(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】工具を工具受領領域に固定するためのネジインサート、及びそのようなネジインサートを含む工具受領領域
(51)【国際特許分類】
B23B 31/11 20060101AFI20230517BHJP
B23C 5/22 20060101ALI20230517BHJP
B23C 5/10 20060101ALI20230517BHJP
【FI】
B23B31/11
B23C5/22
B23C5/10 D
(21)【出願番号】P 2020511742
(86)(22)【出願日】2018-09-11
(86)【国際出願番号】 EP2018074389
(87)【国際公開番号】W WO2019052982
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-06-15
(31)【優先権主張番号】102017121363.5
(32)【優先日】2017-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】315002139
【氏名又は名称】フランツ ハイマー マシーネンバウ カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ハイマー,フランツ
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-504162(JP,A)
【文献】実公昭50-023164(JP,Y1)
【文献】特開平07-332346(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102015112079(DE,A1)
【文献】特開平07-227711(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0208147(US,A1)
【文献】特開平08-155774(JP,A)
【文献】特表2016-525457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 5/10、22
B23B 31/00-39
B23B 35/00-49/06
B23B 51/00-14
B23D 1/00-30
B23D 37/00-43/08
B23D 67/00-81/00
B23Q 11/00-13/00
F16B 9/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
提供された工具を金属製の工具受容器(1)内の締結ネジで締結するための金属製のネジインサート(3)であって、前記ネジインサート(3)は、前端面(20)上に前記工具をねじ込むための雌ネジ(17)を有する受領開口(16)を含有し、前記ネジインサート(3)は、前記ネジインサートの裏端面(26)まで先細るテーパ状であり、外部接触表面(14)を有するプラグイン領域(13)を有すること、及び接着剤を受領するための少なくとも1つの窪み(25)は、前記外部接触表面(14)上に配置され、前記少なくとも1つの窪み(25)は、前記プラグイン領域(13)の前記外部接触表面(14)の母線に平行に又は螺旋状に延在することを特徴とする、ネジインサート(3)。
【請求項2】
前記プラグイン領域(13)は、円錐又は多角形の外部形状を有することを特徴とする、請求項1に記載のネジインサート(3)。
【請求項3】
全周に分配される、前記母線に平行に延在する複数の窪み(25)は、前記プラグイン領域(13)の前記外部接触表面(14)上に配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のネジインサート(3)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの窪み(25)は、平坦な溝の形に設計されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のネジインサート(3)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの窪み(25)は、最大1.5mm
の深さを有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のネジインサート(3)。
【請求項6】
前記受領開口(16)は、前記工具側の前記前端面(20)と前記雌ネジ(17)との間に、第1の円錐軸受表面(21)及び第2の円錐軸受表面(22)を有する外部軸受領域を含有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のネジインサート(3)。
【請求項7】
前記第1の円錐軸受表面(21)及び前記第2の円錐軸受表面(22)は、異なる円錐角を有することを特徴とする、請求項6に記載のネジインサート(3)。
【請求項8】
周方向に互いから間隔を空けた複数の半径方向内方に突起するウェブ形状の軸受要素(23)を有する内部軸受領域は、前記受領開口(16)の内端と前記雌ネジ(17)との間に存在することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のネジインサート(3)。
【請求項9】
前記ネジインサート(3)は、作業流体を送り込むために貫通孔(24)を含有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のネジインサート(3)。
【請求項10】
前記ネジインサート(3)は、前記受領開口(16)の反対側を向いてその端部に雄ネジ(29)を有することを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のネジインサート(3)。
【請求項11】
前記ネジインサート(3)は、前記受領開口(16)の反対側を向いてその端部に遮断溝(30)を有することを特徴とする、請求項1~
9のいずれか一項に記載のネジインサート(3)。
【請求項12】
全周に分配される、前記全周に平行に延在する複数の窪み(25)は、前記プラグイン領域(13)の前記外部接触表面(14)上に配置されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載のネジインサート(3)。
【請求項13】
金属製の工具受容器(1)の受領体(2)であって、
受領開口(12)が配置される長く細い受領領域(4)であって、前記長く細い受領領域(4)の前端面(7)上で入口(11)に向かって広がり、請求項1~12のいずれか一項に記載のネジインサート(3)を受領する、長く細い受領領域(4)を有することを特徴とする、金属製の工具受容器(1)の受領体(2)。
【請求項14】
重金属の材料から構成された中心部(9)は、前記長く細い受領領域(4)内に配置されることを特徴とする、請求項13に記載の受領体(2)。
【請求項15】
前記中心部(9)は管状であり、中心貫通ダクト(8)を有することを特徴とする、請求項14に記載の受領体(2)。
【請求項16】
前記中心部(9)は、前記受領体(2)の中心貫通開口(10)の細い中心部の中に挿入されることを特徴とする、請求項14又は15に記載の受領体(2)。
【請求項17】
前記受領体(2)は、
請求項10に記載の前記雄ネジ(29)を有する前記ネジインサート(3)を受領する前記長く細い受領領域(4)に、前記雄ネジ(29)と接続する雌ネジを有することを特徴とする、請求項13~16のいずれか一項に記載の受領体(2)。
【請求項18】
前記受領体(2)は、請求項11に記載の前記遮断溝(30)を有するネジインサート(3)を受領する前記長く細い受領領域(4)に、前記遮断溝内に係合する遮断要素を有することを特徴とする、請求項13~16のいずれか一項に記載の受領体(2)。
【請求項19】
全周に分配され、前記全周に平行に延在する複数の窪み(25)は、その受領開口(12)内に配置されることを特徴とする、請求項13~18のいずれか一項に記載の受領体(2)。
【請求項20】
請求項13~19のいずれか一項に記載の受領体(2)、及び請求項1~12のいずれか一項に記載のネジインサート(3)を有する、金属製の工具受容器(1)。
【請求項21】
前記受領体(2)の前記受領開口(12)及び前記ネジインサート(3)の前記プラグイン領域(13)は、前記ネジインサート(3)の装着位置において前記
長く細い受領領域(4)の前記工具側の前記前端面(7)と前記ネジインサート(3)上の環状表面(18)との間にギャップ(19)が残るような方法で互いに適合されることを特徴とする、請求項20に記載の工具受容器(1)。
【請求項22】
密封要素(31)は、前記受領体(2)と前記ネジインサート(3)との間に形成されることを特徴とする、請求項20に記載の工具受容器(1)。
【請求項23】
前記ネジインサート(3)及び前記受領体(2)の窪みは、互いの上に位置するようになり、従って前記接着剤用の特定の受領空間を生成することを特徴とする、請求項20に記載の工具受容器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、提供された工具を請求項1の前文による工具受容器内の締結ネジで締結するためのネジインサートに関する。本発明は、追加としてそのようなネジインサート用の受領体、並びにそのようなネジインサート及び関連した受領体を有する工具受容器に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2013/178401A1号は、提供された工具を締結ネジで保持するためのネジインサートを有する工具受容器を開示している。ネジを保護し、高度の同心精度で締め付けるために、ネジインサートは、受領体の長手方向軸に対して横方向に可動であるように受領体内に配置され、横断ピン又は型継手接続により回転式に固定される。ネジインサートの半径方向の可動性を確保するために、対応する構造的手段が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
ネジインサート、関連した受領体、及び複雑な構造的手段がなくとも対応する受領体内にネジインサートを単純に正確に装着できる工具受容器を提供することが本発明の一目的である。
【0004】
この目的は、請求項1の特徴を有するネジインサートによって、請求項12の特徴を有する受領体によって、及び請求項16の特徴を有する工具受容器によって達成される。本発明の便宜的な開発及び好都合な実施形態は、従属請求項に明記されている。
【0005】
提供された工具を締結ネジで締結するために、本発明によるネジインサートは、前端面上に工具をねじ込むための雌ネジを有する受領開口を有する。受領体内にネジインサートを締結するために、ネジインサートはプラグイン領域を含有し、プラグイン領域は、裏端面に向かって先細であり、接着剤を受領するための少なくとも1つの窪みが配置されている外部接触表面を有する。従ってネジインサートは、窪みの中に導かれた接着剤を備えた受領体の受領開口の中に差し込むことができ、受領体とネジインサートとの間の圧入によるだけでなく、追加の接着接続にもより、堅固に回転式の固定方法で保持することができる。従ってネジインサートは、単純で正確な方法で装着することができる。必要であれば、接着接続は、例えば受領体の対応する加熱によって解除することができ、ネジインサート又は受領体は置換することができる。
【0006】
2つの金属表面の間に非金属材料として接着剤を使用することは、負荷伝達行為、例えば振動減衰、液体及び気体に対する密封、異なる接合部品の動的な補償、並びに腐食防止に加えて様々な利点を有する。ネジインサートを表面取付(接着)及び受領体の受領開口内のその内部強度(凝集)により締結する接着剤を使用することは、従って公知の単なる機械的締結方法とは根本的に区別するべきである。
【0007】
接着剤は、あるとしても機械的工具エンジニアリング、及び具体的にはフライスの分野における工具ホルダーに使用されることは少ない。しかし実際に適用できる解決策は、ネジインサートの、及び/又は接着剤を受領するための窪みを有する受領体の受領開口の具体的な設計により今初めて提供される。好ましくはここではアクリレート、具体的にはウレタンメタクリレート系の接着剤が使用される。
【0008】
1つの可能な実施形態では、プラグイン領域は円錐外部形状を有する。代替実施形態では、ネジインサートのプラグイン領域は多角形の外部形状を有する。型継手接続及び押圧力に加えて、この非円形形状は、ネジインサートの意図しない回転運動に対して追加の保護を提供する。
【0009】
更なる実施形態では、ネジインサート上の保持力は、提供される圧力ばめ及び/又は型継手による追加の締結の恩恵によって更に向上する。
【0010】
従って受領体の受領開口に面するネジインサートの端部に追加の雄ネジを提供することができ、前記雄ネジは、受領体の受領開口内の対応する嵌合ネジに係合する。
【0011】
ネジ接続は単に追加の締結を構成するに過ぎず、すなわち例外の場合のための固定であることをここで強調しておく。ネジインサートの実質的な締結は、圧入及び具体的には接着接続によって達成される。
【0012】
雄ネジの代替として、ネジインサートは、受領体の受領開口に面するネジインサートの側面を中心に螺旋状に延在する、1つ又は好ましくは2つ以上の遮断溝を有することができる。遮断溝は、ここでは裏端面で開始し、ここでは特に好ましくは少なくとも40°の傾斜を有する。この実施形態では、受領体は、その受領領域に少なくとも1つの遮断要素、好ましくは複数の遮断要素を有する。遮断要素は、型継手方法でネジインサートの遮断溝内に係合する1つ又は複数の単純な突起の形を取ることができるが、遮断要素は、特に好ましくは周方向に螺旋状に突起し、周方向に同じ高さ及び同じ角度で間隔を空けた遮断要素の形を取る。
【0013】
遮断溝の使用は追加の締結を構成するに過ぎず、すなわち例外の場合のための固定であることもここで強調しておく。ネジインサートの実質的な締結は、圧入によって、及び具体的には接着接続によって達成される。
【0014】
特に便宜的な実施形態では、全周に分配された複数の窪みは、プラグイン領域の外部接触表面に配置することができる。窪みは、平坦な溝の形状を有することができる。溝は、好ましくは薄く、最大1.5mm、更に良いのは0.5mmの深さを有する。窪みは、プラグイン領域の外部表面の母線に平行に延在することができる。しかし溝は、プラグイン領域の外部表面の外周に平行に、又は螺旋状に延在することもできる。
【0015】
別の好都合な実施形態では、回転軸に対して横方向に延在する平坦な溝は、より広い窪みとして構成される、すなわちこの接合ではそれらの幅は、軸方向に延在する溝の幅の少なくとも3倍である。
【0016】
ネジインサートは、特に好ましくは大きさに依存して、回転軸に対して横方向に延在する4~6個、具体的には5個の溝を有し、その幅は、溝の間に留まっているウェブが実質的に溝と同じ幅を有するように選択される。同じことが受領体の受領開口内の溝にも適用される。
【0017】
好ましい実施形態では、溝の深さは多くても5/100mm、特に好ましくは3/100mm以下である。この場合も、受領体の受領開口は、理想的には対応するより広い窪みを有する。具体的にはネジインサートの、及び受領体の窪みが、互いの上に位置するようになり、従って接着剤用の特定の受領空間を生成するということが提供される。この実施形態では、ネジインサート及び受領開口の両方が、回転軸に対して横方向に延在する少なくとも5個のこのような窪みを有するということも更に提供される。
【0018】
外部表面の母線に平行な、又はプラグイン領域の外部表面の外周に平行な異なる形の窪みは、互いに組み合わせることができることを分かりやすくするためにはっきりと指摘しておく。
【0019】
更なる好都合な実施形態では、受領開口は、工具側前端面と雌ネジとの間に第1の円錐軸受表面及び第2の円錐軸受表面を有する外部軸受領域を含有することができる。外部軸受領域の第1及び第2の円錐軸受表面は、好ましくは非常に異なる円錐角を有する。これは、平坦な接触表面又は直線接触表面と対照的に、軸受接触を増加させ、中心に置かれ且つ支持行為を向上することができる二重円錐をもつ支持領域を工具に提供する。
【0020】
更なる好都合な実施形態では、周方向に互いから間隔を空けた複数の半径方向内方に突起するウェブ形状の軸受要素を有する内部軸受領域は、受領開口の内端と雌ネジとの間でネジインサート上に配置することができる。この内部軸受領域により、工具を更に中心に置いて半径方向に減衰させることができる。
【0021】
ネジインサートは、追加として便宜的に貫通孔を含有し、貫通孔を介して冷却液又は別の作動流体が工具又は機械領域に導かれることが可能である。
【0022】
このようなネジインサート用に設計された工具受容器の受領体は、長く細い受領領域を本発明により特徴とし、受領領域にはネジインサートを受領し、受領領域の前端面上で入口に向かって広がるように意図した受領開口が配置される。
【0023】
長く細い受領領域を補強し、機械操作中に工具受容器を減衰させるために、密度が鋼の密度より大きい、重く安定した材料、好ましくは重金属から構成された中心部をそこに配置することができる。中心部は、例えば管状であることが可能であり、便宜的に中心貫通ダクトを有する。中心部は、受領体の中心貫通開口の細い中心部の中に挿入することができる。中心部は、ここでは中心貫通開口の側面に完全に当接することができ、そうでなければ中心貫通開口内の減衰要素を包囲することによって保持し、中心貫通開口から間隔を空けることができる。
【0024】
本発明は、追加として上に記載された受領体及び関連したネジインサートを有する工具受容器に関する。
【0025】
受領体の受領開口及びネジインサートのプラグイン領域は、便宜的にネジインサートの装着位置において受領領域の工具側端面とネジインサート上の環状表面との間にギャップが残るような方法で互いに適合される。
【0026】
中心部に形成される中心貫通ダクトからの冷却液及び/又は潤滑油の移動を促進するために、密封要素は貫通ダクトの工具側端上に嵌合することができ、前記密封要素は受領領域の工具側端面とネジインサート上の環状表面との間のギャップを架橋する。貫通ダクトの構成に依存して、この密封要素は1つ又は複数のダクトと共に形成することができる。具体的には、ここでは密封要素は設計された開口の中に、従ってネジインサートの中に突起することが提供される。
【0027】
密封は、好ましくは貫通ダクトに同軸に延在する貫通ダクトを有する。結果として、冷却液又は潤滑油は、具体的には低い摩擦方式で移動することができる。特に好都合な実施形態では、貫通ダクトの直径は、供給ダクトの直径に対応し、その結果ダクト内の断面が拡大することも起きず、冷却液及び/又は潤滑油は、再循環及び凝縮することなく搬送することができる。冷却液及び/又は潤滑油の圧力に影響を及ぼすために、このような狭点を用いて冷却液及び/又は潤滑油上の圧力を確実に一定にするように、直径はネジインサートに向かって狭まることも可能である。
【0028】
密封要素は、好ましくはここでは弾性材料、例えば高い弾性のポリウレタン・エラストマ製品からなる。別法として、あらゆる更なる変形可能な材料、例えばアルミニウム、鉛、銅、軟鉄等が考えられる。又記憶材料も使用することができる。
【0029】
このような密封要素は、好ましくはここでも冷却液及び/又は潤滑油の移動を密封するために、締結ネジを備えた工具用の受領開口内に提供することもできる。
【0030】
本発明の更なる特定の特徴及び利点は、図面を参照して好ましい例示的実施形態の以下の記載から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】長手方向断面にネジインサートを有する工具受容器の第1の実施形態を示す。
【
図4】長手方向断面にネジインサートを有する工具受容器の第2の実施形態を示す。
【
図5】
図4に示したネジインサートの斜視図を示す。
【
図6】垂直及び水平の窪み並びに遮断溝を有する更なる実施形態を示す。
【
図7】垂直及び水平の窪み並びに雄ネジを有する更なる実施形態を示す。
【
図8】挿入した密封要素を備えた更なる実施形態を示す。
【
図9a】密封要素の異なる実施形態の詳細図を示す。
【
図9b】密封要素の異なる実施形態の詳細図を示す。
【
図9c】密封要素の異なる実施形態の詳細図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、回転対称の受領体2及びネジインサート3を有する工具受容器1を示し、ネジインサート3は、受領体2内に締結され、提供された工具を締結ネジで保持することを意図する。受領体2は、長く細い前受領領域4及び裏クランプ領域5を有し、裏クランプ領域5は、
図1では上部に配置され、機械工具の作業スピンドル内に受領体を保持することを意図する。示された実施形態では、機械側面のクランプ領域5は、機械工具又は同種の物の作業スピンドルの対応する内部円錐内に受領するために、円錐外部クランプ表面6を有するHSKインターフェースとして構成される。しかし受領体2の裏端におけるインターフェースは、SK、JIS、BT、ABS若しくはCaptoインターフェース又は他の適切なインターフェースの形を取ることもできる。
【0033】
図1から明らかであるように、ここでは中心貫通ダクト8を有する管状補強し、且つ減衰する要素の形を取り、重く安定した材料から構成される中心部9は、工具側端面7に向かって円錐状に先細である受領体2の細い受領領域4内に挿入される。長く細い受領領域4を補強し、且つ振動を減衰させるために役立つ中心部9は、受領体2の中心貫通開口10の細い中心部の中に挿入される。ネジインサート3を受領し、受領領域4の前端面7上の入口11に向かって広がるように意図した円錐受領開口12は、受領領域4の工具側端に提供される。
【0034】
ネジインサート3はプラグイン領域13を含有し、プラグイン領域13は受領体2の受領開口12に適合され、工具受容器1に面する裏端面26に向かって先細であることが、
図2から特に明確に分かる。プラグイン領域13は外部接触表面14を有する。ネジインサート3は、提供された工具をネジで締結するために、受領開口16を有する前受領領域15を追加として含有する。この目的のために、受領開口16は雌ネジ17を有する。
図1の例示的実施形態では、プラグイン領域13は、円錐外部接触表面14を有する円錐外部形状を有する。受領体2の円錐受領開口12及びネジインサート3のプラグイン領域13は、ネジインサート2の装着位置で受領体2の工具側端面7とプラグイン領域13からネジインサート3の受領領域15までの移行における環状表面18との間にギャップ19が残るような方法で互いに適合される。結果として受領体2とネジインサート3との間に軸方向の圧縮応力が発生しない。
【0035】
ネジインサート3の工具側前端面20と雌ネジ7との間に、受領開口16は、工具上の対応するガイド表面と接触するために第1の円錐軸受表面21及び第2の円錐軸受表面22を有する外部軸受領域を有する。円錐軸受表面21及び22は異なる円錐角を有する。第1の円錐軸受表面21は、例えば140°~179°、好ましくは170°の比較的大きい円錐角を有するのに対して、第2の円錐軸受表面22は、1°~90°、好ましくは10°の比較的小さい円錐角を含有する。記載された型の二重円錐は、より小さい円錐角がネジインサート3上に工具を良好に中心に置くことができ、大きい円錐角が更に支持して中心に置くことができる利点を有する。円錐角は、円錐軸受表面21及び22によって形成された円錐の開口角度を意味すると理解するべきである。
【0036】
周方向に互いから間隔を空けた、複数の半径方向内方に突起するウェブ形状の軸受要素23を有する内部軸受領域は、受領開口16の内端と雌ネジ17との間に提供される。工具は、受領開口16内に追加として中心に置かれて半径方向に減衰されるように、これらの軸受要素23によって案内される。受領開口16の構成及び関連した工具の構成の例は、独国特許出願公開第102015112079A1号に記載されている。その内容は参照により本明細書に完全に組み込まれている。冷却液又は別の作業流体は、ネジインサート3内に提供された貫通孔24及び中心部9内の貫通ダクト8を介して工具に導くことができる。
【0037】
接着剤を受領するための複数の窪み25は、ネジインサート3の円錐プラグイン領域13上の円錐外部表面14に配置されることが
図3から明らかである。ネジインサート3を受領体2の中に挿入する前に、接着剤は、従って窪み25の中に導入することができる。結果としてネジインサート3は、受領体2とネジインサート3との間の圧入によるだけでなく、追加の接着接続にもより堅固に回転式に固定する方法で保持することができる。必要な場合に、接着接続は、例えば受領体2の対応する加熱によって解除することができ、従ってネジインサート3又は受領体2は置換することができる。窪み25は、好ましくは円錐外部表面14の母線に平行に延在することができる。しかし更なる実施形態では、窪み25は、円錐外部表面14の外周に平行に延在する環状表面を形成すること、又は螺旋輪郭を有することもできる。接着接続の代替として、ネジインサート3は、受領体2と蝋付けすること、又は別の方法で一体的に結合する手法で接続することもできる。
【0038】
図4及び5は、回転対称の受領体2及びネジインサート3を有する工具受容器1の更なる例示的実施形態を示し、ネジインサート3は、受領体2内に締結され、提供された工具を締結ネジで保持することを意図する。この実施形態は、ギャップが中心部9の外部側面と中心貫通開口10の内壁との間に存在するという点で前の例示的実施形態と異なる。ここでは環状である減衰要素27は、受領体2内に中心部9を保持する助けになる。
【0039】
図5から明らかであるように、ネジインサート3のプラグイン領域13は、ここでは多角形の外部形状を有する。受領体2内の受領開口12は、ネジインサート3上のプラグイン領域13の外部形状に適合し、それに応じて多角形の内面形状を有する。
【0040】
図6は、回転軸に対して長手方向に延在する窪み25に加えて、回転軸に対して横方向に延在する窪み28も存在することを示す。この場合、受領体2の受領領域4は、理想的には対応するより広い窪み(ここには示されていない)も有する。具体的にはネジインサート3の、及び受領体2の水平に延在する窪み28が互いの上に位置するようになり、従って接着剤用の特定の受領空間を生成することが提供される。この実施形態では、ネジインサート及び受領開口のどちらも、少なくとも5個のこのような水平に延在する窪み28を有することを更に提供する。
【0041】
この例示的実施形態では、複数の遮断溝30も裏端面26から開始して形成される。
【0042】
図7のネジインサート3は、
図6に示された設計と同様の設計からなる。それと対照的に、雄ネジ29は、ここでは裏端面26から開始して形成される。具体的な事例では、雄ネジ29は台形ネジだが、V字形ネジも使用することができる。
【0043】
図8は、受領体2及びネジインサート3を備えた、
図1からすでに実質的に既知である工具受容器1を示す。貫通ダクト8に同軸に形成される密封要素31は、追加としてここでは受領体2とネジインサート3との間に据えられている。この図では、貫通ダクト8及び密封要素31のどちらも、単一のダクト設計からなる。しかし複数のダクトの貫通ダクト8の場合、密封要素31も複数のダクト設計からなることが可能である。
【0044】
図9a、9b、9cは、それぞれが密封要素31の異なる可能な実施形態を示す。
【0045】
図9aは密封要素31を示し、その外径は、そのために提供された開口内に固定するために、ネジインサート3に向かって側面上で広がる。
【0046】
図9bに示された密封要素31は、
図9aに示された外径の広がりに加えて、中心部9の方を向く側面上に追加として拡大した外径を有する。しかしこの追加として拡大した外径は、隙間に係合するのではなく、中心部9の端面上にフランジの型として位置付けられる。
【0047】
密封要素31の更なる実施形態は
図9cに示されている。ここでは密封要素31は、円盤形状であり、中心部9上及び密封要素31上の両方にその端面を介して表面全体を接触して支えられる。
【符号の説明】
【0048】
1 工具受容器
2 受領体
3 ネジインサート
4 受領領域
5 クランプ領域
6 クランプ表面
7 端面
8 貫通ダクト
9 中心部
10 貫通開口
11 入口
12 受領開口
13 プラグイン領域
14 円錐外部表面
15 受領領域
16 受領開口
17 雌ネジ
18 環状表面
19 ギャップ
20 前端面
21 第1の円錐軸受表面
22 第2の円錐軸受表面
23 軸受要素
24 貫通孔
25 窪み(垂直)
26 裏端面
27 減衰要素
28 窪み(水平)
29 ネジ
30 遮断溝
31 密封要素