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特許7280645携帯端末カバーおよび携帯端末カバー付き鞄
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】携帯端末カバーおよび携帯端末カバー付き鞄
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/11 20060101AFI20230517BHJP
   A45C 9/00 20060101ALI20230517BHJP
   A45C 11/00 20060101ALI20230517BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
H04M1/11 Z
A45C9/00 Z
A45C11/00 E
H05K5/02 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022130699
(22)【出願日】2022-08-18
【審査請求日】2023-01-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398033242
【氏名又は名称】竹田 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100143096
【弁理士】
【氏名又は名称】山岸 忠義
(72)【発明者】
【氏名】竹田 睦
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-168876(JP,A)
【文献】国際公開第2016/021946(WO,A2)
【文献】特開2016-197847(JP,A)
【文献】特開2018-196081(JP,A)
【文献】特開2014-107654(JP,A)
【文献】登録実用新案第3176005(JP,U)
【文献】登録実用新案第3046816(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M1/02-1/23
A45C1/00-15/08
A45F3/00
3/02
3/04
3/12
H04B1/38-1/58
H05K5/00-5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末を内側に収容可能な携帯端末カバーであって、
表面カバー部、裏面カバー部および連結部を有する開閉可能なカバー部材と、
前記カバー部材の内側に配置される携帯端末固定部と、
前記カバー部材の内側に配置されるトルクヒンジと
を備え、
前記トルクヒンジは、シャフトと、前記シャフトを軸として回転可能な第1回転部材および第2回転部材とを備え、
前記第1回転部材は、前記カバー部材に固定され、
前記第2回転部材は、前記カバー部材を貫通して前記カバー部材の外側に突出することを特徴とする、携帯端末カバー。
【請求項2】
前記第1回転部材は、前記シャフトが挿通される挿通部と、前記シャフトの軸方向と直交する方向に延びるアーム部とを備え、
前記第2回転部材は、前記シャフトが挿通される挿通部と、前記シャフトの軸方向と直交する方向に延びるアーム部とを備えることを特徴とする、請求項1に記載の携帯端末カバー。
【請求項3】
前記第1回転部材のアーム部および前記第2回転部材のアーム部は、それぞれ略U字形状を有することを特徴とする、請求項2に記載の携帯端末カバー。
【請求項4】
前記携帯端末固定部は、携帯端末を収容する収容部と、前記収容部を回転させる回転部とを備えることを特徴とする、請求項1に記載の携帯端末カバー。
【請求項5】
前記携帯端末固定部は、前記裏面カバー部に固定され、
前記裏面カバー部は、略矩形状を有し、
前記裏面カバー部は、略矩形状の短辺において、内側に向かって凸となるように、湾曲または折り曲げ可能であることを特徴とする、請求項4に記載の携帯端末カバー。
【請求項6】
前記トルクヒンジは、樹脂製ワッシャーおよび金属製ワッシャーが交互に配置されるワッシャー集合体と、止め具とを備え、
前記第1回転部材および前記第2回転部材は、前記ワッシャー集合体および前記止め具によって挟まれていることを特徴とする、請求項1に記載の携帯端末カバー。
【請求項7】
前記トルクヒンジは、コイルスプリングを備え、
前記コイルスプリングは、前記シャフトが挿通されており、かつ、前記シャフトの軸方向に圧縮されていることを特徴とする、請求項1に記載の携帯端末カバー。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の携帯端末カバーと、前記携帯端末カバーを固定可能な鞄とを備え、
前記鞄は、外側表面に、前記第2回転部材が挿通可能な挿入口を有する固定部を備えることを特徴とする、携帯端末カバー付き鞄。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末カバーおよび携帯端末カバー付き鞄に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンの発売に伴い、それを保護するためのスマートフォン用カバーが種々販売されている。例えば、スマートフォンには、カメラ機能があるため、スマートフォンを台などに設置して、セルフタイマーで写真を撮る場合があり、その際に、スマートフォンを適度な角度で設置できるようにしたスマートフォンカバーなどが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-163516
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のカバーは、スマートフォンは決められた特定の角度でしか設置できないため、所望の角度で写真を撮影できない場合が生じる。また、スマートフォンを鞄の外側に所望の角度の状態で固定して、スマートフォンを見たり、動画撮影することも、特許文献1のカバーでは対応できない。
【0005】
本発明は、携帯端末を自由な角度で配置することができる携帯端末カバー、および、その携帯端末カバーを備える鞄を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の発明を含む。
【0007】
本発明[1]は、携帯端末を内側に収容可能な携帯端末カバーであって、
表面カバー部、裏面カバー部および連結部を有する開閉可能なカバー部材と、
前記カバー部材の内側に配置される携帯端末固定部と、
前記カバー部材の内側に配置されるトルクヒンジと
を備え、
前記トルクヒンジは、シャフトと、前記シャフトを軸として回転可能な第1回転部材および第2回転部材とを備え、
前記第1回転部材は、前記カバー部材に固定され、
前記第2回転部材は、前記カバー部材を貫通して前記カバー部材の外側に突出する、携帯端末カバーを含む。
【0008】
このような携帯端末カバーによれば、トルクヒンジが第1回転部材および第2回転部材を備えており、第1回転部材がカバー部材に固定され、第2回転部材がカバー部材の外側に突出している。そのため、第1回転部材および/または第2回転部材を回転することにより、カバー部材の表面カバー部および裏面カバー部を所望の角度に維持することができる。そして、表面カバー部の外側および第2回転部材を設置面に接触するように配置することにより、携帯端末カバーを所望の角度に開いた状態を維持したまま配置することができる。したがって、カバー部材の携帯端末固定部に携帯端末を固定することにより、携帯端末を自由な角度で配置することができる。
【0009】
本発明[2]は、前記第1回転部材は、前記シャフトが挿通される挿通部と、前記シャフトの軸方向と直交する方向に延びるアーム部とを備え、
前記第2回転部材は、前記シャフトが挿通される挿通部と、前記シャフトの軸方向と直交する方向に延びるアーム部とを備える、項[1]に記載の携帯端末カバーを含む。
【0010】
このような発明によれば、第1回転部材のアーム部を利用して第1回転部材をカバー部材に確実に固定でき、かつ、第2回転部材のアーム部を容易に把持できるため、より確実かつ容易に所望の角度となるように携帯端末カバーを開閉することができる。
【0011】
本発明[3]は、前記第1回転部材のアーム部および前記第2回転部材のアーム部は、それぞれ略U字形状を有する、項[2]に記載の携帯端末カバーを含む。
【0012】
このような発明によれば、第1回転部材のアーム部および第2回転部材のアーム部を軽量化することができ、かつ、第2回転部材のアーム部を指で引っ掛けることができるため、第2回転部材を容易に回転させることができる。
【0013】
本発明[4]は、前記携帯端末固定部は、携帯端末を収容する収容部と、前記収容部を回転させる回転部とを備える、項[1]~[3]のいずれか一項に記載の携帯端末カバーを含む。
【0014】
このような発明によれば、携帯端末を収容する収容部を回転させることができるため、携帯端末を縦型配置にした状態で所望の角度で配置することができる。
【0015】
本発明[5]は、前記携帯端末固定部は、前記裏面カバー部の内側に固定され、
前記裏面カバー部は、略矩形状を有し、
前記裏面カバー部は、略矩形状の短辺において、内側に向かって凸となるように、湾曲または折り曲げ可能である、項[4]に記載の携帯端末カバーを含む。
【0016】
本発明によれば、携帯端末を収容する収容部を回転させた際および収容部を縦型配置にした際に、収容部とトルコヒンジとの干渉ないし衝突を防止できるため、収容部をスムーズに回転させて、縦型配置にすることができる。また、収容部を表面カバー部の内側の面に載置することができるため、縦型配置の安定性を向上させることができる。
【0017】
本発明[6]は、前記トルクヒンジは、樹脂製ワッシャーおよび金属製ワッシャーが交互に配置されるワッシャー集合体と、止め具とを備え、前記第1回転部材および前記第2回転部材は、前記ワッシャー集合体および前記止め具によって挟まれている、項[1]~[5]のいずれか一項に記載の携帯端末カバーを含む。
【0018】
このような発明によれば、ワッシャー集合体および止め具によって第1回転部材および第2回転部材が挟まれているため、第1回転部材および第2回転部材の回転に適度な摩擦力が発生し、第1回転部材および第2回転部材を回転させるのに必要なトルクが向上する。このため、携帯電話を所望の角度で配置した際に、携帯電話の自重によって第1回転部材および第2回転部材が回転してしまうことを抑制することができる。したがって、より安定した状態で携帯電話を所望の角度で配置することができる。
【0019】
本発明[7]は、前記トルクヒンジは、コイルスプリングを備え、前記コイルスプリングは、前記シャフトが挿通されており、かつ、前記シャフトの軸方向に圧縮されている、項[1]~[5]のいずれか一項に記載の携帯端末カバーを含む。
【0020】
このような発明によれば、シャフトに挿通されているコイルスプリングが軸方向に圧縮されているため、第1回転部材および第2回転部材を軸方向外側に押圧する。そのため、第1回転部材および第2回転部材の回転に適度な摩擦力が発生し、第1回転部材および第2回転部材を回転させるのに必要なトルクが向上する。このため、携帯電話の自重によって第1回転部材および第2回転部材が回転してしまうことを抑制することができる。したがって、より安定した状態で携帯電話を所望の角度で配置することができる。
【0021】
本発明[8]は、項[1]~[8]のいずれか一項に記載の携帯端末カバーと、前記携帯端末カバーを固定可能な鞄とを備え、
前記鞄は、外側表面に、前記第2回転部材が挿通可能な挿入口を有する固定部を備える、携帯端末カバー付き鞄を含む。
【0022】
このような発明によれば、第2回転部材を鞄の固定部に挿入することができるため、鞄の外側表面に携帯端末カバーを介して携帯端末を所望の角度で固定することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の携帯端末カバーおよび携帯端末カバー付き鞄によれば、所望の角度で携帯端末を配置することができる
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の第1実施形態の携帯端末カバーを示し、図1Aは、正面図、図1Bは、底面図、図1Cは、背面図である。なお、図1Aにおいて、携帯端末固定部を構成する部材を透明としたときの図であり、また、カバー部材の外側の部材は破線で示されている。
図2図2は、図1のカバー部材を示し、図2Aは、正面図、図2Bは、底面図、図2Cは、背面図である。
図3図3は、図1のカバー部材および携帯端末固定部の分解斜視図を示す。
図4図4は、図1の分解正面図を示し、図4Aは、携帯端末カバーの正面図、図4Bは、携帯端末収容部を除いた場合の正面図である。
図5図5は、図4に引き続き図1の分解正面図を示し、図5Aは、携帯端末収容部および回転盤被覆部材を除いた場合の正面図、図5Bは、携帯端末収容部、回転盤被覆部材および回転盤収容部を除いた場合の正面図である。
図6図6は、図1のトルクヒンジを示し、図6Aは、分解斜視図、図6Bは、正面図である。
図7図7は、図1の使用形態を示し、図7Aは、開閉角度が90度超で、携帯端末の画像を見る場合の形態、図7Bは、開閉角度が90度未満で、携帯端末のカメラ機能を使用する場合の形態である。
図8図8は、携帯端末の配置形態の斜視図を示し、図8Aは、携帯端末を横型配置した場合の形態、図8Bは、携帯端末を縦型配置した場合の形態である。
図9図9は、裏面カバー部を湾曲させている場合の底面視を示し、図9Aは、携帯端末を回転させる前(横型配置)の形態、図9Bは携帯端末を回転させた後(縦型配置)の形態である。
図10図10は、本発明の第1実施形態の鞄を示す。
図11図11は、図10の第2アーム用固定部を示し、図11Aは、正面図、図11Bは、平面図である。
図12図12は、図1の携帯端末カバーを図10の鞄に固定し、携帯端末カバーを開けている場合の使用形態を示す。
図13図13は、図1の携帯端末カバーを図10の鞄に固定し、携帯端末カバーを閉じている場合の使用形態を示す。
図14】本発明の第2実施形態の携帯端末カバーが備えるトルクヒンジを示し、図14Aは、分解斜視図、図14Bは、正面図である。
図15】本発明の携帯端末カバーの変形例であり、回転盤が摺動可能にした貫通孔を有する形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第1実施形態>
図1図10を用いて、本発明の一例として、第1実施形態の携帯端末カバー1を説明する。なお、図1(展開図)において、第1方向を上下方向とし、第1方向一方側を上側、第1方向他方側を下側とする。第1方向と直交する第2方向を左右方向とし、第2方向一方側を左側、第2方向他方側を右側とする。第1方向および第2方向と直交する第3方向を厚み方向(表裏方向)とし、第3方向一方側を表側、第3方向他方側を裏側とする。また、開閉する携帯端末カバーにおいて、後述する携帯端末が配置される側を開閉方向の内側とし、その反対側を開閉方向の外側とする(図7参照)。
【0026】
第1実施形態の携帯端末カバー1は、スマートフォンなどの携帯端末2を収容および保護するケースであって、図1に示すように、カバー部材10と、携帯端末固定部30と、トルクヒンジ50とを備える。
【0027】
カバー部材10は、内側および外側に開閉可能な手帳型ケースであって、図2に示すように、表面カバー部11と、裏面カバー部12と、連結部13とを備える。
【0028】
表面カバー部11は、携帯端末2の画面側を保護する蓋部である。表面カバー部11は、上下方向に長辺を、左右方向に短辺を有する略矩形状の平板である。表面カバー部11の裏側の表面(外側の表面)には、カバー部材10を閉じた状態に維持するための係止部15が設けられている。係止部15は、例えば、オス型スナップボタンである。係止部15は、裏面カバー部12の被係止部14と係止可能である。
【0029】
裏面カバー部12は、携帯端末2の画面とは反対にある筐体側を保護する背面部である。裏面カバー部12は、上下方向に長辺を左右方向に短辺を有する略矩形状の平板であり、その上下方向長さおよび左右方向長さは、それぞれ、表面カバー部11の上下方向長さおよび左右方向長さと略同一である。裏面カバー部12の右端には、右側に突出するベルト部16が形成されている。ベルト部16には、被係止部14が設けられている。被係止部14は、例えば、メス型スナップボタンである。裏面カバー部12には、携帯端末2のカメラ部(図示せず)に対応する位置に、カメラ用貫通孔17が形成されている。また、裏面カバー部12の連結部13側に隣接する箇所には、後述する第1回転部材51の第1アーム部59を収容するアーム収容部19が形成されている。アーム収容部19は、周辺よりも厚みが薄くなっている凹部であり、その正面視形状は、第1アーム部59の外形よりも大きい。
【0030】
連結部13は、表面カバー部11および裏面カバー部12を連結する部分であって、かつ、カバー部材10を閉じて携帯端末2を収容する際に、カバー部材10の厚みを増やすためのマチ部分である。連結部13は、表面カバー部11と裏面カバー部12とのそれぞれに一体的に接続している。連結部13には、後述する第2回転部材53の第2アーム部61をカバー部材10の内側から外側に通すための2つのカバー貫通孔18が形成されている。
【0031】
表面カバー部11、裏面カバー部12および連結部13は、それぞれ同じ素材から形成されており、例えば、革(合皮を含む)、布、シリコン、木材、アルミニウム、ポリカーボネートなどが挙げられ、好ましくは、革、布、シリコンなどの可撓性素材が挙げられる。表面カバー部11および裏面カバー部12は、カバー部材10の強度を向上させる観点、アーム収容部19の場所を確保する観点などから、例えば、素材を二重とするなどの方法によって、厚みが厚くなるように形成されている。連結部13は、カバー部10の開閉をスムーズにする観点から、表面カバー部11および裏面カバー部12(アーム収容部19を除く)よりも厚みが薄くなるように形成されている。
【0032】
携帯端末固定部30は、図3図5に示すように、カバー部材10の内側において、裏面カバー部12と接触するように配置されている。携帯端末固定部30は、携帯端末2を固定し、かつ、携帯端末2を、厚み方向と直交する面方向において90度回転可能なように構成されている。携帯端末固定部30は、携帯端末収容部31と回転部32とを厚み方向に備える。
【0033】
携帯端末収容部31は、携帯端末2を収容するためのケースである。携帯端末収容部31は、携帯端末2の背面および側面に密着可能なように形成されている。携帯端末収容部31に携帯端末2を収容することにより、携帯端末2は、携帯端末カバー1に固定される。携帯端末収容部31には、裏面カバー部12のカメラ用貫通孔17に対応する位置にカメラ用貫通孔44が形成されている。
【0034】
回転部32は、携帯端末収容部31を回転させるための部材であって、回転盤34と、回転盤収容部材35と、回転盤被覆部材36とを備える。
【0035】
回転盤34は、直径が互いに異なる2つの円盤(大円盤部37、小円盤部38)が同心円となるように厚み方向に積層されている。大円盤部37が裏面カバー部12側に位置し、小円盤部38が携帯端末収容部31側に位置するように配置されている。
【0036】
回転盤収容部材35は、カバー部材10の内側であって裏面カバー部12の表側に配置されている。回転盤収容部材35には、大円盤部37の外周縁と略同一大きさの第1貫通孔33が形成されており、かつ、回転盤収容部材35を左右方向に分断するスリット39が形成されている。すなわち、回転盤収容部材35は、第1貫通孔33を形成する略矩形状の第1支持板40と、略矩形帯状の第2支持板41とから構成されている。回転盤収容部材35の厚みは、大円盤部37の厚みと略同一である。
【0037】
回転盤被覆部材36は、回転盤収容部材35の表側に配置されている。回転盤被覆部材36には、小円盤部38の外周縁と略同一大きさの第2貫通孔42が形成されている。回転盤被覆部材36の厚みは、小円盤部38の厚みと同一である。回転盤被覆部材36の連結部13側の端部(左端部)の上側には、ストッパー43が形成されている。ストッパー43は、回転盤被覆部材36の左端部から表側に向かって伸びる板であり、その厚みは、携帯端末収容部31の厚みと略同一である。
【0038】
回転盤34は、その大円盤部37が回転盤収容部材35の第1貫通孔33に収容され、かつ、その小円盤部38が回転盤被覆部材36の第2貫通孔42に収容されるとともに、大円盤部37の周縁部が回転盤被覆部材36によって被覆されている。この構成により、回転盤34は、回転盤収容部35および回転盤被覆部材36の内部において、厚み方向と直交する面方向に回転可能であり、かつ、携帯端末カバー1からの脱落が防止されている。
【0039】
回転盤被覆部材36の第1支持板40および第2支持板41は、接着層(例えば、粘着テープなど)や固定具(例えば、ネジなど)を介して裏面カバー部12に固定され、回転盤被覆部材36は、接着層などを介して第1支持板40に固定され、携帯端末収容部31は、接着層などを介して回転盤34に固定されている。一方、第2支持板41は、回転盤被覆部材36と固定されておらず、回転盤34は裏面カバー部12と固定されていない。
【0040】
携帯端末固定部30を構成する部材は、それぞれ独立に、例えば、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、シリコンなどが挙げられる。
【0041】
トルクヒンジ50は、カバー部材10の内側であって連結部13の表側に配置されている。
【0042】
トルクヒンジ50は、図6に示すように、シャフト51と、第1回転部材52と、第2回転部材53と、コイルスプリング54と、複数(2つ)のゴム製のOリング55と、複数(2つ)の止め具56と、複数(8つ)の金属製ワッシャー57とを備える。
【0043】
シャフト51は、内部に内ネジが形成されており、シャフト51の両端側から止め具(止めネジ)56と螺合可能なように構成されている。
【0044】
第1回転部材52は、2つの第1挿通部58と、第1アーム部59とを一体的に備える。2つの第1挿通部58は、シャフト51が挿通される部位であって、それぞれ、第1回転部材52の両端部において、リング状に形成されている。第1アーム部59は、2つの第1挿通部58に連続し、シャフト51の軸方向と直交する方向(径方向)に延びるように形成されている。具体的には、第1アーム部59は、略U字形状(コの字形状を含む)を有する棒状部材である。第1回転部材52は、例えば、直径0.5~3mm程度の金属線を折り曲げることにより形成されている。第1アーム部59は、裏面カバー部12のアーム収容部19に収容されており、かつ、表側から回転盤収容部材35によって被覆されている。この構成により、第1アーム部59は、裏面カバー部12に固定されている。
【0045】
第2回転部材53は、2つの第2挿通部60と、第2アーム部61とを一体的に備える。2つの第2挿通部58は、シャフト51が挿通される部位であって、それぞれ、第2回転部材52の両端部において、リング状に形成されている。第2アーム部61は、2つの第2挿通部60に連続し、シャフト51の径方向に延びるように形成されている。具体的には、第2アーム部61は、略U字形状を有する棒状部材である。2つの第2挿通部60間の距離(すなわち、第2回転部材53のシャフト軸方向長さ)は、2つの第1挿通部58間の距離(すなわち、第1回転部材52のシャフト軸方向長さ)よりも長い。第2回転部材53は、例えば、直径0.5~3mm程度の金属線を折り曲げることにより形成されている。第2回転部材53において、第2アーム部61は、カバー貫通孔17を通過して、カバー部材10の外側に突出および露出するように配置されている。
【0046】
コイルスプリング54は、圧縮ばねであり、圧縮することによって元の長さに戻る外側方向への応力が発生する。コイルスプリング54のコイル長(自由長さ)は、2つの第2挿通部60間の距離よりも長く、コイル内径は、シャフト51がコイルスプリング54内に挿通可能な長さである。
【0047】
トルクヒンジ50では、シャフト軸方向中央からシャフト軸方向外側の順に、コイルスプリング54、Oリング55、第1挿通部58および第2挿通部60が挿通され、シャフト51の端部に止め具56が配置されている。加えて、これらの間にそれぞれワッシャー57が配置されている。すなわち、シャフト軸方向一端部からシャフト軸方向他端部に向かって、止め具56、ワッシャー57、第2挿通部60、ワッシャー57、第1挿通部58、ワッシャー57、Oリング55、ワッシャー57、コイルスプリング54、ワッシャー57、Oリング55、ワッシャー57、第1挿通部58、ワッシャー、第2挿通部60、ワッシャー57、止め具56となるように配置されている。この際、コイルスプリング54は、シャフト軸方向内側に圧縮されている状態で配置されている。これにより、コイルスプリング54は、シャフト軸方向外側に押す応力、すなわち、第1挿通部58、第2挿通部60およびOリング55に対して押す応力が常に働いている。そのため、第1回転部材52および第2回転部材53の回転に適度な摩擦が発生し、第1回転部材52および第2回転部材53を回転させるのに必要なトルクが向上する。このため、第1回転部材52および第2回転部材53は、携帯端末2や携帯端末収容部31による自重によって勝手に回転することを抑制しつつ、第1アーム部59や第2アーム部61に適度な周方向の応力(回転モーメント)を印加することによって回転させることができる。
【0048】
このような携帯端末カバー1によれば、スマートフォンなどの携帯端末2を携帯端末収容部31に収容および固定することにより使用され、携帯電話2を自由な角度で配置することができる。具体的には、携帯端末2を携帯端末収容部3に収容して、所望の角度となるように本体カバー部材10を開けるとともに第2アーム部61を回転させて、表面カバー部11の外側および第2回転部材53の第2アーム部61を所望の設置面に接触するように携帯端末2付き携帯端末カバー1を設置する(図7参照)。そして、必要に応じて、設置前または設置後に、携帯端末2を縦型になるように、携帯端末収容部31を面方向に90度回転させる(図8参照)。これにより、携帯端末2を所望の角度でかつ所望の配置(縦型または横型)で設置することができる。このとき、携帯端末カバー1はコイルヒンジ50を備え、第1回転部材51および第2回転部材52の回転に際して適度な力を印加する必要があるため、携帯端末2の自重によって勝手に回転して倒れることが防止される。特に、重心が高く、倒れる方向への回転モーメントが強い縦型配置(図8参照)となるように、携帯電話2を設置した場合であっても、携帯端末2を所望の角度に維持したまま配置させることができる。なお、携帯端末カバー1の開閉角度(表面カバー部11と裏面カバー部12とがなす内側の角度)は、少なくとも0~180度の範囲で、無段階調整、すなわち、自由な角度での配置が可能である。
【0049】
また、このような携帯端末カバー1によれば、携帯端末収容部31を回転させて、携帯端末2を横型配置から縦型配置に変更する際において、回転盤収容部材36に上下方向に沿うスリット39が形成されているため、裏面カバー部12が、略矩形状の短辺において(換言すると、底面視において)、内側に凸となるように湾曲または折り曲げることができる(図9参照)。そのため、回転時に、携帯端末2および携帯端末収容部31がトルクヒンジ50に干渉または衝突することを防止することができ、スムーズな回転が可能となる。また、縦型配置の際には、表面カバー部11の内側の面に携帯端末収容部31を載置することができるため、縦型配置の安定性を向上させることができる(図9B参照)。なお、ストッパー43が回転部32に設けられていることにより、携帯端末固定部30を縦型配置となる回転させた際に、90度を超過する回転を防止して、90度(縦型配置)で確実に止まるように構成されている(図8B参照)。また、横型配置の際においても、携帯端末固定部30のぐらつきを抑制して、安定性を向上させている(図8A参照)。
【0050】
また、このような携帯端末カバー1によれば、第1回転部材52が、略U字形状の第1アーム部59を備え、第2回転部材53が略U字形状の第2アーム部61を備える。そのため、第1回転部材52を裏面カバー部12に確実に固定でき、かつ、第2アーム部61を指で引っ掛けるなどによって容易にかつ直接的に把持することができ、第2回転部材53を容易に回転させることができる。そのため、より確実かつより容易に所望の角度となるように端末カバー1を開閉して配置することができる。また、第1回転部材52および第2回転部材53の軽量化を図ることもできる。
【0051】
次いで、第1実施形態の携帯端末カバー1を備える携帯端末カバー付き鞄3について、説明する。携帯端末カバー付き鞄3は、携帯端末カバー1と、鞄4とを備える。
【0052】
鞄4は、図10に示すように、携帯端末カバー1を係止可能な鞄であって、鞄4の表側に、第2アーム用固定部71と、表面カバー用被係止部72と、裏面カバー用係止部73とを備える。
【0053】
第2アーム用固定部71は、図11に示すように、第2アーム部61が挿入可能なように、挿入口74を有している。挿入口74は、略U字形状であって上方が開放するように形成されている。挿入口74の幅(左右方向長さ)は、第2アーム部61の幅と略同一である。これにより、第2アーム部61が上方から挿入口74と挿入ないし勘合される。
【0054】
表面カバー用被係止部72は、表面カバー部11の被係止部14と係止可能な部材である。例えば、メス型スナップボタンであり、裏面カバー部12の被係止部14と同一である。表面カバー用被係止部72は、第2アーム用固定部71の上方に配置されている。
【0055】
裏面カバー用係止部73は、裏面カバー部12の係止部14と係止可能な部材である。例えば、オス型スナップボタンであり、表面カバー部11の係止部15と同一である。裏面カバー用係止部73は、表面カバー用被係止部72の上方に配置されている。
【0056】
このような携帯端末カバー付き鞄3によれば、図12図13に示すように、携帯端末2を鞄4の外側に固定することができる。具体的には、携帯端末2を収容した携帯端末カバー1において、第2アーム部61を鞄4の第2アーム用固定部71の挿入口74に挿通し、表面カバー部11の係止部15を鞄4の表面カバー用被係止部72に係止し、第2アーム部61を所望の角度に回転させることにより、鞄4に装着させた状態で所望の角度で携帯端末2を見たり、携帯端末2のカメラで撮影が可能となる(図12参照)。また、さらに、カバー部材10を内側に閉じて、裏面カバー部12の被係止部14を鞄4の裏面カバー用係止部73に係止させることにより、鞄4の外側に固定して持ち運んだり、その状態でカメラ撮影することができる(図13参照)。
【0057】
<第2実施形態>
図14を用いて、本発明の一例として、第2実施形態の携帯端末カバー1を説明する。なお、第1実施形態と同様の部材については説明を省略する。
【0058】
第2実施形態の携帯端末カバー1は、カバー部材10と、携帯端末固定部30と、トルクヒンジ50とを備える。
【0059】
トルクヒンジ50は、図14に示すように、シャフト51と、第1回転部材52と、第2回転部材53と、ワッシャー集合体62と、複数の金属製ワッシャー57と、複数の樹脂製ワッシャー63とを備える。
【0060】
ワッシャー集合体62は、複数の金属製ワッシャー57および複数の樹脂製ワッシャー63を備え、金属製ワッシャー57および樹脂製ワッシャー63が交互に配置されている。金属製ワッシャー57を構成する素材としては、例えば、ステンレス、アルミニウム、鉄、銅などが挙げられる。樹脂製ワッシャー63を構成する素材としては、例えば、ポリカーボネート、フッ化ビニリデン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトンなどが挙げられる。ワッシャー集合体62のワッシャー(金属製および樹脂製)の総数は、その幅の合計長さが第1回転部材58のシャフト軸方向長さと略同一となるようにすればよく、例えば、5個以上30個以下とすればよい。
【0061】
トルクヒンジ50には、シャフト軸方向中央からシャフト軸方向外側の順に、ワッシャー集合体63、第1挿通部58および第2挿通部60が挿通され、シャフト51の端部に止め具56が配置されている。加えて、これらの間にそれぞれ金属製ワッシャー57および樹脂製ワッシャー63が配置されている。すなわち、シャフト軸方向一端部からシャフト軸方向他端部に向かって、止め具56、金属製ワッシャー57、第2挿通部60、金属製ワッシャー57、樹脂製ワッシャー63、金属製ワッシャー57、第1挿通部58、ワッシャー集合体62、第1挿通部58、金属製ワッシャー57、樹脂製ワッシャー63、金属製ワッシャー57、第1挿通部58、第2挿通部60、金属製ワッシャー57、止め具56となるように配置されている。この際、第1挿通部58および第2挿通部60は、ワッシャー集合体62と止め具5との間に挟まれて固定されている。このとき、止め具56の締め具合をきつく調整することにより、第1挿通部58および第2挿通部60に対する応力が働く。ワッシャー集合体62や第1挿通部58-第2挿通部60間に樹脂製ワッシャー63が存在するため、適度な弾力ないし反発力を有する。そのため、第1回転部材52および第2回転部材53の回転に適度な摩擦が発生し、第1回転部材52および第2回転部材53を回転させるのに必要なトルクが向上する。このため、第1回転部材52および第2回転部材53は、携帯端末2や携帯端末収容部31による自重によって勝手に回転することを抑制しつつ、第1アーム部59や第2アーム部61に適度な周方向の応力(回転モーメント)を印加することによって回転させることができる。また、第2実施形態が備える樹脂製ワッシャー63は、第1実施形態が備えるゴム製のOリング55よりも固く、耐擦傷性があるため、第2実施形態のトルクヒンジ50は、第1実施形態のトルクヒンジ50よりも耐久性に優れる。
【0062】
<変形例>
以下に、上記第1実施形態および第2実施形態の変形例の一例を挙げる。
【0063】
上記実施形態の携帯端末カバー1では、回転盤収容部材35の第1貫通孔33の外形が、大円盤部37の外形と略同一で、かつ、回転盤被覆部材36の第2貫通孔42の外形が、小円盤部38の外形と略同一であったが、各貫通孔33、34の外形は、大円盤部37または小円盤部38の外形よりも大きくてもよい。例えば、図15に示すように、各貫通33、34は、面方向一方向(上下方向および左右方向に交差する斜め方向、図15の矢印参照)に長い形状を有していてもよい。これより、回転盤34は、回転可能であり、かつ、面方向一方向に摺動可能であるため、トルクヒンジ50などの他の部材の干渉をより確実に防止しながら、携帯端末収容部31を回転させて、スムーズに縦型配置または横型配置に変更することができる。
【0064】
上記実施形態の鞄4では、第2アーム用固定部71の上方に、表面カバー用被係止部72および裏面カバー用係止部73が配置されているが、これらの配置方向は限定されない。例えば、第2アーム用固定部71の下方または左右方向に表面カバー用被係止部72および裏面カバー用係止部73が配置されていてもよい。これにより、携帯端末カバー1の鞄4への装着の向きを変更することができる。
【0065】
上記実施形態の携帯端末カバー付き鞄では、各係止部(15、73)および各被係止部(14、72)を、オス型またはメス型のスナップボタンとして説明しているが、例えば、各係止部(15、73)および各被係止部(14、72)は、磁石などを採用することもできる。
【符号の説明】
【0066】
1 携帯端末カバー
2 携帯端末
3 携帯端末カバー付き鞄
4 鞄
10 カバー部材
11 表面カバー部
12 裏面カバー部
13 連結部
14 被係止部
15 係止部
16 ベルト部
17 カメラ用貫通孔
18 カバー貫通孔
19 アーム収容部
30 携帯端末固定部
31 携帯端末収容部
32 回転部
33 第1貫通孔
34 回転盤
35 回転盤収容部材
36 回転盤被覆部材
37 大円盤部
38 小円盤部
39 スリット
40 第1支持板
41 第2支持板
42 第2貫通孔
43 ストッパー
44 カメラ用貫通孔
50 トルクヒンジ
51 シャフト
52 第1回転部材
53 第2回転部材
54 コイルスプリング
55 Oリング
56 止め具
57 金属製ワッシャー
58 第1挿通部
59 第1アーム部
60 第2挿通部
61 第2アーム部
62 ワッシャー集合体
63 樹脂製ワッシャー
71 第2アーム用固定部
72 表面カバー用被係止部
73 裏面カバー用係止部
74 挿入口

【要約】
【課題】携帯端末を自由な角度で配置することができる携帯端末カバー、および、その携帯端末カバーを備える鞄を提供すること。
【解決手段】携帯端末カバー1は、携帯端末2を内側に収容可能な携帯端末カバーであって、表面カバー部11、裏面カバー部12および連結部13を有する開閉可能なカバー部材10と、カバー部材10の内側に配置される携帯端末固定部30と、カバー部材10の内側に配置されるトルクヒンジ50とを備える。トルクヒンジ50は、シャフト51と、シャフト51を軸として回転可能な第1回転部材52および第2回転部材53とを備え、第1回転部材52は、カバー部材10に固定され、第2回転部材53は、カバー部材10を貫通してカバー部材10の外側に突出する。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15