(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】ヘッドレスト
(51)【国際特許分類】
B60N 2/844 20180101AFI20230517BHJP
A47C 7/38 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
B60N2/844
A47C7/38
(21)【出願番号】P 2019207214
(22)【出願日】2019-11-15
【審査請求日】2022-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000133098
【氏名又は名称】株式会社タチエス
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】峯岸 元史
(72)【発明者】
【氏名】玉井 孝昌
【審査官】瀧本 絢奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-164029(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0007404(US,A1)
【文献】実開昭58-028323(JP,U)
【文献】実開昭63-163049(JP,U)
【文献】特開2014-022213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-2/90
A47C 7/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバックに保持されるステーと、
前記ステーに設けられた傾動軸まわりに傾動可能に支持されたヘッドレスト本体と、
前記ヘッドレスト本体を傾動不能にロックするロック部と、
前記ロック部のロックを解除するロック解除部と、
を備え、
前記ロック解除部は、
操作ボタンと、
筒壁部及び底壁部を有し、前記筒壁部の軸方向に移動可能に前記操作ボタンを収容しているベゼルと、
前記底壁部に向けて押し込まれた前記操作ボタンを押込方向とは反対方向に付勢する付勢部材と、
を含み、
前記操作ボタンは、前記底壁部を貫通して前記ロック部に連係する連係部を有し、
前記ベゼルは、
前記付勢部材によって付勢される前記操作ボタンを前記筒壁部内に保持する係止部と、
前記連係部が挿通される連係孔と、
を前記底壁部に有し、
前記係止部及び前記連係孔は、前記底壁部の中心から外れて配置されているヘッドレスト。
【請求項2】
請求項1記載のヘッドレストであって、
前記係止部と前記連係孔とは、前記底壁部の中心を挟んで互いに反対側に配置されているヘッドレスト。
【請求項3】
請求項1又は2記載のヘッドレストであって、
前記底壁部は、
前記係止部が配置されている第1領域と、
前記連係孔が配置されている第2領域と、
を有し、
前記第2領域は、前記第1領域に対し、前記ベゼルの開口側に寄っているヘッドレスト。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項記載のヘッドレストであって、
前記操作ボタンは、一対の爪が設けられている被係止部を有し、
前記係止部は、前記被係止部を間に挟んで前記一対の爪と係合する一対の係止壁を有し、
前記一対の係止壁のうち少なくとも一方は、前記被係止部を挟む方向に弾性的に可撓であるヘッドレスト。
【請求項5】
請求項4記載のヘッドレストであって、
前記ベゼルは、前記ヘッドレスト本体に固定される一対の固定部を前記底壁部に有し、
前記一対の固定部は、前記係止部及び前記連係孔を間に挟んで互いに対向して配置されており、
前記一対の係止壁は、前記一対の固定部が対向する第1方向及び前記係止部及び前記連係孔が並ぶ第2方向に対して傾斜した第3方向に対向して配置されているヘッドレスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドレストに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に設置されるシートのヘッドレストとして、シートの前後方向に傾動可能なヘッドレストが知られている。この種のヘッドレストは、一般に、シートバックに保持されるステーと、ステーに設けられた傾動軸まわりに傾動可能に支持されているヘッドレスト本体と、ヘッドレスト本体を所望の傾き角度にロックするロック機構と備え、ロック機構の操作ボタンがヘッドレストの側面に設けられている。操作ボタンが操作されることによってヘッドレスト本体のロックが解除される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロック機構の操作ボタンは筒状のベゼルに収容され、ベゼルの軸方向に移動可能にベゼルによって支持されており、ベゼルがヘッドレスト本体に取り付けられる。操作ボタンは、ヘッドレストの内部に向けて押し込まれ、コイルばねによって押圧方向とは反対方向に付勢される。ベゼルの筒壁には、ベゼルの軸方向に延びる切り欠きが設けられており、操作ボタンにはベゼルの切り欠きに係合する係止爪が設けられている。係止爪と切り欠きとが係合することによって、操作ボタンは付勢に抗してベゼルに保持される。
【0005】
以上の構成において、操作ボタンがベゼルに組み付けられる際に、ベゼルの開口及び開口に連なる筒壁の内周面と操作ボタンの係止爪との擦れが生じ、ベゼルの開口及び筒壁の内周面に擦過痕が残る場合がある。ベゼルは操作ボタンの保持に加えて装飾も兼ねており、ベゼルの開口及び筒壁の内周面の擦過痕はヘッドレストの外観品質を損なう虞がある。
【0006】
また、操作ボタンが押し込まれた際に、ベゼルの筒壁に設けられている切り欠きが露呈し、切り欠きを通してヘッドレストの内部が見えてしまう場合があり、やはりヘッドレストの外観品質を損なう虞がある。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、ヘッドレストの外観品質を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様のヘッドレストは、シートバックに保持されるステーと、前記ステーに設けられた傾動軸まわりに傾動可能に支持されたヘッドレスト本体と、前記ヘッドレスト本体を傾動不能にロックするロック部と、前記ロック部のロックを解除するロック解除部と、を備え、前記ロック解除部は、操作ボタンと、筒壁部及び底壁部を有し、前記筒壁部の軸方向に移動可能に前記操作ボタンを収容しているベゼルと、前記底壁部に向けて押し込まれた前記操作ボタンを押込方向とは反対方向に付勢する付勢部材と、を含み、前記操作ボタンは、前記底壁部を貫通して前記ロック部に連係する連係部を有し、前記ベゼルは、前記付勢部材によって付勢される前記操作ボタンを前記筒壁部内に保持する係止部と、前記連係部が挿通される連係孔と、を前記底壁部に有し、前記係止部及び前記連係孔は、前記底壁部の中心から外れて配置されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ヘッドレストの外観品質を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態を説明するための、ヘッドレストを備えた乗物用シートの一例の斜視図である。
【
図2】
図1のヘッドレストの一部を破断して示す斜視図である。
【
図3】
図1のヘッドレストのロック解除部の斜視図である。
【
図4】
図3のロック解除部を裏側からみた斜視図である。
【
図6】
図3のロック解除部のベゼルを破断して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の実施形態を説明するための、ヘッドレストを備えた乗物用シートの一例を示す。
【0012】
図1に示すシート1は、自動車等の車両に設置されるシートである。シート1は、シート1に着座した乗員の臀部及び大腿部を支持するシートクッション2と、乗員の腰部及び背部を支持するシートバック3と、乗員の頸部及び頭部を支持するヘッドレスト4とを備える。
【0013】
ヘッドレスト4は、ヘッドレスト4の骨格を形成するステー10を備え、ステー10は一対の脚部20を有する。一対の脚部20は、シート1の幅方向に間隔をおいて配置されており、ヘッドレスト4の下部から下方に向けて突出している。一対の脚部20は、シートバック3に挿し込まれてシートバック3に保持される。一対の脚部20のシートバック3に対する挿し込み量は可変であり、一対の脚部20の挿し込み量に応じてヘッドレスト4の高さが調節される。
【0014】
ヘッドレスト4は、シート1の前後方向に傾動可能であり、傾き角度の調節が可能である。そして、ヘッドレスト4の一方の側面には、ヘッドレスト4の傾き角度を調節する際に乗員によって操作される操作ボタン30が設けられている。
【0015】
【0016】
ヘッドレスト4は、上記のステー10と、ステー10によって傾動可能に支持されるヘッドレスト本体11と、ヘッドレスト本体11を傾動不能にロックするロック部12と、ロック部12のロックを解除するロック解除部13とを備える。なお、ロック部12は、ヘッドレスト本体11のシート前方への傾動及びシート後方への傾動のうち少なくともシート後方への傾動を阻止できればよい。
【0017】
ステー10は、一対の脚部20と、一対の脚部20の上端部同士を連結している連結部21と、ブラケット22を介して連結部21に固定されている傾動軸23とを有する。ヘッドレスト本体11は、傾動軸23まわりに傾動可能に支持される。
【0018】
ヘッドレスト本体11は、コア24と、コア24に固定されているベースプレート25とを有する。コア24は、例えば合成樹脂の成型体であり、コア24の内部は空洞に形成されている。ステー10の傾動軸23、ロック部12及びロック解除部13の一部はコア24の内部に収容されている。コア24の外側は、クッションパッド26及び表皮材27によって覆われている。ベースプレート25もまたコア24の内部に収容されており、ベースプレート25が、ステー10の傾動軸23によって傾動可能に支持されている。
【0019】
ロック部12はラチェット29を有する。ヘッドレスト本体11のベースプレート25には回動軸28が設けられており、ラチェット29は回動軸28によって回動可能に支持されている。ベースプレート25の傾動軸23を保持しているブラケット22には、ラチェット29と噛み合う歯が設けられている。ラチェット29がブラケット22の歯と噛み合うことにより、ベースプレート25は傾動不能にロックされる。ラチェット29は、付勢部材(不図示)により、ブラケット22の歯と噛み合う方向に付勢されている。
【0020】
ロック解除部13は、操作ボタン30(
図1参照)と、レバー32とを有する。ヘッドレスト本体11のベースプレート25には回動軸31が設けられており、レバー32は回動軸31によって回動可能に支持されている。レバー32の第1端部32aはロック部12のラチェット29と係合し、レバー32の第2端部32bは操作ボタン30に接続されている。
【0021】
操作ボタン30が乗員によって操作されると、レバー32の第2端部32bが操作ボタン30を介して押し込まれ、その結果、レバー32が回動される。レバー32の回動に応じて、ラチェット29が回動され、ラチェット29とブラケット22の歯との係合が解除される。これにより、ベースプレート25のロックが解除され、ヘッドレスト本体11が傾動可能となり、ヘッドレスト本体11の傾き角度が調節される。
【0022】
そして、操作ボタン30に対する操作が解除されると、付勢されているラチェット29がブラケット22の歯と噛み合い、再びベースプレート25が傾動不能にロックされる。これにより、ヘッドレスト本体11の傾き角度が、調節された角度に保持される。
【0023】
【0024】
ロック解除部13は、上記の操作ボタン30と、操作ボタン30を収容するベゼル33と、操作ボタン30を付勢する付勢部材34とを有する。
【0025】
ベゼル33は、円筒状に形成されている筒壁部40と、筒壁部40の一端側を閉鎖している底壁部41とを有し、筒壁部40の他端側は開放されている。筒壁部40の開放された他端部には、筒壁部40の径方向外側に広がるフランジ部42が設けられており、底壁部41には筒壁部40の軸方向に延びる一対の固定爪43(固定部)が設けられている。
【0026】
ヘッドレスト本体11には、表皮材27、クッションパッド26、及びコア24を貫通する取付孔(不図示)が形成される。この取付孔にベゼル33が挿入され、一対の固定爪43がコア24の内面に係合することにより、ベゼル33はヘッドレスト本体11に固定される。
【0027】
操作ボタン30は、乗員によって押圧される受圧部44と、ベゼル33によって係止される被係止部45と、ロック解除部13のレバー32に接続される連係部46とを有する。受圧部44は、ベゼル33の筒壁部40よりも僅かに小径な円盤状に形成されており、筒壁部40の内側に配置されている。被係止部45及び連係部46は、ベゼル33の底壁部41に対向する受圧部44の裏面に設けられている。被係止部45及び連係部46は柱状に形成されており、筒壁部40の軸方向と平行に、すなわち押圧操作に基づく操作ボタン30の移動方向と平行に配置され、底壁部41に向けて延びている。
【0028】
ベゼル33の底壁部41には、操作ボタン30の被係止部45を係止する係止部47が設けられており、係止部47は係止孔48を有する。また、底壁部41には連係孔49も設けられている。被係止部45が係止孔48に挿通され、連係部46が連係孔49に挿通されることにより、操作ボタン30は、ベゼル33の内部において筒壁部40の軸方向に移動可能となっている。
【0029】
被係止部45の先端部は、係止孔48を通してベゼル33の外側に突出して配置され、連係部46の先端部は、連係孔49を通してベゼル33の外側に突出して配置される。被係止部45の先端部には一対の爪50a,50bが設けられており、一対の爪50a,50bが係止部47によって係止される。これにより、操作ボタン30は、ベゼル33から抜け止めされ、ベゼル33の内部に保持される。また、連係部46の先端部は、ロック部12のレバー32(
図2参照)に接続される。
【0030】
付勢部材34は、操作ボタン30の受圧部44とベゼル33の底壁部41との間に配置されており、底壁部41に向けて押し込まれた受圧部44を押込方向とは反対方向に付勢している。本例では、付勢部材34はコイルばねであり、操作ボタン30の被係止部45の外周に巻かれている。これにより、操作ボタン30の傾きが抑制され、操作ボタン30の移動が円滑となる。なお、付勢部材34はコイルばねに限定されず、例えばエラストマ等の弾性材料からなる筒体でもよい。
【0031】
操作ボタン30を係止するベゼル33の係止部47が、ベゼル33の筒壁部40ではなくて底壁部41に設けられているので、操作ボタン30とベゼル33とが組み付けられる際に、操作ボタン30の一対の爪50a,50bと筒壁部40の内周面とが擦れず、ベゼル33の開口及び筒壁部40の内周面に擦過痕が残ることによる外観品質の低下が解消される。また、底壁部41に設けられている係止部47の係止孔48と連係孔49とは、常に操作ボタン30によって覆われるので、係止孔48及び連係孔49を通してヘッドレスト4の内部が見えることが防止され、やはり外観品質の低下が解消される。
【0032】
ここで、
図8に示す参考例では、係止部47及び連係孔49のうち係止部47が底壁部41の中心に設けられ、連係孔49が底壁部41の外径部に設けられている。この参考例では、底壁部41の外径部の一部に連係孔49が設けられるだけであり、底壁部41におけるスペースの利用効率は低い。
【0033】
一方、
図3から
図7に示すロック解除部13では、ベゼル33の係止部47と連係孔49とが、どちらも底壁部41の中心から外れて設けられている。これにより、底壁部41におけるスペースの利用効率の向上が図られる。底壁部41におけるスペースの利用効率を高める観点では、好ましくは、係止部47と連係孔49とは、底壁部41の中心を挟んで互いに反対側に配置される。底壁部41におけるスペースが有効に利用されることにより、ベゼル33を含むロック解除部13の小型化が図られる。
【0034】
また、
図3から
図7に示すロック解除部13では、ベゼル33の底壁部41が、第1部分41aと、第2部分41bと、第3部分41cとに区分されており、第1部分41aには係止部47が設けられ、第2部分41bには連係孔49が設けられ、第3部分41cには一対の固定爪43が設けられている。そして、第1部分41aは、ベゼル33の筒壁部40の軸方向にベゼル33の開口から最も離間して配置されており、第2部分41bは、第1部分41aよりもベゼル33の開口に寄っている。
【0035】
操作ボタン30の連係部46は、第2部分41bに設けられている連係孔49を通して、ロック部12のレバー32に接続される。第2部分41bが第1部分41aよりもベゼル33の開口に寄っていることから、ベゼル33の全体をレバー32に接近させることができ、ヘッドレスト4の仕様に応じてヘッドレスト4の小型化が可能となる。
【0036】
図7は、第1部分41aに設けられている係止部47の構成を示し、係止部47は、係止孔48に配置される一対の係止壁51a,51bを有する。一対の係止壁51a,51bは、係止孔48に挿通される操作ボタン30の被係止部45を間に挟み、被係止部45の先端部に設けられている一対の爪50a,50bと係合する。一対の爪50a,50bと一対の係止壁51a,51bとが係合することにより、被係止部45は係止部47によって係止される。
【0037】
ここで、一対の係止壁51a,51bのうち少なくとも一方は、操作ボタン30の被係止部45を挟む方向に弾性的に可撓に形成され、
図7では、一方の係止壁51aだけが可撓に形成されている。係止壁51bの先端部は底壁部41に接続されているのに対し、係止壁51aの先端部は底壁部41から分離されており、係止壁51aの先端部と底壁部41との間には、係止壁51aの撓みを許容する隙間Gがおかれている。これにより、係止壁51aは可撓に形成されている。なお、
図8に示す参考例もまた、一方の係止壁51aだけが可撓に形成されている。
【0038】
一対の係止壁51a,51bの間に差し込まれた操作ボタン30の被係止部45は、可撓な係止壁51aによって係止壁51bに押し付けられ、一対の係止壁51a,51bによって挟持される。これにより、被係止部45の保持力が高まり、一対の係止壁51a,51bが小型であっても十分な保持力を得ることができる。また、操作ボタン30の振動や振動に伴う異音の発生も抑制することができる。
【0039】
なお、一対の係止壁51a,51bの両方が可撓に形成されてもよいが、この場合に、係止壁51bの撓みを許容する隙間が係止壁51bの先端部と底壁部41との間にも設定され、係止部47の設置に必要なスペースが大きくなる。これに対し、一方の係止壁51aだけを可撓に形成することにより、係止部47の設置に必要なスペースを小さくでき、ベゼル33を含むロック解除部13のさらなる小型化が図られる。
【0040】
図4に示すように、底壁部41におけるスペースの利用効率を高める観点から、好ましくは、一対の固定爪43は、係止部47が設けられる第1部分41aと、連係孔49が設けられる第2部分41bとを間に挟んで設けられる。そして、一対の固定爪43が対向する方向を第1方向D1とし、係止部47と連係孔49とが並ぶ方向を第2方向D2として、係止部47の一対の係止壁51a,51bは、第1方向D1及び第2方向D2と交差する第3方向D3に対向して設けられ、係止壁51aは第3方向D3に可撓に形成される。係止壁51aの撓みを許容するために、係止壁51aの先端部と底壁部41との間に隙間G(
図7参照)が設定されるが、第3方向D3には、底壁部41における限られたスペースのなかで比較的容易に隙間Gが確保され得る。これにより、係止壁51aを大きくでき、被係止部45の保持力を高めることができる。
【0041】
上述した乗物用シート1は、自動車等の車両に設置されるシートに限られず、船舶や航空機といった車両以外の乗物に設置されるシートでもよい。
【0042】
以上、説明したとおり、本明細書に開示されたヘッドレストは、シートバックに保持されるステーと、前記ステーに設けられた傾動軸まわりに傾動可能に支持されたヘッドレスト本体と、前記ヘッドレスト本体を傾動不能にロックするロック部と、前記ロック部のロックを解除するロック解除部と、を備え、前記ロック解除部は、操作ボタンと、筒壁部及び底壁部を有し、前記筒壁部の軸方向に移動可能に前記操作ボタンを収容しているベゼルと、前記底壁部に向けて押し込まれた前記操作ボタンを押込方向とは反対方向に付勢する付勢部材と、を含み、前記操作ボタンは、前記底壁部を貫通して前記ロック部に連係する連係部を有し、前記ベゼルは、前記付勢部材によって付勢される前記操作ボタンを前記筒壁部内に保持する係止部と、前記連係部が挿通される連係孔と、を前記底壁部に有し、前記係止部及び前記連係孔は、前記底壁部の中心から外れて配置されている。
【0043】
また、本明細書に開示されたヘッドレストは、前記係止部と前記連係孔とは、前記底壁部の中心を挟んで互いに反対側に配置されている。
【0044】
また、本明細書に開示されたヘッドレストは、前記底壁部は、前記係止部が配置されている第1領域と、前記連係孔が配置されている第2領域と、を有し、前記第2領域は、前記第1領域に対し、前記ベゼルの開口側に寄っている。
【0045】
また、本明細書に開示されたヘッドレストは、前記操作ボタンは、一対の爪が設けられている被係止部を有し、前記係止部は、前記被係止部を間に挟んで前記一対の爪と係合する一対の係止壁を有し、前記一対の係止壁のうち少なくとも一方は、前記被係止部を挟む方向に弾性的に可撓である。
【0046】
また、本明細書に開示されたヘッドレストは、前記ベゼルは、前記ヘッドレスト本体に固定される一対の固定部を前記底壁部に有し、前記一対の固定部は、前記係止部及び前記連係孔を間に挟んで互いに対向して配置されており、前記一対の係止壁は、前記一対の固定部が対向する第1方向及び前記係止部及び前記連係孔が並ぶ第2方向に対して傾斜した第3方向に対向して配置されている。
【符号の説明】
【0047】
1 乗物用シート
2 シートクッション
3 シートバック
4 ヘッドレスト
10 ステー
11 ヘッドレスト本体
12 ロック部
13 ロック解除部
20 脚部
21 連結部
22 ブラケット
23 傾動軸
24 コア
25 ベースプレート
26 クッションパッド
27 表皮材
28 回動軸
29 ラチェット
30 操作ボタン
31 回動軸
32 レバー
33 ベゼル
34 付勢部材
40 筒壁部
41 底壁部
42 フランジ部
43 固定爪
44 受圧部
45 被係止部
46 連係部
47 係止部
48 係止孔
49 連係孔
50a 爪
50b 爪
51a 係止壁
51b 係止壁