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  • 特許-鳥害防止装置 図1
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  • 特許-鳥害防止装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】鳥害防止装置
(51)【国際特許分類】
   H02G 7/00 20060101AFI20230517BHJP
   A01M 29/06 20110101ALI20230517BHJP
【FI】
H02G7/00
A01M29/06
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019152078
(22)【出願日】2019-08-22
(65)【公開番号】P2021035133
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000115382
【氏名又は名称】ヨツギ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166589
【弁理士】
【氏名又は名称】植村 貴昭
(72)【発明者】
【氏名】西口 昌利
(72)【発明者】
【氏名】冨永 孝弘
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-075664(JP,A)
【文献】特開2005-333846(JP,A)
【文献】特表2012-516785(JP,A)
【文献】特開平01-064509(JP,A)
【文献】特開2019-041492(JP,A)
【文献】特開2011-125111(JP,A)
【文献】実開昭60-160025(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/00- 1/10
H02G 7/00- 7/22
A01M 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架空線上を移動可能な移動装置を備え、
前記移動装置は、
前記架空線に対して前記移動装置を移動させるように駆動する駆動部と、
太陽光によって発電する発電部と、
前記発電部により発電した電力を貯蔵し、前記駆動部に供給することを可能とする電力
貯蔵部とを備え、
前記架空線に固定され、前記移動装置の移動範囲を決定する制限具を備え、
前記移動装置は、
前記架空線上の鳥を検出可能な検出部と、
前記検出部の検出結果に基づき、前記移動装置が前記移動範囲において前記鳥に向かうよ
うに前記駆動部の駆動制御を行う制御部とを備える
ことを特徴とする鳥害防止装置。
【請求項2】
前記移動装置は、
所定の時間毎に、前記移動装置が前記移動範囲において移動するように前記駆動部の駆動
制御を行う制御部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の鳥害防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鳥害を防止する鳥害防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、架空線における鳥害を防止するために、架空線の上方向にラインを張る鳥害防止具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-39055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術では、ラインを張る作業に多大な時間を要してしまう上、施工不良によってラインが傾いてしまうこともあり得るといった課題があった。
【0005】
本発明は、上記技術的課題に鑑みてなされたものであり、簡単な取り付け作業で鳥害を防止することを可能とする鳥害防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の発明に係る鳥害防止装置は、
架空線上を移動可能な移動装置を備え、
前記移動装置は、
前記架空線に対して前記移動装置を移動させるように駆動する駆動部と、
太陽光によって発電する発電部と、
前記発電部により発電した電力を貯蔵し、前記駆動部に供給することを可能とする電力貯蔵部とを備える
ことを特徴とする。
【0007】
上記課題を解決するための第2の発明に係る鳥害防止装置は、
上記第1の発明に係る鳥害防止装置において、
前記架空線に固定され、前記移動装置の移動範囲を決定する制限具を備え、
前記移動装置は、
前記架空線上の鳥を検出可能な検出部と、
前記検出部の検出結果に基づき、前記移動装置が前記移動範囲において前記鳥に向かうように前記駆動部の駆動制御を行う制御部とを備える
ことを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するための第3の発明に係る鳥害防止装置は、
上記第1の発明に係る鳥害防止装置において、
前記移動装置は、
所定の時間毎に、前記移動装置が前記移動範囲において移動するように前記駆動部の駆動制御を行う制御部を備える
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る鳥害防止装置によれば、簡単な取り付け作業で鳥害を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】架空線に取り付けられた本発明の実施例に係る鳥害防止装置を表わす概略的斜視図である。
図2】架空線に取り付けられた本発明の実施例に係る鳥害防止装置を表わす概略的側面図である。
図3】本発明の実施例における移動装置の概略的斜視図である。
図4】本発明の実施例に係る鳥害防止装置の設置手順及び動作の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る鳥害防止装置について、実施例にて図面を用いて説明する。
【実施例
【0012】
図1に示すように、本実施例に係る鳥害防止装置は、架空線3上を移動可能な移動装置1、及び、架空線3に固定される制限具2を備えている。
【0013】
架空線3上における移動装置1の移動範囲は、制限具2によって決定される。例えば、作業者が、図2に示すように、隣り合う電柱4の間毎に移動範囲を設定する場合、各移動範囲の両外側にそれぞれ制限具2を固定する。
【0014】
移動装置1は、図3に示すように、駆動部11、発電部12、電力貯蔵部13、検出部14、及び、制御部15を備えている。
【0015】
駆動部11は、架空線3に接触した状態で回転駆動を行うことで、架空線3に対して移動装置1を移動させることを可能とする。
【0016】
詳述すると、駆動部11は、架空線3に対し鉛直方向に挟むようにして接触した状態でそれぞれ回転可能な、第1ローラ11A及び第2ローラ11Bを有しており、これらのいずれか1つ以上をモータ(図示略)によって駆動するものである。また、駆動部11(のモータ)は、制御部15からの制御信号に従って駆動される。
【0017】
ただし、第1ローラ11A及び第2ローラ11Bは、これらが回転することで架空線3に対して移動装置1を移動させることができればよく、第1ローラ11A及び第2ローラ11Bが架空線3を挟む方向は、鉛直方向でなくともよい。つまり、すなわち第1ローラ11A及び第2ロータ11Bの配設位置及び角度は、鉛直方向に対を成すものに限定されず、互いに架空線3の反対側に位置するようにして配設されるものとすればよい。
【0018】
なお、図1では、第1ローラ11Aが1つ、第2ローラ11Bが2つ配設された状態となっているが、例えば、第1ローラ11Aと第2ローラ11Bとがそれぞれ1つずつ、あるいは、第1ローラ11Aと第2ローラ11Bとがそれぞれ複数ずつ配設されるようにしてもよい。
【0019】
発電部12は、太陽光によって発電する太陽光発電システムであり、発電部12に備わる太陽電池12Aは、鉛直方向上方側を向くようにして、移動装置1の上面に配置される。
【0020】
電力貯蔵部13は、発電部12において発電した電力を貯蔵可能とする。電力貯蔵部13に貯蔵された電力は、駆動部11及び制御部15に供給することができる。
【0021】
検出部14は、制限具用検出部14A及び鳥用検出部14Bを備えている。
【0022】
制限具用検出部14Aは、移動装置1における架空線3の延伸方向を向く両側面(駆動部11に挟まれた架空線3よりも下方)において、架空線3の延伸方向を向くようにして配置され、制限具2を検出可能なセンサである。鳥用検出部14Bは、移動装置1における架空線3の延伸方向を向く両側面(駆動部11に挟まれた架空線3よりも上方)において、架空線3の延伸方向を向くようにして配置され、架空線3上の鳥を検出可能なセンサである。
【0023】
制限具用検出部14A及び鳥用検出部14Bに用いるセンサとしては、画像センサ、レーザセンサ、あるいは、光電センサ等が挙げられる。
【0024】
制御部15は、検出部14の検出結果に基づき、駆動部11の回転駆動を制御、すなわち、駆動部11の駆動状態(移動装置1の移動状態)を変更する。
【0025】
この点につき詳述すると、制御部15は、検出部14(鳥用検出部14B)によって架空線3に鳥が止まっていることを検出した場合には、この鳥に向かって移動装置1を移動させるように、駆動部11の回転駆動を制御する。また、鳥が迫ってくる移動装置1を回避しようとして架空線3から飛び立った後、移動装置1は、移動状態を継続して上記移動範囲の一端まで進み続けるようにしてもよく、あるいは、検出部14(鳥用検出部14B)が架空線3上の鳥を検出しなくなった時点で駆動部11の回転駆動を停止し、移動装置1の移動を停止してもよい。
【0026】
あるいは、制御部15は、検出部14(鳥用検出部14B)の検出結果に依らず、所定の時間毎に移動装置1を移動させるように、駆動部11の回転駆動を制御するようにしてもよい。さらに、当該制御における移動装置1の移動は、(1回の移動あたり)上記移動範囲において、片道のみでもよく、あるいは、往復するようにしてもよい。なお、制御部15は、当該制御を、上述の検出部14(鳥用検出部14B)における鳥の検出結果を用いた制御と組み合わせるようにしてもよい。
【0027】
また制御部15は、検出部14(制限具用検出部14A)の検出結果に基づき、制限具2と移動装置1との離間距離が所定長まで縮まった場合、その場で停止、あるいは、移動装置1をその制限具2から離間する方向に移動させるように、駆動部11の回転駆動を制御する。すなわち、架空線3上における制限具2の配設位置によって、上記移動範囲が決定される。
【0028】
さらに、制限具用検出部14Aについては、接触式センサ(例えば圧力センサ、スイッチ)であるものとし、制御部15は、制限具用検出部14Aと制限具2との接触を検出することで、移動装置1の移動(駆動部11の回転駆動)を制御するようにしてもよい。この場合、制限具2の配設位置がそのまま上記移動範囲となる。
【0029】
以上が本実施例に係る鳥害防止装置の構成である。以下、本実施例に係る鳥害防止装置の設置手順及び動作の一例として、2羽の鳥が架空線3上に止まっている場合を、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0030】
ステップS1においては、作業者が、鳥害を防止したい架空線3に対して制限具2を設置することで、移動装置1の移動範囲を決定し、当該移動範囲内に移動装置1を設置する。
【0031】
ステップS2においては、架空線3の上記移動範囲内、かつ、検出部14(鳥用検出部14B)の検出範囲内、において鳥が止まると、検出部14(鳥用検出部14B)において当該鳥を検出する。
【0032】
ステップS3においては、制御部15が駆動部11の駆動を制御し、最初に検知した鳥に向かって移動装置1を移動させる。なお、この「最初に検知した鳥」とは、架空線3上の鳥が複数存在する場合を想定しており、その中で最初に検知した鳥のことを指している。
【0033】
ステップS4においては、架空線3上の鳥が移動装置1を回避するために飛び立つと、検出部14(鳥用検出部14B)において鳥を検出しなくなるが、制御部15が駆動部11を制御することにより、移動装置1は、移動状態を継続して上記移動範囲の一端まで進み続け(既に説明したように、これは片道のみでもよく往復するようにしてもよい)、上記移動範囲の一端(又は他端)にて停止する。
【0034】
なお、上記ステップS1~S4における制御部15の制御では、所定の時間毎に移動装置1を移動させる制御は省略して説明している。
以上が、本実施例に係る鳥害防止装置の設置手順及び動作の一例の説明である。
【0035】
このようにして本実施例では、制御部15が、検出部14(鳥用検出部14B)の検出結果に基づき、駆動部11の駆動状態を制御することで、架空線3上に止まっている鳥を追い払うことができる。
【0036】
また本実施例では、制御部15が、検出部14(鳥用検出部14B)の検出結果に依らず、所定の時間毎に移動装置1を移動させるように、駆動部11の回転駆動を制御することで、移動装置1からの離間距離が長すぎて検出できない鳥がいたとしても、自動的に移動装置1が移動して、追い払うことができる。
【0037】
さらに本実施例では、制御部15が、検出部14(制限具用検出部14A)の検出結果に基づき、制限具2と移動装置1との離間距離が所定長まで縮まった場合、駆動部11の回転駆動を制御するものとすることで、制限具2の配設位置によって移動装置1の移動範囲を指定することができ、これにより、移動装置1が電柱等に衝突することを防ぐことができる。
【0038】
そして本実施例によれば、架空線3への取り付けに要する施工時間を、従来に比べ大幅に削減することができる。また、架空線3上に止まっている鳥の種類を問わずその効果を発揮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、鳥害を防止する鳥害防止装置として好適である。
【符号の説明】
【0040】
1 移動装置
2 制限具
3 架空線
11 駆動部
12 発電部
12A 太陽電池
13 電力貯蔵部
14 検出部
14A 制限具用検出部
14B 鳥用検出部
15 制御部
図1
図2
図3
図4