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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】断熱建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20230517BHJP
   E04B 1/76 20060101ALI20230517BHJP
   E06B 1/28 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
E06B5/00 C
E04B1/76 500A
E06B1/28
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019032192
(22)【出願日】2019-02-25
(65)【公開番号】P2020133358
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】増山 新作
(72)【発明者】
【氏名】七山 貴志
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 広大
(72)【発明者】
【氏名】谷内 智
【審査官】川村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-084709(JP,A)
【文献】特開平08-013704(JP,A)
【文献】特開2017-061834(JP,A)
【文献】実開昭50-143332(JP,U)
【文献】特開2001-220958(JP,A)
【文献】登録実用新案第3024108(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/04- 3/46
E06B 5/00- 5/20
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に空間を有する樹脂製の形材の空間内に長手方向端部より、シート状部材によって複数の空気層が区画された断熱材を、空気層をつぶすように延ばした状態で挿入し、形材の空間内で断熱材の空気層のつぶれを戻す断熱形材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物開口部に配置される断熱建具に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂により枠および障子を形成した建具が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-192734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された建具のように、樹脂形材により形成された樹脂サッシは断熱性能に優れている。
しかし近年、サッシにおいて、さらに高い断熱性能が求められている。
【0005】
本発明は、サッシにおいて、さらに高い断熱性能を付与することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、長手方向に空間を有する樹脂製の形材の空間内に長手方向端部より、シート状部材によって複数の空気層が区画された断熱材を、空気層をつぶすように延ばした状態で挿入し、形材の空間内で断熱材の空気層のつぶれを戻す断熱形材の製造方法である。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態の断熱建具の構成により、さらに高い断熱性能を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態に係る建具の竪断面図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る建具の横断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る建具の断熱材の分解図の一例である。
図4】本発明の実施形態に係る建具の断熱材の配置方法を説明する図の一例であり、断熱材の中空部への配置を完了する前の図である
図5】本発明の実施形態に係る建具の断熱材の配置方法を説明する図の一例であり、断熱材の中空部への配置を完了した後の図である
図6】本発明の実施形態に係る建具の断熱材を配置した建具の正面図である。
図7】本発明の実施形態に係る建具の断熱材の他の一例の図である。
図8】本発明の実施形態に係る建具の断熱材を配置した枠材の一例の図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係る建具の竪断面図である。
図10】本発明の第2の実施形態に係る建具の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
-第1の実施形態-
第1の実施形態は、建具の枠体1を構成する枠材の中空部内に、断熱材6を配置することで、断熱性能を向上させたFIX窓である。
以下、具体的に説明する。
【0010】
第1の実施形態のFIX窓は、図1及び図2に示すように、合成樹脂材料からなる上枠11、下枠12及び左右の竪枠13,13を四周に組んでなる枠体1の内周に複層ガラス等のパネル材15を配置してなる。
【0011】
上枠11、下枠12及び左右の竪枠13,13は、断面形状が同じ枠材であり、各枠材の端部が45度の角度で切断され、端面同士を当接させて溶接することで四周にわたる枠体1が形成されている。
【0012】
枠体1の上枠11は、図1に示すように、躯体開口部の内周面に配置される上枠本体部111と、上枠本体部111の室内側内周面から内周方向に延設される室内側壁部112と、上枠本体部111の室内側端から室内方向に延びるアングル部113を有しており、上枠本体部111の室外側内周部分に押縁114が取り付けられ、パネル材15の外周を保持するガラス間口11aが形成されている。
【0013】
上枠本体部111は、複数の中空部を有しており、ガラス間口11aの外周側に見込寸法がガラス間口11aの見込寸法とほぼ等しい中空部111aを備え、中空部111a内にシート状部材によって複数の空気層が区画された断熱材6が配置されている。
【0014】
以上、FIX窓の上枠11部分の説明を行ったが、下枠12部分及び左右竪枠13部分の構造も上枠部分とほぼ同様であるので、ここでは詳しい説明は省略する。
なお、下枠12は、ガラス間口12a内にセッティングブロック12bが配置されている点、左右竪枠13,13は、ガラス間口13a内にガラス外れ止め金具等13c,13cが配置されている点で上枠11部分とは異なっている。
【0015】
次に、枠材の中空部内に配置される断熱材6について、説明する。
本実施形態の断熱材6は、図3(a)(b)に示すように、例えば紙等を短冊状に切断したシート材61を組み合わせてなり、一つのシート材61は、蛇腹状に屈曲するように折り目61a,61bが形成され、シート材61の一側から折り目61a,61b間にシート材61の幅寸法の半分の寸法の切り込み61cが形成されてなる。
【0016】
そして、図3(c)に示すように、一組のシート材61,61を、切り込み61c同士が挿入するように組み合わせ、図3(d)(e)に示すように、複数の菱形が連続して形成されてなる断熱材6が形成される。
このようにして形成された断熱材6は、断熱材6の長さ方向に区画された複数の空間6aを有し、また、複数の空間6a,6a間の外側には、複数の凹部空間6bを有している。
【0017】
次に、上記断熱材6を枠材(上枠11)の中空部内に配置する方法について説明する。
図4(a)(b)に示すように、一組のシート材61,61を組み合わせてなる断熱材6を、菱形の空間6aをつぶすように延ばした状態で枠材の中空部111a内に挿入する。
断熱材6を延ばした状態の長さ寸法は、上枠11の中空部111aの長さ寸法よりも長く、中空部111aの両端から断熱材6の端部がはみ出している。
【0018】
そして、枠材の両側から中空部111aに挿入された断熱材6の端部を端部キャップ7により押し込んで、中空部111aに嵌合することで、断熱材6が中空部111a内で押圧されて収縮し菱形の空間6aのつぶれが戻り、図5(a)(b)に示すように、中空部111a内一杯に配置される。
【0019】
なお、中空部111aに挿入される断熱材6の端部は、シート材61,61の折り目61a,61a部分で切断しておくことによって、断熱材6の端部に端部キャップ7を受ける受け部分6dが形成され、端部キャップ7による押し込みで断熱材6を均一に広げることができる。
【0020】
また、端部キャップ7の挿入部の先端には、断熱材6の端部の受け部分6dに挿入しやすいように、凸部7aが形成されており、該凸部7aを断熱材6の受け部分6dに挿入しながら押し込むことで断熱材6の広がりを助けることができる。
【0021】
枠材の中空部111a内に配置された断熱材6は、空間6aによって中空部内に空気層を形成するとともに、複数の凹部空間6bと中空部111aの内周面とによって空間6aの外側に空気層を形成することができ、室内外方向に複数の空気層が形成される。
【0022】
そして、断熱材6が配置された枠材の端部を突き合わせて溶着することで四周に渡る枠材を形成することができ、図6に示すように、該枠材には、四周に渡って断熱材6を配置することができる。
【0023】
他の実施形態の断熱材6の例を、図7に示す。
図7(a)に示す断熱材6は、例えば4枚のシート材61を組み合わせて形成されており、断熱材6の長さ方向及び厚み方向にそれぞれ区画された複数の空間6aを有し、また、断熱材6の上下面には、複数の空間6a,6aの外側に複数の凹部空間6bを有している。
【0024】
図7(b)に示す断熱材6は、例えば複数枚のシート材61を組み合わせて形成されており、断熱材6の長さ方向及び厚み方向にそれぞれ断面略長方形に区画された複数の空間6aを有している。
【0025】
図7(c)に示す断熱材6は、例えば複数枚のシート材61を組み合わせて形成されており、断熱材6の長さ方向及び厚み方向にそれぞれ断面略6角形に区画された複数の空間6aによるハニカム構造をなしている。
【0026】
そして、図8(a)乃至(c)に示すように、断熱材6を枠材の中空部111aに配置することで、室内外方向に複数の空気層が形成される。
なお、シート状部材によって空気層が区画されてなる断熱材6の構造は、上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、図8(d)に示すように、シート材61を丸めて中空部内に挿入することで、室内外方向に複数の空気層sが配置されるようにしてもよい。
【0027】
-第2の実施形態-
第2の実施形態は、建具の枠体1の室内側に露出する部位に、内部に断熱材6が収容されたケース体5を配置することで、断熱性能を向上させた断熱建具である。
以下、具体的に説明する。なお、第1の実施形態の建具と同じ構成については、説明を一部省略する。
【0028】
第2の実施形態のFIX窓の建具は、図9及び図10に示すように、第1の実施形態のFIX窓の建具とほぼ同一であり、合成樹脂材料からなる上枠11、下枠12及び左右の竪枠13,13を四周に組んでなる枠体1の内周に複層ガラス等のパネル材15を配置してなる。
【0029】
上枠11は、躯体開口部の内周面に配置される上枠本体部111と、上枠本体部111の室内側内周面から内周方向に延設される室内側壁部112と、上枠本体部111の室内側端から室内方向に延びるアングル部113を有しており、上枠本体部111の室外側内周部分に押縁114が取り付けられ、パネル材15の外周を保持するガラス間口11aが形成されている。
【0030】
本実施形態のFIX窓の建具は、上枠(枠材)11の上枠本体部111及び室内側壁部112の室内側面に、断熱材6を収容したケース体5が配置されている。
【0031】
上枠11に取り付けられるケース体5は、合成樹脂材料からなり、外周壁部5aと、室内壁部5bと、上方室外壁部5cと、内周壁部5dと、下方室外壁部5eを有し、上方室外壁部5cと下方室外壁部5eとの間に開口部を有する断面形状をしており、ケース体5は、内側部が断熱材6を収容する収容空間Sとして形成されている。
そして、ケース体5の収容空間Sの中に、複数枚のシート材61を組み合わせて形成される断熱材6を配置することができる。
【0032】
以上、FIX窓の枠体について、上枠11部分を用いて説明を行ったが、下枠12部分及び左右竪枠13部分の構造も上枠部分とほぼ同様であるので、ここでは詳しい説明は省略する。
【0033】
以上のように、上記実施形態の断熱建具においては、建具の枠体1を構成する枠材の中空部内、もしくは枠材の室内側に取り付けたケース体5の内部にシート状部材によって空気層を形成してなる断熱材6を配置することで、簡単な加工によって建具の断熱性能を向上させることができる。
【0034】
なお、断熱材の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、中空部等の空間内に配置されることでシート状部材によって複数の空気層が区画されるものであれば、何ら限定されるものではない。
【0035】
さらに、断熱材が配置される部位は、何ら限定されるものではなく、建具についても、FIX窓に限定されるものではなく、開き窓やすべり出し窓、引違い窓等建具の種類は何ら限定されるものではない。
【0036】
なお、以上の実施形態は,請求項に記載された発明を限定するものではなく,例示として取り扱われることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0037】
1 :枠体
5 :ケース体
6 :断熱材
6a :空間(空気層)
6b :凹部空間(空気層)
6d :受け部分
61 :シート材
61a :折り目
61b :折り目
61c :切り込み
7 :端部キャップ
7a :凸部
11 :上枠
111 :上枠本体部
111a :中空部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10