(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】合成樹脂成形材料の除湿乾燥システム
(51)【国際特許分類】
B29B 13/06 20060101AFI20230517BHJP
B29C 31/02 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
B29B13/06
B29C31/02
(21)【出願番号】P 2023060754
(22)【出願日】2023-04-04
【審査請求日】2023-04-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398000129
【氏名又は名称】株式会社大阪冷研
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金岡 義樹
(72)【発明者】
【氏名】長綱 康行
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-210935(JP,A)
【文献】特開2022-120722(JP,A)
【文献】実開昭62-189108(JP,U)
【文献】国際公開第99/33630(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/26-53/28
B29B
B29C
B29D
F26B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂成形材料を貯留する貯留ホッパーと、
前記貯留ホッパーから供給される前記合成樹脂成形材料を収容する乾燥ホッパーと、
前記乾燥ホッパー内の前記合成樹脂成形材料を乾燥するために前記乾燥ホッパーに導入される乾燥空気を生成する除湿装置と、
前記除湿装置から前記乾燥ホッパーに前記乾燥空気を移送するための乾燥空気流路と、
前記乾燥ホッパーから排出される前記合成樹脂成形材料を乾燥した後の加湿空気を前記除湿装置に移送するための加湿空気流路と、
前記加湿空気流路に設けられ、前記加湿空気を冷却する冷却器と、
を備えた、合成樹脂成形材料の除湿乾燥システムであって、
前記冷却器は、外気との熱交換により前記加湿空気を冷却するように構成され、
前記貯留ホッパーは、予熱ガスの導入により内部の合成樹脂成形材料を予熱するように構成され、
該除湿乾燥システムは、
前記冷却器から排出される前記加湿空気との熱交換により昇温した外気の少なくとも一部を前記予熱ガスとして前記貯留ホッパーに移送するための予熱ガス流路をさらに備える、ことを特徴とする除湿乾燥システム。
【請求項2】
前記除湿装置は、吸着剤を含んでおり、前記加湿空気に含まれる水分を前記吸着剤による吸着により前記加湿空気から除去して前記乾燥空気を生成し、かつ、前記吸着剤が吸着した水分を再生ガスによる脱着により前記吸着剤から除去して前記吸着剤を再生するように構成され、
該除湿乾燥システムは、
前記冷却器から排出される前記加湿空気との熱交換により昇温した外気の一部を前記再生ガスとして前記除湿装置に移送するための再生ガス流路と、
前記再生ガス流路に設けられ、前記冷却器から排出される前記外気を加熱する第一加熱器と、
をさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載の除湿乾燥システム。
【請求項3】
前記除湿装置で前記吸着剤を再生した後に前記除湿装置から排出される再生処理済ガスを系外に移送するための再生処理済ガス流路と、
前記再生ガス流路において前記第一加熱器よりも上流側に設けられた予熱器と、
をさらに備え、
前記予熱器は、前記再生処理済ガスとの熱交換により、前記冷却器から排出される前記外気を予熱するように構成されている、ことを特徴とする請求項2に記載の除湿乾燥システム。
【請求項4】
前記再生処理済ガスの一部を、前記再生処理済ガス流路から前記再生ガス流路の前記第一加熱器よりも上流側に混合するための循環流路をさらに備える、ことを特徴とする請求項3に記載の除湿乾燥システム。
【請求項5】
前記加湿空気流路に設けられ、前記冷却器により冷却された前記加湿空気の温度を計測する温度センサと、
前記温度センサによる計測温度に基づいて、前記冷却器に圧縮した外気を供給する送風機の送風量を制御する制御機器と、
をさらに備える、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の除湿乾燥システム。
【請求項6】
前記冷却器に供給される外気を浄化するフィルター装置をさらに備える、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の除湿乾燥システム。
【請求項7】
前記乾燥空気流路に設けられ、前記乾燥空気を加熱する第二加熱器と、
前記乾燥空気流路において前記第二加熱器よりも上流側に設けられた熱交換器と、
をさらに備え、
前記熱交換器は、前記乾燥ホッパーから排出された前記加湿空気との熱交換により、前記乾燥空気を予熱するように構成されている、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の除湿乾燥システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば樹脂ペレットなどの合成樹脂成形材料から水分を取り除く除湿乾燥システムに関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂成形材料は、一般にペレット状に加工された状態で射出成形機などの樹脂成形機に供給される。樹脂ペレットは、大気中の水分を吸湿しており、水分を多く有する状態であると、溶融混練過程で加水分解を起こし、成形品の強度や耐衝撃性の低下を引き起こすなど、成形品の品質を著しく低下させる。そのうえ、成形品の外観的欠陥も引き起こす。そのため、樹脂ペレットは、水分が取り除かれてから射出成形機などに供給される。
【0003】
樹脂ペレットの水分を取り除く手段として、例えば、樹脂ペレットを収容した乾燥ホッパーに高温の乾燥空気を導入し、乾燥ホッパー内で樹脂ペレットに高温の乾燥空気を接触させる方法が従来から行われている。乾燥空気により樹脂ペレットを加熱し、これにより樹脂ペレットが乾燥することで、樹脂ペレットの表面に付着した水分や内部に含まれる水分が樹脂ペレットから取り除かれる(例えば特許文献1を参照)。
【0004】
図3は、乾燥ホッパー100に高温の乾燥空気を導入するための除湿乾燥システムについて、従来例の概略構成を示す。乾燥空気は、加熱器101で例えば150℃から180℃に加熱されて乾燥ホッパー100に導入される。乾燥ホッパー100内には樹脂ペレットがホッパーローダー102から送り込まれる。乾燥ホッパー100内の樹脂ペレットは、高温の乾燥空気によって加熱される。これにより、乾燥した樹脂ペレットは、電磁弁103を開放動作させることにより輸送配管104から樹脂成形機105に供給される。
【0005】
樹脂ペレットの乾燥に供された乾燥空気は、樹脂ペレットから水分を取り除くことにより加湿されるため、加湿空気となって乾燥ホッパー100から排出される。乾燥ホッパー100から排出された加湿空気は、集塵装置107で加湿空気に含まれる異物が取り除かれ、冷却器108で冷却され、送風機109で圧縮され、冷却器110で再び冷却された後に、除湿装置106に導入される。そして、加湿空気は、除湿装置106で除湿されて、再び乾燥ホッパー100内の樹脂ペレットを乾燥するための乾燥空気として用いられる。
【0006】
ここで、冷却器108,110は、一般的には水冷式の熱交換器であり、加湿空気を冷却水との熱交換により冷却して加湿空気の温度を下げる。乾燥ホッパー100から排出された加湿空気の温度は例えば60℃から80℃であり、加湿空気の温度は冷却器108によって例えば40℃に低下する。また、送風機109を通過した際に上がった加湿空気の温度は冷却器110によって例えば40℃に低下する。加湿空気の温度が低温であると、加湿空気に含まれる水分が除湿装置106において効率よく吸着剤によって吸着される。
【0007】
除湿装置106は、吸着剤を含んでおり、加湿空気に含まれる水分を吸着剤により吸着することで加湿空気から除去するように構成されている。これにより、加湿空気が除湿されて、乾燥空気が生成される。乾燥空気は、送風機111により圧縮され、フィルター装置112により異物が除去され、加熱器101により加熱された後に、再び乾燥ホッパー100に導入される。
【0008】
除湿装置106において吸着剤を再生するための再生ガスは、一般的に外気が用いられる。外気は、フィルター装置113により異物が除去され、送風機114により圧縮され、加熱器115により例えば200℃から230℃に加熱された後に、除湿装置106に導入される。再生ガスは、除湿装置106で吸着剤の再生に供された後は、除湿装置106から排出されて、系外に排気される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した
図3に示す除湿乾燥システムでは、加湿空気を除湿装置106に導入する前に加湿空気を冷却するための冷却器108,110が水冷式である。水冷式の冷却器108,110は、冷却水により加湿空気を効率的に冷却できるが、加湿空気の冷却に伴って加湿空気が有する熱エネルギーを回収した冷却水はクーリングタワーで冷却される。そのため、従来の除湿乾燥システムでは、回収した熱エネルギーを有効に活用できない。
【0011】
本開示は、上記事情に鑑みてなされ、エネルギーロスの抑制と、エネルギーの効率化を図ることができる合成樹脂成形材料の除湿乾燥システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の除湿乾燥システムは、上記課題を解決するため、以下の項1に記載の除湿乾燥システムを主題として包含する。
【0013】
項1.合成樹脂成形材料を貯留する貯留ホッパーと、
前記貯留ホッパーから供給される前記合成樹脂成形材料を収容する乾燥ホッパーと、
前記乾燥ホッパー内の前記合成樹脂成形材料を乾燥するために前記乾燥ホッパーに導入される乾燥空気を生成する除湿装置と、
前記除湿装置から前記乾燥ホッパーに前記乾燥空気を移送するための乾燥空気流路と、
前記乾燥ホッパーから排出される前記合成樹脂成形材料を乾燥した後の加湿空気を前記除湿装置に移送するための加湿空気流路と、
前記加湿空気流路に設けられ、前記加湿空気を冷却する冷却器と、
を備えた、合成樹脂成形材料の除湿乾燥システムであって、
前記冷却器は、外気との熱交換により前記加湿空気を冷却するように構成され、
前記貯留ホッパーは、予熱ガスの導入により内部の合成樹脂成形材料を予熱するように構成され、
該除湿乾燥システムは、
前記冷却器から排出される前記加湿空気との熱交換により昇温した外気の少なくとも一部を前記予熱ガスとして前記貯留ホッパーに移送するための予熱ガス流路をさらに備える、ことを特徴とする除湿乾燥システム。
【0014】
また、本開示の除湿乾燥システムは、上記項1に記載の除湿乾燥システムの好ましい態様として、以下の項2に記載の除湿乾燥システムを包含する。
【0015】
項2.前記除湿装置は、吸着剤を含んでおり、前記加湿空気に含まれる水分を前記吸着剤による吸着により前記加湿空気から除去して前記乾燥空気を生成し、かつ、前記吸着剤が吸着した水分を再生ガスによる脱着により前記吸着剤から除去して前記吸着剤を再生するように構成され、
該除湿乾燥システムは、
前記冷却器から排出される前記加湿空気との熱交換により昇温した外気の一部を前記再生ガスとして前記除湿装置に移送するための再生ガス流路と、
前記再生ガス流路に設けられ、前記冷却器から排出される前記外気を加熱する第一加熱器と、
をさらに備える、ことを特徴とする項1に記載の除湿乾燥システム。
【0016】
また、本開示の除湿乾燥システムは、上記項2に記載の除湿乾燥システムの好ましい態様として、以下の項3に記載の除湿乾燥システムを包含する。
【0017】
項3.前記除湿装置で前記吸着剤を再生した後に前記除湿装置から排出される再生処理済ガスを系外に移送するための再生処理済ガス流路と、
前記再生ガス流路において前記第一加熱器よりも上流側に設けられた予熱器と、
をさらに備え、
前記予熱器は、前記再生処理済ガスとの熱交換により、前記冷却器から排出される前記外気を予熱するように構成されている、ことを特徴とする項2に記載の除湿乾燥システム。
【0018】
また、本開示の除湿乾燥システムは、上記項3に記載の除湿乾燥システムの好ましい態様として、以下の項4に記載の除湿乾燥システムを包含する。
【0019】
項4.前記再生処理済ガスの一部を、前記再生処理済ガス流路から前記再生ガス流路の前記第一加熱器よりも上流側に混合するための循環流路をさらに備える、ことを特徴とする項3に記載の除湿乾燥システム。
【0020】
また、本開示の除湿乾燥システムは、上記項1から項4に記載の除湿乾燥システムの好ましい態様として、以下の項5に記載の除湿乾燥システムを包含する。
【0021】
項5.前記加湿空気流路に設けられ、前記冷却器により冷却された前記加湿空気の温度を計測する温度センサと、
前記温度センサによる計測温度に基づいて、前記冷却器に圧縮した外気を供給する送風機の送風量を制御する制御機器と、
をさらに備える、ことを特徴とする項1から項4のいずれか一項に記載の除湿乾燥システム。
【0022】
また、本開示の除湿乾燥システムは、上記項1から項5に記載の除湿乾燥システムの好ましい態様として、以下の項6に記載の除湿乾燥システムを包含する。
【0023】
項6.前記冷却器に供給される外気を浄化するフィルター装置をさらに備える、ことを特徴とする項1から項5のいずれか一項に記載の除湿乾燥システム。
【0024】
また、本開示の除湿乾燥システムは、上記項1から項6に記載の除湿乾燥システムの好ましい態様として、以下の項7に記載の除湿乾燥システムを包含する。
【0025】
項7.前記乾燥空気流路に設けられ、前記乾燥空気を加熱する第二加熱器と、
前記乾燥空気流路において前記第二加熱器よりも上流側に設けられた熱交換器と、
をさらに備え、
前記熱交換器は、前記乾燥ホッパーから排出された前記加湿空気との熱交換により、前記乾燥空気を予熱するように構成されている、ことを特徴とする項1から項6のいずれか一項に記載の除湿乾燥システム。
【発明の効果】
【0026】
本開示の除湿乾燥システムによれば、エネルギーロスの抑制と、エネルギーの効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本開示の一実施形態の除湿乾燥システムの概略構成図である。
【
図2】本開示の他の一実施形態の除湿乾燥システムの概略構成図である。
【
図3】従来例の除湿乾燥システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示は、例えば射出成形や押出成形などでプラスチック成形品を製造する際に、原料となる合成樹脂成形材料から水分を取り除く除湿乾燥システムに関する。合成樹脂成形材料は、吸湿性を有することで、大気中の水分を吸湿する。合成樹脂成形材料が水分を多く有する状態で樹脂成形機に供給されると、溶融混練過程で加水分解を起こし、成形品の強度や耐衝撃性の低下を引き起こすなど、成形品の品質を著しく低下させる。そのうえ、成形品の外観的欠陥も引き起こす。そのため、合成樹脂成形材料が樹脂成形機に供給されるまでに、合成樹脂成形材料から水分を取り除く必要がある。本開示の除湿乾燥システムは、合成樹脂成形材料を乾燥して、合成樹脂成形材料から水分を取り除くための技術である。
【0029】
合成樹脂成形材料は、例えば、粉状、粒状、ペレット状などを呈するが、その形状は特に限定されない。以下に説明する実施形態では、合成樹脂成形材料が樹脂ペレットであるが、合成樹脂成形材料は樹脂ペレットに限定されない。合成樹脂成形材料は、熱可塑性樹脂を素材とする。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS、ポリアミドなどを挙げることができるが、これらには限定されない。
【0030】
以下、本開示の除湿乾燥システムの一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態の除湿乾燥システム1の概略構成を示す。
【0031】
除湿乾燥システム1は、樹脂ペレットを一時的に貯留する貯留ホッパー4と、貯留ホッパー4から供給される樹脂ペレットを収容する乾燥ホッパー2と、を備える。貯留ホッパー4は、乾燥ホッパー2の上方に配置されている。
【0032】
貯留ホッパー4は、原材料タンクから供給管42を通って供給される樹脂ペレットを貯留可能な内部空間を有する。原材料タンクから供給される樹脂ペレットは、未乾燥の樹脂ペレットである。樹脂ペレットは貯留ホッパー4の上部に設けられた供給口より貯留ホッパー4に供給される。貯留ホッパー4の下部は例えば円錐状又は四角錐状を呈しており、貯留ホッパー4の下端部に樹脂ペレットの吐出口が設けられている。貯留ホッパー4内の樹脂ペレットは、例えば電磁弁43を開放動作させることにより吐出口から輸送管44を通って乾燥ホッパー2に輸送される。なお、貯留ホッパー4から乾燥ホッパー2に樹脂ペレットを輸送したり輸送を停止する手段は特に限定されず、公知の手段を用いることができる。
【0033】
樹脂ペレットは、後述するが、貯留ホッパー4内に貯留されている間に予熱される。貯留ホッパー4には、貯留ホッパー4内の樹脂ペレットを予熱するための予熱ガスを貯留ホッパー4に導入するための導入部40が設けられている。また、貯留ホッパー4には、貯留ホッパー4内の樹脂ペレットを予熱した後の予熱ガスを貯留ホッパー4から排出するための排出部41が導入部40よりも上方位置に設けられている。
【0034】
乾燥ホッパー2は、貯留ホッパー4から輸送管44を通って供給される樹脂ペレットを収容可能な内部空間を有する。樹脂ペレットは乾燥ホッパー2の上部に設けられた供給口より乾燥ホッパー2に供給される。乾燥ホッパー2の下部は例えば円錐状又は四角錐状を呈しており、乾燥ホッパー2の下端部に樹脂ペレットの吐出口が設けられている。乾燥ホッパー2内の樹脂ペレットは、例えば電磁弁5を開放動作させることにより吐出口から輸送管6を通って樹脂成形機7に輸送される。なお、乾燥ホッパー2から樹脂成形機7に樹脂ペレットを輸送したり輸送を停止する手段は特に限定されず、公知の手段を用いることができる。
【0035】
樹脂ペレットは、後述するが、乾燥ホッパー2内に収容されている間に乾燥される。乾燥ホッパー2には、乾燥ホッパー2内の樹脂ペレットを乾燥するための乾燥空気を乾燥ホッパー2に導入するための導入部21,22が設けられている。下方の導入部22の先端は乾燥ホッパー2の下部の底まで延びている。乾燥空気は、上方の導入部21を通って乾燥ホッパー2内に導入されるとともに、下方の導入部22を通って乾燥ホッパー2内の底に導入される。乾燥空気は、乾燥ホッパー2内で樹脂ペレットと接触すると、樹脂ペレットを加熱することで樹脂ペレットから水分を取り除く。乾燥空気は樹脂ペレットの乾燥の際に加湿され、加湿空気となって乾燥ホッパー2内を上昇する。乾燥ホッパー2の上部には、乾燥ホッパー2内の樹脂ペレットを乾燥させた後の加湿空気を乾燥ホッパー2から排出するための排出部23が導入部21よりも上方位置に設けられている。
【0036】
乾燥ホッパー2の形状、構造は特に限定されず、従来から公知の形状、構造の乾燥ホッパーを用いることができる。
【0037】
除湿乾燥システム1は、乾燥ホッパー2に乾燥空気を移送する乾燥空気流路L1を備える。乾燥空気流路L1は除湿装置8から乾燥ホッパー2に乾燥空気を移送する。
【0038】
本実施形態では、乾燥空気流路L1の一端側は二つに分岐している。乾燥空気流路L1の一端側の一方の端は、乾燥ホッパー2の上方の導入部21に接続されている。乾燥空気流路L1の一端側の他方の端は、乾燥ホッパー2の下方の導入部22に接続されている。乾燥空気は、乾燥空気流路L1から導入部21,22を通って乾燥ホッパー2に導入される。
【0039】
本実施形態では、乾燥空気流路L1の他端側は二つに分岐している。乾燥空気流路L1の他端側の一方の端は、一方の除湿装置8に設けられた、乾燥空気の排出部80に接続されている。乾燥空気流路L1の他端側の他方の端は、他方の除湿装置8に設けられた、乾燥空気の排出部80に接続されている。除湿装置8は、後述するが、加湿空気を除湿して乾燥空気を生成する装置である。乾燥空気は、除湿装置8から排出部80を通って乾燥空気流路L1を流れ、乾燥ホッパー2に移送される。
【0040】
乾燥空気流路L1には、乾燥ホッパー2と除湿装置8との間に、乾燥ホッパー2に近い順に、加熱器3(第二加熱器)、フィルター装置10、送風機9が設けられている。除湿装置8から排出された乾燥空気は、送風機9、フィルター装置10、加熱器3をこの順で経由して乾燥ホッパー2に導入される。
【0041】
送風機9は、吸込口から乾燥空気を吸い込んで、乾燥空気を圧縮した後に、吹出口から圧縮された乾燥空気を排出する。フィルター装置10は、乾燥空気流路L1を流れる乾燥空気から異物を除去する。加熱器3は、除湿装置8から乾燥ホッパー2に供給される乾燥空気を加熱して、乾燥空気の温度を上昇させる。加熱器3は、乾燥空気の温度が例えば150℃から180℃になるように乾燥空気を加熱する。加熱器3、フィルター装置10及び送風機9は、従来から公知のものを用いることができる。
【0042】
除湿乾燥システム1は、乾燥ホッパー2内で樹脂ペレットを乾燥した後の加湿空気を除湿装置8に移送する加湿空気流路L2を備える。加湿空気流路L2は乾燥ホッパー2から除湿装置8に加湿空気を移送する。
【0043】
加湿空気流路L2の一端は、乾燥ホッパー2の上部に設けられた、加湿空気の排出口23に接続されている。本実施形態では、加湿空気流路L2の他端側は二つに分岐している。加湿空気流路L2の他端側の一方の端は、一方の除湿装置8に設けられた、加湿空気の導入部81に接続されている。加湿空気流路L2の他端側の他方の端は、他方の除湿装置8に設けられた、加湿空気の導入部81に接続されている。加湿空気は、加湿空気流路L2から導入部81を通って除湿装置8に導入される。
【0044】
加湿空気流路L2には、乾燥ホッパー2と除湿装置8との間に、乾燥ホッパー2に近い順に、集塵機11、送風機12、冷却器13が設けられている。乾燥ホッパー2から排出された加湿空気は、集塵機11、送風機12、冷却器13をこの順で経由して除湿装置8に導入される。
【0045】
集塵機11は、加湿空気流路L2を流れる加湿空気から異物を除去する。集塵機11は、例えばサイクロン式の集塵機を用いることができるが、サイクロン式には限定されず、従来から公知のものを用いることができる。
【0046】
送風機12は、吸込口から加湿空気を吸い込んで、加湿空気を圧縮した後に、吹出口から圧縮された加湿空気を排出する。送風機12は、従来から公知のものを用いることができる。
【0047】
冷却器13は、除湿装置8に導入される加湿空気を冷却して、加湿空気の温度を低下させる。冷却器13は、加湿空気の温度が例えば約40℃になるように加湿空気を冷却する。乾燥ホッパー2から排出される加湿空気の温度は、例えば約60℃から80℃であり、加湿空気が高温のまま除湿装置8に導入されると、除湿装置8において加湿空気を除湿する効率が低下する。そのため、冷却器13により冷却した加湿空気を除湿装置8に導入することにより、除湿装置8において加湿空気を除湿する効率を向上できる。これにより、除湿装置8において低露点の乾燥空気を生成することができる。
【0048】
冷却器13は、空冷式の熱交換器である。冷却器13内には、加湿空気の導入部130から加湿空気が導入されるとともに、外気の導入部132から外気が導入され、冷却器13は、外気との熱交換で加湿空気を冷却する。冷却された加湿空気は、加湿空気の排出口131から排出され、除湿装置8に供給される。外気は、加湿空気との熱交換により加湿空気の熱エネルギーを奪うことで昇温する。加湿空気との熱交換により昇温した外気は、外気の排出部133から排出される。冷却器13から排出された外気の少なくとも一部は、予熱ガスとして貯留ホッパー4に導入され、貯留ホッパー4内の樹脂ペレットの予熱に用いられる。本実施形態では、冷却器13から排出された外気は、その一部が貯留ホッパー4に導入され、その一部が再生ガスとして除湿装置8に導入され、除湿装置8において吸着剤の再生に用いられる。
【0049】
冷却器13は、空冷式の熱交換器であれば、その形状、構造は特に限定されず、従来から公知のものを用いることができる。
【0050】
除湿乾燥システム1は、冷却器13に外気を移送する外気流路L3を備える。外気流路L3には、冷却器13よりも上流側に、フィルター装置17、送風機18が設けられている。外気は、フィルター装置17、送風機18をこの順で経由して冷却器13に供給される。
【0051】
送風機18は、吸込口から外気を吸い込んで、外気を圧縮した後に、吹出口から圧縮された外気を排出する。フィルター装置17は、外気流路L3を流れる外気から異物を除去する。フィルター装置17及び送風機18は、従来から公知のものを用いることができる。
【0052】
加湿空気流路L2において、冷却器13及び除湿装置8の間(冷却器13の下流側)には、温度センサ19が設けられている。温度センサ19は、冷却器13により冷却された後に除湿装置8に導入される加湿空気の温度を計測する。本実施形態では、温度センサ19により計測される加湿空気の温度は制御機器20により監視される。つまり、温度センサ19は計測した温度を電気信号に変換して制御機器20に出力する。
【0053】
制御機器20は、除湿装置8に導入される加湿空気の温度を常に監視しており、加湿空気の温度が一定温度、例えば40℃となるように、送風機18から冷却器13に導入する外気の風量(送風機18の送風量)を制御する。制御機器20は、例えば、加湿空気の温度に応じて送風機18が内蔵するモータの回転数(回転速度)をインバータを用いて制御する。これにより、加湿空気の温度に応じた風量の外気が冷却器13に導入され、除湿装置8に導入される加湿空気の温度が一定の温度に調整される。なお、送風機18の送風量の制御は、ダンパーの調整で行うこともできる。
【0054】
本実施形態では、除湿乾燥システム1は、制御機器20として温度指示調節器(TIC)を備えている。温度指示調節器20は、温度センサ19から出力された電気信号と目標値を比較し、その偏差に応じて演算を行って送風機18を制御する。なお、制御機器20は、汎用のコンピュータで構成してもよい。
【0055】
除湿乾燥システム1は、除湿装置8を備える。除湿装置8は、加湿空気を除湿することにより、樹脂ペレットを乾燥するために乾燥ホッパー2に導入される乾燥空気を生成する装置である。
【0056】
除湿装置8は、吸着剤を含んでいる。加湿空気は、加湿空気流路L2から導入部81を通って除湿装置8に導入される。除湿装置8内で加湿空気は吸着剤と接触し、加湿空気に含まれる水分が吸着剤に吸着されることで、該水分は加湿空気から除去される。これにより、除湿装置8において加湿空気が除湿されて乾燥空気が生成される。乾燥空気は、排出部80を通って除湿装置8から排出され、乾燥空気流路L1を通って乾燥ホッパー2に導入される。吸着剤は、気体から水分を吸着できるものであれば特に限定されないが、例えば、シリカゲル、ゼオライト、活性炭などを挙げることができる。
【0057】
また、除湿装置8は、再生ガスが再生ガス流路L4から導入部83を通って導入される。再生ガスは、除湿装置8内で吸着剤と接触し、吸着剤が吸着した水分を脱着することで、該水分を吸着剤から除去する。これにより、除湿装置8において吸着剤が再生される。再生ガスは、特に限定されないが、例えば約200℃から230℃の高温の空気である。除湿装置8で吸着剤を再生した後の再生ガス(本開示では「再生処理済ガス」という。)は、排出口82を通って除湿装置8から排出され、再生処理済ガス流路L5を通って系外に排気される。
【0058】
除湿装置8は、加湿空気に含まれる水分を吸着剤による吸着により加湿空気から除去して乾燥空気を生成し、かつ、吸着剤が吸着した水分を再生ガスによる脱着により吸着剤から除去して吸着剤を再生するように構成されていれば、その形状、構造は特に限定されない。
【0059】
例えば、除湿装置8は、ロータ回転式の連続除湿装置である。この種の除湿装置8は、回転軸を中心にして回転可能な円柱形の吸着ロータを備え、吸着ロータは例えばハニカム構造の吸着素子を備えている。吸着素子には吸着剤が担持されている。吸着ロータは回転軸周りの周方向に沿って吸着ゾーン及び脱着ゾーンに区切られており、吸着素子は、吸着ロータの回転により、吸着ゾーンと脱着ゾーンとを交互に移動する。
【0060】
加湿空気は、吸着ロータの吸着ゾーンに供給され、吸着ゾーンに位置する吸着素子を通過する際に、加湿空気に含まれる水分が吸着剤によって吸着される。これにより、加湿空気が除湿される。再生ガスは、吸着ロータの脱着ゾーンに供給され、脱着ゾーンに位置する吸着素子を通過する際に吸着剤から水分を脱着する。これにより、吸着剤を再生する。
【0061】
なお、除湿装置8は、ロータ回転式の連続除湿装置に限定されず、その他に従来から公知のものを用いることができる。
【0062】
除湿乾燥システム1は、除湿装置8の吸着剤を再生するための再生ガスを除湿装置8に移送する再生ガス流路L4を備える。再生ガスには、冷却器13において加湿空気との熱交換により昇温した外気が用いられる。再生ガス流路L4は、外気流路L3から除湿装置8に、冷却器13から排出された外気を移送する。
【0063】
再生ガス流路L4の一端は、外気流路L3の冷却器13よりも下流側に接続されている。本実施形態では、再生ガス流路L4の他端側は二つに分岐している。再生ガス流路L4の他端側の一方の端は、一方の除湿装置8に設けられた、再生ガスの導入部83に接続されている。再生ガス流路L4の他端側の他方の端は、他方の除湿装置8に設けられた、再生ガスの導入部83に接続されている。冷却器13から排出された外気は、再生ガスとして再生ガス流路L4から導入部83を通って除湿装置8に導入される。
【0064】
再生ガス流路L4には、冷却器13と除湿装置8との間に、冷却器13に近い順に、予熱器16、加熱器14(第一加熱器)が設けられている。冷却器13から排出された外気は、予熱器16、加熱器14をこの順で経由して除湿装置8に導入される。
【0065】
加熱器14は、冷却器13から排出された外気(再生ガスとして除湿装置8に導入される外気)を加熱して、外気の温度を上昇させる。加熱器14は、外気を加熱して、外気の温度を例えば200℃から230℃にする。加熱器14は、従来から公知のものを用いることができる。
【0066】
予熱器16は、冷却器13から排出された外気(再生ガスとして除湿装置8に導入される外気)を予熱して、当該外気の温度を上昇させる。冷却器13から排出された外気の温度は、例えば約51℃から56℃であり、予熱器16により外気を予熱することで、加熱器14において外気に加える熱エネルギー量を少なくできる。
【0067】
予熱器16は、空冷式の熱交換器である。予熱器16内には、再生ガスの導入部160を通って冷却器13から排出された外気(再生ガスとして除湿装置8に導入される外気)が導入されるとともに、再生処理済ガスの導入部162を通って、除湿装置8から排出された再生処理済ガスが導入される。再生処理済ガスは、除湿装置8で吸着剤を再生した後の再生ガスであり、高温(例えば約160℃)である。そのため、予熱器16は、高温の再生処理済ガスとの熱交換で冷却器13から排出された外気を予熱する。加熱された外気は、例えば140℃から150℃に昇温されて再生ガスの排出口161から排出され、加熱器14によりさらに加熱される。
【0068】
再生処理済ガスは、冷却器13から排出された外気との熱交換により、例えば約55℃から67℃に低下して再生処理済ガスの排出口163から排出され、系外に排気される。
【0069】
予熱器16は、空冷式の熱交換器であれば、その形状、構造は特に限定されず、従来から公知のものを用いることができる。
【0070】
除湿乾燥システム1は、除湿装置8から排出される再生処理済ガスを系外に移送する再生処理済ガス流路L5を備える。
【0071】
再生処理済ガス流路L5の一端は予熱器16に接続されている。本実施形態では、再生処理済ガス流路L5の他端側は二つに分岐している。再生処理済ガス流路L5の他端側の一方の端は、一方の除湿装置8に設けられた、再生処理済ガスの排出部82に接続されている。再生処理済ガス流路L5の他端側の他方の端は、他方の除湿装置8に設けられた、再生処理済ガスの排出部82に接続されている。再生処理済ガスは、除湿装置8から排出口82を通って再生処理済ガス流路L5を流れる。
【0072】
再生処理済ガス流路L5には、除湿装置8に近い順に、送風機15、予熱器16が設けられている。除湿装置8から排出された再生処理済ガスは、送風機15、予熱器16をこの順で経由して系外に排気される。
【0073】
送風機15は、吸込口から再生処理済ガスを吸い込んで、再生処理済ガスを圧縮した後に、吹出口から圧縮された再生処理済ガスを排出する。送風機15から排出される再生処理済ガスは、予熱器16に導入され、上述したように、冷却器13から排出された外気の予熱に用いられる。送風機15は、従来から公知のものを用いることができる。
【0074】
再生処理済ガス流路L5は、送風機15と熱交換機16との間の位置で循環流路L6が分岐している。循環流路L6は、再生ガス流路L4に接続されている。再生ガス流路L4における循環流路L6の接続位置は、熱交換機16と加熱器14との間の位置である。
【0075】
循環流路L6は、除湿装置8から排出された再生処理済ガスの一部を、冷却器13から排出される外気(再生ガスとして除湿装置8に導入される温外気)に混合する。再生処理済ガスは、高温(例えば約160℃)であるため、冷却器13から排出された外気に混合されることで、外気の温度は上昇する。これにより、加熱器14において外気に加える熱エネルギー量を少なくすることができる。
【0076】
除湿乾燥システム1は、貯留ホッパー4内の樹脂ペレットを予熱するための予熱ガスを貯留ホッパー4に移送する予熱ガス流路L7を備える。予熱ガスには、冷却器13において加湿空気との熱交換により昇温した外気が用いられる。予熱ガス流路L7の一端は、外気流路L3の冷却器13よりも下流側に接続されており、予熱ガス流路L7の他端は、貯留ホッパー4の導入部40に接続されている。予熱ガス流路L7は、外気流路L3から貯留ホッパー4に、冷却器13から排出された外気を予熱ガスとして移送する。予熱ガスは、予熱ガス流路L7から導入部40を通って貯留ホッパー4に導入される。
【0077】
原材料タンクから貯留ホッパー4に供給される樹脂ペレットの温度は例えば20℃から25℃である。冷却器13から排出される外気(予熱ガス)の温度は例えば約51℃から56℃であり、予熱ガスを貯留ホッパー4に導入することで、貯留ホッパー4内に貯留された樹脂ペレットを例えば35℃程度に予熱できる。樹脂ペレットは乾燥ホッパー2において乾燥空気により加熱されることで乾燥するが、貯留ホッパー4において樹脂ペレットを予熱することで、乾燥ホッパー2において樹脂ペレットを乾燥するために必要な熱エネルギー量を少なくできる。例えば、乾燥ホッパー2に導入する乾燥空気の流量を低減できる、あるいは、加熱器3において乾燥空気に加える熱エネルギー量を少なくできる。そのため、樹脂ペレットの乾燥に多大な熱エネルギーを必要とせず、省エネルギー化を図ることができる。
【0078】
予熱ガスは、貯留ホッパー4内の樹脂ペレットを加熱した際に熱が奪われることで、温度が例えば35℃程度に低下する。温度が低下した予熱ガス(外気)は排出部41を通って貯留ホッパー4から排出され、系外に排気される。
【0079】
以上に説明した本実施形態の除湿乾燥システム1では、乾燥ホッパー2において、高温に加熱された乾燥空気が合成樹脂成形材料(樹脂ペレット)を加熱することで、合成樹脂成形材料(樹脂ペレット)は水分が取り除かれて、乾燥される。よって、本実施形態の除湿乾燥システム1によれば、樹脂成形機7に、水分が取り除かれた合成樹脂成形材料(樹脂ペレット)を供給することができる。
【0080】
また、本実施形態の除湿乾燥システム1では、合成樹脂成形材料(樹脂ペレット)の乾燥に伴って合成樹脂成形材料(樹脂ペレット)から水分を奪った加湿空気は、乾燥ホッパー2から排出され、冷却器13において外気との熱交換で冷却されるなどした後に、除湿装置8に導入される。
【0081】
除湿装置8において、加湿空気は含水分が吸着剤により吸着されることで、加湿空気は水分が取り除かれて、除湿される。これにより、乾燥空気が生成される。除湿装置8で生成された乾燥空気は、加熱器3により加熱されるなどした後に、乾燥ホッパー2に導入されて、再び合成樹脂成形材料の乾燥に供される。吸着剤は吸着した水分が再生ガスにより脱着されることで、吸着剤は水分が取り除かれて、再生される。吸着剤の再生に伴って吸着剤から水分を奪った再生処理済ガスは、除湿装置8から排出され、予熱器16に導入される。
【0082】
加湿空気の冷却に伴い加湿空気から熱エネルギーを奪って昇温した外気は、冷却器13から排出され、その一部が予熱ガスとして貯留ホッパー4に導入される。
【0083】
予熱ガスは、貯留ホッパー4において、貯留ホッパー4内に貯留された合成樹脂成形材料(樹脂ペレット)を予熱する。貯留ホッパー4内の合成樹脂成形材料(樹脂ペレット)は、予熱により温度が上昇した状態で乾燥ホッパー2に供給される。
【0084】
このように、本実施形態の除湿乾燥システム1によれば、冷却器13から排出された外気を予熱ガスとして貯留ホッパー4に導入することで、冷却器13において加湿空気の冷却に伴い加湿空気から回収した熱エネルギーを捨てずに合成樹脂成形材料(樹脂ペレット)の予熱に有効活用している。これにより、乾燥ホッパー2においては、合成樹脂成形材料(樹脂ペレット)を加熱して乾燥するが、合成樹脂成形材料(樹脂ペレット)を乾燥するために必要な熱エネルギー量を少なくできる。そのため、合成樹脂成形材料(樹脂ペレット)の乾燥に多大な熱エネルギーを必要とせず、省エネルギー化を図ることができる。
【0085】
以上の通り、本実施形態の除湿乾燥システム1によれば、エネルギーロスの抑制及びエネルギーの効率化を図ることができる。
【0086】
加えて、冷却器13から排出された外気は、加湿空気から熱エネルギーを回収したことで、その温度が例えば約51℃から56℃、冬場でも例えば50℃を超える程度に上昇しているが、貯留ホッパー4内で合成樹脂成形材料(樹脂ペレット)の予熱に用いられることで、貯留ホッパー4から排出される際には例えば35℃程度に低下している。よって、排気温度を低減でき、環境への負荷を低減できる。
【0087】
また、本実施形態の除湿乾燥システム1では、冷却器13から排出された外気の一部が再生ガスとして除湿装置8に導入される。再生ガスは、予熱器16において、除湿装置8から排出された再生処理済ガスとの熱交換で予熱された後に加熱器14で加熱される。これにより高温となった再生ガスは、除湿装置8に導入されて、吸着剤からの水分の脱着に用いられる。
【0088】
このように、本実施形態の除湿乾燥システム1によれば、冷却器13から排出された外気を再生ガスとして除湿装置8に導入することで、冷却器13において加湿空気の冷却に伴い加湿空気から回収した熱エネルギーを吸着剤の再生にも有効活用している。冷却器13から排出された外気は、冷却器13における加湿空気との熱交換により昇温しており、その温度は例えば約51℃から56℃であり、冬場でも例えば50℃を超える。そのため、加熱器14で200℃を超えるまで外気を加熱する必要がある場合に、加熱器14において外気に加える熱エネルギー量を少なくすることができる。そのため、再生ガスの生成に多大な熱エネルギーを必要とせず、省エネルギー化を図ることができる。
【0089】
以上の通り、本実施形態の除湿乾燥システム1によれば、エネルギーロスの抑制及びエネルギーの効率化をより効果的に図ることができる。
【0090】
また、本実施形態の除湿乾燥システム1では、加湿空気を除湿装置8に導入する前に加湿空気を冷却するための冷却器13が空冷式である。そのため、本実施形態の除湿乾燥システム1によれば、冷却器13が水冷式の場合と比べて、冷却器13のメンテナンスが容易であり、メンテナンスコスト及び労力を軽減することができる。
【0091】
また、本実施形態の除湿乾燥システム1では、貯留ホッパー4内の合成樹脂成形材料(樹脂ペレット)の予熱や除湿装置8における吸着剤の再生に用いる外気は、フィルター装置17で異物が除去された状態で、貯留ホッパー4及び除湿装置8に導入される。そのため、本実施形態の除湿乾燥システム1によれば、貯留ホッパー4及び除湿装置8、並びに、貯留ホッパー4又は除湿装置8を経由したシステム経路内に、外気に含まれる異物が混入することを抑制することができる。
【0092】
また、本実施形態の除湿乾燥システム1では、除湿装置8において吸着剤の再生ガスに用いる外気は、予熱器16で再生処理済ガスとの熱交換により加熱された後に、加熱器14に供給される。このように、本実施形態の除湿乾燥システム1では、除湿装置8において吸着剤の再生に供された後の高温の再生処理済ガスを、再生ガスに用いる外気の予熱のために予熱器16に供給しているため、再生処理済ガスが有する熱エネルギーを捨てずに再生ガスの生成に有効活用することができる。そのうえ、外気の予熱により、加熱器14において再生ガスの生成のために外気に加える熱エネルギー量を少なくすることができる。よって、本実施形態の除湿乾燥システム1によれば、エネルギーロスの抑制及びエネルギーの効率化をより効果的に図ることができる。
【0093】
また、本実施形態の除湿乾燥システム1では、除湿装置8において吸着剤の再生ガスに用いる外気は、除湿装置8で吸着剤の再生に供された後の高温の再生処理済ガスの一部が混合されて温度が上昇した状態で、加熱器14に供給される。そのため、加熱器14において再生ガスの生成のために外気に加える熱エネルギー量を少なくすることができるうえ、再生処理済ガスが有する熱エネルギーを再生ガスの生成に有効活用することができる。よって、本実施形態の除湿乾燥システム1によれば、エネルギーロスの抑制及びエネルギーの効率化をより効果的に図ることができる。
【0094】
また、本実施形態の除湿乾燥システム1では、除湿装置8に導入される加湿空気の温度が温度センサ19により計測され、温度センサ19により計測される加湿空気の温度に基づいて、除湿装置8に導入される加湿空気の温度が一定の温度となるように、加湿空気を冷却するために冷却器13に導入される外気の風量(送風機18の送風量)が制御されている。そのため、除湿装置8には一定の低温度の加湿空気が導入されるため、除湿装置8において低露点の乾燥空気を効率よく生成することができる。
【0095】
以上、本開示の除湿乾燥システムの実施形態について説明したが、本開示の除湿乾燥システムは上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変形が可能である。例えば、以下の変形が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
【0096】
例えば上述した実施形態では、除湿乾燥システム1は除湿装置8を二つ備えている。一変形例として、除湿乾燥システム1が備える除湿装置8は、一つであってもよいし、三つ以上であってもよい。
【0097】
また、上述した実施形態では、除湿乾燥システム1はフィルター装置17を備えており、外気はフィルター装置17により異物が除去されて冷却器13に導入されている。一変形例として、除湿乾燥システム1はフィルター装置17を備えていなくてもよい。
【0098】
また、上述した実施形態では、除湿乾燥システム1は循環流路L6を備えており、除湿装置8から排出される再生処理済ガスの一部が、冷却器13から排出される外気(再生ガスとして除湿装置8に導入される外気)に混合されている。一変形例として、除湿乾燥システム1は循環流路L6を備えていなくてもよく、除湿装置8から排出される再生処理済ガスは全て予熱器16に導入された後、系外に排気されてもよい。
【0099】
また、上述した実施形態では、除湿乾燥システム1は予熱器16を備えており、冷却器13から排出される外気(再生ガスとして除湿装置8に導入される外気)は、除湿装置8から排出される再生処理済ガスとの熱交換で予熱されてから、加熱器14に供給される。一変形例として、除湿乾燥システム1は予熱器16を備えていなくてもよく、冷却器13から排出される外気(再生ガスとして除湿装置8に導入される外気)は、予熱されることなく、加熱器14に供給されてもよい。なお、この変形例においては、除湿装置8から排出される再生処理済ガスについて、その一部を、循環流路L6を介して、冷却器13から排出される外気(再生ガスとして除湿装置8に導入される外気)に混合してもよいし、その全てを系外に排気してもよい。
【0100】
また、上述した実施形態では、冷却器13から排出された外気は、その一部が予熱ガスとして貯留ホッパー4に導入され、その一部が再生ガスとして除湿装置8に導入される。一変形例として、冷却器13から排出された外気の全てを予熱ガスとして貯留ホッパー4に導入し、除湿装置8には、冷却器13から排出される外気とは別の外気を再生ガスとして導入してもよい。
【0101】
また、
図2に示す実施形態のように、除湿乾燥システム1は、除湿装置8から排出されて乾燥ホッパー2に導入される乾燥空気と、乾燥ホッパー2から排出される加湿空気との間で熱交換を行う熱交換器24を備えていてもよい。
【0102】
除湿装置8から排出される乾燥空気の温度は、例えば約55℃であり、乾燥空気は、加熱器3においてその温度が例えば150℃から180℃になるように加熱されてから乾燥ホッパー2に導入される。乾燥ホッパー2から排出される加湿空気の温度は、例えば60℃から80℃であり、加熱器3において加熱される前の乾燥空気の温度よりも高い。
【0103】
そのため、除湿装置8から排出されて乾燥ホッパー2に導入される乾燥空気を、熱交換器24において、乾燥ホッパー2から排出される加湿空気との熱交換により加熱することで、乾燥空気を昇温した状態で加熱器3に供給できる。乾燥空気は、加湿空気との熱交換により熱エネルギーを奪うことで、例えば約60℃から70℃に昇温する。これにより、
図2に示す実施形態の除湿乾燥システム1では、加熱器3において乾燥ガスに加える熱エネルギー量を少なくすることができるうえ、乾燥ホッパー2から排出される加湿空気が有する熱エネルギーを捨てずに乾燥空気の加熱に有効活用することができる。よって、
図2に示す実施形態の除湿乾燥システム1によれば、エネルギーロスの抑制及びエネルギーの効率化を効果的に図ることができる。
【0104】
熱交換器24に導入される加湿空気は、集塵機11を通過する前の加湿空気であってもよいが、好ましくは集塵機11を通過した後の加湿空気である。熱交換器24に導入される乾燥空気は、フィルター装置10を通過する前の乾燥空気であってもよいが、好ましくはフィルター装置10を通過した後の乾燥空気である。
【符号の説明】
【0105】
1 除湿乾燥システム
2 乾燥ホッパー
3 加熱器(第二加熱器)
4 貯留ホッパー
8 除湿装置
13 冷却器
14 加熱器(第一加熱器)
16 予熱器
17 フィルター装置
18 送風機
19 温度センサ
20 制御機器
24 熱交換器
L1 乾燥空気流路
L2 加湿空気流路
L4 再生ガス流路
L5 再生処理済ガス流路
L6 循環流路
L7 予熱ガス流路
【要約】
【課題】エネルギーロスの抑制と、エネルギーの効率化を図ることができる合成樹脂成形材料の除湿乾燥システムを提供することを目的とする。
【解決手段】除湿乾燥システム1は、合成樹脂成形材料を貯留する貯留ホッパー4と、合成樹脂成形材料を収容する乾燥ホッパー2と、乾燥ホッパー2に導入される乾燥空気を生成する除湿装置8と、乾燥ホッパー2から除湿装置8に導入される乾燥ホッパー2で合成樹脂成形材料を乾燥した後の加湿空気を冷却する冷却器13と、を備える。冷却器13は、外気との熱交換により加湿空気を冷却するように構成され、貯留ホッパー4は、予熱ガスの導入により内部の合成樹脂成形材料を予熱するように構成され、冷却器13から排出される加湿空気との熱交換により昇温した外気の少なくとも一部が予熱ガスとして貯留ホッパー4に移送される。
【選択図】
図1