(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】液晶デバイスで使用する無機顔料
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1335 20060101AFI20230517BHJP
C09C 1/00 20060101ALI20230517BHJP
C09C 3/00 20060101ALI20230517BHJP
C09C 1/48 20060101ALI20230517BHJP
C09C 3/08 20060101ALI20230517BHJP
C09C 3/12 20060101ALI20230517BHJP
C09C 3/10 20060101ALI20230517BHJP
G02F 1/1334 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
G02F1/1335 500
C09C1/00
C09C3/00
C09C1/48
C09C3/08
C09C3/12
C09C3/10
G02F1/1334
(21)【出願番号】P 2020563846
(86)(22)【出願日】2019-01-31
(86)【国際出願番号】 IL2019050122
(87)【国際公開番号】W WO2019150368
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-11-19
(32)【優先日】2018-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520289981
【氏名又は名称】ガウジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガル - ファス、ダナ
(72)【発明者】
【氏名】ファディダ、タニア
(72)【発明者】
【氏名】ペソ、エイアル
(72)【発明者】
【氏名】ローファー、エイドリアン
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0175826(US,A1)
【文献】特開2008-032940(JP,A)
【文献】特開2007-197567(JP,A)
【文献】特開2004-078221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1335
G02F 1/13
G02F 1/1334
C09C 1/00
C09C 3/00
C09C 1/48
C09C 3/08
C09C 3/12
C09C 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー分散型液晶(PDLC)デバイスでの使用に適したコーティング顔料を生成する方法であって、
第1の溶媒中に界面活性剤を含む第1の溶液を調製すること、
前記第1の溶液にコーティング前駆体を加えること、
前記第1の溶液に粒子を含む顔料を加えること、
前記第1の溶液中の前記顔料の懸濁液又は分散液が得られるまで、前記顔料と前記溶液とを混合すること、
前記懸濁液又は分散液を破壊し、それにより前記顔料の凝集体を粒子に分離させて、顔料の前記粒子の分散液を生成すること、
前記第1の溶媒と混和性の第2の溶媒を前記分散液に加え、それにより前記コーティング前駆体に由来する材料のコーティングを前記粒子の少なくとも一部の表面上に蒸着させ、コーティング粒子を生成すること、
前記コーティング粒子の少なくとも一部を前記分散液から分離すること、及び
前記分散液から分離された前記コーティング粒子を粉末に分解すること
、
を含む方法であり、
前記顔料がカーボンブラックの粒子
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記コーティング粒子
の少なくとも一部を前記
分散液から分離する
ことの後に、
前記コーティング粒子から所定のサイズを超えるコーティング粒子を分離すること、
所定のサイズを超える前記コーティング粒子を廃棄すること、及び
前記所定のサイズ以下にコーティング粒子を保持すること
が続くことを特徴とする、方法。
【請求項3】
前記コーティング粒子の少なくとも一部を前記分散液から分離する
ことが、前記コーティング粒子の少なくとも一部を前記分散液から分離して、動的光散乱によって測定した直径が100nm以下であることを特徴とするコーティング粒子を得ることを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記コーティング粒子の少なくとも一部を
前記分散液から分離する
ことの後に、前記
分散液から分離された前記コーティング粒子を洗浄する
ことが続く、及び
前記コーティング粒子の少なくとも一部を
前記分散液から分離する
ことの後に、前記
分散液から分離された前記コーティング粒子を乾燥する
ことが続く、
の少なくとも1つが真であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記コーティング粒子の少なくとも一部を
前記分散液から分離する
ことの後に、前記
分散液から分離された前記コーティング粒子を洗浄する
ことが続き、及び前記洗浄
することが、前記第2の溶媒で洗浄することを含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の溶媒が水である、
前記第1の溶媒が水であり、前記第2の溶媒がアセトンである、
の1つが真であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
コーティング前駆体を加える
ことが、前記第2の溶媒中での溶解性が前記第1の溶媒中よりも低いポリマーを加えることを含むことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記ポリマーが、
疎水性鎖及び親水性側基を含むポリマー、
所定の液晶材料に可溶であり、所定の液晶材料の屈折率と一致するように選択されるポリマー、
10~1300kDの分子量を特徴とするポリマー、及び
それらの任意の組み合わせ
からなる群から選択されることを特徴とする、方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法であって、
第1の溶媒中に界面活性剤を含む第1の溶液を調製する
ことと、コーティング前駆体を前記第1の溶液に加える
こととが、界面活性剤及びポリマーを含む第1の溶液を調製することによって行われ、
顔料を加える
ことが、前記界面活性剤及び前記ポリマーを含む前記第1の溶液に顔料を加えることを含む、
ことを特徴とする、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
コーティング前駆体を加える
ことが、加水分解時に非導電性酸化物を生成するゾル-ゲル試薬を加えることを含み、
前記方法が、前記ゾル-ゲル試薬の加水分解を開始する試薬を加えることを含む、
ことを特徴とする、方法。
【請求項11】
請求項
10に記載の方法であって、
顔料を加える
ことが、コーティング前駆体を加える
ことに先行する、
顔料を加える
ことと、前記懸濁液又は分散液を破壊する
こととが、コーティング前駆体を加える
ことに先行する、及び
第2の溶液を調製することと、前記第2の溶液を前記第1の溶液に加える
こととが、顔料を加える
ことに先行する、
からなる群からの条件が真であることを特徴とする、方法。
【請求項12】
ポリマーコーティング顔料粒子を含むポリマー分散型液晶(PDLC)組成物を作製する方法であって、
プレポリマー、液晶、及び請求項1に記載の方法に従って調製されたコーティング顔料粒子を含む均質な混合物を調製すること、及び
前記プレポリマーを重合して前記PDLC組成物を生成すること
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項13】
前記コーティング顔料粒子が、
PVPでコーティングされたカーボンブラックを含む粒子、及び
非導電性金属酸化物でコーティングされたカーボンブラックを含む粒子
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
均質な混合物を調製する
ことが、0.3%~1重量%のポリマーコーティング顔料粒子を含む均質な混合物を調製することを含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2018年2月1日に出願された米国仮特許出願第62/624,812の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、無機顔料に関し、より具体的には、液晶デバイスで使用可能な無機顔料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
液晶(LC)ディスプレイで使用する効率的な染料又は顔料を作成するいくつかの試みが、長年にわたって行われてきた。顔料又は染料は、液晶デバイス、特に窓の電子シャッターなどの切り替え可能な液晶デバイスで使用可能かつ有用であるために、特定の特性を有する必要がある。特に、染料又は顔料は、UV照射に対して安定でなければならず、ポリマー分散液晶(PDLC)フィルムなどのデバイス内にある液晶分散液と屈折率が一致していなければならない。さらに、LCデバイスを短絡させないために、染料粒子は非導電性でなければならない。
【0004】
より具体的には、他の用途の中でも最高のプライバシー液晶デバイスを提供するために、視野の完全な遮断を可能にする黒色顔料が望まれる。一般的に使用される黒色顔料の1つは、カーボンの粒子を含み、木材又は骨などの炭化有機材料から伝統的に製造されるカーボンブラックである。しかしながら、市販のカーボンブラックは、一般に、LCディスプレイデバイスでの使用には不向きである。カーボンは導電性材料であるため、LCデバイスへのカーボンブラックの導入は、一般に、短絡の問題を生じさせる。さらに、既製のカーボンブラックをLCデバイスに組み込むと、一般に、ヘイズがあまりに大きく(典型的には30~40%)有用ではない製品が製造される。
【0005】
特開2009-237466号公報は、カーボンブラック顔料の分散液の安定性を改善し、満足な感度、適切なパターン形状及び微細パターンを取得するカーボンブラック分散液及び黒色感光性組成物と、それを使用した、遮光性能の高いブラックマトリックスを有するカラーフィルターと、カラーフィルターを含む液晶ディスプレイデバイスとを開示している。カーボンブラック分散液は、(A)カーボンブラック顔料、(B)高分子分散剤、及び(C)溶媒を少なくとも含み、(B)高分子分散剤の1つは、不飽和二重結合及びウレタン結合を有する化合物である。この黒色感光性組成物は、上記分散液を使用している。このカラーフィルターは、遮光性能の高いブラックマトリックスを有する。この液晶ディスプレイデバイスは、カラーフィルターを含む。
【0006】
日本特許第3515855号は、液晶パネル用組成物を開示している。より具体的には、本発明は、隠蔽力が大きく、絶縁性に優れた液晶パネル用組成物に関し、例えば、液晶パネルのブラックマトリックス形成に好適に用いることができる。
【0007】
米国特許第8026319号は、カーボンブラックの表面の官能基を、非極性溶剤、低極性溶剤、及び樹脂への優れた分散性を示すトリイソシアナート化合物を介して、ジオール修飾末端含有ポリマーに結合させることにより表面修飾された、分散性表面修飾カーボンブラックを開示している。分散性表面修飾カーボンブラックは、カーボンブラックの表面官能基が、3つのイソシアナート末端基を有するトリイソシアナート化合物の1つのイソシアナート末端基に結合し、残りの2つのイソシアナート末端基がそれぞれ、ジオール修飾末端含有ポリマーのヒドロキシル基に結合していることを特徴とする。
【0008】
米国特許第4805995号は、カーボン粒子が約0.1~約0.3ミクロンの範囲の直径を有するインクによって形成されたブラックマスク層を含む液晶ディスプレイデバイスを開示している。カーボン粒子のサイズは、カーボン粒子が突起に凝集して、液晶ディスプレイデバイスの共通電極とセグメント電極との間の電気的接続を確立するのを抑制するのに有効である。これにより、液晶ディスプレイデバイスの信頼性及び液晶ディスプレイデバイスの製造時の歩留まりが向上する。
【0009】
米国特許第8749738号は、液晶パネル及びその製造方法、並びに液晶ディスプレイを開示しており、液晶パネルの製造方法は、導電性材料をブラックマトリックスコーティング材料に混合し、ブラックマトリックスの蒸着を行うステップを含む。本発明では、導電性材料がブラックマトリックスコーティング材料に混合されるため、ブラックマトリックスは電気を伝導することができ、したがって、液晶パネルは、ブラックマトリックスの導電性によって静電気を伝導し、液晶パネル及び液晶パネルのアセンブリを保護することができ、また、ブラックマトリックスの導電性により、液晶パネルの信頼性が向上し、液晶パネルは、追加の導電設計を必要とせず(すなわち、電極の層を液晶パネルのカラーフィルム基板に堆積させる必要がない)、蒸着技術が省略され、生産効率が高まり、液晶パネルの製造コストが節約される。
【0010】
米国特許第5448382号は、視野の一部が過度の明るさを示す可能性があるシーンを表示する装置及び方法を開示しており、これは、光強度がしきい値強度を超えて増大した場合、スクリーンの散乱係数が急速に減少する、非線形光学散乱スクリーンを含む。シーンは、シーンからの光を非線形散乱スクリーンにイメージングし、スクリーンによって、散乱した光を人間の網膜又は他の光検出器に再イメージングすることで表示される。この場合、カーボンブラックなどの吸収体材料、又は選択的吸収帯を有する1つ以上の染料、又はスピロピランなどの可逆的に脱色可能な熱変色性の、若しくは可逆的に光変色性、熱性、脱色可能な吸収体が、散乱層に分散されている。
【0011】
米国特許第5481385号は、光を発生させる光発生手段と、上記光発生手段からの光を変調して画像を形成する変調手段と、上記変調手段の光出射面に隣接して配置された、上記変調手段からの上記画像を表示する画像表示手段とを含む直視型ディスプレイを開示しており、上記表示手段は、平面基板上にテーパー型光導波路のアレイを含み、上記導波路の各テーパー端は、上記基板から外側に延び、上記基板に隣接する光入射面と、上記光入射面から遠位の光出射面とを有する。各導波路の光入射面の面積は、その光出射面の面積よりも大きく、上記アレイ内の隣接する導波路の光入射面間の中心間距離は、それらの光出射面間の中心間距離に等しいため、導波路の出射面から出射する光の角度分布は、導波路に入射する光の角度分布よりも大きい。また、上記アレイ内の導波路は、上記導波路の屈折率よりも低い屈折率を有する介在領域によって分離されている。
【0012】
米国特許第9057020号は、一方が赤又は黄色、他方が青色の2つ以上の染料を含む黒色二色性染料組成物を開示している。染料組成物は、とりわけ、偏光フィルムとして及び/又は液晶ディスプレイにおいて使用する液晶材料との組み合わせに非常に適しており、とりわけ、高い二色比及びLC材料との優れた適合性を示す。
【0013】
米国特許第9575230号は、高反応性ポリアクリラートモノマーを含む感光性レジスト組成物の硬化層を含むカラーフィルターを開示し、その製造方法が提供されている。カラーフィルターは、電気泳動ディスプレイ、ポリマー分散型液晶ディスプレイ、OLEDデバイスなどの低温用途に特に有用である。また、ブラックマトリックス用の黒色顔料としては、カーボンブラック、チタンブラック、アニリンブラック、アントラキノンブラック顔料、ペリレンブラック顔料、具体的にはC.I.ピグメントブラック1、6、7、12、20、27、30、31又は32を使用することができる。これらのうち、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックの表面は、例えば、樹脂で処理されていてもよい。これらの各顔料の表面は、使用前にポリマーで修飾されていてもよい。顔料の表面を修飾するためのポリマーは、ポリマー、すなわち、顔料を分散させる市販のポリマー又はオリゴマーであり得る。
【0014】
したがって、無機顔料を組み込んだ改善された液晶デバイス、並びにデバイスで使用される顔料を調製する改善された方法は、長年望まれながら需要を満たしていないことは上記から明らかである。
【発明の概要】
【0015】
したがって、本発明の目的は、液晶デバイスでの使用に適したコーティング顔料を生成する方法であって、
【0016】
第1の溶媒中に界面活性剤を含む第1の溶液を調製することと、
【0017】
上記第1の溶液にコーティング前駆体を加えることと、
【0018】
上記第1の溶液に粒子を含む顔料を加えることと、
【0019】
上記第1の溶液中の上記顔料の懸濁液又は分散液が得られるまで、上記顔料と上記溶液とを混合することと、
【0020】
上記懸濁液又は分散液を破壊し、それにより上記顔料の凝集体を粒子に分離させて、顔料の上記粒子の分散液を生成することと、
【0021】
上記第1の溶媒と混和性の第2の溶媒を上記分散液に加え、それにより上記コーティング前駆体に由来する材料のコーティングを上記粒子の少なくとも一部の表面上に蒸着させ、コーティング粒子を生成することと、
【0022】
上記コーティング粒子の少なくとも一部を上記分散液から分離することと、
【0023】
上記分散液から分離された上記コーティング粒子を粉末に分解することとを含む方法を開示することである。
【0024】
本発明のさらなる目的は、上記懸濁液又は分散液を破壊する上記ステップが、音波処理、ボールミリング、ビーズビーティング、及び均質化からなる群から選択される方法によって、上記懸濁液又は分散液を破壊することを含むような方法を開示することである。
【0025】
本発明のさらなる目的は、上記コーティング粒子を上記分散液から分離する上記ステップが、上記分散液を遠心分離することを含む、上記のいずれかで定義された方法を開示することである。
【0026】
本発明のさらなる目的は、上記コーティング粒子を上記懸濁液から分離する上記ステップの後に、上記コーティング粒子から所定のサイズを超えるコーティング粒子を分離することと、所定のサイズを超える上記コーティング粒子を廃棄することと、上記所定のサイズ以下にコーティング粒子を保持することとが続く、上記のいずれかで定義された方法を開示することである。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、上記コーティング粒子の少なくとも一部を上記分散液から分離する上記ステップは、上記コーティング粒子の少なくとも一部を上記分散液から分離して、動的光散乱によって測定した直径が100nm以下であることを特徴とするコーティング粒子を得ることを含む。
【0027】
本発明のさらなる目的は、上記コーティング粒子の少なくとも一部を分離する上記ステップの後に、上記懸濁液から分離された上記コーティング粒子を洗浄するステップが続く、上記のいずれかで定義された方法を開示することである。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、上記洗浄ステップは、上記第2の溶媒で洗浄することを含む。
【0028】
本発明のさらなる目的は、上記コーティング粒子の少なくとも一部を上記懸濁液から分離する上記ステップの後に、上記懸濁液から分離された上記コーティング粒子を乾燥させるステップが続く、上記のいずれかで定義された方法を開示することである。
【0029】
本発明のさらなる目的は、コーティング前駆体を加える上記ステップが、上記第2の溶媒中での溶解性が上記第1の溶媒中よりも低いポリマーを加えることを含む、上記のいずれかで定義された方法を開示することである。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、上記ポリマーは、上記第2の溶媒に不溶である。
【0030】
本方法のいくつかの好ましい実施形態では、上記第1の溶媒及び上記第2の溶媒は、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸、n-ブタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、エタノール、メタノール、ギ酸、及び水からなる群から選択される。本方法のいくつかの特に好ましい実施形態では、上記第1の溶媒は水である。本方法のいくつかの特に好ましい実施形態では、上記第1の溶媒は水であり、上記第2の溶媒はアセトンである。
【0031】
上記コーティング前駆体がポリマーである本方法のいくつかの好ましい実施形態では、上記ポリマーは、疎水性鎖及び親水性側基を含む。いくつかの特に好ましい実施形態では、上記ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HPMA)、ジビニルエーテル-無水マレイン酸(DIVEMA)、ポリオキサゾリン、ポリホスホエステル(PPE)、ポリホスファゼン、キサンタンガム、ペクチン、キトサン誘導体、デキストラン、カラギーナン、グアーガム、セルロースエーテル、ヒアルロン酸(HA)、及びシロキサンからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含む。いくつかの特に好ましい実施形態では、上記ポリマーはポリビニルピロリジンである。いくつかの好ましい実施形態では、上記ポリマーは、10kD~1300kDの分子量を特徴とする。
【0032】
上記コーティング前駆体がポリマーである本方法のいくつかの好ましい実施形態では、上記ポリマーは、所定の液晶材料に可溶であり、所定の液晶材料の屈折率と一致するように選択される。
【0033】
上記コーティング前駆体がポリマーである本方法のいくつかの好ましい実施形態では、第1の溶媒中に界面活性剤を含む第1の溶液を調製する上記ステップ、及びコーティング前駆体を上記第1の溶液に加える上記ステップは、界面活性剤及びポリマーを含む第1の溶液を調製することによって行われ、顔料を加える上記ステップは、上記界面活性剤及び上記ポリマーを含む上記第1の溶液に顔料を加えることを含む。
【0034】
上記コーティング前駆体がポリマーである本方法のいくつかの好ましい実施形態では、第1の溶媒中に界面活性剤を含む第1の溶液を調製する上記ステップ、上記第1の溶液にコーティング前駆体を加える上記ステップ、及び上記第1の溶液に粒子を含む顔料を加える上記ステップは、第1の溶媒、界面活性剤、ポリマー、及び粒子を含む顔料を、上記界面活性剤及び上記ポリマーが溶解し、上記顔料の懸濁液又は分散液が形成されるまで、混合することによって行われる。
【0035】
上記コーティング前駆体がポリマーである本方法のいくつかの実施形態では、第1の溶媒中に界面活性剤を含む溶液を調製する上記ステップ、上記溶液にコーティング前駆体を加える上記ステップ、及び粒子を含む顔料を上記溶液に加える上記ステップは、実質的に同時に行われる。
【0036】
この実施形態のさらなる目的は、上記のいずれかで定義された方法を開示することであり、コーティング前駆体を加える上記ステップは、加水分解時に非導電性酸化物を生成するゾル-ゲル試薬を加えることを含み、上記方法は、上記ゾル-ゲル試薬の加水分解を開始する試薬を加えることを含む。
【0037】
コーティング前駆体を加える上記ステップが、加水分解時に非導電性酸化物を生成するゾル-ゲル試薬を加えることを含む本方法のいくつかの実施形態では、顔料を加える上記ステップは、コーティング前駆体を加える上記ステップに先行する。コーティング前駆体を加える上記ステップが、加水分解時に非導電性酸化物を生成するゾル-ゲル試薬を加えることを含む本方法のいくつかの実施形態では、顔料を加える上記ステップ、及び上記懸濁液又は分散液を破壊する上記ステップは、コーティング前駆体を加える上記ステップに先行する。
【0038】
コーティング前駆体を加える上記ステップが、加水分解時に非導電性酸化物を生成するゾル-ゲル試薬を加えることを含むいくつかの実施形態では、上記ゾル-ゲル試薬はアルコキシドである。本方法のいくつかの好ましい実施形態では、上記アルコキシドは、テトラエトキシシラン、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンエトキシド、及びジルコニウムプロポキシドからなる群から選択される。
【0039】
コーティング前駆体を加える上記ステップが、加水分解時に非導電性酸化物を生成するゾル-ゲル試薬を加えることを含む本方法のいくつかの実施形態では、上記ゾル-ゲル試薬の加水分解を開始する上記試薬は塩基である。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、上記塩基は水酸化アンモニウムである。
【0040】
コーティング前駆体を加える上記ステップが、加水分解時に非導電性酸化物を生成するゾル-ゲル試薬を加えることを含む本方法のいくつかの実施形態では、第2の溶媒を加える上記ステップと、上記ゾル-ゲル試薬の加水分解を開始する試薬を加える上記ステップとが、上記第2の溶媒中に上記ゾル-ゲル試薬の加水分解を開始する上記試薬を含む第2の溶液を調製することと、上記第2の溶液を上記第1の溶液に加えることとによって実行される。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、第2の溶液を調製する上記ステップと、上記第2の溶液を上記第1の溶液に加える上記ステップとが、顔料を加える上記ステップに先行する。
【0041】
コーティング前駆体を加える上記ステップが、加水分解時に非導電性酸化物を生成するゾル-ゲル試薬を加えることを含み、顔料を加える上記ステップと上記懸濁液又は分散液を破壊する上記ステップとが、コーティング前駆体を加える上記ステップに先行する本方法のいくつかの実施形態では、第2の溶媒を加える上記ステップと、上記ゾル-ゲル試薬の加水分解を開始する試薬を加える上記ステップとが、上記第2の溶媒中に上記ゾル-ゲル試薬の加水分解を開始する上記試薬を含む第2の溶液を調製することと、上記第2の溶液を上記分散液に加えることとによって実行される。本方法のいくつかの好ましい実施形態では、第2の溶液を調製する上記ステップと、上記第2の溶液を上記第1の溶液に加える上記ステップとが、顔料を加える上記ステップに先行する。
【0042】
この実施形態のさらなる目的は、顔料の粒子を加える上記ステップが導電性顔料の粒子を加えることを含む、上記のいずれかで定義された方法を開示することである。
【0043】
この実施形態のさらなる目的は、顔料の粒子を加える上記ステップが、カーボンブラック、銀、炭化ホウ素、窒化チタン、炭化ジルコニウム、ホウ化ジルコニウム、炭化タングステン、及び二硫化タングステンからなる群から選択される少なくとも1つの顔料の粒子を加えることを含む、上記のいずれかで定義された方法を開示することである。本方法のいくつかの好ましい実施形態では、顔料の粒子を加える上記ステップは、カーボンブラックの粒子を加えることを含む。
【0044】
本発明のさらなる目的は、上記のいずれかで定義された方法に従って調製されたコーティング顔料粒子を開示することである。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、上記粒子は、動的光散乱によって測定して、平均直径が100nm以下であることを特徴とする。
【0045】
本発明のさらなる目的は、液晶デバイスにおける、非導電性コーティングでコーティングされたナノ微粒子顔料粒子の使用を開示することである。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、上記ナノ微粒子ポリマーコーティング顔料粒子は、非導電性ポリマーでコーティングされたカーボンブラックのナノ微粒子の粒子を含む。本発明のいくつかの特に好ましい実施形態では、上記非導電性ポリマーはPVPである。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、上記ナノ微粒子ポリマーコーティング顔料粒子は、非導電性酸化物でコーティングされたカーボンブラックのナノ微粒子の粒子を含む。本発明のいくつかの実施形態では、上記デバイスは液晶組成物を含み、上記ナノ微粒子ポリマーコーティング顔料粒子は上記液晶組成物に組み込まれる。本発明のいくつかの実施形態では、上記液晶組成物は、ポリマー分散型液晶(PDLC)組成物である。
【0046】
本発明のさらなる目的は、上記のいずれかで定義された、非導電性コーティングでコーティングされたナノ微粒子顔料粒子の液晶デバイスにおける使用を開示することであり、上記顔料粒子は、上記のいずれかで定義された方法に従って調製される。
【0047】
本発明のさらなる目的は、ポリマーコーティング顔料粒子を含むポリマー分散型液晶(PDLC)組成物を作製する方法であって、プレポリマー、液晶、及び上記のいずれかで定義された方法に従って調製されたコーティング顔料粒子を含む均質な混合物を調製することと、上記プレポリマーを重合して上記PDLC組成物を生成することとを含む方法を開示することである。本方法のいくつかの好ましい実施形態では、上記コーティング顔料粒子はカーボンブラックを含む。本発明のいくつかの特に好ましい実施形態では、上記コーティング顔料粒子は、PVPでコーティングされたカーボンブラックを含む。本方法のいくつかの特に好ましい実施形態では、上記コーティング顔料粒子は、非導電性金属酸化物でコーティングされたカーボンブラックを含む。
【0048】
本発明のさらなる目的は、上記のいずれかで定義されたポリマーコーティング顔料粒子を含むポリマー分散型液晶(PDLC)組成物を作製する方法を開示することであり、均質な混合物を調製する上記ステップは、0.3%~1重量%のポリマーコーティング顔料粒子を含む均質な混合物を調製することを含む。
【0049】
本発明のさらなる目的は、上記のいずれかで定義されたポリマーコーティング顔料粒子を含むポリマー分散型液晶(PDLC)組成物を作製する方法を開示することであり、上記PDLC組成物は、15μm~30μmの厚さを特徴とするPDLC層を含む。
【0050】
本発明のさらなる目的は、上記のいずれかで定義されたポリマーコーティング顔料粒子を含むポリマー分散型液晶(PDLC)組成物を作製する方法を開示することであり、上記ポリマーコーティング顔料粒子は、10-12(ohm-cm)2以下のコンダクタンスを特徴とするPDLC組成物を生じるように十分に小さいコンダクタンスを特徴とする。
【0051】
本発明のさらなる目的は、上記のいずれかで定義された方法に従って調製されたPDLC組成物を開示することである。
【0052】
本発明のさらなる目的は、液晶デバイスにおける、上記のいずれかで定義されたPDLC組成物の使用を開示することである。
【0053】
本発明の範囲は、少なくとも1つの染料、少なくとも1つの界面活性剤、及び少なくとも1つのポリマーを第1の適切な溶媒に混合し、それにより溶液を作成するステップと、上記溶液を混合するステップと、上記溶液を破壊するステップと、上記溶液に第2の適切な溶媒を加えるステップと、上記溶液を遠心分離し、それにより沈殿物を作成するステップと、上記沈殿物を少なくとも1回洗浄するステップと、上記沈殿物を乾燥させ、それにより固体沈殿物を作成するステップと、上記固体沈殿物を粉砕し、それにより液晶用途で使用可能な染料を作成するステップとを含む、液晶用途で使用可能な染料の製造方法を提供することであり、上記ポリマーは、上記染料の導電特性を中和し、上記粉砕ステップは、上記液晶のヘイズを7%まで増加させる粒子を提供する。
【0054】
本発明のさらなる範囲は、液晶用途で使用可能な染料の製造方法であって、少なくとも1つの導電性顔料、少なくとも1つの界面活性剤、及び少なくとも1つのポリマーを第1の適切な溶媒に加え、それにより溶液を作成するステップと、上記溶液を混合するステップと、上記溶液を破壊するステップと、上記溶液を濾過するステップと、第2の適切な溶媒及び塩基を使用して再懸濁させるステップと、上記溶液に試薬を加えるステップと、上記溶液を遠心分離し、それにより沈殿物を作成するステップと、上記沈殿物を少なくとも1回洗浄するステップと、上記沈殿物を乾燥させ、それにより固体沈殿物を作成するステップと、上記固体沈殿物を粉砕し、それにより液晶用途で使用可能な染料を作成するステップとを含む方法を提供することであり、上記ポリマーは、上記試薬によって上記顔料の導電特性を中和し、それにより、液晶用途に使用可能な染料を提供し、上記粉砕ステップは、0.5重量%の濃度で液晶デバイスに組み込まれた場合に7%以下のヘイズを特徴とするデバイスを製造する粒子を提供する。
【0055】
本発明のさらなる範囲は、上記の方法のいずれかを提供することであり、上記第1及び上記第2の適切な溶媒は、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル(MeCN)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸、n-ブタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、エタノール、メタノール、ギ酸、水、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0056】
本発明のさらなる範囲は、上記の方法のいずれかを提供することであり、上記第1の溶媒は溶液中の溶媒として働き、上記第2の溶媒は上記溶液中の反溶媒として作用する。
【0057】
本発明のさらなる範囲は、上記の方法のいずれかを提供することであり、上記染料は、有機、無機、天然、合成、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0058】
本発明のさらなる範囲は、上記の方法のいずれかを提供することであり、上記有機染料は、アリザリン、アントキサンチン、アリリドイエロー(Arylide yellow)、アゾ化合物、ビリン(生化学)、ビスタ(Bistre)、骨炭、カプトゥムモルトゥーム(Caput mortuum)、カーマイン、クリムゾン、ジアリリド顔料(Diarylide pigment)、ジブロモアンタントロン(Dibromoanthanthrone)、ドラゴンズブラッド(Dragon’s blood)、ガンボージ(Gamboge)、インディアンイエロー、インディゴ染料、ナフトールAS、ナフトールレッド、オモクローム(Ommochrome)、ペリノン(Perinone)、フタロシアニンブルーBN、フタロシアニングリーンG、ピグメントバイオレット23、ピグメントイエロー10、ピグメントイエロー16、ピグメントイエロー81、ピグメントイエロー83、ピグメントイエロー139、ピグメントイエロー185、キナクリドン、ローズマダー(Rose madder)、リレン染料(Rylene dye)、セピア(色)、ティリアンパープル(Tyrian purple)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0059】
本発明のさらなる範囲は、上記の方法のいずれかを提供することであり、上記無機染料は、ウルトラマリンバイオレット:(PV15)ナトリウム及びアルミニウム含有硫黄のシリカート、ハンパープル(Han Purple):BaCuSi2O6、コバルトバイオレット(Cobalt Violet):(PV14)リン酸第一コバルト(cobaltous orthophosphate)、マンガンバイオレット(Manganese violet):NH4MnP2O7(PV16)ピロリン酸マンガンアンモニウム、ウルトラマリン(Na8-10Al6Si6O24S2-4)、ペルシアンブルー(Persian blue)、(Na,Ca)8(AlSiO4)6(S,SO4,Cl)1-2、コバルトブルー(PB28)、セルリアンブルー(PB35)、エジプシャンブルー(Egyptian Blue)(CaCuSi4O10)、ハンブルー(Han Blue):BaCuSi4O10、藍銅鉱(cupric carbonate hydroxide)(Cu3(CO3)2(OH)2)、プルシアンブルー(Prussian Blue)(PB27)(Fe7(CN)18)、YInMnブルー(YIn1-xMnxO3)、カドミウムグリーン(Cadmium Green)、クロムグリーン(Chrome green)(PG17(Cr2O3)、ビリジアン(Viridian)(PG18)(Cr2O3・H2O)、コバルトグリーン(CoZnO2)、マラカイト(Malachite)(Cu2CO3(OH)2)、パリスグリーン(Paris Green)(Cu(C2H3O2)2・3Cu(AsO2)2)、シェーレグリーン(Scheele’s Green)(CuHAsO3)、緑青(Verdigris)(Cu(CH3CO2)2)、マラカイト(Cu2CO3(OH)2)、グリーンアース(Green earth)(K[(Al,FeIII),(FeII,Mg](AlSi3,Si4)O10(OH)2)、雄黄(Orpiment)(As2S3)、カドミウムイエロー(PY37)、クロムイエロー(PY34)(PbCrO4)、オーレオリン(Aureolin)(PY40):硝酸コバルトカリウム(K3Co(NO2)6)、イエローオーカー(Yellow Ochre)(PY43)(Fe2O3・H2O)、ネープルスイエロー(Naples Yellow)(PY41)、鉛錫黄(Lead-tin-yellow)(PbSnO4又はPb(Sn,Si)O3)、チタンイエロー(Titanium Yellow)(PY53)、モザイク金(Mosaic gold)(SnS2)、亜鉛黄(Zinc Yellow)(PY36)(ZnCrO4)、カドミウムオレンジ(PO20)、クロムオレンジ(PbCrO4+PbO)、鶏冠石(Realgar)(As4S4)、カドミウムレッド(PR108)(CdSe)、サングイン(Sanguine)、カプトゥムモルトゥーム(Caput Mortuum)、インディアンレッド、ベネチアンレッド、オキサイドレッド(PR102)、レッドオーカー(PR102)(Fe2O3)、バーントシェンナ(Burnt Sienna)(PBr7)、鉛丹(Minium)、Pb3O4、朱色(PR106)、硫化水銀(HgS)、クレイ土性顔料(Clay earth pigment)(自然に形成された酸化鉄)、ローアンバー(PBr7)(Fe2O3+MnO2+nH2O+Si+AlO3)、ローシェンナ(PBr7)、カーボンブラック(PBk7)、アイボリーブラック(PBk9)、バインブラック(PBk8)k、ランプブラック(PBk6)、マースブラック(アイアンブラック)(PBk11)、二酸化マンガン(MnO2)、チタンブラック(Ti2O3)、アンチモンホワイト(Sb2O3)、硫酸バリウム(PW5)(BaSO4)、リトポン(Lithopone)(BaSO4*ZnS)、クレムニッツホワイト(Cremnitz White)(PW1)((PbCO3)2・Pb(OH)2)、チタンホワイト(PW6)(TiO2)、ジンクホワイト(PW4)(ZnO)、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0060】
本発明のさらなる範囲は、上記の方法のいずれかを提供することであり、上記界面活性剤は、SDS、CTAB、Triton X-100、X-114、CHAPS、DOC、NP-40、オクチルチオグルコシド、オクチルグルコシド、ドデシルマルトシド、ノノキシノール-9、ポリソルバート、スパン、ポロキサマー、Tergitol、Antarox、PENTEX 99、PFOS、Calsoft、Texapon、Darvan、ステアリン酸ナトリウム、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0061】
本発明のさらなる範囲は、上記の方法のいずれかを提供することであり、上記ポリマーは、バイオポリマー、無機ポリマー、有機ポリマー、導電性ポリマー、コポリマー、フルオロポリマー、ガッタパーチャ(ポリテルペン)、フェノール樹脂、ポリ無水物、ポリケトン、ポリエステル、ポリオレフィン(ポリアルケン)、ゴム、シリコーン、シリコーンゴム、高吸水性ポリマー、合成ゴム、ビニルポリマー、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0062】
本発明のさらなる範囲は、上記の方法のいずれかを提供することであり、上記ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HPMA)、ジビニルエーテル-無水マレイン酸(DIVEMA)、ポリオキサゾリン、ポリホスホエステル(PPE)、ポリホスファゼン、キサンタンガム、ペクチン、キトサン誘導体、デキストラン、カラギーナン、グアーガム、セルロースエーテル(すなわち、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(Na-CMC))、ヒアルロン酸(HA)、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0063】
本発明のさらなる範囲は、上記の方法のいずれかを提供することであり、上記ポリマーは、約10kD~約1300kDの分子量を特徴とする。
【0064】
本発明のさらなる範囲は、上記の方法のいずれかを提供することであり、上記混合ステップは、磁気撹拌機、スタティックミキサー、マルチシャフトミキサー、連続ミキサー、連続プロセッサー、タービン、クローズクリアランスミキサー(close-clearance mixer)、高せん断分散機、液体ホイッスル、MIX-ITOMETER、リボンブレンダー、Vブレンダー、コーンスクリューブレンダー、スクリューブレンダー、ダブルコーンブレンダー、ダブルプラネタリー、高粘度ミキサー、逆回転、ダブル&トリプルシャフト、真空ミキサー、高せん断ローターステーター、衝突ミキサー、分散ミキサー、パドル、ジェットミキサー、モバイルミキサー、ドラムブレンダー、インターミックスミキサー、水平ミキサー、温冷混合ミキサー(hot/cold mixing combination)、垂直ミキサー、ターボミキサー、プラネタリーミキサー、バンバリーミキサー、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるミキサーで実行される。
【0065】
本発明のさらなる範囲は、上記の方法のいずれかを提供することであり、上記混合ステップは、約1時間~約36時間の期間にわたって実行される。
【0066】
本発明のさらなる範囲は、上記の方法のいずれかを提供することであり、上記混合ステップは、摂氏約4度~摂氏約40度の温度で実行される。
【0067】
本発明のさらなる範囲は、上記の方法のいずれかを提供することであり、上記破壊ステップは、音波処理、ビーズ法、遠心力、圧縮空気、音波、超音波、振動、静電気、及びそれらの任意の組み合わせによって実行される。
【0068】
本発明のさらなる範囲は、上記の方法のいずれかを提供することであり、上記破壊ステップは、約10分間~約120分間の期間にわたって実行される。
【0069】
本発明のさらなる範囲は、上記の方法のいずれかを提供することであり、上記遠心分離ステップは、固定角遠心分離機、スイングヘッド遠心分離機、連続管状遠心分離機、臨床遠心分離機、高速遠心分離機、分離用超遠心機、分析用超遠心機、ガス遠心分離機、スクリーン/スクロール遠心分離機、プッシャー遠心分離機、ピーラー遠心分離機、反転フィルター遠心分離機、スライド排出遠心分離機、振り子遠心分離機、セパレーター遠心分離機、固体ボウル遠心分離機、円錐プレート遠心分離機、管状遠心分離機、デカンター遠心分離機、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される手段によって実行される。
【0070】
本発明のさらなる範囲は、上記の方法のいずれかを提供することであり、上記遠心分離ステップは、約10分間~約120分間の期間にわたって実行される。
【0071】
本発明のさらなる範囲は、上記の方法のいずれかを提供することであり、上記遠心分離ステップは、摂氏約4度~摂氏約40度の温度で実行される。
【0072】
本発明のさらなる範囲は、上記の方法のいずれかを提供することであり、上記遠心分離ステップは、約10,000rpm~約16,000rpmの速度で実行される。
【0073】
本発明のさらなる範囲は、上記の方法のいずれかを提供することであり、上記乾燥ステップは、真空乾燥機、熱風オーブン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される手段によって実行される。
【0074】
本発明のさらなる範囲は、上記の方法のいずれかを提供することであり、上記乾燥ステップは、摂氏約30度~摂氏約100度の温度で実行される。
【0075】
本発明のさらなる範囲は、上記の方法のいずれかを提供することであり、上記乾燥ステップは、約10分間~約36時間の期間にわたって実行される。
【0076】
本発明のさらなる範囲は、上記の方法のいずれかを提供することであり、上記粉砕ステップは、乳鉢と乳棒、粉砕機、摩砕機、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される手段によって実行される。
【0077】
本発明のさらなる範囲は、上記の方法のいずれかを提供することであり、上記粉砕ステップは、約300nm~約1500nmのサイズを有する粒子を生成する。
また、他の記載と重複するが、以下に発明の一態様を示す。但し、本発明は以下に限定されない。
[1]
液晶デバイスでの使用に適したコーティング顔料を生成する方法であって、
第1の溶媒中に界面活性剤を含む第1の溶液を調製すること、
前記第1の溶液にコーティング前駆体を加えること、
前記第1の溶液に粒子を含む顔料を加えること、
前記第1の溶液中の前記顔料の懸濁液又は分散液が得られるまで、前記顔料と前記溶液とを混合すること、
前記懸濁液又は分散液を破壊し、それにより前記顔料の凝集体を粒子に分離させて、顔料の前記粒子の分散液を生成すること、
前記第1の溶媒と混和性の第2の溶媒を前記分散液に加え、それにより前記コーティング前駆体に由来する材料のコーティングを前記粒子の少なくとも一部の表面上に蒸着させ、コーティング粒子を生成すること、
前記コーティング粒子の少なくとも一部を前記分散液から分離すること、及び
前記分散液から分離された前記コーティング粒子を粉末に分解すること
を含む、方法。
[2]
前記懸濁液又は分散液を破壊する前記ステップが、音波処理、ボールミリング、ビーズビーティング、及び均質化からなる群から選択される方法によって、前記懸濁液又は分散液を破壊することを含む、[1]に記載の方法。
[3]
前記コーティング粒子を前記分散液から分離する前記ステップが、前記分散液を遠心分離することを含む、[1]に記載の方法。
[4]
[1]に記載の方法であって、
前記コーティング粒子を前記懸濁液から分離する前記ステップの後に、
前記コーティング粒子から所定のサイズを超えるコーティング粒子を分離すること、
所定のサイズを超える前記コーティング粒子を廃棄すること、及び
前記所定のサイズ以下にコーティング粒子を保持すること
が続く、方法。
[5]
前記コーティング粒子の少なくとも一部を前記分散液から分離する前記ステップが、前記コーティング粒子の少なくとも一部を前記分散液から分離して、動的光散乱によって測定した直径が100nm以下であることを特徴とするコーティング粒子を得ることを含む、[1]に記載の方法。
[6]
前記コーティング粒子の少なくとも一部を分離する前記ステップの後に、前記懸濁液から分離された前記コーティング粒子を洗浄するステップが続く、[1]に記載の方法。
[7]
前記洗浄ステップが、前記第2の溶媒で洗浄することを含む、[6]に記載の方法。
[8]
前記コーティング粒子の少なくとも一部を前記懸濁液から分離する前記ステップの後に、前記懸濁液から分離された前記コーティング粒子を乾燥させることが続く、[1]に記載の方法。
[9]
顔料の粒子を加える前記ステップが、導電性顔料の粒子を加えることを含む、[1]に記載の方法。
[10]
顔料の粒子を加える前記ステップが、カーボンブラック、銀、炭化ホウ素、窒化チタン、炭化ジルコニウム、ホウ化ジルコニウム、炭化タングステン、及び二硫化タングステンからなる群から選択される少なくとも1つの顔料の粒子を加えることを含む、[1]に記載の方法。
[11]
顔料の粒子を加える前記ステップが、カーボンブラックの粒子を加えることを含む、[10]に記載の方法。
[12]
コーティング前駆体を加える前記ステップが、前記第2の溶媒中での溶解性が前記第1の溶媒中よりも低いポリマーを加えることを含む、[1]に記載の方法。
[13]
前記ポリマーが前記第2の溶媒に不溶である、[12]に記載の方法。
[14]
前記第1の溶媒及び前記第2の溶媒が、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸、n-ブタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、エタノール、メタノール、ギ酸、及び水からなる群から選択される、[12]に記載の方法。
[15]
前記第1の溶媒が水である、[12]に記載の方法。
[16]
前記第1の溶媒が水であり、前記第2の溶媒がアセトンである、[12]に記載の方法。
[17]
前記ポリマーが、疎水性鎖及び親水性側基を含む、[12]に記載の方法。
[18]
前記ポリマーが、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HPMA)、ジビニルエーテル-無水マレイン酸(DIVEMA)、ポリオキサゾリン、ポリホスホエステル(PPE)、ポリホスファゼン、キサンタンガム、ペクチン、キトサン誘導体、デキストラン、カラギーナン、グアーガム、セルロースエーテル、ヒアルロン酸(HA)、及びシロキサンからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含む、[12]に記載の方法。
[19]
前記ポリマーがポリビニルピロリジンである、[18]に記載の方法。
[20]
前記ポリマーが、所定の液晶材料に可溶であり、所定の液晶材料の屈折率と一致するように選択される、[12]に記載の方法。
[21]
前記ポリマーが、10~1300kDの分子量を特徴とする、[12]に記載の方法。
[22]
[12]に記載の方法であって、
第1の溶媒中に界面活性剤を含む第1の溶液を調製する前記ステップと、コーティング前駆体を前記第1の溶液に加える前記ステップとが、界面活性剤及びポリマーを含む第1の溶液を調製することによって行われ、
顔料を加える前記ステップが、前記界面活性剤及び前記ポリマーを含む前記第1の溶液に顔料を加えることを含む、方法。
[23]
第1の溶媒中に界面活性剤を含む第1の溶液を調製する前記ステップ、前記第1の溶液にコーティング前駆体を加える前記ステップ、及び前記第1の溶液に粒子を含む顔料を加える前記ステップが、第1の溶媒、界面活性剤、ポリマー、及び粒子を含む顔料を、前記界面活性剤及び前記ポリマーが溶解し、前記顔料の懸濁液又は分散液が形成されるまで、混合することによって行われる、[12]に記載の方法。
[24]
[1]に記載の方法であって、
コーティング前駆体を加える前記ステップが、加水分解時に非導電性酸化物を生成するゾル-ゲル試薬を加えることを含み、
前記方法が、前記ゾル-ゲル試薬の加水分解を開始する試薬を加えることを含む、
方法。
[25]
顔料を加える前記ステップが、コーティング前駆体を加える前記ステップに先行する、[24]に記載の方法。
[26]
顔料を加える前記ステップと、前記懸濁液又は分散液を破壊する前記ステップとが、コーティング前駆体を加える前記ステップに先行する、[24]に記載の方法。
[27]
前記ゾル-ゲル試薬がアルコキシドを含む、[24]に記載の方法。
[28]
前記ゾル-ゲル試薬が、テトラエトキシシラン、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンエトキシド、及びジルコニウムプロポキシドからなる群から選択される、[27]に記載の方法。
[29]
前記ゾル-ゲル試薬の加水分解を開始する前記試薬が塩基である、[24]に記載の方法。
[30]
前記塩基が水酸化アンモニウムである、[29]に記載の方法。
[31]
[24]に記載の方法であって、
第2の溶媒を加える前記ステップと、前記ゾル-ゲル試薬の加水分解を開始する試薬を加える前記ステップとが、
前記第2の溶媒中に前記ゾル-ゲル試薬の加水分解を開始する前記試薬を含む第2の溶液を調製すること、及び
前記第2の溶液を前記第1の溶液に加えること
によって実行される、方法。
[32]
第2の溶液を調製する前記ステップと、前記第2の溶液を前記第1の溶液に加える前記ステップとが、顔料を加える前記ステップに先行する、[31]に記載の方法。
[33]
[26]に記載の方法であって、
第2の溶媒を加える前記ステップと、前記ゾル-ゲル試薬の加水分解を開始する試薬を加える前記ステップとが、
前記第2の溶媒中に前記ゾル-ゲル試薬の加水分解を開始する前記試薬を含む第2の溶液を調製すること、及び
前記第2の溶液を前記分散液に加えること
によって実行される、方法。
[34]
第2の溶液を調製する前記ステップと、前記第2の溶液を前記第1の溶液に加える前記ステップとが、顔料を加える前記ステップに先行する、[33]に記載の方法。
[35]
[1]~[34]のいずれかに従って調製されたコーティング顔料粒子。
[36]
前記粒子が、動的光散乱によって測定して、平均直径が100nm以下であることを特徴とする、[35]に記載のコーティング顔料粒子。
[37]
液晶デバイスにおける、非導電性コーティングでコーティングされたナノ微粒子顔料粒子の使用。
[38]
前記ナノ微粒子ポリマーコーティング顔料粒子が、非導電性ポリマーでコーティングされたカーボンブラックのナノ微粒子の粒子を含む、[37]に記載の使用。
[39]
前記非導電性ポリマーがPVPである、[38]に記載の使用。
[40]
前記ナノ微粒子ポリマーコーティング顔料粒子が、非導電性酸化物でコーティングされたカーボンブラックのナノ微粒子の粒子を含む、[37]に記載の使用。
[41]
前記デバイスが液晶組成物を含み、前記ナノ微粒子ポリマーコーティング顔料粒子が前記液晶組成物に組み込まれる、[37]に記載の使用。
[42]
前記液晶組成物がポリマー分散型液晶(PDLC)組成物である、[41]に記載の使用。
[43]
前記顔料粒子が、[1]~[34]のいずれかに記載の方法に従って調製される、[37]に記載の使用。
[44]
前記顔料粒子が、[1]~[34]のいずれかに記載の方法に従って調製される、[41]に記載の使用。
[45]
前記顔料粒子が、[1]~[34]のいずれかに記載の方法に従って調製される、[42]に記載の使用。
[46]
ポリマーコーティング顔料粒子を含むポリマー分散型液晶(PDLC)組成物を作製する方法であって、
プレポリマー、液晶、及び[1]~[34]のいずれかに記載の方法に従って調製されたコーティング顔料粒子を含む均質な混合物を調製すること、及び
前記プレポリマーを重合して前記PDLC組成物を生成すること
を含む、方法。
[47]
前記コーティング顔料粒子がカーボンブラックを含む、[46]に記載の方法。
[48]
前記コーティング顔料粒子が、PVPでコーティングされたカーボンブラックを含む、[47]に記載の方法。
[49]
前記コーティング顔料粒子が、非導電性金属酸化物でコーティングされたカーボンブラックを含む、[48]に記載の方法。
[50]
均質な混合物を調製する前記ステップが、0.3%~1重量%のポリマーコーティング顔料粒子を含む均質な混合物を調製することを含む、[46]に記載の方法。
[51]
前記PDLC組成物が、15μm~30μmの厚さを特徴とするPDLC層を含む、[46]に記載の方法。
[52]
前記ポリマーコーティング顔料粒子が、10
-12
(ohm-cm)
2
以下のコンダクタンスを特徴とするPDLC組成物を生じるように十分に小さいコンダクタンスを特徴とする、[46]に記載の方法。
[53]
[46]に記載の方法に従って調製されたPDLC組成物。
[54]
[53]に記載のPDLC組成物の液晶デバイスにおける使用。
【0078】
ここで、図面を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【
図1】本発明による液晶デバイスで使用する無機染料の調製方法の一実施形態を概略的に示すフローチャートを示す。
【0080】
【
図2】本発明による液晶デバイスで使用する無機染料の調製方法の第2実施形態を概略的に示すフローチャートを示す。
【0081】
【
図3】本発明による液晶デバイスで使用する無機染料の調製方法を実施するために使用されるプロセスの概略図を開示する。
【発明を実施するための形態】
【0082】
以下の説明は、当業者が本発明を利用できるようにするために提供され、本発明を実施する発明者によって企図された最良の形態を示す。しかしながら、本発明の一般的な原理は、液晶デバイス、特に、液晶フィルムを備えるデバイスでの使用に適した無機顔料の新規製造方法、及び本発明の方法によって作製された無機顔料を組み込んだ液晶デバイスの製造方法を提供するために明確に定義されているので、様々な修正形態が当業者に明らかであるように適合される。場合によって、明確又は簡潔にするために、個々の要素、個々の方法ステップ、要素の特定の組み合わせ、及び方法ステップの特定の組み合わせについて説明する。それにも関わらず、開示された要素又は方法ステップの自己矛盾しない任意の組み合わせは、発明者らによって、本発明の範囲内であると見なされる。
【0083】
本明細書で使用される場合、略語「LC」は「液晶」を表し、略語「PDLC」は「ポリマー分散型液晶」を表す。
【0084】
本明細書で使用される場合、「コーティング前駆体」という用語は、溶液又は分散液から直接蒸着するか、又は化学反応によって粒子をコーティングする物質を形成するかに関わらず、液体に懸濁又は分散した粒子をその場でコーティングできる任意の物質を指す。
【0085】
透明、半透明、又はやや半透明の物体に関して、本明細書で使用される場合、「ヘイズ(H)」という用語は、以下で式(1)によって定義される量を指す。
【数1】
ここで、I
s>2.5は、入射光の方向に対して2.5°を超える角度で散乱される光の強度であり、I
0は、入射光の合計強度である。
【0086】
本明細書で使用される場合、「全透過率(T
t)」という用語は、式(2)によって定義される量を指し、
【数2】
式中、I
tは透過光の合計強度である(すなわち、すべての散乱角にわたって積分される)。
【0087】
本明細書で使用される場合、「直接透過率(Td)」という用語は、入射光の方向に対して2.5°未満の散乱角で物体を通過する透過光の部分を指す。
【0088】
本明細書で使用される場合、「改造」という用語は、従来の窓又は表面を、何らかの様式で、機能強化するもの、すなわち、切り替え可能なグレージング、切り替え不可能な光変調デバイスなどと組み合わせることによる従来の窓又は表面の改質を指す。
【0089】
本明細書で使用される場合、「染料」という用語は、基材に色を提供する可溶性物質を指し、「顔料」という用語は、基材に色を提供する不溶性物質を指す。
【0090】
本明細書で使用される場合、「カーボンブラック」という用語は、粒子状の準結晶性炭素を含む黒色顔料を指す。この用語は、一般に石油製品の不完全燃焼によって生成されるこのようなすべての顔料を指すために使用される。アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、及びサーマルブラックは、本明細書で使用される場合、「カーボンブラック」という用語で説明される顔料の非限定的な例である。
【0091】
本明細書で使用される場合、「ナノ粒子」という用語は、0.1~100nmの特性寸法(例えば、平均直径)を有する粒子を指し、「ナノ微粒子」は、「ナノ粒子」から構成される物質を指す。
【0092】
本明細書で使用される場合、「マイクロ粒子」という用語は、0.1μmより大きく100μm未満の特性寸法を有する粒子を指し、「マイクロ微粒子」は、マイクロ粒子から構成される物質を指す。
【0093】
本明細書で使用される場合、「懸濁液」及び「分散液」という用語は両方とも、固体の粒子が、固体が溶解しない液体中に分散している系を指すために使用される。「懸濁液」は、一般に、固体粒子が沈殿を起こすほど十分に大きい系(例えば、不溶性固体がマイクロ粒子を含む系)を指し、「分散液」は、固体粒子が沈殿を起こすほど十分に大きくない系(例えば、不溶性固体がナノ粒子を含むコロイド分散液などの系)を指すが、特に明記しない限り、本明細書で使用される場合、用語は互換的に使用され、粒子サイズが指定されていない限り、懸濁液又は分散液の作成又は処理を含むプロセス又はプロセスステップに関していずれの用語を使用しても、系内の個々の粒子のサイズにいかなる制限も課さない。
【0094】
本明細書で使用される場合、液体中の不溶性粒子の懸濁液又は分散液に関して、「破壊する」という用語は、懸濁液又は分散液中の粒子の凝集体のサイズ及び/又は数を低減する任意のプロセスを指すために使用される。
【0095】
本明細書で使用される場合、数量に関して、「約」という用語は、公称値の±25%の値の範囲を指す。
【0096】
顔料が液晶デバイス、特にPDLCフィルムに基づくスマートウィンドウ又はディスプレイなどのデバイスでの使用に適するためには、いくつかの重要な特性が必要である。第一に、粒子は、デバイスが透明状態にあるときに最終組成物のヘイズが好ましくは7%以下に低くなるように、十分に小さい必要がある。第二に、粒子が液晶層に組み込まれる場合、液晶に電圧が印加されたときにデバイスが短絡しないようにするために、粒子は、導電性が低い必要がある。一方、粒子は、半透明状態でのデバイスの全透過率が低くなるように、好ましくは55%以下、より好ましくは30%以下、さらにより好ましくは20%以下、さらになおより好ましくは10%以下、最も好ましくは5%以下になるように、反射率が十分に低い必要がある。カーボンブラックは小さな粒子を含み、反射率が低いが、市販のカーボンブラックは一般に、液晶デバイスでの使用には適さない。第一に、市販のカーボンブラックは一般にナノ微粒子であるが、既製のカーボンブラックは、かなりの数の粒子の凝集体を有する傾向があり、これらの凝集体は、液晶デバイスの顔料として使用するには大きすぎる。さらに、カーボンブラックは導電性であるため、液晶デバイスにそのまま導入することはできない。
【0097】
したがって、液晶デバイスで使用するカーボンブラックに基づく顔料の調製方法は、凝集体を個々のナノ粒子に分解するやり方と、その導電性を低減又は排除するやり方とを必ず含む必要がある。以下で説明されるように、本明細書に開示される本発明の好ましい実施形態では、凝集体は、溶媒中の粒子の分散液又は懸濁液の物理的破壊によって分解され、導電性の低下は、顔料粒子を、非導電性ポリマー又は金属酸化物などの非導電性コーティングでコーティングすることによって達成される。
【0098】
顔料粒子を組み込んだデバイスのヘイズを許容できるほど低くするためには、顔料粒子が小さい(好ましくはナノ粒子)だけでなく、顔料粒子をコーティングするポリマーの光学的特性を、デバイスで使用されている特定の液晶での使用に適するように選択する必要がある。特に、ポリマーは、好ましくは、ポリマーコーティング顔料粒子が、液晶組成物が調製されるときの液晶の屈折率と可能な限り一致するように、選択されるべきである。
【0099】
本発明者らは、カーボンブラックなどの材料に基づく無機顔料を調製する方法であって、上記の適合性の基準のすべてを満たす顔料粒子を生成する方法を見出した。本発明の方法によって生成された粒子は小さく、導電性が低く、PDLCフィルムに基づくスマートウィンドウ又はディスプレイスクリーンなどの液晶デバイスで使用できるように屈折率が一致している。本発明の方法によって製造された粒子を組み込んだデバイスのヘイズは、典型的には7%未満である。
【0100】
これらの特性は一部の用途には適するが、導電性顔料を液晶デバイスに使用することは、その電気伝導性のために困難である。
【0101】
LCデバイスで導電性顔料を使用するには、主に2つの選択肢がある。すなわち、顔料をLC分散液から分離させるか、又は導電性顔料の電気伝導特性を中和して、LC分散液内への染料の挿入を可能にするかのいずれかである。
【0102】
本発明は、LC分散液に含まれるのに適した導電性顔料染料を製造する新規の方法を提供する。
【0103】
ポリマーマトリックスに分散したLC微小液滴で構成されるPDLCフィルムは、多くの学術的及び産業的研究の主題となってきた。これらの電気光学系は、電場を印加することによって、散乱電場オフ状態から透明電場オン状態に切り替えることができる。この特性を使用して、大面積の建築用グレージング用途の、電気的変調光及び視覚透過性を備えたデバイスを構築することができる。これらの用途に適した製品は、電場オフ状態で不透明度が高く、電場オン状態で広い視野角にわたって透明度が高い(ヘイズが低い)必要がある。PDLCの電場オン状態でのヘイズ現象は、ポリマーマトリックスと液滴内の整列したLCとの間に残存する屈折率の差に起因する。フィルム面に垂直な方向で測定された「通常」ヘイズと、他の視野角で測定された「軸外」ヘイズとを区別する必要がある。これらの値は、様々なPDLC材料及び処理パラメーターに依存する。
【0104】
LC分散液に材料を挿入すると、ポリマーマトリックス内の新しい材料によって生じる屈折率の差が大きくなるため、ヘイズが自然に増加する。
【0105】
マイクロサイズの粒子は、可視域の波長の散乱により、ヘイズを増加させる。
【0106】
本発明の範囲は、LC分散液に含めるのに適した無機顔料を製造するための新規の方法を提供することであり、特に、分散液に顔料を含めることにより、顔料を用いないLCフィルムとの差が肉眼では判らないヘイズレベルを有するデバイスをもたらす点で適している。
【0107】
本発明の一実施形態では、使用される方法論は、導電性顔料の単離及び沈殿のプロセス、言い換えれば、溶媒/反溶媒沈殿技術である。
【0108】
ここで
図1を参照すると、これは、顔料の粒子がポリマーでコーティングされたコーティング顔料粒子を製造するための、本明細書に開示された方法100の非限定的な一実施形態の概略フローチャートを示す。本明細書で与えられる方法100の一般的な説明の後に、特定の方法ステップのより詳細な説明が続く。非限定的な一例示的実施形態では、方法は、第1の溶媒中の界面活性剤及びポリマーの溶液を調製し、次に、顔料、典型的にはカーボンブラックなどの電気伝導性顔料の粒子を溶液に加える(フローチャートのステップ10)ことから始まる。これらの実施形態では、ポリマーはコーティング前駆体として機能する。ポリマー及び界面活性剤が可溶である任意の溶媒を使用することができ、典型的な用途では、第1の溶媒は水である。本発明のいくつかの実施形態では、顔料粒子を界面活性剤/ポリマー溶液に加えるのではなく、顔料粒子、界面活性剤、及びポリマーを単一のステップで一緒に溶媒に加える。次に、溶液及び顔料粒子(又は、界面活性剤及びポリマーが顔料粒子と共に添加される実施形態では、すべての成分)を、顔料の均質な懸濁液又は分散液が得られるまで混合する(ステップ11)。一般に、懸濁液又は分散液には凝集体が含まれ、これは、大きすぎるために、デバイスに「そのまま」組み込むとヘイズレベルが高すぎて有用ではないため、LCアプリケーションでの使用には適さない。したがって、懸濁液中の凝集体のサイズを低減するために、破壊のステップ(12)を実行し、好ましくは、凝集体を分散液中の単離された単一の粒子に分解する。このステップを実行する方法については、以下で詳細に説明する。
【0109】
破壊のステップの後に、溶液中のポリマーの反溶媒として作用し得る第2の溶媒の添加が続く(ステップ13)。第2の溶媒は、第1の溶媒と混和である溶媒でなければならないが、第2の溶媒中で、ポリマーは、第1の溶媒中よりも溶解性が著しく低い。好ましい実施形態では、第2の溶媒は、ポリマーが不溶である溶媒であるように選択され、第1の溶媒が水である本発明の実施形態では、第2の溶媒は、典型的にはアセトンである。第2の溶媒を添加すると、ポリマーは溶液から顔料粒子の表面に沈殿し、それにより顔料粒子をコーティングし、それらの電気伝導性を著しく低下させ、好ましくはそれらを非導電性にする。
【0110】
第2の溶媒を加えるステップの後に、コーティングされた粒子を分散液から分離するステップ(14)が続く。分離は通常、遠心分離によって行われる。本発明の好ましい実施形態では、LCデバイスでの使用には大きすぎる残留粒子又は凝集体は、分離後に除去される。本発明のいくつかの実施形態では、コーティングされた粒子は、湿った粒子から第1の溶媒を除去するために(典型的には第2の溶媒で)洗浄される。
【0111】
本方法の典型的な実施形態では、懸濁液又は分散液から分離されたコーティングされた粒子は、その後、残りの溶媒を蒸発させるために乾燥され(ステップ15)、単離された非導電性顔料のみが残る。典型的な実施形態では、粒子は、乾燥プロセス中に互いに付着する傾向があり、材料の塊及びブロックの形成をもたらす。LCデバイスへの導入に使用できる形態にするために、乾燥した材料を分解して粉末にし(ステップ16)、典型的には粉砕して、あらゆる点でLC用途向けに適切な、かつLC用途で簡単に使用できる自由に流動する粒子(典型的にはナノ粒子を含む)を生成する。
【0112】
本発明の典型的な実施形態では、プロセスの第1のステップで、界面活性剤及びポリマーを適切な第1の溶媒に加える。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、第1の溶媒は水である。上記で説明したように、後の段階で添加される第2の溶媒は、第1の溶媒と混和であるが、ポリマーが不溶又は難溶の溶媒である必要があるため、第1の溶媒の選択は、可能な第2の溶媒の選択を制限する。
【0113】
本明細書で開示される方法で使用され得る溶媒の非限定的な例としては、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸、n-ブタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、エタノール、メタノール、ギ酸、及び水が挙げられるが、2つの溶媒は混和である必要があり、ポリマーコーティングは第1の溶媒中よりも第2の溶媒中の溶解性が著しく低い必要がある点で制限される。
【0114】
本明細書に開示される方法で使用され得る界面活性剤の非限定的な例としては、SDS、CTAB、Triton X-100、X-114、CHAPS、DOC、NP-40、オクチルチオグルコシド、オクチルグルコシド、ドデシルマルトシド、ノノキシノール-9、ポリソルバート、スパン、ポロキサマー、Tergitol、Antarox、PENTEX 99、PFOS、Calsoft、Texapon、Darvan、及びステアリン酸ナトリウムが挙げられる。
【0115】
粒子をコーティングするポリマーは、好ましくは、LCデバイスで使用されるLC媒体に可溶であり、ポリマーコーティングされた粒子がLC媒体の屈折率と一致するように選択される。特に好ましい実施形態、特にLCデバイスがPDLC層を含む実施形態では、ポリマーは、親水性側基を有する疎水性鎖を含む。
【0116】
LCデバイスに組み込まれる粒子のコーティングとして使用するための物理的、光学的、及び化学的基準を満たす、当技術分野で知られている任意のポリマーを使用することができる。適切なポリマーの非限定的な例としては、ポリ(エチレングリコール)(PEG);ポリビニルピロリドン(PVP);ヒアルロン酸;ポリビニルアルコール(PVA);ポリアクリル酸(PAA);ポリアクリルアミド;N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HPMA);ジビニルエーテル-無水マレイン酸(DIVEMA);ポリオキサゾリン;ポリホスホエステル(PPE);ポリホスファゼン;キサンタンガム;ペクチン;キトサン;キトサン誘導体;デキストラン;カラギーナン;グアーガム;ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(Na-CMC)などのセルロースエーテルが挙げられる。本発明の好ましい実施形態では、PVPが使用される。
【0117】
本発明者らは、ポリマーの分子量が最終製品の有用性にいくらか影響を及ぼし得ることを見出した。例えば、短鎖PVPはPDLCに溶解するが、長鎖PVPは溶解せず、これは、PDLC用途では、PVPの鎖長が重要なパラメーターであることを意味する。したがって、本発明のいくつかの実施形態では、ポリマーは、約10kD~約1300kDの分子量を特徴とする。
【0118】
本明細書に開示されるプロセスの第2のステップでは、顔料の粒子が溶媒に添加される。本発明のいくつかの実施形態では、顔料の粒子は、界面活性剤及びポリマーと共に溶媒に添加される。本発明の好ましい実施形態では、顔料粒子は、溶媒中の界面活性剤及びポリマーの均質な溶液が調製された後にのみ添加される。本明細書に開示されるプロセスで使用され得る顔料の非限定的な例としては、カーボンブラック、銀、炭化ホウ素、窒化チタン、炭化ジルコニウム、ホウ化ジルコニウム、炭化タングステン、及び二硫化タングステンが挙げられる。
【0119】
LCフィルムに特定の色を付けるために、様々な染料を使用することができる。本発明の範囲は適切な黒色顔料の製造であるが、本明細書に開示される方法を使用して他の色を調製することができる。
【0120】
染料は、有機か無機か、天然か合成かに関わらず、溶解度及び化学的性質に従って分類される。
【0121】
本発明のいくつかの実施形態では、有機染料は、アリザリン、アントキサンチン、アリリドイエロー(Arylide yellow)、アゾ化合物、ビリン(生化学)、ビスタ(Bistre)、骨炭、カプトゥムモルトゥーム(Caput mortuum)、カーマイン、クリムゾン、ジアリリド顔料(Diarylide pigment)、ジブロモアンタントロン(Dibromoanthanthrone)、ドラゴンズブラッド(Dragon’s blood)、ガンボージ(Gamboge)、インディアンイエロー、インディゴ染料、ナフトールAS、ナフトールレッド、オモクローム(Ommochrome)、ペリノン(Perinone)、フタロシアニンブルーBN、フタロシアニングリーンG、ピグメントバイオレット23、ピグメントイエロー10、ピグメントイエロー16、ピグメントイエロー81、ピグメントイエロー83、ピグメントイエロー139、ピグメントイエロー185、キナクリドン、ローズマダー(Rose madder)、リレン染料(Rylene dye)、セピア(色)、ティリアンパープル(Tyrian purple)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0122】
本発明のいくつかの実施形態では、無機染料又は顔料は、ウルトラマリンバイオレット:(PV15)ナトリウム及びアルミニウム含有硫黄のシリカート、ハンパープル(Han Purple):BaCuSi2O6、コバルトバイオレット(Cobalt Violet):(PV14)リン酸第一コバルト(cobaltous orthophosphate)、マンガンバイオレット(Manganese violet):NH4MnP2O7(PV16)ピロリン酸マンガンアンモニウム、ウルトラマリン(Na8-10Al6Si6O24S2-4)、ペルシアンブルー(Persian blue)、(Na,Ca)8(AlSiO4)6(S,SO4,Cl)1-2、コバルトブルー(PB28)、セルリアンブルー(PB35)、エジプシャンブルー(Egyptian Blue)(CaCuSi4O10)、ハンブルー(Han Blue):BaCuSi4O10、藍銅鉱(cupric carbonate hydroxide)(Cu3(CO3)2(OH)2)、プルシアンブルー(Prussian Blue)(PB27)(Fe7(CN)18)、YInMnブルー(YIn1-xMnxO3)、カドミウムグリーン(Cadmium Green)、クロムグリーン(Chrome green)(PG17(Cr2O3)、ビリジアン(Viridian)(PG18)(Cr2O3・H2O)、コバルトグリーン(CoZnO2)、マラカイト(Malachite)(Cu2CO3(OH)2)、パリスグリーン(Paris Green)(Cu(C2H3O2)2・3Cu(AsO2)2)、シェーレグリーン(Scheele’s Green)(CuHAsO3)、緑青(Verdigris)(Cu(CH3CO2)2)、マラカイト(Cu2CO3(OH)2)、グリーンアース(Green earth)(K[(Al,FeIII),(FeII,Mg](AlSi3,Si4)O10(OH)2)、雄黄(Orpiment)(As2S3)、カドミウムイエロー(PY37)、クロムイエロー(PY34)(PbCrO4)、オーレオリン(Aureolin)(PY40):硝酸コバルトカリウム(K3Co(NO2)6)、イエローオーカー(Yellow Ochre)(PY43)(Fe2O3・H2O)、ネープルスイエロー(Naples Yellow)(PY41)、鉛錫黄(Lead-tin-yellow)(PbSnO4又はPb(Sn,Si)O3)、チタンイエロー(Titanium Yellow)(PY53)、モザイク金(Mosaic gold)(SnS2)、亜鉛黄(Zinc Yellow)(PY36)(ZnCrO4)、カドミウムオレンジ(PO20)、クロムオレンジ(PbCrO4+PbO)、鶏冠石(Realgar)(As4S4)、カドミウムレッド(PR108)(CdSe)、サングイン(Sanguine)、カプトゥムモルトゥーム(Caput Mortuum)、インディアンレッド、ベネチアンレッド、オキサイドレッド(PR102)、レッドオーカー(PR102)(Fe2O3)、バーントシェンナ(Burnt Sienna)(PBr7)、鉛丹(Minium)、Pb3O4、朱色(PR106)、硫化水銀(HgS)、クレイ土性顔料(Clay earth pigment)(自然に形成された酸化鉄)、ローアンバー(PBr7)(Fe2O3+MnO2+nH2O+Si+AlO3)、ローシェンナ(PBr7)、カーボンブラック(PBk7)、アイボリーブラック(PBk9)、バインブラック(PBk8)k、ランプブラック(PBk6)、マースブラック(アイアンブラック)(PBk11)、二酸化マンガン(MnO2)、チタンブラック(Ti2O3)、アンチモンホワイト(Sb2O3)、硫酸バリウム(PW5)(BaSO4)、リトポン(Lithopone)(BaSO4*ZnS)、クレムニッツホワイト(Cremnitz White)(PW1)((PbCO3)2・Pb(OH)2)、チタンホワイト(PW6)(TiO2)、ジンクホワイト(PW4)(ZnO)、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0123】
成分が溶媒に添加された後、界面活性剤/ポリマー溶液中の顔料粒子の均質な懸濁液又は分散液が得られるまで、それらは混合される。
【0124】
当技術分野で知られている任意の適切な混合方法を使用することができる。使用できるミキサーのタイプの非限定的な例としては、リボンブレンダー、Vブレンダー、連続プロセッサー、コーンスクリューブレンダー、スクリューブレンダー、ダブルコーンブレンダー、ダブルプラネタリー、高粘度ミキサー、逆回転、ダブル&トリプルシャフト、真空ミキサー、高せん断ローターステーター、衝突ミキサー、分散ミキサー、パドル、ジェットミキサー、モバイルミキサー、ドラムブレンダー、インターミックスミキサー、水平ミキサー、温冷混合ミキサー(Hot/Cold mixing combination)、垂直ミキサー、ターボミキサー、プラネタリーミキサー、及びバンバリーミキサーが挙げられる。
【0125】
上記で説明したように、一般に、カーボンブラックなどの市販の顔料は、LC用途には大きすぎて有用ではないか、又は粒子が分離するまで、かつ分子が分離しない限り使用できない凝集体の形態で存在する粒子を含む。したがって、適切な顔料粒子を得るためには、凝集体のサイズを低減し、それらを形成する粒子を分離するステップが必要である。本発明の好ましい実施形態では、このステップは、界面活性剤/ポリマー溶液中の顔料粒子の懸濁液又は分散液が調製された後に行われる。粒子は、凝集体を十分に適切に小さい粒子に分解するのに十分な強さのエネルギーを投入することにより、溶液を「破壊」することによって分解され、本発明の好ましい実施形態では、凝集体のサイズはこの段階で低減され、動的光散乱によって測定したサイズが100nm以下であることを特徴とする粒子を有するナノ微粒子材料が得られる。低減される粒子の典型的な粒子サイズは、上記で列挙した顔料が銀の場合、80nmであり、炭化ホウ素では60nm、窒化チタンでは40nm、炭化ジルコニウムでは30nm、ホウ化ジルコニウムでは50nm、炭化タングステンでは80nm、二硫化タングステンでは60nmである。
【0126】
粒子サイズを十分に低減する、溶液を破壊する任意の適切な方法を使用することができる。本発明の好ましい実施形態では、粒子サイズを低減するステップは、懸濁液の音波処理又は超音波処理によって、典型的には20kHzを超える周波数で行われる。
【0127】
本発明のいくつかの実施形態では、粒子サイズは、周知のビーズビーティング技術を使用することにより低減される。この方法では、十分に硬い物質(例えば、ガラス、セラミック又は鋼)でできた小さな不活性ビーズが懸濁液と混合され、その後、例えば撹拌又は振とうによって、混ぜられる。ビーズと懸濁粒子との間の衝突により、粒子はより小さなサイズの粒子に分解される。ビーズビーティングにはいくつかの利点がある。例えば、非常に小さなサンプルサイズを破壊し、交差汚染の懸念なく一度に多くのサンプルを処理するために使用することができ、処理過程で有害な可能性のあるエアロゾルを放出せず、処理中に適度な機械的せん断をもたらす。当技術分野で知られている任意の適切なビーズビーティング装置を使用することができる。ビーズビーティングが使用される本発明の方法の典型的な実施形態では、懸濁液の体積に等しい体積のビーズが加えられ、サンプルは一般的な実験室用ボルテックスミキサーで激しく混合される。専用の振とう機を使用すると、処理時間を短縮することができる。このような振とう機は、毎分約2000の振動でサンプルを撹拌することができ、1~3分の振とうで材料の破壊が完了する。
【0128】
分離された粒子を生成するために懸濁液又は分散液を破壊した後、本発明のいくつかの実施形態では、粒子は次にポリマーでコーティングされる。コーティングは、好ましくは、第2の溶媒の添加により達成される。この技術は、反溶媒を使用した技術であり、結晶化の方法としてよく知られている。本明細書に開示される方法では、第1の溶媒と混和であるが、ポリマーの溶解性がはるかに低い第2の溶媒が添加され、好ましい実施形態では、ポリマーは、第2の溶媒に難溶又は不溶である。非限定的な例として、第1の溶媒が水である実施形態では、第2の溶媒は典型的にはアセトンである。第2の溶媒の添加により、ポリマーが溶液から(必ずしも結晶としてではなく)沈殿し、溶液中に懸濁している粒子の表面をコーティングする。上記で説明したように、ポリマーコーティングは、顔料粒子をLC用途での使用に適したものにする光学的及び電気的特性を提供する。
【0129】
第2の溶媒を加え、それによって粒子をコーティングするステップに続いて、コーティングされた粒子は、次に、液体から分離される。粒子のサイズが小さいため、自然な沈降には時間がかかりすぎて、沈降による分離は効率的ではないため、本発明の好ましい実施形態では、分離は遠心分離により行われる。コーティングされた粒子を液体から分離するのに適した、当技術分野で知られている任意のタイプの遠心分離機を使用することができる。次に、上澄み液を注ぎ出し、分離された粒子を残すことができる。
【0130】
本発明のいくつかの実施形態では、分離された粒子は、過剰な溶媒及びポリマーを除去するために洗浄される。非限定的な例として、分離された粒子を第2の溶媒で洗浄して、第1の溶媒を除去することができる。上記の水及びアセトンの例のように、第2の溶媒が第1の溶媒よりもはるかに揮発性が高い場合、洗浄することにより、第1の溶媒が除去され、かつその後の乾燥が容易になる。
【0131】
分離及び任意の洗浄に続いて、本発明の好ましい実施形態では、次に、粒子は乾燥される。粒子を乾燥させるのに適した、当技術分野で知られている任意の技術を使用することができる。非限定的な例には、真空乾燥及び熱風乾燥が含まれる。本発明の典型的な実施形態では、乾燥は、分離が行われた容器(例えば、分離が遠心分離によって行われた実施形態における遠心管)内で行われる。
【0132】
これまでに列挙されたステップによって生成される粒子は、通常、乾燥して、粒子が互いに付着するブロック又は塊になる。粒子がLC組成物に使用される場合、粒子は分散される必要があるので、粒子を乾燥させるステップの後に、通常、乾燥された粒子組成物を粉末に分解するステップが続く。粒子をナノ微粒子粉末に分解する任意の適切な技術を使用することができる。非限定的な例には、粉砕(例えば、乳鉢と乳棒、又は粉砕ミルなどの機械的粉砕機を使用)及び摩砕が含まれる。
【0133】
次に、ポリマーコーティングされた顔料粒子を含む粉末は、LCデバイスで使用するために保管することができる。
【0134】
本発明のいくつかの非限定的な実施形態では、非導電性コーティングは、ポリマーではなく、金属酸化物を含む。これらの実施形態では、コーティングされた粒子は、ゾル-ゲル法によって調製される。ここで、
図2を参照すると、
図2は、本発明の方法の非限定的な実施形態300の概略フローチャートを示し、顔料粒子のコーティングは、当技術分野で知られているゾル-ゲル法と同様の方法を介して達成される。方法300は、顔料粒子及び界面活性剤を第1の適切な溶媒に加えて(ステップ30)、懸濁液又は分散液を形成することから始まり、次にこれを破壊して(ステップ31)、粒子サイズを低減し、凝集粒子を分離する。次に、第2の適切な溶媒及び塩基が溶液に添加される(ステップ32)。非限定的な例として、第1の溶媒が水である場合、第2の溶媒はエタノール、塩基は水酸化アンモニウムであり得る。次のステップ33では、アルコキシドなどの適切なゾル-ゲル試薬が、コーティング前駆体として分散液又は懸濁液に添加され、分散液又は懸濁液は混合される。適切なゾル-ゲル試薬の非限定的な例としては、テトラエトキシシラン、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンエトキシド、及びジルコニウムプロポキシドが挙げられる。塩基性条件によって、ゾル-ゲル試薬の加水分解が引き起こされて金属酸化物が生じ、金属酸化物は、顔料粒子上に堆積され、それによって非導電性酸化物コーティングが生成される。次に、コーティング顔料粒子を上澄み液から分離するために、遠心分離が行われる(ステップ34)。次に、分離された粒子は乾燥され(ステップ35)、この材料は、LC用途で使用するために保管できる非導電性顔料粒子を含む粉末に分解される(ステップ36)。
【実施例】
【0135】
以下の非限定的な例は、当業者が本発明を作製及び使用するのを支援するために提供される。
【0136】
例1
ここで、本発明(200)の非限定的な一実施形態の一般原理の概略図を示す
図3を参照する。
【0137】
本発明の典型的な実施形態では、約0.1g~約1gのポリマー及び約0.1ml~約1.0mlの界面活性剤を、100~500mlの第1の溶媒に加える。ポリマー及び界面活性剤が完全に溶解した後、約0.1g~約1.0gの導電性顔料を加える。懸濁液を室温で約1時間~約6時間撹拌し、次に、超音波浴に約10分~約120分間置き、その後、室温で撹拌プレート上で一晩撹拌する。典型的な実施形態では、次に、プローブソニケーター(例えば、SONICS、750W、振幅約10%~約60%、約10kHz~約75kHz)を約10分~約60分間使用することにより、粒子サイズを低減する。次に、約100ml~約600mlの第2の溶媒を、連続的に撹拌しながら、約50ml~約250mlの懸濁液を保持する容器に加える。次に、ナノ微粒子懸濁液を約10分~約90分間撹拌し、それにより得られた粒子を、遠心分離機での洗浄遠心分離サイクルを介して精製する。粒子は、通常、真空オーブンで(典型的には60mmHgの圧力、35~60℃の温度で)一晩乾燥させ、乾燥させた粒子を粉砕して粉末にする。
【0138】
例2
本発明の第2の非限定的な実施形態の例として、非導電性顔料粒子は、シリカ/ゾル-ゲル修飾技術を使用して、導電性顔料の表面上にシリコン化合物を縮合させるプロセスによって調製した。
【0139】
界面活性剤(tryton X)を水に溶解させた。カーボンブラック粉末を溶液に加え、得られた懸濁液を音波処理によって破壊した。次に、エタノール及びNH4OHを加えた。最後に、アルコキシド(別のサンプルでは、チタン又はシリカート)を加え、得られた混合物を24時間撹拌して、酸化物でコーティングされたカーボンブラック粒子を生成した。遠心分離によって上澄み液から粒子を分離し、真空オーブンで乾燥させた。
【0140】
例3
PVPを完全に水に溶解し、次に導電性顔料の粒子を加えた。溶液を24時間撹拌した。次に、溶液を濾過し、エタノール中のアンモニアに再懸濁し、完全に混合した。次に、撹拌下で、試薬を加えた。最後に、溶液を遠心分離して乾燥させた。次に、ペレットを粉砕して、粉末を作成した。
【0141】
例4
以下の例は、本明細書に開示される方法に従って調製されたポリマーコーティング顔料粒子のLCデバイスにおける有用性を実証する。
【0142】
カーボンブラックのサンプルは2つの異なる商業的供給業者から入手し、2つのサンプルの各々について、PVPでコーティングされた非導電性顔料粒子を含む粉末を、本明細書に開示される方法に従って調製した。
【0143】
次に、コーティングされた粒子を組み込んだLCデバイスを、文献の方法に従って調製した。LC、ポリマーコーティングカーボンブラック粒子(0.5重量%)、及びプレポリマーの混合物を調製した。次に、プレポリマーを光分解下で重合させて、ポリマーコーティングカーボンブラック粒子を含むPDLC組成物を生成した。顔料粒子及び顔料粒子を含むLCデバイスの特性を表1にまとめ、「A」及び「B」は、カーボンブラックの2つのサンプルから作製されたそれぞれの粉末を指し、T
onは、デバイスが透明状態のときの全透過率、H
onは、デバイスが透明状態のときのヘイズ、T
minは、デバイスが半透明状態のときの直接透過率、T
maxは、デバイスが透明状態のときの直接透過率、V
90は、T
onの90%を得るのに必要な電圧である。
【表1】
【0144】
ヘイズ形成の原因を理解するために、LCデバイスは、同じプロトコルに従って、ただし、顔料をまったく使用しないか、又は0.5%のコーティングされていないカーボンブラック粒子を組み込むかのいずれかで、調製した。次に、得られたデバイスのヘイズを測定した。顔料なしで調製したデバイスでは、ヘイズは2.5%であった。コーティングされていない粒子を組み込んだデバイスでは、ヘイズは3.4%(Ton=46%)であった。つまり、ポリマーコーティングされた顔料粒子を含むデバイスの約7%のヘイズのうち、ヘイズ値への約1%の追加は、染料粒子自体からの散乱によるものであり、約3%は、ポリマーコーティング又はコーティングされた粒子の形態学によるものである。粒子サイズをさらに低減すると、ヘイズはさらに低減される。