(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】反射性側面コーティングを伴う発光デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/64 20100101AFI20230517BHJP
H01L 33/60 20100101ALI20230517BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20230517BHJP
【FI】
H01L33/64
H01L33/60
H01L33/50
(21)【出願番号】P 2019504027
(86)(22)【出願日】2017-07-28
(86)【国際出願番号】 US2017044428
(87)【国際公開番号】W WO2018023027
(87)【国際公開日】2018-02-01
【審査請求日】2020-07-22
(32)【優先日】2016-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2017-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500507009
【氏名又は名称】ルミレッズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ロー,ルエン-チィン
(72)【発明者】
【氏名】ヒン,ツェ-ヤン
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-072471(JP,A)
【文献】国際公開第2011/099384(WO,A1)
【文献】特開2010-157638(JP,A)
【文献】特開2015-038963(JP,A)
【文献】特開2010-192629(JP,A)
【文献】特開2012-119673(JP,A)
【文献】国際公開第2014/091914(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0001148(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光デバイスを製造する方法であって、
サポートの上に発光ダイオード(LED)ダイを置くステップであり、前記LEDダイは、
半導体構造体と、
前記半導体構造体の上に形成された波長変換エレメントと、
を含む、ステップと、
前記半導体構造体の周囲に絶縁性側面コーティングを形成するステップと、
前記波長変換エレメントの周囲で、かつ、前記絶縁性側面コーティングの上にスタックして反射性側面コーティングを形成するステップであり、
該反射性側面コーティングは、前記波長変換エレメントの第1表面と同一平面である第1表面を有しており、かつ、
前記反射性側面コーティングの底面は、前記絶縁性側面コーティングの上面に配置されている、
ステップと、
を
含み、
前記絶縁性側面コーティングを形成するステップは、
前記LEDダイの上に第1ステンシルを置くステップであり、該第1ステンシルは前記LEDダイの周囲にトレンチを形成する、ステップと、
前記トレンチの中へ絶縁材料を注入するステップと、
前記絶縁材料が前記半導体構造体の1つまたはそれ以上の側壁に向かって拡がることができるように前記第1ステンシルを取り除くステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記トレンチは、前記半導体構造体の高さよりも深く、かつ、
前記絶縁材料は、前記第1ステンシルが取り除かれたときに前記半導体構造体の1つまたはそれ以上の側面を実質的にカバーするために十分な量が注入されている、
請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記反射性側面コーティングを形成するステップは、
前記LEDダイの上に第2ステンシルを置くステップであり、該第2ステンシルは前記LEDダイの周囲にトレンチを形成する、ステップと、
前記トレンチの中へ反射材料を注入するステップと、
前記反射材料が前記波長変換エレメントの1つまたはそれ以上の側面に向かって拡がることができるように前記第2ステンシルを取り除くステップと、
を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記反射材料は、前記第2ステンシルが取り除かれたときに、前記波長変換エレメントの表面の上にオーバーフローすることなく、前記波長変換エレメントの1つまたはそれ以上の側面を実質的にカバーするために十分な量が注入されている、
請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記反射性側面コーティングは、少なくとも200W/mKの熱伝導率を有し、かつ、銀を含む、
請求項
1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明開示は、一般的に発光デバイスに関する。そして、より特定的には、反射性側面コーティングを伴う発光デバイスパッケージに関する。
【0002】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2016年7月28日に出願された米国仮特許出願第62/368067号、2016年7月28日に出願された欧州特許出願第16190895.9号、および2017年7月27日に出願された米国特許出願第15/661196号について優先権を主張するものであり、これらは完全に明らかにされているかのように参照として包含されている。
【背景技術】
【0003】
発光ダイオード(「LED」)は、一般的に、様々なアプリケーションにおいて光源として使用されている。LEDの主要な機能部分は、相対する導電型(p型およびn型)の2つの注入層(injecting layers)、および、キャリア(carriers)の注入が行われる放射再結合(radiative recombination)に係る発光活性層を含む半導体チップであろう。半導体チップは、たいてい、振動および熱的ダメージに対する保護に加えて、LEDチップと外界との間の電気的接続を提供するパッケージの中に置かれている。
【0004】
LEDパッケージングは、LEDデバイスの動作の最中に生成される熱を除去することにおいて重要な役割を果たすことができる。貧弱な放熱は、LEDデバイスを過度の熱ストレス(excessive thermal stress)の下に置き、そして、パフォーマンスにおいて厳しい影響を有する可能性がある。過度の熱ストレスは、LEDデバイスの寿命を短くし、そして、様々なタイプの障害を引き起こす可能性がある。色のドリフト、LEDデバイスにおいて見られるレンズの透明性の低下、および、量子効率(quantum efficiency)の低下、といったものである。LEDに対して供給される電力の大部分は熱に変換されるので、信頼性のあるパフォーマンスを保証するために、この熱が環境の中へと効率的に放散されることが非常に重要である。
【0005】
従って、効率的な熱放散を提供する改善されたLEDパッケージデザインに対する必要性が存在している。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、この必要性を取り扱う。本開示の態様に従って、発光デバイスが開示される。本デバイスは、n型層とp型層との間に配置された活性領域を有する半導体構造体と、半導体構造体の上に形成された波長変換器と、半導体構造体の周囲に形成された絶縁性側面コーティングと、絶縁性側面コーティングの上で波長変換器の周囲に形成された反射性側面コーティングであり、波長変換器の上面と同一平面である上面を有している、反射性側面コーティングと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
以下に説明する図面は、例示目的のためだけのものである。図面は、本開示の範囲を限定するように意図されたものではない。図において示されている類似の参照文字は、様々な実施形態において同じパーツを示している。
【
図1】
図1は、本開示の態様に従った、発光デバイスに係る一つの例の断面図である。
【
図2】
図2は、本開示の態様に従った、発光デバイスから外への熱の流れを示している、
図1の発光デバイスに係る断面図である。
【
図3A】
図3Aは、本開示の態様に従った、発光デバイスの製造のためのプロセスに係る一つの例のフローチャートである。
【
図3B】
図3Bは、本開示の態様に従った、
図3Aのプロセスにおける一つのステップを説明する模式図である。
【
図3C】
図3Cは、本開示の態様に従った、
図3Aのプロセスにおける一つのステップを説明する模式図である。
【
図3D】
図3Dは、本開示の態様に従った、
図3Aのプロセスにおける一つのステップを説明する模式図である。
【
図3E】
図3Eは、本開示の態様に従った、
図3Aのプロセスにおける一つのステップを説明する模式図である。
【
図4A】
図4Aは、本開示の態様に従った、発光デバイスに係る一つの例の模式的な断面図である。
【
図4B】
図4Bは、本開示の態様に従った、
図4Aの発光デバイスに係る模式的な上面図である。
【
図4C】
図4Cは、本開示の態様に従った、
図4Aの発光デバイスに係る模式的な上面図である。
【
図4D】
図4Dは、本開示の態様に従った、
図4Aの発光デバイスに係る模式的な上面図である。
【
図5】
図5は、本開示の態様に従った、発光デバイスから外への熱の流れを示している、
図4Aの発光デバイスに係る断面図である。
【
図6A】
図6Aは、本開示の態様に従った、発光デバイスの製造のためのプロセスに係る一つの例のフローチャートである。
【
図6B】
図6Bは、本開示の態様に従った、
図6Aのプロセスにおける一つのステップを説明する模式図である。
【
図6C】
図6Cは、本開示の態様に従った、
図6Aのプロセスにおける一つのステップを説明する模式図である。
【
図6D】
図6Dは、本開示の態様に従った、
図6Aのプロセスにおける一つのステップを説明する模式図である。
【
図6E】
図6Eは、本開示の態様に従った、
図6Aのプロセスにおける一つのステップを説明する模式図である。
【
図6F】
図6Fは、本開示の態様に従った、
図6Aのプロセスにおける一つのステップを説明する模式図である。
【
図6G】
図6Gは、本開示の態様に従った、
図6Aのプロセスにおける一つのステップを説明する模式図である。
【
図6H】
図6Hは、本開示の態様に従った、
図6Aのプロセスにおける一つのステップを説明する模式図である。
【
図6I】
図6Iは、本開示の態様に従った、
図6Aのプロセスにおける一つのステップを説明する模式図である。
【
図6J】
図6Jは、本開示の態様に従った、
図6Aのプロセスにおける一つのステップを説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の態様に従って、発光半導体構造体および半導体構造体の上に形成された波長変換器を含む発光デバイスが開示される。半導体構造体は、少なくとも部分的に絶縁性側面コーティング(insulating side coating)によって取り囲まれている。波長変換器は、絶縁性側面コーティングの上に形成された反射性側面コーティング(reflective side coating)によって少なくとも部分的に取り囲まれている。反射性コーティングは波長変換器と熱的に接触しているので、反射性側面コーティングは、波長変換器から周囲環境への熱伝達のための別の経路(path)を提供する。
【0009】
本開示の態様に従って、反射性側面コーティングは、波長変換器をオーバーヒートから保護するのに役立ち得る。オーバーヒートは、一般的に、波長変換器の色ずれ(color drift)を生じさせ、そして、その有効寿命を短くすることがある。波長変換器から効率的に熱を連れ去ることによって、反射性側面コーティングは、波長変換器の有効寿命を延ばし、かつ、その故障(failing)の可能性を低減することができる。
【0010】
本開示の態様に従って、絶縁性側面コーティングは、反射性側面コーティングが半導体構造体を短絡させるのを防止する。絶縁性側面コーティングは、低い熱伝導率を有する誘電材料で形成されてよい。反射性側面コーティングは、導電性であってよく、そして、高い熱伝導性を有してよい。絶縁性側面コーティングの上に反射性側面コーティングをスタックすること(stacking)によって、波長変換器のための放熱面として動作する複合コーティング構造が形成され、一方で、また、発光デバイスの半導体構造体のための電気絶縁も提供している。
【0011】
本開示の態様に従って、絶縁性側面コーティングおよび反射性側面コーティングは、スケーラブル(scalable)かつ費用効率が高いプロセスにおいて適用され得る。第1側面コーティングは、半導体構造体および波長変換器を含むLEDダイの周囲に第1ステンシルを配置することによって提供することができる。ステンシルは、LEDダイの周囲に絶縁材料で充填される第1トレンチを画定することができる。第1トレンチの中に絶縁材料が注入された後で、第1ステンシルが取り除かれる。第1ステンシルが取り除かれるとき、絶縁材料は、もはや第1トレンチの中に含まれていない。その結果として、絶縁材料は、毛細管現象によってLEDダイの壁の上へ引き寄せられて、絶縁性側面コーティングを形成する。
【0012】
絶縁性側面コーティングが少なくとも部分的に形成された後で、第2ステンシルがLEDダイの上へ置かれる。第2ステンシルは、LEDダイの周囲に反射材料で充填された第2トレンチを画定する。反射材料が第2トレンチの中に注入された後で、第2ステンシルは取り除かれる。第2ステンシルが取り除かれるとき、反射材料は、もはや第2トレンチの中には含まれていない。その結果として、反射材料は、毛細管現象によってLEDダイの壁に引き寄せられる。
【0013】
本開示の態様に従って、反射材料は、絶縁材料がLEDダイの壁の上に引き寄せられるときに、LEDダイの半導体構造体を実質的にカバーするのに十分な量で適用されてよい。さらに、反射材料は、毛細管によって反射材料がLEDダイの壁の上に引き寄せられるときに、波長変換器の上面の上にオーバーフローすることなく、LEDダイの波長変換器の壁を実質的にカバーするのに十分な量で適用されてよい。
【0014】
本開示の態様に従って、第1ステンシルは第2ステンシルと異なってよい。例えば、第2ステンシルによって画定される第2トレンチは、第1トレンチよりも深くてよい。さらに、第2トレンチはLEDダイの高さよりも深くてよく、第2ステンシルが取り除かれたときに、反射材料がLEDダイの高さまで定着する(settle down)ことができる。別の言葉で言えば、第1ステンシルが取り除かれ、かつ、絶縁材料が定着したときに、LEDダイの半導体構造体の側面をカバーするのに十分な量の絶縁材料の適用が可能であるように、第1トレンチがサイズ決めされてよい。同様に、第2ステンシルが取り除かれ、かつ、反射材料が定着したときに、LEDダイの波長変換器の側面をカバーするのに十分な量の反射材料の適用が可能であるように、第2トレンチがサイズ決めされてよい。
【0015】
本開示の態様に従って、発光デバイスが開示される。本発光デバイスは、n型層とp型層との間に配置された活性領域を有する半導体構造体、半導体構造体の上に形成された波長変換器、半導体構造体の周囲に形成された絶縁性側面コーティング、および絶縁性側面コーティングの上でLEDダイの周囲に形成された反射性側面コーティング、を含む。反射性側面コーティングは、波長変換器の上面と同一平面である上面を有している。
【0016】
本開示の態様に従って、発光デバイスが開示される。本発光デバイスは、半導体構造体および半導体構造体の上に形成された波長変換器を含むLEDダイと、LEDダイの周囲に形成された絶縁性側面コーティングであり、反射粒子で充填された第1バインダー材料を含む絶縁性側面コーティングと、絶縁性側面コーティングの上でLEDダイの周囲に形成された反射性側面コーティングであり、金属粉末で充填された第2バインダー材料を含み、波長変換器に対して熱結合されており、かつ、波長変換器の上面と同一平面である上面を有している反射性側面コーティングと、を含む。
【0017】
本開示の態様に従って、発光ダイオード(LED)パッケージを製造する方法が開示される。本方法は、サポートの上に発光ダイオード(LED)ダイを置くステップであり、LEDダイは、n型層とp型層との間に配置された活性領域を有する半導体構造体と、半導体構造体の上に形成された波長変換器とを含む、ステップと、半導体構造体の周囲に絶縁性側面コーティングを形成するステップと、絶縁性側面コーティングの上で波長変換器の周囲に反射性側面コーティングを形成するステップであり、反射性側面コーティングは、波長変換器の上面と同一平面である上面を有している、ステップと、を含む。
【0018】
異なるLEDパッケージの実施例が、添付の図面を参照して、以下により完全に説明される。これらの例は、相互に排他的なものではなく、そして、1つの例において見られる特徴は、追加的な実施を達成するように、1つまたはそれ以上の他の例に見られる特徴と組み合わせることができる。従って、添付の図面に示された実施例は、例示目的のためだけに提供されていること、および、決して本開示を限定するように意図されたものではないことが理解されるだろう。全体を通して、同様な番号は同様なエレメントを指している。
【0019】
第1(first)、第2(second)、等の用語は様々なエレメントを説明するためにここにおいて使用され得るが、これらのエレメントは、これらの用語によって限定されるべきではないことが理解されよう。これらの用語は、あるエレメントを他のエレメントから区別するために使用されているだけである。例えば、本発明の範囲から逸脱することなく、第1エレメントを第2エレメントと呼び、そして、同様に第2エレメントを第1エレメントと呼ぶことができるだろう。ここにおいて使用される際に、用語「および/または(”and/or”)」は、関連する列挙された項目のうち1つまたはそれ以上のあらゆる全ての組合せを含んでいる。
【0020】
層、領域、または基板といったエレメントが、別のエレメントの「上に(”on”)」存在しており、または「上へと(”onto”)」延在しているものとして言及されるときに、そのエレメントは、他のエレメントの直接的に上に存在し、または、直接的に上へと延在することができ、もしくは、介在するエレメントも、また、存在し得ることが理解されよう。対照的に、あるエレメントが別のエレメントの「直接的に上に(”directly on”)」存在しており、または、「直接的に上へと(”directly onto”)」延在しているものとして言及されるときには、介在するエレメントが存在しない。あるエレメントが別のエレメントに対して「接続(”connected”)」または「結合(”coupled”)」されてものとして言及されるときに、そのエレメントは、他のエレメントに対して直接的に接続または結合されることができ、もしくは、介在するエレメントが存在し得ることも、また、理解されよう。対照的に、あるエレメントが別のエレメントに対して「直接的に接続(”directly connected”)」または「直接的に結合(”directly coupled”)」されているものとして言及されるときには、介在するエレメントが存在しない。これらの用語は、図において示されている任意の向きに加えて、エレメントの異なる向きを包含するように意図されていることが理解されよう。
【0021】
「下に(”below”)」、または「上に(”above”)」、または「上方(”upper”)」、または「下方(”lower”)」、または「水平(”horizontal”)」、または「垂直(”vertical”)」といった相対語(relative terms)が、図で説明されるように、あるエレメント、層、または領域の別のエレメント、層または領域に対する関係を説明するために、ここにおいて使用されてよい。これらの用語は、図に示された向きに加えて、デバイスの異なる向きを包含するように意図されていることが理解されよう。
【0022】
図1は、本開示の態様に従った、発光デバイス100のチップスケールパッケージ(chip scale package、CSP)に係る一つの例の断面図である。図示されるように、デバイス100は、接合パッド104-1および104-2に対して結合された半導体構造体106、半導体構造体106の上に形成された透明基板、および、透明構造体の上に形成された波長変換器110を含んでいる、LEDダイ102を有する。
【0023】
図2は、
図1のデバイス100の断面図であり、デバイス100が、プリント回路基板(PCB)200といったサポートに取り付けられる際に、デバイス100からの熱の放散を示している。図示されるように、デバイス100の通常動作の最中に、波長変換器110は、波長変換器110から、透明基板108を通して、接合パッド104-1および104-2からPCB200の中へと下方に移動する(破線矢印線として示されている)熱を発生する。絶縁性側面コーティング112は熱伝導率が低いので、絶縁性側面コーティング112を通じて逃げる熱は極めて少ない。例えば、シリコーン(silicone)/TiO
2反射性側面コーティング112は、0.8から0.9W/mKの熱伝導率を有している。従って、デバイス100のサイズがより小さくなると、波長変換器110および/またはLEDダイ102がオーバーヒートするのを防ぐためには、波長変換器110によって生成された熱を放散するための追加的な熱経路が必要とされる。
【0024】
図3Aは、本開示の態様に従った、
図1のデバイス100といった、発光デバイスを製造するためのプロセス300のフローチャートである。プロセス300は、
図3B-3Eに関連して説明されており、それらは、発光デバイスが受ける異なる製造段階を説明している断面図である。
【0025】
ステップ310においては、
図3Bに示されるように、LEDダイ102がサポート304に対して取り付けられる。サポート304は、接着テープ及び/又はあらゆる他の適切なタイプのサポートを含んでよい。ステップ320においては、
図3Cに示されるように、LEDダイ102をカバーするためにオーバーモールド308が形成される。ステップ330においては、
図3Dに示されるように、LEDダイ102の波長変換器110を露出させるためにオーバーモールドが取り除かれる。いくつかの実施形態においては、過剰なモールド材料を取り除くために、マイクロビードブラスト(WMBB)といった、湿式ショットブラスト(wet abrasive blasting)312が使用されてよい。ショットブラストの結果として、
図3Eに示されるように、波長変換器110それぞれの上に表面316が形成され得る。ステップ340においては、LEDダイ102が、互いに、そして、サポート304から分離される。
【0026】
WMBBといった、湿式ショットブラスト技術は、水圧、ビードサイズ、およびスラリー混合物(slurry mixture)についてパラメータウィンドウが狭いことがあり、そのことが波長変換器110上に平坦な表面を提供することを困難にさせることがある。この点について、
図3Eは、これらのパラメータが正確に制御されていない場合の表面316に対する効果を示している。
図3Eに示されるように、1つまたはそれ以上のマイクロブラストパラメータが正確に制御されていない場合には、表面316が粗く、そして、不均一になる可能性があり、そのことは、今度は、LEDダイ102にそれらのターゲット仕様とは異なる色を生成するようにさせてしまうことがある。
【0027】
図4Aは、本開示の態様に従った、発光デバイス400のチップスケールパッケージ(CSP)の一つの例の断面図である。図示されるように、デバイス400は、絶縁性側面コーティング412および反射性側面コーティング414によって少なくとも部分的に取り囲まれたLEDダイ402を含んでいる。反射性側面コーティング414は、図示されるように、絶縁性側面コーティング412の上に形成されている。
【0028】
LEDダイ402は、接合404-1および404-2に対して結合された半導体構造体406を含んでいる。LEDダイ402は、また、半導体構造体406と波長変換器410との間に配置された透明基板408を含んでいる。本実施例において、LEDダイ412はフリップチップ(flip chip)コンフィグレーションを有しているが、LEDダイ412があらゆる他の適切なタイプのコンフィグレーションを有する代替的な実施形態も可能である。
【0029】
半導体構造体406は、透明基板408上でエピタキシャル成長した半導体光源であってよい。半導体構造体406は、n型層とp型層との間に挟まれた活性層を含み得る。適切な電圧が接合404-1および404-2に対して適用されるとき、電荷キャリア(charge carriers)が活性層の中で結合し、そして、その結果として光を放射する。いくつかの実施形態において、半導体構造体406は、過渡電圧抑制(transient voltage suppression)のための回路といった、追加の回路を含んでよい。
【0030】
透明基板408は、サファイア基板であってよい。しかしながら、あらゆる他の適切なタイプの基板が代わりに使用される代替的な実施態様が可能である。本実施例において、基板408は透明であるが、基板408が不透明である代替的な実施形態が可能である。
【0031】
波長変換器410は、半導体構造体406によって放射される光の周波数を変えるように構成された任意の適切なタイプの材料を含んでよい。例えば、波長変換器410は、蛍光体コーティングまたはセラミック蛍光体プレートを含んでよい。動作中に、波長変換器は、半導体構造体406によって放射される青色光を白色光へ変換することができる。
【0032】
絶縁性側面コーティング412は、半導体構造体406を反射性側面コーティング414から電気的に絶縁することができる、あらゆる適切なタイプの誘電材料を含んでよい。いくつかの実施形態において、絶縁性側面コーティング412は、反射粒子(reflective particles)で充填されたバインダー材料(binder material)を含んでよい。例えば、絶縁性側面コーティング412は、TiO2と混合されたシリコーン(silicone)または白い半田マスク(white solder mask)を含み得る。別のものとして、絶縁性側面コーティング412は、TiO2または白い半田マスクと混合されたエポキシを含み得る。いくつかの実施形態において、絶縁性側面コーティング412は、反射性側面コーティング414が半導体構造体406を短絡(shorting)させるのを防ぐために、半導体構造体406に係る406-1の側面を実質的にカバーしてよい。
【0033】
反射性側面コーティング414は、波長変換器410から熱を逃がすことができる、あらゆる適切なタイプの材料を含んでよい。いくつかの実施形態において、反射性側面コーティングは、銀といった、金属を含んでよい。追加的または代替的に、いくつかの実施形態において、反射性側面コーティング414は、金属粉末(metal power)で充填されたバインダー材料を含んでよい。例えば、反射性側面コーティング414は、溶媒、バインダー、および、絶縁性側面コーティング412及び/又は波長変換器410に対する接着を促進する添加剤、を含む銀ペースト材料で形成されてよい。
【0034】
いくつかの実施形態において、反射性側面コーティング414は、絶縁性側面コーティングよりも実質的に高い熱伝導率(thermal conductivity)を有してよい。例えば、絶縁性側面コーティング412は、それがTiO2で充填されたシリコーンで形成されている場合、0.8から0.9の熱伝導率を有することができ、一方で、反射側面コーティング414は、それが銀で形成されている場合、少なくとも200W/mKの熱伝導率を有することができる。以下でさらに説明されるように、反射性側面コーティングの高い熱伝導率は、波長変換器410から外への熱の伝達を促進するのに役立ち得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、絶縁性側面コーティング412は誘電体であってよく、一方で、反射性側面コーティングは導電性(electrically conductive)であってよい。その結果として、絶縁性側面コーティング412は、製造の最中に半導体構造体406を短絡から保護することができ、そして、信頼性試験の最中に反射性側面コーティングの材料(例えば、銀)のエレクトロマイグレーション(electro migration)を防止することができる。
【0036】
いくつかの実施形態において、反射性側面コーティング414および絶縁性側面コーティング412の両方は、改善された発光出力(luminous output)のためにLEDダイ402の側面から上部へ光を反射することができる。例えば、反射性側面コーティング414は、少なくとも部分的に銀で形成されているときに、95%の反射率を有する場合である。別の実施例として、絶縁性側面コーティング412は、それがTiO2で充填されたシリコーンで形成されている場合に、90%から94%の反射率を有し得る。
【0037】
いくつかの実施形態において、波長変換器410は、透明基板408の上に延在してよく、それにより、示されるように、波長変換器410の底面410-1の一部を露出させている。その結果として、反射性側面コーティング414は、波長変換器の底面410-1および側面410-2の両方と接触し得る。透明基板408の上で延在するように波長変換器410を配置することは、従って、反射性側面コーティング414と接触するのに利用可能な波長変換器410の表面積を増加することができる。反射性側面コーティング414と接触する表面積の増加は、今度は、波長変換器410から側面コーティング414上へと伝達され得る熱の速度を増加することができる。
【0038】
いくつかの実施形態においては、示されるように、反射性側面コーティング414の上面414-1は、波長変換器410の上面410-3と同一面であり得る。波長変換器410および反射性側面コーティング414をこのようにして配置することは、反射性側面コーティング414が、波長変換器の上面410-3からの光の放射をブロックすることを防ぐことができる。別の言葉で言えば、反射性側面コーティング414が波長変換器410に対して結合される方法は、デバイス400の発光面を最大化し、一方で、また、反射性側面コーティング414と波長変換器410との間に十分な熱結合(thermal coupling)も提供している。
【0039】
図4Bは、本開示の態様に従った、
図4Aのデバイス400に係る上面図である。図示されるように、
図4Bの実施例において、反射性側面コーティング414は、波長変換器410を完全に取り囲んでいる。しかしながら、波長変換器410が反射性側面コーティング414によって部分的にだけ取り囲まれている代替的な実施形態が可能である。
【0040】
図4Cは、本開示の態様に従った、
図4Aのデバイス400に係る上面図であり、その下のエレメントをあらわにするために波長変換器410が取り除かれた状態である。図示されるように、
図4Cの実施例において、反射性側面コーティング414は、透明基板408を完全に取り囲んでいる。しかしながら、波長変換器410が反射性側面コーティング414によって部分的にだけ取り囲まれている代替的な実施形態が可能である。
【0041】
図4Dは、本開示の態様に従った、
図4Aのデバイス400に係る上面図である。
図4Dにおいては、波長変換器410、反射性側面コーティング414、および透明基板408が取り除かれており、それらの下の絶縁性側面コーティング412および半導体構造体406が露出している。図示されるように、本実施例において、絶縁性側面コーティング412は、半導体構造体406を完全に取り囲んでいる。しかしながら、半導体構造体406が絶縁性側面コーティング412によって部分的にだけ取り囲まれている代替的な実施形態が可能である。
【0042】
図5は、
図4Aのデバイス400に係る断面図であり、プリント回路基板(PCB)500といった、サポート上にデバイス400が取り付けられている場合に、デバイス400からの熱の放散を説明している。図示されるように、波長変換器410によって生成される熱(破線矢印線として示されているもの)は、波長変換器410から、透明基板408を通って、接合パッド404-1および404-2からPCB500の中へと下方に移動する。熱は、また、波長変換器410から反射性側面コーティング414を通じて外へ移動する。いくつかの態様においては、反射性側面コーティング414によりもたらされる追加の熱経路によって、オーバーヒートさせることなくデバイス400をより小さくすることができる。
【0043】
図6Aは、本開示の態様に従った、
図4Aのデバイス400といった、発光デバイスの製造のためのプロセスに係る一つの例のフローチャートである。プロセス600は、
図6B-
図6Jに関連して説明されており、それらは、発光デバイスが受ける異なる製造段階を説明している断面図である。
【0044】
ステップ605においては、
図6Bに示されるように、複数のLEDダイ402がサポート604に対して取り付けられる。サポート604は、接着テープ及び/又はあらゆる他の適切なタイプのサポートを含んでよい。
【0045】
ステップ610においては、
図6Cに示されるように、ステンシル608がLEDダイ402の上に置かれる。ステンシル608は、各LEDダイ402の周囲にトレンチ609を画定するステップステンシル(step stencil)であってよい。本開示の態様に従って、ステンシル608は、例えば、電鋳(electroform)ステンシルまたはメッシュステンシルといった、あらゆる適切なタイプのステンシルを含んでよい。
【0046】
ステップ615においては、
図6Cに示されるように、絶縁材料612がステンシル608の上で広げられ、そして、トレンチ609の中へ堆積(deposit)される。絶縁材料612はスクィージー(squeegee)614を使用して堆積させ得る。
図6Dに示されるように、絶縁材料612の適用が完了するとき、トレンチ609は絶縁材料612で充填されることになる。いくつかの実施態様において、絶縁材料612は、反射粒子で充填されたバインダー材料を含んでよい。例えば、絶縁材料612は、TiO
2と混合されたシリコーン(silicone)または白い半田マスクを含み得る。別のものとして、絶縁性側面コーティング612は、TiO
2または白い半田マスクと混合されたエポキシを含み得る。
【0047】
ステップ620においては、
図6Eに示されるように、ステンシル608が取り除かれる。ステンシル608が取り除かれた後、絶縁材料612は、毛細管現象(capillary action)によってLEDダイ402の縁部(edges)まで引き寄せられて、
図6Fに示されるように、半導体構造体406の少なくとも側面をカバーする。
【0048】
ステップ625においては、絶縁性側面コーティング412を形成するために、絶縁材料612が硬化される(cured)。いくつかの実施態様において、絶縁材料612は、摂氏100-150度まで加熱することによって部分的にだけ硬化させることができる。絶縁材料612を部分的に硬化させることは、(
図6Gに示されるように)反射材料628(
図6Gに示す)との接合を可能にすることができる。反射材料が続いて堆積され、そして、硬化される場合である。
【0049】
ステップ630においては、
図6Gに示されるように、ステンシル624がLEDダイ402の上に置かれる。ステンシル624は、各LEDダイ402の周囲にトレンチ626を画定するステップステンシルであってよい。本開示の態様に従って、ステンシル624は、例えば、3次元電鋳(3D electroform)ステンシルまたはメッシュステンシルといった、あらゆる適切なタイプのステンシルを含んでよい。
【0050】
ステップ635においては、反射材料628がステンシル624の上で広げられ、そして、トレンチ626の中へ堆積される。
図6Dに示されるように、反射材料628はスクィージー631を使用してトレンチ626の中へ堆積させ得る。結果として、
図6Hに示されるように、トレンチ626は反射材料628で充填されることになり得る。いくつかの実施態様において、反射材料612は、金属粉末で充填されたバインダー材料を含んでよい。例えば、反射材料628は、溶媒、バインダー、および、絶縁材料612及び/又はLEDダイ402の波長変換器410に対する接着を促進する添加剤、を含む銀ペーストを含んでよい。
【0051】
ステップ640においては、
図6Iに示されるように、ステンシル624が取り除かれる。ステンシルが取り除かれた後、反射材料628は、毛細管現象によってLEDダイ402の縁部まで引き寄せられて、透明基板408および波長変換器410の少なくとも側面をカバーする。
図6Jに示されるように、反射材料628がLEDダイ402の縁部まで引き寄せられた後は、LEDダイ402の上面と同一平面上にある表面が形成され得る。
【0052】
ステップ645においては、反射性側面コーティング414を形成するために、反射材料628が硬化される。いくつかの実施形態においては、任意の溶媒を焼き払い(burn off)、かつ、固い反射性側面コーティング414を形成するために、反射材料628が焼結(sintered)されてよい。反射材料628が銀ペースト反射材料を含むインスタンスにおいては、約220℃の低い焼結温度および約2時間の短い焼結時間を有してよい。追加的または代替的に、いくつかの実施形態において、固い反射性側面コーティング414内に残っている添加剤は、反射性側面コーティング414と透明基板408または波長変換器410との間の接着を促進する。追加的または代替的に、ステップ625において絶縁材料612が部分的にだけ硬化されているインスタンスにおいては、ステップ645において絶縁材料の硬化が完了し得る。いくつかの実施形態において、絶縁材料612および反射材料628の同時硬化は、絶縁性側面コーティング412と反射性側面コーティング414との間のより強い結合を結果として生じ得る。
【0053】
ステップ650においては、LEDダイ402が、お互いに、及び/又は、サポート604から分離される。
図6Jに示されるように、個々のLEDは、ストリート638に沿ってサポート604から個片化され得る。
【0054】
いくつかの実施形態において、トレンチ609は、LEDダイ402の半導体構造体の側面をカバーするために十分な量の絶縁材料612を受け入れるようなサイズにされてよい。追加的または代替的に、トレンチ626は、波長変換器410の上面へとオーバーフローすることなくLEDダイ402の残りの部分をカバーするために十分な量の絶縁材料612を受け入れるようなサイズにされてよい。追加的または代替的に、トレンチ626はトレンチ609より深くてよい。追加的または代替的に、トレンチ609およびトレンチ609のうちいずれかは、LEDダイ402の高さよりも深くてよい。
【0055】
図1-
図6Jは、例としてだけ提供されている。これらの図に関して説明されたエレメントのうち少なくともいくつかは、異なる順序で配置され、組み合わされ、かつ/あるいは、全く省略されてよい。ここにおいて説明された実施例の提供、並びに、「といった(”such as”)」、「例えば(”e.g.”)」、「含む(”including”)」、「いくつかの態様において(”in some aspects”)」、「いくつかの実施形態において(”in some implementations”)」等として表現された句は、開示された発明特定事項(subject matter)を特定の実施例に限定するものとして解釈されるべきものではないことが理解されよう。
【0056】
本発明を詳細に説明してきたが、当業者であれば、本開示を考慮して、ここにおいて説明された発明的概念の精神から逸脱することなく、本発明に対して変更が成され得ることを理解するであろう。従って、本発明の範囲が、図示され、かつ、説明された特定の実施形態に限定されることは意図されていない。