公開日】2022-03-08
【審査請求日】2022-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2015148221
(32)【優先日】2015-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(73)【特許権者】
【識別番号】508320239
【氏名又は名称】株式会社ユピテル鹿児島
(72)【発明者】
【氏名】高橋 圭三
(72)【発明者】
【氏名】中井 康人
(72)【発明者】
【氏名】古市 浩隆
(72)【発明者】
【氏名】森 澄雄
(72)【発明者】
【氏名】梶田 裕一
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2004/105892(JP,A1)
【文献】登録実用新案第3100724(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-1059328(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 49/00-60/64
A63B 69/00-71/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフのパッティングにおけるテイクバック量のレベルを複数設け、前記複数設けられたテイクバック量のレベルから1のレベルをユーザに選択させる機能と、アドレス姿勢が取られたと認識する機能を備え、アドレス姿勢が取られたと認識してから所定時間内に選択されたテイクバック量のレベルに達しない場合には、アドレス姿勢の認識に戻る機能を備えた装置。
【請求項2】
前記レベルごとの飛距離に関する情報を見比べられるように一覧表示する機能を備えた請求項1に記載の装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置の機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフ等のパッティングやアプローチ等におけるスイング等の調節等を支援する装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ゴルフのプレーや練習を手助けする各種のシステムが提案されている。このようなシステムの中には、ゴルフクラブをスイングする際のモーションデータを取得し、その
モーションデータに基づくスイング情報をユーザに提示するシステムがある。例えば、スイング軌道などを検出するためにゴルフクラブのシャフトに取り付けられるスイングセンサを含むトレーナーシステムの提案もある(例えば非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本文化出版 GolfClassic(ゴルフクラッシック)2013年03月号(86頁~91頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のシステムをはじめとする従来のシステムでは打球をより遠くへ飛ばすことを目的としてスイングのトレーニングを支援するものが多く、パッティングやアプローチショットのように目標の距離に合わせて飛距離を調節したり加減したりすることを手助けする機能は提供されていなかった。
【0005】
そこで、本発明は、ゴルフ等のパッティングやアプローチショット等におけるスイングの調節等を支援等する等を提供することを目的とする。この目的は例えば課題を解決するための手段に記載の構成要素の組み合わせにより達成させることが可能である。また従属項は例えば本発明の更なる有利な具体例とすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)ゴルフのスイングに伴って動く部位に装着することができる装着部材と、スイングにおけるテイクバック量に応じて出力が変化する検出部と、ユーザに対し通知を行う通知部と、ユーザにより指定されたスイングの強さに関する情報及びスイングの強さに関する情報と検出部の出力に基づくテイクバック量を示すデータとの対応関係に基づいて、指定されたスイングの強さに対応するテイクバック量に達した旨をユーザに通知させるよう通知部を制御する制御部とを備えることを特徴とする装置とするとよい。
【0007】
このようにすれば、ユーザは指定したスイングの強さに対応したテイクバック量に達したときに通知を受けることができる。したがって、通知を受けたテイクバック量でダウンスイングを開始することによって、安定したテイクバック量でスイングを行うことができる。スイングとしてはパッティングやアプローチとするとよく、パッティングとすると特によい。パッティングの距離感はインパクト時の力の込め方の強弱ではなく、振り幅により調節するのが正しいとされている。このため、パッティング時のテイクバック量を安定させるよう通知することでパッティングの上達を支援することができる。
【0008】
「スイングの強さに関する情報」は、例えば後述の(3)のように打球の飛距離としてもよいし、(7)のようにテイクバック量と対応付けられて予め定められた設定値とするとよい。
【0009】
「テイクバック量を示すデータ」は、検出部が出力するデータそのものであってもよいし、検出部の出力を加工して得られるデータとしてもよい。例えば後述の(14)のように検出部として加速度を検出する加速度センサを用いる構成では、テイクバック量を示すデータは加速度に基づく加速度データとするとよい。この場合、加速度データは、加速度センサが検出する加速度そのものとしてもよいが、加速度センサが検出する加速度を演算・加工して得られるデータとするとよく、スイング時の動きを識別しやすいデータを選択すると特によい。
【0010】
「スイングの強さに関する情報と検出部の出力に基づくテイクバック量を示すデータと
の対応関係」は、記憶部等にあらかじめ記憶してもよいが、ユーザによる登録操作に応じて記憶する構成とすると特によい。また、個々の「スイングの強さに関する情報」と「テイクバック量を示すデータ」との1対1の対応関係でもよいが、複数の「スイングの強さに関する情報」と「テイクバック量を示すデータ」との対応関係を包括的に表す関数(例えば数式)とすると特によい。
【0011】
「通知部」は、装置を装着したユーザが通知を認識できればいかなるものでもよい。例えば、音声により聴覚的に通知を行うブザーやスピーカ等としてもよいし、表示や発光により視覚的に通知を行う表示素子や発光素子としてもよいが、後述の(19)のように振動によりユーザに通知を行うバイブレータとすると特によい。振動による通知であれば、ゴルフのプレーマナーに違反せずに通知を行うことができる。
【0012】
(2)通知は、指定されたスイングの強さに関する情報に対応するテイクバック量を示すデータの目標値に、検出部の出力に基づくテイクバック量を示すデータが達したときに行われるようにするとよい。
【0013】
「テイクバック量を示すデータの目標値」は、いかなる方法で定めてもよい。例えば記憶部等から読みだしたデータをそのまま目標値としてよいが、目標値を計算で求める構成とすると特によい。
【0014】
(3)ユーザが指定するスイングの強さに関する情報は、打球の飛距離とするとよい。飛距離は歩幅またはクラブの長さを単位として指定するとよく、歩幅を単位とすると特によい。ゴルフのプレー中に使うことが許される測距手段である歩幅やクラブ長を用いることで、プレー中に本装置を使用することが容易となる。
【0015】
このようにすれば、ユーザは指定した飛距離のパットやショットを打つのに適したテイクバック量の通知を受けることができる。例えば今のボールのある位置からカップまで4歩である場合、4歩の飛距離に適したテイックバック量に達したときに、その旨の通知を受けられるので、そこからダウンスイングを開始することができる。その結果、4歩分の強さでボールを打つことができる。
【0016】
(4)スイングの強さに関する情報と検出部の出力に基づくテイクバック量を示すデータとの対応関係は、打球の飛距離とテイクバック量を示すデータとの関係を規定する関数とするとよく、制御部は例えば記憶部等が記憶する関数に基づき、ユーザが指定する飛距離に対応する目標値を求めるとよい。
【0017】
このようにすれば、打球の飛距離とテイクバック量を示すデータとの対応関係を少ない容量で記憶することができる。また、いかなる飛距離が指定されても、当該関数に基づき目標値を算出することができる。
【0018】
(5)制御部は、複数回のスイングについて飛距離とテイクバック量を示すデータとを対応付けて記憶し、複数組の飛距離とテイクバック量を示すデータとの対応関係に基づき、関数を推定するとよい。
【0019】
このようにすれば、対応関係を記録した当該ユーザ自身のスイングに基づいて、打球の飛距離とテイクバック量を示すデータとの対応関係を規定する関数を求めることができる。したがって、ユーザは意図した飛距離の打球を打つためのテイクバック量についてより高い精度で通知を受けることができる。
【0020】
(6)制御部は、ユーザにスイングを行うよう促し、当該スイングにおけるテイクバック
量を示すデータを記録し、当該スイングによる打球の飛距離の入力をユーザに促し、入力された飛距離と記録したテイクバック量を示すデータとを対応付けて記憶するよう保存するとよい。
【0021】
このようにすれば、テイクバック量と打球の飛距離との対応関係を当該ユーザ自身のスイングに基づいて規定することができる。また、テイクバック量と飛距離の関係はプレーする日の体調やゴルフコースのコンディションによって変化し得るところ、プレー開始の前にテイクバック量と飛距離の関係を登録すれば、その日のコンディションに適したテイクバック量と飛距離の関係に基づき通知を受けることができる。
【0022】
(7)ユーザが指定するスイングの強さに関する情報は、テイクバック量と対応付けられて予め定められた設定値とするとよい。
【0023】
このようにすれば、スイングの強さを決めるテイクバック量と関連する設定値を指定し、指定に応じた通知を受けることができる。特にパッティングの強弱はインパクト時の力の込め具合ではなくスイングの振り幅にて調節するのが正しいとされているため、スイングの振り幅を決めるテイクバック量を定量化して通知を受けることができる本構成は、パッティング技術の向上に資する。
【0024】
(8)表示部をさらに備え、表示部は、設定値と飛距離とを対応付けて表示するとよい。
【0025】
このようにすれば、設定値に応じた飛距離をユーザが認識することができる。表示する距離は歩幅またはクラブの長さを単位とするとよく、歩幅を単位とすると特によい。ゴルフのプレー中に使うことが許される測距手段である歩幅やクラブ長を用いた表示とすることで、プレーの妨げとならずに本装置を使用することができる。
【0026】
(9)表示部は、複数組の設定値と飛距離を見比べられるように表示するとよい。
【0027】
「見比べられるように」とは、例えば複数組の設定値と飛距離とを一覧表示するとよい。このようにすれば、表示されるデータの異常値を推測することができる。また、ある設定値に対応する飛距離のデータとして前回のプレー時のものを登録してある状態で、飛距離のデータを更新しようとするときに、一つの設定値で通知を受けてボールを打ったときの飛距離と前回登録時の飛距離とを見比べて、その日のコンディションでの飛距離の出方の傾向を把握することを容易にすることができる。また、前回登録時と同じ飛距離であった場合には、一覧表示されている他の設定値に対応する飛距離も前回と同様であると推測することができ、飛距離の登録更新作業を簡略化することができる。
【0028】
(10)設定値に対応する飛距離は、ユーザにより変更可能に構成するとよい。例えば、ユーザは、設定値を指定して通知を受けるまでテイクバックをし、通知を受けたテイクバック量からダウンスイングを開始して、その時の打球の飛距離を登録することにより対応付けを行うとよい。
【0029】
このようにすれば、設定値と飛距離との対応関係をユーザ自身のスイングに基づいて規定することができる。また、テイクバック量と飛距離の関係はプレーする日の体調やゴルフコースのコンディションによって変化し得るところ、プレー開始の前に設定値と飛距離の関係を登録すれば、その日のコンディションに応じて、設定値に対応する飛距離の目安を表示させることができ、意図した飛距離に合った設定値を選択しやすくすることができる。
【0030】
(11)前記制御部は、前記ユーザが居る場所の傾斜を検知し、打球の進行方向に向かっ
て上る傾斜を検知した場合には傾斜がない位置で通知するテイクバック量と比べ大きなテイクバック量に達したときに通知を行い、打球の進行方向に向かって下るように検知した場合には傾斜がない位置で通知するテイクバック量と比べ小さなテイクバック量に達したときに通知を行うよう通知部を制御するとよい。制御部は、検出部の出力に基づいて傾斜を検知するとよい。
【0031】
このようにすれば、上りの斜面では強めのスイングとなるよう大きめのテイクバック量を通知し、下りの斜面では弱めのスイングとなるよう小さめのテイクバック量を通知することができる。この結果、ユーザは通知を受けたテイクバック量でダウンスイングを開始することによって、傾斜を踏まえて加減したテイクバック量でスイングを行うことができる。そして、平坦な場所であった時と同等の距離感で、狙った飛距離を得られやすくなり、延いてはパットの打数を改善することが可能となる。
【0032】
(12)前記制御部は、検知した傾斜が大きいほど、前記ユーザが居る場所で通知するテイクバック量と傾斜がない位置で通知するテイクバック量との差異を大きくするよう通知部を制御するとよい。
【0033】
このようにすれば、上りの傾斜が急であるほど強めのスイングとなるようより大きいテイクバック量を通知し、下りの傾斜が急であるほど弱めのスイングとなるようより小さいテイクバック量を通知することができる。この結果、ユーザは通知を受けたテイクバック量でダウンスイングを開始することによって、傾斜を踏まえたテイクバック量でスイングを行うことができ、所望の打球飛距離に合った加減でスイングを行いやすくなり、延いてはパットの打数を改善することが可能となる。
【0034】
(13)上述の(11)又は(12)において、前記傾斜の検知は、アドレスを検知したタイミングで行われるとよい。
【0035】
このようにすれば、スイングをしようとしている位置での傾斜を検知することができ、その位置での傾斜に応じたテイクバック量で通知をすることが可能となる。
【0036】
(14)検出部は加速度センサを検出する加速度センサとするとよく、テイクバック量を示すデータは加速度に基づく加速度データとするとよい。加速度センサは、例えば、3軸の加速度として加速度を示すデータを出力するとよい。加速度データは、加速度センサが検出する加速度そのものとしてもよいが、加速度センサが検出する加速度を演算・加工して得られるデータとするとよく、スイング時の動きを識別しやすいデータを選択すると特によい。
【0037】
(15)ユーザがアドレス姿勢を取った時の加速度データを記憶する記憶部をさらに備え、制御部は、加速度センサの出力に基づく加速度データと記憶部に格納されたユーザがアドレス姿勢を取った時の加速度データとに基づき、ユーザがアドレス姿勢を取ったことを検知し、アドレス姿勢を取ったことを検知した旨をユーザに対し通知する制御を行うとよい。
【0038】
このようにすれば、ユーザは自分がアドレス時の加速度データを登録したときと同じアドレス姿勢を取れていることを確認することができる。ユーザがあらかじめ正しいアドレス姿勢を取った時に登録しておけば、ユーザは正しいアドレス姿勢が取れたときに通知を受けることができる。クラブの持ち方、アドレス姿勢、身体とクラブの関係は人によって異なるが、同一人物においてはほぼ一定である。後述の(18)の構成のように、装置を手首に装着する構成では、単にクラブの角度だけでなく、握り方やグリップの状態も含めて登録時と同じアドレス姿勢が取れていることをユーザが確認できるので特によい。また
、アドレス時の加速度データとそれを基準としたテイクバック時の加速度データに基づきテイクバック量を求めることができる。
【0039】
(16)(15)の構成において、制御部は、ユーザがアドレス姿勢を取ったことを検知したときの加速度データと記憶部に格納されたユーザがアドレス姿勢を取った時の加速度データとの差に基づいて、傾斜を検知し、打球の進行方向に向かって上る傾斜を検知した場合には傾斜がない位置で通知するテイクバック量と比べ大きなテイクバック量に達したときに通知を行い、打球の進行方向に向かって下るように検知した場合には傾斜がない位置で通知するテイクバック量と比べ小さなテイクバック量に達したときに通知を行うよう通知部を制御するとよい。
【0040】
このようにすれば、ユーザがスイングをしようとしている場所の傾斜を検知することができる。そして、上りの斜面では強めのスイングとなるよう大きめのテイクバック量を通知し、下りの斜面では弱めのスイングとなるよう小さめのテイクバック量を通知することができる。この結果、ユーザは通知を受けたテイクバック量でダウンスイングを開始することによって、傾斜を踏まえて加減したテイクバック量でスイングを行うことができる。そして、平坦な場所であった時と同等の距離感で、狙った飛距離を得られやすくなり、延いてはパットの打数を改善することが可能となる。
【0041】
(17)テイクバック量を示すデータは、ユーザの背面方向の加速度成分の大きさ及び垂直方向の加速度成分の大きさ少なくとも一方を、打球の進行方向の加速度成分の大きさとは異なる重み付けをして加算して得られる値とするとよい。各成分の重みは様々のスイングについての感度が同程度となる用に決定するとよい。
【0042】
このようにすれば、ユーザを上から見た時に打球の進行方向沿った軌道のスイング、テイクバック及びフォロースイング時に体にクラブを引き寄せるアークのある軌道のスイング等、様々な特徴のあるスイングにおいてテイクバック量を求めることができる。ユーザはスイングのタイプを気にすることなく装置を利用することができる。
【0043】
(18)装着部材により装着される、「ゴルフのスイングに伴って動く部位」は、ゴルフクラブとしてもよいが、ユーザの身体の一部とするとよく、手首とすると特によい。このようにすれば、加速度センサによりスイング時におけるユーザの手首の動きを検知でき、スイング時の動きを判別しやすくなる。特に(11)のようにアドレス姿勢を検知して通知する構成では、ユーザ固有のアドレス姿勢を正しく取れていることを通知することができる。
【0044】
(19)通知部は振動によりユーザに通知を行うバイブレータとするとよい。このようにすれば、ゴルフのマナーを守りつつ、プレーを妨げることなくユーザに通知をすることができる。
【0045】
(20)本発明のプログラムでは、コンピュータを上記(1)~(19)のいずれかに記載の装置として機能させるとよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】装置10の外観を加速度センサ112の軸方向とともに示す斜視図である。
図2】装置10の外観を示す斜視図である。
図3】装置10をユーザUが手首に装着した状態を、加速度センサ112の軸方向とともに示す模式図である。
図4】装置10の構成を示すブロック図である。
図5図5(a)~(d)は、第1実施形態の装置10が表示する表示画面の例を示す。
図6図6(a)~(f)は、第1実施形態の装置10が表示する表示画面の例を示す。
図7図7(a)~(e)は、第1実施形態の装置10が表示する表示画面の例を示す。
図8図8(a)~(f)は、第2実施形態の装置10が表示する表示画面の例を示す。
図9図9(a)及び(b)は、第2実施形態の装置10が表示する表示画面の例を示す。
図10図10(a)は、ストレートタイプのヘッドの動きを示す模式図である。図10(b)は、アークタイプのヘッドの動きを示す模式図である。
図11図11(a)および(b)は、それぞれストレートタイプのスイングにおけるテイクバック時のユーザUの姿勢とパターの位置を模式的に示した上面図および側面図である。
図12図12(a)および(b)は、それぞれアークタイプのスイングにおけるテイクバック時のユーザUの姿勢とパターの位置を模式的に示した上面図および側面図である。
図13図13(a)は標準的なアドレス姿勢を示す模式図であり、図13(b)は、標準的でないアドレス姿勢の一例を示す模式図である。
図14】ホルダ20によりゴルフクラブに装着可能とした装置10の変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
〔第1実施形態〕
図1および図2は、装置10の外観を示す斜視図である。また、図3は、装置10をユーザUが手首に装着した状態を、加速度センサ112の軸方向とともに示す模式図である。また、図4は、装置10の構成を示すブロック図である。装置10はユーザUの左手首に装着されることを想定した構成とされている。図1および2に示すように、装置10は、腕時計に類似した外観を有し、扁平のケース110とケースを保持しつつユーザUの手首に固定するバンド120を備えている。バンド120は、例えばウレタン、シリコンゴム等の可撓性を有する素材から生成されている。バンド120は、ジャケット部121と、ジャケット部121の両端から延出する2本のベルト122a及び122bとを有する。ジャケット部121は、ケース110の正面、背面及びタクトスイッチ150をそれぞれ露出するための開口が設けられる。ジャケット部121の開口には溝が設けられ、この溝にケース110が嵌め込まれて保持される。ベルト122aには、長尺方向に沿って複数の小孔123(図1参照)が形成されている。ベルト122bの先端部には、ベルト122bをベルト122aに留めるための留め金具130が接合されている。
【0048】
留め金具130は、ステンレス等の金属で形成される。留め金具130は、バックル131、中板133、及び下板135を備える。中板133、及び下板135は、バンド120が人間の手首に装着されたときに手首に概ね沿うように湾曲している。バックル131と中板133とは、バックル131の裏面に突設された軸受部132と中板133の一端に形成された通し穴133aとに軸棒を通すことで連結されている。また、中板133と下板135とは、中板133の他端に形成された通し穴133bと下板135の一端に形成された通し穴135aとに軸棒を通すことで連結されている。下板135の他端には、ベルト122aを下板135の凹面側に沿って案内するためのガイド部135bが設けられている。
【0049】
下板135の凹面側には、位置決め突起135cが突設されている。ベルト122aをガイド部135bに通し、さらにベルト122aの小孔123の一つに位置決め突起135cを通すことにより、下板135はベルト122aに結合される。位置決め突起135
cを通す小孔123は、装置10を使用するユーザの手首の太さに合わせて適宜選択するとよい。
【0050】
下板135のガイド部135bが設けられた端部近傍の凸面側には、係止突起135dが突設される。係止突起135dは、先端部がフック状に形成され、バックル131、中板133、及び下板135を折り畳んだときに中板133の切欠き部133cに係止し、折り畳んだ状態を維持するように作用する。このような構成により、ベルト(122a、122b)と留め金具130とが成す環を伸縮することが可能となる。ユーザUは、留め金具130を開いた状態(つまり環が広がった状態)で環に手を通し、その後留め金具を閉じることで図3に示したように装置10を手首に装着する。
【0051】
ケース110の正面には、表示部170が設けられる。表示部170は、小型の液晶パネルにより構成され、後述する制御部115による制御の下、動作モード、電池残量、時計表示等の各種の情報を表示する。
【0052】
ケース110の正面における表示部170の下側には、戻るボタン141とホームボタン142を示す図柄が描かれている。表示部170及び戻るボタン141とホームボタン142の図柄に重ねて、ケース110の正面への接触による操作を検知するタッチパネル140が設けられる。タッチパネル140は、押下操作及びタッチパネル140の表面に触れたまま接触位置を動かす、いわゆるスワイプ操作を検知する。タッチパネル140が検知した操作は制御部115に送られる。制御部115では、タッチパネル140での操作に応じた処理を実行する。例えば、戻るボタン141の図柄が描かれた位置への押下操作をタッチパネル140が検知すると、制御部115ではこの操作を戻るボタンの押下として認識し、前の状態に戻る等の制御を行う。また、ケース110の左側面(図1には表されていない)には、タクトスイッチ150が設けられている。タクトスイッチ150は、電源のON/OFF、選択項目の決定等に使用する押しボタンスイッチである。タッチパネル140及びタクトスイッチ150の操作に応じた動作については後述する。なお、タクトスイッチ150はケース110の右側面に設けることもできるが、右側面にタクトスイッチがあると装置10を左手に装着する場合、手首を返す動きによりタクトスイッチ150が誤って押下される虞がある。ケース110の左側面にタクトスイッチ150を設けることで、手首を返す動きに伴う誤操作が起こりにくくすることができる。タクトスイッチ150は、ジャケット部121により保持され押下されていない状態において、バンド120のジャケット部121から頭頂部が突出せず、タクトスイッチ150を押そうとしたときは、ジャケット部121の弾性変形によりタクトスイッチ150が押下できるように設けられる。このようにすれば、意図的でない接触によりタクトスイッチ150が誤って押されることを抑制することができる。
【0053】
ケース110の背面にはプラスチック製の裏蓋118が四隅をねじ118aによりねじ止めすることにより取り付けられている。ケース110の正面から裏蓋118までの厚みはジャケット部121の厚みより厚く構成され、ケース110は、その正面がジャケット部121の外面とほぼ段差のない位置となるようにジャケット部121により保持される。したがって、ケース110がジャケット部121に保持された状態において、裏蓋118は、ジャケット部からせり出している。このようにジャケット部121よりも裏蓋118がせり出した形状とすることにより、装置10をユーザUが装着したときにジャケット部121の厚みが装置10の厚みであるかのように錯覚させることができ、装着した状態の装置を見る人に対して装置10の厚みを大きく感じさせないようにすることができる。裏蓋118の中央部には端子カバー119が開閉可能に設けられている。その端子カバー119を開くと、miniUSB端子160が露出する。このminiUSB端子160にACアダプターを接続することで電池116を充電することができる。また、USBケーブルを介して外部のパーソナルコンピュータ等と接続し、パーソナルコンピュータから
装置10内のゴルフ場のデータ更新やパーソナルコンピュータへのデータ取り込みなどを行うことができる。
【0054】
ケース110の内部には、図4に示すように、GPS衛星からのGPS信号を受信し現在位置(経度・緯度)を求めるGPS受信機111、3軸の加速度を検知する加速度センサ112、振動により通知を行うバイブレータ113、装置10内の各構成要素の制御を行う制御部115、電源となる電池116、および制御部115が実行するプログラム、ゴルフ場のコースレイアウト等のゴルフ情報、制御部115の制御の下で各種の機能により得られるデータ等を格納する記憶部117等を備えている。
【0055】
加速度センサ112は、互いに直交する3軸のそれぞれの軸の加速度のデータを出力する。加速度センサ112が出力する3軸の加速度のデータは、制御部115が設定するサンプリング周波数(例えば50Hz)でサンプリングして取得される。加速度センサ112の3つの軸方向は、互いに直交している。加速度センサ112が出力する3軸のデータを用いることで、1軸の加速度センサを用いる場合と比べスイングに伴う加速度を判別することが容易となる。第1の軸方向(X軸)は、表示部170の表示面における下方向であり、以下ではこの軸方向の加速度をGxという。第2の軸方向(Y軸)は、表示部170の表示面における右方向であり、以下ではこの軸方向の加速度をGyという。第3の軸方向(Z軸)は、表示部170の表示面の法線方向であり、以下ではこの軸方向の加速度をGzという。
【0056】
加速度センサ112は、重力加速度と運動に伴う加速度を合成した加速度の各軸方向の成分の大きさを出力する。アドレス姿勢をとったときのような静止時には重力加速度のベクトルを3軸の方向のベクトルに分解し、各軸方向のベクトル成分の大きさが出力される。またスイングをするときのような非静止状態では重力加速度とテイクバックの運動による加速度とを合成した加速度のデータを出力する。
【0057】
図3は、装置10をユーザUが装着した状態を示している。装置10は、ケース110の裏蓋118がユーザUの左手首の甲側に沿うように装着される。その結果、装置10は、概ね、X軸がユーザUの左手の小指から親指に向かう方向、Y軸がユーザUの前腕に沿って肘から指先に向かう方向、Z軸がユーザUの左手首の甲側にほぼ垂直な方向となる向きで、ユーザUの左手首に固定される。
【0058】
バイブレータ113は、制御部115による制御に応じて振動し、装置10を装着したユーザに通知を行う。
【0059】
電池116は、充電池のように充電可能な二次電池とし、miniUSB端子160から充電できるようにしている。
【0060】
記憶部117は、着脱できない内部記憶装置でもよいし、マイクロSDカードスロットのような着脱可能な記録メディアを装着するためのスロット部(読み書きする機能を含む)でもよい。本例では内部記憶装置として記憶部117が設けられるものとして記載している。具体的には、不揮発性メモリを記憶部117として用いる。記憶部117は、制御部115による制御を規定するプログラム、当該プログラムで用いるデータ、ゴルフ場の所在地やコースについてのデータ(例えば各ホールのコースレイアウト、ゴルフ場のグリーンやバンカー等コース上のハザードの位置)等を含むゴルフ場情報等を格納する。なお、ゴルフ場情報は、例えば、特開平7-57189号公報に記載の、第1ホールから第18ホールまでのレイアウト画像の情報、及び当該レイアウト画像上の緯度および経度データや、特開2003-339929号公報に記載の、ゴルフコースの各ホールのレイアウト、場所、コースの特徴等に関するデータとすることができる。
【0061】
制御部115は、CPU及び各種の周辺回路等を備え、CPUが記憶部117に格納されたプログラムを実行することにより、上記の各種の入力機器(GPS受信機111、加速度センサ112、タッチパネル140、タクトスイッチ150、miniUSB端子160、等)から入力される情報及び記憶部117に記憶されたデータを適宜利用して、出力機器(表示部170、記憶部117、miniUSB端子160等)を制御したり、処理の結果を保存したりする。
【0062】
装置10は、ゴルフ場案内モードおよびグリーンモードの2つの動作モードを有する。ゴルフ場案内モードは、ゴルフ場でプレーをするときに用いるモードであり、スコア、打球位置等のプレー情報を自動的に記録する。グリーンモードは、ユーザUにパッティング時にテイクバック量に応じた通知を行うモードである。これらの動作モードは、タッチパネル140やタクトスイッチ150の操作により切り替えることができる。
【0063】
以下、装置10の動作に関し、制御部115が実行する制御を説明する。なお、以下の説明において主体が明記されていない処理は制御部115の制御によるものである。
【0064】
ユーザUは使用に先立ち、電池116を予め充電しておく必要がある。電池116が十分に充電されている状態で、電源OFFの状態でタクトスイッチ150を2秒以上長押しされたことを制御部115が認識すると制御部115に接続された各部への電源を投入する制御を行い、表示部170に図5(a)に示したホーム画面を表示する。ホーム画面は、ゴルフ場案内モードを選択するための本コースボタンB1と、グリーンモードを選択するためのグリーンボタンB2とを備える。各動作モードで動作しているときや各種の設定中に、ホームボタン142にタッチされたことを認識すると、このホーム画面に戻る。また、電源ONの状態でタクトスイッチ150が5秒以上長押しされたことを制御部115が認識すると、制御部115は所定の終了画面を表示部170に描画後、制御部115に接続された各部への電源を切る制御を行う。
【0065】
電源投入後、表示部170には制御部115による制御の下、ユーザUによる操作を受け付けるべく、各種のメニューを表示する。メニューを選択するための操作方法としては、表示部170の画面内にボタンとして表示されるメニューについては、ボタンを押下操作することにより表示しているボタンに対応するメニューを選択する。また、1画面内に収まらない多数の選択項目のリストとして表示部170に表示されるメニューの選択・決定の操作としては、タッチパネル140のスワイプ操作によって表示する項目をスクロールさせつつ選択する項目を変更し、タクトスイッチ150の短押しにて選択中の項目に決定する。このとき画面内に3項目のメニューを表示するのに十分な表示領域が確保できる場合には3つの項目を縦に3行並べて表示し、中央の項目が選択された項目とする。選択している中央の項目は、選択していることをユーザが認識しやすくなるように上下の2項目とは色を反転して表示をする。なお、上端の項目を選択しているときには最上部の行には何も表示せず、反対に下端の項目を選択しているときには最下部の行には何も表示しないようにする。また、確保できる表示領域が狭い場合には、選択中の1項目のみを表示し、上下または左右のスワイプ操作で他の項目を選択する。
【0066】
(ゴルフ場案内モード)
図5(a)に示したホーム画面において本コースボタンB1の押下によりゴルフ場案内モードが選択されると、動作モードをゴルフ場案内モードに切り替える。ゴルフ場案内モードでは、GPS受信機111を動作させ、ゴルフコースのナビゲーション機能を実行する。ゴルフ場案内モードが選択されると、図5(b)に示したゴルフ場選択画面を表示する。ゴルフ場選択画面では選択するゴルフ場の候補として、GPS受信機111にて取得した現在地に最も近いゴルフ場(本例では東京国際GC)を自動的に表示する。また、手
動検索によりゴルフ場を検索して選択することも可能となっている。ユーザUはタッチパネル140やタクトスイッチ150を操作してプレーをするゴルフ場とゴルフコースのOUT・INを決定する。
【0067】
ゴルフ場の選択が完了すると、表示部170に図5(c)に示したナビゲーション画面を表示し案内を開始する。ナビゲーション画面では、現在いるホールのホール番号、パー打数、現在の打数、対象物(グリーンエッジ、カップ、ハザード等)まで距離等を表示する。ホールの判別はGPS受信機111で取得した位置情報とゴルフ場情報とに基づいて行う。具体的には、GPS受信機111で取得した現在位置の緯度および経度を、ゴルフ場のコースレイアウトと緯度および経度とを対応付けたコースマップデータに照会して、現在いるホールを判別する。ユーザUはナビゲーション画面を見ることで、プレー中のホールの情報やスコアを確認することができる。制御部115は、定期的にGPS受信機111から位置情報を取得し、取得した位置情報に応じてナビゲーション画面の表示情報を更新する。ゴルフ場案内モードにおいてナビゲーション画面を表示中、タクトスイッチ150が押下されたことを認識すると、打数を1打カウントアップするとともに、GPS受信機111の出力する位置情報を打球位置として打数と対応付けて記憶部117に記録する地点登録を行う。
【0068】
(グリーンモード)
図5(a)に示したホーム画面においてグリーンボタンB2押下によりグリーンモードが選択されると、動作モードをグリーンモードに切り替える。また、ゴルフ場案内モードのナビゲーション画面が表示されている状態でタッチパネル140を2秒以上長押しすると、図5(d)に示した切替画面を表示する。切替画面はグリーンモードに切り替えるためのグリーンボタンB3と、ナビゲーションするホールを手動で次ホールに切り替える次ホールボタンB4とを含んでおり、グリーンボタンへのタッチを認識したときに動作モードをグリーンモードに切り替える。ラウンド中以外で(例えば自宅や練習場で)グリーンモードを使用する場合には、ホーム画面からグリーンモードに切り替えるのが便利であり、ラウンド中にゴルフ場案内モードを利用している途中でグリーンモードを使用する場合には、切替画面を経由してグリーンモードに切り替えるのが便利である。
【0069】
グリーンモードに入ると、まず図6(a)に示したグリーンモードメニュー画面を表示する。グリーンモードメニュー画面では、アドレス登録メニュー、パター登録メニュー、パター練習メニュー、及び登録データ削除メニューをタッチパネル140のスワイプ操作により選択可能に表示する。なお、図6(a)では登録削除メニューは画面外となっている。グリーンモードメニュー画面が表示された状態で戻るボタン141にタッチすると、グリーンモードを終了し、前の画面(グリーンモードへ切り替えたときの操作に応じて、ホーム画面または切替画面)に戻る。
【0070】
アドレス登録メニューは、ユーザUがアドレス姿勢を取ったときの加速度センサ112の出力データの登録(以下では単にアドレス登録という)をするアドレス登録機能を実行するためのメニューである。アドレス登録がされていない状態では、パター登録メニュー、パター練習メニュー、及び登録データ削除メニューは選択不能とする。
【0071】
アドレス登録メニューでは、テイクバック量の計測の基準となるアドレス時の加速度のデータを登録する。本実施形態のように手首に装置10を装着した状態でアドレス登録を行うことにより、アドレス登録を行うユーザU個人のアドレス姿勢に応じた加速度データを登録することができる。後述のように、テイクバック量の計測を行う際、アドレス登録で登録した加速度データに近い加速度データが所定時間維持されたことによりアドレス姿勢が取られたと認識した場合にユーザに通知を行う。したがって、ユーザUが自分にとって正しいアドレス姿勢を登録しておくことにより、ユーザUは正しいアドレス姿勢をとれ
たことを確認してからスイングを開始することができる。
【0072】
アドレス登録メニューを選択した状態でタクトスイッチ150が押下されると、図6(b)に示したアドレス登録画面を表示してユーザUにアドレス姿勢を取ることを促すとともに、タクトスイッチ150が押下されてから所定の待受時間、ユーザUがアドレス姿勢ことを待ち受ける。そして、所定の判定時間(例えば2秒間)継続して加速度センサ112の出力データのバラつきが3軸ともに所定範囲(例えば0.1G(ここでGは重力加速度を意味し、1.0G=9.80665m/s2に相当する))以下に収まると、アドレス姿勢が取られたと認識し、バイブレータ113を振動させてアドレスを検知したことをユーザに通知するとともに、加速度センサ112の出力データのバラつきが3軸ともに所定範囲以下に収まった判定時間における加速度センサ112の出力データ(例えば2秒間、50Hzでサンプリングの場合には100個の値)の平均値を3軸それぞれ記憶部117に格納する。また、表示部170にアドレス登録をした旨を1秒間表示し、その後アドレス登録画面に戻る。
【0073】
アドレス姿勢が取られたことを判定する判定時間は2秒とするとよい。発明者等はアドレス時に本装置10が2秒程度静止することを見出し、しかもこの時間は、ユーザUが静止するのに苦ではない時間に設定しているので、アドレス姿勢が取られたことの検知に適している。また、タクトスイッチを押下したあとの待受時間は10秒とするとよい。ユーザUが装置10の操作に慣れていない場合やユーザUがグリップを気にする場合、タクトスイッチを押下してからクラブを持って構えるのに5秒程度かかり、その後2秒の静止時間を確保する必要がある。待受時間を10秒とすることで、アドレス姿勢を取るのに十分な時間を確保しつつ、アドレスが検知できないときにユーザUに不快感を与えることなく次の処理に進むことができる。
【0074】
アドレス登録が完了した後のアドレス登録画面では、アドレス登録メニューに加え、パター登録メニュー、パター練習メニュー、及び登録データ削除メニューを選択可能とする。なお、アドレス登録は装置10を起動する都度行う必要はなく、過去にアドレス登録した際の3軸の加速度データが記憶部117に格納されていればアドレス登録済みとしている。アドレス登録した3軸の加速度データは、不揮発性メモリである記憶部117に格納されているので、過去にアドレス登録した際の3軸の加速度データは上書きや消去をしない限り記憶部117に格納されている。直近にアドレス登録をしたときとは異なるユーザUが装置10を使用する場合や、同じユーザUであってもアドレス登録時とは異なるグリップやアドレス姿勢に変えた場合には、アドレス登録をやり直すことが望ましい。
【0075】
一方、待受時間が経過しても判定時間の間継続して加速度センサ112の出力データのバラつきが3軸ともに所定範囲以下に収まらずアドレスを検知できない場合には、アドレス登録画面に戻るがパター登録メニュー、パター練習メニュー、及び登録データ削除メニューは選択不能の状態を維持する。
【0076】
パター登録メニューでは、パッティング時のテイクバック量と打球の飛距離の関係を登録する。パター登録メニューを選択した状態でタクトスイッチ150が短押しされると、図6(c)に示したパター登録開始画面を表示する。パター登録開始画面を表示した状態でタクトスイッチ150の短押しを認識すると、アドレス登録時と同様、図6(d)に示したアドレス指示画面を表示してユーザUにアドレス姿勢を取ることを促す。そして、加速度センサ112の出力する加速度の値が、アドレス登録により記憶部117に格納されたアドレス登録時の加速度から許容値以内に入るとアドレス姿勢が取られたと認識し、バイブレータ113を振動させてアドレスを検知したことをユーザに通知し、表示部170には図6(e)に示したパッティングを促す打球指示画面を表示する。なお、パター登録開始画面を表示した状態で戻るボタン141が押下されると、グリーンモードメニュー画
面に戻る。また、パター登録開始画面を表示した状態でタクトスイッチ150が短押しされてから所定の待受時間(例えば10秒)以内にアドレスを検知できない場合には、パター登録開始画面に戻り、タクトスイッチ150が再び短押しされるのを待つ。
【0077】
アドレス検知後、打球指示画面が表示された状態でユーザUは自ら振り幅を加減してパッティングを行う。アドレス検知後、制御部115は、Z軸方向の加速度Gzの記録を開始するよう制御する。上述のように軸方向が規定された装置10を装着した場合、テイクバックを行うと加速度Gzは減少する傾向があるので、加速度Gzはしばらく減少傾向を示す。その後、テイクバックを終えダウンスイングに入ると加速度Gzは増加傾向となり、アドレス検知時の加速度Gzadを超えた値まで増加する。アドレス検知時の加速度Gzadに再び達すると、制御部115は、加速度Gzの記録を終了するよう制御する。記録したテイクバック時の加速度Gzの最小値Gzminからアドレス検知時の加速度Gzadを差し引いた値ΔGz=Gzmin-Gzadをテイクバックの大きさの指標として用いる。ΔGzは、「テイクバック量を示すデータ」の一例である。
【0078】
アドレス検知から所定時間(例えば5秒)経過後、測定した加速度Gzを距離に対応付けて保存するか否かを確認及び選択するための飛距離登録画面(図6(f))を表示する。飛距離登録画面の中央部には、パッティングによる打球の飛距離Dを選択するための飛距離選択リストL1を表示する。飛距離Dは、「スイングの強さに関する情報」の一例である。飛距離選択リストL1は、左右のスワイプ操作により選択可能とする。飛距離選択リストL1における飛距離Dは歩数を単位として表示する。ゴルフコースをラウンドしている間は、使用できる距離測定手段に制限があるが、歩数であればユーザUは器具等を用いなくても測ることができるので、飛距離選択リストL1も歩数を単位として飛距離Dを表示し選択可能とすれば、ユーザUは容易に適切な飛距離を選択することができる。登録をする場合、ユーザUは、アドレス検知後に行ったパッティングによる打球の飛距離を測定し、その測定した距離を飛距離選択リストL1で選択する。飛距離Dが選択された状態でタクトスイッチ150が押下されると、アドレス検知後のパッティングで得られた値ΔGzとユーザUが選択した飛距離Dとを対応付けて記憶部117に格納する。そして、選択した距離で登録をした旨を1秒間表示し、その後パター登録開始画面に戻る。また、飛距離登録画面を表示した状態で戻るボタン141が押下されると、パター登録開始画面に戻る。例えばパッティングに失敗した場合など、ユーザUが飛距離Dの登録を希望しない場合には、このように戻るボタン141の押下によりパター登録開始画面に戻ってやり直すことができる。
【0079】
以上のパター登録の手順は複数回行うことができ、飛距離と値ΔGzの組み合わせを複数登録することができる。登録済みの飛距離と値ΔGzの組み合わせから、飛距離と値ΔGzの関係を近似する数式を求めて記憶部117に格納する。飛距離と値ΔGzの関係を近似する数式は最小二乗法により求めるとよく、この数式は例えば原点を通る一次関数とするとよい。飛距離と値ΔGzの関係を近似する数式を格納することで、打球の飛距離とテイクバック量を示すデータとの対応関係を少ない容量で記憶することができる。
【0080】
ユーザU毎の個人差ばかりでなく、テイクバック量と飛距離の関係はプレーする日の体調やゴルフコースのコンディション等によって変化し得る。このため、プレー開始の前に、例えばゴルフ場の練習用グリーン等で、最新のテイクバック量と飛距離の関係を登録することが望ましい。
【0081】
登録データ削除メニューでは、最新のテイクバック量と飛距離の関係を登録する前に、古い登録データを一括削除する。パター登録の手順を複数回行って、複数の飛距離と値ΔGzの組み合わせが記憶部117に格納されている場合には、すべての飛距離と値ΔGzの組み合わせを削除し、飛距離と値ΔGzの関係を近似する数式も記憶部117から削除
する。グリーンモードメニュー画面で登録データ削除を選択した状態でタクトスイッチ150が押下されると、図7(a)のデータ削除画面にてデータを削除することについてユーザUの意思確認を求め、データを削除する意思を確認した場合には、パター登録によって登録した飛距離と値ΔGzの組み合わせをすべて削除してグリーンモードメニュー画面に戻る。一方、データを削除しない意思を確認した場合には、そのままデータを削除せずにグリーンモードメニュー画面に戻る。
【0082】
パター練習メニューでは、ユーザUが指定した打球の飛距離に応じて、テイクバック量の通知を行う。パター練習メニューは、実際にボールを打つ前に素振りをする際に、狙った飛距離に適したテイクバック量を確認するために用いることができる。また、ユーザUは素振りだけでなく、打球を行うスイングにおいても通知を受けるようにパター練習を用いてもよいが、通知により集中力が途切れることを防ぐべく、打球を行うスイングにおいてはパター練習を用いないようにしてもよい。
【0083】
パター練習メニューを選択した状態でタクトスイッチ150が押下されると、図7(b)に示した目標距離選択画面を表示する。目標距離選択画面の中央部には、これから行うパッティングで飛ばしたい距離である目標距離を選択するための目標距離選択リストL2を表示する。目標距離選択リストL2には、選択枝となる目標距離を表示部170の画面内に3つ表示し、このうち中央の行を選択中として反転表示する。目標距離選択リストL2の項目は、上下のスワイプ操作により選択可能とする。目標距離選択リストL2における目標距離は歩数を単位として表示する。ゴルフコースをラウンドしている間は、使用できる距離測定手段に制限があるが、目標までの歩数であればユーザUは器具等を用いなくても測ることができるので、目標距離メニューL2も歩数を単位として目標距離を表示し選択可能とすれば、ユーザUは容易に適切な目標距離を選択することができる。目標距離が選択された状態でタクトスイッチ150が短押しされると、選択されている目標距離に決定し、図7(c)の測定開始画面を表示するとともに飛距離と値ΔGzの関係を近似する数式に基づいて、決定した目標距離に対応した値ΔGzの目標値を求める。数式を用いることで、選択された目標距離に対応する値ΔGzが記憶部117に格納されていない場合でも目標値を算出することができる。
【0084】
測定開始画面を表示した状態でタクトスイッチ150の短押しを認識すると、図7(d)のアドレス指示画面を表示してユーザUにアドレス姿勢を取ることを促す。そして、加速度センサ112の出力する加速度の値が、アドレス登録により記憶部117に格納されたアドレス登録時の加速度から許容値以内に入るとアドレス姿勢が取られたと認識し、バイブレータ113を振動させてアドレスを検知したことをユーザに通知し、表示部170には図7(e)に示したようなパッティングを促すスイング指示画面を表示する。アドレスを検知したきに通知をすることにより、アドレス登録時と同じアドレスができていることをユーザUは確認することができる。特に本実施形態では装置10を手首に装着しているので、単にクラブの角度だけでなく、握り方やグリップの状態も含めて登録時と同じアドレス姿勢が取れていることをユーザUは確認することができる。
【0085】
アドレス検知後、制御部115は、Z軸方向の加速度Gzの記録を開始するよう制御する。パター登録メニューに関して説明したのと同様テイクバックを開始すると加速度Gzは減少傾向を示す。ユーザUがテイクバックを開始し、テイクバックを徐々に大きくしていくに従い、加速度Gzは減少を続け、アドレス時のGzからの変化量が値ΔGzの目標値に達する。値ΔGzの目標値に達すると、制御部115は目標距離に適したテイクバック量に達したと認識し、バイブレータ113を振動させてダウンスイングを開始するようユーザUに通知する。ユーザUはこの通知を受けたときのテイクバック量でダウンスイングを開始すべきことを認識することができる。なお、測定開始画面を表示した状態でタクトスイッチ150が短押しされてから所定の待受時間(例えば10秒)以内にアドレスを
検知できない場合には、目標距離選択画面の表示に戻り、目標距離が選択されるのを待つ。
【0086】
以上のような制御により、パター練習メニューでは、ユーザUが指定した打球の飛距離に応じて、テイクバック量の通知を行う。ユーザUは、この通知を目安にスイングをすることで、スイングの振り幅を調節し、飛距離の加減をすることができる。このようにすれば、ユーザUは指定した指定した打球の飛距離に対応したテイクバック量に達したときに通知を受けることができる。したがって、通知を受けたテイクバック量でダウンスイングを開始することによって、安定したテイクバック量でスイングを行うことができる。パッティングの距離感はインパクト時の力の込め方の強弱ではなく、振り幅により調節するのが正しいとされている。このため、パッティング時のテイクバック量を安定させるよう通知することでパッティングの上達を支援することできる。例えば今のボールのある位置からカップまで4歩である場合、4歩の飛距離に適したテイックバック量に達したときに、その旨の通知を受けられるので、そこからダウンスイングを開始することができる。その結果、4歩分の強さでボールを打つことができる。
【0087】
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態は、第1実施形態の装置10と同様に、ユーザUにパッティング時にテイクバック量に応じた通知を行い、ゴルフのプレーを支援する装置10に関する。以下では、第1実施形態の装置10と異なる部分を中心に説明する。
【0088】
装置10の外観、構成、装着方法、及び動作に関する制御は、以下で説明するグリーンモードでの制御を除き、図1図4に示した装置10と同様である。
【0089】
第2実施形態の装置10では、記憶部117は、パッティング時のテイクバック量の指標として、複数(例えば20個)のレベルを、「テイクバック量を示すデータ」の一例である値ΔGzの目標値と対応付けてあらかじめ格納している。ここで値ΔGzは、第1実施形態と同様、記録したテイクバック時の加速度Gzの最小値Gzminからアドレス検知時の加速度Gzadを差し引いた値ΔGz=Gzmin-Gzadである。また、レベルは「スイングの強さに関する情報」の一例である。
【0090】
レベルは、表1に示したテイクバックの角度を想定して、標準的なグリップ、アドレス姿勢、及びスイングでのテイクバックの角度に応じた値ΔGzの目標値が記憶部117に格納されている。レベルと値ΔGzの目標値との対応関係は固定されている。
【0091】
【表1】
【0092】
レベルは、数値が小さいほど小さな角度に対応付けられている。そして、角度が小さい範囲(2~30度)では2度刻み程度の小さなステップで細かくレベルが設けられ、角度が大きい範囲(30~70度)では粗く5~10度刻みでレベルが設けられる。飛距離の細かな加減や調節がより重要となるのは、グリーン上でカップに近づいたときである。角度が小さい範囲を細かい角度のステップでレベルを設けることで、短い距離のパッティングにおける細かな調節をしやすくすることができる。一方、大きな角度の範囲はかなり長い距離のパッティングに対応し、実際のプレーにおいては当該パットで直接カップを狙うというよりも次のパットでカップを狙うべくカップ周辺にボールを寄せることを想定するのが現実的である。このような使用法においては、角度が大きい範囲について粗い角度ステップでレベルを設けることで、ユーザUは設定の操作に手間をかけず大雑把な距離の調節をすることができる。このレベルと角度との対応関係はユーザUが変更できないように
されている。なお、レベルと角度との対応関係は、グリップ、アドレス姿勢、スイング等が標準的でない場合には必ずしも正確でないため、ユーザUにはレベルに対応する角度の具体的な大きさは提示せず、レベルの数値で感覚的に示すにとどめるとよい。
【0093】
以下、第2実施形態の装置10の動作に関し、制御部115が実行する制御を説明する。なお、以下の説明において主体が明記されていない処理は制御部115の制御によるものである。ゴルフ場案内モードでの機能及び操作、及びグリーンモードに入るまでの操作は装置10と同様である。これらについては重複を避けるため説明を省略する。
【0094】
グリーンモードに入ると、まず図8(a)に示したグリーンモードメニュー画面を表示する。グリーンモードメニュー画面では、アドレス登録メニューを選択するためのボタンB5とパター計測メニューを選択するためのボタンB6をタッチパネル140へのタッチにより選択可能に表示する。アドレス登録メニューは、ユーザUがアドレス姿勢を取ったときの加速度センサ112の出力データの登録をするアドレス登録機能を実行するためのメニューであり、第1実施形態の装置10する説明と同様の方法にてアドレス登録を可能とする。アドレス登録がされていない状態では、パター計測メニューは選択不能とし、アドレス登録がされるとパター計測メニューの選択を可能とする。
【0095】
パター計測メニューでは、ユーザUが任意のレベルを選択し、レベルに応じてテイクバック量の通知を行う。また、各レベルと飛距離との対応関係を登録可能とする。グリーンモードメニュー画面でボタンB6にタッチすると、図8(b)に示したレベル選択画面を表示する。レベル選択画面の中央部には、パッティングの強さの指標である複数のレベルや、各レベルに対応付けられている飛距離Dを一括削除する歩数一括リセットメニューを選択するためのレベル選択リストL3を表示する。レベル選択リストL3には、選択枝となるレベルを表示部170の画面内に3つ表示し、このうち中央の行を選択中として反転表示する。レベル選択リストL3の項目は、上下のスワイプ操作により選択可能とする。選択肢としては、レベル1~レベル20を最上行から昇順に表示し、歩数一括リセットメニューを最下行に表示する。誤操作により意図せず歩数をリセットしてしまうことを避けるため、初期状態では最上部のレベル1~レベル3を表示するとよい。レベル選択メニューには各レベルと対応付けて飛距離Dを表示可能とする。レベルに対応付けられた飛距離Dは、後述の飛距離の登録によって登録されたものを表示し、対応する飛距離Dが登録されていないレベルについては、登録されていないことを示す表示(例えば図8(b)でレベルの右に示した「※※歩」等)をする。ゴルフコースをラウンドしている間は、使用できる距離測定手段に制限があるが、歩数であればユーザUは器具等を用いなくても測ることができるので、レベル選択リストL3においてレベルに対応付けて表示する飛距離Dも歩数を単位として表示し選択可能とすれば、ユーザUは容易に適切な飛距離Dに対応したレベルを選択することができる。このようなレベル選択リストL3を用いてレベルと飛距離Dとを見比べられるように一覧表示することにより、ユーザUは、各レベルに対応した飛距離Dが登録されているか否かを容易に認識することができる。また、レベル選択リストL3にレベル1~レベル20まで昇順に表示することにより、登録された飛距離Dの異常値をユーザUに認識しやすくすることができる。例えば、レベル1から順に昇順で登録された飛距離Dを確認したときに、レベルの増加に対し飛距離Dが単調に増加していない場合、ユーザUは登録した飛距離Dに異常な値が含まれていると判断することができる。
【0096】
レベルが選択された状態でタクトスイッチ150が短押しされると、選択されているレベルに決定し、計測/登録選択画面を表示する。図8(c)は、レベル2を選択したときの計測/登録選択画面の例を示している。計測/登録選択画面には、選択したレベル及び当該レベルに対応する距離を表示するとともに、計測メニューを選択するためのボタンB7と飛距離登録メニューを選択するためのボタンB8をタッチパネル140へのタッチにより選択可能に表示する。この時点でレベル2には飛距離Dが登録されていないので、図
8(c)のように「※※歩」と表示し、飛距離Dが登録されていないことをユーザUが認識しやすくしている。なお、計測/登録選択画面を表示した状態で戻るボタン141が押下されると、レベル選択画面に戻る。
【0097】
計測メニューは、選択されたレベルに応じたテイクバック量を通知する。この計測メニューは、プレー中のグリーンでの素振りや打球時に使用することもできるし、レベルに飛距離Dを対応付けるために使用することもできる。
【0098】
計測/登録選択画面で計測メニューへのタッチを認識すると、図8(d)のアドレス指示画面を表示してユーザUにアドレス姿勢を取ることを促す。このアドレス指示画面にはアドレス姿勢を取ることを促す表示の他、終了ボタンを表示する。終了ボタンへのタッチを認識すると、計測/登録選択画面に戻る。図8(d)のアドレス指示画面を表示している状態でユーザUがアドレス姿勢を取って、加速度センサ112の出力する加速度の値がアドレス登録により記憶部117に格納されたアドレス登録時の加速度から許容値以内に入ると、アドレス姿勢が取られたと認識し、バイブレータ113を振動させてアドレスを検知したことをユーザに通知し、表示部170には図8(e)に示したようなスイングを促すスイング指示画面を表示する。
【0099】
アドレス検知後、制御部115は、Z軸方向の加速度Gzの記録を開始するよう制御する。第1実施形態でのパター登録に関して説明したのと同様テイクバックを開始すると加速度Gzは減少傾向を示す。ユーザUがテイクバックを開始し、テイクバックを徐々に大きくしていくに従い、加速度Gzは減少を続け、アドレス時のGzからの変化量が、値ΔGzの目標値に達する。値ΔGzの目標値に達すると、制御部115は目標距離に適したテイクバック量に達したと認識し、バイブレータ113を振動させてダウンスイングを開始するようユーザUに通知する。ユーザUはこの通知を受けたときのテイクバック量でダウンスイングを開始すべきことを認識することができ、実際にパッティングを行って飛距離を確認することもできる。
【0100】
値ΔGzの目標値に達したことを検知すると、図8(d)のアドレス指示画面に戻り、アドレス姿勢が再び取られるのを待つ。また、目標距離が選択されるのを待つ。なお、アドレス検知後、所定の待受時間(例えば10秒)以内に値ΔGzに達したことを検知できない場合には、図8(d)のアドレス指示画面に戻り、アドレス姿勢が取られるのを待つ。このように図8(d)のアドレス指示画面に戻る制御により、特に操作しなくてもアドレス姿勢を取り直すことで繰り返し計測を行うことができる。例えば打球前に適切なテイクバック量を確認するために素振りを繰り返す場合や、飛距離Dの登録時にミスパットをして再度パッティングをする場合には、特に操作を要することなくアドレス姿勢を取るだけで再計測が可能となる。
【0101】
飛距離登録メニューでは、選択中のレベルに対応付けて飛距離Dを登録する。計測/登録選択画面で飛距離登録メニューへのタッチを認識すると、図8(f)の飛距離登録画面を表示する。ユーザUは、計測により当該選択中のレベルに対応するテイクバック量の通知を受けてパッティングを行い、当該パッティングでの飛距離Dを確認した後、その飛距離Dをレベルに対応付けて登録する場合に登録メニューにタッチする。飛距離登録画面の中央部には、パッティングによる打球の飛距離Dや当該選択中のレベルに対応づけて登録されている飛距離Dをリセットするための歩数リセットメニューを選択するための飛距離選択リストL4を表示する。飛距離選択リストL4における飛距離Dは歩数を単位として表示する。ゴルフコースをラウンドしている間は、使用できる距離測定手段に制限があるが、歩数であればユーザUは器具等を用いなくても測ることができるので、飛距離選択リストL4も歩数を単位として飛距離Dを表示し選択可能とすれば、ユーザUは容易に適切な飛距離を選択することができる。また、ユーザUの歩幅によって長い距離を素早く測っ
て装置10に設定することが容易であり、ユーザUが目測により推測した距離を装置10に設定する場合に、自己の感覚に基づき比較的正確な距離を推測して装置10に設定することができる。飛距離選択リストL4は、選択枝を表示部170の画面内に3つ表示し、これらのうち中央の行を選択中として反転表示する。飛距離選択リストL4の項目は、上下のスワイプ操作により選択可能とする。選択肢としては、飛距離Dの選択肢としての1歩~50歩までの歩数を最上行から昇順に表示し、当該レベルに対応付けられている歩数を削除するための歩数リセットメニューを最下行に表示する。誤操作により意図せず歩数をリセットしてしまうことを避けるため、初期状態では最上部の1歩~3歩を表示するとよい。
【0102】
飛距離Dが選択された状態でタクトスイッチ150が押下されると、選択した飛距離Dを選択中のレベルに対応付けて記憶部117に記憶するとともに、計測/登録選択画面に戻る。このとき計測/登録選択画面には、図9(a)に示すように、選択中のレベルとともに登録された飛距離Dを表示する。また、飛距離Dの登録後に計測/登録選択画面の表示状態から戻るボタン141を押してレベル選択画面に戻ると、図9(b)に示すように、レベル選択リストL3においてレベルに対応づけて登録した飛距離Dを表示する。全てのレベルに対して飛距離Dを登録する必要はなく、ユーザUは選択したいくつかのレベルに対して飛距離Dを登録してもよい。例えば、毎回決まったレベルで飛距離Dを登録することにより、その日のコンディションにおける打球の転がりやすさを把握することができる。レベル選択リストL3にはレベルと飛距離Dとを見比べられるように一覧表示する。あるレベルに対応する飛距離Dのデータとして前回のプレー時のもの登録してある状態で、飛距離Dのデータを更新しようとするときに、一つのレベルで通知を受けてボールを打ったときの実際の飛距離と前回登録時の飛距離Dとを見比べて、その日のコンディションでの飛距離の出方の傾向を把握することを容易にすることができる。また、前回登録時と同じ飛距離であった場合には、一覧表示されている他の設定値に対応する飛距離も前回と同様であると推測することができ、飛距離の登録更新作業を簡略化することができる。
【0103】
レベル選択画面において、歩数一括リセットメニューが選択された状態でタクトスイッチ150が短押しされると、図7(a)と同様のデータ削除画面にて全てのレベルに対応付けられている歩数を削除することについてユーザUの意思確認を求め、削除する意思を確認した場合には、レベルに対応付けて記憶部117に記憶した歩数のデータをすべて削除してレベル選択画面に戻る。一方、データを削除しない意思を確認した場合には、そのままデータを削除せずにレベル選択画面に戻る。
【0104】
以上のような制御により、第2実施形態の装置10では、ユーザUが指定したレベルに応じて、テイクバック量の通知を行う。ユーザUは指定したレベルに対応したテイクバック量に達したときに通知を受けることができる。したがって、通知を受けたテイクバック量でダウンスイングを開始することによって、安定したテイクバック量でスイングを行うことができる。パッティングの強弱はインパクト時の力の込め具合ではなくスイングの振り幅にて調節するのが正しいとされているため、スイングの振り幅を決めるテイクバック量を定量化して通知を受けることができる本実施形態の構成は、パッティング技術の向上に資する。また、レベルに対応付けて飛距離を登録しておくことで、ユーザはレベルに対応した飛距離を認識することができる。そして、ユーザUは、実質的に飛距離を指定してその飛距離に対応したテイクバック量の通知を受けることができる。
【0105】
〔第3実施形態〕
本発明の第3実施形態は、第1実施形態や第2実施形態の装置10と同様に、ユーザUにパッティング時にテイクバック量に応じた通知を行い、ゴルフのプレーを支援する装置10に関する。装置10の外観、構成、および装着方法は、図1図4に示した装置10と同様である。以下では、第1実施形態や第2実施形態の装置10とは異なるテイクバッ
ク量を示すデータを用いる点、及びこれに伴う変更点を中心に説明する。
【0106】
パッティングを行うときのパターのヘッドの動き(以下ではストロークタイプともいう)はプレーヤによって様々である。例えば、図10(a)に示したように打球の進行方向である飛球線方向(図中の一点鎖線)に沿って真っすぐにヘッドを動かすストレートタイプ、図10(b)に示したように弧を描くようにヘッドを動かすアークタイプが典型的なヘッドの動きであり、その他、アークタイプよりも緩い弧でヘッドを動かすセミアークタイプ等もある。これらのストロークタイプは、唯一の理想的な動きがあるわけではなく、それぞれのストロークタイプに適した形状のパターが提供されている。上記のような、上方から見たストロークタイプのバリエーションに加え、テイクバックする際に、地面に対しクラブのヘッドを振り幅が小さいうちは浮かさずに地面に沿って滑らすよう引くプレーヤもいるし、テイクバックの初期段階から字ヘッドを浮かすプレーヤもいる。
【0107】
このように、様々なストロークタイプでスイングが行われるところ、発明者等は、ストロークタイプの違いにより、加速度センサ112で検出する加速度に次のような差異があることを見出した。ストレートタイプの場合には、テイクバック量が増加すると、図11(a)に示した上面図においてはヘッドは飛球線方向(図中の一点鎖線)に沿って後方に移動し、それとともに側面図(図11(b))に示したように垂直方向に比較的大きく引き上げられる。一方、アークタイプの場合には、上面図(図12(a))に示したように、テイクバック時にヘッドは飛球線方向(図中の一点鎖線)から外れ、テイクバック量を増やすほどヘッドはユーザUの背面方向への移動量が増加し飛球線方向後方への移動量は比較的小さい。また、アークタイプの場合には、側面図(図12(b))に示したようにテイクバック量の増加に伴う垂直方向へのヘッドの移動量は比較的小さい。
【0108】
3軸が図1に示した向きとなるように加速度センサ112が配置されている場合、右打ちのユーザUが左手に装置10を装着すると、飛球線方向に沿って真っすぐに後方に引く動きは、主にZ軸方向における加速度として検出される。また、ユーザUの背面方向への動きは、主にX軸方向における加速度として検出される。また、垂直方向の動きは、主にY軸方向における加速度して検出される。したがって、ストレートタイプのスイングでは、Z軸方向の加速度Gzのアドレス時からの変位量ΔGzはテイクバック量の増加に対し値がほぼリニアに変化する。一方、アークタイプやセミアークタイプのように、ユーザUの背面方向へのヘッドの動きを伴うスイングでは、ΔGzはテイクバック量に対してリニアに変化せず、テイクバック量が大きくなると値が変化しにくくなる。また、ストレートタイプとアークタイプとでは、垂直方向の動きにも差異がある。その他、テイクバックする際に、振り幅が小さいうちはクラブのヘッドを浮かさずに地面に沿って滑らせるスイングと、テイクバック量が小さい段階から字ヘッドを浮かせるスイングとでは、検出される加速度の各軸方向の成分に差異がある。
【0109】
このような発明者等が見出した傾向を踏まえ、X軸方向およびY軸方向の加速度を加味した「テイクバック量を示すデータ」を用いることが好ましい。そして装置10を用いるユーザUが自らのストロークタイプを意識せずとも、テイクバック量に応じた通知を受けられるように構成されることが好ましい。そこで、本実施形態では、Z軸方向だけでなくX軸方向およびY軸方向の加速度を加味し、ストロークタイプによらずほぼリニアに値が変化する指標である振り幅判定値Sを「テイクバック量を示すデータ」として用いる。
【0110】
はじめに、加速度センサ112の出力データ(Gx、Gy、Gz)をX、Y、Zの3軸による直交座標から極座標(Gr、Gθ、Gφ)に変換する。具体的には、Gr=√(Gx2+Gy2+Gz2)、Gθ=arcsin(Gz/Gr)、Gφ=arctan(Gy/Gx)にて直交座標から極座標へと変換する。続いて、Gx’=cosGφ、Gy’=cosGθ、Gz’=sinGθの式に基づき更に座標系を変換する。この更なる座標系の変換にお
いて、Grを用いないことにより、ユーザUの腕の長さや装置10の装着位置等に起因する加速度の差異を除去し、テイクバックの大きさや角度に着目することができる。
【0111】
続いて、指標PをP=3×Gx’-6×Gy’-Gz’として算出する。指標Pは発明者等が多数の試行錯誤の結果として見出した指標であり、各軸方向の成分を重み付けして加減することにより、様々なストロークタイプのスイングに対してほぼリニアにテイクバック量を反映した値の変化を生じる。
【0112】
続いて、あらかじめ記憶部117に記憶した変換テーブルを参照して、指標Pの値に対応する判定値Sを求める。表2に示した変換テーブルでは、一般的なストレートタイプのスイングにおいてテイクバックを大きくする方向を正とした場合に約-30度から約+45度の角度に相当する範囲の指標値Pを170個の整数値に対応させる。したがって、振り幅判定値Sの値における1の差異は、約0.4度のテイクバックの角度に相当する。変換テーブルを用いることで処理を簡略化し処理時間を短縮することができる。
【0113】
【表2】
【0114】
第3実施形態の装置10では、このようにして得られた振り幅判定値Sをテイクバックの大きさの指標として用いる。つまり、振り幅判定値Sは、「テイクバック量を示すデータ」の一例である。
【0115】
第3実施形態の装置10では、記憶部117は、表3に示したように、複数(例えば20個)のレベルを振り幅判定値Sの変化量ΔSと対応付けて、レベル毎のパッティング時
のテイクバック量の指標として、あらかじめ格納している。なお、レベルは「スイングの強さに関する情報」の一例であり、表3は「スイングの強さに関する情報と検出部の出力に基づくテイクバック量を示すデータとの対応関係」の一例である。
【0116】
【表3】
【0117】
以下、第3実施形態の装置10の動作に関し、制御部115が実行する制御を説明する
。なお、以下の説明において主体が明記されていない処理は制御部115の制御によるものである。本実施形態の装置10では、グリーンモードにおいて第2実施形態と同様の手法により、ユーザUが指定したレベルに対応したテイクバック量の通知を行う。ゴルフ場案内モードでの機能及び操作、及びグリーンモードに入るまでの操作は装置10と同様である。これらについては重複を避けるため説明を省略する。
【0118】
グリーンモードに入ると、はじめに図8(a)に示したグリーンモードメニュー画面を表示する。アドレス登録がなされていない場合には、アドレス登録メニューのみを選択可能とする。アドレス登録メニューは、ユーザUがアドレス姿勢を取ったときの加速度センサ112の出力データの登録をするアドレス登録機能を実行するためのメニューであり、第1実施形態の装置10する説明と同様の方法にてアドレス登録を可能とする。
【0119】
アドレス登録が済んでいる場合に選択可能とされるパター計測メニューでは、ユーザUが任意のレベルを選択し、レベルに応じたテイクバック量の通知を行う。また、各レベルと飛距離との対応関係を登録可能とする。グリーンモードメニュー画面でパター計測メニューを選択するためのボタンB6にタッチするとレベル選択画面(図8(b))が表示される。このレベル選択画面にて、レベルを選択する。レベルが選択された状態でタクトスイッチ150が短押しされると、選択されているレベルに決定し、計測/登録選択画面(図8(c))を表示する。レベルが選択されると、レベルに対応した変化量ΔSが定まる。
【0120】
計測/登録選択画面で計測メニューへのタッチを認識すると、図8(d)のアドレス指示画面を表示してユーザUにアドレス姿勢を取ることを促し、このアドレス指示画面を表示している状態でユーザUがアドレス姿勢を取って、所定の判定時間(例えば2秒間)継続して加速度センサ112の出力データのバラつきが3軸ともに所定範囲(例えば0.1G)以下に収まり、かつ、アドレス登録により記憶部117に格納されたアドレス登録時の加速度から許容値以内に入ると、アドレス姿勢が取られたと認識し、バイブレータ113を振動させてアドレスを検知したことをユーザに通知し、表示部170には図8(e)に示したようなスイングを促すスイング指示画面を表示する。また、振り幅判定値Sの目標値Stargをアドレス時の振り幅判定値Sadとレベルに応じた変化量ΔSとにより、Starg=Sad+ΔSと決定する。
【0121】
アドレス検知後、制御部115は、加速度センサ112の出力データに基づいて振り幅判定値Sを随時求める。テイクバックを開始すると振り幅判定値Sは増加傾向を示す。ユーザUがテイクバックを開始し、テイクバックを徐々に大きくしていくにしたがい、振り幅判定値Sは増加を続け、やがて目標値Stargに達する。振り幅判定値Sが目標値Stargに達すると、制御部115は目標距離に適したテイクバック量に達したと認識し、バイブレータ113を振動させてダウンスイングを開始するようユーザUに通知する。ユーザUはこの通知を受けたときのテイクバック量でダウンスイングを開始すべきことを認識することができ、実際にパッティングを行って飛距離を確認することもできる。そして、本実施形態の装置10ではZ軸方向だけでなくX軸方向およびY軸方向の加速度を加味した指標である振り幅判定値Sを用いているので、ユーザUはスイングのストロークタイプによらず、レベルに応じたテイクバック量の通知を受けることができ、所望の距離感でのスイングを行うことができる。その結果、狙った飛距離を得られやすくなり、パットの打数を改善することが期待できる。
【0122】
〔第4実施形態〕
本発明の第4実施形態は、上述の第1~第3実施形態の装置10と同様に、ユーザUにパッティング時にテイクバック量に応じた通知を行い、ゴルフのプレーを支援する装置10に関する。装置10の外観、構成、および装着方法は、図1図4に示した装置10と
同様である。本実施形態の装置は、計測メニューにおいて打球の進行方向における傾斜に応じて通知するテイクバック量の大きさを異ならせる制御を行う点で異なっており、その他の点は第3実施形態の装置10と同様である。以下では、本実施形態の特徴となる部分について説明する。
【0123】
第4実施形態の装置10では、アドレス登録時の加速度を基準に傾斜を求める。このため、アドレス登録メニューを選択して行うアドレス登録は、実質的に水平な場所(例えば、ゴルフ場の練習用グリーンやティーグラウンドのように大きな傾斜のない場所)で実施する。
【0124】
レベルに応じたテイクバック量の通知を行う計測メニューにおいて、第3実施形態では、振り幅判定値Sの目標値Stargをアドレス時の振り幅判定値Sadとレベルに応じたΔSとにより、Starg=Sad+ΔSと決定した。これに対し、第4実施形態では進行方向における傾斜の影響を低減させるための傾斜補正値Scompを反映して決定する。
【0125】
傾斜補正値Scompは以下の手順で求める。まず、アドレスを検知したタイミングで打球の進行方向における傾斜を求める。具体的には、記憶部117に格納されたアドレス登録時の加速度センサの出力データから求めた基準振り幅判定値Srefと、当該スイングにおいてアドレス検知されたときの加速度センサの出力データから求めたSadとの差(Sad-Sref)を、打球の進行方向における傾斜を示す指標として算出する。この指標の値が負の場合には上りの傾斜であり、正の場合は下りの傾斜である。傾斜の大きさはSad-Srefの絶対値により表される。
【0126】
傾斜補正値Scompは、Scomp=(Sad-Sref)×0.5とし、振り幅判定値Sの目標値Stargは、Starg=Sad+ΔS-Scompと決定する。このようにすれば、上りの傾斜では水平な場所におけるよりも大きな目標値Stargが決定され、しかも傾斜が急であるほどより大きなテイクバック量が通知されることになる。反対に、下りの傾斜では水平な場所におけるよりも小さな目標値Stargが決定され、しかも傾斜が急であるほどより小さなテイクバック量が通知されることになる。
【0127】
このようにすれば、本実施形態の装置10を使用するユーザUは打球位置の傾斜を踏まえて加減したテイクバック量でスイングを行うことができる。そして通知に従ってパッティングを行えば、平坦な場所であった時と同等の距離感で、狙った飛距離を得られやすくなり、パットの打数を改善することが期待できる。
【0128】
〔実施形態の変形例〕
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、上記の実施形態では、ユーザUによる手動の操作によりグリーンモードを選択したが、グリーンモードを自動的に起動するようにしてもよい。例えば、GPS受信機111により取得した現在位置の位置情報と、記憶部117に記憶しているゴルフ場情報とに基づき、グリーンモードを自動的に起動するとよい。例えば、現在位置が、グリーンモードを使用するのに適しているゴルフ場の練習用グリーンである場合や、間もなくラウンドを開始することが想定されるゴルフ場のクラブハウスやその他の集合場所である場合に、グリーンモードを起動するとよい。あるいは、グリーンモードを自動的に起動するのではなく、グリーンモードを使用することを促す画面を表示部170に表示するようにしてもよい。この場合当該画面内にグリーンモードを起動するためのメニューボタンを表示すると特によい。
【0129】
また、上記の各実施形態では、バイブレータ113の振動によりユーザUへの通知を行
ったが、表示部170への表示、スピーカやブザー等の音声出力手段を備える構成においては音声出力手段による音声等により通知を行ってもよい。ゴルフ場でのラウンドにおいては、プレーマナーに鑑み音声等による通知は好ましくないが、自宅その他のゴルフ場以外の場所においては、音声等で通知をすることが好ましい場合もある。例えば、振動による通知は、ゴルフクラブを握る手の手首に通常とは異なる振動を発生させるため、グリップに微妙な狂いを生じさせる可能性がある。このため、振動以外の方法にて通知をすることが許される環境において振動以外の方法により通知することを選択できるように構成するとよい。
【0130】
上記の各実施形態では、テイクバック量を示す値ΔGzが目標値に達したときに通知を行ったが、目標値に満たないとき、及び/または、目標値を超過したあとでも通知を行うようにしてもよい。バイブレータ113の振動により通知する場合には、目標値に満たないとき、達した瞬間、及び超過した後で互いに異なる振動パターンとするとよい。また、音声により通知する場合には、目標値に満たないとき、達した瞬間、及び超過した後で互いに異なる音で通知するとよい。
【0131】
上記の各実施形態では、「テイクバック量を示すデータ」として、値ΔGzや振り幅判定値Sを用いたが、テイクバック量を示すデータにはテイクバック量を反映して変化する指標であれば他の指標を用いてもよい。例えばZ軸方向の加速度からY軸方向の加速度を減じたGz-Gyのアドレス時の値からの変化量を「テイクバック量を示すデータ」としてもよいが、ユーザの背面方向の加速度成分の大きさ及び垂直方向の加速度成分の大きさ少なくとも一方を、打球の進行方向の加速度成分の大きさとは異なる重み付けをして加算して得られる値とするとよい。各成分の重みは様々のスイングについての感度が同程度となる用に決定するとよい。
【0132】
また、上記の実施形態において、アドレス登録メニューで所定の待受時間内にアドレスが検知できなかった場合、アドレスが検知できなかったことをユーザに通知するように構成してもよい。通知は音声や表示によって行ってもよいが、アドレスを検知したときとは異なる振動パターンにより行うと、プレーマナーの観点で特によい。
【0133】
また、上記の各実施形態において、飛距離選択リストL1、目標距離選択リストL2、レベル選択リストL3、および飛距離選択リストL4において歩数を単位として距離を表示したが、他の単位にて表示をしてもよい。単位はゴルフコースをラウンドしている間に使用できる距離測定手段での単位を用いて表示することが好ましく、例えばゴルフクラブの長さを単位として表示するとよい。
【0134】
また、上記の第2実施形態では、各レベルに対応する値ΔGzの目標値を固定としていたが、アドレス登録した加速度のデータに応じて、各レベルに対応する値ΔGzを補正してもよい。例えば両肩からグリップまで腕に沿って結ぶと三角形を描く標準的なのアドレス姿勢(図13(a)を参照)と、五角形を描くアドレス姿勢(図13(b)を参照)とがあるように、個々のユーザ毎にアドレス姿勢は異なる。アドレス姿勢が異なると、クラブに対する装置10の向きも異なるため、標準的なアドレス姿勢を想定して設定したレベルと値ΔGzの目標値との対応関係に従って目標値を決めると、角度のステップが表1に示したような想定からずれてしまう場合があるが、アドレス登録した加速度のデータに基づき補正をすることで、アドレス姿勢が標準的でない場合であってもレベル毎に想定した角度に対応する値ΔGzの目標値を設定することができる。
【0135】
上記の実施形態では、装置10をユーザUの手首に装着したが、図14に示したように、装置10をゴルフクラブのシャフトに取り付けるように構成してもよい。このようにすれば、ゴルフクラブの動きを直接検知することができ、スイングの振り幅を正確に計測す
ることができる。装置10をゴルフクラブのシャフトに取り付けるように構成する場合、ケース110をバンド120のジャケット部から取り外せるように構成し、取りしたケース110をシャフトに取り付けたホルダ20に取り付けるように構成するとよい。ホルダは、標準的なアドレス姿勢のユーザの手首にバンド120で装置を取り付けた時と同様の角度となるように装置10のケース110を保持するとよい。
【0136】
また、装置10の構成要素のうち、加速度センサ112を含むセンサ部をゴルフクラブのシャフトに取り付けるとともに、表示部170、タッチパネル140、タクトスイッチ150等を含むユーザインタフェース部を、上記実施形態と同様の手首に装着するように構成し、センサ部とユーザインタフェース部との間で無線通信を行い、装置10と同様の機能を実現してもよい。このような構成によれば、スイングの振り幅を正確に計測することを可能としつつ、装置を自然に操作することを容易とすることができる。更なる変形例として、加速度センサ112を含むセンサ部を、ゴルフクラブのヘッドに取り付けるように構成してもよい。このようにすれば、打球時にボールに直接当たるゴルフクラブのヘッドの振り幅を正確に計測することができ、ユーザUは正確な振り幅に基づく通知を受けることができる。
【0137】
上記の実施形態では、パターによるパッティングのテイクバック量の調整に装置10を用いたが、パター以外のクラブのスイングの調整に適用してもよい。例えば、アプローチショットに用いるクラブとしてもよい。単に長い飛距離を追及するのではなく、同じクラブでも目標までの距離に応じて飛距離を調整するアプローチショット等では、上記実施形態と同様の手法を適用して、スイングの振り幅の通知を受けることにより飛距離を調節したり加減したりすることを支援することができる。
【0138】
また、上記の第3実施形態では、指標Pを振り幅判定値Sに変換し、振り幅判定値Sを「テイクバック量を示すデータ」としたが、指標Pを「テイクバック量を示すデータ」としてもよい。
【0139】
また、上記の第3実施形態では、指標PとしてP=3×Gx’-6×Gy’-Gz’を用いたが、少なくともストレートタイプとアークタイプのストロークタイプについて共通の傾向でテイクバック量に応じた変化をする指標であれば、いかなる指標を用いてもよい。用いる指標はテイクバック量に対してリニアに変化する傾向を有することが好ましい。また、用いる指標は、テイクバックする際に、振り幅が小さいうちはクラブのヘッドを浮かさずに地面に沿って滑らせるスイングと、テイクバックの初期段階から字ヘッドを浮かすスイングとで、共通の傾向でテイクバック量に応じた変化をすることが好ましい。また、用いる指標は、図13(a)に示したアドレス姿勢でのスイングと、図13(b)に示したアドレス姿勢でのスイングとで、共通の傾向でテイクバック量に応じた変化をすることが好ましい。
【0140】
また、上記の第3実施形態及び第4実施形態では、第2実施形態と同様の手法によってユーザUが指定したレベルに対応したテイクバック量の通知を行ったが、第1実施形態と同様の手法を採用し、ユーザU自身のスイングにおけるテイクバック量と飛距離との関係を予め登録しておき、ユーザUが指定した飛距離に対応するテイクバック量を求めて、当該求めたテイクバック量で通知を行うようにしてもよい。
【0141】
また、上記の第4実施形態と同様の、打球の進行方向における傾斜に応じて通知するテイクバック量の大きさを異ならせる制御を第1実施形態や第2実施形態に適用してもよい。
【0142】
また、上記の第4実施形態とは異なる傾斜補正値を用いてもよい。例えば、傾斜補正値
の絶対値を一定値とし、上りの傾斜ではテイクバック量が大きくなるように当該一定の傾斜補正値を目標値に加算し、下りの傾斜では反対にテイクバック量が小さくなるように当該一定の傾斜補正値を目標値から減算するようにしてもよい。このようにすれば、補正に必要な演算量や記憶容量が削減できる。
【0143】
また、目標値に補正値を加減算する以外の手法で、打球の進行方向における傾斜に応じて通知するテイクバック量の大きさを異ならせる制御を実現してもよい。例えば、振り幅判定値Sに対して傾斜に応じた補正値を加減算してもよい。
【0144】
本願発明は上述した実施形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施形態の構成要素は組み合わせ可能な範囲で任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施形態の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは組み合わせ可能な範囲で任意に組み合わせて構成するとよい。
【符号の説明】
【0145】
10 装置
20 ホルダ
110 ケース
111 GPS受信機
112 加速度センサ
113 バイブレータ
115 制御部
116 電池
117 記憶部
118 裏蓋
119 端子カバー
120 バンド
121 ジャケット部
122a、122b ベルト
123 小孔
130 留め金具
131 バックル
132 軸受部
133 中板
133a、133b 通し穴
133c 切欠き部部
135 下板
135a 通し穴
135b ガイド部
135c 位置決め突起
135d 係止突起
140 タッチパネル
141 戻るボタン
142 ホームボタン
150 タクトスイッチ
160 miniUSB端子
170 表示部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14