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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】流出防止装置
(51)【国際特許分類】
   E02B 3/06 20060101AFI20230517BHJP
【FI】
E02B3/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019192725
(22)【出願日】2019-10-23
(65)【公開番号】P2021067077
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000192615
【氏名又は名称】日鉄神鋼建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100109058
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 幸裕
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-28253(JP,A)
【文献】特開2019-108769(JP,A)
【文献】特開2005-90036(JP,A)
【文献】実開昭53-69134(JP,U)
【文献】特開2017-40138(JP,A)
【文献】特開2020-169536(JP,A)
【文献】特開2016-23427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
港湾の岸壁に設置されて前記岸壁上の載置物が海上へ流出するのを防止する流出防止装置であって、
上下方向に延びるように前記岸壁中に埋設された固定管と、
前記固定管の内側の空間に上下に移動可能に挿入された挿入管と、
前記岸壁上を移動可能に構成されて前記岸壁の海側の縁に沿って延びるように前記岸壁上の設置位置に設置されたときに前記載置物の流出を防止する防護柵であって、当該防護柵が前記設置位置に設置されたときに前記固定管の上方で上下方向に延びるように配置されて前記挿入管を受け入れ可能な受入管を有するものと、
前記防護柵に設けられ、前記挿入管が前記固定管から上方へ突出して前記受入管内に挿入される挿入高さ位置に配置されたときにその挿入管及び前記固定管を介して前記防護柵が前記岸壁に対して固定されるように前記挿入管を前記挿入高さ位置で保持するための保持装置と、
前記挿入管の上端部に設けられて前記挿入管を前記固定管の内側の空間から引き上げるために把持される取手部と、を備え、
前記受入管は、当該受入管の上端部の管壁を貫通する受入管孔を有し、
前記挿入管は、当該挿入管の上端部に設けられた挿入管孔を有し、
前記保持装置は、前記受入管孔及び前記挿入管孔に挿通可能に構成され、前記挿入管が前記挿入高さ位置に配置されたときに前記受入管孔及び前記挿入管孔に挿通されることにより前記挿入管を前記挿入高さ位置で保持する挿通部材と、前記受入管に取り付けられていて前記挿通部材が前記受入管孔及び前記挿入管孔に挿通される挿通位置と前記受入管孔及び前記挿入管孔から離脱する離脱位置との間で移動可能となるように前記挿通部材を支持する支持部と、を有する、流出防止装置。
【請求項2】
前記固定管の内側の空間は、前記挿入管が前記受入管よりも下側の位置で前記岸壁上における前記固定管の上方の位置での船舶への貨物の積み下ろし作業を許容する積み下ろし作業時高さ位置まで降下することを許容する深さを有する、請求項1に記載の流出防止装置。
【請求項3】
前記挿入管が当該挿入管よりも海側への自動車の進行を阻止可能な程度に前記固定管の内側の空間から前記岸壁上に突出する車止め高さ位置に配置されたときに当該挿入管をその車止め高さ位置で固定する固定状態と、その固定を解除する解除状態とに切り換え可能に構成された挿入管位置固定装置を、さらに備える、請求項1又は2に記載の流出防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、港湾の岸壁に設置されてその岸壁上の載置物が海上へ流出するのを防止する流出防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、台風の影響による高潮や河川の増水などによる各種被害を防止するための装置が知られている。例えば、下記特許文献1には、河川の増水時に堤防に設置される可搬式堤防が開示されている。
【0003】
この下記特許文献1に開示された可搬式堤防は、複数の支柱と、複数の壁面パネルとを備えている。当該可搬式堤防は、河川が増水して越水が予想されるときには、複数の支柱を基礎上に一定間隔で設けられた複数の穴部にそれぞれ差し込んで一列に並ぶように立設し、その立設した複数の支柱の隣り合うもの同士の間に壁面パネルを取り付けることによって基礎上に緊急用の止水壁を形成し、それにより河川からの越水を防止するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-23427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、高潮の発生時には、海上から押し寄せた波が港湾の岸壁を乗り越えることに伴う被害が発生する場合がある。具体的には、岸壁上に載置されたコンテナ等の載置物が波にさらわれて海上へ流出する被害が発生する場合がある。この被害を防止するために、例えば、前記特許文献1に開示された技術を利用して港湾の岸壁上に複数の穴部を一定間隔で設けておき、高潮の発生時にその複数の穴部に複数の支柱をそれぞれ差し込んで立設するとともに、その立設した複数の支柱の隣り合うもの同士の間に壁面パネルを取り付けることで岸壁上の載置物の海上への流出を防止するための流出防止壁を構成することも考えられる。
【0006】
しかしながら、この場合には、緊急性を要する高潮の発生時に港湾の岸壁上の載置物の流出防止を迅速に実施することは困難である。具体的には、前記流出防止壁を構成するためには、複数の支柱を保管場所から運搬して複数の穴部にそれぞれ差し込んで岸壁上に立設する作業が必要になり、この作業は煩雑であり、多くの時間を要する。
【0007】
本発明の目的は、高潮の発生時に港湾の岸壁上の載置物の流出防止を迅速に実施することが可能な流出防止装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明により提供される流出防止装置は、港湾の岸壁に設置されて前記岸壁上の載置物が海上へ流出するのを防止する流出防止装置である。この流出防止装置は、上下方向に延びるように前記岸壁中に埋設された固定管と、前記固定管の内側の空間に上下に移動可能に挿入された挿入管と、前記岸壁上を移動可能に構成されて前記岸壁の海側の縁に沿って延びるように前記岸壁上の設置位置に設置されたときに前記載置物の流出を防止する防護柵であって、当該防護柵が前記設置位置に設置されたときに前記固定管の上方で上下方向に延びるように配置されて前記挿入管を受け入れ可能な受入管を有するものと、前記防護柵に設けられ、前記挿入管が前記固定管から上方へ突出して前記受入管内に挿入される挿入高さ位置に配置されたときにその挿入管及び前記固定管を介して前記防護柵が前記岸壁に対して固定されるように前記挿入管を前記挿入高さ位置で保持するための保持装置と、前記挿入管の上端部に設けられて前記挿入管を前記固定管の内側の空間から引き上げるために把持される取手部と、を備える。前記受入管は、当該受入管の上端部の管壁を貫通する受入管孔を有する。前記挿入管は、当該挿入管の上端部に設けられた挿入管孔を有する。前記保持装置は、前記受入管孔及び前記挿入管孔に挿通可能に構成され、前記挿入管が前記挿入高さ位置に配置されたときに前記受入管孔及び前記挿入管孔に挿通されることにより前記挿入管を前記挿入高さ位置で保持する挿通部材と、前記受入管に取り付けられていて前記挿通部材が前記受入管孔及び前記挿入管孔に挿通される挿通位置と前記受入管孔及び前記挿入管孔から離脱する離脱位置との間で移動可能となるように前記挿通部材を支持する支持部と、を有する。
【0009】
この流出防止装置では、高潮の発生時に作業者が固定管の内側の空間から挿入管を引き上げて防護柵の受入管内に挿入し、その挿入管を手で挿入高さ位置に保持しながら、その挿入管の挿入管孔及び受入案の受入管孔に保持装置の挿通部材を挿通してその挿入管を挿入高さ位置で保持する作業を一人で行うことができ、その作業を行うだけで防護柵を岸壁上に固定して岸壁上の載置物の海上への流出を防止することができるため、高潮の発生時に港湾の岸壁上の載置物の流出防止を迅速に実施することができる。
【0010】
具体的に、この流出防止装置では、挿入管が岸壁中に埋設された固定管の内側の空間に上下に移動可能に挿入されており、高潮の発生時に、この挿入管を引き上げて前記挿入高さ位置に配置して受入管内に挿入し、その挿入管を前記挿入高さ位置で保持装置によって保持するだけで、岸壁上に防護柵を固定してその防護柵により岸壁上の載置物が海上へ流出するのを防止することができる。このため、この流出防止装置では、従来の流出防止壁を設置するために複数の支柱を保管場所から運搬してきて岸壁上に立設するような多くの時間を要する作業が不要である。そして、この流出防止装置では、取手部が挿入管の上端部に設けられているとともに、防護柵の受入管がその上端部の管壁を貫通する受入管孔を有し、挿入管がその上端部に設けられた挿入管孔を有するため、作業者が取手部を把持して挿入管を挿入高さ位置に引き上げて挿入管孔を受入管孔と位置合わせしたときに、取手部と挿入管孔と受入管孔とが互いに近い位置に配置される。このため、作業者が、一方の手で取手部を把持して挿入管を挿入高さ位置に保持しつつ、他方の手で保持装置の挿通部材を前記挿通位置へ移動させて挿入管孔及び受入管孔に挿通する作業を行うことができる。このため、高潮の発生時に作業者が挿入管を挿入高さ位置に配置するとともにその挿入高さ位置で挿入管を保持装置によって保持して防護柵を岸壁上で固定する作業を一人で迅速に行うことができる。以上のことから、この流出防止装置では、高潮の発生時に港湾上の載置物の流出防止を迅速に実施することができる。
【0011】
前記固定管の内側の空間は、前記挿入管が前記受入管よりも下側の位置で前記岸壁上における前記固定管の上方の位置での船舶への貨物の積み下ろし作業を許容する積み下ろし作業時高さ位置まで降下することを許容する深さを有することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、船舶への貨物の積み下ろし作業を行うときには、保持装置の挿通部材を前記離脱位置へ移動させて挿入管孔及び受入管孔から離脱させれば、挿入管を前記積み下ろし作業時高さ位置まで降下させて防護柵の受入管内から下方へ離脱させることができ、その結果、挿入管による防護柵の固定を解除して防護柵を岸壁上の設置位置から他所へ移動させることができる。しかも、その積み下ろし作業時高さ位置では挿入管によって積み下ろし作業が妨げられないようにすることができる。このため、船舶への貨物の積み下ろし作業を円滑に行うことができる。
【0013】
前記流出防止装置は、前記挿入管が当該挿入管よりも海側への自動車の進行を阻止可能な程度に前記固定管の内側の空間から前記岸壁上に突出する車止め高さ位置に配置されたときに当該挿入管をその車止め高さ位置で固定する固定状態と、その固定を解除する解除状態とに切り換え可能に構成された挿入管位置固定装置を、さらに備えることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、高潮が発生していないとともに船舶への貨物の積み下ろし作業も行われない平常時には、流出防止装置の固定管及び挿入管を利用して港湾の岸壁上から海への自動車の転落を防止することができる。具体的に、平常時には、挿入管を固定管の内側から岸壁上へ突出させて車止め高さ位置に配置し、挿入管位置固定装置を解除状態から固定状態へ切り換えることによって、当該挿入管を車止め高さ位置で固定でき、その車止め高さ位置に固定された挿入管により海側への自動車の進行を阻止して当該自動車の海への転落を防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、高潮の発生時に港湾の岸壁上の載置物の流出防止を迅速に実施することが可能な流出防止装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態による流出防止装置が高潮の発生時にとる流出防止形態で岸壁に設置された状態を海上から岸壁へ向かって見た図である。
図2図1に示した流出防止形態の流出防止装置が設置された岸壁を上方から見た図であって、その流出防止形態の流出防止装置が岸壁上の載置物の海上への流出を阻止している状態を示す図である。
図3】本発明の一実施形態による流出防止装置が船舶への貨物の積み下ろし時にとる積み下ろし作業時形態で岸壁に設置された状態を上方から見た図であって、岸壁上から船舶への貨物の積み下ろし作業を行っている状態を示す図である。
図4図3に示した積み下ろし作業時形態の流出防止装置が設置された岸壁の図3中のIV-IV線に沿った断面図である。
図5】本発明の一実施形態による流出防止装置が平常時にとる車止め形態で岸壁に設置された状態を海上から岸壁へ向かって見た図である。
図6図1に示した流出防止形態の流出防止装置を構成する1つの防護柵と、その防護柵を固定するための固定管及び挿入管と、挿入管位置固定装置とを示す図である。
図7】流出防止形態にある流出防止装置の防護柵の受入管付近の構造と挿入管及び固定管とを示す図である。
図8】挿入管の上端部近傍の縦断面図である。
図9】防護柵の受入管の上端部近傍を部分的に縦断面で示すとともに、その受入管に設けられた保持装置を示す図である。
図10】受入管の上端部近傍及び保持装置を図9中の矢印X方向から見た図である。
図11】流出防止装置の流出防止形態と積み下ろし作業時形態との間の移行途中の状態を示す図である。
図12】流出防止装置の流出防止形態と積み下ろし作業時形態との間の移行途中の状態を示す図である。
図13図5に示した車止め形態の流出防止装置を構成する1つの固定管、1つの挿入管及び1つの挿入管位置固定装置を示す図である。
図14図13に示した挿入管位置固定装置付近の構造を岸壁の上面の位置で挿入管を水平に破断した状態で上方から見た図である。
図15図13中の挿入管位置固定装置近傍を拡大して部分的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
本発明の一実施形態による流出防止装置1は、港湾の岸壁100に設置されて岸壁100上の載置物102(図2参照)が海上へ流出するのを防止するための装置である。また、当該流出防止装置1は、高潮の発生時に岸壁100上のコンテナ等の載置物102が海上へ流出するのを防止する流出防止形態(図1及び図2参照)と、船舶106への貨物107の積み下ろし時に岸壁100の海側の縁100aに隣接した岸壁100上の位置での船舶106への貨物107の積み下ろし作業を許容する積み下ろし作業時形態(図3及び図4参照)と、平常時に岸壁100上から自動車104が海へ転落するのを防止する車止め形態(図5参照)とを取り得るように構成されている。
【0019】
具体的に、本実施形態による流出防止装置1は、図1に示すように、複数の防護柵2と、複数の保持装置3と、複数の柵固定装置4と、複数の挿入管位置固定装置5と、を備える。
【0020】
前記複数の防護柵2は、ある長手方向にそれぞれ延び、高潮の発生時に、その長手方向について港湾の岸壁100の海側の縁100a(図2参照)に沿って延びるようにその海側の縁100aに隣接した岸壁100上の設置位置にそれぞれ設置されるとともに、その海側の縁100aに沿って並んで設置され、その状態で載置物102の海上への流出を防止するものである。各防護柵2は、岸壁100の上面に沿ってその上面上を移動可能に構成されている。各防護柵2は、図6に示すように、複数の受入管12と、連結部13と、複数のキャスタ14と、複数のスタンド支持部15と、複数のスタンド16と、複数の姿勢固定部材17と、を備える。
【0021】
複数の受入管12は、それぞれ、防護柵2が前記設置位置に設置されたときに対応する後述の固定管52の上方で上下方向に延びるように配置されて後述の挿入管54を受け入れ可能に構成されたものである。この複数の受入管12は、防護柵2の長手方向に間隔をあけて並んで配置されるとともに前記長手方向と直交する上下方向に延びていて、柵固定装置4の後述の挿入管54を受け入れ可能な受入空間19(図11参照)をそれぞれ囲んでいる。本実施形態では、各防護柵2は、4つの受入管12を有する。
【0022】
各受入管12は、中空の円筒状をなし、その上端及び下端は開口している。各受入管12は、当該受入管12の上端部の管壁を貫通する2つの受入管孔12a(図9参照)を有する。当該2つの受入管孔12aは、同じ高さ位置に設けられ、受入管12の径方向において互いに対向する位置に設けられている。具体的には、当該2つの受入管孔12aは、防護柵2の長手方向に沿う方向において互いに対向する位置に設けられている。
【0023】
連結部13(図6参照)は、前記複数の受入管12を相互に連結するものである。この連結部13が複数の受入管12を相互に連結することにより、高潮の発生時に岸壁100上の載置物102(図2参照)が引き波にさらわれて当該連結部13に衝突したときに、1本の挿入管54だけの耐力だけではなく、複数の受入管12の内側の受入空間19にそれぞれ挿入された複数の挿入管54の合計の耐力によって載置物102の衝突の荷重に対して対抗できるようになっている。
【0024】
この連結部13は、図6に示すように、複数のベースプレート20と、複数の支柱21と、複数のビーム22と、複数の接続部24と、を有する。
【0025】
複数のベースプレート20は、それぞれ、略水平に配置された平板であり、上方から見て長方形状をなしている。本実施形態では、連結部13は、4つのベースプレート20を有する。この4つのベースプレート20は、防護柵2の長手方向に間隔をあけて配置されている。各ベースプレート20は、その長手方向が防護柵2の長手方向と一致するように配置されている。また、各ベースプレート20は、当該ベースプレート20を上下方向(当該ベースプレート20の板厚方向)に貫通する図略の2つの貫通孔を有する。この2つの貫通孔のうちの一方の貫通孔はベースプレート20の中央に設けられ、他方の貫通孔は前記一方の貫通孔に対して防護柵2の長手方向に並んで設けられている。前記各受入管12は、対応するベースプレート20の中央に設けられた一方の貫通孔に挿入されてそのベースプレート20を貫通するとともにそのベースプレート20から上方へ延びる姿勢で当該ベースプレート20に固定されている。
【0026】
複数の支柱21は、それぞれ、対応するベースプレート20に設置されて複数のビーム22を支えている。本実施形態では、各防護柵2は、4つの支柱21を有する。各支柱21は、円筒状であり、対応するベースプレート20に設けられた前記他方の貫通孔に挿入されてそのベースプレート20を貫通するとともにそのベースプレート20から上方へ延びる姿勢で当該ベースプレート20に固定されている。このように各支柱21が対応するベースプレート20に固定されているとともに、前記のように各受入管12が対応するベースプレート20に固定されていることにより、各受入管12が対応するベースプレート20を介して対応する支柱21に連結されている。
【0027】
複数のビーム22は、それぞれ、防護柵2の長手方向に延びている。各ビーム22は、防護柵2の長手方向において隣り合う支柱21同士を繋いでいる。当該複数のビーム22は、防護柵2の長手方向に直交する水平方向である当該防護柵2の幅方向において前記複数の支柱21の一方側と他方側とに分かれて配置されるとともに上下に離間して二列で配置されている。このようにビーム22が上下に離間して配置されるとともに、前記複数の支柱21が防護柵2の長手方向に間隔をあけて配置されることにより、高潮の発生時に岸壁100上に押し寄せた海水は上下のビーム22間で且つ隣り合う支柱21間のスペース等を通って海側へ排水される一方、岸壁100上の載置物102の流出は阻止できるようになっている。
【0028】
複数の接続部24は、それぞれ、対応する受入管12とそれに隣接する支柱21とを繋ぐものである。本実施形態では、連結部13は、4つの接続部24を有する。各接続部24は、上下方向に延びる細長い部材である。各接続部24は、ベースプレート20の上側において、対応する受入管12とそれに隣接する支柱21との間に介在して、その受入管12と支柱21のそれぞれに対して溶接等によって接合され、それにより対応する受入管12とそれに隣接する支柱21とを繋いでいる。
【0029】
連結部13の以上の構成により、各防護柵2では、複数の受入管12が、複数のベースプレート20、複数の接続部24、複数の支柱21及び複数のビーム22を介して相互に連結されている。
【0030】
複数のキャスタ14は、それぞれ、岸壁100の上面に沿ってその岸壁100上を転動可能に構成されている。この複数のキャスタ14の転動により防護柵2が岸壁100の上面に沿ってその岸壁100上を移動可能となっている。本実施形態では、各ベースプレート20に対して6つのキャスタ14が取り付けられている。なお、キャスタ14が示されている各図では、各ベースプレート20に取り付けられた6つのキャスタ14のうち3つのキャスタ14のみが表されており、残り3つのキャスタ14は前記3つのキャスタ14の背後に隠れて表されていない。各キャスタ14は、ベースプレート20から下向きに突出しているとともに、垂直軸回りに旋回可能にベースプレート20に取り付けられている。
【0031】
複数のスタンド支持部15は、それぞれ、対応するスタンド16が後述の支持姿勢と退避姿勢とを取り得るようにそのスタンド16を支持するものである。本実施形態では、各防護柵2は、2つのスタンド支持部15を有する。この2つのスタンド支持部15は、上下二列のビーム22のうち下側の列のビーム22の長手方向の両端近傍の部分にそれぞれ固定されている。各スタンド支持部15には、支持姿勢固定孔15a(図12参照)と、退避姿勢固定孔15b(図7参照)とが設けられている。
【0032】
複数のスタンド16は、防護柵2を岸壁100上のある場所に置いておくときに、前記複数のキャスタ14の転動による岸壁100の上面に沿った防護柵2の移動を阻止するように当該防護柵2を岸壁100の上面に対して支えるためのものである。本実施形態では、各防護柵2は、2つのスタンド16を有する。各スタンド16は、防護柵2の長手方向と直交する水平方向に延びるスタンド軸71を有しており、このスタンド軸71を中心として回動可能となるように、対応するスタンド支持部15によって軸支されている。この構成により、各スタンド16は、防護柵2が有する複数のキャスタ14の転動による当該防護柵2の移動を阻止するように当該防護柵2を岸壁100の上面に対して支える支持姿勢(図7参照)と、前記複数のキャスタ14の転動による当該防護柵2の移動を許容するように岸壁100の上面から離れる退避姿勢(図12参照)とを取り得るようになっている。
【0033】
各スタンド16は、その支持姿勢では、岸壁100の上面上に立直するように立てられ、各キャスタ14が僅かに接地しないかもしくは各キャスタ14に防護柵2の自重がほぼ掛からないように防護柵2を支える。流出防止装置1が流出防止形態をとり、各防護柵2がその設置位置に設置されるときに、各スタンド16にこの支持姿勢をとらせる。
【0034】
また、各スタンド16は、その退避姿勢では、岸壁100の上面から離れて防護柵2の長手方向に沿うように略水平に延び、岸壁100の上面に沿った防護柵2の移動を妨げないようになっている。各防護柵2を移動させるときには、各スタンド16にこの退避姿勢をとらせる。
【0035】
各スタンド16には、姿勢固定部材17によって当該スタンド16の姿勢を固定するための図略の固定孔が設けられている。具体的に、姿勢固定部材17は、ボルトとナットからなり、各スタンド16が支持姿勢をとったときには当該固定孔とスタンド支持部15の支持姿勢固定孔15aとに姿勢固定部材17のボルトが挿入されてナットで固定されることにより各スタンド16が支持姿勢に固定される。また、各スタンド16が退避姿勢をとったときには当該固定孔とスタンド支持部15の退避姿勢固定孔15bとに姿勢固定部材17のボルトが挿入されてナットで固定されることにより各スタンド16が退避姿勢に固定される。
【0036】
複数の保持装置3は、それぞれ、各防護柵2が前記設置位置に設置されるとともに後述の複数の挿入管54が対応する固定管52から上方へ突出して対応する受入管12内に挿入される後述の挿入高さ位置に配置されたときにその挿入管54及び固定管52を介して防護柵2が岸壁100に対して固定されるようにその挿入管54を後述の挿入高さ位置で保持するためのものである。保持装置3は、防護柵2に設けられており、本実施形態では、各防護柵2に4つの保持装置3が設けられている。各保持装置3は、前記複数の受入管12の対応するものに取り付けられている。
【0037】
各保持装置3は、図7に示すように、支持部42と、挿通部材44とを有する。
【0038】
支持部42は、受入管12に取り付けられている。この支持部42は、挿通部材44が前記2つの受入管孔12a及び後述の2つの第1挿入管孔55aに挿通される挿通位置(図7参照)と前記2つの受入管孔12a及び後述の2つの第1挿入管孔55aから離脱する離脱位置(図11参照)との間で移動可能となるように挿通部材44を支持するものである。また、支持部42は、挿通部材44が前記離脱位置と当該支持部42から受入管12に沿って垂下する垂下位置(図12参照)との間で移動可能となるように挿通部材44を支持している。この支持部42は、受入管12の軸心及び前記2つの受入管孔12aの中心同士を結ぶ直線の両方に対して垂直な軸回りに回動可能で、且つ、前記2つの受入管孔12aの中心同士を結ぶ直線に沿ってスライド可能となるように当該挿通部材44を支持している。この支持部42は、図9及び図10に示すように、ブラケット48と、軸部49とを有する。
【0039】
ブラケット48は、対応する受入管12のうち隣接する支柱21と反対側を向く部分、より具体的にはその支柱21と反対側を向く部分のうち受入管孔12aの下方に隣接した部位の外面に取り付けられている。このブラケット48は、軸部49が受入管12の軸心及び前記2つの受入管孔12aの中心同士を結ぶ直線の両方に対して垂直に延びる姿勢をとるように当該軸部49を支持している。具体的には、ブラケット48は、受入管12の軸心及び前記2つの受入管孔12aの中心同士を結ぶ直線の両方に対して垂直に延びる方向において間隔をあけて配置された一対の板体48aを有し、その一対の板体48aに軸部49が前記姿勢で架設されている。そして、このブラケット48によって支持された軸部49が、挿通部材44が当該軸部49を中心として回動可能で且つ当該軸部49に対して直交する方向にスライド可能となるようにその挿通部材44を支持している。
【0040】
挿通部材44は、前記2つの受入管孔12a及び後述の2つの第1挿入管孔55aに挿通可能に構成されている。この挿通部材44は、後述の挿入管54が後述の挿入高さ位置に配置されたときに前記2つの受入管孔12a及び後述の2つの第1挿入管孔55aに挿通されることにより挿入管54を挿入高さ位置で保持するものである。この挿通部材44は、図9に示すように、挿通部材本体50と、挿通部材取手部51とを有する。
【0041】
挿通部材本体50は、受入管12の前記2つの受入管孔12a及び後述の挿入管54の2つの第1挿入管孔55aに挿入される部分である。この挿通部材本体50が受入管12の前記2つの受入管孔12a及び後述の挿入管54の2つの第1挿入管孔55aに挿通されることにより、挿入管54が挿入高さ位置で保持されるようになっている。挿通部材本体50は、前記支持部42の軸部49によって支持され、その軸部49を中心として回動可能であるとともに、その軸部49が延びる方向と直交する方向に当該軸部49に対してスライド可能となっている。具体的には、挿通部材本体50は、細長い板体であり、その板厚方向に貫通するとともに当該挿通部材本体50の長手方向に延びる長穴50aを有する。この長穴50aには、挿通部材本体50が当該長穴50aの長手方向に沿って軸部49に対してスライドすることを許容し且つ挿通部材本体50が軸部49を中心として回動することを許容するように、前記軸部49が挿通されている。
【0042】
挿通部材取手部51は、挿通部材44を前記2つの受入管孔12a及び後述の2つの第1挿入管孔55aに対して挿脱する際に作業者によって把持される部分である。挿通部材取手部51は、挿通部材本体50に対して垂直に配置される板体からなり、挿通部材本体50の長手方向の一端部、具体的には挿通部材本体50のうち前記受入管孔12a及び後述の第1挿入管孔55aに挿入される側の端部と反対側の端部に取り付けられている。
【0043】
複数の柵固定装置4(図1参照)は、流出防止装置1が流出防止形態をとるときに複数の防護柵2をそれぞれの設置位置で固定するためのものである。複数の柵固定装置4は、図6に示すように、固定管52と、降下止め部53と、挿入管54と、取手部57とをそれぞれ有する。
【0044】
複数の柵固定装置4の複数の固定管52は、岸壁100の海側の縁100aに沿った防護柵2の設置位置において、前記海側の縁100aに沿って間隔をあけて並び且つそれぞれ上下方向に延びる姿勢で岸壁100中に埋設されて固定されている。各固定管52は、中空円筒状をなし、その上端及び下端が開口しているとともに、その内側に挿入管54を挿入可能な空間を確保している。各固定管52の内側の空間は、対応する挿入管54が後述の積み下ろし作業時高さ位置まで降下することを許容する深さを有する。
【0045】
降下止め部53は、挿入管54が後述の積み下ろし作業時高さ位置まで降下したときにその挿入管54の下端に当接してそれ以上の挿入管54の降下を阻止するものである。降下止め部53は、棒状の部材からなり、各固定管52の径方向に延びるように各固定管52内に配置されて溶接により各固定管52に対して固定されている。
【0046】
複数の柵固定装置4の複数の挿入管54は、上下方向にそれぞれ延びていて前記複数の固定管52の対応するものの内側の空間にその軸方向に沿って上下に移動可能となるようにそれぞれ挿入されている。各挿入管54は、流出防止装置1が流出防止形態をとるときには、対応する固定管52から上方へ突出して対応する受入管12の内側の受入空間19に挿入される挿入高さ位置(図7参照)に配置されて対応する受入管12と対応する固定管52とを相互に連結し、それによってその受入管12を岸壁100に固定するとともにその受入管12を有する防護柵2を岸壁100に対して固定する。換言すれば、各挿入管54は、挿入高さ位置では、対応する受入管12の内側の受入空間19と対応する固定管52の内側の空間とに跨るように配置されて対応する受入管12と対応する固定管52とを相互に連結する。
【0047】
また、挿入管54は、流出防止装置1が積み下ろし作業時形態をとるときには、各防護柵2が固定管52の上方の設置位置に設置されていない状態で、岸壁100上における固定管52の上方の位置での船舶106への貨物107の積み下ろし作業を許容する積み下ろし作業時高さ位置(図4及び図12参照)に配置され、その船舶106への貨物107の積み下ろし作業を妨げないようになっている。具体的には、本実施形態では、各挿入管54が積み下ろし作業時高さ位置に配置されることによって、図3に示すように、搬送装置108により岸壁100上から船舶106上へコンテナ等の貨物107を搬送して積む作業及び船舶106上から岸壁100上へコンテナ等の貨物107を搬送して下ろす作業を行う場所が岸壁100上における複数の固定管52(図4参照)の上方の位置で確保され、その貨物107の積み下ろし作業を妨げないようになっている。本実施形態では、積み下ろし作業時高さ位置は、挿入管54の上端が岸壁100の上面よりもわずかに下方に位置するような高さ位置である。
【0048】
また、挿入管54は、積み下ろし作業時高さ位置に配置されることにより、受入管12の内側の受入空間19から下方へ離脱し、それによって岸壁100に対する防護柵2の固定を解除して防護柵2の設置位置からの移動を許容する。
【0049】
挿入管54は、挿入管本体55と、上蓋56とを有する。
【0050】
挿入管本体55は、挿入管54の大半を構成するものであり、円筒管からなる。この挿入管本体55は、2つの第1挿入管孔55a(図7及び図8参照)と、2つの第2挿入管孔55b(図13及び図15参照)と、を有する。前記2つの第1挿入管孔55aは、本発明における挿入管孔の一例である。
【0051】
前記2つの第1挿入管孔55aは、挿入管54が前記挿入高さ位置に配置されたときに受入管12の受入管孔12aの高さ位置と一致する高さ位置に設けられている。当該2つの第1挿入管孔55aは、挿入管54の上端部に設けられている。具体的には、当該2つの第1挿入管孔55aは、挿入管本体55の上端部に設けられてその挿入管本体55の管壁を貫通している。また、当該2つの第1挿入管孔55aは、挿入管本体55の径方向において互いに対向する位置に設けられている。
【0052】
前記2つの第2挿入管孔55bは、挿入管54が前記車止め高さ位置に配置されたときに挿入管位置固定装置5の後述する固定ピン87の高さ位置と一致する位置に設けられている。当該2つの第2挿入管孔55bは、上下方向における挿入管本体55の中間の所定の位置に設けられ、挿入管本体55の管壁を貫通している。また、当該2つの第2挿入管孔55bは、挿入管本体55の径方向において互いに対向する位置に設けられている。
【0053】
上蓋56は、挿入管本体55の上端の開口を覆うようにその挿入管本体55の上端に取り付けられている。
【0054】
取手部57は、挿入管54を固定管52の内側の空間から引き上げるために作業者によって把持される部分である。この取手部57は、挿入管54の上端部に設けられている。具体的には、取手部57は、挿入管54の上蓋56に対して上下に移動可能に取り付けられている。当該取手部57は、上蓋56から上方へ突出した状態で上蓋56から離脱しないように抜け止めされている。当該取手部57が把持されて挿入管54が引き上げられるときには当該取手部57は上蓋56から上方へ突出し、挿入管54が引き上げられないときには当該取手部57は上蓋56の上面と当該取手部57の上端が略一致する位置まで上蓋56に対して降下するようになっている。
【0055】
複数の挿入管位置固定装置5は、それぞれ、前記複数の挿入管54のそれぞれに対応して岸壁100に設置されている。当該複数の挿入管位置固定装置5は、複数の挿入管54のそれぞれを車止め高さ位置に固定するための装置である。各挿入管位置固定装置5は、対応する挿入管54が車止め高さ位置に配置されたときにその高さ位置でその挿入管54を固定する固定状態と、その固定を解除して上下方向への挿入管54の移動を許容する解除状態とに切り換え可能に構成されている。なお、図6図7図11及び図12では、挿入管位置固定装置5が簡略化して図示されており、図13図15に当該挿入管位置固定装置5の構成が具体的に示されている。
【0056】
岸壁100の海側の縁100a近傍には、複数の凹部101bが前記海側の縁100aに沿って並んで設けられており、複数の挿入管位置固定装置5は、それぞれ、この複数の凹部101b内に設置されている。各凹部101bは、前記各埋設穴101aの上端部の周りが岸壁100の上面から窪むように形成されたものであり、上から見て岸壁100の海側の縁100aに沿う方向に長い長方形状をなしている。
【0057】
各挿入管位置固定装置5は、図14に示すように、ベース82と、第1固定装置83と、第2固定装置84と、複数のアンカーボルト88と、複数のナット89とを有する。
【0058】
ベース82は、長方形状の平板からなり、凹部101bの底面上に設置されている。このベース82には、当該ベース82を貫通する中央孔82a及び4つのボルト挿通孔82bが設けられている。
【0059】
中央孔82aは、ベース82の中央に設けられている。上方から見て、この中央孔82aの内側に固定管52が収まるように配置されており、当該中央孔82aを通って挿入管54が上下に移動できるようになっている。
【0060】
4つのボルト挿通孔82bは、ベース82を上方から見て中央孔82aから四方に離れて設けられている。各ボルト挿通孔82bは、アンカーボルト88が挿通される孔であり、ベース82の長手方向に延びる長孔である。4つのアンカーボルト88が凹部101bの底面において4つのボルト挿通孔82bに対応する位置に打ち込まれ、そのそれぞれのアンカーボルト88が対応するボルト挿通孔82bに挿通されている。そして、その各アンカーボルト88にナット89が螺合されて締め付けられることにより、ベース82が凹部101bの底面に固定されている。
【0061】
第1固定装置83と第2固定装置84は、ベース82の長手方向において中央孔82aの両側に配設されている。第1固定装置83と第2固定装置84は、互いに対称となるように構成されており、挿入管54が前記車止め高さ位置に配置されたときに、その挿入管54をその両側からその車止め高さ位置で固定するものである。この第1固定装置83と第2固定装置84は、それぞれ、複数のピン支持板86と、固定ピン87と、位置保持部87aとを有する。
【0062】
複数のピン支持板86は、固定ピン87をその軸方向に移動可能に且つその軸回りに回動可能に支持するものである。第1固定装置83の複数のピン支持板86は、ベース82の長手方向において中央孔82aに対して一方側の位置でベース82に対して立直して固定され、ベース82の長手方向に間隔をあけて並んでいる。また、第2固定装置84の複数のピン支持板86は、ベース82の長手方向において中央孔82aに対して他方側の位置でベース82に対して立直して固定され、ベース82の長手方向に間隔をあけて並んでいる。第1固定装置83及び第2固定装置84の各々の複数のピン支持板86には、固定ピン87がその軸方向に移動可能で且つその軸回りに回動可能となるように挿通される図略の貫通孔がそれぞれ設けられている。本実施形態では、第1固定装置83と第2固定装置84は、それぞれ、3つのピン支持板86を有する。
【0063】
第1固定装置83の3つのピン支持板86のうちの中央に配置されたピン支持板86aには、位置保持部通過溝86bが設けられている。位置保持部通過溝86bは、後述のように固定ピン87に設けられた位置保持部87aが固定ピン87とともにその固定ピン87の軸方向へ移動するときに通り抜けるのを許容するものである。この位置保持部通過溝86bは、中央のピン支持板86aに設けられた貫通孔と繋がっていてその貫通孔から上方へ延びる切欠きからなる。当該位置保持部通過溝86bの上端は開口している。また、第2固定装置84の3つのピン支持板86についても同様であり、その3つのピン支持板86のうちの中央に配置されたピン支持板86aには、同様の位置保持部通過溝86bが設けられている。
【0064】
第1固定装置83の固定ピン87は、ベース82の長手方向に沿って延びる姿勢で、中央孔82aに対して前記一方側の位置にある複数のピン支持板86をそれらの貫通孔に挿通されることによって貫通し、その複数のピン支持板86によって当該固定ピン87の軸方向(ベース82の長手方向)に移動可能に支持されている。また、第2固定装置84の固定ピン87は、ベース82の長手方向に沿って延びる姿勢で、中央孔82aに対して前記他方側の位置にある複数のピン支持板86をそれらの貫通孔に挿通されることによって貫通し、その複数のピン支持板86によって当該固定ピン87の軸方向(ベース82の長手方向)に移動可能に支持されている。
【0065】
挿入管54が前記車止め高さ位置に配置されたときには、第1固定装置83の固定ピン87が2つの第2挿入管孔55bの一方に挿入されるとともに第2固定装置84の固定ピン87が2つの第2挿入管孔55bの他方に挿入され、それによって挿入管54を前記車止め高さ位置で固定する。第1固定装置83の固定ピン87及び第2固定装置84の固定ピン87がそれぞれ対応する第2挿入管孔55bに挿入されたときにとる位置を挿入位置(図13及び図15参照)と称する。
【0066】
また、挿入管54を上下方向に移動させるときには、第1固定装置83の固定ピン87と第2固定装置84の固定ピン87をそれぞれ対応する第2挿入管孔55bから抜き出し、それによって挿入管54の固定を解除する。第1固定装置83の固定ピン87及び第2固定装置84の固定ピン87がそれぞれ対応する第2挿入管孔55bから抜き出されたときにとる位置を抜脱位置(図14参照)と称する。
【0067】
位置保持部87aは、固定ピン87の軸方向の位置を前記挿入位置と前記抜脱位置とでそれぞれ保持するものである。具体的に、位置保持部87aは、固定ピン87が挿入管54を前記車止め高さ位置で固定するために第2挿入管孔55bに挿入されて前記挿入位置をとったときに、固定ピン87をその挿入位置で保持する。また、位置保持部87aは、固定ピン87が挿入管54の上下方向への移動を許容するために第2挿入管孔55bから抜き出されて前記抜脱位置をとったときに、固定ピン87をその抜脱位置で保持する。
【0068】
位置保持部87aは、固定ピン87の外周面の所定箇所から外側へ突出するようにその固定ピン87に設けられている。位置保持部87aは、固定ピン87が前記挿入位置をとるときには図15に示すように前記3つのピン支持板86のうちの中央のピン支持板86aとその中央のピン支持板86aよりも挿入管54に近い方のピン支持板86との間に配置され、それらのピン支持板86a,86により固定ピン87の軸方向における当該位置保持部87aの移動が規制される。その結果、位置保持部87aは、固定ピン87の軸方向の位置を前記挿入位置で保持する。また、位置保持部87aは、固定ピン87が前記抜脱位置をとるときには図14に示すように前記中央のピン支持板86aとその中央のピン支持板86aよりも挿入管54から遠い方のピン支持板86との間に配置され、それらのピン支持板86a,86により固定ピン87の軸方向における当該位置保持部87aの移動が規制される。その結果、位置保持部87aは、固定ピン87の軸方向の位置を前記抜脱位置で保持する。
【0069】
また、固定ピン87を前記挿入位置と前記抜脱位置との間で当該固定ピン87の軸方向に移動させるときには、位置保持部87aが上向きで位置保持部通過溝86bに対応する位置に配置されるように固定ピン87がその軸回りに回動されて位置保持部87aが位置保持部通過溝86bを通過できるようにされることで固定ピン87の軸方向の移動が許容されるようになっている。
【0070】
次に、本実施形態による流出防止装置1の操作方法について説明する。
【0071】
まず、高潮の発生時には、図2に示すように複数の防護柵2が岸壁100の海側の縁100aに沿って並ぶように当該複数の防護柵2を岸壁100上の設置位置に設置するとともに、その複数の防護柵2を図6に示すように各柵固定装置4の挿入管54及び固定管52を介して岸壁100に対して固定し、その複数の防護柵2及びそれらを固定する複数の挿入管54により岸壁100上の載置物102(図2参照)が波にさらわれて海上へ流出するのを防止する。
【0072】
このとき、具体的には、所定の場所で保管していた複数の防護柵2をそれぞれ岸壁100上を移動させて各々の設置位置に配置する。この移動の際、各防護柵2の各スタンド16を前記退避姿勢に固定した状態で、複数のキャスタ14の転動により、各防護柵2を岸壁100の上面に沿って設置位置まで移動させる。複数の防護柵2のそれぞれの設置位置は、当該複数の防護柵2が岸壁100の海側の縁100aに沿って並ぶとともに当該複数の防護柵2のそれぞれの受入管12が複数の固定管52の対応するものの真上に配置される位置である(図12参照)。
【0073】
複数の防護柵2のそれぞれを設置位置に配置した後、それらの防護柵2のそれぞれの2つのスタンド16を退避姿勢から下向きに回動させて支持姿勢にして固定する(図11参照)。複数の防護柵2は、このように支持姿勢で固定された各々の2つのスタンド16により各々の設置位置でキャスタ14の転動によって移動しないように保持される。
【0074】
そして、作業者が複数の挿入管54のそれぞれを複数の固定管52の対応するものの内側の空間から挿入高さ位置まで引き上げる。このとき、作業者は、挿入管54の上端部に設けられた取手部57を一方の手で把持して挿入管54を引き上げ、その挿入管54を対応する防護柵2の受入管12の内側の受入空間19内に挿入して挿入高さ位置(図7参照)に配置する。また、作業者は、もう一方の手で、保持装置3の挿通部材44を前記垂下位置(図12参照)から前記離脱位置(図11参照)を経て前記挿通位置(図7参照)へ移動させて当該挿通部材44を受入管12の2つの受入管孔12a及び挿入管54の2つの第1挿入管孔55aに挿通する。これにより、挿入管54が挿入高さ位置に保持され、その挿入管54及び固定管52を介して防護柵2が岸壁100に対して固定される。
【0075】
また、図3に示すように岸壁100に着けられた船舶106への貨物107の積み下ろし作業を行う時には、各挿入管54を降下させることにより、岸壁100に対する防護柵2の固定を解除して防護柵2を他所へ移動させるとともに、岸壁100上における複数の固定管52の上方の位置での船舶106への貨物107の積み下ろし作業を許容する積み下ろし作業時高さ位置に各挿入管54を配置する。
【0076】
このとき、作業者は、各保持装置3の挿通部材44を前記挿通位置から前記離脱位置に移動させて受入管孔12a及び第1挿入管孔55aから挿通部材44を離脱させる。作業者が前記離脱位置に移動させた挿通部材44から手を放すことにより、挿通部材44は自重により軸部49を中心として下向きに回動して前記垂下姿勢をとる。各挿入管54は、受入管孔12a及び第1挿入管孔55aから挿通部材44が離脱することによって前記挿入高さ位置での保持が解除されて自重により降下し、対応する受入管12内から下方に離脱するとともに対応する固定管52の内側に降下する。そして、各挿入管54の下端が降下止め部53に当接することによって、各挿入管54は積み下ろし作業時高さ位置で停止する。各挿入管54が対応する受入管12内から離脱することにより、各防護柵2の挿入管54及び固定管52による岸壁100に対する固定が解除される。その後、作業者は、各防護柵2のスタンド16を支持姿勢から上向きに回動させて退避姿勢にして固定し、各防護柵2を積み下ろし作業が行われる範囲外の場所へ移動させる。また、各挿入管54は、積み下ろし作業時高さ位置では、岸壁100の上面以下に配置され、その上方での船舶106への貨物107の積み下ろし作業を妨げない。
【0077】
また、高潮が発生しておらず、船舶106への貨物107の積み下ろし作業も行われない平常時には、図5に示すように、各挿入管54が岸壁100上においてその挿入管54よりも海側への自動車の進行を阻止可能な程度に岸壁100の上面から上方へ突出する車止め高さ位置にその各挿入管54を配置して固定し、その挿入管54により岸壁100上から海への自動車104の転落を防止する。このときも、各防護柵2は、岸壁100上の設置位置には設置されず、他所に配置される。
【0078】
各挿入管54を車止め高さ位置に配置するときには、作業者は、各挿入管54の上端の取手部57(図13参照)を把持してその挿入管54を対応する固定管52の内側の空間から引き上げる。この挿入管54を引き上げるときには、第1固定装置83及び第2固定装置84のそれぞれの固定ピン87を前記抜脱位置に配置するとともに、その各固定ピン87に設けられた位置保持部87aが横向きに倒れるように各固定ピン87をその軸回りに回転させて、前記中央のピン支持板86と挿入管54から遠い方のピン支持板86との間で固定ピン87の軸方向への位置保持部87aの移動が規制されるようにし、それによって固定ピン87を前記抜脱位置で保持しておく。
【0079】
そして、挿入管54を車止め高さ位置まで引き上げたら、挿入管位置固定装置5の第1固定装置83及び第2固定装置84のそれぞれの固定ピン87を挿入管54の対応する第2挿入管孔55bにそれぞれ挿入して前記挿入位置に配置し、それによって挿入管54を車止め高さ位置から降下しないように当該車止め高さ位置に固定する。
【0080】
固定ピン87を第2挿入管孔55bへ挿入するときには、位置保持部87aが上向きで位置保持部通過溝86bに対応する位置に配置されるように固定ピン87をその軸回りに回動させてから、固定ピン87をその軸方向に沿って挿入管54へ近づく向きに移動させる。これにより、位置保持部87aが位置保持部通過溝86bを通り抜けるとともに、固定ピン87が第2挿入管孔55bに挿入されて前記挿入位置に配置される。固定ピン87が前記挿入位置に配置された後、位置保持部87aが横向きに倒れるように固定ピン87をその軸回りに回動させ、前記中央のピン支持板86aと挿入管54に近い方のピン支持板86aと挿入管54に近い方のピン支持板86aとの間で固定ピン87の軸方向への位置保持部87aの移動が規制されるようにし、それによって固定ピン87を前記挿入位置で保持する。
【0081】
以上のようにして各挿入管54を車止め高さ位置に固定することにより、流出防止装置1が図5に示す車止め形態になり、並んで配置されて岸壁100上に突出する複数の挿入管54によって海への自動車104の転落が防止される。
【0082】
本実施形態では、高潮の発生時に作業者が固定管52の内側の空間から挿入管54を引き上げて防護柵2の受入管12の内側の受入空間19内に挿入し、その挿入管54を手で挿入高さ位置に保持しながら、その挿入管54の第1挿入管孔55a及び受入管12の受入管孔12aに保持装置3の挿通部材44を挿通してその挿入管54を挿入高さ位置で保持する作業を一人で行うことができ、その作業を行うだけで防護柵2を岸壁100上に固定して岸壁100上の載置物102の海上への流出を防止することができるため、高潮の発生時に港湾の岸壁100上の載置物102の流出防止を迅速に実施することができる。
【0083】
具体的に、本実施形態による流出防止装置1では、挿入管54が岸壁100中に埋設された固定管52の内側の空間に上下に移動可能に挿入されており、高潮の発生時に、この挿入管54を引き上げて前記挿入高さ位置に配置して受入管12の内側の受入空間19内に挿入し、その挿入管54を前記挿入高さ位置で保持装置3によって保持するだけで、岸壁100上に防護柵2を固定でき、その防護柵2により岸壁100上の載置物102が海上へ流出するのを防止することができる。このため、本実施形態による流出防止装置1では、従来の流出防止壁を設置するために複数の支柱を保管場所から運搬してきて岸壁上に立設するような多くの時間を要する作業が不要である。
【0084】
また、例えば、受入管孔12aが受入管12のうちベースプレート20近傍の高さ位置に設けられるとともに、第1挿入管孔55aが挿入管54のうち上下方向の中間の位置でその挿入管54が挿入高さ位置に配置されたときにベースプレート20近傍の高さ位置の受入管孔12aと一致する高さ位置に設けられ、受入管孔12a及び第1挿入管孔55aに挿脱可能な挿通部材44を有する保持装置がベースプレート20上に設置されているような構成であっても、挿入高さ位置に配置された挿入管54の第1挿入管孔55a及び受入管12の受入管孔12aに挿通部材44を挿通して挿入管54を挿入高さ位置に保持することは可能である。しかしながら、この構成では、挿入管54が挿入高さ位置に配置されたときに、その挿入管54の上端部に設けられている取手部57と第1挿入管孔55a及び受入管孔12aとの間の高低差が大きいため、作業者が取手部57を把持して挿入管54を挿入高さ位置に保持しつつ挿通部材44を受入管孔12a及び第1挿入管孔55aに挿通する作業を一人で行うことが困難であり、取手部57を把持して挿入管54を挿入高さ位置で保持する作業者とは別の作業者が挿通部材44を受入管孔12a及び第1挿入管孔55aに挿通する作業を行わざるを得ない。
【0085】
これに対し、本実施形態による流出防止装置1では、取手部57が挿入管54の上端部に設けられているとともに、防護柵2の受入管12がその上端部の管壁を貫通する2つの受入管孔12aを有し、挿入管54がその上端部に設けられた2つの第1挿入管孔55aを有するため、作業者が取手部57を把持して挿入管54を挿入高さ位置に引き上げて2つの第1挿入管孔55aを2つの受入管孔12aと位置合わせしたときに、取手部57と2つの受入管孔12aと2つの第1挿入管孔55aとが互いに近い位置に配置される。このため、作業者が、一方の手で取手部57を把持して挿入管54を挿入高さ位置に保持しつつ、他方の手で保持装置3の挿通部材44を前記挿通位置へ移動させて2つの第1挿入管孔55a及び2つの受入管孔12aに挿通する作業を行うことができる。このため、高潮の発生時に作業者が挿入管54を挿入高さ位置に配置するとともにその挿入高さ位置で挿入管54を保持装置3によって保持して防護柵2を岸壁100上で固定する作業を一人で迅速に行うことができる。このため、高潮の発生時に港湾の岸壁100上の載置物102の流出防止を迅速に実施することができる。
【0086】
また、本実施形態による流出防止装置1では、固定管52の内側の空間は、挿入管54が受入管12よりも下側の位置で岸壁100上における固定管52の上方の位置での船舶106への貨物107の積み下ろし作業を許容する積み下ろし作業時高さ位置まで降下することを許容する深さを有する。このため、船舶106への貨物107の積み下ろし作業を行うときには、保持装置3の挿通部材44を前記離脱位置へ移動させて2つの第1挿入管孔55a及び2つの受入管孔12aから離脱させれば、挿入管54を積み下ろし作業時高さ位置まで降下させて防護柵2の受入管12内から下方へ離脱させることができ、その結果、挿入管54による防護柵2の固定を解除して防護柵2を岸壁100上の設置位置から他所へ移動させることができる。しかも、その積み下ろし作業時高さ位置では挿入管54によって積み下ろし作業が妨げられないようにすることができる。このため、船舶106への貨物107の積み下ろし作業を円滑に行うことができる。
【0087】
また、本実施形態による流出防止装置1では、高潮が発生していないとともに船舶106への貨物107の積み下ろし作業も行われない平常時には、当該流出防止装置1の固定管52及び挿入管54を利用して港湾の岸壁100上から海への自動車104の転落を防止することができる。具体的に、平常時には、挿入管54を固定管52の内側から岸壁100上へ突出させて車止め高さ位置に配置し、挿入管位置固定装置5を解除状態から固定状態へ切り換えることによって、当該挿入管54を車止め高さ位置で固定でき、その車止め高さ位置に固定された挿入管54により海側への自動車104の進行を阻止して当該自動車104の海への転落を防止することができる。
【0088】
(変形例)
本発明による流出防止装置は、前記のようなものに必ずしも限定されない。例えば、本発明による流出防止装置に以下のような構成を採用可能である。
【0089】
例えば、本発明による流出防止装置は、車止め形態をとるものに必ずしも限定されない。すなわち、本発明による流出防止装置は、挿入管を車止め高さ位置に固定するための挿入管位置固定装置を必ずしも備えていなくてもよい。すなわち、前記実施形態の流出防止装置1の挿入管位置固定装置5を省略してもよい。この場合、挿入管54に設けられた第2挿入管孔55bを省略してもよい。
【0090】
また、固定管に挿入管の降下を積み下ろし作業時高さ位置で停止させるための降下止め部が必ずしも設けられていなくてもよい。すなわち、固定管の内側の空間において挿入管の下端が固定管の下端に揃う位置まで挿入管が固定管の内側の空間において降下可能となっていてもよい。この場合、固定管の内側の空間は、固定管が積み下ろし作業時高さ位置まで降下するのを許容する深さを有していればよい。
【0091】
また、防護柵の構成は、前記実施形態で示したものに必ずしも限定されない。例えば、防護柵の連結部が有するビームの数、ビームの上下方向の間隔、支柱及び受入管を挟んで両側に位置するビーム同士の連結構造、キャスタの数及び配置、その他の構成について、前記実施形態で示した構成以外の種々の構成を適用することが可能である。
【0092】
また、防護柵の連結部が有するビームの形状は、特には限定されない。すなわち、ビームは、前記実施形態で用いられた管状のものに必ずしも限定されず、例えば、ガードフェンスに用いられるようなコルゲーション形状(波板状)のものであってもよい。
【0093】
また、本発明における防護柵が岸壁上を移動可能であるとは、その移動形態や移動手段については問わず、何らかの方法で移動可能であればよいことを意味する。従って、防護柵は、そのキャスタの転動により岸壁上を移動可能であるものに必ずしも限定されない。例えば、本発明における防護柵は、キャスタを備えておらず、岸壁上の設置位置に載置されることによって設置されるようなものであってもよく、また、岸壁の上面上を引きずったり押したり、また、岸壁の上面から持ち上げて移動させたりすることが可能な防護柵であってもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 流出防止装置
2 防護柵
3 保持装置
5 挿入管位置固定装置
12 受入管
12a 受入管孔
42 支持部
44 挿通部材
52 固定管
54 挿入管
55a 第1挿入管孔(挿入管孔)
57 取手部
100 岸壁
100a 海側の縁
102 載置物
104 自動車
106 船舶
107 貨物
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