(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】チェックポイント分子を標的とするDNAモノクロナール抗体
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20230517BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20230517BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230517BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230517BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20230517BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230517BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20230517BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20230517BHJP
C12N 15/85 20060101ALN20230517BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61K39/00 H
A61K39/395 T
A61K39/395 V
A61K48/00
A61P35/00
A61P37/04
A61P43/00 105
A61P43/00 121
C12N15/13 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/85 Z
(21)【出願番号】P 2019510581
(86)(22)【出願日】2017-05-05
(86)【国際出願番号】 US2017031440
(87)【国際公開番号】W WO2017193094
(87)【国際公開日】2017-11-09
【審査請求日】2020-05-01
(32)【優先日】2016-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500429103
【氏名又は名称】ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア
(73)【特許権者】
【識別番号】516142001
【氏名又は名称】ザ ウィスター インスティテュート オブ アナトミー アンド バイオロジー
(73)【特許権者】
【識別番号】509320254
【氏名又は名称】イノビオ ファーマシューティカルズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ビー.ウェイナー
(72)【発明者】
【氏名】カルッピア ムツマニ
(72)【発明者】
【氏名】ニランジャン サルデサイ
【審査官】松浦 安紀子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-501535(JP,A)
【文献】国際公開第2016/054555(WO,A2)
【文献】国際公開第2015/089492(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/395
A61K 48/00
A61K 35/76
A61K 39/00
A61K 45/00
A61P 43/00
A61P 35/00
A61P 37/04
C12N 15/13
C12N 15/85
C07K 14/82
C12N 15/62
C07K 16/46
A61K 39/395
A61K 39/00
A61K 48/00
A61P 35/00
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A61P 43/00
C12N 15/13
C12N 15/62
C12N 15/85
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の抗体またはその断片をコードする1つ以上の核酸分子を含み、対象において合成抗体を生成するための組成物であって、
前記1つ以上の抗体または断片が、PD-1を標的とし、
配列番号
1に記載のヌクレオチド配列を含む、前記組成物。
【請求項2】
前記
核酸分子が、改変を受けて、発現ベクターに組み込まれる、請求項
1に記載の組成物。
【請求項3】
抗原をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記抗原が、がん抗原である、請求項
3に記載の組成物。
【請求項5】
医薬として許容可能な賦形剤をさらに含む、請求項1~
3のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
対象における疾患を処置する方法における使用のための、請求項1~
5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記疾患が、がんである、請求項
6に記載の組成物。
【請求項8】
それを必要とする対象において免疫応答を増大させる方法における使用のための、請求項1~
5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物の投与が、電気穿孔する工程を含む、請求項
8に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年5月5日に出願された米国仮出願第62/332,386号の優先権及び利益を主張するものであり、その全内容を、本明細書の一部を構成するものとして援用する。
【0002】
本発明は、免疫チェックポイント分子を標的とする抗体(例えば、PD-1、PD-L1、LAG-3、GITR、CD40、OX40、CTLA-4、TIM-3、4-1BB、及び、これらの組合せ、及び、機能的断片)などの合成抗体の1つ以上を生成するための組換え核酸配列を含む組成物に関し、また、当該組成物を投与することで、対象における、がん、感染症、及び、他の病態を、インビボで、予防、及び/または、治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ワクチンを、個体における免疫応答を刺激するために使用して、特定の疾患に対する保護、及び/または、治療を提供する。幾つかのワクチンは、免疫応答を誘導するための抗原を含む。幾つかの抗原は、強い免疫応答を惹起するが、他の抗原は、弱い免疫応答しか惹起しない。ワクチンにアジュバントを含めることで、抗原に対する弱い免疫応答を、強化することができる。アジュバントは、例えば、アルミニウム塩、油乳濁液、細菌または他の病原体の無菌成分、サイトカインなどの数多くの異なる形態で供給されている。
【0004】
プログラムされた細胞死タンパク質1、別名、PD-1は、288個のアミノ酸の細胞表面タンパク質分子であり、ヒトにおいては、PDCD1遺伝子によってコードされている。このタンパク質は、プロ-B細胞において発現されており、そして、それらの分化に役割を果たすと考えられている。PD1は、268個のアミノ酸のI型の膜タンパク質であり、そして、T細胞レギュレーターの拡大CD28/CTLA-4ファミリーのメンバーである。このタンパク質の構造は、細胞外IgVドメインに続いて、膜貫通領域、及び、細胞内テールを含む。当該細胞内テールは、免疫受容体チロシンをベースにした阻害モチーフ、及び、免疫受容体チロシンをベースにしたスイッチモチーフに位置する2つのリン酸化部位を含んでおり、このことは、PD-1が、TCRシグナルを負に調節することを示唆している。
【0005】
PD-1は、2つのリガンド、PD-L1及びPD-L2を有しており、これらは、B7ファミリーのメンバーである。PD-L1タンパク質は、LPS及びGM-CSF処置に応答してマクロファージ及び樹状細胞(DC)で、ならびに、TCR及びB細胞受容体シグナル伝達時にT細胞及びB細胞に対してアップレギュレートされるが、休止マウスでは、PD-L1 mRNAが、心臓、肺、胸腺、脾臓、及び、腎臓で検出された。PD-L1は、IFN-γで処置した際に、PA1骨髄腫、P815肥満細胞腫、及び、B16メラノーマを含む、ほとんどすべてのマウス腫瘍細胞株で発現する。PD-L2発現は、さらに制限されており、主に、DCと僅かな腫瘍系統で発現する。
【0006】
PD-1、及び、そのリガンドが、免疫応答を負に調節することを示唆する研究がある。PD-1ノックアウトマウスは、C57BL/6、及び、BALB/cバックグラウンドで、それぞれ、ループス様の糸球体腎炎、及び、拡張型心筋症を発症することが示されている。インビトロで、抗-CD3刺激T細胞をPD-L1-Igで処置すると、T細胞増殖とIFN-γ分泌とが低下する。PD-L1のアップレギュレーションは、がんが、宿主免疫系を回避することを可能にし得る。PD-L1発現は、上皮内CD8+ T-リンパ球数と逆相関することが示されており、このことは、腫瘍細胞でのPD-L1が、抗腫瘍CD8+ T細胞を抑制し得ることを示唆している。
【0007】
LAG3及びTIM3は、阻害機能を発揮するTリンパ球の表面上の数多くの受容体分子の一部である。
【0008】
T細胞免疫グロブリンドメイン及びムチンドメイン3(TIM-3、別名、HAVCR2)は、当該HAVCR2遺伝子によってコードされるヒトタンパク質である。TIM-3は、IFNγ産生CD4 Th1、及び、CD8細胞傷害性T細胞の活性化T細胞によって発現されるタンパク質表面受容体である。そのリガンドは、腫瘍微小環境において豊富に発現され、そして、CD4及びCD8 T細胞の細胞死及びT細胞枯渇を誘導するガレクチン-9である。Tim-3が、腫瘍またはウイルス誘導免疫抑制のいずれかでの主要な免疫チェックポイントである証拠は、Tim-3発現CD8 T細胞が、前臨床モデルにおけるCD8 T細胞の最も抑制された集団である、あるいは、機能不全の集団である、との実証に由来する。
【0009】
リンパ球活性化遺伝子3(Lag-3、別名、CD223)は、MHC-II分子に結合し、かつ、阻害シグナルを伝達することが知られている活性化、及び、寛容化T細胞でのみ発現されるIgスーパーファミリーのメンバーである。LAG-3は、エフェクター細胞または記憶T細胞と比較して、枯渇したT細胞で顕著にアップレギュレートされる。LAG-3は、T細胞受容体惹起カルシウムフラックスを阻害することによってT細胞増殖を負に調節し、それによって、T細胞記憶プールのサイズを制御する。これまでの研究は、がんの状況では、LAG3が、TILでアップレギュレートされており、そして、LAG-3の遮断が、抗腫瘍T細胞免疫応答を増強できる、ことを示している。CD8 T細胞枯渇を引き起こすウイルス性慢性モデルにおけるLAG-3の遮断は、CD8 T細胞応答を活性化することができる。
【0010】
集団では、上記したこれらのタンパク質は、CTLA-4などの他の阻害性受容体とともに、実験モデル及びヒトの双方において、慢性ウイルス感染及びがんなどの慢性免疫病態において認められるCD8 T細胞枯渇において重要な役割を果たす。PD1-1、CTLA-4、TIM-3、及び、LAG-3でのこれらの公知の特徴及び機能は、ワクチンを設定するに際して、それらを、免疫調節の理想的な標的にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、がん、感染症、及び、他の病態の処置のための免疫チェックポイント分子を標的とする改善された組成物及び方法が、当該技術分野では必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
ある態様において、本発明は、1つ以上の合成抗体またはその断片をコードする1つ以上の核酸分子を含み、対象において合成抗体を生成するための組成物を提供し、1つ以上の当該抗体または断片は、少なくとも1つの免疫チェックポイント分子を標的とする。
【0013】
ある実施形態において、少なくとも1つの当該免疫チェックポイント分子は、PD-1、LAG-3、PD-L1、GITR、CD40、OX40、CTLA-4、TIM-3、4-IBB、及び、これらの組み合わせから選択される。
【0014】
ある実施形態において、当該組成物は、開裂ドメインをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0015】
ある実施形態において、当該組成物は、当該抗体の可変重鎖領域及び可変軽鎖領域をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0016】
ある実施形態において、当該組成物は、ヒトIgG1κの定常重鎖領域及び定常軽鎖領域をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0017】
ある実施形態において、当該組成物は、当該抗体の可変重鎖領域、ヒトIgG1κの定常重鎖領域、開裂ドメイン、当該抗体の可変軽鎖領域、及び、IgG1κの定常軽鎖領域を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0018】
ある実施形態において、当該組成物は、リーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0019】
ある実施形態において、当該組成物は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、及び、28のアミノ酸配列の少なくとも1つをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0020】
ある実施形態において、当該組成物は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、及び、27の核酸配列の少なくとも1つを含む。
【0021】
ある実施形態において、1つ以上の当該核酸分子が、改変を受けて、発現ベクターに組み込まれる。
【0022】
ある実施形態において、当該組成物は、抗原をコードするヌクレオチド配列をさらに含む。
【0023】
ある実施形態において、当該組成物は、医薬として許容可能な賦形剤をさらに含む。
【0024】
別の態様において、本発明は、対象における疾患を処置する方法を提供するものであり、当該方法は、当該対象に対して、少なくとも1つの本発明の組成物を投与することを含む。
【0025】
ある実施形態において、当該疾患は、がんである。別の実施形態において、当該疾患は、感染性疾患である。
【0026】
別の態様において、本発明は、それを必要とする対象において免疫応答を増大させる方法を提供するものであり、当該方法は、当該対象に対して、本発明の組成物を投与することを含む。
【0027】
ある実施形態において、当該組成物の投与は、電気穿孔する工程を含む。
【0028】
別の態様において、本発明は、合成抗原と免疫チェックポイント阻害剤との組み合わせを投与することで、それを必要とする対象において免疫応答を増大させる方法を提供するものであり、当該免疫チェックポイント阻害剤が、合成抗体であり、当該投与工程が、当該対象に対して、合成抗原の初回ワクチン、及び、追加ワクチンを投与し、及び、当該追加ワクチンに続いて、当該対象に対して免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含む。
【0029】
ある実施形態において、当該方法は、当該対象に対して、当該合成抗原の追加ワクチンを続けて投与する工程をさらに含む。ある実施形態において、投与する工程のいずれもが、投与の当該部位に電気穿孔を送達することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、DNAベースのモノクローナル抗体(dMAb)のデザインを示す画像を提供する。
【
図2】
図2は、dMAb技術を用いた一部の標的を示すリスト(
図2A)と、トランスフェクション上清IgG濃度(μg/mL)(
図2B)とを示す一連の画像を提供する。
【
図3】
図3は、PD-1、及び、LAG-3 dMAbプラスミドの構築と、インビトロ及びインビボでのIgG産生とを確認する一連の画像を提供する。(
図3A)dMAbプラスミドの構築。(
図3B)インビトロでのIgG産生の確認。(
図3C)インビボでのIgG産生の確認。
【
図4A】
図4は、インビボで産生したIgGが、PD-1またはLAG-3 dMAbプラスミドの投与を受けた後に、その標的に特異的に結合することを示す一連の画像を提供する。
図4Aは、hrPD-1またはhrLAG-3に対する結合を示す。
【
図4B】
図4は、インビボで産生したIgGが、PD-1またはLAG-3 dMAbプラスミドの投与を受けた後に、その標的に特異的に結合することを示す一連の画像を提供する。
図4Bは、インビボで産生した対応dMAbを用いた、PD-1またはLAG-3に対するウェスタンブロットを示す。
【
図4C】
図4は、インビボで産生したIgGが、PD-1またはLAG-3 dMAbプラスミドの投与を受けた後に、その標的に特異的に結合することを示す一連の画像を提供する。
図4Cは、pVAX1血清、dMAb血清、または、陽性コントロールを用いた、PD-1またはLAG-3に対する結合を示すFACSを示す。
【
図5】
図5は、LAG-3 dMAbが、腫瘍の成長を妨げ、延命を図り、そして、阻害を受けにくい腫瘍微小環境をもたらすことを示す一連の画像を提供する。(
図5A)LAG-3 dMAbを投与した後の生存の改善、及び、腫瘍サイズの減少を示す腫瘍接種実験。(
図5B)pVax-1(コントロール)、または、LAG3 dMAbで処置した後のCD25+ LAG3+細胞の率を示すグラフ。
【
図6A】
図6は、dMAb抗体が、活性化T細胞に結合することを示す一連の画像を提供する。
図6Aは、記載した様々な条件に関する、刺激を受けていないPD-1+ T細胞のFACS分析を示す。
【
図6B】
図6は、dMAb抗体が、活性化T細胞に結合することを示す一連の画像を提供する。
図6Bは、記載した様々な条件に関する、刺激を受けたPHAのFACS分析を示す。
【
図7】
図7は、ヌードマウスにおけるLAG-3 dMAb IgG濃度を示す画像を提供する。
【
図8】
図8は、LAG-3 dMAbが、ELISAアッセイにおいてLAG-3に結合することを示す画像を提供する。
【
図9】
図9は、ヒトLAG-3に対するLAG-3 dMAbの特異性を実証しているLAG-3のウェスタンブロットを示す画像を提供する。
【
図10A】
図10は、dMAb抗体が、活性化T細胞に結合することを示す一連の画像を提供する。
図10Aは、記載した様々な条件に関する、刺激を受けていないLAG-3+ T細胞のFACS分析を示す。
【
図10B】
図10は、dMAb抗体が、活性化T細胞に結合することを示す一連の画像を提供する。
図10Bは、記載した様々な条件に関する、刺激を受けたPHAのFACS分析を示す。
【
図11】
図11は、dMAb抗体が、活性化Treg細胞をブロックすることを示す一連の画像を提供する。
【
図12】
図12は、ヌードマウスにおけるGITR dMAb発現を示す一連の画像を提供する。(
図12A)pVaxコントロール処置。(
図12B)GITR dMAb処置。(
図12C)GITRに対するGITR dMAbのへの結合を示すELISA。
【
図13A】
図13は、GITR
+ T細胞のFACS分析を示す一連の画像を提供する。
図13Aは、記載した様々な条件に関する、非刺激細胞を示している。
【
図13B】
図13は、GITR
+ T細胞のFACS分析を示す一連の画像を提供する。
図13Bは、記載した様々な条件に関する、PHA刺激細胞を示している。
【
図14】
図14は、ヌードマウスにおけるOX40 dMAb産生を示す一連の画像を提供する。
【
図15】
図15は、ヌードマウスにおける4-1BB dMAb産生、及び、特異的結合を示すELISAアッセイを示す一連の画像を提供する。(
図15A)pVaxコントロール処置。(
図15B)4-1BB dMAb処置。(
図15C)4-1BB に対する4-1BB dMAbの結合を示すELISA。
【
図16】
図16は、インビトロでの293T細胞における抗-CTLA-4抗体イピリムマブ及びトレメリムマブ発現を示すグラフである。
【
図17】
図17は、Balb/cマウスでの抗-CTLA-4抗体イピリムマブ及びトレメリムマブのインビボでの発現及び結合を示す一連の画像を提供する。
【
図18】
図18は、Balb/cマウスでのイピリムマブ及びトレメリムマブのインビボでの発現を示すグラフである。送達は、単発のdMAb(1つの部位に100μgのDNA)とした。このグラフは、マウス抗-ヒト抗体免疫応答及びクリアランスを示している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、ワクチン、大抵の場合は、合成抗原を、チェックポイント阻害剤、特に、PD-1、PD-L1、LAG-3、GITR、CD40、OX40、CTLA-4、TIM-3、及び、4-1BB抗体(例えば、合成DNAプラスミドの形態の改変されたMAb)と組み合わせることで、免疫応答を増大または強化する、すなわち、より効果的な免疫応答を作り出すために使用できる組成物に関する。
【0032】
したがって、合成DNAプラスミドの形態の改変されたMAbに関して、本発明は、抗体、その断片、その変異体、または、それらの組み合わせをコードする組換え核酸配列を含む組成物に関する。当該組成物は、インビボでの合成抗体の発現及び形成を容易にするために、それを必要とする対象に対して投与することができる。ある実施形態において、当該ヌクレオチド配列は、本明細書に記載のヌクレオチド配列を含む。例えば、ある実施形態において、当該ヌクレオチド配列は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27の配列、または、その変異体、または、その断片を含む。別の実施形態では、当該ヌクレオチド配列は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28のポリペプチド配列、または、その変異体、または、その断片をコードする配列を含む。ある実施形態において、当該ヌクレオチド配列は、本明細書に記載のDNA配列から転写されたRNA配列を含む。例えば、ある実施形態において、当該ヌクレオチド配列は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27のDNA配列、または、その変異体、または、その断片によって転写されたRNA配列を含む。別の実施形態では、当該ヌクレオチド配列は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28のポリペプチド配列をコードするDNA配列、または、その変異体、または、その断片によって転写されたRNA配列を含む。
【0033】
ある実施形態において、当該ヌクレオチド配列は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、及び、配列番号28からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して、当該アミノ酸配列の全長にわたって、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または、少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする。ある実施形態において、当該ヌクレオチド配列は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、及び、配列番号28からなる群から選択されたアミノ酸配列に対して、当該アミノ酸配列の全長にわたって、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または、少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列の断片をコードする。
【0034】
ある実施形態において、当該ヌクレオチド配列は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、及び、配列番号27からなる群から選択されたヌクレオチド配列に対して、当該ヌクレオチド配列の全長にわたって、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%の同一性を有する。ある実施形態において、当該ヌクレオチド配列は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、及び、配列番号27からなる群から選択されたヌクレオチド配列に対して、当該ヌクレオチド配列の全長にわたって、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または、少なくとも約95%の同一性を有するヌクレオチド配列の断片である。
【0035】
特に、当該組換え核酸配列から発現した当該重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドは、合成抗体に組み込むことができる。当該重鎖ポリペプチド及び当該軽鎖ポリペプチドは、相互に作用して、組み立てを行った結果、所望の標的(例えば、免疫チェックポイント分子、PD-1、PD-L1、LAG-3、GITR、CD40、OX40、CTLA-4、TIM-3、4-IBBなど)に結合することができ、本明細書に記載したように組み立てをしていない抗体と比較して免疫原性が高く、そして、所望の標的に対する免疫応答を惹起または誘発することができる合成抗体をもたらす。
【0036】
加えて、これらの合成抗体は、抗原誘発免疫応答に応答して産生した抗体よりも当該対象においてより迅速に生成される。当該合成抗体は、標的の範囲に効果的に結合し、そして、中和をすることができる。また、当該合成抗体は、疾患から効果的に保護をし、及び/または、疾患での延命を効果的に図ることができる。
【0037】
幾つかの事例では、本発明の抗体は、所望の抗原と組み合わせて投与することができる。他の例では、当該抗体は、当該ワクチンの当該抗原とは別に投与することができる。幾つかの事例では、本発明の抗体は、そのような抗体をコードするDNA配列を含み、当該免疫グロブリンの少なくとも当該可変領域を含む。
【0038】
本発明の組成物は、チェックポイント阻害剤を含まないワクチンと比較して、CD8+ T細胞応答を増大させることで、当該対象における当該抗原に対する免疫応答を増大させることができる。この増大したCD8+ T細胞応答は、細胞溶解活性を有しており、抗ウイルス性サイトカインインターフェロン-γ(IFN-γ)を分泌する。
【0039】
本発明の態様は、それを必要とする対象において抗原に対する免疫応答を増強するための組成物を含み、対象において免疫応答を生じさせることができる合成抗原を併用した合成抗体、または、生物学的に機能的なその断片またはその変異体を含む。
【0040】
当該合成抗原は、当該抗原をコードする単離したDNAとすることができる。ある実施形態において、当該抗原は、腫瘍関連表面抗原である。腫瘍関連表面抗原の例として、CD10、CD19、CD20、CD22、CD33、Fms様チロシンキナーゼ3(FLT-3、CD135)、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4、メラノーマ関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカン)、上皮細胞成長因子受容体(EGFR)、Her2neu、Her3、IGFR、CD133、IL3R、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、CDCP1、Derlin1、Tenascin、フリズルド1-10、血管抗原VEGFR2(KDR/FLK1)、VEGFR3(FLT4、CD309)、PDGFR-α(CD140a)、PDGFR-β(CD140b)、エンドグリン、CLEC14、Tem1-8、及び、Tie2がある。さらなる例として、A33、CAMPATH-1(CDw52)、癌胎児性抗原(CEA)、カルボアンヒドラーゼIX(MN/CA IX)、CD21、CD25、CD30、CD34、CD37、CD44v6、CD45、CD133、de2-7 EGFR、EGFRvIII、EpCAM、Ep-CAM、葉酸結合タンパク質、G250、Fms様チロシンキナーゼ3(FLT-3、CD135)、c-Kit(CD117)、CSF1R(CD115)、HLA-DR、IGFR、IL-2受容体、IL3R、MCSP(メラノーマ関連細胞表面コンドロイチン硫酸プロテオグリカン)、Muc-1、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異抗原(PSA)、及び、TAG-72を含み得る。腫瘍の当該細胞外マトリックスで発現される抗原の例は、テネイシン、及び、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)である。
【0041】
ある実施形態において、当該合成抗原は、hTERT、PSA、PSMA、STEAP、PSCA、及び、PAP、WT1、チロシナーゼ、NYES01、PRAME、MAGE、CMV、ヘルペス、HIV、HPV、HCV、HBV、インフルエンザ、RSV、熱帯熱マラリア原虫、及び、C.difficileからなる群から選択することができる。
【0042】
また、本明細書で提供した組成物は、医薬として許容可能な賦形剤を含むことができる。
【0043】
また、本発明の態様は、本明細書で提供した組成物のいずれかを、対象に投与することで、それを必要とする当該対象における免疫応答を増大させる方法も含む。また、免疫応答を増大させる当該方法は、電気穿孔する工程を含むことができる。
【0044】
1.定義
特に定義していない限り、本明細書で使用する全ての技術的用語及び科学的用語は、当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。矛盾が生じる場合には、定義を含めて本明細書が優先となる。本発明の実施または試験において、本明細書に記載したものと同様または同等の方法及び材料を用いることはできるが、好適な方法及び材料を以下に記載する。本明細書で言及する全ての刊行物、特許出願、特許、及び、他の引用文献は、本明細書の一部を構成するものとしてその全内容を援用する。なお、本明細書で開示した材料、方法、及び、実施例は、単なる例示であり、限定することを意図するものではない。
【0045】
本明細書で使用する用語「を含む(comprise(s))」、「を含む(include(s))」、「を有する(having)」、「を有する(has)」、「できる(can)」、「を含む(contain(s))」、及び、その変形は、付加的な行為または構造の可能性を妨げない、制限しない移行句、用語、または、単語であることを意図している。単数形である「a」、「and」、および「the」は、文脈上断りの無い限りは、複数形の意味を持つこともある。本開示は、明示的に記載されているかどうかに関わらず、本明細書に示される実施形態または要素「を含む(comprising)」、「からなる(consisting of)」、および「から実質的になる(consisting essentially of)」その他の実施形態も企図する。
【0046】
「抗体」は、クラスIgG、IgM、IgA、IgD、または、IgEの抗体、または、Fab、F(ab’)2、Fdを含む、その断片もしくは誘導体、ならびに、その一本鎖抗体、及び、誘導体を意味し得る。当該抗体は、哺乳動物の血清試料から単離された抗体、ポリクローナル抗体、親和性精製抗体、または、これらの混合物のうち、所望のエピトープ、または、それに由来する配列に対する十分な結合特異性を示すものであり得る。
【0047】
本明細書で互換的に使用する、「抗体断片」または「抗体の断片」は、抗原結合部位または可変領域を含む完全抗体の一部分のことを指す。この部分は、完全抗体のFc領域のある特定の重鎖領域(すなわち、抗体アイソタイプに応じてCH2、CH3またはCH4)を含まない。抗体断片の例として、Fab断片、Fab’断片、Fab’-SH断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、ダイアボディ、一本鎖Fv(scFv)分子、1つの軽鎖可変領域のみを含有する一本鎖ポリペプチド、軽鎖可変領域の3つのCDRを含有する一本鎖ポリペプチド、1つの重鎖可変領域のみを含有する一本鎖ポリペプチド、及び、重鎖可変領域の3つのCDRを含有する一本鎖ポリペプチドなどがあるが、これらに限定されない。
【0048】
本明細書で使用する「アジュバント」とは、本明細書に記載した当該ワクチンに添加して、当該抗原の当該免疫原性を増強するあらゆる分子のことを意味しており、特に、チェックポイント阻害剤抗体のことを指す。
【0049】
本明細書で使用する「チェックポイント阻害剤」とは、がん免疫療法の分野において一般的に理解されているような、免疫チェックポイントをブロックする阻害剤または分子のことを意味する。より一般的には、当該チェックポイント阻害剤とは、これらの免疫チェックポイントをブロックする抗体のことである。
【0050】
本明細書で使用する「コード配列」または「コード核酸」とは、当該核酸(RNAまたはDNA分子)のことを意味しており、本明細書に記載した抗体などのタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。また、当該コード配列は、RNA配列をコードするDNA配列を含み得る。当該コード配列は、当該核酸の投与を受ける個体または哺乳動物の当該細胞での発現の指令を出すことができるプロモーター及びポリアデニル化シグナルを含む調節エレメントに作動可能に連結された開始シグナル及び終止シグナルをさらに含むことができる。
【0051】
本明細書で使用する「相補体」または「相補的」とは、ある核酸が、ヌクレオチド間または核酸分子のヌクレオチド類似体間に、ワトソン・クリック(例えば、A-T/U及びC-G)、または、フーグスティーン塩基対を表わすことができることを意味している。
【0052】
本明細書で互換的に使用する「電気穿孔」、「電気透過処理」、または「界面動電増強」(「EP」)は、生体膜に微細経路(細孔)を生じさせるための膜貫通電場パルスの使用を意味する。こうした微細経路の存在により、プラスミド、オリゴヌクレオチド、siRNA、薬剤、イオン、及び、水などの生体分子が、細胞膜の片側から他方の側に通過することが可能になる。
【0053】
本明細書で使用する「内因性抗体」とは、体液性免疫応答を誘導するのに有効な量で存在する、抗原を投与されている対象内で生成される抗体のことを指し得る。
【0054】
本明細書で使用する「断片」は、哺乳動物において免疫応答を惹起することができるポリペプチドをコードする核酸配列、または、その一部分のことを意味する。当該断片を、以下に示すタンパク質断片をコードする様々なヌクレオチド配列の少なくとも1つから選択されたDNA断片とすることができる。断片は、以下に示す核酸配列の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または、少なくとも95%を含む。幾つかの実施形態において、断片は、以下に示す核酸配列の少なくとも20ヌクレオチド以上、少なくとも30ヌクレオチド以上、少なくとも40ヌクレオチド以上、少なくとも50ヌクレオチド以上、少なくとも60ヌクレオチド以上、少なくとも70ヌクレオチド以上、少なくとも80ヌクレオチド以上、少なくとも90ヌクレオチド以上、少なくとも100ヌクレオチド以上、少なくとも150ヌクレオチド以上、少なくとも200ヌクレオチド以上、少なくとも250ヌクレオチド以上、少なくとも300ヌクレオチド以上、少なくとも350ヌクレオチド以上、少なくとも400ヌクレオチド以上、少なくとも450ヌクレオチド以上、少なくとも500ヌクレオチド以上、少なくとも550ヌクレオチド以上、少なくとも600ヌクレオチド以上、少なくとも650ヌクレオチド以上、少なくとも700ヌクレオチド少なくとも750ヌクレオチド以上、少なくとも800ヌクレオチド以上、少なくとも850ヌクレオチド以上、少なくとも900ヌクレオチド以上、少なくとも950ヌクレオチド以上、または、少なくとも1000ヌクレオチド以上を含むことができる。
【0055】
また、本明細書で使用する断片は、哺乳動物において免疫応答を惹起することができるポリペプチド配列、または、その一部分のことを意味する。当該断片を、以下に示す様々なアミノ酸配列の少なくとも1つから選択されたポリペプチド断片とすることができる。断片は、以下に示すタンパク質の1つ以上の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または、少なくとも95%を含むことができる。幾つかの実施形態において、断片は、以下に示すタンパク質の1つ以上の少なくとも20個以上のアミノ酸、少なくとも30個以上のアミノ酸、少なくとも40個以上のアミノ酸、少なくとも50個以上のアミノ酸、少なくとも60個以上のアミノ酸、少なくとも70個以上のアミノ酸、少なくとも80個以上のアミノ酸、少なくとも90個以上のアミノ酸、少なくとも100個以上のアミノ酸、少なくとも110個以上のアミノ酸、少なくとも120個以上のアミノ酸、少なくとも130個以上のアミノ酸、少なくとも140個以上のアミノ酸、少なくとも150個以上のアミノ酸、少なくとも160個以上のアミノ酸、少なくとも170個以上のアミノ酸、少なくとも180個以上のアミノ酸、少なくとも190個以上のアミノ酸、少なくとも200個以上のアミノ酸、少なくとも210個以上のアミノ酸、少なくとも220個以上のアミノ酸、少なくとも230個以上のアミノ酸、または、少なくとも240個以上のアミノ酸を含むことができる。
【0056】
本明細書で使用する「遺伝子構築物」とは、抗体などのタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むDNA分子またはRNA分子のことを指す。当該遺伝子構築物は、RNAを転写するDNA分子のことも指す。当該コード配列は、核酸分子の投与先である個体の細胞で発現を誘導できるプロモーター及びポリアデニル化シグナルを含む調節エレメントと作動可能に連結した、開始及び終止シグナルを含む。本明細書で使用する用語「発現可能な形態」とは、個体の細胞に存在しているときにコード配列が発現するように、タンパク質をコードするコード配列に作動可能に連結した必要な調節要素を含んでいる遺伝子構築物のことを指す。
【0057】
本明細書において、2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の関係で使用する「同一」または「同一性」は、当該配列が、指定領域に渡って指定の割合の同一残基を有することを意味する。この割合を計算するには、2つの配列を好適に整列させ、指定領域に渡って2つの配列を比較し、双方の配列間で同一残基が発生する位置の数を確定して一致位置の数を得て、一致した位置の個数を指定領域の合計位置数で割り、計算結果に100を掛けることで、配列同一性のパーセント値を算出することができる。2つの配列の長さが異なるか、あるいは、アライメントにより1つ以上の付着末端が生じて、指定の比較領域に単一配列のみが含まれる場合には、単一配列の残基を、計算の分母には含めるが、分子には含めない。DNAとRNAを比較する場合には、チミン(T)とウラシル(U)を同等とみなすことができる。同一性は、筆算で求めてもよく、あるいは、BLASTやBLAST 2.0等のコンピューター配列アルゴリズムを使用して計算することができる。
【0058】
本明細書で使用する「免疫応答」とは、抗原の導入に応答して、宿主の免疫系、例えば、哺乳動物の免疫系が活性化することを意味する。この免疫応答は、細胞性応答または体液性応答、または、その両方であり得る。
【0059】
本明細書で使用する「核酸」または「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」は、互いに共有結合している少なくとも2つのヌクレオチドを意味する。一本鎖を表現することで、相補鎖の配列も定義される。したがって、核酸は、表現される一本鎖の相補鎖も包含する。ある核酸の多くの変異体を、所定の核酸として同一目的で使用することができる。したがって、核酸は、実質的に同一の核酸、及び、その相補体も含む。一本鎖は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で標的配列とハイブリダイズすることができるプローブを提供する。したがって、核酸は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするプローブも含む。
【0060】
核酸は、一本鎖または二本鎖とすることができ、あるいは、二本鎖と一本鎖の両方の配列の一部分を含むことができる。当該核酸は、DNA、双方のゲノム、及び、cDNA、RNA、または、ハイブリッドとし得るものであり、当該核酸は、デオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドとの組み合わせを含むことができ、ウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン、及び、イソグアニンを含む塩基の組み合わせを含むことができる。核酸は、化学合成法、または、組換え法により取得することができる。
【0061】
本明細書で使用する「作動可能に連結した」は、遺伝子の発現が、遺伝子と空間的に接続しているプロモーターの制御下にあることを意味する。プロモーターは、その制御下にある遺伝子の5’(上流)または3’(下流)に位置することができる。当該プロモーターと遺伝子との間の距離は、プロモーターが由来する遺伝子において当該プロモーターを制御する遺伝子とプロモーターとの間の距離とほぼ同一とすることができる。当該技術分野で周知の通り、プロモーター機能を喪失させずに、この距離の変化に適応することができる。
【0062】
本明細書で使用する「ペプチド」、「タンパク質」、または、「ポリペプチド」とは、アミノ酸の結合配列のことを意味することができ、天然、合成、または、天然及び合成の修飾、あるいは、それらの組み合わせとすることができる。
【0063】
本明細書で使用する「プロモーター」とは、核酸の細胞での発現を、実現し、活性化し、または、増強することのできる合成分子または天然由来分子のことを意味する。プロモーターは、発現をさらに増強し、及び/または、空間的発現、及び/または、その一時的発現を改変する目的で、1つ以上の特定の転写調節配列を含むことができる。プロモーターは、遠位のエンハンサーエレメントまたは抑制エレメントを含むこともでき、このものは、転写開始部位から数千塩基対も離れた場所に位置することができる。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫、及び、動物を含む起源に由来することができる。プロモーターは、遺伝子成分の発現を調節することができるものであり、発現が起こる細胞、組織、もしくは、臓器、あるいは、発現が起こる発生段階については、恒常的もしくは差次的に、または、例えば、生理的ストレス、病原体、金属イオン、あるいは、誘発剤などの外部刺激に応答して同発現を調節し得る。プロモーターの代表例として、バクテリオファージT7プロモーター、バクテリオファージT3プロモーター、SP6プロモーター、lacオペレーター-プロモーター、tacプロモーター、SV40後期プロモーター、SV40初期プロモーター、RSV-LTRプロモーター、CMV IEプロモーター、SV40初期プロモーターまたはSV40後期プロモーター、及び、CMV IEプロモーターなどがある。
【0064】
「シグナルペプチド」及び「リーダー配列」は、本明細書で互換的に使用されており、合成抗原のアミノ末端に結合することができるアミノ酸配列のことを指し、本明細書で引用をした幾つかの例を含む。一般的に、シグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質の局在化の指令を出す。本明細書で使用するシグナルペプチド/リーダー配列は、好ましくは、タンパク質を産生する細胞からタンパク質を分泌し易くする。シグナルペプチド/リーダー配列は、細胞からの分泌時に、タンパク質、別名、成熟タンパク質の残余から開裂されることが多い。シグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質のN末端に結合する。
【0065】
本明細書で使用する「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」とは、例えば、核酸の複合混合物において、第1の核酸配列(例えば、プローブ)が、第2の核酸配列(例えば、標的)とハイブリダイズする際の条件のことを意味し得る。ストリンジェントな条件は配列に依存するため、状況に応じて変化する。ストリンジェントな条件は、所定のイオン強度pHにおける特定の配列に対する融点(Tm)より約5~10℃低くなるように選択される。このTmとは、(所定のイオン強度、pH、及び、核酸濃度下で)標的に対して相補的なプローブの50%が、平衡状態で標的配列にハイブリダイズする温度のことである(この標的配列は、過剰に存在するので、Tmにおいて、プローブの50%が平衡状態で占有される)。ストリンジェントな条件は、塩濃度が、pH7.0~8.3において、約1.0M未満のナトリウムイオン、例えば、約0.01~1.0Mのナトリウムイオン濃度(または、その他の塩)であり、及び、温度が、短いプローブ(例えば、約10~50ヌクレオチド)では、低くとも約30℃、長いプローブ(例えば、約50ヌクレオチドを超えるもの)では、低くとも約60℃とし得る。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの不安定化剤を添加しても実現し得る。選択的または特異的ハイブリダイゼーションの場合、陽性シグナルは、バックグラウンドハイブリダイゼーションの少なくとも2~10倍であり得る。例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、以下の条件を含む。50%ホルムアミド、5×SSC、及び、1%SDSを用いて、42℃でのインキュベート、あるいは、5×SSC、1%SDSを用いて、65℃でのインキュベートと、0.2×SSC、及び、0.1%SDSを用いて、65℃での洗浄を含む。
【0066】
本明細書で使用する「対象」は、本明細書に記載のワクチンで免疫処置することを望むか、あるいは、その必要がある哺乳動物のことを指すことができる。当該哺乳動物を、ヒト、チンパンジー、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ニワトリ、マウス、または、ラットとすることができる。
【0067】
本明細書で使用する「実質的に相補的」は、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100個またはそれ以上の個数のヌクレオチドまたはアミノ酸の領域に渡って、第1の配列が、第2の配列の相補体と、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または、99%同一であること、あるいは、2つの配列が、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることを意味し得る。
【0068】
本明細書で使用する「実質的に同一」とは、第1及び第2のアミノ酸配列が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100個、または、それ以上の個数のアミノ酸の領域に渡って、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または、99%同一である、ものと意味することができる。また、実質的に同一とは、第1の核酸配列及び第2の核酸配列が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100個、または、それ以上の個数のヌクレオチドの領域に渡って、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または、99%同一である、ものと意味することができる。
【0069】
本明細書で使用する「合成抗体」とは、当該組換え核酸配列によってコードされた抗体のことを指す。
【0070】
本明細書で使用する「処置」または「処置する」は、疾患の予防、抑制、抑圧、または、完全排除の手段を介して、動物を疾患から保護をするものと意味することができる。疾患を予防することは、その疾患の発症前に、当該動物に対して、本発明のワクチンを投与することを含む。疾患を抑制することは、その疾患の誘導後であって、その疾患の臨床的出現の前に、当該動物に対して、本発明のワクチンを投与することを含む。疾患を抑圧することは、その疾患の臨床的出現後に、当該動物に対して、本発明のワクチンを投与することを含む。
【0071】
核酸に関して本明細書で使用する「変異体」は、(i)基準ヌクレオチド配列の一部または断片、(ii)基準ヌクレオチド配列またはその一部の相補体、(iii)基準核酸またはその相補体と実質的に同一の核酸、または、(iv)ストリンジェントな条件下で、基準核酸、その相補体、または、それらと実質的に同一の配列とハイブリダイズする核酸のことを意味する。
【0072】
「変異体」とは、アミノ酸の挿入、欠失、または、保存的置換によってアミノ酸配列が異なっているが、少なくとも1つの生物活性を保持しているペプチドまたはポリペプチドとしてさらに定義することができる。「生物学的活性」の代表例として、特異的抗体に結合する能力、または、免疫応答を促進する能力がある。また、変異体は、少なくとも1つの生物活性を保持するアミノ酸配列を有する基準タンパク質と実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質も意味し得る。アミノ酸の保存的置換、すなわち、あるアミノ酸を、類似する特性(例えば、荷電領域の親水性、程度、及び、分布)の別のアミノ酸に置換することは、当該技術分野では、通常は軽微な変化を伴うものと認識されている。こうした軽微な変化は、当該技術分野で理解されているように、アミノ酸の疎水親水度指数を検討することで、部分的に同定できる。Kyte et al., J.Mol.Biol.157:105-132(1982)。アミノ酸の疎水親水度指数は、その疎水性と電荷の考察に基づく。類似の疎水親水度指数を有するアミノ酸は置換可能であり、その後もタンパク質機能を維持する、ことが当該技術分野において公知である。ある態様において、±2の疎水親水度指数を有するアミノ酸が置換される。アミノ酸の親水性を用いて、生物機能を保持したタンパク質となる置換を明らかにすることもできる。ペプチドに関連してアミノ酸の親水性を検討することで、そのペプチドの局所的な最大平均親水性を計算でき、抗原性と免疫原性に対して良好に相関すると報告された有用な尺度となる。当該技術分野で理解されているように、類似の親水性値を有するアミノ酸を置換すると、例えば、免疫原性などの生物活性を保持したペプチドが得られる。親水性値が互いに±2以内のアミノ酸を用いて、置換を実施できる。アミノ酸の疎水性指数と親水性値の両方とも、そのアミノ酸の特定の側鎖の影響を受ける。こうした知見と一致して、生物機能に適合するアミノ酸の置換とは、当該アミノ酸の相対的類似性、特に、当該アミノ酸の側鎖の相対的類似性に依存するものと理解されており、このことは、疎水性、親水性、電荷、大きさ、及び、その他の特性から明らかになる。
【0073】
変異体は、完全遺伝子配列、または、その断片の全長にわたって実質的に同一な核酸配列とし得る。当該核酸配列は、当該遺伝子配列、または、その断片の全長にわたって、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または、100%同一とし得る。変異体は、アミノ酸配列、または、その断片の全長にわたって実質的に同一なアミノ酸配列とし得る。当該アミノ酸配列は、当該アミノ酸配列、または、その断片の全長にわたって、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または、100%同一とし得る。
【0074】
本明細書で使用する「ベクター」は、複製起点を含む核酸配列のことを意味する。ベクターを、ウイルスベクター、バクテリオファージ、細菌人工染色体、または、酵母人工染色体とすることができる。ベクターを、DNAまたはRNAベクターとすることができる。ベクターは、自己複製染色体外ベクターとすることができ、及び、好ましくは、DNAプラスミドである。
【0075】
本明細書における数値範囲の記載については、同程度の精度で、その間に入る各数を、明示的に企図している。例えば、6~9という範囲の場合、6及び9に加えて、7及び8という数を企図しており、6.0~7.0という範囲の場合、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、及び、7.0という数を明示的に企図している。
【0076】
2.組成物
本明細書では、抗原、及び、チェックポイント阻害剤、好ましくは、チェックポイント阻害剤抗体を含む組成物を提供する。当該抗体は、好ましくは、合成抗体である。当該合成抗体は、好ましくは、PD-1抗体、PD-L1抗体、LAG-3抗体、GITR抗体、CD40抗体、OX40抗体、CTLA-4抗体、TIM-3抗体、及び/または、4-1BB抗体である。また、本発明は、哺乳動物細胞において抗体を産生する用途のための、あるいは、細菌、酵母、ならびに、ウイルスベクターを含むDNAまたはRNAベクターに送達するための新規な配列を含む。
【0077】
本発明は、抗体、その断片、その変異体、または、それらの組み合わせをコードする組換え核酸配列を含む組成物に関する。当該組成物は、それを必要とする対象に投与された場合、当該対象にて合成抗体の生成をもたらし得る。当該合成抗体は、対象内に存在する標的分子(すなわち、PD-1、PD-L1、LAG-3、GITR、CD40、OX40、CTLA-4、TIM-3及び/または4-1BB)に結合することができる。そのような結合は、標的を中和し、別の分子、例えば、タンパク質または核酸によって標的の認識をブロックして、標的に免疫応答を惹起または誘発することができる。
【0078】
ある実施形態において、当該組成物は、合成抗体をコードするヌクレオチド配列を含む。ある実施形態において、当該組成物は、第1の合成抗体をコードする第1のヌクレオチド配列、及び、第2の合成抗体をコードする第2のヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む。ある実施形態において、当該核酸分子は、開裂ドメインをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0079】
ある実施形態において、当該核酸分子は、抗-PD-1抗体、抗-PD-L1抗体、抗-LAG-3抗体、抗-GITR抗体、抗-CD40抗体、抗-OX40抗体、抗-CTLA-4、抗-TIM-3抗体、及び/または、抗-4-1BB抗体をコードするヌクレオチド配列を含む。ある実施形態において、当該抗体をコードする当該ヌクレオチド配列は、当該抗体の可変VH及びVL領域をコードするコドン最適化核酸配列を含む。ある実施形態において、当該抗体をコードするヌクレオチド配列は、ヒトIgG1κのCH及びCL領域をコードするコドン最適化核酸配列を含む。
【0080】
ある実施形態において、第1の合成抗体をコードする当該第1のヌクレオチド配列は、当該第1の合成抗体の当該重鎖領域をコードする第1のドメイン、及び、当該軽鎖領域をコードする第2のドメインを含む。ある実施形態において、第2の合成抗体をコードする当該第2のヌクレオチド配列は、当該第2の合成抗体の当該重鎖領域をコードする第1のドメイン、及び、当該軽鎖領域をコードする第2のドメインを含む。ある実施形態において、当該核酸分子は、抗-PD-1抗体、抗-PD-L1抗体、抗-LAG-3抗体、抗-GITR抗体、抗-CD40抗体、抗-OX40抗体、抗-CTLA-4、抗-TIM-3抗体、及び、抗-4-1BB抗体からなる群から選択される抗体の当該重鎖領域をコードする第1ドメイン、及び、当該軽鎖領域をコードする第2ドメインをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。
【0081】
ある実施形態において、当該組み合わせは、単一の製剤で投与することも、あるいは、別々に、連続して(最初に抗原、次にチェックポイント阻害剤を、または、最初にチェックポイント阻害剤、次に抗原、のいずれかで)投与することもできる。当該組成物は、対象での抗原提示、及び、当該抗原に対する全体的な免疫応答を増大させることができる。抗原とチェックポイント阻害剤との組み合わせは、当該抗原だけを含む組成物よりも効率的に免疫系を誘導する。この優れた効率的な免疫応答は、あらゆる疾患、特に、がん、病原体、または、ウイルスの処置、及び/または、予防における有効性を増大する。
【0082】
当該組成物での当該抗原、及び、チェックポイント阻害剤は、好ましくは、抗-PD-1抗体、抗-PD-L1抗体、抗-LAG-3抗体、抗-GITR抗体、抗-CD40抗体、抗-OX40抗体、抗-CTLA-4、抗-TIM-3抗体、及び/または、抗-4-1BB抗体を、それを必要とする当該対象に対して、一緒に、または、別々に投与することができる。幾つかの事例において、当該チェックポイント阻害剤は、当該組成物の当該抗原とは別個に投与することができる。
【0083】
幾つかの実施形態において、当該チェックポイント阻害剤は、当該対象へ当該抗原を投与する少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、36時間、48時間、60時間、72時間、84時間、または、96時間前または後に投与することができる。他の実施形態において、PD1抗体またはPDL1抗体は、当該対象へ当該抗原を投与する少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、60日、または、90日前または後に投与することができる。
【0084】
さらに他の実施形態において、当該チェックポイント阻害剤は、当該対象へ当該抗原を投与する少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、または、15週間前または後に投与することができる。他の実施形態では、当該抗体、または、それら抗体は、当該対象へ当該抗原を投与する約12時間~約15週間、約12時間~約10週間、約12時間~約5週間、約12時間~約1週間、約12時間~約60時間、約12時間~約48時間、約24時間~約15週間、約60時間~約15週間、約96時間~約15週間、約1日間~約15週間、約5日間~約15週間、約10日間~約15週間、約15日間~約15週間、約20日間~約15週間、約25日間~約15週間、約30日間~約15週間、約1週間~約15週間、約5週間~約15週間、または、約10週間~約15週間前または後に投与することができる。
【0085】
本発明の組成物は、当該組成物それ自体が、病気や死亡に至らしめないほどに安全であること、ウイルスまたは細菌などの生きた病原体への曝露に起因する病気に対して保護をすること、細胞の感染を防ぐための中和抗体を誘導すること、細胞内病原体に対する保護的T細胞を誘導すること、そして、投与が容易で、副作用が少なく、生物学的に安定で、しかも、1回当たりのコストが抑えられているなど、有効な組成物に必要な特徴を具備することができる。当該組成物は、当該抗原を、当該チェックポイント阻害剤、好ましくは、後述する抗-PD-1抗体、抗-PD-L1抗体、抗-LAG-3抗体、抗-GITR抗体、抗-CD40抗体、抗-OX40抗体、抗-CTLA-4、抗-TIM-3抗体、及び/または、抗-4-1BB抗体と組み合わせることで、これらの特徴の幾つか、または、すべてを具備することができる。
【0086】
当該組成物は、当該抗原内のエピトープ提示をさらに改変すると、当該抗原のみを含む組成物よりも、もっと大きな免疫応答を当該抗原に対して誘導することができる。当該組成物は、当該筋肉、または、当該皮膚などの異なる組織に投与した場合に、免疫応答をさらに誘導することができる。
【0087】
a.チェックポイント阻害剤
チェックポイント阻害剤を、様々な当該免疫チェックポイントに対するあらゆるアンタゴニスト、好ましくは、免疫チェックポイントをブロックする抗体とすることができる。当該抗体を、Fab、モノクローナル、または、ポリクローナルを含むタンパク質とすることができる。また、当該抗体を、機能的抗体をコードし、及び、発現することができるDNA発現構築物とすることができる。当該ワクチンは、PD-1抗体、PD-L1抗体、LAG-3抗体、GITR抗体、CD40抗体、OX40抗体、CTLA-4抗体、TIM-3抗体、及び/または、4-1BB抗体をさらに含むことができる。当該抗体を、免疫グロブリンの少なくとも当該可変領域をコードするDNA配列を含む合成抗体とすることができる。そのような抗体は、上記した抗体を同定、または、スクリーニングすることで生成することができ、上記した抗原に対して反応性を示すか、または、同抗原に結合する。当該抗体を同定またはスクリーニングする方法は、当該抗体を同定またはスクリーニングするための当業者に公知の方法論において、当該抗原を使用することができる。そのような方法論として、ライブラリー(例えば、ファージディスプレイ)からの当該抗体の選択、及び、動物の免疫処置、それに続く、当該抗体の単離、及び/または、精製があるが、それらに限定されない。例えば、本明細書の一部を構成するものとしてその全内容を援用する、Rajan, S., Sidhu、S., Methods in Enzymology, vol 502, Chapter One“Simplified Synthetic Antibody Libraries(2012)を参照されたい。
【0088】
また、本発明のあらゆる抗体は、抗-CTLA-4などの他のチェックポイント阻害剤抗体と組み合わせることができる。当該チェックポイント阻害剤を、例えば、イピリムマブ、トレメリムマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピジリズマブ、BMS-936559(ClinicalTrials.gov Identifier NCT02028403を参照されたい)、MPDL3280A(Roche, ClinicalTrials.gov Identifier NCT02008227を参照されたい)、MDX1105-01(Bristol Myers Squibb、ClinicalTrials.gov Identifier NCT00729664を参照されたい)、MEDI4736(MedImmune、ClinicalTrials.gov Identifier NCT01693562を参照されたい)、及び、MK-3475(Merck、ClinicalTrials.gov Identifier NCT02129556を参照されたい)などの公知の産物とすることができる。
【0089】
b.組換え核酸配列構築物
当該組換え核酸配列は、1つ以上の組換え核酸配列構築物を含むことができる。当該組換え核酸配列構築物は、1つ以上の構成要素を含むことができ、その詳細については、後述する。
【0090】
当該組換え核酸配列構築物は、重鎖ポリペプチド、その断片、その変異体、または、それらの組み合わせをコードする異種核酸配列を含むことができる。当該組換え核酸配列構築物は、軽鎖ポリペプチド、その断片、その変異体、または、それらの組み合わせをコードする異種核酸配列を含むことができる。当該組換え核酸配列構築物は、プロテアーゼ、または、ペプチダーゼ開裂部位をコードする異種核酸配列も含むことができる。当該組換え核酸配列構築物は、1つ以上のリーダー配列を含むことができ、各リーダー配列は、シグナルペプチドをコードする。当該組換え核酸配列構築物は、1つ以上のプロモーター、1つ以上のイントロン、1つ以上の転写終止領域、1つ以上の開始コドン、1つ以上の終止または停止コドン、及び/または、1つ以上のポリアデニル化シグナルを含むことができる。当該組換え核酸配列構築物は、1つ以上のリンカー、または、タグ配列も含むことができる。当該タグ配列は、ヘマグルチニン(HA)タグをコードすることができる。
【0091】
(1)重鎖ポリペプチド
当該組換え核酸配列構築物は、当該重鎖ポリペプチド、その断片、その変異体、または、それらの組み合わせをコードする異種核酸を含むことができる。当該重鎖ポリペプチドは、可変重鎖(VH)領域、及び/または、少なくとも1つの定常重鎖(CH)領域を含むことができる。少なくとも1つの当該定常重鎖領域は、定常重鎖領域1(CH1)、定常重鎖領域2(CH2)、定常重鎖領域3(CH3)、及び/または、ヒンジ領域を含むことができる。
【0092】
幾つかの実施形態において、当該重鎖ポリペプチドは、VH領域、及び、CH1領域を含むことができる。他の実施形態において、当該重鎖ポリペプチドは、VH領域、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、及び、CH3領域を含むことができる。
【0093】
当該重鎖ポリペプチドは、相補性決定領域(「CDR」)セットを含むことができる。このCDRセットは、VH領域の3つの超可変領域を含むことができる。当該重鎖ポリペプチドのN-末端から開始して、これらのCDRを、それぞれ、「CDR1」、「CDR2」、及び「CDR3」と命名する。当該重鎖ポリペプチドのCDR1、CDR2、及び、CDR3は、当該抗原に対する結合、または、抗原の認識に寄与することができる。
【0094】
(2)軽鎖ポリペプチド
当該組換え核酸配列構築物は、当該軽鎖ポリペプチド、その断片、その変異体、または、それらの組み合わせをコードする異種核酸配列を含むことができる。当該軽鎖ポリペプチドは、可変軽鎖(VL)領域、及び/または、定常軽鎖(CL)領域を含むことができる。
【0095】
当該軽鎖ポリペプチドは、相補性決定領域(「CDR」)セットを含むことができる。このCDRセットは、VL領域の3つの超可変領域を含むことができる。当該軽鎖ポリペプチドのN-末端から開始して、これらのCDRを、それぞれ、「CDR1」、「CDR2」、及び「CDR3」と命名する。当該軽鎖ポリペプチドのCDR1、CDR2、及び、CDR3は、当該抗原に対する結合、または、抗原の認識に寄与することができる。
【0096】
(3)プロテアーゼ開裂部位
当該組換え核酸配列構築物は、当該プロテアーゼ開裂部位をコードする異種核酸配列を含むことができる。当該プロテアーゼ開裂部位は、プロテアーゼまたはペプチダーゼによって認識することができる。このプロテアーゼは、エンドペプチダーゼまたはエンドプロテアーゼとすることができ、例えば、フーリン、エラスターゼ、HtrA、カルパイン、トリプシン、キモトリプシン、トリプシン、及び、ペプシンなどがあるが、これらに限定されない。このプロテアーゼを、フーリンとすることができる。他の実施形態において、このプロテアーゼを、セリンプロテアーゼ、スレオニンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、または、内部ペプチド結合を開裂する(すなわち、N-末端またはC-末端ペプチド結合を開裂しない)あらゆるプロテアーゼとすることができる。
【0097】
当該プロテアーゼ開裂部位は、開裂の効率を改善または増大する1つ以上のアミノ酸配列を含むことができる。1つ以上の当該アミノ酸配列は、個別のポリペプチドの形成または生成の効率を改善または増大することができる。1つ以上の当該アミノ酸配列は、2Aペプチド配列を含むことができる。
【0098】
(4)リンカー配列
組換え核酸配列構築物は、1つ以上のリンカー配列を含むことができる。当該リンカー配列は、本明細書に記載の1つ以上の構成要素を、空間的に分離、または、連結することができる。他の実施形態において、当該リンカー配列は、2つ以上のポリペプチドを空間的に分離、または、連結するアミノ酸配列をコードすることができる。
【0099】
(5)プロモーター
当該組換え核酸配列構築物は、1つ以上のプロモーターを含むことができる。1つ以上の当該プロモーターは、遺伝子発現を駆動し、かつ、調節することが可能なあらゆるプロモーターとし得る。かようなプロモーターは、DNA依存RNAポリメラーゼを経由する転写に必要とされるシス作用配列要素である。遺伝子発現の指令に用いられるプロモーターは、特定の用途に依って選択される。当該プロモーターは、その自然環境における転写開始部位から由来しているため、当該組換え核酸配列構築物の当該転写開始からほぼ同じ距離で位置し得る。しかしながら、この距離の変動は、プロモーター機能を喪失せずに、適合し得る。
【0100】
当該プロモーターは、当該重鎖ポリペプチド、及び/または、当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列に作動可能に連結され得る。当該プロモーターは、真核細胞での発現に有効であることが示されたプロモーターとし得る。当該コード配列に作動可能に連結されたプロモーターは、CMVプロモーター、サルウイルス40(SV40)由来のプロモーター、例えば、SV40初期プロモーター、及び、SV40後期プロモーター、マウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモーター、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロモーター、例えば、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)長い末端反復(LTR)プロモーター、モロニーウイルスプロモーター、トリ白血病ウイルス(ALV)プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、例えば、CMV前初期プロモーターなど、エプスタインバーウイルス(EBV)プロモーター、または、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターなどとし得る。また、当該プロモーターは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋クレアチン、ヒトポリヘドリン、または、ヒトメタロチオネインなどのヒト遺伝子由来のプロモーターとし得る。
【0101】
当該プロモーターは、宿主細胞が何らかの特定の外的刺激に曝された場合にのみ転写を開始する、構成的プロモーター、または、誘導性プロモーターとすることができる。多細胞生物の場合、当該プロモーターを、特定の組織、または、器官、または、発生段階に特異的にすることもできる。また、当該プロモーターは、組織特異的プロモーター、例えば、筋肉または皮膚特異的プロモーター、天然または合成のものとし得る。かようなプロモーターの例は、本明細書の一部を構成するものとしてその全内容を援用する米国特許出願公開公報第US20040175727号に記載されている。
【0102】
当該プロモーターは、エンハンサーと関連することができる。当該エンハンサーは、当該コード配列の上流に位置することができる。当該エンハンサーは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋クレアチン、または、CMV、FMDV、RSV、または、EBVに由来するウイルスエンハンサーとし得る。ポリヌクレオチド機能増強は、本明細書の一部を構成するものとしてそれぞれの全内容を援用する米国特許第5,593,972号、第5,962,428号、及び、第WO94/016737号に記載されている。
【0103】
(6)イントロン
当該組換え核酸配列構築物は、1つ以上のイントロンを含むことができる。各イントロンは、機能的スプライスドナー部位、及び、機能的スプライスアクセプター部位を含むことができる。当該イントロンは、スプライシングのエンハンサーを含むことができる。当該イントロンは、効率のよいスプライシングに必要な1つ以上のシグナルを含むことができる。
【0104】
(7)転写終止領域
当該組換え核酸配列構築物は、1つ以上の転写終止領域を含むことができる。当該転写終止領域は、効率的な終止を提供するためにコード配列の下流とすることができる。当該転写終止領域は、上記したプロモーターと同じ遺伝子から取得することができ、あるいは、1つ以上の異なる遺伝子から取得することもできる。
【0105】
(8)開始コドン
当該組換え核酸配列構築物は、1つ以上の開始コドンを含むことができる。当該開始コドンは、当該コード配列の上流に位置させることができる。当該開始コドンは、当該コード配列と共にインフレームにすることができる。当該開始コドンは、効率的な翻訳開始のために必要な1つ以上のシグナルと関連することができ、例えば、リボソーム結合部位と関連することができるが、これに限定されることはない。
【0106】
(9)終止コドン
当該組換え核酸配列構築物は、1つ以上の終止または停止コドンを含むことができる。当該終止コドンは、当該コード配列の下流とすることができる。当該終止コドンは、当該コード配列と共にインフレームにすることができる。当該終止コドンは、効率的な翻訳終止のために必要な1つ以上のシグナルと関連することができる。
【0107】
(10)ポリアデニル化シグナル
当該組換え核酸配列構築物は、1つ以上のポリアデニル化シグナルを含むことができる。当該ポリアデニル化シグナルは、当該転写の効率的なポリアデニル化のために必要な1つ以上のシグナルを含むことができる。当該ポリアデニル化シグナルは、当該コード配列の下流に位置させることができる。当該ポリアデニル化シグナルは、SV40ポリアデニル化シグナル、LTRポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化シグナル、または、ヒトβ-グロビンポリアデニル化シグナルとし得る。当該SV40ポリアデニル化シグナルは、pCEP4プラスミド(Invitrogen,San Diego,CA)由来のポリアデニル化シグナルとし得る。
【0108】
(11)リーダー配列
当該組換え核酸配列構築物は、1つ以上のリーダー配列を含むことができる。当該リーダー配列は、シグナルペプチドをコードすることができる。当該シグナルペプチドを、免疫グロブリン(Ig)シグナルペプチドとすることができ、例えば、IgGシグナルペプチド、及び、IgEシグナルペプチドなどがあるが、これらに限定されない。
【0109】
c.組換え核酸配列構築物の配置
上記したように、当該組換え核酸配列は、1つ以上の組換え核酸配列構築物を含むことができ、当該組換え核酸配列構築物の各々は、1つ以上の構成要素を含むことができる。1つ以上の当該構成要素とは、先に詳述した通りである。1つ以上の当該構成要素が当該組換え核酸配列構築物に含まれる場合、互いにあらゆる順序で配置し得る。幾つかの実施形態において、1つ以上の当該構成要素は、後述するようにして、当該組換え核酸配列構築物に配置することができる。
【0110】
(1)配置1
ある配置において、第1の組換え核酸配列構築物は、当該重鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列を含むことができ、かつ、第2の組換え核酸配列構築物は、当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列を含むことができる。
【0111】
当該第1の組換え核酸配列構築物は、ベクターに配置することができる。当該第2の組換え核酸配列構築物は、第2のベクター、または、他のベクターに配置することができる。当該組換え核酸配列構築物のベクターへの配置の詳細を、後述する。
【0112】
当該第1の組換え核酸配列構築物は、プロモーター、イントロン、転写終止領域、開始コドン、終止コドン、及び/または、ポリアデニル化シグナルも含むことができる。当該第1の組換え核酸配列構築物は、当該リーダー配列が、当該重鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列の上流(または、5‘)に位置する当該リーダー配列をさらに含むことができる。したがって、当該リーダー配列によってコードされる当該シグナルペプチドは、ペプチド結合によって当該重鎖ポリペプチドに連結することができる。
【0113】
当該第2の組換え核酸配列構築物は、プロモーター、開始コドン、終止コドン、及び、ポリアデニル化シグナルも含むことができる。当該第2の組換え核酸配列構築物は、当該リーダー配列が、当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列の上流(または、5’)に位置する当該リーダー配列をさらに含むことができる。したがって、当該リーダー配列によってコードされる当該シグナルペプチドは、ペプチド結合によって当該軽鎖ポリペプチドに連結することができる。
【0114】
したがって、配置1の一例は、VH及びCH1を含む当該重鎖ポリペプチドをコードする当該第1のベクター(したがって、第1の組換え核酸配列構築物)、及び、VL及びCLを含む当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該第2のベクター(したがって、第2の組換え核酸配列構築物)を含むことができる。配置1の第2の例は、VH、CH1、ヒンジ領域、CH2、及び、CH3を含む当該重鎖ポリペプチドをコードする当該第1のベクター(したがって、第1の組換え核酸配列構築物)、及び、VL及びCLを含む当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該第2のベクター(したがって、第2の組換え核酸配列構築物)を含むことができる。
【0115】
(2)配置2
第2の配置において、当該組換え核酸配列構築物は、当該重鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列、及び、当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列を含むことができる。当該重鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列は、当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列の上流(または5’)に配置することができる。あるいは、当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列を、当該重鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列の上流(または5’)に配置することができる。
【0116】
当該組換え核酸配列構築物のベクターへの配置の詳細を、後述する。
【0117】
当該組換え核酸配列構築物は、プロテアーゼ開裂部位、及び/または、リンカー配列をコードする当該異種核酸配列を含むことができる。当該組換え核酸配列構築物に含まれる場合、当該プロテアーゼ開裂部位をコードする当該異種核酸配列は、当該重鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列と当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列との間に配置することができる。したがって、当該プロテアーゼ開裂部位は、発現時に、当該重鎖ポリペプチド、及び、当該軽鎖ポリペプチドを、異なるポリペプチドに分離させる。他の実施形態において、当該リンカー配列が当該組換え核酸配列構築物に含まれる場合、当該リンカー配列は、当該重鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列と当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列との間に配置することができる。
【0118】
当該組換え核酸配列構築物は、プロモーター、イントロン、転写終止領域、開始コドン、終止コドン、及び/または、ポリアデニル化シグナルも含むことができる。当該組換え核酸配列構築物は、1つ以上のプロモーターを含むことができる。当該組換え核酸配列構築物は、第1のプロモーターが、当該重鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列と会合することができ、かつ、当該第2のプロモーターが、当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列と会合できるような、2つのプロモーターを含むことができる。さらに他の実施形態において、当該組換え核酸配列構築物は、当該重鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列、及び、当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列に関連する1つのプロモーターを含むことができる。
【0119】
当該組換え核酸配列構築物は、第1のリーダー配列を、当該重鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列の上流(または、5’)に配置し、かつ、第2のリーダー配列を、当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列の上流(または、5’)に配置している、2つのリーダー配列をさらに含むことができる。したがって、当該第1のリーダー配列によってコードされる第1のシグナルペプチドは、ペプチド結合によって当該重鎖ポリペプチドに連結することができ、かつ、当該第2のリーダー配列によってコードされる第2のシグナルペプチドは、ペプチド結合によって当該軽鎖ポリペプチドに連結することができる。
【0120】
したがって、配置2の一例は、VH及びCH1を含む当該重鎖ポリペプチド、及び、VL及びCLを含む当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該ベクター(したがって、組換え核酸配列構築物)を含むことができ、当該リンカー配列は、当該重鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列、及び、当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列を含む。
【0121】
配置2の第2の例は、VH及びCH1を含む当該重鎖ポリペプチド、及び、VL及びCLを含む当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該ベクター(したがって、組換え核酸配列構築物)を含むことができ、当該プロテアーゼ開裂部位をコードする当該異種核酸配列は、当該重鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列と当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列との間に配置する。
【0122】
配置2の第3の例は、VH、CH1、ヒンジ領域、CH2、及び、CH3を含む当該重鎖ポリペプチド、及び、VL及びCLを含む当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該ベクター(したがって、組換え核酸配列構築物)を含むことができ、当該リンカー配列は、当該重鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列と当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列との間に配置する。
【0123】
配置2の第4の例は、VH、CH1、ヒンジ領域、CH2、及び、CH3を含む当該重鎖ポリペプチド、及び、VL及びCLを含む当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該ベクター(したがって、組換え核酸配列構築物)を含むことができ、当該プロテアーゼ開裂部位をコードする当該異種核酸配列は、当該重鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列と当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列との間に配置する。
【0124】
d.組換え核酸配列構築物からの発現
上記したように、当該組換え核酸配列構築物は、1つ以上の構成要素に、当該重鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列、及び/または、当該軽鎖ポリペプチドをコードする当該異種核酸配列を含むことができる。したがって、当該組換え核酸配列構築物は、当該重鎖ポリペプチド、及び/または、当該軽鎖ポリペプチドの発現を促す。
【0125】
上記した配置1を用いる場合、当該第1の組換え核酸配列構築物は、当該重鎖ポリペプチドの発現を促すことができ、かつ、当該第2の組換え核酸配列構築物は、当該軽鎖ポリペプチドの発現を促すことができる。上記した配置2を用いる場合、当該組換え核酸配列構築物は、当該重鎖ポリペプチド、及び、当該軽鎖ポリペプチドの発現を促す。
【0126】
発現時に、例えば、細胞、生物、または、哺乳動物に限らず、それらおいて、当該重鎖ポリペプチド及び当該軽鎖ポリペプチドから、合成抗体を組み立てることができる。特に、当該重鎖ポリペプチド、及び、当該軽鎖ポリペプチドは、組み立てることで、当該抗原に結合することが可能な当該合成抗体をもたらすように、互いに相互作用することができる。他の実施形態において、当該重鎖ポリペプチド、及び、当該軽鎖ポリペプチドは、本明細書に記載したようにして組み立てていない抗体と比較して、免疫原性が強い合成抗体を組み立てられるように、互いに相互作用することができる。さらに別の実施形態において、当該重鎖ポリペプチド、及び、当該軽鎖ポリペプチドは、当該抗原に対して免疫応答を惹起または誘導することができる合成抗体を組み立てられるように、互いに相互作用することができる。
【0127】
e.ベクター
上記した当該組換え核酸配列構築物は、1つ以上のベクターに配置することができる。1つ以上の当該ベクターは、複製起点を含むことができる。1つ以上の当該ベクターを、プラスミド、バクテリオファージ、細菌人工染色体、または、酵母人工染色体とすることができる。1つ以上の当該ベクターを、自己複製染色体外ベクター、または、宿主ゲノムに組み込まれるベクターとすることができる。
【0128】
ベクターとして、プラスミド、発現ベクター、組換えウイルス、組換え「裸のDNA」ベクターなど、あらゆる形態などあるが、これらに限定されない。「ベクター」は、細胞を、感染、トランスフェクション、一時的または永久的に形質導入することができる核酸を含む。ベクターを、裸の核酸、または、タンパク質または脂質と複合体を形成した核酸とすることが認識されるであろう。当該ベクターは、ウイルスまたは細菌の核酸、及び/または、タンパク質、及び/または、膜(例えば、細胞膜、ウイルス性脂質エンベロープなど)を任意に含む。ベクターとして、DNAの断片が付着して複製され得るレプリコン(例えば、RNAレプリコン、バクテリオファージ)などがあるが、これらに限定されない。したがって、ベクターとして、RNA、自律的自己複製環状または線状DNAまたはRNA(例えば、プラスミド、ウイルスなど、米国特許第5,217,879号を参照されたい)などあり、また、発現プラスミドと非発現プラスミドの双方もあるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、当該ベクターは、線状DNA、酵素DNA、または、合成DNAを含む。組換え微生物または細胞培養物が、「発現ベクター」を宿しているとの記載がある場合、それは、宿主染色体に取り込まれたDNA、及び、染色体外の環状及び線状DNAの双方を含む。ベクターが宿主細胞によって維持される場合、当該ベクターは、有糸分裂中に自律的構造として安定に複製されるか、あるいは、宿主のゲノム内に組み込まれ得る。
【0129】
1つ以上の当該ベクターは、異種発現構築物とすることができ、それは、一般的には、標的細胞に特定の遺伝子を導入するために使用されるプラスミドである。当該発現ベクターが細胞内に一旦入ると、当該組換え核酸配列構築物によってコードされる当該重鎖ポリペプチド、及び/または、当該軽鎖ポリペプチドは、当該細胞転写、及び、翻訳機構リボソーム複合体によって産生される。1つ以上の当該ベクターは、大量の安定したメッセンジャーRNA、及び、故に、タンパク質を発現することができる。
【0130】
(1)発現ベクター
1つ以上の当該ベクターは、環状プラスミド、または、線状核酸とすることができる。当該環状プラスミド、及び、線状核酸は、適切な対象細胞において特定のヌクレオチド配列の発現の指令を出すことができる。当該組換え核酸配列構築物を含む1つ以上の当該ベクターは、キメラとすることができ、このことは、その構成要素の少なくとも1つが、その他の構成要素の少なくとも1つに関して異種であることを意味している。
【0131】
(2)プラスミド
1つ以上の当該ベクターを、プラスミドとすることができる。当該プラスミドは、当該組換え核酸配列構築物で細胞をトランスフェクトするために有用であり得る。当該プラスミドは、当該組換え核酸配列構築物を当該対象に導入するために有用であり得る。また、当該プラスミドは、当該プラスミドが投与される細胞における遺伝子発現に十分に適合し得る調節配列を含み得る。
【0132】
当該プラスミドは、当該プラスミドを染色体外で維持し、かつ、細胞内で当該プラスミドの複数のコピーを産生するために、哺乳動物の複製起点をも含み得る。当該プラスミドを、Invitrogen(San Diego,CA)のpVAX、pCEP4、または、pREP4とすることができ、それらは、エプスタインバーウイルス起点複製、及び、核抗原EBNA-1コード領域を含み得るものであり、組み込みをしなくとも、高コピーエピソーム複製を生じ得る。当該プラスミドの主鎖を、pAV0242とすることができる。このプラスミドを、複製欠損型アデノウイルス5型(Ad5)プラスミドとし得る。
【0133】
当該プラスミドを、E.coliにおけるタンパク質産生のために使用され得る、pSE420(Invitrogen,San Diego,CA)とし得る。また、当該プラスミドは、酵母のSaccharomyces cerevisiae株におけるタンパク質産生のために使用され得る、p YES2(Invitrogen,San Diego,CA)とし得る。また、当該プラスミドは、昆虫細胞におけるタンパク質産生のために使用され得る、MAXBAC(商標)完全バキュロウイルス発現系(Invitrogen,San Diego,CA)のものとし得る。また、当該プラスミドは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳動物細胞におけるタンパク質産生のために使用され得る、pcDNAIまたはpcDNA3(Invitrogen,San Diego,CA)とし得る。
【0134】
(3)RNAベクター
ある実施形態において、当該核酸は、RNA分子である。ある実施形態において、当該RNA分子は、本明細書に記載のDNA配列から転写される。例えば、幾つかの実施形態において、当該RNA分子は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27の1つ、または、その変異体、または、その断片によってコードされる。別の実施形態において、当該ヌクレオチド配列は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28のポリペプチド配列、または、その変異体、または、その断片をコードするDNA配列によって転写されるRNA配列を含む。したがって、ある実施形態において、本発明は、本明細書に開示したチェックポイント阻害剤の1つ以上をコードするRNA分子を提供する。当該RNAは、プラス鎖とし得る。したがって、幾つかの実施形態において、当該RNA分子は、逆転写などの介在性複製ステップを必要とせずに、細胞によって翻訳することができる。本発明に有用なRNA分子は、5’キャップ(例えば、7-メチルグアノシン)を有し得る。このキャップは、RNAのインビボでの翻訳を促すことができる。本発明に有用なRNA分子の5’ヌクレオチドは、5’三リン酸基を有し得る。キャップされたRNAにおいて、このものは、5’から5’への架橋を介して7-メチルグアノシンに連結され得る。RNA分子は、3’ポリAテールを有し得る。また、ポリAポリメラーゼ認識配列(例えば、AAUAAA)を、その3’末端の近傍に有する。本発明に有用なRNA分子は、一本鎖とし得る。
【0135】
(4)環状及び線状ベクター
1つ以上の当該ベクターを、細胞ゲノムへの組み込みによって標的細胞を形質転換し得るか、あるいは、染色体外に存在し得る1つ以上の環状プラスミド(例えば、複製起点を有する自律複製プラスミド)とし得る。当該ベクターは、pVAX、pcDNA3.0、または、provax、または、当該組換え核酸配列構築物によってコードされる当該重鎖ポリペプチド、及び/または、当該軽鎖ポリペプチドを発現することができるあらゆる他の発現ベクターとし得る。
【0136】
電気穿孔によって対象に対して効率的に送達され、及び、当該組換え核酸配列によってコードされる当該重鎖ポリペプチド、及び/または、当該軽鎖ポリペプチドを発現することができる、線状核酸または線状発現カセット(「LEC」)も提供する。このLECは、あらゆるリン酸主鎖を欠いた線状DNAとし得る。このDNAは、1つ以上の抗体をコードし得る。このLECは、プロモーター、イントロン、終止コドン、ポリアデニル化シグナルを含み得る。当該LECは、抗生物質耐性遺伝子、及び/または、リン酸主鎖を含まなくともよい。当該LECは、所望の遺伝子発現と無関係の他の核酸配列を含有していなくともよい。当該LECは、電気穿孔を介して対象に対して効率的に送達され、そして、1つ以上の所望の抗体を発現することができる。当該LECは、線状化することができるあらゆるプラスミドに由来し得る。これらは、細菌の増殖を行わくとも、また、線状化配列に由来していなくても合成することができる。当該プラスミドは、当該組換え核酸配列構築物によってコードされる当該重鎖ポリペプチド、及び/または、当該軽鎖ポリペプチドを発現することができる。当該プラスミドは、pNP(Puerto Rico/34)、または、pM2(New Caledonia/99)とし得る。当該プラスミドは、WLV009、pVAX、pcDNA3.0、または、provax、または、当該組換え核酸配列構築物によってコードされる当該重鎖ポリペプチド、及び/または、当該軽鎖ポリペプチドを発現することができるあらゆる他の発現ベクターとし得る。
【0137】
当該LECを、pcrM2とすることができる。当該LECを、pcrNPとすることができる。pcrNP、及び、pcrMRは、それぞれ、pNP(Puerto Rico/34)、及び、pM2(New Caledonia/99)から誘導することができる。
【0138】
(5)ウイルスベクター
ある実施形態において、本明細書において、本発明の核酸を細胞に送達することができるウイルスベクターを提供する。当該発現ベクターは、ウイルスベクターの形態で細胞に提供され得る。ウイルスベクター技術は、当該技術分野で周知であり、例えば、Sambrook et al.(2001)、及び、Ausubel et al.(1997)、及び、その他のウイルス学、及び、分子生物学のマニュアルに記載がされている。ベクターとして有用なウイルスとして、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、及び、レンチウイルスなどがあるが、これらに限定されない。一般的に、適切なベクターは、少なくとも1つの生物において機能する複製起点、プロモーター配列、好都合な制限エンドヌクレアーゼ部位、及び、1つ以上の選択マーカーを含む。(例えば、WO01/96584、WO01/29058、及び、米国特許第6,326,193号を参照されたい。ウイルスベクター、特に、レトロウイルスベクターは、遺伝子を哺乳類、例えば、ヒト細胞に挿入するための最も広く使用されている方法となっている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルスI、アデノウイルス、及び、アデノ随伴ウイルスなどから誘導することができる。例えば、米国特許第5,350,674号、及び、第5,585,362号を参照されたい。
【0139】
(6)ベクターの調製方法
本明細書では、当該組換え核酸配列構築物が配置された1つ以上のベクターを調製する方法を提供する。最後のサブクローニング工程の後に、当該ベクターを用いて、当該技術分野で周知の方法を用いて、大規模発酵タンクに細胞培養物を接種することができる。
【0140】
他の実施形態において、最後のサブクローニング工程の後に、当該ベクターは、1つ以上の電気穿孔(EP)装置と共に使用することができる。このEP装置の詳細は、後述する。
【0141】
1つ以上のベクターは、公知の装置、及び、技術の組み合わせを利用して製剤または製造することができるが、好ましくは、それらを、2007年5月23日に出願された許諾対象である同時係属中の米国特許仮出願第60/939,792号に記載されたプラスミド製造技術を用いて製造する。幾つかの例において、本明細書に記載のDNAプラスミドは、10mg/mL以上の濃度で製剤することができる。その製造技術は、米国特許出願第60/939792号に記載されたものに加えて、2007年7月3日に発行された許諾対象特許である米国特許第7,238,522号に記載されたものをはじめとする、当業者に概ね公知の様々な装置、及び、プロトコルをも含み、かつ、取り入れている。上記した参照出願及び特許である米国特許出願第60/939,792号、及び、米国特許第7,238,522号は、それぞれ、本明細書の一部を構成するものとしてそれらの全内容を援用する。
【0142】
3.抗体
上記したように、当該組換え核酸配列は、抗体、その断片、その変異体、または、それらの組み合わせをコードすることができる。当該抗体は、抗原に結合できるか、あるいは、抗原と反応することができ、その詳細は、後述する。
【0143】
当該抗体は、本発明の組成物の投与を受けた当該対象における疾患に対して、処置、予防、及び/または、保護をすることができる。当該抗体は、当該抗原に結合することで、当該組成物の投与を受けた当該対象における疾患に対して、処置、予防、及び/または、保護をすることができる。当該抗体は、当該組成物の投与を受けた当該対象における疾患に対して、延命を図ることができる。ある実施形態において、当該抗体は、当該疾患を有するが、当該抗体の投与を受けていない対象において予期された生存期間よりも長い期間にわたって、当該対象における疾患に対して延命を図ることができる。様々な実施形態において、当該抗体は、当該組成物の投与を受けた当該対象における疾患に対して、当該組成物の非存在下で予期された生存期間よりも、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または、100%の期間を延命することができる。ある実施形態において、当該抗体は、当該抗体の投与を受けていない対象で予期された保護を超えて、当該対象の疾患に対する保護を強めることができる。様々な実施形態において、当該抗体は、当該抗体の投与を受けた対象の少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または、100%で、疾患に対する保護ができており、これは、当該抗体の非存在下で予期された保護を超えている。
【0144】
当該抗体は、重鎖及び軽鎖相補性決定領域(「CDR」)セットを含んでいてもよく、それぞれは、CDRに対する支持体をもたらし、互いにCDRの空間関係を規定する、重鎖及び軽鎖フレームワーク(「FR」)セットの間に介在する。当該CDRセットは、重鎖または軽鎖V領域の3つの超可変領域を含み得る。重鎖または軽鎖のN-末端から開始して、これらの領域は、それぞれ、「CDR1」、「CDR2」、及び、「CDR3」と命名する。したがって、抗原結合部位は、各々が重鎖及び軽鎖V領域からなるCDRセットを含む6つのCDRを含み得る。
【0145】
タンパク質分解酵素パパインは、IgG分子を優先的に開裂して、幾つかの断片を生じさせ、その内の2つの(F(ab)断片)は、それぞれ、無傷抗原結合部位を含む共有結合ヘテロ二量体を含む。当該酵素ペプシンは、IgG分子を開裂して、双方の抗原結合部位を含むF(ab’)2断片を含めた幾つかの断片を供することができる。したがって、当該抗体は、FabまたはF(ab’)2とすることができる。当該Fabは、当該重鎖ポリペプチド、及び、当該軽鎖ポリペプチドを含むことができる。当該Fabの当該重鎖ポリペプチドは、当該VH領域、及び、当該CH1領域を含むことができる。当該Fabの軽鎖は、当該VL領域、及び、当該CL領域を含むことができる。
【0146】
当該抗体を、免疫グロブリン(Ig)とすることができる。当該Igを、例えば、IgA、IgM、IgD、IgE、及び、IgGとすることができる。当該免疫グロブリンは、当該重鎖ポリペプチド、及び、当該軽鎖ポリペプチドを含むことができる。当該免疫グロブリンの当該重鎖ポリペプチドは、VH領域、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、及び、CH3領域を含むことができる。当該免疫グロブリンの当該軽鎖ポリペプチドは、VL領域及びCL領域を含むことができる。
【0147】
当該抗体を、ポリクローナル抗体、または、モノクローナル抗体とすることができる。当該抗体は、キメラ抗体、一本鎖抗体、親和性成熟抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、または、完全ヒト抗体とすることができる。当該ヒト化抗体を、非ヒト種由来の相補性決定領域(CDR)の1つ以上と、ヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域とを含む、所望の抗原に結合する非ヒト種由来の抗体とすることができる。
【0148】
当該抗体を、以下に詳述するような二重特異性抗体とすることができる。当該抗体は、以下にさらに詳述するような二機能性抗体とすることができる。
【0149】
上記したように、当該対象に当該組成物を投与すると、当該対象において、当該抗体を生成することができる。当該抗体は、当該対象内で半減期を有し得る。幾つかの実施形態において、当該抗体は、当該対象内でその半減期を延長または短縮するように改変され得る。そのような改変の詳細は、後述する。
【0150】
当該抗体は、その詳細を後述するように、脱フコシル化することができる。
【0151】
当該抗体は、その詳細を後述するように、当該抗原に関連する疾患の抗体依存性増強(ADE)を、緩和または防止するように修飾し得る。
【0152】
a.二重特異性抗体
当該組換え核酸配列は、二重特異性抗体、その断片、その変異体、または、それらの組み合わせをコードすることができる。当該二重特異性抗体は、2つの抗原、例えば、その詳細を後述する抗原の2つと結合または反応することができる。当該二重特異性抗体は、本明細書に記載の抗体の2つの断片から構成することができ、それにより、当該二重特異性抗体は、2つの所望の標的分子との結合または反応が可能となり、それら標的分子は、その詳細を後述する抗原、受容体に対するリガンドを含むリガンド、受容体上のリガンド結合部位を含む受容体、リガンド-受容体複合体、及び、がんマーカーなどのマーカーを含み得る。
【0153】
b.二機能性抗体
当該組換え核酸配列は、二機能性抗体、その断片、その変異体、または、それらの組み合わせをコードすることができる。当該二機能性抗体は、後述する抗原と結合するか、または、反応することができる。当該二官能性抗体は、当該抗原の認識及び抗原への結合を超えて、当該抗体に対して付加的な機能性を付与するように改変することもできる。そのような改変として、因子H、または、その断片へのカップリングを含むことができるが、これらに限定されない。因子Hは、補体活性化の可溶性調節因子であり、また、補体媒介性溶解(CML)を介した免疫応答に寄与し得る。
【0154】
c.抗体半減期の延長
上記したように、当該抗体を、当該対象における当該抗体の半減期を延長または短縮するように改変し得る。当該改変は、当該対象での当該血清に含まれる当該抗体の当該半減期を延長または短縮し得る。
【0155】
当該改変は、当該抗体の定常領域に存在し得る。当該改変を、当該抗体の定常領域における1つ以上のアミノ酸の置換としてもよく、1つ以上の当該アミノ酸の置換を含有しない抗体の半減期と比較して、当該抗体の当該半減期を延長する。当該改変を、当該抗体のCH2ドメインにおける1つ以上のアミノ酸の置換としてもよく、1つ以上の当該アミノ酸の置換を含有しない抗体の半減期と比較して、当該抗体の当該半減期を延長する。
【0156】
幾つかの実施形態において、当該定常領域における1つ以上の当該アミノ酸の置換として、当該定常領域のメチオニン残基をチロシン残基で置換すること、当該定常領域のセリン残基をスレオニン残基で置換すること、当該定常領域のスレオニン残基をグルタミン酸残基で置換すること、または、それらのあらゆる組み合わせを含み得るものであって、それにより、当該抗体の当該半減期を延長する。
【0157】
他の実施形態において、当該定常領域における1つ以上の当該アミノ酸の置換として、当該CH2ドメインのメチオニン残基をチロシン残基で置換すること、当該CH2ドメインのセリン残基をスレオニン残基で置換すること、当該CH2ドメインのスレオニン残基をグルタミン酸残基で置換すること、または、それらのあらゆる組み合わせを含み得るものであって、それにより、当該抗体の当該半減期を延長する。
【0158】
d.脱フコシル化
当該組換え核酸配列は、フコシル化されていない抗体(すなわち、脱フコシル化抗体、または、非フコシル化抗体)、その断片、その変異体、または、それらの組み合わせをコードすることができる。フコシル化は、当該糖フコースの分子への付加、例えば、N-グリカン、O-グリカン、及び、糖脂質へのフコースの結合を含む。したがって、脱フコシル化抗体では、フコースは、当該定常領域の当該炭水化物鎖に結合していない。次に、このフコシル化が欠如すると、当該フコシル化抗体と比較して、当該抗体によるFcγRIIIa結合、及び、抗体依存性細胞毒性(ADCC)活性を改善し得る。したがって、幾つかの実施形態において、当該非フコシル化抗体は、フコシル化抗体と比較して、ADCC活性の増大を示し得る。
【0159】
当該抗体を改変して、当該抗体のフコシル化を予防または阻害し得る。幾つかの実施形態において、そのような改変抗体は、未改変の当該抗体と比較して、ADCC活性の増大を示し得る。当該改変は、重鎖、軽鎖、または、それらの組み合わせとし得る。当該改変は、当該重鎖における1つ以上のアミノ酸の置換、当該軽鎖における1つ以上のアミノ酸の置換、または、それらの組み合わせとし得る。
【0160】
e.ADE応答の低下
当該抗体を改変して、当該抗原に関連する疾患の抗体依存性感染増強(ADE)は抑制または防止するが、当該抗原は依然として中和し得る。
【0161】
幾つかの実施形態において、当該抗体を改変して、FcyRlaに対する当該抗体の結合を抑制または予防する1つ以上のアミノ酸の置換を含むようにし得る。1つ以上の当該アミノ酸の置換は、当該抗体の当該定常領域に存在し得る。1つ以上の当該アミノ酸の置換は、当該抗体の当該定常領域でのロイシン残基をアラニン残基で置換すること、すなわち、本明細書でLA、LA変異、または、LA置換として示した置換を含み得る。1つ以上の当該アミノ酸の置換は、当該抗体の当該定常領域での2つのロイシン残基を、それぞれ、アラニン残基で置換すること、すなわち、本明細書でLALA、LALA変異、または、LALA置換として示した置換を含み得る。当該LALA置換の存在は、FcyR1aに対する抗体の結合を予防またはブロックし得るものであって、したがって、当該改変抗体は、当該抗原に関連する疾患のADEを増強または惹起せずに、当該抗原は依然として中和し得る。
【0162】
4.合成抗体の生成方法
また、本発明は、合成抗体の生成方法に関する。当該方法は、その詳細を後述する送達方法を用いて、それを必要とする当該対象に対して当該組成物を投与することを含むことができる。したがって、当該組成物を当該対象に投与した際に、当該合成抗体は、対象内またはインビボで生成される。
【0163】
また、当該方法は、当該組成物を、1つ以上の細胞に導入することを含むことができ、したがって、当該合成抗体を、1つ以上の細胞において生成または製造することができる。さらに、当該方法は、当該組成物を、例えば、皮膚、及び、筋肉に限らず、それら組織の1つ以上に対して導入することを含むことができ、したがって、当該合成抗体は、1つ以上の組織において生成または製造することができる。
【0164】
5.がん抗原
本発明の組成物及び方法は、抗原、または、その断片、または、その変異体を含むワクチンと組み合わせて使用することができる。
【0165】
マーカーとは、特定のがん細胞に対して存在する、あるいは、アップレギュレートされる既知のタンパク質のことである。そのようなマーカーを表す抗原を自己への耐性を破壊するような方法で生成する方法論によって、がんワクチンを生成することができる。そのようながんワクチンは、免疫応答を増強するためのチェックポイント阻害剤を含むことができる。幾つかのがん抗原を、以下に示す。
【0166】
a.hTERT
hTERTとは、テロメアの末端にTTAGGGタグを合成して、染色体短縮による細胞死を防ぐヒトテロメラーゼ逆転写酵素のことである。hTERTの異常な高発現を伴う過剰増殖性細胞は、免疫療法によって標的化され得る。最近の研究は、hTERT遺伝子でトランスフェクトした樹状細胞におけるhTERTの発現が、CD8+細胞傷害性T細胞を誘導し、そして、抗原特異的様式でCD4+T細胞を惹起することができる、ことを示している。
【0167】
hTERTは、本明細書に記載のベクターで投与することができ、そして、以下の実施例に記載したものを含めて様々なワクチン接種スケジュールにおいて、チェックポイント阻害剤と組み合わせることができる。
【0168】
b.前立腺抗原
以下のものは、哺乳動物において前立腺抗原に対する免疫応答を惹起することができる抗原である。当該コンセンサス抗原は、前立腺癌細胞に対する免疫原を誘導することができるので、それらを特に有効なものにするエピトープを含むことができる。当該コンセンサス前立腺抗原は、完全長翻訳産物、その変異体、その断片、または、それらの組み合わせを含むことができる。
【0169】
当該前立腺抗原は、PSA抗原、PSMA抗原、STEAP抗原、PSCA抗原、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)抗原、及び、その他の既知の前立腺癌マーカーの1つ以上を含むことができる。タンパク質は、当該前立腺抗原に相同な配列、当該前立腺抗原の断片、及び、当該前立腺抗原の断片に相同な配列を有するタンパク質を含み得る。
【0170】
当該前立腺抗原は、本明細書に記載のベクターで投与することができ、そして、以下の実施例に記載したものを含めて様々なワクチン接種スケジュールにおいて、チェックポイント阻害剤と組み合わせることができる。
【0171】
c.WT1
当該抗原を、ウィルムス腫瘍抑制遺伝子1(WT1)、その断片、その変異体、または、それらの組み合わせとすることができる。WT1は、N末端に、プロリン/グルタミンに富むDNA結合ドメインを含み、かつ、C末端に、4つのジンクフィンガーモチーフを含む転写因子である。WT1は、泌尿生殖器系の正常な発達において役割を果たしており、および、数多くの因子、例えば、既知の腫瘍抑制因子であるp53や、細胞傷害性薬物での治療後に複数の部位でWT1を開裂するセリンプロテアーゼHtrA2などと相互作用する。
【0172】
WT1の突然変異は、腫瘍またはがんの形成、例えば、ウィルムス腫瘍またはWT1を発現する腫瘍を引き起こすことができる。ウィルムス腫瘍は、他の組織、例えば、肝組織、尿路系組織、リンパ組織、及び、肺組織などに転移する前に、一方または双方の腎臓に形成されることが多い。したがって、ウィルムス腫瘍は、転移性腫瘍とみなすことができる。ウィルムス腫瘍は、通常、若年児(例えば、5歳未満)、及び、散発性、及び、遺伝的形態の双方で生じる。したがって、当該ワクチンは、ウィルムス腫瘍に罹患している対象を処置するために使用することができる。また、当該ワクチンを、がんまたは腫瘍を有しており、WT1も発現している対象を治療するために使用して、かような腫瘍の対象での発生を予防することができる。当該WT1抗原は、天然の「正常な」WT1遺伝子とは異なっており、したがって、WT1抗原発現腫瘍に対する治療または予防を提供する。タンパク質は、当該WT1抗原に相同な配列、当該WT1抗原の断片、及び、当該WT1抗原の断片に相同な配列を含むタンパク質を含み得る。
【0173】
当該WT1抗原は、本明細書に記載のベクターで投与することができ、そして、以下の実施例に記載したものを含めて様々なワクチン接種スケジュールにおいて、チェックポイント阻害剤と組み合わせることができる。
【0174】
d.チロシナーゼ抗原
抗原チロシナーゼ(Tyr)抗原は、免疫媒介クリアランスのための重要な標的であり、(1)単球走化性タンパク質-1(MCP-1)産生をブロックする抗体を生産するB細胞応答による体液性免疫を誘導して、それにより、骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)を遅延させ、及び、腫瘍増殖を抑制する、(2)CD8+(CTL)などの細胞傷害性Tリンパ球を増加させて、腫瘍細胞を攻撃及び死滅させる、(3)Tヘルパー細胞応答を増大する、及び、(4)IFN-γ及びTFN-α、または、好ましくは、上記したすべてを介して炎症応答を増大することを誘導する。
【0175】
チロシナーゼは、植物及び動物の組織に認められる銅含有酵素である。チロシナーゼは、チロシンなどのフェノール類を酸化してメラニン及び他の色素の生成を触媒する。メラノーマでは、チロシナーゼは調節されなくなり、メラニン合成が増大する。また、チロシナーゼは、メラノーマに罹患している対象における細胞傷害性T細胞認識の標的でもある。したがって、チロシナーゼを、メラノーマに関連する抗原とすることができる。
【0176】
当該抗原は、それに対して抗-Tyr免疫応答を誘導できる免疫原として、それらを特に有効なものにするタンパク質エピトープを含むことができる。当該Tyr抗原は、完全長翻訳産物、その変異体、その断片、または、それらの組み合わせを含むことができる。
【0177】
当該Tyr抗原は、コンセンサスタンパク質を含むことができる。当該Tyr抗原は、抗原特異的T細胞応答、及び、高力価抗体応答の双方を、すべてのがん、及び、腫瘍関連細胞に対して全身的に誘発する。このように、保護的免疫応答が、Tyrコンセンサス抗原を含むワクチンによる腫瘍形成に対して提供される。したがって、いかなる使用者でも、Tyr抗原を含む本発明のワクチンをデザインして、腫瘍形成、腫瘍の転移、及び、腫瘍増殖に対する広範な免疫を提供することができる。タンパク質は、Tyr抗原に相同な配列、Tyr抗原の断片、及び、Tyr抗原の断片に相同な配列を含むタンパク質を含み得る。
【0178】
当該Tyr抗原は、本明細書に記載のベクターで投与することができ、そして、以下の実施例に記載したものを含めて様々なワクチン接種スケジュールにおいて、チェックポイント阻害剤と組み合わせることができる。
【0179】
e.NYESO1
NY-ESO-1は、細胞性免疫及び体液性免疫の双方を誘導することができる様々ながんで発現したがん-精巣抗原である。遺伝子発現研究は、粘液状及び円形細胞脂肪肉腫において、NY-ESO-1、CTAG1Bに関する当該遺伝子のアップレギュレーションを示した。タンパク質は、NYES01抗原に相同な配列、NYES01抗原の断片、及び、NYES01抗原の断片に相同な配列を含むタンパク質を含み得る。
【0180】
当該NYES01抗原は、本明細書に記載のベクターで投与することができ、そして、以下の実施例に記載したものを含めて様々なワクチン接種スケジュールにおいて、チェックポイント阻害剤と組み合わせることができる。
【0181】
f.PRAME
腫瘍(PRAME抗原)において優先的に発現するメラノーマ抗原とは、ヒトにおいて、PRAME遺伝子によってコードされるタンパク質である。この遺伝子は、主に、ヒトメラノーマにおいて発現し、そして、細胞溶解性Tリンパ球によって認識される抗原をコードする。精巣以外の正常組織では発現しない。また、この遺伝子は、急性白血病でも発現する。同じタンパク質をコードする5つの選択的にスプライシングした転写変異体が、この遺伝子について観察されている。タンパク質は、PRAME抗原に相同な配列、PRAME抗原の断片、及び、PRAME抗原の断片に相同な配列を有するタンパク質を含み得る。
【0182】
当該PRAME抗原は、本明細書に記載のベクターで投与することができ、そして、以下の実施例に記載したものを含めて様々なワクチン接種スケジュールにおいて、チェックポイント阻害剤と組み合わせることができる。
【0183】
g.MAGE
MAGEとは、メラノーマ関連抗原、特に、メラノーマ関連抗原4(MAGEA4)のことを表す。MAGE-A4は、オスの生殖細胞、そして、胃腸癌、食道癌、及び、肺癌などの様々な組織型の腫瘍細胞において発現する。MAGE-A4は、がんタンパク質であるガンキリンに結合する。このMAGE-A4特異的結合は、そのC末端によって媒介される。研究は、外因性MAGE-A4が、インビトロで、ガンキリン過剰発現細胞の接着非依存性増殖を部分的に阻害し、そして、ヌードマウスでのこれらの細胞に由来する移動腫瘍の形成を抑制する、ことを示した。この阻害は、MAGE-A4とガンキリンとの間の結合に依存しており、このことは、ガンキリン及びMAGE-A4が、ガンキリンが媒介した発癌を阻害することを示唆している。腫瘍組織におけるMAGE発現は原因ではないが、腫瘍発生の結果であり、そして、MAGE遺伝子は、早期腫瘍細胞を破壊の標的とすることで、免疫プロセスに関与する可能性が高い。
【0184】
メラノーマ関連抗原4タンパク質(MAGEA4)は、胚発生、及び、腫瘍形質転換、及び/または、進行に関与することができる。MAGEA4は、通常、精巣及び胎盤で発現される。しかしながら、MAGEA4は、メラノーマ、頭頸部扁平上皮癌、肺癌、及び、乳癌などの多くの異なるタイプの腫瘍において発現することができる。したがって、MAGEA4を、様々な腫瘍に関連する抗原とすることができる。
【0185】
当該MAGEA4抗原は、抗原特異的T細胞応答、及び/または、高力価抗体応答を誘導し、それにより、当該抗原を発現する当該がんまたは腫瘍に対して誘導をし、あるいは、反応をする免疫応答を誘導または惹起することができる。幾つかの実施形態において、誘導または惹起した免疫応答を、細胞性、体液性、または、細胞性及び体液性の双方の免疫応答とすることができる。幾つかの実施形態において、誘導または惹起した細胞性免疫応答は、インターフェロンγ(IFN-γ)、及び/または、腫瘍壊死因子α(TNF-α)の誘導または分泌を含むことができる。他の実施形態において、誘導または惹起した免疫応答は、当該腫瘍、または、当該抗原を発現するがんの成長を促す1つ以上の免疫抑制因子を弱め、または、阻害することができ、同因子として、例えば、MHC提示をダウンレギュレートする因子、抗原特異的制御性T細胞(Treg)をアップレギュレートする因子、PD-L1、FasL、IL-10やTFG-βなどのサイトカイン、腫瘍関連マクロファージ、腫瘍関連線維芽細胞などがあるが、これらに限定されない。
【0186】
当該MAGEA4抗原は、それに対して抗-MAGEA4免疫応答を誘導できる免疫原として、それらを特に有効にするタンパク質エピトープを含むことができる。当該MAGEA4抗原は、完全長翻訳産物、その変異体、その断片、または、それらの組み合わせを含むことができる。当該MAGEA4抗原は、コンセンサスタンパク質を含むことができる。
【0187】
当該コンセンサスMAGEA4抗原をコードする当該核酸配列は、コドン使用、及び、対応するRNA転写物に関して最適化することができる。当該コンセンサスMAGEA4抗原をコードする当該核酸を、発現のために最適化されたコドン及びRNAとすることができる。幾つかの実施形態において、当該コンセンサスMAGEA4抗原をコードする当該核酸配列は、翻訳の効率を高めるために、コザック配列(例えば、GCC ACC)を含むことができる。当該コンセンサスMAGEA4抗原をコードする当該核酸は、翻訳停止の効率を高めるために、複数の終止コドン(例えば、TGA TGA)を含むことができる。
【0188】
当該MAGE抗原は、本明細書に記載のベクターで投与することができ、そして、以下の実施例に記載したものを含めて様々なワクチン接種スケジュールにおいて、チェックポイント阻害剤と組み合わせることができる。
【0189】
h.腫瘍抗原
本発明の文脈において、「腫瘍抗原」または「過剰増殖性障害抗原」または「過剰増殖性障害に関連する抗原」とは、がんなどの特定の過剰増殖性疾患に共通する抗原のことをいう。本明細書で論じられる抗原は、単に例示として含む。このリストは、排他的なことを意図しておらず、さらなる例を、当業者は容易に想到できるであろう。
【0190】
腫瘍抗原は、免疫応答、特に、T細胞媒介免疫応答を惹起する腫瘍細胞によって産生されるタンパク質である。本発明の抗原結合部分の選択は、治療される特定のタイプのがんに依存している。腫瘍抗原は、当該技術分野において周知のものであり、例えば、神経膠腫関連抗原、癌胎児性抗原(CEA)、β-ヒト絨毛ゴナドトロピン、アルファフェトプロテイン(AFP)、レクチン反応性AFP、チログロブリン、RAGE-1、MN-CA IX、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2(AS)、腸管カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、M-CSF、プロスターゼ、前立腺特異抗原(PSA)、PAP、NY-ESO-1、LAGE-1a、p53、プロスタイン、PSMA、Her2/neu、スルビビン及びテロメラーゼ、前立腺癌腫瘍抗原-1(PCTA-1)、MAGE、ELF2M、好中球エラスターゼ、エフリンB2、CD22、インスリン成長因子(IGF)-I、IGF-II、IGF-I受容体、及び、メソセリンなどがあるが、これらに限定されない。
【0191】
ある実施形態において、当該腫瘍抗原は、悪性腫瘍に関連する1つ以上の抗原性がんエピトープを含む。悪性腫瘍は、免疫攻撃の標的抗原として機能することができる数多くのタンパク質を発現する。これらの分子として、メラノーマでのMART-1、チロシナーゼ、及び、GP100、それに、前立腺癌における前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、及び、前立腺特異抗原(PSA)などの組織特異的抗原があるが、これらに限定されない。他の標的分子は、がん遺伝子HER-2/Neu/ErbB-2などの形質転換関連分子の群に属する。標的抗原のさらに別の群は、癌胎児性抗原(CEA)などの腫瘍胎児抗原である。B細胞リンパ腫において、当該腫瘍特異的イディオタイプ免疫グロブリンは、個々の腫瘍に特有の真正な腫瘍特異的免疫グロブリン抗原を構成する。CD19、CD20、及び、CD37などのB細胞分化抗原は、B細胞リンパ腫における標的抗原の他の候補である。これらの抗原の幾つか(CEA、HER-2、CD19、CD20、イディオタイプ)は、ある程度は有効であるモノクローナル抗体を用いた受動免疫療法の標的として使用されてきた。
【0192】
また、本発明での腫瘍抗原の種類は、腫瘍特異抗原(TSA)、または、腫瘍関連抗原(TAA)とし得る。TSAは、腫瘍細胞に固有のものであり、体内の他の細胞には存在しない。TAA関連抗原は、腫瘍細胞に特有のものではなく、その代わりに、当該抗原に対する免疫寛容の状態を誘導しない条件下で、正常細胞でも発現される。当該腫瘍での抗原の発現は、当該免疫系が当該抗原に応答することを可能にする条件下で起こり得る。TAAは、当該免疫系が未成熟で、応答をすることができない胎児発生の期間に、正常細胞で発現する抗原とし得るものであり、あるいは、正常細胞では通常は極めて低いレベルで存在するが、腫瘍細胞では非常に高いレベルで発現する抗原とし得る。
【0193】
TSAまたはTAA抗原の例として、MAGE-1/MelanA(MART-I)、gp100(Pmel 17)、チロシナーゼ、TRP-1、TRP-2などの分化抗原、及び、MAGE-1、MAGE-3、BAGE、GAGE-1、GAGE-2、pl5などの腫瘍特異的多分化能抗原、CEAなどの過剰発現した胚性抗原、p53、Ras、HER-2/neuなどの過剰発現したがん遺伝子及び突然変異した腫瘍抑制遺伝子、BCR-ABL、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RARなどの染色体転座に起因する独特の腫瘍抗原、及び、エプスタインバーウイルス抗原EBVA、及び、ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原E6及びE7などのウイルス抗原があるが、これらに限定されない。その他の大きなタンパク質ベースの抗原として、TSP-180、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、RAGE、NY-ESO、p185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、PSA、TAG-72、CA 19-9、CA 72-4、CAM 17.1、NuMa、K-ras、β-カテニン、CDK4、Mum-1、p15、p16,43-9F、5T4、791Tgp72、α-フェトプロテイン、β-HCG、BCA225、BTAA、CA125、CA 15-3\CA 27.29\BCAA、CA 195、CA 242、CA-50、CAM43、CD68\P1、CO-029、FGF-5、G250、Ga733\EpCAM、HTgp-175、M344、MA-50、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY―CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90\Mac-2結合タンパク質\シクロフィリンC-関連タンパク質、TAAL6、TAG72、TLP、及び、TPSがある。
【0194】
a.ワクチンに含まれる賦形剤及び他の成分
当該ワクチンは、医薬として許容される賦形剤をさらに含み得る。医薬として許容される当該賦形剤を、ビヒクル、アジュバント、担体、または、希釈剤としての機能的分子とすることができる。医薬として許容される当該賦形剤を、界面活性剤を含むことができる、トランスフェクション促進剤、例えば、免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリル脂質AなどのLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体、スクアレン及びスクアレンなどの小胞、ヒアルロン酸、脂質、リポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、または、ナノ粒子、または、その他の公知のトランスフェクション促進剤とすることができる。
【0195】
当該トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリカチオン、ポリ-L-グルタミン酸塩(LGS)など、または、脂質である。当該トランスフェクション促進剤は、ポリ-L-グルタミン酸塩であり、かつ、当該ポリ-L-グルタミン酸塩は、6mg/ml未満の濃度で当該ワクチンに存在し得る。当該トランスフェクション促進剤は、界面活性剤、例えば、免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリル脂質AなどのLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体、及び、スクアレン及びスクアレンなどの小胞を含んでいてもよく、そして、ヒアルロン酸を用いて、当該遺伝子構築物と共に投与もし得る。当該DNAプラスミドワクチンは、トランスフェクション促進剤、例えば、脂質、レシチンリポソームまたはDNAリポソーム混合物(例えば、W09324640を参照されたい)などの当該技術分野で周知のその他のリポソームなどのリポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、または、ナノ粒子、または、その他の公知のトランスフェクション促進剤も含み得る。当該トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリカチオン、ポリ-L-グルタミン酸塩(LGS)など、または、脂質である。当該ワクチンでの当該トランスフェクション剤の濃度は、4mg/ml未満、2mg/ml未満、1mg/ml未満、0.750mg/ml未満、0.500mg/ml未満、0.250mg/ml未満、0.100mg/ml未満、0.050mg/ml未満、または、0.010mg/ml未満である。
【0196】
医薬として許容可能な賦形剤を、本発明のチェックポイント阻害剤抗体に加えて、アジュバントとし得る。追加のアジュバントは、他の遺伝子とすることができ、同遺伝子は、代替プラスミドで発現されるか、あるいは、ワクチンにおいて上記したプラスミドと組み合わせてタンパク質として送達される。当該アジュバントは、α-インターフェロン(IFN-α)、β-インターフェロン(IFN-β)、γ-インターフェロン、血小板由来増殖因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM-CSF、上皮増殖因子(EGF)、皮膚T細胞誘引ケモカイン(CTACK)、上皮胸腺発現ケモカイン(TECK)、粘膜関連上皮ケモカイン(MEC)、IL-12、IL-15、MHC、CD80、CD86からなる群から選択し得るものであり、同CD86は、シグナル配列を欠失し、そして、任意に、IgE由来のシグナルペプチドを有するIL-15を含む。当該アジュバントを、IL-12、IL-15、IL-28、CTACK、TECK、血小板由来増殖因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM-CSF、上皮増殖因子(EGF)、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、PD-1、IL-10、IL-12、IL-18、または、それらの組み合わせとすることができる。
【0197】
本発明の抗体に加えて、アジュバントとして使用可能なその他の遺伝子として、MCP-1、MIP-1a、MIP-1p、IL-8、RANTES、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-1、VLA-1、Mac-1、pl50.95、PECAM、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-4、IL-18の変異体、CD40、CD40L、血管成長因子、線維芽細胞成長因子、IL-7、IL-22、神経成長因子、血管内皮増殖因子、Fas、TNF受容体、Fit、Apo-1、p55、WSL-1、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c-jun、Sp-1、Ap-1、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP-1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANK LIGAND、Ox40、Ox40 LIGAND、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2、及び、それらの機能的断片をコードするものがある。
【0198】
当該ワクチンは、本明細書の一部を構成するものとしてその全内容を援用する、1994年4月1日に出願された米国特許出願第021,579号に記載された遺伝的ワクチン促進剤をさらに含み得る。
【0199】
当該ワクチンは、用いられる投与様式にしたがって製剤することができる。注射可能なワクチン医薬組成物は、滅菌された発熱物質不含のもの、及び、微粒子不含のものとすることができる。等張性製剤または溶液を用いることができる。等張性のための添加剤として、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、及び、ラクトースがある。当該ワクチンは、血管収縮剤を含むことができる。当該等張性溶液は、リン酸緩衝生理食塩水を含むことができる。当該ワクチンは、ゼラチンやアルブミンなどの安定化剤をさらに含むことができる。当該安定剤、LGS、または、ポリカチオン、または、ポリアニオンなどは、製剤を、室温または周囲温度で、長時間安定にすることができる。
【0200】
6.ワクチン接種の方法
また、本発明は、対象における免疫応答を増大させる方法に関する。当該免疫応答を増大することは、当該対象での疾患を、処置、及び/または、予防するために利用することができる。当該方法は、本明細書に開示したワクチンを、当該対象に投与することを含むことができる。当該ワクチンの投与を受けた当該対象は、当該抗原だけを投与された対象と比較して、増大した免疫応答、または、追加の免疫応答を獲得することができる。幾つかの実施形態において、当該免疫応答は、約0.5倍から約15倍、約0.5倍~約10倍、または、約0.5倍~約8倍に増大することができる。あるいは、当該ワクチンの投与を受けた当該対象における免疫応答を、少なくとも約0.5倍、少なくとも約1.0倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2.0倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3.0倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4.0倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5.0倍、少なくとも約5.5倍、少なくとも約6.0倍、少なくとも約6.5倍、少なくとも約7.0倍、少なくとも約7.5倍、少なくとも約8.0倍、少なくとも約8.5倍、少なくとも約9.0倍、少なくとも約9.5倍、少なくとも約10.0倍、少なくとも約10.5倍、少なくとも約11.0倍、少なくとも約11.5倍、少なくとも約12.0倍、少なくとも約12.5倍、少なくとも約13.0倍、少なくとも約13.5倍、少なくとも約14.0倍、少なくとも約14.5倍、または、少なくとも約15.0倍に増大することができる。
【0201】
さらに他の代替実施形態において、当該ワクチンの投与を受けた当該対象における免疫応答を、約50%~1500約%、約50%~約1000%、または、約50%~約800%増大させることができる。他の実施形態において、当該ワクチンの投与を受けた当該対象における免疫応答を、少なくとも約50%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、少なくとも約300%、少なくとも約350%、少なくとも約400%、少なくとも約450%、少なくとも約500%、少なくとも約550%、少なくとも約600%、少なくとも約650%、少なくとも約700%、少なくとも約750%、少なくとも約800%、少なくとも約850%、少なくとも約900%、少なくとも約950%、少なくとも約1000%、少なくとも約1050%、少なくとも約1100%、少なくとも約1150%、少なくとも約1200%、少なくとも約1250%、少なくとも約1300%、少なくとも約1350%、少なくとも約1450%、または、少なくとも約1500%増大させることができる。
【0202】
当該ワクチンの用量を、1μg~10mg有効成分/体重kg/時間とすることができ、及び、20μg~10mg成分/体重kg/時間とすることもできる。当該ワクチンは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、または、31日おきに投与することができる。効果的な治療のためのワクチンの投与回数を、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または、10回とすることができる。
【0203】
a.投与
本発明の組成物は、医薬分野の当業者に周知の標準的な技術に従って製剤化することができる。そのような組成物は、特定の対象の年齢、性別、体重、及び、病態、及び、投与経路などの要因を考慮して、投薬量、及び、医学分野の当業者に周知の技術によって投与することができる。当該対象を、ヒト、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ラット、または、マウスなどの哺乳類とすることができる。
【0204】
本発明の組成物を、予防的または治療的に投与することができる。予防的投与において、当該ワクチンは、免疫反応を誘導するのに十分な量で投与される。治療的適用の場合、本発明の組成物は、治療的効果を惹起するのに十分な量で、それを必要とする対象に投与される。これを達成するために十分な量を、「治療的有効用量」として定義する。この用途のための有効量は、例えば、投与されるワクチン療法の特定の組成物、投与様式、疾患の段階および重症度、患者の全身健康状態、及び、処方する医師の判断に依存することになる。
【0205】
本発明の組成物は、Donnelly et al.(Ann. Rev. Immunol. 15:617-648(1997));Felgner et al.(米国特許第5,580,859号、1996年12月3日発行);Felgner(米国特許第5,703,055号、1997年12月30日発行)、及び、Carson et al.(米国特許第5,679,647号、1997年10月21日発行)に記載されているように当該技術分野で周知の方法によって投与することができ、それらの全内容は、本明細書の一部を構成するものとして援用する。本発明の組成物のDNAは、粒子またはビーズと複合体を形成して、これを、例えば、ワクチン銃を用いて個体に投与することができる。当業者は、生理学的に許容される化合物を含む医薬として許容可能な担体の選択が、例えば、発現ベクターの投与経路に依存することを理解するであろう。
【0206】
本発明の組成物は、多様な経路を介して送達することができる。典型的な送達経路として、非経口投与、例えば、皮内、筋肉内、または、皮下送達がある。他の経路として、経口投与、鼻腔内、および膣内経路がある。特に本発明の組成物のDNAに関して、当該組成物を、個体の組織の間質空間に送達することができる(Felgner et al., 米国特許第5,580,859号および第5,703,055号、本明細書の一部を構成するものとしてこれらの全内容を援用する)。また、当該組成物は、筋肉に投与することができ、または、皮内または皮下注射を通して、あるいは、イオン導入法による経皮投与を通して投与することができる。当該組成物の表皮投与も用いることができる。表皮投与は、刺激物質に対する免疫反応を刺激するために、表皮の最も外側の層を機械的または化学的な刺激を関与させることができる(Carson et al., 米国特許第5,679,647号、本明細書の一部を構成するものとして同公報の全内容を援用する)。
【0207】
また、本発明の組成物を、鼻腔内経路を通して投与するために調製することができる。担体が固体であって鼻腔投与に適した製剤には、粒径、例えば、約10~約500ミクロンの範囲の粒径を有する目の粗い粉末が含まれており、鼻から吸うようにして投与されるものであって、すなわち、鼻に近づけて保持した粉末用容器から鼻腔を通して急速に吸入することによって投与される。当該製剤を、点鼻スプレー、点鼻薬、または、ネブライザーによるエアロゾル投与することができる。当該製剤は、当該ワクチンの水溶液または油性溶液を含むことができる。
【0208】
本発明の組成物を、懸濁剤、シロップ、または、エリキシル剤などの液体調製物とすることができる。また、本発明の組成物を、非経口、皮下、皮内、筋肉内、または、静脈内投与(例えば、注射投与)用の製剤、例えば、滅菌懸濁液、または、エマルションとすることができる。
【0209】
本発明の組成物は、リポソーム、ミクロスフェア、または、他のポリマーマトリクスに組み込むことができる(Felgner et al, 米国特許第5,703,055号、Gregoriadis、Liposome Technology、Vols.I~III(2nd ed.1993)、本明細書の一部を構成するものとしてこれらの全内容を援用する)。リポソームは、リン脂質、または、他の脂質からなり、そして、作製および投与が比較的単純な、非毒性の、生理学的に許容される、代謝可能な担体とすることができる。
【0210】
本発明の組成物は、本明細書の一部を構成するものとしてその全内容を援用する、米国特許第7,664,545号に記載の方法のような、電気穿孔を介して投与することができる。当該電気穿孔は、米国特許第6,302,874号、同第5,676,646号、同第6,241,701号、同第6,233,482号、同第6,216,034号、同第6,208,893号、同第6,192,270号、同第6,181,964号、同第6,150,148号、同第6,120,493号、同第6,096,020号、同第6,068,650号、及び、同第5,702,359号に記載の方法、及び/または、装置によって行うことができ、それらの全内容は、本明細書の一部を構成するものとして援用する。当該電気穿孔は、最小侵襲装置を介して行い得る。
【0211】
当該最小侵襲性電気穿孔装置(「MID」)は、上記した当該ワクチン、及び、関連流体を、身体組織に注入する装置であり得る。当該装置は、中空針、DNAカセット、及び、流体送達手段を含み得るものであって、当該装置は、針を身体組織に挿入している間にDNAを身体組織に同時に(例えば、自動的に)注入するように、使用時に流体送達手段を作動するようになっている。これは、針が挿入されている間にDNA及び関連流体を徐々に注入する能力が、身体組織内の流体のさらに均一な分布をもたらすという利点を有する。また、注入されるDNAが、さらに広範囲に分布することで、注入中に体感される痛みは緩和され得る。
【0212】
当該MIDは、針を使用せずにワクチンを組織に注入することができる。当該MIDは、当該ワクチンが組織表面を貫通して、下層の組織、及び/または、筋肉に入るような力で、当該ワクチンを、小さなストリームまたはジェットとして注入し得る。小さなストリームまたはジェットの背後にある力は、マイクロオリフィスを通じた二酸化炭素などの圧縮ガスを瞬時に膨張させることで提供し得る。最小侵襲性電気穿孔装置、及び、それらの使用方法の例は、米国公開特許出願第20080234655号、米国特許第6,520,950号、米国特許第7,171,264号、米国特許第6,208,893号、米国特許第6,009,347号、米国特許第6,120,493号、米国特許第7,245,963号、米国特許第7,328,064号、及び、米国特許第6,763,264号に記載されており、それらの全内容は、本明細書の一部を構成するものとして援用する。
【0213】
当該MIDは、痛みを伴わずに組織を貫通する液体の高速ジェットを生成する注射器を含み得る。かかる針無し注射器は市販されている。本明細書で利用可能な針無し注射器の例は、米国特許第3,805,783号、同第4,447,223号、同第5,505,697号、及び、同第4,342,310号に記載されており、それらの全内容は、本明細書の一部を構成するものとして援用する。
【0214】
直接的または間接的な電気輸送に適した形態の所望の本発明の組成物を、針無し注射器を用いて、治療対象組織に導入する(例えば、注入する)ことができ、通常は、組織表面に注射器を接触させて、当該ワクチンを組織に貫通させるのに十分な力で薬剤をジェット送達させて行う。例えば、治療対象組織が、粘膜、皮膚、または、筋肉である場合、当該薬剤は、角質層を通じて皮層へ、または、下層組織、及び、筋肉のそれぞれへと貫通させるのに十分な力で、粘膜または皮膚表面に向けて当該薬剤を発射する。
【0215】
針無し注射器は、全タイプの組織、特に、皮膚及び粘膜にワクチンを送達するのに適している。幾つかの実施形態において、針無し注射器は、当該ワクチンを含む液体を、表面及び対象の皮膚または粘膜に進ませるために使用し得る。本発明の方法を用いて治療することができる様々なタイプの組織の代表的な例として、膵臓、喉頭、鼻咽頭、下咽頭、中咽頭、唇、喉、肺、心臓、腎臓、筋肉、乳房、結腸、前立腺、胸腺、睾丸、皮膚、粘膜組織、卵巣、血管、または、それらのあらゆる組み合わせがある。
【0216】
当該MIDは、組織を電気穿孔する針状電極を有し得る。例えば、長方形または正方形パターンにセットされた複数の電極アレイにおける複数対の電極間にパルスを発生させることで、一対の電極間にパルスを発生させるよりも優れた結果がもたらされる。例えば、発明の名称が“Needle Electrodes for Mediated Delivery of Drugs and Genes”である米国特許第5,702,359号に開示されているものは、針のアレイであり、治療処置中に複数対の針にパルス発生させ得る。本明細書の一部を構成するものとしてその全内容を援用する同出願において、針は、円形配列で設置されているが、対向する対の針状電極間にパルスを発生させることが可能な接続器及び切替装置を有する。組換え発現ベクターを細胞に送達する一対の針状電極を使用し得る。かかる装置及びシステムは、米国特許第6,763,264号に記載されており、その全内容は、本明細書の一部を構成するものとして援用する。あるいは、DNAの注入、及び、通常の注射針に似た単一針による電気穿孔が可能な単一針装置を用いて、現在使用されている装置によって送達する場合よりも低い電圧パルスを印加することができ、そうすることで、患者が受ける電気が走ったような感覚を緩和できる。
【0217】
当該MIDは、1つ以上の電極アレイを含み得る。当該アレイは、同一直径または異なる直径の2つ以上の針を含み得る。当該針は、等間隔または不等間隔に配置し得る。当該針は、0.005インチ~0.03インチ、0.01インチ~0.025インチ、または、0.015インチ~0.020インチであり得る。当該針は、直径0.0175インチであり得る。当該針は、0.5mm、1.0mm、1.5mm、2.0mm、2.5mm、3.0mm、3.5mm、4.0mm、または、それ以上の間隔で配置され得る。
【0218】
当該MIDは、1つのパルス発生器と、当該ワクチンを送達し、単一工程で電気穿孔パルスを与える2つ以上の針注射器とからなり得る。当該パルス発生器により、パーソナルコンピュータ操作によるフラッシュカード経由でパルスや注入パラメータをフレキシブルにプログラミングできるだけでなく、電気穿孔及び患者データを包括的に記録及び保存をすることができる。当該パルス発生器は、様々な電圧パルスを、短時間で送達し得る。例えば、当該パルス発生器は、長さ100ミリ秒の15ボルトのパルスを3回送達し得る。かかるMIDの例として、米国特許第7,328,064号に記載のInovio Biomedical CorporationのElgen1000システムがあり、その全内容は、本明細書の一部を構成するものとしてその全内容を援用する。
【0219】
当該MIDを、CELLECTRA(Inovio Pharmaceuticals, Plymouth Meeting,PA)装置及びシステムとしてもよく、このものは、生体または植物の選択された組織の細胞へのDNAなどの高分子の導入を円滑にするためのモジュール式の電極システムである。当該モジュール式の電極システムは、複数の針状電極、皮下注射針、プログラム可能な定電流パルス制御器から複数の針状電極への導電性連結を提供する電気接続器、及び、電源を含み得る。操作者は、支持構造に搭載される複数の針状電極を握り、生体または植物の選択された組織に、それらをしっかりと挿入することができる。次いで、皮下注射針を介して、選択された組織に高分子を送達する。プログラム可能な定電流パルス制御器が活性化され、そして、複数の針状電極に定電流の電気パルスが印加される。印加された定電流の電気パルスは、複数の電極間で細胞への高分子の導入を促進する。細胞の過熱による細胞死は、定電流パルスにより組織内の電力消費を制限することで最小化される。Cellectra装置及びシステムは、米国特許第7,245,963号に記載されており、その全内容は、本明細書の一部を構成するものとして援用する。
【0220】
当該MIDを、Elgen1000システム(Inovio Pharmaceuticals)とし得る。このElgen1000システムは、中空針と流体送達手段とを備える装置を含んでもよく、当該装置は、針を身体組織に挿入する間に本明細書に記載のワクチンである流体を身体組織に同時に(例えば、自動的に)注入するように、使用時に流体送達手段を作動するようになっている。これは、針が挿入されている間に流体を徐々に注入する能力が、身体組織内の流体のさらに均一な分布をもたらすという利点を有する。また、注入される流体の量が、さらに広範囲に分布することで、注入中に体感される痛みは緩和されると考えられる。
【0221】
加えて、流体の自動注入は、注入される流体の実際の投与量の自動的な監視及び登録を容易にする。このデータは、必要に応じて、文書化のために制御ユニットにより保存することができる。
【0222】
注入速度は、直線的、または、非直線的のいずれでもよく、針が治療を受ける対象の皮膚を通って挿入された後で、かつ、それらがさらに身体組織に挿入される間に、注射が実行されることが理解されるであろう。
【0223】
本発明の装置によって流体を注入するのに適した組織は、腫瘍組織、皮膚、または、肝組織を含むが、筋肉組織であってもよい。
【0224】
この装置は、身体組織への針の挿入を案内する針挿入手段をさらに含む。流体の注入速度は、針の挿入速度によって制御される。これは、注入の速度が、所望の挿入の速度に整合できるように、針の挿入と流体の注入の両方を制御できるという利点を有する。それはまた、使用者に対しては、装置の操作をしやすくする。必要に応じて、針を身体組織に自動的に挿入する手段を設けることもできる。
【0225】
使用者は、流体の注入を開始すべき時点を選ぶことができる。しかしながら、理想的には、注入は針の先端が筋肉組織に到達したときに開始され、装置は、針が流体の注入が始まる十分な深さまで挿入された時点を感知する手段を含み得る。これは、針が所望の深さ(通常は、筋肉組織が始まる深さであろう)に到達したときに、流体の注入が自動的に始まるようにできることを意味する。筋肉組織が始まる深さとは、例えば、針が皮膚層を通過するのに十分であると考えられる4mmなど、予め設定された針の挿入深さとすることができる。
【0226】
当該感知手段は、超音波プローブを含み得る。当該感知手段は、インピーダンスまたは抵抗の変化を感知する手段を含み得る。この場合、この手段は、身体組織内の針の深さを記録しなくてもよく、むしろ、針が種々のタイプの身体組織から筋肉に移動しながら、インピーダンスまたは抵抗の変化を感知するようになっている。これらのいずれでも、比較的に正確で、操作が簡単である、注入の開始を感知する手段を提供する。所望であれば、針の挿入深さをさらに記録することができ、そして、流体の注入を制御するために使用でき、それにより、針の挿入深さを記録しながら注入すべき流体の量を決定する。
【0227】
当該装置は、当該針を支持する基体と、その内部に基体を収容するハウジングとをさらに含み、当該基体が、当該ハウジングに対して第1の後方位置にあるときに当該針が当該ハウジング内に引っ込められ、当該基体が、当該ハウジング内の第2の前方位置にあるときに当該針が当該ハウジングから出ているように、当該基体は、当該ハウジングに対して移動可能である。このことは、当該ハウジングが、患者の皮膚の上に並べられ、そして、当該基体に対して当該ハウジングを移動することで、当該針を患者の皮膚に挿入できるので、使用者にとって好都合である。
【0228】
上記したように、当該針が皮膚に挿入されながら、当該針の長さに渡って、流体が一様に分布するように制御された流体注入速度を達成することが望ましい。当該流体送達手段は、制御された速度で流体を注入するようになっているピストン駆動手段を含み得る。当該ピストン駆動手段は、例えば、サーボモータにより駆動することもできる。しかしながら、当該ピストン駆動手段は、当該基体が当該ハウジングに対して軸方向に移動されることにより作動され得る。流体送達の代わりの手段を設けてもよいことが理解されるであろう。したがって、例えば、制御された、あるいは、制御されない速度で流体を送達するために搾り出しが可能な閉じられた容器を、注射器及びピストンシステムの代わりに設けることもできる。
【0229】
上記した装置は、どのようなタイプの注入にも使用できる。しかしながら、電気穿孔の分野において特に有用であると考えられ、したがって、それは、当該針に電圧を印加する手段をさらに含み得る。このことは、当該針を注入に使用するだけでなく、電気穿孔での電極としても使用も可能にする。このことは、電界が注入される流体と同じ領域に印加されることを意味するので、特に好都合である。電気穿孔には、先に注入された流体に電極を正確に合わせることが非常に難しいという問題が伝統的にあり、したがって、注入された物質と電界との間の重なりを保証しようとして、使用者は広範な領域に渡って必要以上に大量の流体を注入し、また、大きな面積に対して電界を印加する傾向にあった。本発明を使用すれば、電界と流体との良好な適合を達成しつつ、流体の注入量と電界の印加サイズの両方を減少し得る。
【0230】
7.がん療法
本発明は、がんを処置または予防する方法、または、腫瘍の転移を処置、及び、予防する方法を提供する。本発明の関連する態様は、個体における増生細胞、または、腫瘍細胞の予防、予防の補助、及び/または、転移を減少させる方法を提供する。
【0231】
本発明の一態様は、それを必要とする個体において転移を阻害する方法を提供するものであって、本発明の組成物の有効量を個体に投与することを含む。さらに、本発明は、それを必要とする個体において転移を阻害する方法を提供するものであって、この方法は、本明細書に記載の組成物のいずれか1つの有効転移阻害量を個体に投与することを含む。
【0232】
がんを、処置または予防する幾つかの実施形態、または、それを必要とする個体において腫瘍の転移を処置及び予防する幾つかの実施形態において、第2の薬剤、例えば、抗悪性腫瘍剤を個体に投与する。幾つかの実施形態において、当該第2の薬剤は、プラスミノーゲンアンタゴニスト、または、アデノシンデアミナーゼアンタゴニストなどの第2の転移阻害剤を含む。他の実施形態では、当該第2の薬剤は、血管新生阻害剤である。
【0233】
本発明の組成物は、ヒト及び動物におけるがんを、予防、緩和、最小化、制御、及び/または、軽減するために使用することができる。また、本発明の組成物は、原発腫瘍の増殖速度を遅くするために使用することができる。処置を必要とする対象に投与された場合の本発明の組成物は、がん細胞の拡散を止めるために使用することができる。このように、本発明の組成物は、1つ以上の薬物、または、他の薬剤との併用療法の一部として投与することができる。併用療法の一部として使用される場合、本発明の組成物によってもたらされる原発腫瘍の増殖の減少、及び、転移の減少は、患者を処置するために使用されるあらゆる医薬または薬物療法のより効果的かつ効率的な使用を可能にする。加えて、本発明の組成物による転移の制御は、当該対象に対して、当該疾患を1つの箇所に集約させるだけの余力を与える。
【0234】
ある実施形態において、本発明は、悪性腫瘍または他のがん細胞の転移を予防する方法、ならびに、腫瘍の増殖速度を低下させる方法を提供する。これらの方法は、本発明の組成物の1つ以上を有効量で、悪性腫瘍またはがん性細胞と診断された対象に、または、腫瘍もしくはがん性細胞を有する対象に投与することを含む。
【0235】
本発明の方法及び組成物によって処置できるがんを以下に示すが、これらに限定されない。急性リンパ芽球、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、副腎皮質癌・小児、虫垂癌、基礎細胞癌、胆管癌・肝外、膀胱癌、骨癌、骨肉腫及び悪性線維性組織球腫、脳幹神経膠腫・小児、脳腫瘍・成人、脳腫瘍・脳幹神経膠腫・小児、脳腫瘍・中枢神経系異常奇形腫/ラブドイド腫瘍・小児、中枢神経系胚腫瘍、小脳星細胞腫、大脳星細胞腫/悪性神経膠腫、頭蓋咽頭腫、上衣芽細胞腫、上衣腫、髄芽細胞腫、髄様上皮腫、中分化の松果体実質腫瘍、原発性神経外胚葉腫瘍及び松果体芽細胞腫、視覚経路及び視床下部神経膠腫、脳及び脊髄腫瘍、乳癌、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、カルチノイド腫瘍・胃腸、中枢神経系非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、中枢神経系胚腫瘍、中枢神経系リンパ腫、小脳星細胞腫、小脳星状細胞腫/悪性神経膠腫・小児、子宮頸癌、脊索腫・小児、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性障害、結腸癌、結腸直腸癌、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、食道癌、腫瘍のユーイングファミリー、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管癌、眼癌・眼内メラノーマ、眼癌・網膜芽細胞腫、胆嚢癌、消化管(胃)癌、胃腸カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、生殖細胞腫瘍・頭蓋外、生殖細胞腫瘍・外分泌腺、生殖細胞腫瘍・卵巣、妊娠性絨毛腫瘍、神経膠腫、神経膠腫・小児脳幹;神経膠腫・小児大脳星細胞腫、神経膠腫・小児視覚経路及び視床下部、毛状細胞白血病、頭頸部癌、肝細胞(肝臓)癌、組織球増殖症・ランゲルハンス細胞、ホジキンリンパ腫、咽頭癌、視床下部及び視覚経路神経膠腫、眼内メラノーマ、島細胞腫瘍、腎臓(腎細胞)癌、ランゲルハンス細胞組織球増殖症、喉頭癌、白血病・急性リンパ芽球性、白血病・急性骨髄性、白血病・慢性リンパ球、白血病・慢性骨髄性、白血病・毛状細胞、口腔及び口腔空洞癌、肝臓癌、肺癌・非小細胞、肺癌・小細胞、リンパ腫・AIDS関連、リンパ腫・バーキット、リンパ腫・皮膚T細胞、リンパ腫・ホジキン、リンパ腫・非ホジキン、リンパ腫・原発性中枢神経系、マクログロブリン血症・ヴァルデンストレーム、骨の悪性線維性組織球腫及び骨肉腫、髄芽細胞腫、メラノーマ、メラノーマ・眼内(眼)、メルケル細胞癌、中皮腫、潜在性原発巣を伴う転移性扁平上皮癌、口腔癌、多発性内分泌腫瘍症候群(小児)、多発性骨髄腫/血漿細胞腫瘍、真菌症、息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、骨髄性白血病・慢性、骨髄性白血病・成人急性、骨髄性白血病・小児急性、骨髄腫・複数、骨髄増殖性疾患・慢性、鼻腔及び副鼻腔癌、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、非小細胞肺癌、口腔癌、口腔癌、卵黄腺癌、骨肉腫及び骨の悪性線維性組織球腫、卵巣癌、卵巣上皮癌、卵巣生殖細胞腫瘍、卵巣低悪性腫瘍、膵臓癌、膵臓癌・膵島細胞腫瘍、乳頭腫症、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、中分化の松果体実質腫瘍、松果体芽腫及び原発性神経原性腫瘍、下垂体腫瘍、形質細胞腫/多発性骨髄腫、肺芽球芽細胞腫、原発性中枢神経系リンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎臓細胞(腎臓)癌、腎盂及び尿管・移行細胞癌、15番染色体上のNUT遺伝子に関与する呼吸器癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、肉腫・ユーイング腫瘍の家系、肉腫・カポジ、肉腫・軟部組織、肉腫・子宮内、セザリー症候群、皮膚癌(非メラノーマ)、皮膚癌(メラノーマ)、皮膚癌・メルケル細胞、小細胞肺癌、小腸癌、軟部肉腫、扁平上皮細胞癌・転移性一次転移を伴う扁平上皮癌・転移性、胃(消化器)癌、原発性神経原性腫瘍、T細胞リンパ腫・皮膚、精巣癌、咽喉癌、胸腺腫及び胸腺癌、甲状腺癌、腎盂及び尿管の移行細胞癌、栄養芽腫・妊娠、尿道癌、子宮癌・子宮内膜症、子宮肉腫、膣癌、卵巣癌、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、及び、ウィルムス腫瘍。
【0236】
ある実施形態において、本発明は、がん転移を処置する方法であって、本発明の組成物で処置をする前に、処置と同時に、または、処置をした後に、手術、化学療法、化学療法剤、放射線療法、または、ホルモン療法、または、それらの組み合わせで、当該対象に補充療法をすることを含む。
【0237】
化学療法剤として、細胞毒性薬(例えば、5-フルオロウラシル、シスプラチン、カルボプラチン、メトトレキセート、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、オキソルビシン、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、シタラビンUSP、シクロホスファミド、エストラムシンリン酸ナトリウム、アルトレタミン、ヒドロキウレア、イホスファミド、プロカルバジン、マイトマイシン、ブスルファン、シクロホスファミド、ミトキサントロン、カルボプラチン、シスプラチン、インターフェロンα―2組換え型、パクリタキセル、テニポシド、及び、ストレプトゾシン)、細胞毒性アルキル化剤(例えば、ブスルファン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メルファラン、または、エチルスルホン酸)、アルキル化剤(例えば、アサレイ、AZQ、BCNU、ブスルファン、ビスルファン、カルボキシフタラト白金、CBDCA、CCNU、CHIP、クロラムブシル、クロロゾトシン、シスプラチニウム、クロメソン、シアノモルホリノドキソルビシン、シクロジソン、シクロホスファミド、ジアンヒドロガラクチトール、フルオロドパン、ヘプスルファム、ヒカントン、イホスファミド、メルファラン、メチルCCNU、マイトマイシンC、ミトゾラミド、ナイトロジェンマスタード、PCNU、ピペラジン、ピペラジンジオン、ピポブロマン、ポルフィロマイシン、スピロヒダントインマスタード、ストレプトゾトシン、テロキシロン、テトラプラチン、チオテパ、トリエチレンメラミン、ウラシルナイトロジェンマスタード、及び、Yoshi-864)、抗有糸分裂剤(例えば、アロコルヒチン、ハリコンドリンB、コルヒチン、コルヒチン誘導体、ドラスタチン10、メイタンシン、リゾキシン、パクリタキセル誘導体、パクリタキセル、チオコルヒチン、トリチルシステイン、硫酸ビンブラスチン、及び、硫酸ビンクリスチン)、植物性アルカロイド(例えば、アクチノマイシンD、ブレオマイシン、L-アスパラギナーゼ、イダルビシン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、ミトラマイシン、ミトマイシン、ダウノルビシン、VP-16-213、VM-26、ナベルビン、及び、タキソテール)、生物学的製剤(例えば、アルファインターフェロン、BCG、G-CSF、GM-CSF、及び、インターロイキン-2)、トポイソメラーゼI阻害剤(例えば、カンプトテシン、カンプトテシン誘導体、及び、モルホリノドキソルビシン)、トポイソメラーゼII阻害剤(例えば、ミトキサントロン、アモナフィド、m-AMSA、アントラピラゾール誘導体、ピラゾロアクリジン、ビサントレンHCL、ダウノルビシン、デオキシドキソルビシン、メノガリル、N,N-ジベンジルダウノマイシン、オキサントラゾール、ルビダゾン、VM-26、及び、VP-16)、及び、合成製剤(例えば、ヒドロキシウレア、プロカルバジン、o,p’-DDD、ダカルバジン、CCNU、BCNU、シスジアンミンジクロロプラチマン、ミトキサントロン、CBDCA、レバミソール、ヘキサメチルメラミン、オールトランス型レチノイン酸、グリアデル、及び、ポルフィマーナトリウム)がある。
【0238】
抗増殖剤とは、細胞の増殖を抑える化合物である。抗増殖剤として、アルキル化剤、代謝拮抗剤、酵素、生物学的反応調節剤、様々な薬剤、ホルモン及びアンタゴニスト、アンドロゲン阻害剤(例えば、フルタミド、及び、ロイプロリドアセテート)、抗エストロゲン剤(例えば、クエン酸タモキシフェン、及び、その類縁体、トレミフェン、ドロロキシフェン、及び、ロロキシフェン)。特定のその他の抗増殖剤として、レバミソール、硝酸ガリウム、グラニセトロン、塩化サルグラモスチムストロンチウム-89、フィルグラスチム、ピロカルピン、デクスラゾキサン、及び、オンダンセトロンがあるが、これらに限定されない。
【0239】
本発明の化合物は、単独で、または、細胞毒性/抗新生物剤、及び、抗血管新生剤を含むその他の抗腫瘍剤と組み合わせて投与することができる。細胞毒性/抗新生物剤は、がん細胞を攻撃して死滅させる薬剤として定義される。幾つかの細胞毒性/抗新生物剤は、腫瘍細胞における遺伝物質、例えば、シスプラチン、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、トリメチレンチオホスホラミド、カルムスチン、ブスルファン、クロラムブシル、ベルスチン、ウラシルマスタード、クロマテパジン、及び、ダカバジンをアルキル化するアルキル化剤である。他の細胞毒性/抗新生物剤は、腫瘍細胞の代謝拮抗物質、例えば、シトシンアラビノシド、フルオロウラシル、メトトレキセート、メルカプトプリン、アザチオプリム、及び、プロカルバジンである。他の細胞毒性/抗新生物剤は、抗生物質、例えば、ドキソルビシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ミトラマイシン、マイトマイシン、マイトマイシンC、及び、ダウノマイシンである。これらの化合物のために市販されている数多くのリポソーム製剤が存在する。さらに他の細胞毒性/抗新生物剤は、有糸分裂阻害剤(ビンカアルカロイド)である。これらには、ビンクリスチン、ビンブラスチン、及び、エトポシドが含まれる。他の細胞毒性/抗新生物剤として、タキソール及びその誘導体、L-アスパラギナーゼ、抗腫瘍抗体、ダカルバジン、アザシチジン、アムサクリン、メルファラン、VM-26、イホスファミド、ミトキサントロン、及び、ビンデシンがある。
【0240】
抗血管新生剤は、当業者に周知である。本発明の方法及び組成物における使用に適した抗血管新生剤として、ヒト化及びキメラ抗体、抗VEGFアプタマー、及び、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む抗VEGF抗体がある。血管新生の他の既知の阻害剤として、アンギオスタチン、エンドスタチン、インターフェロン、インターロイキン1(α及びβを含む)インターロイキン12、レチノイン酸、及び、メタロプロテイナーゼ-1及び2の組織阻害剤がある。(TIMP-1及び-2)。抗血管形成活性を有するトポイソメラーゼII阻害剤であるラゾキサンのようなトポイソメラーゼを含む小分子も使用することができる。
【0241】
本発明の組成物と組み合わせて使用できる他の抗癌剤としては、以下のものがあるが、これらに限定されない。アシビシン、アクラルビシン、塩酸アコダゾール、アクロニン、アドゼルジン、アルデスロイキン、アルテラミン、アンボマイシン、酢酸アメタントロン、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アントラマイシン、アスパラギナーゼ、アスペリン、アザシチジン、アゼテパ、アゾトマイシン、バチマスタット、ベンゾデパ、ビカルタミド、塩酸ビスアントレン、ビスナフィドジメシラート、ビセレシン、硫酸ブレオマイシン、ブレキナルナトリウム、ブロピリミン、ブスルファン、カクチノマイシン、カルステロン、カラセミド、カルベチマー、カルボプラチン、カルムスチン、塩酸カルビシン、カルゼレシン、セデフィンゴール、クロラムブシル、シロレマイシン、シスプラチン、クラドリビン、クリスナトールメシラート、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、塩酸ダウノルビシン、デシタビン、デキソルマプラチン、デザグアニン、デザグアニンメシラート、ジアジクオン、ドセタキセル、ドキソルビシン、塩酸ドキソルビシン、ドロロキシフェン、クエン酸ドロロキシフェン、ドロモスタノロンプロピオナート、デュアゾマイシン、エダトレキサート、塩酸エフロルニチン、エルサミトルシン、エンロプラチン、エンプロマート、エピプロピジン、塩酸エピルビシン、エルブロゾール、塩酸エソルビシン、エストラムスチン、リン酸エストラムスチンナトリウム、エタニダゾール、エトポシド、リン酸エトポシド、エトプリン、塩酸ファドロゾール、ファザラビン、フェンレチニド、フロクスウリジン、リン酸フルダラビン、フルオロウラシル、フルロシタビン、ホスキドン、ホストリエシンナトリウム、ゲムシタビン、塩酸ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、塩酸イダルビシン、イホスファミド、イルモホシン、インターロイキンII(組換えインターロイキンIIまたはrIL2を含む)、インターフェロンα-2a、インターフェロンα-2b、インターフェロンα-n1、インターフェロンα-n3、インターフェロンβ-Ia、インターフェロンγ-Ib、イプロプラチン、塩酸イリノテカン、酢酸ランレオチド、レトロゾール、酢酸ロイプロリド、塩酸リアロゾール、ロメトレキソールナトリウム、ロムスチン、塩酸ロソキサントロン、マソプロコール、メイタンシン、塩酸メクロレタミン、酢酸メゲストロール、酢酸メレンゲストロール、メルファラン、メノガリル、メルカプトプリン、メトトレキサート、メトトレキサートナトリウム、メトプリン、メツルデパ、ミチンドミド、マイトカルシン、マイトクロミン、マイトギリン、マイトマルシン、マイトマイシン、マイトスペル、ミトタン、塩酸ミトキサントロン、ミコフェノール酸、ノコダゾール、ノガラマイシン、オルマプラチン、オキシスラン、パクリタキセル、ペガスパルガーゼ、ペリオマイシン、ペンタムスチン、硫酸ぺプロマイシン、ペルホスファミド、ピポブロマン、ピポスルファン、塩酸ピロキサントロン、プリカマイシン、プロメスタン、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニムスチン、塩酸プロカルバジン、ピューロマイシン、塩酸ピューロマイシン、ピラゾフリン、リボプリン、ログレチミド、サフィンゴール、塩酸サフィンゴール、セムスチン、シムトラゼン、スパルホサートナトリウム、スパルソマイシン、塩酸スピロゲルマニウム、スピロムスチン、スピロプラチン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、スロフェヌル、タリソマイシン、テコガランナトリウム、テガフール、塩酸テロキサントロン、テモポルフィン、テニポシド、テロキシロン、テストラクトン、チアミプリン、チオグアニン、チオテパ、チアゾフリン、チラパザミン、クエン酸トレミフェン、酢酸トレストロン、リン酸トリシリビン、トリメトレキサート、トリメトレキサートグルクロナート、トリプトレリン、塩酸ツブロゾール、ウラシルマスタード、ウレデパ、バプレオチド、ベルテポルフィン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、ビンデシン、硫酸ビンデシン、硫酸ビネピジン、硫酸ビングリシナート、硫酸ビンロイロシン、酒石酸ビノレルビン、硫酸ビンロシジン、硫酸ビンゾリジン、ボロゾール、ゼニプラチン、ジノスタチン、塩酸ゾルビシン。他の抗癌剤としては、以下のものがあるが、これらに限定されない。20-エピ-1,25ジヒドロキシビタミンD3、5-エチニルウラシル、アビラテロン、アクラルビシン、アシルフルベン、アデシペノール、アドゼレシン、アルデスロイキン、ALL-TKアンタゴニスト、アルテラミン、アンバムスチン、アミドキシ、アミホスチン、アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナグレリド、アナストロゾール、アンドログラフォライド、血管新生阻害剤、アンタゴニストD、アンタゴニストG、アンタレリックス、抗背側化形態形成タンパク質-1、抗アンドロゲン・前立腺癌、抗エストロゲン、抗新生物薬、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アフィジコリングリシネート、アポトーシス遺伝子モジュレーター、アポトーシス調節因子、アプリン酸、ara-CDP-DL-PTBA、アルギニンデアミナーゼ、アスラクリン、アタメスタン、アトリムスチン、アキシナスタチン1、アキシナスタチン2、アキシナスタチン3、アザセトロン、アザトキシン、アザチロシン、バッカチンIII誘導体、バラノール、バチマスタット、BCR/ABLアンタゴニスト、ベンゾクロリン、ベンゾイルスタウロスポリン、β-タラクタム誘導体、β-アレチン、ベタクラマイシンB、ベツリン酸、bFGF阻害剤、ビカルタミド、ビスアントレン、ビスアジリジニルスペルミン、ビスナファイド、ビストラテンA、ビゼレシン、ブレフラート、ブロピリミン、ブドチタン、ブチオニンスルホキシミン、カルシポトリオール、カルホスチンC、カンプトテシン誘導体、カナリア痘IL-2、カペシタビン、カルボキサミド-アミノ-トリアゾール、カルボキシアミドトリアゾール、CaRest M3、CARN 700、軟骨由来阻害剤、カルゼレジン、カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS)、カスタノスペルミン、セクロピンB、セトロレリクス、クロリン、クロロキノキサリンスルホンアミド、シカプロスト、シスポルフィリン、クラドリビン、クロミフェン類似体、クロトリマゾール、コリスマイシンA、コリスマイシンB、コンブレタスタチンA4、コンブレタスタチン類似体、コナゲニン、クラムベシジン816、クリスナトール、クリプトフィシン8、クリプトフィシンA誘導体、クラシンA、シクロペンタントラキノン類、シクロプラタム、シペマイシン、シタラビンオクホスフェート、細胞溶解因子、サイトスタチン、ダクリシマブ、デシタビン、デヒドロジデムニンB、デスロレリン、デキサメタゾン、デキシフォスファミド、デキサゾキサン、デキシベラパミル、ジアジクオン、ディデムニンB、ジドックス、ジエチルノルスペルミン、ジヒドロ-5-アザシチジン、ジヒドロタクソール・9-、ジオキサマイシン、ジフェニルスピロムスチン、ドセタキセル、ドコサノール、ドラセトロン、ドキシフルリジン、ドロロキシフェン、ドロナビノール、デュオカルマイシンSA、エブセレン、エコムスチン、エデルフォシン、エドレコロマブ、エフロミチン、エレメン、エミテフール、エピルビシン、エプリステリド、エストラムスチン類似体、エストロゲンアゴニスト、エストロゲンアンタゴニスト、エタニダゾール、リン酸エトポシド、エキセメスタン、ファドロゾール、ファザラビン、フェンレチニド、フィルグラスチム、フィナステリド、フラボピリドール、フレゼラスチン、フルアステロン、フルダラビン、塩酸フルオロナノルニシン、ホルフェニメクス、ホルメスタン、フォストリシン、ホテムスチン、ガドリニウムテキサフィリン、硝酸ガリウム、ガロシタビン、ガニレリクス、ゼラチナーゼ阻害剤、ゲムシタビン、グルタチオン阻害剤、ヘプスルファム、ヘレグリン、ヘキサメチレンビスアセトアミド、ヒペリシン、イバンドロン酸、イダルビシン、イドキシフェン、イドラマントン、イルモホシン、イロマスタット、イミダゾアクリドン、イミキモド、免疫賦活ペプチド、インスリン様増殖因子-1受容体阻害剤、インターフェロンアゴニスト、インターフェロン、インターロイキン、ヨーベングアン、ヨードドキソルビシン、イポメアノール・4-、イルソグラジン、イソベンガゾール、イソホモハリコンドリンB、イタセトロン、ジャスプラキノリド、カハラリドF、ラメラリン-Nトリアセテート、ランレオチド、ライナマイシン、レノグラスチム、硫酸レンチナン、レプトールスタチン、レトロゾール、白血病抑制因子、白血球αインターフェロン、ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン、リュープロレリン、レバミゾール、リアロゾール、直鎖状ポリアミン類似体、親油性二糖ペプチド、親油性白金化合物、リソクリナミド7、ロバプラチン、ロンブリシン、ロメテレキソール、ロニダミン、ロゾキサントロン、ロバスタチン、ロキソリビン、ルートテカン、ルテチウムテキサフィリン、リゾフィリン、溶解ペプチド、マイタンシン、マンノスタチンA、マリマスタット、マソプロコール、マスピン、マトリリシン阻害剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、メノガリル、メルバロン、メテレリン、メチオニナーゼ、メトクロプラミド、MIF阻害剤、ミフェプリストン、ミルテフォシン、ミリモスチム、ミスマッチした二本鎖RNA、ミトグアゾン、ミトラクトール、マイトマイシン類似体、ミトナフィド、マイトトキシン線維芽細胞増殖因子-サポリン、ミトキサントロン、モファロテン、モルグラモスチム、モノクローナル抗体・ヒト絨毛性ゴナドトロピン、モノホスホリルリピドA+マイオバクテリウム細胞壁sk、モピダモール、多剤耐性遺伝子阻害剤、複数の腫瘍抑制因子1に基づく治療、マスタード抗癌剤、マイカペルオキシドB、マイコバクテリア細胞壁抽出物、ミリアポロン、N-アセチルディナリン、N-置換ベンズアミド、ナファレリン、ナグレスチップ、ナロキソン+ペンタゾシン、ナパビン、ナフテルピン、ナトグラスチム、ネダプラチン、ネモルビシン、ネリドロン酸、中性エンドペプチダーゼ、ニルタミド、ニサマイシン、酸化窒素調節剤、ニトロキシド抗酸化剤、ニトルリン、O6-ベンジルグアニン、オクトレオチド、オキセノン、オリゴヌクレオチド、オナプリストン、オンダンセトロン、オンダンセトロン、オラシン、経口サイトカイン誘導剤、オルマプラチン、オサテロン、オキサリプラチン、オキサウノマイシン、パクリタキセル、パクリタキセル類似体、パクリタキセル誘導体、パラウアミン、パルミトイルリソキシン、パミドロン酸、パナキシトリオール、パノミフェン、パラバクチン、パゼリプチン、ペガスパルガーゼ、ペルデシン、ペントサンポリ硫酸ナトリウム、ペントスタチン、ペントロゾール、ペルフルブロン、ペルホスファミド、ペリリルアルコール、フェナジノマイシン、フェニルアセテート、ホスファターゼ阻害剤、ピシバニール、塩酸ピロカルピン、ピラルビシン、ピリトレキシム、プラセチンA、プラセチンB、プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤、白金錯体、白金化合物、白金-トリアミン錯体、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニゾン、プロピルビス-アクリドン、プロスタグランジンJ2、プロテアソーム阻害剤、プロテインAベースの免疫モジュレーター、プロテインキナーゼC阻害剤、プロテインキナーゼC阻害剤類、微小藻類、タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤、プルプリン、ピラゾロアクリジン、ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレンコンジュゲート、rafアンタゴニスト、ラルチトレキセド、ラモセトロン、rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、ras阻害剤、ras-GAP阻害剤、脱メチル化レテピリン、レニウムRe 186エチドロネート、リゾキシン、リボザイム、RIIレチンアミド、ログレチミド、ロヒツキン、ロムルチド、ロキニメックス、ルビジノンB1、ルボキシル、サフィンゴール、サントピン、SarCNU、サルコフィトール
A、サルグラモスチム、Sdi 1模倣体、セムスチン、老化誘導阻害剤1、センスオリゴヌクレオチド、シグナル伝達阻害剤、シグナル伝達モジュレーター、一本鎖抗原結合タンパク質、シゾフラン、ソブゾキサン、ボロカプテートナトリウム、フェニル酢酸ナトリウム、ソルベロール、ソマトメジン結合タンパク質、ソネルミン;スパルホス酸、スピカマイシンD、スピロムスチン、スプレノペンチン、スポンジスタチン1、スクアラミン、幹細胞阻害剤、幹細胞分裂阻害剤、スチピアミド、ストロメリシン阻害剤、スルフィノシン、超活性血管作用性腸管ペプチドアンタゴニスト、スラディスタ、スラミン、スワインソニン、合成グリコサミノグリカン、タリムスチン、タモキシフェンメチオジド、タウロムスチン、タザロテン、テコガランナトリウム、テガフール、テルラピリリウム、テロメラーゼ阻害剤、テモポルフィン、テモゾロミド、テニポシド、テトラクロロデカオキシド、テトラゾミン、タリブラスチン、チオコラリン、トロンボポエチン、トロンボポエチン模倣物、チマルファシン、チモポエチン受容体アゴニスト、チモトリナン、甲状腺刺激ホルモン、スズエチルエチオプルプリン、チラパザミン、チタノセン二塩化物、トップセンチン、トレミフェン、分化全能性幹細胞因子、翻訳阻害剤、トレチノイン、トリアセチルウリジン、トリシリビン、トリメトレキセート、トリプトレリン、トロピセトロン、ツロステリド、チロシンキナーゼ阻害剤、チルホスチン、UBC阻害剤、ウベニメクス、泌尿生殖洞誘導増殖抑制因子、ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト、バプレオチド、バリオリンB、ベクターシステム、赤血球遺伝子治療、ベラレソール、ベラミン、ベルジン、ベルテポルフィン、ビノレルビン、ビンキサルチン、ビタキシン、ボロゾール、ザノテロン、ゼニプラチン、ジラスコルブ、及び、ジノスタチンスチマラマー。ある実施形態において、当該抗癌剤は、5-フルオロウラシル、タキソール、または、ロイコボリンである。
【0242】
本発明は、複数の態様を有しており、その具体例を以下に示すが、これらに限定されることはない。
【実施例】
【0243】
8.実施例
【0244】
例1
がん免疫療法に関する新規ツールとしての合成DNAによる、PD-1またはLAG-3のためのプラスミドでコードされたIgGのインビボでの発現
がんは、免疫チェックポイントの利用を含めた免疫学的監視を免れる様々な戦略を利用する。免疫チェックポイントとは、その機能が、免疫応答の持続時間または効力に対して影響を及ぼし得る免疫及び間質細胞に認められる受容体のことである。腫瘍細胞は、しばしば、これらの受容体のリガンドをアップレギュレートして、当該宿主の免疫応答から自らを保護する。免疫チェックポイント-リガンド相互作用をブロックするモノクローナル抗体(MAb)療法は、インビボで、癌細胞のT細胞破壊を回復させる。CTLA-4、及び/または、PD-1が媒介する阻害性T細胞シグナル伝達を標的とするモノクローナル抗体は、最近になって、顕著な臨床転帰に基づいて、幾つかのがんの処置のための規制認可を得た。
【0245】
本明細書に記載した結果は、合成DNAプラスミドの形態のモノクローナル抗体の直接的な改変によって、モノクローナル抗体の送達を改善する新規の方法に焦点を当てている。この技術は、コストを抑え、インビボでの発現時間を延長し、及び、宿主の抗-ベクター免疫応答の非存在下での単純な組み合わせ製剤を可能にし、これら画期的な治療法の使用を不利な患者集団にまで拡大するなどして、これまでの治療法における数多くの態様を改善することができる。
【0246】
それらの結果は、「改良及び最適化した」DNAプラスミド技術が、フローサイトメトリー、ELISA、及び、ウエスタンブロットアッセイにおいて決定された免疫チェックポイントLAG3、及び、PD-1を標的とすることができる、確立されたモノクローナル抗体の免疫グロブリン重鎖及び軽鎖のインビボでの産生の指令を出すために使用することができる、ことを実証している。双方の抗体は、各抗体の遺伝子をコードするDNAプラスミドの電気穿孔改良送達を用いて、マウスの血液及び他の組織において、生理学的に関連するレベルで産生される。接種を行った動物に由来する血清抗体は、それらの標的に結合する能力を保持しており、また、インビボで生物活性を示しており、かつ、宿主T細胞に対して免疫刺激効果を示す。これらの研究は、がん及びその他の重要な疾患の予防及び治療戦略において重要な意味を有する。
【0247】
PD-1、PD-L1、LAG-3、GITR、CD40、OX40、CTLA-4、TIM-3、及び、4-1BB dMAbプラスミドの構築、及び、インビトロ及びインビボでのIgGの産生の確認
ヒトモノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖の配列を、pVAX1プラスミドにクローニングすることにとって、DNAモノクローナル抗体(dMAb)プラスミドを構築した。
【0248】
【0249】
プラスミドでトランスフェクションした293T細胞由来の上清を、トランスフェクションの48時間後に回収し、そして、ヒトIgGのレベルを、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いてアッセイした。
【0250】
Nu/Jマウス(n=4、PD-1、または、n=5、LAG-3)に、100μgのプラスミドを注入し、続いて、電気穿孔(EP)をした。35日目までに、マウスから血清を採取し、そして、ELISAを用いてヒトIgGレベルを定量した。
【0251】
PD-1またはLAG-3 dMABプラスミドを投与した後にインビボで産生したIgGは、それらの標的に特異的に結合する
pVAX1、PD-1 dMAb、または、LAG-3 dMAbプラスミドを注射したマウスから得た血清の希釈物を、組換えPD-1またはLAG-3タンパク質を用いた結合ELISAで評価した。PD-1 dMAb、及び、LAG-3 dMAbの組換えPD-1または組換えLAG-3タンパク質に対する特異的結合を、ウエスタン分析で評価した。
【0252】
PHAで刺激したTリンパ球を、pVAX1またはdMAbプラスミドを注射したマウスから得た血清とインキュベートし、続いて、フルオロフォア結合抗-ヒトIgG二次抗体とインキュベートした。染色した細胞を、生きているCD3+細胞をゲーティングするフローサイトメトリーで評価した。市販の抗-PD1抗体、及び、抗-LAG-3抗体を、陽性コントロールとして用いた。
【0253】
LAG-3 dMAbは、腫瘍の増殖を妨げ、生存を改善し、そして、阻害性腫瘍微小環境を発展させない。
メスのC57BL/6マウスのコホートに対して、5×105個のB16 F10メラノーマ細胞を右脇腹に皮下移植し、そして、5日後に、空のpVAX1またはLAG-3dMAbプラスミドを注射した。腫瘍のカリパス測定、及び、マウス生存を、腫瘍を移植して1ヶ月後までに評価をした。
【0254】
調節性T細胞(Treg)-媒介性免疫抑制におけるLAG-3 dMAbの役割を解明するために、フローサイトメトリーを用いて、B16メラノーマ細胞をC57BL/6マウスに移植して23日後に、腫瘍組織及び腫瘍周辺組織におけるLAG3+FoxP3+CD25+Treg細胞の集団を分析した。
【0255】
当該免疫チェックポイント分子を標的とする抗体の当該遺伝子配列をコードするプラスミドは、インビトロ及びインビボでの抗体産生の指令を出すことができた。
【0256】
マウスで産生したヒト抗-PD-1、抗-LAG-3、抗-GITR、及び、抗-4-1BB dMAbは、それらの標的に特異的に結合した。
【0257】
抗-LAG-3 dMAbは、B16メラノーマ腫瘍接種モデルにおいて、腫瘍の増殖を妨げ、生存を改善し、そして、阻害性腫瘍微小環境を発展させなかった。
【0258】
電気穿孔で筋肉内に送達されるDNAプラスミドは、強力なインビボ抗体産生を駆動し、そして、がん、感染症、及び、その他の病態を標的とするモノクローナル抗体治療法をもたらす血清に依存せず、費用対効果の高いプラットフォームを提供する。
【0259】
本明細書において引用したありとあらゆる特許、特許出願、及び、文献は、本明細書の一部を構成するものとして、それらの全内容を援用する。
【0260】
本発明を、特定の実施形態に関して開示をしているが、当業者が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、本発明の他の実施形態及び変更を想到することは自明である。本明細書に添付した特許請求の範囲が、そのような実施形態及び等価物のすべてを含んでいるものと解釈することを意図している。
【配列表】