(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】リカーリングプライシング基盤及びサブスクリプション事業推進方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0207 20230101AFI20230517BHJP
G06Q 30/0283 20230101ALI20230517BHJP
【FI】
G06Q30/0207
G06Q30/0283
(21)【出願番号】P 2019231772
(22)【出願日】2019-12-23
【審査請求日】2021-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000233055
【氏名又は名称】株式会社日立ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】白川 淳平
【審査官】樋口 龍弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-045469(JP,A)
【文献】特開2003-196463(JP,A)
【文献】国際公開第2008/065708(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、メモリを有する計算機が、サブスクリプションサービスを利用する顧客を管理するリカーリングプライシング基盤であって、
前記顧客毎に前記サブスクリプションサービスを利用した履歴を蓄積する利用履歴情報と、
前記顧客毎に前記サブスクリプションサービスへ貢献した際の貢献度を蓄積する貢献度情報と、
前記利用履歴情報と前記貢献度情報を読み込んで、前記顧客毎に優良顧客指数を算出する顧客管理部と、
前記顧客毎に前記サブスクリプションサービスの所定期間毎の利用料金を決定する課金管理部と、を有し、
前記課金管理部は、前記所定期間毎の定額料金を前記優良顧客指数に応じて減額した金額を前記所定期間の利用料金として算出
し、
前記顧客管理部は、既存の顧客が新規顧客を入会させた通知を受け付けると、前記既存の顧客に第1の特典を付与し、前記新規顧客に第2の特典を付与し、
前記第1の特典は、前記既存の顧客の前記貢献度情報に所定の貢献度を加算又は前記所定期間の定額料金を所定金額だけ減額の少なくとも一方であって、
前記第2の特典は、前記新規顧客を入会させた既存の顧客の優良顧客指数を、当該新規顧客に付与することを特徴とするリカーリングプライシング基盤。
【請求項2】
プロセッサと、メモリを有する計算機が、サブスクリプションサービスを利用する顧客を管理するリカーリングプライシング基盤であって、
前記顧客毎に前記サブスクリプションサービスを利用した履歴を蓄積する利用履歴情報と、
前記顧客毎に前記サブスクリプションサービスへ貢献した際の貢献度を蓄積する貢献度情報と、
前記利用履歴情報と前記貢献度情報を読み込んで、前記顧客毎に優良顧客指数を算出する顧客管理部と、
前記顧客毎に前記サブスクリプションサービスの所定期間毎の利用料金を決定する課金管理部と、を有し、
前記課金管理部は、前記所定期間毎の定額料金を前記優良顧客指数に応じて減額した金額を前記所定期間の利用料金として算出し、
前記サブスクリプションサービスの顧客のうち、前記優良顧客指数が所定値以下の顧客を抽出し、抽出した顧客をリテンションの対象として出力するサポート管理部を、さらに有することを特徴とするリカーリングプライシング基盤。
【請求項3】
プロセッサと、メモリを有する計算機で、サブスクリプションサービスを利用する顧客を管理するサブスクリプション事業推進方法であって、
前記計算機が、前記顧客毎に前記サブスクリプションサービスを利用した履歴を利用履歴情報に蓄積する第1のステップと、
前記計算機が、前記顧客毎に前記サブスクリプションサービスへ貢献した際の貢献度を貢献度情報に蓄積する第2のステップと、
前記計算機が、前記利用履歴情報と前記貢献度情報を読み込んで、前記顧客毎に優良顧客指数を算出する第3のステップと、
前記計算機が、前記顧客毎に前記サブスクリプションサービスの所定期間毎の利用料金を決定する第4のステップと、を含み、
前記第4のステップは、前記所定期間毎の定額料金を前記優良顧客指数に応じて減額した金額を前記所定期間の利用料金として算出し、
前記第3のステップは、既存の顧客が新規顧客を入会させた通知を受け付けると、前記既存の顧客に第1の特典を付与し、前記新規顧客に第2の特典を付与し、
前記第1の特典は、前記既存の顧客の前記貢献度情報に所定の貢献度を加算又は前記所定期間の定額料金を所定金額だけ減額の少なくとも一方であって、
前記第2の特典は、前記新規顧客を入会させた既存の顧客の優良顧客指数を、当該新規顧客に付与することを特徴とするサブスクリプション事業推進方法。
【請求項4】
プロセッサと、メモリを有する計算機で、サブスクリプションサービスを利用する顧客を管理するサブスクリプション事業推進方法であって、
前記計算機が、前記顧客毎に前記サブスクリプションサービスを利用した履歴を利用履歴情報に蓄積する第1のステップと、
前記計算機が、前記顧客毎に前記サブスクリプションサービスへ貢献した際の貢献度を貢献度情報に蓄積する第2のステップと、
前記計算機が、前記利用履歴情報と前記貢献度情報を読み込んで、前記顧客毎に優良顧客指数を算出する第3のステップと、
前記計算機が、前記顧客毎に前記サブスクリプションサービスの所定期間毎の利用料金を決定する第4のステップと、を含み、
前記第4のステップは、前記所定期間毎の定額料金を前記優良顧客指数に応じて減額した金額を前記所定期間の利用料金として算出し、
前記計算機が、前記サブスクリプションサービスの顧客のうち、前記優良顧客指数が所定値以下の顧客を抽出し、抽出した顧客をサポートの対象として出力する第5のステップを、さらに含むことを特徴とするサブスクリプション事業推進方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定額料金で提供するサービスの顧客を管理するリカーリングプライシング基盤及びサブスクリプション事業推進方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、予め設定された期間内での利用料金を一定とするサブスクリプション(Subscription)型のサービスが普及しつつある。サブスクリプション型のサービスとしては、コンテンツの提供や物品の提供など、利用回数に関わらず一定期間内のサービスの利用料金が定額で提供される形態が知られている。サブスクリプション型のサービスの一例としては、例えば、特許文献1が知られている。
【0003】
特許文献1では、コンテンツの配信をサブスクリプションサービスで提供する技術が開示されている。また、サブスクリプション型のサービスとしては、配信だけではなく、本や雑誌の購読あるいは衣料品の利用などを一定の月額料金で提供するサービスが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
サブスクリプションサービスを提供する事業者は、新規会員の獲得や、会員数の維持等によって事業を継続する必要がある。しかしながら、上記従来例では、サブスクリプションサービスを継続させる技術について開示されていない、という問題があった。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、サブスクリプションサービスの顧客に利用を継続させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、プロセッサと、メモリを有する計算機が、サブスクリプションサービスを利用する顧客を管理するリカーリングプライシング基盤であって、前記顧客毎に前記サブスクリプションサービスを利用した履歴を蓄積する利用履歴情報と、前記顧客毎に前記サブスクリプションサービスへ貢献した際の貢献度を蓄積する貢献度情報と、前記利用履歴情報と前記貢献度情報を読み込んで、前記顧客ごとに優良顧客指数を算出する顧客管理部と、前記顧客毎に前記サブスクリプションサービスの所定期間毎の利用料金を決定する課金管理部と、を有し、前記課金管理部は、前記所定期間毎の定額料金を前記優良顧客指数に応じて減額した金額を前記所定期間の利用料金として算出する。
【発明の効果】
【0008】
したがって、本発明は、顧客のサブスクリプションサービスの利用の履歴や貢献度に応じて優良顧客指数CPPを算出し、利用料金を優良顧客指数CPPの値に応じて変更(減額)することで継続利用を促すことができる。また、既存の顧客が、新たな顧客を入会させると、既存の顧客と新規顧客の双方に特典を付与することで、新規顧客の獲得コストを削減することが可能となる。
【0009】
本明細書において開示される主題の、少なくとも一つの実施の詳細は、添付されている図面と以下の記述の中で述べられる。開示される主題のその他の特徴、態様、効果は、以下の開示、図面、請求項により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例を示し、サブスクリプションサービスの顧客を管理するリカーリングプライシング基盤の機能の一例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施例を示し、サービスを管理するリカーリングサーバの構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施例を示し、貢献度情報の一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施例を示し、問合せ情報の一例を示す図である。
【
図5】本発明の実施例を示し、コミュニティ参加情報の一例を示す図である。
【
図6】本発明の実施例を示し、アンケート情報の一例を示す図である。
【
図7】本発明の実施例を示し、顧客特性情報の一例を示す図である。
【
図8】本発明の実施例を示し、利用情報の一例を示す図である。
【
図9】本発明の実施例を示し、アクションポイントの一例を示す図である。
【
図10】本発明の実施例を示し、CPP情報の一例を示す図である。
【
図11】本発明の実施例を示し、リカーリングサーバで行われる新規顧客の入会から課金処理の一例を示す図である。
【
図12】本発明の実施例を示し、リカーリングサーバで行われる新規顧客の入会処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図13】本発明の実施例を示し、サポート処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図14】本発明の実施例を示し、CPP情報の更新処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】本発明の実施例を示し、課金処理の一例を示すフローチャートである。
【
図16】本発明の実施例を示し、新規顧客の勧誘と課金状況の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施例を示し、サブスクリプション型のサービス(以下、サブスクリプションサービス)を管理する顧客管理システムの機能の一例を示すブロック図である。
【0013】
サブスクリプションサイト1には、各種の機能を提供するリカーリングサーバ10が配置される。リカーリングサーバ10は、サブスクリプションサービスを利用する会員が操作するクライアント端末50と、決済期間が運用する決済サーバ60に接続される。
【0014】
リカーリングサーバ10は、クライアント端末50を利用する会員に対してサブスクリプションサービス(F1)の提供と、会員からの問合せに対応するサポート(F2)の提供と、会員間の対話やイベントを開催するコミュニティ(F3)の運用と、会員に対する課金処理(F4)を実施する。
【0015】
課金処理(F4)で生成された課金情報は決済サーバ60へ送信されて、決済サーバ60を運用する決済機関が各会員から利用料金を徴収してサブスクリプションサイト1に決済情報を通知する。
【0016】
本実施例におけるサブスクリプションサービスは、予め設定された期間(例えば、1ヶ月)内で、定額料金(月額料金)で所定の利用条件内でサービスを提供するものである。サブスクリプションサービスの一例としては、利用回数に制限されない書籍の購読や、コンテンツの視聴、物品の使用、施設の利用などを含むことができる。また、サブスクリプションサービスの一例としては、所定の利用回数(利用上限数)までのサービスや物品の提供を含むことができる。
【0017】
リカーリングサーバ10は、サブスクリプションサービスを利用する顧客(又は会員)の継続利用を促進するために、後述するように顧客の評価値を算出し、評価値に応じて月額料金を変動させる。本実施例のリカーリングサーバ10では、顧客を評価する評価値の一例として、後述するように、優良顧客指数(以下CPP:Customer Promotion Point)を使用する例を示すが、これに限定されるものではない。
【0018】
また、リカーリングサーバ10は、顧客の解約を抑制するために、積極的なサポート活動を支援する。そして、リカーリングサーバ10は、顧客自身が新たな顧客を新規に入会させる仕組みを提供することで、新規顧客の獲得コストを低減する。
【0019】
本実施例では、サブスクリプションサイト1が、所定の月額料金で利用可能なサブスクリプションサービス(F1)を提供するのに加え、従量課金制のオプションサービスも提供する例を示す。
【0020】
図2は、サブスクリプションサービスを管理するリカーリングサーバ10の構成の一例を示すブロック図である。リカーリングサーバ10は、プロセッサ11と、メモリ12と、通信インタフェース13と、入出力装置14と、ストレージ装置15を含む計算機である。
【0021】
リカーリングサーバ10は、通信インタフェース13を介してネットワーク80に接続され、クライアント端末50やサポート端末70又は決済サーバ60と通信を行う。入出力装置14は、マウスやキーボードやタッチパネル等で構成された入力装置と、ディスプレイやプロジェクタで構成された出力装置を含む。
【0022】
メモリ12は、CPP管理部21と、サブスクリプション提供部22と、サポート管理部23と、コミュニティ管理部24と、契約管理部25と、課金管理部26がプログラムとしてロードされプロセッサ11によって実行される。
【0023】
CPP管理部21は、サブスクリプションサービスの利用の履歴に応じて、顧客毎の優良顧客指数CPPを算出し、CPPデータベース40のCPP情報41を更新する顧客管理部として機能する。サブスクリプション提供部22は、顧客又はクライアント端末50にサブスクリプションサービスを提供する。
【0024】
サポート管理部23は、サブスクリプションサイト1の顧客からの問合せやリクエストを受け付けて、サブスクリプションサービスの運営を支援ずる。コミュニティ管理部24は、サブスクリプションサイト1が顧客(クライアント端末50)に提供するコミュニティを管理する。なお、本実施例におけるコミュニティは、サブスクリプションサービスを利用する顧客間のメッセージの伝達や、顧客に対するイベントの提供を行うサービスである。
【0025】
契約管理部25は、顧客が利用するサブスクリプションサービスの契約状況を管理する。課金管理部26は、サブスクリプションサービスを利用する顧客への利用料金の請求と、決済状況を管理する。本実施例では、定額料金のサブスクリプションサービスに加えて、従量課金制のオプションサービスを提供する例を示す。
【0026】
プロセッサ11は、各機能部のプログラムに従って処理を実行することによって、所定の機能を提供する機能部として稼働する。例えば、プロセッサ11は、CPP管理プログラムに従って処理を実行することでCPP管理部21として機能する。他のプログラムについても同様である。さらに、プロセッサ11は、各プログラムが実行する複数の処理のそれぞれの機能を提供する機能部としても稼働する。計算機及び計算機システムは、これらの機能部を含む装置及びシステムである。
【0027】
ストレージ装置15は、契約情報データベース31と、利用状況データベース32と、顧客情報データベース33と、課金データベース34と、コミュニティデータベース35と、サポートデータベース36と、CPPデータベース40を格納する。
【0028】
契約情報データベース31は、顧客の会員番号(顧客ID)と、入会日時と、更新回数と、退会日時等の契約に関する情報を格納する。なお、本実施例では、契約期間を1ヶ月として、退会するまで毎月契約を自動更新し、契約管理部25が契約情報データベース31の更新回数を再計算する。
【0029】
利用状況データベース32は、顧客毎にサブスクリプションサービスの利用の履歴を格納する。利用の履歴としては、利用したサービスや物品の種類や、利用時間や利用量などを含むことができる。また、利用状況データベース32にはサブスクリプションサービスの他に従量課金制のサービスの利用の履歴を格納してもよい。
【0030】
顧客情報データベース33は、顧客の情報を格納する。顧客情報データベース33は、顧客の識別子(顧客ID)と、連絡先と、プロフィール等を含む個人情報で構成される。
【0031】
課金データベース34は、顧客毎の課金情報を格納する。また、課金情報としては、請求と支払の履歴や、現在利用中のサブスクリプションサービスの定額料金や、従量課金制サービスの単価などが含まれる。
【0032】
コミュニティデータベース35は、サブスクリプションサイト1が提供するコミュニティで利用する情報を格納する。サポートデータベース36は、顧客からの問合せやリクエストなどのサポートで使用する情報を格納する。
【0033】
CPPデータベース40は、後述するように、顧客毎の優良顧客指数CPPを格納するCPP情報41と、顧客毎の優良顧客指数CPPを算出するための利用履歴情報と貢献度情報を格納する。
【0034】
優良顧客指数CPPを算出するための利用履歴情報としては、貢献度情報42と、問合せ情報43と、コミュニティ参加情報44と、アンケート情報45と、顧客特性情報46と、利用情報47と、アクションポイント48を含む。
【0035】
なお、利用履歴情報は、少なくとも利用情報47を含めばよい。また、利用履歴情報は、利用情報47に加えて、問合せ情報43と、コミュニティ参加情報44と、アンケート情報45と、顧客特性情報46の何れかを加えることで、算出されるCPP情報41の精度を向上させることができる。また、利用履歴情報は、上記に限定されるものではなく、サブスクリプションサービスの形態に応じて適宜設定することができる。
【0036】
図3は、貢献度情報42の一例を示す図である。貢献度情報42は、CPPデータベース40に含まれて、顧客毎に生成される。貢献度情報42のひとつのテーブルは、1人の顧客ID(識別子)に対応付けられている。
【0037】
貢献度情報42は、勧誘会員番号421と、入会日時422と、退会日時423と、設定値424をひとつのエントリに含む。
【0038】
勧誘会員番号421には、サブスクリプションサービスの顧客が勧誘した新たな顧客の会員番号が格納される。入会日時422には、新たな顧客が入会した日時が格納される。退会日時423には、新たな顧客が退会した日時が格納される。なお、新たな顧客の契約が継続している場合、退会日時423には「NULL」が設定される。設定値424には、新規顧客の入会の貢献度に対応する値が格納される。また、貢献度情報42の最後のエントリには、設定値424の合計値が格納される。
【0039】
なお、本実施例では、貢献度情報42のひとつのテーブルを、1人の顧客ID(識別子)に対応付ける例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、
図3の貢献度情報42に顧客IDと合計のフィールドを追加して、複数の顧客IDの貢献度をひとつのテーブルで管理してもよい。
【0040】
図4は、問合せ情報43の一例を示す図である。問合せ情報43は、サポートデータベース36から取得した情報に基づいて、顧客毎に生成される。問合せ情報43のひとつのテーブルは、1人の顧客ID(識別子)に対応付けられている。
【0041】
問合せ情報43は、日時431と、区分432と、日数433と、指数434と、設定値435をひとつのエントリに含む。
【0042】
日時431には、顧客がサブスクリプションサイト1に問合せ等を行った日時が格納される。区分432には、サブスクリプションサイト1が受け付けたサポートの区分が格納される。図示の例では、サポートの区分として「問合せ」や「契約変更」の例を示す。
【0043】
日数433には、サポートが完了するまでに要した日数が格納される。指数434には、当該問合せに対する指数が格納される。問合せは、顧客が持っているサービスに対する期待や要望を率直にヒアリングできる場であり、サービス内容の改善点を得るための貴重な要素となる。そのため、指数は問合せ内容がサービス向上に寄与するものであるかという観点の元、サポート窓口対応者によって設定される。設定値435には、当該問合せに対してサブスクリプションサイト1で設定された値が格納される。また、問合せ情報43の最後のエントリには、設定値435の合計値が格納される。
【0044】
なお、本実施例では、貢献度情報42のひとつのテーブルを、1人の顧客ID(識別子)に対応付ける例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、
図4の問合せ情報43に顧客IDと合計のフィールドを追加して、複数の顧客IDの問合せをひとつのテーブルで管理してもよい。
【0045】
図5は、コミュニティ参加情報44の一例を示す図である。コミュニティ参加情報44は、コミュニティデータベース35から取得した情報に基づいて、顧客毎に生成される。コミュニティ参加情報44のひとつのテーブルは、1人の顧客ID(識別子)に対応付けられている。
【0046】
コミュニティ参加情報44は、日時441と、区分442と、指数443と、設定値444をひとつのエントリに含む。
【0047】
日時441には、顧客がコミュニティで活動を行った日時が格納される。区分442には、顧客がコミュニティで行った活動の区分が格納される。区分442の一例としては、「アカウント作成」や「コメント」の投稿等があげられる。指数443には、コミュニティへの参加に対する指数が格納される。コミュニティは顧客のサービス利用に対する姿勢を観察するための貴重な要素となる。そのため、指数は顧客の投稿内容についてコミュニティ管理者によって設定される。設定値444には、当該コミュニティへの参加に対してサブスクリプションサイト1で設定した値が格納される。また、コミュニティ参加情報44の最後のエントリには、設定値444の合計値が格納される。
【0048】
なお、本実施例では、コミュニティ参加情報44のひとつのテーブルを、1人の顧客ID(識別子)に対応付ける例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、
図5のコミュニティ参加情報44に顧客IDと合計のフィールドを追加して、複数の顧客IDのコミュニティの参加内容をひとつのテーブルで管理してもよい。
【0049】
図6は、アンケート情報45の一例を示す図である。アンケート情報45は、サポート端末70やサポートデータベース36からの情報等によって顧客毎に生成される。アンケート情報45のひとつのテーブルは、1人の顧客ID(識別子)に対応付けられている。アンケート情報45は、日時451と、区分452と、設定値453をひとつのエントリに含む。
【0050】
日時451には、顧客がアンケートに回答した日時が格納される。区分452には、アンケートを特定する識別子が格納される。設定値453には、アンケートの回答に対して付与された評価値が格納される。また、アンケート情報45の最後のエントリには、設定値453の合計値が格納される。
【0051】
なお、本実施例では、アンケート情報45のひとつのテーブルを、1人の顧客ID(識別子)に対応付ける例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、
図6のアンケート情報45に顧客IDと合計のフィールドを追加して、複数の顧客IDのアンケートの回答をひとつのテーブルで管理してもよい。
【0052】
図7は、顧客特性情報46の一例を示す図である。顧客特性情報46は、顧客情報データベース33から取得した情報に基づいて、顧客毎に生成される。顧客特性情報46のひとつのテーブルは、1人の顧客ID(識別子)に対応付けられている。顧客特性情報46は、年齢461と、性別462と、居住地域463と、設定値464をひとつのエントリに含む。
【0053】
年齢461には、顧客の年齢層が格納される。性別462には、顧客の性別が格納される。居住地域463には、当該顧客の居所が格納される。設定値464には、当該顧客に付与された評価値が格納される。
【0054】
なお、顧客特性情報46は、優良顧客指数CPPの算出に用いる情報であるので、個人の特定につながる情報は必要ない。例えば、居住地域463には、市区町村のレベルまでとして、番地などは含まない。また、顧客特性情報46の最後のエントリには、設定値464の合計値が格納される。
【0055】
なお、本実施例では、顧客特性情報46のひとつのテーブルを、1人の顧客ID(識別子)に対応付ける例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、
図7の顧客特性情報46に顧客IDと合計のフィールドを追加して、複数の顧客IDの顧客特性をひとつのテーブルで管理してもよい。
【0056】
図8は、利用情報47の一例を示す図である。利用情報47は、利用状況データベース32から取得した情報に基づいて、顧客毎に生成される。利用情報47のひとつのテーブルは、1人の顧客ID(識別子)に対応付けられている。
【0057】
利用情報47は、日時471と、利用場所472と、利用区分473と、設定値474をひとつのエントリに含む。
【0058】
日時471には、利用が終了(あるいは開始)した日時が格納される。利用場所472には、サブスクリプションサービスを利用した場所の情報が格納される。利用区分473には、「通常」、「過剰」、「僅少」など利用の頻度が設定される。設定値474には、当該利用に対してサブスクリプションサイト1で付与された評価値が格納される。また、利用情報47の最後のエントリには、設定値474の合計値が格納される。
【0059】
なお、本実施例では、利用情報47のひとつのテーブルを、1人の顧客ID(識別子)に対応付ける例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、
図8の利用情報47に顧客IDと合計のフィールドを追加して、複数の顧客IDの利用の内容をひとつのテーブルで管理してもよい。
【0060】
図9は、アクションポイント48の一例を示す図である。アクションポイント48は、予め設定されたデータソースから取得した情報に基づいて生成される。アクションポイント48のひとつのテーブルは、1人の顧客ID(識別子)に対応付けられている。
【0061】
アクションポイント48は、優良顧客指数CPPを算出する際に利用する指標であって、サブスクリプションサイト1毎に任意に設定可能な項目と設定値を有する。本実施例では、アクションポイント48の一例として、サブスクリプションサービスを利用した際の環境の情報を用いる例を示す。
【0062】
本実施例のアクションポイント48は、項目1(481)~項目4(484)と設定値485をひとつのエントリに含む。項目1(481)にサブスクリプションサービスの利用を開始したときの日時が格納される。項目2(482)には、サブスクリプションサービスの利用を開始したときの天候が格納される。
【0063】
項目3(383)には、サブスクリプションサービスの利用を開始したときの気温が格納される。項目4(384)には、サブスクリプションサービスの利用を開始したときの所定の空間の混雑度合いが格納される。設定値485には、サブスクリプションサイト1で設定された評価値が格納される。また、貢献度情報42の最後のエントリには、設定値484の合計値が格納される。
【0064】
なお、本実施例では、アクションポイント48のひとつのテーブルを、1人の顧客ID(識別子)に対応付ける例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、
図9のアクションポイント48に顧客IDと合計のフィールドを追加して、複数の顧客IDのアクションの内容をひとつのテーブルで管理してもよい。
【0065】
図10は、CPP情報41の一例を示す図である。CPP情報41は、CPPデータベース40に含まれて、顧客毎に生成される。CPP情報41のひとつのテーブルは、1人の顧客ID(識別子)に対応付けられている。
【0066】
CPP情報41は、更新回数411と、問合せ412と、コミュニティ参加413と、アンケート回答414と、入会貢献度415と、顧客特性416と、利用状況417と、アクションポイント418と、合計419をひとつのエントリに含む。なお、CPP情報41のひとつのテーブルは、1人の顧客に対応付けられており、会員番号等の顧客ID(識別子)によって顧客情報データベース33と対応付けられている。
【0067】
CPP情報41のエントリは、取得した値を格納する設定値のエントリと、各フィールドに予め設定された重みのエントリと、設定値の値に重みを乗じた値を格納する評点のエントリを有する。
【0068】
更新回数411には、契約情報データベース31から取得した契約の更新回数が格納される。問合せ412には、問合せ情報43から取得した設定値435の合計値が格納される。
【0069】
コミュニティ参加413には、コミュニティ参加情報44から取得した設定値444の合計値が格納される。
【0070】
アンケート回答414には、アンケート情報45から取得した設定値453の合計値が格納される。入会貢献度415には、貢献度情報42から取得した設定値424の合計値が格納される。顧客特性416には、顧客特性情報46から取得した設定値464の合計値が格納される。
【0071】
利用状況417には、利用情報47から取得した設定値474の合計値が格納される。アクションポイント418には、アクションポイント48から取得した設定値485の合計値が格納される。
【0072】
合計419には、評点のエントリと、設定値のエントリのそれぞれについて、各フィールドの合計値が格納される。
【0073】
なお、本実施例では、CPP情報41のひとつのテーブルを、1人の顧客ID(識別子)に対応付ける例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、
図10のCPP情報41に顧客IDと合計のフィールドを追加して、複数の顧客IDの優良顧客指数CPPの内容をひとつのテーブルで管理してもよい。
【0074】
図11は、リカーリングサーバ10のCPP管理部21で行われる新規顧客の入会処理の一例を示す図である。
【0075】
リカーリングサーバ10は、既存の顧客が操作するクライアント端末50から新たな顧客の入会を受け付ける(S1)。入会の処理は、後述するように、新たな顧客に対して契約の締結を実施した後、新たな顧客に会員番号を付与して、サブスクリプションサービスの利用を開始する。
【0076】
リカーリングサーバ10は、新規顧客を勧誘した既存の顧客について、貢献度情報42を生成(又は更新)し、新たな顧客の情報を追加し、貢献度情報42の設定値424に貢献度に対応する所定値(
図3では10ポイント)を付与する(S2)。
【0077】
なお、本実施例では、後述するように、既存の顧客が新たな顧客を1人勧誘すると、所定の期間内の定額料金を所定の金額だけ減額する。例えば、1人勧誘すると1ヶ月の定額料金を無料とする。あるいは、1ヶ月の定額料金を半額とする。
【0078】
また、勧誘された新たな顧客には、勧誘した顧客のCPP情報41の設定値のエントリの値を、新たな顧客のCPP情報41に付与し、サブスクリプションサービスを開始する。
【0079】
これにより、新規会員を募る既存の顧客と、勧誘される新たな顧客の双方に、それぞれ特典を付与することで、顧客の募集に要するコストを低減することができるのである。
【0080】
リカーリングサーバ10は、所定のタイミング(例えば、毎月末)で各顧客の優良顧客指数CPPを算出し、CPP情報41を更新する(S3)。リカーリングサーバ10は、各データベース(31~36)からデータを読み込んで、CPPデータベース40の貢献度情報42~アクションポイント48を更新する。
【0081】
そして、リカーリングサーバ10は、CPP情報41の設定値に貢献度情報42~アクションポイント48の合計値を更新回数411~アクションポイント418の設定値にそれぞれ格納し、設定値に重みを乗じた値を評点に格納し、評点の合計419を優良顧客指数CPPとする。
【0082】
CPP情報41は、顧客のコミュニティ参加情報44や新規顧客の勧誘による貢献度情報42の更新、あるいは、サポートの利用(問合せやアンケートの回答)等の活動によって変化している。リカーリングサーバ10は、各顧客のCPP情報41を解析し(S4)、CPP情報41の評点のエントリの合計419の値に応じて定額料金を減額し、月額料金を再設定する(S5)。
【0083】
リカーリングサーバ10は、例えば、
【0084】
月額料金 = 定額料金 - 優良顧客指数CPP
【0085】
として翌月に請求する月額料金を算出する。なお、上述したように、新たな顧客を勧誘した場合には所定期間(例えば、1ヶ月)の定額料金は無料(あるいは所定の比率)に変更される。また、上記では、優良顧客指数CPPに応じた金額を定額料金から差し引く例を示したが、これに限定されるものではない。優良顧客指数CPPが増大するにつれて定額料金が低減(変更)されればよい。ただし、月額料金は予め設定された下限料金未満には減額されない。
【0086】
なお、顧客が定額料金のサブスクリプションサービス以外に、従量課金制のオプションサービスを利用している場合には、上記月額料金に従量課金制の利用料金を加算することができる。また、従量課金制の利用料金から優良顧客指数CPPに応じた金額を減額するようにしてもよい。
【0087】
次に、リカーリングサーバ10は、課金データベース34を参照して(S6)、未払いの月額料金があれば上記月額料金に加算して翌月の請求金額と利用内容を含む課金情報を算出し、課金データベース34に格納する(S7)。
【0088】
そして、リカーリングサーバ10は、所定の日付になると、各顧客に対する課金情報を決済サーバ60へ送信して、利用料金の回収を依頼する(S8)。
【0089】
以上のように、リカーリングサーバ10は、顧客毎にサブスクリプションサービスの利用状況やコミュニティの参加状況等の利用履歴情報と、新規顧客の勧誘活動の貢献度情報42に基づいて、優良顧客指数CPPを所定の周期(例えば、毎月)で算出する。そして、リカーリングサーバ10は、所定期間の定額料金から優良顧客指数CPPに応じた金額を差し引いて、所定の周期毎の課金情報を生成して顧客へ請求することで、サブスクリプションサービスの継続利用を促進することができる。
【0090】
図12は、CPP管理部21で行われる新規顧客の入会処理の一例を示すシーケンス図である。図示の例では、既存の顧客Aが、新たな顧客Bを勧誘して入会させる例を示す。なお、既存の顧客Aはクライアント端末50-Aを使用し、新規の顧客Bはクライアント端末50-Bを使用する。
【0091】
まず、顧客Bの承諾を得た顧客Aは、クライアント端末50-Aからサブスクリプションサイト1のリカーリングサーバ10に対して新規の顧客Bの入会希望を通知する(S11)。
【0092】
リカーリングサーバ10は、クライアント端末50-Aからの入会希望の通知を受け付けると、顧客Bが利用するクライアント端末50-Bに契約の可否を問合せる確認処理を実行する(S11)。
【0093】
顧客Bは、クライアント端末50-Bで契約の可否の問合せを受信すると、契約を受諾する通知をリカーリングサーバ10へ送信する(S12)。リカーリングサーバ10は、クライアント端末50-Bから顧客Bの契約の受諾を受信すると、新規顧客の入会処理を実施する(S13)。
【0094】
リカーリングサーバ10は、新規の顧客Bの個人情報を顧客情報データベース33へ登録して新たな顧客ID(会員番号)を付与し、顧客IDに紐付けた契約内容を契約情報データベース31に登録する。
【0095】
次に、リカーリングサーバ10は、新たな顧客Bの情報のうちCPPデータベース40に必要な情報を取得して、CPPデータベース40内の各種情報に顧客Bの情報を追加する。リカーリングサーバ10は、CPPデータベース40内のCPP情報41に顧客Bのエントリを追加する。そして、リカーリングサーバ10は、既存の顧客AのCPP情報41の設定値を、新規顧客BのCPP情報41へコピーする(S14)。これにより、勧誘された顧客Bは、既存の顧客Aの優良顧客指数CPPで定額料金の割引を受けることが可能となる。
【0096】
リカーリングサーバ10は、顧客Bに付与した顧客ID(会員番号)をクライアント端末50-Bへ通知し(S15)、クライアント端末50-Bでは顧客Bによるサブスクリプションサービスの利用が開始される(S16)。
【0097】
そして、リカーリングサーバ10は、新規顧客を勧誘した既存の顧客Aの貢献度情報42に新たなエントリを追加して、顧客Bの情報を設定して貢献度に対応する所定値を設定値424に設定する(S17)。リカーリングサーバ10は、顧客AのCPP情報41を更新し(S18)、新規顧客の獲得による特典として、1ヶ月分の定額料金を無料(減額)にするため課金データベース34の顧客Aの課金情報を更新する(S19)。
【0098】
既存の顧客Aは、貢献度情報42に加点されることで優良顧客指数CPPがさらに上昇し、翌月以降の定額料金の割引率が増大する特典を得て、さらに、次月の定額料金を無料にする特典を受けることが可能となる。
【0099】
図13は、サポート処理の一例を示すシーケンス図である。図示の例では、サポート端末70がサポート管理部23を起動して、サポート処理を実施する例を示す。このサポート処理は、サブスクリプションサービスの利用頻度が低い顧客の退会を抑制するため、所定の周期などで実施する。
【0100】
サポート端末70を利用する担当者は、優良顧客指数CPPが所定値以下の顧客の情報をリカーリングサーバ10に要求する(S21)。このサポート処理では、退会が危惧される顧客を抽出するため、CPP情報41の合計419の評点の値が所定値以下の顧客を抽出する。なお、退会危惧される顧客の抽出は、合計419の評点に限定されるものではなく、利用状況417の評点の値が所定値以下の顧客を抽出してもよいし、CPP情報41の1以上のフィールドの評点の和が所定値以下の顧客を抽出してもよい。
【0101】
リカーリングサーバ10は、サポート端末70からの要求に応じて、CPP情報41のうち指定されたフィールド(項目)の評点の値が所定値以下の顧客の情報をCPPデータベース40から読み出してサポート端末70へ送信する(S22)。なお、リカーリングサーバ10は、CPP情報41から抽出された顧客の顧客IDに基づいて、顧客情報データベース33から連絡先(例えば、メールアドレス)等のを取得してサポート端末70へ送信する。
【0102】
サポート端末70は、サブスクリプションサービスの利用頻度が低い顧客の情報を取得すると、リテンション(既存顧客維持)活動を実施する(S23)。リテンション活動の一例としては、メールによるイベントやサービスの紹介等、サブスクリプションサービスの利用を促すメッセージの送信を行う。
【0103】
顧客は、サポート端末70からのリテンション活動に対して興味を示した事項について問合せを行う(S24)。サポート端末70を操作する担当者は、当該問合せに対して応答する(S25)。
【0104】
また、サポート端末70を操作する担当者は、顧客から問合せを受け付けた場合、リテンション活動に限らず問合せ情報43にエントリを追加して、問合せ情報43を更新する(S26)。サポート端末70を操作する担当者は、問合せを受け付けた顧客IDから、問合せ情報43を検索し、問合せを受け付けた日時431と、問合せの区分432や、対応に要した日数433等を書き込む。なお、指数434や設定値435はリカーリングサーバ10が設定するようにしてもよい。
【0105】
そして、リカーリングサーバ10は、問合せ情報43の更新を契機として、当該顧客IDのCPP情報41を更新する(S27)。
【0106】
以上により、CPP情報41に基づいてサブスクリプションサービスの利用頻度が低い顧客を抽出し、サポート端末70によってプロアクティブなリテンション活動を実施することで、既存顧客の退会を抑制することが可能となる。
【0107】
図14は、CPP管理部21で行われるCPP情報41の更新処理の一例を示すフローチャートである。CPP情報41の更新処理は、貢献度情報42~アクションポイント48の何れかが更新されたタイミングや、所定の周期(月末毎)等、予め設定されたタイミングで実行される。
【0108】
CPP管理部21は、契約情報データベース31を参照して現在契約中の顧客IDを抽出し、契約中の顧客の更新回数を取得し、CPP情報41の更新回数411の設定値のエントリに格納する(S31)。
【0109】
CPP管理部21は、現在契約中の顧客IDに対応する問合せ情報43を抽出し、該当する顧客の問合せ情報43の設定値435の合計を取得して、CPP情報41の問合せ412の設定値のエントリに格納する(S32)。
【0110】
CPP管理部21は、現在契約中の顧客IDに対応するコミュニティ参加情報44を抽出し、該当する顧客のコミュニティ参加情報44の設定値444の合計を取得して、CPP情報41のコミュニティ参加413の設定値のエントリに格納する(S33)。
【0111】
CPP管理部21は、現在契約中の顧客IDに対応するアンケート情報45を抽出し、該当する顧客のアンケート情報45の設定値453の合計を取得して、CPP情報41のアンケート回答414の設定値のエントリに格納する(S34)。
【0112】
CPP管理部21は、現在契約中の顧客IDに対応する貢献度情報42を抽出し、該当する顧客の貢献度情報42の設定値424の合計を取得して、CPP情報41の入会貢献度415の設定値のエントリに格納する(S35)。
【0113】
CPP管理部21は、現在契約中の顧客IDに対応する顧客特性情報467を抽出し、該当する顧客の顧客特性情報46の設定値464の合計を取得して、CPP情報41の顧客特性416の設定値のエントリに格納する(S36)。
【0114】
CPP管理部21は、現在契約中の顧客IDに対応する利用情報47を抽出し、該当する顧客の利用情報47の設定値474の合計を取得して、CPP情報41の利用状況417の設定値のエントリに格納する(S37)。
【0115】
CPP管理部21は、現在契約中の顧客IDに対応するアクションポイント48を抽出し、該当する顧客のアクションポイント48の設定値485の合計を取得して、CPP情報41のアクションポイント418の設定値のエントリに格納する(S38)。
【0116】
CPP管理部21は、各顧客のCPP情報41について、更新回数411~アクションポイント418の各フィールドに予め設定された重みに上記格納した設定値を乗じて、評点を算出する。
【0117】
そして、CPP管理部21は、更新回数411~アクションポイント418の各フィールドの評点の総和を合計419に設定し(S39)、この合計419の値を優良顧客指数CPPとする(S40)。
【0118】
上記ステップS31~S40の処理は、現在契約中の全ての顧客について繰り返して実施され、CPPデータベース40の貢献度情報42~アクションポイント48の値に基づいて各顧客のCPP情報41が更新される。
【0119】
以上のように、顧客のサブスクリプションサービスの利用状況や、顧客のコミュニティへの参加状況や、顧客からの問合せやアンケートの回答等、顧客のサブスクリプションサイト1に対する関わり方に応じてCPP情報41の合計419が算出され、優良顧客指数CPPとして利用することができる。
【0120】
図15は、課金管理部26で行われる課金処理の一例を示すフローチャートである。課金処理は、所定の周期(月末毎)等、予め設定されたタイミングで実行される。
【0121】
課金管理部26は、契約情報データベース31から課金対象の契約がある顧客IDを取得し、課金データベース34から各顧客IDの課金情報を取得する(S41)。次に、課金管理部26は、課金対象の顧客IDのCPP情報41の評点のエントリから合計419を取得して優良顧客指数CPPとする(S42)。
【0122】
次に、課金管理部26は、対象とする顧客IDの課金情報に従量課金制のサービスがあるか否かを判定し(S43)、従量課金制サービスがあればステップS44へ進み、そうでない場合にはステップS47へ進む。
【0123】
ステップS44では、課金管理部26が、課金情報から顧客が利用したサービスの従量単価を取得し、優良顧客指数CPPに応じた従量単価を算出する。従量単価は、例えば、従量単価=基本重量単価-優良顧客指数CPP
から算出することができる。
【0124】
上記では、優良顧客指数CPPに応じた金額を差し引く例を示すが、これに限定されるものでな優良顧客指数CPPが増大するにつれて従量単価が低減されればよい。また、従量単価は予め設定された下限単価未満には減額されない。
【0125】
次に、課金管理部26は、利用状況データベース32から顧客の従量課金制サービスの使用量を取得し(S45)、使用量に上記従量単価を乗じて従量料金を算出する(S46)。
【0126】
ステップS47では、優良顧客指数CPPに応じた月額料金を上述のように算出し、従量料金がある場合には、月額料金に従量料金を加算したものを請求額として算出する。そして、課金管理部26は、顧客毎に算出した請求額を決済サーバ60に送信して、利用料金の回収を依頼する(S48)。
【0127】
上記ステップS41~S48の処理は、課金対象の顧客について繰り返して実施され、CPP情報41の優良顧客指数CPP(合計419)の値に応じた請求額が算出される。
【0128】
図16は、新規顧客の勧誘と課金状況の一例を示す図である。図示の例は、顧客Aが、4月中旬にサブスクリプションサービスへ入会し、9月中旬に退会する。また、顧客Aは6月中旬に顧客Bを勧誘して入会させる。
【0129】
また、リカーリングサーバ10は、毎月月初に契約を更新し、CPP管理部21は、更新回数の増大に応じて優良顧客指数CPPを更新する。
【0130】
4月に入会した顧客Aは、毎月の月初に契約を更新することで毎月優良顧客指数CPPが増大する。これにより、顧客Aの月額料金は優良顧客指数CPPに応じて減額され、サブスクリプションサービスの利用を継続していくと、最終的に下限料金まで減額されることになる。
【0131】
顧客Aは、6月中旬に顧客Bを勧誘してサブスクリプションサービスへ入会させた。リカーリングサーバ10は、入会時点の顧客Aの優良顧客指数CPPを、新規入会の顧客Bに付与する。顧客Bは、入会当初から顧客Aと同様の月額料金の減額サービスを受けることができる。
【0132】
顧客Bを勧誘した既存の顧客Aには、新規入会に対する貢献度が付与されて、貢献度に応じて優良顧客指数CPPが増大する。さらに、既存の顧客Aは、顧客Bの新規入会に対するボーナスとして、1ヶ月間の月額料金が無料になる特典を得ることができる。
【0133】
以上のように、本実施例のリカーリングサーバ10は、顧客毎にサブスクリプションサービスの利用の履歴情報や、サブスクリプションサイト1が提供するコミュニティでの活動の履歴情報を蓄積し、これらの履歴情報から優良顧客指数CPPを算出し、所定期間のサブスクリプションサービスの利用料金(定額料金)を優良顧客指数CPPの値に応じて減額することで顧客毎に特典を付与し、継続利用を促すことができる。
【0134】
また、優良顧客指数CPPや、優良顧客指数CPPを算出するCPP情報41の評点(利用の履歴)を監視することで、サブスクリプションサービスの利用が少ない顧客や、サブスクリプションサイト1に対する活動が少ない顧客を抽出することができ、これらの顧客に対してリテンション活動を実施することで既存顧客の維持を促進できる。
【0135】
また、リカーリングサーバ10では、既存の顧客が新たな顧客を入会させると、既存の顧客に第1の特典(貢献度の加算又は定額料金の減額)を付与し、さらに、新規顧客に第2の特典(優良顧客指数CPPの付与)を付与することで、既存の顧客による新規顧客の獲得を推進することができ、サブスクリプションサイト1では新規顧客の獲得コストを削減することが可能となる。
【0136】
なお、上記実施例では、新たな顧客を入会させた既存の顧客にCPP管理部21が貢献度情報42に貢献度を加算して優良顧客指数CPPを増大させて、さらに、所定期間の定額料金を減額(無料や半額)する例を示したが、勧誘した既存顧客に与える特典(第1の特典)は、貢献度を加算又は定額料金の減額の何れか一方であってもよい。
【0137】
なお、上記実施例では、リカーリングサーバ10内に、契約情報データベース31と、利用状況データベース32と、顧客情報データベース33と、課金データベース34と、コミュニティデータベース35と、サポートデータベース36を保持する例を示したが、これに限定されるものではない。契約情報データベース31~サポートデータベース36は、リカーリングサーバ10の外部の計算機で保持するようにしてもよい。
【0138】
また、既存のサブスクリプションサイト1に、CPP情報41を顧客毎に算出して定額料金を優良顧客指数CPPに応じて減額するリカーリングサーバ10を付加するようにしてもよい。
<結び>
【0139】
以上のように、上記実施例のリカーリングプライシング基盤は、以下のような構成とすることができる。
【0140】
(1)プロセッサ(11)と、メモリ(12)を有する計算機(リカーリングサーバ10)が、サブスクリプションサービスを利用する顧客を管理するリカーリングプライシング基盤であって、前記顧客毎に前記サブスクリプションサービスを利用した履歴を蓄積する利用履歴情報(問合せ情報43、コミュニティ参加情報44、アンケート情報45、顧客特性情報46、利用情報47)と、前記顧客毎に前記サブスクリプションサービスへ貢献した際の貢献度を蓄積する貢献度情報(42)と、前記利用履歴情報(43~47)と前記貢献度情報(42)を読み込んで、前記顧客ごとに優良顧客指数(CPP)を算出する顧客管理部(CPP管理部21)と、前記顧客毎に前記サブスクリプションサービスの所定期間毎の利用料金を決定する課金管理部(26)と、を有し、前記課金管理部(26)は、前記所定期間毎の定額料金を前記優良顧客指数CPPに応じて減額した金額を前記所定期間の利用料金として算出することを特徴とするリカーリングプライシング基盤。
【0141】
上記構成により、顧客のサブスクリプションサービスの利用の履歴や貢献度に応じて優良顧客指数CPPを算出し、利用料金を優良顧客指数CPPの値に応じて減額することで継続利用を促すことができる。
【0142】
(2)上記(1)に記載のリカーリングプライシング基盤であって、前記顧客管理部(21)は、既存の顧客が新規顧客を入会させた通知を受け付けると、前記既存の顧客に第1の特典(貢献度情報42の加算又は定額料金の減額)を付与し、前記新規顧客に第2の特典(優良顧客指数CPPの加算)を付与することを特徴とするリカーリングプライシング基盤。
【0143】
上記構成により、既存の顧客が、新たな顧客を入会させると、既存の顧客と新規顧客の双方に特典を付与することで、新規顧客の獲得コストを削減することが可能となる。
【0144】
(3)上記(2)に記載のリカーリングプライシング基盤であって、前記第1の特典は、前記既存の顧客の前記貢献度情報に所定の貢献度を加算又は前記所定期間の定額料金を所定金額だけ減額の少なくとも一方であって、前記第2の特典は、前記新規顧客を入会させた既存の顧客の優良顧客指数を、当該新規顧客に付与することを特徴とするリカーリングプライシング基盤。
【0145】
上記構成により、既存の顧客が新たな顧客を入会させると、既存の顧客には貢献度が加算され、新規顧客には優良顧客指数CPPが加算されることで、新規顧客の獲得コストを削減することが可能となる。
【0146】
(4)上記(1)に記載のリカーリングプライシング基盤であって、前記サブスクリプションサービスの顧客のうち、前記優良顧客指数CPPが所定値以下の顧客を抽出し、抽出した顧客をリテンションの対象として出力するサポート管理部(23)を、さらに有することを特徴とするリカーリングプライシング基盤。
【0147】
上記構成により、優良顧客指数CPPや、優良顧客指数CPPを算出するCPP情報41の評点(利用の履歴)を監視することで、サブスクリプションサービスの利用が少ない顧客や、サブスクリプションサイト1に対する活動が少ない顧客を抽出することができ、これらの顧客に対してプロアクティブなリテンション(サポート)活動を実施することで既存顧客の維持を促進できる。
【0148】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、又は置換のいずれもが、単独で、又は組み合わせても適用可能である。
【0149】
また、上記の各構成、機能、処理部、及び処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、及び機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0150】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0151】
1 サブスクリプションサイト
10 リカーリングサーバ
11 プロセッサ
12 メモリ
13 通信インタフェース
14 入出力装置
15 ストレージ装置
21 CPP管理部
22 サブスクリプション提供部
23 サポート管理部
24 コミュニティ管理部
25 契約管理部
26 課金管理部
31 契約情報データベース
32 利用状況データベース
33 顧客情報データベース
34 課金データベース
35 コミュニティデータベース
36 サポートデータベース
40 CPPデータベース
41 CPP情報
42 貢献度情報
43 問合せ情報
44 コミュニティ参加情報
45 アンケート情報
46 顧客特性情報
47 利用情報
48 アクションポイント
50 クライアント端末
60 決済サーバ