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特許7280685設備・部材ライフサイクル管理システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】設備・部材ライフサイクル管理システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20120101AFI20230517BHJP
   G06Q 10/20 20230101ALI20230517BHJP
【FI】
G06Q50/16
G06Q10/20
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018209348
(22)【出願日】2018-11-07
(65)【公開番号】P2020077138
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2021-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】502019678
【氏名又は名称】清水総合開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【氏名又は名称】阿部 龍吉
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】星野 道人
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼田 潔
(72)【発明者】
【氏名】中澤 信孝
(72)【発明者】
【氏名】永川 晃
(72)【発明者】
【氏名】小林 正美
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 泉帆
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-158940(JP,A)
【文献】特開2017-182245(JP,A)
【文献】特開2002-203062(JP,A)
【文献】特開2007-316821(JP,A)
【文献】特開2006-185205(JP,A)
【文献】特開2015-225467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不具合、修繕、竣工の分類を含む管理情報とともに撮影写真と該写真に対応する図面をデータ記憶手段に格納して設備・部材ライフサイクルを管理する設備・部材ライフサイクル管理システムであって、
図面データ、写真データ、設備・部材マスターデータ、及び物件マスターデータを格納するデータ記憶手段と、
前記データ記憶手段にアクセスして前記図面データ、写真データ、設備・部材マスターデータの登録、更新、出力の処理を行うデータ処理手段と、
ユーザ認証を行い前記データ処理手段による前記データ記憶手段のアクセス処理を制御するアクセス制御手段と
を備え、
前記写真データは、写真と管理情報として少なくとも分類、物件、位置、設備・部材、日時の情報を含み、
前記図面データは、図面と管理情報として少なくとも分類、物件、位置、日時の情報を含み、
前記管理情報によりアクセス対象となるデータ範囲が設定されており、
前記アクセス制御手段は、前記ユーザ認証の結果に対応して図面データ、写真データ、設備・部材マスターデータを含む各データのアクセス範囲を前記管理情報の設定により選択的に制限するとともに前記各データの登録、更新、出力の処理を選択的に制限するユーザ設定手段を有し、前記ユーザ設定手段の設定内容に基づき前記データ処理手段による前記データ記憶手段のアクセス処理を制御することを特徴とする設備・部材ライフサイクル管理システム。
【請求項2】
前記設備・部材マスターデータは、設備・部材名、品番、メーカー、施工者、連絡情報、施工日の情報を有することを特徴とする請求項1に記載の設備・部材ライフサイクル管理システム。
【請求項3】
前記物件マスターデータは、物件名、住所、構造、用途、施工者、管理者、所有者、竣工日時の情報を有することを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の設備・部材ライフサイクル管理システム。
【請求項4】
写真データと同じ管理情報が付与された図面データの図面は、当該写真データの写真の撮影方向が書き込まれた図面であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の設備・部材ライフサイクル管理システム。
【請求項5】
前記データ記憶手段に格納される図面データの図面は、設備・部材のマークやアイコンが書き込まれたものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の設備・部材ライフサイクル管理システム。
【請求項6】
前記データ記憶手段には、さらに前記設備・部材マスターデータに登録された設備・部材名のリストが格納されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の設備・部材ライフサイクル管理システム。
【請求項7】
前記データ記憶手段には、さらに前記物件マスターデータに登録された物件名のリストが格納されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の設備・部材ライフサイクル管理システム。
【請求項8】
前記データ記憶手段には、さらに各物件名のメンテナンススケジュール及びメンテナンス履歴の情報が格納されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の設備・部材ライフサイクル管理システム。
【請求項9】
不具合、修繕、竣工の分類を含む管理情報とともに撮影写真と該写真に対応する図面をデータ記憶手段に格納して設備・部材ライフサイクルを管理する設備・部材ライフサイクル管理方法であって、
図面データ、写真データ、設備・部材マスターデータ、及び物件マスターデータを格納するデータ記憶手段と、
前記データ記憶手段にアクセスして前記図面データ、写真データ、設備・部材マスターデータの登録、更新、出力の処理を行うデータ処理手段と、
前記管理情報によりアクセス対象となるデータ範囲が設定されており、ユーザ認証の結果に対応して図面データ、写真データ、設備・部材マスターデータを含む各データのアクセス範囲を前記管理情報の設定により選択的に制限するとともに前記各データの登録、更新、出力の処理を選択的に制限するユーザ設定手段を有し、ユーザ認証を行い前記データ処理手段による前記データ記憶手段のアクセス処理を制御するアクセス制御手段と
を備え、
コンピュータが、
前記写真データとして、写真と少なくとも分類、物件、位置、設備・部材、日時の情報を含む管理情報を、前記図面データとして、図面と少なくとも分類、物件、位置、日時の情報を含む管理情報をそれぞれ前記データ記憶手段に格納し、前記ユーザ認証に基づき前記管理情報を指定して前記データ記憶手段に格納される各データの登録、更新、出力を行い設備・部材ライフサイクルを管理することを特徴とする設備・部材ライフサイクル管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不具合、修繕、竣工等の分類を含む管理情報とともに撮影写真と該写真に対応する図面をデータ記憶手段に格納して設備・部材ライフサイクルを管理する設備・部材ライフサイクル管理システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な施設に設置された設備の管理を行うため、各設備のアイコンデータ、平面図データ、平面図データに対する設備のアイコンデータの表示位置を示す表示位置データを設備のアイコンデータに関連付けて格納し、表示位置データに基づいて表示装置に設備アイコンデータと平面図データを表示する設備管理システムが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
このシステムによれば、平面図上に設備アイコンが配置された画像が表示されるため、建物の図面で、建物に備えられている設備がどこに設置されているかを容易に把握することができる。しかし、表示位置データをデータベースに登録する際、実際に現場での照合及び調査の結果に基づいて紙に入力された調査結果の相互の関連性を判断しながら表示位置データをデータベースに登録するというものであるため、登録する際の負担が大きいという問題があった。
【0004】
そこで、このようなシステムに対して表示位置データをデータベースに登録する際の負担を軽減するためのシステムも提案されている(例えば、特許文献2を参照)。このシステムは、2つの用紙のうち一方に図面を印刷し、他方に機器のリストを印刷して、現場での照合及び調査において指示装置によりそれぞれの用紙を指示し、その指示した位置と指示した時刻とを記憶することにより、時刻により区切られた時間範囲で、図面の位置と機器のレコードとを関連付ける処理を行うというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-32167号公報
【文献】特開2009-15354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
建物に限らず様々な施設では、数多くの設備・部材が使用され、年月の経過とともにその設備・部材ライフサイクルの管理には多大な負担を伴う。しかも、例えば賃貸集合住宅やテナントビルでは、耐用年数或いはそれを越える年数の長期間において賃借人やテナントが変わっても継続的な管理が必要である。時間の経過と共に、建物本体は勿論使われている設備・部材においても経年変化、劣化、故障、損傷等の不具合が生じるのは避けることができず、定期的な点検、メンテナンスが必要である。
【0007】
そのため、設備・部材の劣化、故障、損傷等の不具合に応じて行われる補修、修繕、更新の継続的な把握、確認等の管理が必要になる。このような建物の長期間にわたる設備・部材の継続的な管理を行うための情報の量は、膨大になりかつ煩雑なものとなる。しかも、建物の竣工から年月が経過するのに伴って、設備・部材ライフサイクルを管理する情報量は増えるので、よりそれぞれの設備に応じた効率的な管理が要求される。
【0008】
また、例えば賃貸集合住宅やテナントビルの場合、所有者や管理を委託された管理者、施工者などによりそれぞれ設備・部材ライフサイクルを管理する立場が異なるため、管理する場面、場面、関与の内容により必要とされる設備・部材情報も異なってくる。しかし、従来のシステムは、このような設備・部材情報の継続的かつ効率的な管理、さらには多様な管理者の要求、多様な建物、施設に対応できるものではない。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するものであり、長期間にわたり情報量が蓄積された設備・部材情報であっても、図面と写真とを共通の情報でリンクさせて効率的に管理することを可能にし、管理者の要求、多様な建物、施設にも効率的に対応できるシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのために本発明は、不具合、修繕、竣工の分類を含む管理情報とともに撮影写真と該写真に対応する図面をデータ記憶手段に格納して設備・部材ライフサイクルを管理する設備・部材ライフサイクル管理システムであって、図面データ、写真データ、設備・部材マスターデータ、及び物件マスターデータを格納するデータ記憶手段と、前記データ記憶手段にアクセスして前記図面データ、写真データ、設備・部材マスターデータの登録、更新、出力の処理を行うデータ処理手段と、ユーザ認証を行い前記データ処理手段による前記データ記憶手段のアクセス処理を制御するアクセス制御手段とを備え、前記写真データは、写真と管理情報として少なくとも分類、物件、位置、設備・部材、日時の情報を含み、前記図面データは、図面と管理情報として少なくとも分類、物件、位置、日時の情報を含み、前記管理情報によりアクセス対象となるデータ範囲が設定されており、前記アクセス制御手段は、前記ユーザ認証の結果に対応して図面データ、写真データ、設備・部材マスターデータを含む各データのアクセス範囲を前記管理情報の設定により選択的に制限するとともに前記各データの登録、更新、出力の処理を選択的に制限するユーザ設定手段を有し、前記ユーザ設定手段の設定内容に基づき前記データ処理手段による前記データ記憶手段のアクセス処理を制御することを特徴とする。
【0011】
さらに、前記設備・部材マスターデータは、設備・部材名、品番、メーカー、施工者、連絡情報、施工日の情報を有することを特徴とし、前記物件マスターデータは、物件名、住所、構造、用途、施工者、管理者、所有者、竣工日時の情報を有することを特徴とする。
【0012】
写真データと同じ管理情報が付与された図面データの図面は、当該写真データの写真の撮影方向が書き込まれた図面であることを特徴とし、前記データ記憶手段に格納される図面データの図面は、設備・部材のマークやアイコンが書き込まれたものであることを特徴とする。
【0013】
また、前記データ記憶手段には、さらに前記設備・部材マスターデータに登録された設備・部材名のリストが格納されることを特徴とし、前記データ記憶手段には、さらに前記物件マスターデータに登録された物件名のリストが格納されることを特徴とし、前記データ記憶手段には、さらに各物件名のメンテナンススケジュール及びメンテナンス履歴の情報が格納されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、不具合、修繕、竣工等の分類を含む管理情報とともに撮影写真と該写真に対応する図面をデータ記憶手段に格納して設備・部材ライフサイクルを管理する設備・部材ライフサイクル管理システム及び方法であって、図面データ、写真データ、設備・部材マスターデータ、及び物件マスターデータを格納するデータ記憶手段と、前記データ記憶手段にアクセスして前記図面データ、写真データ、設備・部材マスターデータの登録、更新、出力の処理を行うデータ処理手段と、ユーザ認証を行い前記データ処理手段による前記データ記憶手段のアクセス処理を制御するアクセス制御手段とを備え、
前記写真データは、写真と管理情報として少なくとも分類、物件、位置、設備・部材、日時の情報を含み、前記図面データは、図面と管理情報として少なくとも分類、物件、位置、日時の情報を含み、前記アクセス制御手段は、前記ユーザ認証の結果に対応して図面データ、写真データ、設備・部材マスターデータを含む各データのアクセス範囲を前記管理情報により選択的に制限するとともに前記各データの登録、更新、出力の処理を選択的に制限するユーザユーザ設定手段を有し、前記ユーザ設定手段の設定内容に基づき前記データ処理手段による前記データ記憶手段のアクセス処理を制御することを特徴とするので、ユーザ設定手段の設定により、管理情報の分類、物件、位置、設備・部材、日時の情報により個別にデータのアクセス範囲を設定することができ、設備・部材情報の量が増えても、必要な設備・部材情報を的確に検索して提供することができ、効率的に設備・部材ライフサイクルを管理することができ、管理ユーザの変更にも管理情報により柔軟に対応できる。
【0015】
例えば管理情報の分類により不具合に限定し、物件により特定の物件に限定すると、特定の物件の不具合の設備・部材情報に絞ることができ、さらに位置、設備・部材により特定の位置、設備・部材に限定し、日時により特定の不具合の日時に限定すると、特定の物件の不具合の位置、設備・部材、日時が特定された設備・部材情報を出力することができる。写真データ、図面データの登録、更新では、管理情報がそれぞれ特定される。
【0016】
管理情報により図面と写真とをリンクさせることができ、長期間にわたり蓄積され情報量が多くなった設備・部材情報であっても、管理目的、状況に応じて的確に必要な設備・部材情報を取得して管理することができるので、効率的な設備・部材ライフサイクルの管理を可能にし、多様な物件の管理に効率的に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る設備・部材ライフサイクル管理システムの実施の形態を説明する図
図2】データ記憶部に格納されるデータの構成例を説明する図
図3】アクセス制御を行うためのアクセス制御テーブルの構成例を説明する図
図4】設備・部材管理サーバ1における端末からのアクセス時の処理の例を説明する図
図5】ユーザコンピュータ端末3、携帯端末4における設備・部材情報の管理を行う時の処理の例を説明する図
図6】不具合報告書の例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明に係る設備・部材ライフサイクル管理システムの実施の形態を説明する図、図2はデータ記憶部に格納されるデータの構成例を説明する図、図3はアクセス制御を行うためのアクセス制御テーブルの構成例を説明する図である。
【0019】
図中、1は設備・部材管理サーバ、2はホストコンピュータ端末、3はユーザコンピュータ端末、4は携帯端末、11はデータ記憶部、12はデータ処理部、13はアクセス制御部、14は通信制御部、111は物件マスターデータ、112は設備・部材マスターデータ、113は図面データ、114は写真データを示す。
【0020】
図1において、設備・部材管理サーバ1は、データ記憶部11、データ処理部12、アクセス制御部13、通信制御部14を備えるものであり、ネットワークを介してホストコンピュータ端末2やユーザコンピュータ端末3、携帯端末4と接続される。
【0021】
データ記憶部11は、各種物件の設備・部材情報の管理を行うために必要な物件マスターデータ111、設備・部材マスターデータ112、図面データ113、写真データ114を格納するものである。
【0022】
物件マスターデータ111は、図2(A)に示すように物件名、住所、構造、用途、施工者、管理者、所有者、竣工日時の情報を有するデータを格納するものであり、さらには、当該物件に属する設備・部材の品名・品番リストやメンテナンススケジュール、メンテナンス履歴などの情報が必要に応じて適宜格納される。施工者、管理者、所有者の情報には、必要に応じて連絡情報として責任者名のほか、住所、電話番号、ファックス番号、メールアドレスが含まれる。
【0023】
設備・部材マスターデータ112は、図2(B)に示すように設備・部材について、設備・部材名、品番、メーカー、施工者、連絡情報(責任者名、電話番号、ファックス番号、メールアドレス)、施工日の情報を有するデータを格納するものである。
【0024】
図面データ113は、図2(C)に示すように図面とその図面に関する物件、位置、日時の情報、さらには分類、設備・部材等の情報を管理情報のデータとして格納するものである。また、図面には、必要に応じて撮影された写真の撮影方向、さらには設備・部材のマークやアイコンが適宜書き込まれる。
【0025】
写真データ114は、図2(D)に示すように写真とその写真に関する物件、分類、位置、設備・部材、日時等の情報を管理情報のデータとして格納するものである。写真は、例えば設備・部材に不具合が生じたり、修繕が行われたり、また、設備・部材情報として後日の管理に供する必要があると判断されたときに撮影されるものである。
【0026】
管理情報において、物件は、物件マスターデータ111の物件名の情報であり、分類は、不具合、修繕、更新、その他、竣工、さらに不具合ではどのような不具合かそのデータ取得時の状況に関する情報である。
【0027】
位置は、平面か立面かにより、平面であれば、平面の高さ(フロア)、床/天井/屋上/屋根、区画(平面区画/室番、廊下、トイレ等)、座標値などの情報であり、立面であれば、立面の方位、外壁/内壁、区画(内壁;フロア、室番、廊下、トイレ等、外壁;立面区画)、座標値などの情報である。
【0028】
設備・部材は、設備・部材マスターデータ112の設備・部材の品名・品番の情報である。日時は、図面の日時、写真の日時である。竣工時の図面であれば竣工日時、修繕、更新時の図面であれば修繕、更新時の日時であり、写真であれば、その写真の撮影の日時である。
【0029】
データ処理部12は、データ記憶部11に格納されたデータの読み出し、新たに追加されるデータの登録や登録されたデータの更新の処理を行うものである。アクセス制御部13は、ユーザコンピュータ端末3や携帯端末4からのアクセスに応じてユーザ認証を行い、認証結果に基づきデータの登録、更新、出力のアクセスを選択的に制限してデータ処理部12によるデータ記憶部11へのアクセスの制御を行うものである。そのためユーザ設定手段としてのアクセス制御テーブルが設定される。
【0030】
通信制御部14は、ネットワークを介して接続されるホストコンピュータ端末2やユーザコンピュータ端末3、携帯端末4との通信を制御するものであり、設備・部材管理サーバ1では、ユーザ認証を行うユーザIDとパスワードがネットワークを介して通信制御部14からアクセス制御部13に入力される。
【0031】
ホストコンピュータ端末2は、システム管理者が設備・部材管理サーバ1の基本的な処理の設定やデータの設定、アクセス制御テーブルの設定などを行いシステムを管理するものである。ユーザコンピュータ端末3や携帯端末4は、各物件の施工者、管理者、所有者、設備・部材の施工者等のユーザがユーザ認証に基づき設備・部材管理サーバ1にアクセスし、それぞれに与えられる制限条件のもとで各物件の設備・部材情報に関するデータの登録、更新、照会・確認を行うものである。
【0032】
ユーザ認証は、例えばユーザIDとパスワードにより行われる。以下、ユーザIDとパスワードによりユーザ認証を行う例として説明する。また、出力は、端末において設備・部材情報を照会したり、確認するため端末からの要求に基づきデータ記憶部11に格納されているデータ読み出し、端末の画面に表示し或いはプリントアウトすることであり、以下、照会・確認のアクセスとして説明する。
【0033】
アクセス制御部13のアクセス制御テーブルは、システム管理者によりホストコンピュータ端末2から設定される。アクセス制御テーブルには、例えば図3に示すようにユーザIDとパスワードに対応して許可アクセス、さらにその対象となる物件、分類、位置、設備・部材、日時の範囲が設定される。
【0034】
ユーザは、基本的に各物件の施工者や管理者、所有者、設備・部材の施工者であり、それぞれにユーザIDとパスワードが付与される。そして、それぞれの関与に応じて許可アクセス、さらにそのアクセス対象となるデータ範囲が物件、分類、位置、設備・部材、日時の管理情報により設定される。
【0035】
許可アクセスは、データ記憶部11に格納されているデータを読み出して出力する照会・確認、新たなデータをデータ記憶部11に格納する登録、更新であり、そして、アクセス対象は、データ記憶部11に格納されているデータであり、その範囲は、物件、分類、位置、設備・部材、日時の管理情報により指定される。これらの指定には、例えば特定されたもののみに制限する指定、特定されたもの以外を制限する指定、全て制限する指定、全て制限されない指定がある。
【0036】
通常の場合、例えば物件の施工者は、その物件の施工に伴うデータの新たな登録や更新、照会・確認のアクセス処理が許可され、同様に設備・部材の施工者は、施工に係る物件の設備・部材に関するデータの新たな登録や更新、照会・確認のアクセス処理が許可される。
【0037】
これに対して、一般に設備・部材の状況を把握するため、照会・確認することはあるものの、物件、設備・部材について施工することはなく、データの追加登録や更新をすることのない管理者、所有者の場合、このような管理者、所有者には、その物件に関するデータの照会・確認するためのアクセス処理のみが許可される。
【0038】
例えば物件のみが制限され、他の項目には制限がない場合には、その物件の全ての分類、位置、設備・部材、日時のデータにアクセスすることができる。また、特定された物件と分類と設備・部材が制限されている場合には、その物件と分類と設備・部材に限り全ての位置、日時のデータにアクセスすることができる。
【0039】
まず、物件が施工され竣工すると、物件マスターデータにその物件のデータが登録され、設備・部材マスターデータにその物件で施工された各設備・部材のデータが登録されるとともに、竣工時の図面データが登録される。また、必要に応じて写真データが登録され、さらに設備・部材がリストに追加され、図面には、それぞれの設備・部材のマークやアイコンが必要に応じ適宜書き込まれる。
【0040】
その後、例えばある物件において、点検の際、ある位置で設備・部材に不具合が発見されたときや、さらにその設備・部材の不具合の修繕を行ったり、設備・部材の交換、更新を行ったとき、その状況を写真撮影して写真データが登録され、さらに図面データが登録される。その登録は、次のように行われる。
【0041】
カメラ機能を有する携帯端末4を使用する場合、携帯端末4において、まず、ネットワークを介して設備・部材管理サーバ1に接続してユーザIDとパスワードを入力する。ユーザIDとパスワードが認証されると、写真管理情報として物件の情報、分類の情報(不具合)、位置の情報、設備・部材の情報を入力する。
【0042】
そして、写真を撮影してその日時を含む管理情報と共に写真データの登録を指示する。さらに、竣工日時或いは直近の日時の図面データの照会・確認を指示する。その結果、図面が展開されると、その図面上に写真の撮影方向を書き込み、写真データと同じ日時の図面データとして登録する。勿論、管理情報を入力する処理の手順は、写真の撮影後であってもよい。
【0043】
管理情報の分類や位置、設備・部材の情報は、直接或いはコード入力としてもよいが、入力情報の部分的な不一致や入力ミスを回避し入力の確実性を高めるにはリストを提示してリストから選択入力できるようにしてもよい。特に、分類や位置、設備・部材については、項目数が多くなるためリストの提示に基づく選択入力が効率的である。このようなリストは、設備・部材管理サーバ1のデータ記憶部11に格納し、その都度、端末側に提示できるようにするものである。
【0044】
また、位置は、設備・部材管理サーバ1との通信により図面データを読み出して、図面上で写真撮影位置をタッチすることで位置の情報を取得し入力するようにしてもよい。管理情報における位置として、図面の中心座標と図面のサイズ或いは図面の4隅頂点座標、2点座標を特定しておくことで、図面上の各点の座標を算出することができる。設備・部材にコードシールが貼られている場合には、そのコードシールを読み取って入力するようにしてもよい。
【0045】
また、通常のデジタルカメラを使用してユーザコンピュータ端末3から写真データを登録する場合には、デジタルカメラで撮影した写真と日時をユーザコンピュータ端末3に読み込み、ユーザコンピュータ端末3において所定の管理情報のそれぞれを入力することで登録を行うことができる。
【0046】
次に、端末からのアクセスに応じた設備・部材管理サーバ1による処理の概要を説明する。図4は設備・部材管理サーバ1における端末からのアクセス時の処理の例を説明する図、図5はユーザコンピュータ端末3、携帯端末4における設備・部材情報の管理を行う時の処理の例を説明する図、図6は不具合報告書の例を説明する図である。
【0047】
設備・部材管理サーバ1では、図4に示すようにユーザコンピュータ端末3、携帯端末4からユーザIDとパスワードの入力を待って、ユーザIDとパスワードの入力があると、アクセス制御テーブルに照合して認証を行う(ステップS11)。その認証では、入力されたユーザIDとパスワードがアクセス制御テーブルに登録されているユーザIDとパスワードにあるか否かの判定を行い(ステップS12)、入力されたユーザIDとパスワードがアクセス制御テーブルに登録されているユーザIDとパスワードに一致するものでない(NO)場合には、ユーザIDとパスワードの不一致を端末に通知する(ステップS13)。
【0048】
入力されたユーザIDとパスワードがアクセス制御テーブルに登録されているユーザIDとパスワードに一致するものである(OK)場合には、物件マスターデータ、設備・部材マスターデータ、図面データ、写真データのいずれであるかアクセスデータの入力を処理し(ステップS14)、続けて物件、分類、位置、設備・部材、日時のいずれであるか管理情報の入力を処理した後(ステップS15)、データの照会・確認か登録か更新かアクセス要求の入力を処理する(ステップS16)。
【0049】
その結果、入力されたアクセス対象のデータ、管理情報、アクセス要求がいずれもアクセス制御テーブルに設定された許可範囲でない(NG)場合には、アクセス不許可を端末に通知し(ステップS18)、アクセス制御テーブルに設定された許可範囲である(OK)場合には、要求されたアクセス処理を実行する(ステップS19)。
【0050】
他方、ユーザコンピュータ端末3、携帯端末4は、設備・部材情報の管理を行う場合には、ネットワークを介して設備・部材管理サーバ1に接続して、まず、ユーザIDとパスワードを入力し(ステップS101)、設備・部材管理サーバ1から入力したユーザIDとパスワードの認証結果の応答を待つ(ステップS102)。
【0051】
入力したユーザIDとパスワードに対して不一致の通知がなければ(OK)、物件マスターデータ、設備・部材マスターデータ、図面データ、写真データのいずれであるかアクセスデータを入力し(ステップS103)、続けて物件、分類、位置、設備・部材、日時のいずれであるか管理情報を入力した後(ステップS104)、アクセス要求としてデータの照会・確認、登録、更新のいずれかを入力する(ステップS105)。
【0052】
これらの入力に対して設備・部材管理サーバ1からアクセス不許可の通知があるか否かの確認を行い(ステップS106)、アクセス不許可の通知がなければ(OK)、物件マスターデータ、設備・部材マスターデータ、図面データ、写真データに対する照会・確認、登録、更新の指示を行う(ステップS107)。
【0053】
以上のように本発明に係る実施の形態によれば、アクセスするデータとして物件マスターデータ、設備・部材マスターデータ、図面データ、写真データを指定し、アクセスするデータの範囲として管理情報を指定し、処理の内容として照会・確認、登録、更新を指定し、それらの指定に基づきアクセスするデータ、そのデータの範囲、処理の内容を実行することができる。
【0054】
ここで、図面データ、写真データをアクセスする場合には、管理情報のそれぞれの指定となるが、物件マスターデータをアクセスする場合には物件の指定となり、また、設備・部材マスターデータをアクセスする場合には設備・部材の指定となる。そして、これらアクセスするデータの範囲、処理の内容がユーザ毎にアクセス制御テーブルの設定に基づき制限される。
【0055】
本発明に係る実施の形態によれば、写真データの参照・確認を行う場合において、例えば写真データで管理情報のうち物件、位置、設備・部材が指定されると、まず、指定された物件、位置、設備・部材で全ての分類、日時の写真データが読み出される。つまり、不具合が発生し修繕、更新が複数の日時で行われていると、それらの全ての写真データが読み出され、それぞれの状況を参照・確認することができる。また、日時或いは一定の期間が指定されると、その日時或いは一定の期間内の写真データが読み出され、その日時或いは一定の期間に生じた状況を参照・確認することができる。
【0056】
また、写真データで設備・部材、日時が指定されると、その設備・部材、日時の写真データが読み出される。この場合、アクセス制御テーブルで制限された範囲内の写真データになるが、アクセス制御テーブルで物件が特定されているときは、その特定された物件に該当するものが読み出され、物件が特定されていないときは、全ての物件の該当するものが読み出される。特定の分類、例えば不具合と設備・部材の図面が指定されると、指定された設備・部材の不具合で登録されているそれまでの写真データが読み出される。
【0057】
同じ日時で写真データと図面データを登録することにより、日時を指定するだけで、その日時で不具合のあった設備・部材の図面と写真を照会・確認することができる。同様に、修繕の行われた後の設備・部材の図面と写真を照会・確認し確認することができ、写真と図面により状況の確認を的確に行うことができる。
【0058】
さらに、写真と図面とを1画面に嵌め込むことにより図6に示すような図面と写真とをセットにした不具合報告書を作成することができる。このような報告書を作成することにより、その物件の連絡情報或いは設備・部材の連絡情報に基づき関係者に送信し状況を報告することができる。
【0059】
本発明によれば、設備・部材情報が10年、20年の長期間にわたり蓄積され膨大な量になっても、物件、分類、位置、設備・部材、日時の管理情報を選択指定することにより、多面的に設備・部材情報を参照・確認することができる。したがって、例えば物件を指定し、分類を指定し、位置、設備・部材を指定し、或いはこれらの幾つかの組み合わせを指定することにより、設備・部材情報を参照・確認することができる。また、日時により期間を指定したり、時期を指定することにより或る期間、時期の設備・部材情報を参照・確認することができる。
【0060】
物件の施工者、管理者、所有者、設備・部材の施工者が変更された場合にも、それ以前の設備・部材情報を新しい物件の施工者、管理者、所有者、設備・部材の施工者に提供することができ、その後の設備・部材ライフサイクルの管理の参考に供することができる。しかも、物件、分類、位置、設備・部材、日時の管理情報を逐一指定することにより、絞り込んだ設備・部材情報の参照・確認を行うこともできる。
【0061】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能であることはいうまでもない。例えば上記実施の形態では、集合住宅やテナントビルを対象として設備・部材情報を分類や位置、日時などの管理情報と図面、写真を使って管理するものとして説明したが、この種の建物だけでなく、イベント施設や美術館、博物館、道路、橋梁、トンネルその他の建造物、上下水道施設、地中埋設施設、その他、これらに類する各種物件の設備・部材ライフサイクルの管理にも適用することができる。
【0062】
また、物件マスターデータに格納するものとして説明した設備・部材の品名・品番リストやメンテナンススケジュール、メンテナンス履歴は、物件マスターデータとは別にデータ記憶手段に格納してもよいし、物件マスターデータの物件名、設備・部材マスターデータの品名・品番をリストとして編集し、物件リストや設備・部材の品名・品番リストとして出力するように処理してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1…設備・部材管理サーバ、2…ホストコンピュータ端末、3…ユーザコンピュータ端末、4…携帯端末、11…データ記憶部、12…データ処理部、13…アクセス制御部、14…通信制御部、111…物件マスターデータ、112…設備・部材マスターデータ、113…図面データ、114…写真データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6