(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】大スケールの分子電子工学センサアレイを使用する被分析物を測定するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
G01N 27/00 20060101AFI20230517BHJP
【FI】
G01N27/00 J
(21)【出願番号】P 2018539377
(86)(22)【出願日】2017-01-27
(86)【国際出願番号】 US2017015465
(87)【国際公開番号】W WO2017132586
(87)【国際公開日】2017-08-03
【審査請求日】2020-01-23
(32)【優先日】2016-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516263373
【氏名又は名称】ロズウェル バイオテクノロジーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】メリマン, バリー エル.
(72)【発明者】
【氏名】モーラ, ポール ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】チェ, チョルミン
【審査官】谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-503277(JP,A)
【文献】特表2013-537619(JP,A)
【文献】国際公開第2014/130686(WO,A2)
【文献】特開平05-118991(JP,A)
【文献】特開2010-281769(JP,A)
【文献】特開2015-210233(JP,A)
【文献】特開2007-108160(JP,A)
【文献】特表2017-515887(JP,A)
【文献】特表2015-521030(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0048776(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N27/00-27/10
G01N27/14-27/24
H01L21/00
C12Q1/00-3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子電子センサアレイチップであって、前記分子電子センサアレイチップは、
(a)集積回路半導体チップと、
(b)前記集積回路半導体チップの上に配置されている複数の分子電子センサデバイスであって、各センサデバイスは、(i)ナノギャップによって分離されている一対のナノスケールのソース電極およびナノスケールのドレイン電極と、(ii)ゲート電極と、(iii)前記ナノギャップに跨架し、かつ、前記ソース電極および前記ドレイン電極を接続する架橋分子であって、前記架橋分子は、前記一対のナノスケールのソース電極およびナノスケールのドレイン電極上の特定の親和性接点に跨架するペプチドアルファヘリックスを含み、前記ペプチドアルファヘリックスは、カップリンググループを含
む、架橋分子と、(iv)前記カップリンググループに接続されているリンカによって前記架橋分子に結合されているプローブ分子とを含む、複数の分子電子センサデバイスと
を備え、
前記複数のセンサデバイスは、複数のセンサピクセルのアレイに編成されている、分子電子センサアレイチップ。
【請求項2】
前記プローブ分子は、被分析物のための結合プローブを含み、前記被分析物は、DNA、RNA、タンパク質のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の分子電子センサアレイチップ。
【請求項3】
前記チップは、少なくとも100個のセンサデバイスを備える、請求項1に記載の分子電子センサアレイチップ。
【請求項4】
電圧が、各一対のナノスケールのソース電極およびナノスケールのドレイン電極への各架橋分子および/または各プローブ分子の分子自己集合を監視ならびに/もしくは促進するために使用される、請求項1に記載の分子電子センサアレイチップ。
【請求項5】
デバイス電圧が、連続試験のために必要に応じて、前記センサを分子前状態に復元する電圧指向リセットの使用を含む、各一対のナノスケールのソース電極およびナノスケールのドレイン電極への各架橋分子および/または各プローブ分子の分子自己集合を監視ならびに/もしくは促進するために使用される、請求項1に記載の分子電子センサアレイチップ。
【請求項6】
分子電子センサアレイチップであって、前記分子電子センサアレイチップは、
(a)集積回路半導体チップと、
(b)前記集積回路半導体チップの上に配置されている複数の分子電子センサデバイスであって、各センサデバイスは、(i)ナノギャップによって分離されている一対のナノスケールのソース電極およびナノスケールのドレイン電極と、(ii)ゲート電極と、(iii)
SEQ ID NO:1に従うアミノ酸配列を含むペプチドアルファヘリックス架橋分子であって、
前記ペプチドアルファヘリックス架橋分子は、前記ナノギャップに跨架し、かつ、前記ソース電極および前記ドレイン電極を接続
し、前記ペプチドアルファヘリックス
架橋分子は、前記一対のナノスケールのソース電極およびナノスケールのドレイン電極上の特定の親和性接点に跨架
し、前記ペプチドアルファヘリックス架橋分子は、ニュートラアビジンタンパク質の結合のためのリンカ上にビオチンを含むように修飾された中心リジンを有するカップリンググループをさらに含む、ペプチドアルファヘリックス架橋分子と、(iv)前記
ペプチドアルファヘリックス架橋分子に結合されているプローブ分子とを含む、複数の分子電子センサデバイスと
を備え、
前記複数のセンサデバイスは、複数のセンサピクセルのアレイに編成されており、
前記プローブ分子は、DNAポリメラーゼを含む、分子電子センサアレイチップ。
【請求項7】
分子電子センサアレイチップであって、前記分子電子センサアレイチップは、
(a)集積回路半導体チップと、
(b)前記集積回路半導体チップの上に配置されている複数の分子電子センサデバイスであって、各センサデバイスは、(i)ナノギャップによって分離されている一対のナノスケールのソース電極およびナノスケールのドレイン電極と、(ii)ゲート電極と、(iii)
SEQ ID NO:1に従うアミノ酸配列を含むペプチドアルファヘリックス架橋分子であって、
前記ペプチドアルファヘリックス架橋分子は、前記ナノギャップに跨架し、かつ、前記ソース電極および前記ドレイン電極を接続
し、前記
ペプチドアルファヘリックス架橋分子は、前記一対のナノスケールのソース電極およびナノスケールのドレイン電極上の特定の親和性接点に跨架
し、前記ペプチドアルファヘリックス架橋分子は、ニュートラアビジンタンパク質の結合のためのリンカ上にビオチンを含むように修飾された中心リジンを有するカップリンググループをさらに含む、ペプチドアルファヘリックス架橋分子と、(iv)前記
ペプチドアルファヘリックス架橋分子架橋分子に結合されているプローブ分子とを含む、複数の分子電子センサデバイスと
を備え、
前記複数のセンサデバイスは、複数のセンサピクセルのアレイに編成されており、
前記プローブ分子は、DNAハイブリダイゼーションプローブを含む、分子電子センサアレイチップ。
【請求項8】
分子電子センサアレイチップであって、前記分子電子センサアレイチップは、
(a)集積回路半導体チップと、
(b)前記集積回路半導体チップの上に配置されている複数の分子電子センサデバイスであって、各センサデバイスは、(i)ナノギャップによって分離されている一対のナノスケールのソース電極およびナノスケールのドレイン電極と、(ii)ゲート電極と、(iii)前記ナノギャップに跨架し、かつ、前記ソース電極および前記ドレイン電極を接続する架橋分子であって、前記架橋分子は、前記一対のナノスケールのソース電極およびナノスケールのドレイン電極上の特定の親和性接点に跨架する、二本鎖DNA、ペプチド、または、タンパク質アルファヘリックスを含む、架橋分子と、(iv)前記架橋分子に結合されているプローブ分子とを含む、複数の分子電子センサデバイスと
を備え、
前記複数のセンサデバイスは、複数のセンサピクセルのアレイに編成されており、
前記プローブ分子は、DNAポリメラーゼを含み、前記架橋分子は、タンパク質アルファヘリックスを含む、分子電子センサアレイチップ。
【請求項9】
分子電子センサアレイチップであって、前記分子電子センサアレイチップは、
(a)集積回路半導体チップと、
(b)前記集積回路半導体チップの上に配置されている複数の分子電子センサデバイスであって、各センサデバイスは、(i)ナノギャップによって分離されている一対のナノスケールのソース電極およびナノスケールのドレイン電極と、(ii)ゲート電極と、(iii)
SEQ ID NO:1に従うアミノ酸配列を含むペプチドアルファヘリックス架橋分子であって、
前記ペプチドアルファヘリックス架橋分子は、前記ナノギャップに跨架し、かつ、前記ソース電極および前記ドレイン電極を接続
し、前記
ペプチドアルファヘリックス架橋分子は、前記一対のナノスケールのソース電極およびナノスケールのドレイン電極上の特定の親和性接点に跨架
し、前記ペプチドアルファヘリックス架橋分子は、ニュートラアビジンタンパク質の結合のためのリンカ上にビオチンを含むように修飾された中心リジンを有するカップリンググループをさらに含む、ペプチドアルファヘリックス架橋分子と、(iv)前記
ペプチドアルファヘリックス架橋分子に結合されているプローブ分子とを含む、複数の分子電子センサデバイスと
を備え、
前記複数のセンサデバイスは、複数のセンサピクセルのアレイに編成されており、
前記プローブ分子は、DNAポリメラーゼを含み、前記
ペプチドアルファヘリックス架橋分子は、二本鎖DNAを含む、分子電子センサアレイチップ。
【請求項10】
各センサピクセルは、各センサデバイスに接続されている読出コンデンサまたは読出抵抗器をさらに含む、請求項1に記載の分子電子センサアレイチップ。
【請求項11】
各センサピクセルは、トランジスタベースの出力スイッチをさらに含む、請求項10に記載の分子電子センサアレイチップ。
【請求項12】
各センサピクセルは、トランジスタベースのリセットスイッチをさらに含む、請求項11に記載の分子電子センサアレイチップ。
【請求項13】
各センサピクセルは、それに接続されている行選択ラインおよび列読出ラインをさらに含み、前記複数のセンサピクセルのアレイは、統合行選択・列読出アレイアーキテクチャを含み、これにより、前記行選択ラインは、前記複数のセンサピクセルを活性化させる、請求項12に記載の分子電子センサアレイチップ。
【請求項14】
前記行選択ラインは、前記出力スイッチを制御する、請求項13に記載の分子電子センサアレイチップ。
【請求項15】
各センサピクセルは、各リセットスイッチを制御するための行リセットラインおよび列リセットラインをさらに含む、請求項14に記載の分子電子センサアレイチップ。
【請求項16】
各リセットスイッチは、各センサピクセルのリセットに対する直接制御を提供するため等に、前記行選択ラインおよび前記列リセットラインの組み合わせによって制御される、請求項15に記載の分子電子センサアレイチップ。
【請求項17】
チップに適用される複数の複製プライムDNA断片のための取り込み信号を測定するためのプロセスであって、
(a)少なくとも1つの分子電子センサアレイチップを提供することであって、前記分子電子センサアレイチップは、
(a)集積回路半導体チップと、
(b)前記集積回路半導体チップの上に配置されている複数の分子電子センサデバイスであって、各センサデバイスは、(i)ナノギャップによって分離されている一対のナノスケールのソース電極およびナノスケールのドレイン電極と、(ii)ゲート電極と、(iii)
SEQ ID NO:1に従うアミノ酸配列を含むペプチドアルファヘリックス架橋分子であって、
前記ペプチドアルファヘリックス架橋分子は、前記ナノギャップに跨架し、かつ、前記ソース電極および前記ドレイン電極を接続
し、前記
ペプチドアルファヘリックス架橋分子は、前記一対のナノスケールのソース電極およびナノスケールのドレイン電極上の特定の親和性接点に跨架
し、前記ペプチドアルファヘリックス架橋分子は、ニュートラアビジンタンパク質の結合のためのリンカ上にビオチンを含むように修飾された中心リジンを有するカップリンググループをさらに含む、ペプチドアルファヘリックス架橋分子と、(iv)前記
ペプチドアルファヘリックス架橋分子に結合されているプローブ分子とを含む、複数の分子電子センサデバイスと
を備え、
前記複数のセンサデバイスは、複数のセンサピクセルのアレイに編成されている、ことと、
(b)dNTPおよび特定の塩基ターミネータの混合物を前記分子電子センサアレイチップに適用することと、
(c)前記複数のDNA断片に沿って前記特定の塩基の場所を測定することと
を含む、プロセス。
【請求項18】
塩基反応毎に1つ、少なくとも4つの分子電子センサアレイチップが利用される、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
デジタル断片長アッセイを行うために使用される、請求項17に記載のプロセス。
【請求項20】
サンプル分析のためのチップベースの分析器システムであって、
(a)請求項1に記載の少なくとも1つの分子電子センサアレイチップと、
(b)前記少なくとも1つの分子電子センサアレイチップが統合されているマザーボードと、
(c)複数の分子電子センサデバイスへの少なくとも前記サンプルの導入を制御するように構成されている液体取扱いシステムと、
(d)少なくとも1つの信号プロセッサと、
(e)CPUと
を備える、チップベースの分析器システム。
【請求項21】
前記チップベースの分析器は、マルチモダリティ生物分析器に統合されており、これにより、前記サンプルからマルチモダリティ統合レポートを生成する、請求項20に記載のチップベースの分析器システム。
【請求項22】
ハンドヘルド、ウェアラブル、または、埋込可能なシステムとして構成されている、請求項20に記載のチップベースの分析器システム。
【請求項23】
生物サンプルを分析するプロセスであって、
(a)請求項20に記載のチップベースの分析器システムを提供することと、
(b)対象から前記生物サンプルを収集することと、
(c)前記チップベースの分析器システムを通して前記生物サンプルを処理することにより、前記生物サンプルの分析に関連するデータを取得することと、
(d)前記データを記憶サーバまたはクラウドに転送することと
を含む、プロセス。
【請求項24】
前記生物サンプルは、対象に関する情報と併せて前記対象から収集され、前記対象に関する前記情報および前記生物サンプルの前記分析に関連する前記データの両方を含む統合レポートを生成するように分析される、請求項23に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、“METHODS AND APPARATUS FOR MEASURING ANALYTES USING LARGE SCALE MOLECULAR ELECTRONICS SENSOR ARRAYS”と題する2016年1月28日に出願された米国仮特許出願番号第62/288,360号に基づく優先権を主張しており、その開示は参考として本明細書中に援用される。
【0002】
分野
本発明は、概して、バイオナノテクノロジーの分野内、より具体的には、分子電子センサの分野内にある。
【背景技術】
【0003】
背景
センサは、特定の種類の刺激に応答して、検出可能で記録可能な状態の変化を受ける、離散システムである。好適な解釈の手段と組み合わせられたとき、センサは、他の着目システムを特性評価または定量化するために使用されることができる。本概念は、概して、
図1に示される。
【0004】
図1は、物理システムの性質を測定するセンサの一般的動作を図示する。好適なセンサデバイスは、センサデバイスの状態の変化を引き起こす、着目物理システムとある形態の接触または相互作用をさせられ、その後に、信号のある形態の読出もしくは記録が続き、続いて、これは、次いで、測定された性質を規定するように解釈されることができる。
【0005】
原則として、そのようなセンサの空間アレイは、多くのそのような感知事象が並行して行われることを可能にする。空間アレイは、1次元、2次元、またはさらに3次元アレイの形態であってもよい。そのような並列手段が大規模に行われるとき、それらは、概して、
図2に示されるように、評価を受けている物理システムの複雑な性質を再現または推測するために使用されることができる。具体的には、センサアレイは、同時にシステムの種々の性質について知らせる多様なセンサタイプ、ならびに同時に完全な物理システムの異なるパーツからであるが、同一の性質を測定する類似タイプのセンサから成ることができる。したがって、センサアレイは、データ整理および解釈方法と併せて、ほぼ同時に、多様な低レベル性質ならびにシステムの多様なパーツから導出される複雑なシステム性質の測定を達成することができる。
【0006】
図2は、センサアレイが、次いで、標的物理システムの着目高レベル測定特徴を判定するように処理および解釈され得る、物理システムの多くの測定を並行して取得するために使用され得ることを図示する。これは、分散型パーツまたは全体的システムにおいて、多様な性質に依存する測定特徴の手段を提供する。
【0007】
生体被分析物測定の分野で、DNAシークエンシングの適用は、殆どの生物の全ゲノムの配列を判定するために多数の測定が必要とされ、これが、ある形態の並列センサアレイを介して最も実用的に行われるため、いくつかの大規模センサアレイアプローチを引き付けている。DNAマイクロアレイは、2000年代初期に、マイクロアレイプラットフォーム上で行われたハイブリダイゼーションによるシークエンシングの形態で、最初の成功したセンサアレイアプローチであった。続いて、種々の形態のセンサアレイタイプシステムが、典型的には、結果を記録するために、光学的レポータ技術およびCCDまたはCMOS画像センサを利用して、一連のシークエンシングの化学的検出反応に従事された、単一分子もしくは局所クローン増幅されたDNAテンプレートの大規模アレイの形態で開発された。より完全に統合されたDNAシークエンシングセンサアレイが開発され、その全ては、分析を受けるDNA断片の配列に関連する、好適な電圧または電流シグネチャを直接感知した、チップ上に完全もしくは部分的に統合された電子センサの専用アレイを使用した。
【0008】
図3は、本開示による分子電子センサ要素が、2つの電極端子の間で架橋する単一の分子として集合させられることを図示する。これらのデバイスは、示されるように、ナノメートルスケールである。
【0009】
本発明の目的は、被分析物の正確な測定または他の着目測定を生成するためにそのようなセンサアレイを使用する方法とともに、半導体チップとして製造されることができるセンサアレイシステムを提供することである。より具体的には、大部分がCMOSプロセスを通して製造されることができるセンサアレイチップ設計、および高度に並列の単一分子感知の結果の合成に基づく方法である。本発明は、特定の新規用途を支援することができる、種々の好ましい実施形態を含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
要旨
本開示の種々の実施形態では、集積回路半導体チップと、その上に配置された複数の分子電子センサデバイスとを含む、分子電子センサアレイチップが開示され、センサデバイスはそれぞれ、(i)ナノギャップによって分離される一対のナノスケールソース電極およびドレイン電極と、(ii)ゲート電極と、(iii)ナノギャップに跨架し、ソース電極およびドレイン電極を接続する、架橋またはプローブ分子とを含む。複数のセンサデバイスは、センサピクセルのアレイに編成される。ある側面では、センサデバイスは、架橋分子と、プローブ分子とを含み、プローブ分子は、ナノギャップに跨架する架橋分子に結合される。ある実施形態では、チップは、数百から最大で数億またはそれを上回るセンサデバイスを含んでもよい。電圧が、分子自己集合プロセスを監視および/または促進するために使用されてもよく、それによって、各架橋ならびに/もしくはプローブ分子は、各ソース電極およびドレイン電極対上に自己集合する。デバイス電圧は、連続試験のために必要とされ得るように、センサを分子前状態に復元する電圧指向リセットの使用を含む、各ソース電極およびドレイン電極対への各架橋および/またはプローブ分子の分子自己集合を監視ならびに/もしくは促進するために使用されてもよい。
【0011】
種々の実施形態では、プローブ分子は、DNA、RNA、またはタンパク質を含むが、それらに限定されない、被分析物のための結合プローブであってもよい。他の側面では、プローブ分子は、酵素、DNAハイブリダイゼーションプローブ、DNAポリメラーゼ、またはRNAポリメラーゼであってもよい。種々の実施形態では、プローブ分子は、DNAポリメラーゼであり、架橋分子は、各電極対上の特定の親和性接点に跨架する、二本鎖DNA、ペプチド、タンパク質アルファヘリックス、または天然もしくは操作されたIgG抗体を含む。
【0012】
種々の実施形態では、アレイアーキテクチャが開示される。例えば、チップの各センサピクセルは、各センサデバイスに接続される読出コンデンサまたは読出抵抗器を含んでもよい。ある側面では、各センサピクセルはさらに、トランジスタベースの出力スイッチおよび/またはトランジスタベースのリセットスイッチを含んでもよい。種々の実施形態では、各センサピクセルはさらに、それに接続された行(row)選択ラインおよび列(column)読出ラインを含んでもよく、センサピクセルのアレイは、統合行選択・列読出アレイアーキテクチャを有してもよく、行選択ラインは、センサピクセルを活性化させるために使用される。いくつかの実施例では、行選択ラインは、出力スイッチを制御する。各センサピクセルは、各リセットスイッチを制御するための行リセットラインおよび列リセットラインを含んでもよい。各リセットスイッチは、各センサピクセルのリセットに対する直接制御を提供するため等に、行選択ラインおよび列リセットラインの組み合わせによって制御されてもよい。
【0013】
本開示の種々の実施形態では、チップに適用される複数の複製プライムDNA断片のための取り込み信号を測定するためのプロセスが開示される。本方法は、本明細書に開示されるような少なくとも1つの分子電子センサアレイチップを提供するステップと、dNTPおよび特定の塩基ターミネータの混合物を分子電子センサアレイチップに適用するステップと、断片に沿って上記特定の塩基の場所を測定するステップとを含む。ある事例では、塩基反応毎に1つ等、少なくとも4つの分子電子センサアレイチップが利用される。そのようなプロセスは、デジタル断片長アッセイを行うために使用されてもよい。
【0014】
本開示の種々の側面では、チップベースの分析器システムが開示される。サンプル分析のため等のチップベースの分析器システムは、本明細書に開示される分子電子センサアレイチップのうちの少なくとも1つと、少なくとも1つの分子電子センサアレイチップが統合される、マザーボードと、複数の分子電子センサデバイスへの少なくともサンプルの導入を制御するように構成される、液体取扱いシステムと、少なくとも1つの信号プロセッサと、CPUとを含む。チップベースの分析器システムはまた、大容量記憶デバイス、システムDRAM、および補助制御コンピュータのうちの少なくとも1つを含んでもよく、これは、マルチモダリティ生物分析器に統合されてもよく、それによって、サンプルからマルチモダリティ統合レポートを生成する。分析器はまた、ハンドヘルド、ウェアラブル、またはさらに埋込可能であるように構成されてもよい。分析のタイプは、DNAフィンガープリント法、遺伝子型決定、またはDNAシークエンシングを含んでもよいが、それらに限定されない。これらのタイプの分析は、例えば、医療および法執行において用途を見出す。
【0015】
本開示の種々の実施形態では、生物サンプルを分析するためのプロセスが開示される。本方法は、上記で開示されるようなチップベースの分析器システムを提供するステップと、対象から生物サンプル(例えば、任意の生きているまたは死んでいる生物、もしくは環境からの土壌または水サンプル)を収集するステップと、チップベースの分析器システムを通して生物サンプルを処理するステップであって、生物サンプルの分析に関連するデータを取得するステップと、データを記憶サーバまたはクラウドに転送するステップとを含む。
【0016】
種々の実施例では、生物サンプルは、対象に関する情報と併せて対象から収集され、対象に関する情報および生物サンプルの分析に関連するデータの両方を備える、統合レポートを生成するように分析される。ある側面では、対象は、ヒト、動物、植物、昆虫、細菌、土壌サンプル、水サンプル、または生体材料を含む材料試料である。分析は、DNAフィンガープリント、遺伝子型決定、またはDNAシークエンシングを生成する遺伝子分析であってもよい。生物サンプルは、複数の対象から収集されてもよく、取得されるデータは、データベースを形成するように集約されてもよい。ヒトまたは脊椎動物対象に関して、分析は、DNAシークエンシングであってもよく、データは、対象の健康および/またはヘルスケアプログラムに関する精密レポート(例えば、施術者によって使用されるレポート)に転送されることができる。ある実施例では、分析は、DNAフィンガープリントを生じ、データは、法執行で要求され得るような対象の識別に関する精密レポートに転送される。他の実施形態では、対象は、環境であり、チップベースの分析器は、汚染監視等の目的のために、環境の分散型遠隔監視、または土壌もしくは水サンプルの分析を提供するために使用される。
【0017】
本開示の種々の実施形態では、センサ由来の定量性能に基づいて酵素を選択するためのプロセスが開示される。本方法は、本明細書に開示されるような少なくとも1つの分子電子センサアレイチップを提供するステップと、プローブ分子として複数の酵素を確立するステップとを含む。本プロセスはまた、センサ由来の定量性能に基づいてプローブ分子を選択するステップを含んでもよい。
【0018】
種々の実施形態では、サンプル被分析物の量または低次元特徴を推定するためのプロセスが開示される。本方法は、本明細書に開示されるような少なくとも1つの分子電子センサアレイチップを提供するステップと、データ適合プロセスをデータに適用し、上記量のための最良適合を判定するステップとを含む。本プロセスでは、適合プロセスは、平均、最小二乗適合、L1最適化、費用関数最適化、最大尤度、および/または圧縮感知技法のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0019】
本開示の種々の実施形態では、それらの定量的センサ由来の測定に基づいて標的を物理的に捕捉するプロセスが開示される。本プロセスは、本明細書に開示されるような少なくとも1つの分子電子センサアレイチップを提供するステップと、標的を分子電子センサアレイチップに適用するステップとを含む。本プロセスでは、望ましくない標的が、電子的に放出され、チップからフラッシュされ、所望の標的が、保持され、次いで、収集のために電子的に放出される。
【0020】
本開示の種々の実施形態では、CMOSチップが開示される。CMOSチップは、集積回路半導体チップと、その上に配置された複数の分子電子センサデバイスとを含み、センサデバイスはそれぞれ、(i)ナノギャップによって分離される一対のナノスケールソース電極およびドレイン電極と、(ii)ゲート電極と、(iii)ナノギャップに跨架し、ソース電極およびドレイン電極を接続する、架橋またはプローブ分子と、行選択モジュール、列デコーダモジュール、およびI/Oモジュールのうちのいずれかとを含む。センサデバイスは、センサピクセルのアレイに編成されてもよい。ある実施形態では、CMOSチップは、高帯域幅I/Oを提供する電気ピン配列を提供するパッケージングの中に搭載されてもよく、チップは、センサピクセルのアレイへの便宜的な暴露のために、液体試薬または被分析物の導入を提供する成型プラスチックフローセルに入れられる。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
(a)集積回路半導体チップと、
(b)その上に配置された複数の分子電子センサデバイスであって、各センサデバイスは、(i)ナノギャップによって分離される一対のナノスケールソース電極およびドレイン電極と、(ii)ゲート電極と、(iii)前記ナノギャップに跨架し、前記ソース電極およびドレイン電極を接続する、架橋またはプローブ分子とを備える、センサデバイスと、
を備え、前記センサデバイスは、センサピクセルのアレイに編成される、
分子電子センサアレイチップ。
(項目2)
各センサデバイスは、架橋およびプローブ分子を両方とも備える、項目1に記載の分子電子センサアレイチップ。
(項目3)
前記プローブ分子は、被分析物のための結合プローブを含み、前記被分析物は、DNA、RNA、およびタンパク質のうちの少なくとも1つである、項目1に記載の分子電子センサアレイチップ。
(項目4)
前記チップは、少なくとも100個のセンサデバイスを備える、項目1に記載の分子電子センサアレイチップ。
(項目5)
電圧が、各ソース電極およびドレイン電極対への各架橋および/またはプローブ分子の分子自己集合を監視ならびに/もしくは促進するために使用される、項目1に記載の分子電子センサアレイチップ。
(項目6)
デバイス電圧が、連続試験のために必要に応じて、前記センサを分子前状態に復元する電圧指向リセットの使用を含む、各ソース電極およびドレイン電極対への各架橋および/またはプローブ分子の分子自己集合を監視ならびに/もしくは促進するために使用される、項目1に記載の分子電子センサアレイチップ。
(項目7)
前記プローブ分子は、酵素を含む、項目1に記載の分子電子センサアレイチップ。
(項目8)
前記プローブ分子は、DNAハイブリダイゼーションプローブを含む、項目1に記載の分子電子センサアレイチップ。
(項目9)
前記プローブ分子は、DNAポリメラーゼを含む、項目1に記載の分子電子センサアレイチップ。
(項目10)
前記プローブ分子は、DNAポリメラーゼを含み、前記架橋分子は、各電極対上の特定の親和性接点に跨架する、二本鎖DNA、ペプチド、タンパク質アルファヘリックス、または天然もしくは操作されたIgG抗体を含む、項目1に記載の分子電子センサアレイチップ。
(項目11)
各センサピクセルはさらに、各センサデバイスに接続される読出コンデンサまたは読出抵抗器を備える、項目1に記載の分子電子センサアレイチップ。
(項目12)
各センサピクセルはさらに、トランジスタベースの出力スイッチを備える、項目11に記載の分子電子センサアレイチップ。
(項目13)
各センサピクセルはさらに、トランジスタベースのリセットスイッチを備える、項目12に記載の分子電子センサアレイチップ。
(項目14)
各センサピクセルはさらに、それに接続された行選択ラインおよび列読出ラインを備え、前記センサピクセルのアレイは、統合行選択・列読出アレイアーキテクチャを備え、それによって、前記行選択ラインは、前記センサピクセルを活性化させる、項目13に記載の分子電子センサアレイチップ。
(項目15)
前記行選択ラインは、前記出力スイッチを制御する、項目14に記載の分子電子センサアレイチップ。
(項目16)
各センサピクセルはさらに、各リセットスイッチを制御するための行リセットラインおよび列リセットラインを備える、項目15に記載の分子電子センサアレイチップ。
(項目17)
各リセットスイッチは、各センサピクセルの前記リセットに対する直接制御を提供するため等に、前記行選択ラインおよび前記列リセットラインの組み合わせによって制御される、項目16に記載の分子電子センサアレイチップ。
(項目18)
チップに適用される複数の複製プライムDNA断片のための取り込み信号を測定するためのプロセスであって、
(a)項目1の少なくとも1つの分子電子センサアレイチップを提供するステップと、
(b)dNTPおよび特定の塩基ターミネータの混合物を前記分子電子センサアレイチップに適用するステップと、
(c)前記DNA断片に沿って前記特定の塩基の場所を測定するステップと、
を含む、プロセス。
(項目19)
塩基反応毎に1つ、少なくとも4つの分子電子センサアレイチップが利用される、請求項18に記載のプロセス。
(項目20)
デジタル断片長アッセイを行うために使用される、項目18に記載のプロセス。
(項目21)
サンプル分析のためのチップベースの分析器システムであって、
(a)項目1に記載の少なくとも1つの分子電子センサアレイチップと、
(b)前記少なくとも1つの分子電子センサアレイチップが統合される、マザーボードと、
(c)複数の分子電子センサデバイスへの少なくとも前記サンプルの導入を制御するように構成される、液体取扱いシステムと、
(d)少なくとも1つの信号プロセッサと、
(e)CPUと、
を備える、システム。
(項目22)
前記チップベースの分析器は、マルチモダリティ生物分析器に統合され、それによって、前記サンプルからマルチモダリティ統合レポートを生成する、項目21に記載のチップベースの分析器システム。
(項目23)
ハンドヘルド、ウェアラブル、または埋込可能システムとして構成される、項目21に記載のチップベースの分析器システム。
(項目24)
生物サンプルを分析するプロセスであって、
(a)項目21に記載のチップベースの分析器システムを提供するステップと、
(b)対象から前記生物サンプルを収集するステップと、
(c)前記チップベースの分析器システムを通して前記生物サンプルを処理するステップであって、前記生物サンプルの分析に関連するデータを取得するステップと、
(d)前記データを記憶サーバまたはクラウドに転送するステップと、
を含む、方法。
(項目25)
前記生物サンプルは、対象に関する情報と併せて前記対象から収集され、そして前記対象に関する前記情報および前記生物サンプルの前記分析に関連する前記データの両方を備える統合レポートを生成するように分析される、項目24に記載のプロセス。
【図面の簡単な説明】
【0021】
開示の主題は、詳細に指摘され、本明細書の結びの部分で明瞭に請求される。しかしながら、本開示のより完全な理解は、図面に関連して考慮されたときに、詳細な説明および請求項を参照することによって、最も良く獲得され得る。
【0022】
【
図1】
図1は、物理システムの性質を測定するセンサの一般的動作を図示する。
【
図2】
図2は、センサアレイが、次いで標的物理システムの着目高レベル測定特徴を判定するように処理および解釈され得る、物理システムの多くの測定を取得するために並行して使用され得ることを図示する。
【
図3】
図3は、2つの電極端子の間で架橋する単一の分子を備える、典型的分子電子要素センサを図示する。
【
図4】
図4は、プローブ-標的相互作用を測定するための分子電子回路の1つの好ましい形態の概略図を図示する。
【
図5】
図5は、半導体トランジスタデバイスで使用される標準ソース-ドレイン-ゲート幾何学形状に対する局所電極構成の実施形態を図示する。
【
図6】
図6は、プローブ-標的相互作用を測定するための分子電子回路の別の好ましい形態の概略図を図示する。
【
図7】
図7は、半導体デバイスからのソース-ドレイン-ゲート幾何学形状、電極の間の分子架橋、および酵素を架橋に結合する結合点または共役基を伴う、より詳細な好ましい実施形態で、
図4の概略図を描写する。
【
図8】
図8は、チップベースのセンサアレイ構成の実施形態を図示する。
【
図9】
図9は、チップベースの分析器システムの実施形態を図示する。
【
図10】
図10は、コンパクトなチップベースの分析器システムの実施形態を図示する。
【
図11】
図11は、高効率浸漬液体取扱いシステムの実施形態を図示する。
【
図13】
図13は、ラインまたはドット等の単純な形状を備える、最小次元/高分解能特徴の実施形態を図示する。
【
図14】
図14は、センサアレイチップアーキテクチャの実施形態を図示する。
【
図15】
図15は、基本センサ測定回路の実施形態を図示する。
【
図17】
図17は、センサピクセルのためのセンサ回路の代表を図示する。
【
図19】
図19は、センサピクセルのためのセンサ回路の実施形態を図示する。
【
図20】
図20は、センサピクセルのための例示的基本アレイアーキテクチャを図示する。
【
図21】
図21は、センサピクセルのためのさらなる好ましい基本アレイアーキテクチャを図示する。
【
図22】
図22は、行リセットラインを含むことによって
図21の例示的アーキテクチャを拡張する、センサピクセルのための別の好ましい基本アレイアーキテクチャを図示する。
【
図23】
図23は、
図22の例示的アーキテクチャの代替物である、センサピクセルのための別の好ましい基本アレイアーキテクチャを図示する。
【
図24】
図24は、センサピクセルアレイのための全体的チップアーキテクチャの実施形態を図示する。
【
図25】
図25は、パッケージ化されたセンサアレイチップの実施形態を図示する。
【
図26】
図26は、プローブがポリメラーゼ酵素を含む、DNAシークエンシングの1つの好ましい実施形態を図示する。
【
図27】
図27は、単一の塩基ターミネータのみが所与の反応で使用される、ターミネータシークエンシングの好ましい実施形態を図示する。
【
図28】
図28は、着目複製テンプレートが、示される各チップの中へ装填され、全てのA終止データが、問題になっているテンプレートの全配列を判定するように、平行センサアレイ上の1回の実行から蓄積される、ターミネータシークエンシングの好ましい実施形態を図示する。
【
図29】
図29は、付着した酵素の代わりに、分子センサ内のDNAハイブリダイゼーションプローブの使用、および電流等の回路パラメータを監視することによるハイブリダイゼーションの検出の実施形態を図示する。
【
図30】
図30は、プローブが架橋分子の全体または一部を形成する、センサにハイブリダイゼーションプローブを組み込むことの種々の代替実施形態を図示する。
【
図31】
図31は、デジタルハイブリダイゼーションアッセイの実施形態を図示する。
【
図32】
図32は、ハイブリダイゼーションの電子加速およびハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに対する電子制御の実施形態を図示する。
【
図33】
図33は、プローブ/酵素構成/機能の電子変調、ならびにプローブ/酵素機能または性能をさらに変調させる局所酸性もしくは塩基性条件の生成を含む、局所イオン環境の変調の実施形態を図示する。
【
図34】
図34は、信号を増進するように検出可能基(示される「伸長生成物」)を含むこと等、1つまたはそれを上回る塩基を組み込むために酵素伸長(指向性矢印によって示されるプローブの3´拡張可能末端)を使用することによって、一次ハイブリダイゼーション信号を増進することの実施形態を図示する。
【
図35】
図35は、デジタル単一塩基伸長遺伝子型決定の実施形態を図示する。
【
図36】
図36は、電圧監視および/または集合の方向の実施形態を図示する。
【
図37】
図37は、電圧指向および監視リセットの実施形態を図示する。
【
図38】
図38は、チップレベル集合およびリセット機能性の実施形態を図示する。
【
図39】
図39は、所望の性能性質を有する、酵素の定量的選択の実施形態を図示する。
【
図40】
図40は、センサ被分析物の複雑な混合を含有する溶液からの標的の所望の集団の電子査定および収集の実施形態を図示する。
【
図41】
図41は、低次元サンプル性質を判定するための高次元センサデータの例示的使用を図示する。
【
図42】
図42は、拡張されたシステムまたはコンパクトなシステムを備えること等のチップベースの分析器の好ましい実施形態の実施例を図示する。
【
図43】
図43は、生物サンプルが、システムへの導入のために処理され、一次データが、さらに処理され、クラウド環境等に記憶される、高レベルプロセスの実施形態を図示する。
【
図45】
図45は、データベース/知識ベースの作成の実施形態を図示する。
【
図46】
図46は、接点チップベースの分析器の実施形態を図示する。
【
図47】
図47は、ウェアラブル/埋込可能分析器の実施形態を図示する。
【
図48】
図48は、マルチモダリティ統合生物分析器の実施形態を図示する。
【
図49】
図49は、実験研究に使用される分子センサ構造の実施形態を図示する。
【
図50】
図50は、分子センサ上で電気測定を行うための試験設定の例示的概略図を図示する。
【
図51A】
図51A、51B、および51Cは、架橋結合のために使用可能な金地金ドット接点を備える、電極の電子顕微鏡画像である。
【
図51B】
図51A、51B、および51Cは、架橋結合のために使用可能な金地金ドット接点を備える、電極の電子顕微鏡画像である。
【
図51C】
図51A、51B、および51Cは、架橋結合のために使用可能な金地金ドット接点を備える、電極の電子顕微鏡画像である。
【
図52】
図52は、電極試験チップアーキテクチャの実施例を図示する。
【
図53】
図53は、溶液から電極を保護するためのデバイス上の不動態化層の使用を図示する。
【
図54】
図54は、集合センサ複合体の導電度を特性評価するプロットを記載する。
【
図55】
図55は、金ドット接触電極を備える、分子センサ集合の自己集合の電子監視を示す。
【
図56】
図56は、
図55を参照して議論される集合の段階が完了した後の集合構造のEM画像を示す。
【
図57】
図57は、センサを用いた分子取り込み信号の測定を実証する。
【
図58】
図58Aおよび58Bは、ペプチドアルファヘリックス架橋分子に基づくセンサの実施形態を図示する。
【
図59A】
図59A、59B、59C、および59Dは、アルファヘリックスペプチド架橋を使用する、配列感知実験からのデータを記載する。
【
図59B】
図59A、59B、59C、および59Dは、アルファヘリックスペプチド架橋を使用する、配列感知実験からのデータを記載する。
【
図59C】
図59A、59B、59C、および59Dは、アルファヘリックスペプチド架橋を使用する、配列感知実験からのデータを記載する。
【
図59D】
図59A、59B、59C、および59Dは、アルファヘリックスペプチド架橋を使用する、配列感知実験からのデータを記載する。
【
図60】
図60は、CMOSデバイス測定ピクセルにインターフェース接続されたナノ電極を組み合わせるための例示的設計を図示する。
【
図61】
図61は、後処理ステップにおいて標準CMOSピクセルデバイスに追加されるナノ構造の実施例を描写する。
【
図62】
図62は、例示的CMOSチップ高レベルアーキテクチャを示す。
【
図65】
図65は、ピクセル回路シミュレーションの結果を記載する。
【
図66】
図66は、ピクセルスイッチ性能の例示的パラメータを要約する。
【
図67】
図67は、ピクセル増幅器のための詳細な回路設計の実施形態を図示する。
【
図68】
図68は、増幅器周波数応答のシミュレーション結果を提供する。
【
図69】
図69は、ピクセル増幅器性能のパラメータを提供する。
【
図70】
図70は、ピクセルの異なる要素のためのレイアウト面積割り当てを示す円グラフとともに、詳細な回路シミュレーショに基づく、センサピクセルのパラメータを要約する。
【
図71】
図71は、注釈付き完全チップ設計の実施形態の画像である。
【
図72】
図72は、ピクセルアレイの5×5部分のための詳細なGDS設計ファイルの近接画像で見られる、例示的ピクセルアレイ設計である。
【
図73】
図73は、例示的注釈付き完全ピクセル設計を記載する。
【
図74】
図74は、製作後の完成したチップの白色光顕微鏡画像である。
【
図75】
図75Aおよび75Bは、レイアウトファイルおよび完成したチップの比較を提供する。
【
図77】
図77および77Bは、レイアウトファイルおよび完成したチップピクセルの比較を提供する。
【
図78A】
図78Aおよび78Bは、完成したCMOSチップおよびピクセルの電子顕微鏡画像である。
【
図78B】
図78Aおよび78Bは、完成したCMOSチップおよびピクセルの電子顕微鏡画像である。
【
図79】
図79は、センサチップのためのマザーボードの例示的な概略設計を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明
本明細書の例示的実施形態の詳細な説明は、例証として例示的実施形態およびそれらの最良の様態を示す、付随する図面を参照する。これらの例示的実施形態は、当業者が本発明を実践するために十分に詳細に説明されているが、他の実施形態が実現されてもよく、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、論理的、化学的、ならびに機械的変更が行われてもよいことを理解されたい。したがって、本明細書の詳細な説明は、限定ではなく、例証の目的のためのみに提示される。例えば、別様に記述されない限り、方法またはプロセスの説明のうちのいずれかに記載されるステップは、任意の順序で実行されてもよく、必ずしも提示される順序に限定されない。さらに、単数の任意の言及は、複数の実施形態を含み、1つを上回る構成要素またはステップの任意の言及は、単数の実施形態またはステップを含んでもよい。また、取り付けられた、固定された、接続された、または同等物の任意の言及は、恒久的、除去可能、一時的、部分的、完全、および/または任意の他の可能性として考えられる取付オプションを含んでもよい。加えて、接触なし(または類似語句)の任意の言及はまた、低減した接触または最小限の接触を含んでもよい。
【0024】
本開示の範囲は、センサアレイ用途のための有用な要素である、分子電子センサの一般的形態を包含する。これは、ソース電極およびドレイン電極と、付加的電圧制御のためのゲート電極とを備える、3端子デバイスの中へ結合されるプローブ分子から成る。
【0025】
定義
【0026】
明示的に定義されていない任意の用語は、当業者に公知である一般的な意味を与えられる。
【0027】
本明細書で使用されるように、「被分析物」という用語は、化学物質のアイデンティティまたは量を判定するため等の分析の対象であり得る、DNA、RNA、もしくはタンパク質等の化学物質を指すか、または分析で使用される試薬を指し得る。
【0028】
本明細書で使用されるように、「CMOS」という頭字語は、集積回路を構築するために使用される特定の方法である、「導電性金属酸化物膜半導体」を指す。
【0029】
本明細書で使用されるように、「FPGA」という頭字語は、製造後に第三者によって、すなわち、「現場で」構成されるように設計される集積回路である、「フィールドプログラマブルゲートアレイ」を指す。
【0030】
本明細書で使用されるように、「GPU」という頭字語は、フレームバッファ内で画像の作製を加速するようにメモリを急速に操作して改変する回路である、「グラフィックスプロセッシングユニット」を指す。GPUは、多くの場合、種々のアプリケーションを加速するためにCPUとともに使用される。
【0031】
本明細書で使用されるように、「DSP」という頭字語は、「デジタル信号プロセッサ」を指し、「DSPチップ」は、アナログ信号を測定、フィルタリング、および処理するための特殊化マイクロプロセッサである、デジタル信号プロセッサチップを指す。
【0032】
本明細書で使用されるように、「ASIC」という頭字語は、「特定用途向け集積回路」を指し、「ASICチップ」は、チップの形態のASICを指す。
【0033】
本明細書で使用されるように、「CPU」という用語は、コンピュータプログラムの命令を実施するコンピュータ回路である、「中央処理装置」を指し、「マルチコアCPU」という用語は、2つまたはそれを上回る独立CPUを伴う構成要素を指す。
【0034】
本明細書で使用されるように、「N^6プライマ」という用語は、最大46個の異なる配列を伴うランダム配列における短オリゴデオキシリボヌクレオチドを指す。本用語はまた、「[d(N)6]」としても表され得る。
【0035】
本明細書で使用されるように、「LNA」という頭字語は、2’および4’炭素を接続する余剰架橋を有する「アクセス不可能なRNA」とも称される、核酸模倣物のタイプである「ロックト核酸」を指す。
【0036】
本明細書で使用されるように、「PNA」という頭字語は、DNAまたはRNAに類似するが、代わりに、反復するN-(2-アミノエチル)-グリシン単位の主鎖を有する、人工的に合成されたポリマーである「ペプチド核酸」を指す。
【0037】
本明細書で使用されるように、「SNP」という頭字語は、個人の間の遺伝子変異の一般的タイプである、「単一ヌクレオチド多型」を指す。
【0038】
本明細書で使用されるように、「SNP遺伝子型決定」という用語は、種のメンバー間の単一ヌクレオチド多型(SNP)の遺伝子変異を測定する、遺伝子型決定のタイプを指す。
【0039】
本明細書で使用されるように、「対象」という用語は、非限定的に、ヒト、ヒトではない動物(または本明細書では「動物」)、植物、細菌、ウイルス、アメーバ、真菌、酵母、土壌サンプル、水サンプル、もしくは空気サンプル、または生物学的物質を含有することが公知であるか、もしくは含有し得る任意の他のサンプルを指す。最も広義の意味で、対象は、生きているまたは死んでいる生物(海生もしくは陸生)、環境、または環境のサンプル(例えば、小川または河川からの水サンプルもしくは土壌サンプル)である。
【0040】
本明細書で使用されるように、「ポリメラーゼ」という用語は、DNAまたはRNA等のポリマーの形成に触媒作用を及ぼす酵素を指す。「DNAポリメラーゼ」は、DNAへのヌクレオチドの重合に関与する。「RNAポリメラーゼ」は、RNAへのヌクレオチドの重合に関与する。
【0041】
本明細書で使用されるように、「SMU」という頭字語は、電圧および電流を同時に測定しながら、電圧および電流を押進させることが可能なデバイスである、「ソース/モニタユニット」を指す。
【0042】
本明細書で使用されるように、「VIA」という頭字語は、電子回路内の層の間の電気接続を意味する、「垂直相互接続アクセス」を指す。
【0043】
本開示の種々の側面では、分子電子センサアレイチップは、集積回路半導体チップと、その上に配置され、センサピクセルのアレイに編成される複数の分子電子センサデバイスとを備える。各センサデバイスは、ナノギャップによって分離される一対のナノスケールソース電極およびドレイン電極と、ゲート電極と、ナノギャップに跨架し、ソース電極およびドレイン電極を接続する、架橋ならびに/またはプローブ分子とを含む。複数のセンサデバイスは、架橋分子のみ、プローブ分子のみ、または架橋およびプローブ分子の両方を備えてもよい。
【0044】
本開示の範囲内で、複数のセンサデバイスは、数桁に及ぶチップが、設計のパラメータ化群内のスケールパラメータを設定することによって設計されることを可能にするもの等の任意の拡張可能アレイアーキテクチャを使用して、チップ上に編成されてもよい。
【0045】
チップアーキテクチャの種々の実施形態では、各センサピクセルはさらに、各センサデバイスに接続される読出コンデンサまたは読出抵抗器を備えてもよい。また、各センサピクセルはさらに、トランジスタベースの出力スイッチおよび/またはトランジスタベースのリセットスイッチを備えてもよい。種々の側面では、各センサピクセルは、行選択ラインおよび列読出ラインに接続されてもよく、センサピクセルのアレイは、行選択/列読出アーキテクチャに統合され、行選択ラインは、センサピクセルを活性化させるために使用されることができる。
【0046】
種々の実施形態では、行選択/列読出アレイアーキテクチャは、行選択ラインが出力スイッチを制御することを可能にする。各センサピクセルはさらに、各リセットスイッチを制御するための行リセットラインおよび列リセットラインを備えてもよい。ある実施形態では、各リセットスイッチは、各センサピクセルのリセットに対する直接制御を提供するため等に、行選択ラインおよび列リセットラインの組み合わせによって制御されてもよい。
【0047】
本開示による分子電子センサアレイチップは、少なくとも100個のセンサデバイスを備えてもよい。他の変形例では、チップは、少なくとも10,000個、少なくとも100,000個、少なくとも1,000,000個、少なくとも10,000,000個、または少なくとも100,000,000個、もしくはそれを上回るセンサデバイスを備えてもよい。
【0048】
請求項の分子電子センサアレイチップは、電子機器のためのCMOSプロセス、ナノ電極のためのナノリソグラフィ、および分子要素の取付のための分子自己集合を使用することによって等、段階的に製作されてもよい。ナノリソグラフィ方法は、ナノインプリントリソグラフィを含んでもよい。ある側面では、分子電子センサアレイチップは、CMOS技術によって完全に製作されてもよいか、またはCMOSチップで実装されてもよい。
【0049】
種々の実施形態では、電圧が、各ソース電極およびドレイン電極対への各架橋および/またはプローブ分子の分子自己集合を監視ならびに/もしくは促進するために使用される。例えば、デバイス電圧は、連続試験のために必要とされるように、センサを分子前状態に復元する電圧指向リセットの使用を含む、各ソース電極およびドレイン電極対への各架橋および/またはプローブ分子の分子自己集合を監視ならびに/もしくは促進するために使用されることができる。
【0050】
分子電子センサアレイチップの種々の実施形態では、プローブ分子は、例えば、DNAまたはRNAポリメラーゼ、もしくはDNAハイブリダイゼーションプローブ等の酵素を含んでもよい。ある側面では、プローブ分子は、タンパク質、ペプチド、アプタマー、またはハプテン形態の結合プローブを含んでもよい。チップの他の変形例では、プローブ分子は、DNAポリメラーゼを含んでもよく、架橋分子は、各電極対上の特定の親和性接点に跨架する、二本鎖DNA、ペプチド、タンパク質アルファヘリックス、または天然もしくは操作されたIgG抗体を含んでもよい。そのようなチップは、分子電子センサアレイチップに適用される複数のプライムDNA断片のための取り込み信号を測定するように適用されることができる。
【0051】
種々の実施形態では、本開示による分子電子センサアレイチップはさらに、デジタルハイブリダイゼーションアッセイを行うために使用されるハイブリダイゼーションプローブを備えてもよい。プローブは、断片のセットのゲノムマッピングのためのSNP遺伝子型決定もしくは遺伝子発現測定を提供する、またはタグベースの読出を生じるアッセイをデコードするための設計された普遍的ハイブリダイゼーションタグのセットを提供する。ある側面では、組み合わせデコードハイブリダイゼーションが、組み合わせ的にコード化されるアレイ上のプローブを識別することと併せて使用される。
【0052】
種々の実施形態では、分子電子センサアレイチップはさらに、デジタル単一塩基伸長シークエンシングアッセイを行うために使用される単一塩基伸長ハイブリダイゼーションプローブ、またはデジタル結合アッセイを行う結合プローブを備えてもよい。ある側面では、ハイブリダイゼーションアッセイは、ハイブリダイゼーションを加速し、測定忠実性を向上させるため、または電子融点曲線を取得して結合を特性評価するために、DNAのセンサ電圧制御された引力および斥力を使用する。
【0053】
種々の実施形態では、プローブ分子は、特定の被分析物のための結合プローブを含んでもよい。被分析物は、DNA、RNA、およびタンパク質のうちの少なくとも1つを含んでもよい。ある実施形態では、被分析物の濃度が判定されてもよい。
【0054】
分子電子センサアレイチップの種々の実施形態では、センサ電圧は、プローブ分子、架橋、および標的に関して、引力、斥力、機能変化、および局所イオン環境の変化を生成するために使用される。
【0055】
種々の実施形態では、分子電子センサアレイチップ内のナノ電極の特徴は、チップ製作で使用されるパターン化システムにおいて、最大分解能のための単純なラインおよびスポットパターン化を使用して設計される。
【0056】
本開示の種々の実施形態では、チップに適用される複数の複製プライムDNA断片のための取り込み信号を測定するためのプロセスは、(a)分子電子センサアレイチップを提供するステップと、(b)dNTPおよび特定の塩基ターミネータの混合物を分子電子センサアレイチップに適用するステップと、(c)断片に沿って上記特定の塩基の場所を測定するステップとを含む。ある実施形態では、本プロセスは、塩基反応毎に1つ等、少なくとも4つの分子電子センサアレイチップの使用を含んでもよい。これらのプロセスは、デジタル断片長アッセイを行うために使用されるか、または識別のために使用可能であるようなDNAフィンガープリントを含むマーカ断片のセットに適用されることができる。そのようなプロセスは、アレイにわたるプローブ-標的相互作用のための多様なパラメータの調査を伴い、それによって、最適な動作のためのパラメータ設定を確認し得る。
【0057】
本開示の種々の実施形態では、サンプル分析のためのチップベースの分析器システムは、マザーボードに統合される、上記で開示されるような少なくとも1つの分子電子センサアレイチップを備える。そのようなチップベースの分析器システムはさらに、液体取扱いシステムと、少なくとも1つの信号プロセッサと、ソリッドステート記憶バッファと、データ記憶装置と、少なくとも1つのCPUと、システムDRAMと、大容量記憶デバイスとを備えてもよい。そのような分析器システムはさらに、データ転送能力を備えてもよく、かつ補助制御コンピュータとインターフェースをとってもよい。そのようなシステムでは、サンプル調製、最小限のデータ処理、およびデータ転送は、モバイル、携帯用、ハンドヘルド、または埋込可能アプリケーションで使用するために好適であるように、システム内でコンパクトに1つに統合されてもよい。ある実施例では、サンプルは、ヒト等の対象から採取される生物学的サンプル(生物サンプル)を含む。生物サンプルは、対象に関する情報(例えば、ヒト対象である場合、年齢、身長、体重等)と併せて対象から収集され、対象に関する情報および生物サンプルの分析に関連するデータの両方を備える、統合レポートを生成するように分析されてもよい。そのようなレポートは、保健専門職で有用である。
【0058】
本開示の種々の実施形態では、チップベースの分析器システム内の分析のための生物サンプルは、例えば、ヒト、動物、植物、昆虫、細菌、土壌サンプル、水サンプル、または任意の生体材料等の少なくとも分析する着目物を含む任意の他の材料試料であってもよい。種々の実施例では、分析は、DNAフィンガープリント、遺伝子型決定、またはDNAシークエンシングを生成する遺伝子分析を含んでもよい。このようにして取得されるDNAフィンガープリントは、法執行等の識別プロセスで有用であり得る。いくつかの側面では、生物サンプルは、複数の対象から収集されてもよく、次いで、データは、将来のある時間に参照されることができるデータを形成するように集約されてもよい。そのようなデータベースは、精密レポートを提供することが可能な知識ベースを生成するデータベース上の機械学習を含んでもよい。このようにして取得されるDNAシークエンシングは、医療に関する精密レポートの形態で転送されることができる。
【0059】
種々の実施形態では、チップベースの分析器は、マルチモダリティ生物分析器に統合されてもよく、それによって、生物サンプル等のサンプルからマルチモダリティ統合レポートを生成する。チップベースの分析器は、限定されないが、DNAフィンガープリント法、遺伝子型決定、およびDNAシークエンシング等の遺伝子分析を提供してもよい。いくつかの実施形態では、チップベースの分析器は、ハンドヘルド、ウェアラブル、または埋込可能であるように構成される。ある側面では、チップベースの分析器は、環境の分散型遠隔監視を提供してもよい。そのような環境監視は、汚染監視および制御に使用されてもよい。
【0060】
プローブ-標的相互作用を測定するための分子電子回路の好ましい概略的実施形態が、
図4に示され、プローブ分子は、一次回路要素としてソース電極とドレイン電極との間に結合され、全体的な回路は、電気的性質(印加されたソース-ドレイン電圧およびゲート電圧の下の回路内の電流、または印加された電流の下の電圧等)を測定する計測器を伴って構成され、それによって、測定されたトレースが、その標的とのプローブの相互作用に関連する。本構成は、プローブ-標的複合体の立体配座が、複合体を通した/複合体の周囲の電荷の導電を実質的に改変するときに好ましい。時間トレースとしての測定された性質S(t)は、結果として生じる立体配座変化、ならびに本処理中の電気成分としての可変性質に起因する、基礎的プローブ-標的相互作用を反映する。
【0061】
ここで
図5を参照すると、局所電極構成が、半導体トランジスタデバイスで使用される標準ソース-ドレインおよびゲート幾何学形状に対して、より詳細な形式で図示されている。本非限定的実施形態では、プローブ分子は、一次導電性要素に対して導電およびゲート活動の両方を有し得る、二次または並列回路要素として結合され、全体的な回路は、電気的性質(印加された電圧の下の回路内の電流、または印加された電流の下の電圧等)を測定するための計測器を伴って構成され、それによって、測定されたトレースは、プローブ-標的相互作用に関連する。本構成は、プローブ-標的立体配座変化が、配列依存性ゲート電圧を印加する別のゲート電極として主に作用する、一次導電要素に可変ゲート電圧を印加することができるときに好ましい。
【0062】
図6は、プローブ-標的相互作用を測定するための分子電子回路の別の好ましい形態の概略を図示する。プローブ分子は、プローブがゲート機能ならびに導電を提供し得る回路を形成するように、二次要素としてソース電極とドレイン電極との間の一次導電要素に結合される。回路は、印加されたソース-ドレイン電圧およびゲート電圧の下の電流、または類似システム性質(一定の印加された電流における電圧等)等の電気的性質を測定するための計測器を含む。時間トレースとしての測定された性質S(t)は、基礎となるプローブ-標的相互作用を反映する。
【0063】
図7は、半導体デバイスからのソース-ドレイン-ゲート幾何学形状と、一次導電要素としての電極の間の分子架橋と、近接性を確実にする1つの手段として、酵素を架橋に結合する結合点または共役基と、潜在的電気接続とを伴う、より詳細な実施形態で、
図4の概略図を描写する。図示されるように、プローブ分子は、プローブ分子と架橋との間の近接性および/または導電性接続を確実にするように繋留される。
【0064】
図8は、チップベースのセンサアレイ構成の実施形態を図示する。本明細書で概説されるような全てのそのようなセンサに関して、いずれかもは、被分析物の共通溶液への暴露を受けながら並行して効果的に読み取られ得るように、高いサンプリングレートまたはフレームレートでアレイ上のセンサ信号を読み出すことができる、
図8に示されるようなセンサアレイチップとして編成されてもよい。種々の実施形態では、これらのセンサアレイチップは、任意の数のセンサ、数百~数千から数百万~数十億またはそれを上回るそのようなセンサを備えてもよい。
【0065】
種々の実施形態では、チップ形式は、機能性の以下の主要な要素、すなわち、(1)センサ回路の中への分子要素、およびアレイ上のセンサの電子的に制御された自己集合、分解(リセット/消去)、再集合、ならびに較正のためのサポートと、(2)多くのセンサが並行して効果的に監視されることができるように、アレイ内の全てのセンサの急速サンプリングおよびチップからのそのようなデータの転送のためのサポートと、(3)数桁に及ぶセンサ数を伴うチップが、単純に、回路設計のパラメータ化群内のアレイサイズパラメータを設定することによって設計されることができるように、拡張可能アレイアーキテクチャとを備えることができる。
【0066】
アレイチップは、電子回路および電極アレイの大部分または全てがCMOSプロセスを介して作製され、ナノ電極特徴がナノリソグラフィプロセスを使用して作製され、分子成分が分子自己集合技法を使用して集合させられる、プロセスの階層を通して製作されることができる。実施形態では、これらの自己集合技法は、局所ゲート電圧等の電子機器上の電圧制御の使用によって、指向または加速される。種々の実施形態では、ナノ電極はまた、16nmまたはそれを下回って動作するCMOS製作プロセス、好ましくは、10nmまたはそれを下回って半導体デバイス製作ノードを使用して、作製される。代替として、ナノインプリントリソグラフィが、各印象からチップナノ電極パターン全体をインプリントして、ナノ電極のアレイを効率的に製作することができる。
【0067】
アレイチップは、統合液体取扱い、およびデータ転送、データ分析、ならびにデータ記憶を含む、センサチップの用途をサポートする、完全なシステムに組み込まれることができる。
【0068】
図8に図示されるように、チップベースのセンサアレイ構成は、好適な入出力ピン83(ギャップの反対端で、ソース電極およびドレイン電極の端部上の小型ブロック形状として図示される)とともに、半導体チップ82上のアレイに構成される分子電子センサ81を含んでもよい。そのようなチップの典型的寸法が、1mmスケールとして示される一方で、センサの寸法は、10nmスケールに縮小される。アレイアーキテクチャはさらに、拡張可能であり、共通回路設計に基づいて、チップが数百~数千から数百万~数十億個のセンサを備えることを可能にし得る。I/Oピンおよびアーキテクチャは、集合に対する電子制御、およびセンサの較正、およびその排除またはリセット、ならびに高いフレームレートで並行して効果的に読み取られることができるように、センサ信号の高速サンプリングおよび読出をサポートする。
【0069】
高レベルシステムの実施形態は、
図9に示される一般的形態を有する。図示されるように、マザーボードは、好適なフローセルに入れられ、液体移送システムに接続されたチップを収納する。チップからのデータは、高速整理のために一次データ処理ユニットに、および潜在的に、さらなる整理のために第2のそのようなプロセッサに転送される。そのようなプロセッサは、種々の実施形態では、FPGA、GPU、またはDSPチップのうちのいずれか、もしくはカスタムASICチップ、またはマルチコアCPUを備えることができる。本初期データ処理後、整理されたデータは、さらなる処理のためにCPUにパスされた後で、高速短期記憶バッファ、優先的には、ソリッドステートドライブメモリ、次いで、長期記憶装置の中に記憶されるとともに、さらなる処理のために補助コンピュータに転送されるか、または別のコンピュータもしくは記憶サーバに転送される。
【0070】
図9は、例示的チップベースの分析器システムを図示する。センサアレイチップは、サンプルの効率的分析をサポートするシステムに統合される。そのようなシステムの例示的実施形態が示され、センサへのサンプルおよび試薬の導入を制御するポンプならびに弁を備え得る、液体取扱いシステムと、第1の信号プロセッサと、随意に、第2の信号プロセッサと、ソリッドステート高速記憶バッファと、少なくとも1つのシステムCPUとを備える。種々の側面では、1つまたはそれを上回る信号プロセッサからのデータは、CPUベースの処理のために必要に応じて短期記憶装置、および示されるようなオンボード大容量記憶デバイスの中等の長期記憶装置を用いて、高速バッファを通してバッファリングされてもよい。本システムはさらに、示されるようなダイナミックランダムアクセスメモリデバイス(DRAM)を備えてもよい。CPUベースの処理は、センサデータを整理および/または別様に処理してもよい。補助コンピュータは、システムを制御するため、およびデータをオフシステム記憶デバイスまたはクラウドに転送する能力を有するとともに、ユーザインターフェースを提供するために使用されてもよい。データは、さらなる分析の目的のため、および/または報告のために、システムから転送されてもよい。
【0071】
種々の側面では、統合システムは、オンボード機能性を限定し、種々の重要機能で統合することによって、高度にコンパクトであり得る。そのようなコンパクトなシステムの実施例が、
図10に示され、サンプル調製は、システムに統合されており、全ての重要システム機能は、1つのマザーボード上にあり、センサデータをシステムからサーバに、またはクラウドベースの記憶リソースに移動させる無線/セルラーデータ転送がある。そのようなコンパクトな統合システムは、デスクトップシステム、モバイルシステム、携帯用システム、使用地点、ハンドヘルド、またはウェアラブルシステムを可能にする。それらはさらに、多機能器具内、空間内、または生体内の埋込使用のために要求されるであろうようなプラットフォームの極端な小型化を可能にする。
【0072】
図10は、よりコンパクトな形状因子および統合ワークフローを提供する、統合システムとして例示的コンパクトチップベースの分析器システムを図示する。そのようなシステムは、外部機器の必要性を最小限にし、ワークフローを自動化するため、また、オンシステム電子機器、計算、および記憶の必要性を最小限にするため、ならびにシステムをより可搬性にし、他の手段および機能を果たすより広範なシステムに埋込可能にするため等、統合サンプル調製および無線データ転送を有してもよい。
【0073】
統合システムに関して、液体取扱いのためのポンプシステムの代替物は、例えば、
図11に示されるようなチップ浸漬システムである。本システムでは、依然としてデータを送受信しながら、チップが連続暴露のために要求される異なる溶液の浴の間で物理的に移動されることを可能にする、メインマザーボードに戻るデータ転送接続を伴って、チップは、ミニマザーボード上に分解される。例えば、一連の1つまたはそれを上回る溶液は、DNAシークエンシングの用途ではチップセンサ表面に暴露される必要がある。
図9に示されるようなチップを包み込むフローセルの中へのそのような溶液の連続送出とは対照的に、チップは、代わりに、要求される各溶液の中へ浸漬され、
図11に示されるように、そのような溶液の間で機械的に移送される。これは、必要暴露を行うことの速度の増加のための溶液のより速い交換、ならびに各暴露後に廃棄物として排除されないため、緩衝液のより経済的な使用という利点を提供する。他の実施形態では、データ転送接続は、高速データ転送プロトコル(リボンコネクタもしくは同軸ケーブル等、またはより具体的には、Infiniband、SCSI、ギガビットイーサネット(登録商標)、もしくは10ベースTデータ転送方法とともに使用されるケーブル等)、または無線/セルラー通信リンクおよび関連高速無線プロトコル(Wi-FiもしくはBluetooth(登録商標)等、または具体的には、IEEE802.11-B/G/N/AC/AX無線プロトコル、もしくは3G、4G、LTE、またはWi-Maxセルラー通信プロトコル等)をサポートする、可撓性電気ケーブルである。
【0074】
図11は、例示的高効率浸漬液体取扱いシステムを図示する。可動ミニボード上に構成されたセンサチップを用いると、これらのチップは、所与の処理用途のために要求される異なる溶液の中への自動浸漬を受ける。これは、サンプルのより急速かつ効率的な処理のために、溶液への超高速暴露、溶液の急速交換、および緩衝液の節約を可能にする。そのような溶液はまた、エネルギー効率的な急速温度サイクリングのために異なる温度にあり得る。ミニボードは、可撓性ケーブルまたは無線接続を通してメインボードに接続されてもよい。
【0075】
ここで
図12を参照すると、チップは、その間でCMOSプロセスが電子機器の大部分または全てに使用される、プロセスの階層を通して製造されることができる。実施形態では、
図14から25に図示されるように、そのようなチップは、電力、タイミング、論理制御、読出、およびチップ上/外のデータの処理ならびに転送(入出力またはI/O)をサポートする、センサ回路アレイアーキテクチャを有する。回路のこの層は、好ましくは、既存の半導体製造インフラストラクチャを活用するために、CMOSプロセスを使用して製作される。この層の上には、
図6および7に示されるように重要ナノ電極が配置される。本プロセスは、ナノメートルスケールで、好ましくは、20nmまたはそれを下回って、好ましくは、10nmまたはそれを下回って、電極およびギャップならびに接触特徴を作製することを伴った。好ましい実施形態では、これらの電子要素はまた、そのように適切に定寸された特徴を生産することが可能である、16nm、好ましくは、14nmまたは10nmの製作ノードに依拠する、CMOSプロセスを通して、完全または部分的に作製されるであろう。CMOSで製造可能ではないデバイスのパーツは、他のナノリソグラフィ方法によって、好ましくは、フォトリソグラフィの短波長または位相シフトマスクもしくは多重パターン化方法、またはナノインプリントリソグラフィのいずれかによって、作製されることができ、そのうちのいずれかは、電子ビームリソグラフィまたはイオンビームミリングよりも平行なパターン化を提供する。
図6および7に図示されるデバイスの最終側面は、分子構成要素である。これらは、好ましくは、荷電分子および/または溶液の局所イオン状態に影響を及ぼすように、特殊材料接点によって指向または増進される、溶液相処理における分子自己集合の手段を使用して、また、好ましくは、ゲート電圧もしくはソース-ドレイン電圧等の電子要素の電圧制御の使用を通して、確立される。
【0076】
図12は、チップ生産の例示的処理段階を図示する。完成したチップは、主要製作段階を要求し、大部分は、好ましくは、アレイおよびセンサ回路、潜在的には、ナノ電極製作等のCMOS製作によって達成される。電極製作は、次いで、多様なナノリソグラフィ方法のうちのいずれか1つ、好ましくは、ナノインプリントリソグラフィによる、さらなる処理を要求し得る。分子構成要素は、チップ電子回路を利用する、電圧増進型自己集合プロセスを含み得る、自己集合技法によって確立される。
【0077】
ナノ電極およびナノ接点の製作は、電極レイアウトの非常に単純なパターン化、および最小規模の特徴、ナノ接点、ならびにナノギャップのための単純なパターン化の使用を通して等、CMOSプロセスに適合させられることができる。具体的には、ナノギャップは、
図13に示されるように、長い直線状パターン特徴の一部、およびナノ接点パターン特徴のための円であるように整合されるはずである。好ましい実施形態では、ナノギャップは、多くの電極対に跨架する単一の直線状の溝としてパターン化されるであろう。別の実施形態では、接点は、複数対のスポットまたはディスクとしてパターン化されるであろう。
【0078】
図13はさらに、最小次元/高分解能特徴が、高分解能フォトリソグラフィパターン化および種々の他のパターン化方法の最高分解能モードに適合する、単純な形状131(例えば、ラインまたはドット)を有するはずであることを図示する。ここで、具体的には、電極ギャップ132は、多くの電極を横断する長い直線状特徴となるはずであり、ナノ接点は、点様またはスポット様パターン化133に基づくはずである。
【0079】
ここで
図14を参照すると、チップは、センサ要素が「センサピクセル」のアレイに編成される、詳細なアーキテクチャに基づく半導体チップ等のピン配列を伴う標準パッケージングを備えてもよい。
図14は、センサアレイチップアーキテクチャの実施形態を図示する。好ましい実施形態におけるチップは、センサアレイ、行および列セレクタならびにデコーダ、タイミング、制御、電力、およびアナログ信号処理またはアナログ・デジタル信号処理のためのサブシステム、ならびにI/Oを含む、CMOS撮像装置チップのために十分に開発された要素を活用する、アーキテクチャを有する。CMOS撮像装置チップ等のチップ上で一般的に使用される、組織の他の要素が存在するが、そのような標準特徴は、好ましくは、チップ用途のために要求されるリアルタイムサンプルレートおよび信号強度をサポートする回路設計を含む。
【0080】
そのような用途に関して、全てのピクセルは、少なくとも10Hz、好ましくは、少なくとも100Hzの周波数において、より好ましくは、1kHzにおいてサンプリングされる必要があり得る。そのような用途は、10kHZ、100kHz、および1MHzでさえも、サンプリングを要求する。加えて、
図6および7のセンサ内の基本的電流レベルは、1ピコアンペア~1-ナノアンペア範囲内であってもよく、サンプリング回路は、これらの低い電力も同様にサポートするように設計されなければならない。いくつかの好ましい実施形態では、ピクセルは、かなりの割合の時間にわたって電流/電圧信号を蓄積することできなければならない。すなわち、それらは、過剰に「閉鎖」され、潜在的にリアルタイム信号特徴を逃すことができない。好ましくは、それらは、リアルタイム信号の主要側面を逃すことを回避するように、時間の少なくとも50%にわたって、好ましくは、時間の少なくとも80%にわたって、いくつかの用途では、時間の95%を超えて、電流ベースのデータを収集する。種々の実施形態は、時間のほぼ100%で情報を収集して保持するピクセルを提供してもよい。基本回路は、これらの要件をサポートするように特別に設計されなければならない。
【0081】
種々の側面では、そのようなチップのためのセンサピクセル設計は、そのようなチップ内のセンサピクセルとしての実施形態を可能にし、また、そのようなチップチップ製作、すなわち、そのようなプロセスによって効率的に製作されることができる限定された範囲の回路要素への接着のために、CMOSプロセスの使用を可能にする、以下の一連の回路アーキテクチャ構造および拡張を通して、
図6および7等の一次センサに基づく。
【0082】
センサアレイとしての展開に関して、
図4、5、6、および7に示されるような基本センサデバイスは、読出ラインによってアクセス可能な読出電圧を伴って、基本測定回路に埋め込まれなければならない。
図15は、基本センサ測定回路の2つの実施形態を図示する。センサ要素は、ある実施形態では、電流収集コンデンサまたは分圧抵抗器に対して出力電圧を規定する、基本測定回路に埋め込まれる。そのような基本アーキテクチャは、アレイアーキテクチャをサポートするとともに、測定の品質および信号対ノイズ比を増進するように、付加的回路を用いて増強される。好ましい実施形態では、これらのアーキテクチャは、集積半導体回路、具体的には、CMOS回路で実装される。
【0083】
図15の1つの形態では、コンデンサが、センサ電流を収集し、読出電圧に変換するために、駆動ソース-ドレイン電圧と直列に追加される。他の好ましい形態では、抵抗器が、代わりに、センサ電流を読出のための電圧に変換するために直列に置かれる。CMOS半導体製作に適合するために、そのような容量または抵抗要素は、異なってドープされた領域の間のトランジスタまたは接合点を使用して、CMOS内のそのような要素のための標準であるように実装されてもよい。例えば、示される抵抗器は、一般的な抽象回路要素を集積回路およびCMOSデバイスに変換することの標準実践によると、コンデンサであり得るように、トランジスタとして実装され得る。加えて、コンデンサまたは抵抗器のパラメータは、種々の用途でそのようなデバイスのために要求される電圧および電流レベルとの適合性のために選定されなければならない。これらのパラメータは、0.1~10ボルトの範囲内等の電圧、および1ピコアンペア~1ナノアンペアの範囲内の電流を含む。ある場合には、電流レベルは、1フェムトアンペアほども低くあり得る。典型的には、0.1kHz~100kHzの範囲内である読出周波数もまた、容量および抵抗要素のための要件を判定する。
【0084】
基本測定回路は、好ましくは、センサアレイ内のピクセルとして果たすように要求される機能性を有する、回路に埋め込まれる。そのようなピクセルは、測定電圧の出力のための導電性ライン、ならびに限定数の出力ラインを通してどのピクセル電圧読み出されているかを判定するとともに、読出事象の合間に測定回路をリセットすることを潜在的に制御する、導電性制御ラインのアレイの中へ結合されるものである。
【0085】
図16は、出力(読出)ラインから測定回路を隔離し、それによって、信号品質を改良するために、
図15の基本測定回路への読出スイッチ(トランジスタ)の追加を図示する。
【0086】
図17は、センサピクセルのためのセンサ回路の代表を図示する。本例証は、そのようなセンサピクセルがアレイ回路アーキテクチャに統合される方法の理解を促進するように、局所分子センサ回路の詳細を包含する。ここで、基本センサピクセルは、読出ラインと、測定回路を駆動する給電電圧とを有する。
図16のアレイ回路内の一般的変換要素は、そのような特定の測定回路のうちのいずれか、ならびにそのような変換を達成するように追加され得る他の回路を表すと理解される、
図17で使用されるような信号・電圧変換器記号を使用して、説明されることができる。変換を達成する他の回路は、p-n接合点ダイオードまたは障壁等の付加的トランジスタまたはダイオード回路もしくは半導体プロセス特徴、または信号対ノイズ比を改良する、ドーピングもしくは歪みおよび同等物の他の望ましい変化を含むが、それらに限定されない。全てのそのような技法は、より単純かつ効率的にアレイ回路アーキテクチャを説明するための本一般的回路記号内の実施形態である。
図18は、付加的局所回路詳細の実施例を図示する。これらの特定の実施形態はさらに、電圧測定を行うことに先立って規定された初期電圧を設定するために使用されるリセットスイッチ/トランジスタの追加を伴って、
図15および16の局所センサ回路の性能を増進する。そのようなリセットスイッチは、アクティブ化されたとき、必要に応じて任意の貯蔵された電荷を放出することによって、既知の参照レベルまで測定点における電圧をリセットする。これは、既知の参照状態を提供し、測定された信号値からのノイズまたは電圧ドリフトを識別または減算する能力を改良する。
【0087】
図19は、センサピクセルのためのセンサ回路の代表を図示する。本例証は、
図17に例示される局所センサ回路の詳細を包含するが、ある実施形態では、センサピクセルが、リセットスイッチおよび読出スイッチ、ならびにピクセル動作を駆動する電圧を有することを教示する。ピクセルアレイアーキテクチャを説明する目的のために、
図19に例示されるようなアレイ回路は、同時に、そのような特定の測定回路のうちのいずれかを表すと理解される、
図17に示される形態の信号変換要素を使用して説明されることができる。
【0088】
図20は、センサピクセルのための基本アレイアーキテクチャの実施例を図示する。この場合、基本ピクセルは、ピクセルを活性化させる行選択ラインおよび出力電圧を獲得する列読出ラインと統合される。本実施形態では、行選択ラインの信号は、ピクセル測定回路を活性化させ、そのピクセル列のための読出ライン上で有効測定信号を出現させ、それによって、ライン上のそのピクセルから読出信号を提示する。本実施形態は、アレイ状センサピクセルを達成するために要求されるトランジスタの数を最小限にし、これは、チップ上の面積の単位につきより多くのセンサを有する能力に有利となる。ピクセルあたりのトランジスタの総数は、概して、検討中の製作またはプロセスのための関連設計規則に基づいて、空間限界およびトランジスタサイズ限界があるため、おそらく所与のチップ面積上で製作されることができるセンサの数を限定し得る。したがって、いくつかの実施形態では、ピクセルあたりのトランジスタ数を最小限にすることは、重要な回路設計目標であり、概して、特定のアレイアーキテクチャのための最大ピクセル数スケーリングを達成するために、設計において重要な考慮事項である。
【0089】
図21は、センサピクセルのための付加的な例示的基本アレイアーキテクチャを図示する。本構成は、読出を制御するように行選択を配線し、読取りのために選択されていないときにセンサ隔離を提供することによって、
図20に例示されるアーキテクチャを拡張する。行選択ラインが、列読出のためのスイッチを制御し、ピクセルが、行選択信号とは別個に活性化される、ピクセルアレイの中へ上記のセンサピクセルデバイスを結合することへの本アプローチは、より堅調である。これは、ピクセルの測定性能から信号出力をより良好に隔離し、信号品質を改良する。本実施形態では、ピクセルは、常に、活性化され、行選択ライン上の信号は、そのピクセルからの読出信号をラインに提示するスイッチ(トランジスタ)を入れるであろう。ある実施形態では、これは、アレイ内のピクセルセンサ要素毎に付加的トランジスタスイッチを要求する。本トランジスタ数増加は、望ましくないが、より情報を提供する信号を達成するためのトレードオフである。種々の実施形態では、そのようなスイッチ/制御トランジスタは、チップアレイ面積の単位につきより多くのセンサに適合されることができるために、プロセスのための物理的設計規則の限界において、可能な限り小さく作製されるべきである。他の実施形態では、そのようなスイッチは、電力消費量、ノイズ、またはドリフトを低減するように設計され得るで。
【0090】
ここで
図22を参照すると、センサピクセルのための基本アレイアーキテクチャの実施形態が図示されている。本構成は、ピクセルの行が読取り後に既知の状態にリセットされることができるように、行リセットラインを含むことによって、
図21のアーキテクチャを拡張する。これは、行内の全てのピクセルが読み出された後にリセットされることができるように、行に沿って付加的リセットラインがある、ピクセルアレイの中へ上記のセンサピクセルデバイスを結合することのより堅調な手段である。
【0091】
図23は、センサピクセルのため、具体的には、ピクセルアレイの中へ上記のセンサピクセルデバイスを結合するための別の好ましい基本アレイアーキテクチャを図示する。本実施形態は、行選択ラインと併せて、リセットを制御する列ラインを備える。本構成は、読取り行に沿ったピクセルが独立してリセットされることを可能にし、それによって、ピクセルがアレイの中で読み出されてリセットされるときの時間順序のさらなる柔軟性を可能にする。構成はまた、個別にアドレス指定可能なピクセルも可能にする。
【0092】
図24は、センサピクセルアレイのための全体的チップアーキテクチャと、行選択ラインおよび列読出ラインのアレイ(例えば、
図20-23に示される局所ピクセル接続)がより高いレベルチップアーキテクチャに関連する方法とを図示する。これらの高レベルアーキテクチャの要素は、CMOS撮像装置センサアレイで使用されるものに類似する。ここで、主要機能ブロックは、行選択および読出プロセスを制御する。さらに、タイミング、制御論理、電力、および他の一般的チップ機能のためのブロックがある。本特定の実施形態では、行ラインは、回路アーキテクチャ内の列ラインと交差しない。
【0093】
他の実施形態では、センサに特定の参照電圧を供給し得るもの等のCMOSチップの他の層で実装される付加的制御ライン、ならびにこれらへのアクセスを制御する適切なラインおよび論理が存在し得る。本付加的アーキテクチャは、センサチップ性能もしくは制御において役割を果たすことができるか、またはセンサの指向された分子自己集合のために要求される電圧関連処理をサポートすることができる。さらに、種々のナノ製作技法は、電圧指向様式で材料のナノスケール電着を指向するため等に、ナノ電極に印加される電圧を要求し得、本付加的アーキテクチャは、ここでも同様に支援することができる。したがって、これらの利点を見ると、CMOSチップは、多くの場合、そのようなチップ全体の必要性をサポートするラインレイアウトの最大10またはそれを上回る層を有し、これは、センサアレイチップのためのアレイ全体の必要性を達成する同様の好ましい手段でもある。
【0094】
図25は、
図24のチップが、フローセルの中の最終パッケージング化に適合する様式で、データI/Oピン配列を用いて標準パッケージングに統合される方法を示す、パッケージ化されたセンサアレイチップを図示する。本実施形態では、半導体チップは、信号処理、データ転送、および記憶のための他のシステムレベル電子機器とインターフェースをとるために、標準回路基板ならびにコネクタ内で使用するためのピン配列へのインターフェースを提供するパッケージングの中に搭載されるように、パッケージ化されるべきである。これは、より大型の電子処理システムへの統合と、そのようなシステム内の標準電子コンポーネントの使用とを促進する。本一意の種類のセンサピクセルと組み合わせられた、センサアレイ形式およびチップは、1つまたは複数の被分析物を特性評価するための新規用途ならびに方法を可能にする。ここで、以下は、これらのアレイベースの方法および用途に対処する。
【0095】
超並列シークエンシング方法
【0096】
図26に示されるDNAシークエンシングの特定の実施形態では、プローブは、相補鎖の合成のために好適にプライミングされた一本鎖部分を有する、テンプレートDNA分子に結合されるポリメラーゼ酵素を含み、相互作用標的は、酵素・DNA複合体のための基質である。プライム一本鎖DNAテンプレートの伸長は、好適な緩衝液中のヌクレオチド三リン酸(dNTP)によって供給される。図示される取り込みプロセスは、測定された電流トレースの中で対応する識別可能な特徴を生成する、ヌクレオチドAの取り込みである。ここでの相互作用では、dNTPは、重合されるか、または成長する相補鎖に取り込まれる。センサ信号は、ここで、塩基取り込み事象を信号スパイクとして識別してもよく、また、どの塩基が取り込まれるのかを区別することもでき、そのような信号は、順に、DNA配列を判定する種々のシークエンシング化学の根拠を提供することができる。
図26に記載される実施形態では、信号は、異なる塩基の間で完全に区別し、したがって、DNA断片の塩基の配列が、推定されることができる。これは、異なるDNA分子が各部位で読み取られる、そのようなチップ上で超並列形態において行われることができ、これは、
図9および10に示されるシステムレベル処理と組み合わせられたとき、超並列DNAシークエンシングシステムを作製するための根拠を提供する。チップベースのセンサアレイは、単離されたセンサ、またはセンサのあまり統合されていない集団によって得られるものを超えた、新しいレベルの経済性および製造可能性を本プロセスに提供する。類似方法が、DNAポリメラーゼ酵素ではなくてRNAポリメラーゼ酵素をプローブとして使用することによって、RNAシークエンシングのために達成される。
【0097】
ターミネータシークエンシング
【0098】
別の実施形態では、シークエンシングに関して、チップは、
図27および28に示されるように、効率的なターミネータシークエンシングを行うために使用されることができる。
図27は、単一塩基ターミネータのみ、すなわち、ジデオキシアデノシン三リン酸終止(ddATP)が所与の反応で使用される、ターミネータシークエンシングの実施形態を図示する。本モードでは、反応が終了するとき、問題になっている塩基が、A、すなわち、ターミネータであり、取り込みスパイクの数のカウントが、テンプレート内の本Aの位置をもたらすことが含意される。複製テンプレートを用いてAについての多くの実行を繰り返すことは、テンプレート内の全てのAの場所を無作為に判定し、それぞれ、他のターミネータ塩基C、G、Tについて類似する一連の実行を行うことは、テンプレート内の全てのこれらの塩基の個別の場所を判定し、それによって、配列全体を判定する。
図27で具現化されるシークエンシングでは、各個々の取り込み事象が、離散スパイクまたは特徴として信号に存在すると仮定される。そこに示されるように、プライム構成は、(詳細に調べられるべき塩基、例えばAについて)特異的な特定の対応するジデオキシターミネータ(例えば、この場合、ddATP)を加えた、4つ全ての塩基dNTPの混合物を含有する溶液に暴露される。本溶液への暴露に応じて、ddATPターミネータが取り込まれる時点まで、取り込みのスパイクが結果として生じ、その時点後に、取り込みスパイクが止まる。ターミネータ塩基は、特徴的に典型的スパイクを生じる場合もあり、生じない場合もある。
図27は、それが特徴的に生じない場合を具現化する。そのような通常の取り込みスパイクの結果として生じる数は、ターミネータAが位置した塩基場所を判定する。これの所与の実現において、該場所は、ddATP対dATPが任意のそのような部位で取り込まれるかどうかという無作為事象に依存して、テンプレートに沿って可能性として考えられる全てのA取り込み場所の間で無作為に選択されている。本反応が複製テンプレートを装填されたセンサチップアレイ上で行われるとき、テンプレート内の該塩基の場所の無作為にサンプリングされたセットが、超並列様式で、全てのアレイピクセルのセンサアレイ出力信号列から取得され、高い統計的信頼度で、これは、十分に多くの読取りがチップセンサから取得される限り、テンプレート内の該A塩基の全ての場所を網羅する。これは、センサアレイが、DNAテンプレートの長さよりも実質的に多くのセンサを含有する場合、および全ての長さの停止された断片が全体的実験実行において複数で生成されることが予期されるように、ターミネータヌクレオチドの適切な割合が使用される場合に、当てはまる。したがって、1つのそのようなチップ実行は、断片内の全てのA塩基の場所を確実に判定する。他の塩基のために他のチップを実行することは、したがって、配列全体を判定する情報を提供する。
【0099】
図28は、断片の全ターミネータシークエンシングが、4つの単一チップ実行からのデータの処理を通して達成されるように、A、C、G、およびTのそれぞれに1つずつ、4つの別個の反応が実行される、ターミネータシークエンシングのさらなる実施形態を図示する。この場合、着目複製テンプレートが、示される各チップの中へ装填され、全てのA終止データが、
図28の上の一連に示されるように、C、G、およびT終止反応について同様に、平行センサアレイ上の1回の実行から蓄積され、それぞれからの単一塩基結果が、問題になっているテンプレートの全配列を判定するように(
図28の下で)蓄積される。
【0100】
図9に示されるような完全センサシステムとの関連で、本システムは、マザーボード上に4つのチップを備えてもよく、これら4つのチップは、
図28に示されるように、液体処理システムの溶液を通して導入されてもよい。そのようなシステムは、4つのチップからのデータ処理をサポートする。各チップは、いったんプライムされたテンプレートを用いて完全に確立されると、dNTPおよびddXTPの単一の溶液のみを要求し、Xは、(A、C、G、Tのうちから)調べられるべき個別の塩基である。データは、各チップから収集されて処理され、次いで、根底にあるシークエンシングを判定するように組み合わせられる。ある場合には、最も可能性の高い根底にある配列が、信号分析を混乱させる任意の種類のノイズがあるとき等に、観察されたデータに基づいて判定される。
【0101】
要求されるセンサの数の判定
【0102】
要求されるセンサの数は、断片長および非ターミネータへのターミネータの混合の関数である。例として、テンプレート長が、L=100個の塩基であり、本テンプレートが、複製においてアレイ内のNs=10,000個のセンサに供給され、溶液中のddATP対dNTP比が、任意の所与のAにおいて取り込まれるddATPの確立がf=1%(理想的には、取り込みバイアスを無視して、f=dATPの濃度に対するddATPの濃度)であるような場合には、基本統計学に基づく、テンプレートN[A,i]内の特定の場所iにおけるAについて知らせるであろう、読取りの期待数は、ほぼ以下のように求められる。
【0103】
N[A,i]=NsfExp[-m[A,i]f]
【0104】
m[A,i]は、テンプレート内の位置iの前に生じる非A塩基の数である。
場所iにおけるAの本期待読取り数は、配列の端部で最小であり、i=Lであり、全ての塩基の約3/4がAではない、典型的配列組成を仮定すると、(ある軽微な書き直しを伴って)ほぼ以下である。
【0105】
N[A,L]=(Ns/L)(Lf)Exp[-(3/4)(Lf)]
【0106】
u=Lf、C=(3/4)である、本式の後半部分uExp[-Cu]は、1のオーダーである数量であり、最大値Exp[-1]/Cを伴ってu=1/Cである場合に最大限にされ、またはここでは(4/3)Exp[-1]=0.50であるようにLf=4/3であり、その場合、ターミネータの本最適濃度において、本実施例では、f=(4/3)1/L=1.3/L=1.3%であり、テンプレートの端部の近傍のAの期待観察数は、以下である。
【0107】
N[A,L]~0.5x(Ns/L)
【0108】
N[A,L]>>1であることが必要とされるため、次いで、Ns>>Lであり、すなわち、センサの数は、配列決定されているテンプレートDNAの長さよりもはるかに大きい。定量的に、期待される10回、各A場所を観察することが望ましい場合には、以下であることが必要とされる。
【0109】
Ns~20xL
【0110】
または、L=100個の塩基断片に関して、断片内の全てのA場所、特に、端部におけるものの少なくとも10回の観察の期待を得るように、Ns=2,000個のセンサである。したがって、例えば、古典的ターミネータシークエンシングを導入する際に(スラブゲル上で)サンガーによって行われた当初のPhiXゲノムシークエンシングのセンサチップバージョンを行うために、それが5,386個の塩基を伴うDNAテンプレートであるため、Ns~110,000個のセンサアレイを必要とするであろう。この場合に使用されるターミネータの濃度は、約f=(4/3)1/5386=0.00025(または0.025%)であろう。
【0111】
さらに、本詳細な分析から、このようにして配列決定されることができるテンプレートの長さが、主にセンサの数によって限定される一方で、古典的サンガーシークエンシングは、ゲル分離システムの断片サイズ分解能限界によって最も限定されることに留意されたい。例えば、長範囲PCRは、L=50,000である、長さが最大50kbの複製テンプレートを生成することができ、これらは、その全長を横断することに先立って、テンプレートを解放する傾向がない限り、ポリメラーゼの処理速度を考慮して1時間以下で、100万個のセンサのアレイを用いて読み取られ得る。そのような断片は、古典的ターミネータシークエンシングプロセスによって読み取られることができなかった。別の好ましい実施形態では、長い断片はまた、全ての読取りがチップ上でセンサポリメラーゼをプライミングするために使用される初期プライミング部位に対するものであることを考慮して、それぞれ、異なるチップ反応で複数のプライミング部位を使用することによって、本チップ方法で読み取られることができる。
【0112】
さらなる実施形態では、ある検出可能な信号またはシグネチャによってプライマと区別する、調べられるべき区域の異なるDNA断片に一意に対応する、複数のプライマが使用される。これは、各センサが、存在する特定の局所プライマを識別し、それによって、調べられているDNA配列区域を識別することも可能にする。そのようなプライマは、したがって、単一の反応に多重化されることができる。具体的には、1つの好ましい実施形態では、長い断片が、断片に沿って複数のプライマを使用して、並行して調べられることができる。別の実施形態では、個別のプライマのプールによって増幅される複数の複製断片のプールが、プライマ識別教示に従って調べられ、デコンボリューションされることができる。したがって、そのような方法は、PCR生成物のパネルの多重シークエンシングに使用され、プールされたDNA混合物として提示され、関連プライマプールで増幅されることができる。これは、具体的には、断片のセットの(PCRによる、または別様の)多重捕捉から成るアッセイの可能性を可能にし、その後に、
図28に示されるように、4つの1チップ反応のみを使用して、チップ上の多重ターミネータシークエンシングが続く。他の実施形態では、プライマは、問題になっているセンサにおいて配列決定されている断片を判定することを支援する、検出可能な標識を含有してもよい。別の側面では、プライマは、定位置にプライマを伴うセンサアレイに対する一連のハイブリダイゼーション反応によってデコードされる、組み合わせのハイブリダイゼーションコードを含有する、尾部配列を含有してもよく、ハイブリダイゼーション結果は、測定可能であり、関連センサによって測定される。そのようなデコードプロセスに使用されるハイブリダイゼーションオリゴは、いくつかの実施形態では、デコードハイブリダイゼーション反応においてそれらの検出および鑑別を増進する基で修飾されることができる。一実施形態では、プライマ上のそのような尾部は、各符号語が、オリゴ上のN個の高度に区別可能な標識に依拠する、N個のオプションのセットに由来する、一連の6個の10量体符号語を構成する、60量体DNA配列であろう。これは、N^6プライマのコード化を提供し、6つだけのハイブリダイゼーション反応でデコードされる、数百から数百万のプライマを容易にコード化し得る。デコードの正確度を向上させるか、または誤ったデコードを拒否するように、符号語の組み合わせ(「パリティビット」等)に一貫性制約を採用すること等のエラー検出および訂正コードの使用を含む、尾部ならびに符号語の長さに基づく、これの多くの一般化が可能である。
【0113】
超並列ハイブリダイゼーションアッセイ
【0114】
そのようなセンサアレイのための別の適用の分野は、
図29、30、および31に示されるように、超並列ハイブリダイゼーションアッセイの分野内にある。そのようなアッセイは、歴史的にDNAマイクロアレイ技法を使用して行われている。DNAマイクロアレイでは、スライドガラス基板上に堆積させられる各プローブスポットは、同一のハイブリダイゼーションプローブの多くのコピーを含有し、ハイブリダイゼーションのアナログまたは連続的測定を提供する。そのようなスポットは、大型アレイレイアウトに編成され、典型的には、標識標的材料の蛍光撮像が、アッセイから信号を取得するために使用される。本発明は、そのような古典的手段と比べていくつかの改良を可能にする。代わりに、そのようなアッセイは、完全電子処理を使用して、組み込まれた個々のハイブリダイゼーションプローブからの結果のデジタル読出のために、超並列単一分子形態で行われる。単一分子デジタル読出は、個々のハイブリダイゼーション事象の直接計数を通して、信号の急速デジタル定量化を可能にすることができる。
図29および30に示されるように、本用途のためのプローブ分子は、典型的には、溶液中でセンサに暴露される相補的一本鎖にハイブリダイズするために利用可能である、一本鎖DNAまたはRNA分子(拡散模倣物LNAまたはPNA等の天然もしくは修飾)を含む、核酸ハイブリダイゼーションプローブを含む。センサは、適切なハイブリダイゼーション事象が起こったかどうかを示す信号を生成する。1つの好ましい実施形態では、信号レベルは、適切なハイブリダイゼーションを示す、期待較正レベルにあることができる。本一般的アッセイ形式は、参照ゲノム上の部位を表すプローブに対するプール内の断片のマッピング、SNP遺伝子型決定、遺伝子発現分析等を含む、DNAマイクロアレイを使用して古典的に行われる、同一分野への用途を有する。本実施形態の一意の重要な特徴は、それが単一分子であるため、存在する異なる単一分子ハイブリダイゼーション事象の直接デジタル計数を伴って、混合サンプルのプールからの信号をデコンボリューションできることである。これは、特に、SNP遺伝子型決定に関連性がある。これは、混合サンプルが生じ、存在する全ての異なる遺伝子型をカタログ化し、総量を定量化することが望ましい、科学捜査での使用をサポートすることができる。電子チップベースの形式はさらに、
図10に示されるもの等の携帯用システム実施形態を使用するときに、そのようなシステムの使用地点および携帯用現場用途を一意に可能にする。
【0115】
図29は、付着した酵素の代わりに、分子センサ内のDNAハイブリダイゼーションプローブの使用、および電流等の回路パラメータを監視することによるハイブリダイゼーションの検出の実施形態を図示する。ハイブリダイゼーションは、異なる電流レベルによって示される。1つの好ましい実施形態は、プローブの中に位置するビオチン化塩基を介して、DNAハイブリダイゼーションプローブをストレプトアビジン291に結合するものである。本形態のプローブおよび検出測定は、複製テンプレート分子に対する情報を提供するプローブのセットを使用して、多くのそのような測定を集約することに基づく、ハイブリダイゼーションによるシークエンシングをサポートする。
【0116】
図30は、プローブが架橋分子の全体または一部を形成する、センサにハイブリダイゼーションプローブを組み込むことの種々の代替実施形態を図示する。一実施形態では、プローブを含有するDNAは、金接点およびDNA中のチオール化ヌクレオチドを伴って、金・チオール連結を使用して接点に結合される。
図30は、そのようなハイブリダイゼーションプローブがDNA架橋分子の全体または一部として構成されることができる、3つの異なる方法30a、30b、および30cを図示する。これらのプローブのバリエーションは、図示されるように、一本鎖または二本鎖DNAである場合等のDNA架橋分子の性質に基づく。下の事例では、ハイブリダイゼーションプローブ30cはさらに、追加ストリンジェンシーのために標的を用いて競合ハイブリダイゼーションを設定するように、根底となるDNAに部分的にハイブリダイズすることができる。電子センサ信号を介した、ハイブリダイゼーションなしまたは不完全なハイブリダイゼーションと対比したハイブリダイゼーションの検出が、以下に示される。
【0117】
図31は、デジタルハイブリダイゼーションアッセイを図示する。各センサは、測定された信号に基づいて、個別の分子ハイブリダイゼーションプローブが適切なハイブリダイゼーション標的を見出したかどうかという2進測定を提供する。
【0118】
図32は、ハイブリダイゼーションの電子加速およびハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに対する電子制御を図示し、センサ電圧制御がハイブリダイゼーションアッセイを増進するために種々の方法で使用されることができる方法を実証する。1つの方法は、典型的には負に帯電したDNAまたはRNA標的を溶液中のセンサに引き付け、それによって、標的DNAまたはRNAの局所濃度を大いに増加させ、ハイブリダイゼーション動態を増加させるためのゲート電圧もしくはソース-ドレイン電圧等のセンサ電圧の使用である。これは、ハイブリダイゼーション反応動態を加速し、したがって、検出反応プロセスを加速するため、およびセンサ部位で濃縮されるためアッセイに入れられる標的DNAの量を大いに低減させるための両方で、使用されることができる。また、
図32に示されるように、逆転電圧が、そのような標的断片に反発することができ、これは、不適切に対合したハイブリダイゼーション(直接不一致、不適切な対合、交差ハイブリダイゼーション、非特異的ハイブリダイゼーション)に対して選択し、またはそれを排除し、完璧に対合したハイブリダイゼーションのより高いエネルギー結合のために選択するストリンジェンシーの形態を提供することができる。したがって、これは、適切対不適切なハイブリダイゼーションの測定エラーを低減させる。そのような電圧を掃引することによって、対合の性質をさらに特性評価し、また、不一致の存在を判定するために使用され得る、融解曲線が測定されることができる。加えて、DNA標的を引き付け、それに反発することの周期的な組み合わせは、最終ハイブリダイゼーションの質を改良し、適切な対合に有利となる、アニーリングを提供することができる。
【0119】
図33は、プローブ/酵素構成/機能の電子変調、ならびにプローブ/酵素機能または性能をさらに変調させる局所酸性もしくは塩基性条件の生成を含む、局所イオン環境の変調を図示する。
図32で例示される概念を拡張して、ゲート電圧および/またはソース-ドレイン電圧は、反応を加速する、ストリンジェンシーもしくは特異性を改変する、または電子融解曲線もしくは分光法を取得する、または動作パラメータ最適化のためにアレイを横断して異なる条件の影響を調査するために使用され得る、これらの変調を達成するために使用されることができる。核酸測定のために有用な電圧指向濃縮および斥力の形態は、多様な他の用途からの信号を加速または改良するために使用されることができる、電圧指向もしくは増進反応プロセスに一般化する。ゲート電圧またはソース-ドレイン電圧等のセンサデバイス電圧は、局所架橋/プローブ分子の性質を改変するため、局所イオン環境を改変するため、およびプローブ分子の潜在的相互作用標的を引き付ける、またはそれに反発するために、使用されることができる。これらは、概して、ストリンジェンシーまたは信号対ノイズ比を改良するため、電圧掃引次元を測定に追加し、それによって、標的分子についてより多くのデータを獲得する、分光測定を提供するため、および直接、または局所イオン環境の変化を通して、プローブ/架橋分子の機能性もしくは状態を改変するため等に、反応動態を加速し、測定の速度を増加させるように使用されることができる。環境変化は、溶液の電圧誘導型酸またはpH変化等の局所電圧制御下で有用な分子成分に解離し得る、電圧分解可能化合物の使用を通して、達成されることができる。そのような手段は、具体的には、電極を清掃してリセットするため、およびデバイス再利用目的のためにプローブ/架橋分子を完全に除去するために使用され得る。
【0120】
図34は、信号を増進するように検出可能基341を含むこと等、1つまたはそれを上回る塩基を組み込むために酵素伸長(指向性矢印によって示されるプローブの3´拡張可能末端)を使用することによって、一次ハイブリダイゼーション信号を増進することの一実施例を図示する。そのような酵素伸長は、現在のプロットで3つのレベル(ハイブリダイゼーションなし、ハイブリダイゼーション、伸長生成物が存在する)によって示されるように、ストリンジェンシーの追加/適切な対合ならびに電子センサ信号を増進する手段のチェックの両方を行う。単一塩基伸長の場合、(ともに4つのdNTPから、または一連の個々のdNTP伸長試験を通してのいずれかで)塩基アイデンティティが検出可能である場合、これはまた、配列情報のもう1つの塩基を追加し、本方法のシークエンシング能力を増進することができる。単一塩基伸長が配列決定される、本ハイブリダイゼーション反応は、プライミング部位の後の配列の1つの塩基を測定することを可能にする。
【0121】
図35は、デジタル単一塩基伸長遺伝子型決定を図示する。
図34のような単一塩基伸長感知の使用を通して、サンプルが、多数のマーカにおいて遺伝子型決定されてもよい。センサアレイチップ上で、超並列様式で行われるとき、これは、DNAフィンガープリント法および識別または遺伝子分析への適用のために、多数のマーカ上でSNP遺伝子型決定を行うことができる。本実施形態の一意の重要な特徴は、それが単一分子であるため、存在する異なる遺伝子型の直接デジタル計数を伴って、混合サンプルのプールからの信号をデコンボリューションできることである。これは、混合サンプルが生じ、存在する全ての異なる遺伝子型をカタログ化し、総量を定量化することが望ましい、科学捜査での使用をサポートすることができる。電子チップベースの形式はさらに、
図10に示されるもの等の携帯用システム実施形態を使用するときに、そのようなシステムの使用地点および携帯用現場用途を一意に可能にする。
【0122】
アレイ動作技法
【0123】
図36、37、および38は、(i)超ポアソン装填を達成するための電圧指向アレイ装填、リセット、および反復装填・リセット・保留、(ii)主要な集合および動作ステップを通したQCのためのセンサの電子探査、ならびに実行可能なセンサを事前識別するためのそのようなものの使用、(iii)個々のセンサの較正実行、および(iv)独立較正等の種々のアレイ動作技法を図示する。また、望ましくない構成を除去するため等の電圧指向リセットも開示される。
【0124】
図36は、電圧監視および/または電極上もしくは相互上の生体分子の自己集合の方向を図示する。ゲートおよび/またはソース-ドレイン電圧を使用して、電流は、架橋およびプローブ生体分子が適切に集合させられるときを検出するように監視されることができる。そのような電圧はまた、集合を駆動または加速するために使用されてもよい。
【0125】
図37は、電圧指向および監視リセットを図示する。ゲート電圧および/またはソース-ドレイン電圧は、適切に形成された、または不適切に形成された分子構築物を排除し、適切な完了のためにプロセスを監視するために使用されることができる。そのようなリセットは、
図33に示されるように、分子を押進させ得るか、または局所分解環境変化を誘発し得る。
【0126】
図38は、チップレベル集合およびリセット機能性を図示する。センサアレイ設定における電子集合およびリセット能力を使用して、各ピクセルは、適切な集合が達成されるまで、複数回の集合試験およびリセットを独立して受けることができる。同様に、チップは、新しい使用のために、前の使用後に、本処理の形態によって、リサイクルされることができる、または潜在的に、ピクセル構成エラー検出および訂正が、サンプルの処理の経過で起こり得る。種々の側面では、電流感知、データ整理およびコード化、データ転換のためのGPU/CPUまたはFPGAを伴うマザーボードへの統合、ならびに冗長または交差アレイ複製測定を含む、最終測定のより優れた正確度を達成する信号の統合および組み合わせのためのオンチップセンサ回路が、本明細書に開示される。種々の側面では、全ての特徴は、CMOSで、またはCMOS後のプロセス層として具現化される。
【0127】
1つのアレイ上のプローブ多様性:アレイ要素は、1つのチップ上の被分析物の複数の側面について知らせ得る、r=異なるタイプの多くのプローブを有する等、多様であり得る。いくつかの側面では、匿名/部分的に匿名のプローブが、情報を生成するように、3部またはより高次の相互作用を仲介する。これの1つの好ましい実施形態は、プローブが、ポリメラーゼならびに匿名の結合DNA分子を含むと見なされ得、相互作用する標的が、ポリメラーゼ、テンプレート、およびdNTPの3部相互作用に組み込まれる際に感知される、4つのdNTPヌクレオチドである、DNAシークエンシングにおいてである。
【0128】
さらに、普遍的センサアレイとして、および分子プロセッサとして、二次プローブ/架橋(ファームウェアプログラマブルセンサアレイ)に結合されることができる、普遍的アレイデバイスが開示される。結合は、共役化学との普遍的接触または共役化学を伴う普遍的架橋分子を介して達成される。
【0129】
ハイブリダイゼーションアッセイ:本明細書では、DNAまたはRNA標的の複合混合物の濃度を定量化することへの適用を伴う、超並列電子ハイブリダイゼーションのためのハイブリダイゼーションプローブの使用が開示される。非限定的実施例は、遺伝子発現、SNP遺伝子型決定、および普遍的タグ読取り装置アレイを含む。本明細書ではさらに、アレイが確立された後に、いずれのセンサにいずれのプローブがあるかを識別するためのこれに関連したアレイハイブリダイゼーションプローブの組み合わせのコード化およびデコードの使用が開示される。検出/特製評価のための電子濃縮、電子ストリンジェンシー、電子アニーリング、および電子分光法が開示される。開示されるような単一分子測定は、遺伝子型決定用途における一意のデコンボリューション能力が、個人の混合物からのDNAを処理し、存在する異なる遺伝子型を列挙することを可能にする。
【0130】
さらに、SNPの遺伝子型決定で使用されるように、単一塩基シークエンシングを達成するための酵素伸長または連結反応のステップと併せた、超並列電子ハイブリダイゼーションのためのハイブリダイゼーションプローブの使用が開示される。
【0131】
また、例えば、電子検出に依拠するデコードステップのため等に、符号語プローブに対して繰り返し結合することによって、アレイ上に匿名で堆積させられるプローブの組み合わせのデコードも開示される。
【0132】
普遍的タグアレイ:種々の実施形態では、ハイブリダイゼーションプローブは、普遍的タグアレイのタグプローブを含んでもよい。そのようなアレイは、1000、または10,000、または100,000、または1,000,000、または10,000,000、または100,000,000個の別個のタグを含むことができる。これらのタグは、プローブ上に尾部があるオリゴ区分を伴って組み合わせでコード化され、次いで、アレイ製作プロセスの一部として、アレイ上のいずれのセンサにいずれのプローブがあるかをマップするように、アレイが確立しれた後にデコードされることができる。
【0133】
さらに、局所剥離または活性化を促進する酸もしくは塩基の局所的生成のための電圧還元可能酸または塩基の使用が開示される。
【0134】
本明細書ではさらに、標的分子の複合混合物の濃度をデジタル定量化することのへの適用とともに、超並列デジタル結合アッセイのための結合プローブの使用が開示される。具体的には、そのような結合プローブは、ペプチド、タンパク質、ハプテン、アプタマー、または抗体であってもよい。そのような結合プローブはまた、電子鼻アプリケーション、爆発物の検出、揮発性化合物の感知等の使用等で、他の化学物質であることもできる。
【0135】
酵素進化選択:種々の実施形態では、プローブ分子が酵素であるセンサアレイでは、電子測定が、酵素・基質相互作用を特性評価するように行われ、本詳細な性能情報は、次いで、大型酵素ライブラリから所望の性能性質を有する酵素を選択するために使用される。これは、酵素を識別する組み合わせのデコード、または成功した酵素を捕捉して識別する他の手段を伴ってもよい。
【0136】
図39は、所望の性能性質を有する、酵素の定量的選択を図示する。多様な酵素がアレイ上で確立され、それらの性能性質が定量的に詳細に測定され、殆どの望ましいプロファイル/酵素が識別されることを可能にする。示される場合において、ポリメラーゼは、その取り込み速度について監視され、最高取り込み速度を伴う、また、電子検出プロセス内で最良の信号強度を伴うものについて選択される。
【0137】
ライブラリスクリーニング:さらに、成功した候補を選択、識別、および/または捕捉するために、候補結合分子のライブラリをスクリーニングするためのセンサアレイの使用が開示される。これは、そのような目的を達成するために一般的に使用されるファージ提示ライブラリスクリーニング等の方法と対照的である。
【0138】
タンパク質アレイ:種々の実施形態では、タンパク質またはペプチドプローブを使用するタンパク質・タンパク質相互作用測定のためのアレイが開示される。単一タンパク質・細胞相互作用もまた、タンパク質プローブを使用して測定されることができ、細胞が存在するかどうかの検出は、個別のセンサまたはセンサの局所集合へのその影響を介する。そのような細胞・センサ相互作用は、細胞寸法よりもはるかに小さいナノメートルスケールを達成し得る、アレイのそれの空間分解能においてマップされることができる。このようにして、細胞状況におけるセンサ標的の高分解能マッピングまたは撮像が達成されることができる。単一分子データは、相互作用をデコンボリューションしてデジタル化する一意の利点を有し、全ての電子チップベースの測定は、速度、反応速度の電子制御、ストリンジェンシー、および電圧掃引を通した分光学的特性評価のための一意の利点を有する。
【0139】
タンパク質アレイは、より一般的には、アレイ上に堆積させられるより大型の生物学的複合体の高分解能センサ・標的撮像を達成するために使用されることができる。そのような複合体は、細胞であり得る、または細胞小器官であり得る、もしくは大型無傷DNA分子もしくは染色体全部であり得る。種々の実施形態では、アレイは、新たに(de novo)、または参照に対して、断片の集合の大規模な構造的マッピングを行うために、分子フィンガープリント法とともに使用されてもよい。
【0140】
さらに、標的分子または分子の種類に対する結合もしくは一過性相互作用プローブを使用する、濃度測定が開示される。具体的には、DNA、RNA、またはタンパク質の濃度を測定することである。
【0141】
センサ標的捕捉:所望の標的の捕捉および収集を行うように拡張される例示的センサアレイは、個別のセンサ測定によって判定されるような好適な陽性成果センサが、それらの標的を保持するように設定される一方で、他のセンサが、それらの標的を放出し、次いで、保持された標的が後続の収集のために解放される、
図40に図示されている。
図40は、センサ被分析物の複雑な混合を含有する溶液からの標的の所望の集合の電子査定および収集を図示する。サンプルが感知アレイに適用され、感知プロファイルが収集される。特定のプロファイルに基づく望ましくない標的が、電圧指向様式で電子的に解放されて放出され、システムから洗い流される。残りの標的は、次いで、システムの付加的洗浄を通して、解放されて物理的に収集されることができる。本プロセスは、所望の標的のセットを濃縮して精製するように繰り返し、またはさらなる処理もしくは収集に先立って、アレイに望ましい標的のみを装填するように累積的に、行われることができる。保持および放出は、電圧指向様式等で、電子手段によって行われることができる。本プロセスは、アレイにわたって多くのサンプル実行にわたる捕捉された標的のセットを累積するように、および/または同一のサンプルから繰り返し濃縮して分画し、より高度に精製された最終捕捉を生成するように、捕捉ならびに解放の多くのサイクルで、反復して実施されることができる。これは、センサ分析に基づいて、高値分子が、さらなる研究、特性評価、クローニング、または増幅のために保持されることを可能にする。1つの好ましい実施形態は、DNA損傷またはメチレート化されるもの等の修飾ヌクレオチドの包含等の異常修飾を伴うDNA断片を収集して研究することである。類似用途が、タンパク質に適用される。
【0142】
本明細書では、多様なセンサまたは多様な架橋/酵素/電圧測定にわたる、チップアレイからの信号にわたる集約が開示される。アレイにわたる多くの信号のそのような集約は、測定を累積するために使用されるセンサよりも少ない属性または特徴を含有するサンプルを特性評価するよう、サンプルのビッグデータ特性評価を可能にする。これは、そのようなアレイが、一般に圧縮感知の方法とともに使用されることを可能にする。これは、非常に多数の低い情報センサ測定が、測定することが別様に困難である、またはより高価である、もしくはより複雑である被分析物の性質を判定するように集約される、用途を可能にする。ここでのタイプのセンサは、そのようなチップセンサアレイの使用を介して、これらの圧縮感知使用のために適合されることができる。
【0143】
図41は、低次元サンプル性質を判定するための高次元センサデータの例示的使用を図示する。議論されるように、サンプルがアレイに適用され、センサ信号が収集される。本データは、集約され、単一または低次元サンプル特徴値の推定値を取得するために、平均化、もしくは好ましい実施形態では、最大尤度または最適化ベースのパラメータ推定アルゴリズムと併せて使用される。
【0144】
システム:
図42は、センサチップの使用をサポートするように構築される、これらおよび他のシステム構成を網羅する、チップベースの分析器の一般的概念を組み込む、システムレベル使用でのセンサシステムの種々の実施形態を図示する。種々の実施形態では、チップベースの分析器は、拡張システムまたはコンパクトなシステムであることができる。分析器は、システムレベル用途では、これらのうちのいずれか、または同等のシステム構成を表すことができる。
【0145】
図43は、高レベルプロセスを図示する。本実施例では、生物サンプルは、システムに導入するために処理され、一次データは、さらに処理されて記憶される。アプリケーションプロセスの基本的な好ましい実施形態は、生物サンプルを取得し、チップベースの分析器に導入するためにそれを好適に調製し(「サンプル調製」)、次いで、さらなる処理および記憶のために、一次データを二次クラウド環境に転送することである。サンプル調製は、組織または血液からのDNAを精製すること等の精製を含んでもよい。非限定的実施例では、分析は、DNAフィンガープリント法、遺伝子型決定、またはDNAシークエンシングであってもよい。好ましい宛先環境は、拡張可能データ処理必要性をサポートするため等にクラウドコンピューティング環境であろう。
【0146】
図44は、対象の統合分析を図示する。
図43の基本プロセスの好ましい実施形態では、対象は、対象についての付加的情報とともに、分析のための生物サンプルを提供し、該情報および分析器結果は、レポートに統合される。試験対象が生物サンプルを提供し、また、それらのアイデンティティまたは表現型もしくは他の状態変数に関連する他の情報も提供し、そのようなデータが、センサ/分析器結果を対象からの他の関連情報と統合するレポートを生成するように、示されるように処理されて集約される、基本測定プロセスの好ましい実施形態が開示される。一般に、対象は、医療関連プロファイリングの好ましい実施形態、または人物識別もしくは科学捜査の場合のように、ヒトであってもよい、または動物、植物、もしくは任意の他の局所的生物サンプル源、および局所条件の時間、場所、ならびに画像と関連する土壌サンプル等の提携情報であり得る。例えば、付加的情報は、個人識別子、健康記録、または一般的表現型データを含み得る。本明細書では、「対象」という用語は、全てのそのような一般化を示すために使用される。他の実施形態では、対象は、動物、植物、細菌、ウイルス、またはチップベースの分析器によって特性評価されることができる任意の実体であり得る。
【0147】
図45は、分析器を適用し、対象情報および分析器結果のデータベースをコンパイルする多くの事例による、データベース/知識ベースの作成の実施形態を図示する。多くの対象の分析は、
図44のように、そのような報告結果のデータベースを生成するように、分散型様式で行われることができる。本データベースはさらに、機械学習技法を受けることができる。機械学習は、結果を推測、補間、または外挿し、利用可能であるものから欠落したもしくは将来の情報を予測または外挿する手段を開発する能力を用いて、知識ベースを作成するようにこれに適用されることができる。結果として生じるデータベース/知識ベースは、次いで、増進された、かつより正確な、またはより深く解釈された、もしくは予測情報を含有する、本来の対象または新しい対象のいずれかについて、精密レポートを配信するために使用される。好ましい実施形態では、これは、医療プロファイリング用途に使用される。これはまた、同一性およびDNAフィンガープリント法測定のデータベースに基づいて、人物識別または科学捜査に使用される。一般に、対象は、動物、植物、細菌、ウイルス、またはチップベースの分析器によって特性評価され得る任意の実体であることができる。
【0148】
コンパクトなシステム:種々の実施形態では、チップデバイスは、低電力消費量を伴って非常に小型であり、携帯用およびモバイル分析システムに適している、コンパクトでロバストなシステムの組立を可能にし得る。これらのシステムは、接続されたモバイルセンサデバイスを達成するように、携帯電話または関連セルラー電子機器もしくはWiFi/Bluetooth(登録商標)クラス伝送機/受信機への結合に適合する。小型化およびセルラー通信はまた、生体内監視を可能にするように、ヒトまたは動物、もしくは植物、または培養細胞に埋め込まれることができる、埋込可能センサデバイスも提供する。例示的デバイスは、10ミクロンスケールまたはそれより小さく縮小され得、その時点で、それらはまた、血流中で循環するために十分に小さいものを含み、任意の部位において動物またはヒトに注射可能であり得る。
【0149】
図46は、接点チップベースの分析器の実施形態を図示する。チップ形式は、対象との現場ベースまたは高度分散型係合を可能にする、接点もしくは診療地点用途のためのモバイル、携帯用、またはハンドヘルド形状因子分析器を可能にする。これは、例えば、国境または税関もしくは犯罪現場における対象への適用、または現場での環境監視を含み得る。多くのそのような用途は、モバイル、携帯用、またはハンドヘルドデバイス、および上記のシステムレベルの考慮事項への結合によって可能にされる。
【0150】
図47は、ウェアラブル/埋込可能分析器の実施形態を図示する。チップ形式は、データの無線通信の使用、およびセンチメートル、ミリメートル、またはマイクロメートルのスケールまでの小型化を通して、ウェアラブル、埋込可能、もしくは生体内分析器を可能にする。コンパクトなシステムは、対象上または内の重要な感知部位への局所化を含む、対象のリアルタイム監視の用途を可能にする、ウェアラブルもしくは埋込可能デバイスを提供することができる。医療関連では、これは、皮膚上または腸内に存在する細菌のDNA配列監視に基づく、もしくは創傷治癒および感染症の監視に関連するような、微生物群系の内容等の健康関連変数の監視を可能にし得る。多くのそのような用途は、ウェアラブルおよび埋込可能デバイス、および上記のシステムレベルの考慮事項への結合によって可能にされる。
【0151】
図48は、マルチモダリティ統合生物分析器の実施形態を図示する。コンパクトなシステムを使用して、チップベースの分析器は、生物サンプルまたは生物サンプルのセットから複数のモダリティを測定し、統合マルチモーダルレポートを配信する、システムに統合されることができる。チップセンサアレイ形式によって提供されるコンパクト/小型化システムはまた、チップ分析器が、好ましくは、それ自体がコンパクト、携帯用、モバイル、ハンドヘルド、または使用地点適合性、もしくはウェアラブル、または埋込可能である、マルチモーダルセンサシステムに組み込まれる、埋込システムも可能にする。一般に、対象は、動物、植物、細菌、ウイルス、またはチップベースの分析器によって特性評価されることができる任意の実体であり得る。具体的には、本マルチモーダルシステム内のチップ分析器は、具体的には、DNAフィンガープリント法/ID、遺伝子型決定、またはDNAシークエンシングの形態で、遺伝子分析を提供してもよい。
【0152】
ここで
図49を参照すると、実験研究に使用される分子センサ構造の実施形態が図示されている。本例証は、典型的には実験研究に使用される架橋およびプローブ分子構造を示す。示される架橋は、金属電極上に配置される金接点に結合するために両方の5´末端にチオール基を有する、20nm長(60個の塩基)の二本鎖DNA分子である。ここで使用されるプローブ分子は、ひいては、合成DNAオリゴ中のビオチン化ヌクレオチドにおける架橋に結合される、ストレプトアビジンタンパク質に化学的に架橋結合される、ポリメラーゼ、具体的には、E.Coli Pol Iである。
図49は、分子および原子のサイズについてスケール通りで示されている。
【0153】
ここで
図50を参照すると、分子センサ上の電気測定のための試験設定の例示的概略図が図示されている。
図50の上部分では、電圧を印加し、架橋分子を通る電流を測定するための分析器への取付とともに、電極基板構造の断面が図示されている。
図50の下部分では、架橋回路のための電極アレイの斜視図が図示されている。本実施例では、電極の各対は、「金属-2」(すなわち、異なる金属)の電極上に配置される「金属-1」(すなわち、第1の金属)の接点を備える。本実験では、接点は、金ビーズまたは金でコーティングされた電極先端を備え、そのうちのいずれかは、チオール化分子がチオール・金結合を介して定位置に係止する、自己集合プロセスをサポートする。
【0154】
図51A、51B、および51Cは、架橋結合のために使用可能な金地金ドット接点を備える、電極の電子顕微鏡画像である。本実施例では、電極は、シリコン基板上に配置され、電子ビームリソグラフィを介して生産された。
図51AのEM画像は、電極のアレイ、この場合、その上に配置された金ドット接点を伴うチタンを示す。
図51Bは、15nmの金・金間隔を有する金ドット接点を伴う7nmの電極ギャップを示す、近接EM画像を提供する。
図51Cは、電極の先端に配置される約10nmの金ドットを示す、さらなる近接EM画像である。
【0155】
図52は、電極試験チップアーキテクチャの実施例を図示する。本電極アレイは、電子ビームリソグラフィを使用して、1cmシリコン基板上に形成される。一連のSEM画像は、電極ギャップの10nmスケールまで縮小した、増大する分解能における20個の電極対を示す。
【0156】
図53は、溶液から電極を保護するためのデバイス上の不動態化層の使用を図示する。本実施例では、不動態化層は、SiO
2である。電極面積を暴露する不動態化層内の開口部は、nmスケールであり、電気接触パッドは、10ミクロンスケールである。
【0157】
図54は、集合センサ複合体の導電度を特性評価するプロットを記載する。プロットは、空気、水、および希釈食塩水緩衝液中の開回路電極の制御とともに、湿潤(希釈食塩水緩衝液)および乾燥(空気)条件における、DNA架橋分子および完成したセンサ複合体(ポリメラーゼとの架橋)の測定された電流対電圧(I-V)特性である。プロットは、架橋およびセンサ複合体が、1ボルトの印加されたソース-ドレイン電圧において約100ピコアンペアの電流を導電することを示す。測定は、SMUを介して半導体パラメータ分析器上で行われている。
【0158】
ここで
図55を参照すると、金ドット接触電極上への分子センサ集合が、電子的に監視されて示されている。電流対時間測定は、架橋および分子センサ複合体の自己集合を監視するために使用される。左上におけるプロットは、電流の急増によって証明されるように、二本鎖DNA架橋が電極金接点上へ5´末端上のチオール基と集合する、自己集合の位相1を示す。右上におけるプロットは、電流の別の急増によって証明されるように、ポリメラーゼ・ストレプトアビジン複合体がdsDNA架橋上のビオチン化部位に結合する、自己集合の位相2を示す。左下におけるプロットは、電流対時間の別のスパイクによって証明されるように、プライムされた一本鎖DNAテンプレートがポリメラーゼに結合して複合体を完成させる、自己集合プロセスの位相3を示す。
【0159】
図56は、
図55を参照して議論される集合の位相が完了した後の集合構造のEM画像を示す。EM画像は、電極を継合する不鮮明な高いコントラスト領域(矢印)として標識することなく、直接可視である架橋複合体を示す。
【0160】
ここで
図57を参照すると、センサを用いた取り込み信号の測定が実証されている。
図57のプロットは、取り込みおよび重合のために種々のプライムされた一本鎖DNAシークエンシングテンプレートおよびdNTPが供給されているセンサに起因する電流信号を示す。各場合において、主要な信号スパイクは、ポリメラーゼ酵素が別の塩基を伸長鎖に追加する、離散取り込み事象からの信号を表す。左上におけるプロットでは、テンプレートは、20個のT塩基である。右上におけるプロットでは、テンプレートは、20個のG塩基である。左下におけるプロットでは、テンプレートは、20個のA塩基である。最後に、右下におけるプロットでは、テンプレートは、20個のC塩基である。観察される近似取り込み速度は、律速因子(例えば、より低いdNTP濃度)に起因して推測される、毎秒約1個の塩基のより遅い速度を除いて、標準酵素動態と一致する、毎秒約10~20個の塩基である。
【0161】
図58Aおよび58Bは、ペプチドアルファヘリックス架橋分子に基づくセンサの実施形態を図示する。
図58Aでは、実践に移される1つの特定の好ましい実施形態における架橋分子は、66アミノ酸配列を有する、ペプチドである。
【0162】
CAEAAAREAAAREAAAREAAAREAAAREAAA{Lys-Ahx-ビオチン}EAAAREAAAREAAAREAAAREAAAREAAARC(SEQ ID NO:1)
【0163】
これは、アルファヘリックス構造に有利であることが公知である、モチーフEAAARの反復に基づく61アミノペプチドを特徴とする。末端におけるシステインアミノ酸は、クロム電極上に配置される金接点へのチオール・金結合を提供する。ペプチドの中に設置される中心リジンは、結合目的のためにニュートラアビジンタンパク質の結合をサポートするAhxリンカ上にビオチンを含むように修飾されている。ペプチドのアルファ螺旋形態は、長さが約9nmである。
図51Bは、既知のビオチン・ニュートラアビジン結合反応を介してニュートラアビジンに結合されるアルファヘリックス架橋を伴う、完全に集合したセンサを示す。ポリメラーゼはまた、この場合、既知まマレイミド・システイン共有結合反応を介して、ポリメラーゼ上の表面システインに共役されている、付加的ビオチン・マレイミドリンカを用いて付着している。
【0164】
図59A、59B、59C、および59Dは、アルファヘリックスペプチド架橋を使用する、配列感知実験からのデータを記載する。ここで
図59Aを参照すると、電流対電圧トレースは、架橋を金接点に付着させるために、1μMペプチド濃度において、PBS緩衝液中で1時間にわたってペプチド架橋分子とともにインキュベートされている、試験チップ上の電極に関するものである。ソース-ドレインに印加される2ボルトにおいて3ナノアンペア電流を達成する、最高電流トレースは、定位置で結合された架橋分子を有する電極を示す。
図59Bは、2ボルトの印加されたソース-ドレイン電圧を伴って、架橋センサがニュートラアビジン溶液に暴露されるときに、約10~50秒の時間で架橋への後続のニュートラアビジンのシグネチャを示す、電流対時間トレースである。
図59Cは、ニュートラアビジン・架橋複合体がポリメラーゼ・マレイミド・ビオチンの溶液に暴露されるときに、約10~20秒の時間で前者を結合する後者のシグネチャを示す、電流対時間トレースである。
図59Dは、集合したセンサが、一連のGT反復、すなわち、(10xGT)TTT(10xGT)AAA(10xGT)CCC(10xGT)を有する、配列を伴うテンプレートDNAを含有する、溶液を提供されるときの結果として生じるシークエンシング信号を描写する。
図59Dの信号プロットは、テンプレートのGT反復区域、および全体的な3つの異なるテンプレートDNA分子に対応する、主要なスパイクが、示される45秒中にセンサに係合する、これらの信号の1つの可能性として考えられる解釈で注釈を付けられる。
【0165】
ここで
図60を参照すると、CMOSデバイス測定ピクセルにインターフェース接続されたナノ電極を組み合わせるための設計が図示されている。本実施形態では、標準CMOS層は、回路要素をともに配線するために使用される一連の金属層とともに、トランジスタ回路要素を実装するために使用される、底部におけるトランジスタ層から成るものとして示される。図示されるように、金属VIAが、上部から底部まで、これらの層に跨架するために使用され、1つの層は、ソースナノ電極(「S」として指定される)のための接点を提供し、別の層は、ドレインナノ電極(「D」として指定される)のための接続を提供し、別の層は、ゲートナノ電極(「G」として指定される)のための接続を提供する。これらのVIAは、これらのナノ構造がCMOS後処理中に追加される上面から、サポートするピクセル回路が常駐する下層まで通過する。これらのナノ電極は、必要なナノスケール製作をサポートする、後処理ステップで追加される。1つの好ましいオプションは、これらの特徴を追加し得る、10nmCMOSノード等の異なる高分解能CMOSプロセスであるが、これらは、代替として、電子ビームまたはナノインプリントリソグラフィ等の他のナノリソグラフィ技法を使用する後処理によって追加されることができる。一般に、ナノ電極は、ナノメートルスケールで薄いおよび平坦の両方であり、残りの後処理のために好適な表面を提供し得、絶縁層ならびに金属ゲート電極層を含み得る、後処理中に同様に追加される好適な基板上に常駐する。ナノ構造は、典型的最終不動態化層を上層に追加することを除いて標準処理を停止することによって、または代替として、平坦化した表面を露出するようにそのような不動態化層をエッチングすることによって利用可能であり得る、標準CMOSプロセスから平坦化した上層の上に追加される。
【0166】
ここで
図61を参照すると、後処理ステップにおいて標準CMOSピクセルデバイスに追加されるナノ構造の実施例が描写されている。構造は、ピクセル回路を製作するために使用されるCMOSプロセスから、平坦化された上部金属層の上に追加される。
【0167】
図62は、例示的CMOSチップ高レベルアーキテクチャを示す。
図62の左部分は、ピクセルアレイチップ全体の高レベルアーキテクチャを図示する。
図62の右部分は、分子電子ナノセンサが示されている、センサピクセルの高レベルアーキテクチャを図示する。チップは、関連電力および制御回路とともに、センサピクセルの拡張可能アレイを含有する。本実施形態では、センサピクセルは、増幅器と、リセットスイッチと、ソース電圧、ゲート電圧、およびドレイン電圧を供給するため、ならびに結果の読出を提供するための回路とを含有する。
【0168】
図63を参照すると、例示的センサ電気モデルが図示されている。本図は、緩衝溶液に取り囲まれた領域と、分子およびナノ電極構造とを含む、センサの集中電気モデルを示す。本システムは、種々の抵抗器およびコンデンサから成るサブ回路としての回路モデリングについて示されるように近似される。分子架橋が、本モデルでは2.5テラオーム抵抗を提示する一方で、緩衝溶液は、1キロオームの抵抗のみを有するが、これはまた、示されるように、100aF(アトファラッド)コンデンサを含む容量結合を介して一次架橋接続から隔離される。
【0169】
図64を参照すると、例示的ピクセル回路図が提供されている。これは、ピクセル回路の1つだけの非限定的実施形態の詳細な概略図である。センサモデルは、本例示的回路の1つのサブ回路として示されている。
【0170】
図65は、ピクセル回路シミュレーションの結果を記載する。これらの結果は、ピクセル回路性能の詳細なシミュレーションである。シミュレーションは、示されるような異なるレベル(1、5、10、50、および100pA)で、1ミリ秒の持続時間の電流パルスを生成するセンサについて、(ミリ秒単位の)時間の関数として(ミリボルト単位の)増幅器出力電圧を示す。例えば、示されるように、100pA信号は、振幅の400mVの電圧スパイク(200mVから600mVまで移行する=400mVスパイク)を生成する。
【0171】
図66で提供される表は、ピクセルスイッチ性能の例示的パラメータを要約する。
【0172】
ここで
図67を参照すると、ピクセル増幅器のための詳細な回路設計の実施形態が図示されている。本非限定的実施例は、トランジスタベースのピクセル増幅器を備える。
【0173】
図68は、増幅器周波数応答の実際のシミュレーション結果を示す。プロットは、測定周波数の関数としての増幅器の利得、および周波数の関数としての増幅器位相シフトについて、詳細な回路シミュレーションの結果を示す。プロットで見られるように、増幅器は、約10kHzの周波数において利得を失い始める。
【0174】
図69は、ピクセル増幅器性能のパラメータを要約する表を示す。
【0175】
図70は、詳細な回路シミュレーショに基づく、センサピクセルのパラメータを要約する。
図70の左には、性能パラメータが表に記載されている。
図70の右における円グラフは、ピクセルの異なる要素のためのレイアウト面積割り当てを示す。示されるように、ピクセルレイアウト面積の80%が増幅器に捧げられている。
【0176】
ここで
図71を参照すると、注釈付き完全チップ設計の実施形態の画像が提供されている。本画像は、チップの異なる機能的要素の高レベル注釈を伴う、CMOSチップの完全な設計のものである。画像は、全ての層についてチップの完全で詳細なレイアウトを規定する、完全なGDS(幾何学的データストリーム)ファイルから生成されている。本特定の設計は、6つの金属層を伴う電子業界標準180nmのCMOSノードに関するものである。
【0177】
図72は、ピクセルアレイの5×5部分のための詳細なGDS設計ファイルの近接画像で見られる、例示的ピクセルアレイ設計である。
【0178】
図73は、注釈付き完全ピクセル設計である。画像は、増幅器回路、スイッチ、および他の要素の場所を示すように注釈を付けられた、GDSファイルからとられた最終ピクセル設計である。分子電子ナノセンサは、「センサ」と標識された、示された面積内で後処理によって追加された。ピクセルは、サイズが80ミクロン×80ミクロンであり、42個の合計トランジスタを含有する。
【0179】
図74は、製作されたデバイスの実施例を備える、製作後の完成したチップの白色光顕微鏡画像である。
【0180】
図75Aおよび75Bは、レイアウトファイルおよび完成したチップの比較を提供する。
図75Aは、チップ設計のためのレンダリングされたレイアウト(GDS)ファイルの注釈付き画像である。
図75Bは、不動態化層がない、TSMC180nmCMOSプロセスを用いて生産された完成したチップの画像である。
【0181】
図76は、ピクセルアレイ画像の集合を提供する。図は、ピクセルアレイおよび単一ピクセルを示す、CMOSチップの一連の近接画像を示す。画像は、不動態化されていないCMOSチップの白色光顕微鏡画像に由来する。
【0182】
図77および77Bは、レイアウトファイルおよび完成したチップピクセルの比較を提供する。
図77Aが、単一ピクセルのためのレンダリングされたレイアウト(GDS)ファイルの注釈付き画像である一方で、
図77Bは、不動態化層がない、TSMC180nmCMOSプロセスを用いて生産された、完成したチップ単一ピクセルの画像である。
【0183】
図78Aおよび78Bは、完成したCMOSチップおよびピクセルの電子顕微鏡画像である。
図78Aは、上部不動態化層がなく、露出した平坦化金属6層を伴う、CMOSチップの走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図78Bは、表面構造詳細を示す、単一ピクセルのSEM画像である。これらの図は、ソース-ドレイン、およびゲートのためのナノ電極がCMOS後ナノ製作処理ステップにおいて追加されるものである、露出したVIAを示す。
【0184】
最後に、
図79は、センサチップのためのマザーボードの例示的な概略的設計を図示する。本図は、センサチップピクセルからの信号の収集および分析のためのデータ収集コンピュータへのUSB接続のためのマザーボードを生成する、FPGA、ADC、ならびに電圧レギュレータへのチップの接続を図示する。