IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ナビタイムジャパンの特許一覧

特許7280585情報処理システム、情報処理プログラムおよび情報処理方法
<>
  • 特許-情報処理システム、情報処理プログラムおよび情報処理方法 図1
  • 特許-情報処理システム、情報処理プログラムおよび情報処理方法 図2
  • 特許-情報処理システム、情報処理プログラムおよび情報処理方法 図3
  • 特許-情報処理システム、情報処理プログラムおよび情報処理方法 図4
  • 特許-情報処理システム、情報処理プログラムおよび情報処理方法 図5
  • 特許-情報処理システム、情報処理プログラムおよび情報処理方法 図6
  • 特許-情報処理システム、情報処理プログラムおよび情報処理方法 図7
  • 特許-情報処理システム、情報処理プログラムおよび情報処理方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理プログラムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20230517BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20230517BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20230517BHJP
【FI】
G01C21/26 P
G01C21/26 A
G08G1/005
G06Q50/10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018178286
(22)【出願日】2018-09-25
(65)【公開番号】P2020051763
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】500168811
【氏名又は名称】株式会社ナビタイムジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】森 雄大
【審査官】稲垣 彰彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-89153(JP,A)
【文献】特許第5774860(JP,B2)
【文献】特開2015-162145(JP,A)
【文献】特開2012-181773(JP,A)
【文献】ジョルダン株式会社、オリックス自動車株式会社、カーシェア・マップ株式会社,都心部の公共交通とカーシェアリングの組み合わせ利用を促進 業界初!『乗換案内』と『カーシェア』のアプリを連携 ~経路検索からカーシェア利用が最速30秒で完了~,Press Release,日本,ジョルダン株式会社,2015年08月05日,https://www.jorudan.co.jp/company/data/pdf_pr/20150805_carshare.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 - 21/36
23/00 - 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地から目的地までの候補経路として貸出車両経路および他の移動手段経路を経路探索により取得する経路情報取得手段と、
前記候補経路の概要情報を比較可能に出力する経路情報出力手段と、
を備え、
前記経路情報取得手段は、貸出車両経路の利用予定日時における利用可能性に関する情報をさらに取得し、
前記経路情報出力手段は、前記候補経路の概要情報を比較可能に出力する際に、貸出車両経路の概要情報とともに、貸出車両経路の利用予定日時における利用可能性に関する情報を出力する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記利用可能性に関する情報は、利用予定日時における、乗車ポートの満空、貸出可能台数、予約状況、充電状況、乗車ポートの最大車両数、降車ポートの満空、返却可能台数、降車ポートの最大車両数のうちのいずれかに基づく情報である、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記利用可能性に関する情報は、貸出車両経路の走行環境または経路状況に関する情報であって、天候、気温、路面状況、降水確率、勾配、走行距離、幅員のうちのいずれかに基づく情報である、
請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記経路情報取得手段は、過去の利用実績または経路探索実績に基づいて、乗車ポートまたは降車ポートの空き状況を予測する、
請求項1~3のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記経路情報出力手段は、乗車ポートと降車ポートの双方が利用可能である場合に、貸出車両経路の利用可能性に関する情報を出力する、
請求項1~4のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記経路情報出力手段は、貸出車両経路の利用可能性に関する情報に基づいて、当該貸出車両経路の概要情報の出力の有無または表示順を決定する、
請求項1~5のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記経路情報出力手段は、前記貸出車両経路の詳細情報の出力要求を受け付けると、前記貸出車両経路の詳細情報とともに、対象区間における貸出車両の予約画面へ遷移するための情報を出力する、
請求項1~6のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記経路情報取得手段は、貸出車両経路の利用可能性に関する情報を探索コストに換算して経路探索する、
請求項1~7のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項9】
コンピュータを、
出発地から目的地までの候補経路として貸出車両経路および他の移動手段経路を経路探索により取得する取得手段であって、前記貸出車両経路の利用予定日時における利用可能性に関する情報をさらに取得する経路情報取得手段と、
前記候補経路の概要情報を比較可能に出力する出力手段であって、前記候補経路の概要情報を比較可能に出力する際に、貸出車両経路の概要情報とともに、貸出車両経路の利用予定日時における利用可能性に関する情報を出力する経路情報出力手段と、
として機能させる情報処理プログラム。
【請求項10】
出発地から目的地までの候補経路として貸出車両経路および他の移動手段経路を経路探索により取得する経路情報取得ステップと、
前記候補経路の概要情報を比較可能に出力する経路情報出力ステップと、
を備え、
前記経路情報取得ステップでは、前記貸出車両経路の利用予定日時における利用可能性に関する情報をさらに取得し、
前記経路情報出力ステップでは、前記候補経路の概要情報を比較可能に出力する際に、貸出車両経路の概要情報とともに、貸出車両経路の利用予定日時における利用可能性に関する情報を出力する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理プログラムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、シェアサイクルを利用する経路(シェアサイクル経路)を探索するシステムが知られている。特許文献1には、ポート間の車両の偏りが分散するように、ポートに停車中の台数を考慮してシェアサイクル経路を探索する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5774860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本件発明者らの調査によれば、従来の経路探索システムでは、貸出車両を利用する経路(貸出車両経路)が経路探索により提示されたとしても、いざ利用するタイミングで車両を確実に利用できるかどうかや、利用に適した状況であるかどうかかが不明であり、実際の移動経路としては採用されないことが多かった。
【0005】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたものである。本発明の目的は、他の移動手段経路とともに貸出車両経路を提示するに際し、ユーザの経路選択を後押しできる情報処理装置、情報処理プログラムおよび情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る情報処理システムは、
出発地から目的地までの候補経路として貸出車両経路および他の移動手段経路を経路探索により取得する経路情報取得手段と、
前記候補経路の概要情報を比較可能に出力する経路情報出力手段と、
を備え、
前記経路情報取得手段は、貸出車両経路の利用可能性に関する情報をさらに取得し、
前記経路情報出力手段は、前記候補経路の概要情報を比較可能に出力する際に、貸出車両経路の概要情報とともに、貸出車両経路の利用可能性に関する情報を出力する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、他の移動手段経路とともに貸出車両経路を提示するに際し、ユーザの経路選択を後押しできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施の形態に係る情報処理システムの概略的な構成を示す図である。
図2図2は、一実施の形態に係る情報処理システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図3図3は、一実施の形態に係る情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。
図4図4は、一実施の形態に係る情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。
図5図5は、貸出車両経路の利用可能性に関する情報についての表示の別の一例を示す図である。
図6図6は、貸出車両経路の利用可能性に関する情報についての表示の別の一例を示す図である。
図7図7は、一実施の形態に係る情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。
図8図8は、一実施の形態に係る情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、同一符号の構成要素の詳しい説明は繰り返さない。
【0010】
以下に説明する実施の形態では、「貸出車両」として、無人のポートで貸出・返却が行われるシェアサイクルを例に挙げて説明することがあるが、「貸出車両」は、シェアサイクルに限られるものではなく、セグウェイ(登録商標)のような電動立ち乗り二輪車、電動立ち乗り一輪車、COMS(登録商標)のような超小型電気自動車、カーシェアリングなどの、無人のポートで貸出・返却が行われる移動支援機器を広く含む表現である。また、貸出・返却のポートは、固定の場所に設置されているものに限られず、固定の場所に設置されていないものであってもよい。すなわち、本発明は、貸出車両として乗り捨て可能な車両や放置車両を利用することができるシェアサイクルサービスにも適用可能である。この場合、車両の存在する位置情報に基づいて仮想的なポートが設定されてもよい。また、「貸出車両」は、有人の店舗で貸出・返却が行われるレンタカーやレンタルバイク、レンタサイクルを含んでもよい。
【0011】
<第1の実施形態>
第1の実施形態に係る情報処理システムについて説明する。図1は、第1の実施形態に係る情報処理システム1の概略的な構成を示す図である。なお、同図において、各機能を行う機能部は、それぞれ各機能を行う手段ということができる。
【0012】
図1に示すように、情報処理システム1は、端末装置2と、経路探索サーバ3と、貸出車両管理サーバ5と、車載機器6と、ポート設置機器7とを備えている。端末装置2と経路探索サーバ3と貸出車両管理サーバ5と車載機器6とは、インターネット等のネットワーク4を介して互いに通信可能に接続されている。ネットワーク4は、有線回線と無線回線のいずれでもよく、回線の種類や形態は問わない。なお、端末装置2と経路探索サーバ3と貸出車両管理サーバ5と車載機器6の少なくとも一部は、コンピュータにより実現される。
【0013】
(端末装置)
端末装置2は、ユーザが使用するものであり、たとえば、スマートフォンやタブレット端末などのモバイル端末、ノートブックコンピュータ、またはデスクトップコンピュータなどの電子機器である。
【0014】
図1に示すように、端末装置2は、端末通信部21と、端末制御部22と、端末記憶部23と、端末入力部24と、端末出力部25とを有している。各部は、バスを介して互いに通信可能に接続されている。
【0015】
端末通信部21は、端末装置2とネットワーク4との間の通信インターフェースである。端末通信部21は、ネットワーク4を介して端末装置2と経路探索サーバ3および貸出車両管理サーバ5との間で情報を送受信する。
【0016】
端末制御部22は、端末装置2の各種処理を行う制御手段である。端末制御部22は、端末装置2内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよいし、ハードウェアで実装されてもよい。
【0017】
端末記憶部23は、たとえば内蔵メモリや外部メモリ(SDメモリカード等)などのデータストレージである。端末記憶部23には、端末制御部22が取り扱う各種データが記憶される。端末記憶部23は、必ずしも端末装置2内に設けられていなくてもよく、ネットワーク4を介して端末装置2と通信可能に接続された別の装置(たとえば、サーバ)内に設けられていてもよい。
【0018】
端末入力部24は、ユーザが端末装置2に情報を入力するためのインターフェースであり、たとえばモバイル端末におけるタッチパネルやマイクロフォン、ノートブックコンピュータにおけるタッチパッド、キーボードまたはマウスなどである。
【0019】
端末出力部25は、端末装置2からユーザに対して各種情報を出力するインターフェースであり、たとえば液晶ディスプレイ等の映像表示手段やスピーカ等の音声出力手段である。具体的には、たとえば、端末出力部25は、ユーザからの操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示してもよい。
【0020】
(車載機器)
車載機器6は、貸出車両に搭載されて貸出車両とともに移動する電子機器であり、車載機器通信部61と、位置測位部62と、ビーコン受信部63とを有している。
【0021】
車載機器通信部61は、車載機器6とネットワーク4との間の通信インターフェースである。車載機器通信部61は、ネットワーク4を介して車載機器6と貸出車両管理サーバ5との間で情報を送受信する。
【0022】
位置測位部62は、たとえば、GPSや準天頂衛星(QZSS)などの電波航法手段による測位情報に基づいて現在位置を測位する。車載機器6は、貸出車両に搭載されて貸出車両とともに移動するものであるから、位置測位部62により測位された位置情報は、貸出車両の位置情報を示すものである。位置測位部62により測位された位置情報は、所定周期ごと(たとえば、1秒ごとなど)に、ネットワーク4を介して貸出車両管理サーバ5へと送信される。
【0023】
ビーコン受信部63は、貸出車両が貸出返却拠点としてのポートに停車されている場合に、当該ポートに設置されたポート設置機器7のビーコン発信部70から送信されるビーコン信号を受信する。ビーコン受信部63がビーコン信号を受信すると、車載機器通信部61は、ビーコン信号に基づく情報を、ネットワーク4を介して貸出車両管理サーバ5へと送信する。
【0024】
(貸出車両管理サーバ)
貸出車両管理サーバ5は、各貸出車両に搭載された車載機器6と通信可能なシステムであり、第2サーバ通信部51と、第2サーバ制御部52と、第2サーバ記憶部53とを有している。各部は、バスやネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。
【0025】
このうち第2サーバ通信部51は、貸出車両管理サーバ5とネットワーク4との間の通信インターフェースである。第2サーバ通信部51は、ネットワーク4を介して貸出車両管理サーバ5と端末装置2、経路探索サーバ3および車載機器6との間で情報を送受信する。
【0026】
第2サーバ制御部52は、貸出車両管理サーバ5の各種処理を行う制御手段である。第2サーバ制御部52は、貸出車両管理サーバ5内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよいし、ハードウェアで実装されてもよい。
【0027】
第2サーバ記憶部53は、たとえばハードディスク等の固定型データストレージである。第2サーバ記憶部53には、第2サーバ制御部52が取り扱う各種データが記憶される。たとえば、第2サーバ記憶部53は、ポート利用状況データベース53aと貸出車両利用実績データベース53bとを有している。
【0028】
ポート利用状況データベース53aは、各地に設置されたポートの利用状況(貸出可能台数、返却可能台数など)をリアルタイムで記憶して管理している。本実施の形態では、上述したように、各ポートのポート設置機器7から送信されるビーコン信号が当該ポートに停車中の貸出車両の車載機器6にて受信されると、ビーコン信号に基づく情報が車載機器6から貸出車両管理サーバ5へと送信されるようになっており、貸出車両管理サーバ5は、各車載機器6から受信する情報に基づいて、各ポートに停車中の貸出車両の台数を集計することにより、各ポートの利用状況をリアルタイムで把握する。把握された各ポートの利用状況は、ポート利用状況データベース53aに記憶されて管理される。
【0029】
貸出車両利用実績データベース53bは、貸出車両の利用ごとに、利用者のユーザID、乗車ポート、乗車日時、降車ポート、降車日時、乗車ポートから降車ポートまでの走行経路などの情報が互いに関連付けられて記憶されている。本実施の形態では、上述したように、各貸出車両の位置情報が車載機器6から貸出車両管理サーバ5へと送信されるようになっており、貸出車両管理サーバ5は、貸出車両が利用されるたびに、車載機器6から取得される貸出車両の位置情報を時間順に追跡することにより、乗車ポートから降車ポートまでの走行経路を把握する。把握された乗車ポートから降車ポートまでの走行経路は、貸出車両の利用実績情報として、貸出車両利用実績データベース53bに記憶されて管理される。
【0030】
(経路探索サーバ)
次に、経路探索サーバ3について説明する。図1に示すように、経路探索サーバ3は、第1サーバ通信部31と、第1サーバ制御部32と、第1サーバ記憶部33とを有している。各部は、バスやネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。
【0031】
このうち第1サーバ通信部31は、経路探索サーバ3とネットワーク4との間の通信インターフェースである。第1サーバ通信部31は、ネットワーク4を介して経路探索サーバ3と端末装置2および貸出車両管理サーバ5との間で情報を送受信する。
【0032】
第1サーバ記憶部33は、たとえばハードディスク等の固定型データストレージである。第1サーバ記憶部33には、第1サーバ制御部32が取り扱う各種データが記憶される。たとえば、第1サーバ記憶部33は、交通ネットワーク情報を含む経路ネットワーク情報データベース33aと、地図情報を含む地図情報データベース33bと、経路探索実績データベース33cとを含んでいる。
【0033】
交通ネットワーク情報は、鉄道やバス等の交通網や道路網を規定する情報である。交通網の情報としては、交通機関の路線情報、時刻表情報、料金情報等を含む。道路網の情報は、例えば交差点等の道路網表現上の結節点であるノードのデータと、ノード間の道路区間であるリンクのデータとの組み合わせによって表現される。
【0034】
地図情報は、全国および各地方の道路地図などの地図データと、地図データに対応付けられた地図オブジェクト情報を含む。地図オブジェクト情報とは、地図上に表示される施設の形状についての形状情報、地図上に表示される注記についての注記情報、地図上に表示される記号についての記号情報などである。また、地図情報は公共交通機関の路線図に関する路線図情報を含んでいてもよい。
【0035】
上記の交通ネットワーク情報および地図情報は、所定のタイミングでアップデートされてもよい。交通ネットワーク情報および地図情報は、渋滞状況の予測や経路探索に用いられる。
【0036】
経路探索実績データベース33cには、複数のユーザの経路探索のログがデータベース化されている。たとえば、経路探索実績データベース33cには、経路探索の実行ごとに、経路探索条件として指定された出発地および目的地の情報と、出発時刻または到着時刻の情報と、経路探索により得られた候補経路としての貸出車両経路および他の移動手段経路の情報とが、互いに関連づけられて記憶されている。
【0037】
なお、第1サーバ記憶部33は、必ずしも経路探索サーバ3内に設けられていなくてもよく、ネットワーク4を介して経路探索サーバ3と通信可能に接続された別の装置内に設けられていてもよい。
【0038】
図1に示すように、第1サーバ制御部32は、経路情報取得部32aと、経路情報出力部32bとを有している。これらの各部は、経路探索サーバ3内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよいし、ハードウェアで実装されてもよい。
【0039】
経路情報取得部32aは、端末入力部24に対する経路探索条件の入力に応じて、たとえば経路ネットワーク情報データベース33aを参照して経路探索を行うことにより、経路探索条件を満たすような候補経路(すなわち、経路探索条件として指定された出発地から目的地までの候補経路)として、貸出車両経路および他の移動手段経路の情報を取得する。
【0040】
なお、「貸出車両経路」は、出発地と目的地との間の経由地として乗車ポートと降車ポートとを少なくとも1組以上含んでいる経路である。「貸出車両経路」は、少なくとも一部に貸出車両を利用する経路であれば、徒歩の経路と貸出車両を利用する経路との組み合わせに限られるものではなく、公共交通機関を利用する経路と貸出車両を利用する経路との組み合わせであってもよいし、徒歩の経路と公共交通機関を利用する経路と貸出車両を利用する経路との組み合わせであってもよい。
【0041】
一方、「他の移動手段経路」は、貸出車両をまったく利用しない経路であり、公共交通機関のみを利用する経路であってもよいし、徒歩のみの経路であってもよいし、徒歩の経路と公共交通機関を利用する経路との組み合わせであってもよい。
【0042】
経路情報取得部32aは、貸出車両経路として、有人の店舗にて貸出・返却が行われるレンタカーやレンタルバイク、レンタサイクルなどを利用する経路を経路探索により取得する場合には、店舗での書類作成に要する時間を考慮して所要時間を計算してもよい。
【0043】
本実施の形態では、経路情報取得部32aは、出発地から目的地までの候補経路として貸出車両経路および他の移動手段経路を経路探索により取得するとともに、貸出車両経路の利用可能性に関する情報を取得する。
【0044】
「利用可能性に関する情報」は、乗車ポートまたは降車ポートに関する情報であって、現在または利用予定日時における、乗車ポートの満空、乗車ポートの貸出可能台数、乗車ポートに停車中の貸出車両の予約状況、乗車ポートに停車中の貸出車両の充電状況(たとえば、乗車ポートから降車ポートまでの移動に十分な電池残量か否か)、乗車ポートの最大車両数、降車ポートの満空、降車ポートの返却可能台数、降車ポートの最大車両数のうちのいずれかに基づく情報であってもよい。なお、本明細書において、乗車ポートの満空の「満」とは、乗車ポートの貸出可能台数がゼロであることを意味し、「空」とは、乗車ポートの貸出可能台数が1以上であることを意味するものとする。同様に、降車ポートの満空の「満」とは、降車ポートの返却可能台数がゼロであることを意味し、「空」とは、降車ポートの返却可能台数が1以上であることを意味するものとする。乗車ポートまたは降車ポートに営業時間が設定されている場合には、利用可能性に関する情報は、乗車ポートまたは降車ポートの営業時間に基づく情報であってもよい。
【0045】
また、「利用可能性に関する情報」は、貸出車両経路の走行環境または経路状況に関する情報であって、現在または利用予定日時における、天候、気温、湿度、風向き、風速、降水確率、路面状況(たとえば、路面が濡れていて泥跳ねが生じる危険性があるか否か)、勾配、走行距離、幅員のうちのいずれかに基づく情報であってもよい。また、「利用可能性に関する情報」は、出発地から目的地まで妥当な貸出車両経路が存在することを明示する情報であってもよいし、貸出車両経路を他の移動手段経路と比較したときの優位性を示す情報であってもよい。
【0046】
経路情報取得部32aは、貸出車両管理サーバ5の貸出車両利用実績データベース53bを参照して乗車ポートまたは降車ポートにおける過去の利用実績の情報を取得し、または、経路探索実績データベース33cを参照して乗車ポートまたは降車ポートを利用する経路探索実績を取得し、次いで、乗車ポートまたは降車ポートにおける過去の利用実績または経路探索実績に基づいて、現在または利用予定日時における乗車ポートまたは降車ポートの空き状況を予測することにより、貸出車両経路の利用可能性に関する情報として、乗車ポートまたは降車ポートの空き状況の情報を取得してもよい。
【0047】
経路情報取得部32aは、貸出車両経路の利用可能性に関する情報を探索コストに換算して経路探索してもよい。具体的には、たとえば、経路情報取得部32aは、シェアサイクルを利用する経路については、天候が雨であったり、晴れていても猛暑であったり、風が強かったり、降水確率が高かったり、雨が降った後で路面が濡れていたり、上り坂が多かったり、走行距離が長かったりしたら、それらの要素を探索コストに加えて、経路探索してもよい。
【0048】
経路情報出力部32bは、経路情報取得部32aにより取得された候補経路の概要情報を比較可能に、端末装置2の端末出力部25を介して出力する。図4は、経路情報出力部32bにより端末装置2の端末出力部25に出力される画面の一例を示す図である。図4に示す例では、貸出車両経路の概要情報を表示するボックス71と、他の移動手段経路の概要情報を表示するボックス72、73とが、比較可能に上下に並べられて表示されている。図8に示すように、経路情報出力部32bは、貸出車両経路の概要情報を表示するボックス71を、他の移動手段経路の概要情報を表示するボックス72、73の一番下に別枠で表示してもよい。
【0049】
本実施の形態では、経路情報出力部32bは、貸出車両経路の概要情報と他の移動手段経路の概要情報とを比較可能に出力する際に、貸出車両経路の概要情報とともに、経路情報取得部32aにより取得された貸出車両経路の利用可能性に関する情報を出力する。図4および図8に示す例では、乗車ポートに関する情報として、現在、乗車ポートに貸出可能車両が1台以上有ること(すなわち、乗車ポートの満空が「空」であること)が、「有」というアイコン74aにより表示されている。
【0050】
図5は、貸出車両経路の利用可能性に関する情報についての表示の別の一例を示す図である。図5に示す例では、降車ポートに関する情報として、利用予定日時において、降車ポートの返却可能台数が3台であることが、「3台空き予定」という文字列74bにより表示されている。なお、貸出車両経路の利用可能性に関する情報として、乗車ポートの貸出可能台数や降車ポートの返却可能台数に基づく情報を出力する場合には、図5に示すように台数をそのまま出力してもよいし、台数の大小に応じて〇△×などで指標化したものを出力してもよい。
【0051】
図6は、貸出車両経路の利用可能性に関する情報についての表示のさらに別の一例を示す図である。図6に示す例では、経路状況に関する情報として、経路の勾配に下り坂が多いことが「下り坂が多くオススメです」という文字列74cにより表示されている。また、走行環境に関する情報として、天候が曇りであり、気温が22℃であることが「曇り、22℃」という文字列74dにより表示されている。
【0052】
経路情報出力部32bは、乗車ポートと降車ポートの双方が利用可能である場合に、貸出車両経路の利用可能性に関する情報を出力し、乗車ポートと降車ポートのいずれか一方または双方が利用不可能である場合には、貸出車両経路の利用可能性に関する情報を出力しないように構成されていてもよい。
【0053】
経路情報出力部32bは、経路情報取得部32aにより取得された貸出車両経路の利用可能性に関する情報に基づいて、当該貸出車両経路の概要情報の出力の有無または表示順を決定してもよい。たとえば、経路情報出力部32bは、乗車ポートと降車ポートの双方が利用可能である場合に、他の移動手段経路の概要情報ととともに貸出車両経路の概要情報を出力し、乗車ポートと降車ポートの少なくとも一方が利用不可である場合には、貸出車両経路の概要情報を出力せずに、他の移動手段経路の概要情報のみ出力することに決定してもよい。
【0054】
経路情報出力部32bは、妥当性のある貸出車両経路のみを提示するため、貸出車両経路を利用するのにメリットが少ない場合には、経路として推奨すべきではないとして、貸出車両経路を出力しない(または貸出車両経路の出力の優先度を下げる)ように制御してもよい。その他の例としては、たとえば、経路情報出力部32bは、貸出車両経路に含まれる徒歩の経路の長さに基づいて、当該貸出車両経路の概要情報の出力の有無または表示順を決定してもよい。具体的には、たとえば、経路情報出力部32bは、出発地から乗車ポートまでの距離が所定距離(たとえば100m)より短い場合にのみ、当該貸出車両経路の概要情報を出力し、出発地から乗車ポートまでの距離が所定距離(100m)以上あった場合には、当該貸出車両経路の概要情報を出力せずに、他の移動手段経路の概要情報のみ出力することに決定してもよい。
【0055】
また、たとえば、経路情報出力部32bは、出発地から目的地までの直線距離又は貸出車両の走行距離に基づいて、当該貸出車両経路の概要情報の出力の有無または表示順を決定してもよい。具体的には、たとえば、経路情報出力部32bは、出発地から目的地までの直線距離又は貸出車両の走行距離が所定距離より短い場合にのみ、当該貸出車両経路の概要情報を出力し、出発地から目的地までの直線距離又は貸出車両の走行距離が所定距離以上あった場合には、(特にシェアサイクルの場合には、運転負荷が高いと推定し、)当該貸出車両経路の概要情報を出力せずに、他の移動手段経路の概要情報のみ出力することに決定してもよい。
【0056】
また、たとえば、経路情報出力部32bは、貸出車両経路の所要時間を他の移動手段経路の所要時間と比較したときの優位性に基づいて、当該貸出車両経路の概要情報の出力の有無または表示順を決定してもよい。具体的には、たとえば、経路情報出力部32bは、貸出車両経路の所要時間を他の移動手段経路のうち最も所要時間のかかる経路の所要時間と比較してさらに所定時間以上要しない場合にのみ、当該貸出車両経路の概要情報を出力し、さらに所定時間以上要しない場合は、当該貸出車両経路の概要情報を出力せずに、他の移動手段経路の概要情報のみ出力することに決定してもよい。
【0057】
経路情報出力部32bは、貸出車両経路の利用可能性に関する情報に加えて、またはその代わりに、ユーザの属性情報(たとえば会員情報)やユーザの入力情報に基づいて、貸出車両経路の概要情報の出力の有無または表示順を決定してもよい。たとえば、経路情報出力部32bは、あるシェアサイクルサービスを利用する貸出車両経路の概要情報については、ユーザが当該シェアサイクルサービスの会員であった場合にのみ、出力することに決定してもよい。また、経路情報出力部32bは、ユーザがあるポイントサービスの会員であった場合には、当該ポイントを利用可能または提携関係にあるシェアサイクルサービスを利用する貸出車両経路の概要情報を、優先的に出力することに決定してもよい。
【0058】
経路情報出力部32bは、貸出車両経路の利用可能性に関する情報に基づいて、貸出車両経路の概要情報を出力することを決定した場合には、利用可能性に関する情報の一形態である、ユーザによる貸出車両経路の選択を後押しするような情報を、端末装置2の端末出力部25を介して出力してもよい。図4および図8に示す例では、候補経路の概要情報を表示するボックス71~73が比較可能に上下に並べて表示されるとともに、貸出車両経路の選択を後押しするような情報として「シェアサイクルを使えば移動時間が短縮できます!」というメッセージ75が候補経路の概要情報を表示するボックス71~73の上方に表示されている。なお、メッセージ75は、それ自体が利用可能性情報の一形態である。経路情報出力部32bは、貸出車両経路の選択を後押しするような情報として「シェアサイクルを使えば移動時間を○○分以上短縮できます!」などというメッセージを出力してもよい。あるいは、経路情報出力部32bは、移動時間を○○分以上短縮できる場合にのみ、貸出車両経路の選択を後押しするような情報として「シェアサイクルを使えば移動時間が短縮できます!」というメッセージ75を出力してもよい。
【0059】
本実施の形態では、貸出車両経路の概要情報を表示するボックス71が端末入力部24を介してクリックまたはタップされると、貸出車両経路の詳細情報の出力要求が端末装置2から経路探索サーバ3へと送信されるようになっており、経路情報出力部32bは、貸出車両経路の詳細情報の出力要求を受け付けると、貸出車両経路の詳細情報を、端末装置2の端末出力部25を介して出力する。
【0060】
経路情報出力部32bは、貸出車両経路の詳細情報を出力する際に、乗車ポートから降車ポートまでの対象区間における貸出車両の予約画面へ遷移するための情報を出力してもよい。ここで、経路情報出力部32bは、あるシェアサイクルサービスにおける貸出車両の予約画面へ遷移するための情報については、ユーザが当該シェアサイクルサービスの会員であった場合にのみ、出力してもよい。
【0061】
図7は、経路情報出力部32bにより端末装置2の端末出力部25に出力される画面の一例を示す図である。図7に示す例では、貸出車両経路の詳細情報とともに、貸出車両の予約画面へ遷移するためのリンクが埋め込まれた「今すぐ予約>」という文字列76が表示されている。「今すぐ予約>」という文字列76が端末入力部24を介してクリックまたはタップされると、端末出力部25に表示される画面が、貸出車両管理サーバ5により提供される貸出車両の予約画面へと遷移されるようになっている。
【0062】
経路情報出力部32bは、車載機器6から取得される貸出車両の位置情報と端末装置2の位置情報とに基づいて、ユーザが貸出車両を利用して貸出車両経路を走行しているか否かを判定し、貸出車両経路の走行中であると判定された場合には、端末出力部25を介して当該貸出車両経路のガイダンスを行ってもよい。
【0063】
(動作の一例)
次に、図2を参照して、第1の実施形態に係る情報処理システム1の動作の一例について説明する。図2は、情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0064】
まず、端末入力部24を介したユーザの操作により、端末装置2において、経路探索機能を利用するためのWebサイトまたはアプリが開かれると、端末制御部22および/または第1サーバ制御部32の動作により、端末出力部25には、図3に示すように、経路探索条件を入力するための画面が表示される。図3に示す画面において、端末入力部24を介したユーザの操作により、経路探索条件としての出発地、目的地、出発日時または到着日時の情報が入力され、「ルート検索」の文字列がクリックまたはタップされると、入力された経路探索条件が端末装置2から経路探索サーバ3へと送信される。なお、経路探索条件として、出発地、目的地、出発日時または到着日時の情報に加えて、行動を共にするグループの人数が入力されてもよい。さらに、経路探索条件として、許容する貸出車両の条件(電動自転車か否か、車種等)、貸出車両の事業者やサービス名の指定を入力できるようにしてもよい。
【0065】
経路情報取得部32aは、経路ネットワーク情報データベース33aを参照して経路探索を行うことにより、経路探索条件を満たすような候補経路(すなわち、経路探索条件として指定された出発地から目的地までの候補経路)として、貸出車両経路および他の移動手段経路の情報を取得する(ステップS11)。経路情報取得部32aは、貸出車両経路の利用可能性に関する情報を探索コストに換算して経路探索してもよい。
【0066】
また、経路情報取得部32aは、貸出車両経路の利用可能性に関する情報を取得する(ステップS12)。経路情報取得部32aは、貸出車両経路の利用可能性に関する情報として、現在または利用予定日時における、乗車ポートまたは降車ポートに関する情報を取得してもよいし、貸出車両経路の走行環境または経路状況に関する情報を取得してもよい。
【0067】
ステップS12において、経路情報取得部32aは、貸出車両利用実績データベース53bを参照して乗車ポートまたは降車ポートにおける過去の利用実績の情報を取得し、または、経路探索実績データベース33cを参照して乗車ポートまたは降車ポートを利用する経路探索実績を取得し、次いで、乗車ポートまたは降車ポートにおける過去の利用実績または経路探索実績に基づいて、現在または利用予定日時における乗車ポートまたは降車ポートの空き状況を予測することにより、貸出車両経路の利用可能性に関する情報として、乗車ポートまたは降車ポートの空き状況の情報を取得してもよい。
【0068】
次いで、経路情報出力部32bは、経路情報取得部32aにより取得された貸出車両経路の利用可能性に関する情報に基づいて、貸出車両経路の概要情報を出力するか否かを決定する(ステップS13)。たとえば、経路情報出力部32bは、乗車ポートと降車ポートの双方が利用可能である場合に、他の移動手段経路の概要情報ととともに貸出車両経路の概要情報を出力することに決定し、乗車ポートと降車ポートの少なくとも一方が利用不可である場合には、貸出車両経路の概要情報を出力せずに、他の移動手段経路の概要情報のみ出力することに決定する。
【0069】
また、たとえば、経路探索条件として、行動を共にするグループの人数が指定されていた場合には、経路情報出力部32bは、乗車ポートの貸出可能台数が、行動を共にするグループの人数以上であった場合に、他の移動手段経路の概要情報ととともに貸出車両経路の概要情報を出力することに決定し、乗車ポートの貸出可能台数が、行動を共にするグループの人数未満であった場合には、貸出車両経路の概要情報を出力せずに、他の移動手段経路の概要情報のみ出力することに決定する。
【0070】
貸出車両経路の概要情報を出力しないことに決定した場合には(ステップS14:NO)、経路情報出力部32bは、経路情報取得部32aにより取得された貸出車両経路の概要情報を出力せずに、他の移動手段経路の概要情報のみを、端末装置2の端末出力部25を介して出力する(ステップS21)。
【0071】
一方、貸出車両経路の概要情報を出力することに決定した場合には(ステップS14:YES)、経路情報出力部32bは、経路情報取得部32aにより取得された貸出車両経路の利用可能性に関する情報に基づいて、貸出車両経路の概要情報の表示順を決定する(ステップS15)。
【0072】
そして、経路情報出力部32bは、図4に示すように、経路情報取得部32aにより取得された貸出車両経路の概要情報と他の移動手段経路の概要情報とを、ステップS15で決定された表示順で比較可能に、端末装置2の端末出力部25を介して出力する(ステップS16)。図4に示す例では、経路情報出力部32bは、貸出車両経路の概要情報を表示するボックス71と、他の移動手段経路の概要情報を表示するボックス72、73とを、この順で比較可能に上下に並べて表示している。図8に示すように、経路情報出力部32bは、貸出車両経路の概要情報を表示するボックス71を、他の移動手段経路の概要情報を表示するボックス72、73の一番下に別枠で表示してもよい。
【0073】
また、経路情報出力部32bは、図4図6図8に示すように、貸出車両経路の概要情報とともに、経路情報取得部32aにより取得された貸出車両経路の利用可能性に関する情報を出力する(ステップS17)。図4および図8に示す例では、経路情報出力部32bは、乗車ポートに関する情報として、現在、乗車ポートに貸出可能車両が1台以上有ることを、「有」というアイコン74aにより表示している。また、図5に示す例では、経路情報出力部32bは、降車ポートに関する情報として、利用予定日時において、降車ポートの返却可能台数が3台であることを、「3台空き予定」という文字列74bにより表示している。また、図6に示す例では、経路情報出力部32bは、経路状況に関する情報として、経路の勾配に下り坂が多いことを「下り坂が多くオススメです」という文字列74cにより表示するとともに、走行環境に関する情報として、天候が曇りであり、気温が22℃であることが「曇り、22℃」という文字列74dにより表示している。
【0074】
経路情報出力部32bは、図4および図8に示すように、貸出車両経路の利用可能性に関する情報に加えて、ユーザによる貸出車両経路の選択を後押しするような情報をさらに出力してもよい。図4および図8に示す例では、経路情報出力部32bは、貸出車両経路の選択を後押しするような情報として「シェアサイクルを使えば移動時間を〇分短縮できます!」というメッセージ75を、候補経路の概要情報を表示するボックス71~73の上方に表示している。なお、短縮時間の算出方法としては、経路情報出力部32bは、貸出車両経路の所要時間を他の移動手段経路のうち最も所要時間の短い経路の所要時間と比較してどれだけ短縮できたか等、優位性を数値化して提示してもよい。その他時間は短縮されないが、貸出車両経路の所要時間を他の移動手段経路のうち最も所要時間の長い経路と比較して所定時間以内(例えば+10分以内)に収まるような場合にも経路の選択肢の一つとして提示する価値がある。その場合は、経路情報出力部32bは、「シェアサイクルを利用する経路があります」等、貸出車両経路の存在を報知するメッセージを表示してもよい。また、経路情報出力部32bは、料金や快適性における優位性を数値化して提示してもよい。
【0075】
経路情報出力部32bは、乗車ポートと降車ポートの双方が利用可能である場合に、貸出車両経路の利用可能性に関する情報を出力し、乗車ポートと降車ポートのいずれか一方または双方が利用不可能である場合には、貸出車両経路の利用可能性に関する情報を出力しないようにしてもよい。
【0076】
次いで、端末入力部24を介したユーザの操作により、貸出車両経路の概要情報を表示するボックス71がクリックまたはタップされると、貸出車両経路の詳細情報の出力要求が端末装置2から経路探索サーバ3へと送信され、経路情報出力部32bは、貸出車両経路の詳細情報の出力要求を受け付ける(ステップS18)。
【0077】
そして、経路情報出力部32bは、図7に示すように、貸出車両経路の詳細情報を、端末装置2の端末出力部25を介して出力する(ステップS19)。
【0078】
また、経路情報出力部32bは、乗車ポートから降車ポートまでの対象区間における貸出車両の予約画面へ遷移するための情報を出力する(ステップS20)。図7に示す例では、経路情報出力部32bは、貸出車両経路の詳細情報とともに、貸出車両の予約画面へ遷移するためのリンクが埋め込まれた「今すぐ予約>」という文字列76を表示している。端末入力部24を介したユーザの操作により、「今すぐ予約>」という文字列76がクリックまたはタップされると、端末出力部25に表示される画面は、貸出車両管理サーバ5により提供される貸出車両の予約画面へと遷移され、貸出車両管理サーバ5上にて貸出車両に対する予約処理が行われる。
【0079】
ところで、発明が解決しようとする課題の欄でも言及したように、本件発明者らの調査によれば、従来の経路探索システムでは、貸出車両を利用する経路(貸出車両経路)が経路探索により提示されたとしても、いざ利用するタイミングで車両を確実に利用できるかどうかや、利用に適した状況であるかどうかかが不明であり、実際の移動経路としては採用されないことが多かった。
【0080】
これに対し、本実施の形態によれば、他の移動手段経路の概要情報とともに貸出車両経路の概要情報を比較可能に出力する際に、貸出車両経路の概要情報とともに、貸出車両経路の利用可能性に関する情報を出力するため、不確定要素が多い貸出車両経路であっても、ユーザは、貸出車両経路の利用可能性に関する情報を参照することで、安心して貸出車両経路を選択することができる。すなわち、ユーザの経路選択を後押しできる。また、事業者側では、貸出車両経路の概要情報とともに、貸出車両経路の利用可能性に関する情報を出力することにより、貸出車両の利用を効果的に訴求できる。これにより、貸出車両経路の利用機会を創出することが可能となる。
【0081】
なお、上述した実施形態で説明した情報処理システム1の少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ハードウェアで構成する場合には、情報処理システム1の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD-ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0082】
また、情報処理システム1の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0083】
さらに、一つまたは複数の情報処理装置によって情報処理システム1を機能させてもよい。複数の情報処理装置を用いる場合、情報処理装置のうちの1つをコンピュータとし、当該コンピュータが所定のプログラムを実行することにより情報処理システム1の少なくとも1つの手段として機能が実現されてもよい。
【0084】
また、方法の発明においては、全ての工程(ステップ)をコンピュータによって自動制御で実現するようにしてもよい。また、各工程をコンピュータに実施させながら、工程間の進行制御を人の手によって実施するようにしてもよい。また、さらには、全工程のうちの少なくとも一部を人の手によって実施するようにしてもよい。
【0085】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や様々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 情報処理システム
2 端末装置
21 端末通信部
22 端末制御部
23 端末記憶部
24 端末入力部
25 端末表示部
3 経路探索サーバ
31 第1サーバ通信部
32 第1サーバ制御部
32a 経路情報取得部
32b 経路情報出力部
33 第1サーバ記憶部
33a 経路ネットワーク情報データベース
33b 地図情報データベース
33c 経路探索実績データベース
4 ネットワーク
5 貸出車両管理サーバ
51 第2サーバ通信部
52 第2サーバ制御部
53 第2サーバ記憶部
53a ポート利用状況データベース
53b 貸出車両利用実績データベース
6 車載機器
61 車載機器通信部
62 位置測位部
63 ビーコン受信部
7 ポート設置機器
70 ビーコン発信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8