(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-16
(45)【発行日】2023-05-24
(54)【発明の名称】ベッドバグトラップ
(51)【国際特許分類】
A01M 1/14 20060101AFI20230517BHJP
【FI】
A01M1/14 E
(21)【出願番号】P 2020525937
(86)(22)【出願日】2018-11-07
(86)【国際出願番号】 EP2018080509
(87)【国際公開番号】W WO2019092043
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-10-13
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519209325
【氏名又は名称】ナタロ ラブス アーベー
【氏名又は名称原語表記】NATTARO LABS AB
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100134577
【氏名又は名称】石川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】マグヌス バックマーク
(72)【発明者】
【氏名】ジェット クヌッセン
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0289822(US,A1)
【文献】特表2009-505675(JP,A)
【文献】特開2006-136296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッドバグ(2)のためのトラップ(10)であって、
第1の基部(22)および第1の頂部(26)によって画定された外面(24)を有する内側要素(20)と、
中空であり、内面(84)を画定する第2の基部(86)および第2の頂部(88)を有する外側要素(80)とを備え、
前記外側要素は、前記第1の頂部に隣接する前記第2の頂部および前記第1の基部に隣接する前記第2の基部を有し、前記内側要素を包囲するように位置づけられ、先細の空間(12)は、前記内側要素の前記外面と前記外側要素の前記内面との間に画定され、前記第1の基部の方向からみて前記第1の頂部に向かって先細になり、
前記先細の空間は、前記内側要素の前記外面と前記第2の基部との間に画定された基部開口部を介して、前記内側要素の前記外面にベッドバグがはうためにアクセス可能であり、
前記内側要素の前記外面をはうベッドバグの背面側(4)に接着するために、接着剤(6)は、前記外側要素の前記内面(84)の少なくとも一
部に設けられる、ベッドバグ(2)のためのトラップ(10)。
【請求項2】
前記内側要素(20)が中空であり、その中にルアー区画(54)を備え、前記ルアー区画と前記先細の空間(12)との間の流体連通を確立するための穴(28)が前記外面(24)に設けられている、請求項1に記載のトラップ(10)。
【請求項3】
前記内側要素(20)は、複数の個々のルアー区画(54)を備え、前記内側要素の前記外面(24)は、対応するルアー区画と前記先細の空間(12)との間の流体連通を確立するための複数の穴(28)を備える、請求項2に記載のトラップ(10)。
【請求項4】
少なくとも1つの穴(28)が、穿刺可能なシールまたは引き裂き可能なカバー(42)によって覆われている、請求項2または請求項3に記載のトラップ(10)。
【請求項5】
前記内側要素(20)が紙又はプラスチックから作られる、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のトラップ(10)。
【請求項6】
前記内側要素は、ルアー材料から作られる、請求項1に記載のトラップ。
【請求項7】
前記第1の基部(22)から前記第1の頂部(26)に向かって少なくとも部分的に延在する少なくとも1つの溝(56)または隆起部(58)が、前記内側要素(20)の前記外面(24)に設けられている、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のトラップ(10)。
【請求項8】
前記外側要素(80)の前記内面(84)及び/又は前記内側要素(20)の前記外面(24)は、前記内側要素の前記外面と前記第2の基部における前記外側要素の前記内面との間の距離(δ)を維持するために、少なくとも1つのスペーサ要素(58、102)を備えている、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のトラップ(10)。
【請求項9】
前記外側要素(80)が前記第2の頂部(88)に頂部開口(88)を有し、該頂部開口は、前記第1の頂部の少なくとも一部が前記頂部開口を通って延びるように、前記第1の頂部(26)を受け入れるように構成されている、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のトラップ(10)。
【請求項10】
前記第1の基部(22)は、前記第1の頂部(26)よりも大きい断面積を有し、前記第2の基部(86)は、前記第2の頂部(88)よりも大きい断面積を有する、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のトラップ(10)。
【請求項11】
前記内側要素(20)が、円錐形、円錐台形、ピラミッド形、または切頂ピラミッド形の形状を有し、前記外側要素(80)が、円錐形、円錐台形、ピラミッド形、または切頂ピラミッド形の形状を有する、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のトラップ(10)。
【請求項12】
前記第2の頂部(88)に隣接する前記外側要素(80)の前記内面(84)の領域(104)は、接着剤を欠いている、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のトラップ(10)。
【請求項13】
前記外側要素(80)は、前記内側要素(20)から取り外し可能である、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のトラップ(10)。
【請求項14】
前記内側要素(20)及び前記外側要素(80)の少なくとも一方が、折り曲げられた又は曲げられた平面シートから作られる、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のトラップ(10)。
【請求項15】
前記平面シートは、前記平面シートの一部(38)を前記平面シートの別の部分(32)に固定して前記平面シートを折り曲げられた又は曲げられた形状に維持するための締結具(34)を備える、請求項14に記載のトラップ(10)。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれか1項に記載のトラップ(10)を提供するステップと、
前記トラップを、前記第1の基部と共に、ベッドバグが存在するか、または、存在すると疑われる場所の平面(1)について位置決めするステップと、を有する、ベッドバグ(2)を検出および/または捕捉する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッドバグ用のトラップの分野に関する。特に、本発明は、ベッドバグが、内側要素の外面と外側要素の内面との間に画定された上向きにの空間内で内側要素の外面上をはって進みながら、外側要素の内面上に設けられた接着剤によって、動物の背側に捕捉され、固定される、ベッドバグトラップに関する。本発明は、更に、ベッドバグを検出及び/又は捕捉する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人間の生息地への昆虫の寄生が増加している。この増加の1つの理由は、(これは地域によって異なるが)抵抗性昆虫種の蔓延した駆除方法への発達である。一例として、1940年代に開発された世界でほとんどなくなったベッドバグの個体数は、その後ゆっくりと回復している。さらに、1990年代半ば以降、回復が加速している。
【0003】
ベッドバグ(トコジラミ(Cimex lectularius)、ナンキンムシ(Cimex hemipterus))は、外骨格、リンゴ種子の大きさ及び形状を持つ翅のない昆虫である。それらは、狭い空間と暗い空間を好む。その結果、ベッドの中、床/壁の床および隙間および亀裂、並びに幅木の背後に潜むことを好む。それらは、血液を吸い、夜間に活性であり、露出した表皮の任意の領域を噛む。皮膚発疹、アレルギー反応および/または精神的苦痛を含む、ベッドバグ咬傷により、多くの有害な健康影響が生じる可能性がある。明らかに、上述の個体数の増加は、ベッドバグの咬傷および関連条件の増加に寄与している。
【0004】
一般に昆虫の侵入、特にベッドバグの侵入を駆除するいくつかの方法が当技術分野で知られている。
【0005】
前記問題に対処する1つの方法は、決められた期間、侵入された領域を、ベッドバグに有害な高温または低温にさらすことである。したがって、成虫のベッドバグならびに産卵された卵を殺すために、前記領域は、1時間60℃に加熱されるか、または少なくとも48時間-18℃未満に保たれる必要がある。
【0006】
ベッドバグに対処するために頻繁に使用される別の方法は、粉末形の珪藻土(DE)を床上に、および/または部屋の幅木に沿って、または幅木の後ろに広げることである。ベッドバグがDEと接触すると、DEの鋭いマイクロメートルサイズの小片がベッドバグ上のろう層を吸収する。これは、ベッドバグ中で不可逆的な脱水処理を開始し、最終的には死亡に至る。この方法は、同様の特性および行動パターンを有する他の動物を駆除する際にも使用することができる。
【0007】
さらに他の方法は、ベッドバグを捕捉するように設計された異なる種類のトラップの使用を提案する。これらのトラップは、典型的には、ベッドバグが収集される容器内に急勾配で落下するピットフォール型であり、一例がUS20090183419A1に示されており、ベッドバグトラップは、ベッドバグが落下する上部開口を有する円錐体を備え、円錐体の内面は接着剤によって覆われている。別の例は、US5231792に示されており、ここでは、昆虫トラップは、互いの上に積み重ねられた二重円錐体を含み、内部円錐体内への通路を画定し、その通路内に、餌または擬似餌が配置され、その中に、昆虫がおびき寄せられ捕獲される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの進歩にもかかわらず、ベッドバグを捕捉し検出するためのさらなるトラップが依然として必要とされている。
【0009】
したがって、本発明の目的は、簡素で低コストであり、したがって、ベッドバグの存在および/またはトラップをより確実に検出するために、多数使用することができる、ベッドバグ用のトラップを提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、ベッドバグがトラップの警戒を検出し高める危険性を減少させるベッドバグ用のトラップを提供することである。
【0011】
本発明のさらに別の目的は、ベッドバグの捕捉を容易に検出できるようにするベッドバグ用トラップを提供することである。
【0012】
本発明のさらに別の目的は、ユーザが組み立てるために、ノックダウン、組み立てられていない、または折り畳まれていない形状で供給することができる、ベッドバグ用のトラップを提供することである。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、擬似餌と一緒に使用した場合に長時間有効であるベッドバグ用トラップを提供することである。
【0014】
本発明のさらに別の目的は、ベッドバグを検出及び/又は捕捉する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的のうちの少なくとも1つ、または以下の説明から明らかになる目的のうちの少なくとも1つは、本発明の第1の態様によれば、ベッドバグのためのトラップによって達成される。
ベッドバグのためのトラップは、
第1の基部および第1の頂部によって画定された外面を有する内側要素と、
中空であり、内面を画定する第2の基部および第2の頂部を有する外側要素とを備え、
前記外側要素は、前記第1の頂部に隣接する前記第2の頂部および前記第1の基部に隣接する前記第2の基部を有する前記内側要素を包囲するように位置づけられ、先細の空間は、前記内側要素の前記外面と前記外側要素の前記内面との間に画定され、前記第1の頂部に向かって先細になり、
前記先細の空間は、前記内側要素の前記外面と前記第2の基部との間に画定された基部開口部を介して、前記内側要素の前記外面にベッドバグがはうためにアクセス可能であり、
前記内側要素の前記外面をはうベッドバグの背面側に接着するために、接着剤は、前記外側要素の前記内面の少なくとも一部、好ましくはすべてに設けられる。
【0016】
したがって、本発明は、単に1つの内側要素および1つの外側要素の使用によって提供されるような、非常に単純なトラップを提供し、これは、ベッドバグが遅すぎて、接着剤がベッドバグの背側、例えば、ベッドバグの腹部の背面シールドまたは背面または背面側に既に接触するまで、ベッドバグが接着剤に決して出くわさないために、ベッドバグを捕捉するのに依然として有効である。トラップは、例えば、紙のような安価な材料の2枚の平面シートを単に折り曲げるか又は曲げることによって、少量の材料から作ることができる。トラップを単に反転させ、先細の空間を視覚的に検査するだけで、トラップされたベッドバグを容易に識別することができる。トラップは、接着剤または接着剤に捕捉されたどのベッドバグとの接触も必要とせずに、外側要素を把持することによって、さらに好都合に取り扱うことができる。
さらに、単純な構造により、トラップは、例えば、内側要素と外側要素とが別個である、空間を節約する分解状態で供給され、トラップのユーザによって組み立てられることが可能になる。
【0017】
本発明の第1の態様によるトラップは、主としてベッドバグを捕捉することを目的としているが、他のはう昆虫もそれらが第1の頂部に向かって先細の空間内に十分に遠くにはって行く場合には、それらの背側で捕捉されることになる。
【0018】
内側要素は、中実であっても中空であってもよい。それは、例えば、曲げられた、または折り畳まれた紙または厚紙、成形されたパルプ、成形されたプラスチック、または適切な形状にされ、提供され得るか、またはベッドバグがその上をはうことができる外面を有する任意の他の材料から作られ得る。
【0019】
外面は、好ましくは、ベッドバグがその上をはうのに適した表面粗さを有する。通常の紙および厚紙は、少なくとも必要とされる表面粗さを有する。
【0020】
本発明の文脈において、限定されることは、言及される特徴が、限定する特徴の間に提供されるか、または限定する特徴によって境界付けられることを包含するものとして理解されるべきである。
【0021】
第1の基部は、好ましくは、第1の頂部よりも広い断面を有する。第1の基部は、トラップを平坦な表面上に配置し支持するのに適していてもよい。いずれの場合でも、好ましくは第1の基部を介して、内部要素を使用してトラップを支持することができる。第1の基部は、閉じていても開いていてもよく、すなわち、内側要素の内部への流体連通を確立していてもよい。第1の基部は、円形または多角形の断面を有してもよい。
【0022】
第1の頂部は、第1の基部の反対側、例えば遠位側に配置される。第1の頂部は、内側要素が円錐台形状を有するか、または切頂ピラミッドとして成形される場合など、尖っていても鈍くてもよい。第1の頂部は、半径方向に、すなわち、第1の基部から第1の頂部まで延在し、保持ピンまたはロッドを受け入れて外側要素を内側要素の周りの所定位置にロックするための貫通孔を通って延在する、内側要素の一般的な長手方向軸に対して垂直に、設けられてもよい。第1の頂部はまた、内側要素および/またはトラップの取り扱いを容易にするために、第1の頂部に取り付けられたストリングまたはロッドの形状のハンドルを備えてもよい。
【0023】
外側要素は、中空であり、例えば、曲げられた、または折り畳まれた紙または厚紙、成されたパルプ、成形されたプラスチック、または適切な形状であり得る任意の他の材料から作製され得る。
中空とは、言及された要素の少なくとも一部が中空であり、要素の別の部分が中実であってもよいことを包含するものとして理解されるべきである。例えば、外側要素の下部は中空であってもよく、一方、内側要素の第1の頂部を越えて延在する上部は、中実であってもよい。
【0024】
第2の基部は、好ましくは、第2の頂部よりも広い断面を有する。第2の基部は、外側要素の円周によって画定することができる。第2の基部は、開いている、すなわち、外側要素の内部への流体連通を確立すべきである。第2の基部は、円形または多角形の断面を有してもよい。
【0025】
第2の頂部は、第2の基部の反対側、例えば遠位側に配置される。第2の頂部は、外側要素が円錐台形状を有するか、または切頂ピラミッドとして成形される場合など、尖っていても鈍くてもよい。第2の頂部には、外側要素を内側要素の周りの所定位置にロックするための保持ピン又はロッドを受け入れるための半径方向貫通孔を設けることができる。第2の頂部における外側要素は、例えば、第2の頂部を部分的に切り取り、切り取られた部分を側方に折り畳むことによって形成されるハンドルを備えてもよい。
【0026】
内側表面は、好ましくは、接着剤を取り付けることができる表面を有する。
【0027】
外側要素は、内側要素の周囲に配置されている。外側要素は、外側要素の全てが内側要素の周りに設けられるように、又は先細の空間が内面と外面との間に形成される限り、外側要素の一部のみが内側要素の周りに設けられるように配置されてもよい。好ましくは、内側要素の外面は、外側要素によって完全には覆われておらず、代わりに、第1の基部に隣接する外面の一部は、覆われていないべきであり、すなわち、外側要素は、内側要素のこの部分の周りに設けられてはならず、それにより、第1の基部が配置される平坦な表面上をはうベッドバグが、最初に内側要素の外面に出くわすはずである。
【0028】
典型的には、外面のこの部分は、第1の頂部に向かって、第1の基部から0.5~10mm、例えば2~5mm、例えば3~4mmの間隔を置いて配置することができる。低い値、すなわち、0.5mm~1mmは、若虫の捕捉のみが関心対象である場合に、若虫のみが先細の空間に近づくことを可能にするように選択されてもよい。
【0029】
しかし、代替的に、外側要素は、この部分も覆うことができ、すなわち、第2の基部は、第1の基部と位置合わせされることが企図される。この場合、ベッドバグは、基部開口部を通って直接トラップに入らなければならず、あるいは、1つ以上の開口部または切欠きが、先細の空間への入り口を提供するために、その第2の基部に沿って外側要素に提供されてもよい。
【0030】
本発明の文脈では、第2の頂部は、第1の頂部に隣接していなければならない。これは、内側要素および外側要素の長手方向軸に沿った第2の頂部および第1の頂部の整列を必要とするものとして理解されるべきではなく、むしろ隣接するものは、ここでは、第2の頂部が第1の基部よりも第1の頂部に近く、その近く、およびその近くのいずれかを包含するものとして理解されるべきであり、一般に、第2の頂部は、第1の基部よりも第1の頂部により近くあるべきであり、第2の基部は、第1の頂部よりも第1の基部により近くあるべきである。
【0031】
先細の空間は、一般に、環状または多角形であってもよく、言い換えれば、例えば、内側要素の外周と外側要素の内周との間に画定される、内側要素の外周の周りに設けられてもよい。先細の空間の先細は、内側要素の外周と外側要素の内周との間の距離が第1の頂部に向かって減少することを包含すると理解されるべきである。したがって、先細の空間の半径方向断面積が減少する限り、先細の空間の幅または直径も減少し得るが、それを必要としない。先細の空間は、好ましくは、第1の頂部またはその近くで終端し、すなわち、ここでは、内側要素の外面と外側要素の内面とは、それらの間の距離がゼロになるように互いに接触する。
【0032】
あるいは、先細の空間は、内面と外面との間の最短距離が、この最短距離がベッドバグの高さよりも小さく、内面の接着剤がベッドバグと接触することを保証する限り、依然としてゼロでない位置で終わってもよい。
【0033】
先細の空間は、すなわち、ベッドバグが基部開口部を通って入ることができるように近づくことが可能であり、この基部開口部は、内側要素の外面と第2の基部との間、すなわち、内側要素の外周と第2の基部における外側要素の内周との間に画定される。したがって、基部開口部は、環状であってもよく、または環として成形されてもよい。
【0034】
接着剤は、粘着性の液体またはゲル状物質として内面に直接提供されてもよく、あるいは、例えば両面接着テープなどの別個の担体上で内面に提供されてもよい。
【0035】
接着剤が内面の一部に設けられる場合、接着剤は、外面までの距離が、ベッドバグの高さの3倍よりも小さい、例えば2倍よりも小さい、内面のこれらの部分に設けられることが好ましい。接着剤は、例えば、距離がベッドバグの高さの0.5倍未満である場合には、設ける必要はない。
【0036】
接着剤は、ベッドバグの背側に接着することができなければならない。本発明の文脈では、そのような接着剤は、バグのどの上部胴体部分にも接着することが可能であり、かつ/または適切であることを理解されたい。
【0037】
本発明の第1の態様によるトラップの好ましい実施形態では、前記内側要素が中空であり、その中にルアー区画を備え、前記ルアー区画と前記先細の空間との間の流体連通を確立するための穴が前記外面に設けられている。
これは、ルアーがベッドバグがトラップに入る傾向を増大させるという点で有利である。穴は、好ましくは、第1の頂部の近くで、外面と内面との間の距離がベッドバグの高さよりも短い位置に設けられ、その結果、ベッドバグは、接着剤に接触することなく、例えば、その背面と接触することなく、ルアーに到達することができない。
ルアー区画は、第1の基部を介してトラップの外部に開いていてもよい。
ルアーは、少なくとも(E)-2-ヘキセナール、(E)-2-オクテナールおよび2-ヘキサノンを含んでもよい。ルアーは、(E)-2-ヘキセン酸および2-オクテン酸をさらに含んでもよい。
ルアーは、1部(E)-2-ヘキセナール、(1)-5部(E)-2-ヘキセノン酸、1部(E)-2-オクテナール、1-10部2-オクテノン酸および1部2-ヘキサノンを含むことが好ましい。全ての部は重量部とすることができる。あるいは、ルアーは、ルアーの合計体積に基づいて、100~300mg/l (E)-2-ヘキセナール、100~1500mg/l (E)-2-ヘキセノン酸、100~300mg/l (E)-2-オクテナール、100~3000mg/l 2-オクテノン酸、および100~300mg/l 2-ヘキサノンを含む。ルアーの照射量は、ルアーの0.5~3.5gなどの0.5~10gなどの0.1~100g、または代替的に、ルアーの0.5~3.5mlなどの0.5~10mlなどの0.1~100mlを含んでもよい。
ルアーは、(E)-2-ヘキサノール、(E)-2-ヘキサノ酸、(E)-2-オクテナール、2-オクテノン酸及び2-ヘキサノン以外の揮発性成分を含まないことが望ましい。
本発明の第1の態様によるトラップの好ましい実施形態では、前記内側要素は、複数の個々のルアー区画を備え、前記内側要素の前記外面は、対応するルアー区画と前記先細の空間との間の流体連通を確立するための複数の穴を備える。
各ルアー区画は、好ましくは、対応する穴を介してトラップの外部(先細の空間を含む)にのみ開いている。
これは、種々のルアーが、雄、雌、種々の若虫齢、または種々の種のベッドバグなどの種々のサブポピュレーションを効率的に引き付けるようにカスタマイズされるという点で有利である。すなわち、トコジラミ(Cimex lectularius)およびナンキンムシ(Cimex hemipterus)は、トラップ中で同時に使用することができる。
【0038】
本発明の第1の態様によるトラップの好ましい実施形態では、少なくとも1つの穴が、穿刺可能なシールまたは引き裂き可能なカバーによって覆われている。
これは、ルアーがその有効性を失うことなく、トラップを長い時間をかけて貯蔵することを可能にするので、有利である。トラップを使用するときには、シールまたはカバーに穴が開けられるか、または破れ、対応するルアーは、その臭いを先細の空間に放出することができる。あるいは、異なるルアーが異なるルアー区画に提供される場合、トラップのユーザは、そのシールまたはカバーのみを穿刺または引き裂くことによって、単一のルアーを活性化することを選択してもよい。
【0039】
本発明の第1の態様によるトラップの好ましい実施形態では、前記内側要素が紙又はプラスチックから作られる。
紙およびプラスチックは、内側要素のための良好な材料である。内側要素が複数のルアー区画を含む場合、または内側要素が数回使用される場合、プラスチックが好ましい場合があるが、紙は最も安価で最も環境に優しい内側要素を提供する。他の適切な材料には、厚紙が含まれる。紙またはダンボールは、200g/m2または80~300g/m2以上のような、80~200g/m2または100~150g/m2のような、70g/m2以上の濃度を有することがある。
さらなる適切な材料は、成形されたパルプおよびプレスされたリーフを含む。
【0040】
本発明の第1の態様によるトラップの代替の実施形態では、前記内側要素は、上述のようにルアー材料から作られる。
これは、非常に単純な内部要素を提供するという点で有利である。ルアー材料は、例えば、室温でその形状を保持する、vax、ゼラチン、またはポリエチレングリコール(PEG)を含んでもよい。あるいは、ルアー材料は、鉱油を含んでもよい。
【0041】
本発明の第1の態様によるトラップの好ましい実施形態では、前記第1の基部から前記第1の頂部に向かって少なくとも部分的に延在する少なくとも1つの溝または隆起部が、前記内側要素の前記外面の中または上に設けられている。
これは、ベッドバグが、本能によって、上方に延在する溝または隆起などの構造に従う傾向があり、したがって、トラップをベッドバグにとってより興味深いものにするので、有利である。好ましくは、複数の円周方向に離間した溝または隆起が、内側要素の外面に設けられる。溝または隆起の深さまたは高さは、ベッドバグが溝内または隆起の近くに留まることによって内面上の接着剤との接触から逃れることができないことを確実にするために、ベッドバグの高さよりも小さくすべきであるか、または第1の頂部に向かって低
減すべきである。隆起が内側要素の外面内または外面上に設けられる場合、隆起は、先細の空間を画定するために、内側要素の外面と外側要素の内面との間の距離を維持するためのスペーサ要素としても機能し得る。
【0042】
本発明の第1の態様によるトラップの好ましい実施形態では、前記外側要素の前記内面及び/又は前記内側要素の前記外面は、前記内側要素の前記外面と前記第2の基部における前記外側要素の前記内面との間の最短距離を確保するために、少なくとも1つのスペーサ要素を備えている。
これは、先細の空間が基部開口部を通ってベッドバグに近づくことが可能であることを確実にする点で有利である。それはまた、特にトラップが紙のようなあまり頑丈でない材料から作られるときに、トラップをより堅牢にし、それによってトラップの取り扱いを促進する。
スペーサ要素は、スペーサ要素における内面および外面が、スペーサ要素が内面または外面から突出する距離よりも接近することを防止するように、反対側の面に接触しなければならない。
スペーサ要素は、例えば、突起を内面または外面に取り付けることによって、内面または外面に突起を形成することによって、または内面または外面を部分的に切断して、スペーサ要素を提供するように折り畳まれ、曲げられ、または反転されてもよいその一部を形成することによって形成されてもよい。
【0043】
本発明の第1の態様によるトラップの好ましい実施形態では、前記外側要素が前記第2上部に上部開口を有し、該上部開口は、前記第1の上部の少なくとも一部が上部開口を通って延びるように、前記第1の上部を受け入れるように構成されている。
これは、第1の頂部を手で把持することによってトラップを取り扱うことができるという点で有利である。頂部開口部の周りの第1の頂部と外側要素との間の円周方向接触によって、外面と内面との間の先細の空間を維持することを含む、外側要素の形状を維持するように、安定化または補強効果が、外側要素に得られる。
【0044】
本発明の第1の態様によるトラップの好ましい実施形態では、前記第1の基部は、前記第1の頂部よりも大きい断面積を有し、前記第2の基部は、前記第2の頂部よりも大きい断面積を有する。
これは、より低い重心を有するトラップを提供し、したがってトラップをより安定させるという点で有利である。これは、トラップを軽量材料で作る場合に特に望ましい。
いくつかの実施形態では、トラップは、第1および第2の基部の幅よりも大きい高さを有する。トラップは、例えば、第1および第2の基部の幅の1.3~2倍など、1.1~3倍の高さを有してもよい。このようなトラップは、小さな設置面積を有し、すなわち、表面上に配置されたときに占めるスペースが小さい。
他の実施形態では、トラップは、第1および第2の基部の幅よりも小さい高さを有する。トラップは、例えば、第1および第2の基部の幅の0.05~0.5倍または0.1~0.5倍間など、0.05~0.9である高さを有してもよい。このようなトラップは、ディスクに似ており、ベッド内、家具内、または家具の下、ドアステップの下、または幅木などの小さな空間で有用であり得る。
【0045】
本発明の第1の態様によるトラップの好ましい実施形態では、前記内側要素(20)が、円錐形、円錐台形、ピラミッド形、または切頂ピラミッド形の形状を有し、前記外側要素(80)が、円錐形、円錐台形、ピラミッド形、または切頂ピラミッド形の形状を有する。
これは、これらの形状が、ベッドバグがその上をはうことができる大きな外面を提供し、これらの形状もまた製造が容易であるので、有利である。内側要素の円錐角または頂角は、外側要素の円錐角または頂角よりも小さくなければならない。内側要素の円錐角または頂角は、外側要素の円錐角または頂角よりも50%以下、例えば35%以下、例えば10%以下、例えば5%以下、例えば2%以下とすることができる。あるいは、内側要素の円錐角または頂角は、外側要素の円錐角または頂角よりも20°以下、例えば10°以下、例えば5°以下、例えば2°以下であってもよい。
外側要素の円錐角または頂角は、180°以下、例えば175°以下、例えば120°以下、例えば90°以下、例えば60°以下、例えば45°以下であるべきである。
【0046】
いくつかの実施形態では、外側要素の円錐角または頂角は、45~65°などの、40~75°などの30~90°であってもよく、一方、内側要素の円錐角または頂角は、外側要素の円錐角または頂角よりも0.1~5°または0.1~2°小さいなどの0.1~10°である。
これらの実施形態によるトラップは、小さな設置面積を提供し、すなわち、使用時にほとんど場所をとらず、一方、外側要素の大きな内面を提供し、ベッドバグを捕捉するための高い能力をもたらす。さらに、これらのトラップの先細の空間に入る光は少なく、したがって、これらのトラップは、ベッドバグにとって魅力的になる。
【0047】
他の実施形態では、外側要素の円錐角または頂角は、120~175°などの、100~180°などの90~180°であってもよく、一方、内側要素の円錐角または頂角は、外側要素の円錐角または頂角よりも0.1~5°または0.1~2°小さいなどの0.1~10°である。
これらの実施形態によるトラップは、高さが低く、ディスクに似ていてもよく、したがって、ベッド内、家具内、または家具の下、ドアステップの下、または幅木などの小さな空間に配置することができる。
【0048】
本発明の第1の態様によるトラップの好ましい実施形態では、前記第2の頂部に隣接する前記外側要素の前記内面の領域は、接着剤を欠いている。
これは、外側要素を内側要素から取り外し可能にする1つの方法であるという点で有利である。この領域は、典型的には、外側要素の1/8~1/4の最上部(すなわち、第2の頂部に最も近い)に沿って延びることができる。
【0049】
本発明の第1の態様によるトラップの好ましい実施形態では、前記外側要素は、前記内側要素から取り外し可能である。
これは、トラップの容易な検査を可能にするという点で、すなわち、トラップの内面上の接着剤がトラップされたベッドバグについて検査され得るように、外側要素を取り除き、反転させることによって、有利である。
【0050】
前記内側要素及び前記外側要素の少なくとも一方が、折り曲げられた又は曲げられた平面シートから作られ、該平面シートは、好ましくは、前記平面シートをどのように折り畳まれるべきかを示すしるし、および/または、前記平面シートの一部を前記平面シートの別の部分に固定して前記平面シートを折り曲げられた又は曲げられた形状に維持するための締結具を備える。
これは、トラップが少なくとも部分的に組み立てられていない状態で供給され、輸送されることを可能にするという点で有利である。好ましくは、内側要素および外側要素の両方は、折り畳まれたまたは曲げられたシートから作られる。
好ましくは、シートは、弓形、または、開いて折り畳まれていないピラミッド形状に切断される。
ファスナーは、典型的には、シートが曲げられるか、または折り畳まれて形状になると、シートの他の縁部にその縁部を固定するために、シートの一縁部に沿って接着剤のストリップを含む。
補強要素は、要素の形状に及ぼすファスナの影響を均等化するために、円錐形状にあるときにファスナの反対側の位置でシートに取り付けられてもよい。
内側要素および外側要素はまた、折り畳まれたまたは曲げられた平面シートから作製され得、次いで、輸送およびパッケージングの前に平坦化され得る。このような要素は、外側要素を内側要素上に配置する前に平坦化解除されてもよく、あるいは、外側要素及び内側要素は、組み立てられたときに平坦化されてもよい。
外側要素の場合、剥離シートを使用して、外側要素が平面シートとして存在するとき、または外側要素が平坦化されているときに、接着剤が意図せず付着するのを防ぐことができる。
【0051】
上記目的の少なくとも1つ、または以下の説明から明らかになる目的の少なくとも1つは、本発明の第2の態様により、以下のステップを含む、ベッドバグを検出および/または捕捉する方法によって達成される。
・ 先行するいずれかの請求項によるトラップを提供するステップと、
・ 前記トラップを、前記第1の基部と共に、ベッドバグが存在するか、または、存在すると疑われる場所の平面(1)について位置決めするステップと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
本発明の上記および他の特徴および利点のより完全な理解は、添付の図面と併せて、好ましい実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0053】
【
図1A】本発明の第1の態様によるベッドバグ用トラップの第1の実施形態の斜視図である。
【
図1C】
図1Aに示されるトラップの拡大部分図であり、外面と内面との間の空間を示す。
【
図1D】
図1Aのトラップで使用されるような最終形状に折り畳まれる平板として供給される外側要素の実施形態の上面図である。
【
図1E】
図1Aのトラップで使用されるような最終形状に折り畳まれる平板として供給される内側要素の一実施形態の上面図である。
【
図1F】剛性中空プラスチック要素である内側要素の実施形態の側面図である。
【
図2A】内側要素内の複数のルアー区画内のルアーへのアクセスを供給するための複数の穴を有する剛性中空プラスチック要素である内側要素の実施形態の側面図である。
【
図2B】
図2Aに示される内側要素の実施形態の断面図である。
【
図2C】ルアー材料から成形された固体片である内側要素の実施形態の斜視図である。
【
図2D】
図2Cに示された内側要素の実施形態の上面図である。
【
図3A】本発明の第1の態様によるベッドバグ用トラップの第2の実施形態の斜視図であり、この実施形態は、ピラミッド状の内側および外側要素を有することを特徴とする。
【
図3B】
図3Aのトラップ内で使用されるような最終形状に折り畳まれる平板として供給される外側要素の実施形態の上面図である。
【
図3C】
図3Aのトラップ内で使用されるように最終形状に折り畳まれたときの、
図3Bに示される外側要素の実施形態の底面図である。
【
図3D】
図3Aのトラップ内で使用されるような最終形状に拡張される折り畳み構造として供給される内側要素の実施形態の上面図である。
【
図3E】
図3Aのトラップ内で使用されるような最終形状に拡張されるときの
図3Dに示す内側要素の実施形態の底面図である。
【
図4A】矩形の基部を有する内側要素と円形の基部を有する外側要素を有する本発明の第1の態様に従ったベッドバグ用トラップの実施形態の底面図である。
【
図4B】円形の基部を有する内側要素と矩形の基部を有する外側要素を有する本発明の第1の態様に従ったベッドバグ用トラップの実施形態の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図面および説明において、同じ参照番号は、同じ特徴を指すために使用される。参照番号に加えられた1つ以上の’は、そのように参照された特徴が、’のない参照番号を有する特徴と同様の機能、構造、または重要性を有するが、この特徴と同一ではないことを示す。
【0055】
さらに、参照番号に付加された下付き番号は、参照された特徴が、下付き番号のない参照番号を有する特徴の更なる1つであることを示す。
【0056】
図1Aは、本発明の第1の態様によるベッドバグ用トラップ10の第1の実施形態の斜視図である。トラップ10は、第1の基部22、外面24及び第1の頂部26を有する内側円錐体20によって表される内側要素と、外面82、内面84、第2の基部86及び第2の頂部88を有する外側円錐体80によって表される外側要素との間に画定される環状空間12によって特徴付けられる。外側円錐体80の一部は、外側円錐体80を内側円錐体20の上および周囲に配置することを可能にするためのタブまたは担持ハンドル90として延在する。
【0057】
内側空間12は、
図1Aに示すトラップの断面図である
図1Bに見られるように、内側円錐体20の外面24と外側円錐体80の内面84との間に距離δを形成するβ > αである、それぞれの内側円錐体および外側円錐体の異なる円錐角αおよびβにより、内側円錐体20および外側円錐体80によって画定される。距離δは、基部22から第1の頂部26に向かう方向に沿って内側円錐体20に沿って減少する。使用時には、トラップ10は、平坦な(平面の)表面1に向かって内側円錐体20の基部22と共に配置又は固定される。外側円錐体の基部86は、内側円錐体20の基部22から離間され、したがって、外側円錐体80の基部86と平坦面1との間の距離Dとなり、Dは、好ましくは、ベッドバグが到達し得る距離よりも大きい。基部開口部は、第2の基部86と外面24との間に参照符号86で画定される。基部開口部は、環として形成され、すなわち、環状である。外面24と内面84との間の空間12を示す
図1Aに示されたトラップの拡大部分図である
図1Bおよび
図1Cから明らかなように、平坦面1上を移動するベッドバグ2は、内側円錐体20の外面24に出くわし、本能的に、およびいくつかの実施形態では、内側円錐体20の内側に配置されたルアーから穴28を通って逃げる臭いのために、外面24を探査し、特に、先細り空間12内で広く見られる相対的に低い光条件によって、外面24上を第1の頂部26に向かって移動するようにおびき出される。ベッドバグを捕獲する、または、わなで捕えるために、接着剤6が、
図1Cに見られるように、外側円錐体80の内面84上に供給される。内側円錐体20および外側円錐体80の基部22および86の近傍では、距離δは、好ましくは、0.5~10mmの範囲、例えば、1~10mmまたは2~10mmであり、これにより、ベッドバグ2は、先細り空間12内に容易に入り込むことができる。より小さいδは、若虫のみが先細り空間12に入ることができることを確実にするために使用することができ、一方、より大きいδは、全ての異なる段階および雌雄のベッドバグが先細り空間に入ることを可能にする。しかしながら、ベッドバグ2が第1の頂部26に向かって移動するにつれて、距離δは、内面84上の接着剤6がベッドバグ2の背側4に接触するまで減少する。この時点で、ベッドバグは、ベッドバグ2
2によって示されるように捕らえられ、動かなくさせられる。
【0058】
有利には、距離Dのために、平坦面1上を移動するベッドバグは、外側円錐体80の内面84に出くわす前に、内側円錐体20の外面24に出くわすことになり、すなわち、ベッドバグは、外側円錐体80上、例えばその外面82上のトラップ10上を移動し始めることができない。これにより、本能的に注意深く、したがって脚が接着剤6に出くわした場合にびっくりしてトラップから後退するベッドバグが、事前にびっくりさせることなく、接着剤6によって背側4で完全に捕捉される危険性が減少する。
【0059】
しかし、Dが0であり、逆U字形の切り込みなどの切り欠きが第2の基部86の外側要素に形成されている場合には、他の代替も可能である。
【0060】
トラップ10は、好ましくは、組み立てられていない状態で供給される。したがって、
図1Dは、
図1Aのトラップ10で使用されるような最終形状に折り畳まれる平板として供給される外側要素または外側円錐体80の実施形態の上面図である。
図1A~1Cに示す外側円錐体80の特徴に加えて、組み立てられていない状態の外側円錐体80は、境界92と内面84の第1の縁96との間の接着領域94を仕切る境界92を含むことができる。次に、外側円錐体80は、折り曲げ/曲げによって組み立てられ、その結果、第2の縁98は、接着領域94が外面82と接触して円錐体形状を形成する境界92と整列する。補強パッチ100は、
図1Dに示すように、外側円錐体80の外面82に接着されて、接着領域94の領域内の二重層材料によって引き起こされる曲げ抵抗の増大を相殺し、それによって外側円錐体80のより均一な円錐形状を保証することができ、これは、内側円錐体20の円周の周りに(内側円錐体20の第1の基部22からの各固定された垂直距離で)ほぼ一定の距離δを作り出すのに有利である。あるいは、またはさらに、いくつかの点または突起の形態の間隔要素(そのうちの1つは、
図1Bにも示される、符号102で示される)が、外側円錐体80の基部86に沿って内面84上に配置され、内側円錐体20の外面24と点接触し、それによって距離δを固定し得る。
【0061】
好ましくは、捕捉されたベッドバグ22または他のクローリングする動物を探して内面84を検査することができるように、外側円錐体80を内側円錐体20から容易に持ち上げることができるようにするために、外側円錐体80の上端88に最も近い接触領域104には、ベッドバグを捕捉するために使用される接着剤6と同じであっても異なっていてもよい接着剤区域6を含む外側円錐体80の内面84を覆う接着剤6がない。
【0062】
同様に、内側要素または内側円錐体20は、
図1Aのトラップで使用されるような最終形状に折り畳まれる平板として、組み立てられていない形態で供給されてもよい。同様に、内側円錐体20の内面30には、境界32に沿って配置された内側円錐体20の第2の縁38で外面24または内面30に接着され得る第1の縁36と共に、境界32が接着領域34を画定する。補強パッチ40は、補強パッチ100と同様に、内側円錐体20の内面30に接着されて、領域34内の二重層材料によって引き起こされる増加した曲げ抵抗を相殺し、それによって内側円錐体20のより均一な円錐体形状を保証することができる。
【0063】
図1Dおよび1Eに示すように供給される内側円錐体20および外側円錐体80のそれぞれは、それぞれの接着領域94および34に一時的に接着された剥離シート(図示せず)が設けられてもよく、外側円錐体80はまた、それぞれの円錐体の不慮の接着を防止するために、内面84のすべてを覆ってもよい。従って、幾つかの外側円錐体80及び内側円錐体20は、平坦な包装体内で互いの頂部に積み重ねて設けることができる。
【0064】
一般に、使用時には、外側円錐体80は、ベッドバグを探すために内面84の検査のために定期的に取り外される必要があり、また、任意選択で交換される必要があるが、内側円錐体20は、一般に、より長い時間使用されることになる。したがって、典型的には、内側円錐体20は、紙または厚紙から作製されるけれども、内側円錐体は、
図1Fのように、すなわち、剛性の中空プラスチック円錐体20’として形成されてもよい。
【0065】
トラップ10は、好ましくは、臭い付きルアクセスを提供するための複数の穴28を有する剛性の中空プラスチック要素である内側アーと共に使用される。
図2Aは、内側要素内の複数のルアー区画内のルアーへの円錐体の実施形態20”の側面図であり、穴は、剥離可能なシール42によって覆われ、例えば、異なる臭いを供給するように、または必要に応じて新しいルアーを供給するように、1つまたは複数の穴28が覆われないことを可能にし、
図2Bに関連してより詳細に説明される。内側円錐体20”は、保持ロッドまたはピン46によって穿孔される貫通穴44を任意選択の特徴としてさらに含む。これにより、外側円錐体80は、いったん内側円錐体20”上に置かれると、保持ロッドまたはピン46の端部と外側円錐体80の上端88との干渉により、保持ロッドまたはピンが貫通穴44から取り外されるまで、取り外されることが防止される。これにより、外側円錐体80を取り外すことができるが、不注意による除去を防止することができる。任意選択で、結び目50を有するストリング48を内側円錐体20”の上端26に取り付けて、トラップ10を容易に持ち上げて取り扱うことができる。
【0066】
次に、
図2Aに示す内側円錐体20”の実施形態の断面図である
図2Bを参照すると、内側円錐体20”の内部は、仕切り壁52によって、いくつかの、この場合は4つのルアー区画54に分割され、各区画は、異なるタイプのベッドバグにアピールするように、好ましくはわずかに異なる組成である一片の臭いルアー8、8’、8”、8”’を保持し、したがって、トラップ10が、対応するシール42の剥離によって特定のベッドバグタイプを捕捉するように適合されることを可能にする。
【0067】
あるいは、
図2Cおよび2Dに示されるように、内側円錐体は、ルアー材料から成形された固体片20”’として形成されてもよい。これは、室温で比較的固体であるように形成されたルアーのために可能である。内側円錐体20”’を成形することは、ベッドバグが基部22’から上端26に向かって外面24’の上を移動することをさらに促すための縦溝56、または、外側円錐体80の内面84までの適切な距離δを確実にするための円周方向に間隔を空けて配置され形成されたスペーサ要素58などのさらなる特徴の単純な介在物を可能にする。
【0068】
図3Aは、本発明の第1の態様によるベッドバグ用トラップの第2の実施形態10の斜視図であり、この実施形態は、内側円錐体20および外側円錐体80の代わりにピラミッド状の内側要素20””および外側要素80’を有することを特徴とする。前に示した内側要素に類似する内側要素20””は、第1の基部22”および外面24”ならびに第1の上部26’を備える。外側要素80’は、また、外面82’、内面84’、第2の基部86’および第2の頂部88’を備える。先の図に示されたトラップと同様に、内側ピラミッド要素と外側ピラミッド要素の角度は、それらの間に先細の空間12’が画定されるように異なり、その空間内にベッドバグ2が入り、最終的に外側ピラミッド要素80’の内面上の接着剤6によって捕捉される。
【0069】
トラップ10’は、
図3Aのトラップで使用されるような最終形状に折り畳まれる平板として供給される外側ピラミッド要素80’の上面図である
図3Bに示されるような折り畳まれていない平らな状態から得ることがより容易であるという点で有利であり得る。従って、外側ピラミッド要素80’は、
図1Dに示すものと同様に、3つの折り返し線106、106
1、106
2、追加の境界線および折り返し線92’によって4つのセグメントに分割される。接着領域94’は第1の縁96’と共に、折り線に沿って折り曲げ、接着領域94’を境界92’に沿って配置された第2の縁98’で内面84’または外面82’に取り付けて4面ピラミッドを形成することによって、外側ピラミッド要素80’を組み立てることを可能にする。折り返し線106、106
1、106
2を横切り、追加の境界および折り返し線92’を横切る任意の平行な切れ目108(
図3Aには図示せず)は、一旦、外側ピラミッド要素80’が組み立てられると、反転され得る反転可能領域110を画定し、したがって、
図3Aの捕獲器で使用されるような最終形状に折り曲げられたときの
図3Bに示される外側要素の底面図である
図3Cに見られるように、外側ピラミッド要素80’の中心軸に向かって延在するスペーサ要素を形成する。
【0070】
図3Dは、折り畳まれた構造として供給され、
図3Aのトラップで使用されるような最終形状に拡張される内側要素20””’の実施形態の上面図である。内側要素20””’は、2つの対向する折り畳み線またはエッジ60が互いに隣接するように折り畳まれたピラミッド形状として供給される。内側要素は、例えば、
図1Eに関連して説明したのと同様に、すなわち、縁部36とともに接着領域34’を画定する境界32’に沿って縁部38’を接着することによって組み立てられてもよい。
図3Dに示す内側ピラミッド要素の底面図である
図3Eに示すように、内側ピラミッド要素20””’が組み立てられたときに、切欠き62は、外面24”から突き出るスペーサ要素を画定し、それにより、内側ピラミッド要素20””’と外側ピラミッド要素80’との間の適切な距離δを確かにする。内側ピラミッド要素は、また、例えば、ルアーがその中に配置されると、組み立てられた内側ピラミッド要素20””’の中空内部を密封するために使用することができる接着フラップ68を有するオプションの底部66を有する。この場合、内側要素20””’は、
図1B、1F、2A及び2Bに示すように開口28を備えることができる。
【0071】
内側要素と外側要素の他の組み合わせは、
図4Aに示すように、及び、
図4Bに示すように、先細の空間12を提供することも可能である。
図4Aは、矩形または正方形の基部を有する内側要素20””と円形の基部を有する外側要素80を有する本発明の第1の態様に従ったベッドバグ用トラップの実施形態の底面図であり、
図4Bは、反対の配置を有する、すなわち、円形の基部を有する内側要素20と矩形または正方形の基部を有する外側要素80’を有する本発明の第1の態様に従ったベッドバグ用トラップの実施形態の底面図である。
【0072】
[実施例]
材料および方法
本発明の第1の態様の実施形態による、2つがトラップAと指定され、2つがトラップBと指定された4つのプロトタイプトラップを作製し、評価した。トラップAは、内側と外側の紙円錐体から成り、各々は、平らな紙シートを円錐形に曲げることによって作られた。一片の接着テープを、このように形成された円錐体の一方の縁部に適用して、曲げられた構成を維持した。内側円錐体と外側円錐体の円錐の角は異なり、外側要素はより大きい円錐の角度を持つ円錐体で表され、内側要素はより小さい円錐の角度を持つ円錐体で表された。内側円錐体は、約6cmの高さおよび約5cmの第1の基部における幅を有し、外側円錐体は、約4cmの高さを有し、その結果、
図1Bに見るように、0.7cmの距離Dが得られ、外側円錐体の頂部開口部は、内側円錐体の頂部がそれを通って約2cm延在することを可能にしたことに留意されたい。第2の基部における外側円錐体の幅は約5.6cmであり、外側円錐体/要素の基部開口部における距離δは約0.4cmであった。平らなシートを外側円錐体のために折り畳む前に、両面接着テープ(TESAカーペットテープ)の層をシートの側面に貼り付け、円錐体形状に曲げたときに外側円錐体の内面になった。
トラップBは、Aと同じ構造を有していたが、TESAカーペットテープは、Stokvis社製の両面接着テープに置き換えられた。
【0073】
トラップの試験は以下のように行った。2つのベッドバグのルアー((E)-2-ヘキセナール、(E)-2-オクテナール、2-ヘキサノン(E)-2-ヘキセノン酸および2-オクテノイ酸を含む)を、520mmの直径を有する円形トレイからなる試験領域に互いに間隔を置いて配置した。
第1の試験ラウンドでは、2つのAトラップの各々をルアーの対応する1つの上に置き、10個のベッドバグ(成虫、雄、餌付け状態)を試験領域の中間で解放し、30分間自由に移動させた。
第2の試験ラウンドでは、Bトラップをルアーの上に置いて試験を繰り返した。
【0074】
結果
ベッドバグはトラップによって警告されず、むしろベッドバグは迅速にトラップを調べ始めた。最初の試験ラウンド(30分)の後、合計5個のベッドバグが、それらの背側に接触した接着剤によって、2つのAトラップ内に捕捉されたことが見出された。
同じ時間後の第2の試験ラウンドにおいて、合計2個のベッドバグが、それらの背側に接触した接着剤によって、2個のBトラップに捕捉されていることが見出された。
【0075】
本発明の実現可能な変更
本発明は、上述され、図面に示された実施形態のみに限定されるものではなく、これらの実施形態は、主として、実例的で例示的な目的を有する。この特許出願は、本明細書に記載の好ましい実施形態のすべての調整および変形例を網羅することを意図しており、したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の用語およびその均等物によって定義される。したがって、装置は、添付の特許請求の範囲の範囲内であらゆる種類の方法で変更することができる。
【0076】
また、上に、下に、上の、下のなどの用語に関する/関連するすべての情報は、参照が適切に読まれ得るように方向付けられた図面を有する、図面に従って方向付けられた機器を有すると解釈/読まれるべきであることも指摘されるべきである。したがって、そのような用語は、示された実施形態における相互関係を示すだけであり、その関係は、本発明の機器が別の構造/設計を備える場合に変更され得る。
【0077】
特定の実施形態からの特徴が別の実施形態からの特徴と組み合わされてもよいことが明確に述べられていなくても、組み合わせが可能である場合、その組み合わせは自明であると考えられることも指摘されるべきである。
【0078】
本明細書および以下の特許請求の範囲全体を通して、文脈が他に必要としない限り、「備える」という用語、および「備える」または「備えている」などの変形は、述べられた整数またはステップ、または整数またはステップのグループを含むことを意味するが、他の整数またはステップ、または整数またはステップのグループを排除するものではないことを理解されたい。