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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】硬貨処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 3/14 20060101AFI20230517BHJP
   G07D 9/00 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
G07D3/14
G07D9/00 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019057448
(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公開番号】P2020160631
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】木村 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】本村 友彦
(72)【発明者】
【氏名】東川 誠久
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-228021(JP,A)
【文献】特公平06-048513(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00- 3/16
G07D 9/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の硬貨を載置できる載置領域と、
硬貨が収納される複数の収納部と、
前記載置領域に載置された複数枚の硬貨を、何れかの前記収納部に導かれるように振り分ける振分部と、
前記載置領域に載置された複数枚の硬貨の種類を入力するための入力部と、
前記載置領域に載置された複数枚の硬貨が、それらの硬貨の種類に応じて何れかの前記収納部に導かれるよう、前記振分部を制御する制御部と、
を備え
前記複数の収納部は、前記載置領域の下方に、左右に並ぶように設置された第1収納部および第2収納部を含み、
前記振分部は、
板状の載置部材と、
前記載置部材の上に配置される枠部材と、
前記載置部材および前記枠部材を左右反対方向に移動させる移動機構と、を含み、
前記載置部材における前記枠部材で囲われた領域が前記載置領域となり、
前記制御部は、前記移動機構を動作させ、
前記移動機構が、前記載置部材を右方向に移動させ、前記枠部材を左方向に移動させると、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨が、前記枠部材に押されて前記載置部材から落下し、前記第1収納部に収納され、
前記移動機構が、前記載置部材を左方向に移動させ、前記枠部材を右方向に移動させると、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨が前記枠部材に押されて前記載置部材から落下し、前記第2収納部に収納される、
ことを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項2】
硬貨の収容室と、
前記収容室の底面に設けられ、複数枚の硬貨を載置できる載置領域と、
硬貨が収納される複数の収納部と、
前記載置領域に載置された複数枚の硬貨を、何れかの前記収納部に導かれるように振り分ける振分部と、
前記載置領域に載置された複数枚の硬貨の種類を入力するための入力部と、
前記載置領域に載置された複数枚の硬貨が、それらの硬貨の種類に応じて何れかの前記収納部に導かれるよう、前記振分部を制御する制御部と、
を備え、
前記複数の収納部は、前記載置領域の下方に、左右に並ぶように設置された第1収納部および第2収納部を含み、
前記振分部は、
左右方向に所定の間隔を開けて配置された第1プーリおよび第2プーリと、
前記第1プーリと前記第2プーリの間に架け渡されたベルトと、
前記ベルトを右回りまたは左回りに周回させるためのモータと、を含み、
前記収容室内に現れる前記ベルトの部分によって、前記載置領域が構成され、
前記収容室の左側面および右側面には、それぞれ、第1開口および第2開口が設けられ、
前記制御部は、前記モータを回転させ、
前記ベルトが左回りに周回すると、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨が、前記ベルトにより左方向に移送され、前記第1開口から放出されて落下し、前記第1収納部に収納され、
前記ベルトが右回りに周回すると、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨が、前記ベルトにより右方向に移送され、前記第2開口から放出されて落下し、前記第2収納部に収納される、
ことを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項3】
複数枚の硬貨を載置できる載置領域と、
硬貨が収納される複数の収納部と、
前記載置領域に載置された複数枚の硬貨を、何れかの前記収納部に導かれるように振り分ける振分部と、
前記載置領域に載置された複数枚の硬貨の種類を入力するための入力部と、
前記載置領域に載置された複数枚の硬貨が、それらの硬貨の種類に応じて何れかの前記収納部に導かれるよう、前記振分部を制御する制御部と、
を備え、
前記複数の収納部は、前記載置領域の下方に、左右に並ぶように設置された第1収納部および第2収納部を含み、
前記振分部は、
板状の載置部材と、
前記載置部材を駆動して、前記載置部材が左側に傾く方向と右側に傾く方向とに揺動させるモータと、を含み、
前記載置部材の上面が、前記載置領域を構成し、
前記制御部は、前記モータを回転させ、
前記モータが左回りに所定の回転角だけ回転し、前記載置部材が左側に所定の角度だけ傾くと、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨が、傾斜面となった前記載置領域を滑って左方向に移動し、前記第1収納部に落下して収納され、
前記モータが右回りに所定の回転角だけ回転し、前記載置部材が右側に所定の角度だけ傾くと、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨が、傾斜面となった前記載置領域を滑って右方向に移動し、前記第2収納部に落下して収納される、
ことを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項4】
記第1収納部に導かれる複数枚の硬貨を、これら硬貨が前記第1収納部に収納される前に保留できる第1保留部と、
前記第2収納部に導かれる複数枚の硬貨を、これら硬貨が前記第2収納部に収納される前に保留できる第2保留部と、をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の硬貨処理装置。
【請求項5】
前記載置領域に載置された複数枚の硬貨を撮像するための撮像部と、
前記第1保留部および前記第2保留部に保留されている硬貨の枚数が記憶される記憶部と、をさらに備え、
前記撮像部により撮影された硬貨の画像について、金種毎に枚数が計数され、
前記第1保留部および前記第2保留部に対して硬貨が出し入れされる度に、前記記憶部に記憶された前記第1保留部および前記第2保留部内の硬貨の枚数が増減し、
前記制御部は、
所定の操作を受け付けて、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨を、前記第1保留部および前記第2保留部のうち、当該複数枚の硬貨の種類に対応する保留部に保留する保留処理を行い、
前記載置領域に載置された複数枚の硬貨を加えても前記第1保留部および前記第2保留部に収納可能な量を超えないか否かを判定することにより、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨が、前記第1保留部および前記第2保留部のうち、保留対象となる保留部に保留可能であるか否かを判定し、
前記載置領域に載置された複数枚の硬貨を、保留可能な量を超えてしまうために前記対応する保留部に保留できない場合に、前記所定の操作を受け付けない、
ことを特徴とする請求項に記載の硬貨処理装置。
【請求項6】
前記載置領域に載置された複数枚の硬貨を撮像するための撮像部を、さらに備える、
ことを特徴とする請求項1ないしの何れか一項に記載の硬貨処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記載置領域に載置された複数枚の硬貨に該当する硬貨の種類を設定し、
前記撮像部により撮像された画像に基づいて、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨の中に設定された種類と異なる種類の硬貨が含まれていることが判明した場合に、所定の報知を行うための処理を行う、
ことを特徴とする請求項に記載の硬貨処理装置。
【請求項8】
記憶部を、さらに備え、
前記載置領域は、前記複数枚の硬貨を上下に重ならない状態で載置できるようになっており、
前記制御部は、
前記撮像部により撮像された画像から個々の硬貨の画像を切り出し、
画像が切り出された個々の硬貨に対する金種の入力を受け付け、
切り出された画像と、その画像に対応する硬貨の金種とを紐付けて前記記憶部に記憶する、
ことを特徴とする請求項またはに記載の硬貨処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨を処理する硬貨処理装置に関する
【背景技術】
【0002】
従来、損貨(変形硬貨、汚損硬貨)や記念貨等の、市場流通に適さない特殊な硬貨を取り扱う硬貨処理装置が知られている。たとえば、このような硬貨処理装置の一例が、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1の硬貨処理装置では、入金口を介して筐体内部にある入金位置に一枚の硬貨が載置される。載置された硬貨は、入金位置においてカメラで撮像される。そしてこの画像は、硬貨の種類および金種に関する候補とともに表示部の入力画面上に表示される。操作者は、硬貨の画像を見ながら、その硬貨の種類および金種を複数の候補の中から選択する。硬貨の種類および金種が選択されると、これら情報が画像に紐付けられて記憶部に記憶される。その後、硬貨は、損貨であるか記念貨であるかに応じて、損貨箱または記念貨箱に振り分けて収納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-018304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の硬貨処理装置では、入金対象の硬貨が複数枚ある場合に、1枚の硬貨が入金位置に載置され、その硬貨が入金位置から移動されて無くなると、次の硬貨が入金位置に載置されるという操作が繰り返される。このため、ユーザにとって、入金操作が面倒であり、入金時間も長く掛かりやすい。
【0006】
かかる課題に鑑み、本発明は、複数枚の硬貨を円滑に処理することが可能な硬貨処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、硬貨処理装置に関する。この態様に係る硬貨処理装置は、複数枚の硬貨を載置できる載置領域と、硬貨が収納される複数の収納部と、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨を、何れかの前記収納部に導かれるように振り分ける振分部と、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨の種類を入力するための入力部と、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨が、それらの硬貨の種類に応じて何れかの前記収納部に導かれるよう、前記振分部を制御する制御部と、を備える。前記複数の収納部は、前記載置領域の下方に、左右に並ぶように設置された第1収納部および第2収納部を含む。前記振分部は、板状の載置部材と、前記載置部材の上に配置される枠部材と、前記載置部材および前記枠部材を左右反対方向に移動させる移動機構と、を含む。前記載置部材における前記枠部材で囲われた領域が前記載置領域となる。前記制御部は、前記移動機構を動作させる。前記移動機構が、前記載置部材を右方向に移動させ、前記枠部材を左方向に移動させると、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨が、前記枠部材に押されて前記載置部材から落下し、前記第1収納部に収納され、前記移動機構が、前記載置部材を左方向に移動させ、前記枠部材を右方向に移動させると、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨が前記枠部材に押されて前記載置部材から落下し、前記第2収納部に収納される。
本発明の第2の態様は、硬貨処理装置に関する。この態様に係る硬貨処理装置は、硬貨の収容室と、前記収容室の底面に設けられ、複数枚の硬貨を載置できる載置領域と、硬貨が収納される複数の収納部と、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨を、何れかの前記収納部に導かれるように振り分ける振分部と、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨の種類を入力するための入力部と、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨が、それらの硬貨の種類に応じて何れかの前記収納部に導かれるよう、前記振分部を制御する制御部と、を備える。前記複数の収納部は、前記載置領域の下方に、左右に並ぶように設置された第1収納部および第2収納部を含む。前記振分部は、左右方向に所定の間隔を開けて配置された第1プーリおよび第2プーリと、前記第1プーリと前記第2プーリの間に架け渡されたベルトと、前記ベルトを右回りまたは左回りに周回させるためのモータと、を含む。前記収容室内に現れる前記ベルトの部分によって、前記載置領域が構成される。前記収容室の左側面および右側面には、それぞれ、第1開口および第2開口が設けられる。前記制御部は、前記モータを回転させる。前記ベルトが左回りに周回すると、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨が、前記ベルトにより左方向に移送され、前記第1開口から放出されて落下し、前記第1収納部に収納され、前記ベルトが右回りに周回すると、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨が、前記ベルトにより右方向に移送され、前記第2開口から放出されて落下し、前記第2収納部に収納される。
本発明の第3の態様は、硬貨処理装置に関する。この態様に係る硬貨処理装置は、複数枚の硬貨を載置できる載置領域と、硬貨が収納される複数の収納部と、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨を、何れかの前記収納部に導かれるように振り分ける振分部と、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨の種類を入力するための入力部と、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨が、それらの硬貨の種類に応じて何れかの前記収納部に導かれるよう、前記振分部を制御する制御部と、を備える。前記複数の収納部は、前記載置領域の下方に、左右に並ぶように設置された第1収納部および第2収納部を含む。前記振分部は、板状の載置部材と、前記載置部材を駆動して、前記載置部材が左側に傾く方向と右側に傾く方向とに揺動させるモータと、を含む。前記載置部材の上面が、前記載置領域を構成する。前記制御部は、前記モータを回転させる。前記モータが左回りに所定の回転角だけ回転し、前記載置部材が左側に所定の角度だけ傾くと、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨が、傾斜面となった前記載置領域を滑って左方向に移動し、前記第1収納部に落下して収納され、前記モータが右回りに所定の回転角だけ回転し、前記載置部材が右側に所定の角度だけ傾くと、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨が、傾斜面となった前記載置領域を滑って右方向に移動し、前記第2収納部に落下して収納される。
【0008】
たとえば、硬貨の種類には、損貨(汚損や変形のある硬貨)および記念貨が含まれる。
【0009】
上記の構成によれば、操作者は、入金対象となる同じ種類の硬貨が複数枚ある場合に、それら複数枚の硬貨を一度に載置領域に載置することができるので、入金操作が容易となる。
【0010】
第1、第2および第3の態様に係る硬貨処理装置において、前記第1収納部に導かれる複数枚の硬貨を、これら硬貨が前記第1収納部に収納される前に保留できる第1保留部と、前記第2収納部に導かれる複数枚の硬貨を、これら硬貨が前記第2収納部に収納される前に保留できる第2保留部と、をさらに備えるような構成が採られ得る。
【0011】
上記の構成によれば、載置領域に一度に載置しきれない複数枚の同じ種類の硬貨が入金される場合に、最初に載置領域に載置された硬貨を、第1保留部または第2保留部に保留しておき、載置領域に載置された残りの硬貨と一緒に第1収納部または第2収納部に収納することができる。よって、残りの硬貨を入金しているときには、先の硬貨は保留状態にあるため、このときに必要となれば、全ての硬貨について入金のやりなおしが可能となる。
【0012】
上記の構成とされた場合、さらに、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨を撮像するための撮像部と、前記第1保留部および前記第2保留部に保留されている硬貨の枚数が記憶される記憶部と、をさらに備え、前記撮像部により撮影された硬貨の画像について、金種毎に枚数が計数され、前記第1保留部および前記第2保留部に対して硬貨が出し入れされる度に、前記記憶部に記憶された前記第1保留部および前記第2保留部内の硬貨の枚数が増減するような構成が採られ得る。前記制御部は、所定の操作を受け付けて、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨を、前記第1保留部および前記第2保留部のうち、当該複数枚の硬貨の種類に対応する保留部に保留する保留処理を行い、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨を加えても前記第1保留部および前記第2保留部に収納可能な量を超えないか否かを判定することにより、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨が、前記第1保留部および前記第2保留部のうち、保留対象となる保留部に保留可能であるか否かを判定し、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨を、保留可能な量を超えてしまうために前記対応する保留部に保留できない場合に、前記所定の操作を受け付けないような構成とすることができる。
【0013】
上記の構成とされれば、載置領域に載置された複数枚の硬貨を、容量オーバーにより対応する保留部に保留できないときは、保留のための操作が受け付けられないので、対応する保留部に硬貨が詰まってしまい入金処理が中断されてしまうことが防止される。
【0014】
第1、第2および第3の態様に係る硬貨処理装置において、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨を撮像するための撮像部を、さらに備えるような構成が採られ得る。
【0015】
上記の構成とされた場合、さらに、前記制御部は、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨に該当する硬貨の種類を設定し、前記撮像部により撮像された画像に基づいて、前記載置領域に載置された複数枚の硬貨の中に設定された種類と異なる種類の硬貨が含まれていることが判明した場合に、所定の報知を行うための処理を行うような構成とされ得る。
【0016】
上記の構成によれば、操作者は、間違った種類の硬貨を載置領域に載置した場合に、それに気づくことができ、その硬貨を載置領域から取り除くことができる。
【0017】
また、上記の構成とされた場合、さらに、記憶部が備えられ得る。この場合、前記載置領域は、前記複数枚の硬貨を上下に重ならない状態で載置できるようになっており、前記制御部は、前記撮像部により撮像された画像から個々の硬貨の画像を切り出し、画像が切り出された個々の硬貨に対する金種の入力を受け付け、切り出された画像と、その画像に対応する硬貨の金種とを紐付けて前記記憶部に記憶する。
【0018】
上記の構成によれば、第1収納部または第2収納部に収納される複数枚の硬貨について、個々の硬貨ごとに、その画像と金種を記憶部に記憶させておくことができる。
【発明の効果】
【0021】
上記のように、本発明によれば、複数枚の硬貨を円滑に処理することが可能な硬貨処理装置を提供できる。
【0022】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、実施形態に係る、貨幣処理システムの外観を示す正面図である。
図2図2(a)、(b)は、実施形態に係る、特殊硬貨処理装置の構成を示す斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る、特殊硬貨処理装置の構成を示す、図2(a)のA-A’で切断された断面図である。
図4図4(a)、(b)は、それぞれ、実施形態に係る、硬貨振分ユニットの構成を示す平面図および背面図である。
図5図5(a)、(b)は、実施形態に係る、硬貨振分ユニットの動作について説明するための図である。
図6図6は、実施形態に係る、特殊硬貨処理装置および操作端末の構成を示すブロック図である。
図7図7は、実施形態に係る、損貨等の特殊硬貨の入金処理を示すフローチャートである。
図8図8(a)~(d)は、それぞれ、実施形態に係る、特殊硬貨の入金処理の際に操作端末の操作表示部において表示される画面を示す図である。
図9図9(a)、(b)は、実施形態に係る、硬貨の画像に対して金種を設定するための操作を模式的に示す図である。
図10図10(a)は、実施形態に係る、硬貨振分ユニットにより載置領域の損貨が第1収納庫に振り分けられる様子を示す図であり、図10(b)は、実施形態に係る、硬貨振分ユニットにより載置領域の記念貨が第2収納庫に振り分けられる様子を示す図である。
図11図11(a)、(b)は、変更例1に係る、特殊硬貨処理装置の構成を示す斜視図である。
図12図12は、変更例1に係る、特殊硬貨処理装置の構成を示す、図11(a)のA-A’で切断された断面図である。
図13図13(a)~(c)は、変更例1に係る、第1保留ユニット(第2保留ユニット)の構成を示す平面図である。
図14図14(a)、(b)は、変更例1に係る、第1保留ユニット(第2保留ユニット)の構成を示す断面図である。
図15図15は、変更例1に係る、特殊硬貨の入金処理を示すフローチャートである。
図16図16(a)は、変更例1に係る、入金処理画面を示す図であり、図16(b)は、変更例1に係る、入金処理画面にポップアップ表示された報知画面を示す図である。
図17図17(a)~(f)は、変更例1に係る、載置領域に載置された複数枚の硬貨が、硬貨振分ユニットにより振り分けられて第1保留部または第2保留部に保留される様子、および、第1収納庫または第2収納庫に収納される様子を示す図である。
図18図18は、変更例2に係る、特殊硬貨処理装置の断面図である。
図19図19(a)は、変更例2に係る、硬貨振分ユニットにより載置領域の損貨が第1収納庫に振り分けられる様子を示す図であり、図19(b)は、変更例2に係る、硬貨振分ユニットにより載置領域の記念貨が第2収納庫に振り分けられる様子を示す図である。
図20図18は、変更例3に係る、特殊硬貨処理装置の断面図である。
図21図19(a)は、変更例3に係る、硬貨振分ユニットにより載置領域の損貨が第1収納庫に振り分けられる様子を示す図であり、図19(b)は、変更例3に係る、硬貨振分ユニットにより載置領域の記念貨が第2収納庫に振り分けられる様子を示す図である。
図22図22は、変更例4に係る、特殊硬貨処理装置の構成を示す斜視図である。
図23図23(a)は、変更例4に係る、枚数重視モードで表示されるセット要求画面を示す図であり、図23(b)は、変更例4に係る、画質・金種判別重視モードで表示されるセット要求画面を示す図であり、図23(c)は、変更例4に係る、画質・金種判別重視モードで表示される確認要求画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0025】
本実施形態において、特殊硬貨処理装置7と操作端末8の組合せが、特許請求の範囲に記載の「硬貨処理装置」に対応する。また、第1収納庫31および第2収納庫32が、それぞれ、特許請求の範囲に記載の「第1収納部」および「第2収納部」に対応する。さらに、カメラ40が、特許請求の範囲に記載の「撮像部」に対応する。さらに、硬貨振分ユニット100が、特許請求の範囲に記載の「振分部」に対応する。さらに、ボタン424、425が、特許請求の範囲に記載の「入力部」に対応する。さらに、制御部205と制御部305とにより、特許請求の範囲に記載の「制御部」が構成される。
【0026】
ただし、上記記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0027】
図1は、貨幣処理システム1の外観を示す正面図である。
【0028】
貨幣処理システム1は、バラ紙幣処理装置2と、束紙幣処理装置3と、バラ硬貨処理装置4と、包装硬貨処理装置5と、有価媒体処理装置6と、特殊硬貨処理装置7と、操作端末8と、貨幣保管装置9と、を備える。
【0029】
バラ紙幣処理装置2は、バラ紙幣を金種別に収納できる紙幣収納部を有し、バラ紙幣を紙幣収納部へ入金する入金処理や紙幣収納部からバラ紙幣を出金する出金処理を行う。束紙幣処理装置3は、所定枚数(たとえば、100枚)のバラ紙幣を結束して束紙幣(帯封紙幣)を形成する束紙幣形成部と、束紙幣を収納する束紙幣収納部とを有する。束紙幣処理装置3は、バラ紙幣処理装置2と接続されており、バラ紙幣処理装置2から送られてきたバラ紙幣をもとに束紙幣形成部で束紙幣を生成して外部に投出し、あるいは、生成した束紙幣を束紙幣収納部に収納する。
【0030】
バラ硬貨処理装置4は、バラ硬貨を金種別に収納できる硬貨収納部を有し、バラ硬貨を硬貨収納部へ入金する入金処理や硬貨収納部からバラ硬貨を出金する出金処理を行う。包装硬貨処理装置5は、所定枚数(たとえば、50枚)のバラ硬貨を包装して包装硬貨を形成する包装硬貨形成部と、包装硬貨を収納する包装硬貨収納部とを有する。包装硬貨処理装置5は、バラ硬貨処理装置4と接続されており、バラ硬貨処理装置4から送られてきたバラ硬貨をもとに包装硬貨形成部で包装硬貨に生成して外部に投出し、あるいは、生成した包装硬貨を包装硬貨収納部に収納する。
【0031】
有価媒体処理装置6は、バラ紙幣処理装置2および束紙幣処理装置3で取り扱われない有価媒体の処理を行う。具体的には、有価媒体処理装置6は、損券収納部、有価証券収納部を有し、現在発行されていない紙幣である旧券、市場流通に適さない損券および汚れや破れによってバラ紙幣処理装置2で処理できない損傷券を損券収納部に対して入出金する処理、および、小切手や手形などの特定の有価証券を有価証券収納部に対して入出金する処理を行う。また、有価媒体処理装置6は、新券収納部を有し、未使用の紙幣である新券を新券収納部から出金する処理を行う。
【0032】
特殊硬貨処理装置7は、損貨(変形貨幣、汚損貨幣)、旧貨、記念貨等の市場流通に適さない特殊な硬貨を取り扱う。これら特殊な硬貨は、バラ硬貨処理装置4では、取り扱うことができない。
【0033】
操作端末8は、操作表示部301と、プリンタ302とを備える。ユーザは、操作端末8を用いて、バラ紙幣処理装置2、束紙幣処理装置3、バラ硬貨処理装置4、包装硬貨処理装置5、有価媒体処理装置6、特殊硬貨処理装置7および貨幣保管装置9に対する入金処理のための操作や出金処理のための操作を行う。
【0034】
貨幣保管装置9は、損貨(変形貨幣、汚損貨幣)、旧貨、記念貨等の市場の流通に適さない特殊な硬貨等の保管に用いられる。また、貨幣保管装置9は、束紙幣処理装置3に収納しきらない束紙幣や包装硬貨処理装置5に収納しきらない包装硬貨の保管に用いられる。
【0035】
図2(a)、(b)は、特殊硬貨処理装置7の構成を示す斜視図である。
【0036】
特殊硬貨処理装置7は、直方体形状の筐体10により、外郭が形成される。筐体10の上部前側に開口11が形成されている。この開口11が、シャッター12により開閉される。図2(a)には、開口11がシャッター12により閉じられた状態が示され、図2(b)には、開口11が開放された状態が示されている。シャッター12は、フレキシブルな構造を有し、筐体10の左右の内側面に形成されたガイド溝13に沿って、上下および前後方向に移動可能に筐体10に支持されている。
【0037】
シャッター12が開放されると、硬貨の収容室20が現れる。収容室20の底面には、所定の広さを有する方形状の載置領域21が設けられる。載置領域21には、複数枚の硬貨を、上下に重ならない状態で載置することができる。載置領域21の下方には、載置領域21に載置された硬貨を収納するための第1収納庫31と第2収納庫32とが左右に並ぶように設置されている。第1収納庫31と第2収納庫32は、前方に引き出すことができる。
【0038】
本実施形態では、第1収納庫31に損貨が収納され、第2収納庫32に記念貨が収納される。よって、載置領域21には、第1収納庫31に収納される損貨を複数枚まとめて載置することができ、第2収納庫32に収納される記念貨を複数枚まとめて載置することができる。
【0039】
図3は、特殊硬貨処理装置7の構成を示す、図2(a)のA-A’で切断された断面図である。図4(a)、(b)は、それぞれ、硬貨振分ユニット100の構成を示す平面図および背面図である。図4(a)には、仕切壁15とガイド壁16とが、硬貨振分ユニット100とともに描かれている。図4(b)では、便宜上、移動機構130の取付板136の図示が省略されている。
【0040】
図3に示すように、特殊硬貨処理装置7は、筐体10の内部が、仕切板14で上下に仕切られることにより、上部空間10aと下部空間10bとに区画される。下部空間10bに、第1収納庫31と第2収納庫32とが配置される。第1収納庫31と第2収納庫32は、上面が開口する。仕切板14には、第1収納庫31と第2収納庫32の直上に、それぞれ、開口部14a、14bが形成される。
【0041】
上部空間10aは、仕切壁15により前後に仕切られ、仕切壁15の前方に収容室20が設けられる。仕切壁15は、収容室20の後壁を兼ねる。また、上部空間10aには、硬貨振分ユニット100が配置される。硬貨振分ユニット100は、載置領域21に載置された複数の硬貨を、それら硬貨が第1収納庫31または第2収納庫32に導かれるように振り分ける。
【0042】
図3図4(a)および(b)に示すように、硬貨振分ユニット100は、載置部材110と、枠部材120と、これら載置部材110および枠部材120を移動させるための移動機構130とを含む。載置部材110は、方形の板状を有する。枠部材120は、方形状を有し、載置部材110の上に配置される。載置部材110と枠部材120は、同じ大きさとなるように形成されている。載置部材110と枠部材120は、収容室20の底面に配置される。載置部材110における枠部材120で囲われた領域が、載置領域21となる。
【0043】
載置部材110には、後端部の中央部に、後方に突出する固定片111が形成される。枠部材120には、後面の中央部に、後方に突出する固定片121が形成され、前面および後面に、それぞれ2つずつ、軸122、123が形成される。仕切壁15には、枠部材120および載置部材110に対応する位置に、それぞれ、左右方向に延びるスリット状のガイド孔15a、15bが形成される。また、上部空間10aには、載置部材110および枠部材120の前方にガイド壁16が設けられる。ガイド壁16には、仕切壁15のガイド孔15aに対向する位置に、左右方向に延びるスリット状のガイド孔16aが形成される。
【0044】
載置部材110と枠部材120は、仕切壁15とガイド壁16との間に挟み込まれる。また、載置部材110は、仕切板14の上に載せられる。載置部材110の固定片111が、仕切壁15のガイド孔15bを貫通して仕切壁15の後方へ延びる。枠部材120は、前面の2つの軸122がガイド壁16のガイド孔16aに嵌り込み、後面の2つの軸123が仕切壁15のガイド孔15aに嵌り込む。枠部材120の固定片121が、仕切壁15のガイド孔15aを貫通して仕切壁15の後方へ延びる。載置部材110は、仕切板14の上を左右方向、即ち、第1収納庫31と第2収納庫32の並び方向に移動可能であり、枠部材120は、前側の軸122がガイド孔16aに案内され、後側の軸123がガイド孔15aに案内されて、左右方向に移動可能である。
【0045】
移動機構130は、上部空間10aにおける仕切壁15の後方に配置され、第1プーリ131と、第2プーリ132と、ベルト133と、モータ134と、プーリ軸135と、取付板136を含む。第1プーリ131と第2プーリ132は、左右方向に所定の間隔を開けて配置される。ベルト133は、第1プーリ131と第2プーリ132の間に架け渡される。ベルト133には、載置部材110の固定片111と枠部材120の固定片121が取り付けられる。モータ134は、第1プーリ131に接続され、第1プーリ131を回転駆動する。プーリ軸135は、第2プーリ132を回転可能に支持する。取付板136には、モータ134とプーリ軸135が取り付けられる。取付板136は仕切板14に固定される。
【0046】
図5(a)、(b)は、硬貨振分ユニット100の動作について説明するための図である。
【0047】
図5(a)に示すように、モータ134が前方から見て左回りに回転すると、ベルト133が左回りに周回する。これにより、載置部材110が右方向に移動し、枠部材120が載置部材110とは反対に左方向に移動する。一方、図5(b)に示すように、モータ134が前方から見て右回りに回転すると、ベルト133が右回りに周回する。これにより、載置部材110が左方向に移動し、枠部材120が載置部材110とは反対に右方向に移動する。
【0048】
図3に示すように、収容室20の上部には、左右方向の中央部に、載置領域21の全範囲を画角に含むカメラ40が設置されている。カメラ40は、仕切壁15から前方に延びる取付板15cに取り付けられており、上方から見て載置領域21のほぼ中心に位置する。載置領域21に載置された硬貨は、全て、1つのカメラ40で同時に撮像される。この他、筐体10の内部には、載置領域21を照明するための発光ユニット(図示せず)が設置されている。
【0049】
図6は、特殊硬貨処理装置7および操作端末8の構成を示すブロック図である。
【0050】
特殊硬貨処理装置7は、撮像処理部201と、シャッター駆動部202と、ユニット駆動部203と、通信部204と、制御部205と、記憶部206と、を備える。
【0051】
撮像処理部201は、制御部205からの制御によりカメラ40を駆動するとともに、カメラ40からの画像データを処理して制御部205に送信する。シャッター駆動部202は、シャッター12を駆動するためのモータおよび駆動回路を備え、制御部205からの制御により、シャッター12を開閉する。ユニット駆動部203は、モータ134および駆動回路を備え、制御部205からの制御により、移動機構130、即ち、硬貨振分ユニット100を駆動する。通信部204は、制御部205からの制御により、操作端末8の通信部304との間で無線方式あるいは有線方式による通信を行う。
【0052】
制御部205は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路を備え、記憶部206に記憶されたプログラムに従って、撮像処理部201、シャッター駆動部202、ユニット駆動部203および通信部204を制御する。記憶部206は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部205の制御プログラムを記憶し、また、制御部205の制御処理の際にワーク領域として利用される。
【0053】
操作端末8は、上述した操作表示部301およびプリンタ302の他、カードリーダ303、通信部304、制御部305および記憶部306を備える。
【0054】
操作表示部301は、ディスプレイ301aとタッチセンサ301bとを備えたタッチパネルで構成される。ディスプレイ301aは、各種情報を表示する。タッチセンサ301bは、ディスプレイ301aに対するユーザのタッチ操作を検出する。プリンタ302は、バラ紙幣処理装置2、束紙幣処理装置3、バラ硬貨処理装置4、包装硬貨処理装置5、有価媒体処理装置6、特殊硬貨処理装置7および貨幣保管装置9に対する入金処理、出金処理等の各種処理の結果を、ジャーナルとして用紙に印字し出力する。
【0055】
カードリーダ303は、IDカードを読み取り、読み取ったデータを制御部305に出力する。通信部304は、特殊硬貨処理装置7の通信部204との間で無線方式あるいは有線方式による通信を行う。この他、通信部304は、バラ紙幣処理装置2、束紙幣処理装置3、バラ硬貨処理装置4、包装硬貨処理装置5、有価媒体処理装置6および貨幣保管装置9の各通信部との間で無線方式あるいは有線方式による通信を行う。
【0056】
制御部305は、CPU等の演算回路を備え、記憶部306に記憶されたプログラムに従って、操作表示部301、プリンタ302、カードリーダ303、通信部304を制御する。さらに、制御部305は、通信部304を介して、バラ紙幣処理装置2、束紙幣処理装置3、バラ硬貨処理装置4、包装硬貨処理装置5、有価媒体処理装置6、特殊硬貨処理装置7および貨幣保管装置9との間で各種の指令や情報のやり取りを行うことにより、これら装置の動作を制御する。
【0057】
記憶部306は、ROM、RAMやハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部305の制御プログラムを記憶し、また、制御部305の制御処理の際にワーク領域として利用される。さらに、記憶部306は、損貨および記念貨の参照画像(表面および裏面)と金種とを対応付けた硬貨画像データベース306aを保持している。硬貨画像データベース306aは、硬貨の種類(損貨/記念貨)ごとに準備されている。硬貨画像データベース306aは、カメラ40により撮像された硬貨の画像の金種を判定する際に、制御部305により参照される。
【0058】
次に、特殊硬貨処理装置7へ特殊な硬貨である損貨および記念貨を入金するための処理について説明する。
【0059】
図7は、損貨等の特殊硬貨の入金処理を示すフローチャートである。図8(a)~(d)は、それぞれ、特殊硬貨の入金処理の際に操作端末8の操作表示部301において表示される画面を示す図である。図7の入金処理は、操作端末8の制御部305と特殊硬貨処理装置7の制御部205とが連携することにより実行される。
【0060】
特殊硬貨の入金処理において、操作者は、まず、図8(a)に示すメニュー画面410を操作する。メニュー画面410には、処理項目の選択候補を表示する領域411が含まれている。操作者は、領域411中の“特殊貨幣”の処理項目を選択した後、領域412に含まれた貨幣の種類の中から、処理対象とされる損貨/旧貨および記念貨の項目を選択する。損貨/旧貨および記念貨の項目がハイライト表示される。さらに、領域413に、当該硬貨の入金を行うための特殊硬貨処理装置7の画像413aが表示される。操作者は、画像413aを参照することにより、どの装置に対して入金を行えばよいかを円滑に把握できる。その後、操作者は、ボタン414を操作する。これにより、図7に示す処理が開始される。
【0061】
制御部305は、特殊硬貨処理装置7の制御部205に対して、シャッター12を開放させる指示を送信する(S101)。この指示を受けて、制御部205は、シャッター駆動部202を開動作させる。これにより、特殊硬貨処理装置7のシャッター12が開放される。また、制御部305は、操作表示部301にセット要求画面420を表示させる(S102)。これにより、操作表示部301の画面が、図8(a)のメニュー画面410から図8(b)のセット要求画面420に切り替わる。
【0062】
図8(b)を参照して、領域421には、図8(a)の領域411と同様の画像が含まれる。領域422には、特殊硬貨処理装置7への硬貨の投入を促す画像422aが表示される。領域423には、特殊硬貨処理装置7に処理対象の硬貨をセットし、硬貨の種類を選択した後、完了の操作を行うことを促すメッセージ423aが含まれる。領域423には、硬貨の種類が損貨であるときに操作されるボタン424と、硬貨の種類が記念貨であるときに操作されるボタン425が含まれる。また、領域423には、硬貨のセットが完了したときに操作されるボタン426が設けられる。
【0063】
操作者は、処理対象が複数枚の損貨であれば、それら複数枚の損貨を特殊硬貨処理装置7の載置領域21に載置し、損貨のボタン424を操作する一方、処理対象が複数枚の記念貨であれば、それら複数枚の記念貨を載置領域21に載置し、記念貨のボタン425を操作する。その後、操作者は、完了のボタン426を操作する。
【0064】
セット要求画面420が表示されると、制御部305は、種類受付処理を行って損貨のボタン424または記念貨のボタン425の操作を受け付ける(S103)。制御部305は、ボタン424が操作されると、処理対象の硬貨の種類を損貨に設定し、ボタン425が操作されると、処理対象の硬貨の種類を記念貨に設定する。そして、完了のボタン426が操作されると、制御部305は、硬貨のセットが完了したと判定する。
【0065】
硬貨のセットが完了すると(S104:YES)制御部305は、特殊硬貨処理装置7の制御部205に対して、シャッター12を閉塞させる指示を送信する(S105)。この指示を受けて、制御部205は、シャッター駆動部202を閉動作させる。これにより、特殊硬貨処理装置7のシャッター12が閉塞される。さらに、制御部305は、特殊硬貨処理装置7の制御部205に対して、硬貨を撮像させる指示を送信する(S106)。この指示を受けて、制御部205は、撮像処理部201を動作させる。これにより、特殊硬貨処理装置7において、載置領域21に載置された硬貨が、カメラ40により撮像される。こうして撮像された画像のデータが、通信部204、304を介して、特殊硬貨処理装置7から操作端末8に送信される。制御部305は、受信したデータを、記憶部306に記憶させる。
【0066】
次に、制御部305は、受信した画像のデータを処理して、当該画像に含まれる各硬貨の画像を切り出す(S107)。このとき、制御部305は、切り出した各硬貨の画像に対して歪み補正を行い、真円に近い各硬貨の画像を取得する。そして、制御部305は、歪み補正後の各硬貨の画像と、硬貨画像データベース306aに保持された参照画像とを照合して、各硬貨の画像の金種を識別する(S108)。
【0067】
具体的には、制御部305は、各硬貨の画像について、マッチング度合いが所定の閾値以上で且つ最高の参照画像を硬貨画像データベース306aから抽出し、この参照画像に対応付けられた金種を、当該硬貨の画像に割り当てる。このとき、制御部305は、各硬貨の画像に割り当てられた参照画像が、損貨と記念貨の何れの種類に属するかを示す区分を、各硬貨の画像にさらに割り当てる。また、マッチング度合いが閾値以上の参照画像がない硬貨の画像については、金種が不明との識別結果が割り当てられる。
【0068】
こうして各硬貨の画像について金種を識別した後、制御部305は、載置領域21に載置された硬貨の中に、間違った種類の硬貨が含まれてないかの判定を行う(S109)。すなわち、制御部305は、各硬貨の画像に割り当てられた硬貨の種類の区分を参照し、セット要求画面420において設定された硬貨の種類でない種類の硬貨の画像があれば、間違った種類の硬貨が混在していると判定する。
【0069】
間違った種類の硬貨が混在している場合(S109:YES)、制御部305は、図8(c)に示す確認要求画面430を操作表示部301に表示させる(S110)。
【0070】
図8(c)を参照して、領域431には、図8(a)の領域411と同様の画像が含まれる。領域432には、カメラ40による全体の撮像画像432aが表示され、その中で種類が間違っている硬貨の画像が円432bで囲まれる。領域433には、違う種類の硬貨が混在していること、および、硬貨の再セットを行うことを促すメッセージ433aと、ボタン434が含まれる。操作者は、領域432の撮像画像432aと領域433のメッセージ433aを参照して、違う種類の硬貨の混在の発生と、その硬貨の載置領域21における位置を把握した後、ボタン434を操作する。これにより、制御部305は、操作者による確認が完了したと判定する(S111:YES)。
【0071】
これに応じて、制御部305は、処理をステップS101に戻して、ステップS101以降の処理を再度実行する。これにより、特殊硬貨処理装置7のシャッター12が開放されて、間違った種類の硬貨を取り除くことが可能となる。操作者は、間違った種類の硬貨を取り除くと、上記と同様の操作を行う。
【0072】
間違った種類の硬貨が混在していない場合(S109:NO)、制御部305は、図8(d)に示す入金処理画面440を、操作表示部301に表示させる(S112)。
【0073】
図8(d)を参照して、入金処理画面440は、領域441、442と、ボタン443、444とを含んでいる。領域441には、硬貨の入金結果441aが金種ごとに表示される。領域442には、撮像画像から切り出された各硬貨の画像(平面画像)442aが表示される。表示される各硬貨の画像442aは、上述の歪み補正後の画像である。
【0074】
硬貨の各画像442aの直下の位置に、各画像の金種を示す項目442bが表示される。項目442bは、硬貨に係る情報の一つである金種を入力するために制御部305に設定された、視認可能な(画像で表現された)入力領域である。入金処理画面440の表示開始時には、図7のステップS108で識別された各硬貨の画像442aの金種が、最初の候補として項目442bに表示される。ステップS108で金種が不明と判定された硬貨の画像442aには、“?”の記号が項目442bに表示される。“?”の記号が付された画像442a以外の画像442aについて、金種ごとに枚数が計数され、計数結果が、入金結果441aとして、領域441に表示される。なお、領域441に、金種が不明の硬貨の枚数が表示されてもよく、合計金額が表示されてもよい。領域442には、画像442aをスクロールさせるためのスクロールバー442cが設けられている。
【0075】
なお、金種を示す項目442bは、必ずしも、各画像442aの直下に配置されなくてもよく、画像442aに対応付けられた形態であれば、他の位置に配置されてもよい。たとえば、画像442aの一部に重なるように項目442bが配置されてもよい。
【0076】
操作者は、項目442bに対する操作により、各硬貨の画像442aの金種を設定(入力)できる。
【0077】
図9(a)、(b)は、硬貨の画像442aに対して金種を設定するための操作を模式的に示す図である。
【0078】
たとえば、金種が不明と識別された画像442aに対して金種を設定する場合、操作者は、まず、当該画像442aを参照して、当該画像442aの硬貨の金種を目視により確認する。次に、操作者は、図9(a)に示すように、当該画像442aに対応付けられた項目442bに指でタッチし、そのまま指を下方にドラッグ(スライド)させる。これにより、ドラッグの距離に応じて項目442bに表示される金種が変化する。
【0079】
たとえば、図7のステップS103で硬貨の種類が損貨である設定がなされた場合、指を所定距離だけドラッグさせると、項目442bの金種が1円となり、さらに指を所定距離だけドラッグさせると、項目442bの金種が5円となる。その後、同様に、指を所定距離だけドラッグさせるごとに、項目442bの金種が、10円、50円、100円、500円と変化する。図7のステップS103で硬貨の種類が記念貨である設定がなされた場合、たとえば、指を所定距離だけドラッグさせると、項目442bの金種が100円となり、さらに指を所定距離だけドラッグさせると、項目442bの金種が500円となる。その後、同様に、指を所定距離だけドラッグさせるごとに、項目442bの金種が、千円、1万円、5万円、10万円と変化する。指を逆方向(上方)にドラッグさせると、金種の変化が反転する。
【0080】
こうして、操作者は、画像442aに対応する金種が項目442bに表示されるまで、指をドラッグさせる。そして、画像442aに対応する金種が項目442bに表示されると、操作者は、指を画面から離す。これにより、図9(b)のように、項目442bに金種が設定される。このようにして、操作者は、複数の金種の候補の中から選択により画像442aに適合する金種を入力できる。
【0081】
このとき、操作者により金種が設定された項目442bは、図7のステップS108で金種が識別された項目442bと区別可能な形態で表示される。たとえば、操作者により金種が設定された項目442bは、他の項目442b(金種が不明な項目、金種が識別された項目)とは異なる色が付されて表示される。なお、金種が不明な項目442bが、金種が識別された項目442bと異なる形態、たとえば、異なる色で表示されるようにしてもよい。
【0082】
操作者は、金種が不明と識別された他の画像442aについても、同様の操作により金種を設定する。また、操作者は、図7のステップS108で金種が識別された項目442bについても、適宜、上記と同様の操作により、金種を修正する。こうして、各画像442aの金種が操作者により設定されると、これに応じて、領域441に表示される各金種の入金結果441aが更新される。
【0083】
なお、図9(a)、(b)に示した例では、指をドラッグ(スライド)させることにより金種の候補が変更されたが、金種の候補を変化させる方法は、これに限られるものではない。たとえば、項目442bをタップするごと、あるいはフリックするごとに金種の候補が変化する構成であってもよい。
【0084】
図7に戻り、制御部305は、入金処理画面440を表示させた後(S112)、金種受付処理(S113)を実行する。金種受付処理(S113)において、制御部305は、図9(a)、(b)に示した操作を受け付け、操作者により当該操作がなされた場合に、上記のように、項目442bの金種を変更する。
【0085】
ステップS113の処理とともに、制御部305は、入金処理画面440に対して、操作者により、やりなおし操作がなされたか否かを判定する(S114)。具体的には、制御部305は、入金処理画面440中のボタン443が操作者により操作されたか否かを判定する。
【0086】
操作者は、処理対象の硬貨の一部を載置領域21にセットし忘れた場合等、入金処理をやりなおす必要性を確認した場合、ボタン443を操作する。これにより、制御部305は、ステップS114でやりなおし操作がなされたと判定して(S114:YES)、処理をステップS101に戻す。これに応じて、特殊硬貨処理装置7のシャッター12が開放される。これにより、操作者は、載置領域21にアクセスして、硬貨入金のための操作をやりなおす。
【0087】
やりなおし操作が行われることなく(S114:NO)、図8(d)の入金処理画面440において、操作者により、全ての硬貨の画像442aに対して金種が設定され、その後、処理を確定させるボタン444が操作されると(S115:YES)、制御部305は、入金確定処理を実行する(S116)。入金確定処理において、制御部305は、各硬貨の画像442a(複数の硬貨が含まれた撮像画像から切り出された画像)と項目442bに設定された金種(入力された金種)とを対応付けて、記憶部306に記憶させる。このとき同時に、制御部305は、領域441に示された入金結果441aを記憶部306に記憶させる。
【0088】
その後、入金確定処理において、制御部305は、通信部304を介して、処理の完了を示す通知を特殊硬貨処理装置7に送信する。このとき同時に、硬貨の種類も送信する。これに応じて、特殊硬貨処理装置7の制御部205は、ユニット駆動部203を制御して、硬貨振分ユニット100の移動機構130を動作させる。
【0089】
図10(a)は、硬貨振分ユニット100により載置領域21の損貨が第1収納庫31に振り分けられる様子を示す図であり、図10(b)は、硬貨振分ユニット100により載置領域21の記念貨が第2収納庫32に振り分けられる様子を示す図である。
【0090】
図10(a)に示すように、制御部205は、硬貨の種類が損貨である場合、移動機構130の動作によって、載置部材110を右方向に移動させ、枠部材120を左方向に移動させる。載置領域21に載置された複数枚の損貨C1が枠部材120に押されて左側に移動し、載置部材110の左端から落下し、仕切板14の開口部14aを通って第1収納庫31に収納される。
【0091】
図10(b)に示すように、制御部205は、硬貨の種類が記念貨である場合、移動機構130の動作によって、載置部材110を左方向に移動させ、枠部材120を右方向に移動させる。載置領域21に載置された複数枚の記念貨C2が枠部材120に押されて右側に移動し、載置部材110の右端から落下し、仕切板14の開口部14bを通って第2収納庫32に収納される。
【0092】
このようにして、入金確定処理が完了すると、硬貨の入金処理が終了する。
【0093】
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
【0094】
複数枚の硬貨を上下に重ならない状態で載置できる載置領域21を備え、載置領域21に載置された複数枚の硬貨が、それらの硬貨の種類に応じて第1収納庫31または第2収納庫32に導かれるように硬貨振分ユニット100により振り分けられる。これにより、操作者は、入金対象となる同じ種類の硬貨が複数枚ある場合に、それら複数枚の硬貨を一度に載置領域21に載置することができるので、入金操作が容易となる。
【0095】
また、載置領域21に載置された複数枚の硬貨がカメラ40により撮像されるとともに、載置領域21に載置された複数枚の硬貨に該当する硬貨の種類が設定される。そして、カメラ40により撮像された画像に基づいて、載置領域21に載置された複数枚の硬貨の中に設定された種類と異なる種類の硬貨が含まれているか否かが判定され、異なる種類の硬貨が含まれている場合に、確認要求画面430による報知が行われる。これにより、操作者は、間違った種類の硬貨を載置領域21に載置した場合に、それに気づくことができ、その硬貨を載置領域21から取り除くことができる。
【0096】
さらに、載置領域21に載置された複数枚の硬貨がカメラ40により撮像され、撮像された画像から個々の硬貨の画像が切り出される。そして、画像が切り出された個々の硬貨に対する金種の入力が入金処理画面440により受け付けられ、切り出された画像と、その画像に対応する硬貨の金種とが紐付けられて記憶部306に記憶される。これにより、第1収納庫31または第2収納庫32に収納される複数枚の硬貨について、個々の硬貨ごとに、その画像と金種を記憶部306に記憶させておくことができる。
【0097】
さらに、カメラ40は、載置領域21の全範囲を画角に含むので、載置領域21に載置された複数枚の硬貨の全てを一度に撮像できる。これにより、複数枚の硬貨を撮像する時間を短縮できるので、入金時間を一層短縮できる。
【0098】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0099】
<変更例1>
図11(a)、(b)は、変更例1に係る、特殊硬貨処理装置7の構成を示す斜視図である。図12は、変更例1に係る、特殊硬貨処理装置7の構成を示す、図11(a)のA-A’で切断された断面図である。なお、図12において、第1保留ユニット500aおよび第2保留ユニット500bは、それぞれ、第1保留部51および第2保留部52のみが示されている。
【0100】
図11(a)、(b)および図12に示すように、変更例1の特殊硬貨処理装置7では、第1収納庫31の上方に第1保留ユニット500aが設けられ、第2収納庫32の上方に第2保留ユニット500bが設けられる。第1保留ユニット500aは、硬貨振分ユニット100により振り分けられた複数枚の硬貨(損貨)を、これら硬貨が第1収納庫31に収納される前に保留できる第1保留部51を含む。第2保留ユニット500bは、硬貨振分ユニット100により振り分けられた複数枚の硬貨(記念貨)を、これら硬貨が第2収納庫32に収納される前に保留できる第2保留部52を含む。第1保留部51に保留された硬貨は第1収納庫31へ排出でき、第2保留部52に保留された硬貨は第2収納庫32へ排出できる。第1保留部51および第2保留部52に保留された硬貨が返却される際には、第1保留部51および第2保留部52が筐体10の前方へ引き出される。
【0101】
第1保留ユニット500aおよび第2保留ユニット500bは、同じ構成であり、以下、これらの詳細な構成について説明する。
【0102】
図13(a)~(c)は、変更例1に係る、第1保留ユニット500a(第2保留ユニット500b)の構成を示す平面図である。図14(a)、(b)は、変更例1に係る、第1保留ユニット500a(第2保留ユニット500b)の構成を示す断面図である。
【0103】
第1保留ユニット500a(第2保留ユニット500b)はトレイ510を備える。トレイ510は、4つの支持ローラ511によって、前後方向に移動可能に支持されている。トレイ510の右側面には、ギア512が設けられ、このギア512にギア513が噛み合っている。ギア513は、図示しないモータによって駆動される。ギア513が駆動されることにより、トレイ510が、筐体10の開口17を介して、前後に移送される。トレイ510が最後方位置に位置付けられると、トレイ510前端の蓋部510aによって、開口17が閉塞される。
【0104】
トレイ510は、上面および後面が開放された箱形の形状である。トレイ510の底面には、前側の領域に開口510bが形成されている。トレイ510には、方形状の枠部材520が固定されている。枠部材520の下方に方形の板状の底面部材530が配置される。底面部材530は、支持板540の上面部に設置される。支持板540は、トレイ510に前後に移動可能に嵌め込まれる。枠部材520と底面部材530とが組み合わされることにより、上面が開口する箱状の第1保留部51(第2保留部52)が構成される。
【0105】
支持板540の後部には、前後に延びるようにラックギア541が設置されている。支持板540には開口540aが形成され、この開口540aを介してトレイ510にモータ550が設置されている。モータ550の駆動軸に設置されたギア551が、ラックギア541に噛み合っている。モータ550を駆動することにより、ラックギア541が前後に送られる。これにより、支持板540がトレイ510に対して前後方向に相対的に移動する。
【0106】
変更例1では、ギア513を駆動するモータおよび駆動回路を備えるトレイ駆動部(図示せず)と、モータ550および駆動回路を備える支持板駆動部(図示せず)とが、制御部205に接続され、制御部205により制御される。トレイ駆動部は、ギア513を駆動するモータを駆動して、トレイ510を移送する。支持板駆動部は、モータ550を駆動して、支持板540とともに底面部材530を移送する。
【0107】
第1保留部51(第2保留部52)に保留された硬貨が第1収納庫31(第2収納庫32)に収納される際には、図14(a)に示すように、支持板540が後方に移送される。これにより、第1保留部51(第2保留部52)内の硬貨Cが、開口510bを介して、第1収納庫31(第2収納庫32)に落下する。図13(a)に示すように、支持板540は、最後方位置まで移送される。これにより、第1保留部51(第2保留部52)内の全ての硬貨Cが第1収納庫31(第2収納庫32)に落下して収納される。
【0108】
第1保留部51(第2保留部52)に保留された硬貨が返却される際には、図13(c)および図14(b)に示すように、第1保留部51(第2保留部52)が筐体10の外部に突出する位置に、トレイ510が移送される。これにより、操作者は、第1保留部51(第2保留部52)から硬貨Cを取り出すことができる。
【0109】
なお、第1保留部51(第2保留部52)に保留されている硬貨の枚数は、操作端末8の記憶部306に記憶される。第1保留部51(第2保留部52)対して硬貨が出し入れされる度に、記憶部306に記憶された第1保留部51(第2保留部52)内の硬貨の枚数が増減する。
【0110】
図15は、変更例1に係る、特殊硬貨の入金処理を示すフローチャートである。図16(a)は、変更例1に係る、入金処理画面440を示す図であり、図16(b)は、変更例1に係る、入金処理画面440にポップアップ表示された報知画面450を示す図である。図17(a)~(f)は、変更例1に係る、載置領域21に載置された複数枚の硬貨が、硬貨振分ユニット100により振り分けられて第1保留部51または第2保留部52に保留される様子、および、第1収納庫31または第2収納庫32に収納される様子を示す図である。
【0111】
なお、変更例1の入金処理では、図7に示す上記実施形態の入金処理に対して、ステップS121ないしS126の処理が付加されている。また、図15のフローチャートでは、ステップS101~S112の処理が省略されている。
【0112】
以下、上記実施形態の入金処理から追加された処理について説明する。
【0113】
変更例1では、図16(a)に示すように、入金処理画面440に、全てやりなおしのボタン445と、追加のボタン446とが含まれる。
【0114】
変更例1では、第1保留部51または第2保留部52に、先に金種の入力を終えた硬貨が保留されている場合であって、これら保留された硬貨を含めて入金処理をやりなおす場合に、操作者は、ボタン445を操作する。制御部305は、全てやりなおす操作がなされたと判定し(S114:YES→S121:YES)、保留された硬貨を返却する指示を特殊硬貨処理装置7の制御部205に送信する(S122)。制御部205からの制御により、図14(b)のように、第1保留部51または第2保留部52が外部に引き出され、硬貨の取出しが可能となる。その後、制御部305は、処理をステップS101に戻す。これにより、特殊硬貨処理装置7のシャッター12が開放し、再度の硬貨の入金が可能となる。
【0115】
なお、第1保留部51および第2保留部52うち載置領域21に載置された硬貨の保留対象となる保留部に硬貨がない場合は、ボタン445による全てやりなおしの操作は、制御部305に受け付けられない。
【0116】
さらに、変更例1では、たとえば、同時に入金処理を行いたい同じ種類(損貨、記念貨)の硬貨が残っているため、今回、金種を入力した硬貨を保留しておきたい場合に、操作者は、追加のボタン446を操作する。これにより、制御部305は、追加の操作がなされたと判定すると(S123:YES)、載置領域21に載置された複数枚の硬貨が、第1保留部51および第2保留部52のうち、保留対象となる保留部に保留可能であるか否かを判定する(S124)。
【0117】
制御部305は、載置領域21に載置された複数枚の硬貨を加えても収納可能な量(枚数)を超えず、保留可能である場合(S124:YES)、保留の指示を特殊硬貨処理装置7の制御部205に送信する(S125)。制御部205からの制御により、載置領域21に載置された複数枚の硬貨が損貨C1であれば、図17(a)のように、それら損貨C1が硬貨振分ユニット100に振り分けられて第1保留部51に保留され、載置領域21に載置された複数枚の硬貨が記念貨C2であれば、図17(b)のように、それら記念貨C2が硬貨振分ユニット100に振り分けられて第2保留部52に保留される。
【0118】
一方、既に保留対象となる保留部に硬貨が保留されている場合には、載置領域21に載置された複数枚の硬貨が加えられると収納可能な量(枚数)を超える場合が生じ得る。これにより、保留不可能と判定された場合(S124:NO)、制御部305は、ボタン446による追加の操作を受け付けず(無効とし)、保留不可の旨を報知するため、図16(b)に示すように、操作表示部301に、報知画面450を入金処理画面440上に重なるように表示させる(S126)。
【0119】
第1保留部51または第2保留部52に硬貨が保留された状態で、次に載置領域21に載置された硬貨について入金処理画面440での金種の入力が完了した後に、確定の操作がなされると(S115:YES)、制御部305は、入金確定処理を行い、第1保留部51または第2保留部52に保留された硬貨と、載置領域21に載置されている硬貨について、画像と金種とを紐付けて記憶部306に記憶する(S116)。このとき、これら硬貨に同じ取引番号が付される。
【0120】
さらに、制御部305は、処理の完了を示す通知を特殊硬貨処理装置7の制御部205に送信する。処理対象が損貨C1である場合、制御部205からの制御により、図17(c)のように、底面部材530が後方に移動して第1保留部51から複数枚の損貨C1が排出され、第1収納庫31に収納される。その後、図17(d)のように、第1保留部51は排出可能な状態のままとされ、載置領域21に載置された複数枚の損貨C1が、硬貨振分ユニット100に振り分けられて第1保留部51を通過し、第1収納庫31に収納される。同様に、処理対象が記念貨C2である場合、制御部205からの制御により、図17(e)のように、第2保留部52から複数枚の記念貨C2が排出されて第2収納庫32に収納され、その後、図17(f)のように、載置領域21に載置された複数枚の記念貨C2が、硬貨振分ユニット100に振り分けられて第2保留部52を通過し、第2収納庫32に収納される。
【0121】
なお、最初に載置領域21に載置された複数枚の硬貨について金種の入力が完了した後に確定のボタン444が操作された場合は、第1保留部51および第2保留部52に硬貨が存在しないため、図17(d)、(f)のように、載置領域21に載置された複数枚の硬貨が、硬貨振分ユニット100に振り分けられて第1保留部51または第2保留部52を通過し、第1収納庫31または第2収納庫32に収納される動作のみが行われることになる。
【0122】
変更例1においても、上記実施形態と同様の効果が奏され得る。
【0123】
さらに、変更例1では、載置領域21に一度に載置しきれない複数枚の同じ種類の硬貨が入金される場合に、最初に載置領域21に載置された硬貨を、第1保留部51または第2保留部52に保留しておき、載置領域21に載置された残りの硬貨と一緒に第1収納庫31または第2収納庫32に収納することができる。よって、残りの硬貨を入金しているときには、先の硬貨は保留状態にあるため、このときに必要となれば、全ての硬貨について入金のやりなおしが可能となる。
【0124】
さらに、変更例1では、載置領域21に載置された複数枚の硬貨を、容量オーバーにより第1保留部51および第2保留部52に保留できないときは、ボタン445の操作、即ち保留のための操作が受け付けられないので、第1保留部51および第2保留部52に硬貨が詰まってしまい入金処理が中断されてしまうことが防止される。
【0125】
なお、変更例1において、第1保留部51および第2保留部52に硬貨を保留できないときは、入金処理画面440において、追加のボタン446がグレーアウトされるか消去されるかすることにより、保留のための操作が受け付けられないようにしてもよい。また、第1保留部51および第2保留部52に硬貨がないときには、入金処理画面440において、全てやりなおしのボタン445がグレーアウトされるか消去されるかすることにより、全てやりなおしの操作が受け付けられないようにしてもよい。
【0126】
<変更例2>
図18は、変更例2に係る、特殊硬貨処理装置7の断面図である。
【0127】
特殊硬貨処理装置7に、載置部材110と枠部材120とを相反する方向に移動させる構成の硬貨振分ユニット100に代えて、ベルトコンベア式の硬貨振分ユニット600を用いることができる。この場合、硬貨振分ユニット600が、特許請求の範囲に記載の「振分部」に対応する。
【0128】
図18に示すように、変更例2の硬貨振分ユニット600は、第1プーリ610と、第2プーリ620と、ベルト630と、モータ640と、プーリ軸650とを含む。第1プーリ610と第2プーリ620は、左右方向に所定の間隔を開けて配置される。ベルト630は、第1プーリ610と第2プーリ620の間に架け渡される。ベルト630の前後の幅は、上記実施形態の載置部材110の前後方向の幅とほぼ同じとされており、第1プーリ610と第2プーリ620の間隔は、ベルト630の水平な部分の左右方向の長さが上記実施形態の載置部材110の左右方向の幅とほぼ同じになる間隔とされている。これにより、収容室20内に現れるベルト630の部分によって、載置領域21が構成される。モータ640は、第1プーリ610に接続され、第1プーリ610を回転駆動する。プーリ軸650は、第2プーリ620を回転可能に支持する。モータ640とプーリ軸650は、図示しない取付板に取り付けられる。
【0129】
収容室20の底部の左側面と右側面には、硬貨振分ユニット600の上方に、それぞれ、開閉自在な第1扉22および第2扉23により閉塞される第1開口24および第2開口25が設けられる。第1扉22および第2扉23には、各扉が収容室20の外側に開かず、第1開口24および第2開口25を閉じた状態に維持できるように、ロック装置60が設けられている。ロック装置60は、ソレノイドコイルが内蔵された本体部61と、ソレノイドコイルのオン、オフにより本体部61に対して出入りするプランジャ62とを含む。ロック装置60がロック状態にあるときには、プランジャ62が本体部61から突出している。左側のロック装置60では、プランジャ62の先端が第1扉22に左方から当接し、右側のロック装置60では、プランジャ62の先端が第2扉23に右方から当接する。
【0130】
制御部205には、ユニット駆動部203に代えて、モータ640および駆動回路を備えるユニット駆動部(図示せず)が接続され、制御部205により制御される。また、制御部205には、2つのロック装置60を駆動するためのロック装置駆動部(図示せず)が接続され、制御部205より制御される。
【0131】
図19(a)は、変更例2に係る、硬貨振分ユニット600により載置領域21の損貨が第1収納庫31に振り分けられる様子を示す図であり、図19(b)は、変更例2に係る、硬貨振分ユニット600により載置領域21の記念貨が第2収納庫32に振り分けられる様子を示す図である。
【0132】
載置領域21に載置された複数枚の損貨が第1収納庫31に収納される際、制御部205は、ユニット駆動部を制御して、モータ640を、前方から見て左回りに回転させる。また、制御部205は、ロック装置駆動部を制御して、左側のロック装置60のロック状態を解除する。図19(a)に示すように、モータ640が左回りに回転すると、ベルト630が左回りに周回する。また、左側のロック装置60ではプランジャ62が突出しない状態となり、第1扉22が、左方に開くことができる状態になる。載置領域21に載置された損貨C1は、ベルト630により左方向に移送される。損貨C1に押されて第1扉22が開き、第1開口24から収容室20の外へ損貨C1が放出されて落下し、第1収納庫31に収納される。
【0133】
載置領域21に載置された複数枚の記念貨が第2収納庫32に収納される際、制御部205は、ユニット駆動部を制御して、モータ640を、前方から見て右回りに回転させる。また、制御部205は、ロック装置駆動部を制御して、右側のロック装置60のロック状態を解除する。図19(b)に示すように、モータ640が右回りに回転すると、ベルト630が右回りに周回する。また、右側のロック装置60ではプランジャ62が突出しない状態となり、第2扉23が、右方に開くことができる状態になる。載置領域21に載置された記念貨C2は、ベルト630により右方向に移送される。記念貨C2に押されて第2扉23が開き、第2開口25から収容室20の外へ記念貨C2が放出されて落下し、第2収納庫32に収納される。
【0134】
なお、変更例2の特殊硬貨処理装置7に、変更例1と同様、第1保留ユニット500aと第2保留ユニット500bとが備えられてもよい。
【0135】
<変更例3>
図20は、変更例3に係る、特殊硬貨処理装置7の断面図である。
【0136】
特殊硬貨処理装置7に、上記実施形態の硬貨振分ユニット100に代えて、以下に説明する硬貨振分ユニット700を用いることができる。この場合、硬貨振分ユニット700が、特許請求の範囲に記載の「振分部」に対応する。
【0137】
図20に示すように、変更例3の硬貨振分ユニット700は、載置部材710と、モータ720とを含む。載置部材710は、方形の板状を有し、収容室20の底部に配置される。載置部材710の上面(表面)が、載置領域21を構成する。載置部材710には、後端部における左右方向の中央部に回転軸711が設けられる。モータ720は、仕切壁15の後方に配置され、その駆動軸721が仕切壁15の前方に突き出して回転軸711に連結される。モータ720は、載置部材710を駆動して、左側に傾く方向と右側に傾く方向とに揺動させる。
【0138】
制御部205には、ユニット駆動部203に代えて、モータ720および駆動回路を備えるユニット駆動部(図示せず)が接続され、制御部205により制御される。 図21(a)は、変更例3に係る、硬貨振分ユニット700により載置領域21の損貨が第1収納庫31に振り分けられる様子を示す図であり、図21(b)は、変更例3に係る、硬貨振分ユニット700により載置領域21の記念貨が第2収納庫32に振り分けられる様子を示す図である。
【0139】
載置領域21に載置された複数枚の損貨が第1収納庫31に収納される際、制御部205は、ユニット駆動部を制御して、モータ720を、前方から見て左回りに所定の回転角だけ回転させる。図21(a)に示すように、載置部材710が左側に所定の角度だけ傾く。載置領域21に載置された損貨C1は、傾斜面となった載置領域21を滑って左方向に移動し、載置部材710と収容室20の左側壁との間に生じた隙間から放出されて落下し、第1収納庫31に収納される。
【0140】
載置領域21に載置された複数枚の記念貨が第2収納庫32に収納される際、制御部205は、ユニット駆動部を制御して、モータ720を、前方から見て右回りに所定の回転角だけ回転させる。図21(b)に示すように、載置部材710が右側に所定の角度だけ傾く。載置領域21に載置された記念貨C2は、傾斜面となった載置領域21を滑って右方向に移動し、載置部材710と収容室20の右側壁との間に生じた隙間から放出されて落下し、第2収納庫32に収納される。
【0141】
なお、変更例3の特殊硬貨処理装置7に、変更例1と同様、第1保留ユニット500aと第2保留ユニット500bとが備えられてもよい。
【0142】
<変更例4>
上記実施形態の特殊硬貨処理装置7において、カメラ40は、上方から見て載置領域21のほぼ中心に位置しており、載置領域21の全範囲を撮像可能である。しかしながら、載置領域21における外周領域は、カメラ40から遠くなるため、カメラ40で撮像された画像は、この外周領域において、歪が生じる等、画質が劣化しやすい。よって、載置領域21全体に複数枚の硬貨が載置された場合、外周領域の硬貨の画像は不鮮明になりやすいので、記憶された硬貨の画像を確認する際に見にくくなったり、画像認識によって金種を自動判別しにくくなったりしやすい。
【0143】
そこで、変更例4では、特殊な硬貨の入金処理に、上記実施形態で説明された、載置領域21全体に硬貨を載置できる通常のモードとは異なるモードとして、撮影された硬貨の画像の画質と金種判別を重視するために載置領域21の中で硬貨が載置される領域を制限する画質・金種判別重視モードが設けられる。通常のモードは、載置領域21に載置される硬貨の枚数を重視するための枚数重視モードと言い換えることができる。枚数重視モードと画質・金種判別重視モードとの間の切り替えは、たとえば、操作端末8の操作表示部301に表示される所定の設定画面において行うことができる。
【0144】
図22は、変更例4に係る、特殊硬貨処理装置7の構成を示す斜視図である。
【0145】
図22に示すように、特殊硬貨処理装置7には、載置領域21に、画質・金種判別重視モードにおいて硬貨を載置できる領域を示す枠21aが描かれる。
【0146】
図23(a)は、変更例4に係る、枚数重視モードで表示されるセット要求画面420Aを示す図であり、図23(b)は、変更例4に係る、画質・金種判別重視モードで表示されるセット要求画面420Bを示す図であり、図23(c)は、変更例4に係る、画質・金種判別重視モードで表示される確認要求画面460を示す図である。
【0147】
枚数重視モードに設定されている場合、制御部305は、図7示す入金処理のステップS102において、枚数重視モードのセット要求画面420Aを操作表示部301に表示させる。図23(a)に示すように、セット要求画面420Aには、領域422に、現在のモードが枚数重視モードであることを示す画像422bと、載置領域21全体を使用して硬貨を載置することを促す画像422cが含まれる。セット要求画面420Aのその他の構成は、上記実施形態のセット要求画面420と同様である。
【0148】
一方、画質・金種別重視モードに設定されている場合、制御部305は、図7示す入金処理のステップS102において、画質・金種別重視モードのセット要求画面420Bを操作表示部301に表示させる。図23(b)に示すように、セット要求画面420Bには、領域422に、現在のモードが画質・金種別重視モードであることを示す画像422dと、載置領域21の枠21a内に硬貨を載置することを促す画像422eが含まれる。また、領域423に、載置領域21の枠21a内に硬貨を載置することを促すメッセージ423bが含まれる。セット要求画面420Bのその他の構成は、上記実施形態のセット要求画面420と同様である。
【0149】
また、画質・金種別重視モードに設定されている場合、制御部305は、図7示す入金処理のステップS107で撮像画像から各硬貨の画像を切り出すとき、枠21aから外れた領域に硬貨が存在するか否かを判定する。そして、制御部305は、枠21aから外れた領域に硬貨が存在すれば、確認要求画面460を操作表示部301に表示させる。
【0150】
図23(c)に示すように、領域461には、図23(a)、(b)の領域421と同様の画像が含まれる。領域462には、カメラ40による全体の撮像画像462aが表示され、その中で枠21aの外に載置されている硬貨の画像が円462bで囲まれる。領域463には、枠21aの外に存在している硬貨を取り除くことを促すメッセージ463aと、ボタン464が含まれる。
【0151】
操作者により、確認要求画面460のボタン464が操作されると、制御部305は、処理をステップS101に戻す。これにより、特殊硬貨処理装置7のシャッター12が開放されて、誤った領域に配置された硬貨を取り除くことが可能となる。
【0152】
変更例4によれば、枚数重視モードが選択された場合、操作者は、一度に多くの枚数の硬貨について、入金処理を行うことができる。また、画質・金種判別重視モードが選択された場合、画質の良い硬貨の画像を、その硬貨の金種に紐付けて記憶部306に記憶できるので、操作者は、記憶された硬貨の画像を確認しやすくなるほか、後に硬貨の画像を確認しやすく、また、画像認識によって金種を自動判別しやすくなる。さらに、金種が判別される硬貨の枚数が少なくなるので、判別に要する時間が短くなる。
【0153】
なお、枚数重視モードにおいて、制御部305は、ステップS107において、撮像画像から全ての硬貨の画像を切り出すが、切り出した硬貨の画像のうち、枠21a内に配置された硬貨の画像のみをステップS108での金種の自動判別の対象とするようにしてもよい。この場合、金種が判別されなかった硬貨について、図8(d)の入金処理画面440では、領域442の項目442bに“?”の記号が表示される。
【0154】
また、変更例4において、特殊硬貨処理装置7が、入金処理において、硬貨の画像から金種を自動判別しない構成とされてもよい。この場合、画質・金種判別重視モードは、画質重視モードとなる。この構成の場合も、画質重視モードが選択されれば、画質の良い硬貨の画像を、その硬貨の金種に紐付けて記憶部306に記憶できる。
【0155】
<その他の変更例>
上記実施形態では、載置領域21に、複数枚の硬貨が上下に重ならない状態で載置されることとした。しかしながら、載置領域21には複数枚の硬貨が上下に重なった状態で載置されることとしてもよい。
【0156】
また、上記実施形態では、カメラ40により硬貨の片面(表面)のみが撮像された。しかしながら、特殊硬貨処理装置7は、カメラ40を用いて、硬貨の両面(表面および裏面)が撮像される構成とされてもよく、さらに、硬貨の側面が撮像される構成とされてもよい。
【0157】
さらに、上記実施形態では、操作端末8は、タッチパネルを備える操作表示部301を備えた。しかしながら、操作端末8に、操作表示部301に替えて、ディスプレイ、キーボードおよびマウスが備えられてもよい。
【0158】
また、上記実施形態では、操作表示部301が特殊硬貨処理装置7と別体であり、操作端末8の制御部305と特殊硬貨処理装置7の制御部205により図7の処理が行われた。しかしながら、操作表示部301が特殊硬貨処理装置7に一体的に設けられ、図7の処理が、制御部205のみによって行われてもよい。この場合、特殊硬貨処理装置7の記憶部206に、硬貨画像データベースが保持される。この構成では、特殊硬貨処理装置7が、特許請求の範囲に記載の「硬貨処理装置」に対応する。
【0159】
また、上記実施形態の構成において、図7の処理が、特殊硬貨処理装置7の制御部205のみによって行われてもよい。この場合、操作端末8の操作表示部301は、単に、画面の表示および操作入力の受け付けのために用いられる。この場合も、特殊硬貨処理装置7の記憶部206に、硬貨画像データベースが保持される。
【0160】
また、特殊硬貨処理装置7が、タブレット端末やスマートフォンとの通信機能を有し、タブレット端末等の表示機能、操作機能を用いて、特殊硬貨処理装置7への特殊な硬貨の入金処理が行われてもよい。
【0161】
また、上記変更例1では、図15に示す入金処理のステップS126において、第1保留部51および第2保留部52に硬貨が保留できない旨が、図16(b)に示す報知画面450により報知された。しかしながら、このような保留不可能の報知の形態はこれに限られるものではない。たとえば、音声やランプの点灯等の他の報知手段によって、保留不可能の旨が操作者に報知されてもよい。
【0162】
さらに、上記実施形態において、特殊硬貨処理装置7に、特殊な硬貨として、外国硬貨を入金できてもよい。また、特殊硬貨に限らず、通常の硬貨を処理する硬貨処理装置に本発明が適用されてもよい。
【0163】
さらに、上記実施形態では、硬貨振分ユニット100が載置領域21に載置された硬貨を第1収納庫31または第2収納庫32へ振り分ける構成とした。しかしながら、載置領域21に載置された硬貨の種類に応じて第1収納庫31または第2収納庫32が載置領域21の下方に位置するよう移動し、下方に移動した収納庫に載置領域21の硬貨が落下するようにされることで、第1収納庫31または第2収納庫32へ硬貨が振り分けられるようにしてもよい。この場合、第1収納庫31と第2収納庫32を移動させる機構と、載置領域21から硬貨を落下させる機構とが設けられることとなる。
【0164】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0165】
7 特殊硬貨処理装置(硬貨処理装置)
8 操作端末(硬貨処理装置)
21 載置領域
31 第1収納庫(第1収納部)
32 第2収納庫(第2収納部)
40 カメラ(撮像部)
51 第1保留部
52 第2保留部
100 硬貨振分ユニット(振分部)
205 制御部
305 制御部
306 記憶部
424 ボタン(入力部)
425 ボタン(入力部)
600 硬貨振分ユニット(振分部)
700 硬貨振分ユニット(振分部)
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