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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】プレート式混合器
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/08 20060101AFI20230517BHJP
   F28D 9/02 20060101ALI20230517BHJP
   F28F 3/04 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
F28F3/08 301Z
F28D9/02
F28F3/04 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019186844
(22)【出願日】2019-10-10
(62)【分割の表示】P 2018160542の分割
【原出願日】2018-08-29
(65)【公開番号】P2020034270
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-08-26
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000152480
【氏名又は名称】株式会社日阪製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】グェン ゴク タム
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-504780(JP,A)
【文献】特開2017-003173(JP,A)
【文献】特公昭55-022719(JP,B2)
【文献】特開平08-094276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/04
F28F 3/08
F28D 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向の両面に伝熱領域を含む伝熱プレートであって、それぞれの伝熱領域が第一方向に重ね合わされた複数の伝熱プレートを備え、
該複数の伝熱プレートのそれぞれを境にして、第一流体を第一方向と直交する第二方向に流通させる第一流路と、第二流体を第二方向に流通させる第二流路とが第一方向で交互に形成され、
前記第一流体又は前記第二流体は、二種以上の液体を合わせた流体、或いは一種類以上の液体と粉体とを合わせた流体であり、
伝熱領域は、第二方向に延びる自身の中心線に対して傾斜する方向に長手を有する凸部及び第二方向に延びる前記中心線に対して前記傾斜する方向に長手を有する凹部を含み且つ該凸部及び凹部が前記傾斜する方向に延びる仮想線に沿って交互に並ぶ凹凸群であって、前記傾斜する方向と直交する方向に並ぶ複数の凹凸群を有し、
前記複数の凹凸群における各凸部と各凹部との前記傾斜する方向の長さは同じであり、
該複数の凹凸群のそれぞれの凸部は、前記傾斜する方向と直交する方向で隣り合う凹凸群の凹部に対して第一方向及び第二方向のそれぞれと直交する第三方向に横並びに配置されるとともに、前記複数の凹凸群のそれぞれの凹部は、前記傾斜する方向と直交する方向で隣り合う凹凸群の凸部に対して第三方向に横並びに配置され、
伝熱領域を対向させて隣り合う伝熱プレートは、互いの凹凸群の凸部同士を交差衝合させていることを特徴とするプレート式混合器。
【請求項2】
伝熱プレートの伝熱領域にある複数の凹凸群の凸部のそれぞれは、第一方向で隣り合う相手方の伝熱プレートの伝熱領域にある複数の凹凸群のうちの少なくとも二つの凹凸群の凸部と交差衝合している請求項1に記載のプレート式混合器。
【請求項3】
伝熱プレートの伝熱領域にある複数の凹凸群の凸部のそれぞれは、第一方向で隣り合う相手方の伝熱プレートの伝熱領域にある複数の凹凸群のうちの一つの凹凸群の一つの凸部と交差衝合している請求項1に記載のプレート式混合器。
【請求項4】
凹凸群の配置の基準となる前記仮想線は、第二方向に延びる前記中心線に対して45°未満の角度で傾斜している請求項1乃至3の何れか1項に記載のプレート式混合器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレート式混合器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、第一流体と第二流体とを熱交換させるプレート式熱交換器が提供されている。プレート式熱交換器は、第一方向の両面に伝熱領域を含む伝熱プレートであって、それぞれの伝熱領域が第一方向に重ね合わされた複数の伝熱プレートを備える(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
複数の伝熱プレートのそれぞれの伝熱領域は、第一方向と直交する第二方向に延びる自身の中心線(以下、縦中心線という)に対して傾斜する方向に連続的に延びる複数の凸条及び凹条を含む。伝熱領域内において、凸条及び凹条は、自身の延びる方向と直交する方向に交互に配置される。なお、伝熱プレートは、一般的に、金属プレートをプレス成型して作製される。そのため、一方の面の伝熱領域の凸条と他方の面の伝熱領域の凹条とは、表裏の関係にあり、一方の面の伝熱領域の凹条と他方の面の伝熱領域の凸条とは、表裏の関係にある。
【0004】
この種のプレート式熱交換器において、複数の伝熱プレートは、互いの伝熱領域を第一方向に重ね合わせた状態にされ、隣り合う伝熱プレート(伝熱領域)の凸条同士が格子状に配置される。すなわち、複数の伝熱プレートは、隣り合う伝熱プレート(伝熱領域)の凸条同士が交差衝合した状態になるように配置される。
【0005】
これにより、この種のプレート式熱交換器では、第一流体を第二方向に流通させる第一流路と、第二流体を第二方向に流通させる第二流路とが、各伝熱プレートを境にして第一方向で交互に形成され、第一流路を流通する第一流体と第二流路を流通する第二流体とを伝熱プレートを介して熱交換させる。
【0006】
ところで、この種のプレート式熱交換器では、伝熱プレートの伝熱領域内にある凸条及び凹条は、縦中心線に対して傾斜する方向に連続的に延びているため、凸条及び凹条の延びる方向(縦中心線に対する傾斜角度)によって、第一流体及び第二流体の流通抵抗や、第一流体と第二流体との熱交換性能(伝熱性能)が異なる。
【0007】
具体的に説明すると、縦中心線に対する凸条及び凹条の傾斜角度が大きい場合(第一方向及び第二方向と直交する第三方向に延びる伝熱領域の中心線(以下、横中心線という)に対する凸条及び凹条の傾斜角度が小さい場合)、複数の凸条のそれぞれが流体(第一流体、第二流体)の流れ方向の成分の少ない方向に延びる(凸条が流体の流れ方向を横切るような配置になる)。そのため、第一流体及び第二流体のそれぞれは、複数の凸条を繰り返し乗り越えつつ流路(第一流路又は第二流路)内を第二方向に流通しようとする。その結果、第一流体及び第二流体のそれぞれの流れに乱れが生じ、高い伝熱性能が得られるが、第一流路及び第二流路のそれぞれでの圧力損失(流通抵抗)が非常に大きくなってしまう。
【0008】
これに対し、縦中心線に対する凸条及び凹条の傾斜角度が小さい場合(横中心線に対する凸条及び凹条の傾斜角度が大きい場合)、複数の凸条のそれぞれが流体(第一流体、第二流体)の流れる方向の成分の多い方向に延びる(凸条が流体の流れ方向に従うような配置になる)。そのため、第一流体及び第二流体のそれぞれは、凸条を大きく乗り越えることなく第二方向に流通しようとする。その結果、第一流路及び第二流路のそれぞれでの圧力損失(流通抵抗)が小さくなるが、第一流体及び第二流体のそれぞれの流れに乱れが生じ難くなり、高い伝熱性能が得られなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2014-85044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
発明は、第一流体又は第二流体を構成する二種以上の流体、或いは一種類以上の液体と粉体とを混合させるプレート式混合器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るプレート式混合器は、第一方向の両面に伝熱領域を含む伝熱プレートであって、それぞれの伝熱領域が第一方向に重ね合わされた複数の伝熱プレートを備え、該複数の伝熱プレートのそれぞれを境にして、第一流体を第一方向と直交する第二方向に流通させる第一流路と、第二流体を第二方向に流通させる第二流路とが第一方向で交互に形成され、伝熱領域は、第二方向に延びる自身の中心線に対して傾斜する方向に長手を有する凸部及び凹部を含み且つ該凸部及び凹部が前記傾斜する方向に延びる仮想線に沿って交互に並ぶ凹凸群であって、前記傾斜する方向と直交する方向に並ぶ複数の凹凸群を有し、該複数の凹凸群のそれぞれの凸部は、前記傾斜する方向と直交する方向で隣り合う凹凸群の凹部に対して横並びに配置されるとともに、前記複数の凹凸群のそれぞれの凹部は、前記傾斜する方向と直交する方向で隣り合う凹凸群の凸部に対して横並びに配置され、伝熱領域を対向させて隣り合う伝熱プレートは、互いの凹凸群の凸部同士を交差衝合させていることを特徴とする。
【0016】
本発明の一態様として、伝熱プレートの伝熱領域にある複数の凹凸群の凸部のそれぞれは、第一方向で隣り合う相手方の伝熱プレートの伝熱領域にある複数の凹凸群のうちの少なくとも二つの凹凸群の凸部と交差衝合してもよい。
【0024】
本発明の他態様として、伝熱プレートの伝熱領域にある複数の凹凸群の凸部のそれぞれは、第一方向で隣り合う相手方の伝熱プレートの伝熱領域にある複数の凹凸群のうちの一つの凹凸群の一つの凸部と交差衝合してもよい。
【0030】
これらの場合、凹凸群の配置の基準となる仮想線は、第二方向に延びる中心線に対して45°未満の角度で傾斜していることが好ましい
【発明の効果】
【0031】
本発明に係るプレート式混合器によれば、第一流体又は第二流体を構成する二種以上の流体、或いは一種類以上の液体と粉体とを混合させるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、本発明の第一実施形態に係るプレート式熱交換器の全体斜視図である。
図2図2は、第一実施形態に係るプレート式熱交換器の概略分解斜視図である。
図3図3は、第一実施形態に係るプレート式熱交換器における第一伝熱プレートの正面図である。
図4図4は、第一実施形態に係るプレート式熱交換器における第一伝熱プレートの背面図である。
図5図5は、第一実施形態に係るプレート式熱交換器における第二伝熱プレートの正面図である。
図6図6は、第一実施形態に係るプレート式熱交換器における第二伝熱プレートの背面図である。
図7図7は、第一実施形態に係るプレート式熱交換器における第一流路での第一流体の流れを説明するための図である。
図8図8は、第一実施形態に係るプレート式熱交換器における第二流路での第二流体の流れを説明するための図である。
図9図9は、第一実施形態に係るプレート式熱交換器における第一流路の部分的な領域での第一流体の流れを説明するための図である。
図10図10は、第一実施形態に係るプレート式熱交換器における第二流路の部分的な領域での第二流体の流れを説明するための図である。
図11図11は、本発明の第二実施形態に係るプレート式熱交換器の全体斜視図である。
図12図12は、第二実施形態に係るプレート式熱交換器の概略分解斜視図である。
図13図13は、第二実施形態に係るプレート式熱交換器における第一伝熱プレートの正面図である。
図14図14は、第二実施形態に係るプレート式熱交換器における第一伝熱プレートの背面図である。
図15図15は、第二実施形態に係るプレート式熱交換器における第二伝熱プレートの正面図である。
図16図16は、第二実施形態に係るプレート式熱交換器における第二伝熱プレートの背面図である。
図17図17は、第二実施形態に係るプレート式熱交換器における第一流路での第一流体の流れを説明するための図である。
図18図18は、第二実施形態に係るプレート式熱交換器における第二流路での第二流体の流れを説明するための図である。
図19図19は、第二実施形態に係るプレート式熱交換器における第一流路の部分的な領域での第一流体の流れを説明するための図である。
図20図20は、第二実施形態に係るプレート式熱交換器における第二流路の部分的な領域での第二流体の流れを説明するための図である。
図21図21は、本発明の他実施形態に係るプレート式熱交換器における第一流路の部分的な領域での第一流体の流れを説明するための図である。
図22図22は、同実施形態に係るプレート式熱交換器における第二流路の部分的な領域での第二流体の流れを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の第一実施形態に係るプレート式熱交換器について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0034】
プレート式熱交換器は、図1に示す如く、第一流体Aと第二流体Bとを熱交換させるもので、第一方向に重ね合わされた複数の伝熱プレート2,3を備える。
【0035】
なお、以下の説明において、第一方向をX軸方向とし、第一方向と直交する第二方向をZ軸方向とし、第一方向及び第二方向のそれぞれと直交する第三方向をY軸方向とする。これに伴い、各図には、各方向に対応した直交三軸(X軸方向と対応するX軸、Y軸方向と対応するY軸、及びZ軸方向と対応するZ軸)を補助的に図示している。
【0036】
本実施形態に係るプレート式熱交換器1において、図2に示す如く、複数の伝熱プレート2,3のそれぞれを境にして、第一流体AをZ軸方向に流通させる第一流路Raと、第二流体BをZ軸方向に流通させる第二流路Rbとが、X軸方向で交互に形成されている。
【0037】
複数の伝熱プレート2,3のそれぞれは、図3乃至図6に示す如く、X軸方向の両面S1,S2に伝熱領域200a,200b,300a,300bを含む。より具体的に説明すると、複数の伝熱プレート2,3のそれぞれは、X軸方向に第一面S1と該第一面S1の反対側の第二面S2を有する伝熱部20,30と、伝熱部20,30の外周全周から延出した環状部21,31とを備える。
【0038】
伝熱部20,30の第一面S1及び第二面S2は、第一流体Aと第二流体Bとの熱交換に寄与する伝熱領域200a,200b,300a,300bを含む。具体的に説明すると、伝熱部20,30は、X軸方向から見て四角形状に形成される。本実施形態において、伝熱部20,30は、X軸方向から見てZ軸方向に長手をなした長方形状に形成される。そして、伝熱部20,30は、Z軸方向に延びる中心線(以下、縦中心線という)CL1と、Y軸方向に延びる中心線(以下、横中心線という)CL2との交点を含む主伝熱部20a,30aと、Z軸方向の主伝熱部20a,30aの両側にある一対の端部20b,30bとを含む。
【0039】
主伝熱部20a,30aは、X軸方向から見て四角形状に形成される。本実施形態において、主伝熱部20a,30aは、Z軸方向に長手をなした長方形状に形成される。一対の端部20b,30bは、主伝熱部20a,30aと連続し、伝熱部20,30全体をX軸方向から見て四角形状(長方形状)に形成している。
【0040】
伝熱部20,30のうちの主伝熱部20a,30aの第一面S1及び第二面S2は、伝熱領域200a,200b,300a,300bとされる。第一面S1及び第二面S2の伝熱領域200a,200b,300a,300bのそれぞれは、縦中心線CL1に対して傾斜する方向(以下、傾斜方向という)に長手を有する凸部201a,202a,301a,302a及び凹部201b,202b,301b,302bを含み且つ該凸部201a,202a,301a,302a及び凹部201b,202b,301b,302bが傾斜方向に延びる仮想線VLに沿って交互に並ぶ凹凸群201,202,301,302であって、傾斜方向と直交する方向に並ぶ複数の凹凸群201,202,301,302を有する。
【0041】
複数の凹凸群201,202,301,302のそれぞれの凸部201a,202a,301a,302aは、傾斜方向と直交する方向で隣り合う凹凸群201,202,301,302の凹部201b,202b,301b,302bと横並びに配置される。これに対し、複数の凹凸群201,202,301,302のそれぞれの凹部201b,202b,301b,302bは、傾斜方向と直交する方向で隣り合う凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302aと横並びに配置される。
【0042】
これにより、複数列の凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302aは、伝熱領域200a,200b,300a,300b内で千鳥状に配置され、複数列の凹凸群201,202,301,302の凹部201b,202b,301b,302bは、伝熱領域200a,200b,300a,300b内で凸部201a,202a,301a,302aの間に配置され、該伝熱領域200a,200b,300a,300b内で千鳥状に配置されている。
【0043】
より正確に説明すると、本実施形態において、複数の凹凸群201,202,301,302のそれぞれの凸部201a,202a,301a,302aは、隣り合う凹凸群201,202,301,302の凹部201b,202b,301b,302bとY軸方向で横並びに配置される。これに対し、複数の凹凸群201,202,301,302のそれぞれの凹部201b,202b,301b,302bは、隣り合う凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302aとY軸方向で横並びに配置される。
【0044】
これにより、異なる凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302aと凹部201b,202b,301b,302bとがY軸方向に交互に配置された複数の群(行)が、Z軸方向に複数並んで形成されている。
【0045】
傾斜方向は、縦中心線CL1に対して45°未満の角度で傾斜する方向に設定される。これに伴い、縦中心線CL1に対する仮想線VLの傾斜角度θ1は、45°未満に設定される。すなわち、横中心線CL2に対する仮想線VLの傾斜角度θ2は、45°よりも大きく設定される。本実施形態において、縦中心線CL1に対する仮想線VLの傾斜角度θ1は、30°乃至40°に設定される。本実施形態において、横中心線CL2に対する仮想線VLの傾斜角度θ2は、60°乃至70°に設定される。
【0046】
これにより、複数の伝熱プレート2,3は、伝熱部20,30(伝熱領域200a,200b,300a,300b)を対向させた状態で重ね合わされることで、隣り合う伝熱プレート2,3の互いの凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302a同士を交差衝合させるようになっている。
【0047】
ここで、各凹凸群201,202,301,302に含まれる凸部201a,202a,301a,302aの長手方向の長さ及び凹部201b,202b,301b,302bの長手方向の長さ(仮想線VLの延びる方向に並ぶ凸部201a,202a,301a,302a同士の間隔)は、一つの凸部201a,202a,301a,302aが隣り合う(相手方の)伝熱プレート2,3の伝熱領域200a,200b,300a,300bに含まれる二つ(二列)以上の凹凸群201,202,301,302に跨る(二つ以上の凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302aに対して交差衝合する)ように設定される。
【0048】
凸部201a,202a,301a,302a(凸部201a,202a,301a,302aの頂上)と凹部201b,202b,301b,302b(凹部201b,202b,301b,302bの底)とは、X軸方向における位置を異にする。そのため、凸部201a,202a,301a,302aと凹部201b,202b,301b,302bとの間には、凸部201a,202a,301a,302aの頂上から凹部201b,202b,301b,302bの底(或いは、凹部201b,202b,301b,302bの底から凸部201a,202a,301a,302aの頂上)に繋がる中間領域(採番しない)が形成されている。
【0049】
この中間領域は、凹凸群201,202,301,302にある凸部201a,202a,301a,302aと凹部201b,202b,301b,302bとの間や、隣り合う凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302aと凹部201b,202b,301b,302bとの間に配置される。
【0050】
中間領域は、凸部201a,202a,301a,302aの頂上と凹部201b,202b,301b,302bの底との途中位置にZ軸方向及びY軸方向に広がる中段部位が含まれてもよいが、本実施形態においては、凸部201a,202a,301a,302aの頂上から凹部201b,202b,301b,302bの底に向けて(或いは、凹部201b,202b,301b,302bの底から凸部201a,202a,301a,302aの頂上に向けて)連続的に傾斜している。
【0051】
一対の端部20b,30bのそれぞれには、X軸方向に貫通した一対の貫通孔203,204,303,304が設けられている。一対の端部20b,30bのそれぞれにおいて、一対の貫通孔203,204,303,304は、Y軸方向に間隔をあけて配置されている。本実施形態において、一対の貫通孔203,204,303,304は、縦中心線CL1を挟んで配置されている。
【0052】
本実施形態において、複数の伝熱プレート2,3のそれぞれは、金属プレートをプレス成型したものである。これに伴い、各伝熱プレート2,3において、第一面S1の伝熱領域200a,300aの凸部201a,301aと第二面S2の伝熱領域200b,300bの凹部202b,302bとが表裏の関係にあり、第一面S1の伝熱領域200a,300aの凹部201b,301bと第二面S2の伝熱領域200b,300bの凸部202a,302aとが表裏の関係にある。すなわち、伝熱プレート2,3の第一面S1の伝熱領域200a,300aにある凹凸群201,301と、伝熱プレート2,3の第二面S2の伝熱領域200b,300bにある凹凸群202,302とは、対応する位置で凹凸関係が反対で形成されている。
【0053】
本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、二種類の伝熱プレート2,3を含む。この二種類の伝熱プレート2,3は、環状部21,31の伝熱部20,30からの延出方向及び凹凸群201,202,301,302の凹凸の位置を異にする以外は、同一構成である。
【0054】
具体的に説明すると、二種類の伝熱プレート2,3は、主伝熱部20a,30a及び一対の端部20b,30bを含む伝熱部20,30と、環状部21,31とを備え、主伝熱部20a,30aの第一面S1及び第二面S2の伝熱領域200a,200b,300a,300bが複数の凹凸群201,202,301,302を有する点で共通している。
【0055】
二種類の伝熱プレート2,3のうちの一方の伝熱プレート(以下、第一伝熱プレートという)2において、環状部21は、伝熱部20の第二面S2側に延出し、二種類の伝熱プレート2,3のうちの他方の伝熱プレート(以下、第二伝熱プレートという)3において、環状部31は、伝熱部30の第一面S1側に延出している。
【0056】
第一伝熱プレート2の伝熱部20(主伝熱部20a)の第一面S1及び第二面S2のそれぞれの伝熱領域200a,200bにおいて、複数の凹凸群201,202は、X軸方向から見てY軸方向における伝熱部20の一端側から他端側に向けて先下りに傾斜している。これに対し、第二伝熱プレート3の伝熱部30(主伝熱部30a)の第一面S1及び第二面S2のそれぞれの伝熱領域300a,300bにおいて、複数の凹凸群301,302は、X軸方向から見てY軸方向における伝熱部30の他端側から一端側に向けて先下りに傾斜している。
【0057】
本実施形態において、第二伝熱プレート3の複数の凹凸群301,302は、X軸方向における同一側から見て、第一伝熱プレート2の複数の凹凸群201,202を縦中心線CL1で反転させた上でY軸方向に所定ピッチ(本実施形態においては1ピッチ)位置ずれさせた配置になっている。
【0058】
そして、第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3は、図2に示す如く、X軸方向で交互に配置され、隣り合う第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3の環状部21,31同士が嵌合される(図1参照)。この状態で、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第一面S1は、第二伝熱プレート3の伝熱部30の第一面S1と対向し、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第二面S2は、第二伝熱プレート3の伝熱部30の第二面S2と対向する。
【0059】
この状態において、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第一面S1(伝熱領域200a)にある複数の凹凸群201のそれぞれの凸部201aに対し、第二伝熱プレート3の伝熱部30の第一面S1(伝熱領域300a)に含まれる二つ(二列)の凹凸群301が交差し、その凹凸群301の凸部301aが交差衝合する。すなわち、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第一面S1(伝熱領域200a)にある複数の凹凸群201のそれぞれの凸部201aに対し、第二伝熱プレート3の伝熱部30の第一面S1(伝熱領域300a)にある二つの凸部301aが交差衝合する(図7参照)。
【0060】
また、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第二面S2(伝熱領域200b)にある複数の凹凸群202のそれぞれの凸部202aに対し、第二伝熱プレート3の伝熱部30の第二面S2(伝熱領域300b)に含まれる二つ(二列)の凹凸群302が交差し、その凹凸群302の凸部302aが交差衝合する。すなわち、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第二面S2(伝熱領域200b)にある複数の凹凸群202のそれぞれの凸部202aに対し、第二伝熱プレート3の伝熱部30の第二面S2(伝熱領域300b)にある二つの凸部302aが交差衝合する。
【0061】
そして、X軸方向に重ね合わされた複数の伝熱プレート2,3(第一伝熱プレート2、第二伝熱プレート3)の環状部21,31間や、貫通孔203,204,303,304の周囲等が適宜液密にシールされる。本実施形態において、X軸方向に重ね合わされた複数の伝熱プレート2,3は、ロウ付けにより一体にされ、該ロウ付けによって環状部21,31間や貫通孔203,204,303,304の周囲等がシールされる。
【0062】
これにより、複数の伝熱プレート2,3の伝熱部20,30(第一伝熱プレート2の伝熱部20、第二伝熱プレート3の伝熱部30)を境にして、第一流体AをZ軸方向に流通させる第一流路Raと、第二流体BをZ軸方向に流通させる第二流路RbとがX軸方向で交互に形成される。すなわち、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第一面S1に含まれる伝熱領域200aの凹部201b及び第二伝熱プレート3の伝熱部30の第一面S1に含まれる伝熱領域300aの凹部301bによって形成される空間が、第一流路Raを構成するとともに、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第二面S2に含まれる伝熱領域200bの凹部202b及び第二伝熱プレート3の伝熱部30の第二面S2に含まれる伝熱領域300bの凹部302bによって形成される空間が、第二流路Rbを構成する。
【0063】
また、複数の伝熱プレート2,3(第一伝熱プレート2、第二伝熱プレート3)の対応する貫通孔203,204,303,304同士がX軸方向に連なり、第一流路Raのみに連通した一対の第一連通路Ra1,Ra2であって、第一流路Raに対して第一流体Aを流出入させる一対の第一連通路Ra1,Ra2が形成されるとともに、第二流路Rbのみに連通した一対の第二連通路Rb1,Rb2であって、第二流路Rbに対して第二流体Bを流出入させる一対の第二連通路Rb1,Rb2が形成される。
【0064】
本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、以上の通りであり、一方の第一連通路Ra1に第一流体Aを供給するとともに、一方の第二連通路Rb2に第二流体Bを供給すると、第一流体Aは、一方の第一連通路Ra1から複数の第一流路Raのそれぞれに流入し、第二流体Bは、一方の第二連通路Rb1から複数の第二流路Rbのそれぞれに流入する。
【0065】
そうすると、図7及び図8に示す如く、第一流体Aは、第一流路Ra内でZ軸方向に流通し、第二流体Bは、第二流路Rb内でZ軸方向に流通する。すなわち、第一流体Aは、第一流路Ra内において、Z軸方向における伝熱領域200a,300aの一端側から他端側に向けて流通し、第二流体Bは、第二流路Rb内において、Z軸方向における伝熱領域200b,300bの他端側から一端側に向けて流通する。
【0066】
より具体的に説明すると、図9に示す如く、第一流路Ra内で流通する第一流体Aは、伝熱領域200a,300aにある凹部201b,301bに沿って流れ、その凹部201b,301bの含まれる凹凸群201,301の凸部201a,301a(凹部201b,301bと隣り合う凸部201a,301a)に衝突する。その結果、第一流体Aは、衝突した凸部201a,202a,301a,302aの両側に分岐する。
【0067】
そうすると、分岐した第一流体Aは、衝突した凸部201a,301aを含む凹凸群201,301の両側にある凹凸群201,301の凹部201b,301bに沿って下流側に流れる。そして、凹部201b,301bに沿って流れる第一流体Aは、その凹部201b,301bの含まれる凹凸群201,301の凸部201a,301a(凹部201b,301bと隣り合う凸部201a,301a)に衝突する。その結果、凸部201a,301aに衝突した第一流体Aは,該凸部201a,301aの両側に分岐する。
【0068】
これにより、第一流体Aは、元の凹凸群201,301に含まれる凹部201b,301bに沿って流通する。すなわち、上流側の凸部201a,301aによって分岐した第一流体Aは、異なる列(隣の列)の凸部201a,301aとの衝突によって元の列(凹凸群201,301)に合流する。このように、第一流体Aは、分岐と合流とを繰り返しつつ下流側に流れる。これにより、第一流路Ra内において、第一流体Aの流れに乱れが生じる。
【0069】
特に、本実施形態において、凹凸群201,301(凹凸群201,301の沿う仮想線VL)は、縦中心線CL1に対して45°未満で傾斜しているため、第一流体Aが流れる方向の成分を多く含んだ角度で配置される。これにより、第一流体Aが下流側に向けて流通するに当たり、凹部201b,301bに沿って流通し易くなるため、流通抵抗の増加が抑えられる。
【0070】
本実施形態において、第二流路Rbを画定する主伝熱部20a,30a(第二面S2にある伝熱領域200b,300b)の複数の凹凸群202,302は、第一流路Raを画定する主伝熱部20a,30a(第一面S1にある伝熱領域200a,300a)の複数の凹凸群201,301に対して凹凸関係を逆にした態様であり、単一の凸部202a,302aに対して二つの凸部202a,302aが交差衝合しているため、図10に示す如く、第二流路Rb内で流通する第二流体Bについても、第一流路Ra内で流通する第一流体Aと同様に、分岐及び合流を繰り返しつつ、下流側に流通する。
【0071】
このように、第一流体Aが第一流路Ra内を流通し、第二流体Bが第二流路Rb内を流通することで、第一流体Aと第二流体Bとは、第一流路Raと第二流路Rbとを区画する主伝熱部20a,30a(伝熱領域200a,200b,300a,300b)を介して熱交換する。そして、図2に示す如く、熱交換を終えた第一流体Aは、第一流路Raから他方の第一連通路Ra2を経て外部に排出され、熱交換を終えた第二流体Bは、第二流路Rbから他方の第二連通路Rb2を経て外部に排出される。
【0072】
以上のように、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、X軸方向の両面に伝熱領域200a,200b,300a,300bを含む伝熱プレート2,3であって、それぞれの伝熱領域200a,200b,300a,300bがX軸方向に重ね合わされた複数の伝熱プレート2,3を備え、該複数の伝熱プレート2,3のそれぞれを境にして、第一流体AをX軸方向と直交するZ軸方向に流通させる第一流路Raと、第二流体BをZ軸方向に流通させる第二流路RbとがX軸方向で交互に形成され、伝熱領域200a,200b,300a,300bは、Z軸方向に延びる自身の縦中心線CL1に対して傾斜する方向に長手を有する凸部201a,202a,301a,302a及び凹部201b,202b,301b,302bを含み且つ該凸部201a,202a,301a,302a及び凹部201b,202b,301b,302bが前記傾斜する方向に延びる仮想線VLに沿って交互に並ぶ凹凸群201,202,301,302であって、前記傾斜する方向と直交する方向に並ぶ複数の凹凸群201,202,301,302を有し、該複数の凹凸群201,202,301,302のそれぞれの凸部201a,202a,301a,302aは、前記傾斜する方向と直交する方向で隣り合う凹凸群201,202,301,302の凹部201b,202b,301b,302bに対して横並びに配置されるとともに、前記複数の凹凸群201,202,301,302のそれぞれの凹部201b,202b,301b,302bは、前記傾斜する方向と直交する方向で隣り合う凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302aに対して横並びに配置され、伝熱領域200a,200b,300a,300bを対向させて隣り合う伝熱プレート2,3は、互いの凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302a同士を交差衝合させている。
【0073】
上記構成によれば、伝熱プレート2,3(伝熱領域200a,200b,300a,300b)にある複数の凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302a及び凹部201b,202b,301b,302bのそれぞれが千鳥状に配置される。すなわち、複数の凸部201a,202a,301a,302aが伝熱領域200a,200b,300a,300b内に千鳥状に配置され、複数の凹部201b,202b,301b,302bが伝熱領域200a,200b,300a,300b内に複数の凸部201a,202a,301a,302aを躱して千鳥状に配置される。
【0074】
これにより、第一流体Aは、第一流路RaでZ軸方向に流通するに当たり、第一流路Raを画定する伝熱プレート2,3(伝熱領域200a,300a)にある凹部201b,301bに沿って流れ、該凹部201b,301bの下流側で隣り合う凸部201a,301a(共通の凹凸群201,301の凸部201a,301a)と衝突する。
【0075】
そうすると、第一流体Aの流れが変わり、第一流体Aは、周辺の凹部201b,301b(例えば、両側の凹凸群201,301の凹部201b,301b、相手方の伝熱プレート2,3の凹凸群201,301の凹部201b,301b)に乗り移って該凹部201b,301bに沿って流れる。このように、第一流体Aは、凹部201b,301bに沿った流れと、凸部201a,301aに対する衝突を繰り返しつつ、下流側に流れる。
【0076】
また、第二流体Bは、第二流路RbでZ軸方向に流通するに当たり、第二流路Rbを画定する伝熱プレート2,3(伝熱領域200b,300b)にある凹部202b,302bに沿って流れ、該凹部202b,302bの下流側で隣り合う凸部202a,302a(共通の凹凸群202,302の凸部202a,302a)と衝突する。
【0077】
そうすると、第二流体Bの流れが変わり、第二流体Bは、周辺の凹部202b,302b(例えば、両側の凹凸群202,302の凹部202b,302b、相手方の伝熱プレート2,3の凹凸群202,302の凹部202b,302b)に乗り移って該凹部202b,302bに沿って流れる。このように、第二流体Bは、凹部202b,302bに沿った流れと、凸部202a,302aに対する衝突を繰り返しつつ、下流側に流れる。
【0078】
以上のように、第一流体A及び第二流体Bのそれぞれが流路(第一流路Ra又は第二流路Rb)を画定する伝熱領域200a,200b,300a,300bにある凹部201b,202b,301b,302bに沿って流れるため、上記構成のプレート式熱交換器1では、流通抵抗の増大が抑えられる。また、第一流体A及び第二流体Bのそれぞれが、凹部201b,202b,301b,302bを含む凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302aと衝突するため、上記構成のプレート式熱交換器1では、第一流体A及び第二流体Bのそれぞれの流れに乱れが生じることになり、高い伝熱性能が得られる。
【0079】
特に、本実施形態において、伝熱プレート2,3の伝熱領域200a,200b,300a,300bにある複数の凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302aのそれぞれは、X軸方向で隣り合う相手方の伝熱プレート2,3の伝熱領域200a,200b,300a,300bにある複数の凹凸群201,202,301,302のうちの少なくとも二つの凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302aと交差衝合している。
【0080】
このようにすれば、凸部201a,301aに衝突した第一流体Aが該凸部201a,301aを含む凹凸群201,301の両側にある凹凸群201,301の凹部201b,301bに誘導され、凸部202a,302aに衝突した第二流体Bが該凸部202a,302aを含む凹凸群202,302の両側にある凹凸群202,302の凹部202b,302bに誘導される。
【0081】
具体的に説明すると、共通の伝熱領域200a,200b,300a,300b内にある複数の凹凸群201,202,301,302は、縦中心線CL1に対する傾斜方向(仮想線VLの延びる方向)に対して直交方向に並ぶため、異なる凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302aは、凹凸群201,202,301,302の延びる方向(仮想線VLの延びる方向)に対して直交する方向の異なる位置に配置される。すなわち、異なる凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302aは、縦中心線CL1に対する傾斜方向(仮想線VLの延びる方向)と直交する方向に間隔をあけて配置される。
【0082】
従って、伝熱プレート2,3の伝熱領域200a,200b,300a,300bにある複数の凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302aのそれぞれに対し、該凸部201a,202a,301a,302aの長手方向に間隔をあけて相手方の伝熱プレート2,3の少なくとも二つの凸部201a,202a,301a,302a(異なる凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302a)が交差衝合する。
【0083】
すなわち、伝熱プレート2,3の伝熱領域にある複数の凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302aのそれぞれの端部又はその近傍に対し、相手方の伝熱プレート2,3の凸部201a,202a,301a,302a(異なる凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302a)が交差衝合する。
【0084】
これにより、凸部201a,301aに衝突した第一流体Aが、相手方の伝熱プレート2,3側に流れようとしても該相手方の伝熱プレート2,3の凸部201a,301aによって阻止され、結果的に衝突した凸部201a,301aを含む凹凸群201,301の両側にある凹凸群201,301の凹部201b,301bに誘導(分岐)され、該凹部201b,301bに沿って流れる。そして、凹部201b,301bに沿って流れた第一流体Aは、該凹部201b,301bと隣り合う凸部201a,301aと衝突する。
【0085】
そうすると、ここでも第一流体Aは、相手方の伝熱プレート2,3側に流れようとするが、該相手方の伝熱プレート2,3の凸部201a,301aによって阻止され、結果的に衝突した凸部201a,301aを含む凹凸群201,301の両側にある凹凸群201,301の凹部201b,301bに誘導(分岐)される。すなわち、元の凹凸群201,301に含まれる凹部201b,301bに誘導(合流)される。これにより、第一流体Aは、凸部201a,301aとの衝突で分岐と合流とを繰り返して、下流側に流れる。この流れ(凸部201a,301aとの衝突で分岐と合流とを繰り返す流れ)は、第二流体Bも同様である。
【0086】
このように、第一流路Raに第一流体Aが凹部201b,301bを流れる機会があり、第二流路Rbに第二流体Bが凹部202b,302bを流れる機会があるため、それぞれの流路で流通抵抗が高くなることが抑制される。また、第一流路Ra内で第一流体Aが分岐と合流を繰り返し、第二流路Rb内で第二流体Bが分岐と合流を繰り返すことで、第一流体A及び第二流体Bのそれぞれの流れに乱れが生じる結果、第一流体Aと第二流体Bとの熱交換性能(伝熱性能)が高くなる。
【0087】
さらに、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、第一流路Ra内で第一流体Aが分岐と合流を繰り返し、第二流路Rb内で第二流体Bが分岐と合流を繰り返すことで、第一流体A及び第二流体Bのそれぞれの流れに乱れが生じるため、この流れの乱れによって混合機能を発揮する。
【0088】
これにより、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、第一流体A又は第二流体Bの少なくとも何れか一方に含まれる成分が流通過程で分離することを防止できる。
【0089】
また、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、第一流路Ra又は第二流路Rbの何れか一方に対し、二種類以上の液体を合わせた流体、或いは一種類以上の液体と粉体とを合わせた流体を第一流体A又は第二流体Bとして流通させることで、第一流体A又は第二流体Bを構成する二種類以上の液体、或いは一種類以上の液体と粉体とを混合させる(ミキシングする)ことができる。
【0090】
従って、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、第一流体A又は第二流体Bの何れか一方に含まれる複数の成分を混合させる混合器(ミキサー)として機能することもできる。すなわち、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、第一流体A又は第二流体Bの何れか一方に含まれる複数の成分を混合させつつ、第一流体Aと第二流体Bとを熱交換させる(第一流体A又は第二流体Bの何れか一方を加熱又は冷却させる)ことで、第一流体A又は第二流体Bの何れか一方に含まれる成分同士を反応させる反応器として機能する。
【0091】
また、本実施形態において、凹凸群201,202,301,302の配置の基準となる仮想線VLは、Z軸方向に延びる縦中心線CL1に対して45°未満の角度で傾斜しているため、凹凸群201,202,301,302に含まれる凹部201b,202b,301b,302bの長手に延びる方向の成分に、第一流体A及び第二流体Bの流れ方向の成分の方が該流れ方向と直交する方向の成分よりも多く含まれる。
【0092】
これにより、第一流路Raで第一流体Aが流れ易く、第二流路Rbで第二流体Bが流れ易くなる。すなわち、第一流路Ra及び第二流路Rbのそれぞれにおいて、流通抵抗が高くなることが抑制される。
【0093】
このように、本実施形態に係るプレート式熱交換器1によれば、流体の流通抵抗の増加を抑えつつ、高い伝熱性能を得ることができるという優れた効果を奏し得る。
【0094】
次に、本発明の第二実施形態に係るプレート式熱交換器について、添付図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係るプレート式熱交換器は、第一実施形態と同一の構成又は相当する構成を有する。これに伴い、本実施形態に係るプレート式熱交換器の説明に当たり、第一実施形態と同一の構成又は相当する構成については、同一名称及び同一符号を付すこととする。
【0095】
プレート式熱交換器は、図11に示す如く、第一流体Aと第二流体Bとを熱交換させるもので、第一方向に重ね合わされた複数の伝熱プレート2,3を備える。
【0096】
なお、以下の説明においても、第一方向をX軸方向とし、第一方向と直交する第二方向をZ軸方向とし、第一方向及び第二方向のそれぞれと直交する第三方向をY軸方向とする。これに伴い、各図には、各方向に対応した直交三軸(X軸方向と対応するX軸、Y軸方向と対応するY軸、及びZ軸方向と対応するZ軸)を補助的に図示している。
【0097】
本実施形態に係るプレート式熱交換器1において、図12に示す如く、複数の伝熱プレート2,3のそれぞれを境にして、第一流体AをZ軸方向に流通させる第一流路Raと、第二流体BをZ軸方向に流通させる第二流路Rbとが、X軸方向で交互に形成されている。
【0098】
複数の伝熱プレート2,3のそれぞれは、図13乃至図16に示す如く、X軸方向の両面S1,S2に伝熱領域200a,200b,300a,300bを含む。より具体的に説明すると、複数の伝熱プレート2,3のそれぞれは、X軸方向に第一面S1と該第一面S1の反対側の第二面S2を有する伝熱部20,30と、伝熱部20,30の外周全周から延出した環状部21,31とを備える。
【0099】
伝熱部20,30の第一面S1及び第二面S2は、第一流体Aと第二流体Bとの熱交換に寄与する伝熱領域200a,200b,300a,300bを含む。
【0100】
具体的に説明すると、伝熱部20,30は、X軸方向から見て四角形状に形成される。本実施形態において、伝熱部20,30は、X軸方向から見てZ軸方向に長手をなした長方形状に形成される。そして、伝熱部20,30は、Z軸方向に延びる中心線(以下、縦中心線という)CL1と、Y軸方向に延びる中心線(以下、横中心線という)CL2との交点を含む主伝熱部20a,30aと、Z軸方向の主伝熱部20a,30aの両側にある一対の端部20b,30bとを含む。
【0101】
主伝熱部20a,30aは、X軸方向から見て四角形状に形成される。本実施形態において、主伝熱部20a,30aは、Z軸方向に長手をなした長方形状に形成される。一対の端部20b,30bは、主伝熱部20a,30aと連続し、伝熱部20,30全体をX軸方向から見て四角形状(長方形状)に形成している。
【0102】
伝熱部20,30のうちの主伝熱部20a,30aの第一面S1及び第二面S2は、伝熱領域200a,200b,300a,300bとされる。第一面S1及び第二面S2の伝熱領域200a,200b,300a,300bのそれぞれは、縦中心線CL1に対して傾斜する方向(以下、傾斜方向という)に長手を有する凸部201a,202a,301a,302a及び凹部201b,202b,301b,302bを含み且つ該凸部201a,202a,301a,302a及び凹部201b,202b,301b,302bが傾斜方向に延びる仮想線VLに沿って交互に並ぶ凹凸群201,202,301,302であって、傾斜方向と直交する方向に並ぶ複数の凹凸群201,202,301,302を有する。
【0103】
複数の凹凸群201,202,301,302のそれぞれの凸部201a,202a,301a,302aは、傾斜方向と直交する方向で隣り合う凹凸群201,202,301,302の凹部201b,202b,301b,302bと横並びに配置される。これに対し、複数の凹凸群201,202,301,302のそれぞれの凹部201b,202b,301b,302bは、傾斜方向と直交する方向で隣り合う凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302aと横並びに配置される。
【0104】
すなわち、複数列の凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302aは、伝熱領域200a,200b,300a,300b内で千鳥状に配置され、複数列の凹凸群201,202,301,302の凹部201b,202b,301b,302bは、伝熱領域200a,200b,300a,300b内で凸部201a,202a,301a,302aの間に配置され、該伝熱領域200a,200b,300a,300b内で千鳥状に配置されている。
【0105】
より正確に説明すると、本実施形態において、複数の凹凸群201,202,301,302のそれぞれの凸部201a,202a,301a,302aは、隣り合う凹凸群201,202,301,302の凹部201b,202b,301b,302bとY軸方向で横並びに配置される。これに対し、複数の凹凸群201,202,301,302のそれぞれの凹部201b,202b,301b,302bは、隣り合う凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302aとY軸方向で横並びに配置される。
【0106】
これにより、異なる凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302aと凹部201b,202b,301b,302bとがY軸方向に交互に配置された複数の群(行)が、Z軸方向に複数並んで形成されている。
【0107】
傾斜方向は、縦中心線CL1に対して45°未満の角度で傾斜する方向に設定される。これに伴い、縦中心線CL1に対する仮想線VLの傾斜角度θ1は、45°未満に設定される。すなわち、横中心線CL2に対する仮想線VLの傾斜角度θ2は、45°よりも大きく設定される。本実施形態において、縦中心線CL1に対する仮想線VLの傾斜角度θ1は、30°乃至40°に設定される。本実施形態において、横中心線CL2に対する仮想線VLの傾斜角度θ2は、60°乃至70°に設定される。
【0108】
これにより、複数の伝熱プレート2,3は、伝熱部20,30(伝熱領域200a,200b,300a,300b)を対向させた状態で重ね合わされることで、隣り合う伝熱プレート2,3の互いの凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302a同士を交差衝合させるようになっている。
【0109】
ここで、各凹凸群201,202,301,302に含まれる凸部201a,202a,301a,302aの長手方向の長さ及び凹部201b,202b,301b,302bの長手方向の長さ(仮想線VLの延びる方向に並ぶ凸部201a,202a,301a,302a同士の間隔)は、一つの凸部201a,202a,301a,302aが隣り合う(相手方の)伝熱プレート2,3の伝熱領域200a,200b,300a,300bに含まれる一つ(一列)の凹凸群201,202,301,302と交差(一つの凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302aに対して交差衝合)するように設定される。
【0110】
凸部201a,202a,301a,302a(凸部201a,202a,301a,302aの頂上)と凹部201b,202b,301b,302b(凹部201b,202b,301b,302bの底)とは、X軸方向における位置を異にする。そのため、凸部201a,202a,301a,302aと凹部201b,202b,301b,302bとの間には、凸部201a,202a,301a,302aの頂上から凹部201b,202b,301b,302bの底(或いは、凹部201b,202b,301b,302bの底から凸部201a,202a,301a,302aの頂上)に繋がる中間領域(採番しない)が形成されている。
【0111】
この中間領域は、凹凸群201,202,301,302にある凸部201a,202a,301a,302aと凹部201b,202b,301b,302bとの間や、隣り合う凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302aと凹部201b,202b,301b,302bとの間に配置される。
【0112】
中間領域は、凸部201a,202a,301a,302aの頂上と凹部201b,202b,301b,302bの底との途中位置にZ軸方向及びY軸方向に広がる中段部位が含まれてもよいが、本実施形態においては、凸部201a,202a,301a,302aの頂上から凹部201b,202b,301b,302bの底に向けて(或いは、凹部201b,202b,301b,302bの底から凸部201a,202a,301a,302aの頂上に向けて)連続的に傾斜している。
【0113】
一対の端部20b,30bのそれぞれには、X軸方向に貫通した一対の貫通孔203,204,303,304が設けられている。一対の端部20b,30bのそれぞれにおいて、一対の貫通孔203,204,303,304は、Y軸方向に間隔をあけて配置されている。本実施形態において、一対の貫通孔203,204,303,304は、縦中心線CL1を挟んで配置されている。
【0114】
本実施形態において、複数の伝熱プレート2,3のそれぞれは、金属プレートをプレス成型したものである。これに伴い、各伝熱プレート2,3において、第一面S1の伝熱領域200a,300aの凸部201a,301aと第二面S2の伝熱領域200b,300bの凹部202b,302bとが表裏の関係にあり、第一面S1の伝熱領域200a,300aの凹部201b,301bと第二面S2の伝熱領域200b,300bの凸部202a,302aとが表裏の関係にある。すなわち、伝熱プレート2,3の第一面S1の伝熱領域200a,300aにある凹凸群201,301と、伝熱プレート2,3の第二面S2の伝熱領域200b,300bにある凹凸群202,302とは、対応する位置で凹凸関係が反対で形成されている。
【0115】
本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、二種類の伝熱プレート2,3を含む。この二種類の伝熱プレート2,3は、環状部21,31の伝熱部20,30からの延出方向及び凹凸群201,202,301,302の凹凸の位置を異にする以外は、同一構成である。
【0116】
具体的に説明すると、二種類の伝熱プレート2,3は、主伝熱部20a,30a及び一対の端部20b,30bを含む伝熱部20,30と、環状部21,31とを備え、主伝熱部20a,30aの第一面S1及び第二面S2の伝熱領域200a,200b,300a,300bが複数の凹凸群201,202,301,302を有する点で共通している。
【0117】
二種類の伝熱プレート2,3のうちの一方の伝熱プレート(以下、第一伝熱プレートという)2において、環状部21は、伝熱部20の第二面S2側に延出し、二種類の伝熱プレート2,3のうちの他方の伝熱プレート(以下、第二伝熱プレートという)3において、環状部31は、伝熱部30の第一面S1側に延出している。
【0118】
第一伝熱プレート2の伝熱部20(主伝熱部20a)の第一面S1及び第二面S2のそれぞれの伝熱領域200a,200bにおいて、複数の凹凸群201,202は、X軸方向から見てY軸方向における伝熱部20の一端側から他端側に向けて先下りに傾斜している。これに対し、第二伝熱プレート3の伝熱部30(主伝熱部30a)の第一面S1及び第二面S2のそれぞれの伝熱領域300a,300bにおいて、複数の凹凸群301,302は、X軸方向から見てY軸方向における伝熱部30の他端側から一端側に向けて先下りに傾斜している。本実施形態において、第二伝熱プレート3の複数の凹凸群301,302は、X軸方向における同一側から見て、第一伝熱プレート2の複数の凹凸群201,202を縦中心線CL1で反転させた配置になっている。
【0119】
そして、第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3は、図12に示す如く、X軸方向で交互に配置され、隣り合う第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3の環状部21,31同士が嵌合される(図13参照)。この状態で、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第一面S1は、第二伝熱プレート3の伝熱部30の第一面S1と対向し、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第二面S2は、第二伝熱プレート3の伝熱部30の第二面S2と対向する。
【0120】
この状態において、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第一面S1(伝熱領域200a)にある複数の凹凸群201のそれぞれの凸部201aに対し、第二伝熱プレート3の伝熱部30の第一面S1(伝熱領域300a)に含まれる一列の凹凸群301が交差し、その凹凸群301の凸部301aが交差衝合する。すなわち、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第一面S1(伝熱領域200a)にある複数の凹凸群201のそれぞれの凸部201aに対し、第二伝熱プレート3の伝熱部30の第一面S1(伝熱領域300a)にある一つの凸部301aが交差衝合する。
【0121】
また、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第二面S2(伝熱領域200b)にある複数の凹凸群202のそれぞれの凸部202aに対し、第二伝熱プレート3の伝熱部30の第二面S2(伝熱領域300b)に含まれる一列の凹凸群302が交差し、その凹凸群302の凸部302aが交差衝合する。すなわち、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第二面S2(伝熱領域200b)にある複数の凹凸群202のそれぞれの凸部202aに対し、第二伝熱プレート3の伝熱部30の第二面S2(伝熱領域300b)にある一つの凸部302aが交差衝合する。
【0122】
そして、X軸方向に重ね合わされた複数の伝熱プレート2,3(第一伝熱プレート2、第二伝熱プレート3)の環状部21,31間や、貫通孔203,204,303,304の周囲等が適宜液密にシールされる。本実施形態において、X軸方向に重ね合わされた複数の伝熱プレート2,3は、ロウ付けにより一体にされ、該ロウ付けによって環状部21,31間や貫通孔203,204,303,304の周囲等がシールされる。
【0123】
これにより、複数の伝熱プレート2,3の伝熱部20,30(第一伝熱プレート2の伝熱部20、第二伝熱プレート3の伝熱部30)を境にして、第一流体AをZ軸方向に流通させる第一流路Raと、第二流体BをZ軸方向に流通させる第二流路RbとがX軸方向で交互に形成される。すなわち、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第一面S1に含まれる伝熱領域200aの凹部201b及び第二伝熱プレート3の伝熱部30の第一面S1に含まれる伝熱領域300aの凹部301bによって形成される空間が、第一流路Raを構成するとともに、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第二面S2に含まれる伝熱領域200bの凹部202b及び第二伝熱プレート3の伝熱部30の第二面S2に含まれる伝熱領域300bの凹部302bによって形成される空間が、第二流路Rbを構成する。
【0124】
また、複数の伝熱プレート2,3(第一伝熱プレート2、第二伝熱プレート3)の対応する貫通孔203,204,303,304同士がX軸方向に連なり、第一流路Raのみに連通した一対の第一連通路Ra1,Ra2であって、第一流路Raに対して第一流体Aを流出入させる一対の第一連通路Ra1,Ra2が形成されるとともに、第二流路Rbのみに連通した一対の第二連通路Rb1,Rb2であって、第二流路Rbに対して第二流体Bを流出入させる一対の第二連通路Rb1,Rb2が形成される。
【0125】
本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、以上の通りであり、一方の第一連通路Ra1に第一流体Aを供給するとともに、一方の第二連通路Rb1に第二流体Bを供給すると、第一流体Aは、一方の第一連通路Ra1から複数の第一流路Raのそれぞれに流入し、第二流体Bは、一方の第二連通路Rb1から複数の第二流路Rbのそれぞれに流入する。
【0126】
そうすると、図17及び図18に示す如く、第一流体Aは、第一流路Ra内でZ軸方向に流通し、第二流体Bは、第二流路Rb内でZ軸方向に流通する。すなわち、第一流体Aは、第一流路Ra内において、Z軸方向における伝熱領域200a,300aの一端側から他端側に向けて流通し、第二流体Bは、第二流路Rb内において、Z軸方向における伝熱領域200b,300bの他端側から一端側に向けて流通する。
【0127】
より具体的に説明すると、図19に示す如く、第一流路Ra内で流通する第一流体Aは、伝熱領域200a,300aにある凹部201b,301bに沿って流れ、その凹部201b,301bの含まれる凹凸群201,301の凸部201a,301a(凹部201b,301bと隣り合う凸部201a,301a)に衝突する。その結果、第一流体Aは、凸部201a,301aを乗り超えようとする。
【0128】
そうすると、第一流体Aは、流通していた凹部201b,301bのある伝熱プレート2,3に対する相手方の伝熱プレート2,3側に流れようとする。
【0129】
本実施形態において、隣り合う伝熱プレート2,3の単一の凸部201a,301a同士が交差衝合し、相手方の伝熱プレート2,3の凸部201a,301aに対して、該凸部201a,301aを含む凹凸群201,301と横並びにある別の凹凸群201,301の凹部201b,301bが横並びで存在する。
【0130】
そのため、凸部201a,301aに衝突して流通方向を変更した第一流体Aは、相手方の伝熱プレート2,3の凹部201b,301bに乗り移り、該凹部201b,301bに沿って流通する。そして、その凹部201b,301bの含まれる凹凸群201,301の凸部201a,301a(凹部201b,301bと隣り合う凸部201a,301a)に衝突する。これに伴い、第一流体Aは、凸部201a,301aを乗り超えようとし、流通していた凹部201b,301bのある伝熱プレート2,3に対する相手方の伝熱プレート2,3側に流れようとする。
【0131】
本実施形態において、隣り合う伝熱プレート2,3の単一の凸部201a,202a,301a,302a同士が中央で交差衝合し、相手方の伝熱プレート2,3の凸部201a,301aに対し、該凸部201a,301aを含む凹凸群201,301と横並びにある別の凹凸群201,301の凹部201b,301bが横並びで存在するため、凸部201a,301aに衝突して流通方向を変更した第一流体Aは、相手方の伝熱プレート2,3の凹部201b,301bに乗り移り、該凹部201b,301bに沿って流通する。
【0132】
このように、第一流体Aは、隣り合う伝熱プレート2,3の複数の凹部201b,301b(隣り合う伝熱プレート2,3の傾斜方向を異にした凹部201b,301b)を順々に乗り移りながら下流側に向けて移動する。すなわち、第一流体Aは、螺旋流を作りながら下流側に向けて流通する。これにより、第一流路Ra内において、第一流体Aの流れに乱れが生じる。
【0133】
特に、本実施形態において、凹凸群201,301(凹凸群201,301の沿う仮想線VL)が縦中心線CL1に対して45°未満で傾斜しているため、第一流体Aが流れる方向の成分を多く含んだ角度で配置される。これにより、第一流体Aが下流側に向けて流通するに当たり、凹部201b,301bに沿って流通し易くなるため、流通抵抗の増加が抑えられる。
【0134】
本実施形態において、第二流路Rbを画定する主伝熱部20a,30a(第二面S2にある伝熱領域200b,300b)の複数の凹凸群202,302は、第一流路Raを画定する主伝熱部20a,30a(第一面S1にある伝熱領域200a,300a)の複数の凹凸群201,301に対して凹凸関係を逆にした態様であり、単一の凸部201a,301aに対して単一の凸部201a,301aが交差衝合しているため、図20に示す如く、第二流路Rb内で流通する第二流体Bについても、第一流路Ra内で流通する第一流体Aと同様に、螺旋流を作りつつ、下流側に流通する。
【0135】
このように、第一流体Aが第一流路Ra内を流通し、第二流体Bが第二流路Rb内を流通することで、第一流体Aと第二流体Bとは、第一流路Raと第二流路Rbとを区画する主伝熱部20a,30a(伝熱領域200a,200b,300a,300b)を介して熱交換する。そして、図12に示す如く、熱交換を終えた第一流体Aは、第一流路Raから他方の第一連通路Ra2を経て外部に排出され、熱交換を終えた第二流体Bは、第二流路Rbから他方の第二連通路Rb2を経て外部に排出される。
【0136】
以上のように、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、X軸方向の両面に伝熱領域200a,200b,300a,300bを含む伝熱プレート2,3であって、それぞれの伝熱領域200a,200b,300a,300bがX軸方向に重ね合わされた複数の伝熱プレート2,3を備え、該複数の伝熱プレート2,3のそれぞれを境にして、第一流体AをX軸方向と直交するZ軸方向に流通させる第一流路Raと、第二流体BをZ軸方向に流通させる第二流路RbとがX軸方向で交互に形成され、伝熱領域200a,200b,300a,300bは、Z軸方向に延びる自身の縦中心線CL1に対して傾斜する方向に長手を有する凸部201a,202a,301a,302a及び凹部201b,202b,301b,302bを含み且つ該凸部201a,202a,301a,302a及び凹部201b,202b,301b,302bが前記傾斜する方向に延びる仮想線VLに沿って交互に並ぶ凹凸群201,202,301,302であって、前記傾斜する方向と直交する方向に並ぶ複数の凹凸群201,202,301,302を有し、該複数の凹凸群201,202,301,302のそれぞれの凸部201a,202a,301a,302aは、前記傾斜する方向と直交する方向で隣り合う凹凸群201,202,301,302の凹部201b,202b,301b,302bに対して横並びに配置されるとともに、前記複数の凹凸群201,202,301,302のそれぞれの凹部201b,202b,301b,302bは、前記傾斜する方向と直交する方向で隣り合う凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302aに対して横並びに配置され、伝熱領域200a,200b,300a,300bを対向させて隣り合う伝熱プレート2,3は、互いの凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302a同士を交差衝合させていることを特徴とする。
【0137】
上記構成によれば、伝熱プレート2,3(伝熱領域200a,200b,300a,300b)にある複数の凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302a及び凹部201b,202b,301b,302bのそれぞれが千鳥状に配置される。すなわち、複数の凸部201a,202a,301a,302aが伝熱領域200a,200b,300a,300b内に千鳥状に配置され、複数の凹部201b,202b,301b,302bが伝熱領域200a,200b,300a,300b内に複数の凸部201a,202a,301a,302aを躱して千鳥状に配置される。
【0138】
これにより、第一流体Aは、第一流路RaでZ軸方向に流通するに当たり、第一流路Raを画定する伝熱プレート2,3(伝熱領域200a,300a)にある凹部201b,301bに沿って流れ、該凹部201b,301bの下流側で隣り合う凸部201a,301a(共通の凹凸群201,301の凸部201a,301a)と衝突する。
【0139】
そうすると、第一流体Aの流れが変わり、第一流体Aは、周辺の凹部201b,301b(例えば、両側の凹凸群201,301の凹部201b,301b、相手方の伝熱プレート2,3の凹凸群201,301の凹部201b,301b)に乗り移って該凹部201b,301bに沿って流れる。このように、第一流体Aは、凹部201b,301bに沿った流れと、凸部201a,301aに対する衝突を繰り返しつつ、下流側に流れる。
【0140】
また、第二流体Bは、第二流路RbでZ軸方向に流通するに当たり、第二流路Rbを画定する伝熱プレート2,3(伝熱領域200b,300b)にある凹部202b,302bに沿って流れ、該凹部202b,302bの下流側で隣り合う凸部202a,302a(共通の凹凸群202,302の凸部202a,302a)と衝突する。
【0141】
そうすると、第二流体Bの流れが変わり、第二流体Bは、周辺の凹部202b,302b(例えば、両側の凹凸群202,302の凹部202b,302b、相手方の伝熱プレート2,3の凹凸群202,302の凹部202b,302b)に乗り移って該凹部202b,302bに沿って流れる。このように、第二流体Bは、凹部202b,302bに沿った流れと、凸部202a,302aに対する衝突を繰り返しつつ、下流側に流れる。
【0142】
以上のように、第一流体A及び第二流体Bのそれぞれが流路(第一流路Ra又は第二流路Rb)を画定する伝熱領域200a,200b,300a,300bにある凹部201b,202b,301b,302bに沿って流れるため、上記構成のプレート式熱交換器1では、流通抵抗の増大が抑えられる。
【0143】
また、第一流体A及び第二流体Bのそれぞれが、凹部201b,202b,301b,302bを含む凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302aと衝突するため、上記構成のプレート式熱交換器1では、第一流体A及び第二流体Bのそれぞれの流れに乱れが生じることになり、高い伝熱性能が得られる。
【0144】
特に、本実施形態において、伝熱プレート2,3の伝熱領域200a,200b,300a,300bにある複数の凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302aのそれぞれは、X軸方向で隣り合う相手方の伝熱プレート2,3の伝熱領域200a,200b,300a,300bにある複数の凹凸群201,202,301,302のうちの一つの凹凸群201,202,301,302の一つの凸部201a,202a,301a,302aと交差衝合している。
【0145】
上記構成によれば、凸部201a,301aに衝突した第一流体Aが該凸部201a,301aを含む凹凸群201,301のある伝熱プレート2,3に対して相手方の伝熱プレート2,3の凹凸群201,301の凹部201b,301bに誘導され、凸部202a,302aに衝突した第二流体Bが該凸部202a,302aを含む凹凸群202,302のある伝熱プレート2,3に対して相手方の伝熱プレート2,3の凹凸群202,302の凹部202b,302bに誘導される。
【0146】
具体的に説明すると、共通の伝熱領域200a,200b,300a,300b内にある複数の凹凸群201,202,301,302は、縦中心線CL1に対して傾斜する方向(仮想線VLの延びる方向)に対して直交方向に並ぶため、異なる凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302aは、凹凸群201,202,301,302の延びる方向(仮想線VLの延びる方向)に対して直交する方向の異なる位置に配置される。すなわち、異なる凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302aは、仮想線VLの延びる方向と直交する方向に間隔をあけて配置される。
【0147】
これに伴い、凹凸群201,202,301,302に含まれる凸部201a,202a,301a,302aのそれぞれには、相手方の伝熱プレート2,3の異なる凹凸群201,202,301,302の一つの凸部201a,202a,301a,302aが交差する。これに伴い、隣り合う伝熱プレート2,3の凸部201a,202a,301a,302a同士は交差衝合し、隣り合う伝熱プレート2,3の凹部201b,202b,301b,302b同士は間隔をあけた状態で交差する。
【0148】
これにより、凹部201b,301bに沿って流れる第一流体Aが凸部201a,301aに衝突することで流れを変えようとすると、相手方の伝熱プレート2,3の凹部201b,301b(第一流体Aが衝突する凸部201a,301aと横並びの凹部201b,301bと交差する凹部201b,301b)に入り込み、該相手方の伝熱プレート2,3の凹部201b,301bに沿って流れる。
【0149】
そして、相手方の伝熱プレート2,3の凹部201b,301bに沿って流れる第一流体Aが該相手方の伝熱プレート2,3の凸部201a,301aに衝突することで流れを変えようとすると、元の伝熱プレート2,3の凹部201b,301b(第一流体Aが衝突する凸部201a,301aと横並びの凹部201b,301bと交差する凹部201b,301b)に入り込み、該元の伝熱プレート2,3の凹部201b,301bに沿って流れる。このように、第一流体Aは、隣り合う伝熱プレート2,3の凹部201b,301bを順々に乗り移りつつ下流側に流れる。
【0150】
そして、本実施形態に係るプレート式熱交換器1において、凹凸群201,202,301,302(凸部201a,202a,301a,302a、凹部201b,202b,301b,302b)は、Z軸方向に延びる(第一流体Aの流れ方向に延びる)縦中心線CL1に対して傾斜した仮想線VLに沿っている(凹部201b,301bが傾斜方向に長手をなす)ため、上述の如く、第一流体Aが隣り合う伝熱プレート2,3の凹部201b,301bを順々に乗り移りつつ下流側に流れることで、第一流体Aの流れが螺旋流になる。この流れ(螺旋流)は、第二流体Bも同様である。
【0151】
このように、第一流路Raに第一流体Aが凹部201b,301bを流れる機会があり、第二流路Rbに第二流体Bが凹部202b,302bを流れる機会があるため、それぞれの流路で流通抵抗が高くなることが抑制される。また、第一流路Ra内で第一流体Aが螺旋流を作り、第二流路Rb内で第二流体Bが螺旋流を作ることで、第一流体A及び第二流体Bのそれぞれの流れにさらなる乱れが生じる結果、伝熱プレート2,3(伝熱領域200a,200b,300a,300b)を介しての第一流体Aと第二流体Bとの熱交換性能(伝熱性能)が高くなる。
【0152】
さらに、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、第一流路Ra内で第一流体Aが螺旋流を作り、第二流路Rb内で第二流体Bが螺旋流を作ることで、第一流体A及び第二流体Bのそれぞれの流れにさらなる乱れが生じるため、この流れの乱れによって混合機能を発揮する。
【0153】
これにより、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、第一流体A又は第二流体Bの少なくとも何れか一方に含まれる成分が流通過程で分離することを防止できる。
【0154】
また、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、第一流路Ra又は第二流路Rbの何れか一方に対し、二種類以上の液体を合わせた流体、或いは一種類以上の液体と粉体とを合わせた流体を第一流体A又は第二流体Bとして流通させることで、第一流体A又は第二流体Bを構成する二種類以上の液体、或いは一種類以上の液体と粉体とを混合させる(ミキシングする)ことができる。
【0155】
従って、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、第一流体A又は第二流体Bの何れか一方に含まれる複数の成分を混合させる混合器(ミキサー)として機能することもできる。すなわち、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、第一流体A又は第二流体Bの何れか一方に含まれる複数の成分を混合させつつ、第一流体Aと第二流体Bとを熱交換させる(第一流体A又は第二流体Bの何れか一方を加熱又は冷却させる)ことで、第一流体A又は第二流体Bの何れか一方に含まれる成分同士を反応させる反応器として機能する。
【0156】
また、本実施形態において、凹凸群201,202,301,302の配置の基準となる仮想線VLは、Z軸方向に延びる縦中心線CL1に対して45°未満の角度で傾斜しているため、凹凸群201,202,301,302に含まれる凹部201b,202b,301b,302bの長手に延びる方向の成分に、第一流体A及び第二流体Bの流れ方向の成分の方が該流れ方向と直交する方向の成分よりも多く含まれる。
【0157】
これにより、第一流路Raで第一流体Aが流れ易く、第二流路Rbで第二流体Bが流れ易くなる。すなわち、第一流路Ra及び第二流路Rbのそれぞれにおいて、流通抵抗が高くなることが抑制される。
【0158】
このように、本実施形態に係るプレート式熱交換器1によれば、流体の流通抵抗の増加を抑えつつ、高い伝熱性能を得ることができるという優れた効果を奏し得る。
【0159】
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更を加え得ることは勿論である。
【0160】
上記各実施形態において、第一方向に重ね合わされた複数の伝熱プレート2,3同士がロウ付けされ、伝熱プレート2,3間が液密にシールされたが、これに限定されない。例えば、隣り合う伝熱プレート2,3間に流路を画定する環状のガスケットが配置され、該ガスケットによって伝熱プレート2,3間がシールされてもよい。
【0161】
上記各実施形態において、プレート式熱交換器1が凹凸群201,202,301,302の凹凸の位置を異にする二種類の伝熱プレート2,3を含み、この二種類の伝熱プレート2,3(第一伝熱プレート2、第二伝熱プレート3)が交互に重ね合わされたが、これに限定されない。
【0162】
例えば、伝熱プレート2,3の伝熱領域200a,200b,300a,300bにある複数の凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302aのそれぞれが、第一方向で隣り合う相手方の伝熱プレート2,3の伝熱領域200a,200b,300a,300bにある複数の凹凸群201,202,301,302のうちの少なくとも二つの凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302aと交差衝合する、或いは、伝熱プレート2,3の伝熱領域200a,200b,300a,300bにある複数の凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302aのそれぞれが第一方向で隣り合う相手方の伝熱プレート2,3の伝熱領域200a,200b,300a,300bにある複数の凹凸群201,202,301,302のうちの一つの凹凸群201,202,301,302の一つの凸部201a,202a,301a,302aと交差衝合するように、伝熱プレート2,3の凹凸群201,202,301,302の凹凸の位置や、サイズ(長さ、幅)、間隔(ピッチ)等が設定されることを前提に、同一の伝熱プレート2,3(共通の伝熱プレート2,3)がX軸方向で重ね合わせられてもよい。
【0163】
なお、この場合において、上記各実施形態と同様に、複数の伝熱プレート2,3同士がロウ付けされる場合には、各伝熱プレート2,3が環状部21,31を含むため、X軸方向で一つおきに伝熱プレート2,3がX軸方向に延びる仮想線を中心にして180°回転させて配置される。これに対し、隣り合う伝熱プレート2,3間に流路を画定する環状のガスケットが配置され、該ガスケットによって伝熱プレート2,3間がシールされる場合には、伝熱プレート2,3が環状部21,31を含まないため、X軸方向で一つおきに伝熱プレート2,3がX軸方向に延びる仮想線を中心にして180°回転、或いは、縦中心線CL1又は横中心線CL2を基準(中心)にして180°反転させて配置される。
【0164】
上記各実施形態において、伝熱プレート2,3の凹凸群201,202,301,302に含まれる凸部201a,202a,301a,302a及び凹部201b,202b,301b,302bのそれぞれがZ軸方向に延びる縦中心線CL1に対して45°未満の傾斜角度で傾斜する仮想線VLに沿って延びたが、これに限定されない。
【0165】
例えば、伝熱プレート2,3の凹凸群201,202,301,302に含まれる凸部201a,202a,301a,302a及び凹部201b,202b,301b,302bのそれぞれがZ軸方向に延びる縦中心線CL1に対して45°以上の傾斜角度で傾斜する仮想線VLに沿って延びてもよい。但し、仮想線VLは、Z軸方向に延びる縦中心線CL1に対して傾斜していなければならないため、仮想線VLは、Z軸方向に延びる縦中心線CL1に対して90°未満で傾斜しなければならないことは言うまでもない。
【0166】
上記各実施形態において、複数の凹凸群201,202,301,302のそれぞれの凸部201a,202a,301a,302aが隣り合う凹凸群201,202,301,302の凹部201b,202b,301b,302bとY軸方向で横並びに配置され、複数の凹凸群201,202,301,302のそれぞれの凹部201b,202b,301b,302bが隣り合う凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302aとY軸方向で横並びに配置されたが、これに限定されない。
【0167】
例えば、複数の凹凸群201,202,301,302のそれぞれの凸部201a,202a,301a,302aが隣り合う凹凸群201,202,301,302の凹部201b,202b,301b,302bと傾斜方向に対して直交方向(Y軸方向及びZ軸方向の合成方向)で横並びに配置され、複数の凹凸群201,202,301,302のそれぞれの凹部201b,202b,301b,302bが隣り合う凹凸群201,202,301,302の凸部201a,202a,301a,302aと傾斜方向に対して直交方向(Y軸方向及びZ軸方向の合成方向)で横並びに配置されてもよい。
【0168】
上記第二実施形態において、凹凸群201,202,301,302の凹部201b,202b,301b,302b及び凸部201a,202a,301a,302aが、仮想線VLに沿って真っ直ぐに延びたが、これに限定されない。例えば、図21及び図22に示す如く、第一流体A及び第二流体Bの螺旋流の連続性を向上させるべく、凹部201b,202b,301b,302b及び凸部201a,202a,301a,302aのそれぞれがX軸方向から見て湾曲形状(S字状又は逆S字状)に形成されてもよい。
【0169】
上記各実施形態において、特に言及しなかったが、上述の如く、プレート式熱交換器1を混合器(ミキサー)として機能させる場合、一方の第一連通路Ra1又は一方の第二連通路Rb1に対して、混合の対象となる二種類以上の液体を合わせた流体、或いは一種類以上の液体と粉体とを合わせた流体を第一流体A又は第二流体Bとして供給してもよい。また、流体の供給元となる一方の第一連通路Ra1又は一方の第二連通路Rb1の何れか一方を二つ以上設け、これらのそれぞれに混合の対象となる液体等を供給し、第一流路Ra又は第二流路Rbで合流させ、第一流路Ra又は第二流路Rbの一方で第一流体A又は第二流体Bとして流通させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0170】
1…プレート式熱交換器、2…第一伝熱プレート(伝熱プレート)、3…第二伝熱プレート(伝熱プレート)、20,30…伝熱部、20a,30a…主伝熱部、20b,30b…端部、21,31…環状部、200a,200b,300a,300b…伝熱領域、201,202,301,302…凹凸群、201a,202a,301a,302a…凸部、201b,202b,301b,302b…凹部、203,204,303,304…貫通孔、A…第一流体、B…第二流体、CL1…縦中心線(中心線)、CL2…横中心線(中心線)、Ra…第一流路、Ra1,Ra2…第一連通路、Rb…第二流路、Rb1,Rb2…第二連通路、S1…第一面、S2…第二面、VL…仮想線、θ1…傾斜角度、θ2…傾斜角度
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