IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ネッツシュ−ファインマールテヒニック ゲーエムベーハーの特許一覧

特許7280862温度調整された構成要素及び温度調整された構成要素を製造するための方法
<>
  • 特許-温度調整された構成要素及び温度調整された構成要素を製造するための方法 図1
  • 特許-温度調整された構成要素及び温度調整された構成要素を製造するための方法 図2
  • 特許-温度調整された構成要素及び温度調整された構成要素を製造するための方法 図3
  • 特許-温度調整された構成要素及び温度調整された構成要素を製造するための方法 図4
  • 特許-温度調整された構成要素及び温度調整された構成要素を製造するための方法 図5
  • 特許-温度調整された構成要素及び温度調整された構成要素を製造するための方法 図6
  • 特許-温度調整された構成要素及び温度調整された構成要素を製造するための方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】温度調整された構成要素及び温度調整された構成要素を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   B02C 17/18 20060101AFI20230517BHJP
   B02C 17/16 20060101ALI20230517BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20230517BHJP
   B01F 27/1121 20220101ALI20230517BHJP
   B01F 35/95 20220101ALI20230517BHJP
【FI】
B02C17/18 D
B02C17/16 B
B33Y80/00
B01F27/1121
B01F35/95
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020217380
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2021126646
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】10 2020 103 848.8
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508277243
【氏名又は名称】ネッツシュ-ファインマールテヒニック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【弁理士】
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー メシル
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-152946(JP,U)
【文献】実開平03-083627(JP,U)
【文献】実開昭56-044843(JP,U)
【文献】特開平09-239252(JP,A)
【文献】特開2000-190086(JP,A)
【文献】特開2015-067902(JP,A)
【文献】特開平09-239254(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01238707(EP,A1)
【文献】独国特許出願公開第02047244(DE,A1)
【文献】スイス国特許発明第00658802(CH,A5)
【文献】欧州特許出願公開第02307145(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 27/05-192、33/83、35/90-95
B02C 17/00-24
B22F 10/20-28
B33Y 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空内部領域(12)を含む円筒状の基体(2)と、撹拌要素(3)が配置される外側ジャケット面(5)と、を備え、温度制御媒体が流通可能な少なくとも1つの中空空間(6)が形成される、3D印刷による温度制御された撹拌シャフト(1)であって、
a. 第1領域(TB-I)において、前記中空空間(6)の内側ジャケット面と前記外側ジャケット面(5)との間に第1壁厚(w1)が形成され、
b. 前記中空内部領域(12)から前記外側ジャケット面(5)まで延びる通路開口部(8)のエッジ領域に位置する第2領域(TB-II)において、前記中空空間(6)の内側ジャケット面と前記外側ジャケット面(5)との間に第2壁厚(w2)が形成され、
c. 前記第2領域(TB-II)が、摩耗領域(9)であり、前記第2壁厚(w2)が、前記第1壁厚(w1)よりも大きい、温度制御された撹拌シャフト。
【請求項2】
請求項1に記載の温度制御された撹拌シャフト(1)であって、温度制御媒体が流通可能な前記中空空間(6)が、温度制御ダクト(7)であり、前記温度制御ダクト(7)が、前記第1領域(TB-I)において、第1断面(Q1)を有し、前記温度制御ダクト(7)が、前記第2領域(TB-II)において、第2断面(Q2)を有し、前記第2断面(Q2)が、前記第1断面(Q1)よりも小さい、温度制御された撹拌シャフト。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の温度制御された撹拌シャフト(1)であって、前記中空空間(6)内の少なくとも一部に、支持構造部(13)が配置及び/又は形成されている、温度制御された撹拌シャフト。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の温度制御された撹拌シャフト(1)であって、第1支持構造部が、前記第1領域(TB-I)に形成され、及び/又は、第2支持構造部が、前記第2領域(TB-II)に形成されている、温度制御された撹拌シャフト。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の温度制御された撹拌シャフト(1)であって、第3領域において、前記中空空間(6)の内側ジャケット面と前記外側ジャケット面(5)との間に第3壁厚(w3)が形成され、該第3壁厚(w3)が、前記第1壁厚(w1)よりも大きく、又は前記第3壁厚(w3)が、前記第2壁厚(w2)よりも大きい、温度制御された撹拌シャフト。
【請求項6】
請求項5に記載の温度制御された撹拌シャフト(1)であって、前記第3領域が、固定領域であり、前記第3領域に、固定手段が形成されているか又は配置されている、温度制御された撹拌シャフト。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載の温度制御された撹拌シャフト(1)であって、前記中空空間(6)に、温度制御媒体入口及び温度制御媒体出口が割り当てられている、温度制御された撹拌シャフト。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載の温度制御された撹拌シャフト(1)であって、該温度制御された撹拌シャフトが、撹拌ボールミルの撹拌シャフト(1)又はボールミルの撹拌シャフト(1)である、温度制御された撹拌シャフト。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載の温度制御された撹拌シャフト(1)であって、該温度制御された撹拌シャフトが、3D印刷によって製造されている、温度制御された撹拌シャフト。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載の温度制御された撹拌シャフト(1)の製造方法であって、
a. 温度制御媒体が流通可能な少なくとも1つの中空空間(6)を、前記撹拌シャフト(1)の基体(2)に統合し、
b. 前記撹拌シャフト(1)に対する摩耗が増加する、少なくとも1つの領域(TB-II)を特定し、
c. 第1領域(TB-I)において、前記中空空間(6)の内側ジャケット面と前記外側ジャケット面(5)との間に第1壁厚(w1)を形成し、
d. 特定される摩耗領域(9)において、前記中空空間(6)の内側ジャケット面と前記外側ジャケット面(5)との間に第2壁厚(w2)を形成し、
e. 前記第2壁厚(w2)を、前記第1壁厚(w1)よりも大きくする、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、支持構造部(13)を、前記中空空間(6)内に形成及び/又は配置する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の特徴に係る、温度制御された構成要素及び温度制御された構成要素を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのプロセス、特に、化学的、機械的、又は他のプロセスは、熱を生じつつ実施され、その熱は、プロセスの流れ自体や使用される出発物質にそれぞれ悪影響を及ぼし得る。これは、特に、プロセスで使用される物質が温度に敏感であったり、温度変化がプロセスの速度に作用して円滑なプロセス制御をより困難にしたりするからである。この理由により、プロセスで生じた熱を、例えば適切な冷却装置及び/又は冷却法で排出してプロセスの流れを安定化させることが一般的である。これとは対照的に、更なるプロセスは、熱の供給をしつつ実施されるのが有利な場合がある。
【0003】
容器内で実施されるプロセスは通常、容器壁を介して温度制御される。この場合、例えば、容器壁に沿って延在する冷却水パイプ又は温水パイプにより温度制御が行われるか、又は第1容器から半径方向に離間して配置された外側容器が第1容器周りでガイドされることにより、2個の容器の間に中空空間が形成され、温水流又は冷却媒体流であり得る流体流が、プロセス熱を輸送するのにその中空空間を通ってガイドされることにより温度制御が行われる。
【0004】
熱の発生が特に問題となる工業プロセスとしては、例えば撹拌ボールミルにおける粉砕プロセスが挙げられる。処理中に生じたその熱は、製品に応じて、排出されなければならないか又は熱の発生を回避しなければならない。この問題は、一般的に全ての撹拌ボールミルに付随し、大きな粉砕量を有する撹拌ボールミルの場合又はより大きな出力が望まれる場合に特に顕著である。粉砕プロセス中の冷却を行うには、例えば粉砕シリンダ及び/又は撹拌シャフトを冷却可能に構成することが想定されている。
【0005】
例えば特許文献1(独国特許出願公開第3614721号明細書)には、既知の先行技術として、粉砕容器に冷却ジャケットを設けることが記載されている。特許文献1には更に、撹拌ロータの外周に少なくとも1つの冷却ダクトが付加的に設けられることが開示されている。更に、特許文献2(国際公開第2007/042059号パンフレット)にも、冷却ジャケットを備える粉砕容器が開示されている。特許文献2に記載の撹拌ミルは、やはり冷却可能な内側ステータを備える。撹拌ミルは、カップ型に形成され、輪状円筒ロータを備える。
【0006】
特に問題なのは、温度制御すべき構成要素が、多くの場合に摩耗部品だということである。例えば撹拌ボールミルの撹拌シャフトは、特に処理された粉砕材料に応じて、頻繁に交換しなければならない摩耗部品である。冷却可能な撹拌シャフトの製造は高価であるため、このタイプの撹拌ボールミルの作動にとって大きなコスト要因である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】独国特許出願公開第3614721号明細書
【文献】国際公開第2007/042059号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、温度制御可能な構成要素を容易にかつ費用効率良く製造可能とし、特に、摩耗を被る構成要素の寿命を延ばして交換頻度を減少可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、独立請求項の特徴を有する温度制御された構成要素及び温度制御された構成要素を製造するための方法により解決される。他の有利な構成は、従属請求項に記載した通りである。
【0010】
本発明は、温度制御された構成要素及び温度制御された構成要素を製造するための方法に関する。本発明は、特に、高性能撹拌ボールミルで使用するための冷却可能な撹拌シャフトに関する。
【0011】
温度制御された構成要素は、温度制御媒体が流通可能な少なくとも1つの中空空間を有する基体を備える。第1領域において、中空空間の内側ジャケット面と基体のジャケット面、例えば基体の外側ジャケット面との間に第1壁厚が形成され、第2領域において、中空空間の内側ジャケット面と基体のジャケット面又は外側ジャケット面との間に少なくとも1つの第2壁厚が形成されている。第2領域は、いわゆる摩耗領域であり、作動中に材料が特に多く除去される。構成要素の寿命を延ばすために、中空空間と構成要素における基体のジャケット面との間の第2壁厚は、第1壁厚よりも大きいことが想定されている。
【0012】
構成要素の計画及び製造に先立って、特に、構成要素における摩耗の増加が生じる少なくとも1つの領域が特定される。この場合、適切な計算をする及び/又は適切な計算を適用することができる。代替的に、設計の考慮事項の一環として、構成要素における既知の摩耗箇所を考慮することもできる。構成要素は、特に、異なる領域で予想される摩耗の種類及び強度及び/又は異なる領域で既知の摩耗の種類及び強度に応じて、構成要素において摩耗を受けるジャケット面と構成要素における温度制御可能な中空空間との間で異なる壁厚が形成されるよう構成される。
【0013】
中空空間は、好適には、適切な温度制御媒体が導入可能な温度制御媒体入口を有する。更に、温度制御媒体が再び導出される少なくとも1つの温度制御媒体出口を設けることができる。温度制御媒体は、特に、各製造プロセスに応じて、構成要素を冷却又は加熱するよう機能することができる。温度制御媒体は、気体、液体、又は固体の物質或いは物質の混合物であり、これらは、熱を除去するために又は熱を供給するために使用される。温度制御媒体としては、好適には、適切に温度制御された流体が使用される。例えば、冷水が少なくとも1つの中空空間に導入されて構成要素が冷却される。代替的に、温水又は熱水又は適切な温度を有する他の物質又は物質の混合物を使用して構成要素が冷却されてもよい。
【0014】
以下、温度制御媒体が流通可能な中空空間を、冷却媒体が流通する冷却ダクトと称する場合、その記載は、加熱媒体が流通する温度制御ダクトにも同様に当てはまる。
【0015】
好適な実施形態によれば、温度制御媒体が流通可能な少なくとも1つの中空空間は、温度制御ダクト、特に冷却ダクトである。冷却ダクトは、好適には、無摩耗又は低摩耗の第1領域において第1断面を有し、第2摩耗領域において、より小さな第2断面、特に第1断面よりも小さな第2断面を有する。特に冷却ダクトは、無摩耗又は低摩耗の第1領域において、第1円周を含む第1断面を有し、第2領域において、第2円周を含む第2断面を有する。この場合、第2断面は、第1断面よりも小さく、第2円周は、第1円周よりも小さい。従って、第1領域においては、構成要素に関して特に最適化された冷却が生じる。なぜなら、一方では、冷却ダクト、従って冷却媒体は、構成要素における冷却すべきジャケット面に特に近接して延在しているからであり、他方では、第1断面がより大きいことに起因してより多くの冷却媒体が第1領域で利用可能だからである。上述した実施形態において、より大きな断面は、より大きな円周、従って冷却媒体が流れる表面積の増加も意味し、これにより構成要素の冷却が改善される。代替的な実施形態では、幾つかの領域において、より大きな円周を有するより小さな断面が形成され、従って冷却媒体が流れる表面積が、対応する領域においてやはり拡大していることが想定可能である。
【0016】
代替的な実施形態において、冷却ダクトは、その全長にわたってほぼ一定の断面を有することが想定可能である。この場合、特に、冷却ダクトは、冷却すべきジャケット面から対応する距離でセクション毎に配置及び/又は形成され、これにより中空空間と基体のジャケット面との間に上述した異なる壁厚が形成されている。異なる壁厚を有する冷却部分を互いに接続する対応の接続部分は、冷却部分の間に配置されている。
【0017】
中空空間、特に冷却ダクトを安定化させるために、支持構造部を中空空間内の少なくとも一部に配置及び/又は形成することができる。好適には中空空間の内側ジャケット面から中空空間の更なるジャケット面、特に反対側の内側ジャケット面まで延在する支持構造部は、少なくとも無摩耗又は低摩耗の第1領域において形成されているのが特に好適である。
【0018】
代替的又は付加的に、支持構造部は、特に、より大きな曲げ力及びねじり力が構成要素に作用する領域で使用することができる。撹拌ボールミルの撹拌シャフトにおいては、例えば、作動上の理由から粉砕体が表面にそれほど強く擦れないか又は表面にそれほど強く衝突しないため摩耗が小さい部分領域が存在する。ただし、これら部分領域は、大きな応力を受ける可能性がある。これら応力は、例えば、曲げ応力及び/又はねじり応力である。これら応力に対応するために、部分領域は、中空空間内に形成された支持構造部によって付加的に補強することができる。
【0019】
一実施形態によれば、第1支持構造部は、低摩耗又は無摩耗の第1領域において形成され、第2支持構造部は、第2領域において形成されている。第1支持構造部及び第2支持構造部は、同じ又は実質的に同じように形成可能であり、第1領域における断面がより大きい場合には、第1支持構造部を対応するようより長く形成することができる。更なる実施形態においては、第1領域における第1支持構造部の個数が、第2領域における第2支持構造部の個数よりも多いことが想定可能である。なぜなら、第2領域におけるより大きな壁厚により、少なくとも初期的には支持する必要性が場合によって全くないか又はほぼないからである。代替的又は付加的に、第1支持構造部の形状及び/又は安定性は、必要及び用途に応じて、第2支持構造部の形状及び安定性と異ならせるか又は同一とすることができる。支持構造部は、中空空間を実質的に直線的に延在できるか又は非直線的形状を有することもでき、例えば、分岐部、ハニカム状構造を有することができる。支持構造部の個数及び/又は形状は、FEM計算によって特定及び/又は最適化することができ、特に摩耗領域毎に個別に特定及び最適化することができる。
【0020】
第1支持構造部及び/又は第2支持構造部の個数及び/又は形状は、好適には、最適化されることにより、構成要素の温度制御が、特に中空空間内における温度制御媒体の適切な流れガイドにより最適化される。
【0021】
内部支持構造部を使用することにより、壁厚は、特に低摩耗又は無摩耗の第1領域において更に低下させることが可能であり、これにより特に温度制御媒体の熱伝達、従って構成要素の温度制御が最適化され、特に構成要素の冷却が最適化される。また、温度制御媒体が流れる表面が支持構造部によって増加し、構成要素の温度制御に関してやはり有利に影響する。更に、支持構造部は、温度制御媒体の流れにとって障害物として機能し、温度制御ダクト内で温度制御媒体の乱流をもたらす。従来既知の冷却ダクトにおいて、特に冷却媒体は、主に層流として移動する。層流は、内壁面において、通過する冷えた冷却媒体に対して絶縁層を形成する。支持構造部によって乱流が生じ、これにより冷却媒体の流れが乱流になり、内壁面の冷却が改善されて温度制御が更に改善される。
【0022】
更なる実施形態によれば、少なくとも1つの第3領域が想定可能である。この場合、中空空間を包囲する壁に構造要素が統合されている。例えば、第3領域においては、中空空間の内側ジャケット面と構成要素における基体のジャケット面との間に第3壁厚が形成されている。第3壁厚は、第1壁厚よりも大きい。第3壁厚は、例えば、第2壁厚に実質的に対応させることができる。更なる実施形態において、第3壁厚は、第2壁厚よりも大きいことが想定可能である。これに対して、代替的な実施形態において、第3壁厚は、第1壁厚よりも大きいが、第2壁厚よりも小さいことが想定可能である。
【0023】
第3領域は、摩耗領域であり得る。ただし、第3領域は、基本的に低摩耗領域である。特に第3領域においては、更なる構成部品が構成要素に固定されることが想定されている。従って、以下においては、第3領域は固定領域とも称される。ねじ孔は、例えば、構成要素の固定領域に導入され、これにより構成部品又は少なくとも1個の更なる構造要素がねじ接続部によって構成要素に配置されることが想定可能である。この場合、第3壁厚は、ねじ孔の長さよりも大きくなるよう選択される。これにより、ねじ接続部は、中空空間に突入することがなく、従ってシール性が不十分な場合に温度制御媒体が中空空間から流出するリークスポットが形成されることがない。
【0024】
第3壁厚がより大きいことにより、第3領域における断面は、第1及び/又は第2領域の断面と比較して小さくすることができる。第3領域における断面は、好適には、折り返し部、折り畳み構造部などを有するため、その断面の円周は第1及び/又は第2領域における断面の円周と比較して同じであるか又はより大きい。円周がより大きいことにより、冷却媒体が流れる表面積が大きくなり、これにより第3領域において構成要素の冷却性が改善される。重要なのは、粉砕チャンバに対する作動領域、特に、ロータと容器内壁との間に位置する粉砕チャンバの粉砕ゾーンに対する作動領域である。なぜなら、その箇所において最大の熱が生じるからである。
【0025】
温度制御された構成要素は、好適には、撹拌ボールミルの構成要素又はボールミルの構成要素であり、特に、撹拌ボールミル又はボールミルにおける粉砕チャンバ壁に設けられた撹拌シャフト又は粉砕ディスク又は摩耗ディスクであるか、又は撹拌ボールミル又はボールミルにおける粉砕容器である。
【0026】
構成要素は、好適には、3D印刷によって製造される。構成要素は、特に好適には、一体的に製造されることが想定可能である。長さ全体にわたって変化し及び/又は直線的に形成されない内部温度制御構造部を備える構成要素は、3D印刷法により、単一の方法ステップで容易にかつ費用効率良く製造することができる。これにより、従来の方法、例えば射出成形法と比較して、製造コストが大幅に低下する。この点は、特に、従来の方法が仕上げを必要とすることに起因する。例えば、温度制御ダクトは、孔を後発的に導入することによってしか設けることができない。更に、これにより製造可能な温度制御ダクトにおける形状の範囲は限定的であるのみならず、内部支持構造部の形成も容易ではない。
【0027】
構成要素は、特に好適には、3D印刷によって金属材料で構成されている。任意的又は付加的に、3D印刷の後に、例えば、変態硬化、析出硬化、又は冷間硬化によって構成要素の強度及び安定性を高めることが想定可能である。
【0028】
一実施形態によれば、構成要素は、3D印刷により、炭化ケイ素(SiC)、遊離ケイ素を含む炭化ケイ素(SiSiC)、シリコン窒化物、酸化ジルコニウム、又は混合セラミック材料で構成されている。更に、熱伝導性プラスチックの使用が可能である。少なくとも2種の異なる材料を使用した3D印刷を行うことも可能であり、この場合、構成要素は、実質的に第1材料で構成され、構成要素の内側ジャケット面及び/又は外側ジャケット面は、例えば、少なくとも幾つかの領域において第2材料で構成されているか又は第2材料で覆われている。例えば、構成要素は、実質的に金属、特に鋼で構成可能であり、構成要素の内側ジャケット面及び/又は外側ジャケット面は、少なくとも幾つかの領域においてポリウレタンなどのプラスチック層でコーティングされている。
【0029】
本発明に係る装置に関連して記載した全ての態様及び実施形態は、本発明に係る方法の部分態様にも同様に当てはまる場合があることに留意されたい。従って、明細書又は特許請求の範囲において、本発明に係る装置に関する特定の態様及び/又は文脈及び/又は効果について言及される場合、その特定の態様及び/又は文脈及び/又は効果は本発明に係る方法にも同様に当てはまる。逆もまた然りであり、本発明に係る方法に関連して記載した全ての態様又は実施形態は、本発明に係る装置の部分態様にも同様に当てはまる場合があることに留意されたい。従って、明細書又は特許請求の範囲において、本発明に係る方法に関する特定の態様及び/又は文脈及び/又は効果について言及される場合、その特定の態様及び/又は文脈及び/又は効果は本発明に係る装置にも同様に当てはまる。
【0030】
以下、添付図面に基づいて本発明の例示的な実施形態及びその利点を詳述する。図面における個々の要素間の寸法比は、実際の寸法比を必ずしも表すものではない。これは、明瞭性を高める見地から幾つかの要素の形状が簡略表示されており、他の幾つかの要素の形状が拡大表示されているからである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】撹拌シャフトの概略縦断面図である。
図2図1における撹拌シャフトの断面線A-Aに沿う断面図である。
図3図1における撹拌シャフトの断面線B-Bに沿う断面図である。
図4図1における撹拌シャフトの第2実施形態の断面線A-Aに沿う断面図である。
図5図1における撹拌シャフトの第3実施形態の断面線A-Aに沿う断面図である。
図6図1における撹拌シャフトの第3実施形態の断面線B-Bに沿う断面図である。
図7】撹拌シャフトの代替的な実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の同一要素又は同一作用を有する要素については、同一参照符号で表すものとする。更に、明瞭性を高める見地から、各図面における参照符号は、各図面の記載にとって必要なものに限定してある。図面における各実施形態は、本発明に係る装置及び方法の単なる例示に過ぎず、限定的なものではない。
【0033】
図1は、撹拌シャフト1としての温度制御された構成要素の概略縦断面図を示す。このような撹拌シャフト1は、撹拌ボールミルにおいて特に撹拌機として使用される。図2は、図1における撹拌シャフトの断面線A-Aに沿う断面図を示し、図3は、図1における撹拌シャフトの断面線B-Bに沿う断面図である。
【0034】
撹拌ボールミルは、垂直又は水平に配置されると共に、基本的にほぼ円筒状の粉砕容器を備え、その粉砕容器内の70%~90%は、補助粉砕体で充填されている。粉砕プロセスの間、粉砕すべき製品は、製品入口から粉砕チャンバを軸線方向に通って製品出口まで連続的に流れる。この場合、浮遊している固体物質は、衝撃力及びせん断力によって補助粉砕体の間で粉砕又は分散される。その後、補助粉砕体は、出口領域において製品流から分離される。この場合、出口領域からの放出は構成に応じて行われ、例えばミル端部のスクリーンを介して行われる。
【0035】
撹拌機は、撹拌シャフト1によって形成され、その撹拌シャフト1は、代替的に、例えばディスクとしても構成可能な撹拌要素3を回転させるよう機能する。この場合、液体中に分散された粉砕材料の固体物質は、脱凝集して粉砕される。
【0036】
撹拌シャフト1は、長手方向軸線Lを有する円筒状基体2と、外側ジャケット面5を備え、円筒状基体2の外側ジャケット面5上には、撹拌要素3、特に撹拌ロッド4が配置されている。撹拌ロッド4の外面と、円筒状基体2の外側ジャケット面5のうち撹拌ロッド4で覆われていない領域とが一緒になって、撹拌シャフト1の外側ジャケット面が形成されている。撹拌要素3は、円筒状基体2の外側ジャケット面5において複数の列で特に整列状態で配置され、各列は、好適には、撹拌シャフト1の長手方向軸線Lと平行に配置及び/又は形成されている。代替的に、撹拌要素3は、円筒状基体2の外側ジャケット面5において互いにオフセット配置されてもよい。更なる実施形態においては、撹拌要素3が撹拌シャフト1の長手方向軸線L周りに巻かれるよう、円筒状基体2の外側ジャケット面5において螺旋状に配置されることが想定されている。
【0037】
撹拌シャフト1は、好適には、一体的に構成されると共に、例えば金属材料又はセラミック材料又は他の適切な材料で構成されることが想定されている。特に好適には、撹拌シャフト1、特に基体2は撹拌要素3と一緒に、対応する材料により単一の方法ステップで製造される。この場合、特に好適には、3D印刷法が使用される。なぜなら、3D印刷法であれば、撹拌シャフト1の基体2内に中空空間6も単一の方法ステップで形成することができるからである。
【0038】
撹拌シャフト1は、好適には、少なくとも幾つかの領域で中空になるよう形成され、同軸の中空内部領域12を備える(図2及び図3参照)。撹拌シャフト1は更に、中空内部領域12と外側ジャケット面5との間において少なくとも幾つかの領域で通路開口部8を備える。中空内部領域12内には、分離装置及び製品出口が配置されている。粉砕補助体は、分離装置によって粉砕製品から分離される。粉砕された製品は、製品出口を介して放出可能であるが、粉砕補助体及び場合によって十分に粉砕されていない粉砕材料は、通路開口部8を介して、撹拌シャフト1における円筒状基体2の外側ジャケット面5と撹拌ボールミルにおける粉砕容器の内側ジャケット面との間に位置する撹拌ボールミルの粉砕チャンバの粉砕ゾーンに戻される。
【0039】
撹拌シャフト1は更に、中空内部領域12と円筒状基体2の外側ジャケット面5との間において、撹拌シャフト1を温度制御、特に冷却するための更なる中空空間6を備える。この冷却が必要なのは、粉砕プロセス中にプロセス熱が生じ、その熱によりプロセスの流れ自体や使用される出発物質にそれぞれ悪影響を及ぼし得るからである。即ち、プロセスの流れ自体や使用される出発物質にそれぞれ悪影響が及ぶ可能性があるのは、例えばプロセスで使用される物質が温度に敏感であったり、温度変化がプロセスの速度に作用して円滑なプロセス制御をより困難にしたりするからである。その熱は、製品に応じて、排出されなければならないか又は熱の発生を回避しなければならない。排出すべき熱量は、特に、大きな粉砕量を有する撹拌ボールミルの場合又はより大きな出力が望まれる場合に大きい。
【0040】
撹拌シャフト1を冷却すれば、プロセスの流れが安定化する。撹拌シャフト1の冷却は、撹拌シャフト1における少なくとも1つの中空空間6内に冷却媒体が導入されることにより、又は撹拌シャフト1における少なくとも1つの中空空間6を通過するようガイドされることにより行われる。この場合、冷却媒体により、熱が吸収されると共に排出される。少なくとも1つの中空空間6は、好適には、撹拌シャフト1の長手方向軸線Lと平行に延在する冷却ダクト7として形成されている。図示の実施形態によれば、冷却ダクト7は、特に、撹拌シャフトの長手方向軸線Lと平行に延在すると共に、平行かつ軸線方向に延在する通路開口部8と平行に延在することが想定されている。
【0041】
撹拌ボールミル又はボールミルの撹拌シャフト1は、粉砕材料及び粉砕補助体との接触により摩耗を恒久的に被る。この場合、摩耗が特に大きい領域、例えば撹拌要素3の間の(部分)領域TB-IIが存在し、その領域TB-IIにおいては、補助粉砕体・粉砕材料混合物の乱流が生じるため、混合物が撹拌シャフト1により大きな速度で衝突し及び/又は接触頻度が増加する。
【0042】
特に摩耗し易い領域TB-IIは、例えば、通路開口部8のエッジ領域に位置している。図示の実施例において、摩耗領域9は、陰影で表されている。本発明において、撹拌シャフト1は、その製造時に、より大きく摩耗する領域TB-IIにおける中空空間と撹拌シャフト1の円筒状基体2の外側ジャケット面5との間により大きな壁厚w2が形成されるよう最適化されることが想定されており、従って摩耗で除去され得る材料がより多く存在する。壁厚w2が部分的に増加することにより、撹拌シャフト1の耐用年数が増加し、従って撹拌シャフト1の交換頻度が減少する。同時に、無摩耗領域又は摩耗が僅かにのみ生じる(部分)領域TB-Iにおける壁厚wは、可能な限り小さく形成可能であり、これにより撹拌シャフト1の外側ジャケット面5から冷却媒体への熱伝達が最適化される。
【0043】
一実施形態によれば、冷却ダクト7は、幾つかの領域において異なる内径dを有する。従って、冷却ダクト7は、幾つかの領域において異なるよう形成されると共に、特に異なる大きさの断面Qを有する。冷却ダクト7は、第1(部分)領域TB-1において第1直径d1を有するため、冷却ダクト7の内側ジャケット面と通路開口部8との間に第1壁厚w1が形成されることが想定されている。第1直径d1により、冷却ダクトの第1断面Q1が形成されている。更に、冷却ダクト7は、特に摩耗領域9に対応する第2(部分)領域TB-IIにおいて第2直径d2を有し、従って第2断面Q2を有し、これにより冷却ダクト7の内側ジャケット面と通路開口部8との間に第2壁厚w2が形成されることが想定されている。第1断面Q1は、特に、第2断面Q2よりも大きく、第2壁厚w2は、少なくとも初期的には第1壁厚w1よりも大きい。即ち、撹拌シャフト1は、少なくとも初めて使用する前は、摩耗領域9においてより大きな壁厚w2を備える。撹拌シャフト1の使用により、その壁が通常の摩耗を受ける。この摩耗により、撹拌シャフト1を構成する材料は、対応の摩耗領域9において徐々に除去されるため、摩耗領域9の壁厚wが使用期間の増加に伴い減少する。この場合、(部分)領域TB-Iにおける壁領域w1は、(部分)領域TB-IIにおける壁領域w2よりも摩耗を被ることがない。
【0044】
摩耗が少ないか又は摩耗が生じ難い第1(部分)領域TB-Iと比較して、摩耗領域9には第2壁厚w2を増加させる材料が少なくとも初期的に設けられているため、撹拌シャフト1は、冷却ダクト7と撹拌シャフトにおける基体2の外側ジャケット面5との間の初期的な壁厚wが全体にわたって等しく形成された撹拌シャフトと比較して耐用年数がより長い。更に、小さな摩耗しか生じない第1(部分)領域における壁厚w1は、任意的に更に減少可能であり、特に極めて薄く形成可能であるため、撹拌シャフト1の冷却効果を高めると共に最適化することができる。
【0045】
特に一実施形態によれば、冷却ダクト7は、撹拌シャフト1において摩耗が僅かしか生じないか又は全く生じず、特に材料の摩耗が僅かしか生じないか全く生じないと想定される部分領域で拡幅されるため、特に小さく最適化されたこれら壁厚w1をこれら部分領域に適用することができる。壁厚wは、冷却ダクト7内における冷却媒体への熱伝達に直接的に影響を及ぼす。壁厚wが大きいほど、冷却媒体への熱伝達は小さくなる。従って、冷却ダクト7と撹拌シャフト1の外側ジャケット面との間の壁厚は小さいのが好適である。
【0046】
(部分)領域TB-Iにおいては、粉砕体が表面にそれほど強く擦れないか又は表面にそれほど強く衝突しないため摩耗が小さいが、これら(部分)領域TB-Iも、作動上の理由から大きな応力を受ける可能性がある。これら応力は、例えば、曲げ応力及び/又はねじり応力であり得る。特に小さな壁厚wに関連してこれら応力に耐えることができるように、(部分)領域TB-Iは、内部に配置された支持構造部で付加的に補強することができる。これら補強構造部は、図5及び図6に関連して示すように、例えば、冷却ダクト7内の支持構造部13とすることができる。
【0047】
冷却ダクト7は異なる形状、特に非直線形状を有することもできる。冷却ダクト7は、例えば、蛇行形状又は螺旋形状に形成することができる。このように形成された冷却ダクトも、摩耗の大きい(部分)領域TB-I及び摩耗の小さい(部分)領域TB-IIに沿うよう延在させることができる。上述した説明における異なる壁領域を有する構成は、冷却ダクトに関しても有利に適用することができる。対応する実施形態は、本明細書における開示により当業者にとっては自明であり、以下の特許請求の保護範囲にも含まれる。
【0048】
本明細書に記載の撹拌シャフト1において、撹拌要素3は、撹拌ロッド4として形成され、ねじ接続部10によって基体2に固定されている。この目的のために、特にねじ孔11が基体2に導入されている。撹拌シャフト1における固定領域の冷却は、通常は想定されていない。以下に記載する実施形態によれば、ねじ孔11は、冷却ダクト7に包囲されている。
【0049】
図4は、図1の撹拌シャフト1における第2実施形態の断面線A-Aに沿う断面図を示す。この場合、撹拌要素3用の固定領域は、第3(部分)領域を含み、その第3(部分)領域は、特に第1壁厚w1よりも大きいと共に、場合によっては図1に関連して記載された第2壁厚w2よりも大きく形成された第3壁厚w3を、冷却ダクト7と円筒状基体2の表面との間に有することが想定されている。このように、撹拌要素3の固定領域は、中空空間6又は冷却ダクト7を包囲する壁に統合され、従ってその壁は、対応するようより大きな第3壁厚w3を有している必要がある。
【0050】
ねじ孔11は、例えば、撹拌シャフトの固定領域に導入され、これにより撹拌要素3がねじ接続部10によって撹拌シャフトに配置されることが想定可能である。この場合、第3壁厚w3は、ねじ孔11の長さよりも大きくなるよう選択される。これにより、ねじ接続部11は、中空空間に突入することがなく、従ってシール性が不十分な場合に温度制御媒体が中空空間6から流出するリークスポットが形成されることがない。壁厚がより大きな領域において、冷却ダクトは、断面積が減少した第3断面Q3を有する。
【0051】
第3断面Q3はより小さいが、冷却ダクト7は、第3断面Q3領域においてより大きな円周を有する。円周がより大きいことにより、冷却媒体が流れる表面積が拡大し、これにより第3領域において構成要素の冷却性が改善される。重要なのは、粉砕チャンバに対する作動領域、特に、撹拌シャフトと粉砕容器内壁との間に位置する粉砕チャンバの粉砕ゾーンに対する作動領域である。なぜなら、その箇所において最大の熱が生じるからである。
【0052】
図5は、図1における撹拌シャフト1の第3実施形態の断面線A-Aに沿う断面図を示し、図6は、図1における撹拌シャフト1の第3実施形態の断面線B-Bに沿う断面図を示す。
【0053】
各図には、特に、中空内部領域12を備えると共に、中空シャフトとして形成された撹拌シャフト1の断面が表されている。撹拌シャフト1は、中空内部領域12と外側ジャケット面5との間に総壁厚wGを備える。少なくとも幾つかの領域において中空シャフトとして構成された撹拌シャフトは、中実材料ではなく、少なくとも1つの中空空間6、例えば冷却ダクト7を有するハニカム状に構成されている。支持構造部13は、中空空間6内における少なくとも幾つかの領域に配置及び/又は形成されている。支持構造部13は、特に、より小さな壁厚w,w1領域において撹拌シャフト1を安定化させるよう機能する。支持構造部13を使用することにより、特に小さな壁厚w1を形成することが可能になり、従って冷却媒体への熱伝達が最適化される。また、冷却水が流れる表面は、支持構造部13により増加し、従って撹拌シャフト1の冷却が更に改善される。更に、支持構造部13により、冷却ダクト7内に乱流が生じる。長さ方向に沿う均一な直径を有する孔により形成されると共に、層流のみ生じる冷却ダクトとは異なり、支持構造部13により乱流が生じ、従って冷却性が更に改善される。支持構造部13は、例えば、撹拌シャフト1の長手方向軸線Lに対して半径方向に延在させることができる。代替的に、支持構造部は、ハニカム状などの構造部とすることが想定可能である。
【0054】
図1図6に関連して記載された冷却ダクト7は、特に、構成要素において予想される摩耗に適合されている。構成要素を製造する際、より大きな摩耗が予想される領域TB-IIにおいては、中空空間6又は冷却ダクト7と構成要素のジャケット面との間、特に構成要素における基体の外側ジャケット面5との間により大きな壁厚w2が形成される。それに応じて、中空空間6又は冷却ダクト7は、その摩耗領域9,TB-IIにおいて狭めて形成されている。対照的に、小さな(通常の)摩耗のみが予想される領域TB-Iにおいては、中空空間6又は冷却ダクト7と構成要素の外側ジャケット面5又は構成要素における基体2の外側ジャケット面5との間に特に小さな壁厚w1が形成され、これにより温度制御が最適化される。中空空間6又は冷却ダクト7は、特に低摩耗領域又はほぼ摩耗が生じない領域TB-Iにおいて拡幅されている。
【0055】
図7における代替的な実施形態においては、中空空間6又は冷却ダクト7がその長さ方向に沿ってほぼ同一の断面Qを有するよう形成されていることが想定可能である。ただし、この場合、冷却ダクト7は直線的に形成されていない。その代わりに、冷却ダクト7は、曲がりくねった形状を有するため、低摩耗領域又はほぼ摩耗が生じない(部分)領域TB-Iにおいて構成要素の外側ジャケット面5に特に近接して延在している。これにより、僅かな壁厚w1しか形成されていない。図示の実施形態では、冷却ダクト7は、摩耗領域9,TB-IIにおいて構成要素の外側ジャケット面5に対してより大きな距離を有するため、より大きな壁厚w2が形成されている。構成要素の材料は、作動中に生じる摩耗によって摩耗領域9,TB-IIにおいて除去されるため、これら領域9,TB-IIで壁厚wが減少する。これら領域9,TB-IIにおける壁厚wが小さくなり過ぎた場合、特にこれら領域9,TB-IIにおける壁厚wが壁厚w1未満の値に低下した場合、撹拌シャフト1は交換されなければならない。
【0056】
上述した実施形態、実施例、並びに変形と、特許請求の範囲又は以下の記載及び各図(各図における様々な観点又は個々の特徴を含む)は、互いに独立させるか又は任意に組み合わせることができる。一実施形態に関連して記載された特徴は、その特徴が互換性を有さない場合を除いて、全ての実施形態に適用することができる。
【0057】
図面との関連で「概略的」という用語が使用されていたとしても、図面及びその説明が本発明の開示において二次的な重要さしか有さないことを意味するわけではない。当業者であれば、例えば、必ずしも寸法比を反映していない装置における個々の部品及び/又は一部又は図示された他の要素に対する理解が損なわれることなく、概略的かつ抽象的な図面から十分な情報を得て本発明をより容易に理解することができる。従って、当業者は、図面を参照すれば、より具体的に記載された本発明に係る方法の実施形態及びより具体的に記載された本発明に係る装置の実施形態との関連で、特許請求の範囲及び明細書本文に一般的及び/又は抽象的に記載された本発明の思想をより容易に理解することが可能である。
【0058】
以上、本発明を好適な実施形態を参照しつつ説明した。ただし、当業者であれば、添付の特許請求の保護範囲を逸脱することなく、本発明に対して修正又は変更を加えられることは自明のことであろう。
【符号の説明】
【0059】
1 撹拌シャフト
2 (円筒状)基体
3 撹拌要素
4 撹拌ロッド
5 外側ジャケット面
6 中空空間
7 冷却ダクト
8 通路開口部
9 摩耗領域
10 ねじ接続部
11 ねじ孔
12 中空内部領域
13 支持構造部

d 直径
d1 第1直径
d2 第2直径
L 長手方向軸線
Q 断面
Q1 第1断面
Q2 第2断面
Q3 第3断面
TB-I 第1(部分)領域
TB-II 第2(部分)領域
w 壁厚
wG 総壁厚
w1 第1壁厚
w2 第2壁厚
w3 第3壁厚
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7